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特開2024-175630情報処理方法、機械学習方法、情報処理装置、及び、機械学習装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024175630
(43)【公開日】2024-12-18
(54)【発明の名称】情報処理方法、機械学習方法、情報処理装置、及び、機械学習装置
(51)【国際特許分類】
   G06N 20/00 20190101AFI20241211BHJP
   G06N 3/09 20230101ALI20241211BHJP
   G06F 18/27 20230101ALI20241211BHJP
【FI】
G06N20/00 130
G06N3/09
G06F18/27
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023119806
(22)【出願日】2023-07-24
(31)【優先権主張番号】P 2023093005
(32)【優先日】2023-06-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000003768
【氏名又は名称】東洋製罐グループホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100214248
【弁理士】
【氏名又は名称】青山 純
(74)【代理人】
【識別番号】100214260
【弁理士】
【氏名又は名称】相羽 昌孝
(72)【発明者】
【氏名】中村 圭亨
(72)【発明者】
【氏名】柏原 賢
(72)【発明者】
【氏名】原 萌子
(72)【発明者】
【氏名】猪爪 誠太
(57)【要約】
【課題】生成物の特性を予測する際の予測性能を向上させることを可能とする情報処理方法を提供する。
【解決手段】情報処理方法は、複数の原材料から生成物を製造するときの製造条件を定める1又は複数の製造条件パラメータからなる製造条件情報を取得する製造条件取得工程と、1又は複数の評価パラメータからなる評価情報を取得する評価取得工程と、1又は複数の製造条件パラメータ及び1又は複数の評価パラメータに対して重要度をそれぞれ受け付ける重要度受付工程と、学習モデルにおいて、製造条件パラメータ毎及び評価パラメータ毎の重要度にそれぞれ対応する確率に基づいて、1又は複数の製造条件パラメータ及び1又は複数の評価パラメータに対して説明変数及び準説明変数として使用する使用変数と、説明変数及び準説明変数として使用しない未使用変数とを設定し、使用変数及び未使用変数を設定した学習モデルに対して製造条件情報及び評価情報を入力することで特性パラメータを取得する特性取得工程と、を含む。
【選択図】 図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンピュータにより実行される情報処理方法であって、
複数の原材料から生成物を製造するときの製造条件を定める1又は複数の製造条件パラメータからなる製造条件情報を取得する製造条件取得工程と、
前記製造条件を1又は複数の評価方法に基づいてそれぞれ評価した1又は複数の評価パラメータからなる評価情報を取得する評価取得工程と、
1又は複数の前記製造条件パラメータと、1又は複数の前記評価パラメータとに対して前記製造条件パラメータ毎及び前記評価パラメータ毎にそれぞれ指定された重要度を受け付ける重要度受付工程と、
1又は複数の前記製造条件パラメータが1又は複数の説明変数として、1又は複数の前記評価パラメータが1又は複数の準説明変数としてそれぞれ入力されて、前記生成物の特性を定める特性パラメータを目的変数として出力する学習モデルにおいて、前記製造条件パラメータ毎及び前記評価パラメータ毎の前記重要度にそれぞれ対応する確率に基づいて、1又は複数の前記製造条件パラメータ及び1又は複数の前記評価パラメータに対して前記説明変数及び前記準説明変数として使用する使用変数と、前記説明変数及び前記準説明変数として使用しない未使用変数とを設定し、前記使用変数及び前記未使用変数を設定した前記学習モデルに対して前記製造条件情報及び前記評価情報を入力することで前記学習モデルから出力される前記特性パラメータを取得する特性取得工程と、を含む、
情報処理方法。
【請求項2】
前記重要度受付工程は、
前記製造条件パラメータ毎の前記重要度が、前記評価パラメータ毎の前記重要度よりも高く指定されたとき、前記製造条件パラメータ毎及び前記評価パラメータ毎の前記重要度を受け付ける、
請求項1に記載の情報処理方法。
【請求項3】
1又は複数の前記製造条件パラメータは、
前記原材料に関する原材料条件を定める原材料条件パラメータと、前記原材料から前記生成物を製造する製造プロセスに関するプロセス条件を定めるプロセス条件パラメータとのうち、少なくとも一方を含む、
請求項1に記載の情報処理方法。
【請求項4】
前記評価取得工程は、
1又は複数の前記評価方法に応じた評価式を用いて、1又は複数の前記製造条件パラメータから1又は複数の前記評価パラメータをそれぞれ算出することで、前記評価情報を取得する、
請求項3に記載の情報処理方法。
【請求項5】
前記評価取得工程は、
1又は複数の前記評価方法に応じた評価式を用いて、1又は複数の前記製造条件パラメータと、前記原材料及び前記製造プロセスを評価するための参照情報とから1又は複数の前記評価パラメータをそれぞれ算出することで、前記評価情報を取得する、
請求項3に記載の情報処理方法。
【請求項6】
1又は複数の前記評価パラメータは、
前記原材料のコスト、前記原材料の供給安定性、前記製造プロセスに要するコスト、前記製造プロセスに要するエネルギー量、前記製造プロセスに要するプロセス時間、及び、前記製造プロセスに要する環境負荷のうち、少なくとも1つを含む、
請求項3に記載の情報処理方法。
【請求項7】
前記製造条件取得工程、前記評価取得工程及び前記特性取得工程を繰り返すことで、所定の特性要求を満たす前記特性パラメータが取得されたときの前記製造条件情報及び前記評価情報を候補変数として複数取得する候補変数取得工程と、
複数の前記候補変数に基づいて最適化処理を行うことにより、所定の評価基準を満たす前記評価情報に対応する前記製造条件情報を取得する最適化処理工程と、を含む、
請求項1乃至請求項6のいずれか一項に記載の情報処理方法。
【請求項8】
前記最適化処理工程は、
応答局面法、ベイズ最適化、モンテカルロ法、マルコフ連鎖モンテカルロ法、深層学習、強化学習のうち、少なくとも1つの最適化手法を用いて、前記最適化処理を行う、
請求項7に記載の情報処理方法。
【請求項9】
コンピュータにより実行される機械学習方法であって、
複数の原材料から生成物を製造するときの製造条件を定める1又は複数の製造条件パラメータと、前記製造条件を1又は複数の評価方法に基づいてそれぞれ評価した1又は複数の評価パラメータとに対して前記製造条件パラメータ毎及び前記評価パラメータ毎にそれぞれ指定された重要度を受け付ける重要度受付工程と、
1又は複数の前記製造条件パラメータからなる製造条件情報及び1又は複数の前記評価パラメータからなる評価情報と、前記生成物の特性を定める特性パラメータとで構成される学習用データを複数組取得する学習用データ取得工程と、
1又は複数の前記製造条件パラメータが1又は複数の説明変数として、1又は複数の前記評価パラメータが1又は複数の準説明変数としてそれぞれ入力されて、前記特性パラメータを目的変数として出力する学習モデルにおいて、前記製造条件パラメータ毎及び前記評価パラメータ毎の前記重要度にそれぞれ対応する確率に基づいて、1又は複数の前記製造条件パラメータ及び1又は複数の前記評価パラメータに対して前記説明変数及び前記準説明変数として使用する使用変数と、前記説明変数及び前記準説明変数として使用しない未使用変数とを設定し、前記使用変数及び前記未使用変数を設定した前記学習モデルに対して前記学習用データを入力することで、前記製造条件情報及び前記評価情報と前記特性パラメータとの相関関係を前記学習モデルに学習させる機械学習工程と、
前記機械学習工程により前記相関関係を学習させた前記学習モデルを学習済みモデル記憶部に記憶する学習済みモデル記憶工程と、を含む、
機械学習方法。
【請求項10】
複数の原材料から生成物を製造するときの製造条件を定める1又は複数の製造条件パラメータからなる製造条件情報を取得する製造条件取得部と、
前記製造条件を1又は複数の評価方法に基づいてそれぞれ評価した1又は複数の評価パラメータからなる評価情報を取得する評価取得部と、
1又は複数の前記製造条件パラメータと、1又は複数の前記評価パラメータとに対して前記製造条件パラメータ毎及び前記評価パラメータ毎にそれぞれ指定された重要度を受け付ける重要度受付部と、
1又は複数の前記製造条件パラメータが1又は複数の説明変数として、1又は複数の前記評価パラメータが1又は複数の準説明変数としてそれぞれ入力されて、前記生成物の特性を定める特性パラメータを目的変数として出力する学習モデルにおいて、前記製造条件パラメータ毎及び前記評価パラメータ毎の前記重要度にそれぞれ対応する確率に基づいて、1又は複数の前記製造条件パラメータ及び1又は複数の前記評価パラメータに対して前記説明変数及び前記準説明変数として使用する使用変数と、前記説明変数及び前記準説明変数として使用しない未使用変数とを設定し、前記使用変数及び前記未使用変数を設定した前記学習モデルに対して前記製造条件情報及び前記評価情報を入力することで前記学習モデルから出力される前記特性パラメータを取得する特性取得部と、を備える、
情報処理装置。
【請求項11】
複数の原材料から生成物を製造するときの製造条件を定める1又は複数の製造条件パラメータと、前記製造条件を1又は複数の評価方法に基づいてそれぞれ評価した1又は複数の評価パラメータとに対して前記製造条件パラメータ毎及び前記評価パラメータ毎にそれぞれ指定された重要度を受け付ける重要度受付部と、
1又は複数の前記製造条件パラメータからなる製造条件情報及び1又は複数の前記評価パラメータからなる評価情報と、前記生成物の特性を定める特性パラメータとで構成される学習用データを複数組取得する学習用データ取得部と、
1又は複数の前記製造条件パラメータが1又は複数の説明変数として、1又は複数の前記評価パラメータが1又は複数の準説明変数としてそれぞれ入力されて、前記特性パラメータを目的変数として出力する学習モデルにおいて、前記製造条件パラメータ毎及び前記評価パラメータ毎の前記重要度にそれぞれ対応する確率に基づいて、1又は複数の前記製造条件パラメータ及び1又は複数の前記評価パラメータに対して前記説明変数及び前記準説明変数として使用する使用変数と、前記説明変数及び前記準説明変数として使用しない未使用変数とを設定し、前記使用変数及び前記未使用変数を設定した前記学習モデルに対して前記学習用データを入力することで、前記製造条件情報及び前記評価情報と前記特性パラメータとの相関関係を前記学習モデルに学習させる機械学習部と、
前記機械学習部より前記相関関係を学習させた前記学習モデルを記憶する学習済みモデル記憶部と、を備える、
機械学習装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理方法、機械学習方法、情報処理装置、及び、機械学習装置に関する。
【背景技術】
【0002】
複数の原材料から生成物を製造する場合、原材料の種類や使用量、製造プロセスの処理時間等の製造条件に関する製造条件パラメータは膨大な数の組み合わせが考えられる。そのため、所望の特性を有する生成物の製造条件を求めるために、特許文献1及び特許文献2には、複数の原材料から生成物を製造するときの製造条件パラメータ(説明変数)から、その製造条件に基づいて製造される生成物の特性を定める特性パラメータ(目的変数)を予測する学習モデルを用いることが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第7157402号公報
【特許文献2】特開2019-086817号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1及び特許文献2に開示された上記の学習モデルでは、生成物の製造条件と、生成物の特性との間に何らかの因果関係があることを仮定して作成されたものである。そして、特許文献1及び特許文献2には、上記の学習モデルを用いて、原材料のコスト等の評価パラメータを制約条件として、製造条件の最適化を行うことが開示されている。
【0005】
ここで、原材料のコスト等の評価パラメータは、生成物を製造するときの原材料や製造プロセスに関連している。そのため、評価パラメータを上記の学習モデルに反映させることで、学習モデルの予測性能を向上させる見込みがある。一方で、生成物の製造条件パラメータに比べて、評価パラメータをどの程度重要なパラメータとして学習モデルに反映させるかは、ユーザや予測対象の生成物によって異なると推察される。
【0006】
本発明は、上記の課題に鑑みてなされたものであり、生成物の特性を予測する際の予測性能を向上させることを可能とする情報処理方法、機械学習方法、情報処理装置、及び、機械学習装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本発明の一態様に係る情報処理方法は、
コンピュータにより実行される情報処理方法であって、
複数の原材料から生成物を製造するときの製造条件を定める1又は複数の製造条件パラメータからなる製造条件情報を取得する製造条件取得工程と、
前記製造条件を1又は複数の評価方法に基づいてそれぞれ評価した1又は複数の評価パラメータからなる評価情報を取得する評価取得工程と、
1又は複数の前記製造条件パラメータと、1又は複数の前記評価パラメータとに対して前記製造条件パラメータ毎及び前記評価パラメータ毎にそれぞれ指定された重要度を受け付ける重要度受付工程と、
1又は複数の前記製造条件パラメータが1又は複数の説明変数として、1又は複数の前記評価パラメータが1又は複数の準説明変数としてそれぞれ入力されて、前記生成物の特性を定める特性パラメータを目的変数として出力する学習モデルにおいて、前記製造条件
パラメータ毎及び前記評価パラメータ毎の前記重要度にそれぞれ対応する確率に基づいて、1又は複数の前記製造条件パラメータ及び1又は複数の前記評価パラメータに対して前記説明変数及び前記準説明変数として使用する使用変数と、前記説明変数及び前記準説明変数として使用しない未使用変数とを設定し、前記使用変数及び前記未使用変数を設定した前記学習モデルに対して前記製造条件情報及び前記評価情報を入力することで前記学習モデルから出力される前記特性パラメータを取得する特性取得工程と、を含む。
【発明の効果】
【0008】
本発明の一態様に係る情報処理方法によれば、生成物の特性を予測(取得)する際、生成物の製造条件に関する製造条件パラメータだけでなく、製造条件に対する評価を定める評価パラメータも反映されるので、予測性能を向上させることができる。また、評価パラメータは、重要度に応じて確率的に反映されるので、評価パラメータをどの程度学習モデルに反映させるかを設定することができる。
【0009】
上記以外の課題、構成及び効果は、後述する発明を実施するための形態にて明らかにされる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】情報処理システム1の一例を示す全体図である。
図2】情報処理装置2の一例を示すブロック図である。
図3】製造条件データベース210の一例を示すデータ構成図である。
図4】学習機能201の一例を示す機能説明図である。
図5】情報処理機能202と、特性パラメータの予測処理の一例を示す機能説明図である。
図6】情報処理機能202と、製造条件の最適化処理の一例を示す機能説明図である。
図7】コンピュータ900の一例を示すハードウエア構成図である。
図8】学習機能201による機械学習方法の一例を示すフローチャートである。
図9】情報処理機能202による情報処理方法の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参照して本発明を実施するための実施形態について説明する。以下では、本発明の目的を達成するための説明に必要な範囲を模式的に示し、本発明の該当部分の説明に必要な範囲を主に説明することとし、説明を省略する箇所については公知技術によるものとする。
【0012】
(情報処理システム1の構成)
図1は、本実施形態に係る情報処理システム1の一例を示す全体図である。情報処理システム1は、その主要な構成要素として、情報処理装置2を備える。
【0013】
情報処理装置2は、汎用又は専用のコンピュータ(後述の図7参照)であり、例えば、サーバ型コンピュータやクラウド型コンピュータで構成される。情報処理装置2には、有線又は無線のネットワーク4を介して、ユーザが使用するユーザ端末装置3が接続される。なお、情報処理装置2及びユーザ端末装置3の数やネットワーク4の構成は、図1の例に限られない。
【0014】
情報処理装置2は、例えば、複数の原材料から所定の製造条件に基づいて製造される生成物の特性を予測したり、複数の原材料から生成物を製造するときの製造条件を最適化したりする装置として機能する。
【0015】
ユーザ端末装置3は、汎用又は専用のコンピュータ(後述の図7参照)であり、例えば、据置型コンピュータや携帯型コンピュータで構成される。そして、ブラウザやアプリ等のプログラムがインストールされて、各種の入力操作を受け付けるとともに、表示画面や音声を介して各種の情報を出力する。
【0016】
ユーザ端末装置3は、例えば、情報処理装置2に指示するための各種の情報をユーザから受け付けたり、情報処理装置2による生成物の特性の予測結果や製造条件の最適化結果をユーザに出力したりする装置として機能する。
【0017】
原材料は、例えば、プラスチック、金属、ガラス、紙等の任意の物質であり、人工物及び自然物のいずれでもよく、触媒も含まれる。生成物は、上記のような原材料から製造される任意の物質であり、完成品でもよいし、中間品でもよい。製造条件には、原材料に関する原材料条件と、原材料から生成物を製造する製造プロセスに関するプロセス条件とが含まれる。それぞれの詳細については後述する。
【0018】
(情報処理装置2の構成)
図2は、本実施形態に係る情報処理装置2の一例を示すブロック図である。情報処理装置2は、プロセッサ等により構成される制御部20と、HDD、SSD、メモリ等により構成される記憶部21と、ネットワーク4や外部機器との通信インターフェースである通信部22と、キーボード、マウス等により構成される入力部23と、ディスプレイ等により構成される表示部24とを備える。なお、入力部23及び表示部24は省略されてもよい。
【0019】
記憶部21は、製造条件データベース210、学習済みモデル管理データベース211、及び、情報処理プログラム212を記憶するとともに、オペレーティングシステム、他のプログラムやデータ等を記憶する。
【0020】
制御部20は、記憶部21に記憶された情報処理プログラム212を実行することにより、情報管理機能200、学習機能201、及び、情報処理機能202を実現する。制御部20は、学習機能201を実現する各部として、重要度受付部201A、学習用データ取得部201B、及び、機械学習部201Cを備える。制御部20は、情報処理機能202を実現する各部として、製造条件取得部202A、評価取得部202B、重要度受付部202C、特性取得部202D、候補変数取得部202E、最適化処理部202F、及び、出力処理部202Gを備える。
【0021】
以下、各機能200~202と、各データベース210、211のデータ構成について説明する。
【0022】
(情報管理機能200)
情報処理装置2の制御部20は、製造条件データベース210を用いて、情報管理機能200を実現する。
【0023】
図3は、製造条件データベース210の一例を示すデータ構成図である。製造条件データベース210は、情報処理システム1で取り扱う各種の情報を関連付けるための管理ID毎に複数のレコードを有する。各レコードは、例えば、製造条件(原材料条件、プロセス条件)を定める複数の製造条件パラメータ、製造条件に対する評価を定める複数の評価パラメータ、及び、生成物の特性を定める1又は複数の特性パラメータ等が登録可能なフィールドを有する。
【0024】
製造条件データベース210は、ユーザ端末装置3から参照可能であり、ユーザ端末装置3の表示画面において、各データの追加、削除、修正等の編集操作が行われる。製造条件データベース210に登録される各種の情報は、例えば、製造装置にて実際に生成物を製造したときの実績値、実験装置にて実験的に生成物を製造したときの実験値、シミュレーション装置にて製造プロセスのシミュレーションを行ったときのシミュレーション値等のいずれでもよい。その場合、各種の情報が、各装置から取得されて製造条件データベース210に登録されてもよい。
【0025】
複数の製造条件パラメータは、原材料に関する原材料条件を定める原材料条件パラメータと、原材料から生成物を製造する製造プロセスに関するプロセス条件を定めるプロセス条件パラメータとのうち、少なくとも一方を含む。原材料条件パラメータは、例えば、原材料の名称(成分や化学式でもよい)、使用量、使用比率等を示すパラメータである。プロセス条件パラメータは、製造プロセスにおける時間、回数、温度、圧力等を示すパラメータである。製造プロセスとしては、例えば、加熱(焼成)、冷却、触媒反応、成形、加工等が挙げられるが、これらに限られない。図3には、p種類(p:2以上の整数)の原材料に関する製造条件パラメータ(原材料条件パラメータ)として、原材料1の使用量(製造条件パラメータA1)、…、原材料Pの使用量(製造条件パラメータAp)が図示されている。
【0026】
複数の評価パラメータは、複数の製造条件パラメータを複数の評価方法に基づいてそれぞれ評価したパラメータである。複数の評価パラメータは、原材料のコスト、原材料の供給安定性、製造プロセスに要するコスト、製造プロセスに要するエネルギー量、製造プロセスに要するプロセス時間、及び、製造プロセスに要する環境負荷のうち、少なくとも1つを含むものである。
【0027】
複数の評価パラメータは、例えば、複数の評価方法に応じた評価式を用いて、複数の製造条件パラメータから複数の評価パラメータをそれぞれ算出可能なパラメータである。なお、複数の評価パラメータは、複数の評価方法に応じた評価式を用いて、複数の製造条件パラメータと、原材料及び製造プロセスを評価するための参照情報とから算出可能なパラメータでもよい。参照情報は、例えば、単位量当たりの原材料の価格や、単位量当たりの原材料を生成するときに環境に与える負荷、単位量当たりの原材料を生成するときに要するエネルギー量、単位時間当たりの製造プロセスを行うときの費用、単位時間当たりの製造プロセスに要するエネルギー量、単位時間当たりの製造プロセスに要する環境負荷等を記録した情報である。したがって、例えば、原材料の使用量に単位量当たりの原材料の価格を乗算することで、原材料のコストが算出される。
【0028】
図3には、q種類(q:2以上の整数)の評価方法に対する評価パラメータとして、原材料のコスト(評価パラメータB1)、…、原材料の環境負荷(評価パラメータBq)が図示されている。
【0029】
特性パラメータは、生成物の特性を示すパラメータである。特性パラメータは、例えば、計測装置や検査装置等で測定可能なパラメータでもよいし、官能評価試験やアンケート調査等で評価可能なパラメータでもよい。また、特性パラメータは、計測装置や検査装置等で得られた測定値、官能評価試験やアンケート調査等で得られた結果のように、一次的なデータでもよいし、一次的なデータに対して所定の演算処理、変換処理、統計処理等を施した二次的なデータでもよい。
【0030】
特性パラメータには、例えば、生成物が有する機械的特性(強度、剛性等)、熱的特性(ガラス転移温度、熱膨張率、熱伝導率等)、光学的特性(反射率、屈折率等)、電気的特性(電気伝導率、誘電率等)、化学的特性(耐酸性、耐アルカリ性)、物理的特性(密
度、比重等)、外形的特性(色、表面粗さ等)、官能評価的特性(アンケート評点、感覚刺激値等)、品質特性(特性値の個体間変動、経時変動等)等が含まれるが、これらに限られない。図3には、3種類の特性パラメータとして、引張強さ(特性パラメータC1)、ガラス転移温度(特性パラメータC2)、色(特性パラメータC3)が図示されている。なお、特性パラメータの種類数は、3つに限られず、任意の数でよい。すなわち、特性パラメータとしては、1又は複数の特性パラメータが用いられる。
【0031】
以下に、製造条件パラメータ、評価パラメータ、及び、特性パラメータの組み合わせとして、3つのケースについて説明する。複数の製造条件パラメータとして、ケース1では、図3の例と同様に、原材料条件パラメータが含まれる。ケース2では、プロセス条件パラメータが含まれる。ケース3では、原材料条件パラメータ及びプロセス条件パラメータの両方が含まれる。
【0032】
(ケース1)
製造条件パラメータ:原材料Aの使用量、原材料Bの使用量、原材料Cの使用量、…
評価パラメータ:原材料A~Cのコスト、原材料A~Cの供給安定性、環境負荷、…
特性パラメータ:引張強さ、メルトフローレート、…
【0033】
(ケース2)
製造条件パラメータ:焼成時間、焼成温度、焼成時間、余熱温度、処理回数、…
評価パラメータ:プロセス時間、エネルギー使用量…
特性パラメータ:色(色差)、…
【0034】
(ケース3)
製造条件パラメータ:原材料Aの使用量、原材料Bの使用量、原材料Cの触媒濃度、反応温度、反応時間、…
評価パラメータ:原材料A~Cのコスト、原材料A~Cの供給安定性、エネルギー使用量、環境負荷、…
特性パラメータ:平均分子量、ガラス転移温度、…
【0035】
(学習機能201)
図4は、学習機能201の一例を示す機能説明図である。情報処理装置2の重要度受付部201A、学習用データ取得部201B、及び、機械学習部201Cは、製造条件データベース210(学習用データ記憶部)と、学習済みモデル管理データベース211(学習済みモデル記憶部)とを用いて、学習機能201を実現する。
【0036】
学習済みモデル管理データベース211に登録される学習モデル12は、複数の製造条件パラメータが複数の説明変数として、複数の評価パラメータが複数の準説明変数としてそれぞれ入力される。また、学習モデル12は、入力された複数の説明変数及び複数の準説明変数に対して、特性パラメータを目的変数として出力する。
【0037】
学習モデル12は、例えば、ニューラルネットワークの構造を採用したものであり、入力層120、中間層121、及び、出力層122を備える。各層の間には、各ニューロンをそれぞれ接続するシナプス(不図示)が張られており、各シナプスには、重みがそれぞれ対応付けられている。各シナプスの重みからなる重みパラメータ群が、機械学習により調整される。
【0038】
入力層120は、複数の説明変数及び複数の準説明変数にそれぞれ対応する数のニューロンを有し、各値が各ニューロンにそれぞれ入力される。入力層120は、製造条件パラメータ毎及び評価パラメータ毎にそれぞれ指定された重要度に応じて、ドロップアウト層
として機能する。出力層122は、目的変数に対応する数のニューロンを有し、目的変数の予測結果(推論結果)が出力される。なお、学習モデル12は、回帰モデル及び分類モデルのいずれでもよい。
【0039】
重要度受付部201Aは、複数の製造条件パラメータと、複数の評価パラメータとに対して製造条件パラメータ毎及び評価パラメータ毎にそれぞれ指定された重要度を受け付ける。例えば、重要度受付部201Aは、ユーザ端末装置3に対するユーザの操作入力として、製造条件パラメータ毎及び評価パラメータ毎の重要度が入力されたものを受け付ける。重要度は、例えば、所定の範囲(図4の例では、0以上100以下)で指定される値であり、その値が大きいほど重要度は高いものとして扱われる。なお、重要度は、段階的な値でもよいし、連続的な値でもよい。
【0040】
なお、重要度受付部201Aは、製造条件パラメータ毎の重要度が、評価パラメータ毎の重要度よりも高く指定されたとき、製造条件パラメータ毎及び評価パラメータ毎の重要度を受け付けるようにしてもよい。これにより、評価パラメータの重要度が、製造条件パラメータの重要度よりも高く設定されることを制限し、学習モデル12に対する製造条件パラメータの寄与度を評価製造条件パラメータの寄与度よりも高くなることを担保することができる。
【0041】
学習用データ取得部201Bは、複数の製造条件パラメータからなる製造条件情報及び複数の評価パラメータからなる評価情報と、生成物の特性を定める特性パラメータとで構成される学習用データ11を複数組取得する。学習用データ11は、教師あり学習における教師データ(トレーニングデータ)、検証データ及びテストデータとして用いられるデータである。また、学習用データ11に含まれる特性パラメータは、教師あり学習における正解ラベルとして用いられるデータである。
【0042】
例えば、学習用データ取得部201Bは、製造条件データベース210に登録された情報を参照したり、ユーザ端末装置3から入力操作を受け付けたりすることにより、学習用データ11を取得する。なお、外部のシステム(製造管理システム等)に、学習用データ11に相当する情報が記憶されている場合には、学習用データ取得部201Bは、外部のシステムから学習用データ11を取得してもよい。
【0043】
機械学習部201Cは、学習用データ取得部201Bにより取得された複数組の学習用データ11を用いて学習モデル12の機械学習を実施する。その際、機械学習部201Cは、学習モデル12において、製造条件パラメータ毎及び評価パラメータ毎の重要度にそれぞれ対応する確率に基づいて、複数の製造条件パラメータ及び複数の評価パラメータに対して、説明変数及び準説明変数として使用する使用変数と、説明変数及び準説明変数として使用しない未使用変数とを設定する。例えば、重要度が高くなるほど使用変数として設定される確率が高くなるように、乱数等を用いて、説明変数及び準説明変数として使用する使用変数と、説明変数及び準説明変数として使用しない未使用変数とを設定する。
【0044】
本実施形態では、使用変数を設定することは、学習モデル12のドロップアウト層(入力層120)において、使用変数に対応するニューロンを活性化することである。また、未使用変数を設定することは、学習モデル12のドロップアウト層(入力層120)において、未使用変数に対応するニューロンを不活性化することである。図4の例では、重要度が「100」の製造条件パラメータA1は、100%の確率で使用変数に設定される。重要度が「90」の製造条件パラメータApは、90%の確率で使用変数に設定される。重要度が「50」の評価パラメータB1は、50%の確率で使用変数に設定される。重要度が「30」の評価パラメータBqは、30%の確率で使用変数に設定される。その結果として、評価パラメータB1だけが未使用変数に設定されることで、評価パラメータB1
に対応するニューロンが不活性化されるとともに、その他のニューロンは活性化されている状態が図示されている。その場合、評価パラメータB1の値は中間層121には伝播されないことになる。
【0045】
そして、機械学習部201Cは、使用変数及び未使用変数を設定した学習モデル12に対して学習用データ11を入力することで、製造条件情報(説明変数)及び評価情報(準説明変数)と、特性パラメータ(目的変数)との相関関係を学習モデル12に学習させることで、学習済みの学習モデル12を生成する。
【0046】
なお、機械学習部201Cは、機械学習を実施する際、例えば、オンライン学習、バッチ学習、ミニバッチ学習等の任意の手法を採用することができる。また、機械学習部201Cは、学習モデル12に入力する複数の製造条件パラメータ及び複数の評価パラメータに対して所定の前処理を行うようにしてもよいし、学習モデル12から出力される特性パラメータに対して所定の後処理を行うようにしてもよい。
【0047】
学習済みモデル管理データベース211は、機械学習部201Cにより生成された学習済みの学習モデル12(具体的には、調整済みの重みパラメータ群)を記憶する。学習済みモデル管理データベース211に記憶された学習済みの学習モデル12は、ネットワーク4や記録媒体等を介して他のシステムに提供されてもよい。
【0048】
なお、本実施形態では、学習用データ11及び学習モデル12のデータ構成は、図4で示すように構成される場合について説明したが、例えば、機械学習の手法、説明変数の違い、準説明変数の違い、目的変数の違い等のように、条件が異なる複数のデータ構成を採用してもよい。その場合には、学習用データ取得部201Bは、条件が異なる複数のデータ構成にそれぞれ対応する複数種類の学習用データ11を取得するとともに、機械学習部201Cは、それらの学習用データ11をそれぞれ用いて機械学習を実施し、学習済みの学習モデル12を学習済みモデル管理データベース211に記憶すればよい。
【0049】
(情報処理機能202)
図5は、情報処理機能202と、特性パラメータの予測処理の一例を示す機能説明図である。図6は、情報処理機能202と、製造条件の最適化処理の一例を示す機能説明図である。
【0050】
情報処理装置2の製造条件取得部202A、評価取得部202B、重要度受付部202C、特性取得部202D、候補変数取得部202E、最適化処理部202F、及び、出力処理部202Gは、学習済みモデル管理データベース211を用いて、情報処理機能202を実現する。
【0051】
製造条件取得部202Aは、製造条件を定める複数の製造条件パラメータからなる製造条件情報を取得する。例えば、製造条件取得部202Aは、ユーザ端末装置3に対するユーザの操作入力に基づいて、製造条件情報を取得する。その際、後述の最適化処理を行う場合には、複数の製造条件情報を取得する。
【0052】
評価取得部202Bは、製造条件を複数の評価方法に基づいてそれぞれ評価した複数の評価パラメータからなる評価情報を取得する。その際、後述の最適化処理を行う場合には、複数の製造条件情報にそれぞれ対応する複数の評価情報を取得する。
【0053】
例えば、評価取得部202Bは、複数の評価方法に応じた評価式を用いて、複数の製造条件パラメータから複数の評価パラメータをそれぞれ算出することで、評価情報を取得する。評価式が、例えば、複数の製造条件パラメータを含む関数として定義されている場合
には、各製造条件パラメータを評価式に代入することで、評価パラメータは算出される。
【0054】
なお、評価取得部202Bは、複数の評価方法に応じた評価式を用いて、複数の製造条件パラメータと、原材料及び製造プロセスを評価するための参照情報とから複数の評価パラメータをそれぞれ算出することで、評価情報を取得してもよい。参照情報は、例えば、単位量当たりの原材料の価格や、単位量当たりの原材料を生成するときに環境に与える負荷、単位量当たりの原材料を生成するときに要するエネルギー量、単位時間当たりの製造プロセスを行うときの費用、単位時間当たりの製造プロセスに要するエネルギー量、単位時間当たりの製造プロセスに要する環境負荷等を記録した情報である。
【0055】
重要度受付部202Cは、学習機能201の重要度受付部201Aと同様に、複数の製造条件パラメータと、複数の評価パラメータとに対して製造条件パラメータ毎及び評価パラメータ毎にそれぞれ指定された重要度を受け付ける。例えば、重要度受付部202Cは、ユーザ端末装置3に対するユーザの操作入力として、製造条件パラメータ毎及び評価パラメータ毎の重要度が入力されたものを受け付ける。重要度は、例えば、所定の範囲(例えば、0以上100以下)で指定される値であり、その値が大きいほど重要度は高いものとして扱われる。なお、重要度は、段階的な値でもよいし、連続的な値でもよい。
【0056】
なお、重要度受付部202Cは、製造条件パラメータ毎の重要度が、評価パラメータ毎の重要度よりも高く指定されたとき、製造条件パラメータ毎及び評価パラメータ毎の重要度を受け付けるようにしてもよい。これにより、評価パラメータの重要度が、製造条件パラメータの重要度よりも高く設定されることを制限し、特性パラメータに対する製造条件パラメータの寄与度を評価製造条件パラメータの寄与度よりも高くなることを担保することができる。
【0057】
特性取得部202Dは、学習モデル12を用いて、製造条件取得部202Aにより取得された製造条件情報と、評価取得部202Bにより取得された評価情報とから生成物の特性パラメータを予測(取得)する。
【0058】
その際、特性取得部202Dは、学習モデル12において、重要度受付部202Cにより受け付けられた製造条件パラメータ毎及び評価パラメータ毎の重要度にそれぞれ対応する確率に基づいて、複数の製造条件パラメータ及び複数の評価パラメータに対して、説明変数及び準説明変数として使用する使用変数と、説明変数及び準説明変数として使用しない未使用変数とを設定する。例えば、重要度が高くなるほど使用変数として設定される確率が高くなるように、乱数等を用いて、説明変数及び準説明変数として使用する使用変数と、説明変数及び準説明変数として使用しない未使用変数とを設定する。
【0059】
本実施形態では、使用変数を設定することは、学習モデル12のドロップアウト層(入力層120)において、使用変数に対応するニューロンを活性化することである。また、未使用変数を設定することは、学習モデル12のドロップアウト層(入力層120)において、未使用変数に対応するニューロンを不活性化することである。図5の例では、重要度が「100」の製造条件パラメータA1は、100%の確率で使用変数に設定される。重要度が「90」の製造条件パラメータApは、90%の確率で使用変数に設定される。重要度が「50」の評価パラメータB1は、50%の確率で使用変数に設定される。重要度が「30」の評価パラメータBqは、30%の確率で使用変数に設定される。その結果として、評価パラメータBqだけが未使用変数に設定されることで、評価パラメータBqに対応するニューロンが不活性化されるとともに、その他のニューロンは活性化されている状態が図示されている。その場合、評価パラメータBqの値は中間層121には伝播されないことになる。
【0060】
そして、特性取得部202Dは、使用変数及び未使用変数を設定した学習モデル12に対して製造条件情報及び評価情報を入力することで学習モデル12から出力される特性パラメータを取得する。なお、特性取得部202Dは、学習モデル12に入力する複数の製造条件パラメータ及び複数の評価パラメータに対して所定の前処理を行うようにしてもよいし、学習モデル12から出力される特性パラメータに対して所定の後処理を行うようにしてもよい。
【0061】
特性取得部202Dにて用いられる学習モデル12は、学習済みモデル管理データベース211に記憶された学習済みの学習モデル12である。なお、条件が異なる複数の学習モデル12が学習済みモデル管理データベース211に記憶されている場合には、特性取得部202Dは、例えば、製造条件情報及び評価情報に含まれるデータの種類に合わせて、複数の学習モデル12を選択的又は並列的に用いてもよい。
【0062】
候補変数取得部202Eは、製造条件取得部202Aによる製造条件情報の取得、評価取得部202Bによる評価情報の取得、及び、特性取得部202Dによる特性パラメータの取得を繰り返すことで、所定の特性要求を満たす特性パラメータが取得されたときの製造条件情報及び評価情報を候補変数として複数取得する。その際、候補変数取得部202Eは、例えば、ユーザ端末装置3に対するユーザの操作入力として、ユーザが生成物の特性として所望する特性要求を事前に受け付ける。特性要求は、例えば、ユーザが所望する特性パラメータの範囲、上限値、下限値等が指定される。その際、1又は複数の特性パラメータに対して所望する特性パラメータの範囲、上限値、下限値等がそれぞれ指定されてもよい。
【0063】
最適化処理部202Fは、複数の候補変数に基づいて最適化処理を行うことにより、所定の評価基準を満たす評価情報に対応する製造条件情報を取得する。最適化処理部202Fは、最適化処理として、応答局面法、ベイズ最適化、モンテカルロ法、マルコフ連鎖モンテカルロ法、深層学習、強化学習のうち、少なくとも1つの最適化手法を用いる。
【0064】
その際、最適化処理部202Fは、ユーザ端末装置3に対するユーザの操作入力として、ユーザが評価情報として所望する評価基準を事前に受け付ける。評価基準は、例えば、ユーザが所望する評価パラメータの範囲、上限値、下限値、最大化、最小化等が指定される。その際、複数の評価パラメータに対して所望する評価パラメータの範囲、上限値、下限値、最大化、最小化等がそれぞれ指定されてもよい。
【0065】
出力処理部202Gは、特性取得部202Dにより取得された特性パラメータ(特性の予測結果)や、最適化処理部202Fにより取得された製造条件情報(製造条件の最適化結果)をユーザに出力するための出力処理を行う。例えば、出力処理部202Gは、特性の予測結果や製造条件の最適化結果をユーザ端末装置3に表示するための表示情報をユーザ端末装置3に送信する。
【0066】
図7は、各装置を構成するコンピュータ900の一例を示すハードウエア構成図である。
【0067】
情報処理システム1における情報処理装置2及びユーザ端末装置3の各々は、汎用又は専用のコンピュータ900により構成される。コンピュータ900は、図7に示すように、その主要な構成要素として、バス910、プロセッサ912、メモリ914、入力デバイス916、出力デバイス917、表示デバイス918、ストレージ装置920、通信I/F(インターフェース)部922、外部機器I/F部924、I/O(入出力)デバイスI/F部926、及び、メディア入出力部928を備える。なお、上記の構成要素は、コンピュータ900が使用される用途に応じて適宜省略されてもよい。
【0068】
プロセッサ912は、1つ又は複数の演算処理装置(CPU(Central Processing Unit)、MPU(Micro-processing unit)、DSP(digital signal processor)、GPU(Graphics Processing Unit)等)で構成され、コンピュータ900全体を統括する制御部として動作する。メモリ914は、各種のデータ及びプログラム930を記憶し、例えば、メインメモリとして機能する揮発性メモリ(DRAM、SRAM等)と、不揮発性メモリ(ROM)、フラッシュメモリ等とで構成される。
【0069】
入力デバイス916は、例えば、キーボード、マウス、テンキー、電子ペン等で構成され、入力部として機能する。出力デバイス917は、例えば、音(音声)出力装置、バイブレーション装置等で構成され、出力部として機能する。表示デバイス918は、例えば、液晶ディスプレイ、有機ELディスプレイ、電子ペーパー、プロジェクタ等で構成され、出力部として機能する。入力デバイス916及び表示デバイス918は、タッチパネルディスプレイのように、一体的に構成されていてもよい。ストレージ装置920は、例えば、HDD、SSD等で構成され、記憶部として機能する。ストレージ装置920は、オペレーティングシステムやプログラム930の実行に必要な各種のデータを記憶する。
【0070】
通信I/F部922は、インターネットやイントラネット等のネットワーク940(図1のネットワーク4と同じであってもよい)に有線又は無線により接続され、所定の通信規格に従って他のコンピュータとの間でデータの送受信を行う通信部として機能する。外部機器I/F部924は、カメラ、プリンタ、スキャナ、リーダライタ等の外部機器950に有線又は無線により接続され、所定の通信規格に従って外部機器950との間でデータの送受信を行う通信部として機能する。I/OデバイスI/F部926は、各種のセンサ、アクチュエータ等のI/Oデバイス960に接続され、I/Oデバイス960との間で、例えば、センサによる検出信号やアクチュエータへの制御信号等の各種の信号やデータの送受信を行う通信部として機能する。メディア入出力部928は、例えば、DVD(Digital Versatile Disc)ドライブ、CD(Compact Disc)ドライブ等のドライブ装置、メモリカードスロット、USBコネクタで構成され、DVD、CD、メモリカード、USBメモリ等のメディア(非一時的な記憶媒体)970に対してデータの読み書きを行う。
【0071】
上記構成を有するコンピュータ900において、プロセッサ912は、ストレージ装置920に記憶されたプログラム930をメモリ914に呼び出して実行し、バス910を介してコンピュータ900の各部を制御する。なお、プログラム930は、ストレージ装置920に代えて、メモリ914に記憶されていてもよい。プログラム930は、インストール可能なファイル形式又は実行可能なファイル形式でメディア970に記録され、メディア入出力部928を介してコンピュータ900に提供されてもよい。プログラム930は、通信I/F部922を介してネットワーク940経由でダウンロードすることによりコンピュータ900に提供されてもよい。また、コンピュータ900は、プロセッサ912がプログラム930を実行することで実現する各種の機能を、例えば、FPGA(field-programmable gate array)、ASIC(application specific integrated circuit)等のハードウエアで実現するものでもよい。
【0072】
コンピュータ900は、例えば、据置型コンピュータや携帯型コンピュータで構成され、任意の形態の電子機器である。コンピュータ900は、クライアント型コンピュータでもよいし、サーバ型コンピュータやクラウド型コンピュータでもよい。
【0073】
(情報処理システム1の動作)
以下、情報処理システム1の動作として、情報処理装置2により実現される各機能201、202について説明する。なお、情報処理装置2は、各種の情報を登録したり参照したりするために、各データベース210、211にアクセスするが、以下では、そのアクセスする動作については適宜省略して説明する。
【0074】
(機械学習方法)
図8は、学習機能201による機械学習方法の一例を示すフローチャートである。
【0075】
まず、ステップS100において、重要度受付部201Aは、複数の製造条件パラメータと、複数の評価パラメータとに対して、製造条件パラメータ毎及び評価パラメータ毎にそれぞれ指定された重要度を受け付ける。
【0076】
次に、ステップS110において、学習用データ取得部201Bは、製造条件データベース210から所望の数の学習用データ11を取得する。ここで取得する学習用データ11の数については、最終的に得られる学習モデル12に求められる推論精度を考慮して設定すればよい。
【0077】
次に、ステップS120において、機械学習部201Cは、機械学習を開始すべく、学習前の学習モデル12を準備する。ここで準備する学習前の学習モデル12は、図4に例示したニューラルネットワークのモデルで構成されており、各シナプスの重みが初期値に設定されている。
【0078】
次に、ステップS130において、機械学習部201Cは、学習用データ取得部201Bにより取得された複数組の学習用データ11から、例えば、ランダムに1組の学習用データ11を取得する。
【0079】
次に、ステップS140において、機械学習部201Cは、ステップS100で受け付けられた製造条件パラメータ毎及び評価パラメータ毎の重要度にそれぞれ対応する確率に基づいて、学習モデル12における使用変数及び未使用変数を設定する。
【0080】
次に、ステップS150において、機械学習部201Cは、使用変数及び未使用変数を設定した学習モデル12の入力層120に対して、1組の学習用データ11に含まれる製造条件情報(説明変数)及び評価情報(準説明変数)を入力する。その結果、学習モデル12の出力層122から推論結果として特性パラメータ(目的変数)が出力されるが、当該出力データは、学習前(又は学習中)の学習モデル12によって生成されたものである。そのため、学習前(又は学習中)の状態では、推論結果として出力された特性パラメータは、学習用データ11に含まれる特性パラメータ(正解ラベル)とは異なる情報を示す。
【0081】
次に、ステップS160において、機械学習部201Cは、ステップS130において取得された1組の学習用データ11に含まれる特性パラメータ(正解ラベル)と、ステップS150において出力層122から推論結果として出力された特性パラメータとを比較し、各シナプスの重みを調整する処理(バックプロパゲーション)を実施することで、機械学習を実施する。これにより、機械学習部201Cは、製造条件情報及び評価情報と、特性パラメータとの相関関係を学習モデル12に学習させる。
【0082】
次に、ステップS170において、機械学習部201Cは、所定の学習終了条件が満たされたか否かを、例えば、学習用データ11に含まれる特性パラメータ(正解ラベル)と、推論結果として出力された特性パラメータとに基づく誤差関数の評価値や、未学習の学習用データ11の残数に基づいて判定する。
【0083】
ステップS170において、機械学習部201Cが、学習終了条件が満たされておらず、機械学習を継続すると判定した場合(ステップS170でNo)、ステップS130に戻り、学習中の学習モデル12に対してステップS130~S160の工程を未学習の学習用データ11を用いて複数回実施する。一方、ステップS170において、機械学習部201Cが、学習終了条件が満たされて、機械学習を終了すると判定した場合(ステップS170でYes)、ステップS180に進む。
【0084】
そして、ステップS180において、機械学習部201Cは、各シナプスに対応付けられた重みを調整することで生成された学習済みの学習モデル12(調整済みの重みパラメータ群)を学習済みモデル管理データベース211に記憶する。
【0085】
上記のようにして、図8に示す一連の機械学習方法を終了する。機械学習方法において、ステップS100が重要度受付工程、ステップS110が学習用データ取得工程、ステップS120~S170が機械学習工程、ステップS180が学習済みモデル記憶工程に相当する。
【0086】
以上のように、本実施形態に係る情報処理装置2の学習機能201及び機械学習方法によれば、製造条件情報及び評価情報を説明変数及び準説明変数として、特性パラメータを目的変数として予測(推論)することが可能な学習モデル12を提供することができる。そして、評価情報を、重要度受付工程で受け付けられた重要度に応じて確率的に特性パラメータに反映することが可能な学習モデル12を提供することができる。
【0087】
(情報処理方法)
図9は、情報処理機能202による情報処理方法の一例を示すフローチャートである。
【0088】
まず、ステップS200において、重要度受付部202Cは、複数の製造条件パラメータと、複数の評価パラメータとに対して製造条件パラメータ毎及び評価パラメータ毎にそれぞれ指定された重要度を受け付ける。
【0089】
次に、ステップS210において、製造条件取得部202Aは、製造条件を定める複数の製造条件パラメータからなる製造条件情報を取得する。
【0090】
次に、ステップS220において、評価取得部202Bは、ステップS210で取得された製造条件情報に基づいて、複数の製造条件パラメータを複数の評価方法に基づいてそれぞれ評価した複数の評価パラメータからなる評価情報を取得する。
【0091】
次に、ステップS230において、特性取得部202Dは、ステップS200で受け付けられた製造条件パラメータ毎及び評価パラメータ毎の重要度にそれぞれ対応する確率に基づいて、学習モデル12における使用変数及び未使用変数を設定する。そして、特性取得部202Dは、使用変数及び未使用変数を設定した学習モデル12に対して、ステップS210で取得された製造条件情報、及び、ステップS220で取得された評価情報を入力することで学習モデル12から出力される特性パラメータを取得する。
【0092】
次に、ステップS240において、候補変数取得部202Eは、ステップS210~S230を実行した回数が、所定の繰り返しの回数を超えたか否かを判定する。なお、繰り返しの回数は、ユーザ端末装置3を介してユーザにより指定されてもよい。
【0093】
ステップS240において、候補変数取得部202Eが、所定の繰り返しの回数を超えていないと判定した場合(ステップS240でNo)、ステップS210に戻り、ステッ
プS210の製造条件情報の取得、ステップS220の評価情報の取得、及び、ステップS230の特性パラメータの取得を繰り返す。一方、ステップS240において、候補変数取得部202Eが、所定の繰り返しの回数を超えたと判定した場合、(ステップS240でYes)、ステップS250に進む。
【0094】
次に、ステップS250において、候補変数取得部202Eは、ステップS210、S220で繰り返し取得された複数の製造条件情報及び評価情報のうち、所定の特性要求を満たす特性パラメータがステップS230で取得されたときの製造条件情報及び評価情報を候補変数として複数取得する。
【0095】
次に、ステップS260において、最適化処理部202Fは、ステップS250で取得された複数の候補変数に基づいて最適化処理を行うことにより、所定の評価基準を満たす評価情報に対応する製造条件情報を取得する。
【0096】
次に、ステップS270において、出力処理部202Gは、ステップS260で取得された製造条件情報(製造条件の最適化結果)をユーザに出力するための出力処理として、その製造条件情報をユーザ端末装置3に送信する。そして、ユーザ端末装置3が、その特性パラメータに基づいて表示画面を表示することで、製造条件の最適化結果がユーザに提示される。
【0097】
上記のようにして、図9に示す一連の情報処理方法を終了する。上記の情報処理方法において、ステップS200が重要度受付工程、ステップS210が製造条件取得工程、ステップS220が評価取得工程、ステップS230が特性取得工程、ステップS250が候補変数取得工程、ステップS260が最適化処理工程、ステップS270が出力処理工程に相当する。
【0098】
以上のように、本実施形態に係る情報処理装置2の情報処理機能202及び情報処理方法によれば、特性取得工程にて、製造条件情報及び評価情報を説明変数及び準説明変数として学習モデル12に入力することで、複数の製造条件パラメータ及び複数の評価パラメータに基づいて製造された生成物の特性パラメータを目的変数として予測(取得)する。したがって、生成物の製造条件に関する製造条件パラメータだけでなく、製造条件に対する評価を定める評価パラメータも反映されるので、特性パラメータの予測性能を向上させることができる。そして、複数の評価パラメータは、重要度受付工程で受け付けられた重要度に応じて確率的に反映されるので、評価パラメータをどの程度学習モデル12に反映させるかを設定することができる。
【0099】
また、候補変数取得工程にて、学習モデル12を用いて所定の特性要求を満たす特性パラメータが取得されたときの製造条件情報及び評価情報を候補変数として複数取得し、最適化処理工程にて、複数の候補変数に基づいて最適化処理を行うことにより、所定の評価基準を満たす評価パラメータに対応する製造条件情報を取得する。したがって、学習モデル12を用いて生成物を製造するときの製造条件を最適化することができる。
【0100】
(他の実施形態)
本発明は上述した実施形態に制約されるものではなく、本発明の主旨を逸脱しない範囲内で種々変更して実施することが可能である。そして、それらはすべて、本発明の技術思想に含まれるものである。
【0101】
上記実施形態では、情報処理装置2が備える複数の機能200~202は、1つの装置で実現されるものとして説明したが、各機能200~202が複数の装置(コンピュータ)に分散されることで複数の装置で実現されてもよい。その際、3つの機能200~20
2のそれぞれが単一の装置で実現されてもよいし、3つの機能200~202のうち任意の2つの機能が単一の装置で実現されてもよい。例えば、学習機能201を少なくとも実現する情報処理装置2は、機械学習装置として動作するが、学習機能201を実現する機械学習装置と、情報処理機能202を実現する情報処理装置2とが異なる装置である場合、機械学習装置による学習済みの学習モデル12は、ネットワーク4や記録媒体等を介して情報処理装置2に提供されればよい。
【0102】
上記実施形態では、情報処理装置2が通信部22を備え、通信部22を介してユーザ端末装置3との間で各種のデータを送受信するものとして説明したが、情報処理装置2は、単独の装置として動作するものでもよい。その際、情報処理装置2は、通信部22を備えなくてもよい。
【0103】
上記実施形態では、情報処理装置2が、図8及び図9に示すフローチャートに従って動作する場合について説明したが、各工程(各部)の一部が省略されてもよいし、他の工程が追加されてもよい。その際、省略した各工程(各部)は、外部のシステムで実行されてもよい。
【0104】
上記実施形態では、学習機能201による機械学習を実現する学習モデル12として、ニューラルネットワークを採用した場合について説明したが、他の機械学習のモデルを採用してもよい。他の機械学習のモデルとしては、例えば、決定木、回帰木等のツリー型、バギング、ブースティング等のアンサンブル学習、再帰型ニューラルネットワーク、畳み込みニューラルネットワーク、LSTM等のニューラルネット型(ディープラーニングを
含む)、階層型クラスタリング、非階層型クラスタリング、k近傍法、k平均法等のクラ
スタリング型、主成分分析、因子分析、ロジスティク回帰等の多変量解析、サポートベクターマシン等が挙げられる。
【0105】
上記実施形態では、情報処理装置2の学習機能201及び機械学習方法と、情報処理装置2の情報処理機能202及び情報処理方法とで用いられる製造条件情報は、図3乃至図6に示すp種類(p:2以上の整数)のように、複数の製造条件パラメータからなる場合について説明した。また、上記実施形態では、情報処理装置2の学習機能201及び機械学習方法と、情報処理装置2の情報処理機能202及び情報処理方法とで用いられる評価情報は、図3乃至図6に示すq種類(q:2以上の整数)のように、複数の評価パラメータからなる場合について説明した。これに対し、製造条件情報は、1種類(p=1)、すなわち、1の製造条件パラメータからなるものでもよい。また、評価情報は、1種類(q=1)、すなわち、1の評価パラメータからなるものでもよい。その際、1の評価パラメータは、製造条件を1の評価方法に基づいて評価したものである。
【0106】
したがって、上記実施形態に関する説明において、製造条件情報は、p種類(pは1以上の整数)、すなわち、1又は複数の製造条件パラメータからなり、評価情報は、q種類(qは1以上の整数)、すなわち、1又は複数の評価パラメータからなるものとして、情報処理装置2にて実現される各工程(各部)は、各種の情報やデータを取り扱うようにすればよい。
【0107】
例えば、上記実施形態において、重要度は、1又は複数の製造条件パラメータと、1又は複数の評価パラメータとに対して製造条件パラメータ毎及び評価パラメータ毎にそれぞれ指定されるようにすればよい。すなわち、重要度は、製造条件情報及び評価情報の定義に合わせて適宜指定されるようにすればよい。
【0108】
また、上記実施形態において、学習モデル12は、1又は複数の製造条件パラメータが1又は複数の説明変数として、1又は複数の評価パラメータが1又は複数の準説明変数と
してそれぞれ入力されて、特性パラメータを目的変数として出力するようにすればよい。その際、学習用データ11は、1又は複数の製造条件パラメータからなる製造条件情報及び1又は複数の前記評価パラメータからなる評価情報と、特性パラメータとで構成されるようにすればよい。すなわち、学習用データ11は、製造条件情報及び評価情報の定義に合わせて適宜変更すればよい。
【0109】
以下、本開示の諸態様を付記としてまとめて記載する。
【0110】
(付記1)
コンピュータにより実行される情報処理方法であって、
複数の原材料から生成物を製造するときの製造条件を定める1又は複数の製造条件パラメータからなる製造条件情報を取得する製造条件取得工程と、
前記製造条件を1又は複数の評価方法に基づいてそれぞれ評価した1又は複数の評価パラメータからなる評価情報を取得する評価取得工程と、
1又は複数の前記製造条件パラメータと、1又は複数の前記評価パラメータとに対して前記製造条件パラメータ毎及び前記評価パラメータ毎にそれぞれ指定された重要度を受け付ける重要度受付工程と、
1又は複数の前記製造条件パラメータが1又は複数の説明変数として、1又は複数の前記評価パラメータが1又は複数の準説明変数としてそれぞれ入力されて、前記生成物の特性を定める特性パラメータを目的変数として出力する学習モデルにおいて、前記製造条件パラメータ毎及び前記評価パラメータ毎の前記重要度にそれぞれ対応する確率に基づいて、1又は複数の前記製造条件パラメータ及び1又は複数の前記評価パラメータに対して前記説明変数及び前記準説明変数として使用する使用変数と、前記説明変数及び前記準説明変数として使用しない未使用変数とを設定し、前記使用変数及び前記未使用変数を設定した前記学習モデルに対して前記製造条件情報及び前記評価情報を入力することで前記学習モデルから出力される前記特性パラメータを取得する特性取得工程と、を含む、
情報処理方法。
【0111】
(付記2)
前記重要度受付工程は、
前記製造条件パラメータ毎の前記重要度が、前記評価パラメータ毎の前記重要度よりも高く指定されたとき、前記製造条件パラメータ毎及び前記評価パラメータ毎の前記重要度を受け付ける、
付記1に記載の情報処理方法。
【0112】
(付記3)
1又は複数の前記製造条件パラメータは、
前記原材料に関する原材料条件を定める原材料条件パラメータと、前記原材料から前記生成物を製造する製造プロセスに関するプロセス条件を定めるプロセス条件パラメータとのうち、少なくとも一方を含む、
付記1又は付記2に記載の情報処理方法。
【0113】
(付記4)
前記評価取得工程は、
1又は複数の前記評価方法に応じた評価式を用いて、1又は複数の前記製造条件パラメータから1又は複数の前記評価パラメータをそれぞれ算出することで、前記評価情報を取得する、
付記1乃至付記3のいずれか1つに記載の情報処理方法。
【0114】
(付記5)
前記評価取得工程は、
1又は複数の前記評価方法に応じた評価式を用いて、1又は複数の前記製造条件パラメータと、前記原材料及び前記製造プロセスを評価するための参照情報とから1又は複数の前記評価パラメータをそれぞれ算出することで、前記評価情報を取得する、
付記1乃至付記4のいずれか1つに記載の情報処理方法。
【0115】
(付記6)
1又は複数の前記評価パラメータは、
前記原材料のコスト、前記原材料の供給安定性、前記製造プロセスに要するコスト、前記製造プロセスに要するエネルギー量、前記製造プロセスに要するプロセス時間、及び、前記製造プロセスに要する環境負荷のうち、少なくとも1つを含む、
付記1乃至付記5のいずれか1つに記載の情報処理方法。
【0116】
(付記7)
前記製造条件取得工程、前記評価取得工程及び前記特性取得工程を繰り返すことで、所定の特性要求を満たす前記特性パラメータが取得されたときの前記製造条件情報及び前記評価情報を候補変数として複数取得する候補変数取得工程と、
複数の前記候補変数に基づいて最適化処理を行うことにより、所定の評価基準を満たす前記評価情報に対応する前記製造条件情報を取得する最適化処理工程と、を含む、
付記1乃至付記6のいずれか1つに記載の情報処理方法。
【0117】
(付記8)
前記最適化処理工程は、
応答局面法、ベイズ最適化、モンテカルロ法、マルコフ連鎖モンテカルロ法、深層学習、強化学習のうち、少なくとも1つの最適化手法を用いて、前記最適化処理を行う、
付記1乃至付記7のいずれか1つに記載の情報処理方法。
【0118】
(付記9)
コンピュータにより実行される機械学習方法であって、
複数の原材料から生成物を製造するときの製造条件を定める1又は複数の製造条件パラメータと、前記製造条件を1又は複数の評価方法に基づいてそれぞれ評価した1又は複数の評価パラメータとに対して前記製造条件パラメータ毎及び前記評価パラメータ毎にそれぞれ指定された重要度を受け付ける重要度受付工程と、
1又は複数の前記製造条件パラメータからなる製造条件情報及び1又は複数の前記評価パラメータからなる評価情報と、前記生成物の特性を定める特性パラメータとで構成される学習用データを複数組取得する学習用データ取得工程と、
1又は複数の前記製造条件パラメータが1又は複数の説明変数として、1又は複数の前記評価パラメータが1又は複数の準説明変数としてそれぞれ入力されて、前記特性パラメータを目的変数として出力する学習モデルにおいて、前記製造条件パラメータ毎及び前記評価パラメータ毎の前記重要度にそれぞれ対応する確率に基づいて、1又は複数の前記製造条件パラメータ及び1又は複数の前記評価パラメータに対して前記説明変数及び前記準説明変数として使用する使用変数と、前記説明変数及び前記準説明変数として使用しない未使用変数とを設定し、前記使用変数及び前記未使用変数を設定した前記学習モデルに対して前記学習用データを入力することで、前記製造条件情報及び前記評価情報と前記特性パラメータとの相関関係を前記学習モデルに学習させる機械学習工程と、
前記機械学習工程により前記相関関係を学習させた前記学習モデルを学習済みモデル記憶部に記憶する学習済みモデル記憶工程と、を含む、
機械学習方法。
【符号の説明】
【0119】
1…情報処理システム、2…情報処理装置、3…ユーザ端末装置、
11…学習用データ、12…学習モデル、
20…制御部、21…記憶部、22…通信部、23…入力部、24…表示部、
200…情報管理機能、201…学習機能、201A…重要度受付部、
201B…学習用データ取得部、201C…機械学習部、
202…情報処理機能、202A…製造条件取得部、202B…評価取得部、
202C…重要度受付部、202D…特性取得部、202E…候補変数取得部、
202F…最適化処理部、202G…出力処理部、210…製造条件データベース、
211…モデル管理データベース、212…情報処理プログラム
図1
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図9