(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024175723
(43)【公開日】2024-12-19
(54)【発明の名称】シート排出装置及び画像形成装置
(51)【国際特許分類】
B65H 31/00 20060101AFI20241212BHJP
G03G 15/00 20060101ALI20241212BHJP
【FI】
B65H31/00 Z
G03G15/00 460
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023093649
(22)【出願日】2023-06-07
(71)【出願人】
【識別番号】000005496
【氏名又は名称】富士フイルムビジネスイノベーション株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100137752
【弁理士】
【氏名又は名称】亀井 岳行
(74)【代理人】
【識別番号】100085040
【弁理士】
【氏名又は名称】小泉 雅裕
(74)【代理人】
【識別番号】100108925
【弁理士】
【氏名又は名称】青谷 一雄
(74)【代理人】
【識別番号】100087343
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 智廣
(72)【発明者】
【氏名】福田 泰久
(72)【発明者】
【氏名】渡部 聡
(72)【発明者】
【氏名】後藤 駿
(72)【発明者】
【氏名】河野 裕貴
(72)【発明者】
【氏名】小鷹狩 佳法
(72)【発明者】
【氏名】桑田 隆司
【テーマコード(参考)】
2H072
3F054
【Fターム(参考)】
2H072FB01
2H072FB06
3F054AA01
3F054AC01
3F054BA04
3F054BB16
(57)【要約】 (修正有)
【課題】排出トレイの壁面に設けられ、壁面の下方に行くに従いシートの排出方向と交差する幅方向の両端部外側へ向けて広がるよう傾斜した複数の排気通路を備えない場合と比較して、シートの排出時に排出トレイに排出されるシートの姿勢が乱れるのを抑制する。
【解決手段】排出されるシートをその排出方向に沿った上流側の端部を壁面に突き当て収容する排出トレイと、前記排出トレイの壁面に設けられ、前記壁面の下方に行くに従い前記シートの排出方向と交差する幅方向に沿った両端部外側へ向けて広がるよう傾斜した複数の排気通路と、を備える。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
排出されるシートをその排出方向に沿った上流側の端部を壁面に突き当て収容する排出トレイと、
前記排出トレイの壁面に設けられ、前記壁面の下方に行くに従い前記シートの排出方向と交差する幅方向に沿った両端部外側へ向けて広がるよう傾斜した複数の排気通路と、
を備えたシート排出装置。
【請求項2】
前記複数の排気通路は、基準位置を中心として対称形状に設けられる請求項1に記載のシート排出装置。
【請求項3】
前記基準位置は、前記シートの排出方向と交差する方向の中央である請求項2に記載のシート排出装置。
【請求項4】
前記複数の排気通路は、前記排出トレイの壁面に設けられた凸部又はスリット部により形成される請求項2に記載のシート排出装置。
【請求項5】
前記排出トレイは、前記シートの排出方向に沿った上流側の端部が最も低く形成された傾斜面を有する請求項1に記載のシート排出装置。
【請求項6】
前記シートは、自重によって前記排出トレイの傾斜面に沿って前記シートの排出方向に沿った上流側の端部が前記壁面に突き当てられた状態で排出される請求項5に記載のシート排出装置。
【請求項7】
シートに画像を形成する画像形成手段と、
前記画像形成手段によって画像が形成された前記シートを排出するシート排出手段と、
を備え、
前記シート排出手段として請求項1乃至6の何れかに記載のシート排出装置を用いた画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、シート排出装置及び画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、シート排出装置に関する技術としては、例えば、特許文献1乃至4等に開示されたものが既に提案されている。
【0003】
特許文献1は、用紙を排出する排出部材と、排出部材によって排出された用紙が積載される用紙積載部と、用紙積載部に積載される用紙の後端位置を規制する後端規制部材と、後端規制部材の基準面と用紙積載部の用紙積載面とに面する隅部から空気を排気する排気手段とを備えるよう構成したものである。
【0004】
特許文献2は、排出口が形成された排出壁部と、送られてくるシートを排出口から排出するための排出ローラと、排出口から排出されて落下する前記シートを積載するためのシート積載部と、排出壁部における排出口とシート積載部との間で開口し、排出口から排出されるシートの下方の空気を吸引する吸引部と、吸引部による吸引動作を制御するための制御部と、を有し、制御部は、排出口から排出されるシートの後端が排出口から抜け出たタイミングで吸引部が吸引動作を開始し、所定の時間が経過したタイミングで吸引動作を停止するように、吸引部を制御するよう構成したものである。
【0005】
特許文献3は、画像形成装置本体に設けられた排紙手段より排出された画像形成済用紙を受入れ収納するように排紙手段より下方に幾分隔離して画像形成装置本体側面に取付けられたトレイと、トレイの両側全長に亘って、トレイ上面と排紙手段よりも幾分上方との間に設けられた側壁とを有する排紙トレイにおいて、排紙トレイの両側の側壁を、鉛直方向に延び、斜面の水平方向の幅が排紙方向上流側が下流側より長い鋸歯状凹凸を有する面とするとともに、その壁面に概ね全高に亘って空気孔を設けるよう構成したものである。
【0006】
特許文献4は、用紙が搬送されて積載される排紙トレイ上において、用紙の積載高さを検出するため積載高さに応じて移動可能な満杯検知部材において、満杯検知部材は、搬送される用紙の先端が接触する接触面部と、接触面部の搬送方向下流側に位置して排紙トレイに積載される用紙の最上層と接触可能な検知部を有し、接触面部に、用紙の搬送方向に対して傾斜した傾斜縁部を有する穴が形成されているものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2009-078873号公報
【特許文献2】特開2015-212194号公報
【特許文献3】特許第2896245号公報
【特許文献4】特開2020-142915号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
この発明の目的は、排出トレイの壁面に設けられ、壁面の下方に行くに従いシートの排出方向と交差する幅方向の両端部外側へ向けて広がるよう傾斜した複数の排気通路を備えない場合と比較して、シートの排出時に排出トレイに排出されるシートの姿勢が乱れるのを抑制することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
請求項1に記載された発明は、排出されるシートをその排出方向に沿った上流側の端部を壁面に突き当て収容する排出トレイと、
前記排出トレイの壁面に設けられ、前記壁面の下方に行くに従い前記シートの排出方向と交差する幅方向に沿った両端部外側へ向けて広がるよう傾斜した複数の排気通路と、
を備えたシート排出装置である。
【0010】
請求項2に記載された発明は、前記複数の排気通路は、基準位置を中心として対称形状に設けられる請求項1に記載のシート排出装置である。
【0011】
請求項3に記載された発明は、前記基準位置は、前記シートの排出方向と交差する方向の中央である請求項2に記載のシート排出装置である。
【0012】
請求項4に記載された発明は、前記複数の排気通路は、前記排出トレイの壁面に設けられた凸部又はスリット部により形成される請求項2に記載のシート排出装置である。
【0013】
請求項5に記載された発明は、前記排出トレイは、前記シートの排出方向に沿った上流側の端部が最も低く形成された傾斜面を有する請求項1に記載のシート排出装置である。
【0014】
請求項6に記載された発明は、前記シートは、自重によって前記排出トレイの傾斜面に沿って前記シートの排出方向に沿った上流側の端部が前記壁面に突き当てられた状態で排出される請求項5に記載のシート排出装置である。
【0015】
請求項7に記載された発明は、シートに画像を形成する画像形成手段と、
前記画像形成手段によって画像が形成された前記シートを排出するシート排出手段と、
を備え、
前記シート排出手段として請求項1乃至6の何れかに記載のシート排出装置を用いた画像形成装置である。
【発明の効果】
【0016】
請求項1に記載された発明によれば、排出トレイの壁面に設けられ、壁面の下方に行くに従いシートの排出方向と交差する幅方向の両端部外側へ向けて広がるよう傾斜した複数の排気通路を備えない場合と比較して、シートの排出時に排出トレイに排出されるシートの姿勢が乱れるのを抑制することができる。
【0017】
請求項2に記載された発明によれば、複数の排気通路は、非対称形状に設けられる場合と比較して、シートの姿勢が乱れるのを効果的に抑制することができる。
【0018】
請求項3に記載された発明によれば、基準位置がシートの排出方向と交差する方向の中央以外にある場合と比較して、シートを幅方向において対称に規制しやすくなる。
【0019】
請求項4に記載された発明によれば、複数の排気通路は、排出トレイの壁面に設けられた凸部又はスリット部以外から形成される場合と比較して、当該排気通路の形成が容易となる。
【0020】
請求項5に記載された発明によれば、排出トレイは、シートの排出方向に沿った上流側の端部が最も低く形成された傾斜面を有しない場合と比較して、シートを壁面に突き当てて確実に整合させることができる。
【0021】
請求項6に記載された発明によれば、シートは、自重以外に力によって排出トレイの壁面に突き当てられる場合と比較して、構成を簡略化することができる。
【0022】
請求項7に記載された発明によれば、シート排出手段として請求項1乃至6の何れかに記載のシート排出装置を用いない場合と比較して、シートの排出時に排出トレイに排出されるシートの姿勢が乱れるのを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【
図1】この発明の実施の形態1に係るシート排出装置を適用した画像形成装置を示す全体構成図である。
【
図2】この発明の実施の形態1に係る画像形成装置の要部を示す構成図である。
【
図3】この発明の実施の形態1に係る画像形成装置の要部を示す斜視構成図である。
【
図5】この発明の実施の形態1に係るシート排出装置を示す斜視構成図である。
【
図6】シート排出装置の壁面を示す正面構成図である。
【
図8】この発明の実施の形態1に係るシート排出装置の作用を示す斜視構成図である。
【
図9】この発明の実施の形態2に係るシート排出装置を示す斜視構成図である。
【
図10】シート排出装置の壁面を示す正面構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下に、この発明を実施するための形態(以下、「実施の形態」という)について図面を参照しながら説明する。
【0025】
[実施の形態1]
図1及び
図2は、実施の形態1に係るシート排出装置を適用した画像形成装置を示すものである。
図1はその画像形成装置の全体の概要を示し、
図2はその画像形成装置における要部(作像装置など)を拡大して示している。
【0026】
<画像形成装置の全体の構成>
実施の形態1に係る画像形成装置1は、例えばカラー複写機として構成されたものである。この画像形成装置1は、装置本体1aの上端に図示しない原稿の画像を読み取る画像読取装置2を備えている。画像形成装置1は、画像読取装置2で読み取られた原稿の画像を複写する機能の他に、図示しないホストコンピュータ等から送られてくる画像情報を記録するカラープリンタ等としても機能するものである。
【0027】
画像形成装置1は、装置本体1aの内部に、現像剤4を構成するトナーで現像されるトナー像を形成する複数の作像装置10と、各作像装置10で形成されたトナー像をそれぞれ保持して最終的にシートの一例としての記録用紙5に二次転写する二次転写位置まで搬送する中間転写装置20と、中間転写装置20の二次転写位置に供給すべき所要の記録用紙5を収容して搬送する給紙装置50と、中間転写装置20で二次転写された記録用紙5上のトナー像を定着させる定着装置40等を備えている。複数の作像装置10及び中間転写装置20は、記録用紙5に画像を形成する画像形成手段を構成している。なお、画像形成装置1の装置本体1aは、支持構造部材や外装カバー等で形成されている。
【0028】
作像装置10は、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)及びブラック(K)の4色のトナー像をそれぞれ専用に形成する4つの作像装置10Y,10M,10C,10Kで構成されている。これらの4つの作像装置10(Y,M,C,K)は、装置本体1aの内部空間において傾斜した状態で1列に並べた状態となるよう配置されている。4つの作像装置10(Y,M,C,K)は、イエロー(Y)の作像装置10Yが鉛直方向Zに沿った上方に位置して相対的に高く、ブラック(K)の作像装置10Kが相対的に低くなる位置に存在している。
【0029】
イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)及びブラック(K)の各作像装置10(Y,M,C,K)は、
図1や
図2に示されるように、静電潜像を保持する像保持手段の一例としての回転する感光体ドラム11を備えており、この感光体ドラム11の周囲に、次のようなトナー像形成手段の一例としての各装置が主に配置されている。主な装置とは、感光体ドラム11の像形成が可能な周面(像保持面)を所要の電位に帯電させる帯電装置12と、感光体ドラム11の帯電された周面に画像の情報(信号)に基づく光を照射して電位差のある(各色用の)静電潜像を形成する露光装置13と、その静電潜像を対応する色(Y,M,C,K)の現像剤4のトナーで現像してトナー像にする現像装置14(Y,M,C,K)と、その各トナー像を中間転写装置20に転写する一次転写装置15(Y,M,C,K)と、一次転写後における感光体ドラム11の像保持面に残留して付着するトナー等の付着物を取り除いて清掃するドラム清掃装置16(Y,M,C,K)等である。
【0030】
感光体ドラム11は、接地処理される円筒状又は円柱状の基材の周面に感光材料からなる光導電性層(感光層)を有する像保持面を形成したものである。この感光体ドラム11は、図示しない回転駆動装置から動力が伝達されて矢印Aで示す方向に回転するよう支持されている。
【0031】
帯電装置12は、
図2に示されるように、感光体ドラム11に接触した状態で配置される接触型の帯電ロール121で構成される。帯電ロール121の背面には、当該帯電ロール121の表面を清掃する清掃ロール122が配置されている。帯電装置12の帯電ロール121には帯電用電圧が供給される。帯電用電圧としては、現像装置14が反転現像を行うものである場合、その現像装置14から供給されるトナーの帯電極性と同じ極性の電圧又は電流が供給される。なお、帯電装置12としては、感光体ドラム11の表面に非接触状態で配置されるスコロトロン等の非接触型の帯電装置を用いてもよい。
【0032】
露光装置13は、画像形成装置1に入力される画像の情報に応じて構成される光を、帯電された後の感光体ドラム11の周面に対して照射して静電潜像を形成するものである。露光装置13には、潜像形成時になると画像形成装置1に任意の手段で入力される画像の情報(信号)が送信される。
【0033】
露光装置13は、感光体ドラム11の軸方向に沿って配列された複数の発光素子としてのLED(Light Emitting Diode)により感光体ドラム11に画像情報に応じた光を照射して静電潜像を形成するLEDプリントヘッドからなるものである。なお、露光装置13としては、画像情報に応じて構成されるレーザー光を感光体ドラム11の軸方向に沿って偏向走査するものを用いても良い。
【0034】
現像装置14(Y,M,C,K)はいずれも、感光体ドラム11と対向する位置の開口部と現像剤の収容室が形成された筐体140の内部に、現像剤を保持して感光体ドラム11と向き合う現像領域まで搬送する現像ロール141と、現像剤を撹拌しながら現像ロール141を通過させるよう供給するスクリューオーガー等からなる撹拌供給部材142と、現像剤を撹拌しながら撹拌供給部材142へ搬送するスクリューオーガー等からなる撹拌搬送部材143と、現像ロール141に保持される現像剤の量(層厚)を規制する層厚規制部材144などを配置して構成したものである。この現像装置14には、その現像ロール141と感光体ドラム11の間に現像用電圧が図示しない電源装置から供給される。4色の現像剤としては、例えば、非磁性トナーと磁性キャリアを含む二成分現像剤が使用される。
【0035】
一次転写装置15(Y,M,C,K)は、感光体ドラム11の周囲に中間転写ベルト21を介して接触し回転するとともに一次転写用電圧が供給される一次転写ロールを備えた接触型の転写装置である。一次転写用電圧としては、トナーの帯電極性と逆の極性を示す直流の電圧が図示しない電源装置から供給される。
【0036】
ドラム清掃装置16は、
図2に示されるように、一部が開口する容器状の本体160と、一次転写後の感光体ドラム11の周面に所要の圧力で接触するように配置されて残留トナー等の付着物を取り除いて清掃する清掃板161と、清掃板161で取り除いたトナー等の付着物を回収して図示しない回収システムに送り出すよう搬送するスクリューオーガー等の送出部材162等で構成されている。清掃板161としては、ゴム等の材料からなる板状の部材(例えばブレード)が使用される。
【0037】
中間転写装置20は、
図1に示されるように、各作像装置10(Y,M,C,K)の上方の位置に存在するように配置される。この中間転写装置20は、感光体ドラム11と一次転写装置15(一次転写ロール)の間となる一次転写位置を通過しながら矢印Bで示す方向に回転する中間転写ベルト21と、中間転写ベルト21をその内面から所望の状態に保持して回転自在に支持する複数のベルト支持ロール22~25と、ベルト支持ロール25に支持されている中間転写ベルト21の外周面(像保持面)側に配置されて中間転写ベルト21上のトナー像を記録用紙5に二次転写させる二次転写部材の一例としての二次転写装置30と、二次転写装置30を通過した後に中間転写ベルト21の外周面に残留して付着するトナー、紙粉等の付着物を取り除いて清掃するベルト清掃装置26とで主に構成されている。
【0038】
中間転写ベルト21としては、例えばポリイミド樹脂、ポリアミド樹脂等の合成樹脂にカーボンブラック等の抵抗調整剤などを分散させた材料で製作される無端状のベルトが使用される。また、ベルト支持ロール22は図示しない駆動装置によって回転駆動される駆動ロールとして構成され、ベルト支持ロール23は中間転写ベルト21の走行位置などを保持する面出しロールとして構成され、ベルト支持ロール24は中間転写ベルト21に張力を付与する張力付与ロールとして構成され、ベルト支持ロール25は二次転写のバックアップロールとして構成されている。
【0039】
二次転写装置30は、
図1に示されるように、中間転写装置20におけるベルト支持ロール25に支持されている中間転写ベルト21の外周面部分である二次転写位置において、中間転写ベルト21の周面に接触して回転するとともに二次転写用電圧が供給される二次転写ロール31を備えた接触型の転写装置である。また、二次転写ロール31又は中間転写装置20のベルト支持ロール25には、トナーの帯電極性と逆極性又は同極性を示す直流の電圧が二次転写用電圧として供給される。
【0040】
ベルト清掃装置26は、
図2に示されるように、一部が開口する容器状の本体260と、二次転写後の中間転写ベルト21の周面に所要の圧力で接触するように配置されて残留トナー等の付着物を取り除いて清掃する清掃板261と、清掃板261で取り除いたトナー等の付着物を回収して図示しない回収システムに送り出すよう搬送するスクリューオーガー等の送出部材262等で構成されている。清掃板261としては、ゴム等の材料からなる板状の部材(例えばブレード)が使用される。
【0041】
定着装置40は、表面温度が所要の温度に保持されるよう加熱手段によって加熱されるドラム形態又はベルト形態の加熱回転体41と、この加熱回転体41の軸方向にほぼ沿う状態で所定の圧力で接触して回転するドラム形態又はベルト形態の加圧用回転体42などを配置して構成されたものである。定着装置40の出口部には、定着処理が施された記録用紙5を搬送する出口ロール43が設けられている。この定着装置40では、加熱回転体41と加圧用回転体42が接触する接触部が所要の定着処理(加熱及び加圧)を行う定着処理部になる。
【0042】
給紙装置50は、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)及びブラック(K)の作像装置10(Y,M,C,K)の下方側の位置に存在するように配置される。この給紙装置50は、所望のサイズ、種類等の記録用紙5を積載した状態で収容する複数(又は単数)の用紙収容体51と、用紙収容体51から記録用紙5を1枚ずつ送り出す送出装置52,53とで主に構成されている。用紙収容体51は、例えば、本体1aの正面(使用者が操作時に向き合う側面)側、図示例では紙面の手前側に引き出すことができるよう取り付けられている。
【0043】
記録用紙5としては、例えば、電子写真方式の複写機、プリンタ等に使用される普通紙、薄紙、OHPシート等が挙げられる。定着後における画像表面の平滑性をさらに向上させるには、記録用紙5の表面もできるだけ平滑であることが好ましく、例えば、普通紙の表面を樹脂等でコーティングしたコート紙、印刷用のアート紙等の坪量が相対的に大きい所謂厚紙なども使用することができる。
【0044】
給紙装置50と二次転写装置30との間には、給紙装置50から送り出される記録用紙5を二次転写位置まで搬送する複数(又は単数)の用紙搬送ロール対54,55や図示しない搬送ガイド等で構成される給紙搬送路56が設けられている。用紙搬送ロール対55は、例えば記録用紙5の搬送時期を調整するレジストロールとして構成されている。また、定着装置40の鉛直方向Zに沿った上部には、定着装置40の出口ロール43から送り出される定着後の記録用紙5を装置本体1aの上部に設けられたシート排出手段の一例としてのシート排出装置60に排出するための第1乃至第4の用紙排出搬送路57a~57dを備えた用紙排出搬送部58が設けられている。
【0045】
シート排出装置60は、装置本体1aの上部に設けられた所謂胴内排出型の第1及び第2の排出トレイ61,62と、用紙排出搬送部58の側面(図中、左側面)に外部へ向けて設けられた第3の排出トレイ63を備えている。用紙排出搬送部58の内部には、第2の用紙排出搬送路57bから分岐して第1の排出トレイ61に記録用紙5を排出するための第1の用紙排出ロール対64を備えた第1の用紙排出搬送路57aと、第2の用紙排出搬送路57bから分岐して第2の排出トレイ62に記録用紙5を排出するための第2の用紙排出ロール対66を備えた第3の用紙排出搬送路57cと、第3の用紙排出搬送路57cから分岐して第3の排出トレイ63に記録用紙5を排出するための第3の用紙排出ロール対67を備えた第4の用紙排出搬送路57dが設けられている。
【0046】
なお、
図1中、符号68は第2の用紙排出搬送路57bの途中に設けられた用紙搬送ロール対を、G1は第1の用紙排出搬送路57aと第2の用紙排出搬送路57bを分岐する第1の切替ゲートを、G2は、第3の用紙排出搬送路57cと第4の用紙排出搬送路57dを分岐する第2の切替ゲートを、それぞれ示している。なお、シート排出装置60については、後に詳述する。
【0047】
また、装置本体1aの内部には、
図2に示されるように、片面に画像が形成された記録用紙5を第1の用紙排出ロール対64によって保持している間に、当該第1の用紙排出ロール対64の回転方向を正転方向から逆転方向に切り替えることにより、記録用紙5の表裏を反転させて用紙搬送ロール対55へと再度搬送する用紙搬送ロール対69を備えた両面搬送路70が設けられている。
【0048】
図1中、符号71は画像形成装置1の装置本体1aの側面(図中、左側面)に開閉自在に設けられた手差しトレイを示しており、手差しトレイ71と用紙搬送ロール対55との間には、手差しトレイ71に収容された記録用紙5を1枚ずつ送り出す送出装置72と、用紙搬送ロール対73や図示しない搬送ガイド等で構成される手差し給紙搬送路74が設けられている。
【0049】
また、
図1中符号145(Y,M,C,K)は、紙面に垂直な方向に沿って複数配列され、対応する現像装置14(Y,M,C,K)に供給する少なくともトナーを含む現像剤を収容したトナーカートリッジをそれぞれ示している。
【0050】
また、
図1中符号100は、画像形成装置1の動作を統括的に制御する制御装置を示している。制御装置100は、図示しないCPU(Central Processing Unit)やROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、あるいはこれらCPUやROM等を接続するバス、通信インターフェイスなどを備えている。
【0051】
<画像形成装置の動作>
以下、画像形成装置1による基本的な画像形成動作について説明する。
【0052】
ここでは、前記4つの作像装置10(Y,M,C,K)を使用して、4色(Y,M,C,K)のトナー像を組み合わせて構成されるフルカラー画像を形成する動作について説明する。
【0053】
画像形成装置1は、制御装置100が画像形成動作(プリント)の要求の指令情報を受けると、4つの作像装置10(Y,M,C,K)、中間転写装置20、二次転写装置30、定着装置40等が始動する。
【0054】
そして、各作像装置10(Y,M,C,K)においては、まず各感光体ドラム11が矢印Aで示す方向に回転し、各帯電装置12が各感光体ドラム11の表面を所要の極性(実施の形態1ではマイナス極性)及び電位にそれぞれ帯電させる。続いて、露光装置13が、帯電後の感光体ドラム11の表面に対し、画像形成装置1に入力される画像の情報を各色成分(Y,M,C,K)に変換して得られる画像の信号に基づいて発光される光を照射し、その表面に所要の電位差で構成される各色成分の静電潜像をそれぞれ形成する。
【0055】
続いて、各作像装置10(Y,M,C,K)が、感光体ドラム11に形成された各色成分の静電潜像に対し、所要の極性(マイナス極性)に帯電された対応する色(Y,M,C,K)のトナーを現像ロール141からそれぞれ供給して静電的に付着させて現像を行う。この現像により、各感光体ドラム11に形成された各色成分の静電潜像は、その対応する色のトナーでそれぞれ現像された4色(Y,M,C,K)のトナー像として顕像化される。
【0056】
続いて、各作像装置10(Y,M,C,K)の感光体ドラム11上に形成された各色のトナー像が一次転写位置まで搬送されると、一次転写装置15(Y,M,C,K)が、その各色のトナー像を中間転写装置20の矢印Bで示す方向に回転する中間転写ベルト21に対して順番に重ね合わされるような状態で一次転写させる。
【0057】
また、一次転写が終了した各作像装置10(Y,M,C,K)では、ドラム清掃装置16が付着物を掻き取るように除去して感光体ドラム11の表面を清掃する。これにより、各作像装置10(Y,M,C,K)は、次の作像動作が可能な状態にされる。
【0058】
続いて、中間転写装置20では、中間転写ベルト21の回転により一次転写されたトナー像を保持して二次転写位置まで搬送する。一方、給紙装置50では、作像動作に合わせて所要の記録用紙5を給紙搬送路56に送り出す。給紙搬送路56では、レジストロールとしての用紙搬送ロール対55が記録用紙5を転写時期に合わせて二次転写位置に送り出して供給する。
【0059】
二次転写位置においては、二次転写装置30の二次転写ロール31が、中間転写ベルト21上のトナー像を記録用紙5に一括して二次転写させる。また、二次転写が終了した中間転写装置20では、ベルト清掃装置26が、二次転写後の中間転写ベルト21の表面に残留したトナー等の付着物を取り除いて清掃する。
【0060】
続いて、トナー像が二次転写された記録用紙5は、中間転写ベルト21と二次転写ロール31から剥離された後に定着装置40まで搬送される。定着装置40では、回転する加熱回転体41と加圧用回転体42との間の接触部に二次転写後の記録用紙5を導入して通過させることにより、必要な定着処理(加熱及び加圧)をして未定着のトナー像を記録用紙5に定着させる。最後に、定着が終了した後の記録用紙5は、その片面への画像の形成を行うだけの画像形成動作のときは、第1乃至第4の用紙排出搬送路を介して、装置本体1aの上部に設置された第1乃至第3のいずれかの排出トレイ61~63に排出される。
【0061】
また、記録用紙5の両面に画像を形成するときは、片面に画像が形成された記録用紙5を第1の用紙排出ロール対64により第1の排出トレイ61に排出せずに、第1の用紙排出ロール対64が記録用紙5の後端を保持している間に当該第1の用紙排出ロール対64の回転方向を逆転方向に切り替える。第1の用紙排出ロール対64により逆方向に搬送される記録用紙5は、用紙搬送ロール対69等を備えた両面搬送路70へと搬送されて表裏が反転された状態で用紙搬送ロール対55へと再度搬送される。用紙搬送ロール対55は、記録用紙5を転写時期に合わせて二次転写位置に送り出して供給し、記録用紙5の裏面に画像を形成し、裏面に画像が定着された記録用紙5を第1乃至第4の用紙排出搬送路57a~57dのいずれかを介して、装置本体1aの上部に設置された第1乃至第3の排出トレイ61~63のいずれかに排出される。
【0062】
以上の動作により、4色のトナー像を組み合わせて構成されるフルカラー画像が片面又は両面に形成された記録用紙5が出力される。
【0063】
<シート排出装置の構成>
画像形成装置1は、
図2に示されるように、装置本体1aの上部に片面又は両面に画像が形成されたシートの一例としての記録用紙5を排出するシート排出装置60を備えている。
【0064】
この実施の形態1に係るシート排出装置60は、画像形成装置1の装置本体1aの上部である胴体内部に記録用紙5を排出する所謂胴内排出型のシート排出装置として構成されている。
【0065】
シート排出装置60は、
図2及び
図3に示されるように、定着装置40により画像が定着され排出される記録用紙5を、その排出方向に沿った上流側の端部を壁面に突き当て収容する第1乃至第3の排出トレイ61~63と、定着装置40によって画像が定着された記録用紙5を第1乃至第3の排出トレイ61~63へと排出する第1乃至第3の用紙排出ロール対64,66,67を備えている。
【0066】
ここでは、特に、シート排出装置60として、第1の用紙排出ロール対64を備えた第1の排出トレイ61について説明する。
【0067】
第1の排出トレイ61は、上述したように、画像形成装置1の装置本体1aの胴体の内部に記録用紙5を排出する所謂胴内排出型の排出トレイとして構成されている。第1の排出トレイ61は、
図2及び
図3に示されるように、その排出方向に沿った上流側の端部が装置本体1aの内部に位置するように傾斜した傾斜面の一例としての傾斜部611と、傾斜部611の排出方向に沿った下流側に配置され、水平方向Xに沿って平坦に形成された平坦部612と、傾斜部611の排出方向に沿った上流側の端部に配置され、鉛直方向Zに沿った下端部が排出方向に沿った下流側に位置するようわずかに傾斜した面からなり、当該第1の排出トレイ61に排出される記録用紙5の排出方向に沿った上流側の端部が突き当てられて整合される壁面613を備えている。
【0068】
第1の排出トレイ61は、その傾斜部611の記録用紙5の排出方向と交差する幅方向(奥行方向)Yに沿った両端部が、装置本体1aを構成する前後の側面1b,1cによって閉塞されている。
図2中、符号1dは、装置本体1aの側面1cに開口された送風口を示している。
【0069】
第1の排出トレイ61の記録用紙5の排出方向に沿った上流側の端部には、
図2及び
図3に示されるように、当該第1の排出トレイ61の平坦部612と略同等の高さに、第1の排出トレイ61上に記録用紙5を斜め上方へ向けて排出する第1の用紙排出ロール対64が設けられている。
【0070】
ところで、上記の如く構成されるシート排出装置60においては、
図4(a)(b)に示されるように、第1の用紙排出ロール対64によって記録用紙5が第1の排出トレイ61上に排出される際、第1の排出トレイ61の傾斜部611の排出方向と交差する幅方向に沿った両側が装置本体1aの側面1b,1cによって閉塞されているため、記録用紙5の排出(移動)に伴って当該記録用紙5の下方に位置する空気が渦巻き状の空気溜まり75となって存在する。なお、
図4は、第1の排出トレイ61上に排出される記録用紙5の姿勢を観察するため、画像形成装置1の図示しないフロントカバーを開放した状態で写真撮影した画像を模式的に示したものである。
【0071】
そのため、第1の排出トレイ61上に排出される記録用紙5は、空気溜まり75が存在することによって、直ちに第1の排出トレイ61上に落下せず一時的に宙に浮いた状態となる。そして、第1の排出トレイ61では、記録用紙5の下方に存在する空気溜まり75を構成する空気が当該第1の排出トレイ61の周囲に移動することによって、記録用紙5が自重で第1の排出トレイ61の傾斜部611の表面等に落下する。
【0072】
その結果、従来、上記の如く構成されるシート排出装置60では、
図4(b)に示されるように、第1の排出トレイ61に記録用紙5を排出する際、記録用紙5の下方に存在する空気溜まり75の影響によって当該記録用紙5の姿勢が不安定となって乱れ、記録用紙5の排出方向に沿った上流側の端部が第1の排出トレイ61の壁面613の途中に接触して湾曲した状態で残る、所謂土手残りと呼ばれる状態が発生するという技術的課題を有していた。
【0073】
そこで、この実施の形態1に係るシート排出装置は、シートの排出時に排出トレイに排出されるシートの姿勢が乱れるのを抑制するため、排出トレイの壁面に設けられ、壁面の下方に行くに従いシートの排出方向と交差する幅方向に沿った両端部外側へ向けて広がるよう傾斜した複数の排気通路を備えるよう構成したものである。
【0074】
また、この実施の形態1に係るシート排出装置は、複数の排気通路が、基準位置を中心として対称形状に設けられ、基準位置が、例えば、シートの排出方向と交差する方向の中央であるよう構成される。
【0075】
すなわち、この実施の形態1に係るシート排出装置60は、
図5に示されるように、第1の排出トレイ61の壁面613に複数の排気通路80,80・・・が設けられている。第1の排出トレイ61の壁面613には、
図6及び
図7に示されるように、複数の排気通路80,80・・・を形成するための直線状の凸部である複数のリブ81,81・・・が、当該壁面613の内側面から第1の排出トレイ61の内部へ向けて突出するよう一体的に形成されている。
【0076】
複数のリブ81,81・・・は、
図6に示されるように、基準位置Cを中心として左右対称形状に設けられている。リブ81,81・・・を設ける上での基準位置は、例えば、記録用紙5の排出方向と交差する幅方向の中央であるように構成される。
【0077】
更に説明すると、複数のリブは、
図6及び
図7に示されるように、第1の排出トレイ61の壁面613において、記録用紙5の排出方向と交差する幅方向の中央である基準位置Cを基準として、左右対称形状となるよう、壁面613の下方に行くに従って記録用紙5の排出方向と交差する幅方向に沿った両端部外側へ向けて広がるよう鉛直方向Zに対して角度θだけ傾斜した状態で互いに平行に設けられている。
【0078】
複数のリブ81,81・・・は、第1の排出トレイ61の壁面613に対して所要の幅及び高さを有する細長い凸形状に形成されている。そして、複数のリブ81,81・・・のうち、隣接するリブ81,81・・・同士の間には、当該隣接するリブ81,81・・・同士の間に区切られた空間として複数の排気通路80,80・・・が設けられている。
【0079】
複数の排気通路80,80・・・は、複数のリブ81,81・・・と同様、壁面613の鉛直方向Zに沿った下方に行くに従って記録用紙5の排出方向と交差する幅方向に沿った両端部外側へ向けて広がるように傾斜した状態で配置されている。
【0080】
複数の排気通路80,80・・・は、複数のリブ81,81・・・の高さが高く、且つ複数のリブ81,81・・・の間隔が大きい程、各排気通路80,80・・・の断面積が大きく設定される。逆に、複数の排気通路80,80・・・は、複数のリブ81,81・・・の高さが低く且つ複数のリブ81,81・・・の間隔が小さい程、各排気通路80,80・・・の断面積が小さく設定される。
【0081】
ただし、複数の排気通路80,80・・・の総合した断面積は、各排気通路80,80・・・の断面積と排気通路80,80・・・の総数の積によって決まる。
【0082】
以上の構成において、この実施の形態1に係るシート排出装置では、次のようにして、排出トレイの壁面に設けられ、壁面の下方に行くに従いシートの排出方向と交差する幅方向の両端部外側へ向けて広がるよう傾斜した複数の排気通路を備えない場合と比較して、シートの排出時に排出トレイに排出されるシートの姿勢が乱れるのを抑制することが可能となっている。
【0083】
すなわち、この実施の形態1に係るシート排出装置60では、
図1に示されるように、片面又は両面に画像が形成された記録用紙5が第1乃至第3の排出トレイ61~63のいずれかに排出される。
【0084】
このとき、シート排出装置60では、
図4(a)に示されるように、片面又は両面に画像が形成された記録用紙5が第1の排出トレイ61に排出される際、片面又は両面に画像が形成された記録用紙5が第1の用紙排出ロール対64によって、当該第1の排出トレイ61の平坦部612と略平行となるよう排出される。
【0085】
その際、記録用紙5は、定着装置40の定着特性や、記録用紙5の吸水特性、あるいは当該記録用紙5上に形成される画像の状態などの種々の要因によって、第1の排出トレイ61側に向けて凸形状に湾曲するダウンカールや第1の排出トレイ61側に向けて凹形状に湾曲するアッパーカールなどの湾曲が生じる場合がある。
【0086】
シート排出装置60では、第1の排出トレイ61上に記録用紙5が排出された直後においては、記録用紙5の下方に空気が滞留する空気溜まり75が存在する。
【0087】
ところで、この実施の形態1に係るシート排出装置60では、
図5に示されるように、第1の排出トレイ61の記録用紙5の排出方向に沿った上流側の端部である壁面613に、複数の排気通路80,80・・・が設けられている。また、複数の排気通路80,80・・・は、第1の排出トレイ61の壁面613の下方に行くに従って記録用紙5の排出方向と交差する幅方向の両端部外側へ向けて広がるよう傾斜している。
【0088】
そのため、第1の排出トレイ61上に記録用紙5が排出される際には、
図8に示されるように、記録用紙5の下方に存在する空気溜まり75を構成する空気が、第1の排出トレイ61の記録用紙5の排出方向に沿った上流側の端部に設けられた複数の排気通路80,80・・・を介して、第1の排出トレイ61の上方へ向けて速やかに逃げることが可能となる。
【0089】
その際、複数の排気通路80,80・・・は、第1の排出トレイ61の壁面613の下方に行くに従って、記録用紙5の排出方向と交差する幅方向の両端部外側へ向けて広がるように傾斜した状態で設けられている。そのため、第1の排出トレイ61上に排出される記録用紙5は、その排出方向に沿った上流側の端部が複数のリブ81,81・・・の表面と接触して、当該複数のリブ81,81・・・の傾斜に沿った排出方向と交差する幅方向の両端部外側へ向けて広がるように案内される。
【0090】
その結果、第1の排出トレイ61上に排出される記録用紙5にダウンカールやアッパーカールなどの湾曲が生じていたとしても、記録用紙5は、その幅方向に沿った両端部へ向けて拡張されるように複数のリブ81,81・・・と接触するため、湾曲が矯正された状態で排出される。
【0091】
このように、この実施の形態1に係るシート排出装置60では、第1の排出トレイ61の壁面613に設けられ、壁面613の下方に行くに従って記録用紙5の排出方向と交差する幅方向の両端部外側へ向けて広がるよう傾斜した複数の排気通路80,80・・・を備えない場合と比較して、記録用紙5の排出時に第1の排出トレイ61に排出される記録用紙5の姿勢が乱れるのを抑制することが可能となっている。
【0092】
実施の形態2
図9はこの発明の実施の形態2に係るシート排出装置を適用した画像形成装置を示す斜視構成図である。なお、前記実施の形態1と対応する部材には同一の符号を付して説明する。
【0093】
すなわち、実施の形態2に係るシート排出装置60は、
図9乃至
図11に示されるように、複数の排気通路80,80・・・を、第1の排出トレイ61の壁面613に設けられた凸部によって形成するのではなく、第1の排出トレイ61の壁面613に複数の排気通路80,80・・・に対応した形状に直接開口されたスリット部から形成するよう構成されている。
【0094】
第1の排出トレイ61の壁面613には、当該壁面613の鉛直方向Zの下方に行くに従って記録用紙5の排出方向と交差する幅方向に沿った両端部外側へ向けて広がるよう傾斜したスリット部からなる複数の排気通路80,80・・・が設けられている。
【0095】
複数の排気通路80,80・・・は、例えば、第1の排出トレイ61の壁面613を構成する部材を成型するときに、一体成型によって形成される。
【0096】
複数の排気通路80,80・・・の間に存在する第1の排出トレイ61の壁面613の領域は、当該壁面613の表面と同一の平面で構成しても良いが、記録用紙5との接触抵抗を低減するためには、実施の形態1と同様に、壁面613の表面から突出したリブ形状とすることが望ましい。
【0097】
この実施の形態2に係るシート排出装置60では、第1の排出トレイ61上に記録用紙5を排出する際に、記録用紙5の下方に存在する空気溜まり75を構成する空気は、複数の排気通路80,80・・・を介して装置本体1aの内部へと逃げることになる。そのため、複数の排気通路80,80・・・を流れる空気は、実施の形態1と異なり、当該複数の排気通路80,80・・・の長手方向に沿って鉛直方向Zに沿った下方から上方へ流れる訳ではなく、複数の排気通路80,80・・・を介して第1の排出トレイ61の壁面613の表面から裏面(内面)へと流れることになり、記録用紙5の下方に存在する空気溜まり75を構成する空気をより速やかに逃がすことが可能となる。
【0098】
その他の構成及び作用は、前記実施の形態1と同様であるので、その説明を省略する。
【0099】
なお、前記実施の形態では、フルカラーの画像形成装置について説明したが、本発明に係るシート排出装置は、これに限定されるものではなく、モノクロの画像形成装置においても同様に適用することができることは勿論のこと、画像形成装置以外にも、シートを綴じたり穿孔処理などを行うフィニッシャー等にも同様に適用することができることは勿論である。
【0100】
(付記)
(((1)))
排出されるシートをその排出方向に沿った上流側の端部を壁面に突き当て収容する排出トレイと、
前記排出トレイの壁面に設けられ、前記壁面の下方に行くに従い前記シートの排出方向と交差する幅方向に沿った両端部外側へ向けて広がるよう傾斜した複数の排気通路と、
を備えたシート排出装置。
(((2)))
前記複数の排気通路は、基準位置を中心として対称形状に設けられる(((1)))に記載のシート排出装置。
(((3)))
前記基準位置は、前記シートの排出方向と交差する方向の中央である(((2)))に記載のシート排出装置。
(((4)))
前記複数の排気通路は、前記排出トレイの壁面に設けられた凸部又はスリット部により形成される(((2)))に記載のシート排出装置。
(((5)))
前記排出トレイは、前記シートの排出方向に沿った上流側の端部が最も低く形成された傾斜面を有する(((1)))に記載のシート排出装置。
(((6)))
前記シートは、自重によって前記排出トレイの傾斜面に沿って前記シートの排出方向に沿った上流側の端部が前記壁面に突き当てられた状態で排出される(((1)))乃至(((5)))のいずれかに記載のシート排出装置。
(((7)))
シートに画像を形成する画像形成手段と、
前記画像形成手段によって画像が形成された前記シートを排出するシート排出手段と、
を備え、
前記シート排出手段として(((1)))乃至(((6)))の何れかに記載のシート排出装置を用いた画像形成装置。
【0101】
(((1)))に係るシート排出装置によれば、排出トレイの壁面に設けられ、壁面の下方に行くに従いシートの排出方向と交差する幅方向の両端部外側へ向けて広がるよう傾斜した複数の排気通路を備えない場合と比較して、シートの排出時に排出トレイに排出されるシートの姿勢が乱れるのを抑制することができる。
(((2)))に係るシート排出装置によれば、複数の排気通路は、非対称形状に設けられる場合と比較して、シートの姿勢が乱れるのを効果的に抑制することができる。
(((3)))に係るシート排出装置によれば、基準位置がシートの排出方向と交差する方向の中央以外にある場合と比較して、シートを幅方向において対称に規制しやすくなる。
(((4)))に係るシート排出装置によれば、複数の排気通路は、排出トレイの壁面に設けられた凸部又はスリット部以外から形成される場合と比較して、当該排気通路の形成が容易となる。
(((5)))に係るシート排出装置によれば、排出トレイは、シートの排出方向に沿った上流側の端部が最も低く形成された傾斜面を有しない場合と比較して、シートを壁面に突き当てて確実に整合させることができる。
(((6)))に係るシート排出装置によれば、シートは、自重以外に力によって排出トレイの壁面に突き当てられる場合と比較して、構成を簡略化することができる。
(((7)))に係る画像形成装置によれば、シート排出手段として(((1)))乃至(((6)))の何れかに記載のシート排出装置を用いない場合と比較して、シートの排出時に排出トレイに排出されるシートの姿勢が乱れるのを抑制することができる。
【符号の説明】
【0102】
1…画像形成装置
60…シート排出装置
61…第1の排出トレイ
611…傾斜部
612…平坦部
613…壁面
80…排気通路
81…リブ