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特開2024-175720アプリケーションプログラム移行支援システムおよびアプリケーションプログラム移行支援方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024175720
(43)【公開日】2024-12-19
(54)【発明の名称】アプリケーションプログラム移行支援システムおよびアプリケーションプログラム移行支援方法
(51)【国際特許分類】
   G06F 11/36 20060101AFI20241212BHJP
【FI】
G06F11/36 180
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023093638
(22)【出願日】2023-06-07
(71)【出願人】
【識別番号】000005108
【氏名又は名称】株式会社日立製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110000925
【氏名又は名称】弁理士法人信友国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】益田 健司
(72)【発明者】
【氏名】楠本 俊司
(72)【発明者】
【氏名】上之勝 俊祐
【テーマコード(参考)】
5B042
【Fターム(参考)】
5B042GB02
5B042HH12
5B042HH49
(57)【要約】
【課題】画面構成などの内容が現行システムから変更された場合でも、更新されたアプリケーションプログラムの検証が適切にできるようにする。
【解決手段】現行アプリおよび更新アプリの実行画面の構成情報を取得して解析する画面解析部と、各アプリによるインターフェースへの操作を記載した操作定義を取得する画面操作定義取得部と、操作定義に則って解析した画面内の操作を実行する画面自動操作部と、画面自動操作部が実行した操作結果のキャプチャ画像を取得するキャプチャ画像取得部と、キャプチャ画像取得部が取得した画面のキャプチャ画像からテキストを認識して、現行アプリの実行画面と、更新アプリの実行画面とを比較して変更箇所を検出する比較処理部と、を備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1のアプリケーションプログラムで稼働する現行システムから、前記第1のアプリケーションプログラムとは異なる第2のアプリケーションプログラムで稼働する新規システムへの移行を支援するアプリケーションプログラム移行支援システムであり、
前記第1のアプリケーションプログラムおよび前記第2のアプリケーションプログラムの実行画面の構成情報を取得して解析する画面解析部と、
前記第1のアプリケーションプログラムおよび前記第2のアプリケーションプログラムによる操作を記載した操作定義を取得する画面操作定義取得部と、
前記画面操作定義取得部が取得した操作定義に則って、前記画面解析部が解析した画面内の操作を実行する画面自動操作部と、
前記画面自動操作部が実行した操作結果のキャプチャ画像を取得するキャプチャ画像取得部と、
前記キャプチャ画像取得部が取得した画面のキャプチャ画像からテキストを認識して、前記第1のアプリケーションプログラムの実行画面と、前記第2のアプリケーションプログラムの実行画面とを比較して変更箇所を検出して出力する比較処理部と、を備える
アプリケーションプログラム移行支援システム。
【請求項2】
さらに、前記比較処理部は、比較した結果に基づいて出力される画面として、前記第2のアプリケーションプログラムの実行画面の中に、変更箇所をハイライト表示させる
請求項1に記載のアプリケーションプログラム移行支援システム。
【請求項3】
前記変更箇所のハイライト表示は、前記変更箇所またはその背景の表示色を変更する処理である
請求項2に記載のアプリケーションプログラム移行支援システム。
【請求項4】
前記比較処理部は、比較した結果に基づいて出力される画面として、複数の画面の少なくとも一部を結合して1つの画面とした
請求項2に記載のアプリケーションプログラム移行支援システム。
【請求項5】
前記比較処理部は、前記画面解析部が解析した構成情報に基づいて、2つの実行画面内の同じ処理または操作によって表示されたテキストを比較して、一致するか否かを出力する
請求項1に記載のアプリケーションプログラム移行支援システム。
【請求項6】
前記比較処理部は、一方の画面に表示されたテキストが、他方の画面に表示されたテキストの前半と一致するとき、前方一致と判断して、該当する判断結果を出力する
請求項5に記載のアプリケーションプログラム移行支援システム。
【請求項7】
前記画面解析部は、表示される要素の表示座標を取得する
請求項5に記載のアプリケーションプログラム移行支援システム。
【請求項8】
前記画面解析部が取得する構成情報には、画面表示名が含まれる
請求項1に記載のアプリケーションプログラム移行支援システム。
【請求項9】
前記画面解析部が解析して取得する構成情報は、画面中のボタン、テキストボックス、セレクトボックス、チェックボックス、ラジオボタン、ラベル、リンク、表示の少なくともいずれか1つである
請求項1に記載のアプリケーションプログラム移行支援システム。
【請求項10】
第1のアプリケーションプログラムで稼働する現行システムから、前記第1のアプリケーションプログラムとは異なる第2のアプリケーションプログラムで稼働する新規システムへの移行を支援するアプリケーションプログラム移行支援方法であり、
前記第1のアプリケーションプログラムおよび前記第2のアプリケーションプログラムの実行画面の構成情報を取得して解析する画面解析処理と、
前記第1のアプリケーションプログラムおよび前記第2のアプリケーションプログラムによる操作を記載した操作定義を取得する画面操作定義取得処理と、
前記画面操作定義取得処理により取得した操作定義に則って、前記画面解析処理で解析した画面内の操作を実行する画面自動操作処理と、
前記画面自動操作処理で実行した操作結果のキャプチャ画像を取得するキャプチャ画像取得処理と、
前記キャプチャ画像取得処理により取得した画面のキャプチャ画像からテキストを認識して、前記第1のアプリケーションプログラムの実行画面と、前記第2のアプリケーションプログラムのインターフェースの実行画面とを比較して変更箇所を検出する比較処理と、を含む
アプリケーションプログラム移行支援方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アプリケーションプログラム移行支援システムおよびアプリケーションプログラム移行支援方法に関する。
【背景技術】
【0002】
工場内の設備や各種社会インフラなどの制御や監視を行う制御装置は、コンピュータにアプリケーションプログラムを実装して構成される。この場合、アプリケーションプログラムは機能の追加などにより適宜、新しいものに更新されていく。
【0003】
このようなアプリケーションプログラムを、現行システムから新規システムに更新する際の新規システムの開発時には、新規システムで正しく制御が行われることの確認が必要である。具体的には、現行システムと同じ操作を新規システムで実施し、両システムで同じデータが出力されるかを確認する比較テスト作業を実行している。ここで、両システムで同じデータが出力されるか否かの確認は、テストを実行する担当者により目視で行われている。
【0004】
このような目視によるテストの確認は、時間がかかると共に作業精度に懸念があり、自動化が望まれていた。
特許文献1には、新旧システムの画面入力操作を検証する際に、新システムの実行画面と旧システムの実行画面を、それぞれ画面上の同じ座標位置どうしで比較して、同じ結果になるかを自動的に判断する技術が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2017-215764号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
現行システムと新規システムとで、画面構成が全く同じである場合には、特許文献1に記載された技術を適用することで、両システムの同じ座標位置の表示が同じ状態になることを検知することにより、自動的に新システムを検証することができる。
しかしながら、実際には新規システムを作成した際に表示される画面構成や画面のデザインを変更することが多々あり、同じ座標位置の表示を比較するだけでは対処できないケースが発生してしまう。
【0007】
本発明は、かかる点に鑑み、画面構成などの内容が現行システムから変更された場合でもアプリケーションプログラムの検証が適切にできるアプリケーションプログラム移行支援システムおよびアプリケーションプログラム移行支援方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、例えば請求の範囲に記載の構成を採用する。
本願は、上記課題を解決する手段を複数含んでいるが、その一例を挙げるならば、アプリケーションプログラム移行支援システムとして、第1のアプリケーションプログラムで稼働する現行システムから、第1のアプリケーションプログラムとは異なる第2のアプリケーションプログラムで稼働する新規システムへの移行を支援するものであり、アプリケーションプログラム移行支援システムの構成としては、第1のアプリケーションプログラムおよび第2のアプリケーションプログラムの実行画面の構成情報を取得して解析する画面解析部と、第1のアプリケーションプログラムおよび第2のアプリケーションプログラムによる操作を記載した操作定義を取得する画面操作定義取得部と、画面操作定義取得部が取得した操作定義に則って、画面解析部が解析した画面内の操作を実行する画面自動操作部と、画面自動操作部が実行した操作結果のキャプチャ画像を取得するキャプチャ画像取得部と、キャプチャ画像取得部が取得した画面のキャプチャ画像からテキストを認識して、第1のアプリケーションプログラムの実行画面と、第2のアプリケーションプログラムの実行画面を比較して変更箇所を検出する比較処理部と、を備える。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、現行システムと新規システムとで画面デザインなどが変更された場合であっても、変更箇所や変更内容を自動的に検出できるようになる。
上記した以外の課題、構成および効果は、以下の実施形態の説明により明らかにされる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の一実施の形態例に係るアプリケーションプログラム移行支援システムの概略構成を示す図である。
図2】本発明の一実施の形態例に係るアプリケーションプログラム移行支援システムの装置構成例を示すブロック図である。
図3】本発明の一実施の形態例に係るアプリケーションプログラム移行支援システムの処理の流れの例を示すフローチャートである。
図4】本発明の一実施の形態例に係る画面操作定義の例を示す図である。
図5】本発明の一実施の形態例に係る操作定義に基づいた自動操作の例を示す図である。
図6】本発明の一実施の形態例に係る文字情報抽出処理の例(抽出前の情報)を示す図である。
図7】本発明の一実施の形態例に係る文字情報抽出処理の例(抽出した結果)を示す図である。
図8】本発明の一実施の形態例に係る自動操作の画面遷移の例を示す図である。
図9】本発明の一実施の形態例に係る表の集計処理の例を示す図である。
図10】本発明の一実施の形態例に係る結果画面の例(前方一致を検出した例)を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、添付図面を参照して、本発明の一実施の形態例(以下、「本例」と称する)のアプリケーションプログラム移行支援システムおよびアプリケーションプログラム移行支援方法について説明する。
【0012】
[アプリケーションプログラム移行支援システムの概要]
図1は、本例のアプリケーションプログラム移行支援システムで行われる処理の概略を示す構成図である。
本例のシステムでは、現行システムである第1のアプリケーションプログラムを実行して端末で表示される現行アプリ画面11と、新規システムである第2のアプリケーションプログラムを実行して端末で表示される新規アプリ画面12を、比較ツール110aで解析して比較している。なお、以下の説明では、第1のアプリケーションプログラムを現行アプリと称し、第2のアプリケーションプログラムを新規アプリと称する。比較ツール110aは、本例のアプリケーションプログラム移行支援システム100(図2)として機能するコンピュータ装置に実装されたプログラムである。
【0013】
比較ツール110aは、現行アプリと新規アプリを解析して、両アプリの実行画面の差分を検出する。この解析を行うために、比較ツール110aは現行アプリと新規アプリの画面表示に関するシステム設定D11と、画面項目一覧D12などを取得する。
例えば、システム設定D11は、コントロールの種類(テキストボックスなど)、表示画像の形態、ラベル位置の情報を持つ。また、画面項目一覧D12は、画面表示名、画面項目属性、副属性の情報を持つ。これらのシステム設定D11や画面項目一覧D12は、画面の表示要素を構成する情報である。
【0014】
アプリケーションプログラム移行支援システム100の表示部103(図2)は、これらの表示名と属性に従った新規アプリの実行画面20を表示する。図1に示す実行画面20は、ボタン21~24、セレクトボックス25、ラジオボタン26、テキストボックス27、および表28を表示した例を示す。
また、図1に示す画面項目一覧D12は、セレクトボックス25と、テキストボックス27と、表28の画面構成の一覧を示している。
【0015】
また、比較ツール110aにおける解析で、実行画面20の各表示要素の表示座標位置の情報を、画面解析結果D13として取得する。例えば、画面解析結果D13としては、画面20の中の表示名「AAA」「BBB」「CCC」それぞれの位置を示すX座標位置およびY座標位置(水平および垂直の座標位置)が得られる。
【0016】
そして、比較ツール110aは、現行アプリと新規アプリを解析した後、両アプリの実行画面、すなわち現行アプリ画面11と新規アプリ画面12の差分を検出する。検出した差分は、一覧表などで表示させてもよいが、例えば表示部103が表示した画面20の中に、差分を検出した箇所をハイライト表示させるようにしてもよい。このハイライト表示させた例の詳細は後述する。
【0017】
[アプリケーションプログラム移行支援システムの構成]
図2は、アプリケーションプログラム移行支援システム100として機能するコンピュータ装置の構成例を示す。
図2に示すアプリケーションプログラム移行支援システム(コンピュータ装置)100は、CPU(Central Processing Unit)101、インターフェース部102、表示部103、入力部104、メモリ110、およびストレージ120を備え、これらがバスラインでデータ転送可能に接続されている。
【0018】
CPU101は、メモリ110またはストレージ120に記憶されたプログラムを実行して、アプリケーションプログラム移行支援処理を実行する。このアプリケーションプログラム移行支援処理を実行することにより、メモリ110には、アプリケーションプログラム移行支援処理の実行に必要な各種機能部が構成される。
例えば、メモリ110には、画面解析部111、画面操作定義取得部112、画面自動操作部113、キャプチャ画像取得部114、および比較処理部115が構成される。これらの各機能部111~115が行う処理については、後述する。
【0019】
ストレージ120には、現行アプリ121のプログラムデータ、新規アプリ122のプログラムデータなどが記憶される。また、比較ツール110aを実行する上で必要なデータ、例えば画像解析やテキスト認識などに必要なデータも、ストレージ120に記憶される。
【0020】
インターフェース部102は、現行アプリ121や新規アプリ122などのデータを所定のネットワークを経由して外部から取得する。
表示部103は、現行アプリ121や新規アプリ122の実行画面を表示すると共に、比較ツール110aの実行結果などを表示する。なお、アプリケーションプログラム移行支援システム100は、インターフェース部102などを経由して結果のデータを外部に出力し、その出力データを受信した端末側で、結果の表示などの出力処理を行ってもよい。
入力部104は、例えばキーボードやマウスなどの入力機器であり、操作者が比較ツール110aで比較作業を実行する際の入力を受け付ける。
【0021】
[アプリケーションプログラム移行支援システムにより実行される処理の流れ]
図3は、本例のアプリケーションプログラム移行支援システム100により実行される処理の流れを示すフローチャートである。
まず、アプリケーションプログラム移行支援システム100の画面解析部111は、画像解析処理を実行して、現行アプリと新規アプリの実行画面の表示要素の構成情報である、画面構成要素を各アプリのプログラムデータから取得する(ステップS11)。
【0022】
そして、画面解析部111は、この取得処理により、例えば図1に示す画面の構成要素であるシステム設定D11のデータや、画面項目一覧D12のデータなどを取得する。また、画面解析部111は、取得した実行画面の構成情報の画面解析処理を実行し、画面上の各構成要素の表示座標位置を得る、表示座標位置取得処理を行う(ステップS12)。このステップS12の処理で、画面解析部111は、例えば図1に示すような画面解析結果D13のような画面上の各構成要素のX座標とY座標の位置を得る。
【0023】
次に、画面操作定義取得部112は、現行アプリと新規アプリから、それぞれのアプリケーションプログラムによるインターフェースへの操作を記載した操作定義である、画面操作定義を取得する、画面操作定義取得処理を行う(ステップS13)。
図4は、画面操作定義の例を示す。
図4の例では、画面操作定義として、ID、操作、画面表示名、コントロール種別、画面操作属性、値、スクリーンショットID、および比較スクリーンショットIDの項目を有する。
【0024】
操作は、URL押下、画面表示、キャプチャ取得、検索条件入力、・・・などの該当する箇所の表示要素で行われる操作内容を示す。
画面表示名は、該当する箇所に表示される表示名を示す。
コントロール種別は、該当する箇所での文字などの入力、URLの選択、ボタン操作などの種別を示す。
画面表示属性は、セレクトボックス、ラジオボタン、テキストボックスなどの属性を示す。
値は、該当する箇所に自動操作で入力される値や文字を示す。
【0025】
スクリーンショットIDは、該当する箇所に付与されるスクリーンショットのIDを示す。比較スクリーンショットIDは、該当する箇所と比較するためのスクリーンショットのIDを示す。
すなわち、スクリーンショットIDおよび比較スクリーンショットIDは、現行アプリと新規アプリとを比較する際に使用されるIDである。なお、ここではキャプチャ画像から画面構成情報に対応した箇所を取り出した画像をスクリーンショットという。
【0026】
図3の説明に戻ると、ステップS13の画面操作定義取得処理の後で、画面自動操作部113は、現行アプリと新規アプリのそれぞれの実行画面を予め決められた手順で、画面操作定義取得処理で取得した操作定義に則って画面自動操作処理を行う(ステップS14)。
ここで、画面自動操作処理は、予め決められた手順で完全に自動的に操作を行うようにしてもよいが、一部の操作は操作者が手動で入力操作を行ってもよい。
そして、アプリケーションプログラム移行支援システム100は、自動操作が行われた結果の現行アプリによる実行画面と、新規アプリ画面による実行画面を生成する。
画面自動操作部113が現行アプリと新規アプリの実行画面を生成すると、キャプチャ画像取得部114は、それぞれの実行画面のキャプチャ画像を得る、キャプチャ画像取得処理を行う(ステップS15)。
【0027】
キャプチャ画像取得部114によりキャプチャ画像が取得されると、比較処理部115は、そのキャプチャ画像から各構成要素の表示座標位置のスクリーンショットを取得し、スクリーンショット内の文字などのテキスト情報の認識処理を行う。ここで、比較処理部115は、光学的文字認識(OCR:Optical Character Recognition)と称される文字(テキスト)認識技術を採用して、画像内の文字や数字などのテキストを抽出する。
そして、比較処理部115は、現行アプリによる実行画面から得たスクリーンショットと、新規アプリ画面による実行画面から得たスクリーンショットとで、同じ操作内容どうしで認識した文字情報(テキスト情報)を比較する(ステップS16)。
【0028】
ステップS16における比較で、文字や数字などのテキスト情報に相違がある場合、比較処理部115は、相違した箇所のハイライト処理を行う(ステップS17)。ハイライト処理とは、例えば、該当する箇所に特定の色を付ける処理である。
そして、比較処理部115は、ハイライト処理が行われた箇所を、実行画面に合成させる、画面合成処理を行う(ステップS18)。また、アプリケーションプログラム移行支援システム100の表示部103は、ステップS18で合成された画面の出力処理(表示処理)を行う(ステップS19)。
【0029】
[操作定義と自動操作の例]
図5は、表示画面の構成要素の操作定義D14(図4に示す操作定義の一部)に基づいて生成される画面と、その画面の自動操作を行う例を示す。ここでの操作定義D14の値は、画面自動操作部113の自動操作により入力されるものである。
ここで生成される画面には、ボタン21~24、セレクトボックス25、ラジオボタン26、テキストボックス27、および表28が表示される。
ここで、画面自動操作部113の自動操作により、例えばテキストボックス27に、「test」と入力する処理が行われる。テキストボックス27の位置は、ステップS12における解析処理で得た座標位置により判断することができる。
【0030】
[文字情報の比較処理]
図6および図7は、実行画面から文字情報(テキスト情報)を抽出する処理と、抽出した文字情報を比較する処理の例を示す。
図6の上側は、現行アプリによる自動操作後の実行画面210を示し、図6の下側は、新規アプリによる自動操作後の実行画面220を示す。
【0031】
現行アプリによる実行画面210の各構成要素211~218と、新規アプリによる自動操作後の実行画面220の各構成要素221~228は、基本的に同じ構成要素であるが、2つの画面レイアウトは相違している。このため、現行アプリによる自動操作の結果と新規アプリによる自動操作の結果も、それぞれのアプリに依存する結果となる。
したがって、現行アプリによる実行画面210の操作結果を示す表218と、新規アプリによる実行画面220の操作結果を示す表228も、本来は同じ数値になるが、新規アプリにエラーなどがあった場合には数値が相違する場合もある。
【0032】
ここで、比較処理部115は、現行アプリによる実行画面210の各構成要素211~218に含まれる文字情報と、新規アプリによる自動操作後の実行画面220の各構成要素221~228に含まれる文字情報を、文字認識処理でテキストとして認識して比較する。
【0033】
図7は、現行アプリと新規アプリそれぞれの文字認識結果と比較結果の一覧情報D15を示す。
図7に示す一覧情報D15では、項目、期待値(現行アプリの値)、種別、出力結果(新規アプリの値)、結果、確認日が示されている。
図7に示すように、比較処理部115は、現行アプリによる実行画面210の各構成要素211~218と、新規アプリによる自動操作後の実行画面220の各構成要素221~228について、同じ構成要素どうしを1行の項目として比較している。期待値は、現行アプリの構成要素のスクリーンショットから画像認識した文字情報(テキスト情報)であり、出力結果は、新規アプリの構成要素のスクリーンショットから画像認識した文字情報である。
【0034】
結果の欄は、期待値と出力結果とが一致するか否かを示す。すなわち、「OK」と記載された欄は、構成要素内の文字が一致し、「NG」と記載された欄は、構成要素内の文字が一致しないことを示している。確認日の欄は、確認処理を実行した日時を示す。
このような比較結果の一覧情報が表示されることで、操作者は、新規アプリでの変更箇所を容易に判断することが可能になる。したがって、操作者は、画面内の表示を目視で1つ1つ確認する作業が不要になり、アプリケーションプログラム更新時のチェック作業を短時間で容易に行えるようになる。
【0035】
[自動操作に生成される画面とハイライト表示の例]
図8は、画面自動操作部113による自動操作が行われる際の画面の遷移と、結果として表示されるハイライト表示の例を示す。図8に示すそれぞれの自動操作中の画面は、表示部103に表示される。また、ストレージ120がそれぞれの画面を記憶して、後で操作者が検証できるように表示してもよい。
【0036】
図8の例では、最初に上段の左の画面M11で、操作一覧が表示され、その操作一覧からいずれか1つの項目が選択されて、上段の中央の画面M12が形成される。この画面M12は、特定の制御を行うための画面であり、画面M12には、ボタン、テキストボックス、表などの構成要素221~228が表示されている。
ここで、下段の左の画面M13に示すように、セレクトボックス225で、数値「6」が自動選択され、ラジオボタン226にオフが自動入力され、テキストボックス227に「test」と自動入力される。
【0037】
この画面M13に示す入力操作に基づいて、新規アプリを実行した結果が、下段の右の画面M14として表示される。
この画面M14の表示時には、現行アプリの画面と新規アプリの画面とを比較した上で、相違した箇所をハイライト表示している。すなわち、画面M14では、セレクトボックス225、ラジオボタン226、テキストボックス227の箇所で、それぞれ背景色の変更箇所225a、226a、227aを設けて、他の箇所より目立ったハイライト表示を行っている。
【0038】
これにより、操作者は、新規アプリで画面が変更された箇所が、このようなハイライト表示から容易に判断することができる。
なお、ハイライト表示を行う例として、背景色を変更するのは一例であり、表示箇所そのものの色を変更してもよい。あるいは、その他の該当箇所を周囲よりも目立たせるハイライト表示を行うようにしてもよい。
【0039】
[表をまとめて表示する例]
図9は、自動操作により得られた表が大きすぎて、表示結果を複数の画面で表示しなければならない場合に、その複数の画面の全てをまとめて1つの画面で表示した例を示す。
すなわち、画面自動操作部113による実行結果として、図9の左の上段に示す画面M21と、左の中段に示す画面M22と、左の下段に示す画面M23とが得られたとする。
これらの画面M21、M22,M23は、表228a,228b,228cの表示範囲が相違している。すなわち、画面M21は上側の1/3の表228aを表示し、画面M22は中央の1/3の表228bを表示し、画面M23は下側の1/3の表228cを表示している。この3つの表示は、画面内のスクロールボタンの操作で表示範囲を変更して、いずれかの表示形態とするものである。
【0040】
ここで、画面自動操作部113による自動操作後の結果、画面M24の表228dに示すように、これら画面M21、M22、M23の3つの表示範囲を結合した表示を行う。すなわち、画面自動操作部113は、表228a,228b,228cの3つを縦に結合して、表228dとして表示する。
この自動操作後の結果の画面M24を表示する際にも、図8で説明した例と同様に、現行アプリからの相違箇所をハイライト表示するようにする。
これにより、自動操作結果が、1つの画面で全て表示されない場合でも、現行アプリと新規アプリとの相違の有無が全ての範囲で容易に認識できるようになる。
なお、図9では画面の縦方向の複数の表示を結合して、1つに表示した例を示したが、画面の横方向の複数の表示を結合して、1つの表示としてもよい。
【0041】
[表示文字が一部だけの場合の例]
図10は、図7で説明した比較結果の一覧表示を行う場合に、表示文字の一部だけが一致した場合の例を示す。
ボタンなどに表示する文字列は、そのボタンの表示サイズの制約で、本来表示する文字の一部だけを表示する場合がある。例えば、図10に示すように、現行アプリの表示画面のボタン内の文字を抽出した期待値が、「株式会社ABC」であり、新規アプリの表示画面の同じボタン内の文字を抽出した出力結果が、「株式会社ABC製作所」であるとする。
【0042】
このとき、期待値「株式会社ABC」と、出力結果「株式会社ABC製作所」は前方一致であり、期待値「株式会社ABC」が「株式会社ABC製作所」の前方の一部だけを表示した可能性がある。したがって、このような場合には、結果の欄に、警告「WARN」を出して操作者に確認を促すようにする。
【0043】
これにより、現行アプリと新規アプリとで、表示レイアウトの変更などで表示文字数が変更された場合でも、適切に確認することができる。なお、図10の例では、結果を警告としたが、このような前方一致のとき、結果を一致「OK」とみなすようにしてもよい。
【0044】
[変形例]
なお、ここまで説明した実施の形態例は、本発明を分かりやすく説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。
例えば、図面に示す画面の表示形態は一例であり、本発明は、これらの表示形態に限定されない。
また、図2に示すアプリケーションプログラム移行支援システム100の構成図では、制御線や情報線は説明上必要と考えられるものだけを示しており、製品上必ずしも全ての制御線や情報線を示しているとは限らない。実際には殆ど全ての構成が相互に接続されていると考えてもよい。
また、図3に示すフローチャートに示す処理の流れについても一例であり、処理結果が同じであれば、一部の処理順序の変更や、複数の処理の同時実行を行うようにしてもよい。
【0045】
また、図2に示すようにアプリケーションプログラム移行支援システム100を分析ツールとしてのプログラム(アプリケーションプログラム移行支援方法を実行するプログラム)が実装されたコンピュータ装置として構成した点についても一例であり、アプリケーションプログラム移行支援システム100をその他の構成で実現してもよい。
例えば、アプリケーションプログラム移行支援システム100の一部または全部を、FPGA(Field Programmable Gate Array)やASIC(Application Specific Integrated Circuit)などの専用のハードウェアによって実現してもよい。
また、アプリケーションプログラム移行支援システム100の一部の構成を、ネットワークで接続されたサーバなどの他の処理装置に置いて、複数の処理装置でデータをやり取りしてもよい。
【0046】
また、アプリケーションプログラム移行支援方法を実行するプログラムについては、コンピュータ内の記憶装置に用意する他に、外部のメモリ、ICカード、SDカード、光ディスク等の記録媒体に置いて、転送してもよい。
【符号の説明】
【0047】
100…アプリケーションプログラム移行支援システム、101…CPU、102…インターフェース部、103…表示部、104…入力部、110…メモリ、110a…比較ツール、111…画面解析部、112…画面操作定義取得部、113…画面自動操作部、114…キャプチャ画像取得部、115…比較処理部、120…ストレージ、121…現行アプリ、122…新規アプリ
図1
図2
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図8
図9
図10