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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024175728
(43)【公開日】2024-12-19
(54)【発明の名称】移載装置
(51)【国際特許分類】
   B65G 59/02 20060101AFI20241212BHJP
   B25J 13/08 20060101ALI20241212BHJP
   B65G 47/90 20060101ALI20241212BHJP
【FI】
B65G59/02 Z
B25J13/08 A
B65G47/90 D
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023093664
(22)【出願日】2023-06-07
(71)【出願人】
【識別番号】000103426
【氏名又は名称】オークラ輸送機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100092565
【弁理士】
【氏名又は名称】樺澤 聡
(74)【代理人】
【識別番号】100112449
【弁理士】
【氏名又は名称】山田 哲也
(72)【発明者】
【氏名】重成 聡
(72)【発明者】
【氏名】杉本 尭海
【テーマコード(参考)】
3C707
3F030
3F072
【Fターム(参考)】
3C707AS02
3C707BS03
3C707BS10
3C707DS01
3C707FT01
3C707KS03
3C707KS04
3C707KT01
3C707KT06
3C707MT09
3C707NS19
3F030AA04
3F030AB04
3F030BA02
3F072AA09
3F072GA10
3F072GB04
3F072GD06
3F072JA05
3F072JA09
3F072KD03
3F072KD23
(57)【要約】
【課題】物品の特定方向の一方の側面である特定側面を特定して移載先へ移載できる移載装置を提供する。
【解決手段】物品11の特定方向Aにおける一方の側面に特定側面11aを有し、特定側面11aが移載元12の領域の外側に向くように物品11が配置された移載元12から、物品11を移載先13へ移載する移載装置10である。移載装置10は、物品11を把持するハンド装置30と、ハンド装置30の位置を移動させる移動機構31と、ハンド装置30および移動機構31の動作を制御する制御部と、を備える。制御部は、物品11をハンド装置30で把持する把持座標および把持姿勢を含む把持情報を取得し、把持姿勢に基づいて物品11の特定方向Aを判断し、特定方向Aおよび把持座標に基づく評価座標から物品11の特定側面11aを判断する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
物品の平面視で特定可能な特定方向における一方の側面に特定側面を有し、移載元において一の方向に前記特定方向が向くとともに前記特定側面が前記移載元の領域の外側に向くように前記物品が配置された前記移載元から、前記物品を移載先へ移載する移載装置であって、
前記物品を把持するハンド装置と、
前記ハンド装置の位置を移動させる移動機構と、
前記ハンド装置および前記移動機構の動作を制御する制御部と、を備え、
前記制御部は、
前記移載元の前記物品を前記ハンド装置で把持する把持座標および把持姿勢を含む把持情報を取得する取得部と、
前記把持姿勢に基づいて、前記移載元における前記物品の前記特定方向を判断する特定方向判断部と、
前記特定方向および前記把持座標に基づく評価座標から、前記物品の前記特定側面を判断する特定側面判断部と、を有する
ことを特徴とする移載装置。
【請求項2】
前記特定側面判断部は、前記物品の前記特定方向に対応する前記移載元の前記一の方向における基準位置に基づいて、前記基準位置を境として区切られるエリアのうちの前記把持座標に基づく前記評価座標が位置するエリアを判断し、前記評価座標が位置する前記エリアから前記物品の前記特定側面を判断する
ことを特徴とする請求項1に記載の移載装置。
【請求項3】
物品の平面視で特定可能な特定方向における一方の側面に特定側面を有し、移載元において第1方向に前記特定方向が向く前記物品と前記第1方向に交差する第2方向に前記特定方向が向く前記物品とが混在して配置されるとともに、前記物品の前記特定側面が前記移載元の領域の外側に向くように配置された前記移載元から、前記物品を移載先へ移載する移載装置であって、
前記物品を把持するハンド装置と、
前記ハンド装置の位置を移動させる移動機構と、
前記ハンド装置および前記移動機構の動作を制御する制御部と、を備え、
前記制御部は、
前記移載元の前記物品を前記ハンド装置で把持する把持座標および把持姿勢を含む把持情報を取得する取得部と、
前記把持姿勢に基づいて、前記移載元における前記物品の前記特定方向を判断する特定方向判断部と、
前記物品の前記特定方向に対応する前記移載元の前記第1方向または前記第2方向における第1基準位置または第2基準位置に基づいて、前記第1方向の前記第1基準位置または前記第2方向の前記第2基準位置を境として区切られるエリアのうちの前記把持座標が位置するエリアを判断し、前記把持座標に基づく評価座標が位置する前記エリアから前記物品の前記特定側面を判断する特定側面判断部と、を有する
ことを特徴とする移載装置。
【請求項4】
前記特定側面判断部は、前記移載元における前記第1基準位置および前記第2基準位置によって区切られる少なくとも4つの前記エリアから前記把持座標に基づく前記評価座標が位置する前記エリアを判断し、前記物品の前記特定方向と前記評価座標が位置する前記エリアとから前記物品の前記特定側面を判断する
ことを特徴とする請求項3に記載の移載装置。
【請求項5】
前記制御部は、前記移載元において前記ハンド装置で把持した前記物品の前記特定側面が、前記移載先において所定の方向に向いて移載されるように、前記移載ハンド装置および前記移動機構の動作を制御する
ことを特徴とする請求項1ないし4いずれか一に記載の移載装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、移載元から移載先へ物品を移載する移載装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば下記の特許文献1に記載されているように、パレット上に所定の積付パターンで積み付けられた物品をハンド装置で把持して移載先へ移載する移載装置が知られている。
【0003】
この移載装置では、積付パターンの情報を取得し、この情報に基づいて移載する物品の形状および向きに合わせてハンド装置を移動させて把持し、移載先へ移載している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2003-237943号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
前述の移載装置は、積付パターンの情報から移載する物品の平面視の形状を認識し、物品の形状に応じた例えば長手方向などの特定方向を移載先において所定の方向に向けて移載することが可能となっているが、積付パターンの情報からでは、物品の特定方向における一方の側面と他方の側面とを特定できない場合、物品の特定方向における一方の側面を移載先において一定の方向に向けて移載することが困難となる。
【0006】
本発明が解決しようとする課題は、物品の特定方向の一方の側面である特定側面を特定して移載先へ移載できる移載装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の移載装置は、物品の平面視で特定可能な特定方向における一方の側面に特定側面を有し、移載元において一の方向に前記特定方向が向くとともに前記特定側面が前記移載元の領域の外側に向くように前記物品が配置された前記移載元から、前記物品を移載先へ移載する移載装置であって、前記物品を把持するハンド装置と、前記ハンド装置の位置を移動させる移動機構と、前記ハンド装置および前記移動機構の動作を制御する制御部と、を備え、前記制御部は、前記移載元の前記物品を前記ハンド装置で把持する把持座標および把持姿勢を含む把持情報を取得する取得部と、前記把持姿勢に基づいて、前記移載元における前記物品の前記特定方向を判断する特定方向判断部と、前記特定方向および前記把持座標に基づく評価座標から、前記物品の前記特定側面を判断する特定側面判断部と、を有する。
【発明の効果】
【0008】
本発明の移載装置によれば、移載元に配置された物品の特定方向の一方の側面である特定側面を特定して移載先へ移載できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の一実施の形態を示す移載装置を備えた物品移送システムの平面図である。
図2】同上移載装置の側面図である。
図3】同上移載装置により移載する物品がパレット上に積み付けられている斜視図である。
図4】同上移載装置のブロック図である。
図5】同上移載装置によって特定方向が第1方向にある物品の特定側面を特定する説明図である。
図6】同上移載装置によって特定方向が第2方向にある物品の特定側面を特定する説明図である。
図7】同上移載装置の動作を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の一実施の形態を、図面を参照して説明する。
【0011】
図1および図2に物品処理システムを示す。物品処理システムは、移載装置10を備え、この移載装置10により、積み付けられている物品11を移載元12から荷卸しして移載先13へ移載するデパレタイジングシステムである。
【0012】
図1ないし図3に示すように、物品11は、例えば、収容物を収容する収容体であって、A式、ラップラウンド式などの段ボール箱、ケースまたはコンテナなどの直方体の形状のものである。
【0013】
物品11は、移載元12に配置された配置姿勢での上面の形状が、長手方向と短手方向とを有する長方形であって、一対の長辺と一対の短辺を有する長方形である。物品11は、平面視で特定可能な方向である長手方向を特定方向Aとし、この特定方向Aにおける一方の側面および他方の側面のうちの一方の側面に特定側面(第1特定側面)11aを有する。特定側面11aには、例えば収容物の情報などをバーコードなどの識別コードや文字で表示するラベルが貼り付けられたり直接印刷された第1情報表示部11bが設けられている。
【0014】
本実施の形態の物品11は、配置姿勢での上面が平坦面で、移載装置10によって吸着把持可能とする。また、物品11の形状は、配置姿勢での上面の形状が長方形であれば、例えば特定方向Aの側面が正方形であってもよい。物品11の寸法は、単一種類の場合と、複数種類の場合と、がある。
【0015】
物品11は、平面視の形状が正方形または長方形のパレット15上に積み付けられている。パレット15上には、複数の物品11が、1段に複数個ずつ、複数段に積み付けられている。パレット15上には、複数の物品11が、所定の積付パターンで積み付けられている場合と、積付パターンに依らずに不定積みで積み付けられている場合と、がある。
【0016】
パレット15上に積み付けられる物品11は、特定方向Aの一方の側面がパレット15の側面の外側(移載元12の領域の側面の外周である外側)に向き、かつ、パレット15の側面の外側に向く特定方向Aの一方の側面が特定側面11aとなるように積み付けられている。これは、複数の物品11がパレット15上に積み付けられた状態において、物品11の特定側面11aに設けられた第1情報表示部11bから物品11や収容物の情報を確認できるようにするためである。
【0017】
なお、物品11の特定方向Aは短手方向で、その短手方向の一方の側面が特定側面11aであってもよい。この場合にも、特定側面11aがパレット15の側面の外側(移載元12の領域の側面の外側)に特定側面11aが向くように積み付けられる。
【0018】
また、図1および図2に示すように、移載元12には、物品11が積み付けられているパレット15が配置される。移載元12は、物品11が積み付けられているパレット15を移載元位置に搬入し、移載装置10によって物品11が荷卸しされた後の空のパレット15を移載元位置から搬出可能なパレット搬送装置17を備えている。移載元12には、パレット搬送装置17によって移載元位置に搬入されたパレット15を移載元位置に位置決めする位置決め機構などが配設されている。
【0019】
図2に示すように、移載元12の上方には、移載元位置に配置されたパレット15上に積み付けられている物品11を上方から撮影するカメラ19が設置されている。カメラ19によって撮影された画像データは画像処理装置41(図4参照)によって処理される。画像処理装置41は、パレット15上の最上段に位置する各物品11の座標および位置姿勢を識別し、移載装置10によって物品11を把持するための把持座標および把持姿勢を含む把持情報を移載装置10の制御部40(図4参照)に提供する。ここで、把持座標とは、例えば後述のハンド装置30が把持対象の物品11の把持を行うために移動目標とする座標であって3次元座標値で指定される。また、把持姿勢とは、例えば後述のハンド装置30が物品11を把持する際の水平姿勢であって上面吸着によって物品11を把持する場合はハンド装置30の水平回転角度で指定される。
【0020】
また、移載先13は、移載装置10によって物品11が移載される。移載先13は、移載先位置に物品11を受け入れ、移載先位置から物品11を下流側へ向けて搬送する受入装置21を備えている。移載先13には、移載装置10により、物品11の特定方向Aが受入装置21の搬送方向に対して交差し、かつ、物品11の特定側面11aが移載先13における所定の一定方向である図1の右側に向くように移載される。
【0021】
受入装置21の搬送方向の下流側には、受入装置21から送り出される物品11を受け入れて下流側へ向けて搬送する物品搬送装置22が設置されている。この物品搬送装置22では、受入装置21から送り出される物品11をそのままの姿勢で搬送するものであって、搬送方向に対して交差する方向の一側である図1の右側に特定側面11aが向く状態で物品11を搬送する。
【0022】
物品搬送装置22の搬送方向に対して交差する方向の他側には、物品11の特定方向Aの特定側面11aとは反対側の側面(第2特定側面)に対して情報を付与する情報付与装置であるラベル貼付け装置23が配置されている。このラベル貼付け装置23は、例えば、物品11の配送先などをバーコードなどの識別コードや文字で表示するラベルを、物品11の既に第1情報表示部11bが設けられている特定側面11aとは反対側の側面に貼り付ける。ラベル貼付け装置23によってラベルを貼り付ける際には、物品搬送装置22によって物品11をラベル貼付け装置23によるラベル貼付け位置に一旦停止させ、ラベル貼付け後に物品搬送装置22による物品11の搬送を再開する。なお、情報付与装置は、物品11の側面に、識別コードや文字などを直接印刷してもよい。このようにして、物品11の第1情報表示部11bが設けられている特定側面11aとは反対側の側面に、ラベルの貼り付けや印刷により第2情報表示部11cを設ける。
【0023】
また、移載装置10は、物品11を把持するハンド装置30と、このハンド装置30の位置を移動させる移動機構31と、を備えている。
【0024】
ハンド装置30は、移動機構31に取り付けられるベース32と、このベース32の下部側に取り付けられ物品11の上面を吸着把持する吸着部33と、を備えている。なお、ハンド装置30は、吸着のみによる把持に限らず、ベース32の下方に突出する一対のパームによる挟持や、吸着と挟持を組み合わせた構成でもよい。
【0025】
移動機構31は、多関節型ロボットであり、基台34上に旋回可能に設けられたロボットアーム35を備えている。ロボットアーム35は、複数の回動可能な軸を有し、先端部を任意の位置に移動可能とする。ロボットアーム35の先端部には回動軸36を有し、この回動軸36の下端にハンド装置30のベース32が取り付けられ、回動軸36の回転軸が鉛直状態を維持するようにロボットアーム35が制御されることで、回動軸36を中心としてハンド装置30の水平回動角度が調整できる。なお、移動機構31は、多関節型ロボットに限らず、例えば3軸の直交するスライド軸により構成される直交型移動機構などでもよい。
【0026】
そして、図1に示すように、移載装置10と移載元12と移載先13とは、移載装置10の動作により移載元12に配置された物品11を移載先13に移載可能なレイアウトで設置されている。なお、移載元12は、1箇所でもよいが、移載装置10および移載先13の両側の2箇所に設けることにより、一方の移載元12において空となったパレット15の入れ換え動作を行っている間に、他方の移載元12に配置されたパレット15上から物品11の移載動作を行ってもよく、移載処理の効率化が可能となる。
【0027】
次に、図4に示すように、移載装置10は、ハンド装置30および移動機構31の動作を制御する制御部40を備えている。
【0028】
制御部40には、カメラ19によって撮影された画像データを処理する画像処理装置41が接続されている。
【0029】
画像処理装置41は、カメラ19によって撮影された画像データを解析し、移載元12の領域の平面視の第1方向Xおよびこの第1方向Xに直交する第2方向Yと、物品11の上面の形状、第1方向Xおよび第2方向Yにおける物品11の位置座標および角度、物品11の上面の高さ(z軸座標)などを含む物品11の位置姿勢と、などを識別する。そして、画像処理装置41は、移載対象の物品11の識別情報に基づいて、移載対象の物品11をハンド装置30によって把持する把持座標および把持姿勢を含む把持情報を制御部40に提供する。
【0030】
把持座標は、第1方向X、第2方向Y、高さ方向の座標を含み、移載対象の物品11を把持する際のハンド装置30の所定の基準点の座標を示す。ハンド装置30の基準点を把持座標に移動させることで、移載対象の物品11を吸着把持可能とする。
【0031】
把持姿勢は、移載対象の物品11の上面の形状(長手方向および短手方向)に対応してハンド装置30の向きを一致させるためのハンド装置30の角度の情報を含む。
【0032】
画像処理装置41では、カメラ19によって物品11の特定側面11aに貼り付けられたラベルが撮影されないため、提供する把持情報には物品11の特定側面11aの位置情報は含まれない。
【0033】
また、制御部40は、取得部42、特定方向判断部43、特定側面判断部44、ロボットコントローラ45、記憶部46などを備えている。
【0034】
取得部42は、画像処理装置41から移載元12の物品11をハンド装置30で把持する把持座標および把持姿勢を含む把持情報を取得する。
【0035】
特定方向判断部43は、取得した把持姿勢の情報に基づいて、移載元12における物品11の特定方向Aを判断する。把持姿勢の情報には、移載対象の物品11の上面の形状(長手方向および短手方向)に対応してハンド装置30の向きを一致させるためのハンド装置30の角度の情報が含まれているため、そのハンド装置30の角度の情報から物品11の特定方向Aを判断することが可能である。なお、把持姿勢を判断する条件として、ハンド装置30の吸着部33が複数の吸着部材(例えば、真空パッド)から構成されている場合、物品11を把持するためにどの吸着部材が使用されたかを把持姿勢の判断条件にしてもよく、ハンド装置30の角度と吸着部材の使用状態を組み合わせて把持姿勢を判断してもよい。
【0036】
特定側面判断部44は、図5に示すように(移載元12を上方から見た図であって、物品11の特定側面11aを特定する説明図である)、物品11の特定方向Aに対応する移載元12の一の方向である第1方向Xにおける基準位置(基準ライン)である第1基準位置X0を基準に、第1基準位置X0を境として区切られるエリア(1),(3)とエリア(2),(4)のうちの評価座標としての把持座標Pが位置するエリアを判断し、把持座標Pが位置するエリアから物品11の特定側面11aを判断する。第1基準位置X0は、移載元12の第1方向Xにおける例えば中央位置で、予め設定されている位置である。なお、把持座標Pを評価座標として用いることで、把持座標Pが位置するエリア(1)~(4)から物品11の特定側面11aを判断する場合とは別に、例えば、把持座標Pと吸着部33を構成する複数の吸着部材(例えば、真空パッド)の中で把持吸着に使用される吸着部材の位置や数から物品11の中心などの特定位置に対応する座標を導出して評価座標とするなど、把持座標Pに基づいて把持座標Pと他の条件を組み合わせて取得した評価座標を基準とすることもできる。
【0037】
特定側面判断部44は、図6に示すように(移載元12を上方から見た図であって、物品11の特定側面11aを特定する説明図である)、物品11の特定方向Aに対応する移載元12の一の方向である第2方向Yにおける基準位置(基準ライン)である第2基準位置Y0を基準に、第2基準位置Y0を境として区切られるエリア(1),(2)とエリア(3),(4)のうちの把持座標Pが位置するエリアを判断し、把持座標Pが位置するエリアから物品11の特定側面11aを判断する。第2基準位置Y0は、移載元12の第2方向Yにおける例えば中央位置で、予め設定されている位置である。
【0038】
したがって、特定側面判断部44は、移載元12における第1基準位置X0および第2基準位置Y0によって区切られる少なくとも4つのエリア(1),(2),(3),(4)から把持座標Pが位置するエリアを判断し、物品11の特定方向Aと把持座標Pが位置するエリア(1),(2),(3),(4)とから物品11の特定側面11aを判断する。
【0039】
ロボットコントローラ45は、ハンド装置30およびロボットアーム35の動作を制御する。そして、制御部40は、ロボットコントローラ45を通じて、移載元12においてハンド装置30で把持した物品11の特定側面11aが、移載先13において所定の方向に向いて移載されるように、移載ハンド装置30および移動機構31の動作を制御する。
【0040】
記憶部46は、物品11の形状および寸法を含む物品情報、物品11の特定側面11aの判断に関する情報、ハンド装置30およびロボットアーム35の動作に関する情報、物品11の移載に関する情報などが記憶されている。
【0041】
物品11の特定側面11aの判断に関する情報には、第1方向Xの第1基準位置X0、および第2方向Yの第2基準位置Y0などの情報が含まれる。
【0042】
ハンド装置30およびロボットアーム35の動作に関する情報には、ハンド装置30で把持した物品11を移載先13に移載する際の移載座標および移載姿勢を含む移載情報が含まれる。移載座標は、第1方向Xおよび第2方向Yの固定の座標と、物品11の種類(高さ)に応じた高さ方向の座標とを含み、物品11を移載先13に移載する際のハンド装置30の所定の基準点の座標である。ハンド装置30の基準点を移載座標に移動させることで、物品11を移載先13に移載可能とする。また、移載姿勢には、特定側面11aが移載先13において所定の方向に向いて物品11が移載されるようにするためのハンド装置30の角度の情報が含まれる。
【0043】
次に、移載装置10による移載動作を、図7のフローチャートを参照して説明する。
【0044】
移載元12に配置されたパレット15上の物品11を上方からカメラ19で撮影し、このカメラ19で撮影された画像データを画像処理装置41で処理する。画像処理装置41では、物品11をハンド装置30によって把持する把持座標Pおよび把持姿勢を含む把持情報を生成する。
【0045】
移載装置10の制御部40は、画像処理装置41から物品11をハンド装置30で把持する把持座標Pおよび把持姿勢を含む把持情報を取得する(ステップS1)。
【0046】
取得された把持姿勢に基づいて、物品11の特定方向Aを判断する(ステップS2)。把持姿勢には、移載対象の物品11の形状(長手方向および短手方向)に対応してハンド装置30の向きを一致させるためのハンド装置30の角度の情報が含まれているため、そのハンド装置30の角度の情報から物品11の特定方向Aを判断することが可能である。
【0047】
物品11の特定方向Aが、第1方向Xにあるか、第2の方向Yにあるか、判断する(ステップS3)。
【0048】
図5に、移載元12を上方から見た図であって、特定方向Aが第1方向Xにある物品11の特定側面11aを特定する説明図を示す。物品11の特定方向Aが第1方向Xにある場合、移載元12の領域における第1方向Xの中央の第1基準位置X0を基準に、第1基準位置X0を境として第1方向Xに区切られる左側のエリア(1),(3)と右側のエリア(2),(4)のうちの把持座標Pが位置するエリア(1),(3)を判断する(ステップS4)。
【0049】
把持座標Pが左側のエリア(1),(3)にある物品11(X1),11(X3)は、特定方向Aの左側に特定側面11aがあると判断する(ステップS5)。一方、把持座標Pが右側のエリア(2),(4)にある物品11(X2),11(X4)は、特定方向Aの右側に特定側面11aがあると判断する(ステップS6)。
【0050】
図6に、移載元12を上方から見た図であって、特定方向Aが第2方向Yにある物品11の特定側面11aを特定する説明図を示す。物品11の特定方向Aが第2方向Yにある場合、移載元12の領域における第2方向Yの中央の第2基準位置Y0を基準に、第2基準位置Y0を境として第2方向Yに区切られる上側のエリア(1),(2)と下側のエリア(3),(4)のうちの把持座標Pが位置するエリアを判断する(ステップS7)。
【0051】
把持座標Pが上側のエリア(1),(2)にある物品11(Y1),11(Y2)は、特定方向Aの上側に特定側面11aがあると判断する(ステップS8)。一方、把持座標Pが下側のエリア(3),(4)にある物品11(Y3),11(Y4)は、特定方向Aの下側に特定側面11aがあると判断する(ステップS9)。なお、物品11(Y3)は、4つのエリア(1),(2),(3),(4)に跨っているが、把持座標Pがエリア(3)に位置するため、エリア(3)にあると判断する。
【0052】
そして、移載装置10は、ハンド装置30が特定側面11aの特定された物品11を把持する把持座標に移動し、ハンド装置30で物品11を把持し、移載先13へ向けて移動させる。移載先13においては、物品11の特定方向Aが受入装置21の搬送方向に対して交差し、かつ、物品11の特定側面11aが移載先13における所定の一定方向である図1の右側に向くように移載する(ステップS10)。
【0053】
移載先13への物品11の移載が完了すると、移載装置10は次の物品11の移動動作に移行し、移載先13では移載された物品11を受入装置21から物品搬送装置22に送り出す。
【0054】
物品搬送装置22では、受入装置21から送り出される物品11をそのままの姿勢で搬送するものであって、搬送方向に対して交差する方向の一側である図1の右側に特定側面11aが向く状態で、ラベル貼付け装置48によるラベル貼付け位置に搬送する。
【0055】
ラベル貼付け装置23は、物品11の既に第1情報表示部11bが設けられている特定側面11aとは反対側の側面に、ラベルを貼り付け、第2情報表示部11cを設ける。
【0056】
そして、第2情報表示部11cを設けた物品11は、物品搬送装置22の下流域に搬送され、例えば配送先毎に仕分けられる。物品11には物品搬送装置22の搬送方向に交差する特定方向Aの側面に第1情報表示部11bおよび第2情報表示部11cが設けられているため、物品11を搬送しながら、物品搬送装置22の両側部に配設される読取装置により第1情報表示部11bの情報および第2情報表示部11cの情報をそれぞれ読み取ることが可能となり、効率的に処理することができる。
【0057】
以上のように、移載装置10では、移載元12に配置されている物品11の特定方向Aを判断し、この特定方向Aおよび把持座標に基づいて、物品11の特定側面11aを判断することができる。
【0058】
具体的には、物品11の特定方向Aに対応する移載元12の第1方向Xの第1基準位置X0を基準に、第1基準位置X0を境として区切られるエリア(1),(3)とエリア(2),(4)のうちの把持座標Pが位置するエリアを判断することにより、把持座標Pが位置するエリアから物品11の特定側面11aを判断することができる。また、物品11の特定方向Aに対応する移載元12の第2方向Yの第2基準位置Y0を基準に、第2方向Yの第2基準位置Y0を境として区切られるエリア(1),(2)とエリア(3),(4)のうちの把持座標Pが位置するエリアを判断することにより、把持座標Pが位置するエリアから物品11の特定側面11aを判断することができる。したがって、移載元12における第1基準位置X0および第2基準位置Y0によって区切られる少なくとも4つのエリア(1),(2),(3),(4)から把持座標Pが位置するエリアを判断し、物品11の特定方向Aと把持座標Pが位置するエリアとから物品11の特定側面11aを判断することができる。
【0059】
そのため、画像処理装置41から物品11の特定側面11aの位置情報の提供がなくても、移載装置10で物品11の特定側面11aを判断し、ハンド装置30で把持した物品11の特定側面11aが、移載先13において所定の方向に向くように移載できる。
【0060】
これにより、物品11の特定側面11aの反対側の側面に別のラベルを貼り付けて第2情報表示部11cを設けることができ、別のラベルを特定側面11aの第1情報表示部11bに重ねて貼り付け、第1情報表示部11bを覆って情報を読み取れなくしてしまうのを防止できる。
【0061】
なお、移載元12において物品11の特定方向Aを判断する一の方向として、第1方向Xおよび第2方向Yを示したが、これら第1方向Xおよび第2方向Yの他に、第1方向Xおよび第2方向Yに対して斜めの方向であってもよく、いずれの方向であっても物品11の特定方向Aを判断することが可能である。例えば、物品11が積付パターンに依らずに不定積みで積み付けられているために、物品11の特定方向Aが第1方向Xおよび第2方向Yに対して斜め方向に向く場合でも、物品11の特定方向Aが移載元12の領域の外側に向くように積み付けられていれば、物品11の特定方向Aを特定して移載できる。なお、移載元12において物品11の特定方向Aが第1方向Xまたは第2方向Yに対して傾いている場合、所定の傾き角度を閾値として第1方向Xまたは第2方向Yに向いていると判断してもよい。
【0062】
以上、本発明の実施の形態およびその変形例について説明したが、種々の構成の組み合わせ、一部の省略、置き換えおよび変更も可能である。
【符号の説明】
【0063】
10 移載装置
11 物品
11a 特定側面
12 移載元
13 移載先
30 ハンド装置
31 移動機構
40 制御部
42 取得部
43 特定方向判断部
44 特定側面判断部
A 特定方向
P 把持座標
X 第1方向
X0 基準位置である第1基準位置
Y 第2方向
Y0 基準位置である第2基準位置
(1),(2),(3),(4) エリア
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7