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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024175623
(43)【公開日】2024-12-18
(54)【発明の名称】電力監視システム
(51)【国際特許分類】
   H02J 13/00 20060101AFI20241211BHJP
   H04Q 9/00 20060101ALI20241211BHJP
   H04M 11/00 20060101ALI20241211BHJP
【FI】
H02J13/00 301A
H04Q9/00 311J
H04M11/00 301
【審査請求】有
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023093569
(22)【出願日】2023-06-06
(71)【出願人】
【識別番号】519277520
【氏名又は名称】株式会社リビングロボット
(74)【代理人】
【識別番号】100186510
【弁理士】
【氏名又は名称】豊村 祐士
(72)【発明者】
【氏名】川内 康裕
(72)【発明者】
【氏名】中村 珠幾
(72)【発明者】
【氏名】遠山 理
(72)【発明者】
【氏名】筑波 満
(72)【発明者】
【氏名】阪本 実雄
(72)【発明者】
【氏名】丸本 智彦
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 雅愉
(72)【発明者】
【氏名】内山 昭彦
(72)【発明者】
【氏名】井上 貴裕
【テーマコード(参考)】
5G064
5K048
5K201
【Fターム(参考)】
5G064AC09
5K048BA32
5K048BA34
5K048DB01
5K048DC01
5K048HA34
5K201BA02
5K201EB07
5K201EC06
5K201ED08
5K201ED09
(57)【要約】
【課題】電力監視システムを安価に構成し、更に、より利用者の利便性を向上させる電力監視システムを提供する。
【解決手段】
ネットワーク10に接続されるとともに、電力供給口と所定の電気機器30との間に介在して、前記所定の電気機器30に供給される電力値を計測する主スマートプラグ21と、電力供給口と前記所定の電気機器以外の電気機器30との間に介在して、前記所定の電気機器以外の電気機器30に供給される電力値を計測する少なくとも1つの従スマートプラグ22と、サーバ3と、を備え、前記従スマートプラグ22は、計測された電力値を前記主スマートプラグ21に送信し、前記主スマートプラグ21は、前記主スマートプラグ21で計測した電力値とともに、前記従スマートプラグ22から受信した電力値を、前記ネットワーク10を介して前記サーバ3に送信する。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ネットワークに接続されるとともに、電力供給口と所定の電気機器との間に介在して、前記所定の電気機器に供給される電力値を計測する主スマートプラグと、
電力供給口と前記所定の電気機器以外の電気機器との間に介在して、前記所定の電気機器以外の電気機器に供給される電力値を計測する少なくとも1つの従スマートプラグと、
サーバと、
を備え、
前記従スマートプラグは、計測された電力値を前記主スマートプラグに送信し、
前記主スマートプラグは、前記主スマートプラグで計測した電力値とともに、前記従スマートプラグから受信した電力値を前記ネットワークを介して前記サーバに送信することを特徴とする電力監視システム。
【請求項2】
前記主スマートプラグと前記従スマートプラグとは近距離無線規格によって接続されていることを特徴とする請求項1に記載の電力監視システム。
【請求項3】
前記主スマートプラグに前記従スマートプラグを装着した際に、前記主スマートプラグと前記従スマートプラグとの間でペアリング処理が実行されることを特徴とする請求項2に記載の電力監視システム。
【請求項4】
前記主スマートプラグには、前記従スマートプラグが装着されたことを検出する装着検出部が設けられていることを特徴とする請求項3に記載の電力監視システム。
【請求項5】
前記サーバは、前記主スマートプラグから送信された電力値に基づいて、前記主スマートプラグまたは前記従スマートプラグから電力を供給される電気機器に、故障または故障の予兆が発生したことを推定することを特徴とする請求項1~請求項4のいずれか一項に記載の電力監視システム。
【請求項6】
前記サーバは、前記主スマートプラグから送信された電力値に基づいて、前記主スマートプラグまたは前記従スマートプラグから電力を供給される電気機器の余命を推定することを特徴とする請求項1~請求項4のいずれか一項に記載の電力監視システム。
【請求項7】
前記サーバは、前記主スマートプラグから送信された電力値に基づいて、前記主スマートプラグまたは前記従スマートプラグが接続された電力系統の安定性または品質を推定することを特徴とする請求項1~請求項4のいずれか一項に記載の電力監視システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建屋等に設けられた電力供給口と電気機器との間に介在し、当該電気機器で消費される電力を監視する電力監視システムに関する。
【背景技術】
【0002】
建屋等の電力供給口(電灯線コンセント)と電気機器との間にスマートプラグ(スマートコンセント、スマート電源タップとも称される。)を介在させ、当該電気機器に供給される電力を監視するとともに、スマートプラグで得られたデータに基づいて、様々な処理を実行する電力監視システムが知られている。
【0003】
電力監視システムに関する技術については、PLCネットワークに接続されるとともに、通信機能を有さない電化製品等が接続され、電化製品の電力使用量の測定及び動作制御を行うスマート電源タップと、PLCネットワークに接続され、測定された電力使用量を管理する中央制御端末と、中央制御端末で管理された電力使用量に基づき、今後の電力使用量を予測するサーバとを備えるプライベートスマートグリッドシステムが知られている。スマート電源タップは、中央制御端末との間で通信を行うPLC通信部と、接続された電化製品の電力使用量を所定時間毎に測定する電力測定部と、中央制御端末から受信したIRセンサ制御信号に基づき、電化製品の動作を制御するIR制御信号を電化製品に対して送信するIRセンサ部とを有し、測定された電力使用量を中央制御端末に対して送信する。(特許文献1)
【0004】
特許文献1によれば、スマート電源タップにおいて測定された、接続された機器の電力使用量を中央制御端末に送信するとともに、中央制御端末からスマート電源タップに対してIRセンサ制御信号を送信するため、スマート電源タップに接続された電化製品における電力使用量の監視を行うとともに、中央制御端末による電化製品の遠隔制御を行うことが可能になるとしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2014-225833号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1で開示された技術では、温度センサ等の検出データに基づいて電気機器の遠隔制御を行うこととされているが、各スマート電源タップには、IP(Internet Protocol)アドレスが割り当てられ、中央制御端末は、このIPアドレスに基づき各スマート電源タップとの間で各種情報のやりとりを行う。このような構成においては、全てのスマート電源タップがネットワークに直接的に接続するが、当該接続には一般的に高価な接続モジュールが使用されるため、電力監視システムを安価に構築することは難しい。
【0007】
本発明は、このような従来技術の課題を解決するべく案出されたものであり、その目的は、安価に構築しうる電力監視システムを提供することにある。更に、本発明の他の目的は、より利用者の利便性を向上させることが可能な、電力監視システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記課題を解決するためになされた本発明は、ネットワークに接続されるとともに、電力供給口と所定の電気機器との間に介在して、前記所定の電気機器に供給される電力値を計測する主スマートプラグと、電力供給口と前記所定の電気機器以外の電気機器との間に介在して、前記所定の電気機器以外の電気機器に供給される電力値を計測する少なくとも1つの従スマートプラグと、サーバと、を備え、前記従スマートプラグは、計測された電力値を前記主スマートプラグに送信し、前記主スマートプラグは、前記主スマートプラグで計測した電力値とともに、前記従スマートプラグから受信した電力値を前記ネットワークを介して前記サーバに送信する電力監視システムである。
【0009】
これによって、主スマートプラグは従スマートプラグとの関係においてハブとして機能し、主スマートプラグのみがネットワークと直接接続することで、電力監視システムの初期コストを低減することが可能となる。また、全てのスマートプラグが直接的にネットワークに接続する構成と比較して、消費電力の低減が図られる。
【0010】
また、本発明は、前記主スマートプラグと従スマートプラグとは近距離無線規格によって接続されているものである。
【0011】
これによって、家屋等において主スマートプラグと従スマートプラグとで構成されるネットワークを容易にかつ低コストで構築することが可能となる。
【0012】
また、本発明は、前記主スマートプラグに前記従スマートプラグを装着した際に、前記主スマートプラグと前記従スマートプラグとの間でペアリング処理が実行されるようにしたものである。
【0013】
これによって、ペアリング処理を行う際の利用者の行為が形式化され、いわゆるスマート家電に疎い者であっても容易に電力監視システムを利用することが可能となる。
【0014】
また、本発明は、前記主スマートプラグには、前記従スマートプラグが装着されたことを検出する装着検出部が設けられているものである。
【0015】
これによって、前記主スマートプラグに前記従スマートプラグが装着されたことを装着検出部で検出し、これをトリガーとして、主スマートプラグがペアリング要求を発信することが可能となり、主スマートプラグの消費電力が実質的に低減されうる。
【0016】
また、本発明は、前記サーバは、前記主スマートプラグから送信された電力値に基づいて、前記主スマートプラグまたは前記従スマートプラグから電力を供給される電気機器に、故障または故障の予兆が発生したことを推定するようにしたものである。
【0017】
これによって、電力監視システムの利用者に対して、電気機器に故障または故障の予兆が発生した際に、修理等の必要性があることをアドバイスすることが可能となる。
【0018】
また、本発明は、前記サーバは、前記主スマートプラグから送信された電力値に基づいて、前記主スマートプラグまたは前記従スマートプラグから電力を供給される電気機器の余命を推定するようにしたものである。
【0019】
これによって、電力監視システムの利用者に対して、電気機器のメンテナンスを行うべき時期や買い替え時期をアドバイスすることが可能となる。
【0020】
また、本発明は、前記サーバは、前記主スマートプラグから送信された電力値に基づいて、前記主スマートプラグまたは前記従スマートプラグが接続された電力系統の安定性または品質を推定するようにしたものである。
【0021】
これによって、電力監視システムの利用者に対して、ハウスメーカーや電力会社等の関係者に適切な対策を相談するようアドバイスを行うことが可能となる。
【発明の効果】
【0022】
このように本発明によれば、電力監視システムを安価かつ簡便に構築し、更に、より利用者の利便性を向上させる電力監視システムを提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】本発明の第1実施形態に係る電力監視システムS1におけるスマートプラグ20の使用態様を示す説明図
図2】スマートプラグ20の構成を示す構成図
図3】主スマートプラグ21、従スマートプラグ22、サーバ3の関係を示す説明図
図4】電力監視システムS1の構成を示す説明図
図5】電力監視システムS1の変形例の構成を示す説明図
図6】電力監視アプリによって提供される機能を示す説明図
【発明を実施するための形態】
【0024】
(第1実施形態)
以下、本発明の第1実施形態について図面を参照して説明する。図1は、本発明の第1実施形態に係る電力監視システムS1におけるスマートプラグ20の使用態様を示す説明図である。スマートプラグ20は家屋等に設けられた電力供給口としての電灯線コンセント5に挿入(装着)され、スマートプラグ20には、いわゆる家電等の電気機器30が接続される。即ち、スマートプラグ20は、電力供給口と所定の電気機器30との間に介在し、スマートプラグ20を介して電灯線4から電気機器30に電力が供給される。なお第1実施形態では、電灯線4として単相二線式を想定しているが、もちろん単相三線式であってもよい。
【0025】
ここで、図1には電気機器30として、テレビ30a、エアコン30b、照明器具30c、冷蔵庫30d、洗濯機30e、炊飯器30f、電子レンジ30gを例示しているが、もちろん他の電気機器30がスマートプラグ20を介して電灯線4と接続されてもよい。なお、本実施形態において、各電気機器30は、少なくとも消費電力を計測する機能、及び計測された電力値を外部に送信する機能を備えていないものとする。
【0026】
ここで、例えばテレビ30aと電灯線4(電灯線コンセント5)の間には、単一の差込口を備える第1スマートプラグ201が介在しているが、第6スマートプラグ206は複数の差込口が設けられている。スマートプラグ20は、電灯線4から電気機器30に供給される電力(電気機器30で消費される電力)を計測する。第6スマートプラグ206の場合は、炊飯器30f及び電子レンジ30gに供給される電力の合計が計測される。
【0027】
なお、本実施形態においては、スマートプラグ20として、主スマートプラグ21と従スマートプラグ22とが使い分けられる。図1においては、第1スマートプラグ201が主スマートプラグ21に相当し、第2スマートプラグ202~第6スマートプラグ206が従スマートプラグ22に相当する。
【0028】
図2は、スマートプラグ20の構成を示すブロック構成図である。主スマートプラグ21と従スマートプラグ22とでは、後述する通信部20fが情報を送受信する対象(相手)が異なっているが、他の構成は実質的に同一である。また、スマートプラグ20の各構成要素は、スマートプラグ20内の単相交流線から得られた電力で駆動される。
【0029】
スマートプラグ20は、電力計測部20c、第2制御部20d、通信部20f、環境センサ20m、電力遮断部20eで構成される。電力計測部20cは、電流検出部20g、第1ADC20h(Analog-to-Digital Converter)、第2ADC20i、電力算出部20jで構成される。
【0030】
電力計測部20cは、スマートプラグ20及び電気機器差込プラグ32を介して電気機器30に供給される電力(電力値)を計測する。電流検出部20gは、スマートプラグ20内に引き回された単相交流線のうち、一方に直列に挿入された第1抵抗R1の両端の電圧差に基づいて単相交流線を流れる電流を検出する。検出された電圧差は第1ADC20hによってディジタル電流データに変換され、電力算出部20jに入力される。また、単相交流線のうち一方は、第2抵抗R2を介して第2ADC20iに接続されており、第2抵抗R2によって降圧された電圧値は、第2ADC20iによってディジタル電圧データに変換される。そしてディジタル電圧データは電力算出部20jに入力される。電力算出部20jは、ディジタル電流データとディジタル電圧データの積を演算して電力データを出力する。そして電力データは第2制御部20dに入力される。
【0031】
第2制御部20dは、CPU(Central Processing Unit)等で構成され、図示しないROM(Read Only Memory)、RAM(Random access memory)等の記憶部に記憶された制御プログラムに従って動作する。第2制御部20dと他の構成要素は図示しないバス等で接続されており、第2制御部20dは他の構成要素を制御する。また、図示しない記憶部には、例えば不揮発性メモリ(EEPROM(Electrically Erasable Programmable Read-Only Memory)等)が含まれ、当該不揮発性メモリには個々のスマートプラグ20を示す固有の識別子(ID:IDentifier)が記憶されている。
【0032】
電力遮断部20eはリレー20kを備える。リレー20kは、第2制御部20dの出力に基づいて制御され、プラグ部20aとコンセント部20bとが電気的に接続/遮断される。
【0033】
環境センサ20mには、例えばスマートプラグ20(筐体)の温度を計測する温度センサ、スマートプラグ20の外部環境の温度(気温)・湿度を計測する温湿度センサ、外部環境の音を計測するマイクロフォン、外部環境の照度を検出する照度センサ、人等が発する赤外線を検出する人感センサが含まれうる(いずれも図示せず)。もちろんスマートプラグ20にこれらのセンサの全てが含まれている必要はなく、一部の計測値は通信部20fを介して外部のセンサから取得されてもよい。なお、環境センサ20mの出力は、例えば第2制御部20dによってディジタル環境データに変換される。
【0034】
通信部20fは、外部機器との間で情報を送受信する。通信部20fを介して、環境センサ20mに基づき得られたディジタル環境データ、電力計測部20cで算出された電力データが外部に送信され、また外部からコマンド等が受信される。
【0035】
図3は、主スマートプラグ21、従スマートプラグ22、サーバ3の関係を示す説明図である。主スマートプラグ21の通信部20fは、例えばLTE(Long Term Evolution)、LTE-M(Long Term Evolution - Machine,LTE Cat.M1)、4G、5Gといった無線通信規格に準拠する第1通信モジュール(図示せず)と、例えばBLE(Bluetooth(登録商標) Low Energy)といった、近距離無線規格に準拠した第2通信モジュール(図示せず)とを備える。もちろん第1通信モジュールをWiFi(Wireless Fidelity)規格に準拠したものとし、無線ルータ等を介してネットワーク10に接続するようにしてもよい。この構成によって、主スマートプラグ21はネットワーク10に接続する。
【0036】
他方、従スマートプラグ22で算出された電力データは、通信部20fを介して主スマートプラグ21に送信される。主スマートプラグ21は、受診した電力データを主スマートプラグ21で算出された電力データとともに、サーバ3に送信する。なお、電力データの送信に際して、従スマートプラグ22は自己の識別子を主スマートプラグ21に送信し、主スマートプラグ21は、自己及び従スマートプラグ22の識別子をともに(即ち、複数の「電力データと識別子とのセット」を)サーバ3に送信する。サーバ3は受信した電力データと識別子とを関連付けて記憶する。なお、以降の説明において、電力データと識別子とを合わせて「電力等データ」と称することがある。なお、電力等データには、上述した環境センサ20mで取得された情報が含まれてもよく。この場合、環境センサ20mで取得された各種情報もサーバ3に送信される。
【0037】
図4は、電力監視システムS1の構成を示す説明図である。電力監視システムS1は、第1情報端末1とスマートプラグ20とサーバ3とで構成される。上述したように、スマートプラグ20は主スマートプラグ21と従スマートプラグ22とに大別される。そして、主スマートプラグ21(ここでは第1スマートプラグ201)は、ネットワーク10に接続され、サーバ3との間で情報を送受信する。もちろん、必要に応じて主スマートプラグ21から第1情報端末1に電力等データが送信されるよう構成してもよい。
【0038】
他方、従スマートプラグ22(ここでは第2スマートプラグ202~第6スマートプラグ206)は、主スマートプラグ21と無線で接続され、主スマートプラグ21との間で情報を送受信する。図示するように、主スマートプラグ21と従スマートプラグ22とは、いわゆるスター型接続のネットワークを構成し、主スマートプラグ21はスマートプラグ20群におけるハブとして機能する。
【0039】
第1情報端末1は、例えばスマートフォンやタブレット端末等の携帯情報端末、PC(Personal Computer)であり、電力監視システムS1の利用者によって使用、あるいは携帯される。第1情報端末1は、撮像部1a、第1制御部1b、表示部1c、入力部1dを備える。
【0040】
撮像部1aは、COMS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)あるいはCCD(Charge Coupled Device)で構成されたイメージセンサを備える。表示部1cは、例えばLCD(Liquid Crystal Display)やOLED(Organic Light Emitting Diode)で構成される。また入力部1dは、タッチパネル等の入力機器で構成されている。
【0041】
第1制御部1bは、CPU等で構成され、図示しないROM、RAM等の記憶部に記憶された制御プログラムに従って動作する。第1情報端末1において、第1制御部1bと他の構成要素は図示しないバス等で接続されており、第1制御部1bは他の構成要素を制御する。第1制御部1bによって、後述する電力監視/ユーザサポート用のアプリケーションソフトウェア(以降、「電力監視アプリ」と称することがある。)が実行される。電力監視アプリは、電力監視システムS1を利用するにあたって、利用者によって第1情報端末1にインストールされる。
【0042】
サーバ3は、公知のコンピュータシステムである。サーバ3は、サーバ記憶部3aと第3制御部3bとで構成される。第3制御部3bは、図示しないCPUや記憶部で構成され、サーバ3の構成要素を制御する。サーバ記憶部3aは、ROMやRAMとともにRAID(Redundant Arrays of Independent Disks)等で構成された大容量ストレージを備える。この大容量ストレージには、個々のスマートプラグ20で算出された電力等データ(上述したように、主スマートプラグ21から送信される)が記憶される。ここでは、電気機器30毎に電力データ(消費電力)と識別子とが紐づけて記憶される。そして第3制御部3bは、記憶された電力データに基づいて、後述する指標や各種の統計データを生成する。なお、電力等データに環境センサ20mで取得した情報が含まれる場合、これも識別子と紐づけて記憶される。
【0043】
更に、サーバ記憶部3aには電力監視システムS1の監視対象である電気機器30に関するデータベース(以降、「機器情報データベース」と称することがある。)が構築されている。機器情報データベースには、各電気機器30について、品名(テレビ30a、エアコン30b、冷蔵庫30dといった電気機器30のカテゴリー)、型番、複数の外観画像、冷蔵庫30d等においては庫内の画像、製造時期、製造メーカ、後述する電力パターン等が蓄積されている。またサーバ記憶部3aには、個々のスマートプラグ20の識別子と電力使用量を関連付けて記憶するデータベース(以降、「電力監視データベース」と称することがある。)が構築されている。なお、電力監視データベースには、第3制御部3bによって導出された以下に示す劣化指標、異常指標が逐次記憶されてもよい。
【0044】
ここで、劣化指標には第1劣化指標と第2劣化指標とが規定されている。第1劣化指標は、電気機器30が動作した時間の累積値と故障率との関係に基づく指標である。第1劣化指標は、例えば予め家電量販店で収集された情報(例えば、各型番の電気機器30についての販売時期、故障が生じた年月日、メーカが公表する耐用年数)に基づいて決定される。即ち、第1劣化指標は、電気機器30の累積動作時間に伴って変化する。
【0045】
第2劣化指標は、電気機器30の経年劣化に伴う電力パターンの変化に基づく指標である。ここで電力パターンとは、例えば、電気機器30が動作している際に所定の周期(例えば1秒)でサンプリングされた、所定の期間(例えば数分間)における消費電力の時系列データをいう。
【0046】
予め各型番の電気機器30について、新品時の電力パターン、及び累積動作時間が所定期間経過する時点(例えば1カ月毎)における電力パターン(即ち、経年劣化した際の電力パターン)を取得し、これを所定の学習モデルを用いて学習しておく。そして第3制御部3bは、実際に受信した電力等データに基づく電力パターンを学習モデルに入力して、学習済みの電力パターンとの類似度を判定し、この類似度に基づき入力した電力パターンと最も類似する電力パターンを抽出する。抽出された電力パターンは累積動作時間と紐づくから、これによって経年劣化の程度を示す第2劣化指標が導出される。更に第3制御部3bは、第1劣化指標と第2劣化指標とを統合して、劣化指標を導出する。なお、1劣化指標と第2劣化指標との重みづけは適宜定めることができ、また、いずれか一方を劣化指標として採用してもよい。
【0047】
なお、第3制御部3bは、新たに取得した電力等データに基づいて、スマートプラグ20に接続された電気機器30の電力パターンを導出し、電気機器30の型番ごとに機器情報データベースに記憶する。そして第3制御部3bは当該電力パターンと当該電気機器30の累積動作時間とを用いて、学習モデルに対する追加学習を行う。
【0048】
異常指標とは、電気機器30の効率低下や故障あるいはその前兆に伴う電力パターンの変化に基づく指標である。例えば冷蔵庫30dはコンプレッサの上部や周囲に埃が堆積すると冷却効率が低下し、あるいは故障に繋がることが知られている。異常指標については、各電気機器30(各型番)に故障が生じた際、あるいは故障に至る過程における電力パターンを学習しておく。第3制御部3bは、実際に受信した電力等データに基づく電力パターンを学習モデルに入力して、第2劣化指標と同様に学習済みの電力パターンから最も近い電力パターンを抽出する。そして、抽出された電力パターンが電気機器30の故障を示すものか、予兆を示すものか(予兆の場合は、故障に至る過程において、どの時点に達しているか)等を判定して異常指標を導出する。
【0049】
ここで、スマートプラグ20には新品の電気機器30が接続される場合のみならず、購入後に相当の期間が経過した電気機器30が接続される場合もある。第1実施形態の電力監視システムS1は、電力監視データベース及び機器情報データベース参照することで、新品、経年劣化した電気機器30を問わず、劣化指標、異常指標を導出することが可能となる。なお、劣化指標、異常指標は例えば0~100の数値として表され、数値が大きいほど、劣化度や異常度が高いと判断される。
【0050】
例えば劣化指標が0であれば電気機器30は新品と判断され、100であれば、電気機器30は耐用年数の末期にあると判断される。ここで耐用年数は過去のデータ等から既知であるから、劣化指標と耐用年数に基づき、第3制御部3bは、電気機器30が今後どの程度の期間にわたって動作可能であるか、即ち電気機器30の余命を推定する。
【0051】
ネットワーク10は、例えばインターネットを用いることができるが、建屋が宿泊施設や病院等である場合は、これらの施設に構築されたLAN(Local Area Network)、あるいは施設間に跨って構築されたWAN(Wide Area Network)であってもよい。
【0052】
さて、上述したように主スマートプラグ21と従スマートプラグ22とは例えばBLEによって接続されており、BLE通信において、主スマートプラグ21はセントラル(マスタ)として機能し、従スマートプラグ22はペリフェラル(スレーブ)として機能する。主スマートプラグ21及び従スマートプラグ22の第2制御部20dは、BLEの通信プロトコルに従って通信部20fを制御し、主スマートプラグ21は従スマートプラグ22に対する接続要請、接続確立の処理を経て、従スマートプラグ22から電力データ等を受信する。
【0053】
電力監視システムS1の利用を開始する際、あるいは電力監視システムS1に従スマートプラグ22を新たに追加する際、主スマートプラグ21と従スマートプラグ22との間でいわゆるペアリングが図られる。ペアリング処理に際しては、まず主スマートプラグ21(セントラル)から従スマートプラグ22(ペリフェラル)にペアリング要求が送信される。これに対して、ペリフェラルがペアリング応答を返す。ペアリング要求と応答においては識別子が交換され、各スマートプラグ20は互いの識別子を用いて認証処理(オーセンティケーション)が行われる。そして認証処理が成功した後、暗号化情報の交換が行われる(狭義のペアリング)。暗号化情報はスマートプラグ20の図示しない記憶部(不揮発性メモリ)に保存され(ボンディング)、次に同じ相手と通信する際に利用される。暗号化情報が交換された後は暗号化情報に基づいて、暗号化された情報がやりとりされる。
【0054】
ここで、電力監視システムS1を利用するにあたって、電灯線コンセント5(図1参照)には、利用者によって主スマートプラグ21のプラグ部20aが挿入される(操作[A])。これによって主スマートプラグ21に電力が供給され、主スマートプラグ21の構成要素が動作を開始する。この状態において、更に利用者は主スマートプラグ21のコンセント部20bに従スマートプラグ22のプラグ部20aを挿入する(操作[B])。これによって従スマートプラグ22に電力が供給され、従スマートプラグ22の構成要素が動作を開始する。このように主スマートプラグ21及び従スマートプラグ22の双方に電力が供給された状態で、上述したペアリング及びボンディングが実行される。
【0055】
このように本実施形態ではペアリングの処理が形式化されている。これによって、いわゆるスマート家電に疎い者であっても容易に電力監視システムS1を利用することが可能となる。
【0056】
なお、操作[A]と操作[B]との手順はガイダンスとして、電力監視アプリによって利用者に示される。利用者はガイダンスに従って操作を行う。例えば操作[A]では、利用者に対して、なるべく抜き差しが容易な電灯線コンセント5に主スマートプラグ21を挿入するようアドバイスが行われる。これは高所や狭所に設けられた電灯線コンセント5(例えば、エアコン30bや冷蔵庫30dが接続された電灯線コンセント5)に主スマートプラグ21を挿入すると、将来的に従スマートプラグ22を追加するような場合に、利用者の操作が煩雑になるためである。
【0057】
第1実施形態によれば、ネットワーク10及び従スマートプラグ22の双方に接続する構成は主スマートプラグ21が持ち、従スマートプラグ22は主スマートプラグ21と接続する構成のみを備えればよい。即ち、従スマートプラグ22は、通信部20fをより低価格な通信モジュール(例えばBLE規格に準拠するモジュール)で構成することが可能となり、電力監視システムS1全体のコストが低減されうる。更に、主スマートプラグ21と従スマートプラグ22との間を、通信モジュールの消費電力が小さいBLEで接続することで、全てのスマートプラグ20がダイレクトにネットワーク10に接続する構成と比較して、消費電力の低減が図られる。
【0058】
なお、図3において、主スマートプラグ21はコンセント部20bを一つ備えるものとしているが、コンセント部20bは、複数設けられていてもよい。そしてそのうちの一つをペアリング用に使用し(以降、「第2コンセント部20n」と称することがある。)、第2コンセント部20nに従スマートプラグ22を挿入するようにしてもよい。この場合、更に主スマートプラグ21にプッシュスイッチ等を設けて、主スマートプラグ21に従スマートプラグ22が装着されたときに、当該プッシュスイッチがONとなるようにしてもよい。即ち、プッシュスイッチは、主スマートプラグ21に対する従スマートプラグ22の装着検出部として機能する。OFFからONへの遷移を第2制御部20dで検出し、これをトリガーとして、主スマートプラグ21がペアリング要求を発信することが可能となる。これによって、主スマートプラグ21の消費電力が実質的に低減されうる。
【0059】
このように、第1実施形態の電力監視システムS1は、ネットワーク10に接続されるとともに、電力供給口(電灯線コンセント5)と所定の電気機器30との間に介在して、所定の電気機器30に供給される電力値を計測する主スマートプラグ21と、電力供給口と所定の電気機器以外の電気機器30との間に介在して、所定の電気機器以外の電気機器30に供給される電力値を計測する少なくとも1つの従スマートプラグ22と、サーバ3と、を備え、従スマートプラグ22は、計測された電力値を主スマートプラグ21に送信し、主スマートプラグ21は、主スマートプラグ21で計測した電力値とともに、従スマートプラグ22から受信した電力値をネットワーク10を介してサーバ3に送信する。
【0060】
図5は、電力監視システムS1の変形例の構成を示す説明図である。変形例では、主スマートプラグ21(第1スマートプラグ201(図4参照))に替えて、第2情報端末12が用いられる。ここで、第2情報端末12の構成は第1情報端末1と同等である。また第2情報端末12のハブとしての機能は上述した主スマートプラグ21と同等である。ただし、第2情報端末12は従スマートプラグ22(第2スマートプラグ202~第6スマートプラグ206)のハブとして機能することから、従スマートプラグ22との間で無線通信ができない距離に遠ざかる(例えば、利用者が外出時に携帯する)のは好ましくない。この観点から、第2情報端末12は据え置きされたタブレットあるいはPC等であることが望ましい。
【0061】
変形例では、従スマートプラグ22が電灯線コンセント5(図1参照)に挿入された際、電力監視アプリはペアリング設定用のガイダンスを表示し、利用者は当該ガイダンスに従って、第2情報端末12と従スマートプラグ22とのペアリングを確立する。なお、変形例においては、上述したハブとしての機能を満たす限りにおいて、第2情報端末12に替えて、例えばパーソナルアシスタントとしてのロボット等を採用しうる。
【0062】
以下、電力監視システムS1の初期設定の過程について、図3図4を用いて説明する。電力監視システムS1の利用者は、第1情報端末1にインストールされた電力監視アプリを起動する。そして利用者が第1スマートプラグ201に電気機器30の電気機器差込プラグ32を挿入すると、電気機器30で使用された電力が第1スマートプラグ201を示す識別子とともにサーバ3に周期的に送信されるようになる。サーバ3の第3制御部3bは、電力等データを受信すると、これを受信した年月日、時刻とともにサーバ記憶部3aの電力監視データベースに記憶する。
【0063】
初期設定の際、電力監視アプリは、利用者に対して、第1スマートプラグ201から電力の供給を受ける電気機器30に関する情報(以降、「機器情報」と称することがある。)を入力するよう促す。この機器情報には、例えば、電気機器30の種類(テレビ等の品名がプルダウン形式で表示され、これを選択するようにしてもよく、複数の電気機器30が選択されてもよい。)、品名、型番(電気機器30の正式名称)、外観の画像が含まれる。利用者がこれらの機器情報を、入力部1dあるいは撮像部1aを操作して入力すると、機器情報はサーバ3に送信される。なお、冷蔵庫30d等のように庫内のレイアウトに特徴がある電気機器30においては、機器情報に庫内の画像が含まれていてもよい。
【0064】
なお、これらの機器情報は、全てが入力されていなくてもよい。サーバ3の第3制御部3bは、受信した機器情報に外観画像(あるいは庫内の画像)が含まれる場合、機器情報データベースを検索して型番を推定する。また、機器情報に型番が含まれている場合、機器情報データベースを検索して品名を特定し、機器情報を補完する。
【0065】
そして、第3制御部3bは、取得した機器情報を電力監視データベースと関連付ける。これによって、電力監視データベースには、特定のスマートプラグ20(ここでは第1スマートプラグ201)に接続された特定の電気機器30についての電力等データが、電力等データが取得された年月日時刻とともに記憶されていく。
【0066】
以上、電力監視システムS1の初期設定の過程について説明したが、初期設定の後、利用者が電力監視システムS1に新たに従スマートプラグ22を追加する場合も、利用者は電力監視アプリが示すガイダンスに従って設定を行う。この際、従スマートプラグ22に接続される電気機器30についても、上述した機器情報の取得が求められる。
【0067】
なお、利用者が電力監視アプリを操作した結果、一つのスマートプラグ20(ここでは、主スマートプラグ21及び従スマートプラグ22)に対して複数の電気機器30が選択されている場合は、スマートプラグ20にマルチタップが装着され、マルチタップから複数の電気機器30に電力が供給される態様であると考えられる。この場合、電力等データには複数の電気機器30で消費された電力値が含まれる。第3制御部3bは、機器情報に基づいてスマートプラグ20に複数の電気機器30が接続されていることを認識し、スマートプラグ20で消費された電力に対していわゆるディスアグリゲーションの処理を行って個々の電気機器30で使用された電力を分離する。なお、上述のように、スマートプラグ20に接続された電気機器30の型番等は既知であるため、ディスアグリゲーションによる分離精度は大幅に向上する。
【0068】
なおこの点は、スマートプラグ20自体が複数のコンセント部20bを備える場合(例えば図1において、第6スマートプラグ206に炊飯器30f、電子レンジ30gが接続された態様)にあっても同様である。
【0069】
以下、図3図4を用いて、電力監視システムS1の動作及び機能を説明する。上述したように、サーバ3のサーバ記憶部3aには、電力監視データベースが構築されている。そして第3制御部3bは、スマートプラグ20から受信した電力等データに基づいて電力パターンを導出し、これに基づいて劣化指標、異常指標を導出する。なお、これらの指標は、例えば第3制御部3bが、電力監視アプリ(第1情報端末1)から所定のリクエストを受信した際、サーバ記憶部3aに蓄積された電力等データに基づいて導出される。
【0070】
また第3制御部3bは、第1制御部1bから受信した指示に基づいて、サーバ記憶部3aに蓄積された電力等データに基づいて、統計処理、統計処理に基づく予測等を行ってアドバイス情報を出力する。なお、アドバイス情報には、劣化指標、異常指標に基づくものも含まれる。第3制御部3bは、劣化指標、異常指標、アドバイス情報を第1情報端末1に送信し、第1情報端末1において、これらの情報は電力監視アプリによって表示部1cに表示され、あるいは図示しないスピーカ等を介して音声による情報提供が行われる。
【0071】
電力監視アプリは、利用者に対して例えば以下の情報を提供する。電力監視アプリは、家庭や施設等の建屋におけるエネルギーコンシェルジュとして利用されうる。
・利用者の電気の使い方に関するアドバイス
・利用者の日常のくらし行動に関するアドバイス
・省エネルギーを図るための電気機器30の使い方のアドバイス
・健康ライフスタイルに関するアドバイス
・省エネ家電への買い替えのアドバイス
・家のトラブル改善に関するアドバイス
【0072】
図6は、電力監視アプリによって提供される機能を示す説明図である。以降、図6図3図4を併用して説明を続ける。図6において、「家電の電流変化モニタリング」は、上述した電気機器30の電力パターンの導出に相当する。「分析・診断」は、第3制御部3bによる統計処理等に相当する。「推測・提案」は、統計処理に基づく予測等に相当する。これらはいずれもアドバイス情報に含まれる。ここでアドバイス情報は、図示するように「電力」、「家電」、「人」、「家」の各観点で電力監視アプリによって利用者に提示される。
【0073】
なお、以下の説明において「家電の電流変化モニタリング」、「分析・診断」、「推測・提案」の各処理は第3制御部3bが実行し、利用者への提示は第1情報端末1で実行されることを想定しているが、これらの処理を全て電力監視アプリ(第1情報端末1の第1制御部1b)で実行してもよく、処理を第1情報端末1とサーバ3とで分担して実行してもよい。前者の場合、サーバ3は第1情報端末1のリクエストに応じて電力等データを第1情報端末1に送信する。また後者の場合、サーバ3は第1情報端末1のリクエストに応じて電力等データ及びアドバイス情報の一部を第1情報端末1に送信する。
【0074】
「電力」の観点においては、電力使用量や電力消費パターンを把握することにより、第3制御部3bは、どの家電製品(電気機器30)が最も電力を消費しているかや、電力がピークとなる時間帯等を特定する。そして電気代を節約するための行動やエネルギー効率の改善策が利用者に提示される。
【0075】
ここでは、更に天気情報(気象情報)も活用される。天気情報は、例えば第1情報端末1を介して図示しない外部のサイト等から取得される。なお、天気情報は環境情報の一部であることから、天気情報にはスマートプラグ20の環境センサ20mの出力(スマートプラグ20の外部環境、即ち利用者の生活空間の温度(気温)、湿度、照度、騒音等)も含まれうる。電力の使用実態と天気情報とを組合せることで、翌日以降の家電の使われ方を予測し、最適な使い方を事前に提供することで節電を図ることも可能となる。
【0076】
「家電」の観点においては、電力使用量や消費パターンを把握することにより、第3制御部3bは、どの家電製品が最も電力を消費しているかや、電力のピーク使用時間帯等を特定する。そして電気代を節約するための行動やエネルギー効率の改善策が利用者に提示される。また家電の消費電力をモニタリングすることで、上述した異常指標に基づき特定の家電製品に異常があるかどうかを判断する。例えば、電力(電力パターン)の急激な変化がある場合や、予め定められた値よりも大きい電流(電力)が検出された場合は、電気機器30の故障、故障の予兆、あるいは電気系統に異常が生じている可能性があると判断される。そして電力監視アプリは、スマートプラグ20から電力を供給される電気機器30にトラブル(故障あるいはその予兆)が検出され、修理等の必要性があることを利用者にアドバイスする。
【0077】
なお、利用者にとって特に危険性が高い場合(例えば、図3に示す環境センサ20mで、スマートプラグ20の筐体が予め定めた温度よりも高温であることが検出された場合等)、スマートプラグ20の第2制御部20dは電力遮断部20eを制御してリレー20kをOFFに制御して、電気機器30を電力系統から遮断する。なお、リレー20kをOFFにする制御は、スマートプラグ20の第2制御部20d、スマートプラグ20から電力等データを受信したサーバ3の第3制御部3bのいずれで行ってもよい。なお後者の場合、サーバ3からスマートプラグ20に対して電力遮断コマンドが送信される。
【0078】
また、第3制御部3bは、上述したように電気機器30の余命を推定しており、電力監視アプリを介して利用者に対して、メンテナンスを行うべき時期や買い替え時期等をアドバイスする。
【0079】
「人」の観点においては、電力使用量や消費パターンを把握することにより、第3制御部3bは、家電の使用状況から利用者の生活スタイルを判定する。例えば、起床時刻や就寝時刻、睡眠時間等に基づき生活スタイル(生活リズム)を推定する。生活リズムが変化した際に、睡眠をとるための方法等、生活改善のアドバイスを行う。例えば、テレビ30aを見る時間帯が昼から深夜に変化する、また深夜に電子レンジ30gを使っていれば、深夜に食事をしていることが分かる。これらのことから、昼夜逆転の生活になっていることが推測でき、この状態が続くと、眠気や頭痛・倦怠感といった身体的な不調を生じるおそれがある旨が報知される。
【0080】
また、テレビ30aと接続されたスマートプラグ20から送信される電力等データに環境センサ20m(人感センサ)の情報が含まれている場合、長時間にわたってテレビ30aが動作し、更にこれと同期間に人感センサで人が検出され続ける状況が何日も続くようなケースは、認知症の予兆と捉えられる。こうした利用者の状況変化に基づいて「未病」や「認知症」の兆候を捉え、通知することで行動変容や医師の診断を進めることができる。
【0081】
「家」の観点においては、電力使用量や消費パターンを把握することにより、第3制御部3bは、例えばエアコン30bの電力使用量を把握して、エアコン30bの効き具合を判断する。部屋の中の気温も参照したうえで、例えば、前日との比較において通常より電力量が多い場合は、窓やドアが開いていることが考えられ、電力監視アプリは、利用者にドア等が開放されていないか確認を促す。同様に冷蔵庫30dの消費電力が所定時間前(例えば1時間前)より有意に多い場合は、冷蔵庫30dのドアが開放されていないか確認を促す。また、居室面積が同等な他の家屋との比較において、相対的に電力量が多い場合は家屋の断熱効果が悪いことが考えられ、改善をアドバイスすることができる。
【0082】
更に、第3制御部3bは、電流(電力)の変化を監視することで、電圧変動、瞬時電圧低下等に基づき電力の安定性や品質を推定・評価する。電気機器30が非動作状態において、予め取得しておいた電力パターンと異なる電流変動や電圧の変動がある場合、電力供給(電力系統)、あるいはスマートプラグ20に異常が生じている可能性がある。電力監視アプリは、適切な対策を講じることを、ハウスメーカーや電力会社等の関係者に相談するよう利用者にアドバイスを行う。また、環境センサ20mにマイクロフォンが含まれる場合、深夜等の静かなときの部屋の中の音を検出することで、水道からの水漏れの有無や不審者の侵入等に伴う騒音・異常音等の状況が把握でき、利用者に確認を求めることが可能となる。
【産業上の利用可能性】
【0083】
本発明に係る電力監視システムS1は、安価かつ簡便に構築しうるとともに、より利用者の利便性を向上させることが可能であることから、利用者が生活する家屋、商業施設等において広く利用することができる。
【符号の説明】
【0084】
1 第1情報端末
1b 第1制御部
3 サーバ
3a サーバ記憶部
3b 第3制御部
5 電灯線コンセント
10 ネットワーク
12 第2情報端末
20 スマートプラグ
20f 通信部
20g 電流検出部
20j 電力算出部
20m 環境センサ
21 主スマートプラグ
22 従スマートプラグ
30 電気機器
S1 電力監視システム
図1
図2
図3
図4
図5
図6