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特開2024-175707光ファイバ研磨用ホルダーおよび光ファイバ研磨装置
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  • 特開-光ファイバ研磨用ホルダーおよび光ファイバ研磨装置 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024175707
(43)【公開日】2024-12-19
(54)【発明の名称】光ファイバ研磨用ホルダーおよび光ファイバ研磨装置
(51)【国際特許分類】
   B24B 19/00 20060101AFI20241212BHJP
【FI】
B24B19/00 603Z
【審査請求】有
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023093600
(22)【出願日】2023-06-07
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2023-12-25
(71)【出願人】
【識別番号】000147350
【氏名又は名称】株式会社精工技研
(74)【代理人】
【識別番号】100096703
【弁理士】
【氏名又は名称】横井 俊之
(72)【発明者】
【氏名】小沼 直輝
(72)【発明者】
【氏名】澁谷 裕二
【テーマコード(参考)】
3C049
【Fターム(参考)】
3C049AA05
3C049AB04
3C049AB08
3C049CA01
3C049CB03
3C049CB04
(57)【要約】
【課題】光ファイバの研磨長さを一定にすることができるとともに研磨長さを容易に調整することができる光ファイバ研磨用ホルダーと、そのホルダーを装着可能な光ファイバ研磨装置を提供する。
【解決手段】光ファイバの研磨に使用される光ファイバ研磨用ホルダーであって、前記光ファイバを固定可能なホルダー本体と、前記ホルダー本体の底面に対して垂直方向に移動可能な可動部材と、前記可動部材の前記垂直方向の位置を調整可能な位置調整部材と、を有する。
【選択図】 図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
光ファイバの研磨に使用される光ファイバ研磨用ホルダーであって、
前記光ファイバを固定可能なホルダー本体と、
前記ホルダー本体の底面に対して垂直方向に移動可能な可動部材と、
前記可動部材の前記垂直方向の位置を調整可能な位置調整部材と、
を有することを特徴とする光ファイバ研磨用ホルダー。
【請求項2】
前記可動部材は、前記ホルダー本体の底面より下方に突出する突起を有し、
前記位置調整部材は、前記突起のホルダー本体の底面からの突出長を調整することを特徴とする請求項1に記載の光ファイバ研磨用ホルダー。
【請求項3】
前記突起は、前記ホルダー本体を前記垂直方向に貫通する貫通穴を貫通した状態で配置されていることを特徴とする請求項2に記載の光ファイバ研磨用ホルダー。
【請求項4】
前記位置調整部材は、前記ホルダー本体の上方に配置されることを特徴とする請求項1に記載の光ファイバ研磨用ホルダー。
【請求項5】
前記位置調整部材は、前記可動部材の上方への移動を一定の位置で制限することで前記可動部材の前記垂直方向の位置を調整することを特徴とする請求項1に記載の光ファイバ研磨用ホルダー。
【請求項6】
前記位置調整部材は、前記可動部材の上方に配置され、
前記位置調整部材と前記可動部材との隙間を調整することで、前記可動部材の上方への移動を一定の位置で制限することを特徴とする請求項5に記載の光ファイバ研磨用ホルダー。
【請求項7】
前記突起は前記可動部材に2つ以上設けられており、
前記2つ以上の突起が前記ホルダー本体から2か所以上の位置で前記ホルダー本体の底面から突出し、
前記位置調整部材により前記2つ以上の突起の前記ホルダー本体の底面からの突出長が連動して調整されることを特徴とする請求項2に記載の光ファイバ研磨用ホルダー。
【請求項8】
前記可動部材を前記ホルダー本体に近づける方向に付勢する付勢機構が前記可動部材と前記位置調整部材との間に配置されることを特徴とする請求項4に記載の光ファイバ研磨用ホルダー。
【請求項9】
前記位置調整部材がマイクロヘッドを含むことを特徴とする請求項1に記載の光ファイバ研磨用ホルダー。
【請求項10】
前記ホルダー本体に光ファイバ固定用治具を取付可能な設置機構を有することを特徴とする請求項1~9のいずれか1項に記載の光ファイバ研磨用ホルダー。
【請求項11】
請求項1~9のいずれか1項に記載の光ファイバ研磨用ホルダーを備えた光ファイバ研磨装置。
【請求項12】
研磨盤を支持する部材が上方に突出する突起を有し、
前記突起は前記可動部材に当接可能であることを特徴とする請求項11に記載の光ファイバ研磨用装置。
【請求項13】
研磨盤を支持する部材が前記研磨盤の径方向外側へ向かって延伸する延伸部材を有し、
前記可動部材は前記延伸部材に当接可能であることを特徴とする請求項11に記載の光ファイバ研磨用装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光ファイバを研磨する際に光ファイバを保持するための光ファイバ研磨用ホルダーおよび光ファイバ研磨用ホルダーに保持された光ファイバを研磨する光ファイバ研磨装置に関する。
【背景技術】
【0002】
光ファイバを装着した光ファイバ研磨用ホルダーを光ファイバ研磨装置に装着し、光ファイバ研磨装置の研磨盤を回転させることにより光ファイバを研磨する光ファイバ研磨装置が知られている。このような装置において、光ファイバをどの程度研磨するか、つまり光ファイバの研磨長さ(研磨代、研磨量)は、研磨盤の回転数や研磨時間等を変更することで調整することが一般的であった。
【0003】
一方で、特許文献1は、研磨盤に対して一定の高さ位置に配置された管状部材に光ファイバを装着する研磨装置を開示している。特許文献1では、研磨盤に対する光ファイバの高さ位置を一定とすることで、光ファイバの研磨長さが一定になるようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2003-19649号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
研磨盤の回転数や研磨時間を変更することにより光ファイバの研磨長さを調整する方法では、研磨フィルムの使用状態や光ファイバの装着状態等により、研磨長さにばらつきが生じる可能性がある。また、特許文献1に記載の方法では、光ファイバの研磨長さは一定にできるものの、研磨長さを変更するためには管状部材の高さを変える必要があり研磨長さの調整が容易ではなかった。
【0006】
本発明は、光ファイバの研磨長さを一定にすることができるとともに研磨長さを容易に調整することができる光ファイバ研磨用ホルダーと、そのホルダーを装着可能な光ファイバ研磨装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の光ファイバ研磨用ホルダーは、光ファイバの研磨に使用される光ファイバ研磨用ホルダーであって、前記光ファイバを固定可能なホルダー本体と、前記ホルダー本体の底面に対して垂直方向に移動可能な可動部材と、前記可動部材の前記垂直方向の位置を調整可能な位置調整部材と、を有する。
上記のように構成された光ファイバ研磨用ホルダーでは、ホルダー本体の底面に対する可動部材の垂直方向の位置を変更させることにより、光ファイバの研磨長さを調整する。
【0008】
上記構成において、前記可動部材は、前記ホルダー本体の底面より下方に突出する突起を有し、前記位置調整部材は、前記突起のホルダー本体の底面からの突出長を調整する構成としてもよい。
上記のように構成された光ファイバ研磨用ホルダーでは、光ファイバを固定したホルダー本体の底面より下方に突出する突起の突出長を変更させることにより、光ファイバの研磨長さを調整する。
【0009】
上記構成において、前記突起は、前記ホルダー本体を前記垂直方向に貫通する貫通穴を貫通した状態で配置されている構成としてもよい。
上記のように構成された光ファイバ研磨用ホルダーでは、可動部材の突起がホルダー本体に形成された貫通穴を貫通してホルダー本体の底面より下方に突出する。
【0010】
上記構成において、前記位置調整部材は、前記ホルダー本体の上方に配置される構成としてもよい。
上記のように構成された光ファイバ研磨用ホルダーでは、ホルダー本体の上方で位置調整部材を操作することにより可動部材の位置を調整する。
【0011】
上記構成において、前記位置調整部材は、前記可動部材の上方への移動を一定の位置で制限することで前記可動部材の前記垂直方向の位置を調整する構成としてもよい。
上記のように構成された光ファイバ研磨用ホルダーでは、可動部材の上方への移動を位置調整部材により一定の位置で制限することで、光ファイバの研磨長さを調整する。
【0012】
上記構成において、前記位置調整部材は、前記可動部材の上方に配置され、前記位置調整部材と前記可動部材との隙間を調整することで、前記可動部材の上方への移動を一定の位置で制限する構成としてもよい。
上記のように構成された光ファイバ研磨用ホルダーでは、位置調整部材が可動部材の上方に配置されており、位置調整部材と可動部材との隙間を調整することで、可動部材の上方への移動を一定の位置で制限する。これにより、光ファイバの研磨長さを調整する。
【0013】
上記構成において、前記突起は前記可動部材に2つ以上設けられており、前記2つ以上の突起が前記ホルダー本体から2か所以上の位置で前記ホルダー本体の底面から突出し、前記位置調整部材により前記2つ以上の突起の前記ホルダー本体の底面からの突出長が連動して調整される構成としてもよい。
上記のように構成された光ファイバ研磨用ホルダーでは、2つ以上の突起がホルダー本体の底面から突出することで、2か所以上の位置で可動部材の垂直方向の位置を調整する。また、2つ以上の突起の突出長はそれぞれ調整されるのではなく、位置調整部材の操作により連動して調整される。
【0014】
上記構成において、前記可動部材を前記ホルダー本体に近づける方向に付勢する付勢機構が前記可動部材と前記位置調整部材との間に配置される構成としてもよい。
上記のように構成された光ファイバ研磨用ホルダーでは、付勢機構が可動部材をホルダー本体に近づける方向に付勢することで、可動部材をホルダー本体から遠ざける方向に力が加わったときに可動部材が急激に移動することを抑制する。
【0015】
上記構成において、前記位置調整部材がマイクロヘッドを含む構成としてもよい。
上記のように構成された光ファイバ研磨用ホルダーでは、マイクロヘッドにより可動部材の垂直方向の位置を容易かつ微細に変更することで、可動部材の垂直方向の位置を容易かつ微細に調整する。
【0016】
上記構成において、前記ホルダー本体に光ファイバ固定用治具を取付可能な設置機構を有する構成としてもよい。
上記のように構成された光ファイバ研磨用ホルダーでは、設置機構により光ファイバ固定用治具を取り付けることで、光ファイバを光ファイバ研磨用ホルダーに容易に着脱可能にする。また、光ファイバの種類や研磨形状などが異なる研磨対象物毎に研磨用ホルダーを揃える必要が無く、光ファイバ固定用治具を研磨対象物毎に揃え、ホルダー本体の設置機構に取り付けることにより、各研磨仕様に合せた研磨が可能となる。
【0017】
本発明は、上記に記載した光ファイバ研磨用ホルダーを備えた光ファイバ研磨装置として構成することも可能である。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、光ファイバの研磨長さを一定にすることができるとともに研磨長さを容易に調整することができる光ファイバ研磨用ホルダーと、そのホルダーを装着した光ファイバ研磨装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】光ファイバ研磨装置10に光ファイバ研磨用ホルダー20を装着した状態の斜視図である。
図2】光ファイバ研磨用ホルダー20を装着した光ファイバ研磨装置10を平面視において対角線方向に切断した断面図である。
図3】光ファイバ研磨用ホルダー20の斜視図である。
図4】光ファイバ研磨用ホルダー20の平面図である。
図5図4のA-A線における光ファイバ研磨用ホルダー20の断面図である。
図6図4のB-B線における光ファイバ研磨用ホルダー20の断面図である。
図7】可動部材22が下方に位置した状態の光ファイバ研磨装置10および光ファイバ研磨用ホルダー20の一部断面図である。
図8】可動部材22が上方に位置した状態の光ファイバ研磨装置10および光ファイバ研磨用ホルダー20の一部断面図である。
図9】光ファイバ研磨装置110に光ファイバ研磨用ホルダー20を装着した状態の一部断面図である。
図10】光ファイバ研磨装置210に光ファイバ研磨用ホルダー220を装着した状態の一部断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、一例として示す図面を参照しながら本発明の実施形態を説明する。図1は、光ファイバ研磨装置10(以下、研磨装置10)に光ファイバ研磨用ホルダー20(以下、ホルダー20)を装着した状態の斜視図である。図2は、ホルダー20を装着した研磨装置10を平面視において対角線方向に切断した断面図である。図1図2ともに、光ファイバ固定用治具30(以下、治具30)を介して光ファイバ40を、ホルダー20に装着した状態を示している。なお、説明の簡略化のために、1つの治具30を使用して1つの光ファイバ40をホルダー20に装着する例を図示しているが、複数の治具30を使用して複数の光ファイバ40をホルダー20に装着することも可能である。
【0021】
図1に示すように、研磨装置10は、駆動部品等を内部に収容する本体部11と、本体部11の上方に配置されたベース部材12とを含む。ベース部材12は、平面視で略矩形状に形成された所定の厚さを有するプレート状の部材である。ベース部材12の上部の四隅には、ホルダー20を保持するための保持台13がそれぞれ設けられている。各保持台13にはクランプレバー14が設けられている。ホルダー20を保持台13に載せてクランプレバー14を水平方向に回転させることにより、ホルダー20を研磨装置10に固定することができる。本体部11に対してベース部材12の高さ方向の位置は一定であり、ベース部材12に対して保持台13の高さ方向の位置は一定である。ホルダー20を研磨装置10に固定すると、ベース部材12および本体部11(つまり研磨装置10の載置面)に対してホルダー20は高さ方向において一定の位置に固定される。なお、保持台13とクランプレバー14を用いてホルダー20を固定する機構は既存の構造を有するものであるため、詳細な説明は省略する。
【0022】
図2を参照して研磨装置10の構造を説明する。ベース部材12の上方には、研磨盤17等を支持するための可動支持部材15が配置される。可動支持部材15は、平面視で略円形で所定の厚みを有する板状に形成される。また、可動支持部材15は、ベース部材12に形成された貫通穴を貫通して下方に延伸するシャフト15Aを有する。シャフト15Aに不図示の駆動機構を作用させることで、可動支持部材15は本体部11およびベース部材12に対して上下方向(研磨装置10の高さ方向)に移動可能に構成される。可動支持部材15の上面には、ターンテーブル16が載置されている。ターンテーブル16の上面の水平面に研磨盤17が載置される。ターンテーブル16は、不図示のモーターにより水平方向に回転駆動される。モーターは、ターンテーブル16を自転させるための自転モーターと、ターンテーブル16を公転させる公転モーターを含んでいてもよい。ターンテーブル16が回転駆動されると、ターンテーブル16は回転しながら可動支持部材15の上面を摺動する。つまり、可動支持部材15に対して摺動可能なターンテーブル16上に研磨盤17は載置される。ターンテーブル16の上面に研磨盤17(研磨パッドや研磨フィルム等)を載置した状態でターンテーブル16を回転させることで、研磨フィルム等により光ファイバ40を研磨する。本実施例において、可動支持部材15およびターンテーブル16が、研磨盤17を支持する部材に該当する。ターンテーブル16を回転駆動するための構造や作動は従来から知られている技術を使用可能であるため、詳細な説明は省略する。
【0023】
上述したように、可動支持部材15はベース部材12に対して高さ方向に移動可能に構成される。可動支持部材15を高さ方向に移動するための駆動機構としては、例えばカム等を用いた機械的機構やエアシリンダー等の流体機構を使用可能であるが、駆動機構は従来から知られている技術であるため、詳細な説明は省略する。可動支持部材15が高さ方向に移動すると、ターンテーブル16および研磨盤17は可動支持部材15と連動して(同期して)高さ方向に移動する。ホルダー20に装着された光ファイバ40は高さ方向の位置が固定されているため、研磨盤17が高さ方向に移動すると、光ファイバ40に対する研磨盤17の高さ方向の相対位置が変動する。つまり、研磨盤17が光ファイバ40に接近したり、離間したりする。ホルダー20に装着された光ファイバ40に対して研磨盤17を接近させることで光ファイバ40に研磨圧力を付与して光ファイバ40を研磨する。研磨盤17の上方への移動を一定の位置で制限することにより、光ファイバ40と研磨盤17との相対距離を所定の距離で固定することができる。これにより、光ファイバ40の研磨長さを一定にする。研磨盤17の上方への移動を一定の位置で制限する構造については後述する。
【0024】
図3はホルダー20の斜視図であり、図4はホルダー20の平面図である。図5図4のA-A線におけるホルダー20の断面図であり、図6図4のB-B線におけるホルダー20の断面図である。ホルダー20は、研磨装置10の研磨面に対して、光ファイバ40を所定の位置に保持するための部材である。ホルダー20は、光ファイバ40を固定可能なホルダー本体21と、ホルダー本体21の底面21Aに対して垂直方向に移動可能な可動部材22と、先端部の突出長を可変させることで可動部材22の上方への移動を一定の位置で制限するマイクロヘッド23と、マイクロヘッド23をホルダー本体21に対して所定の高さ位置で固定する第1固定部材24および第2固定部材25を有する。本実施例において、マイクロヘッド23、第1固定部材24および第2固定部材25が、可動部材22の垂直方向の位置を調整可能な位置調整部材に該当する。なお、ここで可動部材22の垂直方向の位置を調整することは、可動部材22の可動領域の中で垂直方向の上限位置を調整することおよび垂直方向の上限位置を制限することを含む。上限位置とは、可動部材22の可動領域の中での最も高い位置であり、研磨装置10の研磨盤17から垂直方向において最も遠い位置である。
【0025】
ホルダー本体21は、研磨装置10の保持台13に載置され、研磨装置10に対して位置が固定された状態で使用される部材である。ホルダー本体21は、平面視で略正方形で所定の厚みを有する板状に形成され、中央には円形の空洞が形成される。ホルダー本体21には、光ファイバ固定用の治具30を取り付けるための設置穴21Bが形成されている。設置穴21Bに固定ピン21Cが固定されており、この固定ピン21Cに治具30を取り付けて、光ファイバ40を治具30に装着可能に構成している。本実施例においては、設置穴21Bおよび固定ピン21Cが、治具30を取付可能な設置機構に該当する。光ファイバ40が治具30に装着されると、光ファイバ40の端面はホルダー本体21の底面21Aから下方に所定長さだけ突出する。この状態でホルダー20を研磨装置10に装着し、光ファイバ40の端面を研磨装置10で研磨する。なお、本実施例では、光ファイバ40を研磨面に対して垂直に配置するのではなく、光ファイバ40を垂直方向から所定角度だけ傾斜させて配置した状態で光ファイバ40を研磨する斜め研磨を行う。
【0026】
可動部材22は、所定の厚みを有する平面視で長尺の矩形状の板状部材であり、可動部材22の長手方向を平面視矩形状のホルダー本体21の対角線に向けた状態でホルダー本体21の上方に配置されている。ホルダー本体21は研磨装置10に対して高さ方向の位置が固定された部材であるのに対し、可動部材22はホルダー本体21や研磨装置10に対して高さ方向に移動可能に構成された部材である。可動部材22の両端部の底面にはそれぞれ、下方に延出する突起26が固定されている。突起26は、平面視で円形の断面形状を有し、可動部材22の両端部の底面から研磨装置10に向けて突出している。可動部材22は、2つの突起26を直線的に最短距離で連結している。可動部材22がホルダー本体21の上面に接するように配置されたとき、突起26はホルダー本体21を垂直方向に貫通する貫通穴21Dを貫通してホルダー本体21の底面21Aより下方に突出する。突起26の径は貫通穴21Dの径よりも僅かに小さく形成されており、突起26は貫通穴21Dの中で高さ方向に摺動可能に構成されている。可動部材22は、ホルダー本体21の上面と第1固定部材24の底面との間で高さ方向に移動可能に構成されている。ホルダー本体21に対して可動部材22が高さ方向に移動したとき、突起26の底面26Aからホルダー本体21の底面21Aの突出長(ホルダー本体21の底面21Aに対する突起26の底面26Aの突出長)が変化する。可動部材22に固定されている突起26の下方には、研磨装置10の可動支持部材15の外周部分(外周に近い部分)が位置しており、突起26が可動支持部材15と当接可能に構成される。つまり、可動支持部材15が上方に移動したとき、可動支持部材15は突起26に当接するように構成される。可動支持部材15が突起26と当接した状態からさらに可動支持部材15が上方に移動したときには、可動支持部材15が突起26を押し上げ可能に構成される。
【0027】
第1固定部材24は、可動部材22よりも幅が大きく、可動部材22よりも長さが短く形成された板状部材である。第1固定部材24は、ホルダー本体21から上方に延出する4本の支柱22Aにボルト等により固定される。第2固定部材25は、第1固定部材24と略同一の幅で、第1固定部材24よりも長さが短く形成された板状部材である。第2固定部材25は第1固定部材24の上面に配置され、ボルト等により第1固定部材24に固定される。マイクロヘッド23は、第2固定部材25の中央部に形成された挿入穴25Aに挿入した状態で、第2固定部材25に固定される。マイクロヘッド23の先端(下端)は、挿入穴25Aを貫通し、第1固定部材24の中央に形成された貫通穴24Aも貫通して、第1固定部材24の底面から下方に突出している。ホルダー本体21に対して、第1固定部材24、第2固定部材25、マイクロヘッド23の本体部分(先端部の可動部分を除く部分)は固定されているため、ホルダー本体21に対するマイクロヘッド23の本体部分の高さ方向の位置は固定されている。
【0028】
マイクロヘッド23は、先端部の下方への突出長を微細に調整可能に構成されている。マイクロヘッド23の先端部の突出長を調整することで、第1固定部材24の底面から下方へのマイクロヘッド23の先端部の突出長が変化する。つまり、ホルダー本体21の底面からマイクロヘッド23の先端部の距離が変化する。マイクロヘッド23の先端部が可動部材22の上面と当接することで、マイクロヘッド23は可動部材22の位置を調整する位置調整部材として機能する。本実施例において、マイクロヘッド23の先端部が可動部材22に作用する(当接する)のは、平面視において2つの突起の中間点付近である。なお、可動部材22はホルダー本体21の上面と第1固定部材24の底面との間で高さ方向に移動可能に構成されているため、ここで突起26の底面26Aからホルダー本体21の底面21Aの突出長とは、可動部材22が第1固定部材24の底面に当接したときの突出長、つまり、突起26の底面26Aからホルダー本体21の底面21Aの突出長のうち最低突出長のことである。そのため、ここでの位置調整部材は、可動部材22の可動域の上限位置を決定する部材であり、突起26の底面26Aからホルダー本体21の底面21Aの最低突出長を決定する部材であると言うこともできる。
【0029】
可動部材22とマイクロヘッド23との間には、付勢機構としてスプリング27が配置される。スプリング27の上端はマイクロヘッド23の下部に挿入されており、スプリング27の下端は可動部材22の上面に当接している。これにより、スプリング27は、可動部材22の上面とマイクロヘッド23の先端部との間に作用し、可動部材22を下方に付勢する。つまり、スプリング27は、可動部材22をホルダー本体21に近づける方向に付勢する。これにより、可動支持部材15が上方に移動して可動部材22に固定されている突起26に当接したときに、可動部材22が急激に上方に移動することを抑制している。
【0030】
以下、可動部材22が高さ方向に移動するときの作動について説明する。なお、高さ方向とは、鉛直方向であり、ホルダー本体21の底面21Aに対して垂直方向である。図7は、可動部材22が下方に位置した状態の研磨装置10およびホルダー20の一部断面図である。図8は、可動部材22が上方に位置した状態の研磨装置10およびホルダー20の一部断面図である。図7は、研磨開始前の状態であり、研磨装置10の可動支持部材15が上方へ移動する前の状態を示す。この状態では、可動部材22の下方に固定された突起26は、研磨装置10の可動支持部材15と当接しておらず、可動部材22は可動域の中で最も下方に位置している。このとき、可動支持部材15の上面と突起26の底面26Aとの間の隙間C1は可動域の中で最大となる。また、可動部材22の上面とマイクロヘッド23の先端面との間の隙間C2も可動域の中で最大となる。
【0031】
光ファイバ40の研磨時には、図7の状態から可動支持部材15が上方へ移動する。可動支持部材15が上方へ移動すると、まずは可動支持部材15の上面が突起26の底面26Aに当接する。つまり、可動支持部材15の上面と突起26の底面26Aとの間の隙間C1が徐々に減少し、隙間C1は消滅する(C1=0)。この状態から可動支持部材15がさらに上方へ移動すると、可動支持部材15の上面が突起26の底面26Aを上方に押し上げる。それに伴い、突起26とともに可動部材22が上方に移動し、可動部材22の上面とマイクロヘッド23の先端面との間の隙間C2は徐々に減少する。図8に示すように、可動部材22の上面がマイクロヘッド23の先端面に当接するまで可動支持部材15は上方に移動する。可動部材22の上面がマイクロヘッド23の先端面に当接することで、可動支持部材15と可動部材22の上方への移動は停止する。このとき、可動部材22の上面とマイクロヘッド23の先端面との間に形成された隙間は消滅している(C2=0)。マイクロヘッド23の先端の下方への突出長は微細に調整可能となっており、マイクロヘッド23の先端の突出長を調整することで、可動部材22の上方への移動を所定の位置で制限することができる。言い換えると、可動部材22が上方への移動を開始する前の可動部材22の上面とマイクロヘッド23の先端面との隙間C2を調整することで、可動部材22の上方への移動を所望の位置で制限することができる。つまり、可動部材22の上方への可動域を調整することができる。
【0032】
光ファイバ40の研磨終了後は、図8の状態から可動支持部材15が下方へ移動し、可動部材22は可動支持部材15とともに下方へ移動し、可動部材22の上面とマイクロヘッド23の先端面との接触が解除される。可動支持部材15がさらに下方へ移動すると、可動支持部材15が所定の位置に達した時点で、可動支持部材15の上面と突起26の底面26Aとの接触が解除される。さらに可動支持部材15が下降すると、図7に示す位置で可動支持部材15の下方への移動は停止する。
【0033】
以上説明したように、本発明では、研磨装置10の可動支持部材15を上下動させることにより、可動支持部材15をホルダー20の可動部材22に固定されている突起26に当接させて可動部材22を上下動させる。可動部材22の上方への移動をマイクロヘッド23によって所定の位置で制限することで、可動支持部材15が上方へ移動するときの移動を一定の位置で停止させることができる。これにより、光ファイバ40の研磨時に、ホルダー本体21の底面21Aから突出する光ファイバ40の先端と可動支持部材15の上方に配置された研磨盤17との高さ方向の距離を一定の位置で固定することができる。つまり、光ファイバ40の先端と可動部材22の垂直方向の相対位置を一定の位置で固定することができる。また、マイクロヘッド23の先端面の突出長を微細に変更することで、可動部材22の垂直方向の位置を容易に調整することができる。光ファイバ40は垂直方向の位置が固定されたホルダー本体21に装着されるのに対して、研磨装置10とホルダー20が接近したときにホルダー本体21に対して垂直方向の位置を調整可能な可動部材22が研磨装置10に当接する構造とすることで、研磨装置10の研磨面とホルダー本体21の底面との相対距離を調整可能としている。以上の構成により、光ファイバ40の研磨長さを一定の長さに固定することができるとともに、光ファイバ40の研磨長さを容易に変更することができる。たとえ可動部材22が研磨盤17の研磨面に対して若干傾いたとしても、ホルダー本体21の底面21Aと研磨盤17の研磨面とは常に平行に保たれる。そのため、研磨ホルダー20に複数の光ファイバ40を装着した場合であっても、複数の光ファイバ40間で研磨長さのばらつきが発生することを抑制することができる。また、研磨開始時には研磨長さを短めに設定しておいて、研磨途中でマイクロヘッド23の先端部の突出長を調整することで、段階的に研磨長さを変更しながら光ファイバ40を研磨するといった使用方法も可能である。
【0034】
突起26は可動部材22の両端部にそれぞれ設けられている。つまり、突起26が2か所の位置でホルダー本体21の底面21Aから突出している。また、マイクロヘッド23は、2つの突起26の中間部で可動部材22に当接する。マイクロヘッド23が2つの突起26の中間部で可動部材22に当接することにより、2つの突起26のホルダー本体21の底面21Aからの突出長は連動して同一の長さに調整される。可動部材22と可動支持部材15とは2点で接するため、可動部材22と可動支持部材15とを平行に保つことができる。
【0035】
突起26がホルダー本体21を垂直方向に貫通する貫通穴21Dを貫通した状態で下方に突出するように配置されるため、ホルダー本体21の外側に突起を形成する必要がなく、簡易な構造で突起26を研磨装置10に向けて突出させることができる。突起26はホルダー本体21の下方に突出しつつもマイクロヘッド23等の位置調整部材はホルダー本体21の上方に配置されるため、ホルダー本体21の上方で高さ方向の位置を調整することができ操作性も良い。突起26は2か所に形成されており、突起26と可動支持部材15とが2か所で当接するため、ホルダー本体21の底面21Aと研磨盤17の研磨面との距離をより正確に調整することができる。スプリング27により可動部材22をホルダー本体21に近づける方向に付勢することで、可動支持部材15が可動部材22を上方に押し上げる際に急激に可動部材22が移動することを抑制することができる。これにより、可動部材22がマイクロヘッド23の先端に勢いよく衝突することを防止している。位置調整部材としてマイクロヘッド23を使用することで、可動部材22の垂直方向の位置を簡易かつ微細に調整することができる。
【0036】
前記実施例において、光ファイバをそのままホルダーに装着する例を説明したが、本発明はこれに限られない。例えば、フェルールやアレイに装着された光ファイバを研磨する構造やコネクタ等を介して光ファイバをホルダーに装着する構造にも本発明を適用可能である。また、前記実施例においては、光ファイバを研磨面に対して垂直方向から所定角度だけ傾斜させて配置した状態で研磨する斜め研磨を行う例を説明したが、本発明はこれに限られない。本発明は光ファイバを研磨面に対して垂直に配置して研磨する構造にも適用可能である。光ファイバを固定するための治具の構造を変更することで様々な種類の光ファイバをホルダーに装着して研磨することが可能である。
【0037】
前記実施例において、研磨装置の研磨盤を支持する可動支持部材を移動することにより研磨盤と光ファイバとの高さ方向の相対距離を変更する構成を説明したが、本発明を適用可能な研磨装置はこれに限られない。例えば、研磨盤の位置を固定してホルダーを高さ方向に移動することで研磨盤と光ファイバとの高さ方向の相対距離を変更する構造にも本発明を適用することができる。その場合、ホルダーの下方への移動を位置調整部材により一定の位置で制限する。研磨盤とホルダーとの高さ方向の相対距離を変更することができる構造を有するホルダーおよび研磨装置である限り、本発明を適用することができる。
【0038】
前記実施例において、研磨装置の可動支持部材がホルダーの可動部材に当接して可動部材を押し上げる例を説明したが、ホルダーの可動部材が当接する部位は研磨装置の可動支持部材に限定されない。高さ方向に移動する部位である限り、ホルダーの可動部材が研磨装置のどの部位と当接する構成としてもよい。なお、ホルダーが高さ方向に移動して研磨装置は高さ方向に移動しない構成を採用する場合は、ホルダーの可動部材は研磨装置のどの部位に当接してもよい。
【0039】
前記実施例において、長尺状の可動部材をホルダー本体の上面に配置する例を説明したが、可動部材の形状は特に限定されない。ホルダー本体に対して高さ方向に移動可能な部材である限り可動部材の形状は制限されない。また、可動部材を配置する向きもホルダー本体の対角線方向に限定されない。平面視で矩形状や円形状の可動部材を使用することも可能であるとともに、ホルダー本体の外形を形成する線と平行に可動部材を配置することも可能である。可動部材を側面視で円弧状に形成して、中央部に位置調整部材を作用させてもよい。
【0040】
前記実施例において、下方に突出する2つの突起を可動部材の両端部に設ける構造を例に説明したが、本発明はこれに限らない。例えば、突起は1つでも3つ以上設けてもよい。ただし、突起を2つ以上設けることで、ホルダーの可動部材と研磨装置の可動支持部材とをより平行に維持することができる。突起を2つ設けて2つの突起の中間部において位置調整部材を作用させることで、1つの位置調整部材で2つ突起の位置を調整することができる。また中間部に位置調整部材を作用させることで、ホルダーの可動部材と研磨装置の可動支持部材との平行度をより向上させることができる。なお中間部とは2つの突起の中間付近の位置を意味し、中間部とは2つの突起から厳密に等距離であることを意味していない。
【0041】
前記実施例において、位置調整部材としてマイクロヘッドを利用する例を説明したが、本発明の位置調整部材はこれに限定されない。例えば、シム(スペーサ)を挟む枚数やシムの厚さを変更することで可動部材の高さ位置を調整する構造を採用することもできる。また、マイクロヘッドによって可動部材の高さ方向の位置の上限を制限する構造を説明したが、本発明は必ずしもこの構造に限定されない。また、マイクロヘッドを固定するために、第1固定部材と第2固定部材を使用したが、2つの固定部材を使用することは必須ではない。ホルダー本体に対してマイクロヘッドを固定できる構造である限り、必ずしも固定部材を使用しなくてもよい。例えば、マイクロヘッドの先端がそのままホルダーの下面から下方に突出することで、マイクロヘッドが可動部材かつ位置調整部材として機能するような構造も考えられる。
【0042】
前記実施例において、可動部材とマイクロヘッドとの間に付勢機構としてスプリングを配置する例を説明したが、付勢機構を配置する場所はこれに限られない。付勢機構が可動部材をホルダー本体に近づける方向に付勢する限り、付勢機構を配置する位置は限定されない。例えば、マイクロヘッドの先端部に付勢機構を挿入せずに第2固定部材の底面と可動部材との間に付勢機構を配置してもよい。また、付勢機構としてスプリングを利用する例を説明したが、付勢機構はスプリングに限定されない。例えば、ウレタン等の弾性部材や油圧のダンパー等を付勢機構として使用することも可能である。
【0043】
研磨装置の別の形態として、光ファイバ研磨装置110(以下、研磨装置110)について説明する。図9は、研磨装置110にホルダー20を装着した状態の一部断面図である。ホルダー20は上述した実施形態で使用したものと同じである。研磨装置110の構成は、基本的に研磨装置10と同じであるが、可動支持部材115に延伸部材150が固定されている点のみが異なる。延伸部材150は、ターンテーブル116および研磨盤117を支持する可動支持部材115に固定され、研磨盤117の径方向外側へ向かって延伸する板状部材である。可動支持部材115が上方に移動したとき、延伸部材150が可動部材22の突起26に当接して可動部材22を上方に押し上げる。これにより、可動部材22の突起26の位置が可動支持部材115よりも外側に位置していても、延伸部材150が突起26と当接することで可動部材22をホルダー本体21に対して高さ方向上方へ押し上げることができる。なお、延伸部材150が固定される部材は、可動支持部材115に限られない。研磨盤117を支持する部材である限り、どの部材に延伸部材150が固定されていてもよい。例えば、ターンテーブル116に延伸部材150を固定することも可能である。
【0044】
研磨装置およびホルダーの別の形態として、光ファイバ研磨装置210(以下、研磨装置210)と光ファイバ研磨用ホルダー220(以下、ホルダー220)について説明する。図10は、研磨装置210にホルダー220を装着した状態の一部断面図である。研磨装置210の構成は、基本的に研磨装置10と同じであるが、可動支持部材215に延伸部材250が固定されている点のみが異なる。延伸部材250は、ターンテーブル216および研磨盤217を支持する可動支持部材215に固定され、研磨盤217の径方向外側へ向かって延伸する板状部材である。また、延伸部材250には、平面視で円形状の突起251が高さ方向において上方へ突出している。つまり、延伸部材250と突起251により、側面から見たときに径方向外側へ延伸するとともに上方に突出するL型の断面形状を構成する。ホルダー220の構成は、基本的にホルダー20と同じであるが、可動部材222の底面に突起が形成されていない点のみが異なる。つまり、本実施例においては、可動部材222の底面に突起を形成する代わりに、可動支持部材215に固定された延伸部材250に、上方へ突出する突起251を形成している。可動支持部材215が上方に移動したとき、延伸部材250の突起251がホルダー本体221の貫通穴221Dを貫通してホルダー本体221の上方へ突出する。その後、突起251が可動部材222の底面に当接することでホルダー本体221に対して可動部材222を上方に押し上げる。これにより、可動部材222の底面に突起を設けず底面を平坦に形成した状態で可動部材222を高さ方向上方へ押し上げることができる。なお、延伸部材250が固定される部材は、可動支持部材215に限られない。研磨盤217を支持する部材である限り、どの部材に延伸部材250が固定されていてもよい。なお、可動部材222にも突起を設けつつ、延伸部材250にも突起を設けて、突起が突起と当接する構成とすることも可能である。
【0045】
なお、本発明は前記実施例に限られるものでないことは言うまでもない。当業者であれば言うまでもないことであるが、
・前記実施例の中で開示した相互に置換可能な部材および構成等を適宜その組み合わせを変更して適用すること
・前記実施例の中で開示されていないが、公知技術であって前記実施例の中で開示した部材および構成等と相互に置換可能な部材および構成等を適宜置換し、またその組み合わせを変更して適用すること
・前記実施例の中で開示されていないが、公知技術等に基づいて当業者が前記実施例の中で開示した部材および構成等の代用として想定し得る部材および構成等と適宜置換し、またその組み合わせを変更して適用すること
は本発明の一実施例として開示されるものである。
【符号の説明】
【0046】
10…光ファイバ研磨装置、11…本体部、12…ベース部材、13…保持台、14…クランプレバー、15…可動支持部材、16…ターンテーブル、17…研磨盤、20…光ファイバ研磨用ホルダー、21…ホルダー本体、22…可動部材、23…マイクロヘッド、24…第1固定部材、25…第2固定部材、26…突起、27…スプリング、30…光ファイバ固定用治具、40…光ファイバ、110…光ファイバ研磨装置、150…延伸部材、210…光ファイバ研磨装置、220…光ファイバ研磨用ホルダー、250…延伸部材、251…突起。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
【手続補正書】
【提出日】2023-11-17
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
光ファイバの研磨に使用される光ファイバ研磨用ホルダーであって、
前記光ファイバを固定可能なホルダー本体と、
前記ホルダー本体の底面に対して垂直方向に移動可能な可動部材と、
前記可動部材の前記垂直方向の位置を調整可能な位置調整部材と、
を有し、
前記位置調整部材は、前記可動部材および前記ホルダー本体の上方に配置され、
前記可動部材の少なくとも一部は、前記ホルダー本体と前記位置調整部材との間に配置され、
前記位置調整部材と前記可動部材との隙間を調整することで、前記可動部材の上方への移動を前記位置調整部材が一定の位置で制限するように前記可動部材の前記垂直方向の位置を調整することを特徴とする光ファイバ研磨用ホルダー。
【請求項2】
前記可動部材は、前記ホルダー本体の底面より下方に突出する突起を有し、
前記位置調整部材は、前記突起の前記ホルダー本体の底面からの突出長を調整することを特徴とする請求項1に記載の光ファイバ研磨用ホルダー。
【請求項3】
前記突起は、前記ホルダー本体を前記垂直方向に貫通する貫通穴を貫通した状態で配置されていることを特徴とする請求項2に記載の光ファイバ研磨用ホルダー。
【請求項4】
前記突起は前記可動部材に2つ以上設けられており、
前記2つ以上の突起が前記ホルダー本体から2か所以上の位置で前記ホルダー本体の底面から突出し、
前記位置調整部材により前記2つ以上の突起の前記ホルダー本体の底面からの突出長が連動して調整されることを特徴とする請求項2に記載の光ファイバ研磨用ホルダー。
【請求項5】
前記可動部材を前記ホルダー本体に近づける方向に付勢する付勢機構が前記可動部材と前記位置調整部材との間に配置されることを特徴とする請求項1に記載の光ファイバ研磨用ホルダー。
【請求項6】
前記位置調整部材がマイクロヘッドを含むことを特徴とする請求項1に記載の光ファイバ研磨用ホルダー。
【請求項7】
前記ホルダー本体に光ファイバ固定用治具を取付可能な設置機構を有することを特徴とする請求項1~6のいずれか1項に記載の光ファイバ研磨用ホルダー。
【請求項8】
請求項1~6のいずれか1項に記載の光ファイバ研磨用ホルダーを備えた光ファイバ研磨装置。
【請求項9】
研磨盤を支持する部材が上方に突出する突起を有し、
前記突起は前記可動部材に当接可能であることを特徴とする請求項8に記載の光ファイバ研磨装置。
【請求項10】
研磨盤を支持する部材が前記研磨盤の径方向外側へ向かって延伸する延伸部材を有し、
前記可動部材は前記延伸部材に当接可能であることを特徴とする請求項8に記載の光ファイバ研磨装置。