(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024175729
(43)【公開日】2024-12-19
(54)【発明の名称】プリント配線板及びプリント配線板の製造方法
(51)【国際特許分類】
H05K 3/28 20060101AFI20241212BHJP
【FI】
H05K3/28 B
H05K3/28 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023093665
(22)【出願日】2023-06-07
(71)【出願人】
【識別番号】000000158
【氏名又は名称】イビデン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100122622
【弁理士】
【氏名又は名称】森 徳久
(72)【発明者】
【氏名】小野 元通
(72)【発明者】
【氏名】大竹 奨士
【テーマコード(参考)】
5E314
【Fターム(参考)】
5E314AA25
5E314AA27
5E314BB07
5E314BB09
5E314BB11
5E314CC01
5E314EE01
5E314FF05
5E314GG17
5E314GG24
(57)【要約】
【課題】高品質のプリント配線板の提供。
【解決手段】プリント配線板は、樹脂絶縁層と、前記樹脂絶縁層上に形成されている導体層と、前記樹脂絶縁層と前記導体層上に形成されているソルダーレジスト層と、前記ソルダーレジスト層を貫通し前記樹脂絶縁層と前記導体層を露出する溝と、前記溝内に形成されている第1部分と前記第1部分上に形成され、前記ソルダーレジスト層の上面より上方に突出する第2部分で形成されているダム、とを有する。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
樹脂絶縁層と、
前記樹脂絶縁層上に形成されている導体層と、
前記樹脂絶縁層と前記導体層上に形成されているソルダーレジスト層と、
前記ソルダーレジスト層を貫通し前記樹脂絶縁層と前記導体層を露出する溝と、
前記溝内に形成されている第1部分と前記第1部分上に形成され、前記ソルダーレジスト層の上面より上方に突出する第2部分で形成されているダム、とを有するプリント配線板。
【請求項2】
請求項1のプリント配線板であって、前記第1部分の幅は前記第2部分の幅より大きい。
【請求項3】
請求項1のプリント配線板であって、前記第1部分と前記第2部分は同じ材料で形成されている。
【請求項4】
請求項1のプリント配線板であって、前記第2部分の上面は、中央部分が上方に突出するように形成されている。
【請求項5】
請求項4のプリント配線板であって、前記上面は曲面である。
【請求項6】
請求項1のプリント配線板であって、前記第1部分の上面は、前記溝の側壁近傍から前記第1部分と前記第2部分の境界近傍に向かって前記上面の高さが高くなるように形成されている。
【請求項7】
請求項1のプリント配線板であって、前記ダムは有機製絶縁材料で形成されている。
【請求項8】
樹脂絶縁層上に導体層を形成することと、
前記樹脂絶縁層と前記導体層上にソルダーレジスト層を形成することと、
前記ソルダーレジスト層に前記樹脂絶縁層と前記導体層を露出する溝を形成することと、
前記溝内にダム用インクを形成することと、
前記溝内の前記ダム用インク上にさらに前記ダム用インクを形成することと、
前記ダム用インクを硬化することによって、前記溝内に形成されている第1部分と前記第1部分上に形成される第2部分を有するダムを形成すること、とを含むプリント配線板の製造方法であって、
前記第2部分は前記ソルダーレジスト層の上面より上方に突出する。
【請求項9】
請求項8のプリント配線板の製造方法であって、前記ダム用インクを形成することはインクジェット方式で滴状の前記ダム用インクを塗布することを含み、塗布されるインク滴の最大径は前記溝の幅より小さい。
【請求項10】
請求項8のプリント配線板の製造方法であって、前記ダム用インクは有機製絶縁材料で形成されている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書によって開示される技術はプリント配線板とその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、ベース基板と、ベース基板上に形成されているダムを有するプリント配線板を開示する。ベース基板上にダムインクをインクジェット方式で塗布することと、ダムインクを硬化することによってダムが形成される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【0004】
[特許文献1の課題]
インクジェット方式で塗布されるダムインクはベース基板上で広がると考えられる。特許文献1の技術では、ダムの幅が所望の幅より広くなると考えられる。ベース基板上にダムを形成するために過剰な面積を確保することが必要であると考えられる。またダムの高さの確保が難しいと考えられる。小型のプリント配線板が得られないと考えられる。高品質のプリント配線板の提供が難しいと考えられる。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明のプリント配線板は、樹脂絶縁層と、前記樹脂絶縁層上に形成されている導体層と、前記樹脂絶縁層と前記導体層上に形成されているソルダーレジスト層と、前記ソルダーレジスト層を貫通し前記樹脂絶縁層と前記導体層を露出する溝と、前記溝内に形成されている第1部分と前記第1部分上に形成され、前記ソルダーレジスト層の上面より上方に突出する第2部分で形成されているダム、とを有する。
【0006】
本発明の実施形態のプリント配線板では、ダムは、溝内に形成されている第1部分と第1部分上に形成され、ソルダーレジスト層の上面より上方に突出する第2部分を有する。そのためダムの幅が溝の幅により制御される。溝の幅を所望の大きさに形成することによってダムの幅が所望の大きさに規定される。ダムの高さが確保される。小型のプリント配線板が得られる。高品質のプリント配線板が得られる。
【0007】
本発明のプリント配線板の製造方法は、樹脂絶縁層上に導体層を形成することと、前記樹脂絶縁層と前記導体層上にソルダーレジスト層を形成することと、前記ソルダーレジスト層に前記樹脂絶縁層と前記導体層を露出する溝を形成することと、前記溝内にダム用インクを形成することと、前記溝内の前記ダム用インク上にさらに前記ダム用インクを形成することと、前記ダム用インクを硬化することによって、前記溝内に形成されている第1部分と前記第1部分上に形成される第2部分を有するダムを形成すること、とを含む。前記第2部分は前記ソルダーレジスト層の上面より上方に突出する。
【0008】
本発明の実施形態の製造方法は、溝内にダム用インクを形成することを含む。そのため、実施形態は、ダム用インクの幅を溝により制御することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】実施形態のプリント配線板を模式的に示す平面図。
【
図4A】実施形態のプリント配線板の製造方法を模式的に示す断面図。
【
図4B】実施形態のプリント配線板の製造方法を模式的に示す断面図。
【
図4C】実施形態のプリント配線板の製造方法を模式的に示す断面図。
【
図4D】実施形態のプリント配線板の製造方法を模式的に示す断面図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
[実施形態]
図1は実施形態のプリント配線板2を示す平面図である。
図2は
図1のII-II間の断面図である。
図3は
図1のIII-III間の断面図である。
図1~
図3に示されるように、プリント配線板2は、樹脂絶縁層10と導体層20とソルダーレジスト層30とソルダーレジスト層30を貫通する溝40とダム50とを有する。樹脂絶縁層10は第1面10aと第1面10aと反対側の第2面10bを有する。導体層20は樹脂絶縁層10の第1面10a上に形成されている。ソルダーレジスト層30は樹脂絶縁層10の第1面10aと導体層20上に形成されている。プリント配線板2は樹脂絶縁層10と導体層20下にコア基板を有していてもよい。
【0011】
樹脂絶縁層10は熱硬化性樹脂を用いて形成される。樹脂絶縁層10の材料は光硬化性樹脂でも良い。樹脂絶縁層10はシリカ等の無機粒子を含んでもよい。樹脂絶縁層10は、ガラスクロス等の補強材を含んでもよい。
【0012】
導体層20は樹脂絶縁層10上に形成されている。導体層20は複数の導体回路22を含む。導体回路22の例は信号配線と電源回路、グランド回路、パッド24である。
図1では、導体回路22は点線で描かれている。プリント配線板2上にパッド24を介して電子部品が実装される。パッド24はプリント配線板2に実装される電子部品直下の実装エリア内に形成されている。導体回路22は主に銅によって形成される。パッド24は信号配線の端に繋がっている。パッド24は導体回路22の一部であってもよい。パッド24は電源回路と一体化されている。パッド24はグランド回路と一体化されている。
【0013】
ソルダーレジスト層30は樹脂絶縁層10と導体層20上に形成されている。ソルダーレジスト層30は、各パッド24を露出する開口34を有している。
【0014】
溝40は樹脂絶縁層10の第1面10aと導体層20の上面を露出する。溝40により露出される第1面10aは同時に導体層20によって露出される。溝40が導体回路22の上面を露出する場合、溝40により露出される導体回路22の上面は導体部分である。溝40が樹脂絶縁層10の第1面10aを露出する場合、溝40により露出される樹脂絶縁層10の第1面10aは樹脂部分である。導体部分の数と樹脂部分の数は複数である。導体部分と樹脂部分は繋がっている。導体部分と樹脂部分が交互に繋がる。導体部分と樹脂部分が繋がると、導体部分と樹脂部分は略枠状の平面形状を形成する。
図1に示されるように、溝40はパッド24の周囲を囲んでいる。溝40は実装エリアを囲んでいる。
【0015】
ダム50はアンダーフィルの流れ出しを防止する。
図2と
図3に示されるように、ダム50は、溝40内に形成されている第1部分51と、第1部分51上に形成され、ソルダーレジスト層30の上面32より上方に突出する第2部分52とを有する。第2部分52はソルダーレジスト層30の上面32から上方に突出している。第1部分51と第2部分52は同じ材料で形成されている。ダム50は有機製絶縁材料で形成されている。ダム50は光硬化型樹脂、または、熱硬化型樹脂で形成されている。ソルダーレジスト層30とダム50は同じ有機製絶縁材料で形成されている。他の例ではダム50とソルダーレジスト層30は異なる有機製絶縁材料で形成されていてもよい。
【0016】
図2に示されるように、導体部分を形成する溝40内のダム50は導体回路22上に形成される。導体部分を形成する溝40内の第1部分51は導体回路22上に形成される。
図3に示されるように、樹脂部分を形成する溝40内のダム50は樹脂絶縁層10の第1面10a上に形成される。樹脂部分を形成する溝40内の第1部分51は樹脂絶縁層10の第1面10a上に形成される。
【0017】
図2と
図3に示されるように、第1部分51の幅W1は第2部分52の幅W2より大きい。第1部分51の幅W1は溝40の幅Wgと同じである。第1部分51と第2部分52の境界付近の第1部分51の高さは第1部分51の側壁の高さより高い。第1部分51の側壁は溝40の側壁と向かい合っている。第1部分51の上面51aは、溝40の側壁近傍から第1部分51と第2部分52の境界近傍に向かって上面51aの高さが高くなるように形成されている。第1部分51の上面51aは樹脂絶縁層10の第1面10aと平行ではない。溝40の側壁近傍と第1部分51と第2部分52の境界近傍間の上面51aは曲がっている。上面51aは側壁近傍から第1部分51と第2部分52の境界近傍に向かって曲がるように上面51aは形成されている。
【0018】
第2部分52の上面52aは中央部分が上方に突出するように形成されている。中央部分は幅方向における中央である。第2部分52の上面52aは曲面である。
【0019】
実施形態のプリント配線板2では、ダム50は、溝40内に形成されている第1部分51と第1部分51上に形成され、ソルダーレジスト30層の上面32より上方に突出する第2部分52を有する。そのためダム50の幅(W1、W2)が溝40の幅Wgより大きくなることが抑制される。溝40の幅Wgを所望の大きさに形成することによってダム50の幅が所望の大きさに規定される。ダム50の高さが確保される。実施形態は小型のプリント配線板2を形成することができる。高品質のプリント配線板2が得られる。
【0020】
溝40が異なる機能を有する導体回路22を同時に露出する。それらが絶縁性のダム50で覆われる。そのため、実施形態が異なる機能を有する導体回路22を露出する溝40を有しても、例えば、電源用の導体回路22とグランド用の導体回路22が短絡しない。異なる機能を有する導体回路22は電源用の導体回路22とグランド用の導体回路22と信号用の導体回路22である。
【0021】
[実施形態のプリント配線板2の製造方法]
図4A~
図4Dは実施形態のプリント配線板2の製造方法を示す。
図4A~
図4Dは断面図である。
図4Aは樹脂絶縁層10と樹脂絶縁層10上に形成されている導体層20を示す。
【0022】
図4Bに示されるように、樹脂絶縁層10と導体層20上にソルダーレジスト層30aが形成される。
【0023】
図4Cに示されるように、パッド24を露出する開口34と溝40を有するソルダーレジスト層30が形成される。溝40はソルダーレジスト層30を貫通する。溝40は樹脂絶縁層10の第1面10aと導体回路22の上面に至る。溝40はレーザで形成される。溝40は露光と現像によって形成される。溝40の平面形状は略枠状である。
【0024】
図4Dに示されるように、溝40内にダム用インク80が形成される。例えば、溝40内にダム用インク80を塗布することによって溝40内にダム用インク81が形成される。塗布の例はインクジェット方式、または、ディスペンス方式である。ノズル90から滴状のダム用インク80aが溝40内に連続して滴下される。インク滴80aの最大径R1は、溝40の幅Wgより小さい。あるいは、ノズル90からダム用インク80が溝40内に連続して吐出される。吐出されるダム用インク80の幅は溝40の幅Wgより小さい。ダム用インク80の頂部がソルダーレジスト層30の上面32から突出するようにダム用インク80は塗布される。溝40をほぼ充填しているダム用インク81上にダム用インク82が形成される。ダム用インク82はソルダーレジスト層30の上面32より上方に突出する。ダム用インク80とインク滴80aは有機製絶縁材料で形成されている。ダム用インク80とインク滴80aはソルダーレジスト層30と同じ材料、または、異なる材料で形成されている。溝40内に形成されているダム用インク81とダム用インク81上のダム用インク82で形成されるダム用インク80を硬化することでダム50が形成される。実施形態のプリント配線板2が得られる。溝40の大部分がダム用インク80で充填される。その後、実施形態は溝40内のダム用インク80を硬化(1回目の硬化)することができる。1回目の硬化後、さらに、溝40内のダム用インク80上にダム用インク80が塗布される。その後、ダム用インク80が硬化(2回目の硬化)される。
【0025】
実施形態の製造方法では、溝40内にダム用インク80が塗布される。そのため、ダム用インク80の広がりが抑制される。塗布されるダム用インク80の幅は溝40の幅Wg以下に規制される。その結果、完成するダム50の幅(W1、W2)が溝40の幅Wgより大きくなることが抑制される。溝40の幅Wgを所望の大きさに形成することによってダム50の幅が所望の大きさに規定される。ダム50の広がりが抑制されるので、ダム50の高さが確保される。小型のプリント配線板2が得られる。高品質のプリント配線板2が得られる。
【0026】
[実施形態の別例]
別例では、ダム50の第1部分51と第2部分52は異なる材料で形成されている。第1部分51と第2部分52は異なる有機製絶縁材料で形成されている。
【符号の説明】
【0027】
2:プリント配線板
10:樹脂絶縁層
20:導体層
30:ソルダーレジスト層
32:上面
40:溝
50:ダム
51:第1部分
52:第2部分
80:ダム用インク
80a:インク滴