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特開2024-175654バッテリ充電装置及びバッテリの充電方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024175654
(43)【公開日】2024-12-18
(54)【発明の名称】バッテリ充電装置及びバッテリの充電方法
(51)【国際特許分類】
   H02J 7/00 20060101AFI20241211BHJP
   B60L 53/14 20190101ALI20241211BHJP
   B60L 50/60 20190101ALI20241211BHJP
   B60L 53/67 20190101ALI20241211BHJP
【FI】
H02J7/00 303C
H02J7/00 P
B60L53/14
B60L50/60
B60L53/67
【審査請求】有
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024065719
(22)【出願日】2024-04-15
(31)【優先権主張番号】P 2023093409
(32)【優先日】2023-06-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(31)【優先権主張番号】P 2023148618
(32)【優先日】2023-09-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】523215587
【氏名又は名称】谷口 幸衛
(74)【代理人】
【識別番号】110001896
【氏名又は名称】弁理士法人朝日奈特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】谷口 幸衛
【テーマコード(参考)】
5G503
5H125
【Fターム(参考)】
5G503AA04
5G503BA01
5G503BB01
5G503CC02
5G503FA06
5H125AA01
5H125AC12
5H125AC24
5H125BC21
5H125BE02
5H125DD02
5H125FF14
(57)【要約】
【課題】速やかにバッテリを充電できる装置及び方法を提供する。
【解決手段】実施形態のバッテリ充電装置100は、第1給電バッテリ11から第N給電バッテリまでのN個の給電バッテリと、複数の電磁リレー2a~2oと、を含んでいて、複数の電磁リレー2a~2oのいずれかを介してN個の給電バッテリそれぞれに接続される被充電バッテリBを充電する。複数の電磁リレー2a~2oによってN個の給電バッテリが第1給電バッテリ11から第N給電バッテリまで順に被充電バッテリBに接続されるように構成されており、N個の給電バッテリのうちの第n給電バッテリによる被充電バッテリBの充電の終了に伴って複数の電磁リレー2a~2oのうちの一の電磁リレーが開状態となることによって、その一の電磁リレー以外の複数の電磁リレー2a~2oのいずれかの電磁リレーによって第(n+1)給電バッテリが被充電バッテリBに接続される。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
充電用の電力を供給する、第1給電バッテリから第N給電バッテリまでのN個(Nは2以上の整数)の給電バッテリと、
少なくともM個(Mは3の前記N倍の整数)の複数の電磁リレーと、
を含んでいて、
前記複数の電磁リレーのいずれかを介して前記N個の給電バッテリそれぞれに接続される被充電バッテリを充電するバッテリ充電装置であって、
前記複数の電磁リレーによって前記N個の給電バッテリが前記第1給電バッテリから前記第N給電バッテリまで順に前記被充電バッテリに接続されて前記被充電バッテリを充電するように構成されており、
前記N個の給電バッテリのうちの第n給電バッテリ(nはN未満の正の整数)による前記被充電バッテリの充電の終了に伴って前記複数の電磁リレーのうちの一の電磁リレーが開状態となることによって、前記一の電磁リレー以外の前記複数の電磁リレーのいずれかによって第(n+1)給電バッテリが前記被充電バッテリに接続されるように構成されているバッテリ充電装置。
【請求項2】
前記第n給電バッテリによる前記被充電バッテリの充電中に閉状態である前記一の電磁リレーで開状態にされることによって、前記N個の給電バッテリのうちの少なくとも第(n+2)~第Nの給電バッテリと前記被充電バッテリとを電気的に分離する遮断スイッチをさらに含んでいる、請求項1記載のバッテリ充電装置。
【請求項3】
充電用の電力を供給する、第1給電バッテリから第N給電バッテリまでのN個(Nは2以上の整数)の給電バッテリと、
少なくともM個(Mは2の前記N倍の整数)の複数の電磁リレーと、
を含んでいて、
前記複数の電磁リレーのいずれかを介して前記N個の給電バッテリそれぞれに接続される被充電バッテリを充電するバッテリ充電装置であって、
前記複数の電磁リレーによって前記N個の給電バッテリが前記第1給電バッテリから前記第N給電バッテリまで順に前記被充電バッテリに接続されて前記被充電バッテリを充電するように構成されており、
前記N個の給電バッテリのうちの第n給電バッテリ(nはN未満の正の整数)による前記被充電バッテリの充電の終了に伴って前記複数の電磁リレーのうちの一の電磁リレーが開状態となることによって、前記一の電磁リレー以外の前記複数の電磁リレーのいずれかによって第(n+1)給電バッテリが前記被充電バッテリに接続されるように構成されているバッテリ充電装置。
【請求項4】
前記複数の電磁リレーそれぞれが、セルモータに備わる電磁接触器で構成されている、請求項1又は3記載のバッテリ充電装置。
【請求項5】
前記複数の電磁リレーそれぞれは、前記複数の電磁リレーそれぞれの開状態と閉状態との切り換わりに伴って変位する移動体を含み、
前記バッテリ充電装置は、前記一の電磁リレーに含まれる前記移動体の変位によって開閉するスイッチをさらに含み、
前記一の電磁リレーが前記開状態になると共に前記スイッチが閉状態となることによって、前記第(n+1)給電バッテリが前記被充電バッテリに接続されるように構成されている、請求項4記載のバッテリ充電装置。
【請求項6】
前記複数の電磁リレーそれぞれは、コイルを介して互いに接続されている第1端子及び第2端子と、前記第1端子から前記コイルに電流が流れると互いの間が導通する二つの端子と、を備えていて前記二つの端子間の導通により閉状態となり、
前記第1給電バッテリの正極が、前記複数の電磁リレーのうちの第1電磁リレー及び第2電磁リレーそれぞれの前記第1端子、並びに前記第2電磁リレーの前記二つの端子の一方に接続され、
前記第1電磁リレーの前記第2端子及び前記二つの端子の一方が、前記複数の電磁リレーのうちの出力用電磁リレーの前記第1端子に通電可能に接続され、
前記第1電磁リレーの前記二つの端子の他方は、前記第2電磁リレーの前記第2端子と接続され、
前記第2電磁リレーの前記二つの端子の他方は、前記出力用電磁リレーの前記二つの端子の一方に接続され、
前記複数の電磁リレーのうちの第3電磁リレーの前記第2端子は、前記第1電磁リレーに含まれる前記移動体の変位によって開閉する前記スイッチを介して前記出力用電磁リレーの前記第1端子に通電可能に接続され、
前記N個の給電バッテリのうちの第2給電バッテリの正極が前記第3電磁リレーの前記第1端子及び前記二つの端子の一方に接続されており、
前記出力用電磁リレーの前記第2端子及び前記二つの端子の他方と、前記N個の給電バッテリそれぞれの負極との間に前記被充電バッテリが接続され、
前記第1電磁リレーが開状態となると共に前記スイッチが閉状態となることによって、前記第2給電バッテリが前記第3電磁リレーを介して前記被充電バッテリに接続されるように構成されている、請求項5記載のバッテリ充電装置。
【請求項7】
外部の充電器が接続されるコネクタと、前記コネクタに接続されているコネクタ用電磁リレーと、をさらに含み、
前記N個の給電バッテリによる前記被充電バッテリの充電が終了すると、前記コネクタ用電磁リレーによって、前記コネクタと前記被充電バッテリとが接続されるように構成されている、請求項1又は3記載のバッテリ充電装置。
【請求項8】
前記コネクタ用電磁リレーが、セルモータに備えられる電磁接触器であり、
前記コネクタ用電磁リレーは、前記コネクタ用電磁リレーの開状態と閉状態との切り換わりに伴って変位する移動体を含んでおり、
前記コネクタから前記被充電バッテリに電流が流れなくなると、前記コネクタ用電磁リレーが開状態になると共に、前記コネクタと前記N個の給電バッテリそれぞれとが、前記移動体の変位に基づいて、前記コネクタに電気的に接続されている導電体と前記N個の給電バッテリそれぞれの正極に接続されている導電体との当接によって、電気的に接続されるように構成されている、請求項7記載のバッテリ充電装置。
【請求項9】
充電用の電力を供給する、第1給電バッテリから第N給電バッテリまでのN個(Nは2以上の整数)の給電バッテリと、少なくともM個(Mは3の前記N倍の整数)の複数の電磁リレーとを用いる、バッテリの充電方法であって、
前記複数の電磁リレーを用いて、前記第1給電バッテリから前記第N給電バッテリまで、前記N個の給電バッテリを順に充電対象の被充電バッテリに接続することと、
前記被充電バッテリに接続される前記N個の給電バッテリを順に用いて前記被充電バッテリを充電することと、を含み、
前記N個の給電バッテリを順に前記被充電バッテリに接続することは、前記N個の給電バッテリのうちの第n給電バッテリ(nはN未満の正の整数)による前記被充電バッテリの充電が終了すると、前記複数の電磁リレーのうちの一の電磁リレーを開状態にして前記複数の電磁リレーのいずれかの電磁リレーを閉状態にすることによって、第(n+1)給電バッテリを、前記いずれかの電磁リレーを介して前記被充電バッテリに接続することを含んでいる、バッテリの充電方法。
【請求項10】
前記複数の電磁リレーそれぞれとして、セルモータに備わる電磁接触器を用いる、請求項9記載のバッテリの充電方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バッテリ充電装置及びバッテリの充電方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、商用電源や、充電スタンドである給電装置を利用して車両のバッテリを充電するバッテリの充電装置が開示されている。特許文献1の充電装置では、ユーザーが希望する充電時間内に充電が完了するように算出される電流値で、車両のバッテリが充電される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2017-121148号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に開示の充電装置では、ユーザーの短時間充電に関する要望に十分に応えられないことがある。
【0005】
本発明は、上記問題に鑑みてなされたもので、高い充電率まで速やかにバッテリを充電することができる、バッテリの充電装置及びバッテリの充電方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のバッテリ充電装置は、充電用の電力を供給する、第1給電バッテリから第N給電バッテリまでのN個(Nは2以上の整数)の給電バッテリと、少なくともM個(Mは3の前記N倍の整数)の複数の電磁リレーと、を含んでいて、前記複数の電磁リレーのいずれかを介して前記N個の給電バッテリそれぞれに接続される被充電バッテリを充電するバッテリ充電装置であって、前記複数の電磁リレーによって前記N個の給電バッテリが前記第1給電バッテリから前記第N給電バッテリまで順に前記被充電バッテリに接続されて前記被充電バッテリを充電するように構成されており、前記N個の給電バッテリのうちの第n給電バッテリ(nはN未満の正の整数)による前記被充電バッテリの充電の終了に伴って前記複数の電磁リレーのうちの一の電磁リレーが開状態となることによって、前記一の電磁リレー以外の前記複数の電磁リレーのいずれかによって第(n+1)給電バッテリが前記被充電バッテリに接続されるように構成されている。
【0007】
本発明のバッテリの充電方法は、充電用の電力を供給する、第1給電バッテリから第N給電バッテリまでのN個(Nは2以上の整数)の給電バッテリと、少なくともM個(Mは3の前記N倍の整数)の複数の電磁リレーとを用いる、バッテリの充電方法であって、前記複数の電磁リレーを用いて、前記第1給電バッテリから前記第N給電バッテリまで、前記N個の給電バッテリを順に充電対象の被充電バッテリに接続することと、前記被充電バッテリに接続される前記N個の給電バッテリを順に用いて前記被充電バッテリを充電することと、を含み、前記N個の給電バッテリを順に前記被充電バッテリに接続することは、前記N個の給電バッテリのうちの第n給電バッテリ(nはN未満の正の整数)による前記被充電バッテリの充電が終了すると、前記複数の電磁リレーのうちの一の電磁リレーを開状態にして前記複数の電磁リレーのいずれかの電磁リレーを閉状態にすることによって、第(n+1)給電バッテリを、前記いずれかの電磁リレーを介して前記被充電バッテリに接続することを含んでいる。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、バッテリを高い充電率まで速やかに充電することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の一実施形態のバッテリ充電装置の一例を模式的に示す回路図である。
図2A】本発明の一実施形態のバッテリ充電装置における電磁リレーの構成の一例を示す模式図である。
図2B図2Aの電磁リレーの一部の改造例を示す図である。
図3図1のバッテリ充電装置の構成を、より具現化して示す回路図である。
図4】本発明の一実施形態のバッテリ充電装置の改変例を模式的に示す回路図である。
図5】本発明の他の実施形態のバッテリ充電装置の一例を模式的に示す回路図である。
図6図5のバッテリ充電装置の改変例を模式的に示す回路図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
図面を参照しながら、本発明のバッテリ充電装置及びバッテリの充電方法の実施形態を説明する。しかし本発明のバッテリ充電装置及びバッテリの充電方法は、以下に説明される実施形態に限定されない。
【0011】
<一実施形態のバッテリ充電装置の全体構成及び作用>
図1には、本発明の一実施形態のバッテリ充電装置の一例であるバッテリ充電装置100の模式的な回路図が示されている。図1に示されるように、バッテリ充電装置100は、充電用の電力を供給する第1給電バッテリ11から第5給電バッテリ15までの5個の給電バッテリを含んでいる。バッテリ充電装置100は、さらに、第1電磁リレー2aから第14電磁リレー2n及び出力用電磁リレー2oの複数の電磁リレーを含んでいる。図1の例においてバッテリ充電装置100は、15個の電磁リレー2a~2oのいずれかを介して5個の給電バッテリ11~15それぞれに接続されるバッテリBを充電する。
【0012】
なお、図1のバッテリ充電装置100が含んでいる給電バッテリ及び電磁リレーそれぞれの数は、本実施形態のバッテリ充電装置が含み得る給電バッテリ及び電磁リレーそれぞれの数の一例に過ぎない。本実施形態のバッテリ充電装置は、2以上の任意の整数であるN個の給電バッテリと、3のN倍の整数であるM個の複数の電磁リレーとを含み得る。また本実施形態のバッテリ充電装置は、少なくともM個の電磁リレーを含んでいればよく、従ってMよりも多い数の複数の電磁リレーを含んでいてもよい。従って本実施形態のバッテリ充電装置は、2以上の任意のN個の給電バッテリそれぞれに、3のN倍の数であるM、又はM以上の複数個の電磁リレーのいずれかを介して接続されるバッテリBを充電する(以下では、充電対象のバッテリBは、給電バッテリとの区別のため「被充電バッテリB」とも称される)。
【0013】
被充電バッテリBは、N個の給電バッテリ(図1の例において第1~第5の給電バッテリ11~15)それぞれの負極1nと、複数の電磁リレー(図1の例において第1~第14の電磁リレー2a~2n及び出力用電磁リレー2o)のうちの出力用電磁リレー2oの第2端子22及び第4端子24との間に接続される。
【0014】
被充電バッテリBは、充電により反復使用が可能な任意の種類の二次電池であり得る。満充電以外の任意の充電状態(SOC:State Of Charge、以下では「充電率」とも称する)にある、任意の種類の二次電池が、本実施形態のバッテリ充電装置に接続されて充電される被充電バッテリBであり得る。被充電バッテリBは、一例として鉛蓄電池であり、特に自動車用の鉛蓄電池であってよい。
【0015】
第1~第5の給電バッテリ11~15(N個の給電バッテリ)は、任意のバッテリであり得るが、好ましくは、それぞれ、被充電バッテリBと同種且つ同定格の二次電池である。従って、第1~第5の給電バッテリ11~15は、それぞれ、一例として鉛蓄電池であり、特に自動車用の鉛蓄電池であり得る。
【0016】
本実施形態のバッテリ充電装置は、N個の給電バッテリ(図1の例において第1~第5の給電バッテリ11~15)が、第1給電バッテリ11から第N給電バッテリ(図1の例において第5給電バッテリ15)まで一つずつ順に、複数の電磁リレー(図1の例において第1~第14の電磁リレー2a~2n及び出力用電磁リレー2o)によって被充電バッテリBに接続されるように構成されている。そのため、N個の給電バッテリそれぞれが被充電バッテリBとの接続時に被充電バッテリBの充電率よりも高い充電率を有していると、各給電バッテリによって順に被充電バッテリBが充電される。このように本実施形態のバッテリ充電装置は、N個の給電バッテリそれぞれを一つずつ順に被充電バッテリBに接続することによって、N個の給電バッテリの一つずつが、被充電バッテリBに接続される順番で被充電バッテリBを順次充電するように構成されている。
【0017】
各給電バッテリに順に接続される被充電バッテリBには、特に制限されない大きな充電電流が順次各給電バッテリから流れ込むため、被充電バッテリBが急速に充電される。先ず被充電バッテリBは、被充電バッテリBに最初に接続される第1給電バッテリ11によって充電される。第1給電バッテリ11の充電率は、被充電バッテリBでの急速な充電の進行(充電率の上昇)と相反して急速に低下する。第1給電バッテリ11による被充電バッテリBの充電は、第1給電バッテリ11の充電率が被充電バッテリBの充電率と略同じになると、充電電流を流し込み得なくなるため終了する。
【0018】
上述のように、本実施形態のバッテリ充電装置では、各給電バッテリが第1給電バッテリ11から第N給電バッテリ(図1では第5給電バッテリ15)まで一つずつ順に被充電バッテリBに接続され、接続される各給電バッテリによって順次被充電バッテリBが充電される。すなわち、第1給電バッテリ11による充電が終了すると、第2給電バッテリ12が被充電バッテリBに接続されて第2給電バッテリ12によって被充電バッテリBが充電される。その後、第2給電バッテリ12による充電が終了すると、第3給電バッテリ13が被充電バッテリBに接続されて第3給電バッテリ13によって被充電バッテリBが充電される。同様に、第4給電バッテリ14による充電、及び第5給電バッテリによる充電が順次行われる。すなわち、一般的に記せば、N個の給電バッテリのうちの第n給電バッテリによる充電が終了すると、第(n+1)給電バッテリによる充電が行われる。ここで、nはN未満の正の整数である。
【0019】
このようなN個の給電バッテリそれぞれによる充電を順に行うために、本実施形態のバッテリ充電装置は、N個の給電バッテリのうちの第n給電バッテリ(nはN未満の正の整数)による被充電バッテリBの充電の終了に伴って複数の電磁リレーのうちの一の電磁リレーが開状態となるように構成されている。さらに本実施形態のバッテリ充電装置は、そのように一の電磁リレーが開状態となることによって、一の電磁リレー以外の複数の電磁リレーのいずれかによって第(n+1)給電バッテリが被充電バッテリBに接続されるように構成されている。
【0020】
一例として、上述のように第1給電バッテリ11による被充電バッテリBの充電が終了すると、図1の例では複数の電磁リレー2a~2oのうちの第1電磁リレー2aが開状態となる。そしてその開状態への移行によって、後述されるように、第3~第5の電磁リレー2c~2eによって第2給電バッテリ12が被充電バッテリBに接続される。第2給電バッテリ12は、被充電バッテリBに接続されるまでは特段放電していないため、被充電バッテリBの充電率よりも高い充電率を維持している。従って、被充電バッテリBが、さらに、第2給電バッテリ12の充電率と略同じ充電率を有するまで、第2給電バッテリ12によって急速に充電される。
【0021】
第2給電バッテリ12による被充電バッテリBの充電が終了すると、その後、同様に、第3給電バッテリ13から第N給電バッテリ(図1では第5給電バッテリ15)まで、一つずつ順に被充電バッテリBに接続され、各給電バッテリ一つずつで順に、被充電バッテリBが充電される。被充電バッテリBの充電率よりも高い充電率を有する各給電バッテリを一つずつ順に被充電バッテリBに接続して被充電バッテリBを充電することによって、被充電バッテリBを、段階的に、より高い充電率まで充電することができる。各給電バッテリによる被充電バッテリBの充電は、いずれも、前述した第1給電バッテリ11による充電と同様に急速に行われる。従って、本実施形態のバッテリ充電装置によれば、被充電バッテリBのようなバッテリを高い充電率まで速やかに充電することができる。
【0022】
なお、図1への記載は省略されているが、図1のバッテリ充電装置100のように、2よりも多い数の給電バッテリが実施形態のバッテリ充電装置に含まれる場合、第n給電バッテリによる被充電バッテリBの充電中に、少なくとも第(n+2)~第Nの給電バッテリによる被充電バッテリBの充電を阻止する充電阻止手段が設けられる。
【0023】
<電磁リレー>
本実施形態のバッテリ充電装置に含まれる少なくともM個の複数の電磁リレーそれぞれは、図1に示される第1~第14の電磁リレー2a~2n及び出力用電磁リレー2oのように、第1端子21、第2端子22、第3端子23、及び第4端子24を備えている。各電磁リレーは、第1端子21から第2端子22に電流が流れることによって生じる磁界の作用によって、第3端子23と第4端子24との間が導通するように構成されている。
【0024】
本実施形態のバッテリ充電装置に含まれる複数の電磁リレーは、このように一組の端子間に電流が流れると他の一組の端子間が導通するものであれば、特にその種類について限定されない。例えば、第1~第14の電磁リレー2a~2n及び出力用電磁リレー2oのような、本実施形態のバッテリ充電装置に含まれる複数の電磁リレーそれぞれは、内燃機関の始動に用いられるセルモータに備わる電磁接触器、所謂マグネットスイッチで構成されていてもよい。例えば自動車のセルモータに備えられるマグネットスイッチが、本実施形態のバッテリ充電装置の複数の電磁リレーに用いられてもよい。
【0025】
図2Aには、本実施形態のバッテリ充電器において複数の電磁リレーを構成する個々の電磁リレー2の構成の一例が模式的に示されている。図2Aは、上記のように内燃機関のセルモータに備えられる電磁接触器(マグネットスイッチ)で構成される電磁リレー2の例を示している。図2Aに示されるように、複数の電磁リレーそれぞれ(電磁リレー2)は、第1端子21と、第2端子22と、第3端子23と、第4端子24とを備えている。第1端子21と第2端子22との間にはコイル205が設けられており、第1端子21と第2端子22とは、コイル205を介して互いに接続されている。
【0026】
電磁リレー2は、さらに筐体210を備えると共に、コイル205を流れる電流が発生させる磁力によって移動する移動体203(第1移動体)と、移動体203の一端にある当接部203aと対向する接触子201及び接触子202と、スプリング208と、を含んでいる。スプリング208は、移動体203の拡張部209と筐体210との間に介在している。接触子201は第3端子23と接続されており、接触子202は第4端子24と接続されている。移動体203の当接部203a、接触子201、及び接触子202は、いずれも導電性を有している。図2Aの例では筐体210も導電性を有していて、第2端子22は筐体210と導通するように設けられている。
【0027】
電磁リレー2を構成するマグネットスイッチが自動車のセルモータに備えられる場合、第3端子23は直接、一方第1端子21はスタータスイッチ(図示せず)を介して、自動車のバッテリ(図示せず)に接続される。また第4端子24はセルモータのアーマチュア(図示せず)に接続され、第2端子22は、フレームグランドである自動車のボディなどに接続される。しかし、本実施形態のバッテリ充電装置を構成する電磁リレー2として自動車のマグネットスイッチが用いられる場合、電磁リレー2の第1~第4の端子21~24は、これら自動車の各部品や部位には接続されない。
【0028】
第1端子21と第2端子22との間に電流が流れると、コイル205によって電磁石が形成される。スプリング208は、コイル205に電流が流れていないときに移動体203の先端204が所定の位置に位置するように、接触子201及び接触子202と反対方向に向かって移動体203を付勢する。第1端子21からコイル205を通って第2端子22に電流が流れると、スプリング208を圧縮しながら移動体203が接触子201及び接触子202に向かって動かされ、その当接部203aと接触子201及び接触子202とが接触する。その接触によって、第3端子23と第4端子24とが導通する。このように、電磁リレー2が備える二つの端子間、すなわち、第3端子23と第4端子24との間は、第1端子21からコイル205に電流が流れると導通し、その導通によって電磁リレー2は閉状態となる。
【0029】
一方、前述したように、移動体203はスプリング208によって接触子201及び接触子202と反対方向に付勢されているため、コイル205に電流が流れていない状態では、移動体203と、接触子201及び接触子202とが離間する。そのため、第3端子23と第4端子24との間が非導通となって電磁リレー2が開状態となる。このように、移動体203は、電磁リレー2の開状態と閉状態との切り換わりに伴って変位する。
【0030】
なお、図2Aの例では、前述したように、一般的な自動車用のセルモータに備えられるマグネットスイッチと同様に、接触子202及び第4端子24と、第1端子21とがコイル206を介して接続されている。しかし、本実施形態のバッテリ充電装置の電磁リレー2が自動車のマグネットスイッチで構成される場合、図2Bに示されるように、マグネットスイッチの一部が改造されてもよい。図2Bは、図2Aの電磁リレー2の改造後のIIB部を拡大して示している。
【0031】
図2Bに一部が示される改造例では、コイル206(及び第1端子21)と、第4端子24(及び接触子202)とを接続する配線207が切断されている。こうすることで、第3端子23(図2A参照)と第4端子24とが導通したときに、第1端子21と第3端子23とがコイル206を介して接続されて電磁リレー2の動作に影響を及ぼすことを防ぐことができる。さらに、図2Bに例示の改造では、コイル206から延びていて第4端子24と分離された配線207が、筐体201に接続されている。すなわち、第1端子21と第2端子22(図2A参照)とがコイル206を介して電気的に接続されている。従って、電磁リレー2を閉状態とするために第1端子21と第2端子22との間に印加すべき電圧を低くすることができる。
【0032】
<各電磁リレー同士、及び各電磁リレーと各給電バッテリとの接続>
再度図1を参照して、図1のバッテリ充電装置100の各電磁リレー間の接続及び各電磁リレーと各給電バッテリとの接続について説明する。図1のバッテリ充電装置100は、前述した、第1~第5の給電バッテリ11~15、第1~第14の電磁リレー2a~2n、及び出力用電磁リレー2oの他に、ダイオード31~34、及びスイッチ41、42を含んでいる。スイッチ41は、第1電磁リレー2aの移動体203と係合するように配置されており、第1電磁リレー2aの移動体203の変位によって開閉する。同様に、スイッチ42は、第4電磁リレー2dの移動体203と係合するように配置されており、第4電磁リレー2dの移動体203の変位によって開閉する。一例としてスイッチ41、42は、押しボタンスイッチであり、好ましくは、押されている間だけ閉状態(オン状態)となるタクティールスイッチ(タクタイルスイッチ)である。
【0033】
なお、図1では、それぞれ二点鎖線による枠L3及び枠L4内の図示が一部省略されて、第7電磁リレー2g~第12電磁リレー2lだけが示されている。しかし、枠L3内においても、二点鎖線による枠L2内の第4~第6の電磁リレー2d~2fと同様に、第7~第9の電磁リレー2g~2iが互いに接続されると共に第4給電バッテリ14と接続されている。また、枠L2内のダイオード32と同様に第7電磁リレー2gにダイオード(図示せず)が接続されており、スイッチ42と同様に第7電磁リレー2gと係合してその移動体の変位によって開閉するスイッチ(図示せず)が配置されている。そのスイッチに、枠L2内のダイオード34と同様にダイオード(図示せず)が接続されている。同様に、枠L4内においても、第10~第12の電磁リレー2j~2lが互いに接続されると共に第5給電バッテリ15と接続されている。また、第10電磁リレー2jにダイオード(図示せず)が接続されると共に、第10電磁リレー2jと係合してその移動体の変位によって開閉するスイッチ(図示せず)が配置され、そのスイッチにダイオード(図示せず)が接続されている。
【0034】
このように、バッテリ充電装置100は、第1、第4、第7、及び第10電磁リレー2a、2d、2g、2jのような、複数の電磁リレーのうちの一の電磁リレーに含まれる移動体203の変位によって開閉する、スイッチ41やスイッチ42のようなスイッチを含んでいる。
【0035】
図1に示されるように、第1給電バッテリ11の正極1pは、第1電磁リレー2a、及び第2電磁リレー2bそれぞれの第1端子21、並びに第2電磁リレー2bの第3端子23に接続されている。第1電磁リレー2aの第2端子22及び第4端子24は、ダイオード31を介して、出力用電磁リレー2oの第1端子21に通電可能に(すなわち出力用電磁リレー2oの第1端子21へと電流が流れ得るように)、接続されている。具体的には、第1電磁リレー2aの第2端子22及び第4端子24はダイオード31のアノードに接続され、そのカソードが出力用電磁リレー2oの第1端子21に接続されている。第1電磁リレー2aの第3端子23は、第2電磁リレー2bの第2端子22と接続されている。第2電磁リレー2bの第4端子24は、出力用電磁リレー2oの第3端子23に接続されている。一方、第3電磁リレー2cの第2端子22は、第1電磁リレー2aの移動体203の変位によって開閉するスイッチ41を介して出力用電磁リレー2oの第1端子21に通電可能に(すなわち出力用電磁リレー2oの第1端子21へと電流が流れ得るように)、接続されている。具体的には、第3電磁リレー2cの第2端子22は、スイッチ41を介して、ダイオード33のアノードに接続され、そのカソードが出力用電磁リレー2oの第1端子21に接続されている。第1~第5の給電バッテリ11~15それぞれの負極1nは、互いに接続されると共に、グランド電位Gに接続されている。第2給電バッテリ12の正極1pが第3電磁リレー2cの第1端子21及び第4端子24に接続されており、第3電磁リレー2cの第3端子23が第4電磁リレー2dの第1端子21に接続されている。
【0036】
第3電磁リレー2cの第3端子23は、第5電磁リレー2eの第1端子21及び第3端子23にも接続されている。第4電磁リレー2dの第2端子22及び第4端子24は、ダイオード32を介して、出力用電磁リレー2oの第1端子21に通電可能に接続されている。すなわち、第4電磁リレー2dの第2端子22及び第4端子24は、ダイオード32のアノードに接続され、そのカソードが出力用電磁リレー2oの第1端子21に接続されている。第4電磁リレー2dの第3端子23は、第5電磁リレー2eの第2端子22と接続されている。第5電磁リレー2eの第4端子24は、出力用電磁リレー2oの第3端子23に接続されている。一方、第6電磁リレー2fの第2端子22は、第4電磁リレー2dの移動体203の変位によって開閉するスイッチ42を介して、出力用電磁リレー2oの第1端子21に通電可能に接続されている。具体的には、第6電磁リレー2fの第2端子22は、スイッチ42を介して、ダイオード34のアノードに接続されて、そのカソードが出力用電磁リレー2oの第1端子21に接続されている。そして第6電磁リレー2fの第1端子21及び第4端子24は、第3給電バッテリ13の正極1pに接続されている。
【0037】
図1において枠L3内においても、前述したように、枠L2内の第4~第6の電磁リレー2d~2f、並びにダイオード32、34、及びスイッチ42と同様に、第7~第9の電磁リレー2g~2i並びに図示されないダイオード及びスイッチが配置されており、枠L2内と同様に互いに接続されている。さらに、枠L4内においても、第10~第12の電磁リレー2j~2l、並びに図示されないダイオード及びスイッチが、枠L2内と同様に配置されて互いに接続されている。
【0038】
そして、第12電磁リレー2lの第3端子23と接続されている配線Wが、第13電磁リレー2mの第1端子21、並びに、第14電磁リレー2nの第1端子21及び第3端子23に接続されている。第13電磁リレー2mの第2端子22及び第4端子24は出力用電磁リレー2oの第1端子21に接続されている。第13電磁リレー2mの第3端子23は、第14電磁リレー2nの第2端子22と接続されている。第14電磁リレー2nの第4端子24は、出力用電磁リレー2oの第3端子23に接続されている。
【0039】
図1のバッテリ充電装置100は、さらに、正極接続端子Tp及び負極接続端子Tnを備えている。正極接続端子Tpは、出力用電磁リレー2oの第2端子22及び第4端子24と接続されている。なお、出力用電磁リレー2oの第2端子22と第4端子24とは、好ましくは、図1に示されるように互いに別々の導電線で、正極接続端子Tpに接続される。そうすることで、被充電バッテリBの充電時に、第4端子24と正極接続端子Tpとの間に流れ得る大きな電流で生じる電圧降下が、第2端子22から正極接続端子Tpへと流れる電流に与える影響を少なくすることができる。負極接続端子Tnは、第1~第5の給電バッテリ11~15それぞれの負極1nに、すなわちグランド電位Gに、接続されている。負極接続端子Tnには、図1の例において車両Vに搭載されている被充電バッテリBの負極Bnが接続され、正極接続端子Tpには被充電バッテリBの正極Bpが接続される。すなわち、出力用電磁リレー2oの第2端子22及び第4端子24と被充電バッテリBの正極Bpとが接続されると共に、N個の給電バッテリそれぞれの負極1nと被充電バッテリBの負極Bnとが接続される。
【0040】
なお、図1の例において、第1~第14の電磁リレー2a~2n及び出力用電磁リレー2оそれぞれにおける、第3端子23への接続と第4端子24への接続とは、図1に示される接続と逆であってもよい。すなわち、図1において各電磁リレーの第3端子23に接続されている回路要素が第4端子24に接続され、代わりに、第4端子24に接続されている回路要素が第3端子23に接続されてもよい。
【0041】
<実施形態のバッテリ充電装置の動作>
図1のバッテリ充電装置100を例に用いて、本実施形態のバッテリ充電装置の動作を説明する。被充電バッテリBの充電率よりも高い充電率の第1~第5の給電バッテリ11~15を備えるバッテリ充電装置100に被充電バッテリBが接続されると、被充電バッテリBがバッテリ充電装置100によって充電される。先ず、第1給電バッテリ11から、第1電磁リレー2aの第1端子21、第2端子22、ダイオード31、並びに、出力用電磁リレー2oの第1端子21及び第2端子22を通って、被充電バッテリBの正極Bpに電流が流れる。そのため、第1電磁リレー2aが閉状態となって、その第3端子23と第4端子24との間が導通すると共に、出力用電磁リレー2oの第3端子23と第4端子24との間も導通する。また、第1電磁リレー2aの第1端子と21と第2端子22との間に電流が流れるのに伴って、第1電磁リレー2aの移動体203が、第1電磁リレー2aの内部に向かって移動し、スイッチ41が開状態(オフ状態)となる。
【0042】
第1電磁リレー2aの第3端子23と第4端子24とが導通するので、第1給電バッテリ11から、第2電磁リレー2bの第1端子21及び第2端子22と第1電磁リレー2aの第3端子23及び第4端子24を通る経路でも、被充電バッテリBへと電流が流れる。そのため、第2電磁リレー2bが閉状態となる。その結果、第1給電バッテリ11と被充電バッテリBとが、第2電磁リレー2bの第3及び第4端子23、24、及び出力用電磁リレー2oの第3及び第4端子23、24だけを介して接続され、大きな電流で速やかに被充電バッテリBが第1給電バッテリ11によって充電される。一方、上記の通り、スイッチ41が開状態となるので第3電磁リレー2cは閉状態にならない。そのため、第1給電バッテリ11による充電中は、第2給電バッテリ12は被充電バッテリBと接続されず、よって第2給電バッテリ12による被充電バッテリBの充電は行われない。また、前述した充電阻止手段の作用により、第3~第5の給電バッテリ13~15による充電も行われない。
【0043】
第1給電バッテリ11によって被充電バッテリBの充電が進行し、それに伴って低下する第1給電バッテリ11の充電率と上昇する被充電バッテリBの充電率とが略同じになると、第1給電バッテリ11から被充電バッテリBへと電流が流れなくなり、第1給電バッテリ11による充電が終了する。例えば被充電バッテリBの接続前の第1給電バッテリ11の充電率が100%であり、被充電バッテリBの充電率が0%であった場合、被充電バッテリBの充電率と第1給電バッテリ11の充電率が、いずれも略50%になると、第1給電バッテリ11による充電が終了する。
【0044】
第1給電バッテリ11から被充電バッテリBへと電流が流れなくなるので、第1電磁リレー2aが開状態となると共に第2電磁リレー2bも開状態となる。しかし、バッテリ充電装置100は、第1電磁リレー2aが開状態となると共にスイッチ41が閉状態となることによって、第2給電バッテリ12が、第3電磁リレー2cを介して被充電バッテリBに接続されるように構成されている。
【0045】
すなわち、第1電磁リレーが開状態となるのに伴って、第1電磁リレー2aの移動体203が、第1電磁リレー2aから突出する方向に移動し、移動体203で押されることによってスイッチ41が閉状態となる。すると、第3電磁リレー2cの第2端子22が、スイッチ41、ダイオード33、及び出力用電磁リレー2oを介して被充電バッテリBの正極Bpに接続される。第3電磁リレー2cの第1端子21は第2給電バッテリ12の正極1pに接続されている。第2給電バッテリ12は、第1給電バッテリ11による充電中は放電していないので、被充電バッテリBよりも高い充電率を有し得る。そのため、第2給電バッテリ12から、第3電磁リレー2cの第1端子21、さらに第2端子22へと電流が流れる。従って、第3電磁リレー2cが閉状態となって、その第3端子23と第4端子24との間が導通し、第2給電バッテリ12の正極1pが、第4及び第5の電磁リレー2d、2eそれぞれの第1端子21と接続される。第2給電バッテリ12の充電率が、依然、被充電バッテリBの充電率よりも高いと、第2給電バッテリ12から、第4電磁リレー2dの第1端子21、第2端子22、ダイオード32、並びに、出力用電磁リレー2oの第1端子21及び第2端子22を通って、被充電バッテリBの正極Bpに電流が流れる。そのため、第4電磁リレー2dが閉状態となって、その第3端子23と第4端子との間が導通すると共に、第4電磁リレー2dの移動体203が、第4電磁リレー2dの内部に向かって移動し、スイッチ42が開状態(オフ状態)となる。
【0046】
第4電磁リレー2dの第3端子23と第4端子24とが導通するので、第2給電バッテリ12から、第5電磁リレー2eの第1端子21及び第2端子22と第4電磁リレー2dの第3端子23及び第4端子24を通る経路でも、被充電バッテリBへと電流が流れる。そのため、第5電磁リレー2eが閉状態となる。その結果、第2給電バッテリ12と被充電バッテリBとが、第3電磁リレー2cの第3及び第4端子23、24、第5電磁リレー2eの第3及び第4端子23、24、並びに、出力用電磁リレー2oの第3及び第4端子23、24だけを介して接続され、大きな電流で速やかに被充電バッテリBが第2給電バッテリ12によって充電される。
【0047】
一方、上記の通り、スイッチ42が開状態となるので第6電磁リレー2fは閉状態にならない。そのため、第2給電バッテリ11による充電中は、第3給電バッテリ13は被充電バッテリBと接続されず、よって第3給電バッテリ13による被充電バッテリBの充電は行われない。また、前述した充電阻止手段の作用により、第4及び第5の給電バッテリ14、15による充電も行われない。なお、第2給電バッテリ12による充電の進行に伴って充電率が上昇する被充電バッテリBから、第1電磁リレー2aなどを通って第1給電バッテリ11に流れようとする電流は、ダイオード31によって防がれる。
【0048】
第2給電バッテリ12による被充電バッテリBの充電が進行し、それに伴って低下する第2給電バッテリ12の充電率と上昇する被充電バッテリBの充電率とが略同じになると、第2給電バッテリ12から被充電バッテリBへと電流が流れなくなり、第2給電バッテリ12による充電が終了する。第3電磁リレー2cを経由する経路でも、第2給電バッテリ12からの電流は流れなくなる。例えば被充電バッテリBの接続前の第2給電バッテリ12の充電率が100%であり、被充電バッテリBが第1給電バッテリ11によって50%の充電率まで充電されている場合、被充電バッテリBの充電率と第2給電バッテリ12の充電率が、いずれも略75%になると、第2給電バッテリ12による充電が終了する。
【0049】
第2給電バッテリ12から被充電バッテリBへと電流が流れなくなるので、第4電磁リレー2dが開状態となると共に第5電磁リレー2eも開状態となる。しかし、第1給電バッテリ11による充電の終了に伴って第2給電バッテリ12が被充電バッテリBに接続されたのと同様に、第4電磁リレー2dが開状態となると共にスイッチ42が閉状態となることによって、第3給電バッテリ13が第6電磁リレー2fなどを介して被充電バッテリBに接続される。
【0050】
すなわち、第4電磁リレー2dが開状態となるのに伴って、第4電磁リレー2dの移動体203が第4電磁リレー2dから突出する方向に移動し、移動体203で押されることによってスイッチ42が閉状態となる。すると、第6電磁リレー2fの第2端子22が、スイッチ42、ダイオード34、及び出力用電磁リレー2oを介して被充電バッテリBの正極Bpに接続される。第6電磁リレー2fの第1端子21は第3給電バッテリ13の正極1pに接続されている。第3給電バッテリ13は、第1及び第2の給電バッテリ11、12による充電中は放電していないので、被充電バッテリBよりも高い充電率を有し得る。そのため、第3給電バッテリ13から、第6電磁リレー2fの第1端子21、さらに第2端子22へと電流が流れる。従って、第6電磁リレー2fが閉状態となって、その第3端子23と第4端子24との間が導通し、第3給電バッテリ13の正極1pが、第7及び第8の電磁リレー2g、2hそれぞれの第1端子と接続される。第3給電バッテリ13の充電率が、依然、被充電バッテリBの充電率よりも高いと、第3給電バッテリ13から、第7電磁リレー2gや出力用電磁リレー2oなどを通って、被充電バッテリBの正極Bpに電流が流れる。そのため、第7電磁リレー2gが閉状態となり、それに伴って第8電磁リレー2hが閉状態となり、第3給電バッテリ13と被充電バッテリBとが、第6電磁リレー2f、第8電磁リレー2h、及び出力用電磁リレー2oを介して接続され、被充電バッテリBが第3給電バッテリ13によって充電される。
【0051】
この第3給電バッテリ13による充電中、第2給電バッテリによる充電中に第3~第5の給電バッテリ13~15による充電が行われないのと同様に、第4及び第5の給電バッテリ14、15による充電は行われない。また、第3給電バッテリ13による充電の進行に伴って充電率が上昇する被充電バッテリBから第2給電バッテリ12に流れようとする電流は、ダイオード32、33によって防がれる。
【0052】
第3給電バッテリ13による被充電バッテリBの充電の進行と共に低下する第3給電バッテリ13の充電率と上昇する被充電バッテリBの充電率とが略同じになると、第3給電バッテリ13による充電が終了する。第6電磁リレー2fを経由する経路でも、第3給電バッテリ13からの電流は流れなくなる。例えば被充電バッテリBの接続前の第3給電バッテリ13の充電率が100%であり、被充電バッテリBが第2給電バッテリ12によって75%の充電率まで充電されている場合、被充電バッテリBの充電率と第3給電バッテリ13の充電率が、いずれも略87.5%になると、第3給電バッテリ13による充電が終了する。
【0053】
第3給電バッテリ13による充電が終了すると、第2給電バッテリ12による充電の終了に伴って第3給電バッテリ13が被充電バッテリBに接続されて第3給電バッテリ13による充電が開始されたのと同様に、第4給電バッテリ14が第9電磁リレー2iを介して被充電バッテリBに接続され、第4給電バッテリ14による被充電バッテリBの充電が開始される。第4給電バッテリ14による充電中、第3給電バッテリによる充電中に第4、第5の給電バッテリ14、15による充電が行われないのと同様に、第5の給電バッテリ15による充電は行われない。また、被充電バッテリBから第3給電バッテリ13に流れようとする電流は、第3給電バッテリ13による充電中に被充電バッテリBから第2給電バッテリ12への電流が防止されたのと同様に、防止される。
【0054】
第4給電バッテリ14の充電率と被充電バッテリBの充電率とが略同じになると、第4給電バッテリ14による充電が終了する。例えば被充電バッテリBの接続前の第4給電バッテリ14の充電率が100%であり、被充電バッテリBが第3給電バッテリ13によって87.5%の充電率まで充電されている場合、被充電バッテリBの充電率と第4給電バッテリ14の充電率が、いずれも略93.75%になると、第4給電バッテリ14による充電が終了する。
【0055】
第4給電バッテリ14による充電が終了すると、第3給電バッテリ13による充電の終了に伴って第4給電バッテリ14が被充電バッテリBに接続されて第4給電バッテリ14による充電が開始されたのと同様に、第5給電バッテリ15が第12電磁リレー2lを介して被充電バッテリBに接続され、第5給電バッテリ15による被充電バッテリBの充電が開始される。第5給電バッテリ15による充電中、被充電バッテリBから第4給電バッテリ14に流れようとする電流は、第4給電バッテリ14による充電中に被充電バッテリBからの第3給電バッテリ13への電流が防止されたのと同様に、防止される。
【0056】
第5給電バッテリ15の充電率と被充電バッテリBの充電率とが略同じになると、第5給電バッテリ15による充電が終了する。例えば被充電バッテリBの接続前の第5給電バッテリ15の充電率が100%であり、被充電バッテリBが第4給電バッテリ14によって93.75%の充電率まで充電されている場合、被充電バッテリBの充電率と第5給電バッテリ15の充電率が、いずれも略96.875%になると、第5給電バッテリ15による充電が終了する。
【0057】
以上のように、バッテリ充電装置100では、各給電バッテリ(第n給電バッテリ)による充電の終了に伴って、第1電磁リレー2aや第4電磁リレー2dのような、複数の電磁リレーのうちの一の電磁リレーが開状態になる。そしてバッテリ充電装置100では、そのように一の電磁リレーが開状態になると共に、スイッチ41、42のような、その一の電磁リレーとの係合によって開閉するスイッチが閉状態となる。バッテリ充電装置100は、そのように一の電磁リレーとの係合によって開閉するスイッチが閉状態となることによって、次に被充電バッテリBを充電する給電バッテリ(すなわち第(n+1)給電バッテリ)が、一の電磁リレー以外の電磁リレーによって被充電バッテリBに接続されるように構成されている。バッテリ充電装置100は、このように構成されているので、被充電バッテリBへの充電により第n給電バッテリの充電率が低下して第n給電バッテリによる充電が終了しても、引き続き、第(n+1)給電バッテリによって、より高い充電率へと被充電バッテリBをさらに充電することができる。
【0058】
図3には、図1のバッテリ充電装置100において、第n給電バッテリによる被充電バッテリBの充電中に、少なくとも第(n+2)~第Nの給電バッテリによる被充電バッテリBの充電を阻止する、前述した充電阻止手段の一具体例が示されている。図3に示される例では、そのような充電阻止手段として、遮断スイッチ44、45がバッテリ充電装置100に備えられている。遮断スイッチ44は、第2電磁リレー2bの移動体203と係合するように配置されており、第2電磁リレー2bの移動体203の変位によって開閉する。同様に、遮断スイッチ45は、第5電磁リレー2eの移動体203と係合するように配置されており、第5電磁リレー2eの移動体203の変位によって開閉する。一例として遮断スイッチ44、45は、押しボタンスイッチであり、好ましくは、押されている間だけ閉状態(オン状態)となるタクティールスイッチ(タクタイルスイッチ)である。なお、図3では、図1と同様に枠L3及び枠L4内には、第7電磁リレー2g~第12電磁リレー2lだけが示されている。しかし、枠L3内においても、枠L2内の遮断スイッチ45と同様に第8電磁リレー2hと係合してその移動体の変位によって開閉する遮断スイッチ(図示せず)が配置されている。同様に、枠L4内においても、第11電磁リレー2kと係合してその移動体の変位によって開閉する遮断スイッチ(図示せず)が配置されている。
【0059】
図3のバッテリ充電装置100において、第1、第4、第7、第10、第13の電磁リレー2a、2d、2g、2j、2mの第2端子22は、出力用電磁リレー2oの第1端子21に接続されている配線(バス配線7)に、各ダイオードを介して、又は直接、バス接続型式で接続されている。出力用電磁リレー2o側に近い側から、第1、第4、第7、第10、第13の電磁リレー2a、2d、2g、2j、2mの順で、バス配線7に接続されている。遮断スイッチ44及び遮断スイッチ45それぞれの両端は、バス配線7に接続されている。遮断スイッチ44は、第1電磁リレー2aと第4電磁リレー2dとの間に介在し、第1電磁リレー2aと第4電磁リレー2dとの間でバス配線7を電気的に切断又は通じさせる。遮断スイッチ45は、第4電磁リレー2dと第7電磁リレー2gとの間に介在し、第4電磁リレー2dと第7電磁リレー2gとの間でバス配線7を電気的に切断又は通じさせる。同様に、第8電磁リレー2h又は第11電磁リレー2kに係合する図示されない遮断スイッチは、第7電磁リレー2gと第10電磁リレー2jとの間、又は第10電磁リレー2jと第13電磁リレー2mとの間で、バス配線7を電気的に切断又は通じさせる。従って、図3に示される遮断スイッチ44などの遮断スイッチは、第n給電バッテリによる被充電バッテリBの充電中に、第(n+2)~第Nの給電バッテリだけでなく、第(n+1)給電バッテリによる被充電バッテリBの充電も阻止する充電阻止手段の例である。
【0060】
図3のバッテリ充電装置100において、第1給電バッテリ11による被充電バッテリBの充電中は、第1電磁リレー2aが閉状態にあるため第2電磁リレー2bも閉状態となる。そのため、第2電磁リレー2bの移動体203が第2電磁リレー2bの内部に向かって移動し、遮断スイッチ44が開状態にされる。そのため、バス配線7は、第1電磁リレー2aとの接続点と第4電磁リレー2dとの接続点との間で断線した状態となる。そのため、例え第6、第9、第12の電磁リレー2f、2i、2lが閉状態であっても、第3~第5の給電バッテリ13~15と被充電バッテリBとは接続されず、電気的に分離される。すなわち、第1給電バッテリ11による被充電バッテリBの充電中に、第3~第5の給電バッテリ13~15による被充電バッテリBの充電が阻止される。
【0061】
第2給電バッテリ12による被充電バッテリBの充電中は、第4電磁リレー2dが閉状態にあるため第5電磁リレー2eも閉状態となる。そのため、遮断スイッチ45が開状態にされ、バス配線7は、第4電磁リレー2dとの接続点と第7電磁リレー2gとの接続点との間で断線した状態となる。そのため、例え第9、第12の電磁リレー2i、2lが閉状態であっても、第4~第5の給電バッテリ14~15と被充電バッテリBとは接続されず、電気的に分離される。すなわち、第2給電バッテリ12による被充電バッテリBの充電中に、第4~第5の給電バッテリ14、15による被充電バッテリBの充電が阻止される。
【0062】
同様に、第3給電バッテリ13による被充電バッテリBの充電中は、第7電磁リレー2gが閉状態にあるため第8電磁リレー2hに係合する図示されない遮断スイッチが開状態にされ、バス配線7は、第7電磁リレー2gとの接続点と第10電磁リレー2jとの接続点との間で断線した状態となる。そのため、例え第12電磁リレー2lが閉状態であっても、第5給電バッテリ15と被充電バッテリBとは接続されずに電気的に分離され、第5給電バッテリ15による被充電バッテリBの充電が阻止される。
【0063】
なお、図3に示される遮断スイッチ44は、第1電磁リレー2aと第4電磁リレー2dとの間ではなく、第4電磁リレー2dと第7電磁リレー2gとの間に介在し、第4電磁リレー2dと第7電磁リレー2gとの間でバス配線7を電気的に切断又は通じさせてもよい。また、遮断スイッチ45は、第4電磁リレー2dと第7電磁リレー2gとの間ではなく、第7電磁リレー2gと第10電磁リレー2jとの間に介在し、第7電磁リレー2gと第10電磁リレー2jとの間でバス配線7を電気的に切断又は通じさせてもよい。同様に、第8電磁リレー2hに係合する図示されない遮断スイッチは、第7電磁リレー2gと第10電磁リレー2jとの間ではなく、第10電磁リレー2jと第13電磁リレー2mとの間に介在し、第10電磁リレー2jと第13電磁リレー2mとの間でバス配線7を電気的に切断又は通じさせてもよい。この場合、遮断スイッチ44、45などの各遮断スイッチは、第n給電バッテリによる被充電バッテリBの充電中に、第(n+2)~第Nの給電バッテリによる被充電バッテリBの充電を阻止する。なお、第n給電バッテリによる被充電バッテリBの充電中の第(n+1)給電バッテリによる被充電バッテリBの充電は、前述したように、第3、第6、第9、第12の電磁リレー2c、2f、2i、2lのいずれかが開状態となることによって阻止される。
【0064】
このように、図3に示される具体例では、遮断スイッチ44、45のような充電阻止手段によって、第n給電バッテリによる被充電バッテリBの充電中に、第(n+1)~第Nの給電バッテリによる被充電バッテリBの充電が阻止される。実施形態のバッテリ充電装置は、このような充電阻止のための手段として、第n給電バッテリによる被充電バッテリBの充電中に閉状態である一の電磁リレーによって開状態にされることによって、少なくとも第(n+2)~第Nの給電バッテリと被充電バッテリBとを電気的に分離する遮断スイッチを含んでもよい。なお、前述したように、実施形態のバッテリ充電装置が2個の給電バッテリだけを含む場合、遮断スイッチ44、45のような、第n給電バッテリによる被充電バッテリBの充電中に、少なくとも第(n+2)~第Nの給電バッテリによる被充電バッテリBの充電を阻止する充電阻止手段は、設けられなくてよい。
【0065】
図4には、図1及び図3のバッテリ充電装置100の改変例であるバッテリ充電装置100aが回路図によって模式的に示されている。バッテリ充電装置100aは、図1などのバッテリ充電装置100に備えられている、第3、第6、第9、第12、及び第13の電磁リレー2c、2f、2i、2l、及び2mを備えていない。加えて、バッテリ充電装置100aは、図1などのバッテリ充電装置100に備えられている、ダイオード33、34、並びに、これらのダイオードと同様に図1の枠L3内及び枠L4内に配置されているダイオード(図示せず)を備えていない。すなわち、第2給電バッテリ12の正極1pは、第4電磁リレー2dの第1端子21並びに第5電磁リレー2eの第1及び第3の端子21、23に直接接続されている。図示されていないが、第3給電バッテリ13の正極1pは、第7電磁リレー2gの第1端子並びに第8電磁リレー2hの第1及び第3の端子に直接接続されており、第4給電バッテリ14の正極1pは、第10電磁リレー2jの第1端子並びに第11電磁リレー2kの第1及び第3の端子に、直接接続されている。そして、第5給電バッテリ15の正極1pは、第14電磁リレー2nの第1端子21及び第3端子23に直接接続されている。
【0066】
また、第1電磁リレー21の移動体203と係合するスイッチ41は、図3の遮断スイッチ44と同様に第1電磁リレー2aと第4電磁リレー2dとの間に介在するようにバス配線7に接続されている。そのためスイッチ41は、第1電磁リレー2aとの接続点と第4電磁リレー2dとの接続点との間で、第1電磁リレー2aが閉状態のときにバス配線7を電気的に切断し、第1電磁リレー2aが開状態のときにバス配線7を導通させる。また、第4電磁リレー2dの移動体203と係合するスイッチ42は、図3の遮断スイッチ45と同様に第4電磁リレー2dと第7電磁リレー2gとの間に介在するようにバス配線7に接続されている。そのためスイッチ42は、第4電磁リレー2dとの接続点と第7電磁リレー2gとの接続点との間で、第4電磁リレー2dが閉状態のときにバス配線7を電気的に切断し、第4電磁リレー2dが開状態のときにバス配線7を導通させる。
【0067】
図示されていないが、枠L3内においても、第7電磁リレー2gの移動体と係合するスイッチが備えられ、第7電磁リレー2gと第10電磁リレー2jとの間に介在するようにバス配線7に接続されている。そして、バス配線7は、第7電磁リレー2gとの接続点と、第10電磁リレー2jとの接続点との間で、第7電磁リレー2gが閉状態のときに電気的に切断され、第7電磁リレー2gが開状態のときに導通される。同様に枠L4内においても、第10電磁リレー2jの移動体と係合するスイッチが備えられ、第10電磁リレー2jと第14電磁リレー2nとの間に介在するようにバス配線7に接続されている。そして、バス配線7は、第10電磁リレー2jとの接続点と、第14電磁リレー2nとの間で、第10電磁リレー2jが閉状態のときに電気的に切断され、第10電磁リレー2jが開状態のときに導通される。
【0068】
図4のバッテリ充電装置100aでは、第1給電バッテリ11による被充電バッテリBの充電中は、第1電磁リレー2aが閉状態にあるため、スイッチ41が開状態にある。そのため、バス配線7は、第1電磁リレー2aとの接続点と第4電磁リレー2dとの接続点との間で断線した状態となる。従って、第2~第5の給電バッテリ12~15と被充電バッテリBとは接続されず、電気的に分離される。すなわち、第1給電バッテリ11による被充電バッテリBの充電中に、第2~第5の給電バッテリ12~15による被充電バッテリBの充電が阻止される。
【0069】
第2給電バッテリ12による被充電バッテリBの充電中は、第4電磁リレー2dが閉状態にあるため、スイッチ42が開状態にある。そのため、バス配線7は、第4電磁リレー2dとの接続点と第7電磁リレー2gとの接続点との間で断線した状態となる。従って、第3~第5の給電バッテリ13~15と被充電バッテリBとは接続されず、電気的に分離される。すなわち、第2給電バッテリ12による被充電バッテリBの充電中に、第3~第5の給電バッテリ13~15による被充電バッテリBの充電が阻止される。
【0070】
同様に、第3給電バッテリ13による被充電バッテリBの充電中は、第7電磁リレー2gが閉状態にあるため、第7電磁リレー2gと係合するスイッチ(図示せず)が開状態にあり、バス配線7は、第7電磁リレー2gとの接続点と第10電磁リレー2jとの接続点との間で断線した状態となる。そのため、第4給電バッテリ14及び第5給電バッテリ15と被充電バッテリBとは接続されずに電気的に分離され、第4給電バッテリ14及び第5給電バッテリ15による被充電バッテリBの充電が阻止される。また、第4給電バッテリ14による被充電バッテリBの充電中は、第10電磁リレー2jが閉状態にあるため、第10電磁リレー2jと係合するスイッチ(図示せず)が開状態にあり、バス配線7は、第10電磁リレー2jとの接続点と第14電磁リレー2nとの間で断線した状態となる。そのため、第5給電バッテリ15による被充電バッテリBの充電が阻止される。
【0071】
一方、図4のバッテリ充電装置100aにおいても、第1給電バッテリ11による被充電バッテリBの充電が終了すると、第1電磁リレー2aが開状態となることによって、スイッチ41が閉状態となって第4電磁リレー2d及び第5電磁リレー2eを介して第2給電バッテリ12が被充電バッテリBに接続される。第2給電バッテリ12による被充電バッテリBの充電が終了すると、第4電磁リレー2dが開状態となることによって、スイッチ42が閉状態となって第7電磁リレー2g及び第8電磁リレー2hを介して第3給電バッテリ13が被充電バッテリBに接続される。同様に、第3給電バッテリ13による被充電バッテリBの充電が終了すると、第7電磁リレー2gが開状態となることによって、第10電磁リレー2j及び第11電磁リレー2kを介して第4給電バッテリ14が被充電バッテリBに接続される。そして、第4給電バッテリ14による被充電バッテリBの充電が終了すると、第10電磁リレー2jが開状態となることによって、第14電磁リレー2nを介して第5給電バッテリ15が被充電バッテリBに接続される。
【0072】
すなわち、バッテリ充電装置100aにおいても、第n給電バッテリによる被充電バッテリBの充電の終了に伴って複数の電磁リレーのうちの一の電磁リレーが開状態となることによって、当該一の電磁リレー以外の複数の電磁リレーのいずれかによって第(n+1)給電バッテリが被充電バッテリBに接続される。従って、複数の給電バッテリが一つずつ順に被充電バッテリBに接続され、各給電バッテリによって被充電バッテリBが充電される。従って、前述したように、段階的に、且つ速やかに、より高い充電率まで被充電バッテリBを充電することができる。本変形例のバッテリ充電装置100aは、N=5個の給電バッテリに対して10(2のN倍)個の電磁リレーを含んでいる。実施形態のバッテリ充電装置は、図4の例のように、2のN倍(Nは給電バッテリの数であって2以上の整数)以上の数の電磁リレーを含んでいてもよい。
【0073】
<他の実施形態のバッテリ充電装置>
つぎに、本発明の他の実施形態のバッテリ充電装置を説明する。図5には、他の実施形態のバッテリ充電装置の一例であるバッテリ充電装置101が示されている。なお、図5において枠L5内の図示は省略されているが、枠L5内には、図1及び図3内の二点鎖線による枠L5内と同様に、第1~第14の電磁リレー2a~2n、ダイオード31~34などの各ダイオード、及びスイッチ41、42、44、45などの各スイッチが配置されている。そしてそれら構成要素同士が、図1又は図3と同様に互いに接続されている。図5の枠L5内には、図4内の二点鎖線による枠L5内と同様に電磁リレー、ダイオード、及びスイッチが配置され、それら構成要素が、図4と同様に互いに接続されていてもよい。図5の枠L5内の図示されない各構成要素は、図1図3、又は図4の枠L5内に示される構成要素と同様に機能及び作用するため、それら各要素に関する繰り返しとなる説明は省略する。
【0074】
図5に示されるように、バッテリ充電装置101は、図1のバッテリ充電装置100の構成要素に加えて、さらに、コネクタ5と、コネクタ5に接続されているコネクタ用電磁リレー2pと、スイッチ40と、をさらに含んでいる。コネクタ5の正極5p及び負極5nには、それぞれ、外部の充電器Cの出力プラグの正極Cp及び負極Cnが接続される。図5の例では、三つのコネクタ5が設けられており、互いに並列に接続されている。なお、本実施形態のバッテリ充電装置は、外部の充電器が接続される1以上の任意の数のコネクタ5を含み得る。
【0075】
コネクタ用電磁リレー2pは、出力用電磁リレー2oなどと同様に、図2Aに示される構造を有している。すなわち、コネクタ用電磁リレー2pは、第1端子21、第2端子22、第3端子23、及び第4端子24を備えており、第1端子21から第2端子22に電流が流れると、第3端子23と第4端子24との間が導通するように構成されている。一例として、コネクタ用電磁リレー2pは、内燃機関の始動に用いられるセルモータに備えられる電磁接触器(所謂マグネットスイッチ)であってよく、例えば自動車のセルモータに備えられるマグネットスイッチであってもよい。
【0076】
スイッチ40は、出力用電磁リレー2oの移動体203と係合するように配置されており、出力用電磁リレー2oの移動体203の変位によって開閉する。一例としてスイッチ40は、図1のスイッチ41、42と同様に、押しボタンスイッチであり、好ましくは、押されている間だけ閉状態となるタクティールスイッチである。
【0077】
コネクタ用電磁リレー2pの第1端子21は、スイッチ40を介して、コネクタ5の正極5pに接続されており、第3端子23は、コネクタ5の正極5pに直接接続されている。一方、コネクタ用電磁リレー2pの第2端子22及び第4端子24は、出力用電磁リレー2oの第2端子22及び第4端子24と同様に、正極接続端子Tpに接続されている。なお、コネクタ用電磁リレー2pの第2端子22と第4端子24とは、好ましくは、図5に示されるように互いに別々の導電線で、正極接続端子Tpに接続される。そうすることで、外部の充電器Cによる被充電バッテリBの充電時に、第4端子24と正極接続端子Tpとの間に流れ得る大きな電流で生じる電圧降下が、第2端子22から正極接続端子Tpに流れる電流に与える影響を少なくすることができる。より好ましくは、図5に示されるように、出力用電磁リレー2oの第2端子22とコネクタ用電磁リレー2pの第2端子22も、図5に示されるように互いに別々の導電線で、正極接続端子Tpに接続される。
【0078】
図5の例のコネクタ用電磁リレー2pは、出力用電磁リレー2oなどと同様に、コネクタ用電磁リレー2pの開状態と閉状態との切り換わりに伴って変位する移動体(第2移動体)211を含んでいる。図5のバッテリ充電装置101では、移動体211は、コネクタ用電磁リレー2pの第1端子21から第2端子22に電流が流れるとコネクタ用電磁リレー2pの内部に向かって移動する。一方、第1端子21から第2端子22に電流が流れていないときには、移動体211は、図5に矢印Aで示されるようにコネクタ用電磁リレー2pから外部に向かって突出するように構成されている。
【0079】
コネクタ用電磁リレー2pの第1端子21は、移動体211に接続されて移動体211と共に移動する導電体61にも接続されている。すなわち、コネクタ5の正極5pは、スイッチ40を介して、導電体61にも接続されている。コネクタ5の負極5nは、グランド電位Gに接続されていて、第1~第5の給電バッテリ11~15それぞれの負極1nと電気的に直接接続されている。そして本実施形態では、N個の給電バッテリ(図5において第1~第5の給電バッテリ11~15)それぞれの正極1pが、導電体61の近傍にそれぞれ配置されている導電体62に、個別に接続されている。導電体62は、コネクタ用電磁リレー2pの第1端子21から第2端子22に電流が流れていないときに、すなわち、移動体211と共に導電体61が矢印Aで示されるコネクタ用電磁リレー2pから遠ざかる方向に移動しているときに、導電体61と当接するような位置に配置されている。
【0080】
図5のバッテリ充電装置101において、第1~第5の給電バッテリ11~15による被充電バッテリBの充電中には、出力用電磁リレー2oの第1端子21と第2端子22との間に電流が流れるため、出力用電磁リレー2oが閉状態となっている。そのためスイッチ40が開状態となって、コネクタ用電磁リレー2pの第1端子21とコネクタ5の正極5pとが分離されている。従ってコネクタ用電磁リレー2pは開状態になっているため、例えコネクタ5に充電器Cが接続されていても、被充電バッテリBは充電器Cで充電されない。また、コネクタ用電磁リレー2pが開状態であるため導電体61と導電体62とが当接しているものの、開状態のスイッチ40によってコネクタ5と導電体61とが分離されている。そのため、例えコネクタ5に充電器Cが接続されていても、第1~第5の給電バッテリ11~15は、充電器Cによって充電されない。
【0081】
そして、第1~第5の給電バッテリ11~15による被充電バッテリBの充電が終了すると、出力用電磁リレー2oの第1端子21と第2端子22との間に電流が流れなくなるため、出力用電磁リレー2oが開状態となる。すなわち出力用電磁リレー2oの移動体203が、出力用電磁リレー2oから突出する方向に移動する。そのため、スイッチ40が、出力用電磁リレー2oの移動体203に押されて閉状態となって、コネクタ用電磁リレー2pの第1端子21とコネクタ5の正極5pとが接続される。充電器Cからコネクタ用電磁リレー2pの第1端子21及び第2端子22を通って、被充電バッテリBへと電流が流れるため、コネクタ用電磁リレー2pが閉状態となる。
【0082】
すなわちコネクタ用電磁リレー2pの第3端子23と第4端子24との間が導通し、充電器Cと被充電バッテリBとが、コネクタ用電磁リレー2pの第3端子23及び第4端子24を介して接続される。そのため、第1~第5の給電バッテリ11~15による充電後の被充電バッテリ5Bが、充電器Cでさらに充電される。
【0083】
このように、本実施形態では、N個の給電バッテリ(図5の例において第1~第5の給電バッテリ11~15)による被充電バッテリBの充電が終了すると、コネクタ用電磁リレー2pによって、コネクタ5と被充電バッテリBとが接続されるように構成されている。そのため、N個の給電バッテリによる充電後に、満充電まで充電されていない被充電バッテリBに対して、充電器Cによる充電を自動的に開始し得ることがある。従って、満充電まで充電されていない被充電バッテリBをさらに充電してその充電率をさらに高めることができる。
【0084】
また、バッテリ充電装置101では、出力用電磁リレー2oが開状態になると、閉状態となるスイッチ40によって導電体61とコネクタ5の正極5pとの間も電気的に接続される。しかし、コネクタ用電磁リレー2pの第1端子21と第2端子22との間に電流が流れている間は、コネクタ用電磁リレー2pの移動体211がコネクタ用電磁リレー2pの内部に向かって移動するため、図5に示されるように、導電体61と各導電体62とが離間する。そのため、コネクタCの正極Cpと第1~第5の給電バッテリ11~15の正極1pとの間も電気的に分離されている。そのため、例えコネクタ5に充電器Cが接続されていても、第1~第5の給電バッテリ11~15は、充電器Cによって充電されない。
【0085】
そして、被充電バッテリBが例えば満充電状態となって充電器Cによる充電が終了すると、コネクタ用電磁リレー2pの第1端子21と第2端子22との間に電流が流れなくなる。コネクタ用電磁リレー2pが開状態となるため移動体211が図5の矢印Aの向きに突出する。導電体61も移動体211と共に移動して各導電体62と当接する。従って、第1~第5の給電バッテリ11~15それぞれの正極1pが、導電体62、導電体61、スイッチ40、及びコネクタ5を介して、充電器Cの正極Cpと接続される。そのため、被充電バッテリBの充電後の各給電バッテリが、充電器Cによって充電される。
【0086】
このように図5のバッテリ充電装置101は、コネクタ5から被充電バッテリBに電流が流れなくなると、コネクタ用電磁リレー2pが開状態になると共に、コネクタ5とN個の給電バッテリそれぞれとが、移動体211の変位に基づく導電体61と導電体62との当接によって電気的に接続されるように構成されている。そのため、N個の給電バッテリによる被充電バッテリBの充電が終了し、さらに充電器Cのような外部の充電器による被充電バッテリBの最終的な充電も終了した後に、その外部の充電器によるN個の給電バッテリの充電を自動的に開始することができる。すなわち、被充電バッテリBの充電によって充電率が低下したN個の給電バッテリを再充電して、それぞれの充電率を、好ましくは満充電の状態まで回復させることができる。
【0087】
なお、図5のバッテリ充電装置101では、N個の給電バッテリ(図5の例において第1~第5の給電バッテリ11~15)による被充電バッテリBの充電中は、各導電体62及び導電体61を介して、各給電バッテリの正極1p同士が接続されている。そのため、前述したような、被充電バッテリBよりも高い充電率を有する給電バッテリを一つずつ順に被充電バッテリBに接続して、被充電バッテリBを段階的に高い充電率まで充電することが意図通りにできないことがある。従って、N個の給電バッテリによる充電中には、手動による、又は自動的に作動する、何らかの手段で各給電バッテリの正極1p同士を分離することが好ましい。例えば、各給電バッテリと各導電体62との間を、コネクタ(図示せず)を介して接続するようにして、各給電バッテリによる被充電バッテリBの充電開始時にはコネクタを分離状態にし、各給電バッテリによる充電終了時にはコネクタを連結するようにしてもよい。
【0088】
また、図5の例の出力用電磁リレー2oの移動体203と導電体61とを、出力用電磁リレー2oが閉状態になるときの移動体203の変位による作用だけが導電体61に伝わるような態様で(すなわち、コネクタ用電磁リレー2pが閉状態となるときの導電体61の変位が移動体203に作用しないような態様で)連結してもよい。例えば、出力用電磁リレー2oの移動体203にフックのような鉤状の部品の鉤の部分とは反対側の端部を取り付け、その部品の鉤の部分を導電体61における導電体62側の表面に引っ掛けるようにしてもよい。そのように出力用電磁リレー2oの移動体203と導電体61とを係合させることによって、出力用電磁リレー2oが閉状態にあるときには、すなわち各給電バッテリによる被充電バッテリBの充電中には、出力用電磁リレー2oの内部に向かう移動体203の変位によって導電体61と各導電体62とを引き離すことができる。すなわち、導電体61と各導電体62とを分離することによって、各給電バッテリの正極1p同士の間を分離することができる。一方、コネクタ用電磁リレー2pが閉状態となるときに導電体61が導電体62から離れる方向に変位しても、その変位は出力用電磁リレー2oの移動体203には作用しない。従って、導電体61の変位によって、移動体203によるスイッチ40を閉状態にする動きが妨げられるようなことにはならない。
【0089】
図6には、各給電バッテリによる充電中に各給電バッテリの正極1p同士を分離する手段について上記の例とは別の手段を有する、図5のバッテリ充電装置101の改変例が示されている。図6の例のバッテリ充電装置101は、図5のバッテリ充電装置101が含む構成要素に加えて、給電バッテリ用電磁リレー2r、スイッチ43、及びダイオード35を含んでいる。図6において、図5のバッテリ充電装置101が含む構成要素と同様の構成要素には、図5に付されている符号と同じ符号が付され、それら構成要素についての繰り返しとなる説明は省略される。なお、図6の例においても、コネクタ用電磁リレー2pの第2端子22と第4端子24とは、好ましくは、図6に示されるように互いに別々の導電線で正極接続端子Tpに接続される。
【0090】
給電バッテリ用電磁リレー2rは、出力用電磁リレー2oなどと同様に、図2Aに示される構造を有している。すなわち、給電バッテリ用電磁リレー2rは、第1端子21、第2端子22、第3端子23、及び第4端子24を備えており、第1端子21から第2端子22に電流が流れると、第3端子23と第4端子24との間が導通するように構成されている。一例として、給電バッテリ用電磁リレー2rは、内燃機関の始動に用いられるセルモータに備えられる電磁接触器(所謂マグネットスイッチ)であってよく、例えば自動車のセルモータに備えられるマグネットスイッチであってもよい。
【0091】
図6の例では、コネクタ用電磁リレー2pの移動体211は、図5のように導電体61には接続されずに、スイッチ43と係合している。すなわち、スイッチ43は、コネクタ用電磁リレー2pの移動体211の変位によって開閉する。スイッチ43は、コネクタ用電磁リレー2pが開状態になると、コネクタ用電磁リレー2pから外部に向かって突出する移動体211の変位によって閉状態となり、コネクタ用電磁リレー2pが閉状態になると、コネクタ用電磁リレー2pの内部に向かう移動体211の変位に伴って開状態となる。一例としてスイッチ43は、スイッチ40と同様に、押しボタンスイッチであり、好ましくは、押されている間だけ閉状態となるタクティールスイッチである。
【0092】
給電バッテリ用電磁リレー2rの第1端子21は、第3端子23と共に、スイッチ43及びスイッチ40を介して、コネクタ5の正極5pに接続されている。スイッチ40及びスイッチ43が閉状態であると、給電バッテリ用電磁リレー2rの第1端子21及び第3端子23は、コネクタ5の正極5pと電気的に接続される。給電バッテリ用電磁リレー2rの第2端子22はグランド電位Gに接続されており、第4端子24は導電体61に接続されている。
【0093】
給電バッテリ用電磁リレー2rは、出力用電磁リレー2oなどと同様に、給電バッテリ用電磁リレー2rの開状態と閉状態との切り換わりに伴って変位する移動体(第3移動体)212を含んでいる。図6の例のバッテリ充電装置101では、給電バッテリ用電磁リレー2rの移動体212に導電体61が連結されている。導電体61は移動体212と共に移動する。移動体212は、給電バッテリ用電磁リレー2rの第1端子21から第2端子22に電流が流れると、すなわち給電バッテリ用電磁リレー2rが閉状態になると、図6に矢印Aで示されるように、給電バッテリ用電磁リレー2rの内部に向かって移動する。一方、第1端子21から第2端子22に電流が流れていないときには、すなわち、給電バッテリ用電磁リレー2rが開状態のときには、移動体212は、給電バッテリ用電磁リレー2rから外部に向かって突出するように構成されている。導電体61は、この移動体212の挙動に従って変位する。
【0094】
そして図6の例では、N個の給電バッテリ(図6において第1~第5の給電バッテリ11~15)それぞれの正極1pと個別に接続されている各導電体62は、導電体61が矢印Aで示される給電バッテリ用電磁リレー2rに近付く方向に移動すると、導電体61と当接するような位置に配置されている。すなわち、給電バッテリ用電磁リレー2rの第1端子21から第2端子22に電流が流れると、給電バッテリ用電磁リレー2rが閉状態になると共に導電体61と導電体62とが当接する。従って、スイッチ40及びスイッチ43の両方が閉状態になって、コネクタ5の正極5pから給電バッテリ用電磁リレー2rの第1端子21と第2端子22を通ってグランド電位Gに電流が流れると、コネクタ5の正極5pと第1~第5の各給電バッテリ11~15それぞれの正極1pとが電気的に接続される。
【0095】
図6のバッテリ充電装置101において、第1~第5の給電バッテリ11~15による被充電バッテリBの充電中は、出力用電磁リレー2oが閉状態にあってスイッチ40が開状態にあるため、コネクタ用電磁リレー2p及び給電バッテリ用電磁リレー2rのいずれの第1端子21にも電流は流れない。そのため、コネクタ用電磁リレー2p及び給電バッテリ用電磁リレー2rはいずれも開状態にあるため、コネクタ5の正極5pは、被充電バッテリBに接続されず、第1~第5の給電バッテリ11~15それぞれの正極1pにも接続されない。なお、このとき被充電バッテリBからコネクタ用電磁リレー2pの第2端子22及び第1端子21を介して給電バッテリ用電磁リレー2rへと流れ得る電流(逆流)は、ダイオード35によって防がれる。
【0096】
第1~第5の給電バッテリ11~15による被充電バッテリBの充電が終了すると、前述したように、出力用電磁リレー2oが開状態となることによってスイッチ40が閉状態となり、コネクタ用電磁リレー2pが閉状態となってコネクタ5の正極5pと被充電バッテリBとが接続される。充電器Cによって被充電バッテリBが最終充電される。一方、閉状態となるコネクタ用電磁リレー2pの移動体211の変位によってスイッチ43が開状態となる。そのため、給電バッテリ用電磁リレー2rは閉状態にはならず、コネクタ5の正極5pと、第1~第5の給電バッテリ11~15それぞれの正極1pとは分離されたままである。
【0097】
そして、充電器Cによる被充電バッテリBの充電が終了すると、前述したように、コネクタ用電磁リレー2pが開状態となって移動体211がコネクタ用電磁リレー2pの外側に向かって突出する。そのため、スイッチ43が閉状態となって、コネクタ5の正極5pから、給電バッテリ用電磁リレー2rの第1端子21、第2端子22、そしてグランド電位Gへと電流が流れる。そのため、給電バッテリ用電磁リレー2rが閉状態になると共に、導電体61と導電体62とが当接する。その結果、コネクタ5の正極5pと、第1~第5の給電バッテリ11~15それぞれの正極1pとが、スイッチ40、スイッチ43、給電バッテリ用電磁リレー2rの第3端子23、第4端子24、導電体61、及び導電体62を介して、電気的に接続される。従って、充電器Cによって、第1~第5の給電バッテリ11~15それぞれが充電される。
【0098】
このように、図6の例のバッテリ充電装置101では、第1~第5の給電バッテリ11~15による被充電バッテリBの充電中には各給電バッテリの正極1p同士を分離することができ、その後、充電器Cによる被充電バッテリBの充電終了後には、自動的に、コネクタ5と各給電バッテリとを接続して、充電器Cで各給電バッテリを充電することができる。
【0099】
<バッテリの充電方法>
次に、本発明の実施形態のバッテリの充電方法を、再度図1を参照して説明する。本実施形態のバッテリの充電方法は、図1の第1給電バッテリ11~第5給電バッテリ15までのような第1給電バッテリから第N給電バッテリまでのN個(Nは2以上の整数)の給電バッテリと、少なくともM個(Mは3のN倍の整数)の複数の電磁リレーとを用いて、充電対象のバッテリを充電する方法である。例えば図1の第1から第14の電磁リレー2a~2n及び出力用電磁リレー2oのような複数の電磁リレーが、本実施形態のバッテリの充電方法に用いられる。以下では図1のバッテリ充電装置100を用いて実施される場合を例に本実施形態のバッテリの充電方法が説明される。なお、本実施形態のバッテリの充電方法は、以下の説明のように図1若しくは図3のバッテリ充電装置100、又は、図5若しくは図6のバッテリ充電装置101を用いて実施されてもよいが、バッテリ充電装置100又はバッテリ充電装置101を用いることに限定されない。
【0100】
本実施形態のバッテリの充電方法は、第1から第14の電磁リレー2a~2n及び出力用電磁リレー2oのような複数の電磁リレーを用いて、第1給電バッテリ11から、第N給電バッテリ(バッテリ充電装置100では第5給電バッテリ15)まで、N個の給電バッテリを一つずつ順に充電対象のバッテリ(図1において被充電バッテリB)に接続することを含んでいる。本実施形態のバッテリの充電方法は、さらに、被充電バッテリBに接続されるN個の給電バッテリ(バッテリ充電装置100では第1から第5の5個の給電バッテリ11~15)を一つずつ順に用いて被充電バッテリBを充電することを含んでいる。バッテリ充電装置100の動作の説明において前述したように、第1~第5の給電バッテリ11~15を用いた被充電バッテリBの充電では、先ず第1給電バッテリ11を、第2電磁リレー2bなどを介して被充電バッテリBと接続し、第1給電バッテリ11によって被充電バッテリBを充電する。第1給電バッテリ11による被充電バッテリBの充電中、図3を参照して説明された、例えばスイッチ44、45(図3参照)などの充電阻止手段を用いて、第2~第5の給電バッテリ12~15による充電が阻止される。
【0101】
第1給電バッテリ11の充電率と被充電バッテリBの充電率が略同じになるまで被充電バッテリBを充電すると、第1給電バッテリ11による充電を終了する。そして、第1電磁リレー2aを開状態にして第3電磁リレー2c及び第5電磁リレー2eを閉状態にすることによって、第2給電バッテリ12を、第3電磁リレー2c、第5電磁リレー2e、及び出力用電磁リレー2oを介して、被充電バッテリBに接続する。そのように接続することによって、第2給電バッテリ12による被充電バッテリBの充電を開始する。第2給電バッテリ12による被充電バッテリBの充電中、例えばスイッチ45(図3参照)などの充電阻止手段を用いて、第3~第5の給電バッテリ13~15による充電が阻止される。
【0102】
その後、第2給電バッテリ12の充電率と被充電バッテリBの充電率が略同じになるまで被充電バッテリBを充電すると、第2給電バッテリ12による充電を終了する。そして、第4電磁リレー2dを開状態にして第6電磁リレー2f及び第8電磁リレー2hを閉状態にすることによって、第3給電バッテリ13を、第6電磁リレー2f、第8電磁リレー2h、及び出力用電磁リレー2oを介して、被充電バッテリBに接続する。そのように接続することによって、第3給電バッテリ13による被充電バッテリBの充電を開始する。第3給電バッテリ13による被充電バッテリBの充電中、図3を参照して説明された、図示されないスイッチなどの充電阻止手段を用いて、第4及び第5の給電バッテリ14、15による充電が阻止される。
【0103】
その後も同様に、第3給電バッテリ13による充電が終了すると、第7電磁リレー2gを開状態にして第9電磁リレー2i及び第11電磁リレー2kを閉状態にすることによって、第4給電バッテリ14を、第9電磁リレー2i及び第11電磁リレー2kなどを介して被充電バッテリBに接続する。そして、第4給電バッテリ14による被充電バッテリBの充電を開始する。さらに、第4給電バッテリ14による充電が終了すると、第10電磁リレー2jを開状態にして第12電磁リレー2l及び第14電磁リレー2nを閉状態にすることによって、第5給電バッテリ15を、第12電磁リレー2l及び第14電磁リレー2nなどを介して被充電バッテリBに接続する。そして、第5給電バッテリ15による被充電バッテリBの充電を開始する。
【0104】
本実施形態のバッテリの充電方法では、N個の給電バッテリを順に充電対象の被充電バッテリBに接続することは、このように、N個の給電バッテリのうちの第n給電バッテリによる被充電バッテリBの充電が終了すると、複数の電磁リレー(バッテリ充電装置100では第1から第14の電磁リレー2a~2n及び出力用電磁リレー2o)のうちの一の電磁リレーを開状態にすることを含んでいる。なお、nはN未満の正の整数である。図1及び図3のバッテリ充電装置100において一の電磁リレーの例は、第1、第4、第7、及び第10の電磁リレー2a、2d、2g、2jである。
【0105】
さらに、N個の給電バッテリを順に充電対象の被充電バッテリBに接続することは、そのように一の電磁リレーを開状態にして、複数の電磁リレーのうちの一の電磁リレー以外のいずれかの電磁リレーを閉状態にすることによって、第(n+1)給電バッテリを被充電バッテリBに接続することを含んでいる。この際、閉状態にされるいずれかの電磁リレーを介して、第(n+1)給電バッテリを被充電バッテリBに接続する。図1のバッテリ充電装置100において、一の電磁リレーが開状態になるのに伴って閉状態にされる電磁リレーの例は、第3、第6、第9、及び第12の電磁リレー2c、2f、2i、2lなどである。
【0106】
本実施形態のバッテリの充電方法では、このように、各給電バッテリを一つずつ順に被充電バッテリBに接続して被充電バッテリBを充電するので、被充電バッテリBを、より高い充電率まで、速やかに充電することができる。
【0107】
実施形態のバッテリの充電方法に用いられる複数の電磁リレー(バッテリ充電装置100において第1から第14の電磁リレー2a~2nなど)それぞれは、複数の電磁リレーそれぞれの開状態と閉状態との切り換わりに伴って変位する移動体203を含んでいてもよい。その場合、前述した第(n+1)給電バッテリを被充電バッテリBに接続することは、第n給電バッテリの充電の終了によって開状態にされる一の電磁リレー(例えば図1の第1電磁リレー2a)に含まれる移動体203と係合するスイッチ(例えば図1のスイッチ41)を移動体203の動きで閉状態にすることを含んでいてもよい。そして、このスイッチ41のようなスイッチを閉状態にすることによって、第n給電バッテリの充電の終了によって開状態にされる一の電磁リレー以外の電磁リレーを閉状態にして、第(n+1)給電バッテリを被充電バッテリBに接続してもよい。
【0108】
このように、第n給電バッテリによる充電の終了によって開状態となる一の電磁リレーと連動して閉状態となるスイッチ41のようなスイッチを用いることによって、第n給電バッテリによる充電の終了と共に第(n+1)給電バッテリによる充電を開始し、より高い充電率へと、被充電バッテリBをさらに充電することができる。
【0109】
本実施形態のバッテリの充電方法では、第1から第14の電磁リレー2a~2n及び出力用電磁リレー2oのような複数の電磁リレーそれぞれとして、例えば自動車などの内燃機関のセルモータに備わる電磁接触器(所謂マグネットスイッチ)を用いてもよい。セルモータの電磁接触器に備わっていて電磁接触器の開閉に応じて移動する移動体が、図1の第1電磁リレー2aなどが含む移動体203として機能し、N個の給電バッテリを一つずつ順に被充電バッテリBに接続することに役立つことがある。
【符号の説明】
【0110】
100、101 バッテリ充電装置
11~15 第1~第5の給電バッテリ
1p 正極
1n 負極
2 電磁リレー
2a~2n 第1~第14の電磁リレー
2o 出力用電磁リレー
2p コネクタ用電磁リレー
2r 給電バッテリ用電磁リレー
21~24 第1~第4の端子
203、211 移動体
205、206 コイル
40~42 スイッチ
44、45 遮断スイッチ
5 コネクタ
61、62 導電体
B 被充電バッテリ
C 外部の充電器
図1
図2A
図2B
図3
図4
図5
図6