(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024175737
(43)【公開日】2024-12-19
(54)【発明の名称】カバーテープ基材用フィルム
(51)【国際特許分類】
B32B 27/32 20060101AFI20241212BHJP
B32B 27/00 20060101ALI20241212BHJP
B32B 7/022 20190101ALI20241212BHJP
【FI】
B32B27/32 E
B32B27/00 Z
B32B7/022
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023093688
(22)【出願日】2023-06-07
(71)【出願人】
【識別番号】000222462
【氏名又は名称】東レフィルム加工株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100186484
【弁理士】
【氏名又は名称】福岡 満
(72)【発明者】
【氏名】井上 則英
(72)【発明者】
【氏名】赤澤 雅
【テーマコード(参考)】
4F100
【Fターム(参考)】
4F100AK04
4F100AK04A
4F100AK05
4F100AK05B
4F100AK06
4F100AK06B
4F100AK06C
4F100AK07
4F100AK07B
4F100BA03
4F100BA07
4F100GB41
4F100JA11
4F100JA13
4F100JA13A
4F100JA13B
4F100JA13C
4F100JK07
4F100JK15
4F100JN01
4F100YY00A
4F100YY00B
4F100YY00C
(57)【要約】
【課題】ラミネート不良の虞がなく、良好な加工性を持つカバーテープ基材用フィルムを提供する。
【解決手段】A層、B層及びC層の3層を有し、A層はポリエチレン系樹脂5~95質量%とポリプロピレン系樹脂95~5質量%含有し、B層は高密度ポリエチレン系樹脂と低密度ポリエチレン系樹脂からなる混合物を主成分とし、C層は密度0.915g/cm3以下の低密度ポリエチレン系樹脂を含有するカバーテープ基材用フィルム。
【選択図】 なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
A層、B層及びC層の3層を有し、A層はポリエチレン系樹脂5~95質量%とポリプロピレン系樹脂95~5質量%含有し、B層は高密度ポリエチレン系樹脂と低密度ポリエチレン系樹脂からなる混合物を主成分とし、C層は密度0.915g/cm3以下の低密度ポリエチレン系樹脂を含有するカバーテープ基材用フィルム。
【請求項2】
下式(a)で算出される結晶化度が70%以下である、請求項1に記載のカバーテープ基材用フィルム。
X=100-56.1×(1000×A1300÷t) ・・・(a)
X・・結晶化度(%)
A1300・・波数1300cm-1における吸光度
t・・フィルム厚み(μm)
【請求項3】
A層の表面中心線平均粗さRaが0.05μm以上0.25μm以下である、請求項1または2に記載のカバーテープ基材用フィルム。
【請求項4】
フィルムのヤング率がフィルム長手方向および幅方向ともに250MPa以上450MPa以下である、請求項1または2に記載のカバーテープ基材用フィルム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は電子部品包装体に好適に用いられるカバーテープ基材用フィルムに関する。
【背景技術】
【0002】
半導体ICチップなどの電子部品は、その使用に供されるまでに損傷を防ぐために、いわゆるキャリアテープという凹状の格納ポケットが等間隔に形成されたポリスチレンなどで形成される静電防止性を付与された容器と、キャリアテープにヒートシールされ、カバーテープと言われる帯電防止性を付与された封止材として形成されたものに封入される。そして、キャリアテープとカバーテープがヒートシールされた電子部品包装体は、リール状に巻かれた状態で保管および輸送される。この電子部品包装体は、電子基板に組付けられる際に、カバーテープが連続して剥離されつつ、中のICチップが取り出されて基板に組付けられる。こういった電子部品包装体に用いられるカバーテープは、カバーテープ基材用フィルムの片面にポリエステルなどのフィルムがドライラミネートされ、その反対面にヒートシール性を持たせる樹脂が積層されて完成される。
【0003】
しかしながら、先行特許文献1には、カバーテープ基材用フィルムの具体例として低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)、分岐状低密度ポリエチレン(VLDPE)をはじめとするポリエチレン等のオレフィン樹脂、エチレン・酢酸ビニル共重合体(EVA)などのエチレン系共重合体などと挙げられているが、これらをカバーテープ基材用フィルムとして用いると樹脂のヤング率が低く基材が非常に柔らかくなり、カバーテープ基材用フィルムとポリエチレンテレフタレート等のポリエステルなどとラミネートする際に寸法がずれて、シワが入るなどのラミネート不良が発生する虞がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、かかるラミネート不良の虞がなく、良好な加工性を持つカバーテープ基材用フィルムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者は、上記課題を解決するために鋭意検討を重ねた結果、次のような構成とすることで目的が達成できることを見出した。
(1)A層、B層及びC層の3層を有し、A層はポリエチレン系樹脂5~95質量%とポリプロピレン系樹脂95~5質量%含有し、B層は高密度ポリエチレン系樹脂と低密度ポリエチレン系樹脂からなる混合物を主成分とし、C層は密度0.915g/cm3以下の低密度ポリエチレン系樹脂を含有するカバーテープ基材用フィルム。
(2)下式(a)で算出される結晶化度が70%以下である、前記(1)に記載のカバーテープ基材用フィルム。
X=100-56.1×(1000×A1300÷t) ・・・(a)
X・・結晶化度(%)
A1300・・波数1300cm-1における吸光度
t・・フィルム厚み(μm)
(3)A層の表面中心線平均粗さRaが0.05μm以上0.25μm以下である、前記(1)または(2)に記載のカバーテープ基材用フィルム。
(4)フィルムのヤング率がフィルム長手方向および幅方向ともに250MPa以上450MPa以下である前記(1)から(3)のいずれかに記載のカバーテープ基材用フィルム。
【発明の効果】
【0007】
本発明によって、ラミネート不良の虞がなく、良好な加工性や取り回し性を持つカバーテープ基材用フィルムを提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本発明のカバーテープ基材用フィルムは、少なくともA層、B層及びC層の3層からなる。A層はポリエチレン系樹脂5~95質量%とポリプロピレン系樹脂95~5質量%からなり、B層は高密度ポリエチレン系樹脂と低密度ポリエチレン系樹脂からなる混合物を主成分とし、C層は密度0.915g/cm3以下の低密度ポリエチレン系樹脂からなることを特徴とする。
【0009】
A層、B層及びC層の厚み比率としてはフィルムのヤング率に影響を及ぼさない限り、特に限定されるものではないが、製膜や縁断など製造工程にて発生する切れ端などをリサイクルして使用するのであれば、リサイクル原料を投入する層については厚い方、例えば全体の厚みに対して60%以上を占めることが好ましい。
【0010】
A層を構成するポリエチレン系樹脂については、密度が高いと、A層表面を擦過したときにポリエチレン系樹脂が削れて被着体への異物混入の原因となるため、好ましくは低密度ポリエレン、さらに好ましくは密度0.930g/cm3以下の高圧法低密度ポリエレンが用いられる。
【0011】
またA層において、ポリマで海島構造を形成して表面に凹凸を作り、その表面の粗さを形成するために、A層のポリプロピレン系樹脂として、ポリプロピレンからなる成分を配合するが、A層を構成するポリエチレン系樹脂との相溶性から、好ましくはプロピレン・エチレンランダム共重合体、もしくはプロピレン・エチレンブロック共重合体が用いられる。
【0012】
このようにしてA層の表面に海島構造を形成して凹凸を作りフィルムの滑りやすさを発現させるのが好ましいが、表面中心線平均粗さRaは0.05μm以上0.25μm以下となるように配合されることが好ましく、ポリエチレンからなる成分が5~95質量%、ポリプロピレンからなる成分が95~5質量%であることが好ましく、より好ましくはポリエチレンからなる成分が10~80質量%、ポリプロピレンからなる成分が90~20質量%、さらに好ましくはポリエチレンからなる成分が20~50質量%、ポリプロピレンからなる成分が50~80質量%である。A層を構成するポリエチレン系樹脂が95質量%超である場合、フィルム同士の滑りが悪くなりカバーテープ基材用フィルムと、ポリエチレンテレフタレート等のポリエステルなどとラミネートする際にシワが入るなどのラミネート不良が発生しやすくなるなど、フィルムの取り回しが困難になる。また、A層を構成するポリプロピレン系樹脂が95質量%超である場合、フィルムのヤング率が450MPaを超えることがあり、フィルムのヤング率が高くなり過ぎることがあり、カバーテープとしてキャリアテープにヒートシールした後、カバーテープを剥離する際にスムーズに剥離できないことがあり、剥離が止まったり剥離に大きな力が必要になる、いわゆるジッピング剥離が発生して表面欠点となることがある。
【0013】
本発明におけるA層の表面中心線平均粗さRaは0.05μm以上0.25μm以下が好ましく、より好ましくは0.10μm以上0.20μm以下であるが、表面中心線平均粗さRaが0.25μm超の場合、他基材のポリエステルなどのフィルムとラミネートした際に、表面の凹凸が粗いため、空気の噛み込みが発生することがあり、内容物の視認性が悪くなることがある。また、表面中心線平均粗さRaが0.05μm未満の場合は、フィルム同士の滑りが悪くなり、カバーテープ基材用フィルムとポリエチレンテレフタレート等のポリエステルなどとラミネートする際に、シワが入るなどのラミネート不良が発生しやすくなるなど、フィルムの取り回しが困難になることがある。
【0014】
本発明におけるB層の積層厚み比率としては、全体の厚みに対して60%以上であることが好ましく、また、本発明におけるB層の樹脂は、本発明のカバーテープ基材用フィルムのヤング率に大きく影響を与えるため、B層に配合される樹脂は、高密度ポリエチレン系樹脂と低密度ポリエチレン系樹脂からなる混合物を主成分とするのが好ましい。ここで主成分とは、B層の樹脂組成総量に対して50質量%以上を言う。該混合物の配合比率としては、フィルムのヤング率に影響を及ぼさない限り、特に限定されるものではないが、好ましくは高密度ポリエチレン系樹脂が50質量%~90質量%、より好ましくは60質量%~80質量%であり、低密度ポリエチレン系樹脂が10質量%~50質量%、より好ましくは20質量%~40質量%である。高密度ポリエチレン系樹脂の配合比率が50質量%未満の場合、フィルムのヤング率が250MPaを下回ることがあり、フィルムが柔らかくなって引張力が小さく、フィルムの変形がしやすくなることがあり、カバーテープ基材用フィルムとポリエチレンテレフタレート等のポリエステルなどとラミネートする際に、寸法がずれたり、シワが入るなどのラミネート不良が発生しやすくなることがある。高密度ポリエチレン系樹脂の配合比率が90質量%超の場合、フィルムのヤング率が450MPaを超えることがあり、フィルムのヤング率が高くなり過ぎて、カバーテープとしてキャリアテープにヒートシールした後、カバーテープを剥離する際にスムーズに剥離できないことがあり、剥離が止まったり剥離に大きな力が必要になる、いわゆるジッピング剥離が発生して表面欠点となることがある。低密度ポリエチレン系樹脂が50質量%超の場合、高密度ポリエチレン系樹脂の配合比率が50質量%未満の場合と同様、ヤング率が低くなることがあり、ラミネート不良が発生しやすくなることがある。低密度ポリエチレン系樹脂が10質量%未満の場合、高密度ポリエチレン系樹脂の配合比率が90質量%超の場合と同様、ヤング率が450MPaを超えることがあり、ジッピング剥離が発生して表面欠点となることがある。なお、ここで、高密度ポリエチレン系樹脂とは、密度が0.942g/cm3以上の中圧または低圧法で重合されたポリエチレンをいい、低密度ポリエチレン系樹脂とは、密度が0.910g/cm3以上0.930g/cm3以下の高圧法で重合された低密度ポリエチレン、または直鎖状低密度ポリエチレンのことをさす。
【0015】
本発明におけるC層は、表面にヒートシール用樹脂がコーティングされることが好ましく、ヒートシール用樹脂との密着性において、密度が、好ましくは0.890g/cm3以上0.915g/cm3以下の低密度ポリエチレン系樹脂を適用するのが好ましく、例えばエチレン・α-オレフィン共重合体、エチレン・酢酸ビニル共重合体などが好適に用いられる。密度が0.915g/cm3より大きいポリエチレン系樹脂や、ポリプロピレン系樹脂を用いるとコーティングされるヒートシール用樹脂との密着強度が低くなることがあり、コーティングがうまくできないことがあり、キャリアテープとのヒートシール力が低下あるいはシールが剥がれたりすることがある。また、密度が0.890g/cm3未満であるとC層のべたつきが増すことがあり、C層の滑りが悪くなることがあり、工程通過性が悪化することがある。
【0016】
A層、B層及びC層には、必要に応じて、ポリチオフェンなどの導電剤などの機能性を持った樹脂を添加してもよい。さらに、ラミネートやヒートシール用樹脂をコーティングする機能が阻害されない範囲で、A層とB層の間や、または、B層とC層の間に、着色層や導電層などといった機能性層が積層されてもよい。
【0017】
本発明におけるA層、B層及びC層の厚み比率についてはA層が10~25%、B層は50~80%、C層は10~25%が好ましく、総厚みとしては10~100μmが好ましい。
【0018】
本発明のカバーテープ基材用フィルムは、下式(a)で算出される結晶化度が70%以下であることが好ましい。
X=100-56.1×(1000×A1300÷t) ・・・(a)
ここでXは結晶化度(%)、A1300はフーリエ変換赤外分光光度計で測定される波数1300cm-1における吸光度、tはフィルム厚み(μm)をさす。
【0019】
本発明のカバーテープ基材用フィルムの結晶化度は70%以下が好ましく、より好ましくは20%以上60%以下であるが、結晶化度が70%を超えるとフィルムが固く脆くなることがあり、ポリエステルなどとラミネートする際にカバーテープ基材フィルムに張力をかけるため、フィルムの破断やクラックが入ることがあり、ラミネートがしにくくなることがある。結晶化度が低くなりすぎる、例えば結晶化度が20%未満となると、フィルムが柔らかくしなやかになるが、そのためフィルムに張力をかけてラミネートする際にフィルム寸法が安定しないことがあり、シワが入ったり、反りが発生しやすくなることがある。
【実施例0020】
以下、実施例に基づいて、本発明のカバーテープ基材用フィルムを説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
【0021】
<実施例1>
A層として、ポリエチレン系樹脂として低密度ポリエチレン(住友化学製CE3059、密度0.924g/cm3)80質量%と、ポリプロピレン系樹脂としてプロピレン・エチレンランダム共重合体(住友化学製)20質量%を配合し、
B層として、高密度ポリエチレン系樹脂として高密度ポリエチレン(日本ポリエチレン製HF562、密度0.963g/cm3)70質量%と、低密度ポリエチレン系樹脂として直鎖状低密度ポリエチレン(住友化学製CW3004、密度0.910g/cm3)30質量%を配合した混合物とし、
C層として、低密度ポリエチレン系樹脂として直鎖状低密度ポリエチレン(住友化学製CW3004、密度0.910g/cm3)を、それぞれ別々の押出機に供給した。
Tダイ型複合製膜機を用い押出温度200℃で、A層の厚さが5μm、B層の厚さが40μm、C層の厚さが5μm、総厚みが50μmとなるようA層/B層/C層の積層構成で共押出し、カバーテープ基材用フィルムを作成した。
【0022】
<実施例2>
実施例1において、B層として、高密度ポリエチレン50質量%と直鎖状低密度ポリエチレン50質量%とした以外は実施例1と同様とし、カバーテープ基材用フィルムを作成した。
【0023】
<実施例3>
実施例1において、B層として、高密度ポリエチレン90質量%と直鎖状低密度ポリエチレン10質量%とした以外は実施例1と同様とし、カバーテープ基材用フィルムを作成した。
【0024】
<比較例1>
実施例1において、B層として、高密度ポリエチレン100質量%とした以外は実施例1と同様とし、カバーテープ基材用フィルムを作成した。
【0025】
<比較例2>
実施例1において、B層として、直鎖状低密度ポリエチレン100質量%とした以外は実施例1と同様とし、カバーテープ基材用フィルムを作成した。
【0026】
<比較例3>
実施例1において、A層として、低密度ポリエチレンを100質量%とした以外は実施例1と同様とし、カバーテープ基材用フィルムを作成した。
【0027】
<比較例4>
実施例1において、A層として、プロピレン・エチレンランダム共重合体を100質量%とした以外は実施例1と同様とし、カバーテープ基材用フィルムを作成した。
【0028】
<比較例5>
実施例1において、C層として、直鎖状低密度ポリエチレン(住友化学製CW3006、密度0.922g/cm3)とした以外は実施例1と同様とし、カバーテープ基材用フィルムを作成した。
【0029】
<比較例6>
実施例1において、A層として、低密度ポリエチレンを78質量%とプロピレン・エチレンランダム共重合体を20質量%とし、滑剤として超高分子量ポリエチレン(三井化学製ミペロンPM-200)を2重量%配合とし、B層として、高密度ポリエチレン100質量%とした以外は実施例1と同様とし、カバーテープ基材用フィルムを作成した。
【0030】
実施例1~3、ならびに比較例1~6にて得られたカバーテープ基材用フィルムを以下のように評価した。
【0031】
<結晶化度>
得られたカバーテープ基材用フィルムを、作成後7日以上、室温23℃、湿度50RH%雰囲気下で保管し、しかる後に島津製作所製フーリエ変換赤外分光光度計「IRTracer-100」を用い、波長1300cm-1における吸光度を測定した。以下(a)に示す式をもって結晶化度を計算した。
X=100-56.1×(1000×A1300÷t) ・・・(a)
X・・結晶化度(%)
A1300・・波数1300cm-1における吸光度
t・・フィルム厚み(μm)。
【0032】
<ヤング率>
得られたカバーテープ基材用フィルムを作成後7日以上、室温23℃、湿度50RH%雰囲気下で保管し、しかる後に、JIS K7161-1:2014 プラスチック-引張特性の求め方に準拠しヤング率を測定した。
【0033】
<ラミネート加工性>
得られたカバーテープ基材用フィルムのA層表面をコロナ処理した後、膜厚12μmの二軸配向ポリエチレンテレフタレートフィルム(東レ製“ルミラー(登録商標)”P60)を積層し、シワ入りや空気の噛み込みなどラミネート加工時の異常の有無を目視にて確認した。
【0034】
<コーティング加工性>
得られたカバーテープ基材用フィルムのC層表面をコロナ処理した後、シーラント層としてのアクリル系シーラント樹脂(大日本インキ社製、A450A)を、膜厚が2μmとなるように製膜し、コーティング加工時の異常の有無を目視にて確認した。
【0035】
<A層表面中心線平均粗さ>
得られたカバーテープ基材用フィルムを、作成後3日以上、室温23℃、湿度50RH%雰囲気下で保管し、しかる後に小坂研究所製サーフコーダ-「ET4000A」を用い、A層表面の表面中心線平均粗さ(Ra)を測定した。
【0036】
実施例1~3、ならびに比較例1~6の評価結果を表1に示す。
【0037】
実施例1~3では適度な結晶化度とヤング率を持つために、ラミネート時の空気の噛み込みやシワなどもなく綺麗な巻き上がりになるのに対し、比較例1では結晶化度とヤング率が高すぎるためフィルムが固く、ラミネート時にフィルムが折れてシワが入りやすい結果となった。また、比較例2においては逆に結晶化度とヤング率が低すぎるためフィルムが柔らかく、寸法がずれて均一にラミネートできなかったり、空気の噛みこみ等が見られラミネート不良となった。また、比較例3ではフィルム同士の滑りが良くなくクラックが入ったり、また寸法がずれてラミネート不良が発生し、比較例4ではヤング率が高く比較例1と同様シワが入りやすい結果となった。比較例5ではラミネートに問題はないものの、シーラント樹脂のコーティングが出来ずカバーテープとしての性能を損なうこととなった。比較例6では比較例1同様ラミネート時にフィルムが折れてシワが入りやすい他、ラミネート時にエア噛みが発生して透明性が悪くなった。
【0038】
こうして、ラミネート時にシワ入りなどの不具合が無く綺麗な巻き上がりになる電子部品包装体に使用されるカバーテープ基材を提供することができる。
【0039】