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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024175732
(43)【公開日】2024-12-19
(54)【発明の名称】バッテリ端子用規制部材
(51)【国際特許分類】
   H01M 50/591 20210101AFI20241212BHJP
   H01M 50/543 20210101ALI20241212BHJP
   H01M 50/588 20210101ALI20241212BHJP
【FI】
H01M50/591
H01M50/543
H01M50/588 101
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023093679
(22)【出願日】2023-06-07
(71)【出願人】
【識別番号】000006895
【氏名又は名称】矢崎総業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100083806
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 秀和
(74)【代理人】
【識別番号】100111235
【弁理士】
【氏名又は名称】原 裕子
(74)【代理人】
【識別番号】100170575
【弁理士】
【氏名又は名称】森 太士
(72)【発明者】
【氏名】板垣 辰昌
(72)【発明者】
【氏名】水谷 匠
(72)【発明者】
【氏名】太田 かほ
【テーマコード(参考)】
5H043
【Fターム(参考)】
5H043AA14
5H043AA19
5H043CA04
5H043DA19
5H043GA23
5H043GA25
5H043HA09D
5H043JA01D
5H043JA02D
(57)【要約】
【課題】汎用性を向上することができるバッテリ端子用規制部材を提供する。
【解決手段】バッテリのバッテリポストに電気的に接続されるバッテリ端子を保持する保持部3と、バッテリの側面と係合し、バッテリポストを中心とする保持部3の回転を規制する規制部5とを備えたバッテリ端子用規制部材1において、保持部3と規制部5との間に、保持部3と規制部5とを一体に固定し、バッテリの側面に対する規制部5の角度を変更可能とする固定部19を設けた。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
バッテリのバッテリポストに電気的に接続されるバッテリ端子を保持する保持部と、
前記バッテリの側面と係合し、前記バッテリポストを中心とする前記保持部の回転を規制する規制部と、
を備え、
前記保持部と前記規制部との間には、前記保持部と前記規制部とを一体に固定し、前記保持部に対する前記規制部の角度を変更可能とする固定部が設けられているバッテリ端子用規制部材。
【請求項2】
前記固定部は、前記保持部と前記規制部とのうち一方に設けられた複数の孔部と、他方に設けられ複数の前記孔部のうち1つの前記孔部と係合可能な突部とを有する請求項1に記載のバッテリ端子用規制部材。
【請求項3】
前記突部は、前記孔部に圧入される請求項2に記載のバッテリ端子用規制部材。
【請求項4】
前記保持部は、複数設けられている請求項1から3のいずれか1項に記載のバッテリ端子用規制部材。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バッテリ端子用規制部材に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、バッテリ端子用規制部材としては、バッテリのバッテリポストに電気的に接続されるバッテリ端子を保持する保持部としてのターミナル下部カバーを備えている。また、バッテリの側面と係合し、バッテリポストを中心とするターミナル下部カバーの回転を規制する規制部としてのターミナルストッパーを備えたものが知られている(特許文献1参照)。
【0003】
このバッテリ端子用規制部材では、ターミナル下部カバーとターミナルストッパーとが連続する一部材で形成され、ターミナルストッパーがバッテリの側面に延出するように、全体的にL字状に形成されている。このようなバッテリ端子用規制部材では、ターミナルストッパーが、バッテリの側面と係合することにより、バッテリポストを中心とするターミナル下部カバーの回転を規制する。ターミナル下部カバーの回転を規制することにより、バッテリポストに対するバッテリ端子の回転を規制することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2010-160990号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、上記特許文献1のようなバッテリ端子用規制部材では、保持部と規制部とが連続する一部材で形成されている。バッテリポストの軸回りにおけるバッテリ端子の向き(配置位置)は、バッテリに電気的に接続される電気部品の配置によって変更されることがある。しかしながら、保持部と規制部とが連続する一部材で形成されていると、バッテリポストの軸回りに対してバッテリ端子を1つの向き(配置位置)でしか固定することができない。このため、上記特許文献1のようなバッテリ端子用規制部材では、バッテリ端子の向き(配置位置)を変更する場合、その都度、設計変更しなければならず、汎用性が低下していた。
【0006】
本発明は、このような従来技術が有する課題に鑑みてなされたものである。そして本発明の目的は、汎用性を向上することができるバッテリ端子用規制部材を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本実施形態に係るバッテリ端子用規制部材は、バッテリのバッテリポストに電気的に接続されるバッテリ端子を保持する保持部と、前記バッテリの側面と係合し、前記バッテリポストを中心とする前記保持部の回転を規制する規制部とを備え、前記保持部と前記規制部との間には、前記保持部と前記規制部とを一体に固定し、前記保持部に対する前記規制部の角度を変更可能とする固定部が設けられている。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、汎用性を向上することができるバッテリ端子用規制部材を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本実施形態に係るバッテリ端子用規制部材の分解斜視図である。
図2】本実施形態に係るバッテリ端子用規制部材の斜視図である。
図3】本実施形態に係るバッテリ端子用規制部材の上面図である。
図4図3の要部拡大図である。
図5図3のV-V断面図である。
図6】本実施形態に係るバッテリ端子用規制部材の保持部の斜視図である。
図7】本実施形態に係るバッテリ端子用規制部材の保持部の上面図である。
図8】本実施形態に係るバッテリ端子用規制部材の規制部の斜視図である。
図9】本実施形態に係るバッテリ端子用規制部材の規制部の正面図である。
図10】本実施形態に係るバッテリ端子用規制部材の保持部と規制部とを固定したときの一例を示す上面図である。
図11】本実施形態に係るバッテリ端子用規制部材の保持部と規制部とを固定したときの他例を示す上面図である。
図12】本実施形態に係るバッテリ端子用規制部材の保持部と規制部とを固定したときの他例を示す上面図である。
図13】本実施形態に係るバッテリ端子用規制部材をバッテリに配置したときの一例を示す斜視図である。
図14】本実施形態に係るバッテリ端子用規制部材をバッテリに配置したときの他例を示す斜視図である。
図15】本実施形態に係るバッテリ端子用規制部材をバッテリに配置したときの他例を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を用いて本実施形態に係るバッテリ端子用規制部材について詳細に説明する。なお、図面の寸法比率は説明の都合上誇張されており、実際の比率と異なる場合がある。
【0011】
図13図15に示すように、本実施形態に係るバッテリ端子用規制部材1は、例えば、車両に搭載されたバッテリ101に電気的に接続されるバッテリ端子103に適用される。バッテリ端子103は、例えば、車両に搭載された電気部品(不図示)と電気的に接続され、バッテリ101と電気部品との間を電気的に接続する。
【0012】
図13図15に示すように、バッテリ101は、直方体状に形成されている。バッテリ101の上面105には、上方に向けて突出されたバッテリポスト107が設けられている。バッテリポスト107には、バッテリ端子103が電気的に接続される。
【0013】
図1図13図15に示すように、バッテリ端子103は、導電性材料からなり、部品接続部109と、バッテリ接続部111とを備えている。
【0014】
部品接続部109は、バッテリ端子103の一端側に上方に向けて突出されたスタッドボルトからなる。部品接続部109は、例えば、電気部品に電気的に接続された電線(不図示)の端末部に設けられた端子(不図示)が配置され、ナット(不図示)が締結されて、バッテリ端子103と電気部品とが電気的に接続される。なお、部品接続部109には、過電流によって溶断するヒューズを有するヒュージブルリンク(不図示)が電気的に接続されてもよい。
【0015】
バッテリ接続部111は、バッテリポスト107を挿通可能な孔部を有し、端部に挿通されたボルトを締め付けることにより、孔部の径が縮径される。バッテリ接続部111は、孔部にバッテリポスト107を挿通した状態で、ボルトを締め付けることにより、バッテリポスト107に電気的に接続される。バッテリ接続部111をバッテリポスト107に電気的に接続することにより、バッテリ端子103を介してバッテリ101と電気部品とが電気的に接続される。
【0016】
バッテリ端子103は、バッテリ端子用規制部材1に保持され、バッテリ端子用規制部材1によって、バッテリポスト107を中心とする回転方向の移動が規制される。
【0017】
図1図15に示すように、バッテリ端子用規制部材1は、保持部3と、規制部5とを備えている。
【0018】
保持部3は、例えば、合成樹脂などの絶縁性材料からなり、複数(ここでは2つ)設けられている。複数の保持部3は、底壁7を介して連続する一部材で形成されている。複数の保持部3は、それぞれ挿通孔9と、一対の側壁11,11とを備えている。
【0019】
挿通孔9は、底壁7を貫通し、バッテリポスト107を挿通可能な円形状に形成されている。挿通孔9には、バッテリ101の上面105に保持部3を配置したときに、バッテリポスト107が挿通して配置される。挿通孔9は、保持部3にバッテリ端子103が配置されたときに、バッテリ端子103のバッテリ接続部111の孔部と一致する。
【0020】
一対の側壁11,11は、保持部3にバッテリ端子103が配置されたときに、バッテリ端子103のバッテリ接続部111の両側面とそれぞれ当接可能に対向して配置される。一対の側壁11,11は、バッテリ端子103がバッテリポスト107の軸回りに回転しようとしたときに、バッテリ接続部111の側面と当接し、保持部3にバッテリポスト107を中心とする回転方向の外力を入力する。なお、一対の側壁11,11には、カバー(不図示)を保持する係合部13が設けられている。カバーは、バッテリ端子103のバッテリ接続部111の孔部と干渉しない形状に形成されている。カバーは、係合部13を介して保持部3に組付けられた状態で、バッテリ接続部111の上方に配置され、バッテリ端子103の浮き上がりを防止し、バッテリ端子103を保持部3に保持する。
【0021】
保持部3を複数設けることにより、バッテリ101の上面105において、バッテリポスト107の配置位置が異なっていても、保持部3と一体に固定された規制部5を、バッテリ101の側面113に配置することができる。このため、1つのバッテリ端子用規制部材1で、様々なバッテリ101に対応することができ、汎用性を向上することができる。
【0022】
規制部5は、保持部3と別体で形成され、例えば、合成樹脂などの絶縁性材料からなる。規制部5は、バッテリ101の側面113の平面方向に延出され、側面から見たときに、バッテリ101の下方(バッテリポスト107と反対側)に向けて先細りとなる三角形状に形成されている。なお、規制部5には、複数のリブ15が設けられ、剛性を保持しつつ、軽量化がなされている。規制部5は、バッテリ101の側面113と対向して配置される規制面17を有する。規制面17は、バッテリ101の側面113と平行に形成されている。規制面17は、規制部5と一体に固定された保持部3にバッテリポスト107を中心とする回転方向の外力が入力されたときに、バッテリ101の側面113と当接される。規制面17とバッテリ101の側面113との当接により、保持部3のバッテリポスト107を中心とする回転が規制され、バッテリ端子103のバッテリポスト107を中心とする回転を規制することができる。規制部5は、固定部19を介して保持部3と一体に固定される。
【0023】
固定部19は、保持部3と規制部5との間に設けられ、保持部3と規制部5とを一体に固定する。固定部19は、保持部3が、バッテリポスト107の軸回りのどの位置に配置されても、規制部5の規制面17とバッテリ101の側面113とをほぼ平行とするように、保持部3に対する規制部5の角度を変更可能となっている。固定部19は、複数の孔部21と、突部23とを備えている。
【0024】
複数(ここでは3つ)の孔部21は、保持部3の底壁7の一端側に、底壁7を貫通して形成されている。1つの孔部21は、長円状に形成されている。複数の孔部21は、中心位置で交わるように配置されている。
【0025】
突部23は、保持部3の底壁7と対向する規制部5の上面に、上方に向けて突出されている。突部23は、1つの孔部21の内径と同等、或いは僅かに大きい外径を有するように、長円状に形成されている。突部23は、縮径することが可能なように、中空の筒状に形成されている。突部23は、1つの孔部21に対して圧入され、保持部3と規制部5とを一体に固定する。突部23を孔部21に圧入して固定することにより、突部23と孔部21との係合構造を複雑化することなく、簡易な構造で保持部3と規制部5とを一体に固定することができる。加えて、複数の孔部21のうち1つの孔部21に突部23を係合させることにより、複数の孔部21に対応して、複数の突部23を設ける必要がなく、固定部19の大型化を抑制することができる。
【0026】
図10図12に示すように、複数の孔部21のうち1つの孔部21に突部23を係合(圧入)することにより、保持部3に対する規制部5の規制面17の傾斜角度が異なった状態で、保持部3と規制部5とが一体に固定される。規制部5の規制面17の傾斜角度を異ならせることにより、保持部3が、バッテリポスト107の軸回りのどの位置に配置されても、規制部5の規制面17とバッテリ101の側面113とをほぼ平行とすることができる。このため、図13図15に示すように、バッテリ端子103が、バッテリポスト107の軸回りのどの位置に配置されても、規制部5をバッテリ101の側面113に係合させ、バッテリ端子103の回転を規制することができる。従って、バッテリ端子103の向き(配置位置)の変更に対応して、その都度、保持部3と規制部5との設計変更を行う必要がなく、1つのバッテリ端子用規制部材1で対応することができ、汎用性を向上することができる。
【0027】
このようなバッテリ端子用規制部材1では、バッテリ101のバッテリポスト107に電気的に接続されるバッテリ端子103を保持する保持部3を備えている。また、バッテリ101の側面113と係合し、バッテリポスト107を中心とする保持部3の回転を規制する規制部5とを備えている。そして、保持部3と規制部5との間には、保持部3と規制部5とを一体に固定し、保持部3に対する規制部5の角度を変更可能とする固定部19が設けられている。
【0028】
固定部19において、保持部3に対する規制部5の角度を変更することにより、バッテリ端子103がバッテリポスト107の軸回りのどの位置に配置されても、規制部5をバッテリ101の側面113に係合させることができる。規制部5をバッテリ101の側面113に係合させることにより、バッテリポスト107に対するバッテリ端子103の回転を規制することができる。このため、バッテリ端子103の向き(配置位置)の変更に対応して、その都度、保持部3と規制部5との設計変更を行う必要がなく、1つのバッテリ端子用規制部材1で対応することができ、汎用性を向上することができる。
【0029】
従って、このようなバッテリ端子用規制部材1では、汎用性を向上することができる。
【0030】
また、固定部19は、保持部3に設けられた複数の孔部21と、規制部5に設けられ複数の孔部21のうち1つの孔部21と係合可能な突部23とを有する。
【0031】
このため、複数の孔部21に対応して、複数の突部23を設ける必要がなく、固定部19の大型化を抑制することができる。
【0032】
また、突部23は、孔部21に圧入される。
【0033】
このため、突部23と孔部21との係合構造を複雑化することなく、簡易な構造で保持部3と規制部5とを一体に固定することができる。
【0034】
また、保持部3は、複数設けられている。
【0035】
保持部3を複数設けることにより、バッテリ101において、バッテリポスト107の配置位置が異なっていても、保持部3と一体に固定された規制部5を、バッテリ101の側面113に配置することができる。このため、1つのバッテリ端子用規制部材1で、様々なバッテリ101に対応することができ、汎用性を向上することができる。
【0036】
以上、本実施形態を説明したが、本実施形態はこれらに限定されるものではなく、本実施形態の要旨の範囲内で種々の変形が可能である。
【0037】
例えば、孔部は、3つとなっているが、これに限らず、孔部を、2つ、或いは4つ以上としてもよい。加えて、保持部は、2つとなっているが、これに限らず、保持部を、3つ以上としてもよい。
【0038】
また、孔部は、保持部に設けられ、突部は、規制部に設けられているが、これに限らず、孔部を、規制部に設け、突部を、保持部に設けてもよい。
【符号の説明】
【0039】
1 バッテリ端子用規制部材
3 保持部
5 規制部
19 固定部
21 孔部
23 突部
101 バッテリ
103 バッテリ端子
107 バッテリポスト
113 側面
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15