(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024175733
(43)【公開日】2024-12-19
(54)【発明の名称】ノート型コンピュータ
(51)【国際特許分類】
H02H 7/18 20060101AFI20241212BHJP
G06F 1/30 20060101ALI20241212BHJP
H02H 7/20 20060101ALI20241212BHJP
【FI】
H02H7/18
G06F1/30
H02H7/20 A
【審査請求】有
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023093680
(22)【出願日】2023-06-07
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2023-09-13
(71)【出願人】
【識別番号】518133201
【氏名又は名称】富士通クライアントコンピューティング株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002918
【氏名又は名称】弁理士法人扶桑国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】木下 真吾
【テーマコード(参考)】
5B011
5G053
【Fターム(参考)】
5B011DA02
5B011DB22
5B011EA02
5B011EA04
5B011GG01
5B011GG02
5B011JA13
5G053AA05
5G053CA03
5G053DA01
5G053EA01
5G053EA05
5G053EA06
5G053EA09
5G053EB05
5G053EB08
5G053EC02
5G053EC06
5G053FA07
(57)【要約】
【課題】装置の故障を防止することができる。
【解決手段】ノート型コンピュータ10は、センサ11と、コネクタ13と、スイッチ回路12と、電荷除去回路16と、処理部17とを有する。センサ11は、人体を検知する。コネクタ13は、第1電力供給元が接続される。スイッチ回路12は、第2電力供給元14から電力供給先15への電力供給経路とコネクタ13との間に接続され、第2電力供給元14から電力供給先15へ電力供給時に、第2電力供給元14からコネクタ13への電流を遮断する。スイッチ回路12は、コネクタ13に第1電力供給元が接続されると、第1電力供給元から電力供給先15へ通電させる。電荷除去回路16は、スイッチ回路12に接続され、信号を受信するとスイッチ回路12に溜まった電荷による電流が流れる。処理部17は、センサ11が人体を検知すると、電荷除去回路16に信号を出力する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
人体を検知するセンサと、
第1電力供給元が接続されるコネクタと、
第2電力供給元から電力供給先への電力供給経路と前記コネクタとの間に接続され、前記第2電力供給元から前記電力供給先へ電力供給時に、前記第2電力供給元から前記コネクタへの電流を遮断し、前記コネクタに前記第1電力供給元が接続されると、前記第1電力供給元から前記電力供給先へ通電させるスイッチ回路と、
前記スイッチ回路に接続され、信号を受信すると前記スイッチ回路に溜まった電荷による電流が流れる電荷除去回路と、
前記センサが人体を検知すると、前記電荷除去回路に前記信号を出力する処理部と、
を有するノート型コンピュータ。
【請求項2】
前記処理部は、前記コネクタに前記第1電力供給元が接続されていない場合に、前記信号を出力する、
請求項1記載のノート型コンピュータ。
【請求項3】
前記処理部は、前記センサが人体を検知すると、ワンショットの前記信号を前記電荷除去回路に出力する、
請求項1記載のノート型コンピュータ。
【請求項4】
前記スイッチ回路は、FET(Field Effect Transistor)のオンとオフとの切り替えによって、前記第2電力供給元から前記コネクタへの電流の遮断と、前記第1電力供給元から前記電力供給先への通電とを行う、
請求項1記載のノート型コンピュータ。
【請求項5】
モニタが設置された第1筐体と、キーボードが設置された第2筐体とをさらに有し、
前記コネクタは、前記モニタの正面から見て前記第2筐体の右または左の側面に設置され、
前記センサは、前記モニタの正面から見て前記側面と反対側に設置される、
請求項1記載のノート型コンピュータ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ノート型コンピュータに関する。
【背景技術】
【0002】
ノートPC(Personal Computer)やタブレット端末等の装置では、内部バッテリやAC(Alternating Current)アダプタ等の複数の電力供給元がある。装置に複数の電力供給元がある場合、電力供給中の電力供給元から電力供給をしていない別の電力供給元への電流が流れないよう電力供給の経路を遮断する制御がされる。
【0003】
ノートPCの電力に関する技術としては、例えば、バッテリ駆動させる可能性が高い会議室を事前に判定して、会議前に会議の参加者にバッテリを充電するように通知する電源管理装置が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
電力供給の経路の制御は、例えば、FET(Field Effect Transistor)のオンとオフとを切り替えることによって行われる。ここで、FETに残留した電荷によって、FETがオンになるまでの時間が短くなり、大きなラッシュ電流が発生することがある。大きなラッシュ電流は、装置の故障の原因となることがある。
【0006】
1つの側面では、本件は、装置の故障を防止することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
1つの案では、センサと、コネクタと、スイッチ回路と、電荷除去回路と、処理部とを有するノート型コンピュータが提供される。センサは、人体を検知する。コネクタは、第1電力供給元が接続される。スイッチ回路は、第2電力供給元から電力供給先への電力供給経路とコネクタとの間に接続され、第2電力供給元から電力供給先へ電力供給時に、第2電力供給元からコネクタへの電流を遮断し、コネクタに第1電力供給元が接続されると、第1電力供給元から電力供給先へ通電させる。電荷除去回路は、スイッチ回路に接続され、信号を受信するとスイッチ回路に溜まった電荷による電流が流れる。処理部は、センサが人体を検知すると、電荷除去回路に信号を出力する。
【発明の効果】
【0008】
1態様によれば、装置の故障を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】第1の実施の形態に係るノート型コンピュータの一例を示す図である。
【
図2】ノートPCのハードウェアの一構成例を示す図である。
【
図3】第2の実施の形態の回路の一例を示す図である。
【
図4】回路における制御信号の一例を示す図である。
【
図5】ノートPCの機能例を示すブロック図である。
【
図7】電源制御処理の手順の一例を示すフローチャートである。
【
図8】電荷除去回路が適用されない場合のタイミングチャートの一例を示す図である。
【
図9】電荷除去回路が適用される場合のタイミングチャートの一例を示す図である。
【
図10】その他の実施の形態の回路の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本実施の形態について図面を参照して説明する。なお各実施の形態は、矛盾のない範囲で複数の実施の形態を組み合わせて実施することができる。
〔第1の実施の形態〕
まず、第1の実施の形態について説明する。第1の実施の形態は、電力供給経路を制御するスイッチ回路に溜まった電荷を除去するものである。
【0011】
図1は、第1の実施の形態に係るノート型コンピュータの一例を示す図である。ノート型コンピュータ10は、携帯可能なノート型のコンピュータである。ノート型コンピュータ10は、センサ11、スイッチ回路12、コネクタ13、第2電力供給元14、電力供給先15、電荷除去回路16および処理部17を有する。
【0012】
センサ11は、人体を検知するセンサである。例えば、センサ11は、SAR(Specific Absorption Rate)センサである。スイッチ回路12は、電力供給経路を制御する回路である。スイッチ回路12は、例えば、Back-to-Back構成の2つのFETと、2つのFETのオンとオフとを制御するコントローラを有するスイッチングデバイスである。
【0013】
スイッチ回路12は、第2電力供給元14から電力供給先15への電力供給経路とコネクタ13との間に接続される。スイッチ回路12は、第2電力供給元14から電力供給先15へ電力供給時に、第2電力供給元14からコネクタ13への電流を遮断する。また、スイッチ回路12は、コネクタ13に第1電力供給元が接続されると、第1電力供給元から電力供給先15へ通電させる。例えば、スイッチ回路12は、FETのオンとオフとの切り替えによって、第2電力供給元14からコネクタ13への電流の遮断と、第1電力供給元から電力供給先15への通電とを行う。
【0014】
コネクタ13は、第1電力供給元に接続するためのコネクタである。例えば、第1電力供給元は、ACアダプタを介して接続される商用電源であり、コネクタ13は、ACアダプタを接続可能なコネクタである。また、例えば、第1電力供給元は、給電可能なUSB(Universal Serial Bus) TypeCデバイスであり、コネクタ13は、USB TypeCコネクタである。第2電力供給元14は、ノート型コンピュータ10に搭載された電力供給元である。例えば、第2電力供給元14は、ノート型コンピュータ10のバッテリである。
【0015】
電力供給先15は、ノート型コンピュータ10が有する電力によって作動する機器である。電力供給先15は、例えば、ノート型コンピュータ10が有する、プロセッサ、メモリ、ストレージ装置等のハードウェアである。なお、電力供給先15には、センサ11や処理部17が含まれていてもよい。
【0016】
電荷除去回路16は、スイッチ回路12に接続され、信号を受信するとスイッチ回路12に溜まった電荷による電流が流れる。例えば、電荷除去回路16は、ソースがGNDに接続され、ドレインがスイッチ回路12のFETに接続され、ゲートが処理部17に接続されたFETを含む回路である。
【0017】
処理部17は、電荷除去回路16を制御するコントローラである。処理部17は、例えば、ノート型コンピュータ10のPMU(Power Management Unit)である。処理部17は、センサ11が人体を検知すると、電荷除去回路16に信号を出力する。例えば、処理部17は、センサ11から人体を検知したことを通知されると、コネクタ13に、第1電力供給元が接続されているか否かを判定する。そして、処理部17は、コネクタ13に第1電力供給元が接続されていない場合に、ワンショットの信号を出力する。
【0018】
第1の実施の形態によれば、センサ11は、人体を検知する。コネクタ13は、第1電力供給元が接続される。スイッチ回路12は、第2電力供給元14から電力供給先15への電力供給経路とコネクタ13との間に接続され、第2電力供給元14から電力供給先15へ電力供給時に、第2電力供給元14からコネクタ13への電流を遮断する。スイッチ回路12は、コネクタ13に第1電力供給元が接続されると、第1電力供給元から電力供給先15へ通電させる。電荷除去回路16は、スイッチ回路12に接続され、信号を受信するとスイッチ回路12に溜まった電荷による電流が流れる。処理部17は、センサ11が人体を検知すると、電荷除去回路16に信号を出力する。
【0019】
これにより、ノート型コンピュータ10は、ユーザが第1電力供給元を接続しようとすると、電荷除去回路16にスイッチ回路12に溜まった電荷を除去させることができる。ノート型コンピュータ10は、第1電力供給元が接続される前にFETに残留した電荷を除去することによって、大きなラッシュ電流が発生することを防止することができる。よって、ノート型コンピュータ10は、装置の故障を防止することができる。
【0020】
また、処理部17は、コネクタ13に第1電力供給元が接続されていない場合に、信号を出力する。これにより、ノート型コンピュータ10は、不要な信号を出力しないことで、電力消費を削減することができる。
【0021】
処理部17は、センサ11が人体を検知すると、ワンショットの信号を電荷除去回路16に出力する。これにより、ノート型コンピュータ10は、信号の出力時間を短縮することで、電力消費を削減することができる。
【0022】
また、スイッチ回路12は、FETのオンとオフとの切り替えによって、第2電力供給元14からコネクタ13への電流の遮断と、第1電力供給元から電力供給先15への通電とを行う。これにより、ノート型コンピュータ10は、電流経路の制御を容易にすることができる。
【0023】
なお、ノート型コンピュータ10は、モニタが設置された第1筐体と、キーボードが設置された第2筐体とを有していてもよい。コネクタ13は、モニタの正面から見て第2筐体の右または左の側面に設置され、センサ11は、モニタの正面から見てコネクタ13が設置された側面と反対側に設置されていてもよい。これにより、ノート型コンピュータ10は、第1電力供給元を接続しようとするユーザを効率的に検知することができる。
【0024】
〔第2の実施の形態〕
次に、第2の実施の形態について説明する。第2の実施の形態は、ACアダプタおよびバッテリからノートPCに供給される電力の経路を制御するスイッチングデバイスに溜まった電荷を除去するものである。
【0025】
ノートPCは、ACアダプタが接続されると、ACアダプタを介して商用電源から電力の供給を受ける。また、ノートPCは、ACアダプタを介して供給される電力によって搭載されているバッテリを充電し、ACアダプタが接続されていない場合にバッテリから電力の供給を受ける。ノートPCのスイッチングデバイスは、バッテリからの電力供給時に、ACアダプタが接続されるコネクタへの電流が流れないよう、電力供給の経路を遮断する。
【0026】
スイッチングデバイスは、FETのオンとオフとを切り替えることによって電力供給の経路を制御する。例えば、スイッチングデバイスは、ACアダプタが接続されていない場合にFETをオフにして電流を遮断し、ACアダプタが接続されるとFETをオンにして通電させる。
【0027】
ここで、スイッチングデバイスのFETに電荷が残留していると、ACアダプタ接続時に、FETがオンになるまでの時間が短くなる。すると、FETにかかる電圧が短時間で上昇し、大きなラッシュ電流が発生する。そこで、第2の実施の形態では、ノートPCは、SARセンサによってACアダプタを接続しようとするユーザを検知し、ACアダプタの接続前にスイッチングデバイスに溜まった電荷を除去する。
【0028】
図2は、ノートPCのハードウェアの一構成例を示す図である。ノートPC100は、携帯可能なノート型のコンピュータである。ノートPC100は、プロセッサ101によって装置全体が制御されている。プロセッサ101には、バス111を介してメモリ102と複数の周辺機器が接続されている。プロセッサ101は、マルチプロセッサであってもよい。プロセッサ101は、例えばCPU(Central Processing Unit)、MPU(Micro Processing Unit)、またはDSP(Digital Signal Processor)である。プロセッサ101がプログラムを実行することで実現する機能の少なくとも一部を、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、PLD(Programmable Logic Device)等の電子回路で実現してもよい。
【0029】
メモリ102は、ノートPC100の主記憶装置として使用される。メモリ102には、プロセッサ101に実行させるOS(Operating System)のプログラムやアプリケーションプログラムの少なくとも一部が一時的に格納される。また、メモリ102には、プロセッサ101による処理に利用する各種データが格納される。メモリ102としては、例えばRAM(Random Access Memory)等の揮発性の半導体記憶装置が使用される。
【0030】
バス111に接続されている周辺機器としては、ストレージ装置103、GPU(Graphics Processing Unit)104、入力インタフェース105、光学ドライブ装置106および機器接続インタフェース107がある。また、バス111に接続されている周辺機器としては、PMU108、SARセンサ109およびネットワークインタフェース110がある。
【0031】
ストレージ装置103は、内蔵した記録媒体に対して、電気的または磁気的にデータの書き込みおよび読み出しを行う。ストレージ装置103は、コンピュータの補助記憶装置として使用される。ストレージ装置103には、OSのプログラム、アプリケーションプログラム、および各種データが格納される。なお、ストレージ装置103としては、例えばHDD(Hard Disk Drive)やSSD(Solid State Drive)を使用することができる。
【0032】
GPU104には、モニタ21が接続されている。GPU104は、プロセッサ101からの命令に従って、画像をモニタ21の画面に表示させる。モニタ21としては、有機EL(Electro Luminescence)を用いた表示装置や液晶表示装置等がある。
【0033】
入力インタフェース105には、キーボード22とタッチパッド23とが接続されている。入力インタフェース105は、キーボード22やタッチパッド23から送られてくる信号をプロセッサ101に送信する。なお、タッチパッド23は、ポインティングデバイスの一例であり、他のポインティングデバイスを使用することもできる。他のポインティングデバイスとしては、マウス、タッチパネル、タブレット、トラックボール等がある。
【0034】
光学ドライブ装置106は、レーザ光等を利用して、光ディスク24に記録されたデータの読み取りを行う。光ディスク24は、光の反射によって読み取り可能なようにデータが記録された可搬型の記録媒体である。光ディスク24には、DVD(Digital Versatile Disc)、DVD-RAM、CD-ROM(Compact Disc Read Only Memory)、CD-R(Recordable)/RW(ReWritable)等がある。
【0035】
機器接続インタフェース107は、ノートPC100に周辺機器を接続するための通信インタフェースである。例えば機器接続インタフェース107には、メモリ装置25やメモリリーダライタ26を接続することができる。メモリ装置25は、機器接続インタフェース107との通信機能を搭載した記録媒体である。メモリリーダライタ26は、メモリカード27へのデータの書き込み、またはメモリカード27からのデータの読み出しを行う装置である。メモリカード27は、カード型の記録媒体である。
【0036】
PMU108は、プロセッサ108a、RAM108bおよびROM108cを有する。プロセッサ108aは、ROM108cに格納されたファームウェア(制御用のソフトウェア)をRAM108bに読み込み、ファームウェアに従った処理を実行する。プロセッサ108aは、例えばCPU、MPU、またはDSPである。プロセッサ108aがプログラムを実行することで実現する機能の少なくとも一部を、ASIC、PLD等の電子回路で実現してもよい。
【0037】
RAM108bは、PMU108の主記憶装置として使用される、揮発性の半導体記憶装置である。RAM108bには、プロセッサ108aに実行させるプログラムの少なくとも一部が一時的に格納される。また、RAM108bには、プロセッサ108aによる処理に利用する各種データが格納される。
【0038】
ROM108cは、ファームウェアを記憶する不揮発性の半導体記憶装置である。ROM108cとしては、EPROM(Erasable Programmable Read Only Memory)またはEEPROM(Electrically Erasable Programmable Read-Only Memory)を用いることができる。
【0039】
SARセンサ109は、電磁波が人体に吸収される量を検知することで、人体を検出するセンサである。SARセンサ109は、人体を検知すると、プロセッサ101やPMU108に通知する。
【0040】
ネットワークインタフェース110は、ネットワーク20に接続されている。ネットワークインタフェース110は、ネットワーク20を介して、他のコンピュータまたは通信機器との間でデータの送受信を行う。
【0041】
ノートPC100は、以上のようなハードウェア構成によって、第2の実施の形態の処理機能を実現することができる。なお、第1の実施の形態に示したノート型コンピュータ10も、
図2に示したノートPC100と同様のハードウェアにより実現することができる。また、PMU108は、第1の実施の形態に示した処理部17の一例である。また、SARセンサ109は、第1の実施の形態に示したセンサ11の一例である。
【0042】
ノートPC100は、例えばコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録されたプログラムを実行することにより、第2の実施の形態の処理機能を実現する。ノートPC100に実行させる処理内容を記述したプログラムは、様々な記録媒体に記録しておくことができる。例えば、ノートPC100に実行させるプログラムをROM108cに格納しておくことができる。プロセッサ108aは、ROM108c内のプログラムの少なくとも一部をRAM108bにロードし、プログラムを実行する。また、ノートPC100に実行させるプログラムを、光ディスク24、メモリ装置25、メモリカード27等の可搬型記録媒体に記録しておくこともできる。可搬型記録媒体に格納されたプログラムは、例えば、プロセッサ101からの制御により、ROM108cにインストールされた後、実行可能となる。また、プロセッサ108aが、可搬型記録媒体から直接プログラムを読み出して実行することもできる。次に、電力供給経路を制御する回路について説明する。
【0043】
図3は、第2の実施の形態の回路の一例を示す図である。第2の実施の形態では、
図3に示す回路によって、電力供給経路が制御される。第2の実施の形態の回路は、ACコネクタ31、スイッチングデバイス32、チャージャ33、スイッチ(SW)34、バッテリ35、システム回路36およびPD(Power Delivery)コントローラ(PD Cont)37を有する。また、第2の実施の形態の回路は、電荷除去回路38、PMU108およびSARセンサ109を有する。
【0044】
なお、ACコネクタ31は、第1の実施の形態に示したコネクタ13の一例である。また、スイッチングデバイス32は、第1の実施の形態に示したスイッチ回路12の一例である。また、バッテリ35は、第1の実施の形態に示した第2電力供給元14の一例である。また、システム回路36は、第1の実施の形態に示した電力供給先15の一例である。
【0045】
ACコネクタ31は、ACアダプタが接続されるコネクタである。ACコネクタ31は、スイッチングデバイス32およびPDコントローラ37に接続されている。ACコネクタ31に、ACアダプタを介して商用電源が接続されると、ACアダプタによって直流に変換された商用電源からの電流がスイッチングデバイス32へ流れる。なお、以下では、ACコネクタ31にACアダプタを介して商用電源が接続されることを、ACコネクタ31にACアダプタが接続されるということがある。また、商用電源は、第1の実施の形態に示した第1電力供給元の一例である。
【0046】
また、ACコネクタ31にACアダプタが接続されているか否かおよびACコネクタ31にACアダプタが接続されたか否かが、PDコントローラ37によって検知される。なお、ACコネクタ31とスイッチングデバイス32との間で分岐して、コンデンサC100が接続されている。コンデンサC100は、GNDに接続され、ACコネクタ31から流れる電流のノイズを除去する。
【0047】
スイッチングデバイス32は、ACコネクタ31およびバッテリ35からの電流の経路を制御する。スイッチングデバイス32は、ACコネクタ31、チャージャ33およびPDコントローラ37に接続されている。スイッチングデバイス32は、FET32a,32bおよびスイッチコントローラ(SW Cont)32cを有する。
【0048】
FET32a,32bは、ドレイン(D)、ソース(S)、ゲート(G)を有するNチャネル型MOS(Metal Oxide Semiconductor)FETである。Nチャネル型MOSFETでは、ゲートとソースとの間に電圧が印可されることで、ドレインとソースとの間が通電する。なお、Nチャネル型MOSFETでは、ゲートとソースとの間に電圧が印可されていない場合でも、ボディダイオードによってソースからドレインへの電流が流れることがある。なお、FET32a,32bとしては、Pチャネル型MOSFETが使用されてもよい。
【0049】
FET32a,32bは、ソース同士が接続されたBack-to-Back構成である。また、FET32aのドレインは、ACコネクタ31に接続されている。また、FET32bのドレインは、チャージャ33に接続されている。また、FET32a,32bのゲートは、スイッチコントローラ32cに接続されている。
【0050】
FET32a,32bは、FET32a,32bのゲートとソースとの間に電圧が印可されていないと、FET32a,32bのドレインからソースへの電流が遮断されるオフの状態になる。FET32a,32bは、オフの状態になると、バッテリ35からチャージャ33を介して流れてくる電流がACコネクタ31に流れないよう遮断する。また、FET32a,32bは、FET32a,32bのゲートとソースとの間に電圧が印可されると、FET32a,32bのドレインとソースとの間が通電するオンの状態になる。FET32a,32bは、オンの状態になると、ACコネクタ31からの電流をスイッチングデバイス32およびチャージャ33を介してシステム回路36へ流れるようにする。
【0051】
スイッチコントローラ32cは、PDコントローラ37に従ってFET32a,32bを制御する。スイッチコントローラ32cは、FET32a,32bのゲートおよびPDコントローラ37に接続されている。スイッチコントローラ32cは、ACコネクタ31にACアダプタが接続されると、FET32a,32bのゲートとソースとの間に電圧が印可されるよう、FET32a,32bのゲートに信号を出力する。なお、スイッチングデバイス32とチャージャ33との間で分岐して、コンデンサC200が接続されている。コンデンサC200は、GNDに接続される。
【0052】
チャージャ33は、ACコネクタ31からスイッチングデバイス32を介して流れてきた電流によって、バッテリ35を充電する。チャージャ33は、スイッチ34によってチャージャ33とバッテリ35とが接続されている場合に、バッテリ35を充電する。なお、スイッチングデバイス32を介してACコネクタ31から流れてきた電流は、チャージャ33を介してシステム回路36にも流れる。
【0053】
スイッチ34は、システム回路36への電力供給元に応じて、バッテリ35の接続先を切り替える。スイッチ34は、ACコネクタ31にACアダプタが接続されていない場合、バッテリ35とシステム回路36とを接続させる。また、スイッチ34は、ACコネクタ31にACアダプタが接続されていない場合、チャージャ33とバッテリ35とを接続させる。
【0054】
バッテリ35は、ACアダプタを介して商用電源によって充電され、ACコネクタ31にACアダプタが接続されていない場合にシステム回路36に電力を供給する。バッテリ35は、スイッチ34およびGNDに接続されている。バッテリ35は、スイッチ34によってチャージャ33とバッテリ35とが接続されている場合に、チャージャ33によって充電される。また、バッテリ35は、スイッチ34によってバッテリ35とシステム回路36とが接続されている場合に、システム回路36に電力を供給する。
【0055】
システム回路36は、ACアダプタを介した商用電源またはバッテリ35からの電力供給によって作動する回路である。システム回路36には、プロセッサ101、メモリ102、ストレージ装置103等のノートPC100のハードウェアが含まれる。なお、
図3のコンデンサC1,C2,・・・Cxは、システム回路36に含まれる各ハードウェアのコンデンサ成分を示したものであり、電力を使用する部分が各コンデンサに並列に接続されている。
【0056】
PDコントローラ37は、PMU108に従って、ACコネクタ31にACアダプタが接続されているか否かに応じて、スイッチングデバイス32を制御する。PDコントローラ37は、ACコネクタ31、スイッチコントローラ32cおよびPMU108に接続されている。PDコントローラ37は、ACコネクタ31にACアダプタが接続されているか否かおよびACコネクタ31にACアダプタが接続されたか否かを検知し、検知結果をPMU108に通知する。PDコントローラ37は、ACコネクタ31にACアダプタが接続されている場合、スイッチコントローラ32cに、FET32a,32bのゲートへの信号を出力させる。
【0057】
電荷除去回路38は、スイッチングデバイス32に溜まった電荷を除去する回路である。電荷除去回路38は、FET32aのドレインおよびPMU108に接続されている。電荷除去回路38は、抵抗R1、FET38aおよびGNDを含む。抵抗R1は、電荷除去回路38を流れる電流の大きさを調整する抵抗である。抵抗R1は、FET32aのドレインおよびFET38aのドレインに接続されている。
【0058】
FET38aは、Nチャネル型MOSFETである。なお、FET38aとしては、Pチャネル型MOSFETが使用されてもよい。FET38aのドレインは、抵抗R1に接続されている。FET38aのソースは、GNDに接続されている。FET38aのゲートは、PMU108に接続されている。
【0059】
PMU108は、SARセンサ109が人体を検知すると、FET38aのゲートとソースとの間に電圧が印可されるよう、FET38aのゲートに信号を出力する。FET38aのゲートとソースとの間に電圧が印可されると、FET38aのドレインとソースとの間が通電することで、FET32aのドレインが抵抗R1およびFET38aを介してGNDに接続される。FET32aのドレインがGNDに接続されることにより、FET32a,32bに溜まった電荷に基づく電流が、電荷除去回路38を流れる。次に、第2の実施の形態の回路における制御信号について説明する。
【0060】
図4は、回路における制御信号の一例を示す図である。
図4に示す回路は、
図3に示す回路において、スイッチングデバイス32、PDコントローラ37、電荷除去回路38、PMU108およびSARセンサ109の部分を拡大したものである。なお、
図4におけるコンデンサCdgは、FET32aのドレインとゲートとの間の寄生容量を示すものである。また、コンデンサCgsは、FET32aのゲートとソースとの間の寄生容量を示すものである。また、
図4におけるV
SYSは、スイッチングデバイス32とチャージャ33の間の位置を示し、V
SYSにおける電流、電圧は、ACコネクタ31を介した電力供給によって、システム回路36に生じる電流、電圧を示す。
【0061】
PDコントローラ37は、ACコネクタ31にACアダプタが接続されると、スイッチコントローラ32cに信号EN2を出力する。PDコントローラ37は、ACコネクタ31にACアダプタが接続されている間、信号EN2の出力を続ける。スイッチコントローラ32cは、信号EN2を受信している間、FET32a,32bのゲートとソースとの間に電圧が印可されるよう、FET32a,32bのゲートに、信号Sw-Gcontを出力する。信号Sw-Gcontによって、FET32a,32bのゲートとソースとの間に電圧が印可されると、FET32a,32bのドレインとソースとの間が通電する。これにより、ACコネクタ31を介した電力供給によって、VSYSにおける電流、電圧が発生する。このように、スイッチコントローラ32cは、信号Sw-GcontによるFET32a,32bのオンとオフとの切り替えによって、電流経路の制御を容易にすることができる。
【0062】
ここで、FET32a,32bは、信号Sw-Gcontによって、FET32a,32bのゲートとソースとの間の電圧が印可されると、徐々に抵抗が低下し、FET32a,32bのゲートとソースとの間の電圧が所定値になると、オンの状態になる。よって、VSYSにおける電圧は、FET32a,32bのゲートとソースとの間の電圧が印可されると徐々に上昇し、FET32a,32bのゲートとソースとの間の電圧が所定値になると大きく上昇する。コンデンサCdg,Cgsで示す寄生容量に電荷が溜まっていると、あらかじめFET32a,32bのゲートとソースとの間の電圧が発生し、VSYSにおける電圧は、短い時間で大きく上昇する。これにより、VSYSにおいて大きなラッシュ電流が発生する。
【0063】
そこで、PMU108は、SARセンサ109が人体を検知すると、FET38aのゲートとソースとの間に電圧が印可されるよう、FET38aのゲートにワンショットの信号EN1を出力する。これにより、ユーザがACコネクタ31にACアダプタを接続しようとすると、電荷除去回路38に電流が流れ、コンデンサCdg,Cgsで示す寄生容量に溜まった電荷が除去される。よって、電荷除去回路38は、FET32a,32bに溜まった電荷を除去することで、ACコネクタ31にACアダプタが接続されるときのFET32a,32bがオンの状態になるまでの時間を長くし、大きなラッシュ電流の発生を防止できる。なお、信号EN1は、第1の実施の形態に示した信号の一例である。次に、ノートPC100の機能について説明する。
【0064】
図5は、ノートPCの機能例を示すブロック図である。ノートPC100のPMU108は、検知部120および信号出力部130を有する。検知部120および信号出力部130は、RAM108bに記憶されたプログラムをプロセッサ108aが実行することで実現される。
【0065】
検知部120は、SARセンサ109による人体の検知およびACコネクタ31へのACアダプタの接続の検知があったか否かを判定する。例えば、検知部120は、SARセンサ109から人体を検知したことを示す信号を受信した場合、SARセンサ109が人体を検知したと判定する。例えば、検知部120は、PDコントローラ37からACコネクタ31にACアダプタが接続されていることが通知された場合、ACコネクタ31にACアダプタが接続済みであると判定する。また、例えば、検知部120は、PDコントローラ37からACコネクタ31にACアダプタが接続されたことが通知された場合、ACコネクタ31にACアダプタが接続されたと判定する。
【0066】
信号出力部130は、検知部120の検知結果に応じて信号の制御をする。信号出力部130は、SARセンサ109が人体を検知したかつACコネクタ31にACアダプタが接続済みではないと検知部120が判定した場合、電荷除去回路38にワンショットの信号EN1を出力する。例えば、信号出力部130は、微小時間Hレベルになる信号EN1をFET38aのゲートに出力する。また、信号出力部130は、検知部120がACコネクタ31にACアダプタが接続されたと判定した場合、スイッチングデバイス32へ信号EN2を出力するようPDコントローラ37に指示する。例えば、信号出力部130は、PDコントローラ37に、ACコネクタ31にACアダプタが接続されている間、Hレベルとなる信号EN2を出力させる。
【0067】
なお、
図5に示した各要素間を接続する線は通信経路の一部を示すものであり、図示した通信経路以外の通信経路も設定可能である。次に、ノートPC100の各ハードウェアの設置箇所について説明する。
【0068】
図6は、ノートPCの外観の一例を示す図である。ノートPC100は、筐体100a,100bを有する。筐体100aには、モニタ21が設置されている。筐体100bには、キーボード22、タッチパッド23、ACコネクタ31およびSARセンサ109が設置されている。ノートPC100は、筐体100aのモニタ21が配置された面と筐体100bのキーボード22が配置された面とが内側になるように折りたたみ可能である。なお、筐体100aは、第1の実施の形態に示した第1筐体の一例である。また、筐体100bは、第1の実施の形態に示した第2筐体の一例である。
【0069】
タッチパッド23は、モニタ21の正面から見て筐体100bのキーボード22の手前に設置されている。ACコネクタ31は、モニタ21の正面から見て筐体100bの左側面に設置されている。SARセンサ109は、モニタ21の正面から見てタッチパッド23の右側に設置されている。
【0070】
ここで、筐体100bの左側面に設置されたACコネクタ31にACアダプタを接続する場合、ユーザは、右手で筐体100bの右側を持ち、左手でACコネクタ31にACアダプタを接続する可能性が高い。SARセンサ109は、筐体100bの右側に設置されることで、ACコネクタ31にACアダプタを接続しようとして筐体100bを持つユーザの手を効率的に検出することができる。以下、ノートPC100が実行する処理の手順について、詳細に説明する。
【0071】
図7は、電源制御処理の手順の一例を示すフローチャートである。以下、
図7に示す処理をステップ番号に沿って説明する。
[ステップS11]検知部120は、SARセンサ109が人体を検知したか否かを判定する。例えば、検知部120は、SARセンサ109から人体を検知したことを示す信号を受信した場合、SARセンサ109が人体を検知したと判定する。検知部120は、SARセンサ109が人体を検知したと判定した場合、処理をステップS12に進める。また、検知部120は、SARセンサ109が人体を検知していないと判定した場合、処理をステップS14に進める。
【0072】
[ステップS12]検知部120は、ACコネクタ31にACアダプタが接続済みであるか否かを判定する。例えば、検知部120は、PDコントローラ37からACコネクタ31にACアダプタが接続されていることが通知された場合、ACコネクタ31にACアダプタが接続済みであると判定する。検知部120は、ACコネクタ31にACアダプタが接続済みであると判定した場合、処理をステップS14に進める。また、検知部120は、ACコネクタ31にACアダプタが接続済みではないと判定した場合、処理をステップS13に進める。
【0073】
[ステップS13]信号出力部130は、電荷除去回路38にワンショットの信号EN1を出力する。例えば、信号出力部130は、微小時間Hレベルになる信号EN1をFET38aのゲートに出力する。
【0074】
[ステップS14]検知部120は、ACコネクタ31にACアダプタが接続されたか否かを判定する。例えば、検知部120は、PDコントローラ37からACコネクタ31にACアダプタが接続されたことが通知された場合、ACコネクタ31にACアダプタが接続されたと判定する。検知部120は、ACコネクタ31にACアダプタが接続されたと判定した場合、処理をステップS15に進める。また、検知部120は、ACコネクタ31にACアダプタが接続されていないと判定した場合、処理をステップS11に進める。
【0075】
[ステップS15]信号出力部130は、スイッチングデバイス32へ信号EN2を出力するようPDコントローラ37に指示する。例えば、信号出力部130は、PDコントローラ37に、ACコネクタ31にACアダプタが接続されている間、Hレベルとなる信号EN2を出力させる。そして、処理がステップS11に進む。
【0076】
このように、信号出力部130は、SARセンサ109が人体を検知し、ACコネクタ31にACアダプタが接続済みでない場合に、電荷除去回路38にワンショットの信号EN1を出力する。信号出力部130は、SARセンサ109が人体を検知すると、電荷除去回路38に信号EN1を出力することで、ACコネクタ31にACアダプタが接続される前にFET32a,32bに溜まった電荷を除去することができる。また、信号出力部130は、ACコネクタ31にACアダプタが接続済みでない場合に、電荷除去回路38にワンショットの信号EN1を出力することで、FET32a,32bに溜まった電荷を除去することが不要な場合に信号EN1を出力しないようにする。これにより、信号出力部130は、信号出力による電力消費を削減できる。
【0077】
次に、ACコネクタ31にACアダプタが接続される前にFET32a,32bに溜まった電荷を除去することによる効果をタイミングチャートを用いて説明する。まず、電荷除去回路38が適用されない場合について説明する。
【0078】
図8は、電荷除去回路が適用されない場合のタイミングチャートの一例を示す図である。
図8に示すタイミングチャートは、EN2、Sw-Gcont、V
SYSおよびI
SYSの強度の時間変化を示す。EN2は、PDコントローラ37が出力する信号EN2の強度の時間変化を示す。Sw-Gcontは、FET32a,32bのゲートとソースとの間の電圧の時間変化を示す。V
SYSは、V
SYSにおける電圧の時間変化を示す。I
SYSは、V
SYSにおける電流の時間変化を示す。
【0079】
まず、時刻T1において、ACコネクタ31にACアダプタが接続されると、PDコントローラ37は、Hレベルの信号EN2を出力する。PDコントローラ37は、時刻T1以降、信号EN2をHレベルに維持する。なお、時刻T1では、FET32a,32bのゲートとソースとの間に、FET32a,32bに溜まった電荷による電圧が発生している。
【0080】
信号EN2を受信したスイッチコントローラ32cは、時刻T2において、信号Sw-Gcontの出力を開始する。これにより、時刻T2以降、FET32a,32bのゲートとソースとの間の電圧は、時間経過に伴って上昇する。FET32a,32bのゲートとソースとの間の電圧によって、FET32a,32bの抵抗が低下し、時刻T3において、VSYSにおける電流、電圧が発生する。VSYSにおける電流、電圧は、時刻T3以降、時間経過に伴って上昇する。
【0081】
そして、時刻T4において、FET32a,32bのゲートとソースとの間の電圧が所定値Vthになると、FET32a,32bは、オンの状態になる。これにより、VSYSにおける電圧は、時刻T4から時刻T5まで時間経過に伴って大きく上昇し、時刻T5以降一定となる。ここで、時刻T3から時刻T5までの短い時間に、VSYSにおける電圧が大きく上昇したため、VSYSにおける電流は、時刻T4から時刻T5までの間に大きく上昇する。そして、VSYSにおける電流は、時刻T5以降低下し、一定となる。
【0082】
このように、FET32a,32bに溜まった電荷によって、VSYSにおける電圧が短時間で大きく上昇し、VSYSにおいて大きいラッシュ電流が流れてしまう。このような大きいラッシュ電流は、スイッチングデバイス32等の故障の原因となる。次に、電荷除去回路38が適用される場合について説明する。
【0083】
図9は、電荷除去回路が適用される場合のタイミングチャートの一例を示す図である。
図9に示すタイミングチャートは、EN1、EN2、Sw-Gcont、V
SYSおよびI
SYSの強度の時間変化を示す。EN1は、PMU108が出力する信号EN1の強度の時間変化を示す。EN2は、PDコントローラ37が出力する信号EN2の強度の時間変化を示す。Sw-Gcontは、FET32a,32bのゲートとソースとの間の電圧の時間変化を示す。V
SYSは、V
SYSにおける電圧の時間変化を示す。I
SYSは、V
SYSにおける電流の時間変化を示す。
【0084】
時刻t1では、FET32a,32bのゲートとソースとの間に、FET32a,32bに溜まった電荷による電圧が発生している。まず、SARセンサ109が人体を検知すると、PMU108は、時刻t1からt2の微小な時間Hレベルになる信号EN1をFET38aのゲートに出力する。すると、FET32a,32bに溜まった電荷による電流が電荷除去回路38に流れ、時刻t3において、FET32a,32bのゲートとソースとの間の電圧が0Vとなる。
【0085】
次に、時刻t4において、ACコネクタ31にACアダプタが接続されると、PDコントローラ37は、Hレベルの信号EN2を出力する。PDコントローラ37は、時刻t4以降、信号EN2をHレベルに維持する。
【0086】
信号EN2を受信したスイッチコントローラ32cは、時刻t5において、信号Sw-Gcontの出力を開始する。これにより、時刻t5以降、FET32a,32bのゲートとソースとの間の電圧は、時間経過に伴って上昇する。FET32a,32bのゲートとソースとの間の電圧によって、FET32a,32bの抵抗が低下し、時刻t6において、VSYSにおける電流、電圧が発生する。VSYSにおける電流、電圧は、時刻t6以降、時間経過に伴って上昇する。
【0087】
そして、時刻t7において、FET32a,32bのゲートとソースとの間の電圧が所定値Vthになると、FET32a,32bは、オンの状態になる。これにより、V
SYSにおける電圧は、時刻t7から時刻t8まで時間経過に伴って大きく上昇し、時刻t8以降一定となる。ここで、V
SYSにおける電圧が上昇した時刻t6から時刻t8までの時間が、時刻T3から時刻T5までの時間より短いため、V
SYSにおける電流の時刻t7から時刻t8までの間の上昇は、
図8に示した場合よりも小さい。V
SYSにおける電流は、時刻t8以降低下し、一定となる。
【0088】
このように、PMU108は、信号EN1を出力して、電荷除去回路38によってFET32a,32bに溜まった電荷をあらかじめ除去することで、VSYSにおける電圧が上昇する時間を長くすることができる。これにより、PMU108は、VSYSにおいて大きいラッシュ電流が流れることを防止し、装置の故障を防止することができる。
【0089】
第2の実施の形態によれば、SARセンサ109は、人体を検知する。ACコネクタ31は、商用電源が接続される。スイッチングデバイス32は、バッテリ35からシステム回路36への電力供給経路とACコネクタ31との間に接続され、バッテリ35からシステム回路36へ電力供給時に、バッテリ35からACコネクタ31への電流を遮断する。スイッチングデバイス32は、ACコネクタ31に商用電源が接続されると、商用電源からシステム回路36へ通電させる。電荷除去回路38は、スイッチングデバイス32に接続され、信号EN1を受信するとスイッチングデバイス32に溜まった電荷による電流が流れる。PMU108は、SARセンサ109が人体を検知すると、電荷除去回路38に信号EN1を出力する。これにより、ノートPC100は、装置の故障を防止することができる。
【0090】
また、PMU108は、ACコネクタ31に商用電源が接続されていない場合に、信号EN1を出力する。これにより、ノートPC100は、不要な信号を出力しないことで、電力消費を削減することができる。
【0091】
また、PMU108は、SARセンサ109が人体を検知すると、ワンショットの信号EN1を電荷除去回路38に出力する。これにより、ノートPC100は、信号の出力時間を短縮することで、電力消費を削減することができる。
【0092】
また、スイッチングデバイス32は、FET32a,32bのオンとオフとの切り替えによって、バッテリ35からACコネクタ31への電流の遮断と、商用電源からシステム回路36への通電とを行う。これにより、ノートPC100は、電流経路の制御を容易にすることができる。
【0093】
また、ノートPC100は、モニタ21が設置された筐体100aと、キーボード22が設置された筐体100bとを有する。ACコネクタ31は、モニタ21の正面から見て筐体100bの左の側面に設置され、SARセンサ109は、モニタ21の正面から見てACコネクタ31が設置された側面と反対側に設置される。これにより、ノートPC100は、ACコネクタ31にACアダプタを接続しようとするユーザを効率的に検知することができる。
【0094】
〔その他の実施の形態〕
第2の実施の形態では、電荷除去回路38は、商用電源の電源供給経路にあるスイッチングデバイス32の電荷を除去したが、他の電力供給元が接続された場合に用いられる電力供給経路にあるスイッチングデバイス32の電荷を除去してもよい。例えば、電荷除去回路38は、USB TypeCデバイスからの給電およびUSB TypeCデバイスへの充電をする経路にあるスイッチングデバイス32の電荷を除去してもよい。
【0095】
図10は、その他の実施の形態の回路の一例を示す図である。
図10に示す回路は、
図3に示す回路のACコネクタ31、PDコントローラ37およびPMU108に代えて、TypeCコネクタ41、PDコントローラ37aおよびPMU108aを有する。また、
図10に示す回路は、
図3に示す回路に加えて、スイッチ42および5V回路43を有する。
【0096】
TypeCコネクタ41は、USB TypeCデバイスが接続されるコネクタである。TypeCコネクタ41は、スイッチングデバイス32およびPDコントローラ37aに接続されている。他の装置への給電をするUSB TypeCデバイス(給電デバイス)がTypeCコネクタ41に接続されると、接続されたデバイスからの電流がスイッチングデバイス32へ流れる。また、他の装置から充電されるUSB TypeCデバイス(充電デバイス)がTypeCコネクタ41に接続されると、スイッチングデバイス32からの電流が接続されたデバイスへ流れる。また、TypeCコネクタ41にUSB TypeCデバイスが接続されたか否かが、PDコントローラ37aによって検知される。
【0097】
PDコントローラ37aは、USB TypeCに対応したPDコントローラである。PDコントローラ37aは、TypeCコネクタ41にUSB TypeCデバイスが接続されているか否かに応じて、スイッチングデバイス32を制御する。PDコントローラ37aは、TypeCコネクタ41、スイッチコントローラ32cおよびPMU108aに接続されている。PDコントローラ37aは、TypeCコネクタ41にUSB TypeCデバイスが接続されている場合、スイッチコントローラ32cに、FET32a,32bのゲートへの信号Sw-Gcontを出力させる。
【0098】
信号Sw-Gcontにより、スイッチングデバイス32がFET32a,32bを通電させることで、給電デバイスがTypeCコネクタ41に接続されると、給電デバイスからシステム回路36への給電パスができる。また、スイッチングデバイス32がFET32a,32bを通電させることで、充電デバイスがTypeCコネクタ41に接続されると、5V回路43から充電デバイスへの給電パスができる。
【0099】
スイッチ42は、5V回路43をスイッチングデバイス32に接続させるか否かを切り替える。スイッチ42は、充電デバイスがTypeCコネクタ41に接続されると、5V回路43をスイッチングデバイス32に接続させる。
【0100】
5V回路43は、電力を供給する回路である。なお、5V回路43は、ACアダプタを介した商用電源やバッテリ35から電力供給を受けている。5V回路43は、スイッチ42に接続されている。5V回路43は、スイッチ42によってスイッチングデバイス32に接続されると、スイッチングデバイス32およびTypeCコネクタ41を介して充電デバイスに電力供給を供給する。
【0101】
PMU108aは、電荷除去回路38、PDコントローラ37a、スイッチ42およびSARセンサ109に接続されている。PMU108aは、PDコントローラ37aがTypeCコネクタ41に充電デバイスが接続されたことを検知すると、スイッチ42に5V回路43とスイッチングデバイス32とを接続させる。PMU108aは、SARセンサ109が人体を検知すると、FET38aのゲートとソースとの間に電圧が印可されるよう、FET38aのゲートに信号EN1を出力する。信号EN1により、FET32aのドレインが抵抗R1およびFET38aを介してGNDに接続される。すると、FET32a,32bに溜まった電荷に基づく電流が、電荷除去回路38を流れる。
【0102】
これにより、PMU108aは、TypeCコネクタ41にUSB TypeCデバイスが接続される前に電荷除去回路38に、スイッチングデバイス32に溜まった電荷を除去させることができる。よって、PMU108aは、給電デバイスからシステム回路36への給電時および5V回路43から充電デバイスへの充電時にスイッチングデバイス32において大きいラッシュ電流が発生することを防止できる。
【0103】
以上、実施の形態を例示したが、実施の形態で示した各部の構成は同様の機能を有する他のものに置換することができる。また、他の任意の構成物や工程が付加されてもよい。さらに、前述した実施の形態のうちの任意の2以上の構成(特徴)を組み合わせたものであってもよい。
【符号の説明】
【0104】
10 ノート型コンピュータ
11 センサ
12 スイッチ回路
13 コネクタ
14 第2電力供給元
15 電力供給先
16 電荷除去回路
17 処理部