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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024175702
(43)【公開日】2024-12-19
(54)【発明の名称】成形機
(51)【国際特許分類】
   B22D 17/32 20060101AFI20241212BHJP
   B29C 45/76 20060101ALI20241212BHJP
【FI】
B22D17/32 J
B29C45/76
【審査請求】未請求
【請求項の数】2
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023093595
(22)【出願日】2023-06-07
(71)【出願人】
【識別番号】300041192
【氏名又は名称】UBEマシナリー株式会社
(72)【発明者】
【氏名】反納 清貴
(72)【発明者】
【氏名】村上 工成
(72)【発明者】
【氏名】久保田 亘
【テーマコード(参考)】
4F206
【Fターム(参考)】
4F206AM22
4F206AP00
4F206JA07
4F206JL02
4F206JL07
4F206JP13
4F206JP15
4F206JP22
4F206JP27
4F206JQ88
(57)【要約】
【課題】データの取得タイミングを明確化して作業効率を向上させた成形機を提供する。
【解決手段】金型と、前記金型に材料を充填する供給手段とを備え、前記金型に充填された材料を固化させて成形品を得る成形機において、前記成形機の動作状態のうち、任意の動作状態を取得して図として出力する制御手段をさらに備え、前記制御手段は、前記任意の動作状態の経時変化を出力可能に設けられることとした。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
金型と、
前記金型に材料を充填する供給手段と
を備え、
前記金型に充填された材料を固化させて成形品を得る成形機において、
前記成形機の動作状態のうち、任意の動作状態を取得して図として出力する制御手段をさらに備え、
前記制御手段は、前記任意の動作状態の経時変化を出力可能に設けられること
を特徴とする成形機。
【請求項2】
請求項1に記載の成形機において、
前記制御手段は、前記図に前記経時変化を対応させて出力すること
を特徴とする成形機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ダイカストマシンやプラスチック射出成形機等の成形機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、成形機において動作状態を散布図として出力する技術がある(例えば、特許文献1参照)。この技術にあっては、1回の成形(ショット)ごとの変化を散布図として出力し、成形状態の視認性を向上させている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第6898382
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら上記従来技術にあっては、ショットごとの変化をグラフ化しているものの(図9及び図7)、経時的(時間的)にどのタイミングで取得されたデータなのかが判然とせず、作業効率の低下を招いていた。
【0005】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、データの取得タイミングを明確化して作業効率を向上させた成形機を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、金型と、前記金型に材料を充填する供給手段とを備え、前記金型に充填された材料を固化させて成形品を得る成形機において、前記成形機の動作状態のうち、任意の動作状態を取得して図として出力する制御手段をさらに備え、前記制御手段は、前記任意の動作状態の経時変化を出力可能に設けられることとした。
【発明の効果】
【0007】
これにより、データの取得タイミングを明確化して作業効率を向上させた成形機を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明が適用されるダイカストマシンの一例である。
図2】本発明のデータ表示画面(散布図の割合表示)である。
図3】本発明のデータ表示画面(散布図)である。
図4】本発明のデータ表示画面(散布図の割合表示)である。
図5】本発明のデータ表示画面(昇圧時間)における経時変化(取得順に並べたデータ)を示すものである。
図6】本発明のデータ表示画面(メタル圧)における経時変化(取得順に並べたデータ)を示すものである。
図7】本発明が適用される射出成形機の一例である。
図8】本発明のデータ表示画面(箱ひげ図)である。
図9】本発明のデータ表示画面(3Dグラフ)である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、添付の図面を参照して、本発明の実施形態を詳細に説明する。
【0010】
[実施形態1]
[ダイカストマシン]
先ず、本発明が適用される成形機(ダイカストマシン)について、図1を用いて説明する。図1に示すダイカストマシン100は、射出装置10と、成形金型20と、横型締装置30、とを備える。
【0011】
射出装置10は、先端部が成形金型20と当接する円筒状の射出スリーブ11と、射出スリーブ11の後端部から挿入され、射出スリーブ11内を進退自在に摺動するプランジャ12と、プランジャ12が待機位置BEで待機している間に、図示しない給湯装置等を用いて射出スリーブ11内に所定量の成形材料を供給する注湯口14と、を備える。成形材料は、所定の組成に調整されたアルミニウム合金等の金属材料を製品用途に応じて適宜選択し、図示しない溶解炉で所定の温度に溶解させた溶湯を用いる。また、プランジャ12は、射出駆動部15とロッド13で連結され、射出制御部16の制御指令に基づいて射出駆動部15を操作して、プランジャ12が射出スリーブ11内を動作する。
【0012】
ここで、プランジャ12の動作について、成形金型20に近い方を前方F、遠い方を後方B、前方F側への動作を前進動作、後方B側への動作を後退動作と定義する。また、射出駆動部15は、例えば、油圧で駆動する油圧シリンダを用いたものとしても良く、回転動作を直線動作に変換するボールネジ機構と電動モータを組み合わせたものであっても良い。両者を組み合わせたものでも良い。また、射出スリーブ11およびプランジャ12には、必要に応じて、冷却水等の冷却媒体が流れる流路を含む図示しない冷却機構が設けられている。また、プランジャ12の摩耗損傷の防止や摺動状態の安定化及び溶湯残渣物の付着抑制等のため、射出スリーブ11とプランジャ12との摺動面に潤滑剤を塗布することが好ましい。
【0013】
成形金型20は、固定金型21と可動金型22と、を備え、固定金型21と可動金型22とが型締されて金型キャビティ23を形成する。また、金型キャビティ23には、成形材料を射出充填するゲート24を設けており、ゲート24は射出スリーブ11の先端部と連結される。射出スリーブ11内に供給された成形材料は、プランジャ12の前進動作により、ゲート24を経由して金型キャビティ23内に射出充填される。
【0014】
横型締装置30は、固定金型21を支持する固定盤31と、可動金型22を支持する可動盤32と、型開閉駆動手段35を支持する型締盤33が、マシンベースMB上に水平配置される。また、可動盤32は、型締制御部50の制御指令に基づいて型締駆動部40を操作して、型開閉駆動手段35によりマシンベースMB上を進退自在に摺動される。また、複数のタイバー34は、可動盤32を貫通して固定盤31と型締盤33を連結する。可動盤32は複数のタイバー34にガイドされてマシンベースMB上を摺動する。そのため、タイバー34と可動盤32とは、適度な隙間が設定される。
【0015】
ここで、可動盤32の動作について、固定盤31に近づく動作を型閉動作、固定盤31から離れる動作を型開動作と定義する。また、固定金型21と可動金型22が接触した状態を金型タッチ点、金型タッチ点からの前進動作を昇圧動作(または型締動作)、昇圧動作の完了位置を昇圧完了位置(または型締限)、昇圧完了位置から金型タッチ点に向かう型開動作を降圧動作と定義する。つまり、金型タッチ点から昇圧完了位置までの範囲において、固定金型21と可動金型22が型締されて金型キャビティ23が形成され、金型キャビティ23の周囲に金型PL面28が形成される。金型PL面28の押付力(型締力)は、金型タッチ点ではゼロに近く、昇圧完了位置で最大値となり、昇圧動作あるいは降圧動作を途中停止させることで、型締力を任意に調整して保持することができる。
【0016】
また、図1に示す横型締装置30の型開閉駆動手段35は、油圧で駆動する油圧シリンダを用いたものとしたが、これに限定されることなく、例えば、回転動作を直線動作に変換するボールネジ機構と電動モータを組み合わせたものであっても良く、両者を組み合わせたものでも良い。また、複数のトグルリンク機構を組み合わせたトグル式型締手段であっても良い。あるいは、型開閉動作は油圧駆動手段や電動駆動手段を用い、昇圧動作及び降圧動作は、例えば、タイバー34の先端部に油圧駆動の油圧シリンダ等を組み込んだ駆動手段で行うハイブリット式型締手段であっても良い。なお、いずれの駆動手段であっても、可動盤32はマシンベースMB上を水平方向に移動する。
【0017】
[データ表示画面]
図2図6は本発明のデータ表示画面であって、図外の制御手段により表示される。例えば図1に示されるダイカストマシン100の運転状態を示す。図2図4は1回の成形(ショット)ごとの変化を示した図(例えば散布図)である。図5図6はショット(ダイカストマシンによる鋳造)に関するデータの経時変化であって、何時データが取得されたかの順が示されている。これにより、データの取得タイミングを明確に視認可能とし、作業効率を向上させた成形機を提供することができる。また図2図4では昇圧時間及びメタル圧(増圧される金属溶湯の圧力)の発生割合も併せて示している。
【0018】
図5図6で示される経時変化(何時データが取得されたか)上で選択されたデータ(例えばカーソルを移動させて選択)に対応した点を、図2図4の散布図上で表示してもよいし、図2図4上で選択した点に対応したデータにカーソルを移動させてもよい。このように表示することで、運転状態の正常/異常の原因の推定が容易となる。
【0019】
また、予めデータの範囲を任意で設定しておき、設定された範囲の色を変えて表示する等、視認性を向上させることで、留意すべきデータの把握が容易となる。
【0020】
[実施形態2]
[プラスチック射出成形機]
次に、本発明の実施形態に係る成形機(プラスチック射出成形機)について、図7を用いて説明する。図7に示す射出成形機200は、射出装置70と、成形金型80と、横型締装置30と、を備える。なお、横型締装置30は、図1と重複しているので説明を割愛し、ここでは、図1と異なる射出装置70と成形金型80について詳細に説明する。
【0021】
射出装置70は、先端のノズル77が成形金型80と当接する円筒状の射出シリンダ71と、射出シリンダ71内に配置されたスクリュ72と、射出シリンダ71内に成形材料を供給するホッパ73と、を備える。スクリュ72と射出駆動部75は連結されており、射出制御部76の制御指令に基づいて、射出駆動部75を操作してスクリュ72の動作を行う。ここで、スクリュ72の動作について、成形金型80に近い方を前方F、遠い方を後方B、前方F側への動作を前進動作、後方B側への動作を後退動作と定義する。また、スクリュ72の連続した螺旋状のフライトによって、射出シリンダ内に供給した成形材料が前方F側に輸送される方向にスクリュ72が回転動作する(計量回転という)。
【0022】
成形材料は、例えば、ポリプロピレン(PP)樹脂やナイロン(PA)樹脂等の熱可塑性樹脂に、製品用途に応じて着色剤や核剤及び難燃剤等の添加剤を混合して、ホッパ73から射出シリンダ71内に供給される。供給された成形材料は、射出シリンダ71に配置されるヒータ74からの熱量と、スクリュ72の回転運動に伴う発熱量と、前方F側に向かってせん断力が作用するように設計されたスクリュ72のせん断発熱量により、溶融し混錬されながら前方F側に輸送され、スクリュ72の前方F側の射出シリンダ71内に可塑化溶融樹脂として貯蔵される。可塑化溶融樹脂の貯蔵に伴い、スクリュ72は後方B側に後退動作する。この後退動作に制限をかけて、可塑化溶融樹脂の混錬性と溶融温度を調整する。この一連の動作を可塑化計量工程という。
【0023】
成形金型80は、固定盤31に支持される固定金型81と、可動盤32に支持される可動金型82と、を備える。固定金型81と可動金型82を型締して、金型キャビティ83と金型PL面88が形成される。成形材料を射出充填するゲート84を金型キャビティ83に設ける。射出装置70のスクリュ72の前進動作により、スクリュ72の前方F側の射出シリンダ71内に貯蔵した可塑化溶融樹脂はノズル77、ホットランナ回路HR、ゲート84を経由して金型キャビティ83内に射出充填される。
【0024】
実施例2にあっても、実施例1と同様にデータの取得タイミングを明確化して作業効率を向上させた成形機を提供することができる。
【0025】
[他の実施例]
実施例1では散布図を用いたが、図8の箱ひげ図、図9の3Dグラフを用いてもよい。
【符号の説明】
【0026】
12 プランジャ(供給手段)
20、80 成形金型(金型)
100 ダイカストマシン(成形機)
200 射出成形機(成形機)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9