(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024175679
(43)【公開日】2024-12-18
(54)【発明の名称】制御装置を製造するための装置及び方法
(51)【国際特許分類】
G05B 13/02 20060101AFI20241211BHJP
G05B 11/36 20060101ALI20241211BHJP
G05B 11/42 20060101ALI20241211BHJP
【FI】
G05B13/02 A
G05B11/36 G
G05B11/42
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2024091292
(22)【出願日】2024-06-05
(31)【優先権主張番号】10 2023 205 256.3
(32)【優先日】2023-06-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(71)【出願人】
【識別番号】390023711
【氏名又は名称】ローベルト ボツシユ ゲゼルシヤフト ミツト ベシユレンクテル ハフツング
【氏名又は名称原語表記】ROBERT BOSCH GMBH
【住所又は居所原語表記】Stuttgart, Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【弁理士】
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【弁理士】
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100134315
【弁理士】
【氏名又は名称】永島 秀郎
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【弁理士】
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】テオファン クライスト グエディア グエモ
(72)【発明者】
【氏名】フィリップ ラムシンスキー
(72)【発明者】
【氏名】シュテファン グリューナー
【テーマコード(参考)】
5H004
【Fターム(参考)】
5H004GB12
5H004GB15
5H004HB07
5H004KB02
5H004KB04
5H004KB06
5H004KC35
5H004KC48
5H004KC53
(57)【要約】
【課題】制御区間、特に車両(100)の操舵システム(102)のラック(104)を含む制御区間用の制御装置(106)を製造するための装置及び方法に関する。
【解決手段】本装置及び本方法においては、異なる動作点における制御区間の特性実際値を特徴付ける測定値が提供され、制御区間、特にラック(104)の特性目標値が予め設定され、測定値に依存して、それぞれ異なる動作点のうちの1つに対して、各動作点における特性目標値からの特性実際値の偏差をモデリングする関数が決定され、制御区間の伝達特性実際値に影響を与える、制御装置(106)の少なくとも1つのパラメータ、特に、制御装置(106)の比例増幅係数、積分増幅係数又は微分増幅係数が、異なる動作点に対して特定された偏差に依存して決定され、これにより制御区間は、予め設定された伝達特性目標値を有する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
制御区間(206)、特に車両(100)の操舵システム(102)のラック(104)を含む制御区間(206)用の制御装置(106)を製造するための方法において、
異なる動作点における前記制御区間(206)の特性実際値を特徴付ける測定値(202)が提供され(302)、
前記制御区間(206)、特に前記ラック(104)の特性目標値(204)が予め設定され(304)、
前記測定値(202)に依存して、それぞれ前記異なる動作点のうちの1つに対して、各動作点における前記特性目標値(204)からの前記特性実際値の偏差(210)をモデリングする関数(208)が決定され(306)、
前記制御区間(206)の伝達特性実際値に影響を与える、前記制御装置(106)の少なくとも1つのパラメータ、特に、前記制御装置(106)の比例増幅係数、積分増幅係数又は微分増幅係数が、前記異なる動作点に対して特定された前記偏差に依存して決定され(310)、これにより、前記制御区間(206)が予め定められた伝達特性目標値(204)を有する、
ことを特徴とする方法。
【請求項2】
前記偏差(210)に依存して、前記特性目標値(204)からの前記偏差(210)の最大偏差を特徴付ける値(212)が決定され(308)、前記値(212)及び/又は前記伝達特性目標値と前記伝達特性実際値との間の差分を最小化する前記少なくとも1つのパラメータが決定される(310)、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記制御装置(106)を用いて制御すべき制御区間(206)、特に前記ラック(104)を含む制御区間(206)のモデルが予め設定され(306)、前記関数(208)は、それぞれ前記モデルと、前記制御区間(206)の変化をモデリングする部分とを含み、前記制御区間(206)の前記変化をモデリングする部分のうちの少なくとも1つが、前記測定値(202)のうちの少なくとも1つに依存して近似される(306)、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記特性実際値は、前記ラック(104)の運動のためのモータ(108)のロータ(110)のロータ位置(114)に依存して特定される(302)、請求項1乃至3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記特性実際値は、前記制御装置(106)により予め設定された前記少なくとも1つのパラメータを用いて制御される(312)、請求項1乃至4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
制御区間(206)、特に車両(100)の操舵システム(102)のラック(104)を含む制御区間(206)用の制御装置(106)を製造するための装置(200)において、
前記装置(200)は、
異なる動作点における特性実際値を特徴付ける測定値(202)を提供し、
特に前記ラック(104)の特性目標値(204)を予め設定し、
前記測定値(202)に依存して、それぞれ、異なる動作点のうちの1つに対して、前記特性目標値(204)からの特性実際値の偏差を各動作点においてモデリングする関数(208)を決定し、
前記制御区間(206)の伝達特性実際値に影響を与える、前記制御装置(106)の少なくとも1つのパラメータ、特に、前記制御装置(106)の比例増幅係数、積分増幅係数又は微分増幅係数を、前記異なる動作点に対して特定された前記偏差に依存して決定し、これにより、前記制御区間(206)は、予め設定された伝達特性目標値(204)を有するように構成されている、
ことを特徴とする装置(200)。
【請求項7】
前記装置(200)は、前記偏差(210)に依存して、前記特性目標値からの前記偏差(210)の最大偏差を特徴付ける値(212)を決定し、前記値(212)及び/又は前記伝達特性目標値と前記伝達特性実際値との間の差分を最小化する前記少なくとも1つのパラメータを決定するように構成されている、請求項6に記載の装置(200)。
【請求項8】
前記装置(200)は、前記制御装置(106)を用いて制御すべき制御区間(206)、特に、前記ラック(104)を含む制御区間(206)のモデルを予め設定し、前記関数(204)は、それぞれ前記モデルと、前記制御区間(206)の変化をモデリングする部分とを含み、前記制御区間(206)の前記変化をモデリングする部分のうちの少なくとも1つを、前記測定値(202)のうちの少なくとも1つに依存して近似するように構成されている、請求項6又は7に記載の装置(200)。
【請求項9】
前記制御装置(106)は、前記特性目標値と前記特性実際値との間の偏差を制御するように構成されており、前記制御装置(106)は、前記ラック(104)の運動のためのモータ(108)のロータ(110)のロータ位置(114)に依存して前記特性実際値を特定するように構成されている、請求項6乃至8のいずれか一項に記載の装置(200)。
【請求項10】
制御装置(106)と、請求項6乃至9のいずれか一項に記載の装置(200)とを含むことを特徴とする車両(100)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、制御装置を製造する装置及び方法に関する。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0002】
発明の開示
制御区間、特に車両の操舵システムのラックを含む制御区間用の制御装置を製造するための方法においては、異なる動作点における制御区間の特性実際値を特徴付ける測定値が提供され、制御区間、特にラックの特性目標値が予め設定され、測定値に依存して、それぞれ異なる動作点のうちの1つに対して、各動作点における特性目標値からの特性実際値の偏差をモデリングする関数が決定され、制御区間の伝達特性実際値に影響を与える、制御装置の少なくとも1つのパラメータ、特に、制御装置の比例増幅係数、積分増幅係数又は微分増幅係数が、異なる動作点に対して特定された偏差に依存して決定され、これにより制御区間は、予め設定された伝達特性目標値を有することとなる。これにより、伝達特性目標値に一貫して追従する伝達特性実際値が達成される。
【0003】
本方法の一実施形態においては、偏差に依存して、特性目標値からの偏差の最大偏差を特徴付ける値が決定され、当該値及び/又は伝達特性目標値と伝達特性実際値との間の差分を最小化する少なくとも1つのパラメータが決定される。これにより、様々な動作点における一貫した制御が達成される。
【0004】
本方法の一実施形態においては、制御装置を用いて制御すべき制御区間、特に、ラックを含む制御区間のモデルが予め設定され、これらの関数は、それぞれモデルと、制御区間の変化をモデリングする部分とを含み、制御区間の変化をモデリングする部分のうちの少なくとも1つが、複数の測定値のうちの少なくとも1つに依存して近似される。これにより、様々な変化において一貫した制御が達成される。
【0005】
特性実際値は、ラックの運動のためのモータのロータのロータ位置に依存して特定されることが想定されるものとしてよい。これにより、制御装置は、ロータ位置を提供する操舵システム内に統合可能になる。
【0006】
本方法の一実施形態においては、特性実際値は、制御装置により予め設定された少なくとも1つのパラメータを用いて制御される。このことは、制御装置が自動化されてパラメータ化され、操舵システムは、パラメータ化された制御装置を用いて制御されることを意味する。
【0007】
制御区間、特に車両の操舵システムのラックを含む制御区間用の制御装置を製造するための装置は、異なる動作点における特性実際値を特徴付ける測定値を提供し、特にラックの特性目標値を予め設定し、測定値に依存して、それぞれ異なる動作点のうちの1つに対して、各動作点における特性目標値からの特性実際値の偏差をモデリングする関数を決定し、制御区間の伝達特性実際値に影響を与える、制御装置の少なくとも1つのパラメータ、特に、制御装置の比例増幅係数、積分増幅係数又は微分増幅係数を、異なる動作点に対して特定された偏差に依存して決定し、これにより制御区間は、予め設定された伝達特性目標値を有するように構成されている、装置である。これにより、伝達特性目標値に一貫して追従する伝達特性実際値を達成するように制御区間が制御される制御装置が提供される。
【0008】
本装置は、偏差に依存して、特性目標値からの偏差の最大偏差を特徴付ける値を決定し、当該値及び/又は伝達特性目標値と伝達特性実際値との間の差分を最小化する少なくとも1つのパラメータを決定するように構成されていることが想定されるものとしてよい。これにより、制御装置は、当該制御装置を用いることにより、様々な動作点において一貫した制御を達成し得るように提供される。
【0009】
本装置は、制御装置を用いて制御すべき制御区間、特にラックを含む制御区間のモデルを予め設定し、これらの関数は、それぞれモデルと、制御区間の変化をモデリングする部分とを含み、制御区間の変化をモデリングする部分のうちの少なくとも1つを、測定値のうちの少なくとも1つに依存して近似するように構成されていることが想定されるものとしてよい。これにより、制御装置は、様々な変化形態において一貫した制御を達成するように構成される。
【0010】
制御装置は、特性目標値と特性実際値との間の偏差を制御するように構成され、ここで、本装置は、ラックの運動のためのモータのロータのロータ位置に依存して特性実際値を特定するように構成されていることが想定されるものとしてよい。これにより、ロータ位置を提供する操舵システム用の制御装置が提供される。
【0011】
本装置を含む車両は、本装置の利点に対応する利点を有している。これは、制御装置が自動化されてパラメータ化可能であり、操舵システムは、パラメータ化された制御装置を用いて制御可能であることを意味する。
【0012】
さらなる好適な実施形態は、以下の説明及び図面から見て取ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】操舵システムと、当該操舵システムのラックの特性実際値のための制御装置とを備えた車両を示す概略図である。
【
図2】制御装置を製造するための装置を示す概略図である。
【
図3】制御装置を製造するための方法を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
図1には、操舵システム102を備えた車両100が概略的に示されている。
【0015】
操舵システム102は、ラック104を含む。車両100は、ラック104の特性実際値を制御するための制御装置106を含む。
【0016】
操舵システム102は、ロータ110を有するモータ108を含む。モータ108は、伝動装置112を介してラック104を運動させるように構成されている。
【0017】
制御装置106は、この例においては、ラック104の特性実際値をロータ位置114に依存して特定するように構成されている。制御装置106は、この例においては、ラック104の特性実際値を、ラック104の特性目標値に依存して制御するように構成されている。
【0018】
特性実際値は、例えば、ラック104の位置実際値である。特性目標値は、例えば、ラック104の位置目標値である。
【0019】
制御装置106を製造することは、そのデータ処理を含む。制御装置106及びその製造は、ステアバイワイヤ操舵システムのラック位置制御の関連において記載される。制御装置106は、相応にデータ処理する際に、他の変量及びシステムの制御のために使用可能である。
【0020】
ステアバイワイヤ操舵システムを備えた車両100においては、転舵可能な車輪116と操舵ホイール118とが電気信号によって接続されている。それゆえ、操舵ホイール118において運転者により印加されるトルクは、転舵輪116に対して直接的な機械的影響を有していない。ステアバイワイヤ操舵システムは、2つのサブコンポーネント、すなわち、操舵ホイール118によって運転者の意思を受ける第1のサブコンポーネントと、ラック104を介して転舵輪116と機械的に接続されている第2のサブコンポーネントすなわちステアリングラックアクチュエータとを含む。
【0021】
操舵ホイール118においてセンサ120を用いて捕捉された運転者の方向設定122は、制御装置106に送信される。この制御装置106は、転舵輪116のホイール転舵角を制御する。
【0022】
制御装置106を介して、1つの制御ループが閉成されている。この制御ループは、センサ124を含み、このセンサ124は、ロータ位置114を測定し、制御装置106にフィードバックするように構成されている。
【0023】
制御装置106は、この例においては、ロータ位置114を変更するために、相応の制御変数126を用いてモータ108を駆動制御するように構成されている。
【0024】
良好な走行体験を保証するために、制御装置106は、操舵ホイール118において捕捉された、運転者の操舵ホイール設定に対する車両反応を良好に反映するように構成されている。例えば制御装置106は、操舵ホイール運動と転舵輪116の運動との間の時間遅延が、定義された特性を有するように構成されている。例えば、制御装置106は、車両100が、操舵ホイール118において捕捉された、運転者による基準軌道を追従するように構成されている。
【0025】
操舵ホイール118において捕捉された運転者設定又は基準軌道は、ステアリングラックアクチュエータにおいてラック104に対する特性目標値により記述される。転舵輪116の運動は、ラック104の横方向運動によって引き起こされる。制御装置106は、ステアリングラックアクチュエータがラック104の位置実際値を、異なる走行状況において予め設定された精度で設定するように、ステアリングラックアクチュエータを駆動制御するように構成されている。
【0026】
制御装置106は、ステアリングラックアクチュエータが、外部干渉に対して堅固である動特性を実現するように、ステアリングラックアクチュエータを駆動制御するように構成されている。
【0027】
制御装置106は、ロータ位置114からラック104の位置実際値を計算するように構成されている。
【0028】
制御装置106は、車両100によって達成可能な車両速度と走行状況とについて、ラック104の特性目標値と特性実際値との間の差分の定義された特性を閉ループ制御するように構成されている。制御装置106は、一貫した、すなわち、車両100によって達成可能な車両速度及び走行状況を介して可及的に同様に維持される、ステアリングラックアクチュエータの特性を閉ループ制御するように構成されている。
【0029】
この制御ループにおいては、車両のフィードバックは、制御装置106に対する干渉とみなされる。制御装置106は、車両速度による車両反応の変化が、ステアリングラックアクチュエータの走行感覚又は横方向動特性に可能な限りわずかしか影響を与えないようにステアリングラックアクチュエータを制御するように構成されている。
【0030】
制御装置106は、この例においては、制御回路が定義された特定仕様を満たすように設計される。例えば、案内特性、すなわち、ラック104の特性実際値に対するラック104の特性目標値又はラック104の音響特性が特定仕様される。
【0031】
この例においては、転舵される車両アクスル、すなわち、転舵輪116を含むアクスルの特性が、制御装置106の製造時に車両100によって達成可能な速度に対して考慮される。
【0032】
図2には、制御装置106を製造するための装置200が概略的に示されている。この装置200は、車両100内に統合されるものとしてよい。
【0033】
装置200は、異なる動作点における特性実際値を特徴付ける測定値202を提供するように構成されている。
【0034】
例えば、車両100内において捕捉された測定値202が提供される。
【0035】
この例においては、車両反応は、測定値202において記録される特定の操作により分析される。
【0036】
装置200は、伝達特性目標値204を予め設定するように構成されている。例えば装置200は、制御区間206の伝達特性目標値を、特性目標値204に依存して予め設定するように構成されている。
【0037】
この例においては、装置200は、制御区間206に対する伝送特性目標値204を、周波数領域及び/又は時間領域において予め設定するように構成されている。
【0038】
制御区間206は、この例においては、ラック104及びモータ108を含む。
【0039】
制御区間206の伝達特性実際値は、この例においては、車両100が存在し得る走行状況について、また車両100が運動すべき速度領域に関して、一貫すべきである。例えば、装置200は、制御区間206の伝達特性実際値を、ラック104の特性実際値に依存して決定するように構成されている。
【0040】
装置200は、制御区間206が予め設定された伝達特性目標値204を有するように、制御装置106の制御特性を決定する制御装置106の少なくとも1つのパラメータを決定するように構成されている。この装置200は、この例においては、伝達特性目標値204と伝達特性実際値との間の差分を最小化する制御装置106の少なくとも1つのパラメータを決定するように構成されている。
【0041】
少なくとも1つのパラメータに対する例は、制御装置106の比例増幅係数、積分増幅係数又は微分増幅係数である。
【0042】
この例においては、装置200は、少なくとも1つのパラメータを、測定値202に依存して決定するように構成されている。
【0043】
装置200は、一実施形態においては、測定値202に依存して、それぞれ異なる動作点のうちの1つに対して、各動作点における特性目標値204からの特性実際値の各偏差210をモデリングする関数208を決定するように構成されている。例えば、動作点における特性目標値204からの特性実際値の各偏差210は線形にモデリングされる。この例においては、n個の動作点について、n個の関数208-1,208-2,208-3,…,208-nが表されている。
【0044】
例えば、測定値202の分析により、局所的な近似が特定される。関数208は、異なる動作点において、転舵される車両アクスルの特性をモデリングする。装置200は、車両100の現在の動作点を、例えば現在の車両速度又は走行状況に依存して特定し、このために設けられている、近似のための関数を選択するように構成されている。関数208は、この例において線形モデルにより特性を近似する。このようにして、転舵される車両アクスルの複雑な動特性は、局所的な線形関数として形式化される。
【0045】
各動作点に依存する車両反応は、この例においては、伝達特性目標値204からの制御区間206の伝達特性実際値の偏差に基づく構造化されたモデルエラーとして形式化される。
【0046】
装置200は、この例においては、制御装置106を用いて制御すべき制御区間206のモデルを予め設定するように構成されている。
【0047】
関数208は、それぞれモデルと、制御区間206の変化をモデリングする部分とを含む。
【0048】
装置200は、制御区間206の変化をモデリングする部分のうちの少なくとも1つを、測定値202のうちの少なくとも1つに依存して近似するように構成されている。
【0049】
各偏差210は、各車両反応を表す。制御区間206の変化に基づいて、車両反応は相互に異なっている。
【0050】
装置200は、偏差210に依存して、特性目標値からの偏差210の最大偏差を特徴付ける値212を決定するように構成されている。装置200は、この例においては、値212を最小化する、制御装置106の少なくとも1つのパラメータを決定するように構成されている。
【0051】
装置200は、この例においては、制御装置106の少なくとも1つのパラメータを、偏差210を最小化する偏差210に依存して決定するように構成されている。
【0052】
図3には、制御装置106を製造するための方法からのステップを含むフローチャートが示されている。
【0053】
本方法は、ステップ302を含む。
【0054】
このステップ302においては、異なる動作点における制御区間206の特性実際値を特徴付ける測定値202が提供される。
【0055】
特性実際値は、例えば、ロータのロータ位置114に依存して特定される。
【0056】
本方法は、ステップ304を含む。
【0057】
このステップ304においては、制御区間206の特性目標値204が予め設定される。
【0058】
続いて、ステップ306が実行される。
【0059】
このステップ306においては、測定値202に依存して、それぞれ異なる動作点のうちの1つに対して、各動作点における特性目標値204からの特性実際値の偏差210を線形にモデリングする関数208が決定される。
【0060】
この例においては、制御装置106を用いて制御すべき制御区間206のモデルが予め設定される。
【0061】
関数208は、それぞれモデルと、制御区間206の変化をモデリングする部分とを含む。
【0062】
この例においては、制御区間206の変化をモデリングする部分のうちの少なくとも1つが、測定値202のうちの少なくとも1つに依存して近似される。
【0063】
続いて、ステップ308が実行される。
【0064】
ステップ308においては、偏差210に依存して、特性目標値204からの偏差210の最大偏差を特徴付ける値212が決定される。
【0065】
続いて、ステップ310が実行される。
【0066】
ステップ310においては、制御装置106の少なくとも1つのパラメータが、異なる動作点に対して特定された偏差に依存して決定される。
【0067】
少なくとも1つのパラメータは、制御区間206が予め設定された伝達特性目標値204を有するように決定される。
【0068】
この例においては、値212と、伝達特性目標値と伝達特性実際値との間の差分とを最小化する少なくとも1つのパラメータが決定される。
【0069】
例えば、少なくとも1つのパラメータは、μ合成を用いて決定される。関数208は、例えば、エラーを含む区間モデルGμ、特に、制御区間206、例えばステアリングラックアクチュエータの適当に拡張された伝達行列Gに関するブロック対角エラー伝達行列ΔLの超一次分数変換Fを表す:
Gμ=F(G,ΔL)
【0070】
このようにパラメータ化された制御装置106は、動作点に統合されたステップ応答を有する。
【0071】
そのようにパラメータ化された制御装置106は、好適には制御区間206の制御のために使用される。
【0072】
任意選択的に、ステップ312が実行される。このステップ312においては、特性実際値が、制御装置106により予め設定された少なくとも1つのパラメータを用いて制御される。
【0073】
本方法は、好適には自動化されて実行され、この場合、測定が車両100内において行われ、制御装置106は、自動化されてパラメータ化される。
【外国語明細書】