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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024175734
(43)【公開日】2024-12-19
(54)【発明の名称】遊技機
(51)【国際特許分類】
   A63F 5/04 20060101AFI20241212BHJP
【FI】
A63F5/04 661
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023093682
(22)【出願日】2023-06-07
(71)【出願人】
【識別番号】390031772
【氏名又は名称】株式会社オリンピア
(74)【代理人】
【識別番号】110000936
【氏名又は名称】弁理士法人青海国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】内山 雅史
(72)【発明者】
【氏名】阪田 真奈
【テーマコード(参考)】
2C518
【Fターム(参考)】
2C518EA12
2C518EB07
2C518EB16
2C518EC17
2C518EC22
2C518EC23
(57)【要約】
【課題】遊技を適切に進行する。
【解決手段】補助演出において音出力手段と表示手段は、2番目に操作すべきストップスイッチがONされてから3番目に操作すべきストップスイッチがONされるまでの時間が、第1所定時間に満たなかった場合には、3番目に操作すべきストップスイッチのONに応じ、3番目補助エフェクトの出力を中断して4番目補助エフェクトの出力を開始し、2番目補助画像を徐々に消去する表示を中断して消去し、3番目補助画像を徐々に消去する表示を開始する。
【選択図】図19
【特許請求の範囲】
【請求項1】
スタートスイッチと、
ストップスイッチと、
音出力手段と、
表示手段と、
前記音出力手段と前記表示手段が行う演出を制御する演出制御手段と、
を備え、
前記演出制御手段は、前記音出力手段と前記表示手段に、ストップスイッチの操作順と操作結果に関する所定の補助演出を行わせるものであり、
前記補助演出では、
前記音出力手段が、複数の補助ボイスと複数の補助エフェクトを出力し、
前記表示手段が、複数の補助画像を表示し、
前記補助演出において前記音出力手段は、
2番目に操作すべきストップスイッチがONされると、3番目補助ボイスと3番目補助エフェクトの出力を開始し、
3番目に操作すべきストップスイッチがONされると、4番目補助エフェクトの出力を開始し、
3番目に操作すべきストップスイッチがOFFされると、4番目補助ボイスの出力を開始し、
前記補助演出において前記表示手段は、
2番目に操作すべきストップスイッチがONされると、表示されていた2番目補助画像を徐々に消去する表示を開始し、
3番目に操作すべきストップスイッチがONされると、表示されていた3番目補助画像を徐々に消去する表示を開始し、
3番目に操作すべきストップスイッチがOFFされると、4番目補助画像の表示を開始し、
前記補助演出において前記音出力手段と前記表示手段は、
2番目に操作すべきストップスイッチがONされてから3番目に操作すべきストップスイッチがONされるまでの時間が、第1所定時間に満たなかった場合には、3番目に操作すべきストップスイッチのONに応じ、
前記3番目補助エフェクトの出力を中断して前記4番目補助エフェクトの出力を開始し、
前記2番目補助画像を徐々に消去する表示を中断して消去し、
前記3番目補助画像を徐々に消去する表示を開始する、遊技機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、遊技機に関する。
【背景技術】
【0002】
スロットマシンの遊技性を維持しつつ、実物のメダルの介在なしに遊技を進行することができるスマートパチスロが検討されている(例えば、特許文献1)。また、パチンコ機を封入循環式にして遊技者が遊技球に触れることなく遊技を進行することができるスマートパチンコが検討されている(例えば、特許文献2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2015-134014号公報
【特許文献2】特開2020-156551号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このようなスマートパチスロやスマートパチンコでは、遊技機の外部に、メダルや遊技球等の遊技媒体を流通させるための経路を設ける必要がなくなり、スマートパチスロにおいては、物理的な遊技媒体自体が不要となる。このように、スマートパチスロでは、遊技媒体自体が使用されず、スマートパチンコにおいては非磁性の遊技球を用いることで、金属製の遊技媒体を使用することを前提とするゴト行為を防止することが可能となる。また、遊技機内に遊技媒体の投入や払い出しを行う機構を設ける必要がなくなるので、設計コストや製造コストを削減することができる。さらに、遊技者への遊技媒体の貸し出しや、獲得した遊技媒体の計数等を一元管理することで、不正防止や射幸性の抑制が可能となる。
【0005】
このような電子的な遊技媒体の管理等、新たな試みを取り入れつつ、遊技を適切に進行する新たな仕組みにより、遊技性の向上を図る必要がある。
【0006】
本発明は、このような課題に鑑み、遊技を適切に進行することが可能な遊技機を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明の遊技機は、スタートスイッチと、ストップスイッチと、音出力手段と、表示手段と、前記音出力手段と前記表示手段が行う演出を制御する演出制御手段と、を備え、前記演出制御手段は、前記音出力手段と前記表示手段に、ストップスイッチの操作順と操作結果に関する所定の補助演出を行わせるものであり、前記補助演出では、前記音出力手段が、複数の補助ボイスと複数の補助エフェクトを出力し、前記表示手段が、複数の補助画像を表示し、前記補助演出において前記音出力手段は、2番目に操作すべきストップスイッチがONされると、3番目補助ボイスと3番目補助エフェクトの出力を開始し、3番目に操作すべきストップスイッチがONされると、4番目補助エフェクトの出力を開始し、3番目に操作すべきストップスイッチがOFFされると、4番目補助ボイスの出力を開始し、前記補助演出において前記表示手段は、2番目に操作すべきストップスイッチがONされると、表示されていた2番目補助画像を徐々に消去する表示を開始し、3番目に操作すべきストップスイッチがONされると、表示されていた3番目補助画像を徐々に消去する表示を開始し、3番目に操作すべきストップスイッチがOFFされると、4番目補助画像の表示を開始し、前記補助演出において前記音出力手段と前記表示手段は、2番目に操作すべきストップスイッチがONされてから3番目に操作すべきストップスイッチがONされるまでの時間が、第1所定時間に満たなかった場合には、3番目に操作すべきストップスイッチのONに応じ、前記3番目補助エフェクトの出力を中断して前記4番目補助エフェクトの出力を開始し、前記2番目補助画像を徐々に消去する表示を中断して消去し、前記3番目補助画像を徐々に消去する表示を開始する。
前記補助演出において前記音出力手段と前記表示手段は、2番目に操作すべきストップスイッチがONされてから3番目に操作すべきストップスイッチがOFFされるまでの時間が、第2所定時間に満たなかった場合には、3番目に操作すべきストップスイッチのOFFに応じ、前記3番目補助ボイスの出力を中断して前記4番目補助ボイスの出力を開始し、前記4番目補助エフェクトの出力を中断せず、前記3番目補助画像を徐々に消去する表示を中断しないとしてもよい。
上記課題を解決するために、本発明の他の遊技機は、スタートスイッチと、リールと、ストップスイッチと、音出力手段と、表示手段と、前記音出力手段と前記表示手段が行う演出を制御する演出制御手段と、を備え、前記演出制御手段は、前記音出力手段と前記表示手段に、ストップスイッチの操作順に関する所定の補助演出を行わせるものであり、前記補助演出では、前記音出力手段が、回転開始音と複数の補助ボイスと複数の補助エフェクトを出力し、前記表示手段が、複数の補助画像を表示し、前記補助演出において前記音出力手段は、スタートスイッチがONされると、1番目補助ボイスと1番目補助エフェクトの出力を開始し、リールが回転開始されると、回転開始音の出力を開始し、前記補助演出において前記表示手段は、スタートスイッチがONされると、1番目補助画像と2番目補助画像と3番目補助画像を拡大する表示を開始し、前記補助演出において前記音出力手段と前記表示手段は、前記スタートスイッチが前回の遊技でONされてから前記スタートスイッチが今回の遊技でONされるまでの時間が、第3所定時間に満たなかった場合には、スタートスイッチのONに応じ、前記1番目補助ボイスと前記1番目補助エフェクトの出力完了後に、前記1番目補助画像と前記2番目補助画像と前記3番目補助画像の拡大を完了させ、前記1番目補助画像と前記2番目補助画像と前記3番目補助画像の拡大完了後に、前記回転開始音の出力を開始する。
補助演出を実行可能なAT演出状態、および、補助演出を実行不能な非AT演出状態を含む演出状態のうちいずれかを決定する演出状態制御手段を備え、前記AT演出状態における前記回転開始音と、前記非AT演出状態における前記回転開始音とは異なり、前記AT演出状態における前記回転開始音の音量は、前記非AT演出状態における前記回転開始音の音量より大きいとしてもよい。
前記補助演出において前記表示手段は、前記1番目補助画像の拡大完了後に、前記1番目補助画像を周期的に変動させる表示を開始し、前記1番目補助画像が周期的に変動している状態で、1番目に操作すべきストップスイッチがONされると、前記1番目補助画像の変動を停止し、前記1番目補助画像の変動が停止した状態で、表示されていた前記1番目補助画像を徐々に消去する表示を開始するとしてもよい。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、遊技を適切に進行することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】スロットマシンの概略的な機械的構成を説明するための外観図である。
図2】スロットマシンの概略的な機械的構成を説明するための前面扉を開いた状態での外観図である。
図3】リールの図柄配列および有効ラインを説明する図である。
図4】スロットマシンおよび専用ユニットの概略的な電気的構成を示したブロック図である。
図5】主副制御基板のメイン処理を示したフローチャートである。
図6】副制御基板のサブ処理を示したフローチャートである。
図7】メダル数制御基板のメダル処理を示したフローチャートである。
図8】当選役を説明するための説明図である。
図9】当選種別抽選テーブルを示す図である。
図10】遊技状態の遷移を説明するための説明図である。
図11】演出状態の遷移を説明するための説明図である。
図12】音声回路に設けられたレイヤについて説明する説明図である。
図13】非AT演出状態における音の切り換えを説明するためのタイミングチャートである。
図14】AT演出状態における音の切り換えを説明するためのタイミングチャートである。
図15】AT演出状態における音の切り換えを説明するためのタイミングチャートである。
図16】AT演出状態における音の切り換えを説明するためのタイミングチャートである。
図17】AT演出状態における補助演出の一例を説明するための説明図である。
図18】AT演出状態における音および画像の切り換えを説明するためのタイミングチャートである。
図19】AT演出状態における音および画像の切り換えを説明するためのタイミングチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。かかる実施形態に示す寸法、材料、その他具体的な数値等は、発明の理解を容易とするための例示にすぎず、特に断る場合を除き、本発明を限定するものではない。なお、本明細書および図面において、実質的に同一の機能、構成を有する要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略し、また本発明に直接関係のない要素は図示を省略する。
【0011】
(スロットマシン100の機械的構成)
遊技機としてのスロットマシン100には、実物のメダルを介在させて遊技を進行するものと、実物のメダルの介在なしに遊技を進行するものがある。後者をスマートパチスロと呼ぶ場合がある。ここでは、スロットマシン100として、スマートパチスロを例に挙げて説明する。スマートパチスロでは、実物のメダルの代わりに、遊技に供する電子的な遊技価値として電子化メダルが用いられる。
【0012】
図1は、スロットマシン100の概略的な機械的構成を説明するための外観図である。図2は、スロットマシン100の概略的な機械的構成を説明するための前面扉を開いた状態での外観図であり、図2(a)は前面扉を背面側から観ており、図2(b)は筐体を遊技者側から観ている。
【0013】
図1および図2の外観図に示すように、スロットマシン100は、前面が開口した筐体102と、筐体102の前面一端に回動可能に上下に並んで配置される前面上扉104および前面下扉106とが設けられている。前面上扉104の下部略中央には、ガラス板や透明樹脂板等で構成された無色透明の図柄表示窓108が設けられており、筐体102内の図柄表示窓108に対応する位置には、左リール110a、中リール110b、右リール110cが、それぞれ独立して回動可能に設けられている。左リール110a、中リール110b、右リール110cの外周面には、図3(a)の図柄配列に示すように、20に等分された各領域に複数種類の図柄がそれぞれ配列されており、遊技者は、図柄表示窓108を通じて、上段、中段、下段に位置する、左リール110a、中リール110b、右リール110cそれぞれの3つの連続する合計9個の図柄を視認することができる。なお、左リール110a、中リール110b、右リール110cを纏めて単にリール110と言う場合もある。
【0014】
前面下扉106の上部には操作部設置台112が形成され、操作部設置台112には、ベットスイッチ116、スタートスイッチ118、ストップスイッチ120a、120b、120c、精算スイッチ122、演出スイッチ124、計数スイッチ126、遊技メダル数表示装置128、メインセグメント表示部130等が設けられている。
【0015】
ベットスイッチ116は、押圧スイッチで構成され、スロットマシン100で電子的に保持された、遊技の用に供することが可能な電子化メダルを投入(ベット)する(遊技メダル数から減算する)操作を検出する。なお、ベットスイッチ116には、1遊技で必要とされる規定数の電子化メダルを投入(ベット)するマックスベットスイッチ、規定数の範囲内で1枚分の電子化メダルを追加的に投入する1ベットスイッチが含まれる。ここで、スロットマシン100で電子的に保持された、遊技の用に供することが可能な電子化メダルの総数である遊技価値数を「遊技メダル数」と称し、遊技メダル数を保持する記憶領域を「メダル保持部」と称する場合がある。なお、ベットには、ベットスイッチ116の操作を通じてメダル保持部に保持されている遊技メダル数から所定数の電子化メダルを投入する場合と、詳しくは後述するリプレイ役が有効ライン上に表示されたことに基づいて電子化メダルを自動投入する場合のいずれも含む。また、このようにベットを行う主体を投入手段と言う場合がある。
【0016】
スタートスイッチ118は、例えば傾倒操作を検出可能なレバーで構成され、遊技者による遊技の開始操作を検出する。
【0017】
ストップスイッチ120a、ストップスイッチ120b、ストップスイッチ120cは、押圧スイッチで構成され、左リール110a、中リール110b、右リール110cそれぞれに対応した位置に設けられており、遊技者の停止操作を検出する。なお、ストップスイッチ120a、ストップスイッチ120b、ストップスイッチ120cを纏めて単にストップスイッチ120と言う場合もある。ここで、ストップスイッチ120の停止操作が可能な状態で、遊技者が、ストップスイッチ120a、ストップスイッチ120b、ストップスイッチ120cのいずれかを最初に停止操作することを第1停止操作と言い、第1停止操作の後、停止操作されていない2つのストップスイッチ120のいずれかを停止操作することを第2停止操作と言い、第2停止操作の後、最後に残ったストップスイッチ120を停止操作することを第3停止操作と言う。
【0018】
精算スイッチ122は、ベットスイッチ116の操作によりベットされた電子化メダルの全てをメダル保持部に返却する(遊技メダル数に加算する)操作を検出する。
【0019】
演出スイッチ124は、例えば、押圧スイッチや十字スイッチで構成され、遊技者の押圧操作や回転操作を検出する。
【0020】
計数スイッチ126は、押圧スイッチで構成され、スロットマシン100で電子的に保持された遊技メダル数の一部または全部を後述する専用ユニット300に転送する(遊技メダル数から減算する)操作を検出する。計数スイッチ126の操作には、押下時間が500msec未満の「短押し」と、押下時間が500msec以上の「長押し」が準備されている。計数スイッチ126の短押しでは、操作毎に遊技メダル数から電子化メダルが1枚だけ計数(転送)され、長押しでは、押下時間が500msec以降における、300msec毎の計数通知を行うタイミングで遊技メダル数から電子化メダルが50枚ずつ計数される。なお、長押しの状態で遊技メダル数が50に満たない場合、残りの遊技メダル数が全て計数されることとなる。なお、遊技が可能な間に計数スイッチ126が操作された場合、その時点の遊技状態に拘わらず、必ず計数処理が実行される。ここで「遊技が可能な間」とは、スロットマシン100と専用ユニット300とが接続され、かつ、両者共に電源がONされている状態(遊技者が電子化メダルを借り、スロットマシン100で遊技を行い、当該遊技の結果を計数する一連の動作が可能な状態)を示す。なお、スロットマシン100の電源はONされているが専用ユニット300の電源がONされていない場合、または、スロットマシン100と専用ユニット300とが未接続であった場合は、スロットマシン100が計数スイッチ126の操作を受け付けても当該計数メダル数が消失してしまうおそれがあるので、計数スイッチ126の操作を無効とし、その期間は「遊技が可能な間」に含めない。また、スロットマシン100が単体として遊技を進行しない(できない)状態となる、電源投入後の初期化処理中、設定変更中および設定確認中、ならびに、リセット等による復帰処理が必要なエラー状態中も、「遊技が可能な間」には含めない。
【0021】
遊技メダル数表示装置128は、5桁または6桁の7セグメントLEDを含み、メダル保持部に保持された電子化メダルの総数、すなわち遊技メダル数を表示する。ただし、遊技メダル数にはベットした電子化メダルは含まれない。したがって、遊技メダル数表示装置128には、遊技者が獲得した電子化メダルから、ベットした電子化メダルの数を減算した数が表示される。なお、遊技メダル数の数値範囲は、1営業日における最大差枚数を勘案して、0~16382(16368枚+1遊技での最大払出枚数(15枚)-最小投入枚数(1枚))で表され、有意な数値の上位の桁が0となる場合、その数値を空白(消灯)で示す。なお、その数値が、所定の警告値、例えば、15000以上となると、遊技者に計数を促す所持数警告報知を実行し、後述する電子化メダルの貸出処理を制限するとともに、試験用計数信号を約3500msecの間出力する。なお、警告値は15000に限らず、様々な値を設定することができる。ただし、所持数警告報知が実行されても、遊技者は遊技を引き続き継続可能である。したがって、遊技メダル数は増加する場合がある。そして、その数値が、所定の保持上限値、例えば、16369以上となった場合、エラー報知(メダルオーバーエラー報知)を実行するとともに、所謂、コンプリート機能を作動させ、遊技の進行を制限する。具体的には、ベットスイッチ116、スタートスイッチ118、精算スイッチ122の受付を禁止する。このようなコンプリート機能が作動した(打ち止めエラー(エラーコード「Ey」)が生じた)場合、コンプリート機能が作動していることを報知するコンプリート作動情報が、後述する液晶表示部132に表示されるとともに、コンプリート機能が作動していることを報知するコンプリート作動音が、後述するスピーカ134から出力される。遊技メダル数表示装置128は、スロットマシン100で保持される遊技メダル数が更新されてから概ね300msec以内に、更新された遊技メダル数を反映して表示する。
【0022】
メインセグメント表示部130は、並置された2つの7セグメントで構成され、主制御基板200で管理するエラーの種別を示すエラーコードが表示される。例えば、前面上扉104または前面下扉106の少なくとも一方が開放されていることを検知することで生じ、前面上扉104および前面下扉106のいずれも閉塞することで自動復帰するドア開放エラー(エラーコード「E8」)などの各種のエラーが発生した場合には、メインセグメント表示部130にエラーコードが表示されるとともに、後述する液晶表示部132にエラー情報が表示され、後述するスピーカ134からエラー音が出力される。
【0023】
前面上扉104の上部略中央には、演出に伴う様々な画像を表示する液晶表示部132が設けられている。また、前面下扉106の裏面における左右位置には、効果音や楽音等による聴覚的な演出を行うスピーカ134が設けられている。また、前面上扉104の上部や左右には、例えば高輝度の発光ダイオード(LED)によって構成される演出用ランプ136や、モータによって演出役物を駆動する演出役物装置138が設けられる。
【0024】
また、筐体102内には、後述する主制御基板200に、図示しない設定キーおよび設定変更スイッチ(これらを合わせて設定値設定手段と言う)が設けられている。スロットマシン100では、設定キーに所定の鍵(操作キー)が挿入されてオフの位置からオンの位置へ回転された状態で電源144の電源スイッチ144aを介して電源が投入されると設定変更モードに移行し、設定値の変更(単に設定変更とも言う)が可能な状態となる。設定値は、遊技者の有利度合(機械割)を段階的に示したものであり、例えば、1~6の6段階で表され、一般に、設定値の数値が大きいほど遊技全体として有利度合が高い(期待獲得枚数が高い)ように設定されている。そして、設定変更が可能な状態において設定変更スイッチが押下される度に設定値が1ずつ加算され、例えば、6段階の設定値のうちのいずれかの設定値に変更され、スタートスイッチ118が操作されると、設定値が確定し、設定キーを元の位置(OFFの位置)に戻すことで設定変更モードが終了して遊技が可能となる。なお、設定変更は、電源スイッチ144aが操作されて電源の投入状態となってから一定期間のみ可能となっている。
【0025】
このようなスロットマシン100では、実物のメダルが不要となるので、疑似的にメダルを投入したり、不正に持ち込んだメダルを使用するゴト行為を防止することが可能となる。また、遊技機内に遊技媒体の投入や払い出しを行う機構を設ける必要がなくなるので、設計コストや製造コストを削減することができる。さらに、遊技者への遊技媒体の貸し出しや、獲得した遊技媒体の計数等を一元管理することで、不正防止が可能となる。また、データを一元管理することで、射幸性を抑制し、ひいては、依存症対策を強化することが可能となる。
【0026】
図4は、スロットマシン100および専用ユニット300の概略的な電気的構成を示したブロック図である。図4に示すように、スロットマシン100と専用ユニット300とは遊技球等貸出装置接続端子板280を介して電気的に接続されている。スロットマシン100には、遊技の進行を制御する主制御基板200と、遊技の進行に応じた演出を制御する副制御基板240と、メダル保持部に保持される電子化メダルの数(遊技メダル数)を制御するメダル数制御基板260とを含む複数の制御基板が設けられている。なお、主制御基板200と副制御基板240との間の電気的な信号の伝達は、不正防止等の観点から、主制御基板200から副制御基板240への一方向のみに制限される。一方、主制御基板200とメダル数制御基板260との間の電気的な信号の伝達は、双方向可能である。
【0027】
(主制御基板200)
主制御基板200は、中央処理装置であるメインCPU200a、プログラム等が格納されたメインROM200b、ワークエリアとして機能するメインRAM200c等を含む半導体集積回路を有し、スロットマシン100全体を統括的に制御する。なお、メインRAM200cは、電源が切断された場合においても、設定変更が行われてRAMクリアが実行されない限り、データを消去することなく保持する。
【0028】
また、主制御基板200は、メインCPU200aが、メインROM200bに格納されたプログラムに基づきメインRAM200cと協働することで機能する、初期化手段210、ベット手段212、当選種別抽選手段214、リール制御手段216、判定手段218、払出制御手段220、遊技状態制御手段222、演出状態制御手段224、コマンド送受信手段226等の機能部を有する。
【0029】
主制御基板200では、ベットスイッチ116、スタートスイッチ118、ストップスイッチ120、および、精算スイッチ122から各種の検出信号を受信しており、受信した検出信号に基づいて、メインCPU200aが種々の処理を実行する。
【0030】
初期化手段210は、主制御基板200における初期化処理を実行する。ベット手段212は、遊技に使用するための電子化メダルをベットする。当選種別抽選手段214は、スタートスイッチ118の操作に基づき、詳しくは後述するように、当選役の当否、より詳しくは、当選役が含まれる当選種別の当否を決定する当選種別抽選を行う。
【0031】
リール制御手段216は、スタートスイッチ118の操作に応じて、左リール110a、中リール110b、右リール110cを回転制御し、回転している左リール110a、中リール110b、右リール110cにそれぞれ対応したストップスイッチ120a、120b、120cの操作に応じて、対応する左リール110a、中リール110b、右リール110cを停止制御する。
【0032】
また、リール制御手段216は、スタートスイッチ118の操作に応じて、前回の遊技においてストップスイッチ120の操作を有効化してから、当選種別抽選の抽選結果を表示するために遊技者によるストップスイッチ120の操作を有効化するまで(前回の遊技におけるストップスイッチ120の操作完了により無効化されている)の時間を規定の時間より延長し、その間、リール110a、110b、110cを多彩な態様で回転制御するリール演出(フリーズ演出)を行う場合がある。リール演出は、本来有効となるべき任意のスイッチを所定時間有効にしなかったり、本来実行されるべき処理を所定時間保留したり、本来送受信されるべき任意のスイッチの信号を所定時間送信または受信させなかったりすることで実現できる。
【0033】
また、本実施形態においては、リール演出として、基本遊技におけるスタートスイッチ118の操作に応じ、基本遊技を中断して、基本遊技の進行を遅延させ、その間に、リール110a、110b、110cを回転制御し、ストップスイッチ120a、120b、120cの操作に応じて、ストップスイッチ120a、120b、120cそれぞれに対応するリール110a、110b、110cを仮停止制御する、基本遊技に似せた疑似遊技(擬似遊技)を行う場合がある。ここで、基本遊技は、当選種別抽選が実行され、当選役の入賞に伴い一度の払い出しを受け得る遊技を言う。なお、疑似遊技は、再度のスタートスイッチ118の操作、または、仮停止制御から所定時間が経過したことを条件に終了し、その後、基本遊技におけるリール110a、110b、110cの回転制御が再開する。また、疑似遊技の一例として、リール制御手段216は、ストップスイッチ120a、120b、120cの操作に応じて、各リール110a、110b、110cにおける所定の図柄(例えば、ボーナス役を構成する図柄)を、自動的に仮停止制御することもできる。かかる疑似遊技では、基本遊技と類似の回転制御および停止態様あるいは異なる回転制御および停止態様で演出を実行することができるので、遊技の興趣を高めることができる。なお、仮停止は、一見停止しているように見えるが、リール110a、110b、110cのステッピングモータ152の位相信号を500msec以内で変化させ続けることで、完全停止していない状態を示し、仮停止制御は、リール110a、110b、110cを仮停止させる制御を示す。ただし、特に区別する場合を除き、一方向に回転することなく、その位置を維持しているという意味で停止も仮停止も単に停止として扱い、また、スタートスイッチ118の操作に応じて、左リール110a、中リール110b、右リール110cを回転制御し、回転している左リール110a、中リール110b、右リール110cにそれぞれ対応したストップスイッチ120a、120b、120cの操作に応じて、対応する左リール110a、中リール110b、右リール110cを停止させる意味で、停止制御も仮停止制御も単に停止制御として扱う。
【0034】
また、主制御基板200には、リール駆動制御部150が接続されている。このリール駆動制御部150は、スタートスイッチ118の操作信号に応じ、リール制御手段216から送信される、左リール110a、中リール110b、右リール110cの回転開始信号に基づいて、ステッピングモータ152を駆動する。また、リール駆動制御部150は、ストップスイッチ120の操作信号に応じ、リール制御手段216から送信される、左リール110a、中リール110b、右リール110cそれぞれの停止信号および回転位置検出回路154の検出信号に基づいて、ステッピングモータ152の駆動を停止する。
【0035】
判定手段218は、当選役に対応する図柄組み合わせが有効ラインA上に表示されたか否か判定する。ここで、当選役に対応する図柄組み合わせが有効ラインA上に表示されることを単に入賞と言う場合がある。ここで、有効ラインAは、当選役の入賞を判定するためのラインであり、本実施形態では1本である。図3(b)に示すように、図柄表示窓108に臨む9つの図柄(3リール×上中下の3段)のうち、有効ラインAは、左リール110aの下段、中リール110bの中段、右リール110cの上段に停止する図柄に対応する位置を結んだライン(右上がり1ライン)に設定されている。無効ラインは、有効ラインA上に表示された図柄組み合わせのみでは当選役を把握しにくい場合に、当選役の把握を容易にする他の図柄組み合わせを表示する、当選役の入賞判定には用いられない有効ラインA以外のラインであり、本実施形態では、図3(b)に示す4つの無効ラインB1、B2、B3、Cを想定している。払出制御手段220は、当選役に対応する図柄組み合わせが有効ラインA上に表示されたこと(入賞したこと)に基づいて、当該当選役に対応する数(価値量)だけ電子化メダルをメダル保持部に払い出す(遊技メダル数に加算する)。
【0036】
遊技状態制御手段222は、当選種別抽選の結果や判定手段218の判定結果を参照し、複数種類の遊技状態のいずれかに遊技状態を移行させる。遊技状態には、後述するように、非内部遊技状態、非内部遊技状態においてボーナス役に当選することで移行される内部中遊技状態、内部中遊技状態においてボーナス役に対応する図柄組み合わせが有効ライン上に表示されることで移行されるボーナス遊技状態が含まれる。
【0037】
演出状態制御手段224は、当選種別抽選の結果、判定手段218の判定結果、遊技状態の遷移情報を参照し、複数種類の演出状態のいずれかに演出状態を移行させる。演出状態には、特定役(正解役)と他の当選役(不正解役)とが重複した当選種別(選択当選種別)に当選した際に、特定役の入賞条件となる操作態様(正解操作態様)を報知する(特定役の入賞を補助する)補助演出を実行するAT(アシストタイム)演出状態と、補助演出を実行しない非AT演出状態とが含まれる。また、AT演出状態とリプレイ役の当選確率が高いRT(リプレイタイム)遊技状態が並行して進行される、所謂、ART遊技状態が実行される場合もある。なお、補助演出の対象となる特定役は、その当選役が入賞したことによる電子化メダルの払い出しのみならず、その当選役が入賞することで得られる全ての遊技利益を含めて他の当選役より有利な当選役を言う。また、補助演出は、特定役の入賞を補助する場合に限らず、遊技者に有利となる操作態様を報知すれば足りる。
【0038】
コマンド送受信手段226は、ベット手段212、当選種別抽選手段214、リール制御手段216、判定手段218、払出制御手段220、遊技状態制御手段222、演出状態制御手段224等の動作に伴って決定されたコマンドを副制御基板240およびメダル数制御基板260に順次送信する。
【0039】
また、主制御基板200には、乱数発生器200dが設けられる。乱数発生器200dは、計数値を順次インクリメントし、所定回数分計数すると計数値をリセットする(数列を変更して初期値を定める)ことで、所定の数値範囲内で計数値をループさせる。主制御基板200では、所定の時点において乱数発生器200dから計数値を抽出することで乱数値を得る。主制御基板200の乱数発生器200dによって生成される乱数値(以下、当選種別抽選乱数と言う)は、遊技者に付与する遊技利益、例えば、当選種別抽選手段214が当選種別を決定するために用いられる。以下、主制御基板200における具体的処理をフローチャートに基づいて説明する。
【0040】
(主制御基板200のメイン処理)
図5は、主制御基板200のメイン処理(メインループ処理)を示したフローチャートである。ここでは、まず、主制御基板200のメイン処理に従って、初期化後の1遊技の概略を説明する。また、ここでは、本実施形態の特徴に関係する処理について詳細に説明し、本実施形態の特徴と無関係の構成については説明を省略する。また、詳細な説明は省略するが、各処理が遂行される際、各処理において用いられるスイッチ(ベットスイッチ116、スタートスイッチ118、ストップスイッチ120)は、処理の開始時に有効化され、各処理の終了時に無効化される。
【0041】
(ステップS100)
電源スイッチ144aを介してスロットマシン100の電源が投入され、通電状態になると、初期化手段210は、遊技開始に備え初期化処理を実行する。また、初期化手段210は、設定変更を行うこともできる。なお、設定変更は、有利度合を段階的(例えば6段階)に示した設定値を変更することである。なお、設定変更には、同一の設定値への打ち直し(現在の設定値を、現在の設定値と同一の設定値に変更(上書き、維持)する処理)も含まれる。初期化手段210は、電源が投入されている間、随時バックアップデータを生成し、そのバックアップデータをメインRAM200cに保持させている。したがって、不意の電断(電源切断)が生じたとしても、この初期化処理において、電断前に保持されたバックアップデータを用い、電断前の状態に復帰させることができる。例えば、リール110の回転中に不意の電断が起きたとしても、復帰動作後に再度各リール110が回転している状態から開始される。したがって、初期化処理では、基本的に、メインRAM200cの初期化(RAMクリア)は行われない。また、初期化手段210は、電源投入時に初期化コマンドを生成し、コマンド送受信手段226は、生成された初期化コマンドを副制御基板240に送信する。また、初期化手段210は、起動時に必要な伝達情報を含む起動時コマンドを生成し、コマンド送受信手段226は、生成された起動時コマンドをメダル数制御基板260に送信する。
【0042】
(ステップS110)
続いて、遊技者によるベットスイッチ116の操作に応じて、ベット手段212が電子化メダルをベットする。また、ベット手段212は、その操作がなされたことを示す投入コマンドを生成し、コマンド送受信手段226は、生成された投入コマンドを副制御基板240に送信する。また、ベット手段212は、投入要求枚数を示す伝達情報を含む遊技メダル投入コマンドを生成し、コマンド送受信手段226は、生成されたメダル投入コマンドをメダル数制御基板260に送信する。
【0043】
(ステップS120)
次に、当選種別抽選手段214は、規定数の電子化メダルがベットされると、スタートスイッチ118に対する遊技開始操作を有効化し、スタートスイッチ118の操作待ち状態に移行する。ここで、当選種別抽選手段214は、遊技者によるスタートスイッチ118の操作に応じて、主制御基板200の乱数発生器200dによって更新された当選種別抽選乱数から、スタートスイッチ118が操作された時点における1の当選種別抽選乱数を取得する。そして、当選種別抽選手段214は、当選種別抽選テーブルから、現在設定されている遊技状態に対応する1の当選種別抽選テーブルを決定するとともに、取得した当選種別抽選乱数が、決定した当選種別抽選テーブルにおけるいずれの当選領域に対応するか判定し、判定された当選領域の当選種別または不当選を抽選結果として決定する。また、遊技状態制御手段222は、当選種別抽選において当選役「RBB」が含まれる当選種別が決定されると、遊技状態を非内部遊技状態からRBB内部中遊技状態に移行させる。また、当選種別抽選手段214は、スタートスイッチ118の操作に応じて抽選結果が決定された後、当選種別抽選の抽選結果(当選種別または不当選)や遊技状態に関する情報等を含む当選種別コマンドを生成し、コマンド送受信手段226は、生成された当選種別コマンドを副制御基板240に送信する。
【0044】
(ステップS130)
スタートスイッチ118が操作されると、リール制御手段216は、ステッピングモータ152を駆動して左リール110a、中リール110b、右リール110cを回転させる。このリール回転処理においては、前回の1遊技における左リール110a、中リール110b、右リール110cの回転開始時点から所定の時間(例えば4.1秒)が経過すると(ウェイト)、当該遊技における左リール110a、中リール110b、右リール110cの回転を開始し、左リール110a、中リール110b、右リール110cの全てが定常回転となったところで、ステップS140に処理を移行する。
【0045】
(ステップS140)
続いて、リール制御手段216は、ストップスイッチ120a、120b、120cを有効化し、遊技者によるストップスイッチ120a、120b、120cの操作を受け付けると、その操作に対応する左リール110a、中リール110b、右リール110cのいずれかを停止制御する。また、リール制御手段216は、ストップスイッチ120a、120b、120cのいずれかの操作がなされると、操作がなされたストップスイッチ120a、120b、120cの情報を示す停止コマンド(第1停止操作コマンド、第2停止操作コマンド、第3停止操作コマンド)を操作の度に生成し、コマンド送受信手段226は、生成された停止コマンドを順次、副制御基板240に送信する。リール制御手段216は、このようなリール停止処理をストップスイッチ120a、120b、120cが全て操作されるまで継続する。
【0046】
(ステップS150)
次に、判定手段218は、図3(b)に示した有効ラインA上に表示された図柄組み合わせが予め定められたどの組み合わせに相当するかを判定し、その図柄組み合わせに応じて遊技状態の変更やリプレイに際して要求される種々の処理を実行する。例えば、判定手段218は、有利区間中であり、小役が入賞していれば純増枚数カウンタを更新する。ここで、有利区間は、指示機能に係る性能を有する遊技区間、すなわち、補助演出(指示機能)を実行する遊技区間等を含む、遊技者にとって有利な遊技区間である。また、有利区間と排他的な区間であり、補助演出を実行できない遊技区間を非有利区間と言う。なお、有利区間は、主制御基板200で補助演出の作動に係る抽選等を行った結果、補助演出が作動した場合には、主制御基板200において指示の内容が識別できるよう報知手段に表示したときに限り、指示の内容を示す情報を、副制御基板240等の周辺基板に送信してもよい遊技区間である。また、遊技状態制御手段222は、RBB内部中遊技状態において、有効ラインA上に表示された図柄組み合わせが当選役「RBB」に対応する図柄組み合わせであれば、遊技状態をRBB内部中遊技状態からRBB作動中遊技状態に移行させる。また、判定手段218は、有効ラインA上に表示された図柄組み合わせや、有効ラインA上に小役に対応する図柄組み合わせが表示された場合における電子化メダルの払出枚数等を含む入賞コマンドを生成し、コマンド送受信手段226は、生成された入賞コマンドを副制御基板240に送信する。
【0047】
(ステップS160)
また、払出制御手段220は、有効ラインA上に表示された図柄組み合わせ(リール110の停止態様)に基づき、例えば、有効ラインA上に小役に対応する図柄組み合わせが表示されると、当該小役に対応する電子化メダルの払出処理を実行し、有効ラインA上にリプレイ役に対応する図柄組み合わせが表示されると、自動的に次遊技のベットを行うための処理を実行する。また、払出制御手段220は、電子化メダルの払出処理がなされた場合、払出処理がなされたことを示す払出コマンドを生成し、コマンド送受信手段226は、生成された払出コマンドを副制御基板240に送信する。また、払出制御手段220は、払出枚数を示す伝達情報を含む払出終了コマンドを生成し、コマンド送受信手段226は、生成された払出終了コマンドをメダル数制御基板260に送信する。
【0048】
(ステップS170)
遊技状態制御手段222は、RBB作動中遊技状態において電子化メダルの所定数の払い出しが実行されると、遊技状態をRBB作動中遊技状態から非内部遊技状態に移行させる。また、演出状態制御手段224は、演出状態の移行や、有利区間と非有利区間との切り換えを行う。また、遊技状態または演出状態が変更された場合、変更された遊技状態または演出状態等を含む遊技移行コマンドが生成され、コマンド送受信手段226は、生成された遊技移行コマンドを副制御基板240に送信する。このように、遊技移行処理S170が終了することで、当該1遊技が終了する。
【0049】
上記ステップS110からステップS170までの一連の処理を通じて1遊技が実行される。以後は、ステップS110からステップS170までを繰り返すこととなる。このように、1遊技は、ベットスイッチ116の操作を通じたメダル保持部に保持された遊技メダル数の一部の電子化メダルの投入、または、リプレイ役が有効ラインA上に表示されたことに基づく電子化メダルの自動投入のいずれかが行われてから、遊技者によるスタートスイッチ118の操作に応じて、左リール110a、中リール110b、右リール110cが回転制御されるとともに当選種別抽選が実行され、当選種別抽選の抽選結果および遊技者による複数のストップスイッチ120a、120b、120cの操作に応じて、操作されたストップスイッチ120a、120b、120cに対応する左リール110a、中リール110b、右リール110cがそれぞれ停止制御され、電子化メダルの払い出しを受け得る当選役が入賞した場合、その電子化メダルの払い出しが実行されるまでの遊技を言う。また、電子化メダルの払い出しを受け得る当選種別に不当選であった場合または当選したが入賞しなかった場合、左リール110a、中リール110b、右リール110cが全て停止したことをもって1遊技が終了する。ただし、1遊技の開始を、上記の電子化メダルの投入、または、リプレイ役の当選の代わりに、遊技者によるスタートスイッチ118の操作と読み替えてもよい。また、かかる1遊技が繰り返される数を遊技数とする。ここで、当選種別抽選が実行され一度の払い出しを受け得る1遊技である基本遊技が単独で行われる場合であっても、基本遊技が疑似遊技と組合せて行われる場合であっても、基本遊技の消化をもって1遊技消化とする。したがって、疑似遊技の消化は、スロットマシン100内の遊技数の計数に影響しない。ただし、ホールコンピュータ(図示せず)が管理する遊技数については、仕様により、疑似遊技を遊技数として換算してもよいし、換算しないとしてもよい。
【0050】
(副制御基板240)
副制御基板240は、主制御基板200と同様に、中央処理装置であるサブCPU240a、プログラム等が格納されたサブROM240b、ワークエリアとして機能するサブRAM240c等を含む各種半導体集積回路を有し、主制御基板200からのコマンドに基づき、特に、遊技の進行に応じた演出を制御し、例えば、演出の一連の流れを示す演出パターンを生成する。また、サブRAM240cにもメインRAM200c同様、不図示のバックアップ電源が接続されており、電源が切断された場合においても、データを消去することなく保持する。なお、副制御基板240にも、主制御基板200同様、乱数発生器240dが設けられており、乱数発生器240dによって生成される乱数値(以下、演出抽選乱数と言う)は、主に演出の態様を決定するために用いられる。また、副制御基板240には、演出を実現するために、画像回路240e、音声回路240f、演出回路240gも設けられている。
【0051】
画像回路240eは、画像ICと、画像ROMと、画像RAM(VRAM)とを含む。画像ICは、VDP(Video Display Processor)とも呼ばれ、演出パターンに基づいた画像データ(演出パターンが示す演出のうち、液晶表示部132に表示する画像に相当するデータ)を特定可能な画像コマンドを受信すると、画像コマンドによって特定される画像データを画像ROMから画像RAMに読み出し、順次、液晶表示部132に出力する。なお、画像RAMは、複数の異なるレイヤを有し、各レイヤに異なる画像データを保持させることができる。そして、画像ICは、複数のレイヤに保持された画像データを重畳し、その重畳した画像データを液晶表示部132に出力する。なお、各レイヤには優先順位が設けられており、優先順位が高いレイヤの画像と優先順位が低いレイヤの画像とが重なる場合、優先順位が高いレイヤの画像が、優先順位が低いレイヤの画像より遊技者側に重畳され、遊技者に視認されることとなる。
【0052】
音声回路240fは、音声ICと、音声ROMとを含む。音声ICは、演出パターンに基づいた音声データ(演出パターンが示す演出のうち、スピーカ134に出力する音声を含む音に相当するデータ)を特定可能な音声コマンドを受信すると、音声コマンドによって特定される音声データを、音声ROMから読み出し、音声データに基づく音を、順次、スピーカ134に出力する。なお、音声ICは、複数の異なるレイヤ(トラックやチャンネルと言う場合がある)を有し、各レイヤに異なる音声データを保持させることができる。そして、音声ICは、複数のレイヤに保持された音声データを重畳し、その重畳した音声データに基づく音をスピーカ134に出力する。遊技者は、重畳された音声データそれぞれを重複して聴き取ることができる。
【0053】
演出回路240gは、演出パターンに基づいた照明パターン(演出パターンが示す演出のうち、演出用ランプ136の一連の点灯態様を示す内容)および駆動パターン(演出パターンが示す演出のうち、演出役物装置138の一連の駆動態様を示す内容)を示すコマンドを受信すると、そのコマンドに従い、発光に関する情報(発光情報)や、モータの駆動に関する情報(駆動情報)を生成し、生成した発光情報や駆動情報を、演出用ランプ136や演出役物装置138にシリアル通信を通じて送信する。ここでシリアル通信が用いられるのは、ハーネスの数の抑制や取り回しを簡易化するためである。こうして、複数の演出用ランプ136それぞれが独立して点灯制御されるとともに、複数の演出役物装置138それぞれが独立して駆動制御される。また、演出回路240gは、シリアル通信を通じて演出スイッチ124等の入力情報(操作有無、操作タイミング、操作回数、操作時間長等)を取得する。
【0054】
ここでは、サブCPU240a、サブRAM240c、乱数発生器240d、画像回路240e、音声回路240f、演出回路240g等の一連の機能部が、SoC(System-on-a-Chip)として1つの集積回路に集積されている。ただし、かかるSoCにいずれの機能部を集積するかは任意に設定することができる。
【0055】
また、副制御基板240では、サブCPU240aが、サブROM240bに格納されたプログラムに基づき、サブRAM240cと協働することで機能する、初期化手段250、コマンド受信手段252、演出制御手段254等の機能部を有する。
【0056】
初期化手段250は、副制御基板240における初期化処理を実行する。コマンド受信手段252は、主制御基板200等、他の制御基板からのコマンドを受信し、コマンドに対する処理を行う。演出制御手段254は、演出スイッチ124から検出信号を受信するとともに、受信されたコマンドに基づいて液晶表示部132、スピーカ134、演出用ランプ136、演出役物装置138の各デバイスで行われる遊技の演出の演出パターンを決定する。
【0057】
具体的に、演出制御手段254は、液晶表示部132に画像を表示させる画像表示制御を行う。また、演出制御手段254は、スピーカ134を通じて音声出力制御を行ったり、演出用ランプ136を点灯制御したり、演出役物装置138を駆動制御したりする。
【0058】
なお、演出制御手段254が実行する演出には、上述した補助演出も含まれる。以下では、液晶表示部132、スピーカ134、演出用ランプ136といった補助演出を実行する報知手段を補助演出実行手段(指示モニタ)と言う場合がある。演出状態制御手段224は、AT演出状態において、補助演出を補助演出実行手段に実行させる。
【0059】
(副制御基板240のサブ処理)
図6は、副制御基板240のサブ処理を示したフローチャートである。ここでは本実施形態の特徴に関係する処理について詳細に説明し、本実施形態の特徴と無関係の構成については説明を省略する。
【0060】
(ステップS200)
電源スイッチ144aを介してスロットマシン100の電源が投入され、通電状態になると、初期化手段250は、遊技開始に備え初期化処理を実行する。初期化手段250は、電源が投入されている間、随時バックアップデータを生成し、そのバックアップデータをサブRAM240cに保持している。
【0061】
(ステップS210)
コマンド受信手段252は、投入コマンドを受信したか否か判定する。その結果、投入コマンドを受信していれば、ステップS212に処理を移し、投入コマンドを受信していなければ、ステップS220に処理を移す。
【0062】
(ステップS212)
ステップS210において、投入コマンドを受信していると判定されれば、演出制御手段254は、次の遊技のための遊技開始準備が行われたとして、当該投入コマンドに基づく演出パターンを決定する。
【0063】
(ステップS220)
続いて、コマンド受信手段252は、当選種別コマンドを受信したか否か判定する。その結果、当選種別コマンドを受信していれば、ステップS222に処理を移し、当選種別コマンドを受信していなければ、ステップS240に処理を移す。
【0064】
(ステップS222)
ステップS220において、当選種別コマンドを受信していると判定されれば、演出制御手段254は、当該当選種別コマンドに基づく演出パターンを決定する。また、演出制御手段254は、演出状態がAT演出状態であり、当選種別コマンドに示される当選種別が選択当選種別であれば、正解操作態様を報知する補助演出を決定する。
【0065】
(ステップS240)
続いて、コマンド受信手段252は、停止コマンドを受信したか否か判定する。その結果、停止コマンドを受信していれば、ステップS242に処理を移し、停止コマンドを受信していなければ、ステップS250に処理を移す。
【0066】
(ステップS242)
ステップS240において、停止コマンドを受信していると判定されれば、演出制御手段254は、当該停止コマンドが、第1停止操作、第2停止操作、第3停止操作のいずれを示すか、ストップスイッチ120a、120b、120cのいずれに対する停止操作を示すか、および、その停止操作が行われた左リール110a、中リール110b、右リール110cの回転位置に基づいて演出パターンを決定する。
【0067】
(ステップS250)
続いて、コマンド受信手段252は、入賞コマンドを受信したか否か判定する。その結果、入賞コマンドを受信していれば、ステップS252に処理を移し、入賞コマンドを受信していなければ、ステップS260に処理を移す。
【0068】
(ステップS252)
ステップS250において、入賞コマンドを受信していると判定されれば、演出制御手段254は、当該入賞コマンドに基づく演出パターンを決定する。
【0069】
(ステップS260)
続いて、コマンド受信手段252は、払出コマンドを受信したか否か判定する。その結果、払出コマンドを受信していれば、ステップS262に処理を移し、払出コマンドを受信していなければ、ステップS210に処理を移し、ステップS210からの処理を繰り返す。
【0070】
(ステップS262)
ステップS260において、払出コマンドを受信していると判定されれば、演出制御手段254は、当該払出コマンドに基づく演出パターンを決定し、ステップS210からの処理を繰り返す。
【0071】
(メダル数制御基板260)
メダル数制御基板260は、主制御基板200と接続され、中央処理装置であるメダルCPU260a、プログラム等が格納されたメダルROM260b、ワークエリアとして機能するメダルRAM260c等を含む各種半導体集積回路を有し、遊技に供する電子化メダルを管理する。また、メダルRAM260cにもメインRAM200c同様、不図示のバックアップ電源が接続されており、電源が切断された場合においても、データを消去することなく保持する。ここで、メダルRAM260cの一部の記憶領域がメダル保持部となっている。また、メダル数制御基板260には、メダルセグメント表示部140が一体形成されている。メダルセグメント表示部140は、1つの7セグメントで構成され、例えば、メダル数制御基板260で管理するエラーの種別を示すエラーコードが表示される。また、メダル数制御基板260は、遊技球等貸出装置接続端子板280を通じて専用ユニット300と接続される。ここで、遊技球等貸出装置接続端子板280は、スロットマシン100と専用ユニット300とを接続するための接続端子板であり、電子化メダルの貸し出しに係る信号の受信、電子化メダルの貸出受領結果の送信、電子化メダルの計数に係る信号の送信、スロットマシン100の各情報の送信を行う。例えば、遊技球等貸出装置接続端子板280は、専用ユニット300から電力(VL)の供給を受け、その電力をフォトカプラ等の絶縁素子の入力とし、専用ユニット300との接続状態を示すVL接続信号を生成してメダル数制御基板260に出力する。メダル数制御基板260は、VL接続信号のON/OFFによって、専用ユニット300から電力が供給されていること、換言すれば、専用ユニット300に電源が投入され、かつ、専用ユニット300と適切に接続されていることを判定することができる。
【0072】
また、メダル数制御基板260では、メダルCPU260aが、メダルROM260bに格納されたプログラムに基づき、メダルRAM260cと協働することで機能する、初期化手段270、コマンド送受信手段272、メダル数更新手段274等の機能部を有する。
【0073】
初期化手段270は、メダル数制御基板260における初期化処理を実行する。コマンド送受信手段272は、主制御基板200からのコマンドを受信するとともに、そのコマンドに対する返信処理を行う。また、コマンド送受信手段272は、起動完了から300msec周期で、専用ユニット300と、遊技機情報通知、計数通知、貸出通知、貸出受領結果応答の送受信を繰り返す。具体的に、コマンド送受信手段272は、遊技機情報として遊技機性能情報、遊技機設置情報、ホールコン・不正監視情報を含む遊技機情報通知を専用ユニット300に送信し、遊技機情報通知を送信して100msec後に、計数処理される計数メダル数(専用ユニット300に一度に転送する電子化メダルの数)を含む計数通知を送信する。コマンド送受信手段272は、計数通知を送信して170msec後に、専用ユニット300から、貸出処理される貸出メダル数(専用ユニット300から一度に転送される電子化メダルの数)を含む貸出通知を受信すると、それに対する貸出受領結果を専用ユニット300に返信する。
【0074】
メダル数更新手段274は、主制御基板200から受信したコマンド、専用ユニット300から受信した通知、または、計数スイッチ126の操作等に応じ、主として、メダル保持部に保持された遊技メダル数の更新(加算、減算)を行う。また、メダル数更新手段274は、このようにして更新された遊技メダル数を遊技メダル数表示装置128に表示する。
【0075】
図7は、メダル数制御基板260のメダル処理(メインループ処理)を示したフローチャートである。ここでは、本実施形態の特徴に関係する処理について詳細に説明し、本実施形態の特徴と無関係の構成については説明を省略する。
【0076】
(ステップS300)
電源スイッチ144aを介してスロットマシン100の電源が投入され、メダル数制御基板260が通電状態になると、初期化手段270は、遊技開始に備え初期化処理を実行する。初期化手段270は、電源が投入されている間、随時バックアップデータを生成し、そのバックアップデータをメダルRAM260cに保持させている。したがって、不意の電断(電源切断)が生じたとしても、この初期化処理において、電断前に保持されたバックアップデータを用い、電断前の状態に復帰させることができる。例えば、メダル保持部に遊技メダル数が保持された状態で不意の電断が起きたとしても、復帰動作後に電子化メダルが保持された状態から開始される。したがって、初期化処理では、基本的に、メダルRAM260cの初期化(RAMクリア)は行われない。
【0077】
(ステップS310)
初期化処理が終了すると、メダル数更新手段274は、メダル保持部に保持された遊技メダル数の更新イベントが発生したか否か判定し、遊技メダル数の更新イベントが発生すると、その更新イベントに応じて遊技メダル数を更新する更新処理を実行する。まず、メダル数更新手段274は、メインCPU200aから遊技メダル投入コマンドを受信したか否か判定し、遊技メダル投入コマンドを受信していれば、ステップS312に処理を移行し、遊技メダル投入コマンドを受信していなければ、ステップS320に処理を移行する。
【0078】
(ステップS312)
メインCPU200aから遊技メダル投入コマンドを受信すると、メダル数更新手段274は、遊技メダル投入コマンドが電子化メダルの投入を示しているか否か判定し、電子化メダルの投入を示していれば、その枚数だけ遊技メダル数を減算する投入処理を実行する。また、メダル数更新手段274は、遊技メダル投入コマンドが電子化メダルの投入ではなく電子化メダルの精算を示していれば、投入されていた電子化メダルを、その枚数だけ遊技メダル数に加算する精算処理を実行する。なお、精算処理と投入処理は、遊技者の操作は異なるものの、操作に対応する処理自体は同じである。したがって、以下において、投入処理を用いて説明している箇所を、負の電子化メダルを投入するという解釈で精算処理に置き換えて適用することも可能である。
【0079】
(ステップS320)
次に、メダル数更新手段274は、メインCPU200aから払出終了コマンドを受信したか否か判定し、払出終了コマンドを受信していれば、ステップS322に処理を移行し、払出終了コマンドを受信していなければ、ステップS330に処理を移行する。
【0080】
(ステップS322)
メインCPU200aから払出終了コマンドを受信すると、メダル数更新手段274は、払出終了コマンドに基づいて払い出された電子化メダルを遊技メダル数に加算する払出処理を実行する。
【0081】
(ステップS330)
続いて、メダル数更新手段274は、専用ユニット300から電子化メダルの貸出通知を受信したか否か判定し、貸出通知を受信していれば、ステップS332に処理を移行し、貸出通知を受信していなければ、ステップS340に処理を移行する。
【0082】
(ステップS332)
専用ユニット300から貸出通知を受信すると、メダル数更新手段274は、貸出処理が可能であるか否か判定し、貸出処理が可能であれば、貸し出された電子化メダルを遊技メダル数に加算する貸出処理を実行し、「正常」を含む貸出受領結果応答を生成する。一方、貸出処理ができない場合、すなわち、貸出通知のうち電文長とコマンドの値は正常だが、その他の情報が異常である場合、遊技機情報通知が異常である場合、計数通知の計数メダル数が「1」以上である場合、遊技メダル数表示装置128に表示された遊技メダル数が15000枚以上である場合、受信した貸出通知のチェックサムが異常である場合、受信した貸出通知の貸出通番が連続していない場合、受信した貸出通知の貸出メダル数が「51」以上である場合、または、メダルCPU260aから専用ユニット300へ送信する遊技機情報通知において、ホールコン・不正監視情報以外を通知している場合、メダル数更新手段274は、「異常」を含む貸出受領結果応答を生成する。
【0083】
(ステップS340)
次に、コマンド送受信手段272は、遊技者によって計数スイッチ126が操作されたか否か判定し、計数スイッチ126が操作されていれば、ステップS342に処理を移行し、計数スイッチ126が操作されていなければ、ステップS310からの処理を繰り返す。
【0084】
(ステップS342)
遊技者によって計数スイッチ126が操作されると、メダル数更新手段274は、専用ユニット300に計数通知を行うとともに、計数された電子化メダルを遊技メダル数から減算する計数処理を実行し、ステップS310からの処理を繰り返す。
【0085】
なお、貸出通知を受信したり、計数スイッチ126が操作されると、メダル数更新手段274は、電子化メダルの貸出処理や計数処理を実行し、コマンド送受信手段272は、メインCPU200aにその旨のコマンドを送信し、当該コマンドを受信したメインCPU200aは、サブCPU240aにその旨のコマンドを送信する。そして、サブCPU240aは、貸出処理や計数処理において、実際に電子化メダルが貸し出されるまたは計数されるのに伴い、電子化メダルの移動を表す所定の貸出音または計数音をスピーカ134から出力する。こうして、遊技者は、貸出処理や計数処理が適切に実行されていることを聴覚的に確認することができる。また、サブCPU240aは、スピーカ134に限らず、液晶表示部132、演出用ランプ136といった各デバイスを通じて、貸出処理や計数処理が実行されていることを報知してもよい。
【0086】
(専用ユニット300)
専用ユニット300は、スロットマシン100の近傍に設置され、遊技者に電子化メダルを貸し出したり、遊技者が獲得した電子化メダルを計数することができる。専用ユニット300には、スロットマシン100に対し電子化メダルを送受信する専用ユニット制御基板310が設けられる。専用ユニット制御基板310には、現金投入部312、カード挿入部314、貸出スイッチ316、返却スイッチ318、遊技スイッチ320、度数表示装置322、獲得メダル数表示装置324が接続される。
【0087】
現金投入部312は、現金を投入する投入口として機能する。カード挿入部314は、電子化メダルを蓄積可能なカード媒体の挿入および引出を可能とする。貸出スイッチ316は、押圧スイッチで構成され、専用ユニット300で保持する現金の度数に対応する電子化メダルをスロットマシン100に転送する操作を検出する。貸出スイッチ316の操作に応じ、メダル数制御基板260では貸出処理が実行される。返却スイッチ318は、押圧スイッチで構成され、専用ユニット300で保持する電子化メダルをカード媒体に転送し、そのカード媒体を、カード挿入部314を通じて専用ユニット300から引き出す操作を検出する。遊技スイッチ320は、押圧スイッチで構成され、専用ユニット300で保持する電子化メダルをスロットマシン100に転送する操作を検出する。度数表示装置322は、専用ユニット300で保持する度数、すなわち、現金投入部から投入された現金に相当する度数を表示する。獲得メダル数表示装置324は、専用ユニット300で保持する電子化メダルの総数である獲得メダル数を表示する。
【0088】
(主制御基板200で用いられるテーブル)
図8は、当選役を説明するための説明図であり、図9は、当選種別抽選テーブルを説明するための説明図である。
【0089】
スロットマシン100においては、詳しくは後述するように、複数種類の遊技状態および演出状態が設けられており、遊技の進行に応じて遊技状態および演出状態が移行される。そして、主制御基板200では、遊技状態制御手段222により管理、制御される遊技状態に対応する複数の当選種別抽選テーブル等がメインROM200bに格納されている。当選種別抽選手段214は、メインRAM200cに記憶された現在の設定値と現在の遊技状態に応じて、対応する当選種別抽選テーブルをメインROM200bから抽出し、抽出した当選種別抽選テーブルに基づき、スタートスイッチ118の操作信号に応じて取得された当選種別抽選乱数が当選種別抽選テーブル内のいずれの当選種別に対応するか判定する。
【0090】
ここで、当選種別抽選テーブルで抽出される当選種別を構成する当選役には、ボーナス役、リプレイ役、小役が含まれる。ボーナス役は、そのボーナス役に対応する図柄組み合わせが有効ラインA上に表示されることにより、遊技状態制御手段222により管理される遊技状態をボーナス遊技状態(後述するRBB作動中遊技状態)に移行させることができる役である。リプレイ役は、リプレイ役に対応する図柄組み合わせが有効ラインA上に表示されると、遊技者による電子化メダルの新たなるベットを行わずして再度遊技を実行できる役である。小役は、その小役に対応する図柄組み合わせが有効ラインA上に表示されることにより、図柄組み合わせに応じて所定数の電子化メダルの払い出しを受けることができる役である。
【0091】
本実施形態における当選役は、図8に示すように、ボーナス役として、当選役「RBB」が設けられている。また、リプレイ役として、当選役「リプレイ1」~「リプレイ23」が設けられている。また、小役として、当選役「小役1」~「小役20」が設けられている。図8では、左リール110a、中リール110b、右リール110cそれぞれに、各当選役を構成する1または複数の図柄が対応付けられている。なお、以下では、当選役「小役1」~「小役4」を当選役「8枚役」、当選役「小役5」、「小役6」を当選役「3枚役」、当選役「小役7」~「小役20」を当選役「1枚役」と略す場合がある。
【0092】
ここで、本実施形態においては、遊技者によってストップスイッチ120が操作されたときに、入賞可能な当選役に対応する図柄組み合わせを構成する図柄が有効ラインA上にある場合には、リール制御手段216によって、当該図柄が有効ラインA上に停止するように停止制御がなされる。また、ストップスイッチ120が操作されたときに、入賞可能な当選役に対応する図柄組み合わせを構成する図柄が、有効ラインA上にはないが、リール110の回転方向と反対の方向の図柄4コマ分に相当する範囲(引込範囲)内に存在している場合には、リール制御手段216によって、離れている図柄数が滑りコマ数となり、当該当選役に対応する図柄組み合わせを構成する図柄を有効ラインA上に引き込むように滑りコマ数分回転を維持した後に停止するように停止制御がなされる。また、入賞可能な当選役に対応する図柄がリール110中に複数あり、いずれもリール110の引込範囲内に存在している場合には、予め定められた優先順位に従っていずれの図柄を有効ラインA上に引き込むか決定され、当該優先された図柄を有効ラインA上に引き込むように滑りコマ数分回転を維持した後に停止するように停止制御がなされる。なお、ストップスイッチ120が押圧操作されたときに、入賞可能な当選役以外の当選役に対応する図柄組み合わせを構成する図柄が有効ラインA上にある場合には、リール制御手段216によって、その図柄を有効ラインA上に停止させないようにする、所謂、蹴飛ばし処理も並行して実行される。また、後述するように、当選種別に含まれる当選役に操作態様(操作順や操作タイミング)が入賞条件として設定されている場合、リール制御手段216は、遊技者の操作態様に応じて当選役に対応する図柄組み合わせを有効ラインA上に表示可能に停止制御する。
【0093】
そして、例えば、当選役「リプレイ1」~「リプレイ3」、「リプレイ11」~「リプレイ13」、「リプレイ16」、「リプレイ18」、「リプレイ21」~「リプレイ23」、当選役「小役1」~「小役4」、「小役6」~「小役10」、「小役17」に対応する図柄組み合わせを構成する図柄は、各リール110において、上記の停止制御によって、必ず有効ラインA上に表示可能なように配列されている。このような当選役をPB=1と表す場合がある。一方、例えば、当選役「RBB」、当選役「リプレイ4」~「リプレイ10」、「リプレイ14」、「リプレイ15」、「リプレイ17」、「リプレイ19」、「リプレイ20」、当選役「小役5」、「小役11」~「小役16」、「小役18」~「小役20」に対応する図柄組み合わせを構成する図柄は、各リール110において、上記の停止制御によって、必ずしも有効ラインA上に表示可能なように配列されていないので、所謂、取りこぼしが発生する場合がある。このような当選役をPB≠1と表す場合がある。
【0094】
図9に示すように、当選種別抽選テーブルでは、複数の当選領域が区画されており、各遊技状態によって抽選の対象となる当選種別が異なったり、不当選(ハズレ)の有無が異なったりする。図9では、各遊技状態(非内部遊技状態(非内部)、RBB内部中遊技状態(RBB内部中)、RBB作動中遊技状態(RBB作動中))毎に割り当てられた当選領域(当選種別)を「◎」や「○」で表しているが、実際には、複数の遊技状態それぞれに対応する当選種別抽選テーブルがメインROM200bに記憶されている。なお、「◎」は有利区間に移行させる抽選を行うこと、および、補助演出(指示機能)に係る抽選(例えば、補助演出の回数の決定、補助演出の回数の追加(上乗せ)、AT演出状態の継続、有利区間の終了)が可能な有利区間抽選可当選種別であることを示し、「○」は有利区間に移行させる抽選を行うことはできないが、補助演出に係る抽選は可能な有利区間抽選不可当選種別であることを示している。
【0095】
当選種別抽選テーブルでは、区画化された各当選領域にはそれぞれ当選範囲を示す数値である所定の置数(当選範囲値)と当選種別が対応付けられており、遊技状態毎に割り当てられた全ての当選領域の置数を合計すると当選種別抽選乱数の総数(65536)となる。したがって、当選種別それぞれが決定される確率は、当選領域に対応付けられた置数を当選種別抽選乱数の総数で除算した値となる。当選種別抽選手段214は、その時点の遊技状態に基づいて、当該当選種別抽選テーブルにおける複数の当選領域のうち番号の高い方から、順次、置数を取得し、その置数を当選種別抽選乱数から減算して、減算後の値が0未満となると、その時点の当選領域に対応付けられた当選種別を当選種別抽選の抽選結果としている。また、当選領域1以上の全ての当選領域の置数を当選種別抽選乱数から減算して、減算後の値が0以上となっていれば、当選領域0の当選種別「ハズレ」が当選種別抽選の抽選結果となる。
【0096】
ここで、当選役「RBB」について補足する。所定の第1種特別役物(RB)は、規定数毎の入賞に係る図柄の組み合わせの数を増加させ、または規定数毎の入賞に係る条件装置が作動する確率を上昇させる役物で、あらかじめ定められた場合に作動し、12回を超えない回数の遊技の結果が得られるまで作動を継続することができるものを言う。ここで、条件装置は、その作動が入賞、再遊技、役物または役物連続作動装置の作動に係る図柄の組み合わせが表示されるために必要な条件とされている装置で、当選種別抽選(遊技機内で行われる電子計算機によるくじ)に当選した場合に作動するもの、すなわち、当選フラグを意味する。
【0097】
図9の当選種別抽選テーブルによれば、例えば当選領域0には、当選種別「ハズレ」が対応付けられており、かかる当選種別に当選すると、図8に示したいずれの当選役に対応する図柄組み合わせも有効ラインA上に表示されることはなく、電子化メダルの払い出し等が行われることはない。
【0098】
図9における各当選領域には、それぞれ複数の当選役が重複して含まれる当選種別が対応付けられている。そして、複数の当選役が重複して含まれる当選種別に当選した場合には、いずれの当選役に対応する図柄組み合わせを有効ラインA上に優先的に表示させるかについての入賞条件、例えば、ストップスイッチ120a、120b、120cが操作される順番、および、ストップスイッチ120a、120b、120cの操作タイミング(リール110の操作位置)が設定されている。
【0099】
以下の説明において、左リール110a、中リール110b、右リール110cの順にリールを停止させるストップスイッチ120a、120b、120cの操作を「打順1」とし、左リール110a、右リール110c、中リール110bの順にリールを停止させるストップスイッチ120a、120c、120bの操作を「打順2」とし、中リール110b、左リール110a、右リール110cの順にリールを停止させるストップスイッチ120b、120a、120cの操作を「打順3」とし、中リール110b、右リール110c、左リール110aの順にリールを停止させるストップスイッチ120b、120c、120aの操作を「打順4」とし、右リール110c、左リール110a、中リール110bの順にリールを停止させるストップスイッチ120c、120a、120bの操作を「打順5」とし、右リール110c、中リール110b、左リール110aの順にリールを停止させるストップスイッチ120c、120b、120aの操作を「打順6」とする。
【0100】
例えば、選択当選種別である当選領域5の当選種別「打順ベルA1」に当選し、正解操作態様(打順3)での操作が行われた場合、払出枚数が8枚の正解役である当選役「小役1」(当選役「8枚役」)に対応する図柄組み合わせ(結果的に、無効ラインB1に図柄「ベル」、「ベル」、「ベル」が一直線に揃う)が、所謂、枚数優先制御により有効ラインA上に優先的に表示されるように停止制御がなされる。また、打順1、2、4~6での操作が行われた場合、払出枚数1枚の不正解役である当選役「1枚役」に対応する図柄組み合わせが、所謂、個数優先制御により有効ラインA上に優先的に表示されるように停止制御がなされる。
【0101】
なお、当選領域5~8の選択当選種別(当選種別「打順ベルA1」~「打順ベルA4」)の当選確率(置数)、当選領域9~12の選択当選種別(当選種別「打順ベルB1」~「打順ベルB4」)の当選確率は等しくなるように設定されている。遊技者は、通常、いずれの当選種別に当選しているのかを知ることができないため、上記のような当選領域を設けることにより、正解役を入賞させにくくしている。また、上記のように、不正解役が優先的に表示される操作態様でストップスイッチ120が操作されても、必ずしも不正解役に対応する図柄組み合わせを有効ラインA上に表示させられるとは限らないので、その操作態様によっては、取りこぼしが発生することがある(PB≠1)。なお、以下では、当選領域5~12の8個の当選種別を単に当選種別「打順ベル」と略す場合がある。
【0102】
なお、上述したいずれかの当選種別に当選すると、それぞれの当選種別に対応する内部当選フラグが成立(ON)するとともに、この内部当選フラグの成立状況に応じて、各リール110の停止制御がなされることとなる。このとき、小役が含まれる当選種別に当選したものの、これら当選役に対応する図柄組み合わせを、その遊技内で有効ラインA上に表示させることができなかった場合には、当該遊技の終了後に内部当選フラグがオフされる。つまり、小役の当選の権利は小役が含まれる当選種別に当選した遊技内のみに限られ、当該権利を次遊技に持ち越すことはできない。これに対して、当選役「RBB」が含まれる当選種別に当選した場合には、RBB内部当選フラグが成立(ON)するとともに、当選役「RBB」に対応する図柄組み合わせが有効ラインA上に表示されるまで、RBB内部当選フラグが遊技を跨いで持ち越される。なお、リプレイ役が含まれる当選種別に対応する内部当選フラグが成立した場合には、その当選種別に含まれるリプレイ役のうちのいずれかのリプレイ役に対応する図柄組み合わせが必ず有効ラインA上に表示され、電子化メダルを要することなく次遊技を行うために必要となる処理が行われた後に、当該内部当選フラグがオフされる。
【0103】
(遊技状態の遷移)
ここで、図10を用い、遊技状態の遷移について説明する。ここでは、非内部遊技状態、RBB内部中遊技状態、RBB作動中遊技状態といった複数の遊技状態が準備されている。各遊技状態は、後述するように、ボーナス役の当選、入賞(作動)、終了に応じて遷移する。なお、各遊技状態において当選可能な当選種別は、図9において「◎」または「○」で表される。
【0104】
非内部遊技状態は、複数の遊技状態における初期状態に相当する遊技状態である。かかる非内部遊技状態では、リプレイ役の当選確率が約1/7.3に設定されている。また、非内部遊技状態では、当選役「RBB」が所定の確率(例えば約1/30)で決定されている。遊技状態制御手段222は、当選役「RBB」の当選に応じて遊技状態を遷移させる。例えば、当選役「RBB」に当選した遊技において、当選役「RBB」に対応する図柄組み合わせが有効ラインA上に表示されると、遊技状態制御手段222は、遊技状態をRBB作動中遊技状態に移行させる(1)。
【0105】
RBB作動中遊技状態では、リプレイ役の当選確率が0に設定されている。なお、かかるRBB作動中遊技状態では、当選可能な当選種別として、当選領域1に「小役ALL」が、当選領域2に当選種別「1枚ALL」が設定されている。当選種別「小役ALL」に当選すると、当選役「小役1」~「小役20」のいずれかに対応する図柄組み合わせが有効ラインA上に表示されるように停止制御される。当選種別「1枚ALL」に当選すると、当選役「小役7」~「小役20」のいずれかに対応する図柄組み合わせが有効ラインA上に表示されるように停止制御される。ここでは、かかる小役の構成によりRBB作動中遊技状態での単位遊技当たりの期待獲得枚数を低くしている。
【0106】
RBB作動中遊技状態の終了条件が成立すると、すなわち、獲得枚数が所定数(例えば22枚)を超えると、遊技状態制御手段222は、遊技状態を非内部遊技状態に移行させる(2)。
【0107】
一方、当選役「RBB」に当選した遊技において、当選役「RBB」に対応する図柄組み合わせを有効ラインA上に表示することができなかった場合、遊技状態制御手段222は、遊技状態をRBB内部中遊技状態に移行させる(3)。
【0108】
RBB内部中遊技状態では、リプレイ役の当選確率が約1/7.3に設定されている。また、RBB内部中遊技状態では当選種別「ハズレ」に当選することはない。換言すれば、当選役「RBB」の当選遊技で当選役「RBB」に対応する図柄組み合わせを有効ラインA上に表示することができなかった場合、その後は、当選役「RBB」より小役やリプレイ役の方が優先して有効ラインA上に停止制御されるので、当選役「RBB」に対応する図柄組み合わせを有効ラインA上に表示することができない。したがって、一旦、遊技状態がRBB内部中遊技状態に移行すると、その後、遊技状態が遷移することなく、RBB内部中遊技状態が維持されることとなる。ここでは、かかるRBB内部中遊技状態を維持しつつ、そのRBB内部中遊技状態においてAT演出状態を実現する。
【0109】
ここでは、RBB内部中遊技状態において、複数種類の正解役が互いに重複せずに当選するため、正解役を入賞させることができる機会を多くすることができ、その結果、例えば、RBB内部中遊技状態におけるAT演出状態において補助演出が行われることで、電子化メダルを獲得しやすくできる。一方、RBB作動中遊技状態では、複数種類の正解役を重複して当選させ、正解役を入賞させることができる機会を少なくし、他の遊技状態におけるAT演出状態よりも正解役を入賞させることができる機会を減らして、遊技者が所有する電子化メダルを増やしにくくしている。したがって、RBB内部中遊技状態よりも入賞に係る当選役の当選確率が高いというRBB作動中遊技状態の機能を備えつつ、電子化メダルの獲得性能の面ではRBB作動中遊技状態がRBB内部中遊技状態に劣るという仕様(アクセルRBB)を実現することができる。
【0110】
(演出状態の遷移)
図11は、演出状態の遷移を説明するための説明図である。以下、主制御基板200において演出状態制御手段224により遷移される演出状態について詳述する。なお、複数の演出状態は、遊技区間である有利区間および非有利区間のいずれかに属することとなる。本実施形態では、ほぼ全ての演出状態が有利区間に属し、一部の演出状態(ここでは非有利演出状態)で非有利区間を実現している。なお、有利区間に滞在している間、図示しない区間表示器を点灯させることによって、その旨を報知するとしてもよい。
【0111】
また、非有利区間においては、当選種別の当選確率を設定値毎に異ならせることは可能であるが、同一の当選種別において補助演出を伴う演出状態(AT演出状態)への移行を決定する確率は設定値毎に異ならせてはならない。一方、有利区間においては、当選種別の当選確率、および、同一の当選種別における補助演出を伴う演出状態(AT演出状態)への移行(または追加)を決定する確率のいずれも設定値毎に異ならせることは可能である。
【0112】
したがって、演出状態制御手段224は、演出状態の移行の管理に加え、非有利区間と有利区間との移行も管理することとなる。また、有利区間は、このような管理に拘わらず、以下の終了条件が成立することで強制的に終了する。例えば、スロットマシン100では、有利区間において計数される値が所定値に達したこと(例えば、滞在遊技数が4000遊技に達したり、MYが2400枚を超えたこと)に基づいて有利区間が強制的に終了する。なお、MYは有利区間が開始されてからの差枚数を示す。したがって有利区間が開始されてから電子化メダルを1000枚投入(消費)している場合、有利区間中において電子化メダルを3400枚獲得することが可能となる。なお、本実施形態のスマートパチスロでは、滞在遊技数の制限を設けなくてよいので、滞在遊技数が4000遊技に到達しても終了する必要がなく、有利区間においてMYが2400枚を超えたことに基づいて有利区間が強制的に終了することとなる。いずれの場合においても、演出状態制御手段224は、遊技区間を有利区間から非有利区間に移行することで、有利区間で更新された情報(指示機能に係る性能に影響を及ぼす全ての変数)を全てリセットする。
【0113】
(非有利区間、有利区間)
非有利区間においては、補助演出が実行されないので、獲得できる電子化メダルの枚数が制限される。ここでは、非有利区間の演出状態として非有利演出状態が設けられている。
【0114】
有利区間においては、選択当選種別の当選時において補助演出実行手段に補助演出を実行させることで、電子化メダルの消費を抑えつつ、多くの電子化メダルを獲得することが可能となる。したがって、遊技者は、有利区間に移行することで、非有利区間と比べ、遊技を有利に進行することができる。ここでは、有利区間の演出状態として、それぞれ遊技性が異なる、通常演出状態、前兆演出状態、通常AT演出状態、振分演出状態、特別前兆演出状態、特別演出状態が設けられている。なお、以下に示すように、通常AT演出状態および特別演出状態は、補助演出が実行される点でAT演出状態と言える。また、他の演出状態である非有利演出状態、通常演出状態、前兆演出状態、振分演出状態、特別前兆演出状態は、補助演出が実行されない点で非AT演出状態と言える。以下、各演出状態について個々に説明する。
【0115】
(通常演出状態)
通常演出状態は、有利区間に属し、複数の演出状態のうち、遊技の開始時に滞在している可能性が高い演出状態である。演出状態制御手段224は、通常演出状態においてAT抽選を行う。AT抽選は、通常AT演出状態への移行を決定する抽選であり、演出状態制御手段224は、当選種別抽選により決定された当選種別に対応した確率でAT抽選を行う。演出状態制御手段224は、AT抽選に当選すると、演出状態を、通常AT演出状態の前段に相当する前兆演出状態に移行させ(1)、通常AT演出状態への移行が決定したことの期待度を高める前兆演出を演出制御手段254に実行させる。また、演出状態制御手段224は、AT抽選に非当選であっても、通常演出状態を維持したまま、演出制御手段254に前兆演出を実行させる場合があり、遊技者に、通常AT演出状態への移行が決定しているのではないかと期待させることができる。また、演出状態制御手段224は、通常演出状態において所定の遊技数を消化する度に、AT抽選の当選確率を高めた、所謂、チャンスゾーン(CZ)を複数遊技に亘って実行する。かかるチャンスゾーンにおいてAT抽選に当選した場合も、演出状態制御手段224は、演出状態を前兆演出状態に移行させる(1)。
【0116】
(前兆演出状態)
前兆演出状態は、有利区間に属し、所定遊技数(ここでは、例えば、32遊技以下の所定の遊技数)の間、前兆演出を実行する演出状態である。なお、前兆演出状態において実行される前兆演出(本前兆演出)と、通常演出状態において実行される前兆演出(ガセ前兆演出)とは、表示態様や継続遊技数を類似させている。したがって、遊技者は、前兆演出を視聴するのみでは、いずれの演出状態に滞在しているのか見分けがつかないようになっている。ただし、前兆演出状態において実行される前兆演出は、最終的に、通常AT演出状態への移行が決定された旨の結果が報知される点で、通常演出状態において実行される前兆演出と異なる。したがって、遊技者は、前兆演出において、通常AT演出状態への移行が決定された旨の結果が報知される前兆演出状態であることを望むこととなる。そして、演出状態制御手段224は、前兆演出状態が終了すると、演出状態を必ず通常AT演出状態に移行させる(2)。すなわち、前兆演出が前兆演出状態で実行されている場合、必ず、通常AT演出状態へ移行することとなる。この点で、前兆演出状態は、通常演出状態より遊技者に有利である。また、前兆演出状態への移行が決定することは、その後の通常AT演出状態への移行が決定したことと同義である。
【0117】
(通常AT演出状態)
通常AT演出状態は、有利区間に属し、補助演出が実行される演出状態である。演出状態制御手段224は、通常AT演出状態が開始されると、まず、継続期間決定演出状態に移行し、継続期間決定演出状態において、通常AT演出状態の継続期間(ここでは継続遊技数)を決定する。演出状態制御手段224は、所定の終了条件が成立するまで、例えば、通常AT演出状態に滞在した遊技数が、決定された継続遊技数(例えば、50遊技)に到達するまで、補助演出を継続する。また、演出状態制御手段224は、通常AT演出状態において、当選種別抽選により決定された当選種別に対応した確率で継続遊技数の上乗せ抽選を行う。上乗せ抽選に当選すると、演出状態制御手段224は、終了条件である継続遊技数に当選した遊技数を加算する。こうして通常AT演出状態の終了条件が変化する。そして、演出状態制御手段224は、所定の終了条件を満たすと、演出状態を通常演出状態に移行させる(3)。
【0118】
このように、本実施形態において、遊技者は、通常演出状態に滞在しつつ、通常AT演出状態へ移行することを期待し、前兆演出が開始されると、その前兆演出が本前兆、すなわち、前兆演出状態での前兆演出であることを願うこととなる。ここでは、前兆演出において通常AT演出状態への移行が報知されなかった場合、通常演出状態が継続され、前兆演出において通常AT演出状態への移行が報知されると、前兆演出状態終了後に通常AT演出状態が実行される。
【0119】
なお、通常AT演出状態が終了すると、演出状態制御手段224は、演出状態を通常演出状態に移行させるが(3)、通常AT演出状態を継続させる等の遊技性を実現させるため、演出状態を非有利演出状態に移行させ(4)、有利区間をリセットする場合がある。有利区間がリセットされると、上述したように、有利区間において更新された情報(指示機能に係る性能に影響を及ぼす全ての変数)がクリアされる。ただし、移行時の演出態様によっては、演出状態が通常演出状態に移行したか非有利演出状態に移行したか、遊技者に分からないようにすることができる。
【0120】
(非有利演出状態)
非有利演出状態は、非有利区間に属し、初期状態の演出状態である。演出状態制御手段224は、非有利演出状態において、例えば、毎遊技、約1/2の確率で有利区間への移行を決定し、有利区間への移行が決定されると、演出状態を、必ず、振分演出状態に移行させる(5)。したがって、非有利演出状態での滞在遊技数は短期(数遊技)となることが多い。
【0121】
(振分演出状態)
振分演出状態は、有利区間に属し、非有利区間から有利区間に移行する際に必ず経由し、例えば1遊技のみ滞在する演出状態である。振分演出状態では、演出状態が通常演出状態または前兆演出状態のいずれかに振分けられる。具体的に、演出状態制御手段224は、例えば、7/10の確率で前兆演出状態への移行を決定して演出状態を前兆演出状態へ移行させるか(6)、3/10の確率で通常演出状態への移行を決定して演出状態を通常演出状態に移行させる(7)。このような振分比率とすることで、以下の遊技性を実現できる。すなわち、有利区間においてMYが2400枚に到達する(強制的にリセットされる)前に、有利区間をリセットすると、引き続き7/10の確率で通常AT演出状態を継続することができる。こうして、実質的にMYの上限を撤廃することが可能なる。ただし、かかる振分けの比率は、前兆演出状態:通常演出状態=7:3に限らず、任意に決定することができる。例えば、100%の確率で前兆選出状態に移行させるとしてもよい。
【0122】
仮に、振分演出状態で前兆演出状態が決定された場合、所定遊技数継続される前兆演出状態を経由して(前兆演出を経て)、演出状態が必ず通常AT演出状態に移行されることとなる。また、振分演出状態で前兆演出状態が決定されなかった場合、演出状態は通常演出状態となる。しかし、通常演出状態では、その通常演出状態への経路によってAT抽選の当選確率を異ならせている。例えば、上述したように、演出状態が、通常AT演出状態から、直接、通常演出状態に移行した場合(3)、演出状態制御手段224は、通常AT演出状態から移行した(非有利演出状態から移行していない)通常演出状態において、低確率(例えば、1/4000)でAT抽選を行う。
【0123】
一方、非有利区間から有利区間に移行したことに伴い、演出状態が、非有利演出状態および振分演出状態から通常演出状態に移行した場合(7)、演出状態制御手段224は、非有利区間から移行した通常演出状態において、高確率(例えば、1/8)でAT抽選を行う。したがって、非有利演出状態から移行した(非有利区間を経由した)通常演出状態では、いずれAT抽選に当選することとなる。なお、ここでは、AT抽選の当選確率として低確率(例えば、1/4000)と高確率(例えば、1/8)の2パターンを挙げて説明したが、当選確率に3以上のパターンを設け、非有利演出状態から移行した通常演出状態では、比較的高い当選確率でAT抽選を行うとしてもよい。また、かかる当選確率は1/8や1/4000等に限らず、非有利演出状態から移行した通常演出状態の方が、非有利演出状態から移行していない通常演出状態より通常AT演出状態への移行が決定し易ければ足り、例えば、非有利演出状態から移行した通常演出状態におけるAT抽選の当選確率が、非有利演出状態から移行していない通常演出状態におけるAT抽選の当選確率より高く設定されれば、その当選確率を任意に設定することができる。
【0124】
ただし、演出状態制御手段224は、非有利演出状態から移行した通常演出状態において、AT抽選に当選したとしても、直ちに前兆演出状態に移行させず、振分演出状態が終了してから、例えば、96遊技のブロック期間、通常演出状態に滞在させ、通常AT演出状態への移行を禁止する。具体的に、演出状態制御手段224は、非有利演出状態から移行した通常演出状態においてAT抽選に当選すると本前兆許可フラグをONする。本前兆許可フラグは前兆演出状態への移行可否を示すフラグであり、ONとなることで前兆演出状態への移行が許可される。本前兆許可フラグが一旦ONされると、前兆演出状態に移行するまでON状態が維持されるため、その後にAT抽選に当選しても、本前兆許可フラグはON状態のままである。なお、演出状態制御手段224は、振分演出状態から通常演出状態への移行時に、96遊技以内の遊技数を抽選により決定し、ブロック期間とする。ただし、ブロック期間としては96遊技が選択されることが多くなるように設定されている。
【0125】
演出状態制御手段224は、振分演出状態が終了してからの遊技数をカウントし、ブロック期間の間、本前兆許可フラグがONされたか否かに拘わらず、演出状態を前兆演出状態に移行させない。そして、演出状態制御手段224は、ブロック期間が経過し(ブロック期間に相当する所定遊技数に到達し)、かつ、本前兆許可フラグがONであれば、演出状態を前兆演出状態に移行させ(8)、本前兆許可フラグをリセットする。したがって、非有利演出状態から移行した通常演出状態では、AT抽選に早期に当選したとしても、少なくともブロック期間に相当する96遊技を消化しなければ、前兆演出状態には移行しない。
【0126】
このように、非有利演出状態(非有利区間)を経由すると、遊技者は、以下の特典を得られる。すなわち、7/10の確率で、即座に前兆演出状態に移行し、前兆演出状態を経て、通常AT演出状態に移行し、あるいは、3/10の確率で、通常演出状態に移行し、ブロック期間経過後に前兆演出が実行され、前兆演出状態を経て、通常AT演出状態に移行する。そうすると、非有利演出状態および振分演出状態が終了してから、例えば、0~96遊技経過後に前兆演出が始まり、前兆演出終了後、すなわち、非有利演出状態および振分演出状態が終了してから、例えば、32~128遊技経過後にはほぼ通常AT演出状態へ移行することとなる。このように所定の遊技数の間、高確率でAT抽選に当選することを「天国」や「天国モード」と言う場合がある。したがって、遊技者は、非有利演出状態(非有利区間)への移行、すなわち、有利区間のリセットを望むこととなる。
【0127】
ここでは、非有利演出状態を経由した場合、すなわち、非有利区間から有利区間に移行した場合に、高確率で通常AT演出状態に移行し易い通常演出状態を採用しつつ、ブロック期間を設けることで、その開始契機を、非有利演出状態および振分演出状態が終了してから128遊技経過後に偏らせている。換言すれば、通常AT演出状態が終了して通常演出状態に降格したとしても、128遊技経過するまでは、通常AT演出状態を再度実行する(引き戻す)可能性が高いことになる。したがって、遊技者は、通常AT演出状態の終了後に通常AT演出状態の引き戻しを期待して、遊技を継続することとなるので、スロットマシン100の稼働率の向上を図ることができる。
【0128】
また、演出状態制御手段224は、非有利演出状態から移行した通常演出状態においても、通常AT演出状態から移行した通常演出状態同様、所定の遊技数を消化する度に、AT抽選の当選確率を高めたチャンスゾーンを複数遊技に亘って実行する。かかるチャンスゾーンにおいてAT抽選に当選した場合、上記のブロック期間であるか否かに拘わらず、演出状態制御手段224は、演出状態を前兆演出状態に移行させる。なお、非有利演出状態から移行した通常演出状態では、本来、ブロック期間経過後に前兆演出状態に移行できるはずである。そうすると、自力で通常AT演出状態への移行を決定したことで、代わりに、本来、獲得できたはずの通常AT演出状態が消失することとなり、遊技者の遊技意欲が減退するおそれがある。そこで、非有利演出状態から移行した通常演出状態におけるチャンスゾーンでAT抽選に自力で当選すると、演出状態制御手段224は、その後の通常AT演出状態の終了後に、再度、演出状態を非有利演出状態に移行させる(4)。こうして、遊技者は、非有利演出状態を経由したことの遊技利益を漏れなく受けることが可能となる。また、遊技者は、ブロック期間として選ばれやすい96遊技より前に、チャンスゾーンが開始されることで、チャンスゾーンにおけるAT抽選の当選、すなわち、通常AT演出状態が少なくとも2回実行されることを期待することができる。
【0129】
本実施形態では、上述したように、通常AT演出状態が終了すると、演出状態制御手段224は、演出状態を通常演出状態に直接移行させる場合(3)と、演出状態を非有利演出状態に移行させる場合(4)とがある。ここで、演出状態を非有利演出状態に移行させる条件として、AT抽選において、所定の遊技利益を有する通常AT演出状態への移行に当選したことが挙げられる。例えば、通常AT演出状態には、継続遊技数や、差枚数の上乗せ確率が異なる複数種類の通常AT演出状態がある。そのうちの特定の通常AT演出状態に当選すると、演出状態制御手段224は、通常AT演出状態の終了後、必ず、演出状態を非有利演出状態に移行させる(4)。また、特定の通常AT演出状態に当選しなくとも、演出状態制御手段224は、通常AT演出状態の終了後、所定の確率で、演出状態を非有利演出状態に移行させるとしてもよい(4)。
【0130】
また、本実施形態では、上述したように、通常AT演出状態終了後、通常演出状態においてAT抽選に当選すると、演出状態制御手段224は、演出状態を前兆演出状態に移行させる(1)。ただし、通常AT演出状態に移行することなく、通常演出状態での滞在遊技数が所定遊技数(例えば、1000遊技)に到達した後、通常演出状態においてAT抽選に当選すると、演出状態制御手段224は、最終的に非有利演出状態へ移行させることを決定し、演出状態を前兆演出状態に移行させることなく、前兆演出(ガセ前兆演出)を行って通常AT演出状態へ直接移行していない旨を報知した後に、まず、特別前兆演出状態に移行させる(9)。なお、ここでは、非有利演出状態(非有利区間)への移行を決定する所定の移行条件として、通常演出状態での滞在遊技数が所定遊技数(例えば、1000遊技)に到達した後、通常演出状態においてAT抽選に当選することを挙げて説明したが、かかる場合に限らず、所定の移行条件として、有利区間での滞在遊技数が所定遊技数に到達した後、通常演出状態においてAT抽選に当選することとしてもよい。また、所定の移行条件として、上記に代えて、または、加えて、通常演出状態での滞在遊技数が所定遊技数(例えば、1500遊技)に到達すること(所謂、天井機能)や、チャンスゾーン(CZ)においてAT抽選に当選しなかったことに基づく再度のAT抽選に当選することとしてもよい。
【0131】
(特別前兆演出状態)
特別前兆演出状態は、有利区間に属し、予め定められた所定遊技数(例えば、10遊技)滞在する演出状態であり、特別演出状態抽選を行うとともに、特別演出状態への移行期待度を示す前兆演出を実行する。ここで、特別演出状態抽選は、継続遊技数の上乗せ抽選であり、遊技数が1回以上上乗せされることにより、特別演出状態への移行が決定する。演出状態制御手段224は、当選種別抽選により決定された当選種別に対応した確率で特別演出状態抽選を行う。ここで、特別演出状態抽選は、設定値に応じて、遊技利益が安定して段階的に異なるように設計される。例えば、任意に抽出した2つの設定値において、設定値が高い方が、設定値が低い方より、特別演出状態抽選により遊技数が上乗せされる確率が高く設計される。したがって、例えば、上乗せされる遊技数は、設定1で30遊技、設定6で60遊技となり、設定値が高い方が比較的遊技利益を得やすい遊技性を構成することができる。演出状態制御手段224は、特別演出状態抽選に当選すると、その上乗せされた遊技数の累計(継続遊技数)を特別演出状態の終了条件として設定し、演出状態を特別演出状態に移行させる(10)。また、演出状態制御手段224は、特別演出状態抽選に当選していなければ、演出状態を非有利演出状態に直接移行させる(11)。なお、ここでは、特別演出状態において、継続遊技数を特別演出状態抽選により上乗せする例を挙げて説明したが、かかる場合に限らず、予め定められた継続遊技数を上乗せしてもよいし、当選種別「リーチ目」や当選種別「チェリー」等の、所謂、レア役が当選した場合の抽選により継続遊技数を上乗せしてもよい。また、ここでは、特別演出状態において、継続遊技数を上乗せする例を挙げて説明したが、かかる場合に限らず、獲得枚数(払出枚数)や電子化メダルの投入枚数(ベット枚数)と払出枚数との差である差枚数を上乗せするとしてもよい。
【0132】
(特別演出状態)
特別演出状態は、有利区間に属し、所定の終了条件が成立するまで、補助演出が実行される。かかる終了条件は、例えば、特別演出状態に滞在した遊技数が継続遊技数に到達したことといったように、特別演出状態が開始されるまでに決定された遊技利益の付与が、特別演出状態中に完了することである。例えば、特別前兆演出状態の終了時(特別演出状態の開始時)には、特別前兆演出状態において特別演出状態抽選により継続遊技数が決定されている。そして、特別演出状態において、特別演出状態に滞在した遊技数が継続遊技数に到達すると、終了条件が満たされたとして、特別演出状態は終了する。ここでは、特別演出状態において終了条件が変更されることはなく上乗せ抽選は実行されない。そして、演出状態制御手段224は、所定の終了条件を満たすと、演出状態を非有利演出状態に移行させる(12)。
【0133】
遊技者は、通常演出状態での滞在遊技数が所定遊技数(例えば、1000遊技)を超えた後にAT抽選に当選した場合、特別前兆演出状態を経由して必ず非有利演出状態に移行し(11)、(12)、その結果、通常AT演出状態に移行することができる。
【0134】
なお、特別演出状態、非有利演出状態、振分演出状態を経由した通常演出状態では、通常AT演出状態から直接移行した通常演出状態より、AT抽選の当選確率が高いので、その旨を遊技者が把握できるように、通常AT演出状態へ移行する可能性が高いことを、液晶表示部132に所定の表示を行って示唆する。
【0135】
ただし、通常演出状態において滞在遊技数が所定遊技数(例えば、1000遊技)を超えた後、AT抽選に当選した場合と、所定遊技数より前にAT抽選に当選した場合とで、有利区間がリセットされているものの、通常AT演出状態を1回実行できるという観点では、遊技利益はあまり変わらない。また、後者では、前兆演出状態の終了後、すなわち32遊技以内に通常AT演出状態が開始されるが、前者では、さらにブロック期間の経過を待って通常AT演出状態が開始されることがある。そうすると、通常AT演出状態に移行するまで、通常演出状態において電子化メダルを消費してしまう点で、前者の方が遊技利益が小さいとも言える。そこで、通常演出状態での滞在遊技数が所定遊技数を超えた後にAT抽選に当選した場合には、特別前兆演出状態に移行し、特別演出状態抽選を実行させるとともに、それに当選すると、特別演出状態によって追加的に遊技利益を与える。こうして、通常演出状態での滞在遊技数が所定遊技数を超えた後にAT抽選に当選した場合の方が、滞在遊技数が所定遊技数に至っていない間にAT抽選に当選した場合より遊技利益が大きくなり、遊技者は納得感を得られる。したがって、遊技者は、通常演出状態での滞在遊技数が多くなると、遊技利益が大きくなることを期待でき、遊技を継続することとなる。こうして、スロットマシン100の稼働率の向上を図ることができる。
【0136】
ここで実行される特別演出状態では、上述したように、設定値が高い方が安定的に遊技利益を得やすいようになっている。また、特別演出状態が開始されるまでに決定された遊技利益のみが特別演出状態で付与され、特別演出状態中において遊技利益は追加(上乗せ)されない。したがって、特別演出状態では、設定値に応じて期待獲得枚数の変動幅を抑えることができる。そうすると、通常AT演出状態の期待獲得枚数の設計値を上げることが可能となる。
【0137】
また、特別演出状態は、通常演出状態での滞在遊技数が所定遊技数を超えた後に移行するので、通常AT演出状態に比べ、その回数が変動しにくく、安定した頻度で実行されることになる。そうすると、仮に、通常AT演出状態における期待獲得枚数の変動幅が大きくなったとしても、かかる特別演出状態で、その変動を吸収し、設定値に応じて期待獲得枚数の変動幅をさらに抑えつつ、通常AT演出状態の期待獲得枚数の設計値を上げることが可能となる。
【0138】
また、通常AT演出状態の終了後に通常演出状態に直接移行し(3)、通常AT演出状態に移行することなく、通常演出状態での滞在遊技数が所定遊技数(例えば、1500遊技)に到達すると、演出状態制御手段224は、有利区間をリセットして、演出状態を非有利演出状態に移行させる(13)。そうすると、上記のように、非有利演出状態および振分演出状態の終了後、例えば、0~96遊技経過後に前兆演出が始まり、前兆演出終了後、すなわち、非有利演出状態および振分演出状態が終了してから、例えば、32~128遊技経過後にはほぼ通常AT演出状態へ移行することができる。したがって、通常演出状態において通常AT演出状態に移行することなく遊技を継続すると、所定遊技数(例えば、1628遊技)以内には、通常AT演出状態に移行することとなる。かかる天井機能により、遊技者は、運悪く電子化メダルの消費が多くなったとしても救済措置を受けることができる安心感を得ることができる。また、通常演出状態をある程度消化すると、遊技を継続した場合の期待獲得枚数が高まり、天井(例えば1628遊技)まで遊技を継続することとなるので、スロットマシン100の稼働率の向上を図ることができる。
【0139】
なお、このような天井機能における所定遊技数(例えば、96~1628遊技)は、以下のタイミングで決定される。例えば、通常AT演出状態から、直接、通常演出状態に移行する場合(3)、演出状態制御手段224は、通常AT演出状態から通常演出状態への移行時に、通常演出状態における天井機能の所定遊技数(例えば、96~1628遊技)を決定する。また、非有利演出状態および振分演出状態を経由して通常演出状態に移行する場合(7)、演出状態制御手段224は、振分演出状態から通常演出状態への移行時に、通常演出状態における天井機能の所定遊技数(例えば、96~1628遊技)を決定する。ただし、通常AT演出状態から通常演出状態へ移行する場合と異なり、非有利演出状態および振分演出状態を経由して通常演出状態へ移行する場合では、高確率でAT抽選に当選するので、ブロック期間の経過を待って前兆演出状態に移行することが多く、天井機能が実行されることはほとんどない。
【0140】
また、上述した実施形態では、通常演出状態におけるAT抽選の当選確率として、非有利演出状態から通常演出状態に移行した場合、高確率(例えば、1/8)となり、通常AT演出状態から通常演出状態に直接移行した場合、低確率(例えば、1/4000)となる例を挙げて説明したが、かかる場合に限らず、例えば、通常AT演出状態から通常演出状態に直接移行した場合、通常演出状態開始時のAT抽選の当選確率は低確率だが、昇格抽選により高確率に移行する場合があるとしてもよく、さらに、降格抽選により低確率に移行する場合があるとしてもよい。また、通常AT演出状態から通常演出状態に直接移行した場合に、抽選に当選する等、所定の条件を満たすことで、通常演出状態開始時からAT抽選の当選確率が高確率となることもある。
【0141】
(音出力態様)
ところで、演出制御手段254は、遊技の進行に応じて、ベットスイッチ116、スタートスイッチ118、ストップスイッチ120等の操作手段の操作に基づく操作音を、スピーカ134を通じて出力する。具体的に、演出制御手段254は、電子化メダルの投入時や、ベットスイッチ116の操作時に、賭け数(投入枚数)の設定を示す設定音(投入を示す投入音)を出力し、スタートスイッチ118の操作時に、リール110の回転待機を示す待機音(ウェイト音)を出力し、また、リール110の回転開始を示す開始音を出力し、各ストップスイッチ120の操作時に、ストップスイッチ120それぞれに対応するリール110の回転停止を示す停止音を出力し、全てのストップスイッチ120の操作完了に応じた電子化メダルの払出時に(全てのストップスイッチ120のOFFにより)、所定の当選役が入賞したことを示す入賞音(払出音)を出力する。なお、ベットスイッチ116、スタートスイッチ118、ストップスイッチ120に関しては、スイッチがON(操作)されると、OFFからONとなったONエッジが検出され、ONエッジに応じて各スイッチに対応する処理(例えば操作音の出力)が有効に実行される。また、ストップスイッチ120の第3停止操作に関しては、スイッチがOFF(操作が解除)されると、ONからOFFとなったOFFエッジが検出され、OFFエッジに応じて所定の処理(例えば、入賞音の出力)が有効に実行される。演出制御手段254は、第1に設定音、第2に待機音、第3に開始音、第4に停止音、第5に入賞音、の順番に音を出力するようになっている。このような遊技の基本動作に関する設定音、待機音、開始音、停止音、入賞音は、遊技進行に伴うシステム系の音として演出音やBGM音と区別して管理されている。なお、演出制御手段254は、電子化メダルの払い出しがなかった場合、すなわち、小役が入賞しなかった場合、ボーナス役、リプレイ役の入賞および非当選に応じて、入賞音と異なるシステム音を出力することができる。
【0142】
ここで、音声データに基づく音の出力について詳述する。上述したように、演出制御手段254が抽選により音声データを決定すると、演出制御手段254は、決定された音声データを音声回路240fに送信することで、その音声データに基づく音をスピーカ134から出力させる。
【0143】
かかる音声回路240fでは、アクセスコード(SAC:Simple Access Code)それぞれに割り当てられた記憶領域に、FM音色データやADPCM音データ等の複数の音声データを記憶することができる。また、音声回路240fは、サブCPU240aからアクセスコードを示すコマンドを受信し、そのコマンドに従い、アクセスコードによって特定される音声データをレイヤに割り当て、スピーカ134を通じて適切な音量で出力することができる。さらに、音声回路240fは、このようなアクセスコードが複数指定された場合、複数のアクセスコードに対応する音声データをそれぞれ異なるレイヤ(トラック)に割り当てることができる。音声回路240fは、レイヤに音声データを割り当てたタイミングから音の出力を開始し、音声データに予め定められている出力時間に到達すると音の出力を完了する。また、音声回路240fは、同一のレイヤに音声データを割り当てると、それまでに出力していた音声データの出力を終了する。
【0144】
図12は、音声回路240fに設けられたレイヤについて説明する説明図である。音声回路240fでは、各アクセスコードに対応する音声データを読み出し、音声回路240f自体に設けられたレイヤに割り当てる。このとき音声回路240fには複数のレイヤが設けられ、音声データはそのうちの1のレイヤに割り当てられることとなる。レイヤは、例えば、システム、BGM、演出(SE(Sound Effect))、演出(VO(Voice))、複合、補助演出(VO)、補助演出(SE)等の複数のレイヤ種別に分けられ、さらに、レイヤ種別毎に1または複数のレイヤが対応付けられている。ここで、システムは、遊技の進行に伴う確認音を言う。BGMは、背景で比較的長時間維持される背景音楽である。演出(SE)および演出(VO)は、主として演出に連動して発せられる音声である。補助演出(VO)および補助演出(SE)は、補助演出に伴う効果音を示す。
【0145】
ここでは、図12に示すように、システム、BGM、演出(SE)、演出(VO)、補助演出(VO)、補助演出(SE)の6つのレイヤ種別に関する10個のレイヤを挙げて説明する。例えば、レイヤ0、1にはシステム音声、レイヤ2、3にはBGM音声、レイヤ5~7には演出(SE)、レイヤ8には演出(VO)、レイヤ14には補助演出(VO)、レイヤ15には補助演出(SE)が割り当てられている。
【0146】
遊技の進行に基づく各契機において、図12のように、各レイヤに様々な音声データが割り当てられる。例えば、投入手段による電子化メダルの投入、すなわち、ベットスイッチ116の操作を通じてメダル保持部に保持されている遊技メダル数から電子化メダルを投入、または、リプレイ役の入賞に基づく電子化メダルの自動投入が行われると、演出制御手段254は、音声回路240fのレイヤ0に設定音を割り当てる。また、遊技者によってスタートスイッチ118が操作されると、演出制御手段254は、音声回路240fのレイヤ1に待機音を割り当てる。また、スタートスイッチ118の操作に応じてリール110が回転開始すると、演出制御手段254は、音声回路240fのレイヤ1に開始音を割り当てる。また、遊技者によってストップスイッチ120が第1停止操作されると、演出制御手段254は、その停止操作の開始時に、音声回路240fのレイヤ0に停止音を割り当てる。また、遊技者によってストップスイッチ120が第2停止操作されると、演出制御手段254は、その停止操作の開始時に、音声回路240fのレイヤ0に停止音を割り当てる。また、遊技者によってストップスイッチ120が第3停止操作されると、演出制御手段254は、その停止操作の開始時に、音声回路240fのレイヤ0に停止音を割り当てる。また、遊技者によってストップスイッチ120の第3停止操作が解除され、かつ、判定手段218が電子化メダルの払い出しを伴う当選役が入賞したと判定すると、演出制御手段254は、その停止操作の解除時に、音声回路240fのレイヤ1に入賞音を割り当てる。なお、遊技の進行に基づく各契機において、必ずしもレイヤ0またはレイヤ1に音声データが割り当てられるとは限らない。例えば、非AT演出状態において、遊技者によってスタートスイッチ118が操作されると、演出制御手段254は、音声回路240fのレイヤ1に待機音を割り当てるが、AT演出状態においては、音声回路240fのレイヤ1に待機音を割り当てない。また、演出制御手段254は、待機音を割り当てない代わりに、待機音は割り当てるがその音量を0としてもよい。かかる構成により、遊技者は、後述する1番目補助ボイスや1番目補助エフェクトといったAT演出状態特有の音を聴き取り易くなり、演出効果の向上を図ることが可能となる。
【0147】
なお、上述したように、通常演出状態等の非AT演出状態では、スイッチの操作や払出等の各契機に応じて、設定音、待機音、開始音、停止音、入賞音が、その順に出力される。それぞれの音の大きさ(音量)の関係は、入賞音>開始音>停止音>設定音>待機音となるように設定されている。ここでは、リール110の回転が開始する前の設定音や待機音より、リール110の回転が開始した後の開始音、停止音、入賞音を大きくし、1遊技において、その開始から終了に向けて演出効果を徐々に高めることで、遊技者の遊技意欲を向上させることが可能となる。また、リール110の回転が開始する前において、設定音>待機音とすることで、遊技が開始されたことを遊技者に強調することが可能となる。また、リール110の回転が開始した後において、入賞音>開始音>停止音とすることで、リール110が回転開始したことを遊技者に強調しつつ、電子化メダルの払い出しを伴う当選役が入賞したことや、所謂、レア役が入賞したことを、さらに大きな音で強調することができる。こうして、遊技者が利益を獲得したことを盛り立て、遊技者をより効果的に高揚させることが可能となる。
【0148】
AT演出状態においては、上記のレイヤ0、1に加え、レイヤ14、15に、補助演出に伴う効果音を割り当てる。例えば、遊技者によってスタートスイッチ118が操作されると、演出制御手段254は、音声回路240fのレイヤ14に1番目補助ボイスを割り当てるとともに、レイヤ15に1番目補助エフェクトを割り当てる。ここで、1番目補助ボイス、および、後述する2番目補助ボイス、3番目補助ボイスは、操作すべきストップスイッチ120を示す、または、操作すべきストップスイッチ120が配置された位置を示す演出音であり、例えば、ストップスイッチ120a、120b、120c同士の位置関係である「左」、「中」、「右」の音声である。また、1番目補助エフェクトは、スタートスイッチ118が操作されたことを示す演出音であり、例えば、「ピロンッ」といった音である。なお、上述したように、AT演出状態においては、スタートスイッチ118が操作されたとしても、レイヤ1に待機音が割り当てられない。遊技者によってストップスイッチ120が第1停止操作されると、演出制御手段254は、その第1停止操作の開始時に、音声回路240fのレイヤ14に2番目補助ボイスを割り当てるとともに、レイヤ15に2番目補助エフェクトを割り当てる。ここで、レイヤ15に割り当てられる2番目補助エフェクトは、ストップスイッチ120が操作されたことを示す演出音である。ここで、ストップスイッチ120が第1停止操作、または、第2停止操作された場合の2番目補助エフェクト、3番目補助エフェクトは、例えば、「ドン」といった短い音であり、ストップスイッチ120が第3停止操作された場合の4番目補助エフェクトは、例えば、「ドーン」といった長い音である。また、遊技者によってストップスイッチ120が第2停止操作されると、演出制御手段254は、その停止操作の開始時に、音声回路240fのレイヤ14に3番目補助ボイスを割り当てるとともに、レイヤ15に3番目補助エフェクトを割り当てる。また、遊技者によってストップスイッチ120が第3停止操作されると、演出制御手段254は、その停止操作の開始時に、レイヤ15に4番目補助エフェクトを割り当てる。なお、ストップスイッチ120が第3停止操作されたタイミングでは、さらに操作するストップスイッチ120がないので、操作すべきストップスイッチ120を示す補助ボイスは割り当てられない。また、遊技者によってストップスイッチ120の第3停止操作が解除され、かつ、判定手段218が電子化メダルの払い出しを伴う当選役が入賞したと判定すると、演出制御手段254は、その第3停止操作の解除時に、音声回路240fのレイヤ14に4番目補助ボイスを割り当てる。ここで、4番目補助ボイスは、当選役の入賞結果を報知する音であり、例えば、遊技者が補助演出に従ってストップスイッチ120を操作し正解役が入賞したことを報知する「やるじゃない」といった音声である。
【0149】
また、AT演出状態であるか否かに拘わらず、遊技の進行に基づく各契機において、演出制御手段254は、システムのレイヤ0、1に加え、音声回路240fのレイヤ2に背景BGMを割り当てたり、レイヤ3に演出BGMを割り当てたり、レイヤ5~7に演出SEを割り当てたり、レイヤ8に演出VOを割り当てる場合がある。例えば、当選領域33~36の当選種別に当選したときに、遊技者によるストップスイッチ120の操作(第1停止操作、第2停止操作)に応じ、2つのリール110に関して無効ラインB1上に図柄「白7」が直線的に表示されると、演出制御手段254は、第2停止操作の開始時に、音声回路240fのレイヤ0に停止音を割り当てるとともに、レイヤ5やレイヤ8に、停止音と異なる演出音(例えば、テンパイ音)を割り当て、ストップスイッチ120の操作に対する演出効果を高める。
【0150】
ここで、音声回路240fにおける複数のレイヤは、以下のような特性を有している。まず、異なるレイヤに割り当てられた音声は全て並行して出力される。音の出力に関しては、上記のように複数のレイヤの音声データを並行して同時に出力することができるので、レイヤ間に優先順位はない。したがって、レイヤ2に背景BGMが割り当てられているときに、レイヤ0に停止音が割り当てられ、レイヤ14に2番目補助ボイスが割り当てられ、レイヤ15に2番目補助エフェクトが割り当てられたとしても、いずれの音声も並行して出力されることとなる。遊技者は、複数のレイヤそれぞれに割り当てられた音声データに基づく音を、同時に聴くことができる。
【0151】
一方、同一のレイヤには1の音声データしか割り当てることができない。したがって、例えば、レイヤ2において既に背景BGMが割り当てられているときに、新たに他の背景BGMを割り当てようとすると、背景BGMが上書きされ、上書きされる前の背景BGMは中断されることとなる。
【0152】
したがって、演出音を1のレイヤで単純に管理すると、所定の音の出力が完了する前に他の音の出力が開始され、所定の音が途中で遮られるおそれがある。一方、複数の音を単純に複数のレイヤに振り分けると、不要に音が重なり、遊技者がそれぞれの音を聴き取り難くなるおそれがある。そこで、演出音の出力態様を適切に管理し、遊技者の遊技意欲を向上させる。
【0153】
ところで、このように遊技が進行し、電子化メダルを獲得すると、遊技者は、獲得した電子化メダルを計数する場合がある。遊技者は、計数スイッチ126の押下時間を調整し、「短押し」、「長押し」等の操作を選択的に実行する。また、計数スイッチ126が操作されると、メダル数制御基板260のコマンド送受信手段272は、計数スイッチ126が操作された旨の情報を主制御基板200に送信し、主制御基板200のコマンド送受信手段226は、計数スイッチ126が操作された旨の情報を副制御基板240に送信する。こうして、副制御基板240の演出制御手段254は、計数スイッチ126の操作に応じ、計数処理が行われていることを、液晶表示部132に表示するとともに、計数処理が行われていることを示す計数音をスピーカ134から出力する。
【0154】
このような計数音には、計数処理が実行されている間に継続的に出力される計数更新音、例えば、「プルルン」といった音と、計数処理が完了した後に出力される計数完了音、例えば、「お疲れ様です」といった音声とがある。ここで、それぞれの音の大きさ(音量)の関係は、計数完了音>計数更新音となるように設定されている。ここでは、計数完了音を計数更新音より大きくすることで、計数処理が終了したこと、ひいては、遊技が終了したこと、もしくは、遊技が一段落したことを遊技者に強調することが可能となる。
【0155】
また、計数完了音と、上述した設定音、待機音、開始音、停止音、入賞音との音の大きさ(音量)の関係は、例えば、計数完了音>停止音>設定音>待機音となるように設定してもよい。また、計数完了音>開始音>停止音>設定音>待機音となるように設定してもよい。さらに、計数完了音>入賞音>開始音>停止音>設定音>待機音となるように設定してもよい。上記の設定音、待機音、開始音、停止音は、1遊技中の演出音に過ぎず、電子化メダルの払い出しを伴う当選役が入賞したことを示す入賞音でさえ、1遊技の結果を示す演出音に過ぎない。これに対し、計数完了音は、計数処理の完了、ひいては、遊技者の遊技の最終的な遊技利益の確定といった大きな節目を示す。ここでは、例えば、計数完了音>入賞音>開始音>停止音>設定音>待機音とすることで、計数処理が終了したこと、ひいては、遊技が終了したこと、もしくは、遊技が一段落したことを遊技者に強調することができる。なお、一般的に、遊技者は、遊技メダル数が少ない間は計数処理を行わず、遊技メダル数がある程度多くなった場合に計数処理を実行する。換言すれば、計数処理が行われたということは、計数処理が行われたスロットマシン100において、ある程度遊技利益が得られていることを示す指標となる。ここでは、計数完了音>入賞音>開始音>停止音>設定音>待機音とすることで、そのスロットマシン100で計数処理が行われたことを周囲に強調することができ、他の遊技者は、多くの遊技利益を得ている可能性があるスロットマシン100を容易に把握する(そのスロットマシン100での遊技を検討する)ことが可能となる。
【0156】
なお、上述したように、遊技が可能な間に計数スイッチ126が操作された場合、必ず計数処理が実行される。したがって、遊技状態が非内部遊技状態、RBB内部中遊技状態、RBB作動中遊技状態のいずれであるかに拘わらず、または、演出状態が、通常演出状態、前兆演出状態、通常AT演出状態、振分演出状態、特別前兆演出状態、特別演出状態、非有利演出状態のいずれであるかに拘わらず、遊技者は、計数処理を実行することができる。ただし、このような遊技状態や演出状態が異なる場合であっても、計数音(計数更新音、計数完了音)の大きさ(音量)は同一となるように設定されている。したがって、遊技者が、通常演出状態において計数スイッチ126を操作した場合であっても、通常AT演出状態において計数スイッチ126を操作した場合であっても、同一の大きさで計数音を聴くことになる。また、遊技者は、エラーが生じた状態下であっても、計数処理を実行することができる。ただし、上記同様、エラーが生じた場合であっても、計数音(計数更新音、計数完了音)の大きさ(音量)は、エラーが生じていない場合と同一となるように設定されている。したがって、ドア開放エラー(エラーコード「E8」)や打ち止めエラー(エラーコード「Ey」)等のエラーが生じている状況下で、遊技者が、計数スイッチ126を操作した場合であっても、エラー生じていない状況下で計数スイッチ126を操作した場合と同一の大きさで計数音を聴くことになる。このように、遊技の状態(遊技状態や演出状態)やエラーの有無に応じて、計数音の大きさを変化させないようにすることで、遊技者や管理者が計数音の大きさの違いに違和感を覚えるのを防止することが可能となる。
【0157】
図13は、非AT演出状態における音の切り換えを説明するためのタイミングチャートである。ここでは、特に、レイヤ0、1の音の切り換えについて説明する。例えば、投入手段による電子化メダルの投入が行われると、レイヤ0には設定音が割り当てられる。続いて、遊技者によってスタートスイッチ118が操作されると、レイヤ1には待機音が割り当てられる。続いて、スタートスイッチ118の操作に応じてリール110が回転開始すると、レイヤ1に開始音が割り当てられる。続いて、ストップスイッチ120が第1停止操作されると、レイヤ0に停止音が割り当てられる。続いて、ストップスイッチ120が第2停止操作されると、レイヤ0に停止音が割り当てられる。続いて、ストップスイッチ120が第3停止操作されると、レイヤ0に停止音が割り当てられる。続いて、電子化メダルの払い出しを伴う当選役が入賞し、ストップスイッチ120の第3停止操作が解除されると、レイヤ1に入賞音が割り当てられる。
【0158】
ここでは、設定音と各停止音とが同一のレイヤ0に割り当てられている。したがって、レイヤ0において既に停止音が割り当てられているときに、他のストップスイッチ120が操作されると、そのストップスイッチ120の操作に基づく停止音が上書きされ、上書きされる前の停止音は中断されることとなる。そうすると、停止音同士を、タイミングを異にして排他的に出力することができる。こうすることで、ストップスイッチ120の操作という意味で性質が等しい停止音同士が重なって、煩わしく聞こえるのを効果的に防止することが可能となる。また、同一のレイヤ0に割り当てられているが、設定音と停止音との間には少なくともウェイト時間を含み、両者が重なることはない。したがって、遊技者は、電子化メダルの投入、および、ストップスイッチ120の操作が受け付けられたことを、聴覚を通じて適切に把握できる。このように、出力契機のタイミングが離隔している音声データを同一のレイヤに割り当てることで、レイヤ数の増加を防止することが可能となる。
【0159】
また、ここでは、待機音と、開始音と、入賞音とが同一のレイヤ1に割り当てられている。したがって、レイヤ1において既に待機音が割り当てられているときに、リール110が回転開始されると、開始音が上書きされ、上書きされる前の待機音は中断されることとなる。そうすると、待機音と開始音とをタイミングを異にして排他的に出力することができる。こうすることで、遊技の開始という意味で性質の似ている待機音と開始音とが重なって、煩わしく聞こえるのを効果的に防止することが可能となる。なお、遊技者が、後述する、所謂、フルウェイトで遊技を行っていないと、スタートスイッチ118の操作に応じて即座にリール110が回転開始することとなる。その場合、待機音の開始直後に開始音が開始するため、待機音が短時間しか出力されず、遊技者は、待機音を意識することなく遊技を継続することができる。また、同一のレイヤ1に割り当てられているが、開始音と入賞音との間には、少なくともウェイト時間や遊技者のストップスイッチ120の操作時間等を含み、両者が重なることはない。したがって、遊技者は、リール110が回転開始されたこと、および、ストップスイッチ120の操作が受け付けられたことを、聴覚を通じて適切に把握できる。このように、出力契機のタイミングが離隔している音声データを同一のレイヤに割り当てることで、レイヤ数の増加を防止することが可能となる。
【0160】
また、ここでは、設定音がレイヤ0に割り当てられ、待機音および開始音がレイヤ1に割り当てられる。したがって、設定音の出力が完了する前に、仮に、待機音や開始音の出力が開始されたとしても、設定音が待機音や開始音に上書きされることはなく、設定音と、待機音とを同時に出力することができ、遊技者は、電子化メダルの投入、および、スタートスイッチ118の操作が受け付けられたことを、聴覚を通じて適切に把握できる。また、ここでは、開始音がレイヤ1に割り当てられ、停止音がレイヤ0に割り当てられる。したがって、例えば、演出として開始音をリール回転開始から遅らせる等の演出(所謂、遅れ)が行われ、開始音の出力が完了する前に、停止音の出力が開始されたとしても、開始音が停止音に上書きされることはなく、開始音と停止音とを同時に出力することができ、遊技者は、リール110が回転開始されたこと、および、ストップスイッチ120の操作が受け付けられたことを、聴覚を通じて適切に把握できる。また、ここでは、停止音がレイヤ0に割り当てられ、入賞音がレイヤ1に割り当てられる。したがって、停止音の出力が完了する前に、入賞音の出力が開始されたとしても、停止音が入賞音に上書きされることはなく、停止音と入賞音とを同時に出力することができ、遊技者は、ストップスイッチ120が受け付けられ、かつ、電子化メダルの払い出しがあったことを、聴覚を通じて適切に把握できる。
【0161】
図14図16は、AT演出状態における音の切り換えを説明するためのタイミングチャートである。レイヤ0、1の音の切り換えについては、待機音が出力されない点を除いて図13と等しいので、その詳細な説明を省略し、ここでは、特に、レイヤ14、15の音の切り換えについて説明する。例えば、遊技者によってスタートスイッチ118が操作されると、レイヤ14に1番目補助ボイスが割り当てられ、レイヤ15に1番目補助エフェクトが割り当てられる。続いて、1番目補助ボイスに従い、遊技者によってストップスイッチ120が第1停止操作されると、レイヤ14に2番目補助ボイスが割り当てられ、レイヤ15に2番目補助エフェクトが割り当てられる。続いて、2番目補助ボイスに従い、遊技者によってストップスイッチ120が第2停止操作されると、レイヤ14に3番目補助ボイスが割り当てられ、レイヤ15に3番目補助エフェクトが割り当てられる。続いて、3番目補助ボイスに従い、遊技者によってストップスイッチ120が第3停止操作されると、レイヤ15に4番目補助エフェクトが割り当てられる。続いて、遊技者によってストップスイッチ120の第3停止操作が解除され、かつ、判定手段218が電子化メダルの払い出しを伴う当選役が入賞したと判定すると、レイヤ14に4番目補助ボイスが割り当てられる。
【0162】
ここでは、1番目補助ボイスと、2番目補助ボイスと、3番目補助ボイスと、4番目補助ボイスとが同一のレイヤ14に割り当てられている。したがって、レイヤ14において既に補助ボイスが割り当てられているときに、他のストップスイッチ120が操作されると、そのストップスイッチ120の操作に基づく補助ボイスが上書きされ、上書きされる前の補助ボイスは中断されることとなる。そうすると、補助ボイス同士を、タイミングを異にして排他的に出力することができる。また、ここでは、1番目補助エフェクトと、2番目補助エフェクトと、3番目補助エフェクトと、4番目補助エフェクトとが同一のレイヤ15に割り当てられている。したがって、レイヤ15において既に補助エフェクトが割り当てられているときに、他のストップスイッチ120が操作されると、そのストップスイッチ120の操作に基づく補助エフェクトが上書きされ、上書きされる前の補助エフェクトは中断されることとなる。そうすると、補助エフェクト同士を、タイミングを異にして排他的に出力することができる。
【0163】
例えば、図15(a)に示すように、遊技者によってストップスイッチ120が第1停止操作され、レイヤ14に2番目補助ボイスが割り当てられ、レイヤ15に2番目補助エフェクトが割り当てられた後、2番目補助ボイスや2番目補助エフェクトの出力が完了する前に、遊技者によってストップスイッチ120が第2停止操作されると、すなわち、ストップスイッチ120が第1停止操作されてからストップスイッチ120が第2停止操作されるまでの時間が、所定時間(2番目補助ボイスと2番目補助エフェクトのいずれか一方の出力が終わるまでの時間)に満たなかった場合、レイヤ14では2番目補助ボイスが3番目補助ボイスに上書きされ(変換され)、レイヤ15では2番目補助エフェクトが3番目補助エフェクトに上書きされ(変換され)、上書きされる前の2番目補助ボイスおよび2番目補助エフェクトは中断されることとなる。こうすることで、ストップスイッチ120の操作結果という意味で性質が等しい補助ボイス同士および補助エフェクト同士が重なって、煩わしく聞こえるのを効果的に防止することが可能となる。
【0164】
また、図15(b)に示すように、遊技者によってストップスイッチ120が第2停止操作され、レイヤ14に3番目補助ボイスが割り当てられ、レイヤ15に3番目補助エフェクトが割り当てられた後、3番目補助ボイスや3番目補助エフェクトの出力が完了する前に、遊技者によってストップスイッチ120が第3停止操作されると、すなわち、ストップスイッチ120が第2停止操作されてからストップスイッチ120が第3停止操作されるまでの時間が、所定時間(3番目補助エフェクトの出力が終わるまでの時間)に満たなかった場合、レイヤ15では3番目補助エフェクトが4番目補助エフェクトに上書きされ、上書きされる前の3番目補助エフェクトは中断されることとなる。こうすることで、ストップスイッチ120の操作という意味で性質が等しい補助エフェクト同士が重なって、煩わしく聞こえるのを効果的に防止することが可能となる。ただし、遊技者によるストップスイッチ120の第3停止操作開始では、レイヤ14には音が上書きされないので、3番目補助ボイスは継続して出力される。
【0165】
また、図16(a)に示すように、遊技者によってストップスイッチ120が第3停止操作され、レイヤ15に4番目補助エフェクトが割り当てられた後、4番目補助エフェクトが完了する前に、遊技者によるストップスイッチ120の第3停止操作が解除されると、すなわち、ストップスイッチ120が第3停止操作されてからストップスイッチ120の第3停止操作が解除されるまでの時間が、所定時間(4番目補助エフェクトの出力が終わるまでの時間)に満たなかった場合、レイヤ14では4番目補助ボイスが出力される。ここで、レイヤ15では新たな音が上書きされないので、4番目補助エフェクトは継続して出力される。したがって、4番目補助エフェクトの出力が完了する前に、4番目補助ボイスの出力が開始されたとしても、4番目補助エフェクトが4番目補助ボイスに上書きされることはなく、4番目補助エフェクトと4番目補助ボイスとを同時に出力することができ、遊技者は、ストップスイッチ120の操作が受け付けられ、かつ、電子化メダルの払い出しがあったことを、聴覚を通じて適切に把握できる。
【0166】
また、図16(b)に示すように、遊技者によってストップスイッチ120が第2停止操作され、レイヤ14に3番目補助ボイスが割り当てられ、レイヤ15に3番目補助エフェクトが割り当てられた後、3番目補助ボイスが完了する前に、遊技者によるストップスイッチ120が第3停止操作され、かつ、解除されると、すなわち、ストップスイッチ120が第2停止操作されてからストップスイッチ120の第3停止操作が解除されるまでの時間が、所定時間(3番目補助エフェクトと3番目補助ボイスのいずれか一方の出力が終わるまでの時間)に満たなかった場合、まず、遊技者によるストップスイッチ120の第3停止操作開始に応じてレイヤ15では4番目補助エフェクトが上書きされ、上書きされる前の3番目補助エフェクトは中断される。続いて、遊技者によるストップスイッチ120の第3停止操作解除に応じてレイヤ14では3番目補助ボイスが4番目補助ボイスに上書きされ、上書きされる前の3番目補助ボイスは中断されることとなる。こうすることで、ストップスイッチ120の操作結果という意味で性質が等しい補助エフェクト同士や補助ボイス同士とが重なって、煩わしく聞こえるのを効果的に防止することが可能となる。また、遊技者が利益を得たことを示す4番目補助ボイスを遊技者に適切に報知することができる。
【0167】
ただし、1番目補助ボイスと2番目補助ボイスとの間、および、1番目補助エフェクトと2番目補助エフェクトとの間には少なくともウェイト時間を含み、両者が重なることはない。したがって、遊技者は、スタートスイッチ118の操作、および、ストップスイッチ120の操作が受け付けられたことを、聴覚を通じて適切に把握できる。このように、出力契機のタイミングが離隔している音声データを同一のレイヤに割り当てることで、レイヤ数の増加を防止することが可能となる。
【0168】
また、1番目補助ボイス、2番目補助ボイス、3番目補助ボイス、4番目補助ボイスそれぞれは、1番目補助エフェクト、2番目補助エフェクト、3番目補助エフェクト、4番目補助エフェクトそれぞれと対応し、前者と後者とは異なるレイヤに割り当てられている。したがって、例えば、2番目補助ボイスと2番目補助エフェクトとが同時に出力されたとしても、遊技者は、両方の音を聴き取ることができるので、第2停止操作すべきストップスイッチ120の報知があったこと、および、ストップスイッチ120の操作が受け付けられたことを、聴覚を通じて適切に把握できる。
【0169】
なお、ここでは、1番目補助ボイスと1番目補助エフェクトとが対応し、1番目補助ボイスと1番目補助エフェクトとはそれぞれ異なるレイヤに割り当てられているので、遊技者が両方の音を聴き取れることを説明した。しかし、1番目補助ボイスと1番目補助エフェクトとは、いずれもスタートスイッチ118を契機として開始されているものの、厳密には、1番目補助ボイスの開始タイミングは、1番目補助エフェクトの開始タイミングより、例えば、2フレーム程度遅くなるように設定されている。したがって、遊技者は、まず、1番目補助エフェクト、例えば、「ピロンッ」といった音を聴き取った後、第1停止操作すべきストップスイッチ120の位置を示す1番目補助ボイス、例えば、「中(なか)」を聴くことになる。このように、スタートスイッチ118の操作に応じて、1番目補助ボイスと1番目補助エフェクトとをいずれも出力しつつ、その開始タイミングを異ならせることで、遊技者は、スタートスイッチ118が操作されたことを把握しつつ、第1停止操作すべきストップスイッチ120の位置を明確に認識することができる。このような音の出力態様により、1番目補助ボイスは、補助演出を補う音声としての役割を適切に発揮することが可能となる。
【0170】
また、AT演出状態において、2番目補助エフェクトは、ストップスイッチ120の第1停止操作に応じた停止音と対応し、それぞれ異なるレイヤに割り当てられている。また、3番目補助エフェクトは、ストップスイッチ120の第2停止操作に応じた停止音と対応し、それぞれ異なるレイヤに割り当てられている。また、4番目補助エフェクトは、ストップスイッチ120の第3停止操作に応じた停止音と対応し、それぞれ異なるレイヤに割り当てられている。また、4番目補助ボイスは、ストップスイッチ120の第3停止操作解除に応じた入賞音と対応し、それぞれ異なるレイヤに割り当てられている。したがって、例えば、4番目補助ボイスと入賞音とが同時に出力されたとしても、遊技者は、両方の音を聴き取ることができるので、所定の当選役が入賞したこと、および、当選役の入賞結果を、聴覚を通じて適切に把握できる。
【0171】
なお、ここでは、4番目補助ボイスと入賞音とが対応し、4番目補助ボイスと入賞音とはそれぞれ異なるレイヤに割り当てられているので、遊技者が両方の音を聴き取れることを説明した。しかし、4番目補助ボイスと入賞音とは、いずれもストップスイッチ120の第3停止操作解除を契機として開始されているものの、厳密には、4番目補助ボイスの開始タイミングは、入賞音の開始タイミングより、例えば、2フレーム程度遅くなるように設定されている。したがって、遊技者は、まず、入賞音、例えば、「ダダダダダダダダ」といった音を聴き取った後、遊技者が補助演出に従ってストップスイッチ120を操作し正解役が入賞したことを報知する4番目補助ボイス、例えば、「やるじゃない」の音声を聴くことになる。このように、所定の当選役に当選し、ストップスイッチ120の第3停止操作解除に応じて、4番目補助ボイスと入賞音とをいずれも出力しつつ、その開始タイミングを異ならせることで、遊技者は、所定の当選役が入賞したことを把握しつつ、正解役が入賞したことを明確に認識することができる。このような音の出力態様により、4番目補助ボイスは、入賞音を補う音声としての役割を適切に発揮することが可能となる。
【0172】
なお、上記では、演出制御手段254が、AT演出状態であるか、非AT演出状態であるかに拘わらず、スタートスイッチ118の操作に応じてリール110が回転開始すると、音声回路240fのレイヤ1に開始音を割り当てる例を挙げて説明した。ここで、開始音の音量を、AT演出状態と、非AT演出状態とで異ならせるとしてもよい。例えば、AT演出状態では、遊技者に有利な遊技が実行されていることを強調するため、背景BGMや演出BGMの音量が非AT演出状態より大きい場合がある。この場合、AT演出状態においてレイヤ1に割り当てる開始音の音量を、非AT演出状態においてレイヤ1に割り当てる開始音の音量より大きくすることで、開始音が背景BGMや演出BGMに埋もれることなく、遊技者は、開始音を適切に把握することができる。かかる構成により、例えば、リール110の実際の回転開始より開始音を意図的に遅らせる、所謂、遅れ演出音が発生したとしても、遊技者は、その遅れ演出音を聴き取りやすくなり、遊技性の向上を図ることができる。
【0173】
また、ここでは、AT演出状態において、4番目補助ボイスと入賞音とが対応し、4番目補助ボイスと入賞音とはそれぞれ異なるレイヤに割り当てられているので、遊技者が両方の音を聴き取れることを説明した。かかる4番目補助ボイスと入賞音との音の大きさ(音量)の関係は、入賞音>4番目補助ボイスとなるように設定されている。したがって、遊技者は、入賞音、例えば、「ダダダダダダダダ」といった音を大音量で聴くことになる。このように、所定の当選役に当選し、ストップスイッチ120の第3停止操作解除に応じて、4番目補助ボイスと入賞音とをいずれも出力しつつ、その大きさを異ならせることで、遊技者は、遊技利益として所定数の電子化メダルを獲得したことを、音の大きさと、音(「ダ」))の繰り返し数で認識しつつ、正解役が入賞したことを明確に認識することができる。このような音の出力態様により、入賞音は、遊技利益の強調という役割を適切に発揮することが可能となる。
【0174】
また、ここでは、AT演出状態において、1番目補助エフェクトと、2番目補助エフェクトと、3番目補助エフェクトと、4番目補助エフェクトとが同一のレイヤ15に割り当てられていることを説明した。かかる1番目補助エフェクトと、他の補助エフェクトとの音の大きさ(音量)の関係は、1番目補助エフェクト>(2番目補助エフェクト、3番目補助エフェクト、および、4番目補助エフェクト)となるように設定されている。したがって、遊技者は、1番目補助エフェクト、例えば、「ピロンッ」といった音を大音量で聴くことになる。スロットマシン100では、スタートスイッチ118の操作に基づき当選種別抽選が行われる。また、このようなスタートスイッチ118の操作に基づいてAT演出状態への移行抽選も行われる。さらに、AT演出状態において、スタートスイッチ118の操作に基づいて当選種別「打順ベル」に当選すると、補助演出が実行されることと、および、補助演出に従えば大きな遊技利益を得られることが確定する。このように、遊技の進行上、遊技利益を得られるか否かは、スタートスイッチ118の操作に寄るところが大きい。したがって、遊技者は、このように様々な抽選が行われるスタートスイッチ118を所望するタイミングで操作したことを、音の大きさで認識することができる。このような音の出力態様により、遊技の開始時点から1遊技を適切に盛り立てることが可能となる。
【0175】
なお、AT演出状態において、遊技者が、スタートスイッチ118を操作すると、1番目補助ボイスと1番目補助エフェクトが出力される。そして、遊技者が、補助演出に従ってストップスイッチ120を操作した場合、各補助ボイスと各補助エフェクトが出力される一方で、各停止音の出力は制限(消音または減音)される。具体的に、遊技者によるスタートスイッチ118の操作に応じて当選種別「打順ベルA1」に当選し、演出制御手段254が補助演出として正解操作態様「打順3」を報知する例を挙げる。このとき、遊技者によるスタートスイッチ118の操作に応じて1番目補助ボイスと1番目補助エフェクトとが出力され、遊技者によるストップスイッチ120bの第1停止操作に応じて2番目補助ボイスと2番目補助エフェクトが出力され、遊技者によるストップスイッチ120aの第2停止操作に応じて3番目補助ボイスと3番目補助エフェクトが出力され、遊技者によるストップスイッチ120cの第3停止操作に応じて4番目補助エフェクトが出力される。ここでは、2番目補助エフェクト、3番目補助エフェクト、4番目補助エフェクトを相対的に強調するため、停止音が制限されている。しかし、遊技者が補助演出に従わなかった場合、それ以降の補助ボイスや補助エフェクトの出力を制限し、代わりに停止音を出力する。例えば、遊技者が、誤ってストップスイッチ120aを第1停止操作すると、正解操作態様と異なる操作態様であるとして、第1停止操作に応じて、本来出力されるべき2番目補助ボイスと2番目補助エフェクトの出力が制限され、本来出力されないはずの第1停止操作に応じた停止音のみが出力される。このように、2番目補助ボイスと2番目補助エフェクトの出力が制限されていることによって、遊技者は、正解操作態様と異なる操作をしてしまい、本来得られるはずであった遊技利益を得られなくなった可能性があることを認識する。ここでは、ストップスイッチ120を操作した時点から遊技者に残念感を与え、正解操作態様による操作を促すことが可能となる。なお、AT演出状態であっても、補助演出の対象となる当選種別に当選せず、補助演出が実行されない場合、各補助ボイス、および、各補助エフェクトが出力されないので、代わりに、各停止音が出力される。
【0176】
(表示態様)
AT演出状態において、演出制御手段254は、上記の音声回路240fに加え、画像回路240eを通じて補助演出を行う。
【0177】
図17は、AT演出状態における補助演出の一例を説明するための説明図である。ここでは、遊技者によるスタートスイッチ118の操作に応じ、当選種別抽選において当選領域5の当選種別「打順ベルA1」が決定されたとする。演出制御手段254は、補助演出によって正解操作態様である打順3を報知し、遊技者は、補助演出に従ってストップスイッチ120を操作することで、正解役である当選役「小役1」を入賞させることができる。
【0178】
補助演出において、演出制御手段254は、画像回路240eを通じ、液晶表示部132に、1番目補助画像410、2番目補助画像412、3番目補助画像414、4番目補助画像416を表示する。ここで、1番目補助画像410、2番目補助画像412、3番目補助画像414は、ストップスイッチ120を操作すべき順を示す。具体的に、1番目補助画像410は、ストップスイッチ120を第1停止操作することを示す、例えば数値「1」で表され、液晶表示部132における、正解操作態様における第1停止操作すべきストップスイッチ120(ここでは、例えば、ストップスイッチ120b)に対応する位置に配置される。また、2番目補助画像412は、ストップスイッチ120を第2停止操作することを示す、例えば数値「2」で表され、液晶表示部132における、正解操作態様における第2停止操作すべきストップスイッチ120(ここでは、例えば、ストップスイッチ120a)に対応する位置に配置される。3番目補助画像414は、ストップスイッチ120を第3停止操作することを示す、例えば数値「3」で表され、液晶表示部132における、正解操作態様における第3停止操作すべきストップスイッチ120(ここでは、例えば、ストップスイッチ120c)に対応する位置に配置される。また、4番目補助画像416は、当選役の入賞結果を報知する画像であり、例えば、遊技者が補助演出に従ってストップスイッチ120を操作し、正解役が入賞したことを報知する文字「GET」である。
【0179】
遊技者によってスタートスイッチ118が操作されると、図17(a)に示すように、演出制御手段254は、1番目補助画像410、2番目補助画像412、3番目補助画像414それぞれを表示開始した後、1番目補助画像410を所定の第1サイズまで拡大するとともに、2番目補助画像412、3番目補助画像414を所定の第2サイズまで拡大する。ここで、第1サイズは、第2サイズより大きい。したがって、遊技者は、比較的大きな第1サイズの1番目補助画像410を視認して、ストップスイッチ120の第1停止操作を行うことができる。そして、演出制御手段254は、ストップスイッチ120が操作されるまで1番目補助画像410、2番目補助画像412、3番目補助画像414を変動させる。ここで、変動は、1番目補助画像410、2番目補助画像412、3番目補助画像414の実質的な大きさを変更することなく、その正面を左右に周期的に揺動させることである。しかし、かかる場合に限らず、1番目補助画像410、2番目補助画像412、3番目補助画像414が停止していないと認識されれば足り、1番目補助画像410、2番目補助画像412、3番目補助画像414の大きさや形を変化させたり、上下に揺動させたり、左右または上下に回転させたり、画像中央を中心軸として時計回りまたは反時計回りに回転または回転揺動させたり、さらに、これらを組み合わせる等、様々な変動態様を適用することができる。
【0180】
図17(b)に示すように、遊技者によってストップスイッチ120bが第1停止操作されると、演出制御手段254は、1番目補助画像410、2番目補助画像412、3番目補助画像414の変動を停止させる。1番目補助画像410、2番目補助画像412、3番目補助画像414を停止させることで、遊技者は、ストップスイッチ120の操作が受け付けられたことを適切に把握することができる。そして、演出制御手段254は、1番目補助画像410を、表示状態から非表示状態(表示されていない状態)に移行する。このように、1番目補助画像410、2番目補助画像412、3番目補助画像414が、表示状態から所定時間を要して非表示状態に移行すること(徐々に消去すること)を「非表示化」と言う場合がある。ここでは、非表示化として、1番目補助画像410の透過率を漸増させて最終的に透過率100%とし、1番目補助画像410を消去する例を挙げる。1番目補助画像410の非表示化と並行して、演出制御手段254は、3番目補助画像414の大きさを維持したまま、2番目補助画像412を第1サイズまで拡大する。ここでは、操作したストップスイッチ120bに対応する1番目補助画像410を非表示化し、次に操作すべきストップスイッチ120aに対応する2番目補助画像412を拡大することで、遊技者は、ストップスイッチ120bを繰り返し操作することなく、操作すべきストップスイッチ120aを適切に把握することが可能となる。なお、ここでは、1番目補助画像410の非表示化の態様として、透過率を漸増させる例を挙げたが、かかる場合に限らず、画像が徐々に目立たなくなって最終的に消去されれば足り、例えば、画像の大きさが漸減したり、形が徐々に丸くなったり、画像が分裂することで総合的に小さくなったり、他の画像に切り替わったり、さらに、これらを組み合わせる等、様々な態様を採用することができる。例えば、演出制御手段254は、1番目補助画像410を、スロットマシン100のコンセプトを抽象化した他の画像に切り換え、他の画像を一旦大きくした後、透過率を漸増させるとしてもよい。そして、演出制御手段254は、次にストップスイッチ120が操作されるまで2番目補助画像412、3番目補助画像414を再び変動させる。
【0181】
図17(c)に示すように、遊技者によってストップスイッチ120aが第2停止操作されると、演出制御手段254は、2番目補助画像412、3番目補助画像414の変動を停止させる。そして、演出制御手段254は、2番目補助画像412の透過率を漸増させて最終的に消去する。これと並行して、演出制御手段254は、3番目補助画像414を第1サイズまで拡大する。そして、演出制御手段254は、次にストップスイッチ120が操作されるまで3番目補助画像414を再び変動させる。
【0182】
図17(d)に示すように、遊技者によってストップスイッチ120cが第3停止操作されると、演出制御手段254は、3番目補助画像414の変動を停止させ、その透過率を漸増させて最終的に消去する。そして、遊技者によってストップスイッチ120の第3停止操作が解除されると、演出制御手段254は、4番目補助画像416を液晶表示部132に表示する。
【0183】
図18図19は、AT演出状態における音および画像の切り換えを説明するためのタイミングチャートである。レイヤ0、1、14、15の音の切り換えについては、図14図15(b)と等しいので、その詳細な説明を省略し、ここでは、特に、1番目補助画像410、2番目補助画像412、3番目補助画像414、4番目補助画像416の切り換えについて説明する。ここでも、遊技者によるスタートスイッチ118の操作に応じ、当選種別抽選で、当選領域5の当選種別「打順ベルA1」に当選したとする。演出制御手段254は、補助演出によって正解操作態様である打順3を報知し、遊技者は、補助演出に従ってストップスイッチ120を操作することで、正解役である当選役「小役1」を入賞させることができる。
【0184】
図18に示すように、遊技者によって、ベットスイッチ116が操作されると、演出制御手段254は、設定音をスピーカ134から出力する。続いて、遊技者によってスタートスイッチ118が操作されると、演出制御手段254は、1番目補助ボイスおよび1番目補助エフェクトをスピーカ134から出力するとともに、1番目補助画像410を液晶表示部132に表示開始する。そして、演出制御手段254は、1番目補助画像410を拡大し、1番目補助画像410が第1サイズとなるとその拡大を停止し、2番目補助画像412を液晶表示部132に表示開始する。そして、演出制御手段254は、2番目補助画像412を拡大し、2番目補助画像412が第2サイズとなるとその拡大を停止し、3番目補助画像414を液晶表示部132に表示開始する。そして、演出制御手段254は、3番目補助画像414を拡大し、3番目補助画像414が第2サイズとなり、1番目補助画像410、2番目補助画像412、および、3番目補助画像414全ての拡大を完了すると、1番目補助画像410、2番目補助画像412、3番目補助画像414の変動を開始させる。このとき、1番目補助画像410、2番目補助画像412、3番目補助画像414全てが拡大を完了するタイミングは、1番目補助ボイスおよび1番目補助エフェクトが出力を完了するタイミングより遅くなるように設定されている。なお、ここでは、1番目補助画像410の拡大完了タイミングは、1番目補助ボイスおよび1番目補助エフェクトの出力完了タイミングより早くなっているが、1番目補助画像410の拡大完了タイミングを、1番目補助ボイスおよび1番目補助エフェクトの出力完了タイミングより遅くなるように設定してもよい。
【0185】
ところで、遊技者は、前回の遊技からの遊技時間が所定のウェイト時間(例えば、4.1秒)を経過しないと、次の遊技を開始できない。ここで、遊技者は、ベットスイッチ116、スタートスイッチ118、ストップスイッチ120の操作間隔を短縮することで、1遊技における遊技時間がウェイト時間(4.1秒)を超えないように、所謂、フルウェイトで遊技することが可能である。このように、遊技者が、フルウェイトで遊技を実行すると、1番目補助画像410、2番目補助画像412、3番目補助画像414全ての拡大が完了した後に、リール110が回転開始することとなる。演出制御手段254は、リール110が回転開始されると、開始音をスピーカ134から出力する。
【0186】
このように、演出制御手段254は、フルウェイトとなるタイミングでスタートスイッチ118が操作されると、その操作に応じて、1番目補助エフェクトおよび1番目補助ボイスの出力を開始するとともに、1番目補助画像410、2番目補助画像412、および、3番目補助画像414の拡大を開始する。そして、演出制御手段254は、1番目補助エフェクトおよび1番目補助ボイスの出力完了後に、スタートスイッチ118が操作されたことに応じた、1番目補助画像410、2番目補助画像412、および、3番目補助画像414の全ての拡大を完了させる。演出制御手段254は、スタートスイッチ118が操作されたことに応じた、1番目補助画像410、2番目補助画像412、および、3番目補助画像414の全ての拡大完了後に、開始音の出力を開始している。かかる構成より、遊技者は、スタートスイッチ118が受け付けられ、それに応じてリール110が回転開始したことを聴覚および視覚によって適切に把握することが可能となる。
【0187】
続いて、遊技者によってストップスイッチ120が第1停止操作されると、演出制御手段254は、停止音、2番目補助ボイス、および、2番目補助エフェクトをスピーカ134から出力するとともに、1番目補助画像410、2番目補助画像412、3番目補助画像414の変動を停止し、1番目補助画像410の透過率を漸増させるとともに、2番目補助画像412を第1サイズまで拡大する。そして、演出制御手段254は、2番目補助画像412、3番目補助画像414を再び変動させる。また、遊技者によってストップスイッチ120が第2停止操作されると、演出制御手段254は、停止音、3番目補助ボイス、および、3番目補助エフェクトをスピーカ134から出力するとともに、2番目補助画像412、3番目補助画像414の変動を停止し、2番目補助画像412の透過率を漸増させるとともに、3番目補助画像414を第1サイズまで拡大する。そして、演出制御手段254は、3番目補助画像414を再び変動させる。また、遊技者によってストップスイッチ120が第3停止操作されると、演出制御手段254は、停止音、および、4番目補助エフェクトをスピーカ134から出力するとともに、3番目補助画像414の変動を停止し、3番目補助画像414の透過率を漸増させる。
【0188】
続いて、遊技者によってストップスイッチ120の第3停止操作が解除されると、演出制御手段254は、入賞音および4番目補助ボイスをスピーカ134から出力するとともに、4番目補助画像416を液晶表示部132に表示する。
【0189】
なお、図18では、ストップスイッチ120の操作に応じて2番目補助画像412の透過率を漸増させ、2番目補助画像412が非表示になった後に、次のストップスイッチ120の操作に応じて3番目補助画像414の透過率の漸減を開始する例を挙げて説明した。しかし、遊技者によるストップスイッチ120の操作間隔が短く、2番目補助画像412が完全に非表示になる前に次のストップスイッチ120が操作された場合、2番目補助画像412の透過率の漸増を中断し、即座に非表示としてもよい。
【0190】
例えば、図19に示すように、遊技者によってストップスイッチ120が第2停止操作され、2番目補助画像412の透過率が漸増開始した後、2番目補助画像412の透過率が100%になる(非表示となる)前に、遊技者によってストップスイッチ120が第3停止操作されると、すなわち、ストップスイッチ120が第2停止操作されてからストップスイッチ120が第3停止操作されるまでの時間が、所定時間(2番目補助画像412の表示が終わるまでの時間)に満たなかった場合、演出制御手段254は、3番目補助画像414の変動を停止し、3番目補助画像414の透過率の漸増を開始するとともに、図19に破線の円で示したように、2番目補助画像412の透過率の漸増を中断し、2番目補助画像412を即座に非表示にする。このように、操作したストップスイッチ120に対応する2番目補助画像412を即座に非表示とすることで、遊技者は、直近に操作したストップスイッチ120を適切に把握することが可能となる。また、図19に示すように、レイヤ0の停止音やレイヤ15の3番目補助エフェクトの中断と、当該2番目補助画像412の透過率の漸増の中断とが同タイミングとなるので、音と画像との演出表現のバランスをとることができる。
【0191】
ただし、遊技者によってストップスイッチ120が第1停止操作されたり第2停止操作される場合と異なり、遊技者によってストップスイッチ120が第3停止操作されると、1遊技における遊技者の操作が完了し、遊技者は、他のストップスイッチ120を操作する必要がない。したがって、遊技者によってストップスイッチ120が第3停止操作され、3番目補助画像414の透過率が漸増開始した後、3番目補助画像414の透過率が100%になる(非表示となる)前に、遊技者によってストップスイッチ120の第3停止操作が解除されたとしても、演出制御手段254は、3番目補助画像414の透過率の漸増を中断せず、継続して漸増させる。
【0192】
なお、ここでは、遊技者によってストップスイッチ120が第3停止操作されると、2番目補助画像412の透過率の漸増を中断する例を挙げて説明したが、かかる場合に限らず、遊技者によるストップスイッチ120の第3停止操作に拘わらず、2番目補助画像412の透過率の漸増を継続するとしてもよい。
【0193】
このようにスロットマシン100では、スタートスイッチ118と、ストップスイッチ120と、音出力手段(例えば、音声回路240f、スピーカ134)と、表示手段(例えば、画像回路240e、液晶表示部132)と、音出力手段と表示手段が行う演出を制御する演出制御手段254と、を備え、演出制御手段254は、音出力手段と表示手段に、ストップスイッチ120の操作順(例えば、第1停止操作、第2停止操作、第3停止操作に関連する演出)と操作結果(例えば、第3停止操作解除に関連する演出)に関する所定の補助演出を行わせるものであり、補助演出では、音出力手段が、複数の補助ボイス(例えば、1番目補助ボイス、2番目補助ボイス、3番目補助ボイス、4番目補助ボイス)と複数の補助エフェクト(例えば、1番目補助エフェクト、2番目補助エフェクト、3番目補助エフェクト、4番目補助エフェクト)を出力し、表示手段が、複数の補助画像(例えば、1番目補助画像410、2番目補助画像412、3番目補助画像414、4番目補助画像416)を表示し、補助演出において音出力手段は、2番目に操作すべきストップスイッチ120がONされると、3番目補助ボイスと3番目補助エフェクトの出力を開始し、3番目に操作すべきストップスイッチ120がONされると、4番目補助エフェクトの出力を開始し、3番目に操作すべきストップスイッチ120がOFFされると、4番目補助ボイスの出力を開始し、補助演出において表示手段は、2番目に操作すべきストップスイッチ120がONされると、表示されていた2番目補助画像412を徐々に消去する表示を開始し、3番目に操作すべきストップスイッチ120がONされると、表示されていた3番目補助画像414を徐々に消去する表示を開始し、3番目に操作すべきストップスイッチ120がOFFされると、4番目補助画像416の表示を開始し、補助演出において音出力手段と表示手段は、2番目に操作すべきストップスイッチ120がONされてから3番目に操作すべきストップスイッチ120がONされるまでの時間が、第1所定時間(3番目補助エフェクトと2番目補助画像412のうち、先に報知が終了する方が終わるまでの時間)に満たなかった場合には、3番目に操作すべきストップスイッチ120のONに応じ、3番目補助エフェクトの出力を中断して4番目補助エフェクトの出力を開始し、2番目補助画像412を徐々に消去する表示を中断して消去し、3番目補助画像414を徐々に消去する表示を開始する。
【0194】
また、スロットマシン100において、補助演出において音出力手段と表示手段は、2番目に操作すべきストップスイッチ120がONされてから3番目に操作すべきストップスイッチ120がOFFされるまでの時間が、第2所定時間(4番目補助エフェクトの報知が終了しておらず、3番目補助画像の報知が終了しておらず、第1所定時間よりも長い時間であって、3番目補助ボイスが終わるまでの時間)に満たなかった場合には、3番目に操作すべきストップスイッチ120のOFFに応じ、3番目補助ボイスの出力を中断して4番目補助ボイスの出力を開始し、4番目補助エフェクトの出力を中断せず、3番目補助画像414を徐々に消去する表示を中断しないとしてもよい。
【0195】
また、スロットマシン100では、スタートスイッチ118と、リール110と、ストップスイッチ120と、音出力手段(例えば、音声回路240f、スピーカ134)と、表示手段(例えば、画像回路240e、液晶表示部132)と、音出力手段と表示手段が行う演出を制御する演出制御手段254と、を備え、演出制御手段254は、音出力手段と表示手段に、ストップスイッチ120の操作順(例えば、第1停止操作、第2停止操作、第3停止操作に関連する演出)に関する所定の補助演出を行わせるものであり、補助演出では、音出力手段が、回転開始音(例えば、開始音)と複数の補助ボイス(例えば、1番目補助ボイス、2番目補助ボイス、3番目補助ボイス)と複数の補助エフェクト(例えば、1番目補助エフェクト、2番目補助エフェクト、3番目補助エフェクト、4番目補助エフェクト)を出力し、表示手段が、複数の補助画像(ナビ「1」「2」「3」)を表示し、補助演出において音出力手段は、スタートスイッチ118がONされると、1番目補助ボイスと1番目補助エフェクトの出力を開始し、リール110が回転開始されると、回転開始音の出力を開始し、補助演出において表示手段は、スタートスイッチ118がONされると、1番目補助画像410と2番目補助画像412と3番目補助画像414を拡大する表示を開始し、補助演出において音出力手段と表示手段は、スタートスイッチ118が前回の遊技でONされてからスタートスイッチ118が今回の遊技でONされるまでの時間が、第3所定時間(所謂、フルウェイトとなるウェイト時間(4.1秒))に満たなかった場合には、スタートスイッチ118のONに応じ、1番目補助ボイスと1番目補助エフェクトの出力完了後に、1番目補助画像410と2番目補助画像412と3番目補助画像414の拡大を完了させ、1番目補助画像410と2番目補助画像412と3番目補助画像414の拡大完了後に、回転開始音の出力を開始する。
【0196】
また、スロットマシン100において、補助演出を実行可能なAT演出状態、および、補助演出を実行不能な非AT演出状態を含む演出状態のうちいずれかを決定する演出状態制御手段を備え、AT演出状態における回転開始音と、非AT演出状態における回転開始音とは異なり、AT演出状態における回転開始音の音量は、非AT演出状態における回転開始音の音量より大きいとしてもよい。
【0197】
また、スロットマシン100において、補助演出において表示手段は、1番目補助画像410の拡大完了後に、1番目補助画像410を周期的に変動させる表示を開始し、1番目補助画像410が周期的に変動している状態で、1番目に操作すべきストップスイッチ120がONされると、1番目補助画像410の変動を停止し、1番目補助画像410の変動が停止した状態で、表示されていた1番目補助画像410を徐々に消去する表示を開始するとしてもよい。
【0198】
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明はかかる実施形態に限定されないことはいうまでもない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された範疇において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【0199】
また、上述した実施形態においては、ストップスイッチ120が3つ、リール110の数が3つ(左リール110a、中リール110b、右リール110c)の例を挙げて説明したが、かかる場合に限らず、ストップスイッチ120が4つ、リール110の数が4つ(第1リール、第2リール、第3リール、第4リール)や5つ以上の場合にも適用できる。この場合、最後の停止操作は第4停止操作となり、上述した実施形態の第3停止操作の開始および解除に対応する処理が、第4停止操作の開始および解除に対応して行われることとなる。
【0200】
また、上述した実施形態では、主制御基板200と副制御基板240とメダル数制御基板260とが、遊技を進行するための機能部を分担するように配したが、主制御基板200の機能部を副制御基板240やメダル数制御基板260に配しても、副制御基板240の機能部を主制御基板200やメダル数制御基板260に配しても、メダル数制御基板260の機能を主制御基板200や副制御基板240に配してもよく、また、全ての機能部を1の制御基板に纏めて配することもできる。
【0201】
また、上述した実施形態では、スロットマシン100に適用する例を挙げて説明したが、遊技球が流下する遊技領域が形成された遊技盤と、遊技領域に設けられ、遊技球が入球可能な大入賞口と、大入賞口を開閉する開閉部材と、所定条件が成立すると、開閉部材を開閉制御し、大入賞口が開放される複数回のラウンド遊技を含んで構成される大役遊技を実行する大入賞口制御手段と、を備える遊技機、所謂、パチンコ機に適用することもできる。
【0202】
また、上述した主制御基板200、副制御基板240、メダル数制御基板260で行われる各処理は、必ずしもフローチャートとして記載された順序に沿って時系列に処理する必要はなく、並列的あるいはサブルーチンによる処理を含んでもよい。
【符号の説明】
【0203】
100 スロットマシン(遊技機)
110 リール
116 ベットスイッチ
118 スタートスイッチ
120 ストップスイッチ
200 主制御基板
200a メインCPU
222 遊技状態制御手段
224 演出状態制御手段
240 副制御基板
240a サブCPU
224 演出状態制御手段
254 演出制御手段
260 メダル数制御基板
260a メダルCPU
274 メダル数更新手段
300 専用ユニット
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
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図9
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