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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024175648
(43)【公開日】2024-12-18
(54)【発明の名称】温度調整モジュール
(51)【国際特許分類】
   G06F 15/78 20060101AFI20241211BHJP
【FI】
G06F15/78 516
G06F15/78 520
G06F15/78 517
【審査請求】有
【請求項の数】15
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2024048225
(22)【出願日】2024-03-25
(31)【優先権主張番号】112120983
(32)【優先日】2023-06-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】TW
(71)【出願人】
【識別番号】502361706
【氏名又は名称】技嘉科技股▲ふん▼有限公司
【氏名又は名称原語表記】Giga-Byte Technology Co.,Ltd.
【住所又は居所原語表記】No.6,Bau-Chiang Road, Hsin-Tien Dist. New Taipei City,Taiwan
(74)【代理人】
【識別番号】100204490
【弁理士】
【氏名又は名称】三上 葉子
(72)【発明者】
【氏名】柯 智化
(72)【発明者】
【氏名】▲チェン▼ 宏政
(72)【発明者】
【氏名】廖 哲賢
(72)【発明者】
【氏名】張 靜宜
【テーマコード(参考)】
5B062
【Fターム(参考)】
5B062HH02
5B062JJ06
(57)【要約】
【目的】マザーボード上の周辺回路素子の温度を効果的に調整することのできる温度調整モジュールを提供する。
【解決手段】温度調整モジュールは、温度変更モジュールおよび温度制御モジュールを含む。温度変更モジュールは、温度変更領域を含む。温度変更モジュールは、温度変更領域および熱伝導材料を介してマザーボード上の周辺回路素子と接触している。温度制御モジュールは、温度変更モジュールに電気接続され、温度変更モジュールの温度を目標温度に到達するように制御するように構成される。温度変更モジュールは、さらに、温度変更領域内にプリント基板を含み、温度変更モジュールの温度は、プリント基板上の巻線または電子部品のうちの少なくとも1つによって変更される。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
温度変更領域を含み、前記温度変更領域および熱伝導材料を介してマザーボード上の周辺回路素子と接触している温度変更モジュールと、
前記温度変更モジュールに電気接続され、前記温度変更モジュールの温度を目標温度に到達するように制御するように構成された温度制御モジュールと、
を含み、前記温度変更モジュールが、さらに、前記温度変更領域内にプリント基板を含み、前記温度変更モジュールの前記温度が、前記プリント基板上の巻線または電子部品のうちの少なくとも1つによって変更される温度調整モジュール。
【請求項2】
前記温度調整モジュールが、また、
前記温度変更モジュールと前記周辺回路素子の間に配置された金属サーモスタットを含み、前記金属サーモスタットと前記周辺回路素子の間の第1接触領域が、前記金属サーモスタットと前記温度変更モジュールの間の第2接触領域よりも大きい請求項1に記載の温度調整モジュール。
【請求項3】
前記温度変更領域内に配置され、前記温度制御モジュールに電気接続された温度センサーをさらに含み、
前記マザーボードの主回路素子上の冷却モジュールが前記主回路素子を冷却するとき、前記温度センサーが、前記周辺回路素子の周辺温度を検出し、
前記温度制御モジュールが、前記周辺温度が前記目標温度よりも低いか高いかを判断し、前記温度変更モジュールの前記温度を前記目標温度に到達するように制御するかどうかを決定する請求項1に記載の温度調整モジュール。
【請求項4】
前記冷却モジュールが、前記主回路素子を第1温度まで冷却し、前記第1温度が、前記目標温度より低いか、それに等しい請求項3に記載の温度調整モジュール。
【請求項5】
前記温度変更モジュールが、また、
前記熱伝導材料を介して複数の周辺回路素子に接触するように構成された複数の温度変更領域を含む請求項3に記載の温度調整モジュール。
【請求項6】
前記複数の温度変更領域の少なくとも一部が、異なる目標温度に対応する請求項5に記載の温度調整モジュール。
【請求項7】
前記周辺回路素子および前記主回路素子が、同じ基板の同じ側に配置された請求項3に記載の温度調整モジュール。
【請求項8】
前記周辺回路素子および前記主回路素子が、同じ基板の異なる側に配置された請求項3に記載の温度調整モジュール。
【請求項9】
前記温度制御モジュールが、前記マザーボード上に配置され、前記温度制御モジュールが、接続線を介して前記温度変更モジュールに電気接続された請求項3に記載の温度調整モジュール。
【請求項10】
前記温度制御モジュールが、複数の接続線を介して複数の温度変更モジュールに電気接続された請求項9に記載の温度調整モジュール。
【請求項11】
前記温度制御モジュールが、外部の基板上に配置され、前記温度制御モジュールが、接続線を介して前記温度変更モジュールに電気接続された請求項3に記載の温度調整モジュール。
【請求項12】
前記温度制御モジュールが、複数の接続線を介して複数の温度変更モジュールに電気接続された請求項11に記載の温度調整モジュール。
【請求項13】
前記温度制御モジュールおよび前記温度変更モジュールが、同じ基板上に配置され、前記温度制御モジュールが、接続線を介して前記温度変更モジュールに電気接続された請求項3に記載の温度調整モジュール。
【請求項14】
前記主回路素子が、オーバークロック操作を行う請求項3に記載の温度調整モジュール。
【請求項15】
前記主回路素子が、中央処理装置チップ、グラフィックス処理装置チップ、およびメモリモジュールのうちの少なくとも1つを含む請求項3に記載の温度調整モジュール。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、調整モジュールに関するものであり、特に、温度調整モジュールに関するものである。
【背景技術】
【0002】
現在、コンピュータマザーボード(mother board, MB)上の中央処理装置(central processing unit, CPU)チップ、グラフィックス処理装置(graphics processing unit, GPU)チップ、および/またはメモリ(memory)モジュールに対して極限のオーバークロックを行う過程において、液体窒素または液体ヘリウムを使用してオーバークロック対象素子を冷却することができるため、オーバークロック対象素子の周波数が極端に高い周波数まで増加する可能性がある。さらに、冷却過程において、オーバークロック対象素子に隣接するマザーボード上の周辺回路素子が同時に冷却される可能性がある。その際に、周辺回路素子の最適な動作温度が極端な低温度にならない、あるいは冷却不足が生じる可能性があるため、オーバークロック対象素子の操作効率が周辺回路素子によって正常に、または効率的に動作できなくなり、その結果、オーバークロック対象素子の実際の操作効率がオーバークロックによって対応する効率改善効果を実現できなくなる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明は、マザーボード上の周辺回路素子の温度を効果的に調整することのできる温度調整モジュールを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明の温度調整モジュールは、温度変更モジュールおよび温度制御モジュールを含む。温度変更モジュールは、温度変更領域を含む。温度変更モジュールは、温度変更領域および熱伝導材料を介してマザーボード上の周辺回路素子と接触している。温度制御モジュールは、温度変更モジュールに電気接続され、温度変更モジュールの温度を目標温度に到達するように制御するように構成される。温度変更モジュールは、さらに、温度変更領域内にプリント基板を含み、温度変更モジュールの温度は、プリント基板上の巻線または電子部品のうちの少なくとも1つによって変更される。
【発明の効果】
【0005】
以上のように、本発明の温度調整モジュールは、冷却モジュールが主回路素子を冷却した後に、主回路素子の周囲の周辺回路素子に対して温度調整を行うことができるため、主回路素子は、良好な動作条件で操作することができる。
【0006】
本発明の特徴および利点をより明確かつ容易に理解できるようにするために、下記の実施形態を提供し、添付図面と併せて以下に詳しく説明する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】本発明の1つの実施形態に係る温度調整モジュールの概略的回路図である。
図2】本発明の1つの実施形態に係る温度調整モジュールの概略的回路図である。
図3】本発明の1つの実施形態に係るマザーボード上に配置された温度調整モジュールの概略図である。
図4】本発明の1つの実施形態に係る温度調整方法のフローチャートである。
図5】本発明の1つの実施形態に係るマザーボード上に配置された温度調整モジュールの概略図である。
図6】本発明の1つの実施形態に係るマザーボード上に配置された温度調整モジュールの概略図である。
図7】本発明の1つの実施形態に係る温度変更モジュールの複数の温度変更領域の概略的分布図である。
図8】本発明の1つの実施形態に係る温度変更モジュールの複数の温度変更領域の概略的分布図である。
図9】本発明の1つの実施形態に係る温度変更モジュールの複数の温度変更領域の概略的分布図である。
図10】本発明の1つの実施形態に係る温度制御モジュールおよび温度調整モジュールの概略的構造図である。
図11】本発明の1つの実施形態に係る温度制御モジュールおよび温度調整モジュールの概略的構造図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本発明の内容を理解しやすくするために、下記の具体的な実施形態を本発明の実際の実施形態として示す。また、可能な限り、図面および実施形態において同じ参照番号を有する素子/構成要素/ステップは、同じ、または類似する部分を表している。
【0009】
本発明の各実施形態において説明する主回路素子は、コンピュータマザーボード(mother board, MB)上に取り付けられた中央処理装置(central processing unit, CPU)チップ、グラフィックス処理装置(graphics processing unit, GPU)チップ、およびメモリ(memory)モジュールのうちの少なくとも1つを含むことができる。メモリモジュールは、例えば、ダブルデータレート同期動的ランダムアクセスメモリ(double data rate synchronous dynamic random access memory, DDR SDRAM)であってもよい。本発明の各実施形態において説明する周辺回路素子は、抵抗器、キャパシタ、インダクタ、トランジスタ、電源ステージ(power stage)回路、その他の機能チップ、および/または関連する回路配線などの主回路素子の周囲に配置された回路素子を含むことができる。
【0010】
図1は、本発明の1つの実施形態に係る温度調整モジュールの概略的回路図である。図1を参照すると、温度調整モジュール100は、温度制御モジュール110および温度変更モジュール120を含む。温度制御モジュール110は、温度変更モジュール120に電気接続される。本実施形態において、温度調整モジュール100は、マザーボード上に配置されるように構成され、周辺回路素子に対して温度調整を行うように構成される。具体的に説明すると、温度変更モジュール120は、温度変更領域を含むことができ、温度変更モジュール120は、温度変更領域および熱伝導材料を介して周辺回路素子と接触することができる。熱伝導材料は、例えば、放熱グリス(thermal paste)または関連する熱インターフェース材料(thermal interface material)であってもよい。本実施形態において、温度制御モジュール110は、温度変更モジュール120の温度を目標温度に到達するように制御するように構成される。つまり、温度制御モジュール110は、温度変更モジュール120を介して周辺回路素子の温度を直接調整することができる。
【0011】
注意すべきこととして、本発明の各実施形態において提供する温度変更領域は、プリント基板(printed circuit board, PCB)を含むことができる。本発明の各実施形態において提供する温度変更モジュールは、プリント基板上の巻線を介して温度変化を生じさせる(例えば、巻線上の電圧または電流を増加させる)か、プリント基板上の温度可変電子部品(例えば、サーミスタ、熱電対、熱抵抗器など)を介して温度変化を生じさせるか、またはプリント基板上の巻線および温度可変電子部品を介して同時に温度変化を生じさせることにより、接触している周辺電子素子の温度を変更する(または、それに影響を与える)機能を達成することができる。さらに、本発明の各実施形態において提供する温度変更領域は、1つの温度変更領域であってもよく、または複数の温度変更領域を含んでもよく、各温度変更領域は、単一の温度サブ温度変更領域または複数のサブ温度変更領域を有することができる。すべての温度変更領域およびサブ温度変更領域の温度は、一緒に、または個別に制御することができる。
【0012】
図2は、本発明の1つの実施形態に係る温度調整モジュールの概略的回路図である。図2を参照すると、温度調整モジュール200は、温度制御モジュール210、温度変更モジュール220、および温度センサー230を含む。温度制御モジュール210は、温度変更モジュール220および温度センサー230に電気接続される。本実施形態において、温度調整モジュール200は、マザーボード上に配置されるように構成され、周辺回路素子に対して温度調整を行うように構成される。具体的に説明すると、温度変更モジュール220は、温度変更領域を含むことができ、温度変更モジュール220は、温度変更領域および熱伝導材料を介して周辺回路素子と接触することができる。温度センサー230は、温度変更モジュール220の温度変更領域内に配置することができる。本実施形態において、温度制御モジュール210は、温度センサー230を介して温度変更領域と接触している周辺回路素子の周辺温度をリアルタイムで検出するとともに、周辺回路素子の周辺温度に基づいて、温度変更モジュール220の温度を目標温度に到達するように対応して制御するように構成される。つまり、温度制御モジュール210は、周辺回路素子の周辺温度に基づいて、温度変更モジュール220を介して周辺回路素子の温度を調整することができる。
【0013】
図3は、本発明の1つの実施形態に係るマザーボード上に配置された温度調整モジュールの概略図である。図3を参照すると、本発明の各実施形態において提供する温度変更モジュールの配置が図3に示されている。本実施形態において、マザーボード300は、第1表面S1(例えば、マザーボードの前面)および第2表面S2(例えば、マザーボードの背面)を有することができる。第1表面S1は、第2表面S2に対して平行であってもよい。第1表面S1および第2表面S2は、それぞれ方向D1およびD2を延伸することによって形成された平面に対してそれぞれ平行であってもよい。方向D1、方向D2、および方向D3は、互いに垂直である。本実施形態において、マザーボード300の第1表面S1上に、主回路素子301を配置することができる。マザーボード300の第1表面S1上に、主回路素子301の周辺に隣接して、周辺回路素子302を配置することができる。マザーボード300の第2表面S2上に、および方向D3の主回路素子301に対応する位置に、周辺回路素子303を配置することができる。マザーボード300の第2表面S2上に、方向D3の主回路素子301の位置に対応する周囲に隣接して、周辺回路素子304を配置することができる。
【0014】
本実施形態において、主回路素子301上に、冷却モジュール310を配置することができる。周辺回路素子302~304上に、温度変更モジュール320~340を配置することができる。本実施形態において、主回路素子301は、オーバークロック操作を行うことができる。しかしながら、主回路素子301がオーバークロック操作を行う過程において、主回路素子301自体が発熱することがある。したがって、オーバークロック操作の過程で主回路素子301が正常かつ高効率な動作機能(例えば、データ処理機能など)を維持できるようにするために、冷却モジュール310により主回路素子301を冷却することができる。冷却モジュール310は、主回路素子301を第1温度まで冷却することができ、第1温度は、目標温度より低いか、それに等しくてもよい。1つの実施形態において、冷却モジュール310は、例えば、空冷放熱型、水冷放熱型、または極端な放熱型(例えば、液体窒素または液体ヘリウムを使用する)であってもよい。
【0015】
特に、冷却モジュール310は、主回路素子301に対して極端な放熱を行うため極端な放熱型であってもよい。この際に、冷却モジュール310は、極端な低温度(例えば、-196℃(液体窒素)または-267℃(液体ヘリウム))まで冷却することができるため、周辺回路素子302~304も冷却の影響を受ける可能性がある。したがって、本実施形態において、周辺回路素子302~304の温度が低くなり過ぎて、周辺回路素子302~304が使用不可になる、または動作効率不良になる(最適な動作温度でなくなる)のを防ぎ、その代わり、主回路素子301のオーバークロック後の動作効率を下げるために、温度変更モジュール320~340は、周辺回路素子302~304を目標温度(つまり、最適な動作温度)になるまで加熱することができる。別の観点から見ると、主回路素子301および周辺回路素子302~304は、異なる最適な動作温度を有することができる。
【0016】
あるいは、1つの実施形態において、周辺回路素子302~304の最適な動作温度が現在の周辺温度よりも低いとき、温度変更モジュール320~340は、周辺回路素子302~304を冷却してもよい。さらに、別の実施形態において、周辺回路素子302~304は、異なる目標温度(つまり、最適な動作温度)を有してもよく、または、温度変更モジュール320~340は、周辺回路素子302~304をそれぞれ異なる程度に冷却または加熱してもよい。
【0017】
また、注意すべきこととして、本発明の主回路素子および周辺回路素子の取り付け、または配置位置および数量は、図3に示されている取り付け、または配置位置および数量に限定されない。図3は、単なる例である。本発明の各実施形態において示した周辺回路素子は、同じ回路板の主回路素子と同じ側の表面に配置してもよい。あるいは、本発明の各実施形態において示した周辺回路素子および主回路素子は、同じ回路板の異なる側の表面に配置してもよい。さらに、周辺回路素子および主回路素子は、異なる回路板上に配置してもよい。
【0018】
図4は、本発明の1つの実施形態に係る温度調整方法のフローチャートである。図2および図4を参照すると、図2の温度調整モジュール200は、下記のステップS410~S430を実行することができる。ステップS410において、マザーボードの主回路素子上の冷却モジュールが主回路素子を冷却するとき、温度制御モジュール210は、温度センサー230を介して周辺回路素子の周辺温度を検出することができる。ステップS420において、温度制御モジュール210は、周辺温度が目標温度よりも低いか高いかを判断することができる。周辺温度が目標温度よりも低くも高くもない場合、温度制御モジュール210は、所定の待機時間の後、温度センサー230を介して再度周辺回路素子の周辺温度を検出し、周辺温度が目標温度よりも低いか高いかを再度判断する。周辺温度が目標温度よりも低いか高い場合、温度制御モジュール210は、温度変更モジュール220を操作して、周辺回路素子の温度を目標温度に到達するように調整する。その際に、周辺温度が所定の目標温度(つまり、例えば、周辺回路素子の最適な動作温度)よりも低いと温度制御モジュール210が判断したとき、温度制御モジュール210は、温度変更モジュール220を操作して、目標温度に到達するように周辺回路素子を加熱することができる。また、周辺温度が所定の目標温度よりも高いと温度制御モジュール210が判断したとき、温度制御モジュール210は、温度変更モジュール220を操作して、目標温度に到達するように周辺回路素子を冷却することができる。このようにして、主回路素子がオーバークロック操作状態にあるとき、周辺回路素子を良好な(または最適な)動作温度に保つことができるため、主回路素子は、周辺回路素子と一緒に操作したときに、オーバークロック後の高効率操作を効果的に達成することができる。さらに、本実施形態において提供する温度調整方法は、図1の温度調整モジュール100にも適用することができる。
【0019】
図3を再度参照しながら説明すると、図3の実施形態において、温度変更モジュール320~340の複数の温度センサーは、それぞれ周辺回路素子302~304の複数の周辺温度を検出することができ、温度制御モジュールは、周辺温度に基づいて、温度調整が必要かどうかを個別に判断することができる。つまり、温度変更モジュール320~340のうちの少なくとも一部は、周辺回路素子302~304に対して異なる程度に温度調整を行うことができる。
【0020】
図5は、本発明の1つの実施形態に係るマザーボード上に配置された温度調整モジュールの概略図である。図5を参照すると、マザーボード500の表面S2に、周辺回路素子501を配置することができる。周辺回路素子501上には、温度変更モジュール520が配置され、温度変更モジュール520と周辺回路素子501の間には、熱伝導材料502が存在する。温度制御モジュール510は、温度変更モジュール520に電気接続される。温度変更モジュール520の表面S4は、温度変更領域を有することができる。温度変更モジュール520の表面S4の温度変更領域は、熱伝導材料502を介して周辺回路素子501に接触することができ、温度変更領域内に温度センサーを配置することができる。
【0021】
本実施形態において、温度制御モジュール510および温度変更モジュール520は、異なる回路板上に配置されてもよい。つまり、温度制御モジュール510は、外部の回路板上に配置することができ、温度制御モジュール510は、接続線を介して温度変更モジュール520および温度センサーに電気接続することができる。あるいは、1つの実施形態において、温度制御モジュール510および温度変更モジュール520は、同じ回路板上に配置(統合)されてもよい。
【0022】
図6は、本発明の1つの実施形態に係るマザーボード上に配置された温度調整モジュールの概略図である。図6を参照すると、マザーボード600の表面S2に、周辺回路素子601を配置することができる。本実施形態において提供する温度調整モジュールは、金属サーモスタット630を含むことができる。金属サーモスタット630は、周辺回路素子601上に配置され、金属サーモスタット630と周辺回路素子601の間には、熱伝導材料602が存在する。温度制御モジュール610は、温度変更モジュール620に電気接続される。温度変更モジュール620の表面S4は、温度変更領域を有することができる。温度変更モジュール620の表面S4の温度変更領域は、金属サーモスタット630および熱伝導材料602を介して周辺回路素子601に接触することができ、温度変更領域内に温度センサーを配置することができる。
【0023】
本実施形態において、金属サーモスタット630は、温度変更モジュール620と周辺回路素子601の間に配置される。熱伝導材料602を介した金属サーモスタット630と周辺回路素子601の間の接触面積は、金属サーモスタット630と温度変更モジュール620の間の接触面積よりも大きい。つまり、本実施形態において提供する温度変更モジュール620は、金属サーモスタット630を介して温度変化の接触面積を増やすことができるため、周辺回路素子601のさらに多くの部品や、さらに広い領域を覆うことができる。
【0024】
図7は、本発明の1つの実施形態に係る温度変更モジュールの複数の温度変更領域の概略的分布図である。本実施形態において提供する温度変更モジュール720は、CPUチップが配置されたマザーボードの背面領域の複数のサブ領域内の複数の周辺回路素子に対して温度調整を行うために適用することができる。図7を参照すると、温度変更モジュール720の表面S4は、複数の温度変更領域701~709を含むことができる。温度変更領域701~709は、例えば、アレイ状に配置することができるが、本発明はこれに限定されない。温度変更領域701~709は、熱伝導材料を介して(または、さらに複数の金属製サーモスタットを介して)複数の周辺回路素子と接触することができ、温度変更領域701~709内にそれぞれ複数の温度センサーを配置することができる。1つの実施形態において、温度変更領域701~709のうちの少なくとも一部は、異なる目標温度に対応することができる。
【0025】
具体的に説明すると、本実施形態において、マザーボードのCPUチップソケット(socket)の背面のマザーボード上に温度変更モジュール720を取り付けることができる。マザーボードのCPUチップソケットの背面は、平坦な面ではないため、温度変更モジュール720とマザーボードの背面の間に熱伝導材料を提供することができ、温度変更モジュール720をマザーボードのCPUチップソケットの背面に固定することができる。温度変更領域701~709のそれぞれに温度センサーを配置することができる。本実施形態において、温度変更領域705は、例えば、マザーボードのCPUチップソケットの前面と背面の領域に直接面してもよい。極限のオーバークロック中に、液体窒素を介してCPUチップを冷却することにより、温度変更領域705の温度を他の温度変更領域に対して最も低い温度にすることができる。そのため、温度変更領域705は、より低い、またはより高い特定の目標温度に対応することができる。さらに、残りの温度変更領域701~704および706~709は、例えば、温度変更領域705に対する相対位置が異なる、マザーボードの電子部品が異なる、またはレイアウトおよび配線が異なるなどの要因に基づいて、異なる目標温度に対応するように設計することができる。
【0026】
本実施形態において、温度変更領域701、702、703、706、および709がマザーボードのCPUチップの電源回路の位置に対応していると仮定すると、極限のオーバークロック中に、温度変更領域701、702、703、706、および709の温度が比較的高くなる可能性がある。そのため、温度変更領域701、702、703、706、および709の複数の目標温度を例えば0度以上にすることによって、マザーボードおよび電子部品が低温による凍結の影響を受けないようにすることができ、氷が溶けた後の液体水によるマザーボードの損傷を防ぐこともできる。
【0027】
図8は、本発明の1つの実施形態に係る温度変更モジュールの複数の温度変更領域の概略的分布図である。本実施形態において提供する温度変更モジュール820は、メモリモジュールが配置されたマザーボードの背面領域の複数のサブ領域内の複数の周辺回路素子に対して温度調整を行うために適用することができる。図8を参照すると、温度変更モジュール820の表面S4は、複数の温度変更領域801~804を含むことができる。温度変更領域801~804は、例えば、方向D2に配置することができるが、本発明はこれに限定されない。温度変更領域801~804は、熱伝導材料を介して(または、さらに複数の金属製サーモスタットを介して)複数の周辺回路素子と接触することができ、温度変更領域801~804にそれぞれ複数の温度センサーを配置することができる。1つの実施形態において、温度変更領域801~804のうちの少なくとも一部は、異なる目標温度に対応することができる。
【0028】
具体的に説明すると、本実施形態において、温度変更モジュール820は、マザーボードのメモリモジュールソケットの背面のマザーボード上に配置することができる。マザーボードのメモリモジュールソケットの背面は、平坦な面ではないため、温度変更モジュール820とマザーボードの背面の間に熱伝導材料を提供することができ、温度変更モジュール820をマザーボードのメモリモジュールソケットの背面に固定することができる。温度変更領域801~804のそれぞれに2つの温度センサーを設けることができる。本実施形態において、温度変更領域801および802は、例えば、マザーボードのメモリモジュールソケットの前面と背面の領域に直接面してもよい。極限のオーバークロック中に、液体窒素を介してメモリモジュールを冷却することにより、温度変更領域801および802の温度を他の温度変更領域に対して最も低い温度にすることができる。そのため、温度変更領域801および802の温度は、より低い、またはより高い特定の目標温度に対応することができる。さらに、残りの温度変更領域803および804は、温度変更領域801および802に対する相対的な位置が異なる、マザーボードの電子部品が異なる、またはレイアウトおよび配線が異なるなどの要因に基づいて、異なる目標温度に対応するように設計することができる。
【0029】
本実施形態において、温度変更領域803および804がマザーボードのメモリモジュールの電源回路または機能ボタンの位置に対応していると仮定すると、極限のオーバークロック中に、温度変更領域803および804の温度で凍結が発生しやすく、機能ボタンに異常が生じる可能性がある。そのため、温度変更領域803および804の複数の目標温度を例えば0度以上にすることによって、マザーボードおよび電子部品が低温による凍結の影響を受けないようにすることができ、氷が溶けた後の液体水によるマザーボードの損傷を防ぐこともできる。
【0030】
図9は、本発明の1つの実施形態に係る温度変更モジュールの複数の温度変更領域の概略的分布図である。本実施形態において提供する温度変更モジュール920は、GPUチップが配置されたマザーボードの背面領域または前面周辺領域の複数のサブ領域内の複数の周辺回路素子に対して温度調整を行うために適用することができる。図9を参照すると、温度変更モジュール920の表面S4は、複数の温度変更領域901~904を含むことができる。温度変更領域901~904は、例えば、リング状に配置することができるが、本発明はこれに限定されない。温度変更領域901~904は、熱伝導材料を介して(または、さらに複数の金属製サーモスタットを介して)複数の周辺回路素子と接触することができ、複数の温度センサーは、それぞれ温度変更領域901~904に配置することができる。1つの実施形態において、温度変更領域901~904のうちの少なくとも一部は、異なる目標温度に対応することができる。
【0031】
具体的に説明すると、本実施形態において、温度変更モジュール920は、マザーボードのGPUチップソケットの背面領域に配置することができる。マザーボードのGPUチップソケットの背面領域は、平坦な面ではないため、温度変更モジュール920とマザーボードの背面の間に熱伝導材料を提供することができ、温度変更モジュール920をマザーボードのGPUチップソケットの背面領域に固定することができる。温度変更領域901~904のそれぞれに2つの温度センサーを設けることができる。本実施形態において、温度変更領域901~903は、例えば、GPUチップのグラフィックカードメモリ領域に直接面してもよい。極限のオーバークロック中に、液体窒素を介してGPUチップを冷却することにより、温度変更領域901~903の温度を他の温度変更領域に対して最も低い温度にすることができる。そのため、温度変更領域901~903は、より低い、またはより高い特定の目標温度に対応することができる。さらに、温度変更領域904は、異なる目標温度に対応するように設計することができる。
【0032】
本実施形態において、GPUチップのグラフィックカードメモリが最適な動作温度で操作するかどうかはオーバークロック後のGPUチップの性能に深刻な影響を与え、また、グラフィックカードメモリの最適な動作温度と受動素子の最適な動作温度の間には差があるため、極限のオーバークロック中に、温度変更領域901~903の目標温度を例えば室温以上に設定することによって、マザーボードおよび電子部品が低温による凍結の影響を受けないようにすることができ、その後氷が溶けることによって生じる液体水によるマザーボードの損傷を防ぐこともできる。
【0033】
図10は、本発明の1つの実施形態に係る温度制御モジュールおよび温度調整モジュールの概略的構成図である。図10を参照すると、本発明の各実施形態において提供する温度制御モジュールは、本実施形態で説明したように配置することができる。本実施形態において、温度制御モジュール1011および1012をマザーボード1000上に配置することができる。温度制御モジュール1011および1012は、例えば、マイクロコントローラユニット(microcontroller unit, MCU)または制御チップであってもよい。1つの実施形態において、温度制御モジュール1011および1012は、基本入出力システム(basic input output system, BIOS)チップまたはオペレーティングシステム(operating system, OS)のアプリケーションプログラム(application program, App)を介して実施してもよい。
【0034】
本実施形態において、温度制御モジュール1011は、専用のコネクタおよび接続線を介して温度変更モジュール1021(および対応する温度センサー)に電気接続され、温度変更モジュール1021を制御することができる。温度制御モジュール1012は、専用のコネクタおよび複数の接続線を介して複数の温度変更モジュール1022~1024(および対応する複数の温度センサー)に電気接続され、温度変更モジュール1022~1024を制御することができる。1つの実施形態において、温度制御モジュール1011および1012は、ハードウェア回路を使用して、さまざまなスイッチまたはジャンパーを介して温度変更モジュール1021~1024を制御し、マザーボード上の複数の特定領域内の周辺回路素子に対して温度調整を行うこともできる。
【0035】
本実施形態において、温度変更モジュール1021~1024は、それぞれ電源入力インターフェースを含み、マザーボード上のDC電源端子またはインターフェースに接続して、電源信号を取得するように構成される。あるいは、1つの実施形態において、温度変更モジュール1021~1024は、対応する接続線を介して温度制御モジュール1011および1012から対応する電力信号をそれぞれ取得することができる。
【0036】
図11は、本発明の1つの実施形態に係る温度制御モジュールおよび温度調整モジュールの概略的構成図である。図11を参照すると、本発明の各実施形態において提供する温度制御モジュールは、本実施形態で説明したように配置することができる。本実施形態において、温度制御モジュール1111および1112を同じ、または異なる外部回路板上に配置することができる。温度制御モジュール1111および1112は、例えば、マイクロコントローラまたは制御チップであってもよい。
【0037】
本実施形態において、温度制御モジュール1111は、接続線を介してマザーボード1100上の接続インターフェース1101(特定または専用のコネクタを有する)に電気接続されるとともに、接続線を介して温度変更モジュール1121(および対応する温度センサー)に電気接続され、温度変更モジュール1121を制御することができる。温度制御モジュール1112は、接続線を介してマザーボード1100上の接続インターフェース1102(特定または専用のコネクタを有する)に電気接続されるとともに、複数の接続線を介して複数の温度変更モジュール1122~1124(および対応する複数の温度センサー)に電気接続され、温度変更モジュール1122~1124を制御することができる。1つの実施形態において、温度制御モジュール1111および1112は、ハードウェア回路を使用して、さまざまなスイッチまたはジャンパーを介して温度変更モジュール1121~1124を制御し、マザーボード上の複数の特定領域内の周辺回路素子に対して温度調整を行うこともできる。
【0038】
以上のように、本発明において提供する温度調整モジュールおよび温度調整方法は、主回路素子をオーバークロックモードで操作する極限の冷却過程において、周辺回路素子と接触している温度変更モジュールを介して周辺回路素子の温度を同期的に調整することができるため、周辺回路素子が適切な温度で操作することができ、それにより、主回路素子および周辺回路素子の両方を高効率状態で操作することができる。
【0039】
上記の実施形態を参照しながら本発明について説明したが、これらの実施形態は、本発明を限定する意図はない。当業者であれば、本発明の精神および範囲から逸脱することなく変更および修正が可能である。そのため、本発明の保護範囲は、下記の請求項によって定義されるべきである。
【産業上の利用可能性】
【0040】
本発明の温度調整モジュールは、極限のオーバークロックの分野に適用することができる。
【符号の説明】
【0041】
100、200 温度調整モジュール
110、210、510、610、1011、1012、1111、1112 温度制御モジュール
120、220、320~340、520、620、720、820、920、1021~1024、1121~1124 温度変更モジュール
230 温度センサー
300、500、1000、1100 マザーボード
301 主回路素子
302~304、501、601 周辺回路素子
310 冷却モジュール
502、602 熱伝導材料
630 金属サーモスタット
701~709、801~804、901~904 温度変更領域
1101、1102 接続インターフェース
S1、S2、S4 表面
S410~S430 ステップ
D1~D3 方向

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
【外国語明細書】