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特開2024-175726画像形成システム、印刷異常回避方法及びプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024175726
(43)【公開日】2024-12-19
(54)【発明の名称】画像形成システム、印刷異常回避方法及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   B41J 29/38 20060101AFI20241212BHJP
   G03G 21/00 20060101ALI20241212BHJP
   B41J 29/42 20060101ALI20241212BHJP
   G06F 3/12 20060101ALI20241212BHJP
【FI】
B41J29/38 301
G03G21/00 500
B41J29/42 F
G06F3/12 310
G06F3/12 336
G06F3/12 356
G06F3/12 373
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023093653
(22)【出願日】2023-06-07
(71)【出願人】
【識別番号】000001270
【氏名又は名称】コニカミノルタ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001254
【氏名又は名称】弁理士法人光陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】生田 将也
【テーマコード(参考)】
2C061
2H270
【Fターム(参考)】
2C061AP07
2C061AQ06
2C061AR01
2C061CQ04
2C061CQ24
2C061CQ34
2C061CQ41
2C061HJ07
2C061HJ10
2H270KA57
2H270LA19
2H270LA67
2H270LB02
2H270MA06
2H270MA40
2H270MB25
2H270QB18
2H270ZC03
2H270ZC04
(57)【要約】
【課題】印刷異常が発生する確率を低減させつつ、印刷を継続することが可能な画像形成システム、印刷異常回避方法及びプログラムを提供する。
【解決手段】用紙に画像を印刷する画像形成部14と、画像形成部14による印刷により印刷異常が発生した際に、当該印刷異常時の印刷条件を記憶部17に記憶させる記憶制御部(制御部16)と、印刷ジョブの印刷実行前に、当該印刷ジョブの印刷条件と記憶部17に記憶された印刷異常時の印刷条件とを照合する照合部(制御部16)と、照合部による照合の結果、印刷ジョブの印刷条件と印刷異常時の印刷条件とが一致した場合に、印刷ジョブの印字率の変更により印刷異常の発生を回避できるか否かを判定する判定部(制御部16)と、を備える。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
用紙に画像を印刷する画像形成部と、
前記画像形成部による印刷により印刷異常が発生した際に、当該印刷異常時の印刷条件を記憶部に記憶させる記憶制御部と、
印刷ジョブの印刷実行前に、当該印刷ジョブの印刷条件と前記記憶部に記憶された前記印刷異常時の印刷条件とを照合する照合部と、
前記照合部による照合の結果、前記印刷ジョブの印刷条件と前記印刷異常時の印刷条件とが一致した場合に、前記印刷ジョブの印字率の変更により前記印刷異常の発生を回避できるか否かを判定する判定部と、
を備えることを特徴とする画像形成システム。
【請求項2】
前記判定部により前記印刷異常の発生を回避できると判定された場合に、前記印刷異常を発生させないように前記印刷ジョブの印字率を変更する変更部を備えることを特徴とする請求項1に記載の画像形成システム。
【請求項3】
前記変更部は、用紙1枚当たりの前記印字率が均一化するように、前記印刷ジョブの面付けを変更することを特徴とする請求項2に記載の画像形成システム。
【請求項4】
前記画像形成部により前記画像が印刷された用紙を断裁する断裁部を備え、
前記変更部は、前記画像形成部により前記画像が印刷される用紙を元の用紙よりも用紙サイズが大きい用紙に変更するとともに、変更後の前記用紙を前記元の用紙と同じ用紙サイズになるように前記断裁部により断裁させることを特徴とする請求項2に記載の画像形成システム。
【請求項5】
前記変更部は、前記印刷ジョブの印刷濃度を変更することを特徴とする請求項2に記載の画像形成システム。
【請求項6】
前記変更部により前記印刷濃度が変更された画像を表示部にプレビュー表示させる表示制御部を備えることを特徴とする請求項5に記載の画像形成システム。
【請求項7】
前記変更部により前記印刷濃度が変更された画像を、前記画像形成部により前記用紙にサンプル印刷させる印刷制御部を備えることを特徴とする請求項5に記載の画像形成システム。
【請求項8】
用紙に画像を印刷する画像形成部を備える画像形成システムの印刷異常回避方法であって、
前記画像形成部による印刷により印刷異常が発生した際に、当該印刷異常時の印刷条件を記憶部に記憶させる記憶制御工程と、
印刷ジョブの印刷実行前に、当該印刷ジョブの印刷条件と前記記憶部に記憶された前記印刷異常時の印刷条件とを照合する照合工程と、
前記照合工程での照合の結果、前記印刷ジョブの印刷条件と前記印刷異常時の印刷条件とが一致した場合に、前記印刷ジョブの印字率の変更により前記印刷異常の発生を回避できるか否かを判定する判定工程と、
を含む印刷異常回避方法。
【請求項9】
用紙に画像を印刷する画像形成部を備える画像形成システムのコンピュータを、
前記画像形成部による印刷により印刷異常が発生した際に、当該印刷異常時の印刷条件を記憶部に記憶させる記憶制御部、
印刷ジョブの印刷実行前に、当該印刷ジョブの印刷条件と前記記憶部に記憶された前記印刷異常時の印刷条件とを照合する照合部、
前記照合部による照合の結果、前記印刷ジョブの印刷条件と前記印刷異常時の印刷条件とが一致した場合に、前記印刷ジョブの印字率の変更により前記印刷異常の発生を回避できるか否かを判定する判定部、
として機能させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成システム、印刷異常回避方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、用紙上に画像を印刷(形成)する画像形成装置が知られている。画像形成装置により用紙上に画像を印刷する際に、汚れ、スジ、ホタル、色ムラ、JAM等の印刷異常が発生することがある。
【0003】
印刷異常が発生した際の印刷条件を記憶し、印刷前に、記憶された印刷異常時の印刷条件と照合する構成が開示されている(例えば、特許文献1参照)。印刷条件は、例えば、機種、紙種、坪量、用紙サイズ、印字率、温湿度、その他センサーで取得可能な情報等である。特許文献1記載の構成は、印刷条件が印刷異常時の印刷条件と一致した場合に、事前に印刷を停止することで、印刷異常の発生を回避する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2021-30576号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1記載の構成は、印刷条件を印刷異常時の印刷条件と照合して一致した場合に、印刷を停止するものである。すなわち、印刷条件が印刷異常時の印刷条件と一致した場合、印刷を断念せざるを得ないおそれがある。
【0006】
本発明は、印刷異常が発生する確率を低減させつつ、印刷を継続することが可能な画像形成システム、印刷異常回避方法及びプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1に記載の発明は、上記目的を達成するためになされたものであり、
画像形成システムにおいて、
用紙に画像を印刷する画像形成部と、
前記画像形成部による印刷により印刷異常が発生した際に、当該印刷異常時の印刷条件を記憶部に記憶させる記憶制御部と、
印刷ジョブの印刷実行前に、当該印刷ジョブの印刷条件と前記記憶部に記憶された前記印刷異常時の印刷条件とを照合する照合部と、
前記照合部による照合の結果、前記印刷ジョブの印刷条件と前記印刷異常時の印刷条件とが一致した場合に、前記印刷ジョブの印字率の変更により前記印刷異常の発生を回避できるか否かを判定する判定部と、
を備えることを特徴とする。
【0008】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の画像形成システムにおいて、
前記判定部により前記印刷異常の発生を回避できると判定された場合に、前記印刷異常を発生させないように前記印刷ジョブの印字率を変更する変更部を備えることを特徴とする。
【0009】
請求項3に記載の発明は、請求項2に記載の画像形成システムにおいて、
前記変更部は、用紙1枚当たりの前記印字率が均一化するように、前記印刷ジョブの面付けを変更することを特徴とする。
【0010】
請求項4に記載の発明は、請求項2に記載の画像形成システムにおいて、
前記画像形成部により前記画像が印刷された用紙を断裁する断裁部を備え、
前記変更部は、前記画像形成部により前記画像が印刷される用紙を元の用紙よりも用紙サイズが大きい用紙に変更するとともに、変更後の前記用紙を前記元の用紙と同じ用紙サイズになるように前記断裁部により断裁させることを特徴とする。
【0011】
請求項5に記載の発明は、請求項2に記載の画像形成システムにおいて、
前記変更部は、前記印刷ジョブの印刷濃度を変更することを特徴とする。
【0012】
請求項6に記載の発明は、請求項5に記載の画像形成システムにおいて、
前記変更部により前記印刷濃度が変更された画像を表示部にプレビュー表示させる表示制御部を備えることを特徴とする。
【0013】
請求項7に記載の発明は、請求項5に記載の画像形成システムにおいて、
前記変更部により前記印刷濃度が変更された画像を、前記画像形成部により前記用紙にサンプル印刷させる印刷制御部を備えることを特徴とする。
【0014】
請求項8に記載の発明は、
用紙に画像を印刷する画像形成部を備える画像形成システムの印刷異常回避方法であって、
前記画像形成部による印刷により印刷異常が発生した際に、当該印刷異常時の印刷条件を記憶部に記憶させる記憶制御工程と、
印刷ジョブの印刷実行前に、当該印刷ジョブの印刷条件と前記記憶部に記憶された前記印刷異常時の印刷条件とを照合する照合工程と、
前記照合工程での照合の結果、前記印刷ジョブの印刷条件と前記印刷異常時の印刷条件とが一致した場合に、前記印刷ジョブの印字率の変更により前記印刷異常の発生を回避できるか否かを判定する判定工程と、
を含む。
【0015】
請求項9に記載の発明は、
用紙に画像を印刷する画像形成部を備える画像形成システムのコンピュータを、
前記画像形成部による印刷により印刷異常が発生した際に、当該印刷異常時の印刷条件を記憶部に記憶させる記憶制御部、
印刷ジョブの印刷実行前に、当該印刷ジョブの印刷条件と前記記憶部に記憶された前記印刷異常時の印刷条件とを照合する照合部、
前記照合部による照合の結果、前記印刷ジョブの印刷条件と前記印刷異常時の印刷条件とが一致した場合に、前記印刷ジョブの印字率の変更により前記印刷異常の発生を回避できるか否かを判定する判定部、
として機能させるためのプログラムである。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、印刷異常が発生する確率を低減させつつ、印刷を継続することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本実施形態に係る画像形成システムの概略構成を示す図である。
図2】本実施形態に係る画像形成システムの制御構造を示す機能ブロック図である。
図3】本実施形態に係る画像形成システムの制御の一例を示すフローチャートである。
図4】面付けを変更する前の印刷後の用紙の一例を示す図である。
図5】面付けを変更した後の印刷後の用紙の一例を示す図である。
図6】用紙サイズを変更する前の元の用紙と変更した後の用紙に同じ画像が印刷された様子の一例を示す図である。
図7】印刷濃度を変更する前後の画像が印刷された用紙の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。
【0019】
本実施形態に係る画像形成システム1は、図1及び図2に示すように、画像形成装置10と、画像読取装置20と、断裁装置30と、を備える。
【0020】
画像形成装置10は、外部装置等から受信した印刷ジョブに含まれる画像データに基づいて用紙上に画像を印刷(形成)する。または、画像形成装置10は、原稿から画像を読み取って得られた画像データに基づいて用紙上に画像を印刷する。画像が印刷された用紙は、画像読取装置20へと排出される。
【0021】
画像形成装置10は、図1及び図2に示すように、操作部11と、表示部12と、原稿読取ユニット13と、画像形成部14と、給紙部15と、制御部16と、記憶部17と、コントローラーIF18と、画像処理部19と、を備える。
【0022】
操作部11は、表示部12の表示画面上を覆うように形成されたタッチパネルや、数字ボタン、スタートボタン等の各種操作ボタンを備える。操作部11は、ユーザーの操作に基づく操作信号を制御部16に出力する。
【0023】
表示部12は、LCD(Liquid Crystal Display)により構成される。表示部12は、制御部16から入力される表示信号の指示に従って各種画面を表示する。
【0024】
原稿読取ユニット13は、ADF(自動原稿給紙装置)、スキャナー等を備える。原稿読取ユニット13は、原稿の画像を読み取って得られた画像データを制御部16に出力する。
【0025】
画像形成部14は、画像処理部19により画像処理が行われた画像データに基づいて、給紙部15から供給された用紙上に画像を形成(印刷)する。
画像形成部14は、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の各色に対応する感光体ドラム141Y,141M,141C,141K、中間転写ベルト142、2次転写ローラー143、定着部144等を備える。
【0026】
感光体ドラム141Yは、一様に帯電された後、イエロー色の画像データに基づいてレーザービームにより走査露光され、静電潜像が形成される。そして、感光体ドラム141Y上の静電潜像にイエロー色のトナーが付着され、現像が行われる。
感光体ドラム141M,141C,141Kについても、扱う色が異なることを除いて、感光体ドラム141Yと同様であるため、説明を省略する。
【0027】
感光体ドラム141Y~141K上に形成された各色のトナー像は、回転する中間転写ベルト142上に逐次転写される(1次転写)。すなわち、中間転写ベルト142上には、4色のトナー像が重ね合わされたカラートナー像が形成される。
中間転写ベルト142上のカラートナー像は、2次転写ローラー143により、用紙上に一括して転写される(2次転写)。
【0028】
定着部144は、カラートナー像が転写された用紙を加熱する加熱ローラー、当該用紙を加圧する加圧ローラーを備える。定着部144は、加熱・加圧によりカラートナー像を用紙に定着させる。
【0029】
給紙部15は、給紙トレイ151~153を備え、画像形成部14に用紙を供給する。各給紙トレイ151~153には、給紙トレイごとに予め定められた紙種やサイズの用紙が収納されている。
【0030】
制御部16は、CPU、ROM、メモリーを備える。
CPUは、ROMに記憶されている各種処理プログラムを読み出し、当該プログラムに従って、画像形成装置10の各部の動作を集中制御する。
ROMは、不揮発性の半導体メモリー等により構成され、各種処理プログラム、当該プログラムの実行に必要なパラメーターやファイル等を記憶している。
メモリーは、DRAM等により構成され、プログラムや各種画像処理に係る画像データ等の各種データを一時的に記憶する。
【0031】
記憶部17は、プログラムや画像データ等の各種データを記憶するHDD、半導体メモリー等の不揮発性の記憶装置である。記憶部17には、プログラムデータや各種設定データ等のデータを制御部16から読み書き可能に記憶する。例えば、記憶部17は、印刷異常時の印刷条件を記憶する。
【0032】
コントローラーIF(Inter Face)18は、外部装置等から送信される印刷ジョブを受信する。受信した印刷ジョブは、制御部16へと出力される。
【0033】
画像処理部19は、画像データに必要な画像処理を行い、画像処理後の画像データを画像形成部14に送信する。画像処理には、階調処理、中間調処理、色変換処理等が含まれる。階調処理は、画像データの各画素の階調値を、用紙上に形成された画像の濃度特性が目標と一致するように補正された階調値に変換する処理である。中間調処理は、誤差拡散処理、組織的ディザ法を用いたスクリーン処理等である。色変換処理は、RGBの各階調値をCMYKの各階調値に変換する処理である。
【0034】
画像読取装置20は、画像形成装置10の後段に接続され、制御部21と、画像読取部22と、画像処理部23と、を備える。
【0035】
制御部21は、CPU、ROM、RAMなどを備え、画像読取装置20の各部の動作を統括的に制御する。
【0036】
画像読取部22は、例えば、リニアイメージセンサー(例えばCCDラインセンサー等)、光学系、光源等を備える。画像読取部22は、画像形成部14により画像が形成された用紙を読み取って、得られた読取画像を画像処理部23に出力する。画像読取部22で読み取られた用紙は、断裁装置30に搬送される。
【0037】
画像処理部23は、画像読取部22から入力されるアナログ画像データに各種処理を施した後、RGBのデジタル画像データを生成する。各種処理は、例えば、アナログ処理、A/D変換処理、シェーディング処理等である。画像処理部23で生成された画像データは、画像形成装置10の制御部16に出力される。
【0038】
断裁装置30は、制御部31と、搬送部32と、断裁部33と、排紙部34と、くず箱35と、を備える。断裁装置30には、排紙部34により排出された用紙を積載する排紙トレイT1が設けられている。
【0039】
制御部31は、CPU、ROM、RAMなどを備え、断裁装置30の各部の動作を統括的に制御する。
搬送部32は、画像読取装置20から搬送された用紙を断裁部33に搬送し、断裁部33で断裁処理が行われた用紙を排紙部34に搬送する。
断裁部33は、搬送部32により搬送されてきた用紙(画像形成部14により画像が印刷された用紙)を断裁する。
排紙部34は、搬送部32により搬送された用紙を機外(排紙トレイT1)に排出する。
くず箱35は、断裁部33の下方に設けられ、断裁部33により用紙が断裁された際に生じた断裁くずを収容する。
【0040】
次に、本実施形態に係る画像形成システム1の制御について、図3のフローチャートを参照して説明する。図3の制御は、画像形成装置10の制御部16が、外部装置等からコントローラーIF18を介して印刷ジョブを取得したことを契機として開始される。なお、制御部16は、制御部21を介して画像読取装置20を制御する。また、制御部16は、制御部31を介して断裁装置30を制御する。
【0041】
まず、制御部16は、取得した印刷ジョブを参照して、印刷ジョブの印刷条件を取得する(ステップS101)。印刷条件は、例えば、機種、紙種、坪量、用紙サイズ、印字率、温湿度、その他センサーで取得可能な情報等である。
【0042】
次に、制御部16は、取得した印刷ジョブの印刷条件と記憶部17に記憶された印刷異常時の印刷条件とを照合する(ステップS102)。すなわち、制御部16は、本発明の照合部として機能する。
【0043】
次に、制御部16は、印刷ジョブの印刷条件と印刷異常時の印刷条件とが一致したか否かを判定する(ステップS103)。
制御部16は、印刷条件が一致したと判定した場合(ステップS103:YES)、次のステップS104へと移行する。
一方、制御部16は、印刷条件が一致していないと判定した場合(ステップS103:NO)、ステップS106へと移行する。
【0044】
ステップS104において、制御部16は、印刷ジョブの印字率の変更により、印刷異常の発生を回避できるか否かを判定する。すなわち、制御部16は、本発明の判定部として機能する。例えば、印刷ジョブの印字率が80%以上であると、印刷異常が発生しやすくなる。なぜなら、トナー量が多すぎて、トナーの飛び散りが発生したり、低温環境でのトナーの定着不良などが発生したりするからである。また、印刷ジョブの印字率が20%以下であると、印刷異常が発生しやすくなる。なぜなら、用紙の剛度が低すぎて、用紙のカール量が大きくなりやすくなるからである。したがって、制御部16は、例えば印字率が85%の場合、印字率を80%未満に変更することで、印刷異常の発生を回避できると判定する。一方、制御部16は、例えば印字率が60%の場合、印字率を変更しても印刷異常の発生を回避できないと判定する。
制御部16は、印刷異常の発生を回避できると判定した場合(ステップS104:YES)、次のステップS105へと移行する。
一方、制御部16は、印刷異常の発生を回避できないと判定した場合(ステップS104:NO)、印刷を停止する(ステップS112)。
【0045】
次に、制御部16は、印刷異常を発生させないように、印刷ジョブの印字率を変更する(ステップS105)。すなわち、制御部16は、本発明の変更部として機能する。
【0046】
例えば、制御部16は、用紙1枚当たりの印字率が均一化するように、印刷ジョブの面付け(印刷順)を変更する。これにより、印刷ジョブの印字率を変更することができる。
図4に、面付けを変更する前の印刷後の用紙Pの一例を示す。図4に示す例では、1枚の用紙Pに4ページの画像データ(画像)が面付けされて印刷される様子が示されている。符号P1は、印字率が低いページの画像G1が印刷された1枚目の用紙を示している。符号P2は、印字率が高いページの画像G2が印刷された2枚目の用紙を示している。
図5に、面付けを変更した後の印刷後の用紙Pの一例を示す。
図5に示す例では、用紙P1枚当たりの印字率が均一化するように、印刷ジョブの面付けが変更されている。具体的には、各用紙P(P1、P2)に、印字率が低いページの画像G1と印字率が高いページの画像G2が2ページずつ印刷されている。これにより、印刷ジョブの印字率を変更することができるので、印刷異常が発生する確率を低減させることができる。
【0047】
また、制御部16は、画像形成部14により画像が印刷される用紙を元の用紙よりも用紙サイズが大きい用紙に変更する。これにより、印刷ジョブの印字率を変更することができる。
図6に、用紙サイズを変更する前の元の用紙P3と変更した後の用紙P4に同じ画像が印刷された様子の一例を示す。図6(A)は、元の用紙P3に画像が印刷された一例を示す図である。図6(B)は、元の用紙P3よりも用紙サイズが大きい用紙P4に画像が印刷された一例を示す図である。
図6には、元の用紙P3の印字率が高すぎて印刷異常が発生するおそれがあるため、用紙サイズが大きい用紙P4に変更した一例が示されている。図6に示す例では、印字率が高くなる元の用紙P3から用紙サイズが大きい用紙P4に変更したことで、印刷ジョブの印字率を低下させている。これにより、印刷異常が発生する確率を低減させることができる。
なお、元の用紙の印字率が低すぎて印刷異常が発生するおそれがある場合、用紙サイズが小さい用紙に変更するとよい。これにより、印刷ジョブの印字率を高くすることができるので、印刷異常が発生する確率を低減させることができる。
用紙サイズが大きい用紙P4に変更した場合、制御部16は、変更後の用紙P4を元の用紙P3と同じ用紙サイズになるように断裁部33により余白部分を断裁させる。これにより、元の用紙P3に印刷した場合と同じ成果物を成形することができる。
【0048】
また、制御部16は、印刷ジョブの印刷濃度を変更する。これにより、印刷ジョブの印字率を変更することができる。
図7に、印刷濃度を変更する前後の画像が印刷された用紙Pの一例を示す。図7(A)は、印刷濃度を変更する前の元の画像G3が印刷された用紙Pの一例である。図7(B)は、印刷濃度を変更した後の画像G4が印刷された用紙Pの一例である。
図7には、元の画像G3が印刷された用紙Pの印字率が高すぎて印刷異常が発生するおそれがあるため、印刷濃度を薄くした画像G4が印刷された用紙Pに変更した一例が示されている。図7に示す例では、印字率が高くなる元の画像G3から印刷濃度を薄くした画像G4に変更したことで、印刷ジョブの印字率を低下させている。これにより、印刷異常が発生する確率を低減させることができる。
なお、元の画像が印刷される用紙Pの印字率が低すぎて印刷異常が発生するおそれがある場合、印刷濃度を濃くした画像を印刷するとよい。これにより、印刷ジョブの印字率を高くすることができるので、印刷異常が発生する確率を低減させることができる。
【0049】
次に、制御部16は、印刷ジョブに含まれる画像データに基づいて、用紙に画像を印刷(形成)する(ステップS106)。画像が印刷された用紙は、画像読取装置20に搬送される。
【0050】
次に、制御部16は、画像読取部22を制御して、画像が印刷された用紙を読み取らせる(ステップS107)。画像読取部22により読み取られて得られた読取画像は、制御部16に出力される。画像読取部22により読み取られた用紙は、断裁装置30を介して排紙トレイT1に排出される。
【0051】
次に、制御部16は、印刷ジョブに含まれる画像データに基づく期待画像とステップS108で取得した読取画像を比較する(ステップS108)。
【0052】
次に、制御部16は、期待画像と読取画像を比較した結果、印刷異常が発生したか否かを判定する(ステップS109)。印刷異常は、例えば、汚れ、スジ、ホタル、色ムラ、JAM等である。
制御部16は、印刷異常が発生したと判定した場合(ステップS109:YES)、次のステップS110へと移行する。
一方、制御部16は、印刷異常が発生していないと判定した場合(ステップS109:NO)、ステップS111へと移行する。
【0053】
ステップS111において、制御部16は、ステップS106で印刷したときの印刷条件を記憶部17に記憶させる(ステップS110)。すなわち、制御部16は、印刷異常が発生した際に、当該印刷異常時の印刷条件を記憶部17に記憶させる本発明の記憶制御部として機能する。
【0054】
次に、制御部16は、印刷が終了したか否かを判定する(ステップS111)。
制御部16は、印刷が終了したと判定した場合(ステップS111:YES)、処理を終了する。
一方、制御部16は、印刷が終了していないと判定した場合(ステップS111:NO)、ステップS102へと移行する。その後、ステップS102以降の処理を繰り返す。
【0055】
以上のように、本実施形態に係る画像形成システム1は、用紙に画像を印刷する画像形成部14と、記憶制御部(制御部16)と、照合部(制御部16)と、判定部(制御部16)と、を備える。記憶制御部は、画像形成部14による印刷により印刷異常が発生した際に、当該印刷異常時の印刷条件を記憶部17に記憶させる。照合部は、印刷ジョブの印刷実行前に、当該印刷ジョブの印刷条件と記憶部17に記憶された印刷異常時の印刷条件とを照合する。判定部は、照合部による照合の結果、印刷ジョブの印刷条件と印刷異常時の印刷条件とが一致した場合に、印刷ジョブの印字率の変更により印刷異常の発生を回避できるか否かを判定する。
したがって、本実施形態に係る画像形成システム1によれば、印刷異常が発生する確率を低減させることができる。また、印刷ジョブの印刷条件と印刷異常時の印刷条件とが一致した場合であっても、印刷を継続することができる。
【0056】
また、印刷異常の発生を回避できると判定された場合に、印刷異常を発生させないように印刷ジョブの印字率を変更する変更部(制御部16)を備える。
したがって、印刷異常が発生する確率を低減させることができる。また、印刷ジョブの印刷条件と印刷異常時の印刷条件とが一致した場合であっても、印刷を継続することができる。
【0057】
また、変更部は、用紙1枚当たりの印字率が均一化するように、印刷ジョブの面付けを変更する。
したがって、容易に印刷ジョブの印字率を変更することができる。よって、印刷異常が発生する確率を低減させることができる。
【0058】
また、画像形成部14により画像が印刷された用紙を断裁する断裁部33を備える。変更部は、画像形成部14により画像が印刷される用紙を元の用紙よりも用紙サイズが大きい用紙に変更する。変更部は、変更後の用紙を元の用紙と同じ用紙サイズになるように断裁部33により断裁させる。
したがって、容易に印刷ジョブの印字率を変更することができる。よって、印刷異常が発生する確率を低減させることができる。また、元の用紙に印刷した場合と同じ成果物を成形することができる。
【0059】
また、変更部は、印刷ジョブの印刷濃度を変更する。
したがって、容易に印刷ジョブの印字率を変更することができる。よって、印刷異常が発生する確率を低減させることができる。また、元の用紙に印刷した場合と同じ成果物を成形することができる。
【0060】
以上、本発明に係る実施形態に基づいて具体的に説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で変更可能である。
【0061】
例えば、上記実施形態では、印刷ジョブの印刷条件と印刷異常時の印刷条件が一致した場合に印刷ジョブの印字率を変更するようにしているが、これに限定されるものではない。例えば、印刷ジョブの印字率と印刷異常時の印字率とが一致した場合に印刷ジョブの印字率を変更するようにしてもよい。すなわち、印刷ジョブの印字率と印刷異常時の印字率とが一致した場合、制御部16は、印刷ジョブの印字率の変更により印刷異常の発生を回避できるか否かを判定する。印刷異常の発生を回避できると判定した場合、制御部16は、印刷異常を発生させないように印刷ジョブの印字率を変更する。
【0062】
また、制御部16は、印刷濃度が変更された画像G4(図7(B)参照)を表示部12にプレビュー表示させるようにしてもよい。すなわち、制御部16は、本発明の表示制御部として機能する。
これにより、ユーザーが印刷後の成果物を具体的にイメージすることができる。よって、ユーザーが印刷異常発生の抑制を優先するか画質を優先するかを任意に選択することができる。
【0063】
また、制御部16は、印刷濃度が変更された画像G4(図7(B)参照)を、画像形成部14により用紙にサンプル印刷させるようにしてもよい。すなわち、制御部16は、本発明の印刷制御部として機能する。
これにより、ユーザーが印刷後の成果物を具体的にイメージすることができる。よって、ユーザーが印刷異常発生の抑制を優先するか画質を優先するかを任意に選択することができる。
【0064】
その他、画像形成システムを構成する各装置の細部構成及び各装置の細部動作に関しても、本発明の趣旨を逸脱することのない範囲で適宜変更可能である。
【符号の説明】
【0065】
1 画像形成システム
10 画像形成装置
11 操作部
12 表示部
13 原稿読取ユニット
14 画像形成部
141Y,141M,141C,141K 感光体ドラム
142 中間転写ベルト
143 2次転写ローラー
144 定着部
15 給紙部
151~153 給紙トレイ
16 制御部(照合部、判定部、変更部、記憶制御部、表示制御部、印刷制御部)
17 記憶部
18 コントローラーIF
19 画像処理部
20 画像読取装置
21 制御部
22 画像読取部
23 画像処理部
30 断裁装置
31 制御部
32 搬送部
33 断裁部
34 排紙部
35 くず箱
T1 排紙トレイ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7