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特開2024-175662コレステリック液晶表示装置及びコレステリック液晶表示装置の駆動方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024175662
(43)【公開日】2024-12-18
(54)【発明の名称】コレステリック液晶表示装置及びコレステリック液晶表示装置の駆動方法
(51)【国際特許分類】
   G09G 3/36 20060101AFI20241211BHJP
   G09G 3/20 20060101ALI20241211BHJP
   G02F 1/139 20060101ALI20241211BHJP
   G02F 1/133 20060101ALI20241211BHJP
   G02F 1/1347 20060101ALI20241211BHJP
【FI】
G09G3/36
G09G3/20 622Q
G09G3/20 623U
G09G3/20 641A
G09G3/20 641K
G09G3/20 641C
G02F1/139
G02F1/133 545
G02F1/1347
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024086163
(22)【出願日】2024-05-28
(31)【優先権主張番号】63/471,481
(32)【優先日】2023-06-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】18/632,147
(32)【優先日】2024-04-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】524201837
【氏名又は名称】虹彩光電股▲ふん▼有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】林慧誠
(72)【発明者】
【氏名】姚正宏
(72)【発明者】
【氏名】廖奇璋
【テーマコード(参考)】
2H088
2H189
2H193
5C006
5C080
【Fターム(参考)】
2H088GA03
2H088KA13
2H088MA20
2H189AA33
2H189KA09
2H189LA08
2H189MA13
2H193ZA38
2H193ZB34
2H193ZQ17
2H193ZR12
5C006AA15
5C006AA16
5C006AA17
5C006AA22
5C006AC05
5C006AC24
5C006AF46
5C006BB28
5C006FA12
5C006FA47
5C006FA54
5C080AA10
5C080BB05
5C080CC03
5C080DD08
5C080DD26
5C080FF10
5C080JJ02
5C080JJ04
5C080JJ05
5C080JJ06
5C080JJ07
5C080KK08
(57)【要約】
【課題】本発明は、コレステリック液晶表示装置の駆動方法を提供する。
【解決手段】本方法は、駆動回路部を利用して、表示パネル内の各走査電極を順次活性化させ、駆動回路部を利用して、活性化走査電極のパルス幅変調(PWM)走査手順内の第1段階中に、活性化走査電極の画素回路に第1交流(AC)電圧パルスを印加し、駆動回路部を利用して、PWM走査手順の第2段階中に、活性化走査電極の画素回路に第2AC電圧パルスを印加する。第1AC電圧パルスの第1電圧振幅および第1期間は、第2AC電圧パルスの第2電圧振幅および第2期間と各々異なる。
【選択図】図14
【特許請求の範囲】
【請求項1】
液晶表示パネルを含むコレステリック液晶表示装置であって、
前記液晶表示パネルは、
第1方向に延在する複数の第1電極が形成された第1基板と、
前記第1方向とは異なる第2方向に延在する複数の第2電極が形成された第2基板と、
前記第1基板と前記第2基板との間に形成されたコレステリック液晶層と、
前記第1電極と第2電極との交差部の画素回路に複数の交流(AC)電圧パルスを印加するように構成されている駆動回路部と、
を含み、
活性化された第1電極の前記画素回路のパルス幅変調(PWM)走査手順は、第1段階と第2段階とを含み、
前記第1段階は、前記活性化された第1電極の前記画素回路にデータを書き込むために前記第2段階を迅速化するように構成されている、
コレステリック液晶表示装置。
【請求項2】
前記第1段階及び前記第2段階における前記交流電圧パルスは、各々第1電圧振幅及び第2電圧振幅を有し、
前記第1電圧振幅は前記第2電圧振幅とは異なり、
前記第1電圧振幅は、前記コレステリック液晶層内のコレステリック液晶分子のホメオトロピック状態における電圧振幅に実質的に等しく、
前記第2電圧振幅は前記第1電圧振幅よりも低く、
前記パルス幅変調走査手順は、前記第2段階で書き込まれる前記画素回路のグレースケール値を操作するための第3段階をさらに含み、
前記第3段階、前記第1段階、および前記第2段階は順に配置される、
請求項1に記載のコレステリック液晶表示装置。
【請求項3】
前記第3段階は、動作領域とスリープ領域とを含み、
前記第3段階の前記動作領域及び前記スリープ領域の前記交流電圧パルスは、各々第3電圧振幅及び第4電圧振幅を有し、
前記第1電圧振幅が前記第2電圧振幅よりも高く、
前記第3電圧振幅は前記第4電圧振幅よりも高く、
前記動作領域は、複数の動作サブ領域を含み、
前記スリープ領域は、複数のスリープサブ領域を含み、
前記動作サブ領域と前記スリープサブ領域は交互に配置され、
前記動作領域の第1持続時間と前記第2段階の第2持続時間との間の第1比は、第1所定値よりも低く、
前記スリープ領域の第3持続時間と前記第2段階の前記第2持続時間との間の第2比は、第2所定値よりも高い、
請求項2に記載のコレステリック液晶表示装置。
【請求項4】
第1方向に延在する複数の第1電極が形成された第1基板と、
前記第1方向とは異なる第2方向に延在する複数の第2電極が形成された第2基板と、
前記第1基板と前記第2基板との間に形成されたコレステリック液晶層と、
前記第1電極と前記第2電極との間の交差部の画素回路に複数の交流(AC)電圧パルスを印加するように構成されている駆動回路部と、
を含む、液晶表示パネルを含み、
活性化された第1電極の前記画素回路のパルス幅変調(PWM)走査手順は、第1段階と第2段階とを含み、
前記第1段階は、前記第2段階で書き込まれる活性化された前記第1電極の前記画素回路のグレースケール値を操作するように構成されている、
コレステリック液晶表示装置。
【請求項5】
前記第1段階は、動作領域およびスリープ領域を含み、
前記第1段階の前記動作領域及び前記スリープ領域の前記交流電圧パルスは、各々第1電圧振幅及び第2電圧振幅を有し、
前記第2段階の交流電圧パルスは、第3電圧振幅を有し、
前記第1電圧振幅は、前記第2電圧振幅よりも高い、
請求項4に記載のコレステリック液晶表示装置。
【請求項6】
前記パルス幅変調走査手順は、前記第1段階と実質的に同じ第3段階をさらに含み、
前記第3段階、前記第1段階、および前記第2段階は順に配置される、
請求項5に記載のコレステリック液晶表示装置。
【請求項7】
前記パルス幅変調走査手順は、第3段階をさらに含み、
前記第3段階、前記第1段階、および前記第2段階は順に配置され、
前記第1段階の前記交流電圧パルスの周波数及び電圧振幅は、前記第3段階の前記交流電圧パルスの周波数及び電圧振幅とは異なる、
請求項5に記載のコレステリック液晶表示装置。
【請求項8】
前記パルス幅変調走査手順は、前記第2段階で書き込まれる活性化された前記第1電極の前記画素回路の前記グレースケール値を操作するための第3段階をさらに含み、
前記第1段階、前記第2段階、前記第3段階は順に配置され、
前記第3段階の前記交流電圧パルスは、第5電圧振幅を有し、
前記第5電圧振幅は、実質的に前記第2電圧振幅と前記第3電圧振幅との間にある、
請求項5に記載のコレステリック液晶表示装置。
【請求項9】
前記第1段階および前記第2段階の間に、暗状態交流電圧パルスおよび明状態交流電圧パルスを、各々、第1RV(反射率対電圧)曲線および第2RV曲線を得るために、活性化された前記第1電極の第2電極に印加し、
特定の電圧範囲内で前記第1RV曲線と前記第2RV曲線との間に電圧間隔が存在し、
前記駆動回路部は、前記第1段階において、複数の駆動パラメータを用いて前記電圧間隔を調整するようにさらに構成され、
前記駆動パラメータは、前記交流電圧パルスの持続時間、前記コレステリック液晶層内のコレステリック液晶分子の温度および粘度、駆動能力、前記コレステリック液晶層内のコレステリック液晶ヘリカル構造のピッチを含み、
経時的な前記暗状態交流電圧パルスの第1領域は、前記第1段階内の前記スリープ領域における経時的な前記明状態交流電圧パルスの第2領域以上であり、
経時的な前記明状態交流電圧パルスの第3領域は、前記第2段階内の経時的な前記暗状態交流電圧パルスの第4領域よりも大きい、
請求項5に記載のコレステリック液晶表示装置。
【請求項10】
コレステリック液晶表示装置の駆動方法であって、
前記コレステリック液晶表示装置は表示パネルと駆動回路部とを含み、
前記表示パネルは複数の走査電極と複数のデータ電極とを含み、
前記駆動回路部を利用して前記表示パネル内の各走査電極を順に活性化し、
前記駆動回路部を利用して、活性化走査電極のパルス幅変調(PWM)走査手順内の第1段階中に、活性化走査電極の画素回路に1つ以上の第1交流(AC)電圧パルスを印加し、
前記駆動回路部を利用して、前記パルス幅変調走査手順の第2段階中に、前記活性化走査電極の前記画素回路に1つ以上の第2交流電圧パルスを印加し、
1つ以上の前記第1交流電圧パルスの第1電圧振幅及び第1周波数は、1つ以上の前記第2交流電圧パルスの第2電圧振幅及び第2周波数と、各々異なり、
前記第1段階は、前記活性化走査電極の前記画素回路にデータを書き込むように、前記第2段階を迅速化するため、または前記第2段階で書き込まれる前記画素回路のグレースケール値を操作するためのものである、
コレステリック液晶表示装置の駆動方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は表示装置に関し、特にコレステリック液晶表示装置及びその駆動方法に関する。
【背景技術】
【0002】
コレステリック液晶ディスプレイ(Ch-LCD)は双安定特性を有し、電力消費なしに表示内容を保持することを可能にする。平面状態およびフォーカルコニック状態は両方とも安定であり、これは、印加電圧が非活性化されたとき、分子状態および表示画像が変化しないままであることを意味する。コレステリック液晶分子を異なる状態に遷移させるか、または表示された画像をリフレッシュする必要がある場合にのみ、電圧が印加される。その結果、コレステリック液晶表示装置は、温度センサディスプレイ、電子書籍、電子ペーパー、電子ホワイトボード、および様々な他の製品において普及している。
【発明の概要】
【0003】
本開示の一態様では、液晶表示パネルを含むコレステリック液晶表示装置が提供される。液晶表示パネルは、第1基板と、第2基板と、コレステリック液晶層と、駆動回路部とを含む。第1基板には、第1方向に延在する複数の第1電極が形成されている。第2基板には、第1方向とは異なる第2方向に延在する複数の第2電極が形成されている。コレステリック液晶層は、第1基板と第2基板との間に形成されている。駆動回路部は、第1電極と第2電極との交差部において、複数の交流電圧パルスを画素回路に印加する。活性化された第1電極の画素回路のパルス幅変調(PWM)走査手順は、第1段階と第2段階とを含む。第1段階は、活性化された第1電極の画素回路にデータを書き込むために第2段階を迅速化するように構成されている。
【0004】
本開示の別の態様では、液晶表示パネルを含むコレステリック液晶表示装置が提供される。液晶表示パネルは、第1基板と、第2基板と、コレステリック液晶層と、駆動回路部とを含む。第1基板には、第1方向に延在する複数の第1電極が形成されている。第2基板には、第1方向とは異なる第2方向に延在する複数の第2電極が形成されている。コレステリック液晶層は、第1基板と第2基板との間に形成されている。駆動回路部は、第1電極と第2電極との交差部において、複数の交流電圧パルスを画素回路に印加する。第1段階は、第2段階に書き込まれる活性化された第1電極の画素回路のグレースケール値を操作するように構成されている。
【0005】
本開示のさらに別の態様では、コレステリック液晶表示装置を駆動する方法が提供される。コレステリック液晶表示装置は、表示パネルと、駆動回路部とを含む。表示パネルは複数の走査電極および複数のデータ電極を含み、本方法は、駆動回路部を利用して、表示パネル内の各走査電極を順次活性化し、駆動回路部を利用して、活性化走査電極のパルス幅変調(PWM)走査手順内の第1段階中に、活性化走査電極の画素回路に1つまたは複数の第1交流(AC)電圧パルスを印加し、駆動回路部を利用して、PWM走査手順の第2段階中に、活性化走査電極の画素回路に1つまたは複数の第2AC電圧パルスを印加する。1つまたは複数の第1AC電圧パルスの第1電圧振幅および第1周波数は、1つまたは複数の第2AC電圧パルスの第2電圧振幅および第2周波数と各々異なる。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1図1は、本開示の一実施形態による電子デバイスのブロック図である。
図2A図2Aは、図1の実施形態による表示装置の図である。
図2B図2Aの表示パネルの断面図である。
図3A図3Aは、本開示の一実施形態による、経時的に画素回路に印加される駆動電圧を示す波形図である。
図3B図3Bは、本開示の一実施形態による、経時的に画素回路に印加される駆動電圧を示す波形図である。
図3C図3Cは、本開示の一実施形態による、経時的に画素回路に印加される駆動電圧を示す波形図である。
図3D図3Dは、本開示の一実施形態による、経時的に画素回路に印加される駆動電圧を示す波形図である。
図4A図4Aは、本開示の別の実施形態による、経時的に画素回路に印加される駆動電圧を示す波形図である。
図4B図4Bは、本開示の別の実施形態による、経時的に画素回路に印加される駆動電圧を示す波形図である。
図4C図4Cは、本開示の別の実施形態による、経時的に画素回路に印加される駆動電圧を示す波形図である。
図4D図4Dは、本開示の別の実施形態による、経時的に画素回路に印加される駆動電圧を示す波形図である。
図5A図5Aは、本開示のさらに別の実施形態による、経時的に画素回路に印加される駆動電圧を示す波形図である。
図5B図5Bは、本開示のさらに別の実施形態による、経時的に画素回路に印加される駆動電圧を示す波形図である。
図5C図5Cは、本開示のさらに別の実施形態による、経時的に画素回路に印加される駆動電圧を示す波形図である。
図5D図5Dは、本開示のさらに別の実施形態による、経時的に画素回路に印加される駆動電圧を示す波形図である。
図6A図6Aは、本開示のさらに別の実施形態による、経時的に画素回路に印加される駆動電圧を示す波形図である。
図6B図6Bは、本開示のさらに別の実施形態による、経時的に画素回路に印加される駆動電圧を示す波形図である。
図6C図6Cは、本開示のさらに別の実施形態による、経時的に画素回路に印加される駆動電圧を示す波形図である。
図6D図6Dは、本開示のさらに別の実施形態による、経時的に画素回路に印加される駆動電圧を示す波形図である。
図7A図7Aは、本開示のさらに別の実施形態による、経時的に画素回路に印加される駆動電圧を示す波形図である。
図7B図7Bは、本開示のさらに別の実施形態による、経時的に画素回路に印加される駆動電圧を示す波形図である。
図7C図7Cは、本開示のさらに別の実施形態による、経時的に画素回路に印加される駆動電圧を示す波形図である。
図7D図7Dは、本開示のさらに別の実施形態による、経時的に画素回路に印加される駆動電圧を示す波形図である。
図8A図8Aは、本開示のさらに別の実施形態による、経時的に画素回路に印加される駆動電圧を示す波形図である。
図8B図8Bは、本開示のさらに別の実施形態による、経時的に画素回路に印加される駆動電圧を示す波形図である。
図8C図8Cは、本開示のさらに別の実施形態による、経時的に画素回路に印加される駆動電圧を示す波形図である。
図8D図8Dは、本開示のさらに別の実施形態による、経時的に画素回路に印加される駆動電圧を示す波形図である。
図9A図9Aは、本開示のさらに別の実施形態による、経時的に画素回路に印加される駆動電圧を示す波形図である。
図9B図9Bは、本開示のさらに別の実施形態による、経時的に画素回路に印加される駆動電圧を示す波形図である。
図9C図9Cは、本開示のさらに別の実施形態による、経時的に画素回路に印加される駆動電圧を示す波形図である。
図9D図9Dは、本開示のさらに別の実施形態による、経時的に画素回路に印加される駆動電圧を示す波形図である。
図10A図10Aは、本開示のさらに別の実施形態による、経時的に画素回路に印加される駆動電圧を示す波形図である。
図10B図10Bは、本開示のさらに別の実施形態による、経時的に画素回路に印加される駆動電圧を示す波形図である。
図10C図10Cは、本開示のさらに別の実施形態による、経時的に画素回路に印加される駆動電圧を示す波形図である。
図10D図10Dは、本開示のさらに別の実施形態による、経時的に画素回路に印加される駆動電圧を示す波形図である。
図11A図11Aは、本開示のいくつかの実施形態による、暗状態電圧パルスおよび明状態電圧パルスに対応するRV曲線を示す図である。
図11B図11Bは、本開示のいくつかの実施形態による、暗状態電圧パルスおよび明状態電圧パルスに対応するRV曲線を示す図である。
図12A図12Aは、暗状態電圧パルス及び明状態電圧パルスに対応する単一のRV曲線を示す図である。
図12B図12Bは、暗状態電圧パルス及び明状態電圧パルスに対応する単一のRV曲線を示す図である。
図13図13は、本開示のいくつかの実施形態による、2つの隣接する行のパイプライン動作を示す波形図である。
図14図14は、本開示のいくつかの実施形態によるコレステリック液晶ディスプレイを駆動するための方法のフローチャートである。
図15A図15Aは、本開示のさらに別の実施形態による、経時的に画素回路に印加される駆動電圧を示す波形図である。
図15B図15Bは、本開示のさらに別の実施形態による、経時的に画素回路に印加される駆動電圧を示す波形図である。
図15C図15Cは、本開示のさらに別の実施形態による、経時的に画素回路に印加される駆動電圧を示す波形図である。
図15D図15Dは、本開示のさらに別の実施形態による、経時的に画素回路に印加される駆動電圧を示す波形図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
本開示の態様は添付の図面とともに読まれるとき、以下の詳細な説明から最もよく理解される。業界における標準的な慣行によれば、様々な特徴が一定の縮尺で描かれていないことに留意されたい。実際、様々な特徴の寸法は議論を明確にするために、任意に増加または減少され得る。
【0008】
以下の開示は、提供される主題の異なる特徴を実装するための多くの異なる実施形態または例を提供する。以下では、本開示を簡略化するために、動作、構成要素、および構成の具体例を説明する。これらは、もちろん、単なる例であり、限定を意図するものではない。例えば、説明における第2動作の前または後に実行される第1動作は第1動作と第2動作とが一緒に実行される実施形態を含むことができ、第1動作と第2動作との間で追加の動作が実行され得る実施形態も含むことができる。例えば、以下の説明における第2特徴の上方、上、または中の第1特徴の形成は第1および第2特徴が直接接触して形成される実施形態を含むことができ、第1および第2特徴が直接接触しないように、第1および第2特徴の間に追加の特徴が形成され得る実施形態も含むことができる。加えて、本開示は、様々な例において参照番号および/または文字を繰り返すことができる。この繰り返しは、簡単かつ明確にするためのものであり、それ自体、論じられる様々な実施形態および/または構成の間の関係を指示するものではない。
【0009】
「以前」、「前」、「以後」、「後」などの時間相対用語は本明細書では説明を容易にするために、図に示されるように、1つの動作または特徴と別の動作または特徴との関係を説明するために使用され得る。そのような時間的相対用語は、図に示される動作の異なるシーケンスを包含することが意図される。さらに、空間的に相対的な用語、例えば「下」、「下方」、「上」、「上方」などは、説明を容易にするために、本明細書で使用されてもよく、図面に図示されるように、ある要素または特徴と別の要素または特徴との関係を記述する。そのような空間的に相対的な用語は、図に示される向きに加えて、使用または動作中の装置の異なる向きを包含することが意図される。装置は、他の向き(90度回転されるか、または他の向き)であってもよく、本明細書で使用される空間的に相対的な記述子は同様に、それに応じて解釈されてもよい。「接続する」、「接続された」、「接続」、「結合」、「結合された」、「通信する」などの接続のための相対的な用語が、2つの要素または特徴の間の1つの動作的な接続、結合、またはリンクの説明を容易にするために使用されてもよい。接続のための相対的な用語は、装置または構成要素の様々な接続、結合、またはリンクを包含することが意図される。装置または構成要素は直接的または間接的に、たとえば、構成要素の別のセットを介して互いに接続、結合、またはリンクされ得る。装置または構成要素は、有線および/または無線で互いに接続、結合、またはリンクされ得る。
【0010】
本明細書で使用される場合、単数の用語「1つの」などは文脈が明らかにそうでないことを示さない限り、複数の指示対象を含み得る。たとえば、デバイスへの言及は文脈が明らかにそうでないことを示さない限り、複数のデバイスを含み得る。用語「備える」および「含む」は説明された特徴、インテジャ、ステップ、動作、要素、および/または構成要素の存在を示し得るが、特徴、インテジャ、ステップ、動作、要素、および/または構成要素のうちの1つまたは複数の組合せの存在を除外し得ない。「および/または」という用語は、1つまたは複数の列挙された項目の任意のまたはすべての組合せを含み得る。
【0011】
さらに、量、比率、および他の数値は、本明細書では範囲形式で提示されることがある。そのような範囲形式は便宜上および簡潔さのために使用され、範囲の限界として明示的に指定された数値を含むが、各数値および部分範囲が明示的に指定されるかのように、その範囲内に包含されるすべての個々の数値または部分範囲も含むと柔軟に理解されるべきであることを理解されたい。
【0012】
実施形態の性質および使用は、以下のように詳細に論じられる。しかしながら、本開示は、多種多様な特定の状況において具現化され得る多くの適用可能な発明概念を提供することを理解されたい。議論される特定の実施形態は本開示を具体化し、使用するための特定の方法の単なる例示であり、本開示の範囲を限定するものではない。
【0013】
図1は、本開示の一実施形態による電子デバイスのブロック図である。
【0014】
いくつかの実施形態では電子デバイス1が電子書籍、電子ペーパー、電子ホワイトボード、温度表示ボードなどであってもよいが、本開示はこれに限定されない。図1に示すように、電子デバイス1は、プロセッシングユニット10と、表示装置20とを備えてもよい。プロセッシングユニット10は中央処理装置(CPU)、デジタル信号プロセッサ(DSP)、画像信号プロセッサ(ISP)、マイクロプロセッサ、マイクロコントローラユニット(MCU)、または任意の他の等価な回路であってもよいが、本開示はこれらに限定されるものではない。表示装置20は、コレステリック液晶ディスプレイ(ChLCD)装置であってもよい。
【0015】
いくつかの実施形態において、表示装置20は、駆動回路21及び表示パネル22を含むことができる。表示パネル22は、赤、緑、および青の画素アレイのための複数のChLC層を含むChLCDパネルであり得る。また、駆動回路21は、DDS(dynamic driving scheme)駆動回路211及びPWM(pulse width modulation)駆動回路212を含むことができる。いくつかの実施形態では、DDS駆動回路211およびPWM駆動回路212のうちの1つは表示パネル22を駆動するために使用される。言い換えると、表示パネル22は、駆動回路21によって選択された駆動モードに応じて、DDS駆動モードまたはPWM駆動モードのいずれかで駆動することができる。
【0016】
いくつかの実施形態では、DDS駆動モードが表示効果において、より速い走査速度および高い画像コントラストなどの特定の特性を示す。しかしながら、暗い状態、典型的には約4.5%の色を表示するときに反射率が著しく低下するので、カラースケール効果は理想的ではない。加えて、DDS駆動モードのグレースケール深度は、比較的限定され、通常、4~8レベルの範囲である。PWM駆動モードは、より遅い走査速度および表示効果におけるより悪い画像コントラストを含む、ある特性を有する。しかしながら、PWM駆動モードでは、典型的な反射率が約6%である暗状態の色を表示するときに反射が低減されるので、カラースケール表示効果はより良好である。加えて、PWM駆動モードは、典型的には16レベルに分割される、比較的高いグレースケール色深度を提供する。
【0017】
図2Aは、図1の実施形態による表示装置の図である。図2Bは、図2Aの表示パネルの断面図である。
【0018】
表示パネル22は、図2Aに示すように、複数の表示部22B、22G、22Rと、走査電極駆動回路221と、データ電極駆動回路222とを備えてもよい。また、図2Bに示すように、表示部22B、22G、22Rをそれぞれ上位、中位、下位の表示部として、表示部22B、22G、22Rを積層して表示パネルを構成することができる。表示部22B、22G、22Rはそれぞれ青色、緑色、赤色を表示する画素を含み、表示パネル22が画面30(例えば、カラー表示画面)を描画することができる。表示部22Bは走査電極BSE1~BSEN(例えば、Y軸に沿ったN個の電極)と、データ電極BDE1~BDEM(例えば、X軸に沿ったM個の電極)とを含んでもよい。
【0019】
いくつかの実施形態では走査電極BSE1~BSENを共通(COM)電極と呼ぶことができ、データ電極BDE1~BDEMをセグメント(SEG)電極と呼ぶことができる。また、図2Aに示すように、走査電極BSE1~BSENとデータ電極BDE1~BDENとは、表示パネル22の上面視で交差している。
【0020】
いくつかの実施形態では、画素回路(例えば、図2Aに明示的に示されていないChLC画素回路)が表示部22B内の走査電極BSE1~BSENとデータ電極BDE1~BDENとの間の各交差部に配置される。これにより、表示部22B内の画素回路は、M*Nの解像度の青色画素アレイを形成することができる。例えば、表示部22B内の走査電極BSE1とデータ電極BDE1との交点(例えば、青色用)に位置する画素回路には座標B(1,1)を割り当てることができ、表示部22B内の走査電極BSENとデータ電極BDEjとの交点に位置する画素回路には座標B(N、j)を割り当てることができる。
【0021】
同様に、表示部22Gは走査電極GSE1~GSEN(例えば、Y軸に沿ったN個の電極)と、データ電極GDE1~GDEM(例えば、X軸に沿ったM個の電極)とを含んでもよい。表示部22G内の走査電極GSE1~GSENとデータ電極GDE1~GDEMとの交点に位置する画素回路毎の座標は、表示部22B内と同様に割り当てることができる。
【0022】
同様に、表示部22Rは電極RSE1~RSEN(例えば、Y軸に沿ったN個の電極)と、データ電極RDE1~RDEM(例えば、X軸に沿ったM個の電極)とを含んでもよい。表示部22R内の走査電極RSE1~RSENとデータ電極RDE1~RDEMとの交点に位置する画素回路毎の座標は、表示部22B内と同様に割り当てることができる。
【0023】
また、表示部22B,22G,22R内の走査電極BSE1~BSEN,GSE1~GSEN,RSE1~RSENは、走査電極駆動回路221に電気的に接続されていてもよい。いくつかの実施形態では、走査電極駆動回路221が表示パネル22の第1行が活性化されるとき、走査電極BSE1、GSE1、RSE1(例えば、共通電極)に電圧パルスを印加して同時に活性化させ、データ電極駆動回路222と連動して動作してデータ電極BDE1~BDEM、GDE1~GDEM、RDE1~RDM3に第2電圧パルスを印加し、交流電圧パルス(例えば、第1電圧パルスと第2電圧パルスとの間の電圧差)が走査電極BSE1、GSE1、RS1上の各画素回路を同時に活性化させるのに十分であるようにする。つまり、走査電極駆動回路221によって、同じ行番号の走査電極が同時に活性化されてもよい。なお、走査電極駆動回路221とデータ電極駆動回路222をまとめて駆動回路部とみなすこともできる。
【0024】
いくつかの実施形態では、走査電極駆動回路221が表示パネル22の1つ以上の行(すなわち、走査電極)を活性化させることができる。例えば、表示パネル22の2つの隣接する行(例えば、行n及び(n+1))が同時に活性化される場合、走査電極駆動回路221は行nの走査電極BSEn、GSEn及びRSEnに第1駆動電圧を同時に印加し、行nの走査電極BSE(n+1)、GSE(n+1)及びRSE(n+1)に第2駆動電圧を同時に印加することができる。行nおよび(n+1)の現在の段階は異なり得、その結果、第1駆動電圧は第2駆動電圧とは異なることになることに留意されたい。
【0025】
図2Bを参照すると、いくつかの実施形態では、表示部22B、22G、および22Rは入射光の表面(例えば、表面250)上にこの順序で積層されてもよい。表示部22Bは、液晶層230Bと、基板231B,232Bと、層241B,242Bと、封止材233Bとを含んでもよい。例えば、液晶層230Bは、基板231B、232Bの縁部に塗布された封止材233Bによって互いに対向する基板231B、232B間に封止されたコレステリック液晶(ChLC)層であってもよい。また、液晶層230Bの平均屈折率n及びヘリカルピッチpは例えば、波長λが約480nmとなるように決定される。平均屈折率nは液晶材料およびカイラル材料を選択することによって調整することができ、ヘリカルピッチpは、カイラル材料の含有量を調整することによって調整することができる。これにより、液晶層230Bは、青色光を平面状態で選択的に反射することができる。層241B、242Bは、表示部22B内の走査電極BSE1~BSEN及びデータ電極BDE1~BDEMが配置され、それぞれ走査電極駆動回路221及びデータ電極駆動回路222と電気的に接続される領域を参照する。また、フォーカルコニック状態では、液晶層230B内の液晶分子が電極(例えば、層241B、242B)の面内方向に順次回転してヘリカル構造を形成し、ヘリカル構造のヘリカル軸が電極(例えば、層241B、242B)と略平行である。その結果、反射波長に対する液晶層230Bの選択性が失われ、液晶層230Bは入射光の大部分を透過する。透過光は、光吸収層240によって吸収され、それによって暗(黒)表示が達成される。光吸収層240は、表示部22Rの底面に設けられてもよい。
【0026】
同様に、表示部22Gは、液晶層230Gと、基板231G、232Gと、層241G、242Gと、封止材233Gとを含んでもよい。例えば、液晶層230Gは、基板231G、232Gの縁部に塗布された封止材233Gによって互いに反対側の基板231G、232G間に封止されたコレステリック液晶(ChLC)層であってもよい。また、液晶層230Gの平均屈折率n及びヘリカルピッチpは例えば、波長λが約550nmとなるように決定され、液晶層230Gは、緑色光を選択的に平面状に反射することができる。同様に、表示部22G内の走査電極(例えば、GSE1~GSEN)およびデータ電極(例えば、GDE1~GDEM)は、図2A図2Bには明示的に示されていない。層241G、242Gは、表示部22G内の走査電極GSE1~GSEN、データ電極GDE1~GDEMが配置され、走査電極駆動回路221、データ電極駆動回路222にそれぞれ電気的に接続される領域を参照する。
【0027】
また、表示部22Rは、液晶層230Rと、基板231R、232Rと、層241R、242Rと、封止材233Rとを含んでもよい。例えば、液晶層230Rは、基板231R、232Rの縁部に塗布された封止材233Rによって互いに反対側の基板231R、232R間に封止されたコレステリック液晶(ChLC)層であってもよい。また、液晶層230Rの平均屈折率n及びヘリカルピッチpは例えば、波長λが約700nmとなるように決定され、液晶層230Rは、平面状態の赤色光を選択的に反射することができる。同様に、表示部22R内の走査電極(例えば、RSE1~RSEN)およびデータ電極(例えば、RDE1~RDEM)は、図2A図2Bには明示的に示されていない。層241R、242Rは、表示部22R内の走査電極RSE1~RSEN及びデータ電極RDE1~RDEMが配置され、走査電極駆動回路221及びデータ電極駆動回路222にそれぞれ電気的に接続される領域を参照する。平面状態およびフォーカルコニック状態における液晶層230Gおよび230R内のChLC分子の動作は、液晶層230B内の動作と同様であるため、ここでは詳細な説明を省略する。
【0028】
いくつかの実施形態では基板231B、232B、231G、232G、231R、および232Rは光を透過させることを可能にする、ポリカーボネート(PC)、ガラス、ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムなどの透過性材料を使用して実装され得る。加えて、光吸収層240は表示部22Rの基板232Rの底面上に配置され、暗(黒)ディスプレイを達成するために、その表面上の任意の透過光を効果的に吸収することができる。なお、図2Bに示す表示パネル22の構造は説明のためのものであり、実際のニーズに応じて調整することができる。
【0029】
いくつかの実施形態では、走査電極駆動回路221がPWM走査手順における操作段階、選択段階、および非選択段階などの異なる段階中に、活性化された(または選択された)走査電極(たとえば、COM電極)に異なる駆動電圧パルスを印加することができる。また、データ電極駆動回路222はデータ電極(例えば、SEG電極)に明状態電圧パルスまたは暗状態電圧パルスのいずれかを印加することができる。具体的には、活性化された走査電極からの共通電圧の影響下で、データ電極駆動回路222は液晶層230B、230G、および230R内の活性化された走査電極の異なる領域に異なる駆動AC電圧パルスを印加することができ、活性化された走査電極上の画素回路がAC電圧パルス(またはAC画素パルス)を感知することを可能にする。活性化走査電極上の画素回路に交流電圧パルスを印加することによって、走査電極駆動回路221およびデータ電極駆動回路222は、液晶層230B、230G、および230R内のコレステリック液晶分子の配置を制御することができる。これにより、走査電極駆動回路221及びデータ電極駆動回路222により、表示部22B、22G、22R内の活性化された走査電極上の画素回路の輝度値を調整することができ、表示パネル22に所望の画像や文字を表示することができる。説明のために、以下の実施形態では、表示部22Bの動作を説明し、表示部22G、22Rの動作も同様に行うことができる。
【0030】
例1: PWM走査手順の高速化段階
いくつかの実施形態ではPWM走査手順が高速化段階、選択段階、および非選択段階を含むことができ、高速化段階は従来のPWM走査手順と比較して追加の段階である。例えば、PWM走査手順を用いて表示パネル22に表示された画面30を書き込み又は更新する前に、画面30をクリアするためのリセット段階を実行することができる。具体的には、駆動回路21が走査電極駆動回路221とデータ電極駆動回路222とを制御して、走査電極とデータ電極との高交流電圧差などの高電圧(例えば、第1電圧)を表示部22B、22G、22Rに印加し、液晶層230B、230G、230R内のChLC分子を同時にホメオトロピック状態に設定し、画面30を黒画面またはグレースケール値が均一なグレースケール画面にリセットしてもよい。
【0031】
また、駆動回路21は選択段階において、走査電極駆動回路221及びデータ電極駆動回路222を制御して、表示部22B、22G、22Rに中間の高電圧(例えば、第2電圧)を印加し、駆動回路21が液晶層230B、230G、230R内の各画素(例えば、画素回路)の輝度を制御するようにしてもよい。ここで、第2電圧は、第1電圧よりも低い。例えば、前記第2電圧(電圧振幅)は18V~48Vであってもよいが、本開示はこれに限定されるものではない。また、非選択段階において、駆動回路21は走査電極駆動回路221及びデータ電極駆動回路222を制御して、表示部22B、22G、22Rに低電圧(例えば、第3電圧)を印加し、液晶層230B、230G、230R内のChLC分子の状態を変化させないようにしてもよい。ここで、第3電圧の振幅は、第2電圧の振幅よりも小さい。いくつかの実施形態では、第3電圧が約7V~-7Vの範囲であってもよい。すなわち、第3電圧の振幅は7V程度であってもよいが、本開示はこれに限定されるものではない。
【0032】
いくつかの実施形態では、提案されたPWM走査モード内の高速化段階が選択段階の前または後に実行され得る妨害高電圧段階であり得る。例えば、駆動回路21は高速化段階において、走査電極駆動回路221及びデータ電極駆動回路222を制御して、表示部22B、22G、22Rに高電圧(例えば、第4電圧)を印加し、液晶層230B、230G、230R内のChLC分子の運動エネルギーを、ホメオトロピック状態で要求されるレベルまで増加させることができ、ChLC分子は、最も高い運動エネルギーを有することができる。
【0033】
いくつかの実施形態では、第4電圧が+/-30V~+/-48Vの範囲であってもよい。言い換えると、第4電圧の振幅は、ホメオトロピック状態によって必要とされる振幅に近い約30V~48Vである。第4電圧の振幅は駆動AC電圧パルスの持続時間、ChLC分子の温度および粘度、駆動回路部の駆動能力、ChLCヘリカル構造のピッチなどを含むが、これらに限定されない様々な駆動パラメータに依存し得る。いくつかの実施形態では、駆動電圧パルスの持続時間がより長いとき、ホメオトロピック状態のために必要とされる電圧はより低い。高速化段階の間、AC高電圧パルスをChLC分子に繰り返し印加して走査手順を加速することができ、これにより、表示パネル22の画面30を更新するのに必要な時間を短縮することができる。
【0034】
いくつかの実施形態では、各走査電極上の画素回路をプログラミングまたは書き込みするとき、各走査電極上の画素回路は高速化段階、選択段階、および非選択段階を経験することができ、これらの段階の順序は変更され得る。
【0035】
なお、説明した第1~第4電圧は、交流(AC)電圧であってもよい。簡潔にするために、第1電圧が第2電圧よりも高いと記載される場合、それは、特に指定されない限り、第1電圧の振幅が第2電圧の振幅よりも高いことを示す。
【0036】
例2: PWM走査手順の操作段階
いくつかの実施形態ではPWM走査手順が操作段階、高速化段階、選択段階、および非選択段階を含むことができ、操作段階および高速化段階は従来のPWM走査手順と比較して追加の段階である。なお、高速化段階は、実施例1で説明したものと同様である。
【0037】
なお、従来のPWM走査手順における選択段階では、各活性化走査電極の走査動作のために各データ電極(例えば、BDE1~BDEM)にそれぞれの電圧が印加され、1つの走査電極のみが各データ電極と交差することを可能にする。その結果、活性化された走査電極上の各画素回路のRV曲線は図12Aの曲線1202または図12Bの曲線1204のいずれかによって示されるように、単一のRV曲線であってもよい。
【0038】
いくつかの実施形態では、現在活性化されている走査電極(例えば、行n)上の画素回路のRV曲線は以前に活性化された1つまたは複数の隣接する走査電極(例えば、行n-1およびn-2)上の画素回路に印加されるAC電圧パルスによって影響を受け得る。行(n-1)および行(n-2)の走査電極上の画素回路に明状態電圧および暗状態電圧をそれぞれ印加するとき、現在活性化されている走査電極(例えば、行n)上の画素回路は図11Aの曲線1104および曲線1102によってそれぞれ示されるように、第1RV(反射率対電圧、ここで、電圧は、絶対電圧差または電圧振幅を指す)曲線および第2RV曲線を有することができる。さらに、電圧間隔VI1は、領域1110内の曲線1102および1104を使用して決定することができる。現在活性化されている走査電極上の画素回路の輝度(例えば、グレースケール値)は操作段階中に、電圧間隔VI1から選択される適切な電圧をデータ電極BDE1~BDEMに印加することによって調整することができる。表示パネル22内の各表示部22B,22G,22Rの最適な電圧間隔は、操作段階において各種の駆動パラメータを調整することにより求めることができる。駆動パラメータは駆動AC電圧パルスの持続時間(または期間)、ChLC分子の温度および粘度、駆動回路部の駆動能力、ChLCヘリカル構造のピッチなどを含み得るが、これらに限定されない。
【0039】
いくつかの実施形態では、電圧間隔VI1が活性化走査電極BSE1~BSEN上の画素回路に印加される異なるAC電圧パルスに対応する3つ以上のRV曲線を使用して決定することができる。例えば、電圧間隔VI1は4つの異なる電圧に対応する4つのRV曲線を使用して得ることができる(例えば、行(n-1)~(n-4)における4つの前の走査電極上の画素に異なるAC電圧を印加する)。これらの4つの異なる電圧の特定の範囲は、ChLC分子の特性に応じて変化し得る。なお、実施例2で説明した操作段階は実施例1の高速化段階と協働することができ、提案されたPWM走査手順が表示パネル22の走査手順を迅速化することを可能にする。これは、複数のRV曲線から導出された電圧間隔を利用して、対応するグレースケール画像を生成することによって達成することができる。
【0040】
いくつかの実施形態では、操作段階が単一の波形および電圧に限定されない。それは、複数のRV曲線から導出される電圧間隔を調整するために、複数の波形および電圧、ならびに異なる周波数(または周期が周波数の逆数である異なる周期)を組み込むことができる。例えば、電圧振幅1および周波数1を有するAC波形1は、操作段階中の駆動のために使用され得る。加えて、電圧振幅2および周波数2を有するAC波形2は、駆動のための選択段階と併せて、操作段階において使用され得る。電圧振幅、波形、または周波数(または周期)変調の変調は主に、RV曲線から導出される電圧間隔のサイズおよび位置を調整するために利用される。提案される方法を適用することによって、図11Aに示される曲線1102および1104は、それぞれ、図11Bに示される曲線1108および1106を生じるように調整され得る。図11Bの領域1112に示される電圧間隔VI2は、図11Aに示される電圧間隔VI1よりも短く、曲線1106および1108の利用が画質の改善につながり得ることが示唆されることに留意されたい。
【0041】
いくつかの実施形態では、操作段階が異なる電圧範囲を使用して定義することができる、動作領域、スリープ領域、および半影響領域を含むことができる。例えば、動作領域内の交流電圧パルスの電圧振幅(すなわち、活性化された走査電極とデータ電極との間の電圧差)は約20℃~30℃の温度で28Vを超える(しかし、48Vの上限よりも低い)ことがあり、動作領域内の交流電圧パルスが+28Vより高く、-28Vよりも低いことを示す。さらに、スリープ領域内のAC電圧パルスの電圧振幅は、約20℃~30℃の温度で18V未満であり得、スリープ領域の電圧が約-18V~+18Vであることを示している。一実施形態では、半影響領域内のAC電圧パルスの電圧振幅がChLC分子の実際の必要性および特性に応じて、約20℃~30℃の温度で約14V~32Vであり得る。別の実施形態では、半影響領域内のAC電圧パルスの電圧振幅が約20℃~30℃の温度で約18V~28Vであってもよい。
【0042】
いくつかの実施形態では、操作段階を2つの異なる型に分類することができる。第1型は、動作領域およびスリープ領域を含む。動作領域は複数の動作サブ領域に分割することができ、動作領域の総持続時間は、動作サブ領域の合成持続時間に等しい。加えて、スリープ領域は複数のスリープサブ領域に分割することもでき、スリープ領域の総持続時間は、スリープサブ領域の合成持続時間に等しい。第2型は、半影響領域を含む。これらの2つの異なる型の操作段階は、各走査電極の走査手順中に特定のシーケンスで使用することができる。この走査手順に関するさらなる詳細は後で提供される。
【0043】
いくつかの実施形態では選択段階中に、活性化された走査電極上の画素回路にAC高電圧パルスを印加することはより高い輝度値をもたらし、明るいスクリーンをもたらす。逆に、選択段階中に活性化された走査電極上の画素回路に低いAC電圧パルスを印加すると、輝度値が低くなり、暗いスクリーンが生じる。いくつかの実施形態では、単一の操作段階内の動作領域の持続時間と選択段階の持続時間との間の比が所定の値未満であり得る。好ましい実施形態では、所定の値がRV曲線から導出される電圧間隔のサイズおよび位置を調整することによって画質を最適化するために、0.6以下に設定される。
【0044】
いくつかの実施形態では操作段階の動作領域において、明状態電圧(たとえば、AC電圧パルス)と共通電圧(たとえば、別のAC電圧パルス)との間の第1電圧差の第1電圧振幅は暗状態電圧と共通電圧との間の第2電圧差の第2電圧振幅に等しくてもよい。あるいは操作段階の動作領域において、第1電圧振幅は第2電圧振幅と異なっていてもよい。いくつかの実施形態では、操作段階内の動作領域における第1電圧振幅および第2電圧振幅の持続時間が等しくてもよい。あるいは、操作段階の動作領域における第1電圧振幅および第2電圧振幅の持続時間は異なっていてもよい。
【0045】
いくつかの実施形態では、単一の操作段階内のスリープ領域の持続時間と選択段階の持続時間との間の比が所定の値よりも高くてもよい。好ましい実施形態では、所定の値がRV曲線から導出される電圧間隔のサイズおよび位置を調整することによって画質を最適化するために、0.4以下に設定される。
【0046】
いくつかの実施形態では経時的な暗状態電圧の領域(例えば、積分)は操作段階中のスリープ領域における経時的な明状態電圧の領域よりも大きいか、またはそれに等しい。さらに、選択段階の間、経時的な明状態電圧の領域は、経時的な暗状態電圧の領域よりも大きくてもよい。
【0047】
いくつかの実施形態では操作段階のスリープ領域内の活性化された走査電極上の画素回路によって感知される明状態電圧がゼロまたはゼロに近いものとすることができ、これはこれらの画素回路の輝度値が影響を受けないことを示す。一方、活性化された走査電極上の画素回路によって感知される明状態電圧は、選択段階中にこれらの画素回路によって感知される暗状態電圧よりも高い。
【0048】
いくつかの実施形態では半影響領域を有する操作段階を使用して、活性化された走査電極上の画素回路を駆動することができ、繰り返し操作段階の数は所定の数未満であってもよい。具体的には、前記半影響領域が前記動作領域の持続時間を延長して駆動効果を向上させることができる。半影響領域の持続時間が長すぎると、画質が不均一になる場合がある。好ましい実施形態では、選択段階が1つの走査(例えば、1つの全交流電圧スイング)を含み、反復操作段階の最大は7であり、所定の数が7(例えば、最大で7つの連続操作段階)であることを示し、RV曲線から導出される電圧間隔のサイズおよび位置を調整することによって画質を最適化する。
【0049】
上述の実施形態で説明したように、動作領域、スリープ領域、および半影響領域の電圧範囲は、異なることができる。いくつかの実施形態では、第2最良電圧間隔が電圧範囲の一部分が半影響領域内にあるとき(例えば、暗いスクリーンの暗状態電圧がスリープ領域内にあり、明るいスクリーンの明状態電圧が半影響領域内にあるとき)、または電圧範囲の一部分が半影響領域内にあり、別の部分が動作領域内にあるとき、RV曲線から導出することができる。
【0050】
いくつかの実施形態では、高速化段階が選択段階と操作段階との間に配置されてもよく、操作段階の高速化段階および動作領域が選択段階の前にあることを示す。また、高速化段階と操作段階の動作領域とでは、異なる高電圧が使用される。いくつかの実施形態では、高速化段階の持続時間と選択段階の持続時間との間の比が0.6より大きく、1以下である。また、高速化を繰り返す段階数は4段階以下(1~4段階連続)であり、より良好な画質を得ることができる。
【0051】
いくつかの実施形態では、活性化された走査電極上の画素回路によって感知される電圧差が高速化段階中に白いスクリーンを表示する間、ゼロまたはゼロに近いものであり得る。さらに、提案されたPWM走査手順は操作段階、高速化段階、および選択段階の様々な組み合わせおよび/または順序を包含し、これらは、図3~10を参照して後続のセクションでさらに詳述される。
【0052】
事例1:第1型操作段階プラス選択段階
図3A~3Dは、本開示の一実施形態による、経時的に画素回路に印加される駆動電圧を示す波形図である。
【0053】
いくつかの実施形態では、各活性化走査電極のPWM走査手順が順番に配置された段階310および320を含むことができる。段階310は、動作領域及びスリープ領域を参照する動作領域311及びスリープ領域312(サブ領域312A及び312Bを含む)を含む操作段階を参照することができる。段階320は、選択段階を指し得る。明確にするために、活性化された走査電極上の画素回路に経時的に印加される暗状態電圧、明状態電圧、およびグレー状態電圧をそれぞれ示す曲線302、304、および306が、図3A、3B、3Cに別々に示されている。さらに、曲線302、304、および306は、参照のために図3Dにまとめて示されている。なお、PWM走査手順における最終段階(例えば、段階320)に続く非選択段階は、図3A~3Dに明示的に示されていない。これは、図4図10及び図15にも当てはまる。
【0054】
例えば、図3Aを参照すると、段階310(例えば、操作段階)における動作領域311およびスリープ領域312(サブ領域312Aおよび312Bを含む)における活性化走査電極上の画素回路によって感知される暗状態電圧の振幅は、それぞれ、約32.4Vおよび12.2Vである。加えて、段階320(例えば、選択段階)において活性化された走査電極上の画素回路によって感知される暗状態電圧の振幅は、約26.4Vである。動作領域311の持続時間と段階320の持続時間(例えば、選択段階)との間の比はおよそ0.5であり、一方、スリープ領域312の持続時間と段階320の持続時間との間の比もおよそ0.5であることに留意されたい。
【0055】
図3Bを参照すると、段階310の動作領域311およびスリープ領域312(サブ領域312Aおよび312Bを含む)の活性化された走査電極上の画素回路によって感知される明状態電圧の振幅は、それぞれ、約44.4Vおよび0Vである。加えて、段階320(例えば、選択段階)において活性化された走査電極上の画素回路によって感知される明状態電圧の振幅は、約38.4Vである。
【0056】
したがって、段階310の動作領域における活性化された走査電極上の画素回路によって感知される電圧振幅は44.4Vから32.4Vの間であり、段階310のスリープ領域における活性化された走査電極上の画素回路によって感知される電圧振幅は、0から12.2Vの間である。さらに、段階320において活性化された走査電極上の画素回路によって感知される電圧振幅は、26.4Vと38.4Vとの間である。したがって、曲線306は図3Cおよび3Dに示すように、曲線302と曲線304との間の範囲から導出することができる。
【0057】
提案されたPWM走査手順では、操作段階が導入され、基準ケースと比較して走査手順の全体的な持続時間が長くなる(すなわち、選択段階のみを含む)。しかしながら、事例1における選択段階の期間は、操作段階により短縮される。いくつかの実施形態では2つの隣接する走査線の走査手順がパイプライン方式で配置されるとき、各活性化走査電極上の画素を更新または書込むための時間は選択段階の持続時間に実質的に等しくなるように短縮され得る。これは、各走査線に対する走査手順を迅速化する。さらなる詳細は、図13の実施形態において説明される。
【0058】
より具体的には、提案されるPWM走査手順が操作段階を組み込み、2つ以上の異なる電圧に対応するRV曲線間の電圧間隔から適切な電圧を選択することを可能にする。この電圧は、操作段階または選択段階の間、活性化された走査電極上の画素回路を駆動するために使用される。その結果、従来のPWM走査手順と比較して、選択段階の持続時間を短縮し、グレースケール表示能力を向上させて、グレースケール画面を生成することができる。
【0059】
事例1-2:2つの第1型操作段階プラス選択段階
図4A図4Dは、本開示の別の実施形態による、経時的に画素回路に印加される駆動電圧を示す波形図である。
【0060】
いくつかの実施形態では、各活性化走査電極のPWM走査手順が順番に配置された段階410、420、および430を含むことができる。段階410は、動作領域411およびスリープ領域412(サブ領域412Aおよび412Bを含む)を含む第1操作段階を指し得る。段階420は、動作領域421およびスリープ領域422(サブ領域422Aおよび422Bを含む)を含む第2操作段階を指し得る。図4A~4Dに示す段階410および420は、図3A図3Dに示される段階310と同様であり得る。その詳細はここでは繰り返さない。段階430は、選択段階を指し得る。明確にするために、活性化された走査電極上の画素回路に経時的に印加される暗状態電圧、明状態電圧、およびグレー状態電圧をそれぞれ示す曲線402、404、および406が、図4A、4B、および4Cに別々に示されている。さらに、曲線402、404、および406は、参照のために図4Dにまとめて示されている。
【0061】
具体的には、図4A~4Dに示されるPWM走査手順中に、第1操作段階(例えば、段階410)、第2操作段階(例えば、段階420)、および選択段階(例えば、段階430)は順に配置され、選択段階(例えば、段階430)の持続時間を、図3A~3Dに示される選択段階330の持続時間と比較してさらに短縮する。
【0062】
事例2:第1型操作段階プラス高速化段階及び選択段階
図5A図5Dは、本開示のさらに別の実施形態による、経時的に画素回路に印加される駆動電圧を示す波形図である。
【0063】
いくつかの実施形態では、各活性化走査電極のPWM走査手順が順番に配置された段階510、520、および530を含むことができる。段階510は、動作領域511およびスリープ領域512(サブ領域512Aおよび512Bを含む)を含む操作段階を指し得る。段階520は、スピードを上げる段階を指し得る。段階530は、選択段階を指し得る。図5A~5Dに示す段階510および530は、図3A~3Dの段階310および320と同様であり得る。したがって、その詳細はここでは繰り返さない。明確にするために、活性化された走査電極上の画素回路に経時的に印加される暗状態電圧、明状態電圧、およびグレー状態電圧をそれぞれ示す曲線502、504、および506が、図5A、5B、および5Cに、別々に示されている。さらに、曲線502、504、および506は、参照のために図5Dにまとめて示されている。
【0064】
いくつかの実施形態では、段階520(例えば、高速化段階)の電圧振幅は曲線502および504の段階530(例えば、選択段階)の電圧振幅よりも高くてもよい。具体的には、駆動回路21が高速化段階において、走査電極駆動回路221及びデータ電極駆動回路222を制御して、表示部22B,22G,22Rに高電圧を印加してもよい。これは、液晶層230B、230G、および230R内のChLC分子の運動エネルギーを、ChLC分子が最も高い運動エネルギーを有するホメオトロピック状態によって必要とされるレベルまで増加させる。その結果、高速化段階(例えば、段階520)は表示パネル22の画面を更新するときに、選択段階(例えば、段階530)の持続時間を短縮するのに役立つ。
【0065】
事例3:2つの第2型操作段階プラス選択段階
図6A図6Dは、本開示のさらに別の実施形態による、経時的に画素回路に印加される駆動電圧を示す波形図である。
【0066】
いくつかの実施形態では、各活性化走査電極のPWM走査手順が順番に配置された段階610、620、および630を含むことができる。段階610および620は、それぞれ、第1操作段階および第2操作段階を指し得、それぞれ、半影響領域を含む。段階630は、選択段階を指し得る。図6A~6Dに示される段階630は、図3A図3Dに示す段階320と同様であり得る。その詳細はここでは繰り返さない。明確にするために、活性化された走査電極上の画素回路に経時的に印加される暗状態電圧、明状態電圧、およびグレー状態電圧をそれぞれ示す曲線602、604、および606が、図6A図6Bおよび図6Cに別々に示されている。さらに、曲線602、604、および606は、参照のために図6Dにまとめて示されている。いくつかの実施形態では、段階610を省略することができ、半影響領域を含む1つの操作段階が選択段階の前に配置されることに留意されたい。
【0067】
いくつかの実施形態では、半影響領域の電圧振幅が中間電圧振幅範囲内(例えば、14V~32V)であり得る。図6Aを参照すると、段階610および620において活性化された走査電極上の画素回路によって感知される暗状態電圧の振幅は、約20.4Vである。加えて、段階630(例えば、選択段階)において活性化された走査電極上の画素回路によって感知される暗状態電圧の振幅は、約26.4Vである。
【0068】
図6Bを参照すると、段階610及び620において活性化された走査電極上の画素回路によって感知される明状態電圧の振幅は、約32.4Vである。加えて、段階630(例えば、選択段階)において活性化された走査電極上の画素回路によって感知される明状態電圧の振幅は、約38.4Vである。したがって、段階630において活性化された走査電極上の画素回路によって感知される電圧振幅は、およそ26.4Vと38.4Vとの間である。従来のPWM走査手順と比較して、事例3で提案した走査方式は、半影響領域を含む操作段階を利用することによって、選択段階の持続時間を低減することもできる。
【0069】
事例4:第1型操作段階プラス高速化段階及び選択段階
図7A図7Dは、本開示のさらに別の実施形態による、経時的に画素回路に印加される駆動電圧を示す波形図である。
【0070】
いくつかの実施形態では、各活性化走査電極のPWM走査手順が順番に配置された段階710、720、および730を含むことができる。段階710および720はそれぞれ、操作段階および高速化段階を指し得、段階710は半影響領域を含む。段階730は、選択段階を指し得る。図7A~7Dに示される段階730は、図3A~3Dに示す段階320と同様であり得る。段階720は、図5A~5Dに示される段階520と同様であり得る。これらの段階の詳細は、ここでは繰り返さない。明確にするために、活性化された走査電極上の画素回路に経時的に印加される暗状態電圧、明状態電圧、およびグレー状態電圧をそれぞれ示す曲線702、704、および706が、図7A、7B、7Cに別々に示されている。さらに、曲線702、704、および706は、参照のために図7Dにまとめて示されている。
【0071】
従来のPWM走査手順と比較して、事例4で提案した走査方式は、1つの操作段階(半影響領域を含む)と1つの速度化段階を利用することによって、選択段階の持続時間を低減することもできる。
【0072】
事例5:第1型操作段階プラス選択段階および第2型操作段階
図8A図8Dは、本開示のさらに別の実施形態による、経時的に画素回路に印加される駆動電圧を示す波形図である。
【0073】
いくつかの実施形態では、各活性化走査電極のPWM走査手順が順番に配置された段階810、820、および830を含むことができる。段階810および820はそれぞれ、第1型操作段階(たとえば、動作およびスリープ領域を含む)および選択段階を指し得る。段階830は第2型操作段階(たとえば、半影響領域を含む)を指し得る。段階810~830の詳細は、上述の実施形態を参照することができるので、ここでは繰り返さない。明確にするために、活性化された走査電極上の画素回路に経時的に印加される暗状態電圧、明状態電圧、およびグレー状態電圧をそれぞれ示す曲線802、804、および806が、図8A、8B、および8Cに別々に示されている。さらに、曲線802、804、および806は、参照のために図8Dにまとめて示されている。
【0074】
また、従来のPWM走査方式に比べて、事例5で提案された走査方式は選択段階の前の1つの第1型操作段階と、選択段階の後の1つの第2型操作段階とを利用することによって、選択段階の持続時間を短縮し、表示パネル22の階調表示能力を改善することができる。
【0075】
事例6:高速化段階プラス選択段階
図9A図9Dは、本開示のさらに別の実施形態による、経時的に画素回路に印加される駆動電圧を示す波形図である。
【0076】
いくつかの実施形態では、各活性化走査電極のPWM走査手順が順番に配置された段階910および920を含むことができる。段階910および920は、それぞれ、高速化段階および選択段階を指し得る。段階910および920の詳細は前述の実施形態を参照することができ、したがって、ここでは繰り返さない。明確にするために、活性化された走査電極上の画素回路に経時的に印加される暗状態電圧、明状態電圧、およびグレー状態電圧をそれぞれ示す曲線902、904、および906が、図9A、9B、9Cに別々に示されている。さらに、曲線902、904、および906は、参照のために図9Dにまとめて示されている。
【0077】
いくつかの実施形態では、段階910(例えば、高速化段階)の電圧振幅は曲線902および904の段階920(例えば、選択段階)の電圧振幅よりも高くてもよい。具体的には、駆動回路21が高速化段階において、走査電極駆動回路221及びデータ電極駆動回路222を制御して、表示部22B,22G,22Rに高電圧を印加してもよい。これは、液晶層230B、230G、および230R内のChLC分子の運動エネルギーを、ChLC分子が最も高い運動エネルギーを有するホメオトロピック状態によって必要とされるレベルまで増加させる。その結果、高速化段階(例えば、段階910)は表示パネル22の画面を更新するときに、選択段階(例えば、段階920)の持続時間を短縮するのに役立つ。
【0078】
事例7:選択段階プラス高速化段階
図10A図10Dは、本開示のさらに別の実施形態による、経時的に画素回路に印加される駆動電圧を示す波形図である。
【0079】
いくつかの実施形態では、各活性化走査電極のPWM走査手順が順番に配置された段階1010および1020を含むことができる。段階1010および1020は、それぞれ、選択段階および高速化段階を指し得る。図10A~10Dに示す走査手順は、図9A~9Dに示されるものと同様である。違いは、図10A~10D中の選択段階の後に高速化段階が配置されていることである。明確にするために、活性化された走査電極上の画素回路に経時的に印加される暗状態電圧、明状態電圧、およびグレー状態電圧をそれぞれ示す曲線1002、1004、および1006が、図10A、10B、10Cに別々に示されている。さらに、曲線1002、1004、および1006は、参照のために図10Dにまとめて示されている。高速化段階(例えば、段階1020)は表示パネル22の画面を更新するとき、走査手順の全体的な持続時間を短縮するのに役立つ。
【0080】
事例8:1つの第1操作段階プラス選択段階
図15A図15Dは、本開示のさらに別の実施形態による、経時的に画素回路に印加される駆動電圧を示す波形図である。
【0081】
いくつかの実施形態では、各活性化走査電極のPWM走査手順が順番に配置された段階1510および1520を含むことができる。段階1510は(たとえば、サブ領域1511Aおよび1511Bを含む)動作領域1511とスリープ領域1512とを含む操作段階を指し得る。段階1520は、選択段階を指し得る。明確にするために、活性化された走査電極上の画素回路に経時的に印加される暗状態電圧、明状態電圧、およびグレー状態電圧をそれぞれ示す曲線1502、1504、および1506が、図15A、15B、15Cに別々に示されている。さらに、曲線1502、1504、および1506は、参照のために図15Dにまとめて示されている。
【0082】
いくつかの実施形態では暗状態曲線、明状態曲線、およびグレースケール曲線(たとえば、曲線1502、1504、および1506)上のAC電圧は操作段階(たとえば、段階1510)内の動作領域(たとえば、領域1511)の持続時間内で実質的に同じであり、それらは操作段階内の動作領域の残りの持続時間において異なる。これらの曲線上の交流電圧が操作段階における動作領域の持続時間内で実質的に同じである場合(例えば、上述の駆動パラメータを設定することによって)、表示パネル22上に表示される画面30上の画質を改善することができる。
【0083】
説明のために、図3~10、15中の水平軸が、マイクロ秒(μs)の単位で示されており、時間の絶対スケールではないが、異なる段階内のAC電圧パルスの挙動を示すために使用される。
【0084】
いくつかの実施形態では、2つの隣接する走査電極のための提案されるPWM走査手順が図13に示されるようにパイプライン方式で実行され得る。例えば、段階1310及び1320は行n上の走査電極のための操作段階及び選択段階を表し、段階1320及び1330は、行(n+1)上の走査電極のための操作段階及び選択段階を表す。加えて、行nに対する曲線1302~1306および行(n+1)に対する曲線1312~1316は、それぞれ、図3Dに示される曲線302~306に類似し得る。より具体的には、走査電極駆動回路221及びデータ電極駆動回路222が行n及び(n+1)上の隣接する2つの走査電極を同時に活性化することができ、行nに対するPWM走査手順の選択段階と、行n+1に対するPWM走査手順の操作段階とを同時に行うことができる。その結果、各走査線上の画素を更新または書込むための持続時間(すなわち、走査手順)は選択段階の持続時間と実質的に等しくすることができ、従来のPWM走査手順における選択段階の持続時間と比較して、操作段階(または高速化段階)によって短縮される。図13に示される曲線は図3Dから導出されるが、提案されるPWM走査手順をパイプライン化するための概念は図4図10の実施形態にも同様に適用することができ、それによって、選択段階の持続時間および各走査線の走査手順の全体的な持続時間を短縮することに留意されたい。
【0085】
図14は、本開示のいくつかの実施形態によるコレステリック液晶ディスプレイを駆動するための方法のフローチャートである。
【0086】
図2及び図14を参照されたい。フロー1400は、ステップ1410~1430を含むことができる。ステップ1410:駆動回路部を利用して、表示パネル内の各走査電極を順次活性化させる。例えば、駆動回路部は、走査電極駆動回路221及びデータ電極駆動回路222を含んでもよい。駆動回路部は表示パネル22に表示された画面を更新または書き込み中に、表示パネル内の各走査電極(例えば、BSE1~BSEN、GSE1~GSEN、RSE1~RSEN)を順次起動させてもよい。
【0087】
ステップ1420:駆動回路部を利用して、活性化走査電極のパルス幅変調(PWM)走査手順内の第1段階中に、活性化走査電極上の画素回路に1つまたは複数の第1交流(AC)電圧パルスを印加する。
【0088】
ステップ1430:駆動回路部を利用して、PWM走査手順の第2段階中に、活性化走査電極上の画素回路に1つまたは複数の第2AC電圧パルスを印加する。いくつかの実施形態では、第1AC電圧パルスの第1電圧振幅および第1周波数が第2AC電圧パルスの第2電圧振幅および第2周波数とそれぞれ異なる。例えば、第1段階は、上述の実施形態で説明した高速化段階または第1型の操作段階であってもよい。
【0089】
特定の実施形態を参照して本開示を説明してきたが、多くの代替形態、修正形態、および変形形態が当業者には明らかであり得ることは明白である。例えば、実施形態の様々な構成要素は、他の実施形態において交換、追加、または置換されてもよい。また、各図の要素の全てが、開示された実施形態の動作に必要ではない。例えば、開示された実施形態の当業者は独立請求項の要素を単に使用することによって、本開示の教示を行い、使用することができる。したがって、本明細書に記載の本開示の実施形態は、限定ではなく例示を意図するものである。本開示の趣旨および範囲から逸脱することなく、様々な変更が行われ得る。
【0090】
本開示の多数の特徴および利点が本発明の構造および機能の詳細とともに、上記の説明において記載されているが、本開示は例示に過ぎない。添付の特許請求の範囲が表現される用語の広い一般的な意味によって示される完全な範囲まで、本発明の原理の範囲内で、詳細、特に、形状、サイズ、および部品の配置が変更され得る。
【0091】
(関連出願の相互参照)
本出願は2023年6月6日に出願された米国仮出願第63/471,481号の利益を主張し、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。

図1
図2A
図2B
図3A
図3B
図3C
図3D
図4A
図4B
図4C
図4D
図5A
図5B
図5C
図5D
図6A
図6B
図6C
図6D
図7A
図7B
図7C
図7D
図8A
図8B
図8C
図8D
図9A
図9B
図9C
図9D
図10A
図10B
図10C
図10D
図11A
図11B
図12A
図12B
図13
図14
図15A
図15B
図15C
図15D