IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ザウラー スピニング ソリューションズ ゲー・エム・ベー・ハー ウント コー. カー・ゲーの特許一覧

特開2024-175670ロータ紡績機又はエアジェット紡績機の紡績装置の紡績ユニットにおける漏れ及び/又は詰まりを検出するための方法
<>
  • 特開-ロータ紡績機又はエアジェット紡績機の紡績装置の紡績ユニットにおける漏れ及び/又は詰まりを検出するための方法 図1
  • 特開-ロータ紡績機又はエアジェット紡績機の紡績装置の紡績ユニットにおける漏れ及び/又は詰まりを検出するための方法 図2
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024175670
(43)【公開日】2024-12-18
(54)【発明の名称】ロータ紡績機又はエアジェット紡績機の紡績装置の紡績ユニットにおける漏れ及び/又は詰まりを検出するための方法
(51)【国際特許分類】
   D01H 13/16 20060101AFI20241211BHJP
   D01H 1/115 20060101ALI20241211BHJP
【FI】
D01H13/16 B
D01H1/115 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024089024
(22)【出願日】2024-05-31
(31)【優先権主張番号】504416
(32)【優先日】2023-06-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】LU
(71)【出願人】
【識別番号】518264859
【氏名又は名称】ザウラー スピニング ソリューションズ ゲー・エム・ベー・ハー ウント コー. カー・ゲー
【氏名又は名称原語表記】Saurer Spinning Solutions GmbH & Co. KG
【住所又は居所原語表記】Carlstr. 60, 52531 Uebach-Palenberg, Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【弁理士】
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【弁理士】
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100134315
【弁理士】
【氏名又は名称】永島 秀郎
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【弁理士】
【氏名又は名称】上島 類
(74)【代理人】
【識別番号】110002848
【氏名又は名称】弁理士法人NIP&SBPJ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ジーベルト、ラルフ
(72)【発明者】
【氏名】ハンセン、ボド
(72)【発明者】
【氏名】シェルター、デトレフ
【テーマコード(参考)】
4L056
【Fターム(参考)】
4L056AA15
4L056AA19
4L056BD12
4L056BD19
4L056EA08
4L056EA39
4L056EB08
4L056EB29
4L056EC34
4L056ED07
4L056ED11
(57)【要約】      (修正有)
【課題】本発明は、ロータ紡績機又はエアジェット紡績機の紡績装置の紡績ユニットにおける漏れ及び/又は詰まりを検出するための方法と、この方法を実施するためのロータ紡績機又はエアジェット紡績機を提供する。
【解決手段】紡績ユニットへの圧縮空気流の供給を解放するために、圧縮空気弁が、特に制御可能な方式で「開」状態に設定される検査モードに紡績機を設定するステップと、圧縮空気源がオフに切り替えられている場合に、圧縮空気流を供給するために圧縮空気源をオンに切り替えるステップと、圧縮空気弁を規定の順序で次々に閉じるステップと、測定された圧縮空気流量値が割り当てられた限界値又は限界値範囲を下回るか又は上回るかが分析される、識別するステップと、を含む。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ロータ紡績機又はエアジェット紡績機(1)の紡績装置(3)の紡績ユニット(4)における漏れ及び/又は詰まりを検出するための方法(100)であって、
-前記紡績機(1)が、
-各々が紡績ユニット(4)を有する規定の数の紡績装置(3)を含む少なくとも1つのセクションと、
-少なくとも1つの圧縮空気源(6)と、
-前記紡績ユニット(4)のうちの少なくとも1つの紡績ユニット(4)に各々が連結された圧縮空気供給ライン(8)であって、前記少なくとも1つの圧縮空気源(6)の圧縮空気流が、前記圧縮空気供給ライン(8)を介して、前記圧縮空気供給ライン(8)に割り当てられた前記少なくとも1つの紡績ユニット(4)に供給可能である、圧縮空気供給ライン(8)と、
-少なくとも1つの紡績ユニット(4)に割り当てられた切り替え可能な、特に制御可能な圧縮空気弁(12)であって、前記圧縮空気弁(12)が、圧力体積流にかかわらず少なくとも圧力を一定に保つように、特に供給される圧縮空気流を制御するように設計されている、圧縮空気弁(12)と、
-前記圧縮空気供給ライン(8)内の前記圧縮空気流量を測定するための少なくとも1つの圧縮空気流量計(10)と、を備え、
-前記紡績機(1)が、
-前記少なくとも1つの圧縮空気源(6)及びそれぞれの前記圧縮空気弁(12)を制御及び/又は調整するために、前記少なくとも1つの圧縮空気源(6)及び前記圧縮空気弁(12)に結合された制御及び調整ユニット(14)と、
-前記圧縮空気流量計(10)からの測定データを評価するために、前記圧縮空気流量計(10)にデータ伝送方式で接続された評価装置(13)と、を備えるか、又は結合されており、
-前記方法(100)が、
-前記紡績ユニット(4)への圧縮空気流の供給を解放するために、前記圧縮空気弁(12)が、特に制御可能な方式で「開」状態に設定されている検査モードに前記紡績機(1)を設定するステップ(110)と、
-前記少なくとも1つの圧縮空気源(6)がオフに切り替えられている場合に、圧縮空気流を供給するために前記圧縮空気源(6)をオンに切り替えるステップ(120)と、
-前記圧縮空気弁(12)を規定の順序で次々に閉じるステップ(130)であって、圧縮空気弁(12)が閉じられる毎に、支配的な圧縮空気流量値が測定され、測定結果が前記評価装置(13)に送信され、前記圧縮空気弁(12)に割り当てられた前記少なくとも1つの紡績ユニット(4)に割り当てられ、前記評価装置(13)又は前記評価装置(13)に接続されたメモリユニットに記憶された特定の限界値又は限界値範囲と比較される、閉じるステップ(130)と、
-前記評価装置(13)によって、前記割り当てられた圧縮空気流量値が前記限界値又は限界値範囲から逸脱している前記紡績ユニット(4)を識別するステップ(140)であって、前記測定された圧縮空気流量値が前記割り当てられた限界値又は限界値範囲を下回るか又は上回るかが分析される、識別するステップ(140)と、を含む、方法(100)。
【請求項2】
前記制御及び調整ユニット(14)が、前記評価装置(13)にデータ伝送方式で接続されていることを特徴とする、請求項1に記載の方法(100)。
【請求項3】
前記分析が前記限界値又は限界値範囲からの前記圧縮空気流量値の許容できない偏差を示す場合に、前記評価装置(13)によって警報信号が発せられることを特徴とする、請求項1に記載の方法(100)。
【請求項4】
前記警報信号が、前記許容できない偏差のタイプに関する情報と、前記許容できない偏差に関連する前記紡績装置(3)、紡績ユニット(4)、及び/又は圧縮空気供給ライン(8)に関する情報と、を含むことを特徴とする、請求項3に記載の方法(100)。
【請求項5】
各ケースで少なくとも1つの紡績ユニット(4)に割り当てられた切り替え可能な、特に制御可能な圧縮空気弁(12)が、関連する紡績装置(3)における圧縮空気流量値の偏差が許容できないと分析された場合に、閉位置に移動されることを特徴とする、請求項1~4の一項以上に記載の方法(100)。
【請求項6】
前記紡績機(1)がエアジェット紡績機であり、前記紡績ユニット(4)がエアジェットスピナレットによって形成され、前記エアジェットスピナレットにより、前記エアジェットスピナレットに供給される圧縮空気流を介して供給されたスライバから糸が形成され、前記圧縮空気流が前記エアジェットスピナレットの内部で渦気流を発生させることを特徴とする、請求項1~5の一項以上に記載の方法(100)。
【請求項7】
前記許容できない偏差に関する前記紡績装置(3)、紡績ユニット(4)、及び/又は圧縮空気供給ライン(8)が、表示ユニット(15)によって示されることを特徴とする、請求項1~6の一項以上に記載の方法(100)。
【請求項8】
前記割り当てられた限界値又は限界値範囲からの前記偏差の程度が、特に表示ユニット(15)によって識別され、示されることを特徴とする、請求項1~7の一項以上に記載の方法(100)。
【請求項9】
ロータ紡績機又はエアジェット紡績機(1)であって、
-各々が紡績ユニット(4)を有する規定の数の紡績装置(3)を含む少なくとも1つのセクションと、
-少なくとも1つの圧縮空気源(6)と、
-前記紡績ユニット(4)のうちの少なくとも1つの紡績ユニット(4)に各々が連結された圧縮空気供給ライン(8)であって、前記少なくとも1つの圧縮空気源(6)の圧縮空気流が、前記圧縮空気供給ライン(8)を介して、前記圧縮空気供給ライン(8)に割り当てられた前記少なくとも1つの紡績ユニット(4)に供給可能である、圧縮空気供給ライン(8)と、
-少なくとも1つの紡績ユニット(4)に割り当てられた切り替え可能な、特に制御可能な圧縮空気弁(12)であって、前記圧縮空気弁(12)が、圧力体積流にかかわらず少なくとも圧力を一定に保つように、特に供給される圧縮空気流を制御するように設計されている、圧縮空気弁(12)と、
-前記圧縮空気供給ライン(8)内の前記圧縮空気流量を測定するための少なくとも1つの圧縮空気流量計(10)と、
を備え、
請求項1~8のいずれか一項に記載の方法(100)を実行するための前記紡績機(1)が、
-前記少なくとも1つの圧縮空気源(6)及びそれぞれの前記圧縮空気弁(12)を制御及び/又は調整するために、前記少なくとも1つの圧縮空気源(6)及び前記圧縮空気弁(12)に結合された制御及び調整ユニット(14)と、
-前記圧縮空気流量計(10)からの測定データを評価するために、前記圧縮空気流量計(10)にデータ伝送方式で接続された評価装置(13)と、を備えるか、又は結合されており、
前記評価装置(13)が、
-前記圧縮空気弁(12)が規定の順序で次々に閉じられるとき、圧縮空気弁(12)が閉じられるたびに測定された前記圧縮空気流量値を、前記評価装置(13)又は前記評価装置(13)に接続されたメモリユニットに記憶された特定の限界値又は限界値範囲と比較することと、
-前記割り当てられた圧縮空気流量値が前記限界値又は限界値範囲から逸脱している前記紡績ユニット(4)を識別することであって、前記測定された圧縮空気流量値が前記割り当てられた限界値又は限界値範囲を下回るか又は上回るかが分析される、識別することと、
をするように設定されていることを特徴とする、ロータ紡績機又はエアジェット紡績機(1)。
【請求項10】
前記圧縮空気弁(12)が圧縮空気流分岐ダクト(9)内に配置されており、前記圧縮空気流分岐ダクト(9)を介して、前記割り当てられた紡績ユニット(4)が、前記圧縮空気流を案内するように前記圧縮空気供給ライン(8)に接続されていることを特徴とする、請求項9に記載のロータ紡績機又はエアジェット紡績機(1)。
【請求項11】
前記制御及び調整ユニット(14)が、前記評価装置(13)にデータ伝送方式で接続されていることを特徴とする、請求項9又は10に記載のロータ紡績機又はエアジェット紡績機(1)。
【請求項12】
前記評価装置(13)が、無線又は有線の方式で表示ユニット(15)にデータ伝送方式で接続されるとともに、前記表示ユニット(15)に、前記偏差に関連する前記紡績装置(3)、紡績ユニット(4)、圧力供給ライン(8)及び/又は前記限界値若しくは又は限界値範囲からの前記偏差の前記程度を表示させるように設計されていることを特徴とする、請求項9~11のいずれか一項に記載のロータ紡績機又はエアジェット紡績機(1)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ロータ紡績機又はエアジェット紡績機の紡績装置の紡績ユニットにおける漏れ及び/又は詰まりを検出するための方法と、この方法を実施するためのロータ紡績機又はエアジェット紡績機とに関する。
【背景技術】
【0002】
ロータ紡績機又はエアジェット紡績機は、各々が紡績ユニットを有する規定の数の紡績装置を備えた少なくとも1つのセクションを含むことが知られており、紡績ユニットは、それぞれの紡績装置に供給されたスライバを紡績プロセスの過程で糸に処理するために空気流を必要とする。空気流は、通常、空気流を生成する少なくとも1つの圧縮空気源によって生成される。紡績機のタイプに応じて、圧縮空気源は、例えば紡績負圧を生成するために特にロータ紡績機と共に使用される吸引空気システム、又は、圧縮空気を生成し、特にエアジェット紡績機と共に使用されて紡績圧力を生成するソースであり得る。
【0003】
したがって、ロータ紡績機の紡績ロータは、紡績ユニットとみなすことができ、そのロータカップには、通常の紡績動作中だけでなく、初期紡績プロセス中にも吸引空気が供給される。エアジェット紡績機の場合、エアジェットスピナレットは紡績ユニットとみなすことができる。紡績ユニットは、一般的に、スライバの繊維から糸を、個々に又はスライバとして、空気圧で生成するように設計されている全ての装置である。
【0004】
個々の紡績装置の紡績ユニットに供給するために、これらの紡績ユニットの各々は圧縮空気供給ラインに接続されており、それにより、少なくとも1つの圧縮空気源からの圧縮空気を、圧縮空気供給ラインを介して、割り当てられた紡績ユニットに供給できるようになっている。それぞれの紡績装置に供給される圧縮空気流は、各紡績ユニットに割り当てられた切り替え可能な、特に制御可能な圧縮空気弁を介して調整することができる。圧縮空気供給ライン内の圧縮空気流量を測定するための、質量流量トランスミッタ又は体積流量トランスミッタなどの少なくとも1つの圧縮空気流量計が、圧縮空気流を監視するために使用される。
【0005】
ロータ紡績機又はエアジェット紡績機によって製造される糸の品質のためには、圧縮空気流、特に付随する圧力、負圧、又は体積流が、紡績ユニットによるスライバ又はスライバの個々の繊維の適切な処理のために規定された範囲内にあることが必要である。また、可能であれば、対応する要求の直後に圧縮空気流が提供される場合、機械の生産性を最大化する。この理由は、そうでなければ、紡績ユニットは非生産的な待機時間を費やさなければならないためである。他方では、圧縮空気流を発生する圧縮空気源を最大所要圧縮空気流需要に合わせて寸法決めすることは、そのコストを不利に増大させる。
【0006】
同様に、圧縮空気流を現在必要とされる圧縮空気流より上に維持することは、エネルギー消費を増加させる。これは、例えば、圧縮空気流路内に例えば漏れによる損失がある場合に必要となり得る。製造された糸の品質の更なる損失は、紡績ユニットの空気ノズルの詰まりに起因する可能性があり、これはまた、糸製造プロセスの完全な中断につながる可能性がある。
【0007】
従来技術から、紡績装置の個々の紡績ユニットにおける漏れ及び/又は詰まりを識別するために、個々の紡績装置におけるそれぞれの圧縮空気体積流を判定することが知られている。しかしながら、この方法はかなり不正確であるため、本発明の目的は、ロータ紡績機又はエアジェット紡績機の紡績装置の紡績ユニットにおける漏れ及び/又は詰まりを確実に検出するための方法と、この方法を実施するためのロータ紡績機又はエアジェット紡績機とを提供することである。
【発明の概要】
【0008】
本発明の目的のために、圧縮空気流は、負圧又は正圧によって生成される空気流を意味すると理解され、圧縮空気供給ラインの一部における空気流の方向は、圧力源又は負圧源の配置によって判定される。このように、負圧によって発生する空気流は、その配置によって、空気流方向において、圧力によって発生する空気流と異なる場合もあるし、同じ場合もあり得る。ロータ紡績機又はエアジェット紡績機は、各々が紡績ユニットを有する規定の数の紡績装置を備えた少なくとも1つのセクションを有している。圧縮空気流を伝える圧縮空気供給ラインに接続された少なくとも1つの圧縮空気源が、紡績装置に割り当てられている。個々の紡績装置に圧縮空気を供給するために、それらは、特に圧縮空気流分岐ダクトを介して圧縮空気供給ラインに接続され、圧縮空気供給ライン又は圧縮空気流分岐ダクトの各々は、紡績装置の個々の紡績ユニットに供給するために使用される。制御及び調整ユニットは、少なくとも1つの圧縮空気源と、紡績ユニットに割り当てられたそれぞれの切り替え可能な、特に制御可能な圧縮空気弁とを制御及び/又は調整して、割り当てられた紡績ユニットに供給される圧縮空気流を調整するために、紡績機に連結される。更に、圧縮空気供給ライン内の圧縮空気流量を測定するための少なくとも1つの圧縮空気流量計、例えば質量流量トランスミッタ又は体積流量トランスミッタからの測定値を評価するための評価装置が、紡績機に割り当てられ、評価装置は、圧縮空気流量計によって送信された測定データを評価する。圧縮空気流量計によって判定することができる圧縮空気流量値は、少なくとも圧縮空気供給ラインを通る圧縮空気体積流量又は圧縮空気供給ライン内の支配的な空気圧である。
【0009】
制御及び調整ユニット並びに評価装置は、本発明に係る方法を実行するために使用され、紡績装置は、紡績ユニットにおける漏れ及び/又は詰まりについて検査される。この目的のために、紡績機は、最初に、紡績ユニットへの圧縮空気流の供給を解放するために、圧縮空気弁が、特に制御可能な方式で「開」状態に設定される検査モードに設定される。次の方法ステップにおいて、少なくとも1つの圧縮空気源がスイッチオフ状態にある場合、圧縮空気源は次いで、圧縮空気流を供給するためにスイッチオンされる。圧縮空気弁は、その後、規定の順序で、特に制御可能な方式で次々に閉鎖され、圧縮空気弁が閉鎖されるたびに、支配的な圧縮空気流量値が測定され、測定結果が評価装置に送信され、それぞれの紡績ユニットに割り当てられ、評価装置又は評価装置に接続されたメモリユニットに記憶された特定の限界値範囲と比較される。前述の比較が実施された後に、評価装置は、次いで、割り当てられた圧縮空気流量値が限界値又は限界値範囲から逸脱している紡績ユニット(複数可)を識別する。ここで、識別は、測定された圧縮空気流量値が割り当てられた限界値又は限界値範囲を下回るか又は上回るかが分析されるように行われる。特に、許容できない偏差に関連する紡績装置、紡績ユニット、及び/又は圧縮空気供給ラインが、表示ユニットによって示される。これは、偏差が、以下でより詳細にかつ例として説明されるように、システム内で処理され得るだけでなく、オペレータのために視覚化され得ることを意味する。更に、割り当てられた限界値又は限界値範囲からの偏差の程度は、好ましくは評価装置によって識別することができ、特に表示ユニットによって示すことができる。
【0010】
本発明による方法は、紡績装置に割り当てられたそれぞれの圧縮空気弁が規定の順序で次々に閉鎖されるとき、圧縮空気弁が閉鎖される前後の圧縮空気流量値の比較の結果としての特異的な体積流量又は圧力差が、紡績ユニット内の漏れ及び/又は詰まりを識別するために測定値として使用されるという利点を有する。例えば、それぞれの紡績ユニットにおける個々の体積流よりも高い相対精度で全体の体積流を検出することができるので、漏れ及び/又は詰まりを特に確実な方式で検出することができる。この方法は、紡績装置が点検された後に、対応する圧縮空気弁が、特に制御可能な方式で再び開かれ、次の圧縮空気弁が次いで、特に制御可能な方式で、特定の規定の順序で閉じられるように実行され得る。更に、本発明による方法は、測定が実行された後に圧縮空気弁が閉位置に留まり、次の順番の圧縮空気弁が次いで、特に制御可能な方式で閉鎖されるように実行することもできる。
【0011】
圧縮空気源、評価装置、並びに/又は制御及び調整ユニットは、好ましくは、ロータ紡績機又はエアジェット紡績機に含まれ得る。代替的に、圧縮空気源、評価装置、並びに/又は制御及び調整ユニットは、ロータ紡績機又はエアジェット紡績機から分離して配置されてもよく、前述の機械に動作可能に接続されてもよい。本発明は、圧縮空気流量計が圧縮空気供給ライン内の圧縮空気流量を測定するために設けられ、データ伝送方式で評価装置に接続され、データ伝送が一般に、必要に応じて通常の方式で、特に有線又は無線方式で実施され得ることを特徴とする。
【0012】
本発明による方法の過程では、例えば、評価装置に伝送された、個々の圧縮空気弁の閉鎖後の支配的な全体の体積流の測定データを介して、漏れ及び/又は詰まりを有する紡績ユニットを確実に識別するために、圧縮空気流量計が使用される。圧縮空気弁が閉じられた後に限界値又は限界値範囲を上回る特異的な体積流量は、割り当てられた紡績ユニットが漏れを有することを示唆し、一方、限界値又は限界値範囲を下回る特異的な体積流量は、紡績ユニットが詰まっていることを示唆する。
【0013】
判定された圧縮空気流量値と限界値又は限界値範囲との提供される比較及びそれらの分析は、評価装置によって実行される。本発明の意味における評価装置は、必要なプロセスを実行するように構成されたそのような機能的に相互作用する要素又はユニットであると理解される。要素又はユニットは、互いに別々に、又は共通のアセンブリにおいて実現され得る。評価装置は、好ましくは、ロータ紡績機又はエアジェット紡績機に割り当てられた制御及び調整ユニットなどのプロセッサ支援装置に統合され得る。特に有利には、制御及び調整ユニットが、データ伝送方式で評価装置に接続されることが提供される。この接続は、検査モードの自動化された実行を可能にし、この検査モードでは、紡績装置の個々の紡績ユニットが漏れ及び/又は詰まりについて検査される。このプロセスは、オペレータの介入を必要とすることなく、プロセッサ制御方式で制御及び調整ユニットによって確実に実行することができる。
【0014】
分析が限界値又は限界値範囲からの圧縮空気流量値の許容できない偏差を示すとすぐに、本発明の好ましい実施形態に応じて警報信号を作動させることができる。警報信号は、評価装置が、警報信号をトリガするのに適した信号を、例えば警報信号をトリガするユニットに送信するか、又は中間ユニットに送信するときに起動される。警報信号は、視覚信号、光信号、音響信号、及び/又は触覚信号とすることができる。このような警報信号によって、ロータ紡績機又はエアジェット紡績機のオペレータは、不良な品質の糸をもたらす可能性があるロータ紡績機又はエアジェット紡績機の不適切な動作を知らされることができる。
【0015】
提案された方法は、ロータ紡績機又はエアジェット紡績機の紡績ユニットにおける漏れ及び/又は詰まりを検出する費用効率が高く非常に信頼性の高い方法である。測定、送信、判定、比較、及び分析のプロセスは、好ましくは、エネルギー消費要件に応じて、周期的に又は固定された時点で実行することができ、ロータ紡績機又はエアジェット紡績機は、この目的のために検査モードに設定され、それによって本発明による方法を実行することが可能になる。このようなプロセスがより頻繁に実行されるほど、ロータ紡績機又はエアジェット紡績機の対応するエネルギー要件はより高くなり得るが、監視及び即時介入又はトラブルシューティングの可能性がより確実にもなり、それによって、ロータ紡績機又はエアジェット紡績機の生産性を最適化することができ、製造される糸の品質が向上する。
【0016】
好ましい実施形態によれば、警報信号は、漏れ及び/又は詰まりに関する情報だけでなく、どの紡績装置、紡績ユニット、圧縮空気供給ライン、及び/又は圧縮空気流分岐ダクトが影響を受けているかに関する情報も含む。許容できない偏差のタイプ、すなわち、それが詰まりであるか漏れであるかに加えて、情報の対応する表示は、存在する漏れ及び/又は詰まりを、特に目標とされた方式で、かつ短期的な通知で修正することを可能にし、それにより、ロータ紡績機又はエアジェット紡績機は全体的に高レベルの生産能力で動作されることができる。
【0017】
特に有利には、漏れ及び/又は詰まりが検出された後に、識別された紡績ユニットに割り当てられた切り替え可能な、特に制御可能な圧縮空気弁が、閉位置に留まるか、又は開放されている場合には、関連する紡績装置における圧縮空気流量値の偏差が許容できないと分析された場合に閉位置に移動されることが提供される。本発明のこの構成は、検出された欠陥が修正されるまで、対応する紡績装置が動作を停止されることを確実に保証し、その結果、欠陥のある糸の製造が確実に回避される。
【0018】
本発明の特に有利な構成によれば、本発明によって提案される方法はエアジェット紡績機に適しており、紡績ユニットがエアジェットスピナレットによって形成され、このエアジェットスピナレットにより、エアジェットスピナレットに供給される圧縮空気の空気ノズルを介して供給されたスライバから糸が形成され、この空気ノズルがエアジェットスピナレットの内部で渦気流を発生させる。
【0019】
本発明の更なる態様によれば、本発明による方法又は好ましい実施形態のうちの1つによる方法を実行するためのロータ紡績機又はエアジェット紡績機が提案される。ロータ紡績機又はエアジェット紡績機は、
-各々が紡績ユニットを有する規定の数の紡績装置を含む少なくとも1つのセクションと、
-少なくとも1つの圧縮空気源と、
-複数の紡績ユニットのうちの少なくとも1つの紡績ユニットに各々が連結された圧縮空気供給ラインであって、少なくとも1つの圧縮空気源の圧縮空気流が、圧縮空気供給ラインを介して、圧縮空気供給ラインに割り当てられた少なくとも1つの紡績ユニットに供給可能である、圧縮空気供給ラインと、
-少なくとも1つの紡績ユニットに割り当てられた切り替え可能な、特に制御可能な圧縮空気弁であって、圧縮空気弁が、圧力体積流にかかわらず少なくとも圧力を一定に保つように、特に供給される圧縮空気流を制御するように設計されている、圧縮空気弁と、
-圧縮空気供給ライン内の圧縮空気流量を測定するための少なくとも1つの圧縮空気流量計と、を有している。
【0020】
本発明による上述の方法又は発展した方法を実施するための本発明によるロータ紡績機又はエアジェット紡績機は、ロータ紡績機又はエアジェット紡績機が、
-少なくとも1つの圧縮空気源及び圧縮空気弁を制御及び/又は調整するために、少なくとも1つの圧縮空気源及び圧縮空気弁に結合された制御及び調整ユニットと、
-圧縮空気流量計からの測定データを評価するために、圧縮空気流量計にデータ伝送方式で接続された評価装置と、を備えるか、又は結合されていることを特徴とする。
評価装置は、圧縮空気弁が規定の順序で次々に閉じられるとき、圧縮空気弁の、特に制御可能な閉鎖のたびに、支配的な測定された圧縮空気流量値を、評価装置又は評価装置に接続されたメモリユニットに記憶された特定の限界値又は限界値範囲と比較することと、割り当てられた圧縮空気流量値が限界値又は限界値範囲から逸脱している紡績ユニットを識別することであって、測定された圧縮空気流量値が限界値又は限界値範囲を下回るか又は上回るかが分析される、識別することと、をするように設定されている。
【0021】
本発明によるロータ紡績機又はエアジェット紡績機は、特に簡単かつ確実な方式で、漏れ及び/又は詰まりを有する紡績ユニットの紡績装置を識別することを可能にし、その結果、必要に応じて故障を短期的な通知で修正することができ、したがって、ロータ紡績機及びエアジェット紡績機の高い生産効率を保証することを特徴とする。更に、品質の悪い糸の製造が確実に回避される。
【0022】
本発明の特に有利な構成によれば、割り当てられた紡績装置への圧縮空気流を遮断するために設けられた圧縮空気弁は、圧縮空気流分岐ダクト内に配置され、この圧縮空気流分岐ダクトを介して、割り当てられた紡績ユニットが、圧縮空気流を案内するように圧縮空気供給ラインに接続される。圧縮空気弁の対応する配置は、対応する紡績装置又は紡績ユニットが圧縮空気源から分離されることを確実に保証する。したがって、特に好ましい実施形態によれば、ロータ紡績機若しくはエアジェット紡績機に含まれる圧縮空気弁のいくつか、又は更なる好ましい実施形態によれば、ロータ紡績機若しくはエアジェット紡績機に含まれる圧縮空気弁の全てを、対応する圧縮空気流分岐ダクト内に配置することができる。
【0023】
本発明の更なる構成によれば、制御及び調整ユニットが、データ伝送方式で評価装置に接続されることが更に提供される。本発明のこの構成は、漏れ及び/又は詰まりを検出するために検査モードで実行される方法ステップを、オペレータの介入を必要とせずに、自動的な方式で、例えば評価装置によるプロセス制御された方式で実行することを可能にする。
【0024】
更に好ましい実施形態によれば、評価装置は、例として上述したように、無線又は有線の方式で表示ユニットにデータ伝送方式で接続されるとともに、表示ユニットに、限界値又は限界値範囲からの偏差及び/又は偏差の程度に関連する紡績装置、紡績ユニット、圧力供給ライン、圧縮空気流分岐ダクトを表示させるように設計されている。このようにして、偏差の程度をオペレータに対して視覚化することができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
本発明の例示的な実施形態を、添付図面を参照して以下に説明する。図面は以下の通りである。
図1】紡績機の実施形態の概略図である。
図2】紡績機の紡績装置の紡績ユニットにおける漏れ及び/又は詰まりを検出するための方法の実施形態のフロー図の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
図1は、ここでは部分的にしか示されておらず、セクションを形成するようにまとめられており、各々が紡績ユニット4を有している複数の紡績装置3を有する紡績機1を純粋に概略的な表示を示している。紡績装置3は、ロータ紡績機又はエアジェット紡績機の紡績装置3とすることができる。
【0027】
機械の一方の端部では、紡績機1は、制御ハウジング2を有する機械フレームを備えており、この制御ハウジング2から、複数の紡績装置3が、紡績機1の長手方向の機械の側部上で、かつこれに沿って列のように延びており、ここで、それぞれの紡績装置3は、データ伝送側で、制御ハウジング2内に示されている中央制御及び調整ユニット14に接続されている。各紡績装置3は、それぞれの紡績装置3に設けられたスライバから糸を製造するための紡績ユニット4を有している。
【0028】
紡績機1は、圧縮空気流を発生させる、制御ハウジング2内に配置された圧縮空気源6を有している。圧縮空気源6は、負圧又は正圧によって引き起こされる圧縮空気流を生成するように設定される。圧縮空気源6は、圧縮空気流を案内するように圧縮空気供給ライン8に接続され、圧縮空気供給ライン8から分岐するいくつかの圧縮空気流分岐ダクト9が、前述の圧縮空気供給ライン上に配置されている。分岐している圧縮空気流分岐ダクト9の各々は、圧縮空気源6によって生成され得る圧縮空気流を紡績装置3及び紡績装置3に割り当てられた紡績ユニット4に供給するために、紡績装置3及び紡績装置3に割り当てられた紡績ユニット4に通じている。
【0029】
圧縮空気源6と、圧縮空気源6に最も近い圧縮空気流分岐ダクトとの間の圧縮空気流分岐ダクト9において、圧縮空気供給ライン8は、圧縮空気流量値(すなわち、本例示的実施形態における圧縮空気体積流)を測定するための圧縮空気流量計10を有し、この圧縮空気流量計は、図示された好ましい例示的実施形態によれば、制御ハウジング2内に配置される。圧縮空気流量計10は、保守フラップを通して制御ハウジング2内でアクセス可能であり、特に、保守フラップに一体化された覗き窓を通して視認可能とすることができる。好ましい例示的な実施形態によれば、圧縮空気流量計10は、通過する測定可能な圧縮空気体積流量の拡縮された表示及び/又はデジタル表示のためのディスプレイを有することができる。
【0030】
紡績装置3に通じるそれぞれの圧縮空気流分岐ダクト9には、切り替え可能な、特に制御可能な圧縮空気弁12が、圧縮空気供給ライン8と紡績ユニット4との間に配置されており、この圧縮空気弁は、特に制御された方式で、開位置と閉位置との間で調節可能である。開位置では、圧縮空気流は、圧縮空気弁12を介して対応する圧縮空気流分岐ダクト9を通過することができ、圧縮空気弁12が閉位置にあるとき、対応する圧縮空気流分岐ダクト9は、圧縮空気流に対して遮断される。
【0031】
評価装置13は、圧縮空気流量計10に直接接続され、制御及び調整ユニット14を介して個々の紡績装置3の圧縮空気弁12に間接的に接続されている。このようにして、測定された圧縮空気体積流を、圧縮空気流量計10から評価装置13に送信することができる。更に、それぞれの圧縮空気弁12を開位置と閉位置との間で、特に制御可能な方式で調整するために、制御及び調整ユニット14を使用することができる。図1の概略図ではデータ伝送経路が単方向のみで示されているが、更なる好ましい例示的な実施形態によれば、データ伝送経路は、特に対応するフィードバックを提供又は取り出すことができるように、双方向接続とすることもできる。
【0032】
評価装置13は、制御及び調整ユニット14によって実行される検査モード中に、紡績装置3の紡績ユニット4における漏れ及び/又は詰まりを検出するように設定されている。紡績ユニット4における漏れ及び/又は詰まりを検出するための方法100は、第1のステップ110において、制御及び調整ユニット14において紡績機を検査モードに設定することを含み、検査モードにおいて、個々の紡績装置3の圧縮空気弁12は、紡績ユニット4への圧縮空気流の供給を解放するために、特に制御可能な方式で開位置に設定される。
【0033】
次のステップ120において、圧縮空気源6が構成された状態にあることを条件として、圧縮空気源6が作動されるか、又はスイッチオンされる。検査プロセスに関する次のステップ130において、制御及び調整ユニット14は、個々の紡績装置3の圧縮空気弁12を規定の順序で次々に閉位置に、特に制御可能な方式で調節し、その後、各ケースにおいて圧縮空気流量計10で判定された圧縮空気体積流量を記録する。この測定値は、それぞれの紡績ユニット4に割り当てられ、評価装置13において、評価装置13又は評価装置13に接続されたメモリユニット(ここでは図示せず)に記憶された特定の限界値又は限界値範囲と比較される。
【0034】
評価装置13が、圧縮空気流量計10によって判定された圧縮空気流量値の、割り当てられた限界値又は限界値範囲からの偏差を検出した場合、これは、後続のステップ140において、評価装置13によって識別され、評価装置13は、測定された圧縮空気値が、記憶された限界値又は限界値範囲を上回るか下回るか、特に、限界値又は限界値範囲からの偏差の程度を評価する。超過又は不足、特に限界値又は限界値範囲からの偏差の程度は、評価装置13によって、警報信号表示ユニットとして設計された表示ユニット15を介して表示される。
【0035】
警報信号表示ユニット15は、偏差のタイプに関する情報を提供し、限界値又は限界値範囲を下回る測定された圧縮空気流量値は、紡績ユニット4の詰まりとして信号化され、一方、限界値又は限界値範囲を超える圧縮空気流量値は、紡績ユニット4における漏れとして警報信号表示ユニット15に表示される。
【符号の説明】
【0036】
1 紡織機
2 制御ハウジング
3 紡績装置
4 紡績ユニット
6 圧縮空気源
8 圧縮空気供給ライン
9 圧縮空気流分岐ダクト
10 圧縮空気流量計
12 圧縮空気弁
13 評価装置
14 制御及び調整ユニット
15 表示ユニット
100 方法
110 検査モードに設定する方法ステップ
120 圧縮空気源をスイッチオンする方法ステップ
130 閉鎖、送信、及び比較の方法ステップ
140 識別する方法ステップ
図1
図2