(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024001757
(43)【公開日】2024-01-10
(54)【発明の名称】駆動切替装置、シート搬送装置、及び画像形成装置
(51)【国際特許分類】
G03G 21/16 20060101AFI20231227BHJP
G03G 15/20 20060101ALI20231227BHJP
B65H 5/06 20060101ALI20231227BHJP
【FI】
G03G21/16 147
G03G15/20 535
G03G21/16 133
B65H5/06 P
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022100626
(22)【出願日】2022-06-22
(71)【出願人】
【識別番号】000005496
【氏名又は名称】富士フイルムビジネスイノベーション株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】橘 康平
(72)【発明者】
【氏名】塩川 裕也
【テーマコード(参考)】
2H033
2H171
3F049
【Fターム(参考)】
2H033BB35
2H033BB37
2H171FA01
2H171FA04
2H171FA19
2H171FA22
2H171HA23
2H171KA12
2H171KA22
2H171KA23
2H171KA25
2H171KA26
2H171KA27
2H171LA04
2H171LA08
2H171LA13
2H171LA17
2H171QC36
2H171SA06
3F049AA04
3F049DA19
3F049LA07
3F049LB03
(57)【要約】
【課題】入力部としてのアクチュエータを被覆部材に固定して解除部を動作させる構成と比較して、被覆部材の回転軌跡上で入力部と筐体のフレームとが干渉することを抑制する駆動切替装置を得る。
【解決手段】駆動切替装置20は、支持軸42に回転可能に設けられたカバー22と、カバー22に設けられ、カバー22が開放位置の方向に回転したことが入力されるジョイント部24と、筐体12の内部においてジョイント部24と離れた方向に設けられ、ジョイント部24の移動に連動して移動するガイドカム28を備え、駆動部の駆動を解除する解除部26と、支点56を中心に回転可能に設けられ、支点56の一方側に連結されたガイドカム28を移動させる第1リンク30と、第1リンク30における支点56の他方側に連結された第2リンク32と、第2リンク32とジョイント部24とに連結され回転支持されている第3リンク34と、を有する。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
駆動部を備えた筐体に設けられた支持軸に回転可能に設けられ、前記筐体の内部を覆う閉止位置と、前記筐体の内部を露出する開放位置とに回転する被覆部材と、
前記被覆部材に設けられ、前記被覆部材の回転による変位を入力する入力部と、
前記筐体の内部において前記入力部と離れた方向に設けられ、前記入力部の移動に連動して移動するカムを備え、前記被覆部材が前記開放位置の側に回転したときに前記カムにより前記駆動部の駆動伝達経路を切り離す解除部と、
前記入力部と前記カムとに繋がり、前記被覆部材が回転したときに前記入力部が移動する方向と逆方向に前記カムを移動させる複数のリンクと、
を有する駆動切替装置。
【請求項2】
駆動部を備えた筐体に設けられた支持軸に回転可能に設けられ、前記筐体の内部を覆う閉止位置と、前記筐体の内部を露出する開放位置とに回転する被覆部材と、
前記被覆部材に設けられ、前記被覆部材が前記開放位置の方向に回転したときの変位を入力する入力部と、
前記筐体の内部において前記入力部と離れた方向に設けられ、前記入力部の移動に連動して移動するカムを備え、前記被覆部材が前記開放位置の側に回転したときに前記カムにより前記駆動部の駆動を解除する解除部と、
支点を中心に回転可能に設けられ、前記支点の一方側に連結された前記カムを移動させる第1リンクと、
前記第1リンクにおける前記支点の他方側に連結された第2リンクと、
前記第2リンクと前記入力部とに連結され、回転支持されている第3リンクと、
を有する駆動切替装置。
【請求項3】
前記第1リンクにおける前記支点の一方側の端部及び前記カムの一方には第1長孔が設けられ、前記第1リンクにおける軸方向の前記支点の一方側の端部及び前記カムの他方に設けられた第1突起が前記第1長孔に挿入されており、
前記第1リンクにおける前記支点の他方側の端部及び前記第2リンクの一方には第2長孔が設けられ、前記第1リンクにおける前記支点の他方側の端部及び前記第2リンクの他方に設けられた第2突起が前記第2長孔に挿入されている請求項2に記載の駆動切替装置。
【請求項4】
前記支点の軸方向に沿った方向から見た状態で、前記第1リンクは、前記支点に対して一方側と他方側とが湾曲している請求項2に記載の駆動切替装置。
【請求項5】
前記第1長孔の方向と前記第2長孔の方向が揃っており、
前記第1長孔及び前記第2長孔の一方の延長領域には前記支点があり、前記第1長孔及び前記第2長孔の他方の延長領域は前記支点からずれている請求項3に記載の駆動切替装置。
【請求項6】
前記支持軸は、前記筐体の上下方向に沿って配置されている請求項2に記載の駆動切替装置。
【請求項7】
前記入力部と前記解除部とは、前記筐体の上下方向に離れた位置に配置されており、
前記被覆部材の覆い方向から見た状態で、前記支持軸に対して前記筐体の一方側に前記入力部が配置され、前記支持軸に対して前記筐体の他方側に前記解除部が配置されており、
前記カム及び前記第2リンクは水平方向に移動する請求項6に記載の駆動切替装置。
【請求項8】
前記被覆部材の覆い方向から見た状態で、前記第1リンクには、前記カムに連結される部分と、前記第2リンクに連結される部分との間に段差が設けられている請求項7に記載の駆動切替装置。
【請求項9】
前記被覆部材が前記開放位置の方向に回転し始めたときは、前記第3リンクは、前記被覆部材の延在方向の動き量が前記被覆部材の開く方向の動き量よりも大きく、
前記被覆部材が前記開放位置の方向に回転する途中から、前記第3リンクは、前記被覆部材の開く方向の動き量が前記被覆部材の延在方向の動き量よりも大きい請求項2に記載の駆動切替装置。
【請求項10】
前記被覆部材が前記閉止位置から前記開放位置の方向に定められた第1角度を回転した状態から、前記カムによる前記解除部の解除動作が始まり、
前記被覆部材が前記閉止位置から前記開放位置の方向に前記第1角度よりも大きい第2角度回転した状態で、前記カムによる前記解除部の解除動作が完了する請求項9に記載の駆動切替装置。
【請求項11】
請求項1から請求項10までのいずれか1項に記載の駆動切替装置と、
前記筐体の内部に設けられ、シートを搬送する搬送部と、
を備え、
前記駆動部は前記搬送部を駆動するシート搬送装置。
【請求項12】
請求項1から請求項10までのいずれか1項に記載の駆動切替装置と、
前記筐体の内部に設けられ、記録媒体を搬送する搬送部と、
前記筐体の内部に設けられ、前記記録媒体に画像を形成する画像形成部と、
を備え、
前記駆動部は、前記搬送部又は前記画像形成部の一部を駆動する画像形成装置。
【請求項13】
請求項1から請求項10までのいずれか1項に記載の駆動切替装置と、
前記筐体の内部に設けられ、記録媒体を搬送する搬送部と、
前記筐体の内部に設けられ、前記記録媒体に画像を形成する画像形成部と、
前記画像形成部に設けられ、前記駆動部の駆動により前記記録媒体に形成されたトナー像を定着させる定着部と、
を有する画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、駆動切替装置、シート搬送装置、及び画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
下記特許文献1には、シートにトナー像を転写した後、該シートを加熱及び加圧して前記トナー像を定着させるようにした画像形成装置において、前記トナー像が転写されたシートを加熱する加熱手段と、前記加熱手段と圧接し、前記シートを前記加熱手段と共に挟持しながら搬送する加圧手段とを備えた定着手段と、前記加圧手段を駆動する駆動手段と、装置本体に開閉自在に設けられたカバーと、を備え、前記カバーを開いた際、前記駆動手段による加圧手段の駆動を解除すると共に、前記定着手段の加熱手段と加圧手段との圧接を解除するように構成した画像形成装置が開示されている。
【0003】
下記特許文献2には、回転軸を有する第1の回転体に回転駆動力を伝達する第1の駆動継手部と、回転軸を有する第2の回転体に回転駆動力を伝達する第2の駆動継手部と、前記第1の駆動継手部と前記第2の駆動継手部の連結をタイミングに差を設けて解除する解除手段と、を備えた画像形成装置が開示されている。
【0004】
下記特許文献3には、複数の駆動伝達部を有するユニットを、装置本体の外装のカバーを開閉することで着脱可能に構成した画像形成装置において、前記ユニットを装置本体から取り外す際、前記カバーを開ける動作に連動して前記複数の駆動伝達部の連結を同時に解除し、前記ユニットを装置本体へ装着する際、前記カバーを閉める動作に連動して前記複数の駆動伝達部を同時に連結する駆動伝達解除機構を有する画像形成装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2002-189377号公報
【特許文献2】特開2018-060119号公報
【特許文献3】特開2003-280489号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本開示は、入力部としてのアクチュエータを被覆部材に固定して解除部を動作させる構成と比較して、被覆部材の回転軌跡上で入力部と筐体のフレームとが干渉することを抑制する駆動切替装置、シート搬送装置、及び画像形成装置を得ることが目的である。
【課題を解決するための手段】
【0007】
第1態様に係る駆動切替装置は、駆動部を備えた筐体に設けられた支持軸に回転可能に設けられ、前記筐体の内部を覆う閉止位置と、前記筐体の内部を露出する開放位置とに回転する被覆部材と、前記被覆部材に設けられ、前記被覆部材の回転による変位を入力する入力部と、前記筐体の内部において前記入力部と離れた方向に設けられ、前記入力部の移動に連動して移動するカムを備え、前記被覆部材が前記開放位置の側に回転したときに前記カムにより前記駆動部の駆動伝達経路を切り離す解除部と、前記入力部と前記カムとに繋がり、前記被覆部材が回転したときに前記入力部が移動する方向と逆方向に前記カムを移動させる複数のリンクと、を有する。
【0008】
第2態様に係る駆動切替装置は、駆動部を備えた筐体に設けられた支持軸に回転可能に設けられ、前記筐体の内部を覆う閉止位置と、前記筐体の内部を露出する開放位置とに回転する被覆部材と、前記被覆部材に設けられ、前記被覆部材が前記開放位置の方向に回転したときの変位を入力する入力部と、前記筐体の内部において前記入力部と離れた方向に設けられ、前記入力部の移動に連動して移動するカムを備え、前記被覆部材が前記開放位置の側に回転したときに前記カムにより前記駆動部の駆動を解除する解除部と、支点を中心に回転可能に設けられ、前記支点の一方側に連結された前記カムを移動させる第1リンクと、前記第1リンクにおける前記支点の他方側に連結された第2リンクと、前記第2リンクと前記入力部とに連結され、回転支持されている第3リンクと、を有する。
【0009】
第3態様に係る駆動切替装置は、第2態様に記載の駆動切替装置において、前記第1リンクにおける前記支点の一方側の端部及び前記カムの一方には第1長孔が設けられ、前記第1リンクにおける軸方向の前記支点の一方側の端部及び前記カムの他方に設けられた第1突起が前記第1長孔に挿入されており、前記第1リンクにおける前記支点の他方側の端部及び前記第2リンクの一方には第2長孔が設けられ、前記第1リンクにおける前記支点の他方側の端部及び前記第2リンクの他方に設けられた第2突起が前記第2長孔に挿入されている。
【0010】
第4態様に係る駆動切替装置は、第2態様に記載の駆動切替装置において、前記支点の軸方向に沿った方向から見た状態で、前記第1リンクは、前記支点に対して一方側と他方側とが湾曲している。
【0011】
第5態様に係る駆動切替装置は、第3態様に記載の駆動切替装置において、前記第1長孔の方向と前記第2長孔の方向が揃っており、前記第1長孔及び前記第2長孔の一方の延長領域には前記支点があり、前記第1長孔及び前記第2長孔の他方の延長領域は前記支点からずれている。
【0012】
第6態様に係る駆動切替装置は、第2態様に記載の駆動切替装置において、前記支持軸は、前記筐体の上下方向に沿って配置されている。
【0013】
第7態様に係る駆動切替装置は、第6態様に記載の駆動切替装置において、前記入力部と前記解除部とは、前記筐体の上下方向に離れた位置に配置されており、前記被覆部材の覆い方向から見た状態で、前記支持軸に対して前記筐体の一方側に前記入力部が配置され、前記支持軸に対して前記筐体の他方側に前記解除部が配置されており、前記カム及び前記第2リンクは水平方向に移動する。
【0014】
第8態様に係る駆動切替装置は、第7態様に記載の駆動切替装置において、前記被覆部材の覆い方向から見た状態で、前記第1リンクには、前記カムに連結される部分と、前記第2リンクに連結される部分との間に段差が設けられている。
【0015】
第9態様に係る駆動切替装置は、第2態様に記載の駆動切替装置において、前記被覆部材が前記開放位置の方向に回転し始めたときは、前記第3リンクは、前記被覆部材の延在方向の動き量が前記被覆部材の開く方向の動き量よりも大きく、前記被覆部材が前記開放位置の方向に回転する途中から、前記第3リンクは、前記被覆部材の開く方向の動き量が前記被覆部材の延在方向の動き量よりも大きい。
【0016】
第10態様に係る駆動切替装置は、第9態様に記載の駆動切替装置において、前記被覆部材が前記閉止位置から前記開放位置の方向に定められた第1角度を回転した状態から、前記カムによる前記解除部の解除動作が始まり、前記被覆部材が前記閉止位置から前記開放位置の方向に前記第1角度よりも大きい第2角度回転した状態で、前記カムによる前記解除部の解除動作が完了する。
【0017】
第11態様に係るシート搬送装置は、第1態様から第10態様までのいずれか1つに記載の駆動切替装置と、前記筐体の内部に設けられ、シートを搬送する搬送部と、を備え、前記駆動部は前記搬送部を駆動する。
【0018】
第12態様に係る画像形成装置は、第1態様から第10態様までのいずれか1つに記載の駆動切替装置と、前記筐体の内部に設けられ、記録媒体を搬送する搬送部と、前記筐体の内部に設けられ、前記記録媒体に画像を形成する画像形成部と、を備え、前記駆動部は、前記搬送部又は前記画像形成部の一部を駆動する。
【0019】
第13態様に係る画像形成装置は、第1態様から第10態様までのいずれか1つに記載の駆動切替装置と、前記筐体の内部に設けられ、記録媒体を搬送する搬送部と、前記筐体の内部に設けられ、前記記録媒体に画像を形成する画像形成部と、前記画像形成部に設けられ、前記駆動部の駆動により前記記録媒体に形成されたトナー像を定着させる定着部と、を有する。
【発明の効果】
【0020】
第1態様に係る駆動切替装置によれば、解除部を動作させるアクチュエータを被覆部材に固定した構成と比較して、被覆部材の回転軌跡上で入力部と筐体のフレームとが干渉することを抑制することができる。
【0021】
第2態様に係る駆動切替装置によれば、解除部を動作させるアクチュエータを被覆部材に固定した構成と比較して、被覆部材の回転軌跡上で入力部及び第1~第3リンクが筐体のフレームと干渉することを抑制することができる。
【0022】
第3態様に係る駆動切替装置によれば、第1リンクとカムとの連結部及び第1リンクと第2リンクの連結部が軸方向に移動しない構成と比較して、被覆部材の開放位置の方向への回転位置に応じてカムが移動するタイミングを調整することができる。
【0023】
第4態様に係る駆動切替装置によれば、支点の軸方向に沿って方向から見た状態で第1リンクが真直ぐな形状の場合と比較して、第1リンクが支点を中心に回転する方向の省スペース化が可能となる。
【0024】
第5態様に係る駆動切替装置によれば、第1長孔及び第2長孔の延長領域に支点が設けられている構成と比較して、第1リンクが支点を中心に回転する方向の省スペース化が可能となる。
【0025】
第6態様に係る駆動切替装置によれば、支持軸が筐体の上下方向に沿って配置され、筐体の上下方向と交差する方向のスペースが少ない場合でも、被覆部材の回転軌跡上で入力部及び第1~第3リンクと筐体のフレームとが干渉することを抑制することができる。
【0026】
第7態様に係る駆動切替装置によれば、支持軸に対して筐体の一方側に入力部が配置され、支持軸に対して筐体の他方側に解除部が配置されている場合でも、被覆部材(カバー)の回転軌跡上で入力部及び第1~第3リンクと筐体のフレームとが干渉することを抑制することができる。
【0027】
第8態様に係る駆動切替装置によれば、被覆部材の覆い方向から見た状態で第1リンクが直線状に形成されている場合と比較して、部品点数の増加を抑制し、省スペース化することが可能である。
【0028】
第9態様に係る駆動切替装置によれば、被覆部材が閉止位置から開放位置まで移動するときに第3リンクが同様の方向に移動する場合と比較して、被覆部材の回転軌跡に対して第3リンクと筐体のフレームとが干渉することが抑制される。
【0029】
第10態様に係る駆動切替装置によれば、被覆部材が開放位置まで回転したときに解除部の解除動作が完了する構成と比較して、被覆部材が開放位置の方向に回転したときに、早めに解除部により駆動部の駆動を解除することができる。
【0030】
第11態様に係るシート搬送装置によれば、解除部を動作させるアクチュエータを被覆部材に固定した構成と比較して、被覆部材の回転軌跡上で入力部と筐体のフレームとが干渉することを抑制することができる。
【0031】
第12態様に係る画像形成装置によれば、解除部を動作させるアクチュエータを被覆部材に固定した構成と比較して、被覆部材の回転軌跡上で入力部と筐体のフレームとが干渉することを抑制することができる。
【0032】
第13態様に係る画像形成装置によれば、被覆部材を開放位置に移動させたときに、駆動部による定着部の駆動を解除することができる。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【
図1】第1実施形態に係る駆動切替装置を備えた画像形成装置の外観を示す概略斜視図である。
【
図2】第1実施形態に係る駆動切替装置を装置奥行方向(Z方向)から見た状態で示す概略構成図である。
【
図3】第1実施形態に係る駆動切替装置のジョイント部と解除部を示す概略構成図である。
【
図4】第1実施形態に係る駆動切替装置の連結時を装置奥行方向(Z方向)から見た状態で示す概略構成図である。
【
図5】第1実施形態に係る駆動切替装置の連結時を装置上下方向(Y方向)から見た状態で示す概略構成図である。
【
図6】第1実施形態に係る駆動切替装置の解除時を装置奥行方向(Z方向)から見た状態で示す概略構成図である。
【
図7】第1実施形態に係る駆動切替装置の解除時を装置上下方向(Y方向)から見た状態で示す概略構成図である。
【
図8-1】(A)~(D)は、第1実施形態に係る駆動切替装置において、カバーを開放する過程のジョイント部、第3リンク及び第2リンクの動きを装置上下方向(Y方向)から見た状態で示す概略構成図である。
【
図8-2】(E)~(G)は、第1実施形態に係る駆動切替装置において、カバーを開放する過程のジョイント部、第3リンク及び第2リンクの動きを装置上下方向(Y方向)から見た状態で示す概略構成図である。
【
図9-1】(A)~(D)は、第1実施形態に係る駆動切替装置において、カバーを開放する過程の第2リンク、第1リンク及びガイドカムの動きを装置奥行方向(Z方向)から見た状態で示す概略構成図である。
【
図9-2】(E)~(G)は、第1実施形態に係る駆動切替装置において、カバーを開放する過程の第2リンク、第1リンク及びガイドカムの動きを装置奥行方向(Z方向)から見た状態で示す概略構成図である。
【
図10】(A)~(E)は、第1実施形態に係る駆動切替装置において、カバーを開放する過程のガイドカム及びカップリングの動きを装置上下方向(Y方向)から見た状態で示す概略構成図である。
【
図11】(A)及び(B)は、第1実施形態に係る駆動切替装置において、カバーの閉止位置に対するカバーの回転角度とジョイント部と第3リンクとの連結位置との関係を示す概略構成図である。
【
図12】カバーの閉止位置に対するカバーの回転角度と、第2リンクの動作量、ガイドカムの動作量、及びカップリングの退避量との関係を示すグラフである。
【
図13】比較例の駆動切替装置を備えた画像形成装置の外観を示す概略斜視図である。
【
図14】比較例の駆動切替装置のアクチュエータと解除部の位置関係を示す概略構成図である。
【
図15】比較例の駆動切替装置において、カップリングと入力ギアとが連結された状態を示す概略構成図である。
【
図16】比較例の駆動切替装置において、カップリングと入力ギアとの連結が解除された状態を示す概略構成図である。
【
図17】比較例の駆動切替装置を装置上下方向に沿った支持軸により回転可能に支持されたカバーに適用した場合に、アクチュエータがフレームに干渉する状態を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0034】
以下、本開示の実施の形態について、図面を基に詳細に説明する。なお、各図に示す矢印Xは、水平方向であって装置幅方向を示し、矢印Yは鉛直方向であって装置上下方向を示し、矢印Zは、水平方向であって装置奥行方向を示す。各図の説明において、矢印X方向の側を+X側と記載し、矢印X方向の反対側を-X側と記載する場合がある。同様に、矢印Y方向の側を+Y側と記載し、矢印X方向の反対側を-Y側と記載する場合がある。また同様に、矢印Z方向の側を+Z側と記載し、矢印Z方向の反対側を-Z側と記載する場合がある。
【0035】
<第1実施形態>
図1は、第1実施形態に係る駆動切替装置を備えた画像形成装置の外観の一例を示す斜視図である。
【0036】
図1に示されるように、画像形成装置10は、筐体12と、駆動を切り替える駆動切替装置20とを備えている。駆動切替装置20は、筐体12の側面の開口部13を開閉するカバー22を備えている。カバー22は、被覆部材の一例である。カバー22は、筐体12の内部を覆う閉止位置P1(
図3参照)と、筐体12の内部を露出する開放位置P2(
図1参照)とに回転可能とされている。画像形成装置10は、一例として、
図1に示す装置奥行方向(Z方向)の+Z側から見た状態が正面側である。
【0037】
〔筐体12〕
図1に示されるように、筐体12は、縦方向に長い直方体状に形成されている。筐体12の正面側(+Z側)から見たときに、筐体12の幅方向左側(-X側)の側面に開口部13が設けられている。筐体12の上部には、原稿を読み取る原稿読取部16が設けられている。図示を省略するが、筐体12の内部には、画像形成部が設けられている。画像形成部は、原稿読取部16によって読み取られた画像の電子データを基に原稿の複写画像を形成して記録媒体の一例としてのシート部材に記録する。図示を省略するが、筐体12の内部には、画像形成部にシート部材を搬送する搬送部を備えたシート搬送装置が設けられている。画像形成部により複写画像が記録されたシート部材は、筐体12に設けられた排出部(図示省略)に排出される。
【0038】
画像形成部は、電子写真方式により複写画像をシート部材に形成する方式、又はインクジェット記録方式により複写画像をシート部材形成する方式のいずれを用いてもよい。一例として、画像形成部は、電子写真方式により複写画像をシート部材に形成する方式が採用されている。図示を省略するが、例えば、画像形成部では、感光体に画像の電子データに基づいて静電潜像を形成し、感光体上の静電潜像を現像装置により現像してトナー像を形成し、トナー像を直接又は中間転写体を介してシート部材に転写する。そして、シート部材上のトナー像を定着部で加熱及び加圧により定着し、複写画像が形成されたシート部材を排出部に排出する。
【0039】
図3に示されるように、画像形成装置10には、筐体12の内部に、定着部の一例としての定着ユニット18が設けられている。定着ユニット18は、駆動部の一部を構成する入力ギア46(
図2参照)の駆動により、定着ユニット18の各部材を動作させ、シート部材に形成されたトナー像を定着させる構成とされている。
【0040】
〔駆動切替装置20〕
駆動切替装置20は、カバー22が閉止位置P1(
図4参照)に回転された状態で、入力ギア46の駆動伝達経路を連結する連結状態する機能を有する。さらに、駆動切替装置20は、カバー22が開放位置P2(
図1参照)に回転される過程で、入力ギア46の駆動伝達経路を切り離す解除状態とする機能を有する。
図2に示されるように、駆動切替装置20は、カバー22に設けられた入力部の一例としてのジョイント部24と、ガイドカム28を備えた解除部26と、を備えている。さらに、駆動切替装置20は、ガイドカム28とジョイント部24とに繋がれる複数のリンクの一例としての第1リンク30、第2リンク32、及び第3リンク34を備えている。ガイドカム28は、カムの一例である。
【0041】
(カバー22)
図1に示されるように、カバー22は、一例として、筐体12の正面側(+Z側)から見て筐体12の幅方向左側(-X側)の側面の開口部13を開閉する左側カバーである。
図2及び
図3に示されるように、カバー22は、筐体12に設けられた支持軸42に回転可能に支持されている。一例として、支持軸42は、筐体12の奥行方向(Z方向)の奥側(-Z側)に、筐体12の上下方向(Y方向)に沿って配置されている。これにより、カバー22は、筐体12の奥行方向の奥側(-Z側)の支持軸42を中心として、水平方向に沿って開閉される。すなわち、カバー22は、水平開きである。
【0042】
(ジョイント部24)
図4及び
図5に示されるように、ジョイント部24は、カバー22の背面に固定されており、カバー22と一体で回転する。一例として、ジョイント部24は、カバー22の背面に水平方向に沿って取り付けられている。ジョイント部24は、板材であり、上下方向(Y方向)から見てカバー22の背面から交差する方向(一例として、カバー22の背面から直交する方向)に突出している。ジョイント部24は、上下方向(Y方向)から見てU字状に形成されている(
図5参照)。
【0043】
ジョイント部24は、カバー22の回転による変位(例えば、カバー22が開放位置P2(
図1参照)の方向に回転したときの変位)を第3リンク34の側に入力する。第1実施形態では、ジョイント部24はカバー22と一体で回転することで、カバー22が開放位置P2(
図1参照)の方向に回転したことがジョイント部24から第3リンク34の側に入力される。
【0044】
(解除部26)
解除部26は、入力ギア46の駆動伝達経路を切り離す機能を有する。言い換えると、解除部26は、入力ギア46の駆動を解除する機能を有する。
図2~
図4に示されるように、解除部26は、筐体12の内部においてジョイント部24と離れた方向に設けられている。一例として、ジョイント部24と解除部26とは、筐体12の上下方向(Y方向)に離れた位置に配置されている(
図2及び
図3参照)。第1実施形態では、解除部26は、ジョイント部24よりも上下方向上側(+Y側)に設けられている。解除部26は、ジョイント部24の移動に連動して移動するガイドカム28を備えている。解除部26は、カバー22が開放位置P2の側に回転したときに、ガイドカム28により入力ギア46の駆動伝達経路を切り離す(すなわち、入力ギア46の駆動を解除する)構成とされている。
【0045】
図2に示されるように、ガイドカム28の側部には、後述するカップリング86を介して連結される入力ギア46が設けられている。入力ギア46は、軸部46Aを備えており、軸部46Aを中心に回転する。一例として、入力ギア46は、第1ギア48と噛み合っており、第1ギア48は、第2ギア49と噛み合っており、第2ギア49は、第3ギア50と噛み合っている。第1ギア48、第2ギア49、及び第3ギア50は、取付板52に回転可能に支持されている。取付板52は、筐体12の内部に配置されたフレーム100(
図3参照)に取り付けられている。一例として、筐体12の内部には、図示しないモータが設けられており、モータの回転力が第3ギア50、第2ギア49及び第1ギア48などを介して入力ギア46に伝達される。また、第1リンク30付近には、画像形成部の一部を構成する部品54が設けられている。
【0046】
図3に示されるように、カバー22の覆い方向から見た状態(すなわち、-X側から見た状態)で、支持軸42に対して筐体12の奥行方向(Z方向)の一方側(+Z側)にジョイント部24が配置され、支持軸42に対して筐体12の奥行方向(Z方向)の他方側(-Z側)に解除部26が配置されている。ガイドカム28は、図示しない支持部材により、水平方向に移動可能に支持されている。
【0047】
図4及び
図5には、駆動切替装置20において、入力ギア46の駆動伝達経路が連結された連結状態が示されている。
図4に示されるように、駆動切替装置20は、カバー22が閉止位置P1(
図3参照)に回転された状態で、入力ギア46の駆動伝達経路を連結する連結状態とする。
図6に示されるように、筐体12の内部には、定着ユニット18(
図2参照)を動作させるためのギア80が設けられている。
【0048】
図6及び
図7には、駆動切替装置20において、入力ギア46の駆動伝達経路を切り離す解除状態が示されている。
図6に示されるように、駆動切替装置20は、カバー22が開放位置P2(
図1参照)の方向に回転される過程で、入力ギア46の駆動伝達経路を切り離す解除状態、すなわち入力ギア46の駆動を解除する解除状態とする。
【0049】
図5及び
図7に示されるように、解除部26は、定着ユニット18(
図3参照)のギア80に噛み合う受け渡しギア82と、受け渡しギア82を回転させるシャフト84と、を備えている。さらに、解除部26は、シャフト84の軸方向の端部(受け渡しギア82と反対側の端部)に軸方向に移動可能に支持されたカップリング86と、シャフト84に巻き掛けられた付勢部材としてのコイルスプリング88と、を備えている。ガイドカム28には、カップリング86が貫通される開口部29が形成されている(
図6等参照)。カップリング86は、軸方向の一端部に入力ギア46の軸部46Aに係合される凹部を備えている。また、カップリング86は、軸方向の他端部(受け渡しギア82の側)にフランジ部86Aを備えている。シャフト84は、コイルスプリング88に貫通されている。コイルスプリング88の一端は、シャフト84の軸方向中間部の突起(図示省略)に接触しており、コイルスプリング88の他端は、フランジ部86Aに接触している。カップリング86は、コイルスプリング88の力により、ガイドカム28側に押し付けられている。
【0050】
図5及び
図7に示されるように、ガイドカム28は、ギア80側と対向する面(+Z側の綿)に支持軸42側から順に、第1平面部28Aと、傾斜部28Bと、第2平面部28Cと、を備えている。第1平面部28Aは、Y方向及びX方向に沿って延びている。傾斜部28Bは、第1平面部28Aの端部(支持軸42と反対側の端部)から受け渡しギア82と反対方向(すなわち、-Z側)に向かって傾斜している。第1平面部28Aと傾斜部28Bとの成す角は、鈍角である。第2平面部28Cは、傾斜部28Bの端部(支持軸42と反対側の端部)から第1平面部28Aと反対方向(+X側)に延びている。第2平面部28Cは、第1平面部28Aの延長線と平行である。第1平面部28Aとギア80との間隔は、第2平面部28Cとギア80の延長線(第1実施形態では、受け渡しギア82)との間隔よりも小さい。
【0051】
図4~
図7に示されるように、カバー22が閉止位置P1から開放位置P2の方向に回転することで、ジョイント部24の変位に連動する第3リンク34、第2リンク32及び第1リンク30の動作により、ガイドカム28は、筐体12の幅方向(X方向)における+X側に移動する。カップリング86は、ガイドカム28の開口部29を貫通している(
図5等参照)。これにより、
図5及び
図7に示すように、カップリング86は、ガイドカム28の移動に伴って、第1平面部28A、傾斜部28B、及び第2平面部28Cに接触することで、Z方向の+Z側に移動可能である。
【0052】
図4及び
図5に示されるように、カバー22が閉止位置P1に回転している状態では、ガイドカム28の前面部28E(カバー22側の面)は、筐体12の幅方向(X方向)において第1位置PX1に配置されている。この状態では、
図5に示されるように、カップリング86のフランジ部86Aがガイドカム28の第2平面部28Cに接触しており、カップリング86が入力ギア46の軸部46Aと連結されている。すなわち、カップリング86の凹部が軸部46Aと係合している。これにより、入力ギア46の矢印R1方向への回転と共に受け渡しギア82が矢印R1方向に回転し、受け渡しギア82と噛み合うギア80が矢印R2方向に回転する。すなわち、入力ギア46の回転力が受け渡しギア82を介してギア80に伝達される。
【0053】
図6及び
図7に示されるように、カバー22が開放位置P2に回転している状態では、ガイドカム28の前面部28E(カバー22側の面)は、筐体12の幅方向(X方向)において第1位置PX1から+X側に移動している。この状態では、
図7に示されるように、カップリング86のフランジ部86Aがガイドカム28の第1平面部28Aに接触しており、カップリング86が入力ギア46から離れる方向に移動している。これにより、カップリング86と入力ギア46の軸部46Aとの連結が解除される。すなわち、カップリング86の凹部と軸部46Aとの係合が解除される。この状態では、入力ギア46が矢印R1方向に回転しても、入力ギア46の回転力は、受け渡しギア82に伝達されない。
【0054】
(第1リンク30、第2リンク32、及び第3リンク34)
第1リンク30、第2リンク32、及び第3リンク34は、ジョイント部24の移動に連動してガイドカム28を移動させる機能を有する。第1実施形態では、第1リンク30、第2リンク32、及び第3リンク34は、カバー22が回転したときに、ジョイント部24が移動する方向と逆方向にガイドカム28を移動させる機能を有する。
【0055】
図4に示されるように、第1リンク30と第2リンク32と第3リンク34は、ガイドカム28とジョイント部24との間に順番に配置されることで、ガイドカム28とジョイント部24とに繋がれている。一例として、ガイドカム28からジョイント部24に向かって、第1リンク30、第2リンク32、第3リンク34の順番に配置されている。第1実施形態では、ガイドカム38に第1リンク30が繋がれ、第1リンク30に第2リンク32が繋がれ、第2リンク32に第3リンク34が繋がれ、第3リンク34がジョイント部24に繋がれている。
【0056】
より具体的に説明すると、一例として、第1リンク30は、上下方向(Y方向)沿って長さを有している。第1リンク30は、長手方向の中間部に配置された支点56を中心に回転可能に支持されている。第1実施形態では、支点56は、第1リンク30を回転させる円柱状の軸部である。支点56の軸方向は、装置奥行方向(Z方向)に沿った方向とされている。第1リンク30は、支点56の一方側に連結されたガイドカム28を移動させる。第1リンク30における支点56の他方側には、第2リンク32が連結されている。
【0057】
図4に示されるように、支点56の軸方向に沿った方向から見た状態(すなわち、Z方向から見た状態)で、一例として、第1リンク30は、支点56に対して一方側と他方側とが湾曲している。第1実施形態では、支点56の軸方向に沿った方向から見た状態(すなわち、Z方向から見た状態)で、第1リンク30は、クランク状に形成されている。第1リンク30は、支点56から一方向に延びた長尺状の板状部30Aと、板状部30Aの支点56側の端部から板状部30Aの軸方向に対して鈍角を成すように傾斜した板状の傾斜部30Bと、を備えている。さらに、第1リンク30は、傾斜部30Bの端部から板状部30Aと逆方向に延びた長尺状の板状部30Cを備えている。板状部30Aの長手方向の延長線と、板状部30Cの長手方向は平行又は平行に近い状態となっている。
【0058】
また、
図3に示されるように、カバー22の覆い方向から見た状態(すなわち、X方向の-X側から見た状態)で、第1リンク30には、ガイドカム28に連結される部分である板状部30Aと、第2リンク32に連結される部分である板状部30Cとの間に段差30Dが設けられている。段差30Dが設けられていることで、板状部30Cは、板状部30Aに対して+Z側に配置されている。
【0059】
図4に示されるように、一例として、第1リンク30における支点56の一方側の端部31A、すなわち板状部30Aの端部31A側には、第1長孔58が設けられている。例えば、第1長孔58は、長円形である。第1長孔58の長手方向は、板状部30Aの長手方向に沿った方向とされている。ガイドカム28には、円柱状の第1突起60が設けられており、第1突起60は、第1長孔58に挿入されている。これにより、ガイドカム28の第1突起60が第1リンク30の第1長孔58に挿入された状態で、第1リンク30の動きに応じて第1突起60が第1長孔58の長手方向に沿って相対的に移動可能である。
【0060】
一例として、第1リンク30における支点56の他方側の端部31B、すなわち板状部30Cには、第2長孔62が設けられている。例えば、第2長孔62は、長円形である。第2長孔62の長手方向は、板状部30Cの長手方向に沿った方向とされている。第2リンク32には、円柱状の第2突起64が設けられており、第2突起64は、第2長孔62に挿入されている。これにより、第2リンク32の第2突起64が第1リンク30の第2長孔62に挿入された状態で、第2リンク32の動きに応じて第2突起64が第2長孔62の長手方向に沿って相対的に移動可能である。
【0061】
また、一例として、第1リンク30では、第1長孔58の方向と第2長孔62の方向が揃っている。第1実施形態では、第1リンク30における第1長孔58の延長領域には、支点56があり、第2長孔62の延長領域は支点56からずれている。
【0062】
図4に示されるように、一例として、第2リンク32は、水平方向に沿って長さを有している。第2リンク32の長手方向の一端は、第1リンク30に連結されている。第2リンク32の長手方向の他端は、第3リンク34に連結されている。第2リンク32は、図示しない支持部材により水平方向に移動可能に支持されている。
【0063】
図4に示されるように、第3リンク34は、第2リンク32とジョイント部24とに連結され、回転支持されている。一例として、第3リンク34は、水平方向に沿って長さを有している。第3リンク34の長手方向の一端は、第2リンク32に連結され、第3リンク34の長手方向の他端は、ジョイント部24に連結されている。第1実施形態では、第3リンク34は、第2リンク32とジョイント部24とに回転支持のみされている。すなわち、第3リンク34は、第2リンク32又はジョイント部24の回転部に対して軸方向に相対的に移動しない。
【0064】
第3リンク34は、長手方向の一端側に設けられた円柱状の突起68と、長手方向の他端側に設けられた円柱状の突起70と、を備えている。一例として、突起68と突起70は、第3リンク34の下面から下方側(-Y側)に突出している。第3リンク34の突起68は、第2リンク32の他端側に形成された円形状の孔部72に挿入されることで、第3リンク34は、第2リンク32に対して回転可能に支持されている。第3リンク34の突起70は、ジョイント部24の先端側(カバー22と反対側)に形成された円形状の孔部74に挿入されることで、第3リンク34は、ジョイント部24に対して回転可能に支持されている。
【0065】
図4~
図7に示されるように、カバー22が閉止位置P1から開放位置P2の方向に回転すると、カバー22に固定されたジョイント部24の変位により、第3リンク34がジョイント部24に対して相対的に回転する。第3リンク34の回転に伴い、第2リンク32が第3リンク34に対して相対的に回転する。第2リンク32の回転に伴い、第1リンク30が第2リンク32に対して相対的に回転すると共に、第1リンク30が第2長孔62に沿って相対的に移動する。さらに、第1リンク30の移動に伴い、ガイドカム28が第1リンク30に対して相対的に回転すると共に、ガイドカム28が第1長孔58に沿って相対的に移動する。これにより、第1リンク30と第2リンク32と第3リンク34は、カバー22が閉止位置P1から開放位置P2の方向に回転したときに、ジョイント部24が移動する方向(例えば、-X側)と逆方向(例えば、+X側)にガイドカム28を移動させる。
【0066】
以下に、駆動切替装置20を構成する各部材の動きをより具体的に説明する。
図8-1(A)~(D)及び
図8-2(E)~(G)には、カバー22が閉止位置P1から開放位置P2の方向に回転する過程におけるジョイント部24、第3リンク34及び第2リンク32の動きが示されている。筐体12の内部には、平面視にて(Y方向から見て)、L字状のフレーム100が設けられている。フレーム100には、ジョイント部24、及び第3リンク34の少なくとも一部をフレーム100の外側に移動させるための開口部102が設けられている。
図8-1(A)に示されるように、カバー22が閉止位置P1に回転した状態では、第2リンク32の背面部32Aは、第3位置PX3に配置されている。ジョイント部24及び第3リンク34は、開口部102内を移動することで、フレーム100と干渉しない構成とされている。
【0067】
図8-1(A)~(D)に示されるように、カバー22が閉止位置P1から開放位置P2の方向に回転し始めたときは、第3リンク34は、カバー22の延在方向(例えば、Z方向の+Z側)の動き量がカバー22の開く方向(例えば、X方向の-X側)の動き量よりも大きい。例えば、第3リンク34は、フレーム100の開口部102内において、カバー22の延在方向(例えば、Z方向の+Z側)に大きく動く。
【0068】
図8-1(D)及び
図8-2(E)~(G)に示されるように、カバー22が開放位置P2の方向に回転する途中から、第3リンク34は、カバー22の開く方向(例えば、X方向の-X側)の動き量がカバー22の延在方向(例えば、Z方向の+Z側)の動き量よりも大きい。例えば、第3リンク34は、フレーム100の開口部102内において、カバー22の開く方向(例えば、X方向の-X側)に大きく動く。第3リンク34の動きに伴い、第2リンク32がカバー22の開く方向(例えば、X方向の-X側)に移動する。一例として、第2リンク32は、図示しない案内部により筐体12の幅方向(X方向)に沿って移動する構成とされている。
【0069】
図9-1(A)~(D)及び
図9-2(E)~(G)には、カバー22が閉止位置P1から開放位置P2の方向に回転する過程における第2リンク32、第3リンク30及びガイドカム28の動きが示されている。
図9-1(A)~(D)及び
図9-2(E)~(G)の各部材の位置は、
図8-1(D)及び
図8-2(E)~(G)の各部材の位置とそれぞれ対応している。
【0070】
図9-1(A)~(D)及び
図9-2(E)~(G)に示されるように、カバー22が閉止位置P1から開放位置P2の方向に回転すると、第2リンク32が筐体12の幅方向(X方向)の-X側に移動していく。第2リンク32の-X側の移動に伴い、第3リンク30における支点56の他方側の端部31B(すなわち、板状部30Cの端部)が-X側に引っ張られることで、第3リンク30が支点56を中心に回転する。これにより、第3リンク30における支点56の一方側の端部31A(すなわち、板状部30Aの端部)が+X側に回転し、第3リンク30の回転に伴い、ガイドカム28が+X側に移動する。このような動作により、ガイドカム28の前面部28Eは、第1位置PX1から+X側に移動する。
【0071】
図10(A)~(E)には、カバー22が閉止位置P1から開放位置P2の方向に回転する過程における解除部26のガイドカム28及びカップリング86の動きが示されている。
図10(A)~(E)では、構成を分かりやすくするため、各部の構成を模式的に図示している。
図10(A)~(E)に示されるように、カバー22が閉止位置P1から開放位置P2の方向に回転すると、ガイドカム28の前面部28Eは、第1位置PX1から+X側に移動する。ガイドカム28の移動により、カップリング86のフランジ部86Aが第2平面部28Cから傾斜部28Bを介して第1平面部28Aに接触しながら+Z側に移動し、カップリング86と入力ギア46の軸部46Aとの連結が解除される。
【0072】
このとき、
図8-1、
図8-2、
図9-1、
図9-2、及び
図10に示されるように、カバー22が閉止位置P1から開放位置P2の方向に定められた第1角度を回転した状態から、ガイドカム28による解除部26の解除動作(すなわち、カップリング86と入力ギア46の軸部46Aとの連結の解除)が始まる。例えば、第1角度は、20度以上40度以下が好ましく、25度以上35度以下がより好ましく、27度以上33度以下がさらに好ましい。第1実施形態では、第1角度は30度付近に設定されている。
【0073】
さらに、カバー22が閉止位置P1から開放位置P2の方向に第1角度よりも大きい第2角度回転した状態で、ガイドカム28による解除部26の解除動作が完了する。例えば、第2角度は、45度以上75度以下が好ましく、50度以上70度以下がより好ましく、55度以上65度以下がさらに好ましい。第1実施形態では、第2角度は60度付近に設定されている。
【0074】
カバー22が閉止位置P1から開放位置P2の方向に回転する回転角度が解除部26を解除したくない(すなわち、ガイドカム28を解除位置に動かしたくない)角度の場合は、
図11(A)に示されるように、ジョイント部24の突起70の中心部70Aが領域120に来るように設定することが好ましい。また、カバー22が閉止位置P1から開放位置P2の方向に回転する回転角度が解除部26を解除したい(すなわち、ガイドカム28を解除位置まで動かしたい)角度の場合は、
図11(B)に示されるように、ジョイント部24の突起70の中心部70Aが領域122に来るように設定することが好ましい。すなわち、領域122は、ジョイント部24の-X側への動作変化量が大きい箇所である。
【0075】
図12は、カバー22の閉止位置P1からの回転角度と、第2リンク32の動作量、ガイドカム28の動作量及びカップリング86の退避量との関係が示されている。
図12に示されるように、カバー22の閉止位置P1からの回転角度が30度付近を超えると、第2リンク32の動作量及びガイドカム28の動作量が大きくなり、カップリング86の退避量が大きくなる。
【0076】
(比較例の駆動切替装置)
ここで、比較例の駆動切替装置を備えた画像形成装置200の構成及び課題について説明する。
【0077】
図13は、比較例の駆動切替装置201を備えた画像形成装置200の外観が示されている。
図13に示されるように、画像形成装置200は、筐体202を備えている。画像形成装置200には、筐体202の開口部202Aを開閉するカバー204が設けられている。カバー204は、筐体202の奥行方向(Z方向)に沿って配置された支持軸206(
図14参照)により、回転可能に支持されている。支持軸206は、筐体202におけるカバー204の下部側に設けられており、カバー204を上下方向(矢印B方向)に回転可能に支持している。すなわち、カバー204は、開放時にカバー204の上部側が下方向に回転する。
【0078】
画像形成装置200では、記録媒体の一例としてのシート部材が詰まった場合に、シート部材の処理時のユーザーの操作力を低減するため、定着ユニット220(
図14参照)などの駆動を解除する必要がある。このため、画像形成装置200では、カバー204を開放する操作に連動して定着ユニット220などの駆動を解除する駆動切替装置201が設けられている。
【0079】
図14に示されるように、駆動切替装置201は、カバー204と、カバー204に固定されたアクチュエータ210と、アクチュエータ210により駆動部の駆動伝達経路を切り離す解除部212と、を備えている。解除部212は、筐体202の内部のフレーム203の内側に配置されており、カバー204は、フレーム203の外側に配置されている。例えば、フレーム203には、駆動部の駆動を伝達する部品などが支持されている。このため、フレーム203に開口部203Aを設けることで、カバー204の開閉に連動して解除部212による駆動の解除と連結を行っている。
【0080】
解除部212は、アクチュエータ210の移動に連動して移動するガイドカム214を備えている(
図15参照)。カバー204の覆い方向から見た状態(
図14参照)で、アクチュエータ210と、ガイドカム214とは重なる位置に設けられている。フレーム203に開口部203Aを設けることで、アクチュエータ210をガイドカム214と接触する位置に移動させることが可能である。
【0081】
図15に示されるように、解除部212は、ガイドカム214と、定着ユニット220(
図14参照)のギア80に噛み合う受け渡しギア82と、シャフト84と、カップリング86と、コイルスプリング88と、を備えている。カップリング86は、コイルスプリング88の力により、ガイドカム214側に押し付けられている。ガイドカム214は、ギア80側と対向する面にアクチュエータ210に対して遠い側から順に、第1平面部214Aと、傾斜部214Bと、第2平面部214Cと、を備えている。さらに、解除部212は、ガイドカム214をアクチュエータ210の側に付勢する付勢部材としてのコイルスプリング216を備えている。
【0082】
図15には、カバー204が閉止位置に移動したときの解除部212の状態が示されている。
図15に示されるように、カバー204の閉止時には、カバー204に取付けられたアクチュエータ210がガイドカム214をコイルスプリング216の付勢力に抗して押すことで、ガイドカム214を筐体202の幅方向(X方向)の+X側に移動させる。これにより、カップリング86のフランジ部86Aが第2平面部214Cと接触し、カップリング86が入力ギア46の軸部46Aと連結される。この状態では、入力ギア46の回転力が受け渡しギア82を介してギア80に伝達される。
【0083】
図16には、カバー204が開放位置に移動したときの解除部212の状態が示されている。
図16に示されるように、カバー204の開放時には、カバー204に取付けられたアクチュエータ210がガイドカム214から離れることで、コイルスプリング216の圧縮が解除され、コイルスプリング216の力によりガイドカム214が-X側に移動する。これにより、カップリング86のフランジ部86Aがガイドカム214の第1平面部214Aに接触し、カップリング86が+Z側に移動することで、カップリング86と入力ギア46の軸部46Aとの連結が解除される。これにより、入力ギア46から受け渡しギア82への駆動伝達経路が切り離され、入力ギア46の回転力はギア80に伝達されない。
【0084】
上記の画像形成装置200では、フレーム203の装置奥行方向(Z方向)の長さL1が大きくなる。しかし、近年では、画像形成装置のサイズの小型化により、カバーの覆い方向から見てフレームにおける解除部と重なる位置に開口部を設ける余裕がなく、解除部と離れた位置からカバーの開閉動作を伝えなければならない。また、カバーを回転させる支持軸とフレームの開口部の位置が近い場合に、アクチュエータをカバーに固定した構成をとると、カバーの回転軌跡上でアクチュエータとフレームが干渉する場合がある。
【0085】
第1実施形態の画像形成装置10では、筐体12のサイズが小型化されており、フレーム100の装置奥行方向(Z方向)の長さは、比較例の画像形成装置200のフレーム203の装置奥行方向(Z方向)の長さよりも小さい。例えば、画像形成装置10の筐体12の奥行方向(Z方向)の長さは、比較例の画像形成装置200の筐体202の奥行方向(Z方向)の長さの4分の1以下である。このため、解除部の近くにある駆動部の部品など避けるため、フレーム100には、解除部の近くに開口部を設けることができず、開口部102を解除部26から離れた場所に設ける必要がある。
【0086】
図17には、比較例の駆動切替装置201を、第1実施形態と同様に水平開きのカバー22に適用する場合が示されている。
図17に示されるように、カバー22は、上下方向に沿って配置された支持軸42により回転可能に支持されており、カバー22の背面には、アクチュエータ210が取付けられている。この場合、カバー22を閉止方向に回転させると、アクチュエータ210がフレーム100の開口部102の縁部に当たる(干渉する)可能性がある。このため、カバー22の回転軌跡上でアクチュエータ210とフレーム100との干渉を回避することが難しい。
【0087】
(第1実施形態の作用及び効果)
次に、第1実施形態の作用及び効果について説明する。
【0088】
駆動切替装置20には、筐体12に設けられた支持軸42に回転可能に設けられたカバー22と、カバー22に取付けられたジョイント部24とが設けられている。ジョイント部24は、カバー22の回転による変位を入力する。また、駆動切替装置20には、ジョイント部24の移動に連動して移動するガイドカム28を備えた解除部26が設けられている。解除部26は、筐体12の内部においてジョイント部24と離れた方向に設けられている。さらに、駆動切替装置20には、ジョイント部24とガイドカム28とに繋がる複数のリンクとして、ガイドカム28側から順に第1リンク30と、第2リンク32と、第3リンク34とが設けられている。第1リンク30、第2リンク32、及び第3リンク34は、カバー22が回転したときにジョイント部24が移動する方向と逆方向にガイドカム28を移動させる。
【0089】
駆動切替装置20では、カバー22が開放位置P2の側に回転したときに、ジョイント部24の移動に連動して第1リンク30、第2リンク32、及び第3リンク34が動作することにより、ガイドカム28は、ジョイント部24が移動する方向(例えば、-X側)と逆方向(例えば、+X側)に移動する。このガイドカム28の移動により、入力ギア46の駆動伝達経路を切り離す。
【0090】
このため、駆動切替装置20では、解除部を動作させるアクチュエータをカバーに固定した構成と比較して、カバー22の回転軌跡上でジョイント部24と筐体12のフレーム100とが干渉することを抑制することができる。例えば、
図17に示されるように、解除部212のガイドカム214を動作させるアクチュエータ210をカバー204に固定した構成と比較して、カバー22の回転軌跡上でジョイント部24と筐体12のフレーム100とが干渉することを抑制することができる。
【0091】
また、駆動切替装置20には、筐体12に設けられた支持軸42に回転可能に設けられたカバー22と、カバー22に取付けられたジョイント部24とが設けられている。ジョイント部24は、第3リンク34の側へカバー22が開放位置P2の方向に回転したときの変位を入力する。また、駆動切替装置20には、筐体12の内部においてジョイント部24と離れた方向に配置された解除部26が設けられている。解除部26は、ジョイント部24の移動に連動して移動するガイドカム28を備えている。
【0092】
また、駆動切替装置20には、支点56を中心に回転可能に設けられた第1リンク30が設けられており、第1リンク30は、支点56の一方側に連結されたガイドカム28を移動させる。また、駆動切替装置20には、第1リンク30における支点56の他方側に連結された第2リンク32と、第2リンク32とジョイント部24とに連結されて回転支持されている第3リンク34とが設けられている。
【0093】
解除部26では、カバー22が開放位置P2の側に回転したときに、ジョイント部24の移動に連動して、第1リンク30、第2リンク32、及び第3リンク34が動作することによりガイドカム28が移動する。このガイドカム28の移動により、駆動部の駆動を解除、すなわち入力ギア46の駆動伝達経路を切り離す。
【0094】
より具体的に説明すると、
図8-1(A)~(D)及び
図8-2(E)~(G)に示されるように、カバー22が閉止位置P1から開放位置P2の方向に回転すると、ジョイント部24の移動に連動して第3リンク34が動き、第3リンク34により第2リンク32が筐体12の幅方向(X方向)の-X側に移動する。
【0095】
図9-1(A)~(D)及び
図9-2(E)~(G)に示されるように、カバー22が閉止位置P1から開放位置P2の方向に回転すると、第2リンク32の-X側への移動に伴い、第3リンク30における支点56の他方側の端部31Bが-X側に引っ張られることで、第3リンク30が支点56を中心に回転する。これにより、第3リンク30における支点56の一方側の端部31Aが+X側に回転し、第3リンク30の回転に伴い、ガイドカム28が+X側に移動する。これにより、ガイドカム28の前面部28Eは、第1位置PX1から+X側に移動する。
【0096】
図10(A)~(E)に示されるように、ガイドカム28の+X側への移動により、カップリング86のフランジ部86Aが第3平面部28Cから傾斜部28Bを介して第1平面部28Aに接触することで、カップリング86が+Z側に移動する。これにより、カップリング86と入力ギア46の軸部46Aとの連結が解除される。
【0097】
このため、駆動切替装置20では、解除部を動作させるアクチュエータをカバーに固定した構成と比較して、カバー22の回転軌跡上でジョイント部24、第1リンク30、第2リンク32、及び第3リンク34が筐体12のフレーム100と干渉することを抑制することができる。例えば、
図17に示されるように、解除部212のガイドカム214を動作させるアクチュエータ210をカバー204に固定した構成と比較して、カバー22の回転軌跡上でジョイント部24、第1リンク30、第2リンク32、及び第3リンク34が筐体12のフレーム100と干渉することを抑制することができる。
【0098】
第1リンク30における支点56の一方側の端部31A、すなわち板状部30Aの端部31A側には、第1長孔58が設けられている。ガイドカム28には、第1突起60が設けられており、第1突起60は、第1長孔58に挿入されている。これにより、第1リンク30の動きに応じて第1突起60が第1長孔58の長手方向に沿って相対的に移動可能である。また、第1リンク30における支点56の他方側の端部31B、すなわち板状部30Cには、第2長孔62が設けられている。第2リンク32には、第2突起64が設けられており、第2突起64は、第2長孔62に挿入されている。これにより、第2リンク32の動きに応じて第2突起64が第2長孔62の長手方向に沿って相対的に移動可能である。
【0099】
このため、駆動切替装置20では、第1リンクとガイドカムとの連結部及び第1リンクと第2リンクの連結部が軸方向に移動しない構成と比較して、カバー22の開放位置P2の方向への回転位置に応じてガイドカム28が移動するタイミングを調整することができる。さらに、駆動切替装置20では、第1リンクとガイドカムとの連結部及び第1リンクと第2リンクの連結部が軸方向に移動しない構成と比較して、ガイドカム28を支持軸42側に付勢するばねが不要となる。
【0100】
また、駆動切替装置20では、支点56の軸方向に沿った方向から見た状態で、第1リンク30は、支点56に対して一方側と他方側とが湾曲している。これにより、支点の軸方向に沿って方向から見た状態で第1リンクが真直ぐな形状の場合と比較して、第1リンク30は、支点56を中心に回転したときに、一方側の移動範囲、及び他方側の移動範囲は小さくなる。したがって、支点の軸方向に沿って方向から見た状態で第1リンクが真直ぐな形状の場合と比較して、第1リンク30が支点56を中心に回転しても、第1リンク30が筐体12内の部品と干渉することを回避することができる。
【0101】
このため、駆動切替装置20では、支点の軸方向に沿って方向から見た状態で第1リンクが真直ぐな形状の場合と比較して、第1リンク30が支点56を中心に回転する方向の省スペース化が可能となる。
【0102】
また、駆動切替装置20では、第1長孔58の方向と第2長孔62の方向が揃っており、第1長孔58の延長領域には支点56があり、第2長孔62の延長領域は支点56からずれている。
【0103】
このため、駆動切替装置20では、第1長孔及び第2長孔の延長領域に支点が設けられている構成と比較して、第1リンク30が支点56を中心に回転する方向の省スペース化が可能となる。
【0104】
また、駆動切替装置20では、支持軸42は、筐体12の上下方向(Y方向)に沿って配置されている。
【0105】
このため、駆動切替装置20では、支持軸が筐体の上下方向に沿って配置され、筐体の上下方向と交差する方向のスペースが少ない場合でも、カバー22の回転軌跡上でジョイント部24、第1リンク30、第2リンク32、及び第3リンク34が筐体12のフレーム100と干渉することを抑制することができる。例えば、
図17に示されるように、解除部212のガイドカム214を動作させるアクチュエータ210をカバー204に固定した構成と比較して、カバー22の回転軌跡上でジョイント部24、第1リンク30、第2リンク32、及び第3リンク34が筐体12のフレーム100と干渉することを抑制することができる。
【0106】
また、駆動切替装置20では、ジョイント部24と解除部26とは、筐体12の上下方向(Y方向)に離れた位置に配置されている。また、カバー22の覆い方向から見た状態(
図3参照)で、支持軸42に対して筐体12の一方側にジョイント部24配置され、支持軸42に対して筐体12の他方側に解除部26が配置されている。さらに、ガイドカム28及び第2リンク32は水平方向に移動する。
【0107】
このため、駆動切替装置20では、支持軸に対して筐体の一方側に入力部が配置され、支持軸に対して筐体の他方側に解除部が配置されている場合でも、カバー22回転軌跡上でジョイント部24、第1リンク30、第2リンク32、及び第3リンク34と筐体12のフレーム100とが干渉することを抑制することができる。
【0108】
また、駆動切替装置20では、カバー22の覆い方向(X方向)から見た状態(
図3参照)で、第1リンク30には、ガイドカム28に連結される部分と、第2リンク32に連結される部分との間に段差30Dが設けられている。
【0109】
このため、駆動切替装置20では、カバーの覆い方向から見た状態で第1リンクが直線状に形成されている場合と比較して、部品点数の増加を抑制し、省スペース化することが可能である。
【0110】
また、駆動切替装置20では、カバー22が開放位置P2の方向に回転し始めたときは、第3リンク34は、カバー22の延在方向(例えば、Z方向の+Z側)の動き量がカバー22の開く方向(例えば、X方向の-X側)の動き量よりも大きい(
図8-1及び
図8-2参照)。さらに、カバー22が開放位置P2の方向に回転する途中から、第3リンク34は、カバー22の開く方向(例えば、X方向の-X側)の動き量がカバー22の延在方向(例えば、Z方向の+Z側)の動き量よりも大きい(
図8-1及び
図8-2参照)。
【0111】
このため、駆動切替装置20では、カバーが閉止位置から開放位置まで移動するときに第3リンクが同様の方向に移動する場合と比較して、カバー22の回転軌跡に対して第3リンク34と筐体12のフレーム100とが干渉することが抑制される。
【0112】
また、駆動切替装置20では、カバー22が閉止位置P1から開放位置P2の方向に定められた第1角度(例えば、30度付近)を回転した状態から、ガイドカム28による解除部26の解除動作が始まる。さらに、カバー22が閉止位置P1から開放位置P2の方向に第1角度よりも大きい第2角度(例えば、60度付近)回転した状態で、ガイドカム28による解除部26の解除動作が完了する(
図9-1、
図9-2及び
図10参照)。
【0113】
このため、駆動切替装置20では、カバーが開放位置まで回転したときに解除部の解除動作が完了する構成と比較して、カバー22が開放位置P2の方向に回転したときに、早めに解除部26により駆動部の駆動を解除する、すなわち入力ギア46の駆動伝達経路を切り離すことができる。
【0114】
また、画像形成装置10は、CN以降20を備えている。さらに、画像形成装置10は、筐体12の内部にシート部材を搬送する搬送部と、シート部材に画像を形成する画像形成部と、駆動部の駆動によりシート部材に形成されたトナー像を定着させる定着ユニット18と、を備えている(
図2参照)。
【0115】
このため、画像形成装置10では、カバー22を開放位置P2に移動させたときに、駆動部による定着ユニット18の駆動を解除することができる。
【0116】
<その他>
尚、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において、適宜設計変更可能なものである。
【0117】
第1実施形態では、第1リンク30における支点56の一方側の端部31Aに第1長孔58が設けられ、ガイドカム28の第1突起60が第1長孔58に挿入されていたが、本開示はこの構成に限定されるものではない。例えば、ガイドカムに第1長孔が設けられ、第1リンクにおける軸方向の支点の一方側の端部に設けられた第1突起が第1長孔に挿入される構成でもよい。
【0118】
第1実施形態では、第1リンク30における支点56の他方側の端部31Bに第2長孔62が設けられ、第2リンク32の第2突起64が第2長孔62に挿入されていたが、本開示はこの構成に限定されるものではない。例えば、第2リンクに第2長孔が設けられ、第1リンクにおける支点の他方側の端部に設けられた第2突起が第2長孔に挿入される構成でもよい。
【0119】
第1実施形態では、第1リンク30において、第1長孔58の延長領域に支点56があり、第2長孔62の延長領域は支点56からずれていたが、本開示はこの構成に限定されるものではない。例えば、第1リンクにおいて、第2長孔の延長領域に支点があり、第1長孔の延長領域は支点からずれている構成でもよい。
【0120】
また、第1実施形態では、第1リンク30と第2リンク32と第3リンク34を設けたが、本開示はこの構成に限定されるものではない。例えば、カバー22の回転時のジョイント部24の移動に連動して本実施形態と同様の方向にガイドカム28を移動させる構成であれば、リンクの数を変更してもよい。また、カバー22は上下方向に沿った支持軸42に支持されていたが、カバーを回転する支持軸の方向は変更してもよい。例えば、水平方向に沿って配置された支持軸によりカバーが回転する構成でもよい。
【0121】
第1実施形態では、カバー22を開放位置P2に移動させたときに、駆動部による定着ユニット18の駆動を解除したが、本開示はこの構成に限定されるものではない。例えば、記録媒体の一例としてのシート部材を搬送する搬送部を備えたシート搬送装置において、解除部により、搬送部の駆動を解除する(すなわち、搬送部の駆動伝達経路を切り離す)構成でもよい。また、例えば、筐体の内部に、記録媒体の一例としてのシート部材を搬送する搬送部と、シート部材に画像を形成する画像形成部と、を備えた画像形成装置において、解除部は、搬送部又は画像形成部の一部を駆動する駆動部の駆動を解除する構成でもよい。
【0122】
また、第1実施形態では、駆動切替装置を画像形成装置に適用した例が示されているが、本開示はこの構成に限定するものではない。例えば、本開示の駆動切替装置は、オプションの給紙装置、製本・ステープル・折などの後処理装置など、画像形成以外の装置にも適用することができる。
【0123】
<付記>
(((1)))
駆動部を備えた筐体に設けられた支持軸に回転可能に設けられ、前記筐体の内部を覆う閉止位置と、前記筐体の内部を露出する開放位置とに回転する被覆部材と、
前記被覆部材に設けられ、前記被覆部材の回転による変位を入力する入力部と、
前記筐体の内部において前記入力部と離れた方向に設けられ、前記入力部の移動に連動して移動するカムを備え、前記被覆部材が前記開放位置の側に回転したときに前記カムにより前記駆動部の駆動伝達経路を切り離す解除部と、
前記入力部と前記カムとに繋がり、前記被覆部材が回転したときに前記入力部が移動する方向と逆方向に前記カムを移動させる複数のリンクと、
を有する駆動切替装置。
(((2)))
駆動部を備えた筐体に設けられた支持軸に回転可能に設けられ、前記筐体の内部を覆う閉止位置と、前記筐体の内部を露出する開放位置とに回転する被覆部材と、
前記被覆部材に設けられ、前記被覆部材が前記開放位置の方向に回転したときの変位を入力する入力部と、
前記筐体の内部において前記入力部と離れた方向に設けられ、前記入力部の移動に連動して移動するカムを備え、前記被覆部材が前記開放位置の側に回転したときに前記カムにより前記駆動部の駆動を解除する解除部と、
支点を中心に回転可能に設けられ、前記支点の一方側に連結された前記カムを移動させる第1リンクと、
前記第1リンクにおける前記支点の他方側に連結された第2リンクと、
前記第2リンクと前記入力部とに連結され、回転支持されている第3リンクと、
を有する駆動切替装置。
(((3)))
前記第1リンクにおける前記支点の一方側の端部及び前記カムの一方には第1長孔が設けられ、前記第1リンクにおける軸方向の前記支点の一方側の端部及び前記カムの他方に設けられた第1突起が前記第1長孔に挿入されており、
前記第1リンクにおける前記支点の他方側の端部及び前記第2リンクの一方には第2長孔が設けられ、前記第1リンクにおける前記支点の他方側の端部及び前記第2リンクの他方に設けられた第2突起が前記第2長孔に挿入されている(((2)))に記載の駆動切替装置。
(((4)))
前記支点の軸方向に沿った方向から見た状態で、前記第1リンクは、前記支点に対して一方側と他方側とが湾曲している(((2)))又は(((3)))に記載の駆動切替装置。
(((5)))
前記第1長孔の方向と前記第2長孔の方向が揃っており、
前記第1長孔及び前記第2長孔の一方の延長領域には前記支点があり、前記第1長孔及び前記第2長孔の他方の延長領域は前記支点からずれている(((3)))又は(((4)))に記載の駆動切替装置。
(((6)))
前記支持軸は、前記筐体の上下方向に沿って配置されている(((2)))から(((5)))までのいずれか1つに記載の駆動切替装置。
(((7)))
前記入力部と前記解除部とは、前記筐体の上下方向に離れた位置に配置されており、
前記被覆部材の覆い方向から見た状態で、前記支持軸に対して前記筐体の一方側に前記入力部が配置され、前記支持軸に対して前記筐体の他方側に前記解除部が配置されており、
前記カム及び前記第2リンクは水平方向に移動する(((6)))に記載の駆動切替装置。
(((8)))
前記被覆部材の覆い方向から見た状態で、前記第1リンクには、前記カムに連結される部分と、前記第2リンクに連結される部分との間に段差が設けられている(((6)))又は(((7)))に記載の駆動切替装置。
(((9)))
前記被覆部材が前記開放位置の方向に回転し始めたときは、前記第3リンクは、前記被覆部材の延在方向の動き量が前記被覆部材の開く方向の動き量よりも大きく、
前記被覆部材が前記開放位置の方向に回転する途中から、前記第3リンクは、前記被覆部材の開く方向の動き量が前記被覆部材の延在方向の動き量よりも大きい(((2)))から(((8)))までのいずれか1つに記載の駆動切替装置。
(((10)))
前記被覆部材が前記閉止位置から前記開放位置の方向に定められた第1角度を回転した状態から、前記カムによる前記解除部の解除動作が始まり、
前記被覆部材が前記閉止位置から前記開放位置の方向に前記第1角度よりも大きい第2角度回転した状態で、前記カムによる前記解除部の解除動作が完了する(((2)))から(((9)))までのいずれか1つに記載の駆動切替装置。
(((11)))
(((1)))から(((10)))までのいずれか1つに記載の駆動切替装置と、前記筐体の内部に設けられ、シートを搬送する搬送部と、を備え、前記駆動部は前記搬送部を駆動するシート搬送装置。
(((12)))
(((1)))から(((10)))までのいずれか1つに記載の駆動切替装置と、前記筐体の内部に設けられ、記録媒体を搬送する搬送部と、前記筐体の内部に設けられ、前記記録媒体に画像を形成する画像形成部と、を備え、
前記駆動部は、前記搬送部又は前記画像形成部の一部を駆動する画像形成装置。
(((13)))
(((1)))から(((10)))までのいずれか1つに記載の駆動切替装置と、前記筐体の内部に設けられ、記録媒体を搬送する搬送部と、前記筐体の内部に設けられ、前記記録媒体に画像を形成する画像形成部と、前記画像形成部に設けられ、前記駆動部の駆動により前記記録媒体に形成されたトナー像を定着させる定着部と、を有する画像形成装置。
【符号の説明】
【0124】
10 画像形成装置
12 筐体
18 定着ユニット(定着部の一例)
20 駆動切替装置
22 カバー(被覆部材の一例)
24 ジョイント部(入力部の一例)
26 解除部
28 ガイドカム(カムの一例)
30 第1リンク(複数のリンクの一例)
30D 段差
31A 端部(一端側の端部の一例)
31B 端部(他端側の端部の一例)
32 第2リンク(複数のリンクの一例)
34 第3リンク(複数のリンクの一例)
42 支持軸
46 入力ギア(駆動部の一部の一例)
56 支点
58 第1長孔
60 第1突起
62 第2長孔
64 第2突起
P1 閉止位置
P2 開放位置