(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024175699
(43)【公開日】2024-12-19
(54)【発明の名称】ドアアウトサイドモールディングとドアミラーの連結構造
(51)【国際特許分類】
B60J 10/75 20160101AFI20241212BHJP
【FI】
B60J10/75
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023093588
(22)【出願日】2023-06-07
(71)【出願人】
【識別番号】000158840
【氏名又は名称】鬼怒川ゴム工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100086232
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 博通
(74)【代理人】
【識別番号】100092613
【弁理士】
【氏名又は名称】富岡 潔
(74)【代理人】
【識別番号】100205682
【弁理士】
【氏名又は名称】高嶋 一彰
(72)【発明者】
【氏名】劉 常貴
【テーマコード(参考)】
3D201
【Fターム(参考)】
3D201AA01
3D201AA26
3D201CA20
3D201DA09
3D201DA31
3D201DA38
3D201DA52
3D201DA73
3D201DA74
(57)【要約】
【課題】モールディングとドアミラーとを連結プラグを介して連結することによって、両者間の隙間や段差の発生を抑制し得る連結構造を提供する。
【解決手段】モールディング11は、連結プラグ22の長手方向の一端部22aが挿入可能な第1挿入孔17を有し、この第1挿入孔を構成する一側壁24に第1係止孔18が形成され、ベース部材19は、連結プラグの他端部22bが挿入可能な第2挿入孔20を有し、一側壁に第2係止孔21が形成され、連結プラグの一端部には、第1挿入孔に挿入された際に、傾斜状の先端面26cが第1係止孔の孔縁部18aに係止する弾性変形可能な第1係止部26が設けられ、他端部の外周には、第2挿入孔に挿入された際に、傾斜状の先端面27cが第2係止孔の孔縁部21aに係止する弾性変形可能な第2係止部27が設けられている。
【選択図】
図8
【特許請求の範囲】
【請求項1】
自動車のドアウエスト部に装着されるドアアウトサイドモールディングの長手方向の一端部とドアミラーのベース部材とを、連結プラグを介して連結する連結構造であって、
前記ドアウエストサイドモールディングは、前記連結プラグの長手方向の一端部が挿入可能な第1挿入孔を有すると共に、前記第1挿入孔を構成する周壁に第1係止孔が形成され、
前記ベース部材は、前記連結プラグの長手方向の他端部が挿入可能な第2挿入孔を有すると共に、前記第2挿入孔を構成する周壁に第2係止孔が形成され、
前記連結プラグは、長手方向の一端部に、該一端部が前記第1挿入孔に挿入された際に、前記第1係止孔の孔縁部に係止する内外方向へ弾性変形可能な第1係止部が設けられていると共に、長手方向の他端部に、該他端部が第2挿入孔に挿入された際に、前記第2係止孔の孔縁部に係止する内外方向へ弾性変形可能な第2係止部が設けられていることを特徴とするドアアウトサイドモールディングとドアミラーの連結構造。
【請求項2】
請求項1に記載のドアアウトサイドモールディングとドアミラーの連結構造であって、
前記連結プラグの前記第1係止部と第2係止部は、それぞれの基端部から先端部側が径方向外側へ傾斜状に立ち上がって前記先端部側が内外方向へ弾性変形可能に形成されていると共に、前記各先端部が互いに対向する方向に配置され、当該各先端部の各先端面がそれぞれ傾斜状に形成され、
傾斜状の前記各先端面が、前記第1係止孔の孔縁部の角縁と第2係止孔の孔縁部の角縁に対して線接触状態で弾接した際に、それぞれの弾性反力によって前記連結プラグを介して前記ドアアウトサイドモールディングとドアミラーを互いに接近する方向に付勢することを特徴とするドアアウトサイドモールディングとドアミラーの連結構造。
【請求項3】
請求項1に記載のドアアウトサイドモールディングとドアミラーとの連結構造であって、
前記連結プラグの前記第1係止部と第2係止部は、基端部から先端部側が径方向外側へ傾斜状に立ち上がって前記先端部側が内外方向へ弾性変形可能に形成されていると共に、少なくともいずれか一方の先端部の先端面が傾斜状に形成されて、該傾斜状の先端面が前記第1係止孔の孔縁部あるいは第2係止孔の孔縁部に対して線接触状態で弾接した際に、この弾性反力によって前記連結プラグを介して前記ドアアウトサイドモールディングとドアミラーを接近する方向に付勢することを特徴とするドアアウトサイドモールディングとドアミラーの連結構造。
【請求項4】
請求項1に記載のドアアウトサイドモールディングとドアミラーの連結構造であって、
前記連結プラグの前記第1係止部と第2係止部は、それぞれの基端部から先端部側が径方向外側へ傾斜状に立ち上がって弾性変形可能に形成されていると共に、前記各先端部が互いに対向する方向に配置され、該各先端部の各先端面が各先端部の外面に対してほぼ垂直あるいは垂直な平坦状に形成され、
平坦状の前記各先端面が、前記第1係止孔の孔縁部の角縁から延びた平坦面と第2係止孔の孔縁部の角縁から延びた平坦面に対して面接触状態で弾接することを特徴とするドアアウトサイドモールディングとドアミラーの連結構造。
【請求項5】
請求項1に記載のドアアウトサイドモールディングとドアミラーの連結構造であって、
前記連結プラグの第1係止部と第2係止部は、前記各先端部の各先端面の内端縁にそれぞれ爪部が突設されていると共に、
前記各係止部が各係止孔の各孔縁部に係止した際に、前記各爪部が前記各孔縁部の内側角縁に係止することを特徴とするドアアウトサイドモールディングとドアミラーの連結構造。
【請求項6】
請求項3に記載のドアアウトサイドモールディングとドアミラーの連結構造であって、
前記連結プラグは、合成樹脂材によって横断面ほぼ逆U字形状に形成され、頂部から平行に延出した両側壁のうち一方の側壁に前記第1係止部が設けられていると共に、他方の側壁の前記第1係止部に径方向で対応した位置に突起部がもう受けられ、
前記突起部は、前記連結プラグの長手方向の一端部を前記ドアアウトサイドモールディングの第1挿入孔に挿入した際に、上端面が前記第1挿入孔の内面に摺接案内することを特徴とするドアアウトサイドモールディングとドアミラーの連結構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車のドアウエスト部に装着されるドアアウトサイドモールディングとドアミラーのベース部材との連結構造に関する。
【背景技術】
【0002】
自動車の例えばフロントドアの車外側ウエスト付近には、ドアベルトラインに沿ってドアアウトサイドモールディング(以下、モールディングという。)が取り付けられており、このモールディングは、ドアガラスの昇降開閉をガイドすると共に、ドアガラスに付着した雨水や洗車水などの水滴や埃などを払拭する機能を有していると共に、フロントドアの意匠の一部として外観品質の向上を図る機能も有している。
【0003】
前記モールディングの取付構造としては、以下の特許文献1に記載されているものが知られている。このモールディング1は、
図11に示すように、金属インサート板2を埋設した合成樹脂材の押出成形品であって、逆U字形状の基部3と、該基部3の内側壁3aの内面に上下二段に設けられて、ドアガラスGの外面に当接するシールリップ4,5、と、を有し、基部3が合成樹脂材のクリップ6を介して自動車用ドアのアウターパネル7とドアガラスGに平行なレインフォース8とが接合した取付フランジ9に取り付けられるようになっている。
【0004】
クリップ6は、予め前記基部3内に埋め込まれており、この状態でモールディング1を取付フランジ9に装着したときに、クリップ6に突出形成された係止突部6aが取付フランジ9に有する嵌合孔9aに嵌合してモールディング1を取付フランジ9に取り付けられるようになっている。
【0005】
また、他の取付構造としては、特許文献2に記載されているもののように、例えばクリップを用いずに、モールディングをドアアウタパネルの上縁を覆うように嵌合させて、モールディングの端末に設けられたエンドピースとドアフレームの下端とをねじ止めによって固定して取り付ける構造のものがある。
【0006】
一方、フロントドアの車体前方の位置にはドアミラーが配置されており、このドアミラーは、ドアパネルに固定されるベース部材を有し、このベース部材に、前記モールディングの長手方向の車体前方側の一端部が対向配置されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、従来のそれぞれのモールディングの取付構造は、モールディングをドアパネルやドアフレームに対して取り付ける構造についてのものであって、モールディングの長手方向の一端部と前記ドアミラーとの連結構造については何ら考慮されていない。
【0009】
したがって、前記従来のモールディングの取付構造をそのまま適用した場合には、モールディングの一端部と該一端部が対向するドアミラーのベース部材との間に隙間が発生するとか、あるいはモールディングの一端部がドアミラーのベース部材の内側に差し込まれて段差が発生するおそれがある。
【0010】
このように、モールディングの一端部とドアミラーのベース部材との間に隙間や段差が発生する場合には、両者の一体感が損なわれると共に、見栄えが悪化して外観品質の低下を招くおそれがある。
【0011】
本発明は、前記従来におけるモールディングの取付構造の技術的課題に鑑みて案出されたもので、モールディングの一端部とドアミラーのベース部材とを連結プラグを介して連結することによって、両者間の隙間や段差の発生を抑制し得るドアアウトサイドモールディングとドアミラーの連結構造を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本願請求項1に記載の発明は、自動車のドアウエスト部に装着されるドアアウトサイドモールディングの長手方向の一端部とドアミラーのベース部材とを、連結プラグを介して連結する連結構造であって、
前記ドアウエストサイドモールディングは、前記連結プラグの長手方向の一端部が挿入可能な第1挿入孔を有すると共に、前記第1挿入孔を構成する周壁に第1係止孔が形成され、
前記ベース部材は、前記連結プラグの長手方向の他端部が挿入可能な第2挿入孔を有すると共に、前記第2挿入孔を構成する周壁に第2係止孔が形成され、
前記連結プラグは、長手方向の一端部に、該一端部が前記第1挿入孔に挿入された際に、前記第1係止孔の孔縁部に係止する内外方向へ弾性変形可能な第1係止部が設けられていると共に、長手方向の他端部に、該他端部が第2挿入孔に挿入された際に、前記第2係止孔の孔縁部に係止する内外方向へ弾性変形可能な第2係止部が設けられていることを特徴としている。
【発明の効果】
【0013】
本願請求項1に記載の発明によれば、モールディングの長手方向の一端部とドアミラーのベース部材とを連結プラグによって連結することによって、両者間に隙間や段差の発生が抑制されて、一体感が得られると共に、見栄えが良くなり外観品質の向上が図れる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】本発明のドアアウトサイドモールディングとドアミラーの連結構造が適用される自動車のドアミラー側の左側部を示す斜視図である。
【
図2】本実施形態におけるドアアウトサイドモールディングの一端部とドアミラーのベース部の端部が連結プラグによって連結された状態を示す斜視図である。
【
図3】本実施形態に供されるモールディングの第1挿入孔に連結プラグの一端部が挿入される前の状態を示す斜視図である。
【
図4】本実施形態に供されるモールディングの第1挿入孔に一端部が挿入された連結プラグの他端部をドアミラーのベース部材の第2挿入孔に挿入される前の状態を示す斜視図である。
【
図6】本実施形態に供される連結プラグを示し、(a)は連結プラグの俯瞰図、(b)は連結プラグの左側面図、(c)は連結プラグの平面図である。
【
図7】本実施形態に供される連結プラグによってモールディングの一端部とドアミラーのベース部材の端部が連結された状態を示す縦断面図である。
【
図8】
図7の部分拡大図であって、(a)は本実施形態に供される連結プラグによってモールディングの一端部とドアミラーのベース部材の端部が連結された状態を示す拡大して示す縦断面図、(b)は(a)のB部拡大図、(c)は(a)のC部拡大図である。
【
図9】本発明の第2実施形態を示し、(a)は第2実施形態に供される連結プラグによってモールディングの一端部とドアミラーのベース部材の端部が連結された状態を示す拡大して示す縦断面図、(b)は(a)のD部拡大図、(c)は(a)のE部拡大図である。
【
図10】本発明の第3実施形態を示し、(a)は第3実施形態に供される連結プラグによってモールディングの一端部とドアミラーのベース部材の端部が連結された状態を示す拡大して示す縦断面図、(b)は(a)のF部拡大図、(c)は(a)のG部拡大図である。
【
図11】従来のドアアウトサイドモールディングの取付構造を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明に係るドアアウトサイドモールディングとドアミラーの連結構造の実施形態を図面に基づいて説明する。
【0016】
図1は本発明のドアアウトサイドモールディングとドアミラーの連結構造が適用される自動車のドアミラー側の左側部を示す斜視図、
図2は本実施形態におけるドアアウトサイドモールディングの一端部とドアミラーのベース部の端部が連結プラグによって連結された状態を示す斜視図、
図3は本実施形態に供されるモールディングの第1挿入孔に連結プラグの一端部が挿入される前の状態を示す斜視図、
図4は本実施形態に供されるモールディングの第1挿入孔に一端部が挿入された連結プラグの他端部をドアミラーのベース部材の第2挿入孔に挿入される前の状態を示す斜視図、
図5は
図4のA-A線断面図である。
【0017】
図1に示すように、自動車のフロントドア10のドア本体10aのウエスト部には、ドアアウトサイドモールディング(以下、モールディングという。)11が車体前後方向に沿って配置されていると共に、ドア本体10aの前端部には、ドアミラー12が配置されている。
【0018】
モールディング11は、
図5に示すように、内部に金属インサート板11bを埋設した合成樹脂材の押出成形品であって、横断面ほぼ逆U字形状の基部13と、該基部13の内側壁13aの内面に上下二段に設けられて、図外のドアガラスの外面に当接するシールリップ14,15と、基部13の外側部に嵌着固定された金属メッキ状のモール部16と、を有している。
【0019】
基部13は、
図3~
図5に示すように、内部軸方向に第1挿入孔17が長手方向に沿って形成されている。この第1挿入孔17は、後述する連結プラグ22の一端部22aが挿入されるもので、この一端部22aの断面形状と相似形の断面逆U字形状に形成されていると共に、車両の後方に向かって延出している。また、前記内側壁13aは、下端部に図外のレインフォースの外面に当接する当接部13cが設けられていると共に、内面の上下ほぼ中央位置には、連結プラグ22の一側壁24の下端面を支持する支持部13dが突設されている。
【0020】
基部13の外側壁13bは、上下方向の長さが内側壁13aよりも短く形成されていると共に、上下端部に長手方向に沿って形成された第1、第2嵌合溝13e、13fに前記モール部16の上下端部に設けられた折曲部16a、16bが嵌着固定されている。
【0021】
また、内側壁13aの支持部13dよりも上方位置には、後述する連結プラグ22の長手方向の一端部22aに有する第1係止部26が係止する第1係止孔18が径方向に貫通形成されている。
【0022】
前記第1係止孔18は、
図3及び
図4に示すように、モールディング11の長手方向の一端部11a側から前記第1挿入孔17に挿通される連結プラグ22の一端部22aの第1係止部26に対応した所定位置に設けられている。第1係止孔18は、長手方向に長い矩形状に形成されて、長手方向から対向する内端側の直線状の第1孔縁部18aと外端側の直線状の第2孔縁部18bとを有している。
【0023】
なお、モールディング11は、一端部11aの基部13の前記ドアミラー12側以外の部位がフロントドア10のドア本体10aのアウターパネルとドアガラスに平行な図外のレインフォースとが接合した取付フランジにクリップやボルトなどの取付部材によって取り付けられるようになっている。
【0024】
ドアミラー12は、
図1、
図2に示すように、フロントドア10の前端部に図外のボルトなどによって固定されたベース部材19と、該ベース部材19に支持されたミラー本体12aと、を有している。
【0025】
ベース部材19は、
図4に示すように、合成樹脂材によって異形状一体に形成され、前記モールディング11の一端部11aが軸方向から突き合わされる端部19aの内部に第2挿入孔20が車体の前方に向かって形成されている。この第2挿入孔20は、後述する連結プラグ22の他端部22bが軸方向から挿入されるもので、前記連結プラグ22の他端部22bの断面形状と相似形の逆U字形状に形成されている。また、第2挿入孔20は、
図4に示すように、幅長さL1が第1挿入孔17の幅長さL(
図3参照)よりも小さく形成されている。
【0026】
また、ベース部材19の第2挿入孔20を構成する側壁部19bには、連結プラグ22の他端部22bに有する第2係止部27が係止する第2係止孔21が径方向に貫通形成されている。
【0027】
前記第2係止孔21は、
図4に示すように、第1係止孔18と同じ面で、第2挿入孔20の連結プラグ22の他端部22bの第2係止部27に対応した所定位置に設けられている。第2係止孔21は、長手方向に長い矩形状に形成されて、長手方向から対向する内端側の直線状の第1孔縁部21aと外端側の直線状の第2孔縁部21bとを有している(
図7、
図8参照)。
【0028】
前記モールディング11の第1挿入孔17とドアミラー12のベース部材19の第2挿入孔20には、前述した連結プラグ22が挿入されている。
【0029】
図6は本実施形態に供される連結プラグを示し、(a)は連結プラグの俯瞰図、(b)は連結プラグの左側面図、(c)は連結プラグの平面図、
図7は本実施形態に供される連結プラグによってモールディングの一端部とドアミラーのベース部材の端部が連結された状態を示す縦断面図、
図8は
図7の部分拡大図であって、(a)は本実施形態に供される連結プラグによってモールディングの一端部とドアミラーのベース部材の端部が連結された状態を示す拡大して示す縦断面図、(b)は(a)のB部拡大図、(c)は(a)のC部拡大図である。
【0030】
この連結プラグ22は、
図6(a)~(c)に示すように、合成樹脂材によって横断面逆U字形状に形成されていると共に、長手方向に沿って所定長さを有し、長手方向の一端部22aが第1挿入孔17に、他端部22bが第2挿入孔20に長手方向の約半分がそれぞれ挿入配置されるようになっている。
【0031】
また、連結プラグ22は、円弧状の頂部23と、該頂部23の両端縁から下方へ平行に延びた両側壁24、25と、と有しており、車外側の一側壁24が車内側の他側壁25よりも下方向に長く延出形成されている。前記両側壁24、25の両外面間の幅Wは、前記第2挿入孔20の幅長さL1とほぼ同じ大きさかあるいは僅かに大きく設定されて、他端部22bが第2挿入孔20に挿入された際に他端部22bの外面全体が第2挿入孔20の内面に僅かな摺接抵抗をもって挿入されるようになっている。
【0032】
前記一側壁24には、連結プラグ22の一端部22a側と他端部22b側の外面に第1係止部26と第2係止部27が設けられている。これら第1係止部26と第2係止部27は、一側壁24に形成された各開口部24a、24bから切り起した形で設けられ、各基端部26a、27aから各先端部26b、27b側が車外方向へ立ち上がり傾斜状に形成されていると共に、各先端部26b、27bが互いに向き合う方向に配置されている。つまり、各基端部26a、27aは、互いに反対方向に配置され、各基端部26a、27aから延びる各先端部26b、27bは互いが向き合うように配置されている。また、第1、第2係止部26、27は、各基端部26a,27aを支点として各先端部26b、27bが車内外方向(径方向)へ弾性変形可能に形成されており、内方へ弾性変形した際には、全体が各開口部24a、25a内に収容された形になり、外方へ弾性変形した際には各先端部26b、27b側が各開口部24a、25aから外側へ突出した形になる。
【0033】
各先端部26b、27bは、断面肉厚に形成されて、第1、第2先端面26c、27cの内端縁にそれぞれ爪部26d、27dが突設されていると共に、前記各先端面26c、27cが各外端縁から各爪部26d、27dに向かって上り傾斜状に形成されている。つまり、各先端面26c、27cは、平坦状ではなく、各係止部26,27の外面に対して該各外面側の各外端縁から各爪部26d、27dに向かって所定角度で上り傾斜状に形成されている。前記各爪部26d、27dは、各係止部26、27が各係止孔18,21の各第1孔縁部18a、21aに係止した際に、各孔縁部18a、21aの角縁18c、21cの下端縁に係止して各先端部26b、27bの各係止孔18,21への弾性変形移動を規制するようになっている。
【0034】
そして、
図8(a)に示すように、前記第1係止孔18と第2係止孔21の内端側の各第1孔縁部18a、21a間の離間距離Tは、連結プラグ22の両端部22a、22bが各挿入孔17,20に挿入されて、第1係止部26と第2係止部27の各先端部26b、27bの各先端面26c、27cが第1、第2係止孔18,21の第1、第2孔縁部18a、21aの各角縁18c、21cに係止する長さに設定されている。
【0035】
さらに、連結プラグ22は、
図6に示すように、他側壁25の外面であって前記第1係止部26と対応した位置に突起部28が設けられている。この突起部28は、第1挿入孔17の幅長さLが第2挿入孔20の幅長さL1よりも大きいことから、この幅長さの差を埋めるために形成されており、連結プラグ22の長手方向に沿って細長いブロック状に形成されて、連結プラグ22の一端部22aが第1挿入孔17に挿入された際に、平坦な上端面28aが第1挿入孔17を構成する基部13の外側壁13bの内面に当接して第1係止部26の外方向(第1係止孔18方向)への弾性反力の低下を防止するようになっている。また突起部28の前端面28bは、傾斜面状に形成されて、連結プラグ22の一端部22aを第1挿入孔17に挿入した際のガイド機能を発揮するようになっている。
〔本実施形態の作用効果〕
以下、本実施形態におけるモールディングとドアミラーの連結構造の作用効果について説明する。
【0036】
両者11,まず、
図3に示すように、モールディング11の一端部22aの第1挿入孔17内に連結プラグ22の一端部22aを矢印方向から挿入する。そうすると、連結プラグ22は、突起部28の傾斜状の前端面28bが第1挿入孔17の一方の孔縁に摺接しつつ一端部22aを第1挿入孔17内にガイドすると共に、上端面28aが第1挿入孔17の内面、つまり基部13の外側壁13bの内面を摺接しながら内部に案内する。このとき、第1係止部26は、第1先端部26bが第1挿入孔17の一側壁の内面に摺接しつつ内方へ弾性変形して第1先端部26b側全体が第1開口部24a内に収容されながら内部を移動する。
【0037】
そして、第1係止部26は、
図8(a)(b)に示すように、第1係止孔18の位置に到達すると自身の原状弾性復帰力によって第1先端部26bが外方へ弾性変形して第1係止孔18内に入り込んで、第1先端部26bの傾斜状の第1先端面26cが第1孔縁部18aの角縁18cに線接触状態で弾性的に係止する。このとき、爪部26dが第1孔縁部18aの角縁18cの下端縁に当接して第1先端部26bのそれ以上の外方への弾性変形を規制する。
【0038】
その後、
図4に示すように、モールディング11の第1挿入孔17に、連結プラグ22の一端部22aを係止固定した状態で、連結プラグ22の他端部22bをドアミラー12のベース部材19の第2挿入孔20に挿入する。そうすると、第2係止部27は、第1係止部26の作用と同じく、第2先端部27bが内方へ弾性変形して第2開口部25a内に収容されつつ移動する。そして、第2係止部27が、第2係止孔21に到達すると、
図8(a)(c)に示すように、第2先端部27bが自身の弾性復帰力によって外方へ弾性変形して第2係止孔21内に入り込んで、第2先端部27bの傾斜状の第2先端面27cが第1孔縁部21aの角縁21cに線接触状態で弾性的に係止する。このとき、爪部27dが第1孔縁部21aの角縁21cに弾接して第2先端部27bのそれ以上の外方への弾性変形を規制する。
【0039】
これによって、モールディング11の一端部22aが、ドアミラー12のベース部材19の端部19aに連結プラグ22を介して強固に連結される。
【0040】
特に、本実施形態では、前述のように、連結プラグ22の一端部22aと他端部22bが、モールディング11の第1挿入孔17とベース部材19の第2挿入孔20にそれぞれ挿入されて、第1係止部26の傾斜状の第1先端面26cと第2係止部27の傾斜状の第2先端面27cが、対応する第1係止孔18の第1孔縁部18aの角縁18cと第2係止孔21の第1孔縁部21aの角縁21cに係止する。
【0041】
そうすると、モールディング11とベース部材19は、
図8(b)(c)の矢印で示すように、連結プラグ22の第1係止部26と第2係止部27の弾性力によって互いに近接する方向に付勢される。すなわち、
図8(b)に示すように、第1係止部26の傾斜状の第1先端面26cが、第1係止孔18の第1孔縁部18aの角縁18cに斜め下方から弾接すると、この弾性力が同図(b)の矢印で示すように、モールディング11をベース部材19の端部19a方向へ付勢する力となる。一方、同時に、
図8(c)に示すように、第2係止部27の傾斜状の第2先端面27cが、第2係止孔21の第1孔縁部21aの角縁21cに斜め下方から弾接すると、この弾性力が
図8(c)の矢印で示すように、ベース部材19をモールディング11の一端部22a方向へ付勢する。
【0042】
このように、第1係止部26の傾斜状の第1先端面26cと第2係止部27の傾斜状の第2先端面27cが、対応する第1、第2係止孔18,21の各孔縁部18a、21aの各角縁18c、21cに線接触状態で弾接すると、各係止部26,27の径方向外側への相反する方向への弾性反力によってモールディング11の一端部11aとドアミラー12のベース部材19の端部19aが互いに接近する方向、つまり引き付ける方向に付勢される。
【0043】
これによって、
図2、
図7及び
図8(a)に示すように、モールディング11の一端部22aとドアミラー12のベース部材19の端部19aが密着状態に当接することから、前記公報記載の従来技術のような隙間や段差の発生が十分に抑制されて、一体感や見栄えが良好になって外観品質の向上が図れる。
【0044】
また、本実施形態では、第1、第2係止部26,27の第1、第2先端面26c、27cが傾斜状に形成されていることから、両係止孔18,21の両第1孔縁部18a、21aとの間の距離Tと各係止部26,27の各先端面26c、27cとの間の距離T1(
図6(c)参照)の相対的な寸法精度を高くする必要がなくなる。つまり、距離Tと距離T1との間のずれを各傾斜状の各先端面26c、27cが吸収することから相対的な寸法精度を高くする必要がなくなる。したがって、製造作業が容易になり、製造コストの低減化が図れる。
〔第2実施形態〕
図9(a)は本発明の第2実施形態を示し、連結プラグ22の第2係止部27の構造は第1実施形態と同じであるが、第1係止部26の第1先端部26bの構造を変更したものである。
【0045】
すなわち、連結プラグ22の第2係止部27は、
図9(c)に示すように、第2先端部27bの第2先端面27cが第1実施形態と同じく傾斜面状に形成されて、この第2先端面27cが第2係止孔21の第1孔縁部21aの角縁21cに弾接している。
【0046】
一方、第1係止部26は、
図9(b)にも示すように、第1先端部26bの第1先端面26cが傾斜状ではなく平坦状に形成されている。つまり、第1先端面26cは、第1先端部26bの外面に対してほぼ垂直な平坦状に形成されている。したがって、第1係止部26が、第1係止孔18に係止した際には、第1先端面26cが第1孔縁部18aの角縁18cではなく角縁18cから内側に延びた平坦面18dに軸方向から面接触状態で当接する。
【0047】
このように、本実施形態では、連結プラグ22の第1係止部26と第2係止部27が、対応する第1係止孔18と第2係止孔21に係止した際には、第1係止部26の第1先端面26cが第1係止孔18の平坦面18dに軸方向から面接触状態で当接する一方、第2係止部27の傾斜状の第2先端面27cが第1孔縁部21aの角縁21cに線接触状態で弾接係止することから、特に、第2係止部27の弾性力によってベース部材19とモールディング11を互いに接近する方向へ付勢される。
【0048】
したがって、この第2実施形態も第1実施形態と同じく、モールディング11の一端部22aとドアミラー12のベース部材19の端部19aが密着状態に当接することから、一体感や見栄えが良好になって外観品質の向上が図れる。
【0049】
また、第2係止部27の第2先端面27cは、傾斜状に形成されていることから、第1係止部26の第1先端面26cが平坦状であっても第1実施形態と同じく両係止孔18,21との間の距離Tと各係止部26,27の各先端面26c、27cとの間の距離の相対的な寸法精度を高くする必要がなくなる。したがって、製造作業が容易になり、製造コストの低減化が図れる。
〔第3実施形態〕
図10(a)は本発明の第3実施形態を示し、連結プラグ22の第1係止部26の第1先端部26bの構造は第2実施形態と同じであるが、第2係止部27の第2先端部27bの構造を変更したものである。
【0050】
すなわち、第1係止部26は、
図10(b)に示すように、第1先端部26bの第1先端面26cが第2実施形態と同じく平坦状に形成されて、この第1先端面26cが第1係止孔18の第1孔縁部18aの角縁18cから内側に延びた平坦面18dに当接している。
【0051】
一方、第2係止部27は、
図10(c)にも示すように、第2先端部27bの第2先端面27cが傾斜状ではなく第1先端面26cと同じく平坦状に形成されている。したがって、第2係止部27が、第2係止孔21に係止した際には、第2先端面27cが第1孔縁部21aの角縁21cではなく平坦面21dに軸方向から面接触状態で当接する。
【0052】
このように、本実施形態では、連結プラグ22の第1係止部26と第2係止部27が、対応する第1係止孔18と第2係止孔21に係止した際には、各係止部26,27の各先端面26c、27cが各係止孔18、21の平坦面18d、21cにそれぞれ軸方向から面接触状態で当接する。
【0053】
したがって、第1、第2実施形態のように、ベース部材19とモールディング11を互いに接近する方向への付勢力は大きく作用しないが、両係止孔18,21との間の距離Tと各係止部26,27の各先端面26c、27cとの間の距離の相対的な寸法精度を比較的高く取れば、モールディング11の一端部22aとドアミラー12のベース部材19の端部19aを密着状態に当接させることができる。この結果、一体感や見栄えが良好になって外観品質の向上が図れる。
【0054】
本発明は、前記各実施形態の構成に限定されるものではなく、例えば、連結プラグ22の構造を、モールディング11の第1挿入孔17とドアミラー12のベース部材19の第2挿入孔20の断面形状の大きさや変化に合わせて変更することも可能である。また、各係止部26,27の構造も各係止孔18,21の構造変化に応じて任意に変更することが可能である。
【符号の説明】
【0055】
10…フロントドア
11…モールディング(ドアアウトサイドモールディング)
12…ドアミラー
13…基部
17…第1挿入孔
18…第1係止孔
18a…第1孔縁部
18c…角縁
19…ベース部材
19a…端部
20…第2挿入孔
21…第2係止孔
21a…第1孔縁部
21c…角縁
22…連結プラグ
22a…一端部
22b…他端部
23…頂部
24…一側部
25…他側部
26…第1係止部
26a…基端部
26b…第1先端部
26c…第1先端面
26d…爪部
27…第2係止部
27a…基端部
27b…第2先端部
27c…第2先端面
27d…爪部