(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024017565
(43)【公開日】2024-02-08
(54)【発明の名称】水処理システムおよび水処理システムの運転方法
(51)【国際特許分類】
C02F 1/00 20230101AFI20240201BHJP
C02F 1/44 20230101ALI20240201BHJP
C02F 1/42 20230101ALI20240201BHJP
【FI】
C02F1/00 K
C02F1/00 D
C02F1/44 A
C02F1/42 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022120285
(22)【出願日】2022-07-28
(71)【出願人】
【識別番号】000004400
【氏名又は名称】オルガノ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100123788
【弁理士】
【氏名又は名称】宮崎 昭夫
(74)【代理人】
【識別番号】100127454
【弁理士】
【氏名又は名称】緒方 雅昭
(72)【発明者】
【氏名】中村 勇規
(72)【発明者】
【氏名】高橋 一重
(72)【発明者】
【氏名】橋本 浩一郎
(72)【発明者】
【氏名】朴 亨蓆
(72)【発明者】
【氏名】加藤 史悟
(72)【発明者】
【氏名】篠田 真一
(72)【発明者】
【氏名】田中 仁
(72)【発明者】
【氏名】吉田 修久
【テーマコード(参考)】
4D006
4D025
【Fターム(参考)】
4D006GA02
4D006GA32
4D006JA63Z
4D006KA01
4D006KA52
4D006KA55
4D006KA57
4D006KA72
4D006KB11
4D006KE06P
4D006KE13P
4D006KE15P
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4D006KE22Q
4D006PA01
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4D025AA01
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4D025BB02
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4D025CA03
4D025CA04
4D025CA05
4D025DA01
4D025DA05
(57)【要約】
【課題】装置の再生に伴うシステムの運転停止時間を容易に短くする。
【解決手段】膜分離装置とイオン交換装置とを備え、対象となる水の処理を行う水処理システムにおいて、膜分離装置とイオン交換装置とに薬液を同時に並列に供給する第1の配管と、第1の配管に設けられた第1のバルブ群510,530と、第1のバルブ群510,530の開閉を制御する制御装置600とを有する。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
膜分離装置とイオン交換装置とを備える水処理システムにおいて、
前記膜分離装置と前記イオン交換装置とに薬液を同時に並列に供給する第1の配管と、
前記第1の配管に設けられた第1のバルブ群と、
前記第1のバルブ群の開閉を制御する制御装置と、を有する水処理システム。
【請求項2】
請求項1に記載の水処理システムにおいて、
前記制御装置は、前記膜分離装置の前段における圧力と該膜分離装置の後段における圧力との差分が所定の閾値を超えた場合、前記膜分離装置と前記イオン交換装置とに薬液が供給されるように、前記第1のバルブ群の開閉を制御する水処理システム。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の水処理システムにおいて、
前記膜分離装置に通液された薬液を前記イオン交換装置へ供給する第2の配管と、
前記第2の配管に設けられた第2のバルブ群と、を有し、
前記制御装置は、前記膜分離装置に通液された薬液が前記イオン交換装置へ供給されるように、前記第2のバルブ群の開閉を制御する水処理システム。
【請求項4】
請求項3に記載の水処理システムにおいて、
前記制御装置は、前記膜分離装置に通液された薬液のTOC値と、pH値と、導電率との少なくとも1つに基づいて、前記膜分離装置に通液された薬液が前記イオン交換装置へ供給されるように、前記第2のバルブ群の開閉を制御する水処理システム。
【請求項5】
請求項1または請求項2に記載の水処理システムにおいて、
前記イオン交換装置に通液された薬液を前記膜分離装置へ供給する第3の配管と、
前記第3の配管に設けられた第3のバルブ群と、を有し、
前記制御装置は、前記イオン交換装置に通液された薬液が前記膜分離装置へ供給されるように、前記第3のバルブ群の開閉を制御する水処理システム。
【請求項6】
請求項1または請求項2に記載の水処理システムにおいて、
前記イオン交換装置にアニオン交換樹脂が充填されており、前記薬液がアルカリ性の液体である水処理システム。
【請求項7】
請求項1または請求項2に記載の水処理システムにおいて、
前記イオン交換装置にカチオン交換樹脂が充填されており、前記薬液が酸性の液体である水処理システム。
【請求項8】
請求項1または請求項2に記載の水処理システムにおいて、
洗浄水を前記膜分離装置および前記イオン交換装置へ供給する第4の配管と、
前記第4の配管に設けられた第4のバルブ群と、を有し、
前記制御装置は、前記膜分離装置および前記イオン交換装置への前記薬液の通液が終了した後、前記膜分離装置および前記イオン交換装置へ前記洗浄水が供給されるように、前記第4のバルブ群の開閉を制御する水処理システム。
【請求項9】
膜分離装置とイオン交換装置とを備える水処理システムにおいて、
前記膜分離装置へ薬液を供給する第1の配管と、
前記膜分離装置に通液された薬液を前記イオン交換装置へ供給する第2の配管と、
前記第1の配管に設けられた第1のバルブ群と、
前記第2の配管に設けられた第2のバルブ群と、
前記第1のバルブ群および前記第2のバルブ群の開閉を制御する制御装置と、を有し、
前記制御装置は、前記膜分離装置に通液された薬液が前記イオン交換装置へ供給されるように、前記第2のバルブ群の開閉を制御する水処理システム。
【請求項10】
膜分離装置とイオン交換装置とを備える水処理システムの運転方法において、
配管に配置されたバルブの開閉を制御して、前記膜分離装置と前記イオン交換装置とに被処理水を通水する通水工程と、
所定のタイミングに基づいて、前記バルブの開閉を制御して、前記膜分離装置と前記イオン交換装置とに薬液を同時に並列に供給する通薬工程とを行う水処理システムの運転方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水処理システムおよび水処理システムの運転方法に関する。
【背景技術】
【0002】
水処理システムにおいて、処理対象の水中の溶存気体(CO2やO2)を除去するために、脱気膜が具備された脱気装置が用られる。また、処理対象の水中に含まれるイオンや全有機炭素(TOC:Total Organic Carbon)を除去するために、イオン交換樹脂や逆浸透膜、限外ろ過膜といった水処理装置が用いられる。これらの脱気装置および水処理装置を複数組み合わせることで、水処理システムを構築する。
【0003】
脱気膜の使用に伴い、膜表面への有機物や無機物の付着・堆積による閉塞、いわゆるファウリングが起こる。ファウリングが生じてしまうと、脱気装置の脱気性能や通水性能が低下する。付着・堆積した有機物や無機物を除去するために、脱気膜を定期的に洗浄する必要がある。脱気膜の洗浄には、酸やアルカリといった薬液が使用される(例えば、特許文献1参照。)。
【0004】
水処理装置においても、定期的な洗浄や再生作業が必要となる。例えば、イオン交換樹脂においては、薬液による定期的な再生が必要である。また、逆浸透膜や限外ろ過膜といった膜においても、ファウリングにより低下した膜性能を回復させるため、薬液を用いた膜洗浄が行われる。また、水処理装置の洗浄に使用した薬液を別の水処理装置の洗浄に使用する技術が考えられている(例えば、特許文献2参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2007-90249号公報
【特許文献2】特開2016-22447号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述したような装置の洗浄や再生は、脱気装置や水処理装置の装置ごとに行われる。脱気装置や水処理装置の洗浄や再生を行う場合、脱気装置や水処理装置またはこれらの装置を具備するシステムの運転を停止させ、洗浄や再生対象となる装置をメインラインから切り離して行うことが多い。そのため、洗浄や再生を頻繁に行うと、システムの稼働率が大きく低下してしまうという問題点がある。また、特許文献2に記載された技術においては、付帯設備が多くなり、システムの構成が複雑になってしまう。
【0007】
本発明の目的は、装置の再生に伴うシステムの運転停止時間を容易に短くすることができる水処理システムおよび水処理システムの運転方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の水処理システムは、
膜分離装置とイオン交換装置とを備える水処理システムにおいて、
前記膜分離装置と前記イオン交換装置とに薬液を同時に並列に供給する第1の配管と、
前記第1の配管に設けられた第1のバルブ群と、
前記第1のバルブ群の開閉を制御する制御装置と、を有する。
【0009】
また、本発明の水処理システムは、
膜分離装置とイオン交換装置とを備える水処理システムにおいて、
前記膜分離装置へ薬液を供給する第1の配管と、
前記膜分離装置に通液された薬液を前記イオン交換装置へ供給する第2の配管と、
前記第1の配管に設けられた第1のバルブ群と、
前記第2の配管に設けられた第2のバルブ群と、
前記第1のバルブ群および前記第2のバルブ群の開閉を制御する制御装置と、を有し、
前記制御装置は、前記膜分離装置に通液された薬液が前記イオン交換装置へ供給されるように、前記第2のバルブ群の開閉を制御する。
【0010】
また、本発明の水処理システムの運転方法は、
膜分離装置とイオン交換装置とを備える水処理システムの運転方法において、
配管に配置されたバルブの開閉を制御して、前記膜分離装置と前記イオン交換装置とに被処理水を通水する通水工程と、
所定のタイミングに基づいて、前記バルブの開閉を制御して、前記膜分離装置と前記イオン交換装置とに薬液を同時に並列に供給する通薬工程とを行う。
【発明の効果】
【0011】
本発明においては、装置の再生に伴うシステムの運転停止時間を容易に短くすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】一般的な水処理システムの構成の一例を示す図である。
【
図2】本発明の水処理システムの第1の実施の形態を示す図である。
【
図3】
図2に示した水処理システムにおける運転方法の第1の例を説明するためのフローチャートである。
【
図4】
図2に示した水処理システムにおける運転方法の第2の例を説明するためのフローチャートである。
【
図5】本発明の水処理システムの第2の実施の形態を示す図である。
【
図6】
図5に示した水処理システムにおける運転方法の一例を説明するためのフローチャートである。
【
図7】本発明の水処理システムの第3の実施の形態を示す図である。
【
図8】
図7に示した水処理システムにおける運転方法の一例を説明するためのフローチャートである。
【
図9】本発明の水処理システムの第4の実施の形態を示す図である。
【
図10】
図9に示した水処理システムにおける運転方法の一例を説明するためのフローチャートである。
【
図11】実施例1,2と比較例との結果を示す表である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下に、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
図1は、一般的な水処理システムの構成の一例を示す図である。
図1に示した水処理システムは、原水タンク100と、脱気装置200と、水処理装置300とを有する。原水タンク100は、処理対象の液体である原水が貯留されている槽である。原水タンク100に貯留された液体は、原水を通水する通水工程において、例えば、ポンプを用いて原水タンク100から脱気装置200へ供給される。脱気装置200は、原水タンク100から供給された液体中に含まれる溶存気体を除去する。例えば、脱気装置200は、高分子膜を用いて、溶存酸素や遊離二酸化炭素のような溶存気体を膜透過させて除去する膜脱気装置である。なお、遊離二酸化炭素を除去する膜脱気装置を脱炭酸膜装置と呼ぶこともある。本発明における膜脱気装置が除去する溶存気体の種類は、特に限定しない。例えば、本発明における膜脱気装置は、溶存気体をその種類に関わらず除去するものであっても良いし、特定の種類の溶存気体を除去するものであっても良い。脱気装置200にて溶存気体が除去された液体は、通水工程において、水処理装置300へ供給される。水処理装置300は、脱気装置200と直列に接続され、脱気装置200から供給された液体に含まれる不純物を除去する装置である。水処理装置300は、例えば、イオン交換樹脂が充填されたイオン交換装置であっても良い。イオン交換樹脂として、水中のカチオン成分を除去するカチオン交換樹脂や、水中のアニオン成分を除去するアニオン交換樹脂を使用することができる。水処理装置300は、UF(限外ろ過装置)やRO(逆浸透膜)であっても良い。水処理装置300にて処理された液体(処理水)は、通水工程において、必要に応じて、処理水タンクに貯留されたり、他の単位操作によって処理されたりする。このような水は、原水の水質や、処理された水の純度に応じて、半導体等の電子部品の製造に供する純水、超純水や、工場内の雑用水として利用される。なお、原水タンク100と脱気装置200との間に、ほかの水処理装置(例えば、カチオン交換樹脂が充填されたカチオン交換樹脂装置等)が配置されていても良い。
【0014】
以下に説明する本発明は、
図1に示したような通水工程を行う水処理システムにおいて、使用された構成要素の再生や洗浄に関するものである。
(第1の実施の形態)
【0015】
図2は、本発明の水処理システムの第1の実施の形態を示す図である。本形態における水処理システムは
図2に示すように、原水タンク100と、脱気装置200(膜分離装置)と、水処理装置300(イオン交換装置)とを有する。これらは、
図1に示したものと同じものである。ここで、膜分離装置は、分離膜を用いて、原水中のイオン、TOC、SS(懸濁物質)、ガス成分等を除去する装置である。また、分離膜として、精密ろ過膜、限外ろ過膜、ナノろ過膜、逆浸透膜、脱気膜(脱炭酸膜)等が挙げられる。さらに、本形態における水処理システムは
図2に示すように、薬液タンク400と、複数の開閉弁であるバルブ510,520,530,540と、制御装置600とを有する。バルブ510とバルブ530とから、第1のバルブ群を構成する。これらの構成要素は、互いに配管を介して接続されている。本形態においては、薬液タンク400から脱気装置200および水処理装置300への配管が第1の配管である。また、脱気装置200からバルブ520およびバルブ530を介した水処理装置300への配管が第2の配管である。
【0016】
薬液タンク400は、脱気装置200および水処理装置300を再生するための薬液が貯留された槽である。水処理装置300にアニオン交換樹脂が充填されている場合、薬液タンク400に貯留されている薬液は、例えば、水酸化ナトリウム溶液や水酸化カリウム溶液等のアルカリ性の薬液である。また、水処理装置300にカチオン交換樹脂が充填されている場合、薬液タンク400に貯留されている薬液は、例えば、塩酸や硫酸等の酸性の薬液である。薬液タンク400に貯留された薬液は、薬液を通液する通薬工程において、例えば、ポンプを用いて薬液タンク400からバルブ510,530へ供給される。なお、薬液タンク400に貯留された薬液を510、530に供給する代わりに、RO処理水やイオン交換水、純水といった清澄な水に、水酸化ナトリウム等の薬液をライン中で混合調整させたのちにバルブ510,530へ供給される方法を用いても良い。薬液タンク400からの薬液は、第1の配管を経由して脱気装置200と水処理装置300とに同時に並列に供給される。ここでの「同時」の意味には、互いのタイミングが厳密に同一であるものに限らず、本発明の効果を奏することができるものであれば、あらかじめ設定された時間以下の差があるものも含まれる。以下に説明する実施の形態についても同じである。
【0017】
制御装置600は、処理対象となる液体や、処理後の液体、薬液等が流通する経路に配置されたバルブ510,520,530,540の開閉を制御する。制御装置600は、通薬工程において、薬液タンク400から供給される薬液が脱気装置200と水処理装置300とに並列に供給されるように、バルブ510,530の開閉を制御する。具体的には、制御装置600は、原水タンク100からの液体が脱気装置200へ供給されないように、且つ薬液タンク400からの薬液が脱気装置200へ供給されるように、バルブ510の開閉を制御する。また、制御装置600は、バルブ520からの液体が水処理装置300へ供給されないように、且つ薬液タンク400からの薬液が水処理装置300へ供給されるように、バルブ530の開閉を制御する。さらに、制御装置600は、脱気装置200から流出してきた液体を廃棄する経路へ流すようにバルブ520の開閉を制御する。また、水処理装置300から流出してきた液体を廃棄する経路へ流すようにバルブ540の開閉を制御する。
【0018】
通水工程から通薬工程へ移行するタイミングは、あらかじめ設定されたスケジュールに従ったタイミングであっても良い。また、通水工程から通薬工程へ移行するタイミングは、脱気装置200の前段、つまり原水側(原水タンク100側)における圧力と、脱気装置200の後段、つまり処理水側(水処理装置300側)における圧力との差分に基づいたタイミングであっても良い。具体的には、脱気装置200の原水側における圧力と脱気装置200の透過側における圧力との差分が所定の閾値を超えた場合、制御装置600は通水工程から通薬工程へ移行するためにバルブ510,520,530,540の開閉を制御する。
【0019】
以下に、
図2に示した水処理システムにおける運転方法について説明する。
図3は、
図2に示した水処理システムにおける運転方法の第1の例を説明するためのフローチャートである。
【0020】
まず、通水工程を行うために、制御装置600は、原水タンク100からの通水が行われるようにバルブ510,520,530,540の開閉を制御する(ステップS1)。具体的には、制御装置600は、原水タンク100からの液体が脱気装置200へ供給されるようにバルブ510の開閉を制御する。また、制御装置600は、脱気装置200からの液体が水処理装置300へ供給されるようにバルブ520,530の開閉を制御する。また、制御装置600は、水処理装置300からの液体が処理水タンクへ供給されるようにバルブ540の開閉を制御する。
【0021】
制御装置600が原水タンク100からの通水が行われるようにバルブ510,520,530,540の開閉を制御して、通水工程が行われた後、制御装置600は、あらかじめ設定されたスケジュールに基づいて薬液を通液するタイミングになったかどうかを判定する(ステップS2)。薬液を通液するタイミングは、通水工程から通薬工程へ移行するタイミングである。
【0022】
制御装置600は、薬液を通液するタイミングになったと判定すると、薬液タンク400からの薬液が脱気装置200と水処理装置300とに並列に供給されるようにバルブ510,520,530,540の開閉を制御する(ステップS3)。具体的には、制御装置600は、原水タンク100からの液体が脱気装置200へ供給されないように、且つ薬液タンク400からの薬液が脱気装置200へ供給されるようにバルブ510の開閉を制御する。また、制御装置600は、脱気装置200からの薬液を廃棄する経路へ流すようにバルブ520の開閉を制御する。また、制御装置600は、薬液タンク400からの薬液が水処理装置300へ供給されるようにバルブ530の開閉を制御する。また、制御装置600は、水処理装置300からの薬液を廃棄する経路へ流すようにバルブ540の開閉を制御する。
【0023】
図4は、
図2に示した水処理システムにおける運転方法の第2の例を説明するためのフローチャートである。
【0024】
まず、通水工程を行うために、制御装置600は、原水タンク100からの通水が行われるようにバルブ510,520,530,540の開閉を制御する(ステップS11)。具体的には、制御装置600は、原水タンク100からの液体が脱気装置200へ供給されるようにバルブ510の開閉を制御する。また、制御装置600は、脱気装置200からの液体が水処理装置300へ供給されるようにバルブ520,530の開閉を制御する。また、制御装置600は、水処理装置300からの液体が処理水タンクへ供給されるようにバルブ540の開閉を制御する。
【0025】
制御装置600が原水タンク100からの通水が行われるようにバルブ510,520,530,540の開閉を制御して、通水工程が行われた後、制御装置600は、脱気装置200の原水側における圧力と脱気装置200の透過側における圧力との差分(差圧)が所定の閾値を超えたかどうかを判定する(ステップS12)。
【0026】
制御装置600は、脱気装置200の原水側における圧力と脱気装置200の透過側における圧力との差分(差圧)が所定の閾値を超えたと判定すると、薬液タンク400からの薬液が脱気装置200と水処理装置300とに並列に供給されるようにバルブ510,520,530,540の開閉を制御する(ステップS13)。具体的には、制御装置600は、原水タンク100からの液体が脱気装置200へ供給されないように、且つ薬液タンク400からの薬液が脱気装置200へ供給されるようにバルブ510の開閉を制御する。また、制御装置600は、脱気装置200からの薬液を廃棄する経路へ流すようにバルブ520の開閉を制御する。また、制御装置600は、薬液タンク400からの薬液が水処理装置300へ供給されるようにバルブ530の開閉を制御する。また、制御装置600は、水処理装置300からの薬液を廃棄する経路へ流すようにバルブ540の開閉を制御する。
【0027】
なお、水処理システムが複数の運転系列を有する冗長構成を持つ場合、通水工程で運転している系列が通水工程から通薬工程へ移行すると、他の系列が通水工程へ移行することは言うまでもない。このことは、以下の実施の形態についても同じである。
【0028】
このように、本形態においては、水処理システムを構成する脱気装置および水処理装置を再生するために薬液を通液する工程において、脱気装置と水処理装置とに並列に薬液を供給する。そのため、装置の再生に伴うシステムの運転停止時間を容易に短くすることができる。
【0029】
なお、薬液を通液する工程において、例えば、
図2に示した薬液タンク400からバルブ510とバルブ530とへ分岐する位置にバルブを設け、または薬液タンク400からバルブ530への経路を遮断/排除し、薬液タンク400からの薬液がバルブ530へ直接供給されないようにしても良い。この場合、薬液を通液する工程において、薬液タンク400からの薬液を脱気装置200に供給し、脱気装置200を通液した薬液を水処理装置300へ供給することもできる。これにより、薬液を通液する工程に使用される薬液の量および薬液の排水量を低減することができる。
(第2の実施の形態)
【0030】
図5は、本発明の水処理システムの第2の実施の形態を示す図である。本形態における水処理システムは
図5に示すように、原水タンク100と、脱気装置200と、水処理装置300とを有する。これらは、第1の実施の形態におけるものと同じものである。さらに、本形態における水処理システムは
図5に示すように、薬液タンク400と、複数の開閉弁であるバルブ510,530,540と、制御装置601とを有する。バルブ510とバルブ530とから、第1のバルブ群を構成する。なお、第1の実施の形態におけるバルブ520を具備しても良い。バルブ520とバルブ530とから、第2のバルブ群を構成する。バルブ530は、第1のバルブ群と第2のバルブ群とに属する。つまり、バルブ530は、第1のバルブ群の役割と、第2のバルブ群の役割との双方の役割を果たす。バルブ520を具備する場合、通薬工程の開始直後は、脱気装置200に通液した薬液を、制御装置601がバルブ520を制御して、系外へ排出することもできる。その後、所定のタイミングで、脱気装置200に通液した薬液を、制御装置601がバルブ520を制御して、バルブ530へ供給する。所定のタイミングとして、例えば、
・あらかじめ設定された時間が経過したとき
・脱気装置200からの薬液に含まれるTOCの値が所定の閾値よりも少なくなったとき
・脱気装置200からの薬液のpH値が所定の閾値よりも高くなったとき
・脱気装置200からの薬液の導電率が所定の閾値よりも高くなったとき
等が挙げられる。こうする理由は、通薬工程の初期では、脱気装置200に通液した薬液には除去された汚染物質量が多く含まれ、それらが水処理装置300を再汚染するおそれがあるためである。また、こうする理由は、脱気装置200に含まれていた水で薄められた薬液が水処理装置300に流入することを防ぐためでもある。
【0031】
バルブ510,530,540および薬液タンク400のそれぞれは、第1の実施の形態におけるものとそれぞれ同じものである。本形態においては、薬液タンク400から脱気装置200および水処理装置300への配管が第1の配管である。また、脱気装置200からバルブ530を介した水処理装置300への配管が第2の配管である。
【0032】
制御装置601は、処理対象となる液体や、処理後の液体、薬液等が流通する経路に設けられたバルブ510,530,540の開閉を制御する。制御装置601は、通薬工程において、薬液タンク400から供給される薬液が脱気装置200と水処理装置300とに並列に供給されるように、バルブ510,530の開閉を制御する。具体的には、制御装置601は、原水タンク100からの液体が脱気装置200へ供給されないように、且つ薬液タンク400からの薬液が脱気装置200へ供給されるように、バルブ510の開閉を制御する。また、制御装置601は、脱気装置200からの薬液と薬液タンク400からの薬液とが水処理装置300へ供給されるように、バルブ530の開閉を制御する。さらに、制御装置601は、水処理装置300から流出してきた液体を廃棄する経路へ流すように、バルブ540の開閉を制御する。本形態において、第1の実施の形態のバルブ520を具備する場合、制御装置601は、脱気装置200から流出してきた薬液が水処理装置300(バルブ530)へ供給されるように、バルブ520の開閉を制御する。このとき、制御装置601は、バルブ520,530の開閉を制御して、薬液タンク400から直接バルブ530を介した水処理装置300への薬液の供給を、継続して行っても良いし、脱気装置200に通液した薬液の水処理装置300への供給量が十分であれば遮断しても良い。
【0033】
通水工程から通薬工程へ移行するタイミングは、第1の実施の形態におけるものと同じである。
【0034】
以下に、
図5に示した水処理システムにおける運転方法について説明する。
図6は、
図5に示した水処理システムにおける運転方法の一例を説明するためのフローチャートである。
【0035】
まず、通水工程を行うために、制御装置601は、原水タンク100からの通水が行われるようにバルブ510,530,540の開閉を制御する(ステップS21)。具体的には、制御装置601は、原水タンク100からの液体が脱気装置200へ供給されるようにバルブ510の開閉を制御する。また、制御装置601は、脱気装置200からの液体が水処理装置300へ供給されるようにバルブ530の開閉を制御する。また、制御装置601は、水処理装置300からの液体が、その後段に設けられた処理水タンク等の設備へ供給されるようにバルブ540の開閉を制御する。
【0036】
制御装置601が原水タンク100からの通水が行われるようにバルブ510,530,540の開閉を制御して、通水工程が行われた後、制御装置601は、あらかじめ設定されたスケジュールに基づいて薬液を通液するタイミングになったかどうかを判定する(ステップS22)。薬液を通液するタイミングは、通水工程から通薬工程へ移行するタイミングである。
【0037】
制御装置601は、薬液を通液するタイミングになったと判定すると、薬液タンク400からの薬液が脱気装置200と水処理装置300とに並列に供給されるように、バルブ510,530,540の開閉を制御する(ステップS23)。具体的には、制御装置601は、原水タンク100からの液体が脱気装置200へ供給されないように、且つ薬液タンク400からの薬液が脱気装置200へ供給されるようにバルブ510の開閉を制御する。また、制御装置601は、脱気装置200からの薬液と薬液タンク400からの薬液とが水処理装置300へ供給されるようにバルブ530の開閉を制御する。また、制御装置601は、水処理装置300からの薬液を廃棄する経路へ流すようにバルブ540の開閉を制御する。また、第1の実施の形態のバルブ520を具備する場合、制御装置601は、脱気装置200から流出してきた薬液も水処理装置300(バルブ530)へ供給されるように、バルブ520の開閉を制御する。
【0038】
このように、本形態においては、水処理システムを構成する脱気装置および水処理装置を再生するために薬液を通液する工程において、脱気装置と水処理装置とに並列に薬液を供給する。そのため、装置の再生に伴うシステムの運転停止時間を容易に短くすることができる。さらに、脱気装置に通液された薬液を水処理装置へ供給する。これにより、通薬工程に使用する薬液の量および薬液の排水量を低減することができる。脱気装置に通液された薬液を水処理装置へ供給すれば、薬液タンクから水処理装置へ供給する薬液の量を低減させることも可能となる。
(第3の実施の形態)
【0039】
図7は、本発明の水処理システムの第3の実施の形態を示す図である。本形態における水処理システムは
図7に示すように、原水タンク100と、脱気装置200と、水処理装置300とを有する。これらは、第1の実施の形態におけるものと同じものである。さらに、本形態における水処理システムは
図7に示すように、薬液タンク400と、複数の開閉弁であるバルブ520,530,550,560と、制御装置602とを有する。バルブ530とバルブ550とから、第1のバルブ群を構成する。バルブ550とバルブ560とから、第3のバルブ群を構成する。バルブ550は、第1のバルブ群と第3のバルブ群とに属する。つまり、バルブ550は、第1のバルブ群の役割と、第3のバルブ群の役割との双方の役割を果たす。通薬工程の開始直後は、水処理装置300に通液した薬液を、制御装置602がバルブ560を制御して、系外へ排出することもできる。その後、所定のタイミングで、水処理装置300に通液した薬液を、制御装置602がバルブ560を制御して、バルブ550へ供給する。所定のタイミングとして、例えば、
・あらかじめ設定された時間が経過したとき
・水処理装置300からの薬液に含まれるTOCの値が所定の閾値よりも少なくなったとき
・水処理装置300からの薬液のpH値が所定の閾値よりも高くなったとき
・水処理装置300からの薬液の導電率が所定の閾値よりも高くなったとき
等が挙げられる。こうする理由は、通薬工程の初期では、水処理装置300に通液した薬液には除去された汚染物質量が多く含まれ、それらが脱気装置200を再汚染するおそれがあるためである。また、こうする理由は、脱気装置200に含まれていた水で薄められた薬液が水処理装置300に流入することを防ぐためでもある。
【0040】
バルブ520,530および薬液タンク400のそれぞれは、第1の実施の形態におけるものとそれぞれ同じものである。本形態においては、薬液タンク400から脱気装置200および水処理装置300への配管が第1の配管である。また、脱気装置200からバルブ520およびバルブ530を介した水処理装置300への配管が第2の配管である。また、水処理装置300からバルブ560およびバルブ550を介した脱気装置200への配管が第3の配管である。
【0041】
制御装置602は、処理対象となる液体や、処理後の液体、薬液等が流通する経路に設けられたバルブ520,530,550,560の開閉を制御する。制御装置602は、通薬工程において、薬液タンク400から供給される薬液が脱気装置200と水処理装置300とに並列に供給されるように、バルブ520,530,550,560の開閉を制御する。具体的には、制御装置602は、原水タンク100からの液体が脱気装置200へ供給されないように、且つ薬液タンク400からの薬液が脱気装置200へ供給されるように、バルブ550の開閉を制御する。このとき、制御装置602は、水処理装置300からバルブ560を介した薬液も脱気装置200へ供給されるように、バルブ550を制御する。また、制御装置602は、薬液タンク400からの薬液が水処理装置300へ供給されるように、バルブ530の開閉を制御する。さらに、制御装置602は、水処理装置300から流出してきた薬液をバルブ550へ供給するように、バルブ560の開閉を制御する。また、制御装置602は、脱気装置200から流出してきた液体を廃棄する経路へ流すように、バルブ520の開閉を制御する。このとき、制御装置602は、バルブ550,560の開閉を制御して、薬液タンク400から直接バルブ550を介した脱気装置200への薬液の供給を、継続して行っても良いし、水処理装置300に通液した薬液の脱気装置200への供給量が十分であれば遮断しても良い。
【0042】
通水工程から通薬工程へ移行するタイミングは、第1の実施の形態におけるものと同じである。
【0043】
以下に、
図7に示した水処理システムにおける運転方法について説明する。
図8は、
図7に示した水処理システムにおける運転方法の一例を説明するためのフローチャートである。
【0044】
まず、通水工程を行うために、制御装置602は、原水タンク100からの通水が行われるようにバルブ520,530,550,560の開閉を制御する(ステップS31)。具体的には、制御装置602は、原水タンク100からの液体が脱気装置200へ供給されるようにバルブ550の開閉を制御する。また、制御装置602は、脱気装置200からの液体が水処理装置300へ供給されるようにバルブ520,530の開閉を制御する。また、制御装置602は、水処理装置300からの液体が処理水タンクへ供給されるようにバルブ560の開閉を制御する。
【0045】
制御装置602が原水タンク100からの通水が行われるようにバルブ520,530,550,560の開閉を制御して、通水工程が行われた後、制御装置602は、あらかじめ設定されたスケジュールに基づいて薬液を通液するタイミングになったかどうかを判定する(ステップS32)。薬液を通液するタイミングは、通水工程から通薬工程へ移行するタイミングである。
【0046】
制御装置602は、薬液を通液するタイミングになったと判定すると、薬液タンク400からの薬液が脱気装置200と水処理装置300とに並列に供給されるように、且つ水処理装置300からの薬液がバルブ550,560を介して脱気装置200へ供給されるように、バルブ520,530,550,560の開閉を制御する(ステップS33)。具体的には、制御装置602は、薬液タンク400からの薬液が水処理装置300へ供給されるようにバルブ530の開閉を制御する。また、制御装置602は、水処理装置300からの薬液がバルブ550へ供給されるように、バルブ560の開閉を制御する。また、制御装置602は、原水タンク100からの液体が脱気装置200へ供給されないように、且つ薬液タンク400からの薬液と水処理装置300からバルブ560を介した薬液とが脱気装置200へ供給されるように、バルブ550の開閉を制御する。さらに、制御装置602は、脱気装置200からの薬液を廃棄する経路へ流すようにバルブ520の開閉を制御する。
【0047】
このように、本形態においては、水処理システムを構成する脱気装置および水処理装置を再生するために薬液を通液する工程において、脱気装置と水処理装置とに並列に薬液を供給する。そのため、装置の再生に伴うシステムの運転停止時間を容易に短くすることができる。さらに、水処理装置に通液された薬液を脱気装置へ供給する。これにより、通薬工程に使用する薬液の量および薬液の排水量を低減することができる。
(第4の実施の形態)
【0048】
図9は、本発明の水処理システムの第4の実施の形態を示す図である。本形態においては、通薬工程から洗浄工程へ移行する際の動作について説明する。本形態における水処理システムは
図9に示すように、原水タンク100と、脱気装置200と、水処理装置300とを有する。これらは、第1の実施の形態におけるものと同じものである。さらに、本形態における水処理システムは
図9に示すように、薬液タンク400と、複数の開閉弁であるバルブ530,540,570,580と、制御装置603と、洗浄水タンク700とを有する。本形態においては、バルブ530と、バルブ570と、バルブ580とから、第4のバルブ群を構成する。
【0049】
バルブ530,540および薬液タンク400のそれぞれは、第1の実施の形態におけるものとそれぞれ同じものである。薬液タンク400は、洗浄工程の前に行われる通薬工程で使用されるものであって、洗浄工程では使用されないものである。本形態では、通薬工程の後に行われる洗浄工程を例に挙げて説明するため、
図9においては薬液タンク400を示している。本形態においては、薬液タンク400から脱気装置200および水処理装置300への配管が第1の配管である。また、脱気装置200からバルブ530を介した水処理装置300への配管が第2の配管である。また、洗浄水タンク700から脱気装置200を介した水処理装置300への配管が第4の配管である。バルブ570からバルブ580を介した脱気装置200への配管は、第1の配管と第4の配管とを兼ねる。脱気装置200からバルブ530を介した水処理装置300への配管は、第2の配管と第4の配管とを兼ねる。
【0050】
洗浄水タンク700は、薬液が通液された脱気装置200および水処理装置300を、洗浄工程において洗浄するための液体(洗浄水)が貯留された槽である。洗浄水として、原水、RO処理水やイオン交換水、純水などを使用することができる。洗浄水が原水である場合、洗浄水タンクは原水タンクを兼用できる。
【0051】
制御装置603は、処理対象となる液体や、処理後の液体、薬液、洗浄水等が流通する経路に設けられたバルブ530,540,570,580の開閉を制御する。制御装置602は、通薬工程の後の洗浄工程において、洗浄水タンク700から供給される洗浄水が脱気装置200へ供給され、脱気装置200に通水された洗浄水が水処理装置300へ供給されるように、バルブ530,540,570,580の開閉を制御する。具体的には、制御装置603は、通薬工程が終了し、洗浄工程が開始される際、薬液タンク400からの薬液がバルブ580を介して脱気装置200へ供給されないように、且つ洗浄水タンク700からの洗浄水がバルブ580を介して脱気装置200へ供給されるように、バルブ570の開閉を制御する。また、制御装置603は、原水タンク100からの液体が脱気装置200へ供給されないように、且つバルブ570からの洗浄水が脱気装置200へ供給されるように、バルブ580の開閉を制御する。また、制御装置603は、薬液タンク400からの薬液が水処理装置300へ供給されないように、且つ脱気装置200からの洗浄水が水処理装置300へ供給されるように、バルブ530の開閉を制御する。また、制御装置603は、水処理装置300からの洗浄水を廃棄する経路へ流すように、バルブ540の開閉を制御する。
【0052】
通薬工程から洗浄工程へ移行するタイミングは、あらかじめ設定されたスケジュールに従ったタイミングであっても良い。また、通薬工程から洗浄工程へ移行するタイミングは、通薬工程において、薬液タンク400から供給された薬液の量があらかじめ設定された量になったタイミングであっても良い。
【0053】
以下に、
図9に示した水処理システムにおける運転方法について説明する。
図10は、
図9に示した水処理システムにおける運転方法の一例を説明するためのフローチャートである。
【0054】
通薬工程が終了すると(ステップS41)、洗浄水タンク700からの洗浄水が脱気装置200へ供給され、脱気装置200に通水された洗浄水が水処理装置300へ供給されるように、バルブ530,540,570,580の開閉を制御する(ステップS42)。具体的には、制御装置603は、薬液タンク400からの薬液がバルブ580へ供給されないように、且つ洗浄水タンク700からの洗浄水がバルブ580を介して脱気装置200へ供給されるように、バルブ570の開閉を制御する。また、制御装置603は、原水タンク100からの液体が脱気装置200へ供給されないように、且つバルブ570からの洗浄水が脱気装置200へ供給されるように、バルブ580の開閉を制御する。また、制御装置603は、薬液タンク400からの薬液が水処理装置300へ供給されないように、且つ脱気装置200からの洗浄水が水処理装置300へ供給されるように、バルブ530の開閉を制御する。また、制御装置603は、水処理装置300からの洗浄水を廃棄する経路へ流すように、バルブ540の開閉を制御する。
【0055】
なお、本形態における通薬工程の薬液の通液経路を第2の実施の形態におけるものと同様のものを用いて説明したが、これに限らない、例えば、第1の実施の形態における薬液の通液経路を用いたものや、第3の実施の形態における薬液の通液経路を用いたものであっても良い。
【0056】
このように、本形態においては、水処理システムを構成する脱気装置および水処理装置を再生するために薬液を通液する工程の後に行われる洗浄工程において、脱気装置へ洗浄水を供給し、脱気装置を通水した洗浄水を水処理装置へ供給する。これにより、洗浄工程に使用する洗浄水の量および洗浄水の排水量を低減することができる。
【0057】
なお、通水工程において水処理装置300が脱気装置200の前段に配置されていても良い。この構成の洗浄工程においては、水処理装置300を洗浄して水処理装置300から排出された洗浄水を脱気装置200へ供給して脱気装置200を洗浄しても良い。また、通水工程、通薬工程および洗浄工程の前後に、脱気装置200および水処理装置300に対して互いに独立した別の工程を行っても良い。例えば、原水を用いて、脱気装置や水処理装置の装置内の液体を入れ替えるフラッシング工程、脱気膜や分離膜を薬液で循環する工程、イオン交換樹脂に水を供給して薬液を押し出す押し出し工程、装置内で水を循環させて採水に備える循環待機工程、浸漬工程等を行っても良い。いずれの工程を行った場合であっても、本発明は、システム全体の停止時間の低減や、薬品通水工程における薬品量の低減、水の使用量の低減に寄与する。また、脱気装置200および水処理装置300において、原水を通水する方向および薬液を通液する方向については、特に限定しない。例えば、
図2では、脱気装置200および水処理装置300に原水を通水する方向および薬液を通液する方向は
図2の下側から上側として示しているが、上側から下側への方向でも良い。また、原水を通水する方向と薬液を通液する方向とが対向する方向でも良い。この方向を外部から設定できても良い。
【0058】
[実施例1]
通水工程:
前処理をあらかじめ行い、濁質および塩素が除去された原水を、脱気膜、アニオン交換樹脂装置の順番で処理し、処理水を得た。脱気膜として、スリーエム社製分離膜モジュールを用いた。また、水処理装置として、アニオン交換樹脂AMBERJET4200(DuPont製)とIRA96RF(DuPont製)とを2:1の割合で充填したアニオン交換装置を用いた。
通薬工程:
通水工程で得られた処理水に水酸化ナトリウムを添加し、濃度1.5%の水酸化ナトリウム溶液を洗浄溶液として調製した。洗浄溶液を脱気膜およびアニオン交換樹脂装置にそれぞれ通液し、それぞれ再生を行った。再生を所定時間行ったのち、原水をアニオン交換樹脂装置に通水し、アニオン交換樹脂の洗浄を行った。その後、原水を脱気膜に通水し、脱気膜の洗浄を行った。脱気膜およびアニオン交換樹脂装置の洗浄終了後、通水工程へ移行した。
[実施例2]
洗浄工程の際、原水をアニオン交換樹脂に通水し、アニオン交換樹脂を通水した水を用いて脱気膜の洗浄を行った。
[比較例]
脱気膜とアニオン交換樹脂とをそれぞれ別々に再生および洗浄を行った。
【0059】
図11は、実施例1,2と比較例との結果を示す表である。
図11に示すように、比較例では、脱気膜とアニオン交換樹脂装置とをそれぞれ別々に再生および洗浄しているため、別々に処理した分だけ長い時間がかかっている。一方、実施例1では、脱気膜とアニオン交換樹脂とを互いに同時に再生しているため、通薬工程時間が短縮できている。また、実施例2では、アニオン交換樹脂を洗浄した水を脱気膜へ通水する(再利用する)ことで、洗浄時間の短縮および洗浄水使用量の削減が実現できている。
【0060】
以上、各構成要素に各機能(処理)それぞれを分担させて説明したが、この割り当ては上述したものに限定しない。また、構成要素の構成についても、上述した形態はあくまでも例であって、これに限定しない。また、各実施の形態を組み合わせたものであっても良い。また、上述したバルブ510,520,530,540,550,560,570,580は、三方バルブに限らず、それぞれの入力および出力それぞれを開閉する互いに独立したバルブの組み合わせであっても良い。
【符号の説明】
【0061】
100 原水タンク
200 脱気装置
300 水処理装置
400 薬液タンク
510,520,530,540,550,560,570,580 バルブ
600~603 制御装置
700 洗浄水タンク