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特開2024-175713点検支援装置、点検支援方法、及びプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024175713
(43)【公開日】2024-12-19
(54)【発明の名称】点検支援装置、点検支援方法、及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   H04W 24/06 20090101AFI20241212BHJP
【FI】
H04W24/06
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023093621
(22)【出願日】2023-06-07
(71)【出願人】
【識別番号】000004237
【氏名又は名称】日本電気株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100109313
【弁理士】
【氏名又は名称】机 昌彦
(74)【代理人】
【識別番号】100149618
【弁理士】
【氏名又は名称】北嶋 啓至
(72)【発明者】
【氏名】田中 雅弥
(72)【発明者】
【氏名】眞杉 隆宏
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 彩子
(72)【発明者】
【氏名】石井 修人
(72)【発明者】
【氏名】高橋 健志
(72)【発明者】
【氏名】中村 昭生
(72)【発明者】
【氏名】藤川 英樹
(72)【発明者】
【氏名】高橋 正裕
【テーマコード(参考)】
5K067
【Fターム(参考)】
5K067BB01
5K067DD11
5K067LL08
(57)【要約】
【課題】無線システムの点検を支援することが可能な点検支援装置等を提供することを目的の一つとする。
【解決手段】本開示の一態様にかかる点検支援装置は、複数の無線機器間で音声データの通信を行う無線システムを点検する装置であって、一の無線機器を示す発信装置に、複数の周波数帯の回線のそれぞれを利用して、点検用音声データを、他の無線機器である受信装置へ発信させる制御手段と、前記受信装置から、前記点検用音声データに基づいて出力された音声を示す、受信音声データを取得する取得手段と、前記点検用音声データに関する情報と、利用された前記回線ごとの前記受信音声データに関する情報と、の比較を行う比較手段と、比較の結果に応じて、利用された前記回線ごとの通信状況を判定する判定手段と、を備える。
【選択図】 図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の無線機器間で音声データの通信を行う無線システムを点検する装置であって、
一の無線機器を示す発信装置に、複数の周波数帯の回線のそれぞれを利用して、点検用音声データを、他の無線機器である受信装置へ発信させる制御手段と、
前記受信装置から、前記点検用音声データに基づいて出力された音声を示す、受信音声データを取得する取得手段と、
前記点検用音声データに関する情報と、利用された前記回線ごとの前記受信音声データに関する情報と、の比較を行う比較手段と、
比較の結果に応じて、利用された前記回線ごとの通信状況を判定する判定手段と、を備える、
点検支援装置。
【請求項2】
前記制御手段は、前記受信装置に、利用された前記回線で、第2点検用音声データを前記発信装置へ発信させ、
前記取得手段は、前記発信装置から、前記第2点検用音声データに基づいて出力された音声を示す、第2受信音声データを取得し、
前記比較手段は、前記第2点検用音声データに関する情報と、利用された前記回線ごとの前記第2受信音声データに関する情報と、の比較を行い、
前記判定手段は、比較の結果に応じて、前記発信装置と前記受信装置との間の音声データの各発信経路について、利用された前記回線ごとの通信状況を判定する、
請求項1に記載の点検支援装置。
【請求項3】
前記受信装置は複数存在し、
前記判定手段は、前記発信装置と、前記受信装置のそれぞれと、の間の音声データの各発信経路について、利用された前記回線ごとの通信状況を判定する、
請求項2に記載の点検支援装置。
【請求項4】
前記判定手段によって、不良と判定された通信状況が存在する場合、判定された通信状況のそれぞれに基づいて、不良と判定された要因を推定する推定手段をさらに備える、
請求項3に記載の点検支援装置。
【請求項5】
前記発信装置及び前記受信装置の位置情報を取得する位置情報取得手段と、
判定された通信状況と、前記位置情報と、に基づいて、場所ごとの通信状況を示すエリアマップを生成する生成手段を備える、
請求項1に記載の点検支援装置。
【請求項6】
提示手段を備え、
前記位置情報取得手段は、ユーザが利用する端末の位置情報を取得し、
前記提示手段は、前記エリアマップに基づいて、前記端末の位置情報が示す場所から所定の範囲内における通信状況が良好である場所を提示する、
請求項5に記載の点検支援装置。
【請求項7】
所定の時点において生成された第1のエリアマップと前記所定の時点より後に生成された第2のエリアマップとにおいて、通信状況に変化がある場合、前記第1のエリアマップ及び前記第2のエリアマップに対応する地域における、建造物及び地形の変化に基づいて、通信状況の変化の要因を推定する推定手段を備える、
請求項5または6に記載の点検支援装置。
【請求項8】
前記比較手段は、
前記受信音声データを、それぞれテキストデータに変換し、
変換された前記テキストデータのそれぞれと、前記点検用音声データに対応する点検用テキストデータと、を比較する、
請求項1に記載の点検支援装置。
【請求項9】
複数の無線機器間で音声データの通信を行う無線システムを点検する方法であって、
一の無線機器を示す発信装置に、複数の周波数帯の回線のそれぞれを利用して、点検用音声データを、他の無線機器である受信装置へ発信させ、
前記受信装置から、前記点検用音声データに基づいて出力された音声を示す、受信音声データを取得し、
前記点検用音声データに関する情報と、利用された前記回線ごとの前記受信音声データに関する情報と、の比較を行い、
比較の結果に応じて、利用された前記回線ごとの通信状況を判定する、
点検支援方法。
【請求項10】
複数の無線機器間で音声データの通信を行う無線システムを点検する装置において、
一の無線機器を示す発信装置に、複数の周波数帯の回線のそれぞれを利用して、点検用音声データを、他の無線機器である受信装置へ発信させる処理と、
前記受信装置から、前記点検用音声データに基づいて出力された音声を示す、受信音声データを取得する処理と、
前記点検用音声データに関する情報と、利用された前記回線ごとの前記受信音声データに関する情報と、の比較を行う処理と、
比較の結果に応じて、利用された前記回線ごとの通信状況を判定する処理と、を実行させる、
プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、無線通信を点検する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
所定の周波数帯の回線を利用して通信を行う無線システムが存在する。このような無線システムは、消防、救急、及び警察等の組織において用いられることがある。例えば、各地に設置された無線機器を介して音声のやり取りが行われる。無線システムのユーザは、無線システムの点検を定期的に行う。例えば、一のユーザが一の無線機器を利用して音声を発信し、他のユーザが他の無線機から出力される音声を確認する。当該確認を双方向に行うことで、ユーザは、音声のやり取りが正常に行われているか確認する。
【0003】
無線システムの点検に関連して、特許文献1には、エレベータの通話経路の点検装置が開示される。具体的には、放声された点検用音声を、エレベータの乗かご内のマイクが捕らえ、監視センタの録音再生装置が点検用音声を録音する。録音再生装置は、録音した音声を乗かご内のスピーカに放声させる。点検装置は、当該放音された音声に基づいて、通話経路の動作状態の良否を判定する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2000-253182号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、様々な形態の無線システムが存在する。例えば、利用する回線の周波数帯を切り替えることが可能な無線システムが存在する。そのため無線システムの点検の際には、無線システムに応じた点検が求められる。
【0006】
本開示は、上記課題を鑑みてなされたものであり、無線システムの点検を支援することが可能な点検支援装置等を提供することを目的の一つとする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の一態様にかかる点検支援装置は、複数の無線機器間で音声データの通信を行う無線システムを点検する装置であって、一の無線機器を示す発信装置に、複数の周波数帯の回線のそれぞれを利用して、点検用音声データを、他の無線機器である受信装置へ発信させる制御手段と、前記受信装置から、前記点検用音声データに基づいて出力された音声を示す、受信音声データを取得する取得手段と、前記点検用音声データに関する情報と、利用された前記回線ごとの前記受信音声データに関する情報と、の比較を行う比較手段と、比較の結果に応じて、利用された前記回線ごとの通信状況を判定する判定手段と、を備える。
【0008】
本開示の一態様にかかる点検支援方法は、複数の無線機器間で音声データの通信を行う無線システムを点検する方法であって、一の無線機器を示す発信装置に、複数の周波数帯の回線のそれぞれを利用して、点検用音声データを、他の無線機器である受信装置へ発信させ、前記受信装置から、前記点検用音声データに基づいて出力された音声を示す、受信音声データを取得し、前記点検用音声データに関する情報と、利用された前記回線ごとの前記受信音声データに関する情報と、の比較を行い、比較の結果に応じて、利用された前記回線ごとの通信状況を判定する。
【0009】
本開示の一態様にかかるプログラムは、複数の無線機器間で音声データの通信を行う無線システムを点検する装置において、一の無線機器を示す発信装置に、複数の周波数帯の回線のそれぞれを利用して、点検用音声データを、他の無線機器である受信装置へ発信させる処理と、前記受信装置から、前記点検用音声データに基づいて出力された音声を示す、受信音声データを取得する処理と、前記点検用音声データに関する情報と、利用された前記回線ごとの前記受信音声データに関する情報と、の比較を行う処理と、比較の結果に応じて、利用された前記回線ごとの通信状況を判定する処理と、を実行させる。
【発明の効果】
【0010】
本開示によれば、無線システムの点検を支援することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】第1の実施形態の点検支援装置を含む構成の一例を模式的に示す図である。
図2】第1の実施形態の点検支援装置の機能構成の一例を示すブロック図である。
図3】第1の実施形態の点検支援装置の動作の一例を説明するフローチャートである。
図4】第2の実施形態の点検システムの構成の更なる例を模式的に示す図である。
図5】第2の実施形態の点検システムの機能構成の一例を示すブロック図である。
図6】第2の実施形態の点検結果の一例を示す図である。
図7】第2の実施形態の点検システムの動作の第1の例を説明するシーケンス図である。
図8】第2の実施形態の点検システムの動作の第2の例を説明するシーケンス図である。
図9】第3の実施形態の点検システムの機能構成の一例を示すブロック図である。
図10】第3の実施形態のエリアマップの一例である。
図11】第3の実施形態の点検支援装置の動作の第1の例を説明するフローチャートである。
図12】第3の実施形態の点検支援装置の動作の第2の例を説明するフローチャートである。
図13】本開示の第1、第2、及び第3の実施形態の点検システムを実現するコンピュータ装置のハードウェア構成の一例を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下に、本開示の実施形態について、図面を参照しつつ説明する。
【0013】
<第1の実施形態>
第1の実施形態の点検支援装置の概要について説明する。
【0014】
図1は、点検支援装置100を含む構成の一例を模式的に示す図である。点検システム1000は、少なくとも点検支援装置100を含む。図1の例では、点検システム1000は、点検支援装置100と発信装置200と受信装置300とを備える。この例では、受信装置300-1、・・・、300-n(nは自然数)をまとめて受信装置300と記載されている。以降、受信装置300-1、・・・、300-nのそれぞれを区別しないとき、受信装置300と称する。なお、点検システム1000の構成はこの例に限られない。
【0015】
発信装置200及び受信装置300は、音声を入出力可能な無線機器の一例である。例えば、発信装置200及び受信装置300のそれぞれは、スピーカ及びマイクを有する。発信装置200と受信装置300は、所定の回線を利用して通信可能である。また、受信装置300は複数存在してよい。この場合、複数の受信装置300は、それぞれ異なる場所に設置されてよい。そして、発信装置200は、複数の受信装置300のそれぞれと、所定の回線を利用して通信可能であってよい。
【0016】
発信装置200は、音声の入力を受け付けることが可能である。また、発信装置200は、入力された音声を示す音声データを受信装置300に発信する。受信装置300は、音声データを受信する。そして、受信装置300は、受信した音声データに基づく音声を出力する。なお、便宜上、一の無線機器を「発信装置」、他の無線機器を「受信装置」と称するが、音声データの発信経路は一方向に限られない。すなわち、受信装置300が、音声の入力を受け付け、入力された音声を示す音声データを発信装置200に送信してよい。また、発信装置200が、音声データを受信し、音声データに基づく音声を出力してよい。
【0017】
発信装置200は、複数の周波数帯の回線を利用して音声データを発信することが可能である。ここで、受信装置300は、複数の周波数帯の回線のそれぞれを利用して音声データを受信可能であってもよいし、複数の周波数帯の回線のうち少なくとも一の回線を利用して受信可能であってもよい。受信装置300が複数存在する場合、複数の受信装置300のそれぞれが、複数の周波数帯の回線のうちの一の回線を利用して音声データを受信可能であってもよい。例えば、発信装置200と一の受信装置300との組み合わせに対して、一の周波数帯の回線が予め定められていてもよい。
【0018】
このように、発信装置200と受信装置300とは、音声データの通信が可能な無線システムを構成する。
【0019】
点検支援装置100は、少なくとも、発信装置200に対して音声を出力可能であり、受信装置300から音声を取得可能である。このとき、点検支援装置100は、無線または有線のネットワークを介して、発信装置200及び受信装置300と通信可能に接続されてよい。
【0020】
点検支援装置100の一例は、サーバ装置であるが、この例に限られない。例えば、点検支援装置100は、発信装置200または受信装置300と一体の装置であってもよい。図1の例では、点検支援装置100、発信装置200、及び受信装置300のそれぞれは、便宜上、一の装置として記載されているが、この例に限られない。すなわち、点検支援装置100、発信装置200、及び受信装置300のそれぞれは複数の装置で構成されてもよい。
【0021】
次に、点検支援装置100の機能構成の一例を説明する。
【0022】
図2は、点検支援装置100の機能構成の一例を示すブロック図である。点検支援装置100は、制御部110、取得部120、比較部130、及び判定部140を備える。
【0023】
制御部110は、発信装置200に、点検用音声データを発信させる。点検用音声データは、点検のための音声を示す。例えば、制御部110は、ネットワークを介して点検用音声データを発信装置200に入力してよい。また、例えば制御部110は、点検のための音声をスピーカに出力させ、発信装置200のマイクに集音させることで、発信装置200に点検用音声データを入力してもよい。そして、制御部110は、所定の回線で、点検用音声データを発信装置200に発信させる。このとき、制御部110は、複数の周波数帯の回線のそれぞれを利用して、点検用音声データを発信させる。例えば、制御部110は、一の周波数帯の回線で点検用音声データを発信させ、その後に、他の周波数帯の回線で点検用音声データを発信させる。
【0024】
このように、制御部110は、一の無線機器を示す発信装置200に、複数の周波数帯の回線のそれぞれを利用して、点検用音声データを、他の無線機器である受信装置300へ発信させる。制御部110は、制御手段の一例である。
【0025】
取得部120は、受信音声データを取得する。受信音声データは、受信装置300から出力される音声を示す。例えば、受信装置300は、点検用音声データを受信すると、受信した点検用音声データに基づく音声を、スピーカを用いて出力する。取得部120は、出力された音声をマイクで集音することにより、受信音声データを取得してよい。
【0026】
このように、取得部120は、受信装置300から、点検用音声データに基づいて出力された音声を示す受信音声データを取得する。取得部120は、取得手段の一例である。
【0027】
比較部130は、点検用音声データに関する情報と、受信音声データに関する情報と、を比較する。例えば、比較部130は、点検用音声データと受信音声データとのそれぞれの波形を比較してよい。また、例えば、比較部130は、点検用音声データと受信音声データとのそれぞれに対応するテキストデータを比較してよい。テキストデータは、音声データに示される音声の内容を示す。この場合、点検用音声データに対応するテキストデータは、例えば、点検支援装置100と通信可能に接続される記憶装置(図示せず)に予め格納される。受信音声データに対応するテキストデータは、取得された受信音声データから変換される。
【0028】
受信音声データは、利用された回線ごとに取得される。そのため、比較部130は、点検用音声データに関する情報と、受信音声データに関する情報のそれぞれと、を比較する。そして、比較部130は、点検用音声データに関する情報と、受信音声データに関する情報のそれぞれと、の比較の結果を算出してよい。比較の結果とは、点検用音声データに関する情報と、受信音声データに関する情報と、が一致しているか否かを示す情報であってもよいし、点検用音声データに関する情報と、受信音声データに関する情報と、の一致度合いを示す情報であってもよい。
【0029】
このように、比較部130は、点検用音声データに関する情報と、利用された回線ごとの受信音声データに関する情報と、の比較を行う。比較部130は、比較手段の一例である。
【0030】
判定部140は、比較部130による比較の結果に応じて、通信状況を判定する。例えば、発信装置200と受信装置300―1とにおいて、第1の周波数帯の回線を利用した無線通信が行われたとする。このとき、点検用音声データに関する情報と受信装置300-1に対応する受信音声データに関する情報とが一致しているとする。この場合、発信装置200と、受信装置300―1と、は適切に無線通信が行われている。そのため、判定部140は、例えば、発信装置200と受信装置300―1との間の、第1の周波数帯の回線を利用した無線通信において、通信状況は良好であると判定する。
【0031】
また、例えば、発信装置200と受信装置300―2とにおいて、第2の周波数帯の回線を利用した無線通信が行われたとする。このとき、点検用音声データに関する情報と受信装置300-2に対応する受信音声データに関する情報とが一致していないとする。この場合、受信音声データにノイズ及び音飛び等が含まれていたり、受信装置300-2が音声データを受信できていなかったりする可能性がある。すなわち、発信装置200と、受信装置300―2と、は適切に無線通信が行われていない可能性がある。そのため、判定部140は、発信装置200と受信装置300―2との間の、第2の周波数帯の回線を利用した無線通信において、通信状況は不良であると判定する。
【0032】
なお、一の受信装置300が複数の周波数帯の回線を利用可能である場合は、判定部140は、発信装置200と一の受信装置300とについて、利用された回線ごとの通信状況を判定する。
【0033】
このように、判定部140は、比較の結果に応じて、利用された回線ごとの通信状況を判定する。判定部140は、判定手段の一例である。
【0034】
なお、判定された通信状況を示す情報は、パーソナルコンピュータのディスプレイ等、出力機能を有する出力装置において出力されてよい。
【0035】
次に、点検支援装置100の動作の一例を、図3を用いて説明する。なお本開示において、フローチャートの各ステップを「S1」のように、各ステップに付した番号を用いて表現する。
【0036】
図3は、点検支援装置100の動作の一例を説明するフローチャートである。制御部110は、一の無線機器を示す発信装置200に、複数の周波数帯の回線のそれぞれを利用して、点検用音声データを、他の無線機器である受信装置300へ発信させる(S1)。取得部120は、受信装置300から、点検用音声データに基づいて出力された音声を示す、受信音声データを取得する(S2)。比較部130は、点検用音声データに関する情報と、利用された回線ごとの受信音声データに関する情報と、の比較を行う(S3)。判定部140は、比較の結果に応じて、利用された回線ごとの通信状況を判定する(S4)。
【0037】
このように、第1の実施形態の点検支援装置100は、複数の無線機器間で音声データの通信を行う無線システムを点検する際に利用可能な装置である。具体的には、点検支援装置100は、一の無線機器を示す発信装置200に、複数の周波数帯の回線のそれぞれを利用して、点検用音声データを、他の無線機器である受信装置300へ発信させる。また、点検支援装置100は、受信装置300から、点検用音声データに基づいて出力された音声を示す、受信音声データを取得する。また、点検支援装置100は、点検用音声データに関する情報と、利用された回線ごとの受信音声データに関する情報と、の比較を行う。そして、点検支援装置100は、比較の結果に応じて、利用された回線ごとの通信状況を判定する。
【0038】
音声データの通信を行う無線システムでは、複数の周波数帯の回線が利用されることがある。そのような無線システムの点検の際には、複数の周波数帯の回線のそれぞれにおける通信状況を点検する必要がある。これに対して点検支援装置100は、無線システムについて、所定の周波数帯の回線ごとに、通信状況の点検を行うことができる。すなわち、点検支援装置100は、無線システムの点検を支援することができる。
【0039】
<第2の実施形態>
次に、第2の実施形態の点検支援装置について説明する。第2の実施形態では、第1の実施形態で説明した点検支援装置100を含む点検システム1000に関する更なる例を説明する。なお、第1の実施形態と重複する内容は、一部説明を省略する。
【0040】
図4は、点検システム1000の構成の更なる例を模式的に示す図である。点検システム1000は、点検支援装置100と発信装置200と受信装置300とを備える。さらに、点検システム1000は、マイク10、スピーカ11、マイク20―1、・・・、20-n、及びスピーカ21-1、・・・、20-n(nは自然数)を備える。ここで、マイク20-1、・・・、20-nを区別しないとき、単にマイク20と称する。また、スピーカ21-1、・・・、21-nを区別しないとき、単にスピーカ21と称する。マイク10、20とスピーカ11、21とは、点検支援装置100と接続される。
【0041】
発信装置200及び受信装置300は、音声を通信可能な無線システムを構成する無線機器である。以降、無線システムが、消防無線である例を主に説明するが、無線システムはこの例に限られない。無線システムは、救急及び警察等、公共に関する業務に用いられるものであってもよいし、民間の業務に用いられるものであってもよい。
【0042】
無線システムを構成する無線機器のそれぞれに対しては、一組以上のマイク及びスピーカが設置される。図4の例では、発信装置200に対しては、マイク10及びスピーカ11が対応する。受信装置300-nに対しては、マイク20-n及びスピーカ21-nが対応する。本実施形態では、無線機器は点在して存在する。例えば、発信装置200は消防本部の施設に設置される。このとき、マイク10及びスピーカ11は、消防本部の施設の発信装置200付近に設置される。また例えば、受信装置300-1は、消防署に設置される。このとき、マイク20-1及びスピーカ21-1は、消防署の受信装置300-1付近に設置される。なお、点検支援装置100は、消防本部に設置されてもよい。
【0043】
なお、無線システムを構成する無線機器は、移動局として実現されてもよい。例えば、発信装置200及び受信装置300は、消防車に搭載されてもよい。または、発信装置200及び受信装置300は、ユーザによって携帯可能な装置であってもよい。ユーザは、例えば、消防隊員及び消防に関する組織のオペレータ等である。例えば、受信装置300-2が消防車に搭載されるとする。このとき、マイク20-2及びスピーカ21-2は、消防車に設置される。
【0044】
[点検システム1000の詳細]
図5は、点検システム1000の機能構成の一例を示すブロック図である。なお、図5において発信装置200と受信装置300とを接続する線が記載されていないが、発信装置200と受信装置300とは、通信可能である。
【0045】
発信装置200は、入力部210と発信部220と受信部230と出力部240とを備える。入力部210は、音声データの入力を受け付ける。このとき、入力部210は、スピーカ11によって出力された音声を発信装置200が有するマイク等を用いて集音することにより、音声データの入力を受け付けてよい。または、入力部210は、点検支援装置100から送信された音声データを受信することにより、音声データの入力を受け付けてよい。
【0046】
発信部220は、入力された音声データを受信装置300に発信する。このとき、発信部220は、点検支援装置100からの制御により指定された周波数帯の回線で音声データを発信する。
【0047】
受信部230は、受信装置300から発信された音声データを受信する。すなわち、音声データの発信経路は、発信装置200から受信装置300への経路だけでなく、受信装置300から発信装置200への経路も存在してよい。言い換えると、発信装置200と受信装置300とは、双方向に音声の通信を行うことが可能である。
【0048】
出力部240は、受信部230によって受信された音声データに基づく音声を出力する。このとき、出力部240は、発信装置200が有するスピーカから音声を出力してよい。
【0049】
受信装置300は、入力部310、発信部320、受信部330、及び出力部340を備える。入力部310は、入力部210と同様に、音声データの入力を受け付ける。このとき、入力部310は、スピーカ21によって出力された音声を受信装置300が有するマイク等を用いて集音することにより、音声データの入力を受け付けてよい。または、入力部310は、点検支援装置100から送信された音声データを受信することにより、音声データの入力を受け付けてよい。
【0050】
発信部320は、発信部220と同様に、入力された音声データを発信装置200に発信する。このとき、発信部320は、点検支援装置100からの制御により指定された周波数帯の回線で音声データを発信する。受信部330は、発信装置200から発信された音声データを受信する。発信部320は、発信装置200から音声データを受信した際に利用された回線で音声データを発信してよい。
【0051】
出力部340は、受信部330によって受信された音声データに基づく音声を出力する。このとき、出力部340は、発信装置200が有するスピーカから音声を出力してよい。
【0052】
点検支援装置100は、制御部110と取得部120と比較部130と判定部140とを備える。さらに、点検支援装置100は、記憶装置190を有する。
【0053】
制御部110は、点検用音声データを発信装置200に発信させる。例えば、制御部110は、点検用の音声をスピーカ11に出力させる。このとき、発信装置200において、スピーカ11から出力された音声が集音されることにより、入力部210に点検用音声データが入力される。また、制御部110は、点検用音声データを発信装置200に送信してもよい。
【0054】
また、制御部110は、発信装置200に、複数の周波数帯の回線のそれぞれを利用して点検用音声データを発信させる。消防無線であれば、用途によって、異なる周波数帯の回線が利用されることがある。例えば、周波数帯の異なる回線の一例として、活動波及び共通波と呼ばれるもがある。制御部110は、特定の周波数帯の回線で点検用音声データを発信させるよう、発信装置200を制御する。これにより、発信装置200の発信部220は、当該特定の周波数帯の回線を利用して、点検用音声データを発信する。
【0055】
取得部120は、受信音声データを取得する。例えば、受信装置300の出力部340が、点検用音声データに基づく音声を出力する。出力された音声は、マイク20によって収音される。取得部120は、当該集音された音声を示す音声データを受信音声データとして取得する。このとき、取得部120は、受信音声データと、受信時刻と、利用された回線を示す情報と、等を関連付けて記憶装置190に格納してよい。この場合、受信時刻は、受信装置300が発信装置200から音声データを受信した時刻であってもよいし、マイク20によって収音された時刻でもよい。利用された回線を示す情報は、点検用音声データを発信させる際に制御部110によって指定された回線の情報であってもよいし、受信装置300から取得される情報であってもよい。
【0056】
比較部130は、点検用音声データに関する情報と受信音声データに関する情報とを比較する。音声データに関する情報の一例は、テキストデータである。このとき、点検用の音声の内容を示す点検用テキストデータが記憶装置190に格納される。すなわち、点検用テキストデータは、点検用音声データに対応する。
【0057】
比較部130は、受信音声データをテキストデータに変換する。テキストデータへの変換手法は、既存の音声認識技術が利用されてよい。そして、比較部130は、変換されたテキストデータと点検用テキストデータとを比較する。このとき、比較部130は、一致の割合を数値で算出してよい。また、比較部130は、当該数値が閾値を超えているか否かによって、変換されたテキストデータと点検用テキストデータとが一致しているか否かを判定してもよい。
【0058】
比較部130は、このような、変換されたテキストデータと点検用テキストデータとの比較を、受信音声データを取得するごとに行ってよい。すなわち、比較部130は、受信音声データを、それぞれテキストデータに変換し、変換されたテキストデータのそれぞれと、点検用音声データに対応する点検用テキストデータと、を比較する。
【0059】
なお、比較の方法は上述の例に限られない。例えば、比較部130は、点検用音声データの波形と受信音声データの波形とを比較してもよい。
【0060】
判定部140は、比較部130の比較の結果に応じて、通信状況を判定する。例えば、比較部130によって、点検用音声データに関する情報と受信音声データに関する情報とが一致しているか否かが示されたとする。この場合には、判定部140は、両者が一致していた場合、通信状況が良好であると判定してよい。また、判定部140は、両者が一致していない場合、通信状況が不良であると判定してよい。比較の結果が一致の割合を示す数値で表される場合、判定部140は、当該数値が閾値を超えるか否かで、通信状況が良好であるか不良であるかの判定をしてもよい。なお、通信状況は二段階以上の段階で示されてもよい。例えば、通信状況が良好であるものから順に、1から5の五段階で示されるとする。この場合、判定部140は、比較の結果の数値に応じて、1から5のいずれかを出力することにより、通信状況の判定を行ってもよい。
【0061】
判定部140は、発信装置200と受信装置300との間の、音声データの各発信経路について、利用された回線ごとの通信状況を判定する。例えば、発信装置200から受信装置300-1、300-2への通信が行われたとする。この場合、判定部140は、発信装置200から受信装置300―1への音声データの発信経路において、利用された回線ごとの通信状況を判定する。また、判定部140は、発信装置200から受信装置300-2への音声データの発信経路において、利用された回線ごとの通信状況を判定する。
【0062】
なお、発信経路は、発信装置200から受信装置300への一方向ではない。すなわち、受信装置300のそれぞれから発信装置200へ点検用音声データの発信が行われてもよい。
【0063】
例えば、制御部110は、受信装置300に、発信装置200からの点検用音声データの発信に利用された回線で、点検用の音声を示す音声データを発信させる。ここで、受信装置300から発信装置200へ発信させる点検用の音声を示す音声データを、第2点検用音声データと称する。点検用音声データと第2点検用音声データは、同じ内容の音声を示すデータであってもよいし。異なる内容の音声を示すデータであってもよい。制御部110は、発信装置200に点検用音声データを発信させるのと同様に、第2点検用音声データを受信装置300に発信させる。すなわち、制御部110は、利用された回線で第2点検用音声データを発信させるよう、受信装置300を制御する。これにより、受信装置300の発信部320は、当該回線を利用して、第2点検用音声データを発信する。
【0064】
取得部120は、発信装置200の出力部240が、第2点検用音声データに基づく音声を出力する。出力された音声は、マイク10によって収音される。取得部120は、当該集音された音声を示す音声データを第2受信音声データとして取得する。
【0065】
比較部130は、第2点検用音声データに関する情報と第2受信音声データに関する情報とを比較する。比較の方法は、点検用音声データに関する情報と受信音声データに関する情報との比較と同様である。
【0066】
判定部140は、受信装置300から発信装置200への音声データの発信経路において、利用された回線ごとの通信状況を判定する。すなわち、判定部140は、発信装置200と受信装置300のそれぞれと、の間の音声データの各発信経路について、利用された回線ごとの通信状況を判定する。
【0067】
判定部140は、判定された通信状況を示す点検結果を生成してよい。図6は、点検結果の一例を示す図である。図6の例では、点検結果には、音声データの発信経路と、利用された回線と、判定された通信状況と、時刻と、が関連付けられた情報が含まれる。なお、「発信元」及び「発信先」は、無線機器を識別する識別情報が示される。すなわち、「発信元」及び「発信先」は、発信装置200及び受信装置300のいずれかを示す。例えば、一行目のレコードでは、識別情報「001」の無線機器から識別情報「002」の無線機器への音声データの発信経路について、回線「X」が利用されたときの通信状況が「良好」であることが示される。この例では、さらに時刻(例えば音声データを受信した時刻)の情報が関連付けられているが、さらなる情報が関連付けられてもよい。例えば、無線機器が存在する場所を示す位置情報が定まっている場合、発信元と発信先の位置情報がさらに関連付けられてもよい。
【0068】
生成された点検結果は、ディスプレイ等の出力装置(図示せず)に出力される。出力装置は、例えば、消防本部に設置されてよい。また、判定部140は、生成した点検結果を記憶装置190に格納してよい。
【0069】
このように、点検支援装置100は、発信装置200と受信装置300との双方向の通信のそれぞれにおいて、利用された回線ごとの通信状況を点検することが可能である。
【0070】
[点検システム1000の動作例]
次に、点検システム1000の動作の一例を、図7及び図8を用いて説明する。なお、図7及び図8の例では、発信装置200と一の受信装置300との間の通信における動作の一例が示される。
【0071】
図7は、点検システム1000の動作の第1の例を説明するシーケンス図である。点検支援装置100の制御部110は、発信装置200を、特定の回線で通信を行うように制御する(S101)。制御部110は点検用の音声を、スピーカ11を用いて出力する(S102)。
【0072】
発信装置200の入力部210は、スピーカ11によって出力された音声を集音することにより、点検用音声データの入力を受け付ける(S103)。発信部220は、特定の回線で点検用音声データを発信する(S104)。受信装置300の受信部330は、点検用音声データを受信する(S105)。出力部340は、点検用音声データに基づく音声を出力する(S106)。
【0073】
点検支援装置100の取得部120は、出力された音声をマイク20で集音することにより、出力された音声を示す受信音声データを取得する(S107)。比較部130は、点検用音声データに関する情報と受信音声データに関する情報とを比較する(S108)。判定部140は、通信状況を判定する(S109)。そして、判定部140は、判定の結果を示す点検結果を生成する(S110)。
【0074】
この例の場合、判定部140は、発信装置200から一の受信装置300への発信経路について、特定の回線における通信状況の判定を行う。発信装置200から受信装置300へ、他の周波数帯の回線での通信が可能である場合、点検システム1000は、当該他の周波数帯の回線を利用して、S101乃至S110の処理を行ってよい。すなわち、点検システム1000は、発信装置200から一の受信装置300への発信経路において、複数の周波数帯の回線のそれぞれについて、通信情報を判定できる。
【0075】
また、点検システム1000は、一の受信装置300から発信装置200への発信経路について通信状況の判定を行ってよい。図8は、点検システム1000の動作の第2の例を説明するシーケンス図である。例えば、S110の処理の後に図8のS111以降の処理が行われてよい。
【0076】
制御部110は、S104の処理において利用された回線で通信を行うように、受信装置300を制御する(S111)。制御部110は点検用の音声を、スピーカ21を用いて出力する(S112)。
【0077】
受信装置300の入力部310は、スピーカ21によって出力された音声を集音することにより、第2点検用音声データの入力を受け付ける(S113)。発信部320は、当該回線で第2点検用音声データを発信する(S114)。発信装置200の受信部230は、第2点検用音声データを受信する(S115)。出力部240は、第2点検用音声データに基づく音声を出力する(S116)。
【0078】
点検支援装置100の取得部120は、出力された音声をマイク10で集音することにより、出力された音声を示す第2受信音声データを取得する(S117)。比較部130は、第2点検用音声データに関する情報と第2受信音声データに関する情報とを比較する(S118)。判定部140は、通信状況を判定する(S119)。そして、判定部140は、判定の結果を示す点検結果を生成する(S120)。
【0079】
この例の場合、判定部140は、一の受信装置300から発信装置200への発信経路について、特定の回線における通信状況の判定を行う。点検システム1000は、発信装置200と一の受信装置300との間の双方向の発信経路において、複数の周波数帯の回線のそれぞれについて、通信情報を判定できる。
【0080】
なお、本動作例はあくまで一例である。すなわち点検システム1000の動作は上述の例に限られない。
【0081】
このように、第2の実施形態の点検支援装置100は、複数の無線機器間で音声データの通信を行う無線システムを点検する際に利用可能な装置である。具体的には、点検支援装置100は、一の無線機器を示す発信装置200に、複数の周波数帯の回線のそれぞれを利用して、点検用音声データを、他の無線機器である受信装置300へ発信させる。また、点検支援装置100は、受信装置300から、点検用音声データに基づいて出力された音声を示す、受信音声データを取得する。また、点検支援装置100は、点検用音声データに関する情報と、利用された回線ごとの受信音声データに関する情報と、の比較を行う。そして、点検支援装置100は、比較の結果に応じて、利用された回線ごとの通信状況を判定する。
【0082】
音声データの通信を行う無線システムでは、複数の周波数帯の回線が利用されることがある。そのような無線システムの点検の際には、複数の周波数の回線のそれぞれにおける通信状況を点検する必要がある。これに対して点検支援装置100は、無線システムについて、所定の周波数帯の回線ごとに、通信状況の点検を行うことができる。すなわち、点検支援装置100は、無線システムの点検を支援することができる。
【0083】
また、点検支援装置100は、以下のような構成を有していてもよい。すなわち、点検支援装置100は、受信装置300に、利用された回線で、第2点検用音声データを発信装置200へ発信させる。また、点検支援装置100は、発信装置から、第2点検用音声データに基づいて出力された音声を示す、第2受信音声データを取得する。また、点検支援装置100は、第2点検用音声データに関する情報と、利用された回線ごとの第2受信音声データに関する情報と、の比較を行う。そして、点検支援装置100は、比較の結果に応じて、発信装置と受信装置との間の音声データの各発信経路について、利用された前記回線ごとの通信状況を判定する。
【0084】
また、受信装置300が複数存在する場合、点検支援装置100は、発信装置200と、受信装置300のそれぞれと、の間の音声データの各発信経路について、利用された回線ごとの通信状況を判定する。
【0085】
これにより、点検支援装置100は、複数の無線機器の双方向の通信における、複数の周波数帯の回線のそれぞれの点検を行うことができる。
【0086】
[変形例1]
上述の実施形態では、点検支援装置100が点検用の音声を出力例について主に説明した。点検用の音声はこの例に限られない。例えば、点検用の音声は、ユーザによる肉声であってもよい。例えば、ユーザが予め定められた内容について読み上げる。読み上げられた音声は、発信装置200の入力部210によって、点検用音声データとして入力される。この場合、例えば、記憶装置190に、当該予め定められた内容を示すテキストデータが格納される。比較部130は、当該格納されたテキストデータと、受信音声データから変換されたテキストデータと、を比較してよい。
【0087】
<第3の実施形態>
次に、第3の実施形態の点検システムについて説明する。第3の実施形態では、点検結果を用いた処理の一例について説明する。なお、第1及び第2の実施形態と重複する内容は、一部説明を省略する。
【0088】
[点検システム1001の詳細]
点検システム1001は、第1及び第2の実施形態で説明した処理に加え、以下で説明する処理を行ってよい。
【0089】
図9は、点検システム1001の機能構成の一例を示すブロック図である。点検システム1001は、点検支援装置101と発信装置200と受信装置300とを備える。さらに、点検システム1001は、マイク10、スピーカ11、マイク20、及びスピーカ21を備える。
【0090】
点検支援装置101は、制御部110と取得部120と比較部130と判定部140と推定部150と位置情報取得部160と生成部170と提示部180とを備える。さらに、点検支援装置100は、記憶装置190を有する。
【0091】
推定部150は、通信状況に関する要因の推定を行う。例えば、判定部140によって通信状況が不良と判定された発信経路が存在するとする。このとき、推定部150は、他の発信経路における通信状況に基づいて、不良と判定された要因がどの部分にあるか推定する。
【0092】
例えば、図6に示すような点検結果が生成されたとする。図6の例では、識別情報「001」の無線機器から識別情報「003」の無線機器への発信経路において、回線「X」が利用された場合の通信状況が「不良」と判定されている。一方で、識別情報「001」の無線機器から識別情報「002」の無線機器への発信経路において、回線「X」が利用された場合の通信状況は「良好」と判定されている。この場合、通信状況が不良である要因は、発信経路、または、識別情報「003」の無線機器自体に存在すると考えられる。そのため、推定部150は、発信経路、または、識別情報「003」の無線機器に不良の要因があると推定する。
【0093】
このように推定部150は、判定部140によって、不良と判定された通信状況が存在する場合、判定された通信状況のそれぞれに基づいて、不良と判定された要因を推定する。推定部150は、推定手段の一例である。
【0094】
位置情報取得部160は、各種の位置情報を取得する。無線機器のそれぞれは、各地に点在する。位置情報取得部160は、無線機器のそれぞれの位置情報を取得する。すなわち、位置情報取得部160は、発信装置200の位置情報と受信装置300の位置情報とを取得する。無線機器が固定して設置されている場合、無線機器の位置情報は、記憶装置190に格納されてよい。無線機器が、自機の位置情報を測位可能な機能を有する場合、位置情報取得部160は、無線機器の位置情報を取得してもよい。
【0095】
このように、位置情報取得部160は、発信装置200及び受信装置300の位置情報を取得する。位置情報取得部160は、位置情報取得手段の一例である。
【0096】
生成部170は、通信状況に関するエリアマップを生成する。エリアマップとは、所定の地域における、場所ごとの通信状況を示す情報である。判定部140によって生成される点検結果には、複数の無線機器間の、利用された回線ごとの通信状況が含まれる。生成部170は、例えば、判定された通信状況と、各無線機器の位置情報と、を紐づける。このとき、生成部170は、当該位置情報が示す場所の間の通信状況を補完する。そして、生成部170は、場所ごとに、通信状況が示された情報であるエリアマップを生成する。エリアマップは、例えば、地図上に、通信状況を示す情報を重畳させた情報であってよい。図10は、エリアマップの一例である。図10の例では、所定の地域を示す地図上に、回線Xについての通信状況を示す情報が重畳される。また、この例では、回線の種類を選択可能となっている。
【0097】
生成部170は、生成したエリアマップを記憶装置190に格納してよい。
【0098】
このように、生成部170は、判定された通信状況と、位置情報と、に基づいて、場所ごとの通信状況を示すエリアマップを生成する。生成部170は、生成手段の一例である。
【0099】
提示部180は、各種情報を提示する。例えば、提示部180は、推定部150によって推定された、通信状況に関する要因に関する情報を、ディスプレイ等の出力装置に出力することで提示する。また、提示部180は、生成されたエリアマップを出力装置に提示してよい。
【0100】
さらに、提示部180は、エリアマップに基づいて、通信状況が良好である場所を提示してよい。例えば、ユーザが端末を所持しているとする。当該端末は、例えば、スマートフォン及びタブレット端末等の携帯端末であるが、この例に限られない。位置情報取得部160は、当該端末の位置情報を取得する。そして、提示部180は、エリアマップに基づいて、端末の位置情報が示す場所から所定の範囲内における通信状況が良好である場所を特定する。そして、提示部180は、特定された場所を端末に提示してよい。
【0101】
このように、位置情報取得部160は、ユーザが利用する端末の位置情報を取得する。そして、提示部180は、エリアマップに基づいて、当該端末の位置情報が示す場所から所定の範囲内における通信状況が良好である場所を提示してよい。提示部180は、提示手段の一例である。
【0102】
[点検システム1001の動作例]
次に、点検システム1001の動作の一例を、図11及び図12を用いて説明する。なお、図11及び図12の動作例においては、点検支援装置の動作が示されている。また、本動作例では、点検結果は既に生成されているものとする。
【0103】
図11は、点検支援装置101の動作の第1の例を説明するフローチャートである。点検結果に、通信状況が不良と判定された発信経路が存在するとする。推定部150は、点検結果に基づいて、不良と判定された要因を推定する(S201)。具体的には、推定部150は、点検結果に含まれる、各発信経路における回線ごとの通信状況のそれぞれに基づいて、不良と判定された要因を推定する。そして、提示部180は、推定された要因を出力装置に提示する(S202)。
【0104】
図12は、点検支援装置101の動作の第2の例を説明するフローチャートである。図12では、エリアマップが生成される場合の点検支援装置101の動作が示される。
【0105】
位置情報取得部160は、各無線機器の位置情報を取得する(S301)。すなわち、位置情報取得部160は、発信装置200及び受信装置300の位置情報を取得する。生成部170は、判定部140によって判定された通信状況と、取得された位置情報と、に基づいて、エリアマップを生成する(S302)。
【0106】
また、位置情報取得部160は、ユーザが利用する端末の位置情報を取得する(S304)。提示部180は、エリアマップに基づいて、端末の位置情報が示す場所から所定の範囲内における通信状況が良好な場所を特定する(S304)。そして、提示部180は、特定された場所を端末に提示する(S305)。
【0107】
本動作例は、あくまで一例である。点検支援装置101の動作は上述の例に限られない。例えば、提示部180は、生成される情報を適宜提示してよい。例えば、生成されたエリアマップを出力装置に提示してよい。また、S301の処理は、図12に示されるタイミングで行われなくともよい。例えば、S301の処理は、判定部140による判定が行われる前に行われてよい。例えば、点検結果に、発信元の無線機器の位置情報と発信先の無線機器の位置情報とが含まれてもよい。
【0108】
このように、第3の実施形態の点検支援装置101は、不良と判定された通信状況が存在する場合、判定された通信状況のそれぞれに基づいて、不良と判定された要因を推定してよい。これにより、点検支援装置101は、不良と判定された要因の候補をユーザに知らせることができる。
【0109】
また、点検支援装置101は、発信装置200及び受信装置300の位置情報を取得してよい。そして、点検支援装置101は、判定された通信状況と、位置情報と、に基づいて、場所ごとの通信状況を示すエリアマップを生成してよい。これにより、点検支援装置101は、ユーザに、無線システムによって音声データの通信が行われる地域における通信状況を、容易に把握させることができる。
【0110】
また、点検支援装置101は、ユーザが利用する端末の位置情報を取得してよい。そして、点検支援装置101は、エリアマップに基づいて、端末の位置情報が示す場所から所定の範囲内における通信状況が良好である場所を提示する。これにより、ユーザに対して、通信しやすい場所を知らせることができる。
【0111】
[変形例2]
エリアマップは、通信状況の判定が行われるほど蓄積される。また、期間の経過に伴って、エリアマップに示される通信状況が変化する可能性がある。点検支援装置101は、蓄積されたエリアマップを利用して、通信状況の変化の推定を行ってよい。
【0112】
例えば、推定部150は、所定の時点において生成された第1のエリアマップと、所定の時点より後に生成された第2のエリアマップと、を比較することにより、通信状況が変化した場所を特定する。推定部150は、通信状況が変化した場所における環境に関するデータに基づいて、通信状況の変化の要因を推定する。
【0113】
環境に関するデータとは、建造物の変化及び地形の変化等であってよい。例えば、ビル等が建造されると、その周囲において通信状況が変化する可能性がある。また、雑木等において、木が緑樹の状態である場合と、木が裸木の状態である場合と、によって、雑木の周囲の通信状況が変化する可能性がある。例えば、特定された場所について、環境に変化がある場合は、当該環境の変化が、通信状況に影響を与えていることが推定される。そのため、推定部150は、通信状況の変化の要因の一つが、当該環境の変化であると推定する。
【0114】
このように、推定部150は、所定の時点において生成された第1のエリアマップと所定の時点より後に生成された第2のエリアマップとにおいて、通信状況に変化がある場合、第1のエリアマップ及び第2のエリアマップに対応する地域における、建造物及び地形の変化に基づいて、通信状況の変化の要因を推定してよい。
【0115】
<点検システムのハードウェアの構成例>
上述した第1、第2、及び第3の実施形態の点検システムを構成するハードウェアについて説明する。図13は、各実施形態における点検システムを構成するコンピュータ装置のハードウェア構成の一例を示すブロック図である。コンピュータ装置90において、各実施形態及び各変形例で説明した、点検支援装置、及び点検支援方法が実現される。例えば、各実施形態及び各変形例で説明した点検支援装置、発信装置、及び受信装置等が、図12に示すハードウェア構成を有していてよい。
【0116】
図13に示すように、コンピュータ装置90は、プロセッサ91、RAM(Random Access Memory)92、ROM(Read Only Memory)93、記憶装置94、入出力インタフェース95、バス96、及びドライブ装置97を備える。なお、点検支援装置等は、複数の電気回路によって実現されてもよい。
【0117】
記憶装置94は、プログラム(コンピュータプログラム)98を格納する。プロセッサ91は、RAM92を用いて本受付支援システムのプログラム98を実行する。具体的には、例えば、プログラム98は、図3図7図8図11、及び図12等に示す処理をコンピュータに実行させるプログラムを含む。プロセッサ91が、プログラム98を実行することに応じて、本点検システムの各構成の機能が実現される。プログラム98は、ROM93に記憶されていてもよい。また、プログラム98は、記憶媒体80に記録され、ドライブ装置97を用いて読み出されてもよいし、図示しない外部装置から図示しないネットワークを介してコンピュータ装置90に送信されてもよい。
【0118】
入出力インタフェース95は、周辺機器(キーボード、マウス、表示装置など)99とデータをやり取りする。入出力インタフェース95は、データを取得または出力する手段として機能する。バス96は、各構成を接続する。
【0119】
なお、点検システムの実現方法には様々な変形例がある。例えば、点検システムに含まれる各構成は、それぞれ専用の装置として実現することができる。また、点検システムは、それぞれ複数の装置の組み合わせに基づいて実現することができる。
【0120】
各実施形態の機能における各構成を実現するためのプログラムを記憶媒体に記録させ、該記憶媒体に記録されたプログラムをコードとして読み出し、コンピュータにおいて実行する処理方法も各実施形態の範疇に含まれる。すなわち、コンピュータ読取可能な記憶媒体も各実施形態の範囲に含まれる。また、上述のプログラムが記録された記憶媒体、及びそのプログラム自体も各実施形態に含まれる。
【0121】
該記憶媒体は、例えばフロッピー(登録商標)ディスク、ハードディスク、光ディスク、光磁気ディスク、CD(Compact Disc)-ROM、磁気テープ、不揮発性メモリカード、またはROMであるが、この例に限られない。また該記憶媒体に記録されたプログラムは、単体で処理を実行しているプログラムに限らず、他のソフトウェア、拡張ボードの機能と共同して、OS(Operating System)上で動作して処理を実行するプログラムも各実施形態の範疇に含まれる。
【0122】
以上、実施形態を参照して本願発明を説明したが、本願発明は上記実施形態に限定されるものではない。本願発明の構成や詳細には、本願発明のスコープ内で当業者が理解しうる様々な変更をすることができる。
【0123】
また、上記実施形態及び変形例は、適宜組み合わせることが可能である。
【符号の説明】
【0124】
100、101 点検支援装置
110 制御部
120 取得部
130 比較部
140 判定部
150 推定部
160 位置情報取得部
170 生成部
180 提示部
200 発信装置
300 受信装置
1000、1001 点検システム
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