(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024175706
(43)【公開日】2024-12-19
(54)【発明の名称】CO2回収装置及びCO2回収方法
(51)【国際特許分類】
B01D 53/62 20060101AFI20241212BHJP
B01D 53/78 20060101ALI20241212BHJP
B01D 53/14 20060101ALI20241212BHJP
C01B 32/50 20170101ALI20241212BHJP
【FI】
B01D53/62 ZAB
B01D53/78
B01D53/14 200
C01B32/50
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023093599
(22)【出願日】2023-06-07
(71)【出願人】
【識別番号】000001247
【氏名又は名称】株式会社ジェイテクト
(74)【代理人】
【識別番号】110000648
【氏名又は名称】弁理士法人あいち国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】杉山 竜太朗
(72)【発明者】
【氏名】南里 浩太
【テーマコード(参考)】
4D002
4D020
4G146
【Fターム(参考)】
4D002AA09
4D002AC10
4D002BA02
4D002CA06
4D002DA01
4D002DA02
4D002DA03
4D002DA12
4D002GA01
4D002GA02
4D002GA03
4D002GB05
4D002GB08
4D002GB09
4D002GB11
4D002GB20
4D020AA03
4D020BA01
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4D020DA01
4D020DA02
4D020DA03
4D020DB05
4D020DB06
4D020DB07
4D020DB08
4D020DB20
4G146JA02
4G146JC05
4G146JC29
4G146JC39
(57)【要約】
【課題】設置自由度の向上が図られたCO
2回収装置を提供する。
【解決手段】CO
2回収装置1は、アルカリ金属水酸化物水溶液又はアルカリ土類金属水酸化物水溶液からなる反応液にCO
2含有ガスを接触させる反応槽10と、CO
2含有ガスを前記反応槽に供給するCO
2含有ガス供給部20と、雨水、生活排水、工場排水、地下水及び河川水の少なくとも一つを含む再利用水又は水を回収する水回収部30と、水回収部30で回収された再利用水又は水である回収水を貯留する回収水貯留部40と、回収水貯留部40に貯留された回収水を濾過することにより濾過水を生成する濾過部50と、濾過水によって固体アルカリ金属水酸化物又は固体アルカリ土類金属水酸化物を溶解することにより反応液Lを生成する反応液生成部60とを備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
アルカリ金属水酸化物水溶液又はアルカリ土類金属水酸化物水溶液からなる反応液にCO2含有ガスを接触させる反応槽と、
CO2含有ガスを前記反応槽に供給するCO2含有ガス供給部と、
雨水、生活排水、工場排水、地下水及び河川水の少なくとも一つを含む再利用水又は水を回収する水回収部と、
前記水回収部で回収された前記再利用水又は前記水である回収水を貯留する回収水貯留部と、
前記回収水貯留部に貯留された前記回収水を濾過することにより濾過水を生成する濾過部と、
前記濾過水によって固体アルカリ金属水酸化物又は固体アルカリ土類金属水酸化物を溶解することにより前記反応液を生成する反応液生成部と、を備える、CO2回収装置。
【請求項2】
前記反応液生成部は、
前記濾過水によって固体アルカリ金属水酸化物又は固体アルカリ土類金属水酸化物を溶解することにより、前記反応液よりも高濃度のアルカリ金属水酸化物水溶液又はアルカリ土類金属水酸化物水溶液からなる反応原液を作成する溶解槽と、
前記反応原液を前記濾過水により希釈して前記反応液を生成する希釈部と、を含む、請求項1に記載のCO2回収装置。
【請求項3】
前記希釈部は、前記反応槽内に前記濾過水及び前記反応原液を前記反応槽に供給することにより、前記反応槽内において前記反応原液を前記濾過水で希釈して前記反応液を生成するように構成されている、請求項2に記載のCO2回収装置。
【請求項4】
前記濾過部には、前記溶解槽に連通する溶解槽流路と、前記反応槽に連通する第1反応槽流路とが設けられており、
前記溶解槽には、前記反応槽に連通する第2反応槽流路が設けられており、
前記希釈部は、
前記濾過部から前記第1反応槽流路を通じて前記濾過水を前記反応槽に供給することにより前記濾過水を前記反応槽に貯留し、
前記濾過部から前記溶解槽流路を通じて供給された前記濾過水により前記反応原液を作成し、前記溶解槽から前記第2反応槽流路を通じて前記反応原液を前記反応槽に供給することにより、前記反応原液を希釈して前記反応液を生成するように構成されている、請求項3に記載のCO2回収装置。
【請求項5】
前記濾過部には、前記溶解槽に連通する溶解槽流路が設けられており、
前記溶解槽には、前記反応槽に連通する反応槽流路が設けられており、
前記希釈部は、
前記濾過部から前記溶解槽流路、前記溶解槽及び前記反応槽流路を通じて前記濾過水を前記反応槽に供給することにより前記濾過水を前記反応槽に貯留し、
前記濾過部から前記溶解槽流路を通じて前記溶解槽に供給された前記濾過水により前記反応原液を作成し、前記溶解槽から前記反応槽流路を通じて前記反応原液を前記反応槽に供給することにより、前記反応槽に貯留された前記濾過水により前記反応原液を希釈して前記反応液を生成するように構成されている、請求項3に記載のCO2回収装置。
【請求項6】
前記希釈部は、前記反応槽に供給される前記反応原液の流量又は流速を調整して、前記反応液におけるアルカリ金属水酸化物又はアルカリ土類金属水酸化物の濃度を調整する原液調整部を備える、請求項2~5のいずれか一項に記載のCO2回収装置。
【請求項7】
前記希釈部は、前記反応槽に供給される前記濾過水の流量又は流速を調整して、前記反応液におけるアルカリ金属水酸化物又はアルカリ土類金属水酸化物の濃度を調整する濾過水調整部を備える、請求項2~5のいずれか一項に記載のCO2回収装置。
【請求項8】
前記CO2含有ガスは大気である、請求項1~5のいずれか一項に記載のCO2回収装置。
【請求項9】
請求項1~5のいずれか一項に記載のCO2回収装置を利用したCO2回収方法であって、
前記水回収部により前記再利用水又は前記水を回収する回収工程と、
前記回収された回収水を前記回収水貯留部に貯留する貯留工程と、
前記回収水貯留部に貯留された貯留水を濾過する濾過工程と、
前記濾過水により前記固体アルカリ金属水酸化物又は前記固体アルカリ土類金属水酸化物を溶解することにより、前記反応槽内に前記反応液を生成する反応液生成工程と、
前記反応液に前記CO2含有ガスを供給することにより前記反応液に前記CO2含有ガスを接触させるCO2固定化反応工程とを含む、CO2回収方法。
【請求項10】
請求項2又は3に記載のCO2回収装置を利用したCO2回収方法であって、
前記水回収部により前記再利用水又は前記水を回収する回収工程と、
前記回収された回収水を前記回収水貯留部に貯留する貯留工程と、
前記回収水貯留部に貯留された貯留水を濾過する濾過工程と、
前記反応槽に前記濾過水を供給することにより前記反応槽に前記濾過水を貯留する反応槽貯留工程と、
前記溶解槽に前記濾過水を供給することにより前記固体アルカリ金属水酸化物又は前記固体アルカリ土類金属水酸化物を溶解することにより前記反応原液を生成する反応原液生成工程と、
前記反応原液を、前記濾過水が貯留された前記反応槽に供給することにより前記反応原液を希釈して前記反応液を生成する反応液生成工程と、
前記反応液に前記CO2含有ガスを供給することにより前記反応液に前記CO2含有ガスを接触させるCO2固定化反応工程とを含む、CO2回収方法。
【請求項11】
請求項4に記載のCO2回収装置を利用したCO2回収方法であって、
前記水回収部により前記再利用水又は前記水を回収する回収工程と、
前記回収された回収水を前記回収水貯留部に貯留する貯留工程と、
前記回収水貯留部に貯留された貯留水を濾過する濾過工程と、
前記濾過部から前記第1反応槽流路を通じて前記反応槽に前記濾過水を供給することにより前記反応槽に前記濾過水を貯留する反応槽貯留工程と、
前記濾過部から前記溶解槽流路を通じて前記溶解槽に前記濾過水を供給して前記固体アルカリ金属水酸化物又は前記固体アルカリ土類金属水酸化物を溶解することにより前記反応原液を生成する反応原液生成工程と、
前記溶解槽から前記第2反応槽流路を通じて前記反応原液を前記反応槽に供給することにより、前記反応原液を希釈して前記反応液を生成する反応液生成工程と、
前記反応液に前記CO2含有ガスを供給することにより前記反応液に前記CO2含有ガスを接触させるCO2固定化反応工程とを含む、CO2回収方法。
【請求項12】
請求項5に記載のCO2回収装置を利用したCO2回収方法であって、
前記水回収部により前記再利用水又は前記水を回収する回収工程と、
前記回収された回収水を前記回収水貯留部に貯留する貯留工程と、
前記回収水貯留部に貯留された貯留水を濾過する濾過工程と、
前記濾過部から前記溶解槽流路、前記溶解槽及び前記反応槽流路を通じて前記反応槽に前記濾過水を供給することにより前記反応槽に前記濾過水を貯留する反応槽貯留工程と、
前記濾過部から前記溶解槽流路を通じて前記溶解槽に前記濾過水を供給して前記固体アルカリ金属水酸化物又は前記固体アルカリ土類金属水酸化物を溶解することにより前記反応原液を生成する反応原液生成工程と、
前記溶解槽から前記反応槽流路を通じて前記反応原液を前記反応槽に供給することにより、前記反応原液を希釈して前記反応液を生成する反応液生成工程と、
前記反応液に前記CO2含有ガスを供給することにより前記反応液に前記CO2含有ガスを接触させるCO2固定化反応工程とを含む、CO2回収方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、CO2回収装置及びCO2回収方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、温室効果ガスとしてのCO2ガスの排出を抑制することが求められており、CO2を回収する装置が種々検討されている。例えば、特許文献1には、予め貯留槽内に収容した水酸化ナトリウムまたは炭酸ナトリウムを含有するアルカリ水溶液にCO2含有ガスを気液接触させることにより炭酸水素ナトリウムを製造してCO2を回収する装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に開示の装置では、CO2固定量は、アルカリ水溶液の濃度及び液量に比例するため、十分なCO2固定量を得るには多量のアルカリ水溶液が必要となる。そのため、当該装置の設置する際に多量のアルカリ水溶液を運搬する必要があり、設置コストが高くなることから、当該装置の設置自由度が低下していた。
【0005】
本発明は、かかる課題に鑑みてなされたもので、設置自由度の向上が図られたCO2回収装置及びCO2回収方法を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様は、
アルカリ金属水酸化物水溶液又はアルカリ土類金属水酸化物水溶液からなる反応液にCO2含有ガスを接触させる反応槽と、
CO2含有ガスを前記反応槽に供給するCO2含有ガス供給部と、
雨水、生活排水、工場排水、地下水及び河川水の少なくとも一つを含む再利用水又は水を回収する水回収部と、
前記水回収部で回収された前記再利用水又は前記水である回収水を貯留する回収水貯留部と、
前記回収水貯留部に貯留された前記回収水を濾過することにより濾過水を生成する濾過部と、
前記濾過水によって固体アルカリ金属水酸化物又は固体アルカリ土類金属水酸化物を溶解することによりアルカリ金属水酸化物水溶液又はアルカリ土類金属水酸化物水溶液からなる反応液を生成する反応液生成部と、を備える、CO2回収装置にある。
【0007】
また、本発明の他の態様は、
前記CO2回収装置を利用したCO2回収方法であって、
前記水回収部により前記水又は前記再利用水を回収する回収工程と、
前記回収された回収水を前記回収水貯留部に貯留する貯留工程と、
前記回収水貯留部に貯留された貯留水を濾過する濾過工程と、
前記濾過水により前記固体アルカリ金属水酸化物又は前記固体アルカリ土類金属水酸化物を溶解することにより、前記反応槽内に前記反応液を生成する反応液生成工程と、
前記反応液に前記CO2含有ガスを供給することにより,前記反応液に前記CO2含有ガスを接触させるCO2固定化反応工程とを含む、CO2回収方法にある。
【発明の効果】
【0008】
上述の一態様のCO2回収装置においては、反応液は、水回収部により回収された再利用水又は水によって固体アルカリ金属水酸化物又は固体アルカリ土類金属水酸化物を溶解することで作成される。したがって、当該CO2回収装置を設置場所に設置する際に、反応液を用意しておく必要がないことから、設置コストを低減することができ、当該装置の設置自由度を向上することができる。
【0009】
また、上述の他の態様のCO2回収方法においては、上記CO2回収装置の設置後に、水回収部により回収した水又は再利用水を用いて反応液を生成することができる。そのため、O2回収装置の設置の際には反応液を用意しておく必要がないことから、設置コストを低減することができ、当該装置の設置自由度を向上することができる。
【0010】
以上のごとく、上記態様によれば、設置自由度の向上が図られたCO2回収装置及びCO2回収方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】実施形態1における、CO
2回収システムの構成を示す概念図。
【
図2】実施形態1における、CO
2回収システム使用態様を示すフロー図。
【
図3】実施形態2における、CO
2回収システムの構成を示す概念図。
【発明を実施するための形態】
【0012】
(実施形態1)
CO
2回収装置の実施形態1について、
図1及び
図2を用いて説明する。
図1に示すように、CO
2回収装置1は、主として、反応槽10、CO
2含有ガス供給部20、水回収部30、回収水貯留部40、濾過部50、反応液生成部60を備える。各構成について以下に詳述する。
【0013】
1.反応槽10及びCO2含有ガス供給部20
反応槽10は、CO2含有ガスを接触させてCO2含有ガスからCO2を回収するための反応液Lが貯留可能に構成されている。反応液Lは、アルカリ金属水酸化物水溶液又はアルカリ土類金属水酸化物水溶液とすることができ、本実施形態1では、NaOH水溶液を用いた。NaOH水溶液の濃度は限定されないが、本実施形態1では、劇物に該当しないため取り扱いが容易な5.0%NaOH水溶液とした。なお、反応槽10には、反応槽10に貯留された反応液Lを攪拌するための攪拌装置(図示せず)が設けられていてもよい。当該攪拌装置は後述の電力供給部80により供給される電力で駆動するものを採用することができる。
【0014】
反応槽10にはCO2含有ガス供給部20によりCO2含有ガスが供給される。「CO2含有ガス」とは、構成成分としてCO2を含有するガスを指すものとする。当該CO2含有ガスは、構成成分としてCO2のみを含むガスであってもよいし、さらに不可避的不純物を含むガスであってもよい。また、CO2含有ガスは、構成成分としてCO2とその他の物質とが混在する混合ガスであってよい。混合ガスにおいてCO2が占める割合は限定されず、混合ガスにおいて占める割合が最も多い主成分はCO2であってもよいし、CO2以外の物質であってもよい。例えば、CO2含有ガスは、大気、工場等の排ガスなどとすることができ、本実施形態では、大気としている。
【0015】
CO2含有ガス供給部20のガス吐出部21は、反応槽10の内側底部近傍に位置しており、大気を反応液L内に吐出してバブリングするように構成されている。大気と反応液Lとの接触頻度を向上するために、バブリングは大気をマイクロバブルの状態で吐出することが好ましい。マイクロバブルの形成は、ガス吐出部21の先端に設けたマイクロバブル形成器(図示せず)により行うことができる。
【0016】
そして、反応槽10内でCO2含有ガスとしての大気を反応液LとしてのNaOH水溶液に接触させることにより、下記の式1の反応が行われた後、式2の反応が行われる。なお、本明細書では、下記の式1、式2をCO2固定化反応ともいう。
2NaOH+CO2 → Na2CO3+H2O (式1)
Na2CO3+CO2+H2O → 2NaHCO3 (式2)
【0017】
反応槽10内では、上記反応の開始前はNaHCO3及びNa2CO3は存在していない状態であるが、上記反応の進行状態に応じて、Na2CO3が生成されてNaHCO3が存在しない状態と、一部のNa2CO3がさらにCO2と反応してNaHCO3が生成されて両者がともに存在する状態と、すべてのNa2CO3がNaHCO3に変換されてNa2CO3がなくなりNaHCO3が存在する状態とのいずれかとなる。上記反応により生じるNaHCO3及びNa2CO3はいずれも、反応槽10内の水に溶解して水溶液の状態となっている。本明細書ではNaHCO3、Na2CO3及び両者の混合物を総称して「生成物」とい、これらの水溶液を総称して「生成物水溶液」というものとする。なお、反応槽10には、図示しないが、反応液Lの温度を検出する温度センサ、反応液LのpH変化を検出可能なセンサ、反応槽10の重量(反応液L及び生成物を含む)を測定可能な重量計が設けられていてもよい。
【0018】
本実施形態では、CO2含有ガス供給部20は、大気を取り込むエアポンプにより加圧した大気を反応槽10に供給するように構成することができる。当該エアポンプにより、加圧した大気を反応槽10に供給することができるため、CO2濃度の低い大気からでもCO2を効率的に取り込むことができる。
【0019】
当該エアポンプの駆動は、電力供給部80により供給される。電力供給部80は、太陽光エネルギー等の再生可能エネルギーを電力に変換可能な電力変換システム(図示せず)により構成することができる。なお、エアポンプは消費電力の少ない省電力型ものを採用することが好ましい。これにより、電力変換システムで生成された電力に基づいて駆動することが容易となり、当該駆動のためにCO2を排出しないで済むか、CO2の排出量を少なくすることができる。これにより、装置全体としてのCO2排出量の削減に寄与できる。なお、当該エアポンプを駆動させる際に電力変換システムで生成された電力の電圧が不足する場合は、エアポンプの前段に昇圧装置を設けてもよい。また、電力変換システムで生成された電力を蓄積する蓄電装置を設けて、電力不足時に当該蓄電装置から給電するようにしてもよい。
【0020】
2.水回収部30及び回収水貯留部40
水回収部30は、再利用水又は水を回収する。再利用水は、雨水、生活排水、工場排水、地下水及び河川水の少なくとも一つを含む。水は、純水、水道水などを含む。本実施形態では、水回収部30は、再利用水としての雨水を回収するように構成されている。例えば、建物の屋上等に設けられて雨水を取り込むように構成されている。また、水道水を回収する場合は、水回収部30は水道水が供給される蛇口に接続されるように構成することができる。
【0021】
水回収部30により回収された水等(以下、本明細書では、「回収水」ともいう)は、回収水貯留部40に貯留される。回収水貯留部40は、所望の容量を有するタンクにより構成することができる。本実施形態では、回収水貯留部40は、水回収部30よりも重力方向下方に位置しているため、水回収部30に回収された水又は再利用水は重力により回収水貯留部40に向けて流下させることができる。
【0022】
3.濾過部50
濾過部50は、回収水貯留部40に貯留された回収水を濾過することにより濾過水を生成する。濾過部50の構成は限定されず、公知の構成を採用することができる。本実施形態では、濾過部50は所定のフィルタにより構成される。なお、濾過部50は、異なる構成を有する複数の濾過装置により構成してもよい。また、本実施形態では、濾過部50は、回収水貯留部40よりも重力方向下方に位置しているため、回収水貯留部40に貯留された水又は再利用水は重力により濾過部50に向けて流下させることができる。
【0023】
本実施形態では、濾過部50には、後述する溶解槽61に連通する溶解槽流路51と、反応槽10と連通した流路である第1反応槽流路52とが設けられている。濾過部50により濾過された濾過水は、溶解槽流路51を介して溶解槽61に供給され、第1反応槽流路52を介して反応槽10に供給されるように構成されている。
【0024】
4.反応液生成部60
反応液生成部60は、固体アルカリ金属水酸化物又は固体アルカリ土類金属水酸化物を濾過部50で濾過された濾過水により溶解することにより反応液Lを生成する。本実施形態では、反応液生成部60は、溶解槽61と、希釈部62とを含む。
【0025】
4-1.溶解槽61
溶解槽61は、固体アルカリ金属水酸化物又は固体アルカリ土類金属水酸化物(以下、本実施形態では、「固体溶質」ともいう)を溶解する。溶解槽61は、「固体溶質」が備えられているとともに、溶解槽流路51を介して濾過水が供給されるように構成されている。本実施形態では、溶解槽61は、濾過部50よりも重力方向下方に位置している。これにより、重力を利用して濾過水を溶解槽61に供給することができる。
【0026】
溶解槽61において固体溶質はユーザにより供給することができる。例えば、固体溶質を溶解槽61に対して着脱可能な形態のカートリッジに封入し、必要に応じて当該カートリッジをユーザが交換することにより、所望のタイミングで溶解槽61に固体アルカリ金属水酸化物又は固体アルカリ土類金属水酸化物を供給することとしてもよい。これにより、ユーザは手動で固体溶質を溶解槽61に供給する際に、固体溶質に直接触れることを防止することができ、作業性が向上する。なお、溶解槽61には、固体溶質の溶解を促すために公知の攪拌装置が設けられていてもよい。当該攪拌装置は、電力供給部80により供給される電力で駆動するものを採用できる。
【0027】
溶解槽61に供給される濾過水は、溶解槽流路51に設けられた第1濾過水調整部611により調整可能に構成されている。固体アルカリ金属水酸化物又は固体アルカリ土類金属水酸化物は水に溶解したとき熱が発生する。当該発熱量は、溶解後の水溶液の溶質(アルカリ金属水酸化物又はアルカリ土類金属水酸化物)の濃度及び水溶液容量に依存する。したがって、同一容量の水溶液では、固体溶質を水に溶解して高濃度の水溶液を得る場合に比べて、低濃度の水溶液を得る場合により多く熱が発生することとなる。そのため、本実施形態では、まず、溶解槽61において、固体溶質を溶解して高濃度のアルカリ金属水酸化物水溶液又はアルカリ土類金属水酸化物水溶液を作成する。そして、高濃度の当該水溶液を反応原液とし、後述するように当該反応原液を希釈して反応液Lを生成する。
【0028】
反応原液の水溶液における溶質(アルカリ金属水酸化物又はアルカリ土類金属水酸化物)の濃度は、特に限定されず、固体溶質の溶解により発生する熱が許容範囲に収まる程度とすることができる。溶解槽61において固体溶質の溶解により発生する熱の許容範囲は、単位時間当たりの発熱量が所定の基準値以下となるように設定することができる。上記許容範囲として、例えば、溶質がNaOHである場合は、反応原液のNaOH濃度を48%以下とすることができる。また、許容範囲は、第1濾過水調整部611により溶解槽61に供給される濾過水の単位時間当たりの流量に基づいて設定することもできる。例えば、第1濾過水調整部611により、溶解槽61に供給される濾過水の単位時間当たりの流量を小さくすることで、単位時間当たりの発熱量を小さくすることができる。
【0029】
第1濾過水調整部611はバルブにより構成することができる。第1濾過水調整部611の動作状態、例えば、バルブの開閉状態はユーザが手動で操作してもよいし、図示しない制御部により制御することとしてもよい。第1濾過水調整部611は電力供給部80により供給される電力により動作するものであってもよい。
【0030】
本実施形態では、溶解槽61には、後述するように、反応槽10に連通する流路である第2反応槽流路612が設けられている。第2反応槽流路612は、溶解槽61で生成された反応原液を反応槽10に供給する。
【0031】
4-2.希釈部62
希釈部62は、溶解槽61で生成された反応原液を希釈する。本実施形態では、希釈部62は、反応槽10、第1反応槽流路52、第2反応槽流路612により構成される。希釈部62は、第1反応槽流路52を通じて濾過水を反応槽10に供給した後、第2反応槽流路612を通じて反応原液を反応槽10に供給することにより、反応槽10内で反応原液を濾過水により希釈する。これにより、反応槽10内に反応液Lを生成する。
【0032】
反応槽10に供給される反応原液の流量や流速、反応原液の供給開始及び供給停止は第2反応槽流路612に設けられた原液調整部621により調整される。原液調整部621はバルブにより構成することができる。原液調整部621の動作状態(本実施形態では、バルブの開閉状態)はユーザが手動で操作してもよいし、図示しない制御部により制御することとしてもよい。原液調整部621は電力供給部80により供給される電力により駆動するものであってもよい。なお、反応槽10は溶解槽61よりも重力方向下方に位置しているため、溶解槽61で生成された反応原液は重力により第2反応槽流路612を反応槽10に向けて流通可能となっている。
【0033】
原液調整部621は、反応槽10に濾過水が所定体積以上貯留されていることを条件に、反応槽10に反応原液を供給することもできる。例えば、反応槽10に設けられた水位計、液体検出器や重量計等により反応槽10に所定体積の濾過水が貯留されていることを取得し、この場合に、原液調整部621は、反応槽10に反応原液を供給可能な構成とすることができる。
【0034】
反応槽10に供給される濾過水の流量や流速、濾過水の供給開始及び供給停止は第1反応槽流路52に設けられた第2濾過水調整部622により調整される。第2濾過水調整部622はバルブにより構成することができる。第2濾過水調整部622の動作状態(本実施形態では、バルブの開閉状態)はユーザが手動で操作してもよいし、図示しない制御部により制御することとしてもよい。第2濾過水調整部622は電力供給部80により供給される電力により駆動するものであってもよい。なお、反応槽10は濾過部50よりも重力方向下方に位置しているため、濾過部50で生成された濾過水は重力により第1反応槽流路52を反応槽10に向けて流通可能となっている。
【0035】
第2濾過水調整部622による反応槽10への濾過水の供給は、上述の第1濾過水調整部611による溶解槽61への濾過水の供給よりも優先して行うようにすることもできる。これにより、反応槽10に濾過水が十分に貯留された状態で反応原液の反応槽10への供給を行うことができる。
【0036】
原液調整部621及び第2濾過水調整部622の動作状態を制御部で制御する場合は、反応槽10に設けた水位計、液体検出器、pHセンサ、重量計などの検出結果に基づいて原液調整部621及び第2濾過水調整部622の動作状態を制御することができる。例えば、反応槽10に設けられたpHセンサや重量計などの検出結果に基づいて反応槽10内のNaOH濃度が所定値以下になったと判断されたときに、原液調整部621を構成するバルブを開放して所定量の反応原液が反応槽10に供給されるようにしたり、反応槽10に設けられた水位計、液体検出器や重量計の検出結果に基づいて反応槽10内の液量が低下したと判定されたときに、第2濾過水調整部622を構成するバルブを開放して所定量の濾過水が反応槽10に供給されるようにしたりすることができる。
【0037】
このように図示しない制御部により、原液調整部621と第2濾過水調整部622が協調して反応槽10における反応液Lの最終濃度が所定の値となるように動作するように制御することができる。なお、反応原液が反応槽10内に貯留された濾過水により希釈される場合にも熱が発生するが、反応原液に対して反応槽10に貯留された濾過水は十分多いため、反応槽10内の濾過水の熱容量は大きくなっており、希釈により発生した熱による反応液Lの温度上昇は許容範囲内に収まることとなる。
【0038】
5.排気部70
図1に示すように、CO
2回収装置1には、反応槽10には排気部70が設けられている。排気部70は、反応槽10内においてCO
2が除去されたCO
2除去ガスを反応槽10に排出する。排気部70には図示しない不純物除去フィルタが接続されており、排気部70から排出されたCO
2除去ガスは不純物除去フィルタにより有害な物質を含む不純物が除去された状態で外部に放出される。
【0039】
6.生成物回収部71
生成物回収部71は反応槽10に設けられている、生成物回収部71を介して反応槽10内に生成された生成物水溶液を反応槽10内から取り出すことができる。生成物回収部71は、例えば、ドレンコックにより構成することができる。生成物回収部71により回収された生成物水溶液は資源として利用することができ、例えば、洗浄剤、防腐剤、消臭剤などとして利用することができる。
【0040】
7.CO
2回収装置1を用いたCO
2回収方法
本実施形態のCO
2回収装置1を用いたCO
2回収方法について、
図2のフロー図を参照して以下に詳述する。まず、
図2のステップS1において、水回収部30により、再利用水又は水を回収する回収工程を行う。本実施形態では、再利用水としての雨水を回収する。その後、ステップS2において、回収水貯留部40により回収した回収水を回収水貯留部40に貯留する貯留工程を行う。なお、以降、回収工程S1及び貯留工程S2は継続して行う。
【0041】
次に、
図2のステップS3において、回収水貯留部40に貯留された回収水を濾過部50に供給して当該濾過部50により回収水を濾過する濾過工程を行う。その後、ステップS4とステップS5とを並列して行う。
【0042】
まず、ステップS4では、濾過部50により濾過された濾過水を第2反応槽流路612を通じて反応槽10に供給することにより、濾過水を反応槽10に貯留する反応槽貯留工程を行う。反応槽10への濾過水の流量や流速は第2濾過水調整部622により所定値に調整される。
【0043】
一方、ステップS5では、濾過部50により濾過された濾過水を、溶解槽流路51を通じて溶解槽61に供給して、予め溶解槽61に備えられた固体溶質(本実施形態では、固体NaOH)を溶解することにより反応原液を生成する反応原液生成工程を行う。溶解槽61への濾過水の流量や流速は第1濾過水調整部611により所定値に調整される。
【0044】
そして、ステップS4とステップS5を並列して行った後、ステップS6において、反応原液を溶解槽61から第2反応槽流路612を通じて反応槽10に供給することにより、反応液Lを生成する。溶解槽61から反応槽10に供給される反応原液の流量や流速は原液調整部621により所定値に調整される。
【0045】
その後、ステップS7において、反応液LにCO2含有ガス供給部20からCO2含有ガスを供給することにより、前記反応液に前記CO2含有ガスを接触させるCO2固定化反応工程を行う。反応液Lに供給するCO2含有ガスとしての大気の流量や流速はCO2含有ガス供給部20を構成するエアポンプにより所定値に調整される。
【0046】
ステップS8において、反応液LのNaOH濃度が所定値以下となったらCO2固定化反応工程と判定する。そして、ステップS9において、生成物回収部71から反応槽10から生成物水溶液を回収する。
【0047】
そして、再度ステップS3以降を行う。なお、ステップS4では、反応槽10内の液量が所定以上であれば、濾過水の供給を行わずに次のステップS6に進むことができる。本実施形態では、以上のようにCO2回収装置1を用いたCO2回収方法を行うことができる。
【0048】
8.確認試験
本実施形態1のCO2回収装置1におけるCO2固定についての確認試験を行った。当該確認試験では、反応液Lの初期濃度が5%NaOHとなるように調整し、CO2含有ガス供給部20により1L/minで大気を反応槽10に供給した。そして、約100日間にわたってCO2回収量を測定した。その結果、CO2回収装置1によるCO2回収量は、大気中のCO2濃度を520ppmとして換算したときに反応槽10に供給された全大気に含まれるCO2量に概ね相当する値であった。したがって、当該確認試験により、CO2回収装置1は十分なCO2回収性能を有することが確認できた。
【0049】
9.実施形態1のCO2回収装置1における作用効果
本実施形態1のCO2回収装置1によれば、反応液Lは、水回収部30により回収された再利用水又は水によって固体アルカリ金属水酸化物又は固体アルカリ土類金属水酸化物を溶解することで作成される。したがって、当該CO2回収装置1を設置場所に設置する際に、反応液Lを用意しておく必要がないことから、設置コストを低減することができ、当該CO2回収装置1の設置自由度を向上することができる。
【0050】
また、本実施形態1では、反応液生成部60は、濾過水によって固体アルカリ金属水酸化物又は固体アルカリ土類金属水酸化物を溶解することにより、反応液Lよりも高濃度のアルカリ金属水酸化物水溶液又はアルカリ土類金属水酸化物水溶液からなる反応原液を作成する溶解槽61と、反応原液を濾過水により希釈して反応液Lを生成する希釈部62と、を含む。これにより、容易に反応液Lを生成することができる。さらに、高濃度の反応原液を作成してから反応液Lを作成することにより、反応液Lを生成する際の発熱を許容範囲に収めることが容易となる。
【0051】
また、本実施形態1では、希釈部62は、反応槽10内に濾過水及び反応原液を反応槽10に供給することにより、反応槽10内において反応原液を濾過水で希釈して反応液Lを生成するように構成されている。これにより、反応槽10には反応原液に対して濾過水が多量に存在するため、反応原液の希釈により発生した熱による反応液Lの温度上昇を許容範囲内に収めることが容易となる。
【0052】
また、本実施形態1では、濾過部50には溶解槽61に連通する溶解槽流路51と、反応槽10に連通する第2反応槽流路612とが設けられており、溶解槽61には反応槽10に連通する第2反応槽流路612が設けられている。そして、希釈部62は、濾過部50から第1反応槽流路52を通じて濾過水を反応槽10に供給することにより濾過水を反応槽10に貯留し、濾過部50から溶解槽流路51を通じて供給された濾過水により反応原液を作成し、溶解槽61から第2反応槽流路612を通じて反応原液を反応槽10に供給することにより、反応原液を希釈して反応液Lを生成するように構成されている。これにより、濾過水を固体溶質の溶解に利用するものと、反応原液を希釈するものとを異なる経路で反応槽10に供給することができるため、反応槽10に多量に存在する濾過水によって反応原液を希釈するようにすることが容易となる。これにより、希釈の際の発熱を許容範囲内に収めることが容易となり、使い勝手に優れる。
【0053】
また、本実施形態1では、希釈部62は、反応槽10に供給される反応原液の流量又は流速を調整して、反応液Lにおけるアルカリ金属水酸化物又はアルカリ土類金属水酸化物の濃度を調整する原液調整部621を備える。これにより、反応液Lにアルカリ金属水酸化物又はアルカリ土類金属水酸化物の濃度を所望の値に調整することが容易となる。
【0054】
また、本実施形態1では、希釈部62は、反応槽10に供給される濾過水の流量又は流速を調整して、反応液Lにおけるアルカリ金属水酸化物又はアルカリ土類金属水酸化物の濃度を調整する第2濾過水調整部622を備える。これにより、反応液Lにアルカリ金属水酸化物又はアルカリ土類金属水酸化物の濃度を所望の値に調整することが容易となる。
【0055】
また、本実施形態1では、CO2含有ガスは大気である。これにより、大気中のCO2を固定化することができ、温室効果ガスの削減に寄与できる。
【0056】
また、本実施形態1では、CO2回収装置1を利用したCO2回収方法であって、水回収部30により再利用水又は水を回収する回収工程S1と、回収された回収水を回収水貯留部40に貯留する貯留工程S2と、回収水貯留部40に貯留された貯留水を濾過する濾過工程S3と、濾過水により固体アルカリ金属水酸化物又は固体アルカリ土類金属水酸化物を溶解することにより、反応槽10内に反応液Lを生成する反応液生成工程S6と、反応液LにCO2含有ガスを供給することにより、反応液LにCO2含有ガスを接触させるCO2固定化反応工程S7とを含むCO2回収方法を行う。当該CO2回収方法によれば、本実施形態1のCO2回収装置1を用いてCO2の固定を行うことができる。
【0057】
本実施形態1では、CO2回収装置1を利用したCO2回収方法であって、水回収部30により再利用水又は水を回収する回収工程S1と、回収された回収水を回収水貯留部40に貯留する貯留工程S2と、回収水貯留部40に貯留された貯留水を濾過する濾過工程S3と、反応槽10に濾過水を供給することにより反応槽10に濾過水を貯留する反応槽貯留工程S4と、溶解槽61に濾過水を供給することにより固体アルカリ金属水酸化物又は固体アルカリ土類金属水酸化物を溶解することにより反応原液を生成する反応原液生成工程S5と、反応原液を濾過水が貯留された反応槽10に供給することにより反応原液を希釈して反応液Lを生成する反応液生成工程S6と、反応液LにCO2含有ガスを供給することにより、反応液LにCO2含有ガスを接触させるCO2固定化反応工程S7とを含むCO2回収方法を行う。当該CO2回収方法によれば、本実施形態1のCO2回収装置1を用いてCO2の固定を行うことができる。
【0058】
本実施形態1では、CO2回収装置1を利用したCO2回収方法であって、水回収部30により再利用水又は水を回収する回収工程S1と、回収された回収水を回収水貯留部40に貯留する貯留工程S2と、回収水貯留部40に貯留された貯留水を濾過する濾過工程S3と、濾過部50から第1反応槽流路52を通じて反応槽10に濾過水を供給することにより反応槽10に濾過水を貯留する反応槽貯留工程S4と、濾過部50から溶解槽流路51を通じて溶解槽61に濾過水を供給して固体アルカリ金属水酸化物又は固体アルカリ土類金属水酸化物を溶解することにより反応原液を生成する反応原液生成工程S5と、溶解槽61から第2反応槽流路612を通じて反応原液を反応槽10に供給することにより、反応原液を希釈して反応液Lを生成する反応液生成工程S6と、反応液LにCO2含有ガスを供給することにより反応液LにCO2含有ガスを接触させるCO2固定化反応工程S7とを含む。当該CO2回収方法によれば、本実施形態1のCO2回収装置1を用いてCO2の固定を行うことができる。
【0059】
以上のごとく、本実施態様によれば、設置自由度の向上が図られたCO2回収装置1及びCO2回収方法を提供することができる。
【0060】
(実施形態2)
上述の実施形態1では、濾過部50に溶解槽流路51と第1反応槽流路52とを設けたが、本実施形態2のCO
2回収装置1では、これに替えて、
図3に示すように、濾過部50に溶解槽流路51を設けているが、第1反応槽流路52は設けておらず、第2濾過水調整部622も設けていない。その他の構成は実施形態1の場合と同等であり、実施形態1の場合と同一の符号を付してその説明を省略する。
【0061】
本実施形態2のCO2回収装置1では、濾過部50には、溶解槽61に連通する溶解槽流路51が設けられており、溶解槽61には、反応槽10に連通する反応槽流路613が設けられている。そして、希釈部62は、濾過部50から溶解槽流路51、溶解槽61及び反応槽流路613を通じて濾過水を反応槽10に供給することにより濾過水を反応槽10に貯留し、濾過部50から溶解槽流路51を通じて溶解槽61に供給された濾過水により反応原液を作成し、溶解槽61から反応槽流路613を通じて反応原液を反応槽10に供給することにより、反応槽10に貯留された濾過水により反応原液を希釈して反応液Lを生成するように構成されている。これによれば、本実施形態1における第1反応槽流路52を設けることなく、反応槽10に濾過水を貯留し当該濾過水により反応原液を希釈して反応液Lを生成することができる。その結果、実施形態1の場合と同等の作用効果を奏することができる。なお、反応槽10に供給される濾過水の流量や流路、濾過水の供給開始及び停止の制御は第1濾過水調整部611により行うことができる。
【0062】
そして、本実施形態2のCO
2回収装置1を利用したCO
2回収方法では、
図2に示すように、実施形態1の場合と同様に回収工程S1、貯留工程S2及び濾過工程S3とを行う。そして、反応槽貯留工程S4では、濾過部50から溶解槽流路51、溶解槽61及び反応槽流路613を通じて反応槽10に濾過水を供給することにより反応槽10に濾過水を貯留し、反応原液生成工程S5では、濾過部50から溶解槽流路51を通じて溶解槽61に濾過水を供給して固体アルカリ金属水酸化物又は固体アルカリ土類金属水酸化物を溶解することにより反応原液を生成する。そして、反応液生成工程S6では、溶解槽61から反応槽流路613を通じて反応原液を反応槽10に供給することにより、反応原液を希釈して反応液Lを生成する。その後、実施形態1の場合と同様にCO
2固定化反応工程S7を行う。これにより、本実施形態2のCO
2回収装置1を用いてCO
2の固定を行うことができる。
【0063】
本発明は上記実施形態1及び2に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々の実施形態に適用することが可能である。
【符号の説明】
【0064】
1:CO2回収装置、10:反応槽、20:CO2含有ガス供給部、30:水回収部、40:回収水貯留部、50:濾過部、51:溶解槽流路、52:第1反応槽流路、60:反応液生成部、61:溶解槽、611:第1濾過水調整部、612:第2反応槽流路、613:反応槽流路、62:希釈部、621:原液調整部、622:第2濾過水調整部、70:排気部、71:生成物回収部