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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024175646
(43)【公開日】2024-12-18
(54)【発明の名称】インクジェット記録装置
(51)【国際特許分類】
   B41J 2/01 20060101AFI20241211BHJP
【FI】
B41J2/01 125
B41J2/01 301
B41J2/01 305
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024046614
(22)【出願日】2024-03-22
(31)【優先権主張番号】P 2023093117
(32)【優先日】2023-06-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000001007
【氏名又は名称】キヤノン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003133
【氏名又は名称】弁理士法人近島国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】川北 純
(72)【発明者】
【氏名】原 義明
(72)【発明者】
【氏名】青木 孝平
(72)【発明者】
【氏名】小久保 洋
(72)【発明者】
【氏名】貞光 雄志
【テーマコード(参考)】
2C056
【Fターム(参考)】
2C056FA02
2C056FA03
2C056FA04
2C056FA13
2C056HA29
2C056HA30
2C056HA42
2C056HA47
2C056HA58
(57)【要約】
【課題】外装の温度上昇を抑制する。
【解決手段】インクジェット記録装置の外部の空気を吸気する吸気口30と、吸気口30を有する冷却ダクト32と、吸気口30から吸気された空気を乾燥ベルトユニット5によって搬送されるシートSに向かって吹き付ける温風吹付穴10と、温風吹付穴10を有する送風ダクト14と、送風ダクト14の内部の空気を加熱するヒータ15と、吸気口30から排気口31まで空気を送風する送風ファン13と、を有する。吸気口30は、送風ダクト14よりもインクジェット記録装置の正面側に設けられる。冷却ダクト32は、送風ダクト14に対してインクジェット記録装置の正面側を流れる空気の第1流路f1と、吸気口30から温風吹付穴10までの空気の流路方向において第1流路f1に対して下流、且つ、鉛直方向において送風ダクト14に対して上方を流れる空気の第2流路と、を形成する。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
インクジェット記録装置であって、
シートにインク画像を形成する画像形成部と、
インク画像を担持したシートを搬送するシート搬送部と、
前記シート搬送部に搬送されるシートに対して空気を吹き付けることで、シートを乾燥する乾燥装置と、を備え、
前記乾燥装置は、
前記インクジェット記録装置の外部の空気を吸気する吸気口と、
前記吸気口を有する第1ダクトと、
前記吸気口から吸気された空気を前記シート搬送部によって搬送されるシートに向かって吹き付ける吹付穴と、
前記吹付穴を有する第2ダクトと、
前記第2ダクトの内部の空気を加熱する加熱手段と、
前記吸気口から前記吹付穴まで空気を送風する第1ファンと、を有し、
前記吸気口は、前記第2ダクトよりも前記インクジェット記録装置の正面側に設けられ、
前記第1ダクトは、
前記第2ダクトに対して前記インクジェット記録装置の正面側を流れる空気の流路である第1流路と、
前記吸気口から前記吹付穴までの空気の流路方向において前記第1流路に対して下流、且つ、鉛直方向において前記第2ダクトに対して上方を流れる空気の流路である第2流路と、を形成する、
ことを特徴とするインクジェット記録装置。
【請求項2】
前記吸気口は、鉛直方向の下方を向いて設けられる、
ことを特徴とする請求項1に記載のインクジェット記録装置。
【請求項3】
前記吹付穴から吹き付けられた空気を、前記インクジェット記録装置の外部に排気する排気口を有し、
前記排気口は、前記インクジェット記録装置の背面側に配置される、
ことを特徴とする請求項1に記載のインクジェット記録装置。
【請求項4】
前記流路方向において、前記第1ファンは、前記加熱手段に対して、上流に配置される、
ことを特徴とする請求項1に記載のインクジェット記録装置。
【請求項5】
前記シート搬送部は、回転する無端状のベルトと、前記ベルトを張架する複数の張架ローラと、前記ベルトを加熱するためのベルトヒータと、を有し、前記ベルトによりシートを加熱しつつ搬送する、
ことを特徴とする請求項1に記載のインクジェット記録装置。
【請求項6】
前記シート搬送部は、空気を吸引する第2ファンを有し、
前記ベルトは、前記第2ファンにより空気が吸引されることでシートを前記ベルトの表面に吸着して搬送する、
ことを特徴とする請求項5に記載のインクジェット記録装置。
【請求項7】
前記第2ファンから吸引された空気の一部を前記第2ダクトに案内する第3ダクトを備える、
ことを特徴とする請求項6に記載のインクジェット記録装置。
【請求項8】
前記吹付穴により吹き付けられた空気の一部を前記第2ダクトに案内する第4ダクトを備える、
ことを特徴とする請求項7に記載のインクジェット記録装置。
【請求項9】
前記第1ダクトは、前記インクジェット記録装置の外気に面した外装を有する、
ことを特徴とする請求項1に記載のインクジェット記録装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、インクによりシートに画像を形成するインクジェット記録装置に関する。
【背景技術】
【0002】
インクにより画像を形成する画像形成システムにおいては、シートを乾燥させる工程やシートに空気を吹き付ける工程がある。例えば、特許文献1には、シートをベルトにより搬送し、そのシートに対して温風を吹き付けることでシートを乾燥させる乾燥装置が提案されている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2014-40053号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ここで、特許文献1のように温風を吹き付けてインクの蒸発を行う構成では、インクの蒸発を促進するために、吹き付けた温風を常に乾燥装置内に充満させることで乾燥装置内を高温に維持する場合が多い。この場合、乾燥装置の筐体の外装まで熱が伝導することで、外装が高温となる虞がある。
【0005】
本発明は、外装の温度上昇を抑制可能なインクジェット記録装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のインクジェット記録装置は、インクジェット記録装置であって、シートにインク画像を形成する画像形成部と、インク画像を担持したシートを搬送するシート搬送部と、前記シート搬送部に搬送されるシートに対して空気を吹き付けることで、シートを乾燥する乾燥装置と、を備え、前記乾燥装置は、前記インクジェット記録装置の外部の空気を吸気する吸気口と、前記吸気口を有する第1ダクトと、前記吸気口から吸気された空気を前記シート搬送部によって搬送されるシートに向かって吹き付ける吹付穴と、前記吹付穴を有する第2ダクトと、前記第2ダクトの内部の空気を加熱する加熱手段と、前記吸気口から前記吹付穴まで空気を送風する第1ファンと、を有し、前記吸気口は、前記第2ダクトよりも前記インクジェット記録装置の正面側に設けられ、前記第1ダクトは、前記第2ダクトに対して前記インクジェット記録装置の正面側を流れる空気の流路である第1流路と、前記吸気口から前記吹付穴までの空気の流路方向において前記第1流路に対して下流、且つ、鉛直方向において前記第2ダクトに対して上方を流れる空気の流路である第2流路と、を形成することを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、外装の温度上昇を抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】第1の実施形態に係るインクジェット記録装置を示す概略構成断面図である。
図2】第1の実施形態に係る乾燥モジュールとプリントモジュールと定着モジュールとを示す概略構成断面図である。
図3】第1の実施形態に係る乾燥モジュールにおいて上扉を開いた状態を示す斜視図である。
図4】第1の実施形態に係る温風吹付ユニットの乾燥部を示す概略構成断面図である。
図5】第2の実施形態に係る温風吹付ユニットの乾燥部を示す概略構成断面図である。
図6】第3の実施形態に係る温風吹付ユニットの乾燥部を示す概略構成断面図であり、(a)は上扉が閉状態のときであり、(b)は上扉が開状態のときである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
<第1の実施形態>
第1の実施形態について、図1図4を用いて説明する。まず、本実施形態のインクジェット記録装置100の概略構成について、図1を用いて説明する。
【0010】
[インクジェット記録装置]
本実施形態の画像形成装置としてのインクジェット記録装置100は、インクを吐出してシートに画像を形成するインクジェット記録方式を用いており、反応液とインクとの2液を用いてシートにインク像を形成する所謂枚葉式のインクジェット記録装置である。シートは、例えば普通紙や厚紙等の紙、オーバーヘッドプロジェクタ用シート等のプラスチックフィルム、封筒やインデックス紙等の特殊形状のシート、並びに布など、インクを受容可能な記録材であればよい。
【0011】
図1に示すように、本実施形態のインクジェット記録装置100は、給送モジュール1000、プリントモジュール2000、乾燥モジュール3000を備える。更に、インクジェット記録装置100は、定着モジュール4000、冷却モジュール5000、反転モジュール6000、積載モジュール7000を備える。給送モジュール1000から供給されるシートSは、各モジュール内を搬送経路に沿って搬送される際に各種処理が行われ、最終的に積載モジュール7000に排出される。
【0012】
なお、給送モジュール1000から積載モジュール7000まで、それぞれが別々の筐体を有し、それら筐体が連結されてインクジェット記録装置100を構成してよい。あるいは、1つの筐体に給送モジュール1000、プリントモジュール2000、乾燥モジュール3000、定着モジュール4000、冷却モジュール5000、反転モジュール6000、積載モジュール7000が配置されていてもよい。
【0013】
給送モジュール1000は、シートSを収容する収納庫1500a、1500b、1500cを有し、収納庫1500a~1500cはシートSを収容するために装置正面側へ引き出し可能に設けられている。シートSは、各収納庫1500a~1500cにおいて分離ベルト及び搬送ローラにより1枚ずつ給送されて、プリントモジュール2000へ搬送される。なお、収納庫1500a~1500cは3つであることに限定されず、1つや2つあるいは4つ以上を有していてよい。
【0014】
プリントモジュール2000は、画像形成部の一例であり、シートにインク画像を形成する。プリントモジュール2000は、作像前レジ補正部(不図示)、プリントベルトユニット2010、記録部2020を有する。給送モジュール1000から搬送されたシートSは、作像前レジ補正部により傾きや位置が補正されてプリントベルトユニット2010へ搬送される。搬送経路に対し、記録部2020はプリントベルトユニット2010と対向する位置に配置されている。記録部2020は、搬送されるシートSに対して上方から記録ヘッドによりシートS上にインクを吐出することにより画像を形成するインクジェット記録部である。インクを吐出する記録ヘッドは、搬送方向に沿って複数並べられている。本実施形態では、Y(イエロー)、M(マゼンタ)、C(シアン)、Bk(ブラック)の4色に加えて、反応液に対応した合計で5つのライン型記録ヘッドを有する。シートSは、プリントベルトユニット2010により吸着搬送されることにより、記録ヘッドとのクリアランスが確保されている。
【0015】
なお、インクの色数及び記録ヘッドの数は、上記した5つに限定されない。インクジェット方式は、発熱素子を用いた方式、ピエゾ素子を用いた方式、静電素子を用いた方式、MEMS(Micro Electro Mechanical Systems)素子を用いた方式等を採用することができる。各色のインクは、インクタンク(不図示)からそれぞれインクチューブを介して記録ヘッドに供給される。インクはインク全質量を基準として、「0.1質量%~20.0質量%」の樹脂成分と水及び水溶性有機溶剤、色材、ワックス、添加剤等を含有するものである。
【0016】
記録部2020により画像形成されたシートSは、プリントベルトユニット2010により搬送される際に、シートSの搬送方向において記録部2020の下流側に配置されたインラインスキャナ(不図示)により検知される。ここでは、シートSに形成された画像のズレや色濃度が検知され、この画像のズレや色濃度に基づき、シートSに形成する画像や濃度等の補正が行われる。
【0017】
乾燥モジュール3000は、乾燥装置の一例であり、乾燥ベルトユニット5に搬送されるシートSに対して空気を吹き付けることで、シートSを乾燥する。図2に示すように、乾燥モジュール3000は、デカップリング部40、乾燥ベルトユニット5、温風吹付ユニット8を有する。乾燥モジュール3000は、後続の定着モジュール4000によるシートSへのインクの定着性を高めるために、シートSに塗布されたインク及び反応液の液体分を減少させる。画像形成されたシートSは、乾燥モジュール3000内に配置されたデカップリング部40に搬送される。デカップリング部40では、上方から吹き付けられる風の風圧によりシートSとベルトとの間に摩擦力を生じさせ、ベルトによりシートSを搬送させている。こうして、ベルト上に載置されたシートSを摩擦力により搬送させることで、シートSがプリントベルトユニット2010とデカップリング部40に亘って搬送される際のシートSのズレを防ぐようにしている。デカップリング部40から搬送されたシートSは、乾燥ベルトユニット5にて吸着搬送されて、ベルト上方に配置された温風吹付ユニット8から熱風が吹き付けられることにより、シートSに塗布されたインク及び反応液を乾燥させる。
【0018】
こうして、乾燥モジュール3000によりシートSに塗布されたインク及び反応液が加熱され水分の蒸発が促進されることで、シートSにインクが飛び散って周囲に縁取りのような線ができる所謂コックリングが生じるのを抑制できる。なお、空気を加熱するヒータとしては、例えば電熱線、赤外線ヒータによる加熱が安全性やエネルギ効率の点から好ましい。また、乾燥方式は、熱風を付与する方式に加えて、電磁波(紫外線や赤外線など)をシートS表面に照射する方式や、発熱体の接触による伝導伝熱方式を組み合わせて構成してもよい。
【0019】
図1に示すように、定着システムとしての定着モジュール4000は、定着装置としての定着ベルトユニット4100を有する。定着ベルトユニット4100は、乾燥モジュール3000から搬送されたシートSを、加熱した上ベルトユニットと下ベルトユニットの間を通過させることによりインクをシートSに定着させる。定着ベルトユニット4100については、詳細な説明を後述する。
【0020】
冷却モジュール5000は冷却部5001を複数有し、冷却部5001により定着モジュール4000から搬送された高温のシートSを冷却する。冷却部5001は、例えば外気をファンで冷却ボックス内に取り込んで冷却ボックス内の圧力を高め、冷却ボックスから圧力によりノズルを介して噴き出す風をシートSに当ててシートSを冷却する。冷却部5001は、シートSの搬送経路に対し両側に配置され、シートSの両面を冷却する。
【0021】
冷却モジュール5000には、搬送経路切換え部5002が設けられている。搬送経路切換え部5002は、反転モジュール6000にシートSを搬送する場合と、シートSの両面に画像形成する両面印刷のために両面搬送経路にシートSを搬送する場合とに応じて、シートSの搬送経路を切り換える。
【0022】
反転モジュール6000は、反転部6400を有する。反転部6400は搬送されるシートSの表裏を反転させて、積載モジュール7000に排出する際のシートSの表裏向きを変更する。積載モジュール7000は、トップトレイ7200と積載部7500を有し、反転モジュール6000から搬送されたシートSを積載する。
【0023】
両面印刷時、シートSは搬送経路切換え部5002により冷却モジュール5000の下方の搬送経路に搬送される。その後、シートSは定着モジュール4000、乾燥モジュール3000、プリントモジュール2000、給送モジュール1000の両面搬送経路を通って、プリントモジュール2000へ戻される。定着モジュール4000の両面搬送部には、シートSの表裏を反転させる反転部4200が設けられている。プリントモジュール2000へ戻されたシートSは、画像形成されていない他方の面にもインクにより画像が形成され、乾燥モジュール3000から反転モジュール6000を経て積載モジュール7000に排出される。
【0024】
[乾燥モジュール]
次に、乾燥モジュール3000について、図2及び図3を用いて詳細に説明する。乾燥モジュール3000は、デカップリング部40、乾燥ベルトユニット5、温風吹付ユニット8を有する。これらをまとめて乾燥機能部300とする。乾燥機能部300は、乾燥モジュール3000の上部に配置されており、プリントモジュール2000から排出されたシートSを受け取り、乾燥を行なってから、定着モジュール4000にシートSを受渡すための直線的なシート搬送経路1を有する。このシート搬送経路1におけるシート搬送方向に関して、乾燥機能部300の上流部と下流部とでは、機能が異なっている。
【0025】
乾燥機能部300の上流部は、空気吹付装置としてのデカップリング部40が配置されている。デカップリング部40は、シート搬送部としてのデカップリングベルトユニット2と、空気吹付部としての冷風吹付ユニット3とを有する。冷風吹付ユニット3は、デカップリングベルトユニット2の鉛直方向上方に配置されており、デカップリングベルトユニット2は、シートSを略水平方向に搬送する。デカップリングベルトユニット2は、回転する無端状のベルト2aを有する。そして、デカップリングベルトユニット2の上側から冷風吹付ユニット3により冷風(空気)を吹き付けることで、シートSをベルト2aに押し付けて搬送を行う。デカップリングベルトユニット2には、冷風吹付ユニット3から吹き付けられた風を吹き付け面からベルト対向側に抜くための複数の穴が設けられる。なお、以下では、ヒータなどにより加熱されていない空気を「冷風」ともいう。
【0026】
シートSの先端が乾燥モジュール3000のデカップリングベルトユニット2へ到達した時、シートSの後端側は、まだプリントモジュール2000のプリントベルトユニット2010上にある。プリントベルトユニット2010は、シートを吸引して搬送する無端状のプリントベルト4(図1)を有する。プリントベルト4上では、シートSに画像形成が行われており、そのシートSはプリントベルト4上で吸引搬送されている。この画像形成工程に外乱を与えないために、シートSをベルト2aに対して押し付ける力はプリントベルト4の吸引力より弱く、かつ、ベルト2aはプリントベルト4よりも僅かに速い速度で駆動されている。即ち、シートSの後端側がプリントベルト4上にある間は、シートSは常にベルト2aに対して滑るようになっている。
【0027】
一方、シートSの後端がプリントベルト4の領域から抜けた瞬間、シートSの搬送はベルト2aに依存することになる。この時、搬送抵抗に負けてシートSが滑らないように、冷風吹付ユニット3の空気の吹き付け力を制御する必要がある。そこで、冷風吹付ユニット3からベルト2a上を搬送されるシートSに吹き付けられる風速は、冷風吹付ユニット3の内部に設けた圧力センサ(不図示)と、吸気部に設けた吸気ファン(不図示)とを用いて所定の圧力に制御されている。冷風吹付ユニット3は、シートSに均一に押し付け力を与えられるように、空気を通すための多数の吹付穴が設けられた吹付面を有する。
【0028】
[乾燥モジュールの本体]
デカップリング部40、乾燥ベルトユニット5、温風吹付ユニット8は、乾燥モジュール3000の本体301の内部に配置されている。図3に示すように、本体301は、上扉302と、下側筐体303とを有する。上扉302の内部には、温風吹付ユニット8及び冷風吹付ユニット3が収容されている。また、下側筐体303の内部には、乾燥ベルトユニット5及びデカップリングベルトユニット2が収容されている。上扉302は、下側筐体303に対して上方に開放される構成となっている。温風吹付ユニット8及び冷風吹付ユニット3は、シート搬送方向に沿って複数隣接して配置されている。
【0029】
上扉302は図3に示すように、メンテナンス時やジャム処理時のために、鉛直方向上方に開けることができる。具体的には、装置の背面側に装置の左右方向を長手方向とする回動中心が設けられ、上扉の正面が鉛直方向の上方に回動して上がるようになっている。よって、装置の操作者は上扉302の正面側(正面外装33)や上面(天面外装34)に触れる機会がある。なお、正面側とは、インクジェット記録装置100の正面側であり、操作部などが配置され、ユーザが使用や操作する際に位置する側である。また、上扉302の正面側には、上方に開ける際にユーザが手をかけるための凹部304が設けられている。凹部304は、シート搬送方向(ここでは左右方向)を長手方向として1つのみ設けられている。
【0030】
[乾燥部]
次に、乾燥部6について、図2及び図4を用いて説明する。乾燥機能部300の下流部には、乾燥部6が配置されている。乾燥部6は、乾燥ベルトユニット5と、温風吹付ユニット8とを有する。温風吹付ユニット8は、乾燥ベルトユニット5の鉛直方向上方に配置されており、乾燥ベルトユニット5は、シート搬送部の一例であり、インク画像を担持したシートSを略水平方向に搬送する。
【0031】
図4に示すように、乾燥部6は、正面外装33、天面外装34、背面外装35に囲われている。ここで、正面とは、インクジェット記録装置100の装置本体の正面であり、操作者が操作を行う側を指す。対して、背面とは、正面に対しての背面であって、装置の基板や配線等が配置されている側を指している。上扉302は、筐体の一例であり、正面外装33、天面外装34、背面外装35は、上扉302を構成する側壁の一例である。正面外装33は、外気を吸気するための吸気口30を備える。即ち、吸気口30は、上扉302の一部である正面外装33に設けられ、上扉302の外部から上扉302の内部に空気を吸引する。このように、吸気口30は、インクジェット記録装置100の外部の空気を吸気する。背面外装35は、乾燥部6内の空気を機外へ排気するための排気口31を備える。即ち、排気口31は、上扉302に設けられ、上扉302の内部から上扉302の外部に空気を排出する。乾燥部6と正面外装33、天面外装34、背面外装35との一部の間には、冷却ダクト32が形成される。冷却ダクト32は、後述する温風吹付ユニット8の吸気ダクト17と連通している。冷却ダクト32は、第1ダクトの一例であり、吸気口30を有し、吸気口30から吸引された空気を送風する。
【0032】
なお、吸気口30は、図4図5にあるように、鉛直方向の下方を向いて開口している。インクジェット記録装置100の装置本体の正面を向いて吸気口を配置することも形態として考えられるが、鉛直方向の下方を向いている方が、吸気した際にユーザが空気の流れを感じにくいため、好ましい。
【0033】
本実施形態では、冷却ダクト32は、複数の温風吹付ユニット8に対して共通して1本のみ設けられており、例えば上部ダクト部の断面形状はシート搬送方向に沿って長手形状を有している(図2参照)。この1本の冷却ダクト32から複数の温風吹付ユニット8の吸気ダクト17がシート搬送方向に並んで接続されている。
【0034】
[温風吹付ユニット]
次に、温風吹付ユニット8について、図4を用いて説明する。図4に示す矢印は、空気の流れを示している。温風吹付ユニット8は、送風ファン13、送風ダクト14、ヒータ15、温度センサ16、吸気ダクト17などを有している。本実施形態では、送風ファン13は軸流ファンとしている。但し、軸流ファンには限られず、シロッコファンなど他の送風源でも良い。ヒータ15はシーズヒータとしている。但し、シーズヒータには限られず、カンタルヒータなど他の発熱源でも良い。吸気ダクト17は、送風ファン13の吸気側に連結される。
【0035】
送風ダクト14は、内部にヒータ15及び温度センサ16を備え、送風ファン13の排気側が送風ダクト14の端部に接続される。即ち、送風ファン13は、気体の流路方向において、送風ダクト14の上流端部に設けられている。ヒータ15は、送風ファン13の送風経路の下流側に配置される。即ち、空気の流路方向において、送風ファン13は、ヒータ15に対して、上流に配置されている。ヒータ15は加熱手段の一例であり、送風ダクト14において送風ファン13より下流に設けられ、送風ダクト14内の空気を加熱する。
【0036】
ヒータ15の更に下流のシートSに対向する面は温風吹付面となっており、複数の温風吹付穴10が形成されている。温風吹付穴10は、吹付穴の一例であり、吸気口30から吸気された空気を、乾燥ベルトユニット5によって搬送されるシートSに向かって吹き付ける。送風ダクト14は、第2ダクトの一例であり、温風吹付穴10を有し、冷却ダクト32から受けた空気を、乾燥ベルトユニット5により搬送されるシートSに対向する吹出位置に送風する。送風ファン13は、第1ファンの一例であり、冷却ダクト32、吸気ダクト17、送風ダクト14を介して、吸気口30から温風吹付穴10まで空気を送風する。温度センサ16は、送風ダクト14における温風吹付穴10に対向する上面に取り付けられている。制御部(不図示)により、温度センサ16の温度に応じて、ヒータ15を発熱するための電流が制御される。
【0037】
冷却ダクト32は、送風ダクト14と、正面外装33、天面外装34、背面外装35と、の間に配置されている。これにより、乾燥部6の熱が本体301の外装に伝導されることを抑制できる。また、本実施形態では、第1ダクトは、正面外装33、天面外装34、背面外装35の内面に設置されている。つまり、正面外装33、天面外装34が、インクジェット記録装置100の外気に面した外装として冷却ダクト32の一部を構成している。このため、乾燥部6の熱が本体301の外装に伝導されることを更に効率よく抑制できる。ここで、内面に設置されているとは、外装の部材と一体化されている場合や、外装の部材にねじ止めなどで固定されている場合などを含み、本実施形態では外装の部材に密着するように取り付けられている。また、外装の部材と冷却ダクト32との間は密着されていることには限られず、空間があっても構わないものとする。このような空間があっても、外装部材の近傍に滞留した高温の空気は冷却ダクト32により冷却される。
【0038】
冷却ダクト32は、第1流路f1と第2流路f2とを形成している。第1流路f1は、送風ダクト14に対してインクジェット記録装置100の正面側を流れる空気の流路である。ここで、冷却ダクト32は、上扉302の正面側に配置された上冷却ダクト32aと、下側筐体303の正面側に配置された下冷却ダクト32bと、を有している。上扉302が閉状態であるときは(図6(a)参照)、上冷却ダクト32aと下冷却ダクト32bとが接合し、1本のダクトとして機能する。このとき、上冷却ダクト32aと下冷却ダクト32bとにより第1流路f1が形成される。上扉302が開状態であるときは(図6(b)参照)、上冷却ダクト32aと下冷却ダクト32bとが分離する。このとき、第1流路f1は、上扉302側と下側筐体303側とに分かれる。第2流路f2は、吸気口30から温風吹付穴10までの空気の流路方向において、第1流路f1に対して下流、且つ、鉛直方向において送風ダクト14に対して上方を流れる空気の流路である。
【0039】
また、本実施形態では、吸気口30は、シート搬送方向及び上下方向に交差する幅方向Wに関して、本体301の一方側の側壁である正面外装33に設けられている。正面側とは、インクジェット記録装置100の正面側であり、操作部などが配置され、ユーザが使用や操作の際に位置する側である。そして、冷却ダクト32は、送風ダクト14と正面外装33との間、及び送風ダクト14と上下方向上側の側壁である天面外装34との間、及び送風ダクト14と背面外装35の上部との間に配置される。即ち、吸気口30は、送風ダクト14よりもインクジェット記録装置100の正面側に設けられている。これにより、ユーザが接触しやすい乾燥モジュール3000の正面側と上面側の外装と背面側の上部の外装において、温度上昇を抑制することができる。尚、冷却ダクト32は、必ずしも送風ダクト14と背面外装35との間に配置されていなくてもよい。また、排気口31は、幅方向Wに関して、本体301の他方側の側壁である背面外装35に設けられている。これにより、高温の排気をユーザから避けて排出することができる。
【0040】
[乾燥ベルトユニット]
次に、乾燥ベルトユニット5について、図2及び図4を用いて説明する。乾燥ベルトユニット5は、回転する無端状のベルトである乾燥ベルト7と、乾燥ベルト7を張架する複数の張架ローラ9と、乾燥ベルト7を加熱するためのベルトヒータ9aと、を有し、乾燥ベルト7によりシートを加熱しつつ搬送する。ベルトヒータ9aは、複数の張架ローラ9のうちの何れかの張架ローラ9の内部に配置されたハロゲンヒータであり、張架ローラ9を介して乾燥ベルト7を加熱する。本実施形態では、温風吹付ユニット8と対向する面を張架する一対の張架ローラ9のうち、シート搬送方向上流側の張架ローラ9の内部にベルトヒータ9aを配置している。
【0041】
更に、乾燥ベルトユニット5は、乾燥ベルト7の内周側に配置された吸引ボックス5aと、吸引ボックス5aに接続された吸引ファン12とを有している。乾燥ベルト7は、吸引ファン12により空気が吸引される複数の吸引穴11を有する。吸引ボックス5aは、乾燥ベルト7と対向する面に吸引口が形成されている。そして、吸引ファン12により吸引ボックス5aを介して空気を吸引することで、乾燥ベルト7の複数の吸引穴11から空気が吸引されて、シートSを乾燥ベルト7の表面に吸着する構成となっている。このような乾燥ベルトユニット5は、乾燥ベルト7の表面にシートSを吸着して搬送可能である。即ち、吸引ファン12は、空気を吸引する第2ファンの一例であり、乾燥ベルト7は、吸引ファン12により空気が吸引されることでシートSを乾燥ベルト7の表面に吸着して搬送する。本実施形態では、吸引ファン12から吸引された空気は、本体301の内部空間に排出される。
【0042】
乾燥部6では、乾燥ベルトユニット5でシートSを吸引することでシートSを乾燥ベルト7上に吸着しつつ、鉛直方向上側から温風吹付ユニット8により温風を吹き付けることでシートSを乾燥させ、コックリングと呼ばれる波うちを抑制しつつ搬送を行う。シートSを素早く乾燥させるために乾燥ベルト7の表面温度は、乾燥ベルトユニット5の内部に設けた温度センサ(不図示)により検知した温度に基づいて、張架ローラ9の内部に配置されたベルトヒータ9aを制御することで所定の温度に調整されている。これにより、乾燥ベルト7により搬送されるシートSを加熱するようにしている。
【0043】
一方、温風吹付ユニット8内の温風温度は、ユニット内部に設けた温度センサ16と、ヒータ15を用いて所定の温度に制御されている。また、温風吹付ユニット8の温風吹付穴10から出る風速は、ユニット内部に設けた圧力センサ(不図示)と、吸引ファン12を用いて所定の圧力に制御されている。温風吹付ユニット8は、このような構成でシートS上のインクを乾燥する。
【0044】
シートSを乾燥ベルト7上に固定するために、乾燥ベルト7上面の吸引圧は、吸引ボックス5aの内部に設けた圧力センサ(不図示)により検知した圧力に基づいて、吸引ファン12を制御することで所定の圧力に調整されている。これにより、温風吹付ユニット8は、温風を吹き付けてシートSを乾燥ベルト7上に押し付ける。なお、プリントベルト4の吸引終了位置から乾燥ベルト7の吸引開始位置までの距離が最大シート長さよりも長くなるように設定している。
【0045】
[乾燥部の空気の流れ]
次に、乾燥部6における空気の流れについて、図4を用いて説明する。図4の矢印は空気の流れを示している。送風ファン13を駆動すると、乾燥モジュール3000の外の空気が吸気口30を通して吸い込まれ、冷却ダクト32を通って本体正面から天面を通過して本体背面側から吸気ダクト17へ達する。
【0046】
吸気ダクト17へ達した空気は送風ファン13に吸い込まれ、送風ダクト14のヒータ15に達する。ヒータ15で温められた空気は温風吹付穴10を通って、シートSへ吹き付けられる。シートSへ吹き付けられた空気は、温風吹付面と乾燥ベルト7の間の空間からシート搬送方向、シートの幅方向W、さらに乾燥ベルト7のシートに塞がれていない吸引穴11から吸引ファン12を通って、乾燥部6内に充満し、排気口31から機外へ排気される。
【0047】
このように、乾燥部6内は、ヒータ15で温められて高温となった空気が常に充満しているため、高温になるとともに、乾燥部6内が高温になることでシートSの乾燥が促進される。乾燥に用いた空気は、インクの蒸発により水分を多く含む。このため、乾燥部6内の空気を排気して、吸気口30から水分の少ない外気を吸い込んで乾燥部6内の空気を入れ替えることで、乾燥部6内の湿度が上昇して、インクが蒸発しにくくなることを防いでいる。
【0048】
上述したように、本実施形態の乾燥モジュール3000によれば、冷却ダクト32は、送風ダクト14と、正面外装33、天面外装34、背面外装35と、の間に配置されている。これにより、乾燥部6が本体301の外装に伝導されることを抑制できるので、外装の温度上昇を抑制できる。
【0049】
本実施形態の乾燥部6は、正面外装33、天面外装34、背面外装35の一部との間に冷却ダクト32が形成される。冷却ダクト32は、正面外装33の吸気口30から吸い込んだ外の空気が流れる。このため、高温となった乾燥部6内の熱は、冷却ダクト32を流れる空気へ伝わり、直接外装へ伝わらない。さらに、冷却ダクト32内の空気は外の空気を吸引することで常に入れ替わるため、温度が上昇しにくくなっている。したがって、断熱材などの高価な部材を使用せず、乾燥部6内からの伝熱による正面外装33、天面外装34の温度上昇を抑制することができる。
【0050】
尚、本実施形態では、断熱材を使用していないが、冷却効率を更に高めるためには断熱材を利用してもよい。例えば、正面外装33や天面外装34と冷却ダクト32との間に断熱材を設けることで、これら正面外装33や天面外装34の更なる温度上昇防止効果を得ることができる。
【0051】
また、乾燥部6からの伝熱により温められた冷却ダクト32の空気は、温風吹付ユニット8を通って、シートSへ吹き付けられる。このため、正面外装33、天面外装34の冷却のために乾燥部6から奪った熱を、シートSの乾燥に再利用することができる。したがって、外装を冷却した空気をそのまま機外へ排気する場合に比べて、温風吹付ユニット8内のヒータ15の発熱量を下げることができ、消費電力を下げることができる。
【0052】
本実施形態では、乾燥モジュール3000の両側面には、プリントモジュール2000と定着モジュール4000が接続されている。乾燥部6の側面はユーザが触れることはできないため、冷却する必要がない。また、本体背面も通常使用時においてユーザが積極的に触れる場所ではない。したがって、本体正面と天面の外装が熱くなることを抑制することが重要である。本実施形態では、冷却ダクト32は、送風ダクト14よりも装置の正面側及び上面側に設けられる。このため、本体301の外装の温度が熱くなることを抑制できる。
【0053】
本実施形態では、乾燥部6内の空気の排気口31を背面外装35に設けている。これにより、ユーザが排気口31から排出された高温の空気に触れることを抑制できる。即ち、排気口31は、インクジェット記録装置100の背面側に配置され、温風吹付穴10から吹き付けられた空気を、インクジェット記録装置100の外部に排気する。
【0054】
本実施形態では、乾燥部6内の空気の吸気口30を、背面外装35に設けられた排気口31と対向する正面外装33に設けている。ここで、吸気口30と排気口31とが同一面に設けられる場合、排気口31から排気された高温の空気を吸気口30から吸い込む可能性がある。この場合、吸気口30の吸気する空気が高温になると、正面外装33、天面外装34の温度が熱くなる可能性がある。そこで、本実施形態では、空気の吸気口30を背面外装35に設けられた排気口31と対向する正面外装33に設けており、本体301の温度上昇を防いでいる。
【0055】
本実施形態では送風ファン13を乾燥部6内に配置しているが、吸気口30または排気口31、または両方に設けてもよい。ただし、排気口31に送風ファン13を設けた場合、送風ファン13の吸気する空気が高熱となるため、送風ファン13の寿命が短くなる可能性がある。このため、送風ファン13は、排気口31よりも、吸気する空気の温度が低い吸気口30に設ける方が好ましい。
【0056】
<第2の実施形態>
次に、本発明の第2の実施形態を、図5を参照しながら詳細に説明する。本実施形態では、本実施形態では、吸引ファン12から吸引された空気は本体301の内部空間に排出ではなく、再循環される点で、第1の実施形態と構成を異にしている。但し、それ以外の構成については、第1の実施形態と同様であるので、符号を同じくして詳細な説明を省略する。
【0057】
本実施形態では、図5に示すように、乾燥部6は、第1循環ダクト21と第2循環ダクト22とを有している。第1循環ダクト21は、吸引ファン12から吸引された空気の一部を送風ダクト14におけるヒータ15より上流の吸気ダクト17に合流させて循環させる。第1循環ダクト21は、第3ダクトの一例であり、乾燥ベルトユニット5に接続されており、吸引ファン12により乾燥ベルト7の吸引穴11から吸い込んだ空気の一部を送風ダクト14に案内する。第2循環ダクト22は、乾燥部6の内部空間の空気を送風ダクト14におけるヒータ15より上流の吸気ダクト17に合流させて循環させる。第2循環ダクト22は、第4ダクトの一例であり、温風吹付穴10により吹き付けられた空気の一部を送風ダクト14に案内する。本実施形態では、第1循環ダクト21と第2循環ダクト22とは、吸気ダクト17よりも上流側で連結している。第2循環ダクト22は乾燥部6内と連通しており、温風吹付ユニット8からシートSへ吹き付けた温風を吸気ダクト17へ流入させる。
【0058】
また、送風ファン13の風量は、吸引ファン12の風量よりも大きくなるようにしている。これにより、第2循環ダクト22から吸引が行われる。送風ファン13の風量と吸引ファン12の風量との風量差に応じた量の空気が吸気口30から吸い込まれる。
【0059】
次に、乾燥部6内の空気の流れについて、図5を用いて説明する。図5に示す矢印は、空気の流れを示している。送風ファン13を駆動すると、外の空気が吸気口30を通して吸い込まれ、冷却ダクト32を通って本体正面から天面を通過して本体背面側から吸気ダクト17へ達する。吸気ダクト17へ達した空気は送風ファン13に吸い込まれ、送風ダクト14のヒータ15に達する。ヒータ15で温められた空気は温風吹付穴10を通って、シートSへ吹き付けられる。
【0060】
シートSへ吹き付けられた空気は、温風吹付面と乾燥ベルト7の間の空間からシート搬送方向、シートの幅方向W、さらに乾燥ベルト7のシートSに塞がれていない吸引穴11を通して、一部は排気口31を通して乾燥部6内から機外へ排気される。残りの空気は、第1循環ダクト21及び第2循環ダクト22から吸気ダクト17を通して送風ファン13に吸気されて送風ダクト14から乾燥部6内を循環する。
【0061】
上述したように、本実施形態の乾燥モジュール3000によれば、冷却ダクト32は、送風ダクト14と、正面外装33、天面外装34、背面外装35と、の間に配置されている。これにより、乾燥部6が本体301の外装に伝導されることを抑制できるので、外装の温度上昇を抑制できる。特に、本実施形態によれば、乾燥部6の内部で空気を循環することができるので、熱効率が高くなり、シートSを乾燥するための電力消費量を低減することができる。
【0062】
上述した各実施形態では、図1に示されるような枚葉紙印刷用のインクジェット記録装置の構成について説明した。しかしながら、インクジェット記録装置は、枚葉紙印刷機に限定されず、連帳印刷機においても適用できる。連帳印刷機では、給送から排出までシートは連続しているため、枚葉紙印刷機のようにシートを搬送する搬送ベルトが連続して配置される必要がない。
【0063】
<第3の実施形態>
次に、本発明の第3の実施形態を、図6(a),(b)を参照しながら詳細に説明する。本実施形態では、吸気口30が上扉302側に設置されるようにすることで、分離可能な複雑なダクト構造を有することなく、外装部品の冷却を目的とする冷却ダクト32を備える点で、第1の実施形態および第2の実施形態と構成を異にしている。但し、それ以外の構成については、第1の実施形態と同様であるので、符号を同じくして詳細な説明を省略する。
【0064】
まず、第3の実施形態の全体構成について、図3を用いて説明する。図3は第1の実施形態を示しているが、全体構成は第3の実施形態でも同様であるので、ここでは図3を援用する。本実施形態では、図3に示すように、本体301は、上扉302と下側筐体303とを有する。上扉302の内部には、温風吹付ユニット8及び冷風吹付ユニット3が収容されている。下側筐体303の内部には、乾燥ベルトユニット5及びデカップリングベルトユニット2が収容されている。上扉302には、上方に開ける際にユーザが手をかけるための凹部304が設けられている。凹部304は、シート搬送方向(ここでは左右方向)を長手方向とし、シート搬送方向に並行して設けられている。
【0065】
上扉302は、下側筐体303に対して水平な閉状態(図6(a)参照)と、下側筐体303に対して上方に開放された開状態(図3図6(b)参照)と、の間で開閉可能な構成となっている。これにより、上扉302を鉛直方向上方に開けることにより、下側筐体303の乾燥ベルト7を露出させることができ、メンテナンス時やジャム処理時に作業性を向上できる。具体的には、本体301の背面側に本体301の左右方向を長手方向とする回動中心となる回動軸36(図6(a),(b)参照)が設けられ、上扉302の正面が鉛直方向の上方に回動して上がるようになっている。
【0066】
図6(a)は上扉302が閉状態であるときを示し、図6(b)は上扉302が開状態であるときを示す断面図である。本実施形態では、吸気口30は、シート搬送方向及び上下方向に交差する幅方向Wに関して、上扉302の一方向の側面である正面外装33に設けられており、下側筐体303には設けられていない。即ち、冷却ダクト32は、上扉302のみに設けられ、下側筐体303には設けられていない。
【0067】
本実施形態によれば、上扉302が下側筐体303に対して回動により開閉可能な構成において、上扉302のみに冷却ダクト32を設け、下側筐体303に冷却ダクト32を設けないようにしている。これにより、より簡易な構成で、ユーザが接触しやすい乾燥モジュール3000の正面側と上面側の外装と背面側の上部の外装において、温度上昇を抑制することができる。
【0068】
また、本実施形態によれば、上扉302を開状態にしたときに第1流路f1が上扉302側と下側筐体303側とで分離する場合に比べて、空気漏れなどの発生を抑制しながら冷却することができる。
【0069】
また、本実施形態によれば、凹部304は、シート搬送方向に並行して設けられている。吸気口30は、その凹部304に配置されている。つまり、吸気口30は、鉛直方向の下方を向いて開口している。このため、例えば、吸気口30を本体301の正面側に向けて設ける場合に比べて、外観をシンプルにすることが可能であり、かつ、吸気した際にユーザが空気の流れを感じにくいため好ましい。
【0070】
なお、上述した本実施形態では、図3において1つの凹部304が設けられる場合について説明したが、これには限られない。例えば、吸気口30が配置される部分において2つ以上の凹部を設けるようにしてもよい。あるいは、本実施形態では、吸気口30は鉛直方向の下方を向いて開口している場合について説明したが、これには限られず、例えば、本体301の正面側を向いて開口していてもよい。
【0071】
また、本実施形態では、第1の実施形態と同様に吸引ファン12から吸引された空気は本体301の内部空間に排出される場合について説明したが、これには限られない。
例えば、第2の実施形態のように、吸引ファン12から吸引された空気を再循環する構成としてもよい。この場合も、第3の実施形態と同様に、上扉302のみに冷却ダクト32を設け、下側筐体303に冷却ダクト32を設けないようにでき、また、吸気口30を上扉302の凹部304に設けるようにできる。
【符号の説明】
【0072】
5…乾燥ベルトユニット(シート搬送部)、7…乾燥ベルト(ベルト)、9…張架ローラ、9a…ベルトヒータ、10…温風吹付穴(吹付穴)、12…吸引ファン(第2ファン)、13…送風ファン(第1ファン)、14…送風ダクト(第2ダクト)、15…ヒータ(加熱手段)、21…第1循環ダクト(第3ダクト)、22…第2循環ダクト(第4ダクト)、30…吸気口、31…排気口、32…冷却ダクト(第1ダクト)、33…正面外装(外装)、34…天面外装(外装)、100…インクジェット記録装置、2000…プリントモジュール(画像形成部)、3000…乾燥モジュール(乾燥装置)、f1…第1流路、f2…第2流路、S…シート
図1
図2
図3
図4
図5
図6