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特開2024-175714発信源情報出力装置、発信源情報出力システム、発信源情報出力方法および発信源情報出力プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024175714
(43)【公開日】2024-12-19
(54)【発明の名称】発信源情報出力装置、発信源情報出力システム、発信源情報出力方法および発信源情報出力プログラム
(51)【国際特許分類】
   H04B 17/309 20150101AFI20241212BHJP
   G01S 5/02 20100101ALI20241212BHJP
【FI】
H04B17/309
G01S5/02 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023093622
(22)【出願日】2023-06-07
(71)【出願人】
【識別番号】000004237
【氏名又は名称】日本電気株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100109313
【弁理士】
【氏名又は名称】机 昌彦
(74)【代理人】
【識別番号】100149618
【弁理士】
【氏名又は名称】北嶋 啓至
(72)【発明者】
【氏名】小川 辰也
(72)【発明者】
【氏名】栗原 崇
(72)【発明者】
【氏名】喜田 雅人
【テーマコード(参考)】
5J062
【Fターム(参考)】
5J062AA09
5J062CC12
5J062CC14
5J062CC18
(57)【要約】
【課題】電波の発信源の特定をより容易にする情報を出力することを可能にする。
【解決手段】
発信源情報出力装置が、複数のセンサのうちの少なくともいずれか一つのセンサから、センサで受信された電波である受信電波について、電波の発信源の位置の推定に使用される情報である位置推定情報を含む電波情報を受信し、移動体の経路の情報である経路情報を取得し、前記電波情報の送信元のセンサの位置と前記位置推定情報とに基づいて、前記受信電波の発信源の位置である発信源位置を推定し、時系列の前記発信源位置と、前記経路情報によって示される前記経路とを照合し、時系列の前記発信源位置と前記経路との類似度が所定のしきい値より高い場合に、前記受信電波の前記発信源の種別を示す発信源情報として、前記移動体の情報を出力する。
【選択図】 図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のセンサのうちの少なくともいずれか一つのセンサから、センサで受信された電波である受信電波について、電波の発信源の位置の推定に使用される情報である位置推定情報を含む電波情報を受信する受信部と、
移動体の経路の情報である経路情報を取得する取得部と、
前記電波情報の送信元のセンサの位置と前記位置推定情報とに基づいて、前記受信電波の発信源の位置である発信源位置を推定する推定部と、
時系列の前記発信源位置と、前記経路情報によって示される前記経路とを照合する照合部と、
時系列の前記発信源位置と前記経路との類似度が所定のしきい値より高い場合に、前記受信電波の前記発信源の種別を示す発信源情報として、前記移動体の情報を出力する出力部と
を備える発信源情報出力装置。
【請求項2】
前記経路情報は、さらに、前記経路の中の地点を前記移動体が通過する時刻である運行時刻の情報を含み、
前記照合部は、前記照合に、さらに、前記運行時刻の情報を使用する、
請求項1に記載の発信源情報出力装置。
【請求項3】
前記取得部は、時系列の前記発信源位置の各々が、列車の線路の位置から所定の距離以内にある場合に、列車についての前記経路情報を取得する、
請求項1または請求項2に記載の発信源情報出力装置。
【請求項4】
前記取得部は、時系列の前記発信源位置が、道路と交差して移動している場合に、UAV(unmanned aerial vehicle)についての前記経路情報を取得する、
請求項1または請求項2に記載の発信源情報出力装置。
【請求項5】
前記経路情報は、前記移動体の個体を識別可能な移動体識別情報を含み、
前記出力部は、前記類似度が所定のしきい値より高い前記経路についての前記経路情報に含まれる前記移動体識別情報を、前記発信源情報として出力する、
請求項1または請求項2に記載の発信源情報出力装置。
【請求項6】
前記推定部は、時系列の前記発信源位置に基づいて、前記受信電波の前記発信源が移動しているか否かを推定し、
前記取得部は、前記発信源が移動していると推定された場合に、前記経路情報を取得する、
請求項1または請求項2に記載の発信源情報出力装置。
【請求項7】
前記照合部は、時系列の前記発信源位置と前記経路との間の距離に基づいて、前記類似度を計算する、
請求項1または請求項2に記載の発信源情報出力装置。
【請求項8】
複数のセンサのうちの少なくともいずれか一つのセンサから、センサで受信された電波である受信電波について、電波の発信源の位置の推定に使用される情報である位置推定情報を含む電波情報を受信する受信手段と、
移動体の経路の情報である経路情報を取得する取得手段と、
前記電波情報の送信元のセンサの位置と前記位置推定情報とに基づいて、前記受信電波の発信源の位置である発信源位置を推定する推定手段と、
時系列の前記発信源位置と、前記経路情報によって示される前記経路とを照合する照合手段と、
時系列の前記発信源位置と前記経路との類似度が所定のしきい値より高い場合に、前記受信電波の前記発信源の種別を示す発信源情報として、前記移動体の情報を出力する出力手段と
を備える発信源情報出力システム。
【請求項9】
複数のセンサのうちの少なくともいずれか一つのセンサから、センサで受信された電波である受信電波について、電波の発信源の位置の推定に使用される情報である位置推定情報を含む電波情報を受信し、
移動体の経路の情報である経路情報を取得し、
前記電波情報の送信元のセンサの位置と前記位置推定情報とに基づいて、前記受信電波の発信源の位置である発信源位置を推定し、
時系列の前記発信源位置と、前記経路情報によって示される前記経路とを照合し、
時系列の前記発信源位置と前記経路との類似度が所定のしきい値より高い場合に、前記受信電波の前記発信源の種別を示す発信源情報として、前記移動体の情報を出力する、
発信源情報出力方法。
【請求項10】
コンピュータに、
複数のセンサのうちの少なくともいずれか一つのセンサから、センサで受信された電波である受信電波について、電波の発信源の位置の推定に使用される情報である位置推定情報を含む電波情報を受信する受信機能と、
移動体の経路の情報である経路情報を取得する取得機能と、
前記電波情報の送信元のセンサの位置と前記位置推定情報とに基づいて、前記受信電波の発信源の位置である発信源位置を推定する推定機能と、
時系列の前記発信源位置と、前記経路情報によって示される前記経路とを照合する照合機能と、
時系列の前記発信源位置と前記経路との類似度が所定のしきい値より高い場合に、前記受信電波の前記発信源の種別を示す発信源情報として、前記移動体の情報を出力する出力機能と
を実現させる発信源情報出力プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、発信源情報出力装置、発信源情報出力システム、発信源情報出力方法および発信源情報出力プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
電波障害の要因となっている電波の発信源を見つけるための方法として、電波障害の通報などをきっかけとして調査者が現場に赴き、測定器などを用いて調査する方法がある。しかし、この方法では、調査者による現地調査によって発信源の位置が推定されるので、手間がかかる。
【0003】
この手間を軽減する方法として、フィールドに設置された多くのセンサが電波を受信し、受信された電波についての情報に基づいて電波の発信源の位置を推定する方法が考えられる。電波の発信源の位置の推定方式には、AOA(Angle of Arrival)方式、POA(Power of Arrival)方式、TDOA(Time Difference of Arrival)方式などがある。これらの方式では、複数箇所のセンサで受信された電波についての情報に基づいて、電波の発信源の位置が推定される。調査者は、推定された位置に赴き発信源を確認することができるので、発信源をより容易に見つけることが可能になる。
【0004】
また、関連技術としては、特許文献1または特許文献2に記載された技術がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】国際公開第2018/235537号
【特許文献2】国際公開第2022/091238号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、上述の方法では、発信源が何であるかは推定されない。発信源が何であるかが不明である場合、現地に赴いた調査者が発信源を容易に特定できない可能性がある。
【0007】
本発明の目的は、上述した課題を鑑み、電波の発信源の特定をより容易にする情報を出力することを可能にする発信源情報出力装置、発信源情報出力システム、発信源情報出力方法および発信源情報出力プログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一態様において、発信源情報出力装置は、複数のセンサのうちの少なくともいずれか一つのセンサから、センサで受信された電波である受信電波について、電波の発信源の位置の推定に使用される情報である位置推定情報を含む電波情報を受信する受信部と、移動体の経路の情報である経路情報を取得する取得部と、前記電波情報の送信元のセンサの位置と前記位置推定情報とに基づいて、前記受信電波の発信源の位置である発信源位置を推定する推定部と、時系列の前記発信源位置と、前記経路情報によって示される前記経路とを照合する照合部と、時系列の前記発信源位置と前記経路との類似度が所定のしきい値より高い場合に、前記受信電波の前記発信源の種別を示す発信源情報として、前記移動体の情報を出力する出力部とを備える。
【0009】
また、本発明の他の態様において、発信源情報出力システムは、複数のセンサのうちの少なくともいずれか一つのセンサから、センサで受信された電波である受信電波について、電波の発信源の位置の推定に使用される情報である位置推定情報を含む電波情報を受信する受信手段と、移動体の経路の情報である経路情報を取得する取得手段と、前記電波情報の送信元のセンサの位置と前記位置推定情報とに基づいて、前記受信電波の発信源の位置である発信源位置を推定する推定手段と、時系列の前記発信源位置と、前記経路情報によって示される前記経路とを照合する照合手段と、時系列の前記発信源位置と前記経路との類似度が所定のしきい値より高い場合に、前記受信電波の前記発信源の種別を示す発信源情報として、前記移動体の情報を出力する出力手段とを備える。
【0010】
また、本発明の他の態様において、発信源情報出力方法は、複数のセンサのうちの少なくともいずれか一つのセンサから、センサで受信された電波である受信電波について、電波の発信源の位置の推定に使用される情報である位置推定情報を含む電波情報を受信し、移動体の経路の情報である経路情報を取得し、前記電波情報の送信元のセンサの位置と前記位置推定情報とに基づいて、前記受信電波の発信源の位置である発信源位置を推定し、時系列の前記発信源位置と、前記経路情報によって示される前記経路とを照合し、時系列の前記発信源位置と前記経路との類似度が所定のしきい値より高い場合に、前記受信電波の前記発信源の種別を示す発信源情報として、前記移動体の情報を出力する。
【0011】
また、本発明の他の態様において、発信源情報出力プログラムは、コンピュータに、複数のセンサのうちの少なくともいずれか一つのセンサから、センサで受信された電波である受信電波について、電波の発信源の位置の推定に使用される情報である位置推定情報を含む電波情報を受信する受信機能と、移動体の経路の情報である経路情報を取得する取得機能と、前記電波情報の送信元のセンサの位置と前記位置推定情報とに基づいて、前記受信電波の発信源の位置である発信源位置を推定する推定機能と、時系列の前記発信源位置と、前記経路情報によって示される前記経路とを照合する照合機能と、時系列の前記発信源位置と前記経路との類似度が所定のしきい値より高い場合に、前記受信電波の前記発信源の種別を示す発信源情報として、前記移動体の情報を出力する出力機能とを実現させる。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、電波の発信源の特定をより容易にする情報を出力することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明の第一の実施形態の発信源情報出力装置の構成例を示す図である。
図2】本発明の第一の実施形態の発信源情報出力装置の動作フローの例を示す図である。
図3】本発明の第二の実施形態の発信源情報出力装置を含むシステムの構成例を示す図である。
図4】本発明の第二の実施形態の発信源情報出力装置の構成例を示す図である。
図5】本発明の第二の実施形態の発信源情報出力装置が表示装置に表示させる画像の例を示す図である。
図6】本発明の第二の実施形態の発信源情報出力装置の動作フローの例を示す図である。
図7】本発明の第二の実施形態の発信源情報出力装置の動作フローの例を示す図である。
図8】本発明の各実施形態のハードウェア構成例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
[第一の実施形態]
本発明の第一の実施の形態について説明する。
【0015】
なお、第一の実施の形態における発信源情報出力装置10の具体的な一例が、後述する第二の実施の形態における発信源情報出力装置20である。
【0016】
まず、本実施形態の発信源情報出力装置10の構成例について説明する。図1に、本実施形態の発信源情報出力装置10の構成例を示す。発信源情報出力装置10は、受信部11、取得部12、推定部13、照合部14および出力部15を含む。
【0017】
受信部11は、複数のセンサのうちの少なくともいずれか一つのセンサから、受信電波についての電波情報を受信する。受信電波は、センサで受信された電波である。電波情報は、位置推定情報を含む。位置推定情報は、電波の発信源の位置の推定に使用される情報である。なお、発信源は、電波を発する物体である。
【0018】
取得部12は、移動体の経路情報を取得する。経路情報は、経路の情報である。
【0019】
推定部13は、電波情報の送信元のセンサの位置と位置推定情報とに基づいて、発信源位置を推定する。発信源位置は、受信電波の発信源の位置である。
【0020】
照合部14は、時系列の発信源位置と、経路情報によって示される経路とを照合する。
【0021】
出力部15は、時系列の発信源位置と経路との類似度が所定のしきい値より高い場合に、発信源情報として、移動体の情報を出力する。発信源情報は、受信電波の発信源の種別を示す。
【0022】
次に、本実施形態の発信源情報出力装置10の動作フローの例について説明する。図2に本実施形態の発信源情報出力装置10の動作フローの例を示す。
【0023】
受信部11は、複数のセンサのうちの少なくともいずれか一つのセンサから、受信電波についての電波情報を受信する(ステップS101)。
【0024】
取得部12は、移動体の経路情報を取得する(ステップS102)。
【0025】
推定部13は、電波情報の送信元のセンサの位置と位置推定情報とに基づいて、発信源位置を推定する(ステップS103)。
【0026】
照合部14は、時系列の発信源位置と、経路情報によって示される経路とを照合する(ステップS104)。
【0027】
出力部15は、時系列の発信源位置と経路との類似度が所定のしきい値より高い場合に、発信源情報として、移動体の情報を出力する(ステップS105)。発信源情報は、受信電波の発信源の種別を示す。
【0028】
以上で説明したように、本発明の第一の実施形態では、発信源情報出力装置10は、受信部11、取得部12、推定部13、照合部14および出力部15を含む。受信部11は、複数のセンサのうちの少なくともいずれか一つのセンサから、受信電波についての電波情報を受信する。受信電波は、センサで受信された電波である。電波情報は、位置推定情報を含む。位置推定情報は、電波の発信源の位置の推定に使用される情報である。取得部12は、移動体の経路情報を取得する。経路情報は、経路の情報である。推定部13は、電波情報の送信元のセンサの位置と位置推定情報とに基づいて、発信源位置を推定する。発信源位置は、受信電波の発信源の位置である。照合部14は、時系列の発信源位置と、経路情報によって示される経路とを照合する。出力部15は、時系列の発信源位置と経路との類似度が所定のしきい値より高い場合に、発信源情報として、移動体の情報を出力する。発信源情報は、受信電波の発信源の種別を示す。
【0029】
このように、発信源情報出力装置10は、時系列の発信源位置と経路との類似度が所定のしきい値より高い場合に、受信電波の発信源の種別を示す発信源情報として、移動体の情報を出力する。これにより、調査者は、発信源情報として示される移動体を調査することができるので、電波の発信源の特定がより容易になる。そのため、電波の発信源の特定をより容易にする情報を出力することが可能になる。
【0030】
[第二の実施形態]
次に、本発明の第二の実施の形態における発信源情報出力装置20について説明する。なお、第一の実施の形態における発信源情報出力装置10の具体的な一例が、第二の実施の形態における発信源情報出力装置20である。
【0031】
まず、図3に本実施形態の発信源情報出力装置20を含むシステムの構成例を示す。発信源情報出力装置20は、センサ50-i(iは1以上N以下の整数)と互いに接続する。また、発信源情報出力装置20は、表示手段60と互いに接続する。センサ50-iおよび発信源情報出力装置20は監視システム40に含まれる。
【0032】
センサ50-iは、電波を受信する。センサ50-iにより受信された電波を、以降、受信電波と呼ぶ。センサ50-iは、受信方向と受信周波数とを変更しながら、電波の受信を試みる。また、センサ50-iは、受信電波についての電波情報を発信源情報出力装置20へ出力する。
【0033】
電波情報は、電波に関する情報である。電波情報は、位置推定情報を含む。位置推定情報は、電波の発信源の位置の推定に使用される情報である。位置推定情報は、たとえば、AOA方式、POA方式、TDOA方式などの方式で使用される情報である。なお、電波の発信源は、電波を発する物体である。
【0034】
たとえば、AOA方式の場合、位置推定情報は、センサ50-iに対する電波の方向の情報を含む。この場合、センサ50-iは、たとえば、ビームフォーミングや回転によって指向性を制御可能なアンテナにより、電波の到来方向を推定することができる。
【0035】
また、電波情報は、電波の周波数、電波の変調方式、電波の波形、センサ50-iにおける電波の受信信号レベルなどの情報を含んでいてもよい。たとえば、電波情報は、SS-RSRQ(Reference Signal Received Quality)などの情報を含んでいてもよい。
【0036】
また、電波情報は、電波の発信源の識別情報である電波識別情報を含んでいてもよい。電波識別情報は、発信源の個体を識別可能な情報である。電波識別情報は、たとえば、IMEI(International Mobile Equipment Identity)、IMSI(International Mobile Subscriber Identity)、MAC(Media Access Control)アドレスなどを含んでいてもよい。発信源がUAV(unmanned aerial vehicle)である場合、電波識別情報は、UAVの識別情報であるリモートID(identification)を含んでいてもよい。
【0037】
センサ50-iは、固定的に設置されていてもよいし、移動可能であってもよい。また、センサ50-iから発信源情報出力装置20へ電波情報を出力するための通信方法は、有線であってもよいし、無線であってもよい。
【0038】
表示手段60は、出力デバイスとしてのディスプレイ等のマンマシンインタフェースである。表示手段60は、画像を表示する。本実施形態では、発信源情報出力装置20は、発信源情報を表示手段60に出力する。しかし、発信源情報の出力先は任意である。発信源情報出力装置20は、表示手段60以外の出力先に発信源情報を出力してもよい。
【0039】
次に、図4に本実施形態の発信源情報出力装置20の構成例を示す。本実施形態の発信源情報出力装置20は、受信部21、取得部22、推定部23、照合部24および出力部25を含む。
【0040】
受信部21は、センサ50-1~50-Nのうち、電波を受信したセンサ50-iから、受信電波についての電波情報を受信する。電波情報は、電波に関する情報である。受信電波は、センサ50-iで受信された電波である。また、電波情報は、位置推定情報を含む。位置推定情報は、電波の発信源の位置の推定に使用される情報である。
【0041】
取得部22は、移動体の経路情報を取得する。経路情報は、経路の情報である。経路情報は、移動体の運行時刻の情報を含んでいてもよい。運行時刻は、経路の中の地点を移動体が通過する時刻である。たとえば、経路情報は、経路に含まれる地点の位置と当該地点を移動体が通過する時刻との対応関係を示していてもよい。移動体は、たとえば、列車やUAVなどである。移動体は、取得部22が経路情報を取得することができる移動体であれば、列車やUAVに限られない。
【0042】
取得部22は、たとえば、情報提供用サーバ(不図示)などから経路情報を取得する。また、取得部22は、発信源情報出力装置20の内部または外部の記憶手段(不図示)から経路情報を取得してもよい。
【0043】
推定部23は、電波情報の送信元のセンサ50-iの位置と位置推定情報とに基づいて、発信源位置を推定する。発信源位置は、受信電波の発信源の位置である。
【0044】
なお、本実施形態では、推定部23は、所定時間(たとえば、1秒など)おきに発信源位置を推定する。このとき、推定部23は、前回の発信源位置の推定に使用された電波情報(電波情報は、位置推定情報を含む)より後に受信部21によって受信された電波情報に基づいて、発信源位置を推定する。なお、発信源位置の推定の間隔は、センサ50-iにおける電波の受信の試行において、一サイクルの試行が完了するのにかかる時間以上であるとよい。一サイクルの試行は、試行の対象のすべての受信方向で、試行の対象のすべての受信周波数での試行が少なくとも一回ずつ行われることを指す。センサ50-iは、一サイクルの試行が完了すると、次のサイクルの試行を開始する。
【0045】
また、推定部23は、センサ50-iの位置の情報を、発信源情報出力装置20の内部または外部の記憶手段から取得することができる。また、センサ50-iが移動している場合には、受信部21は、センサ50-iから、センサの位置の情報を受信してもよい。この場合、センサ50-iは、たとえば、GNSS(Global Navigation Satellite System)を使用することによって、センサ50-iの位置情報を取得してもよい。
【0046】
受信部21が同一の電波についての電波情報を二以上の複数のセンサから受信した場合には、推定部23は、同一の電波についての二以上の複数の電波情報に基づいて、発信源位置を推定することができる。この場合、推定部23は、AOA方式、POA方式、TDOA方式などによって発信源位置を推定することができる。電波情報は、使用される方式に応じた位置推定情報を含む。たとえば、使用される方式がAOA方式である場合、位置推定情報は、センサに対する電波の到来方向の情報を含む。
【0047】
推定部23は、同一の電波についての電波情報を、たとえば、電波の特徴量の類似度に基づいて推定してもよい。電波の特徴量は、たとえば、周波数、変調方式、電波識別情報などである。なお、この場合、電波の特徴量の情報は、電波情報に含まれる。
【0048】
また、受信部21が同一の電波についての電波情報を一つのセンサから受信した場合には、推定部23は、一つの電波情報を用いて、発信源位置を推定してもよい。たとえば、位置推定情報が、電波の到来方向の情報を含む場合には、推定部23は、到来方向の情報の誤差を見込んで、到来方向を中心とした扇形の範囲を、発信源位置として推定してもよい。
【0049】
また、推定部23は、さらに、時系列の発信源位置に基づいて、受信電波の発信源が移動しているか否かを推定しても良い。たとえば、推定部23は、所定回数前に推定された発信源位置と、今回推定された発信源位置との間の距離が所定の値より大きい場合に、受信電波の発信源が移動していると推定してもよい。
【0050】
照合部24は、時系列の発信源位置と、経路情報によって示される経路とを照合する。照合部24は、受信電波の発信源が移動していると推定部23により推定された場合に、当該照合を行ってもよい。また、取得部22は、受信電波の発信源が移動していると推定部23により推定された場合に、移動体の経路情報を取得してもよい。
【0051】
照合部24は、たとえば、発信源位置の移動軌跡と、経路情報によって示される経路との間の類似度を計算することによって、時系列の発信源位置と経路との照合を行う。類似度は、たとえば、発信源位置と、経路のうち発信源位置に最も近い地点との間の距離に基づいて計算される。この場合、発信源の位置と経路との間の距離が短いほど、類似度が高くなる。照合部24は、類似度の計算方法に、任意の方法を利用することができる。たとえば、照合部24は、以下の式によって類似度Dを計算してもよい。
【0052】
【数1】
【0053】
なお、上記の式において、Mは、類似度の計算の対象である発信源位置の数である。djは、j番目の発信源位置と、経路のうちj番目の発信源位置に最も近い地点との間の距離である。また、Aは、所定の値である。なお、類似度の計算の対象である発信源位置の数Mおよび所定の値Aは、あらかじめ定められている。
【0054】
また、経路情報に運行時刻の情報が含まれる場合、照合部24は、時系列の発信源位置と経路との照合に、さらに、運行時刻の情報を使用してもよい。この場合、類似度Dの計算において、djは、j番目の発信源位置と、j番目の発信源位置が推定された時刻における移動体の位置との間の距離であってもよい。
【0055】
また、取得部22は、時系列の発信源位置の各々が、列車の線路の位置から所定の距離以内にある場合に、列車についての経路情報を取得してもよい。そして、照合部24は、取得された経路情報と時系列の発信源位置とを照合する。なお、列車の線路の位置の情報は、発信源情報出力装置20の内部または外部の記憶手段に記憶されている。
【0056】
このようにすると、照合の対象の経路情報を、二以上の複数の種別の移動体の経路情報の中から、列車についての経路情報へ減らすことができるので、照合にかかる負荷や時間を低減することができる。
【0057】
また、取得部22は、時系列の発信源位置が、道路と交差して移動している場合、発信源は、UAVである可能性がある。そのため、この場合、取得部22は、UAVについての経路情報を取得してもよい。そして、照合部24は、取得された経路情報と時系列の発信源位置とを照合する。なお、道路の位置の情報は、発信源情報出力装置20の内部または外部の記憶手段に記憶されている。
【0058】
なお、受信部21または推定部23は、受信電波の電波情報と既知の電波についての電波情報とを照合することで、受信電波が既知の電波であるか否かを推定してもよい。そして、推定部23は、受信電波が既知の電波であると推定された場合、発信源位置の推定を行わなくてもよい。同様に、照合部24は、受信電波が既知の電波であると推定された場合、照合を行わなくてもよい。
【0059】
出力部25は、時系列の発信源位置と経路との類似度が所定のしきい値より高い場合に、発信源情報として、移動体の情報を出力する。発信源情報は、受信電波の発信源の種別を示す。たとえば、列車の経路と時系列の発信源位置の類似度が高い場合、出力部25は、発信源情報として、発信源が列車であることを示す情報を出力する。
【0060】
また、出力部25は、さらに、発信源位置を示す発信源位置情報を出力してもよい。また、出力部25は、時系列の発信源位置と経路との類似度が所定のしきい値より高い場合に、当該経路についての経路情報を出力してもよい。
【0061】
また、出力部25は、発信源情報として、さらに、移動体識別情報を出力してもよい。移動体識別情報は、移動体の個体を識別可能な情報である。たとえば、経路情報が、移動体識別情報を含む場合、出力部25は、類似度が高い経路についての経路情報に含まれる移動体識別情報を、発信源情報として出力することができる。
【0062】
たとえば、移動体がUAVであり、UAVの経路情報が、経路の位置の情報に加えて、運行時刻の情報と移動体識別情報とを含むとする。また、移動体識別情報は、たとえば、リモートIDであるとする。この場合、出力部25は、時系列の発信源位置と経路との類似度が所定のしきい値より高い場合に、発信源情報として、発信源がUAVであることを示す情報と、リモートIDとを出力してもよい。
【0063】
また、時系列の発信源位置と経路との類似度が所定のしきい値より高い移動体は、二以上の複数ある場合がある。この場合、出力部25によって出力される発信源情報は、当該二以上の複数の移動体の各々についての情報を含んでいてもよい。出力部25は、当該二以上の複数の移動体の各々についての発信源情報を出力してもよい。
【0064】
出力部25は、時系列の発信源位置と経路との類似度が所定のしきい値より高い経路がない場合、発信源情報として、時系列の発信源位置と経路との類似度が所定のしきい値より高い経路がないことを示す情報を出力してもよい。
【0065】
本実施形態では、出力部25は、発信源情報を表示手段60に出力する。また、本実施形態では、出力部25は、発信源情報を、画像を表示手段60に表示させるための画像情報として出力する。すなわち、出力部25は、発信源情報を表示手段60に出力することによって、画像を表示手段60に表示させる。
【0066】
出力部25は、既知の受信電波に関する情報については、出力を抑制してもよい。既知の受信電波に関する情報の出力を抑制すると、発信源情報出力装置20から出力先への情報量を削減でき、また、通信負荷を低減することができる。また、利用者にとっては、情報の取捨選択が容易になる。
【0067】
また、出力部25は、表示手段60ではない出力先に発信源情報を出力してもよい。たとえば、発信源情報は、発信源の種別に関する情報を含むデータであってもよい。
【0068】
このように、本実施形態では、出力部25は、時系列の発信源位置と経路との類似度が所定のしきい値より高い場合に、受信電波の発信源の種別を示す発信源情報として、移動体の情報を出力する。これにより、調査者は、発信源情報として示される種別の移動体を調査することができるので、電波の発信源の特定がより容易になる。
【0069】
次に、出力部25が表示手段60に表示させる画像の具体例について説明する。
【0070】
画像は、発信源の種別に関する情報を含む。また、画像は、地図上の発信源位置に、発信源位置を示す画面アイテムを含むものであってもよい。また、画像は、発信源の種別の移動体の経路を示す画面アイテムを含むものであってもよい。また、画像は、移動体の運行時刻の情報を含んでいてもよい。
【0071】
図5に、表示画像の例を示す。図5に示す例の場合、受信電波の発信源の種別を示す情報として、列車の情報が出力されている。また、この図では、画像には、発信源位置を示す画面アイテム(実線の円)が含まれている。なお、発信源位置を示す画面アイテムは、発信源位置として可能性がある範囲を示していてもよい。また、画像には、列車の経路を示す画面アイテム(破線)が含まれている。
【0072】
また、発信源情報に二以上の複数の移動体についての情報が含まれている場合、画像は、二以上の複数の移動体の各々についての情報を含んでいてもよい。この場合、移動体の各々についての情報は、異なる表示形態(色など)で示されてもよい。
【0073】
次に、本実施形態の発信源情報出力装置20の動作フローの例について説明する。図6に、本実施形態の発信源情報出力装置20の動作フローの例を示す。
【0074】
センサ50-1~50-Nの各々は、受信周波数と受信方向とを変更しながら、電波の受信を試みる。
【0075】
受信部21は、センサ50-1~50-Nのうち、電波を受信したセンサ50-iから、受信電波についての電波情報を受信する(ステップS201)。
【0076】
受信部21または推定部23は、受信電波の電波情報と既知の電波についての電波情報とを照合することで、受信電波が既知の電波であるか否かを推定する。そして、推定部23は、受信電波が既知の電波であると推定された場合(ステップS202でNO)、当該受信電波については発信源位置の推定を行わない。
【0077】
推定部23は、受信電波が未知の電波であると推定された場合(ステップS202でYES)、当該受信電波についての発信源位置を推定する(ステップS203)。推定部23は、電波情報の送信元のセンサ50-iの位置と位置推定情報とに基づいて、発信源位置を推定する。なお、本実施形態では、推定部23は、所定時間おきに発信源位置を推定する。このとき、推定部23は、前回の発信源位置の推定に使用された電波情報より後に受信部21によって受信された電波情報に基づいて、発信源位置を推定する。
【0078】
取得部22は、移動体の経路情報を取得する(ステップS204)。
【0079】
照合部24は、時系列の発信源位置と、経路情報によって示される経路とを照合する(ステップS205)。
【0080】
出力部25は、時系列の発信源位置と経路との類似度が所定のしきい値より高い経路がある場合に(ステップS206でYES)、発信源情報として、当該経路を通過する移動体の情報を出力する(ステップS207)。出力部25は、時系列の発信源位置と経路との類似度が所定のしきい値より高い経路がない場合(ステップS206でNO)、発信源情報として、時系列の発信源位置と経路との類似度が所定のしきい値より高い経路がないことを示す情報を出力してもよい。
【0081】
次に、本実施形態の発信源情報出力装置20の動作フローの他の例について説明する。図7に、本実施形態の発信源情報出力装置20の動作フローの例を示す。図7に示す動作は、図6のステップS204からステップS205の代わりに、発信源情報出力装置20によって行われる。
【0082】
取得部22は、発信源位置が推定されると(図6のステップS203)、時系列の発信源位置の各々が、列車の線路から所定の距離以内にあるか確認する。そして、取得部22は、時系列の発信源位置の各々が、列車の線路の位置から所定の距離以内にある場合に(図7のステップS301でYES)、列車についての経路情報を取得する(ステップS302)。そして、照合部24は、取得された経路情報と時系列の発信源位置とを照合する。
【0083】
出力部25は、時系列の発信源位置と列車の経路との類似度が所定のしきい値より高い場合に(ステップS303でYES)、発信源情報として、列車の情報を出力する(ステップS304)。
【0084】
また、時系列の発信源位置の各々について、列車の線路の位置から所定の距離以内にない発信源位置がある場合に(ステップS301でNO)、取得部22は、時系列の発信源位置が道路と交差して移動しているか確認する。取得部22は、時系列の発信源位置と列車の経路との類似度が所定のしきい値以下である場合にも(ステップS303でNO)、時系列の発信源位置が道路と交差して移動しているか確認する。そして、時系列の発信源位置が道路と交差して移動している場合(ステップS305でYES)、取得部22は、UAVの経路情報を取得する(ステップS306)。そして、照合部24は、取得された経路情報と時系列の発信源位置とを照合する。
【0085】
出力部25は、時系列の発信源位置とUAVの経路との類似度が所定のしきい値より高い場合に(ステップS307でYES)、発信源情報として、UAVの情報を出力する(ステップS308)。
【0086】
時系列の発信源位置が道路と交差して移動していない場合(ステップS305でNO)、取得部22は、その他の移動体の経路情報を取得する(ステップS309)。また、時系列の発信源位置とUAVの経路との類似度が所定のしきい値以下である場合にも(ステップS307でNO)、取得部22は、その他の移動体の経路情報を取得する(ステップS309)。そして、照合部24は、取得された経路情報と時系列の発信源位置とを照合する。
【0087】
出力部25は、時系列の発信源位置と経路との類似度が所定のしきい値より高い経路がある場合に(図6のステップS206でYES)、発信源情報として、当該経路を通過する移動体の情報を出力する(ステップS207)。
【0088】
以上で説明したように、本発明の第二の実施形態では、発信源情報出力装置20は、受信部21、取得部22、推定部23、照合部24および出力部25を含む。受信部21は、複数のセンサのうちの少なくともいずれか一つのセンサから、受信電波についての電波情報を受信する。受信電波は、センサで受信された電波である。電波情報は、位置推定情報を含む。位置推定情報は、電波の発信源の位置の推定に使用される情報である。取得部22は、移動体の経路情報を取得する。経路情報は、経路の情報である。推定部23は、電波情報の送信元のセンサの位置と位置推定情報とに基づいて、発信源位置を推定する。発信源位置は、受信電波の発信源の位置である。照合部24は、時系列の発信源位置と、経路情報によって示される経路とを照合する。出力部25は、時系列の発信源位置と経路との類似度が所定のしきい値より高い場合に、発信源情報として、移動体の情報を出力する。発信源情報は、受信電波の発信源の種別を示す。
【0089】
このように、発信源情報出力装置20は、時系列の発信源位置と経路との類似度が所定のしきい値より高い場合に、受信電波の発信源の種別を示す発信源情報として、移動体の情報を出力する。これにより、調査者は、発信源情報として示される移動体を調査することができるので、電波の発信源の特定がより容易になる。そのため、電波の発信源の特定をより容易にする情報を出力することが可能になる。
【0090】
また、経路情報は、さらに、経路の中の地点を移動体が通過する時刻である運行時刻の情報を含んでいてもよい。また、照合部24は、照合に、さらに、運行時刻の情報を使用してもよい。これにより、発信源情報出力装置20は、発信源情報として、より正確な情報を出力することが可能になる。
【0091】
また、取得部22は、時系列の発信源位置の各々が、列車の線路の位置から所定の距離以内にある場合に、列車についての経路情報を取得してもよい。これにより、照合の対象の経路情報を、二以上の複数の種別の移動体の経路情報の中から、列車についての経路情報へ減らすことができるので、照合にかかる負荷や時間を低減することができる。
【0092】
また、取得部22は、時系列の発信源位置が、道路と交差して移動している場合に、UAVについての経路情報を取得してもよい。これにより、照合の対象の経路情報を、二以上の複数の種別の移動体の経路情報の中から、UAVについての経路情報へ減らすことができるので、照合にかかる負荷や時間を低減することができる。
【0093】
また、経路情報は、移動体の個体を識別可能な移動体識別情報を含んでいてもよい。また、出力部25は、類似度が所定のしきい値より高い経路についての経路情報に含まれる移動体識別情報を、発信源情報として出力してもよい。これにより、調査者は、発信源情報として示される移動体を調査することができるので、電波の発信源の特定がより容易になる。
【0094】
また、推定部23は、時系列の発信源位置に基づいて、受信電波の発信源が移動しているか否かを推定してもよい。また、取得部22は、発信源が移動していると推定された場合に、経路情報を取得してもよい。これにより、発信源が移動していない場合には、経路情報が取得されず、また、経路情報の照合がされなくなるので、照合にかかる負荷や時間を低減することができる。
【0095】
また、照合部24は、時系列の発信源位置と経路との間の距離に基づいて、類似度を計算してもよい。これにより、類似度の計算を実現できる。
【0096】
[ハードウェア構成例]
上述した本発明の各実施形態における発信源情報出力装置(10、20)を、一つの情報処理装置(コンピュータ)を用いて実現するハードウェア資源の構成例について説明する。なお、発信源情報出力装置は、物理的または機能的に少なくとも二つの情報処理装置を用いて実現されてもよい。また、発信源情報出力装置は、専用の装置として実現されてもよい。また、発信源情報出力装置の一部の機能のみが情報処理装置を用いて実現されてもよい。
【0097】
図8は、本発明の各実施形態の発信源情報出力装置を実現可能な情報処理装置のハードウェア構成例を概略的に示す図である。情報処理装置90は、通信インタフェース91、入出力インタフェース92、演算装置93、記憶装置94、不揮発性記憶装置95およびドライブ装置96を含む。
【0098】
たとえば、図1の受信部11、取得部12および出力部15は、通信インタフェース91と演算装置とで実現されることが可能である。また、推定部13および照合部14は、演算装置93で実現されることが可能である。
【0099】
通信インタフェース91は、各実施形態の発信源情報出力装置が、有線あるいは/および無線で外部装置と通信するための通信手段である。なお、発信源情報出力装置を、少なくとも二つの情報処理装置を用いて実現する場合、それらの装置の間を通信インタフェース91経由で相互に通信可能なように接続してもよい。
【0100】
入出力インタフェース92は、入力デバイスの一例であるキーボードや、出力デバイスとしてのディスプレイ等のマンマシンインタフェースである。
【0101】
演算装置93は、汎用のCPU(Central Processing Unit)やマイクロプロセッサ等の演算処理装置や複数の電気回路によって実現される。演算装置93は、たとえば、不揮発性記憶装置95に記憶された各種プログラムを記憶装置94に読み出し、読み出したプログラムに従って処理を実行することが可能である。
【0102】
記憶装置94は、演算装置93から参照可能な、RAM(Random Access Memory)等のメモリ装置であり、プログラムや各種データ等を記憶する。記憶装置94は、揮発性のメモリ装置であってもよい。
【0103】
不揮発性記憶装置95は、たとえば、ROM(Read Only Memory)、フラッシュメモリ、等の、不揮発性の記憶装置であり、各種プログラムやデータ等を記憶することが可能である。
【0104】
ドライブ装置96は、たとえば、後述する記録媒体97に対するデータの読み込みや書き込みを処理する装置である。
【0105】
記録媒体97は、たとえば、光ディスク、光磁気ディスク、半導体フラッシュメモリ等、データを記録可能な任意の記録媒体である。
【0106】
本発明の各実施形態は、たとえば、図8に例示した情報処理装置90により発信源情報出力装置を構成し、この発信源情報出力装置に対して、上記各実施形態において説明した機能を実現可能なプログラムを供給することにより実現してもよい。
【0107】
この場合、発信源情報出力装置に対して供給したプログラムを、演算装置93が実行することによって、実施形態を実現することが可能である。また、発信源情報出力装置のすべてではなく、一部の機能を情報処理装置90で構成することも可能である。
【0108】
さらに、上記プログラムを記録媒体97に記録しておき、発信源情報出力装置の出荷段階、あるいは運用段階等において、適宜上記プログラムが不揮発性記憶装置95に格納されるよう発信源情報出力装置を構成してもよい。なお、この場合、上記プログラムの供給方法は、出荷前の製造段階、あるいは運用段階等において、適当な治具を利用して発信源情報出力装置内にインストールする方法を採用してもよい。また、上記プログラムの供給方法は、インターネット等の通信回線を介して外部からダウンロードする方法等の一般的な手順を採用してもよい。
【0109】
上記の実施形態の一部または全部は、以下の付記のようにも記載されうるが、以下には限られない。
【0110】
(付記1)
複数のセンサのうちの少なくともいずれか一つのセンサから、センサで受信された電波である受信電波について、電波の発信源の位置の推定に使用される情報である位置推定情報を含む電波情報を受信する受信部と、
移動体の経路の情報である経路情報を取得する取得部と、
前記電波情報の送信元のセンサの位置と前記位置推定情報とに基づいて、前記受信電波の発信源の位置である発信源位置を推定する推定部と、
時系列の前記発信源位置と、前記経路情報によって示される前記経路とを照合する照合部と、
時系列の前記発信源位置と前記経路との類似度が所定のしきい値より高い場合に、前記受信電波の前記発信源の種別を示す発信源情報として、前記移動体の情報を出力する出力部と
を備える発信源情報出力装置。
【0111】
(付記2)
前記経路情報は、さらに、前記経路の中の地点を前記移動体が通過する時刻である運行時刻の情報を含み、
前記照合部は、前記照合に、さらに、前記運行時刻の情報を使用する、
付記1に記載の発信源情報出力装置。
【0112】
(付記3)
前記取得部は、時系列の前記発信源位置の各々が、列車の線路の位置から所定の距離以内にある場合に、列車についての前記経路情報を取得する、
付記1または付記2に記載の発信源情報出力装置。
【0113】
(付記4)
前記取得部は、時系列の前記発信源位置が、道路と交差して移動している場合に、UAV(unmanned aerial vehicle)についての前記経路情報を取得する、
付記1から付記3のいずれか一項に記載の発信源情報出力装置。
【0114】
(付記5)
前記経路情報は、前記移動体の個体を識別可能な移動体識別情報を含み、
前記出力部は、前記類似度が所定のしきい値より高い前記経路についての前記経路情報に含まれる前記移動体識別情報を、前記発信源情報として出力する、
付記1から付記4のいずれか一項に記載の発信源情報出力装置。
【0115】
(付記6)
前記推定部は、時系列の前記発信源位置に基づいて、前記受信電波の前記発信源が移動しているか否かを推定し、
前記取得部は、前記発信源が移動していると推定された場合に、前記経路情報を取得する、
付記1から付記5のいずれか一項に記載の発信源情報出力装置。
【0116】
(付記7)
前記照合部は、時系列の前記発信源位置と前記経路との間の距離に基づいて、前記類似度を計算する、
付記1から付記6のいずれか一項に記載の発信源情報出力装置。
【0117】
(付記8)
複数のセンサのうちの少なくともいずれか一つのセンサから、センサで受信された電波である受信電波について、電波の発信源の位置の推定に使用される情報である位置推定情報を含む電波情報を受信する受信手段と、
移動体の経路の情報である経路情報を取得する取得手段と、
前記電波情報の送信元のセンサの位置と前記位置推定情報とに基づいて、前記受信電波の発信源の位置である発信源位置を推定する推定手段と、
時系列の前記発信源位置と、前記経路情報によって示される前記経路とを照合する照合手段と、
時系列の前記発信源位置と前記経路との類似度が所定のしきい値より高い場合に、前記受信電波の前記発信源の種別を示す発信源情報として、前記移動体の情報を出力する出力手段と
を備える発信源情報出力システム。
【0118】
(付記9)
複数のセンサのうちの少なくともいずれか一つのセンサから、センサで受信された電波である受信電波について、電波の発信源の位置の推定に使用される情報である位置推定情報を含む電波情報を受信し、
移動体の経路の情報である経路情報を取得し、
前記電波情報の送信元のセンサの位置と前記位置推定情報とに基づいて、前記受信電波の発信源の位置である発信源位置を推定し、
時系列の前記発信源位置と、前記経路情報によって示される前記経路とを照合し、
時系列の前記発信源位置と前記経路との類似度が所定のしきい値より高い場合に、前記受信電波の前記発信源の種別を示す発信源情報として、前記移動体の情報を出力する、
発信源情報出力方法。
【0119】
(付記10)
前記経路情報は、さらに、前記経路の中の地点を前記移動体が通過する時刻である運行時刻の情報を含み、
前記照合に、さらに、前記運行時刻の情報を使用する、
付記9に記載の発信源情報出力方法。
【0120】
(付記11)
時系列の前記発信源位置の各々が、列車の線路の位置から所定の距離以内にある場合に、列車についての前記経路情報を取得する、
付記9または付記10に記載の発信源情報出力方法。
【0121】
(付記12)
時系列の前記発信源位置が、道路と交差して移動している場合に、UAVについての前記経路情報を取得する、
付記9から付記11のいずれか一項に記載の発信源情報出力方法。
【0122】
(付記13)
前記経路情報は、前記移動体の個体を識別可能な移動体識別情報を含み、
前記類似度が所定のしきい値より高い前記経路についての前記経路情報に含まれる前記移動体識別情報を、前記発信源情報として出力する、
付記9から付記12のいずれか一項に記載の発信源情報出力方法。
【0123】
(付記14)
時系列の前記発信源位置に基づいて、前記受信電波の前記発信源が移動しているか否かを推定し、
前記発信源が移動していると推定された場合に、前記経路情報を取得する、
付記9から付記13のいずれか一項に記載の発信源情報出力方法。
【0124】
(付記15)
時系列の前記発信源位置と前記経路との間の距離に基づいて、前記類似度を計算する、
付記9から付記14のいずれか一項に記載の発信源情報出力方法。
【0125】
(付記16)
コンピュータに、
複数のセンサのうちの少なくともいずれか一つのセンサから、センサで受信された電波である受信電波について、電波の発信源の位置の推定に使用される情報である位置推定情報を含む電波情報を受信する受信機能と、
移動体の経路の情報である経路情報を取得する取得機能と、
前記電波情報の送信元のセンサの位置と前記位置推定情報とに基づいて、前記受信電波の発信源の位置である発信源位置を推定する推定機能と、
時系列の前記発信源位置と、前記経路情報によって示される前記経路とを照合する照合機能と、
時系列の前記発信源位置と前記経路との類似度が所定のしきい値より高い場合に、前記受信電波の前記発信源の種別を示す発信源情報として、前記移動体の情報を出力する出力機能と
を実現させる発信源情報出力プログラム。
【0126】
(付記17)
前記経路情報は、さらに、前記経路の中の地点を前記移動体が通過する時刻である運行時刻の情報を含み、
前記照合機能は、前記照合に、さらに、前記運行時刻の情報を使用する、
付記16に記載の発信源情報出力プログラム。
【0127】
(付記18)
前記取得機能は、時系列の前記発信源位置の各々が、列車の線路の位置から所定の距離以内にある場合に、列車についての前記経路情報を取得する、
付記16または付記17に記載の発信源情報出力プログラム。
【0128】
(付記19)
前記取得機能は、時系列の前記発信源位置が、道路と交差して移動している場合に、UAVについての前記経路情報を取得する、
付記16から付記18のいずれか一項に記載の発信源情報出力プログラム。
【0129】
(付記20)
前記経路情報は、前記移動体の個体を識別可能な移動体識別情報を含み、
前記出力機能は、類似度が所定のしきい値より高い前記経路についての前記経路情報に含まれる前記移動体識別情報を、前記発信源情報として出力する、
付記16から付記19のいずれか一項に記載の発信源情報出力プログラム。
【0130】
(付記21)
前記推定機能は、時系列の前記発信源位置に基づいて、前記受信電波の前記発信源が移動しているか否かを推定し、
前記取得機能は、前記発信源が移動していると推定された場合に、前記経路情報を取得する、
付記16から付記20のいずれか一項に記載の発信源情報出力プログラム。
【0131】
(付記22)
前記照合機能は、時系列の前記発信源位置と前記経路との間の距離に基づいて、前記類似度を計算する、
付記16から付記21のいずれか一項に記載の発信源情報出力プログラム。
【0132】
以上、実施形態を参照して本願発明を説明したが、本願発明は上記実施形態に限定されるものではない。本願発明の構成や詳細には、本願発明のスコープ内で当業者が理解し得る様々な変更をすることができる。
【符号の説明】
【0133】
10、20 発信源情報出力装置
11、21 受信部
12、22 取得部
13、23 推定部
14、24 照合部
15、25 出力部
40 監視システム
50-i センサ
60 表示手段
90 情報処理装置
91 通信インタフェース
92 入出力インタフェース
93 演算装置
94 記憶装置
95 不揮発性記憶装置
96 ドライブ装置
97 記録媒体
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8