(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024175632
(43)【公開日】2024-12-18
(54)【発明の名称】リリアン編み機
(51)【国際特許分類】
D04B 3/00 20060101AFI20241211BHJP
【FI】
D04B3/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023141115
(22)【出願日】2023-08-31
(31)【優先権主張番号】P 2023093025
(32)【優先日】2023-06-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】399012929
【氏名又は名称】株式会社アガツマ
(74)【代理人】
【識別番号】110002022
【氏名又は名称】弁理士法人コスモ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】戸所 信二
【テーマコード(参考)】
4L054
【Fターム(参考)】
4L054AB06
4L054FA06
4L054MA18
(57)【要約】
【課題】複数種類のリリアンを容易に作成することができるリリアン編み機を提供する。
【解決手段】リリアン編み機1は、回転ジョイント受部10bを有する編み機本体10と、編み機本体10に固定される固定リング30と、回転ジョイント受部10bと固定リング30との間に回転可能に設けられる回転ジョイント20と、回転ジョイント20に着脱自在に設けられ、上面には複数のピン部材2が着脱自在に設けられるリリアン編部材50と、を有し、回転ジョイント20の内周面には、2個の被係止凸部22と、被係止凸部22と90度異なる回転位置に対向して設けられる2個の回転規制凸部23と、が設けられ、リリアン編部材50は、被係止凸部22と係止する係止部51aと、回転規制凸部23と係合可能な2個の回転規制凹部51bと、が設けられる。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
リリアン排出口が設けられ円筒状に形成される把持部と、前記把持部の上端にフランジ状に形成される回転ジョイント受部と、前記回転ジョイント受部の側縁から立設する糸ガイドと、を有する編み機本体と、
前記回転ジョイント受部と所定間隔を有して前記編み機本体に固定される固定リングと、
前記回転ジョイント受部と前記固定リングとの間に回転可能に設けられる環状の回転ジョイントと、
環状に設けられ、内径部は略筒状に下方に伸びる環状壁部が形成されて前記環状壁部が前記回転ジョイントの内周面に嵌合することで前記回転ジョイントに着脱自在に設けられ、上面には複数のピン部材が着脱自在に設けられるリリアン編部材と、
を有し、
前記回転ジョイントの前記内周面には、前記内周面から内径方向に突出し対向して設けられる2個の被係止凸部と、前記内周面から内径方向に突出し前記被係止凸部と90度異なる回転位置に対向して設けられる2個の回転規制凸部と、が設けられ、
前記リリアン編部材は、前記環状壁部が切り欠かれて形成され先端に径外方向に突出する係止突起が形成され前記被係止凸部と下側で係止するよう対向して設けられる2個の係止部と、前記環状壁部に凹状に形成されて前記回転規制凸部と係合可能に対向して設けられる2個の回転規制凹部と、が設けられる、
ことを特徴とするリリアン編み機。
【請求項2】
前記回転規制凸部は、上方に突出する主規制凸部と、前記被係止凸部と同程度に内径方向に突出する補助規制凸部と、を有し、
前記回転規制凹部は、前記環状壁部が分割されるように上下方向に凹状に設けられ前記主規制凸部と係合可能に形成される主回転規制凹部と、前記環状壁部の外周面から内径方向に凹状に設けられ下方が開放され前記補助規制凸部と係合可能に形成される補助回転規制凹部と、
を有することを特徴とする請求項1に記載のリリアン編み機。
【請求項3】
前記回転ジョイント受部は、円周方向に複数設けられるL字状の受リブが設けられていることを特徴とする請求項1に記載のリリアン編み機。
【請求項4】
前記回転ジョイントの外周面には、複数の操作用凹部が各前記ピン部材に対応して周方向所定角度間隔で設けられ、
前記回転ジョイント受部の外縁には、前記操作用凹部と係合可能な操作用凸部が径方向に弾発されて設けられる操作用弾発部材と、
を有することを特徴とする請求項1に記載のリリアン編み機。
【請求項5】
前記操作用弾発部材は、環状に形成されることを特徴とする請求項4に記載のリリアン編み機。
【請求項6】
前記リリアン編部材は、前記環状壁部の径方向外側に前記複数のピン部材が挿入される複数のピン部材挿入部を備えることを特徴とする請求項1に記載のリリアン編み機。
【請求項7】
前記リリアン編部材は、前記環状壁部の径方向内側に前記複数のピン部材が挿入される複数のピン部材挿入部を備えることを特徴とする請求項1に記載のリリアン編み機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、リリアン編み機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、リリアンを容易に編み込むことができるリリアン編み機が提供されている。例えば、特許文献1には、糸掛け用突起を備えて編み機本体の上端に回転可能なヘッドが設けられたリリアン編み機が記載されている。
【0003】
リリアン編み機により作成できるリリアンは、円環状に配置される糸掛け用突起の配置直径やその数を変更することで、編み上がるリリアンの直径や網目の細かさを調整することができる。上記従来のリリアン編み機では、糸掛け用突起の本数を異ならせたヘッドが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
リリアン編み機で編み上がるリリアンの直径や網目の細かさを変更して、より多くの種類のリリアンを作成したい要望がある。しかしながら、糸掛け用突起の本数を異ならせた複数種類のヘッドを用意しておくのは煩雑であり、例えば子供が使用する場合には使い方が分かり難くなってしまうことがあった。
【0006】
本発明は、複数種類のリリアンを容易に作成することができるリリアン編み機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係るリリアン編み機は、リリアン排出口が設けられ円筒状に形成される把持部と、前記把持部の上端にフランジ状に形成される回転ジョイント受部と、前記回転ジョイント受部の側縁から立設する糸ガイドと、を有する編み機本体と、前記回転ジョイント受部と所定間隔を有して前記編み機本体に固定される固定リングと、前記回転ジョイント受部と前記固定リングとの間に回転可能に設けられる環状の回転ジョイントと、環状に設けられ、内径部は略筒状に下方に伸びる環状壁部が形成されて前記環状壁部が前記回転ジョイントの内周面に嵌合することで前記回転ジョイントに着脱自在に設けられ、上面には複数のピン部材が着脱自在に設けられるリリアン編部材と、を有し、前記回転ジョイントの内周面には、前記内周面から内径方向に突出し対向して設けられる2個の被係止凸部と、前記内周面から内径方向に突出し前記被係止凸部と90度異なる回転位置に対向して設けられる2個の回転規制凸部と、が設けられ、前記リリアン編部材は、前記環状壁部が切り欠かれて形成され先端に径外方向に突出する係止突起が形成され前記被係止凸部と下側で係止するよう対向して設けられる2個の係止部と、前記環状壁部に凹状に形成されて前記回転規制凸部と係合可能に対向して設けられる2個の回転規制凹部と、が設けられる、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、複数種類のリリアンを容易に作成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本発明の実施形態に係るリリアン編み機であって、大編部材が装着された状態を示す斜視図である。
【
図2】本発明の実施形態に係るリリアン編み機であって、小編部材が装着された状態を示す斜視図である。
【
図3】本発明の実施形態に係るリリアン編み機の分解斜視図である。
【
図4】本発明の実施形態に係るリリアン編み機のリリアン編部材を取り外した状態を示す斜視図である。
【
図5】本発明の実施形態に係るリリアン編み機の
図1のV-V断面図である。糸掛け具及び針状具は省略されている。
【
図6】本発明の実施形態に係るリリアン編み機の
図1のVI-VI断面図である。糸掛け具及び針状具は省略されている。
【
図7】本発明の実施形態に係るリリアン編み機の編み機本体、糸掛け具及び針状具を省略した下面図である。
【
図8】本発明の実施形態に係るリリアン編み機の大編部材及び小編部材を下方から見た斜視図である。
【
図9】本発明の変形例に係るリリアン編み機のリリアン編部材を取り外した状態を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明の実施形態を図に基づいて説明する。
図1及び
図2に示すリリアン編み機1は、略円筒状の編み機本体10と、編み機本体10の上端に回転可能に設けられる円環状のリリアン編部材50を備える。リリアン編部材50は、上面に円環状に配置されるピン部材2に、毛糸等の糸を掛け、棒状の糸掛け具3や針状具4を用いてリリアン編みを行うことができるものである。なお、以下の説明においては、
図1、
図2における下側を下、上側を上とする。
【0011】
リリアン編み機1によるリリアン編みは、公知の編み方で編み込むことができる。簡単に説明すると、端糸をリリアン編部材50の中央上方から、編み機本体10下端のリリアン排出口11(
図3参照)に挿通させて、端糸を押さえながら各ピン部材2に糸を巻回して、元糸側を糸ガイド12に掛ける。そして、リリアン編部材50を1回転させて、ピン部材2に上下に係る糸の下側を糸掛け具3の先端で持ち上げて内径側に移動させる。すべてのピン部材2に掛かる糸(下側の糸)を内径側に移動させたら、リリアン編部材50を再び1回転させて、再びすべてのピン部材2に掛かる糸(下側の糸)を内径側に移動させる。この作業を繰り返すことで、リリアン編みされたリリアンを作成することができる。
【0012】
リリアン編部材50は、
図1に示す大編部材50-1と、
図2に示す小編部材50-2とを編み機本体10に対して交換して装着することができる。大編部材50-1には、ピン部材2として、大編部材50-1用のピン部材2-1が設けられ、小編部材50-2には、小編部材50-2用のピン部材2-2が設けられる。複数のピン部材2-1の配置の直径は、複数のピン部材2-2の配置の直径よりも大きい。従って、大編部材50-1では、小編部材50-2よりも大きい直径のリリアン編みをすることができる。
【0013】
図3に示すように、編み機本体10は、全体が略円筒状に形成され、下側の略円筒状の把持部10aと、把持部10aの上側に設けられて把持部10aよりも径大に形成されるフランジ状であって略円環状の回転ジョイント受部10bが設けられる。把持部10aの下端の底板10a1には、略円形に開口するリリアン排出口11が設けられる。把持部10aの側面部には、リリアン排出口11と連通して貫通する側孔部11aが設けられる。リリアン排出口11と側孔部11aは、略同じ大きさとされている。
【0014】
側孔部11aは、リリアン排出口11から排出される製作途中のリリアン編みをリリアン排出口11から側孔部11aに通すことで、側方に編み込みしたリリアン編みを排出することができるので、製作途中のであっても、底板10a1の下面を机上等に載置してリリアン編み機1を立てた状態で一時置いておくことができる。
【0015】
回転ジョイント受部10bの外縁には、略円環状の円壁部10cが設けられている。回転ジョイント受部10bには、複数の受リブ10b1が設けられている。受リブ10b1は、回転ジョイント受部10bの上面10b2と、円壁部10cの内面10c2と、に亘ってL字状に設けられている。
【0016】
回転ジョイント受部10bと円壁部10cとの接続部分には、円周方向に沿って開口する係止孔部10dが円周方向等間隔に4か所設けられている。また、糸ガイド12の基端部には、ボス状に設けられて上下方向に貫通する貫通孔を備える固定部13が設けられている。糸ガイド12は、2枚の板状部材の間に糸を通して糸をガイドすることができる。
【0017】
糸ガイド12(固定部13)に対向する回転ジョイント受部10bの側縁には、径外方向に突出する固定部14が設けられている。固定部14は、上下方向に貫通する貫通孔を備える。
図5に示すように、固定部13,14は、下側が座繰り状とされている。
【0018】
図3に戻り、回転ジョイント受部10bには、略円環状の回転ジョイント20が回転可能に設けられる。回転ジョイント20の外周面には、複数の操作用凹部21が周方向所定角度間隔で設けられている。操作用凹部21より内径側には、略円環状の環状壁部24が設けられている。回転ジョイント20の環状壁部24の内周面には、内径方向に突出し対向して設けられる2個の被係止凸部22が設けられる。また、回転ジョイント20の環状壁部24の内周面には、内径方向に突出し、被係止凸部22と90度異なる回転位置に対向して設けられる2個の回転規制凸部23が設けられている。
【0019】
回転規制凸部23は、上方に突出する主規制凸部23-1と、被係止凸部22と同程度に内径方向に突出する補助規制凸部23-2とを含む。被係止凸部22及び回転規制凸部23の各上面は、主規制凸部23-1のみ環状壁部24の上面から突出し、補助規制凸部23-2及び被係止凸部22は、環状壁部24の上面と略同じ高さで連続して設けられている。被係止凸部22及び回転規制凸部23の下面は、環状壁部24の下面よりも上側に位置している。
【0020】
図5に示すように、回転ジョイント20の操作用凹部21と環状壁部24との間には、溝部25が形成される。そして、溝部25の下側の下面は、回転ジョイント受部10bの受リブ10b1に当接し、摺接する。環状壁部24の下端側の外周面(下端突出部26の外周面)は、受リブ10b1の内径端と摺接する。これにより、回転ジョイント20は、径方向の移動が規制されている。
【0021】
図3に戻り、回転ジョイント受部10bの外縁である糸ガイド12側の固定部13周りには、環状の操作用弾発部材40が設けられる。操作用弾発部材40は、径方向内側に向けて突出する操作用凸部41が設けられている。操作用凸部41の反対側には、二股状の係止部42が設けられている。係止部42は、糸ガイド12の基端部における径方向内側に設けられる係止リブ16に係止される(
図7も参照)。操作用凸部41は、薄肉のフレーム上に設けられているので、径方向に弾発されている。
【0022】
ここで、回転ジョイント20の操作用凹部21は、複数のピン部材2に対応して設けられている。本実施形態においては、ピン部材2は、12個設けられており、操作用凹部21は、各ピン部材2に対応して、同じように12個設けられている。そして、
図7に示すように、操作用弾発部材40の操作用凸部41は、操作用凹部21に係合する。回転ジョイント20が回転すると、操作用凸部41は操作用凹部21を乗り越えて、回転方向と逆側の操作用凹部21と係合する。このようにして、リリアン編部材50(回転ジョイント20)が所定角度回転する毎にクリック感を得ることができる。
【0023】
図3に戻り、固定リング30は、回転ジョイント受部10bと所定間隔を有して編み機本体10に固定される。この所定間隔は、本実施形態では、回転ジョイント20の操作用凹部21が設けられる環状部分の高さ(上下方向の厚み)と略同じであって、より具体的には、回転ジョイント20の操作用凹部21が設けられる環状部分の高さよりも若干大きく(すなわち、回転ジョイント20が回転可能な程度に)設定されている。固定リング30は、下方に伸びる4個の係止部31が設けられている。係止部31は、編み機本体10の係止孔部10dに挿入される。
図5,6に示すように、固定リング30は、外側の縁部が編み機本体10の円壁部10cの上面と当接する。編み機本体10と固定リング30は、固定部13,14の下側からねじ部材(不図示)がねじ込まれ、固定リング30の対応する雌ねじ部と螺合されることで固定されている。
【0024】
回転ジョイント20は、回転ジョイント受部10bと固定リング30との間に回転可能に設けられて、編み機本体10に固定リング30が固定されることにより、上下方向の移動が規制される。同様に、固定リング30から径方向に突出する弾発部材押さえ部32は操作用弾発部材40の上方に位置して、操作用弾発部材40の上下方向の移動が規制される。
【0025】
なお、固定リング30における弾発部材押さえ部32の対向する縁部には、径方向に突出する保持部33が設けられ、糸掛け具3や針状具4を保持することができる。
【0026】
図3及び
図8も参照して、リリアン編部材50(大編部材50-1、小編部材50-2)は、環状に設けられ、内径部には略円筒状に下方に伸びる環状壁部51が設けられている。リリアン編部材50は、環状壁部51が回転ジョイント20の内周面に嵌合することで回転ジョイント20に着脱可能に設けられている。より具体的には、リリアン編部材50は、環状壁部51が切り欠かれて先端に径外方向に突出する係止突起51a1を備える係止部51aが対向して2個設けられている。
図6に示すように、係止部51aの係止突起51a1は、被係止凸部22と下側で係止する。これにより、リリアン編部材50は、回転ジョイント20に対して上下方向の移動が規制される。
【0027】
また、環状壁部51には、環状壁部51に凹状に形成されて回転規制凸部23と係合可能に対向して設けられる2個の回転規制凹部51bが設けられている。回転規制凹部51bは、環状壁部51が周方向に分割されるよう上下方向に凹状に設けられる主回転規制凹部51b-1と、環状壁部51の外周面から内径方向に凹状に設けられ下方が開放された補助回転規制凹部51b-2が設けられる。
【0028】
図5及び
図6に示すように、主回転規制凹部51b-1は、回転ジョイント20の主規制凸部23-1と凹凸係合により係合可能に形成される。また、補助回転規制凹部51b-2は、回転ジョイント20の補助規制凸部23-2と凹凸係合により係合可能に形成される。回転規制凹部51bと回転規制凸部23の係合により、リリアン編部材50は、回転ジョイント20に対して回転方向に相対的に固定される。これにより、リリアン編部材50は、回転ジョイント20と共に回転することができる。
【0029】
このようにして、リリアン編部材50は、回転ジョイント20に係合している状態から上方に引き抜くと、環状壁部51を切り欠いて形成される係止部51aが弾発して内径側に撓むことで、係止突起51a1と被係止凸部22の係止状態が解除され、取り外すことができる。反対に、装着する際には、回転規制凹部51bと回転規制凸部23が係合するように位置合わせして押し込むことで、係止突起51a1と被係止凸部22を係止させる、リリアン編部材50を回転ジョイント20に装着することができる。
【0030】
リリアン編部材50のうち、大編部材50-1は、環状壁部51の径方向外側に複数のピン部材2が挿入される複数のピン部材挿入部52が環状に設けられる。一方、小編部材50-2は、環状壁部51の径方向内側に複数のピン部材挿入部52が環状に設けられる。本実施形態においては、ピン部材挿入部52は、大編部材50-1、小編部材50-2共に、12個設けられている。
【0031】
ここで、ピン部材2は、大編部材50-1用のピン部材2-1の方が、小編部材50-2のピン部材2-2よりも大径に形成される。ピン部材2は、上端に膨出部2aが設けられ、基端部2cは、軸部2bよりも大径とされている。大編部材50-1用のピン部材2-1の膨出部2aは、四葉のクローバー状に形成され、小編部材50-2用のピン部材2-2の膨出部2aは、星形に形成される。軸部2bは横断面視十字状に形成される。基端部2cには、キー状の突条2c1が設けられている。リリアン編部材50のピン部材挿入部52は、有底円筒状に形成されて、突条2c1に対応した溝部52aが形成され、ピン部材2の周り止めがされている。
【0032】
リリアン編部材50の外周面は、円壁状とされ、ローレットが施されている。リリアン編部材50の外周面には、
図1のP方向から見た囲み図に示すように、四葉のクローバー状に突出する目印部53が1つ設けられている。編み機本体10の円壁部10cの外周面にも1つのクローバー状に突出する、リリアン編部材50の目印部53と同形状の目印部10c1が設けられている。小編部材50-2には、上面に、複数のピン部材2に対応して、1~12の数字が設けられる。そして、目印部53は、上面の数字の「1」に対応して設けられている。目印部53,10c1を合わせて糸を掛けて、リリアン編部材50を回転させることで、リリアン編部材50がどの程度回転したか分かりやすくされている。
【0033】
リリアン編み機1によれば、リリアン編部材50にピン部材2を差し込むだけで、ピン部材2を任意の本数(本実施形態においては12本まで)とすることができるので、容易に編み込むリリアンの網目を調整することができる。そして、大編部材50-1と小編部材50-2を容易に交換できるので、リリアン編み機1は、複数種類のリリアンを容易に作成することができる。
【0034】
前述の通り、リリアン編部材50は、主回転規制凹部51b-1と主規制凸部23-1が係合し、補助回転規制凹部51b-2と補助規制凸部23-2が係合する。これにより、目印部53を適正に配置することができる。しかしながら、リリアン編部材50を180度回転させて補助回転規制凹部51b-2が主規制凸部23-1に対応するよう配置し、無理にリリアン編部材50を押し込み、環状壁部51を撓ませることで、補助回転規制凹部51b-2と主規制凸部23-1が係合してしまうことがある。
【0035】
そこで、回転ジョイント20の変形例に係る
図9に示すように、回転ジョイント20の主規制凸部23-1に、上下方向に長い凸条として設けられる突起部23pを設けた。これにより、補助回転規制凹部51b-2が主規制凸部23-1に対応するよう配置され、無理にリリアン編部材50が押し込まれたとしても、突起部23pが環状壁部51に当接し、不適正な位置でリリアン編部材50が回転ジョイント20に装着されることが低減される。
【0036】
以上、本発明の実施形態を説明したが、本発明は本実施形態によって限定されることはなく、種々の変更を加えて実施することができる。
【符号の説明】
【0037】
1 リリアン編み機 2 ピン部材
2a 膨出部 2b 軸部
2c 基端部 2c1 突条
3 糸掛け具 4 針状具
10 機本体 10a 把持部
10a1 底板 10b 回転ジョイント受部
10b1 受リブ 10b2 上面
10c 円壁部 10c1 目印部
10c2 内面 10d 係止孔部
11 リリアン排出口 11a 側孔部
12 糸ガイド 13 固定部
14 固定部 16 係止リブ
20 回転ジョイント 21 操作用凹部
22 被係止凸部 23 回転規制凸部
23-1 主規制凸部 23-2 補助規制凸部
23p 突起部
24 環状壁部 25 溝部
26 下端突出部 30 固定リング
31 係止部 32 弾発部材押さえ部
33 保持部 40 操作用弾発部材
41 操作用凸部 42 係止部
50 リリアン編部材 50-1 大編部材
50-2 小編部材 51 環状壁部
51a 係止部 51a1 係止突起
51b 回転規制凹部 51b-1 主回転規制凹部
51b-2 補助回転規制凹部 52 ピン部材挿入部
52a 溝部 53 目印部