(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024175681
(43)【公開日】2024-12-18
(54)【発明の名称】無線医療位置追跡
(51)【国際特許分類】
A61B 5/367 20210101AFI20241211BHJP
A61B 34/20 20160101ALI20241211BHJP
【FI】
A61B5/367 100
A61B34/20
【審査請求】未請求
【請求項の数】17
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2024091335
(22)【出願日】2024-06-05
(31)【優先権主張番号】18/206,284
(32)【優先日】2023-06-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】511099630
【氏名又は名称】バイオセンス・ウエブスター・(イスラエル)・リミテッド
【氏名又は名称原語表記】Biosense Webster (Israel), Ltd.
(74)【代理人】
【識別番号】100088605
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 公延
(74)【代理人】
【識別番号】100130384
【弁理士】
【氏名又は名称】大島 孝文
(72)【発明者】
【氏名】アサフ・ゴバリ
(72)【発明者】
【氏名】アンドレス・クラウディオ・アルトマン
(72)【発明者】
【氏名】バディム・グリナー
(72)【発明者】
【氏名】アロン・ボウメンディル
【テーマコード(参考)】
4C127
【Fターム(参考)】
4C127AA02
4C127BB05
4C127JJ03
4C127LL08
4C127LL30
(57)【要約】
【課題】ドングル装置を提供すること。
【解決手段】一実施形態では、ドングル装置は、ドングル装置が後付けされた患者インターフェースユニット(PIU)を増強するように構成され、PIUのインターフェースに物理的に接続されるように構成されたコネクタと、コネクタを介してPIUから少なくとも3つの対応する交流(AC)信号を受信し、位置パッドの少なくとも3つの対応する磁場発生器コイルの負荷を模倣するように構成された少なくとも3つの負荷回路と、少なくとも3つの負荷回路における少なくとも3つのAC信号の電流振幅及び位相をサンプリングするように構成されたサンプリング回路と、少なくとも3つのAC信号の電流振幅及び位相に関するデータを位置パッドのドライバに無線で送信するように構成された無線通信回路と、を含む。追加の実施形態を本明細書に記載する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ドングル装置であって、前記ドングル装置が後付けされた患者インターフェースユニット(PIU)を増強するように構成され、
前記PIUのインターフェースに物理的に接続されるように構成されたコネクタと、
前記コネクタを介して前記PIUから少なくとも3つの対応する交流(AC)信号を受信し、位置パッドの少なくとも3つの対応する磁場発生器コイルの負荷を模倣するように構成された少なくとも3つの負荷回路と、
前記少なくとも3つの負荷回路における前記少なくとも3つのAC信号の電流振幅及び位相をサンプリングするように構成されたサンプリング回路と、
前記少なくとも3つのAC信号の前記電流振幅及び前記位相に関するデータを前記位置パッドのドライバに無線で送信するように構成された無線通信回路と、を備える、ドングル装置。
【請求項2】
クロック値を維持し、クロック周波数で動作するように構成されたクロックと、
前記位置パッドに接続されるように構成されたドライバのリモートクロックを、前記クロック値又は前記クロック周波数のうちの少なくとも1つと同期させるように構成されたクロック同期回路と、を更に備える、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記少なくとも3つの対応する磁場発生器コイルにおいて生成される信号の位相を、前記少なくとも3つの負荷回路における前記少なくとも3つのAC信号の前記位相と同期させるように構成された位相同期回路を更に備える、請求項1に記載の装置。
【請求項4】
位置パッド装置であって、
ドライバであって、
少なくとも3つの対応する異なる信号周波数を有する少なくとも3つの交流(AC)信号を生成するように構成された信号生成器と、
前記少なくとも3つのAC信号の電流振幅及び位相に関するデータを患者インターフェースユニット(PIU)と無線で共有するように構成された無線通信回路と、を備える、ドライバと、
異なる向きに配置された少なくとも3つの磁場発生器コイルであって、前記少なくとも3つのAC信号が前記少なくとも3つの磁場発生器コイルにそれぞれ印加されることに応答して、前記位置パッドの周囲の領域に少なくとも3つの対応する交流磁場を生成する、少なくとも3つの磁場発生器コイルと、を備える、位置パッド装置。
【請求項5】
前記少なくとも3つの磁場発生器コイルに印加される前記少なくとも3つのAC信号の前記電流振幅及び位相をサンプリングするように構成されたサンプリング回路を更に備え、前記無線通信回路が、前記電流振幅及び前記位相に関する前記データを前記PIUに無線で送信するように構成されている、請求項4に記載の装置。
【請求項6】
前記無線通信回路が、前記PIU又は前記ドングルから前記電流振幅及び位相に関する前記データを無線で受信するように構成され、
前記信号生成器が、前記電流振幅及び位相に関する前記無線で受信されたデータに応答して前記少なくとも3つのAC信号を生成するように構成されている、請求項4に記載の装置。
【請求項7】
前記信号生成器が、前記少なくとも3つのAC信号を前記電流振幅に維持するように構成されている、請求項6に記載の装置。
【請求項8】
前記磁場発生器コイルの回路における前記少なくとも3つのAC信号の電流振幅をサンプリングし、前記サンプリングされた電流振幅を前記信号生成器に提供するように構成されたサンプリング回路を更に備え、前記信号生成器が、前記少なくとも3つのAC信号を前記負荷回路における前記AC信号の前記振幅に維持するために、前記サンプリングされた電流振幅に基づいて前記少なくともAC信号の前記電流振幅を調整するように構成されている、請求項7に記載の装置。
【請求項9】
前記ドライバが、
クロック値を維持し、クロック周波数で動作するように構成されたクロックと、
前記クロック値又は前記クロック周波数のうちの少なくとも1つを前記ドングル内に配置されたリモートクロックと同期させるように構成されたクロック同期回路と、を更に含む、請求項4に記載の装置。
【請求項10】
前記少なくとも3つのAC信号の位相を前記ドングル内の少なくとも3つのAC信号の位相と同期させるように構成された位相同期回路を更に備える、請求項4に記載の装置。
【請求項11】
前記ドライバが、前記位置パッドに接続されるように構成されている、請求項4に記載の装置。
【請求項12】
前記ドライバが、前記位置パッドに組み込まれている、請求項4に記載の装置。
【請求項13】
位置パッドドライバ装置であって、
位置パッドに物理的に接続されるように構成されたコネクタと、
患者インターフェースユニット(PIU)又は前記PIUに接続されたドングルで生成された少なくとも3つの第1の交流(AC)信号の電流振幅及び位相に関するデータを無線で受信するように構成された無線通信回路と、
信号生成器であって、
前記電流振幅及び位相に関する前記無線で受信されたデータに応答して、少なくとも3つの第2のAC信号を生成し、
前記位置パッドの周囲の領域に少なくとも3つの対応する交流磁場を生成するために、前記位置パッドに配置された少なくとも3つの磁場発生器コイルに前記少なくとも3つの第2のAC信号を提供するように構成された、信号生成器と、を備える、位置パッドドライバ装置。
【請求項14】
前記信号生成器が、前記少なくとも3つの第2のAC信号を前記少なくとも3つの第1のAC信号の前記電流振幅に維持するように構成されている、請求項13に記載の装置。
【請求項15】
クロック値を維持し、クロック周波数で動作するように構成されたクロックと、
前記クロック値又は前記クロック周波数のうちの少なくとも1つを前記ドングル又は前記PIU内に配置されたリモートクロックと同期させるように構成されたクロック同期回路と、を更に備える、請求項13に記載の装置。
【請求項16】
前記少なくとも3つの第2のAC信号の位相を前記少なくとも3つの第1のAC信号の前記位相と同期させるように構成された位相同期回路を更に備える、請求項13に記載の装置。
【請求項17】
カテーテル位置追跡システムであって、
患者インターフェースユニット(PIU)であって、
少なくとも1つのカテーテルと、位置パッドに無線で接続されるように構成されたドングルとに接続されるように構成されたインターフェースと、
前記少なくとも1つのカテーテルから受信した信号を処理するように構成された信号処理回路と、を備える、患者インターフェースユニット(PIU)と、
前記PIUを増強するように構成された前記ドングルであって、
前記PIUに物理的に接続されるように構成されたコネクタと、
前記コネクタを介して前記PIUから少なくとも3つの対応する第1の交流(AC)信号を受信し、位置パッドの少なくとも3つの対応する磁場発生器コイルの負荷を模倣するように構成された少なくとも3つの負荷回路と、
前記少なくとも3つの負荷回路における前記少なくとも3つの第1のAC信号の電流振幅及び位相をサンプリングするように構成されたサンプリング回路と、
前記少なくとも3つの第1のAC信号の前記電流振幅及び前記位相に関するデータを前記位置パッドに無線で送信するように構成された無線通信回路と、を備える、前記ドングルと、
前記位置パッドであって、
前記PIUから前記少なくとも3つの第1のAC信号の前記電流振幅及び前記位相に関するデータを無線で受信するように構成された無線通信回路を含むドライバと、
前記少なくとも3つの第1のAC信号の前記電流振幅及び前記位相に関する前記データに応答して、少なくとも3つの対応する異なる信号周波数を有する少なくとも3つの第2の交流(AC)信号を生成するように構成された信号生成器と、
異なる向きに配置された少なくとも3つの磁場発生器コイルであって、前記少なくとも3つの第2の交流信号が前記コイルに印加されることに応答して、前記位置パッドの周囲の領域に少なくとも3つの対応する交流磁場を生成する、少なくとも3つの磁場発生器コイルと、を備える、前記位置パッドと、を備える、カテーテル位置追跡システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、医療用デバイスに関し、特に、ただし限定することなく、無線位置追跡に関する。
【背景技術】
【0002】
幅広い医療処置では、カテーテルなどのプローブを患者の体内に置くことを伴う。このような類のプローブすなわちカテーテルが極めて有用であることが分かっている1つの医療処置は、心不正脈治療におけるものである。心不整脈及び心房細動は、とりわけ高齢者群ではよくある危険な医学的病気として特に根強く残る。
【0003】
心不整脈の診断及び治療として、心臓組織、とりわけ心内膜及び心臓容積の電気的性質をマッピングすることと、電気印加によって心臓組織を選択的にアブレーションすることとが挙げられる。カテーテルは、このような処置中に心腔内に挿入され、場合により心腔の周囲に挿入される。ほとんどの処置では、複数のカテーテルが患者に挿入される。カテーテルは、マッピングカテーテル、アブレーションカテーテル、温度感知カテーテル、及び画像感知カテーテルを含み得る。いくつかのカテーテルは、解剖学的構造の特定の部分、例えば、冠静脈洞、食道、心房、心室への配置専用である。カテーテルは、複数の電気チャネルを有し、各カテーテルに含まれるセンサ及び電極の数に応じて、いくつかは他のものよりも多い。カテーテルの数及びタイプは、処置及び医師が好むワークフローに依存する。
【図面の簡単な説明】
【0004】
本開示は、添付の図面と併せて、以下の詳細な説明から理解されよう。
【
図1】本開示の例示的なモードにしたがって構築され、動作する、カテーテルベースの電気生理学的マッピング及びアブレーションシステムの透視図である。
【
図2】
図1のシステムにおけるPIU及び位置パッドのブロック図である。
【
図3】
図2のPIU及び位置パッドの詳細なブロック図である。
【
図4】内蔵無線通信を有するPIU及び位置パッドのブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0005】
概要
カテーテル及び同様の医療用デバイスの位置追跡は、磁気ベースの追跡を含む、様々な追跡方法を使用して実行されてもよい。磁気ベースの追跡では、交流(AC)信号が、概して患者の一部の下に位置決めされる位置パッド内の磁場発生器コイルに印加され、様々な磁場が、例えば、カテーテル内の磁気センサ(複数可)を使用して感知される。カテーテル及び位置パッドは、通常、患者インターフェースユニット(PIU)に物理的に接続される。PIUは、心不整脈を診断及び/又は治療するための医療処置中に動作する複数のデバイスの各々と通信するためのインターフェースを提供する。PIUは、位置パッド内の磁場発生器コイルを駆動するための信号を生成する。PIUは更に、カテーテルからの出力をサンプリングし、1つ以上のデバイスに送信される信号を生成し、いくつかの信号処理タスクを実行し、カテーテルの位置を計算するか、又はカテーテルの位置を計算するために別の処理デバイスにデータを送信し得る。カテーテルの位置は、位置パッドの磁場発生器コイル内の信号の電流及び位相を、カテーテル内の磁気センサ(複数可)によって感知された対応する信号と比較することに基づいて計算される。上記の追跡方法は、カテーテルを追跡する安全かつ正確な方法を提供する。
【0006】
上記のシステムの1つの欠点は、PIUを位置パッドに接続するケーブルが、電気生理学的処置室においてしばしば障害となることである。ケーブルは、事故につながる引き外しの危険性があり得る。場合によっては、ケーブルがPIU又は位置パッドから切断され、システムの誤動作につながる可能性がある。
【0007】
上記の欠点に対する1つの解決策は、PIUと位置パッドとの間に無線接続を提供し、PIUから位置パッドに信号を無線で送信することである。しかしながら、磁場発生器コイルを通る電流振幅は、温度変化に起因して経時的に変化する場合があり、それが次に誘導及び抵抗変化につながるので、PIUは、コイル内の電流に気付かず、したがってカテーテルの位置を計算することができない場合がある。加えて、多くの場合、PIU及び位置パッドを無線システムで交換することは、医療センターに既に設置されている多数のPIUデバイスが、多大な費用をかけて廃棄及び交換されなければならないため、非実用的である。
【0008】
したがって、本開示の例示的なモードは、PIU又はPIUに接続された処理デバイスがPIUに接続された1つ以上のカテーテルの位置を計算することを可能にしながら、位置パッドに無線で接続されたPIUを提供する。
【0009】
いくつかの例示的なモードでは、PIUは、PIUを増強するためにドングルで後付けされる。位置パッドは、位置パッドを増強するための位置パッドドライバを含み得る。このようにして、レガシーPIU及び位置パッドは、互いに無線で通信するために使用され得る。いくつかの例示的なモードでは、レガシーPIUの既存のハードウェア及びソフトウェアは全く変更される必要がない。実際に、PIUは、PIUと位置パッドがケーブルによって直接接続されたときと同じように動作し得る。場合により、位置パッドはまた、ドライバに後付けされる。
【0010】
ドングルは、PIUのポートのうちの1つに物理的に接続し、PIUによって生成された(異なる周波数の)少なくとも3つの対応するAC信号によって駆動され、位置パッドの対応する磁場発生器コイルの負荷を模倣する(位置パッド内の磁場発生器コイルの数に対応する)3つ以上の負荷回路を含む。ドングルは、各AC信号をサンプリングしてその電流振幅及び位相を決定し、各AC信号の決定された電流振幅及び位相に関するデータを位置パッドに送信する。
【0011】
位置パッドドライバは、位置パッドに物理的に接続し、例えば、位置パッドに一体化され、ドングルから、ドングル内で生成された各AC信号の電流振幅及び位相に関するデータを無線で受信する。位置パッドドライバの信号生成器は、受信されたデータに基づいて(すなわち、PIUに接続されたドングルの負荷回路において生成された信号の電流振幅及び位相に基づいて)、3つ以上(例えば、9つ)のAC信号(位置パッド内の磁場発生器コイルの数に対応する)を生成する。AC信号は、(位置パッドコイルの温度、インピーダンス、又は抵抗にかかわらず)PIU(ドングル)からのデータにおいて受信される電流振幅に等しい定電流で生成される。AC信号は、位置パッド回路におけるAC信号の電流振幅を監視し、それに応じてAC信号を調整することによって定電流に維持される。AC信号は、位置パッド磁場発生器コイルを駆動して、位置パッドの周囲の領域に磁場を生成する。
【0012】
PIUは、カテーテルから受信した信号と、ドングルでサンプリングされたPIUで生成されたAC信号の電流振幅及び位相とに基づいて、PIUに接続されたカテーテルの位置を計算する。位置パッドの磁気コイル内のAC信号の振幅及び位相がドングル内のAC信号と同じ振幅及び位相に維持されるので、位置パッドドライバ内で生成されたAC信号の電流振幅及び位相がPIU内で生成された信号と同じであるはずなので、PIUは、位置パッド内のコイルで何が起こっているかを知る必要がない。
【0013】
いくつかの例示的なモードでは、ドングル及び位置パッドドライバは、断続的に同期されるクロックを含み得る。場合により、ドングル及び位置パッドドライバ内の信号の位相は、通信及び信号処理に関連するクロック及び遅延のタイミング差に起因して、更なる同期を必要とし得る。
【0014】
いくつかの例示的なモードでは、PIUはドングルの要素を組み込み得、及び/又は位置パッドは、ドングル又は追加のドライバを使用せずにPIU及び位置パッドに無線機能を構築するために位置パッドドライバの要素を組み込み得る。
【0015】
いくつかの例示的なモードでは、位置パッドは、磁気コイルを駆動するためにAC信号を生成し、位置パッドは、位置パッドの磁場発生器コイルの回路における信号の電流振幅及び位相をサンプリングし、これらの測定値をPIUに無線で送り返す。次いで、PIUは、磁場発生器コイル内の信号の実際の電流振幅及び位相に基づいて、並びにカテーテル内の位置感知コイルの出力に基づいて、カテーテル(複数可)の位置を計算し得る。
【0016】
システムの説明
本開示の例示的なモードにしたがって構築及び動作する、カテーテルベースの電気生理学的マッピング及びアブレーションシステム10の透視図である、
図1を参照する。システム10は、患者の血管系を通り、心臓14の腔又は血管構造内に、医師12によって経皮的に挿入される複数のカテーテルを含む。通常、送達シースカテーテルは、心臓14内の所望の位置近傍の左心房又は右心房内に挿入される。その後、1本以上のカテーテルを、送達シースカテーテルに挿入して、心臓14内の所望の場所に到達させることができる。複数のカテーテルは、心内電位図(Intracardiac Electrogram、IEGM)信号の感知専用のカテーテル、アブレーション専用のカテーテル、及び/又は感知及びアブレーションの両方に専用のカテーテルを含み得る。IEGMを感知し、アブレーションを実行するよう構成されている例示的なカテーテル16が本明細書に例示されている。医師12は、心臓14における標的部位を感知するために、カテーテル16の遠位先端部18を心臓壁と接触させて置くことができる。アブレーションするため、医師12は、カテーテル16の遠位先端部18を、組織をアブレーションする標的部位に接触させて、同様に置くことができる。
【0017】
カテーテル16は、遠位先端部18に場合によって分布されており、IEGM信号を感知するよう構成されている、1つ以上の電極20を含む例示的なカテーテルである。カテーテル16は、遠位先端部18の位置及び向きを追跡するために、遠位先端部18内又はその近傍に埋め込まれた位置センサ22を更に含んでもよい。位置センサ22は、3次元(3D)位置及び向きを感知する3つの磁気コイル(ロールを含む)を含む、磁気ベースの位置センサであってもよい。
【0018】
磁気ベースの位置センサ22は、所定の作業体積内に磁場を生成するように構成されている複数の磁場発生器コイル26を含む位置パッド24と共に動作されてもよい。カテーテル16の遠位先端部18のリアルタイム位置は、位置パッド24によって発生され、磁気ベースの位置センサ22によって感知される磁場に基づいて追跡されてもよい。磁気ベースの位置検知技術の詳細は、参照により本明細書に組み込まれる、米国特許第5,5391,199号、同第5,443,489号、同第5,558,091号、同第6,172,499号、同第6,239,724号、同第6,332,089号、同第6,484,118号、同第6,618,612号、同第6,690,963号、同第6,788,967号、及び同第6,892,091号に記載されている。
【0019】
システム10は、位置パッド24に関する位置基準及び電極(複数可)20のインピーダンスベースの追跡を確立するために、患者30において皮膚接触するよう位置決めされた1つ以上の電極(本体表面)パッチ28を含み得る。インピーダンスベースの追跡のために、電流が電極(複数可)20に向けられ、電極本体表面パッチ28において感知され、その結果、電極パッチ28を介して、各電極の位置を三角測量することができる(又は、他には計算される)。インピーダンスベースの位置追跡技術の詳細は、米国特許第7,536,218号、同第7,756,576号、同第7,848,787号、同第7,869,865号、及び同第8,456,182号に記載されている。
【0020】
レコーダ32は、本体表面ECG電極36によりキャプチャされた電気記録
図34と、カテーテル14の電極(複数可)20によりキャプチャされた心内電位図(IEGM)とを記録して表示する。レコーダ32は、心臓の律動をペーシングするためのペーシング能力を含み得、及び/又は独立型ペーサに電気的に接続され得る。
【0021】
システム10は、アブレーションするように構成されたカテーテル16の遠位先端部18にある電極20にアブレーションエネルギーを伝達するように適合されているアブレーションエネルギー発生器38を含んでもよい。アブレーションエネルギー発生器38によって発生されるエネルギーは、以下に限定されないが、不可逆的エレクトロポレーション(IRE)をもたらすために使用され得る単極又は双極高電圧DCパルスを含む、無線周波数(RF)エネルギー若しくはパルス場アブレーション(PFA)エネルギー、又はそれらの組合せを含んでもよい。
【0022】
患者インターフェースユニット(PIU)40は、カテーテルと、電気生理学的機器と、電源と、システム10の動作を制御するワークステーション42との間の電気通信を確立するように構成されているインターフェースである。システム10の電気生理学的機器は、例えば、複数のカテーテル、位置パッド24、本体表面ECG電極36、電極パッチ28、アブレーションエネルギー発生器38、及びレコーダ32を含み得る。場合により、及び好ましくは、PIU40は、カテーテルの位置のリアルタイム計算を実行し、ECG計算を実施するための処理能力を更に含む。
図1は、PIU 40及び位置パッド24が、
図2から
図4を参照して以下でより詳細に説明される無線リンク50を介して接続されることを示す。システム10はドングル56を含み、ドングル56は、PIU 40のポートのうちの1つに差し込まれ、
図2及び
図3を参照してより詳細に説明するように、PIU 40と位置パッド24との間に無線機能を提供する。
【0023】
ワークステーション42は、メモリと、適切なオペレーティングソフトウェアがその中に記憶されたメモリ又は記憶装置を有するプロセッサユニットと、ユーザインターフェース機能とを含む。ワークステーション42は、場合により、(1)心内膜解剖学的構造を3次元(3D)でモデル化し、モデル又は解剖学的マップ44をディスプレイデバイス46上に表示するためにレンダリングすることと、(2)記録された電気記録
図34からコンパイルされた活性化シーケンス(又は他のデータ)を、レンダリングされた解剖学的マップ44上に重ね合わされた代表的な視覚的指標又は画像でディスプレイデバイス46上に表示すること、(3)心腔内の複数のカテーテルのリアルタイム位置及び向きを表示すること、及び(4)アブレーションエネルギーが印加された場所などの関心部位をディスプレイデバイス46上に表示することを含む、多数の機能を設けてもよい。システム10の各要素を具現化する1つの市販製品は、Biosense Webster,Inc.,31A Technology Drive,Irvine,CA 92618、から市販されている、CARTO(登録商標)3システムとして入手可能である。
【0024】
ここで
図2を参照すると、
図2は、
図1のシステム10内のPIU 40及び位置パッド24のブロック図である。
【0025】
ドングル56は、PIU 40を増強するように構成される。PIU 40にドングル56を後付けする。
図3を参照して、ドングル56についてより詳細に説明する。PIU 40は、カテーテル(複数可)16、本体表面ECG電極36、電極本体表面パッチ28、及びドングル56に接続されるように構成されたポートを有するインターフェース58を含む。ドングル56は、
図3を参照してより詳細に説明するように、PIU 40を位置パッド24に(無線リンク50を介して)無線で接続する。PIU 40はまた、カテーテル(複数可)16、例えばIEGMから受信された信号を処理するように、又はカテーテル(複数可)16の位置を計算するように構成された信号処理回路60と、
図3を参照してより詳細に説明されるドングル56によって使用される信号を生成するように構成された信号生成器62とを含む。無線リンク50は、PIU 40から位置パッド24への一方向通信のために構成されてもよく、又はPIU 40と位置パッド24との間の双方向通信のために構成されてもよい。
【0026】
位置パッド24は、位置パッド24内に異なる向きで配置された少なくとも3つ(通常9つ)の磁場発生器コイル26を含み、コイル26にそれぞれ印加される対応するAC信号に応答して、位置パッド24の周囲の領域に少なくとも3つ(通常9つ)の対応する交流磁場を生成する。位置パッド24は、3組の3つの磁場発生器コイル26(すなわち、9つの磁場発生器コイル26)を含んでもよい。位置パッド24はまた、位置パッド24を増強し、位置パッド24に(可逆的に)接続されるように構成されたドライバ64を含む。代替的に、ドライバ64は、位置パッド24に永久的に繋がれ、及び/又は位置パッド24に一体化される。場合により、位置パッド24にはドライバ64が後付けされる。ドライバ64は、制御及び/又は処理能力、例えば、ドライバ64の動作を制御するための処理能力に関連付けられたコントローラを含んでもよい。
【0027】
ここで
図3を参照すると、
図3は、
図2のPIU 40及び位置パッド24の詳細なブロック図である。
【0028】
ドングル56は、コネクタ66、負荷回路68、サンプリング回路70、無線通信回路72、クロック74、クロック同期回路76、及び位相同期回路78を含む。
【0029】
コネクタ66は、(例えば、コネクタ66をインターフェース58のポート(図示せず)に差し込むことによって)PIU 40のインターフェース58のポートに(可逆的に)物理的に接続されるように構成される。信号生成器62は、ドングル56内の負荷回路68の各々に対して1つの信号であるAC信号を生成するように構成される。AC信号は、一般に、異なる負荷回路68に対して異なる周波数を有する。ドングル56は、任意の適切な数の負荷回路68を含み得る。いくつかの例では、ドングル56は、位置パッド24内の磁場発生器コイル26の数に対応する9つの負荷回路68を含む。負荷回路68は、コネクタ66を介してPIU 40から(PIU 40の信号生成器62によって生成された)対応するAC信号を受信するように構成される。負荷回路68は、位置パッド24の対応する磁場発生器コイル26の負荷を模倣するように構成される。各負荷回路68は、位置パッド24のコイルを模倣する負荷を提供するために、抵抗器(例えば、ダイヤモンド抵抗器)を有する回路を含み得る。抵抗器は安定であり、冷えたままであるので、抵抗器の両端間の電流は一般に経時的に変化せず、したがって、負荷回路68内の電流は一般に安定である。
【0030】
サンプリング回路70は、負荷回路68内のAC信号の各々の電流振幅及び位相を断続的にサンプリングするように構成される。サンプリング回路70は、AC信号をサンプリングするための差動増幅器と、電流振幅及び位相の値をデジタル化するためのアナログデジタル変換器とを含んでもよい。無線通信回路72は、AC信号を特徴付けるデータ(例えば、負荷回路68におけるAC信号のサンプリングされた電流振幅及び位相に関するデータ)を位置パッドドライバ64に無線で送信するように構成される。
【0031】
クロック74は、クロック値を維持し、クロック周波数で動作するように構成される。クロック74は、PIU 40内のクロックと同期していてもよい。クロック同期回路76は、ドライバ64のリモートクロックを、ドライバ64を参照して以下でより詳細に説明するように、クロック74によって維持されるクロック値及び/又はクロック周波数と同期させるように構成される。クロック同期回路76は、任意の適切なクロック同期方法を使用し得る。クロック値は、信号の位相をサンプリングするためにサンプリング回路70によって使用され得る。
【0032】
前述のように、ドライバ64において生成される信号の位相(以下でより詳細に説明される)は、負荷回路68における信号の位相と同期されなくてもよい。したがって、位相同期回路78は、ドライバ64によって磁場発生器コイル26内に生成される信号の位相を、負荷回路68内のAC信号の位相と同期させるように構成される。換言すれば、磁場発生器コイルAの信号の位相は負荷回路Aの信号の位相と同期し、磁場発生器コイルBの信号の位相は負荷回路Bの信号の位相と同期し、以下同様である。位相同期については、ドライバ64を参照して以下でより詳細に説明する。
【0033】
ドライバ64は、コネクタ80、無線通信回路82、クロック84、クロック同期回路86、位相同期回路88、及び信号生成器90を含む。
【0034】
コネクタ80は、場合により、位置パッド24に(可逆的に)物理的に接続されるように構成されてもよい。無線通信回路82は、データ、例えば、(ドングル56によって生成された及び/又は信号生成器90によって生成される)AC信号の電流振幅及び位相に関連するデータをドングル56と無線で共有するように構成される。特に、無線通信回路82は、負荷回路68におけるAC信号の各々の電流振幅及び位相に関するデータであって、PIU 40の信号生成器62によって生成されたデータをドングル56から無線で受信するように構成される。信号生成器90は、負荷回路68内のAC信号の電流振幅及び位相に関連し、PIU 40の信号生成器62によって生成される(ドングル56から受信される)無線受信データに応答して、対応する異なる信号周波数を有するAC信号を生成するように構成される。信号生成器90は、位置パッドの周りの領域に対応する交流磁場を生成させるために、コネクタ80を介して、位置パッド24に配置されたそれぞれの磁場発生器コイル26に信号生成器90によって生成されたAC信号を提供するように構成される。換言すれば、信号生成器90は、磁場発生器コイルAのためのAC信号A、及び磁場発生器コイルBのためのAC信号Bなどを生成する。
【0035】
信号生成器90は、AC信号を、負荷回路68内の対応するAC信号の電流振幅に維持するように構成される。換言すれば、磁場発生器コイルAにおける信号の電流振幅は、負荷回路Aにおける信号の電流振幅に維持され、磁場発生器コイルBにおける信号の電流振幅は、負荷回路Bにおける信号の電流振幅に維持され、以下同様である。同様に、同じ位相が維持される。位置パッドドライバ64は、磁場発生器コイル26の回路におけるAC信号の電流振幅をサンプリングし、サンプリングされた値を信号生成器90に提供するように構成されたサンプリング回路92を含み得る。信号生成器90は、AC信号を負荷回路68内のAC信号の振幅に維持するために、サンプリングされた値に基づいてAC信号の電流振幅を調整するように構成される。
【0036】
クロック84は、クロック値を維持し、クロック周波数で動作するように構成される。クロック84は、正しい周波数及び位相で信号を生成するために、信号生成器90によって使用され得る。クロック同期回路86は、クロック84のクロック値及び/又はクロック周波数を、PIU 40に接続されたドングル56内に配置されたリモートクロック74と同期させるように構成される。クロック同期回路86は、ドングル56のクロック同期回路76にGong又は同様のメッセージを断続的に(例えば、ミリ秒ごとに)送信することによってクロック同期をし得る。
【0037】
電子的遅延などに起因して、信号生成器90によって生成された信号と負荷回路68内の信号との間に位相差が存在し得る。したがって、いくつかの例示的なモードでは、信号生成器90によって生成される信号の位相を調整し得る。位相同期回路88は、信号生成器90によって生成されたAC信号の位相をドングル56の負荷回路68内の対応するAC信号の位相と同期させるように構成される。位相同期回路88は、信号生成器90によって生成された信号をサンプリングし、無線リンク50を介してドングル56の位相同期回路78に信号のサンプルを送信する。位相同期回路78は、受信されたサンプルの各々を負荷回路68からの対応する信号と乗算して、乗算された信号間の位相差を決定するように構成される。乗算の積が0に等しいとき、互いに乗算された2つの信号は同位相である。位相同期回路78は、各信号の位相差を無線リンク50を介して位相同期回路88に送信する。次に、位相同期回路88は、信号生成器90によって生成された信号の位相を調整する。
【0038】
実際には、クロック同期回路及び位相同期回路の機能の一部又は全ては、単一の物理的構成要素に組み合わされてもよく、あるいは、複数の物理的構成要素を使用して実装されてもよい。これらの物理的構成要素は、ハードワイヤードデバイス又はプログラム可能なデバイス、あるいはこれら2つの組合せを備えてもよい。いくつかの例では、クロック同期回路及び位相同期回路処理回路の機能の少なくともいくつかは、適切なソフトウェアの制御下でプログラム可能なプロセッサによって実行されてもよい。このソフトウェアは、例えばネットワークを介して電子的形態でデバイスにダウンロードされてもよい。代替的に又は追加的に、このソフトウェアは、光学的メモリ、磁気的メモリ又は電子的メモリなどの有形の非一時的なコンピュータ可読記憶媒体に記憶され得る。
【0039】
ここで
図4を参照すると、
図4は、内蔵無線通信を有するPIU 100及び位置パッド102のブロック図である。
【0040】
いくつかの例示的なモードでは、PIU 100は、ドングル56の機能を
図3のPIU 40に組み合わせることに基づいて実装されてもよい。いくつかの例示的なモードでは、位置パッド102は、ドライバ64の機能を
図3の位置パッド24に組み合わせることに基づいて実装され得る。
【0041】
他の例示的なモードでは、PIU 100は、信号処理回路60と、無線通信回路72を含むインターフェース58と、場合により、信号生成器62と、クロック74と、クロック同期回路76とを含み得る。インターフェース58は、カテーテル(複数可)16に接続され、無線通信回路72を介して位置パッド102に無線で接続されるように構成される。無線通信回路72は、PIU 100に内蔵され(すなわち、無線通信回路72は、ドングル又は同様のプラガブルデバイスの一部ではない)、位置パッド102と無線通信するように構成される。信号処理回路60は、カテーテル(複数可)16から受信した信号を処理するように構成されている。
【0042】
他の例示的なモードでは、位置パッド102は、無線通信回路82、信号生成器90、磁場発生器コイル26、サンプリング回路104、並びに場合により、クロック84、及びクロック同期回路を含み得る。無線通信回路82は、位置パッド102に内蔵されている(すなわち、無線通信回路82は、ドングル又は同様のプラガブルデバイスの一部ではない)。
【0043】
信号生成器90は、(少なくとも3つ、例えば9つの)対応する異なる信号周波数を有する(少なくとも3つ、例えば9つの)AC信号を生成するように構成される。磁場発生器コイル26は、信号生成器90によって磁場発生器コイル26にそれぞれ印加されるAC信号に応答して、位置パッド102の周囲の領域に(少なくとも3つ、例えば9つの)対応する交流磁場を生成するように構成される。
【0044】
コントローラ及び/又はサンプリング回路104は、磁場発生器コイル26のうちの対応する1つに印加されるAC信号の各々の電流振幅及び位相をサンプリングするように構成される。無線通信回路82は、磁場発生器コイル26に印加されるAC信号のサンプリングされた電流振幅及び位相に関するデータを、PIU 100と(例えば、PIU 100に)無線で共有する(例えば、データを送信する)ように構成される。次いで、PIU 100は、カテーテル(複数可)16の磁気センサ(複数可)から受信した信号と、位置パッド102から受信したデータ(磁場発生器コイル26内の信号の振幅及び位相を示す)とを処理して、カテーテル(複数可)16の位置を計算し得る。
【0045】
本明細書で使用される場合、任意の数値又は数値範囲に対する「約」又は「ほぼ」という用語は、構成要素の一部又は構成要素集合を、本明細書に説明されるその意図された目的に沿って機能させるのに好適な寸法の許容誤差を示すものである。より具体的には、「約」又は「略」は、挙げた値の±20%の値の範囲を指す場合があり、例えば「約90%」は、72%~108%の値の範囲を指す場合がある。
【実施例0046】
実施例1:ドングル装置であって、ドングル装置が後付けされた患者インターフェースユニット(PIU)を増強するように構成され、PIUのインターフェースに物理的に接続されるように構成されたコネクタと、コネクタを介してPIUから少なくとも3つの対応する交流(AC)信号を受信し、位置パッドの少なくとも3つの対応する磁場発生器コイルの負荷を模倣するように構成された少なくとも3つの負荷回路と、少なくとも3つの負荷回路における少なくとも3つのAC信号の電流振幅及び位相をサンプリングするように構成されたサンプリング回路と、少なくとも3つのAC信号の電流振幅及び位相に関するデータを位置パッドのドライバに無線で送信するように構成された無線通信回路と、を備える、ドングル装置。
【0047】
実施例2:クロック値を維持し、クロック周波数で動作するように構成されたクロックと、位置パッドに接続されるように構成されたドライバのリモートクロックを、クロック値又はクロック周波数のうちの少なくとも1つと同期させるように構成されたクロック同期回路と、を更に備える、実施例1に記載の装置。
【0048】
実施例3:少なくとも3つの対応する磁場発生器コイルにおいて生成された信号の位相を、少なくとも3つの負荷回路における少なくとも3つのAC信号の位相と同期させるように構成された位相同期回路を更に備える、実施例1及び2のうちのいずれか1つに記載の装置。
【0049】
実施例4:位置パッド装置であって、ドライバであって、少なくとも3つの対応する異なる信号周波数を有する少なくとも3つの交流(AC)信号を生成するように構成された信号生成器と、少なくとも3つのAC信号の電流振幅及び位相に関するデータを患者インターフェースユニット(PIU)と無線で共有するように構成された無線通信回路と、を備える、ドライバと、異なる向きに配置された少なくとも3つの磁場発生器コイルであって、少なくとも3つのAC信号が少なくとも3つの磁場発生器コイルにそれぞれ印加されることに応答して、位置パッドの周囲の領域に少なくとも3つの対応する交流磁場を生成する、少なくとも3つの磁場発生器コイルと、を備える、位置パッド装置。
【0050】
実施例5:少なくとも3つの磁場発生器コイルに印加される少なくとも3つのAC信号の電流振幅及び位相をサンプリングするように構成されたサンプリング回路を更に備え、無線通信回路が、電流振幅及び位相に関するデータをPIUに無線で送信するように構成されている、実施例4に記載の装置。
【0051】
実施例6:無線通信回路が、PIU又はドングルから電流振幅及び位相に関するデータを無線で受信するように構成され、信号生成器が、電流振幅及び位相に関する無線で受信されたデータに応答して少なくとも3つのAC信号を生成するように構成されている、実施例4及び5又は実施例のうちのいずれか1つに記載の装置。
【0052】
実施例7:信号生成器が、少なくとも3つのAC信号を電流振幅に維持するように構成されている、実施例6に記載の装置。
【0053】
実施例8:磁場発生器コイルの回路における少なくとも3つのAC信号の電流振幅をサンプリングし、サンプリングされた電流振幅を信号生成器に提供するように構成されたサンプリング回路を更に備え、信号生成器が、少なくとも3つのAC信号を負荷回路におけるAC信号の振幅に維持するために、サンプリングされた電流振幅に基づいて少なくともAC信号の電流振幅を調整するように構成されている、実施例7に記載の装置。
【0054】
実施例9:ドライバが、クロック値を維持し、クロック周波数で動作するように構成されたクロックと、クロック値又はクロック周波数のうちの少なくとも1つをドングルに配置されたリモートクロックと同期させるように構成されたクロック同期回路と、を更に含む、実施例4から8のうちのいずれか1つに記載の装置。
【0055】
実施例10:少なくとも3つのAC信号の位相をドングル内の少なくとも3つのAC信号の位相と同期させるように構成された位相同期回路を更に備える、実施例4から9のうちのいずれか1つに記載の装置。
【0056】
実施例11:ドライバが、位置パッドに接続されるように構成されている、実施例4から10のうちのいずれか1つに記載の装置。
【0057】
実施例12:ドライバが、位置パッドに組み込まれている、実施例4から11のうちのいずれか1つに記載の装置。
【0058】
実施例13:位置パッドドライバ装置であって、位置パッドに物理的に接続されるように構成されたコネクタと、患者インターフェースユニット(PIU)又はPIUに接続されたドングルにおいて生成された少なくとも3つの第1の交流(AC)信号の電流振幅及び位相に関するデータを無線で受信するように構成された無線通信回路と、信号生成器であって、電流振幅及び位相に関する無線で受信されたデータに応答して少なくとも3つの第2のAC信号を生成し、位置パッドの周囲の領域に少なくとも3つの対応する交流磁場を生成するために、位置パッドに配置された少なくとも3つの磁場発生器コイルに少なくとも3つの第2のAC信号を提供するように構成された、信号生成器と、を備える、位置パッドドライバ装置。
【0059】
実施例14:信号生成器が、少なくとも3つの第2のAC信号を少なくとも3つの第1のAC信号の電流振幅に維持するように構成されている、実施例13に記載の装置。
【0060】
実施例15:クロック値を維持し、クロック周波数で動作するように構成されたクロックと、クロック値又はクロック周波数のうちの少なくとも1つをドングル又はPIU内に配置されたリモートクロックと同期させるように構成されたクロック同期回路と、を更に備える、実施例13及び14のうちのいずれか1つに記載の装置。
【0061】
実施例16:少なくとも3つの第2のAC信号の位相を少なくとも3つの第1のAC信号の位相と同期させるように構成された位相同期回路を更に備える、実施例13から15のうちのいずれか1つに記載の装置。
【0062】
実施例17:カテーテル位置追跡システムであって、患者インターフェースユニット(PIU)であって、少なくとも1つのカテーテルと、位置パッドに無線で接続されるように構成されたドングルとに接続されるように構成されたインターフェースと、少なくとも1つのカテーテルから受信した信号を処理するように構成された信号処理回路と、を備える、患者インターフェースユニット(PIU)と、PIUを増強するように構成されたドングルであって、PIUに物理的に接続されるように構成されたコネクタと、コネクタを介してPIUから少なくとも3つの対応する第1の交流(AC)信号を受信し、位置パッドの少なくとも3つの対応する磁場発生器コイルの負荷を模倣するように構成された少なくとも3つの負荷回路と、少なくとも3つの負荷回路における少なくとも3つの第1のAC信号の電流振幅及び位相をサンプリングするように構成されたサンプリング回路と、少なくとも3つの第1のAC信号の電流振幅及び位相に関するデータを位置パッドに無線で送信するように構成された無線通信回路と、を備える、ドングルと、位置パッドであって、PIUから少なくとも3つの第1のAC信号の電流振幅及び位相に関するデータを無線で受信するように構成された無線通信回路を含むドライバと、少なくとも3つの第1のAC信号の電流振幅及び位相に関するデータに応答して、少なくとも3つの対応する異なる信号周波数を有する少なくとも3つの第2の交流(AC)信号を生成するように構成された信号生成器と、異なる向きに配置された少なくとも3つの磁場発生器コイルであって、少なくとも3つの第2の交流信号がコイルに印加されることに応答して、位置パッドの周囲の領域に少なくとも3つの対応する交流磁場を生成する、少なくとも3つの磁場発生器コイルと、を備える、位置パッドと、を備える、カテーテル位置追跡システム。
【0063】
本開示の様々な特徴が、明確性のために別個の実施例の文脈において記載されているが、これらはまた、単一の実施例に組み合わされて提供されてもよい。逆に、簡潔にするために単一の実施例の文脈において記載されている本開示の様々な特徴が、別々に又は任意の好適な部分的組み合わせで提供されてもよい。
【0064】
上述の実施例は、例として引用されており、本開示は、上記の明細書に具体的に図示及び記載されたものに限定されない。むしろ本開示の範囲は、上記の明細書で説明される様々な特徴の組合せ及びその部分的組合せの両方、並びに上述の説明を読むことで当業者に想到されるであろう、従来技術において開示されていないそれらの変形例及び修正例を含むものである。
【0065】
〔実施の態様〕
(1) ドングル装置であって、前記ドングル装置が後付けされた患者インターフェースユニット(PIU)を増強するように構成され、
前記PIUのインターフェースに物理的に接続されるように構成されたコネクタと、
前記コネクタを介して前記PIUから少なくとも3つの対応する交流(AC)信号を受信し、位置パッドの少なくとも3つの対応する磁場発生器コイルの負荷を模倣するように構成された少なくとも3つの負荷回路と、
前記少なくとも3つの負荷回路における前記少なくとも3つのAC信号の電流振幅及び位相をサンプリングするように構成されたサンプリング回路と、
前記少なくとも3つのAC信号の前記電流振幅及び前記位相に関するデータを前記位置パッドのドライバに無線で送信するように構成された無線通信回路と、を備える、ドングル装置。
(2) クロック値を維持し、クロック周波数で動作するように構成されたクロックと、
前記位置パッドに接続されるように構成されたドライバのリモートクロックを、前記クロック値又は前記クロック周波数のうちの少なくとも1つと同期させるように構成されたクロック同期回路と、を更に備える、実施態様1に記載の装置。
(3) 前記少なくとも3つの対応する磁場発生器コイルにおいて生成される信号の位相を、前記少なくとも3つの負荷回路における前記少なくとも3つのAC信号の前記位相と同期させるように構成された位相同期回路を更に備える、実施態様1に記載の装置。
(4) 位置パッド装置であって、
ドライバであって、
少なくとも3つの対応する異なる信号周波数を有する少なくとも3つの交流(AC)信号を生成するように構成された信号生成器と、
前記少なくとも3つのAC信号の電流振幅及び位相に関するデータを患者インターフェースユニット(PIU)と無線で共有するように構成された無線通信回路と、を備える、ドライバと、
異なる向きに配置された少なくとも3つの磁場発生器コイルであって、前記少なくとも3つのAC信号が前記少なくとも3つの磁場発生器コイルにそれぞれ印加されることに応答して、前記位置パッドの周囲の領域に少なくとも3つの対応する交流磁場を生成する、少なくとも3つの磁場発生器コイルと、を備える、位置パッド装置。
(5) 前記少なくとも3つの磁場発生器コイルに印加される前記少なくとも3つのAC信号の前記電流振幅及び位相をサンプリングするように構成されたサンプリング回路を更に備え、前記無線通信回路が、前記電流振幅及び前記位相に関する前記データを前記PIUに無線で送信するように構成されている、実施態様4に記載の装置。
【0066】
(6) 前記無線通信回路が、前記PIU又は前記ドングルから前記電流振幅及び位相に関する前記データを無線で受信するように構成され、
前記信号生成器が、前記電流振幅及び位相に関する前記無線で受信されたデータに応答して前記少なくとも3つのAC信号を生成するように構成されている、実施態様4に記載の装置。
(7) 前記信号生成器が、前記少なくとも3つのAC信号を前記電流振幅に維持するように構成されている、実施態様6に記載の装置。
(8) 前記磁場発生器コイルの回路における前記少なくとも3つのAC信号の電流振幅をサンプリングし、前記サンプリングされた電流振幅を前記信号生成器に提供するように構成されたサンプリング回路を更に備え、前記信号生成器が、前記少なくとも3つのAC信号を前記負荷回路における前記AC信号の前記振幅に維持するために、前記サンプリングされた電流振幅に基づいて前記少なくともAC信号の前記電流振幅を調整するように構成されている、実施態様7に記載の装置。
(9) 前記ドライバが、
クロック値を維持し、クロック周波数で動作するように構成されたクロックと、
前記クロック値又は前記クロック周波数のうちの少なくとも1つを前記ドングル内に配置されたリモートクロックと同期させるように構成されたクロック同期回路と、を更に含む、実施態様4に記載の装置。
(10) 前記少なくとも3つのAC信号の位相を前記ドングル内の少なくとも3つのAC信号の位相と同期させるように構成された位相同期回路を更に備える、実施態様4に記載の装置。
【0067】
(11) 前記ドライバが、前記位置パッドに接続されるように構成されている、実施態様4に記載の装置。
(12) 前記ドライバが、前記位置パッドに組み込まれている、実施態様4に記載の装置。
(13) 位置パッドドライバ装置であって、
位置パッドに物理的に接続されるように構成されたコネクタと、
患者インターフェースユニット(PIU)又は前記PIUに接続されたドングルで生成された少なくとも3つの第1の交流(AC)信号の電流振幅及び位相に関するデータを無線で受信するように構成された無線通信回路と、
信号生成器であって、
前記電流振幅及び位相に関する前記無線で受信されたデータに応答して、少なくとも3つの第2のAC信号を生成し、
前記位置パッドの周囲の領域に少なくとも3つの対応する交流磁場を生成するために、前記位置パッドに配置された少なくとも3つの磁場発生器コイルに前記少なくとも3つの第2のAC信号を提供するように構成された、信号生成器と、を備える、位置パッドドライバ装置。
(14) 前記信号生成器が、前記少なくとも3つの第2のAC信号を前記少なくとも3つの第1のAC信号の前記電流振幅に維持するように構成されている、実施態様13に記載の装置。
(15) クロック値を維持し、クロック周波数で動作するように構成されたクロックと、
前記クロック値又は前記クロック周波数のうちの少なくとも1つを前記ドングル又は前記PIU内に配置されたリモートクロックと同期させるように構成されたクロック同期回路と、を更に備える、実施態様13に記載の装置。
【0068】
(16) 前記少なくとも3つの第2のAC信号の位相を前記少なくとも3つの第1のAC信号の前記位相と同期させるように構成された位相同期回路を更に備える、実施態様13に記載の装置。
(17) カテーテル位置追跡システムであって、
患者インターフェースユニット(PIU)であって、
少なくとも1つのカテーテルと、位置パッドに無線で接続されるように構成されたドングルとに接続されるように構成されたインターフェースと、
前記少なくとも1つのカテーテルから受信した信号を処理するように構成された信号処理回路と、を備える、患者インターフェースユニット(PIU)と、
前記PIUを増強するように構成された前記ドングルであって、
前記PIUに物理的に接続されるように構成されたコネクタと、
前記コネクタを介して前記PIUから少なくとも3つの対応する第1の交流(AC)信号を受信し、位置パッドの少なくとも3つの対応する磁場発生器コイルの負荷を模倣するように構成された少なくとも3つの負荷回路と、
前記少なくとも3つの負荷回路における前記少なくとも3つの第1のAC信号の電流振幅及び位相をサンプリングするように構成されたサンプリング回路と、
前記少なくとも3つの第1のAC信号の前記電流振幅及び前記位相に関するデータを前記位置パッドに無線で送信するように構成された無線通信回路と、を備える、前記ドングルと、
前記位置パッドであって、
前記PIUから前記少なくとも3つの第1のAC信号の前記電流振幅及び前記位相に関するデータを無線で受信するように構成された無線通信回路を含むドライバと、
前記少なくとも3つの第1のAC信号の前記電流振幅及び前記位相に関する前記データに応答して、少なくとも3つの対応する異なる信号周波数を有する少なくとも3つの第2の交流(AC)信号を生成するように構成された信号生成器と、
異なる向きに配置された少なくとも3つの磁場発生器コイルであって、前記少なくとも3つの第2の交流信号が前記コイルに印加されることに応答して、前記位置パッドの周囲の領域に少なくとも3つの対応する交流磁場を生成する、少なくとも3つの磁場発生器コイルと、を備える、前記位置パッドと、を備える、カテーテル位置追跡システム。