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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024017566
(43)【公開日】2024-02-08
(54)【発明の名称】塵芥収集車
(51)【国際特許分類】
   B65F 3/00 20060101AFI20240201BHJP
【FI】
B65F3/00 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022120286
(22)【出願日】2022-07-28
(71)【出願人】
【識別番号】000163095
【氏名又は名称】極東開発工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000280
【氏名又は名称】弁理士法人サンクレスト国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】新山 浩酉
【テーマコード(参考)】
3E024
【Fターム(参考)】
3E024AA05
3E024BA01
3E024CA02
3E024DC03
(57)【要約】
【課題】カバー部材の上下移動を案内するガイドローラの車幅方向外側への突出量を調整した後に、その突出量が変化するのを抑制できる塵芥収集車を提供する。
【解決手段】塵芥収集車1は、塵芥投入箱3の投入口3aを開閉するカバー部材20と、ねじ軸線Cが車幅方向に沿う雌ねじ44aを有しカバー部材20に固定された固定部41と、固定部1の雌ねじ44aに締め込まれる雄ねじ45cを有する支持軸45と、支持軸45の車幅方向外端部に回転可能に設けられたガイドローラ46と、を備え、雄ねじ45cの締め込み量を調整することでガイドローラ46の車幅方向外側への突出量を調整可能である。塵芥収集車1は、前記締め込み量を調整した状態で支持軸45に係合される係合部材61と、カバー部材20側に固定され支持軸45に係合された係合部材61がねじ軸線C回りに回転するのを規制する規制部62と、を備える。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
塵芥収容箱と、
前記塵芥収容箱の後方に配置され、後部に塵芥が投入される投入口を有する塵芥投入箱と、
前記投入口から前記塵芥投入箱内に投入された塵芥を前記塵芥収容箱に積み込み可能な積込装置と、
前記投入口を開閉するためのカバー部材と、
雌ねじを有し、前記雌ねじのねじ軸線が車幅方向に沿った状態で前記カバー部材に固定された固定部と、
前記固定部の前記雌ねじに締め込まれる雄ねじを有し、前記雌ねじよりも車幅方向外側に延びる支持軸と、
前記支持軸の車幅方向外端部において回転可能に設けられたガイドローラと、
前記塵芥投入箱に設けられ、前記ガイドローラを上下方向に移動可能に案内するレール部材と、を備え、
前記雄ねじの締め込み量を調整することで、前記支持軸を介して、前記固定部に対する前記ガイドローラの車幅方向外側への突出量を調整可能な塵芥収集車であって、
前記締め込み量を調整した状態で、前記支持軸に係合される係合部材と、
前記カバー部材及び前記固定部の少なくとも一方に設けられ、前記支持軸に係合された前記係合部材が前記ねじ軸線回りに回転するのを規制する規制部と、を備える塵芥収集車。
【請求項2】
前記係合部材は、ピン部材であり、
前記支持軸には、その径方向に前記ピン部材が挿入して係合される係合孔が形成され、
前記規制部は、前記支持軸の径方向外方に配置された状態で、前記少なくとも一方に固定された規制部材を有し、
前記規制部材には、前記ピン部材が前記径方向に挿入される規制孔が形成されている、請求項1に記載の塵芥収集車。
【請求項3】
前記係合孔は、前記支持軸において、その周方向に位相をずらして複数形成されている、請求項2に記載の塵芥収集車。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、塵芥収集車に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、特許文献1に記載された塵芥収集車は、塵芥投入箱の投入口を開閉するカバー部材を備えている。カバー部材の車幅方向両側には、支持軸を介してガイドローラが回転可能に設けられている。これらのガイドローラは、塵芥投入箱の車幅方向両側に設けられた各レール部材に沿って上下方向に移動するようになっている。これにより、カバー部材は、塵芥投入箱に対して上下方向にスライドすることで、投入口を開閉するようになっている。
【0003】
ガイドローラを支持する支持軸は、カバー部材に対して車幅方向に移動可能に取り付けられている。支持軸の車幅方向外端にはガイドローラが回転自在に支持され、支持軸の車幅方向内端にはナットが締め込まれている。支持軸に対するナットの締め込み量を調整することで、カバー部材に対してガイドローラが支持軸と共に車幅方向に移動するので、ガイドローラの車幅方向外側への突出量を調整することができる(特許文献1の図5参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2010-047378号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1の塵芥収集車では、その走行中の振動により、ナットの締め込み量が変化する場合がある。その際、ナットの締め込み量が大きくなり過ぎると、ガイドローラが車幅方向外側へ過剰に突出してしまう。ガイドローラが過剰に突出すると、支持軸の端面やガイドローラの側面がレール部材に強く押し付けられた状態で上下移動するので、ガイドローラが摩耗して損傷するおそれがある。また、ナットの締め込み量が小さくなり過ぎると、ガイドローラの車幅方向外側への突出量が不足してしまう。ガイドローラの突出量が不足すると、ガイドローラがレール部材から離反し、カバー部材を上下移動させることができなくなるおそれがある。
【0006】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、カバー部材の上下移動を案内するガイドローラの車幅方向外側への突出量を調整した後に、その突出量が変化するのを抑制できる塵芥収集車を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
(1)本発明は、塵芥収容箱と、前記塵芥収容箱の後方に配置され、後部に塵芥が投入される投入口を有する塵芥投入箱と、前記投入口から前記塵芥投入箱内に投入された塵芥を前記塵芥収容箱に積み込み可能な積込装置と、前記投入口を開閉するためのカバー部材と、雌ねじを有し、前記雌ねじのねじ軸線が車幅方向に沿った状態で前記カバー部材に固定された固定部と、前記固定部の前記雌ねじに締め込まれる雄ねじを有し、前記雌ねじよりも車幅方向外側に延びる支持軸と、前記支持軸の車幅方向外端部において回転可能に設けられたガイドローラと、前記塵芥投入箱に設けられ、前記ガイドローラを上下方向に移動可能に案内するレール部材と、を備え、前記雄ねじの締め込み量を調整することで、前記支持軸を介して、前記固定部に対する前記ガイドローラの車幅方向外側への突出量を調整可能な塵芥収集車であって、前記締め込み量を調整した状態で、前記支持軸に係合される係合部材と、前記カバー部材及び前記固定部の少なくとも一方に設けられ、前記支持軸に係合された前記係合部材が前記ねじ軸線回りに回転するのを規制する規制部と、を備えるである。
【0008】
本発明によれば、固定部の雌ねじに対して、ガイドローラを支持する支持軸の雄ねじの締め込み量を調整し、ガイドローラの車幅方向外側への突出量を調整した状態で、支持軸に係合部材が係合される。支持軸に係合された係合部材は、規制部によって雌ねじのねじ軸線回りに回転しないように規制される。これにより、支持軸の雄ねじの締め込め量が変化するのを抑制することができる。したがって、ガイドローラの車幅方向外側への突出量を調整した後に、その突出量が変化するのを抑制することができる。
【0009】
(2)前記(1)の塵芥収集車において、前記係合部材は、ピン部材であり、前記支持軸には、その径方向に前記ピン部材が挿入して係合される係合孔が形成され、前記規制部は、前記支持軸の径方向外方に配置された状態で、前記少なくとも一方に固定された規制部材を有し、前記規制部材には、前記ピン部材が前記径方向に挿入される規制孔が形成されているのが好ましい。
この場合、係合部材であるピン部材は、支持軸の係合孔に挿入して係合されるとともに規制部材の規制孔に挿入される。これにより、ピン部材が支持軸と共にねじ軸線回りに回転しようとしても、規制孔によってピン部材の回転が規制される。これにより、簡単な構成で、支持軸の雄ねじの締め込め量が変化するのを抑制することができる。
【0010】
(3)前記(2)の塵芥収集車において、前記係合孔は、前記支持軸において、その周方向に位相をずらして複数形成されているのが好ましい。
支持軸の雄ねじの締め込み量を調整する際に、支持軸の係合孔は、規制部材の規制孔に対してねじ軸線回りに回転する。これに対応して、係合孔は支持軸の周方向に位相をずらして複数形成されているので、雄ねじの締め込み量に合わせて、支持軸の複数の係合孔のいずれか一つを規制部材の規制孔に位置合わせすることができる。これにより、雄ねじの締め込み量を調整した後であっても、ピン部材を規制孔と係合孔に容易に挿入することができる。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、カバー部材の上下移動を案内するガイドローラの車幅方向外側への突出量を調整した後に、その突出量が変化するのを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の実施形態に係る塵芥収集車の後部を示す側断面図である。
図2】塵芥投入箱を車両後方から見た正面図である。
図3】塵芥投入箱の側面図である。
図4】カバー部材の前面側から見た支持機構の正面図である。
図5図4のI-I矢視断面図である。
図6】(a)は支持軸の正面図であり、(b)は(a)のII矢視図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の好ましい実施形態について添付図面を参照しながら説明する。
[全体構成]
図1は、本発明の実施形態に係る塵芥収集車1の後部を示す側断面図である。図1において、塵芥収集車1は、車体1a上に搭載された塵芥収容箱2と、塵芥収容箱2の後方に配置された塵芥投入箱3と、を備えている。塵芥収容箱2の後端には、塵芥を塵芥収容箱2内に積み込むための開口部2aが形成されている。塵芥投入箱3は、その後部に塵芥が投入される投入口3aを有している。
【0014】
塵芥投入箱3は、その上部に設けられた支点Pを中心として、塵芥収容箱2に対して上下方向に回動可能である。これにより、塵芥投入箱3は、塵芥収容箱2に対しての開閉動作が可能である。すなわち、塵芥投入箱3は、図1に示す下方へ回動した位置で塵芥収容箱2の開口部2aを閉鎖し、図示しない上方へ回動した位置で開口部2aを開放して塵芥収容箱2内の塵芥を排出することができる状態となる。
【0015】
塵芥収集車1は、塵芥投入箱3内に設けられた積込装置Tを備えている。積込装置Tは、投入口3aから塵芥投入箱3内に投入された塵芥を塵芥収容箱2に積み込み可能である。本実施形態の積込装置Tは、塵芥の積込動作に圧縮工程を有するプレス式である。積込装置Tは、スライダ5と、スライダ5の下端部にピン6を介して回動自在に取り付けられている押込板7と、を有している。スライダ5は、塵芥投入箱3の左右の側壁3cに設けられたガイドレール4に沿って移動可能である。塵芥投入箱3内の左右両側には、スライダ5の側面部材5aと塵芥投入箱3の側壁3cとの間にプッシュシリンダ8が取り付けられている。押込板7の側面部材7aとスライダ5の側面部材5aとの間には、プレスシリンダ9が取り付けられている。
【0016】
積込装置Tは、以下のように動作する。まず、図1の実線で示す状態から、プレスシリンダ9の収縮動作により、押込板7は反時計回り方向に回動して反転する(反転工程)。次に、プッシュシリンダ8の収縮動作により、スライダ5と共に押込板7が斜め後方に降下し、投入口3aから投入された塵芥を押込板7で圧縮する(一次圧縮工程)。そして、プレスシリンダ9の伸長動作により、押込板7が時計回り方向に回動して塵芥の二次圧縮を行う(二次圧縮工程)。
【0017】
次に、図1の二点鎖線で示した状態から、プッシュシリンダ8の伸長動作により、スライダ5と共に押込板7が斜め前方に上昇して図1の実線で示す状態となり、二次圧縮した塵芥を塵芥収容箱2側へ押し込む(押込工程)。このように、積込装置Tは、順に反転工程、一次圧縮工程、二次圧縮工程、及び押込工程を1サイクルとして行い、塵芥投入箱3に投入された塵芥を塵芥収容箱2に積み込む動作を行うことができる。
【0018】
図2は、塵芥投入箱3を車両後方から見た正面図である。図1及び図2において、塵芥投入箱3には、投入口3aの下部に載置台10が設けられている。載置台10は、塵芥投入箱3に対して水平軸回りに回動可能に取り付けられ、起立姿勢(図1の実線位置)と展開姿勢(図1の一点鎖線位置)とに姿勢変化する。つまり、図1の実線位置にある載置台10は、その基端部を中心として下方(後方)へ回動可能とされており、下方へ90°回動して展開された状態(図1の一点鎖線位置)となる。
【0019】
載置台10が展開された展開姿勢となると、作業者が投入口3aから塵芥を投入する際に、載置台10上に塵芥を一旦載置することができ、塵芥投入の作業性を高めることができる。載置台10は、投入口3aの車幅方向の全長にわたって形成されており、起立姿勢になると投入口3aの下部を閉鎖する。
【0020】
図1及び図2において、塵芥収集車1は、塵芥投入箱3の投入口3aを開閉するためのカバー部材20と、塵芥投入箱3に設けられたレール部材30と、カバー部材20をレール部材30に沿って上下方向にスライド可能に支持する支持機構40と、を備えている。
【0021】
カバー部材20は、投入口3aの車幅方向の全長にわたって形成されており、投入口3aの下部を除く他部、つまり、投入口3aにおいて起立姿勢時の載置台10よりも上側部分を開閉するものである。カバー部材20の後面の下端部には、カバー部材20を上下方向にスライド操作するための取手11が設けられている。
【0022】
レール部材30は、塵芥投入箱3の側壁3cにおいて、投入口3aの車幅方向の側端部に沿って上下方向に延びて設けられている。なお、レール部材30は、図示を省略するが、塵芥投入箱3の左右の側壁3cにおいて、投入口3aの車幅方向の両側端部に沿って設けられている。
【0023】
図3は、塵芥投入箱3の側面図である。図3に示すように、載置台10が起立姿勢のとき、カバー部材20は、上位置(図3の二点鎖線位置)と、下位置(図3の実線位置)との間でスライド可能とされている。本実施形態のカバー部材20は、上位置において塵芥投入箱3の天板3bよりも上方に配置されるアウター式である。
【0024】
図3の実線で示すように、下位置にスライドさせたカバー部材20と、起立姿勢とした載置台10とが上下に連続して配置されることで、投入口3a全体が閉鎖される。そして、この閉鎖状態から、図3の二点鎖線で示すように、カバー部材20を上位置までスライドさせるとともに、載置台10を展開姿勢(図1参照)とすることで、投入口3a全体が開放される。
【0025】
側壁3cの外側面の前端部には、その上下方向の略中央部に固定されたブラケット31を介して、アーム部材32の下端部が上下スライド可能かつ上下回動可能に連結されている。アーム部材32の上端部は、カバー部材20の上端部に連結されている。これにより、カバー部材20が上下方向にスライドすると、アーム部材32の上端部は、アーム部材32の下端部が上下に移動しながら、当該下端部を中心として上下回動するようになっている。
【0026】
アーム部材32の下端部側には、例えばスプリング等の補助部材33の一端が連結されており、補助部材33の他端は、側壁3cの外側面の上端部に連結されている。これにより、補助部材33は、アーム部材32を常に上方へ回動させるように付勢している。したがって、カバー部材20は、補助部材33の付勢力によって、上位置と下位置との間で常に上側に向かってスライドするように付勢されている。
【0027】
補助部材33の両端は、カバー部材20が下位置にあるときに付勢力が最も大きくなるとともに、カバー部材20が上位置にあるときに付勢力が最も小さくなるように、アーム部材32及び側壁3cにそれぞれ連結されている。カバー部材20は、図示しないロック機構により下位置でロックされるようになっている。なお、図示を省略するが、ブラケット31、アーム部材32及び補助部材33は、塵芥投入箱3の左右の側壁3cそれぞれに設けられている。
【0028】
[支持機構]
図4は、カバー部材20の前面21側から見た支持機構40の正面図である。図5は、図4のI-I矢視断面図である。図4及び図5において、支持機構40は、カバー部材20の前面21において車幅方向両側にそれぞれ設けられている。支持機構40は、カバー部材20に固定された固定部41と、固定部41に支持された支持軸45と、支持軸45に取り付けられたガイドローラ46及び可動ナット47と、を備えている。
【0029】
固定部41は、一対の固定板42,43と、固定ナット44と、を有している。一対の固定板42,43は、カバー部材20の前面21の車幅方向外側において、互いの一側面42a,43a同士が車幅方向に間隔をあけて対向するように配置されている。各固定板42,43は、溶接等によりカバー部材20の前面21に固定されている。各固定板42,43には、その板厚方向に貫通する貫通孔42c,43cが形成されている。各貫通孔42c,43cは、支持軸45の雄ねじ45c(後述)が挿入される大きさに形成されている。
【0030】
車幅方向内側に配置された固定板43の他側面43bには、貫通孔43cに対応する位置に、固定ナット44が溶接等により固定されている。固定ナット44は、その内周に雌ねじ44aを有している。雌ねじ44aのねじ軸線Cは、車幅方向に沿って延びている。
【0031】
図6(a)は、支持軸45の正面図である。図6(b)は、図6(a)のII矢視図である。図4図6(a)、及び図6(b)において、支持軸45は、その軸線Xが車幅方向に沿って配置される部材である。支持軸45の外周には、車幅方向外側(軸方向一方側)から車幅方向内側(軸方向他方側)へ向かって順に、第1円周面45a、第2円周面45b、雄ねじ45c、及び係止面45dが形成されている。
【0032】
第1円周面45aは、カバー部材20よりも車幅方向外側に突出し、レール部材30内に挿入されている。第1円周面45aには、ガイドローラ46が軸線X回りに回転可能に取り付けられている。これにより、ガイドローラ46は、支持軸45の車幅方向外端部において回転可能に支持されている。
【0033】
ガイドローラ46は、その外周面がレール部材30の上下方向に延びるガイド面30aに接触しながら上下方向に転動するように配置されている。ガイドローラ46がレール部材30のガイド面30aに沿って上下方向に移動可能に案内されることで、カバー部材20は、レール部材30に沿って上下方向にスライドするようになっている。
【0034】
第2円周面45bは、支持軸45において最大外径となる部分であり、第1円周面45aよりも車幅方向(軸方向)に短く形成されている。第1円周面45aと第2円周面45bとの間には、ガイドローラ46が当接する環状の段差面45eが形成されている。この段差面45eによって、ガイドローラ46の車幅方向内側への移動が規制されている。
【0035】
雄ねじ45cは、第1円周面45aよりも車幅方向に長く形成されている。雄ねじ45cは、固定部41の車幅方向外側から、一対の固定板42,43の貫通孔42c,43cを挿通され、固定ナット44の雌ねじ44aに締め込まれている。これにより、支持軸45は、固定部41に支持された状態で、雌ねじ44aよりも車幅方向外側に延びる第1円周面45aにおいてガイドローラ46を回転可能に支持している。
【0036】
可動ナット47は、車幅方向外側に配置された固定板42よりも車幅方向外側において、雄ねじ45cに締め込まれている。可動ナット47は、後述のように雄ねじ45cの締め込み量を調整した後、座金48を介して固定板42の他側面42bに当接するまで締め込まれる。これにより、固定ナット44に対する支持軸45の締め込み量が変化するのを低減することができる。
【0037】
係止面45dは、レンチやスパナ等の工具(図示省略)が係止される部分であり、例えば断面六角形状に形成されている。工具により係止面45dを軸線X回りに回転させることで、固定ナット44の雌ねじ44aに対する支持軸45の雄ねじ45cの締め込み量を調整することができる。このように雄ねじ45cの締め込み量を調整することで、支持軸45を介して、固定部41に対するガイドローラ46の車幅方向外側への突出量を調整することができる。
【0038】
ガイドローラ46の車幅方向外側への突出量は、ガイドローラ46の外周面をレール部材30のガイド面30aに接触させるとともに、支持軸45の車幅方向外側の端面45fがレール部材30の非ガイド面30bに当接しないように調整される。非ガイド面30bは、ガイドローラ46よりも車幅方向外側に配置され、ガイドローラ46の外周面が接触しない面である。
【0039】
[回り止め機構の構成]
図4及び図5において、塵芥収集車1は、各支持機構40の支持軸45がねじ軸線C(軸線X)回りに回転するのを規制する回り止め機構60を備えている。回り止め機構60は、カバー部材20の前面21において車幅方向両側にそれぞれ設けられている。回り止め機構60は、支持軸45に係合される係合部材61と、係合部材61がねじ軸線C回りに回転するのを規制する規制部62と、を備えている。なお、図4では、係合部材61の図示を省略している。
【0040】
係合部材61は、例えばピン部材からなる。以下、係合部材61は、ピン部材61ともいう。本実施形態のピン部材61は、割ピンであり、割ピンの屈曲部分である基端部61aと、割ピンの両端部分である一対の先端部61bと、を有している。ピン部材61は、支持軸45に形成された係合孔45gに挿入して係合される。その係合状態において、ピン部材61の基端部61a及び先端部61bは、支持軸45の径方向外方に突出する。
【0041】
係合孔45gは、一対の固定板42,43の間に配置される支持軸45の雄ねじ45cが形成されている部分において、径方向に貫通して形成されている。係合孔45gは、円孔であり、車幅方向に複数(図例では2つ)形成されている。これらの係合孔45gは、支持軸45の周方向に互いに位相をずらして形成されている。本実施形態の2つの係合孔45gは、支持軸45の周方向に位相を90°ずらして形成されている。
【0042】
規制部62は、一対の固定板42,43の間において支持軸45の径方向外方に配置された規制部材63を有している。規制部材63は、平板部材を折り曲げて形成されている。規制部材63は、支持軸45の径方向外方に配置された囲み板部64と、カバー部材20の前面21に沿って配置された平板部65と、を有している。
【0043】
平板部65は、支持軸45よりも上方において、カバー部材20の前面21に溶接等により固定されている。平板部65の下端には、囲み板部64が一体に形成されている。囲み板部64は、平板部65の下端から前斜め下方に延びる上板64aと、上板64aの前端から直角に折り曲げられて下斜め後方に延びる前板64bと、前板64bの下端から直角に折り曲げられて後斜め上方に延びる下板64cと、を有している。
【0044】
上板64aは、支持軸45の上方に隙間をあけて配置されている。前板64bは、支持軸45の前方に隙間をあけて配置されている。下板64cは、支持軸45の下方に隙間をあけて配置されている。これにより、囲み板部64は、支持軸45を3方向(上方、前方、及び下方)から囲むように断面コ字形状に形成されている。囲み板部64(上板64a、前板64b、及び下板64c)の車幅方向の両端部は、各固定板42,43の一側面42a,43aに溶接等により固定されている。これにより、囲み板部64は、各固定板42,43が車幅方向に撓むのを抑制する補強部材も兼ねている。
【0045】
囲み板部64には、ピン部材61が挿入される上下一対の規制孔64d,64eが形成されている。規制孔64dは、上板64aにおいて、その板厚方向(支持軸45の径方向)に貫通して形成されている。規制孔64eは、下板64cにおいて、その板厚方向(支持軸45の径方向)に貫通して形成されている。各規制孔64d,64eは、車幅方向に延びる長孔からなり、その長手方向の一部に対して支持軸45の各係合孔45gが径方向に対向しうるように形成されている。
【0046】
[回り止め機構の使用手順]
次に、回り止め機構60の使用手順について説明する。上記のように支持軸45の雄ねじ45cの締め込み量を調整する際に、支持軸45の各係合孔45gがねじ軸線C(軸線X)回りに回転するので、作業者は、前記締め込み量に合わせて、支持軸45のいずれか一つの係合孔45gを、規制部材63の各規制孔64d,64eに位置合わせ(対向配置)する。
【0047】
前記締め込み量が適正に調整され、且つ支持軸45のいずれか一つの係合孔45gが規制部材63の各規制孔64d,64eに位置合わせされると、作業者は、これらの孔45g,64d,64eにピン部材61を挿入する。具体的には、ピン部材61は、規制部材63の上方から上側の規制孔64dを貫通して、支持軸45のいずれか一つの係合孔45gに挿入される。さらに、ピン部材61は、係合孔45gを貫通して、規制部材63の下側の規制孔64eに挿入される。
【0048】
その際、ピン部材61は、基端部61aが規制部材63の上板64aに当接するまで挿入される。これにより、ピン部材61の一対の先端部61bは、図5の実線で示すように、規制部材63の規制孔64eを貫通し、下板64cよりも下方に突出する。この状態から、図5の二点鎖線で示すように、作業者は、ピン部材61の一対の先端部61bを、それぞれ90°ずつ二股に折り曲げて下板64cに当接させる。
【0049】
以上により、ピン部材61は、規制部材63の各規制孔64d,64e、及び支持軸45のいずれか一つの係合孔45gに挿入された状態で保持される。これにより、支持軸45の係合孔45gに係合されたピン部材61は、ねじ軸線C回りに回転しないように規制される。その結果、支持軸45のねじ軸線C回りの回転が規制される。
【0050】
[本実施形態の作用効果]
本実施形態の回り止め機構60では、固定ナット44の雌ねじ44aに対して、ガイドローラ46を支持する支持軸45の雄ねじ45cの締め込み量を調整し、ガイドローラ46の車幅方向外側への突出量を調整した状態で、支持軸45に係合部材61が係合される。支持軸45に係合された係合部材61は、規制部62によって雌ねじ44aのねじ軸線C回りに回転しないように規制される。これにより、支持軸45の雄ねじ45cの締め込め量が変化するのを抑制することができる。したがって、ガイドローラ46の車幅方向外側への突出量を調整した後に、その突出量が変化するのを抑制することができる。
【0051】
係合部材61であるピン部材61は、支持軸45の係合孔45gに挿入して係合されるとともに規制部材63の規制孔64d,64eに挿入される。これにより、ピン部材61が支持軸45と共にねじ軸線C回りに回転しようとしても、規制孔64d,64eによってピン部材61の回転が規制される。これにより、簡単な構成で、支持軸45の雄ねじ45cの締め込め量が変化するのを抑制することができる。
【0052】
支持軸45の雄ねじ45cの締め込み量を調整する際に、支持軸45の係合孔45gは、規制部材63の規制孔64d,64eに対してねじ軸線C回りに回転する。これに対応して、係合孔45gは支持軸45の周方向に位相をずらして複数形成されているので、雄ねじ45cの締め込み量に合わせて、支持軸45の複数の係合孔45gのいずれか一つを、規制部材63の規制孔64d,64eに位置合わせすることができる。これにより、雄ねじ45cの締め込み量を調整した後であっても、ピン部材61を規制孔64d,64eと係合孔45gに容易に挿入することができる。
【0053】
[その他]
本実施形態の塵芥収集車1は、プレス式の積込装置Tを備えているが、回転板と押込板とにより塵芥を積み込む回転板式の積込装置を備えたものであってもよい。本実施形態のカバー部材20は、アウター式であるが、上位置において塵芥投入箱3の天板3bよりも下方に配置されるインナー式であってもよい。
【0054】
本実施形態の規制部材63は、固定部41及びカバー部材20の両方に固定されているが、少なくとも一方に固定されていればよい。また、規制部材63は、本実施形態に限定されるものではなく、例えば支持軸45の全体を囲むように円筒形状に形成されていてもよい。規制部材63の各規制孔64d,64eは、長孔に替えて、車幅方向に複数形成された円孔であってもよい。
【0055】
本実施形態の規制部62は、規制部材63を有しているが、これに限定されるものではない。例えば、規制部62は、規制部材63に替えて、カバー部材20に形成された溝や孔であってもよい。その場合、カバー部材20の溝等に、ピン部材61の先端部61bを差し込んで係合させれば、ピン部材61のねじ軸線C回りの回転を規制することができる。
【0056】
本実施形態の支持機構40は、可動ナット47を備えているが、可動ナット47を備えていなくてもよい。その場合、固定部41の固定ナット44は、車幅方向外側の固定板42の他側面42bに固定してもよい。固定部41は、本実施形態の構成に限定されるものではない。例えば、固定部41の雌ねじ44aは、固定ナット44に替えて、固定板42又は固定板43に形成されていてもよい。
【0057】
本実施形態の支持軸45には、複数の係合孔45gが周方向に位相を90°ずらして形成されているが、その位相角度は90°以外の角度であってもよい。また、支持軸45には、少なくとも1つの係合孔45gが形成されていればよい。
【0058】
ピン部材61は、本実施形態のように上側の規制孔64dから挿入されてもよいし、下側の規制孔64eから挿入されてもよい。ピン部材61を上側の規制孔64dから挿入する場合、規制部材63の下側の規制孔64eは、下板64cを貫通させなくてもよい。また、ピン部材61を下側の規制孔64eから挿入する場合、規制部材63の上側の規制孔64dは、上板64aを貫通させなくてもよい。
【0059】
係合孔45gは、支持軸45を貫通させなくてもよい。例えば、ピン部材61を上側の規制孔64dから挿入する場合、係合孔45gは、支持軸45において上板64a側に開口するように形成し、下板64c側まで貫通させなくてもよい。その場合、下板64cには規制孔64eを形成する必要はない。また、ピン部材61を下側の規制孔64eから挿入する場合、係合孔45gは、支持軸45において下板64c側に開口するように形成し、上板64a側まで貫通させなくてもよい。その場合、上板64aには規制孔64eを形成する必要はない。
【0060】
本実施形態の係合部材61は、支持軸45の係合孔45gに挿入して係合されるピン部材であるが、支持軸45に係合可能であれば任意の形状に形成することができる。例えば、係合部材61は、支持軸45の外周面に嵌め込んで係合されるように形成されていれてもよい。
【0061】
なお、今回開示された実施形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した意味ではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味、及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0062】
1 塵芥収集車
2 塵芥収容箱
3 塵芥投入箱
3a 投入口
20 カバー部材
30 レール部材
41 固定部
44a 雌ねじ
45 支持軸
45c 雄ねじ
45g 係合孔
46 ガイドローラ
61 ピン部材(係合部材)
62 規制部
63 規制部材
64d,64e 規制孔
C ねじ軸線
T 積込装置
図1
図2
図3
図4
図5
図6