IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 富士通株式会社の特許一覧

特開2024-175739半導体装置、半導体装置の製造方法及び電子装置
<>
  • 特開-半導体装置、半導体装置の製造方法及び電子装置 図1
  • 特開-半導体装置、半導体装置の製造方法及び電子装置 図2
  • 特開-半導体装置、半導体装置の製造方法及び電子装置 図3
  • 特開-半導体装置、半導体装置の製造方法及び電子装置 図4
  • 特開-半導体装置、半導体装置の製造方法及び電子装置 図5
  • 特開-半導体装置、半導体装置の製造方法及び電子装置 図6
  • 特開-半導体装置、半導体装置の製造方法及び電子装置 図7
  • 特開-半導体装置、半導体装置の製造方法及び電子装置 図8
  • 特開-半導体装置、半導体装置の製造方法及び電子装置 図9
  • 特開-半導体装置、半導体装置の製造方法及び電子装置 図10
  • 特開-半導体装置、半導体装置の製造方法及び電子装置 図11
  • 特開-半導体装置、半導体装置の製造方法及び電子装置 図12
  • 特開-半導体装置、半導体装置の製造方法及び電子装置 図13
  • 特開-半導体装置、半導体装置の製造方法及び電子装置 図14
  • 特開-半導体装置、半導体装置の製造方法及び電子装置 図15
  • 特開-半導体装置、半導体装置の製造方法及び電子装置 図16
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024175739
(43)【公開日】2024-12-19
(54)【発明の名称】半導体装置、半導体装置の製造方法及び電子装置
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/338 20060101AFI20241212BHJP
   H01L 29/06 20060101ALI20241212BHJP
【FI】
H01L29/80 H
H01L29/06 301F
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023093690
(22)【出願日】2023-06-07
(71)【出願人】
【識別番号】000005223
【氏名又は名称】富士通株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002918
【氏名又は名称】弁理士法人扶桑国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】倉橋 菜緒子
【テーマコード(参考)】
5F102
【Fターム(参考)】
5F102FA01
5F102GB01
5F102GC01
5F102GD01
5F102GJ02
5F102GJ03
5F102GJ04
5F102GJ09
5F102GJ10
5F102GL04
5F102GM04
5F102GQ01
5F102GV01
5F102HC01
(57)【要約】
【課題】ソースフィールドプレートを備えた高性能の半導体装置を実現する。
【解決手段】半導体装置1Aは、基板10と、基板10の面13側に設けられるゲート電極20と、基板10の面13側の、ゲート電極20の両側にそれぞれ設けられるソース電極30及びドレイン電極40とを含む。半導体装置1Aは更に、基板10の面13側の、ゲート電極20とドレイン電極40との間であって、ドレイン電極40よりもゲート電極20の近傍に設けられるソースフィールドプレート50を含む。半導体装置1Aでは、ソース電極30とソースフィールドプレート50とが、エアブリッジ配線80で接続される。これにより、ソース電極30とソースフィールドプレート50との電気的接続部の、ドレイン電圧の電界による破壊が抑えられる。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板と、
前記基板の第1面側に設けられるゲート電極と、
前記基板の前記第1面側の、前記ゲート電極の両側にそれぞれ設けられるソース電極及びドレイン電極と、
前記基板の前記第1面側の、前記ゲート電極と前記ドレイン電極との間であって、前記ドレイン電極よりも前記ゲート電極の近傍に設けられるソースフィールドプレートと、
前記ソース電極と前記ソースフィールドプレートとを接続するエアブリッジ配線と、
を含む、半導体装置。
【請求項2】
前記基板の前記第1面側の、前記ソース電極と前記ドレイン電極との間に設けられるパッシベーション膜と、
前記基板の前記第1面側に設けられ、前記パッシベーション膜及び前記ゲート電極を覆う層間絶縁膜と、
を含む、請求項1に記載の半導体装置。
【請求項3】
前記ソースフィールドプレートは、前記層間絶縁膜の、前記基板側とは反対側に設けられる、請求項2に記載の半導体装置。
【請求項4】
前記層間絶縁膜と前記ソース電極との間、及び、前記層間絶縁膜と前記ドレイン電極との間に、空洞が設けられる、請求項2に記載の半導体装置。
【請求項5】
前記ソースフィールドプレートの、前記基板側とは反対側の第2面は、前記ソース電極の、前記基板側とは反対側の第3面よりも、前記基板側に位置する、請求項2に記載の半導体装置。
【請求項6】
基板の第1面側に、ゲート電極と、前記ゲート電極の両側にそれぞれ設けられるソース電極及びドレイン電極とを形成する工程と、
前記基板の前記第1面側の、前記ゲート電極と前記ドレイン電極との間であって、前記ドレイン電極よりも前記ゲート電極の近傍に、ソースフィールドプレートを形成する工程と、
前記ソース電極と前記ソースフィールドプレートとを接続するエアブリッジ配線を形成する工程と、
を含む、半導体装置の製造方法。
【請求項7】
基板と、
前記基板の第1面側に設けられるゲート電極と、
前記基板の前記第1面側の、前記ゲート電極の両側にそれぞれ設けられるソース電極及びドレイン電極と、
前記基板の前記第1面側の、前記ゲート電極と前記ドレイン電極との間であって、前記ドレイン電極よりも前記ゲート電極の近傍に設けられるソースフィールドプレートと、
前記ソース電極と前記ソースフィールドプレートとを接続するエアブリッジ配線と、
を含む半導体装置を備える、電子装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体装置、半導体装置の製造方法及び電子装置に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体装置に関し、ゲート電極近傍にソース電極に短絡されたソースフィールドプレートを配置する技術、ドレイン電極近傍にソース電極に短絡されたシールドプレート電極を配置する技術が知られている(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2013-183062号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ソースフィールドプレートを備える半導体装置では、ソース電極とソースフィールドプレートとの電気的接続部の形態によっては、ドレイン電圧の電界により当該電気的接続部に破壊が生じ、半導体装置の性能が低下することがあった。
【0005】
1つの側面では、本発明は、ソースフィールドプレートを備えた高性能の半導体装置を実現することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
1つの態様では、基板と、前記基板の第1面側に設けられるゲート電極と、前記基板の前記第1面側の、前記ゲート電極の両側にそれぞれ設けられるソース電極及びドレイン電極と、前記基板の前記第1面側の、前記ゲート電極と前記ドレイン電極との間であって、前記ドレイン電極よりも前記ゲート電極の近傍に設けられるソースフィールドプレートと、前記ソース電極と前記ソースフィールドプレートとを接続するエアブリッジ配線と、を含む、半導体装置が提供される。
【0007】
また、別の態様では、上記のような半導体装置の製造方法、上記のような半導体装置を備える電子装置が提供される。
【発明の効果】
【0008】
1つの側面では、ソースフィールドプレートを備えた高性能の半導体装置を実現することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】半導体装置の構成例について説明する図である。
図2】半導体装置の一例について説明する図である。
図3】第1実施形態に係る半導体装置の一例について説明する図(その1)である。
図4】第1実施形態に係る半導体装置の一例について説明する図(その2)である。
図5】第1実施形態に係る半導体装置の製造方法の一例について説明する図(その1)である。
図6】第1実施形態に係る半導体装置の製造方法の一例について説明する図(その2)である。
図7】第1実施形態に係る半導体装置の製造方法の一例について説明する図(その3)である。
図8】第2実施形態に係る半導体装置の一例について説明する図である。
図9】第3実施形態に係る半導体装置の一例について説明する図である。
図10】第3実施形態に係る半導体装置の製造方法の一例について説明する図(その1)である。
図11】第3実施形態に係る半導体装置の製造方法の一例について説明する図(その2)である。
図12】第4実施形態に係る半導体装置の一例について説明する図である。
図13】第5実施形態に係る半導体パッケージの一例について説明する図である。
図14】第6実施形態に係る力率改善回路の一例について説明する図である。
図15】第7実施形態に係る電源装置の一例について説明する図である。
図16】第8実施形態に係る増幅器の一例について説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
はじめに、半導体装置の例について述べる。
半導体装置の一例として、窒化物半導体を用いたものが知られている。窒化物半導体を用いた半導体装置は、高い飽和電子速度やワイドバンドギャップ等の特徴を利用し、高耐圧、高出力デバイスとしての開発が行われている。例えば、窒化ガリウム(GaN)は、そのバンドギャップが3.4eVであり、シリコン(Si)のバンドギャップである1.1eV及びヒ化ガリウム(GaAs)のバンドギャップである1.4eVよりも大きく、高い絶縁破壊電界を有する。そのため、GaN等の窒化物半導体は、高電圧動作且つ高出力の半導体装置、例えば、増幅器、電源装置、通信装置、レーダー装置等に適用される半導体装置の材料として有望である。窒化物半導体を用いた半導体装置として、電界効果トランジスタ(Field Effect Transistor;FET)、例えば、高電子移動度トランジスタ(High Electron Mobility Transistor;HEMT)が知られている。
【0011】
図1は半導体装置の構成例について説明する図である。図1には、半導体装置の一例の要部断面図を模式的に示している。
図1に示す半導体装置1は、HEMTの一例である。半導体装置1は、下地基板11とその上に設けられる半導体層12とを含む基板10を備える。半導体装置1は更に、基板10上に設けられるゲート電極20、ソース電極30及びドレイン電極40を備える。
【0012】
下地基板11には、シリコンカーバイド(SiC)、Si、GaN、窒化アルミニウム(AlN)、サファイヤ、ダイヤモンド等、各種材料が用いられる。下地基板11には、1種の材料の単層構造が用いられてもよいし、1種又は2種以上の材料の積層構造が用いられてもよい。
【0013】
半導体層12には、GaN、窒化アルミニウムガリウム(AlGaN)等の窒化物半導体が用いられる。半導体層12は、例えば、図1に示すように、チャネル層12a、バリア層12b及びキャップ層12cを含む。
【0014】
チャネル層12aは、下地基板11上に設けられる。チャネル層12aには、例えば、GaNが用いられる。チャネル層12aには、このほか、AlGaN、窒化インジウムガリウム(InGaN)、窒化インジウムアルミニウムガリウム(InAlGaN)等の窒化物半導体が用いられてもよい。チャネル層12aは、1種の窒化物半導体の単層構造であってもよいし、1種又は2種以上の窒化物半導体の積層構造であってもよい。チャネル層12aは、有機金属気相成長(Metal Organic Chemical Vapor Deposition;MOCVD、若しくは、Metal Organic Vapor Phase Epitaxy;MOVPE)法、又は、分子線エピタキシー(Molecular Beam Epitaxy;MBE)法等を用いて、下地基板11上に形成される。チャネル層12aは、電子走行層、キャリア走行層等とも称される。
【0015】
バリア層12bは、チャネル層12a上に設けられる。バリア層12bには、例えば、AlGaNが用いられる。このほか、バリア層12bには、窒化インジウムアルミニウム(InAlN)、InAlGaN、AlN等の窒化物半導体が用いられてもよい。バリア層12bは、1種の窒化物半導体の単層構造であってもよいし、1種又は2種以上の窒化物半導体の積層構造であってもよい。バリア層12bは、MOVPE法等を用いて、チャネル層12a上に形成される。バリア層12bは、電子供給層、キャリア供給層等とも称される。
【0016】
ここで、チャネル層12a及びバリア層12bには、バンドギャップの異なる窒化物半導体が用いられる。バリア層12bの窒化物半導体の自発分極、及び、チャネル層12aの窒化物半導体との格子定数差に起因したひずみによってバリア層12bに発生するピエゾ分極により、チャネル層12aに二次元電子ガス(Two Dimensional Electron Gas;2DEG)領域101が生成される。チャネル層12a及びバリア層12bには、チャネル層12aに2DEG領域101が生成されるような組み合わせの窒化物半導体が用いられる。
【0017】
キャップ層12cは、バリア層12b上に設けられる。キャップ層12cには、ドープ(p型若しくはn型)又はノンドープのGaN等の窒化物半導体が用いられる。キャップ層12cは、1種の窒化物半導体の単層構造であってもよいし、1種又は2種以上の窒化物半導体の積層構造であってもよい。キャップ層12cは、バリア層12b等を保護する機能を有する。このほか、キャップ層12cには、チャネル層12aの2DEG領域101の電子濃度を変調する機能を持たせてもよい。
【0018】
尚、ここでは図示を省略するが、下地基板11とチャネル層12aとの間には、初期層としてAlN等の層が設けられてもよく、バッファ層としてAlGaN等の層が設けられてもよく、鉄(Fe)をドーピングしたGaN等の層が設けられてもよい。このほか、下地基板11とチャネル層12aとの間には、量子井戸(量子閉じ込め)構造を実現するためのバリア層(バックバリア層)としてAlNやAlGaN等の層が設けられてもよい。チャネル層12aとバリア層12bとの間には、スペーサ層としてAlGaN、InGaN等の層が設けられてもよい。半導体層12には、チャネル層12a、バリア層12b及びキャップ層12cのほか、このような初期層、バッファ層、スペーサ層、バックバリア層等のうちの1種又は2種以上が含まれてもよい。
【0019】
ゲート電極20は、半導体層12上に設けられる。ゲート電極20には、金属材料が用いられる。例えば、ゲート電極20として、ニッケル(Ni)とその上に設けられる金(Au)とを有する積層体が設けられる。ゲート電極20は、蒸着法等を用いて形成される。ゲート電極20は、例えば、ショットキー電極として機能するように設けられる。或いは、ゲート電極20は、半導体層12上に、ゲート絶縁膜(図示せず)を介して設けられ、MIS(Metal Insulator Semiconductor)型ゲート構造とされてもよい。
【0020】
ソース電極30及びドレイン電極40は、ゲート電極20の両側の半導体層12上、この例ではキャップ層12c上に、ゲート電極20から離間されて、設けられる。ソース電極30及びドレイン電極40には、金属材料が用いられる。例えば、ソース電極30及びドレイン電極40として、タンタル(Ta)とその上に設けられるアルミニウム(Al)とを有する積層体が設けられる。ソース電極30及びドレイン電極40は、蒸着法等を用いて形成される。ソース電極30及びドレイン電極40は、オーミック電極として機能するように設けられる。ソース電極30及びドレイン電極40は、オーミック電極として機能すれば、キャップ層12cに限らず、バリア層12bと接続されてもよいし、バリア層12bを貫通してチャネル層12aと接続されてもよい。半導体層12のソース電極30及びドレイン電極40が接続される部位には、n型GaNやn型AlGaN等の窒化物半導体を用いたコンタクト層(再成長層)が設けられてもよい。
【0021】
半導体装置1の動作時には、ソース電極30とドレイン電極40との間に所定の電圧が印加されると共に、ゲート電極20に所定の電圧が印加される。ゲート電極20に印加される電圧による電界効果により、ソース電極30とドレイン電極40との間のゲート電極20直下の2DEG領域101を通過する電荷量が制御され、出力のドレイン電流が制御される。このようにして半導体装置1のトランジスタ機能が実現される。
【0022】
ところで、HEMTを備える半導体装置として、例えば、次の図2に示すようなものが知られている。
図2は半導体装置の一例について説明する図である。図2(A)には、半導体装置の一例の要部平面図を模式的に示している。図2(B)には、半導体装置の一例の要部断面図を模式的に示している。図2(B)は図2(A)のII-II断面模式図である。尚、便宜上、平面図の図2(A)にもハッチングを付している。
【0023】
図2(A)及び図2(B)に示す半導体装置100は、基板110、ゲート電極120、ソース電極130及びドレイン電極140を有する。半導体装置100は更に、ソースフィールドプレート150を有する。
【0024】
基板110は、図2(B)に示すように、下地基板111と、その上に設けられる半導体層112とを含む。下地基板111には、上記図1について述べたような下地基板11が用いられる。半導体層112には、上記図1について述べたような半導体層12が用いられ、上記のようなチャネル層12a、バリア層12b及びキャップ層12c等が含まれる。
【0025】
ゲート電極120、ソース電極130及びドレイン電極140は、基板110の一方の面113側に設けられる。基板110の面113側には、ゲート電極120、ソース電極130及びドレイン電極140が、それぞれ複数設けられる。ゲート電極120群は、ゲートバスライン121と接続される(図2(A))。ゲート電極120群は、互いに並んで設けられる。ソース電極130群は、互いに並んで、且つ、ゲート電極120群と並んで設けられる。ドレイン電極140群は、互いに並んで、且つ、ゲート電極120群と並んで設けられる。
【0026】
ゲート電極120の両側にそれぞれ、当該ゲート電極120から離間されて、ソース電極130及びドレイン電極140が設けられる。例えば、ゲート電極120は、ドレイン電極140よりもソース電極130の近傍に設けられる。ゲート電極120を挟むソース電極130とドレイン電極140との間の部位が、それぞれトランジスタ素子(又はトランジスタセル)として機能する。ゲート電極120、ソース電極130及びドレイン電極140はそれぞれ、少なくとも一部が、基板110に形成される素子分離領域110bによって画定される活性領域110a上に設けられる(図2(A))。
【0027】
基板110の素子分離領域110b上には、ゲート電極120と接続されるゲートバスライン121が設けられるほか、ゲートバスライン121と接続されるゲートパッド部(図示せず)が設けられてもよい。更に、基板110の素子分離領域110b上には、ソース電極130と接続されるソースパッド部(図示せず)、及び、ドレイン電極140と接続されるドレインパッド部(図示せず)等が設けられてもよい。
【0028】
尚、半導体装置100のゲート電極120、ソース電極130及びドレイン電極140の本数、即ち、トランジスタ素子の個数は、図2(A)及び図2(B)に示すようなものには限定されない。
【0029】
半導体装置100は更に、基板110の面113側に設けられるパッシベーション膜160及び層間絶縁膜170を有する。
パッシベーション膜160は、図2(A)及び図2(B)に示すように、ソース電極130とドレイン電極140との間に設けられる。パッシベーション膜160は、図2(B)に示すように、基板110の面113の一部、並びに、ソース電極130の下層部及びドレイン電極140の下層部を部分的に覆うように、設けられる。パッシベーション膜160には、窒化シリコン(SiN)等の絶縁材料が用いられる。ゲート電極120は、図2(B)に示すように、パッシベーション膜160に設けられた開口部161に設けられる。
【0030】
層間絶縁膜170は、図2(A)及び図2(B)に示すように、パッシベーション膜160、ゲート電極120及びゲートバスライン121を覆うように設けられる。層間絶縁膜170には、酸化シリコン(SiO)等の絶縁材料が用いられる。図2(B)に示すように、層間絶縁膜170及びパッシベーション膜160を貫通するように、ソース電極130の上層部及びドレイン電極140の上層部が設けられる。
【0031】
半導体装置100では、層間絶縁膜170内であって、ゲート電極120の近傍に、ゲート電極120と並んで、ソースフィールドプレート150が設けられる。ソースフィールドプレート150は、平面視で、ゲート電極120のドレイン電極140側に設けられる。ソースフィールドプレート150には、Au、銅(Cu)、Al、Ni、Ta、チタン(Ti)等の金属材料が用いられる。
【0032】
ソースフィールドプレート150は、図2(A)に示すように、層間絶縁膜170内において、ソース電極130と配線180で接続される。配線180には、Au、Cu、Al、Ni、Ta、Ti等の金属材料が用いられる。ソースフィールドプレート150は、配線180を通じてソース電極130と同電位とされる。ソースフィールドプレート150は、半導体装置100の動作時にドレイン電極140に印加される電圧(ドレイン電圧)の電界を分散し、半導体装置100の破壊、耐圧の低下を抑えるために設けられる。
【0033】
しかし、半導体装置100では、層間絶縁膜170内を引き回されてソースフィールドプレート150とソース電極130とを接続する配線180の部分、即ち、図2(A)のP1部において、ドレイン電圧の電界によって破壊が生じる場合があった。これは、配線180が角部を有する形状であるため、そのような角部にドレイン電圧の電界がかかり易く、その結果、配線180の部分(P1部)に破壊が生じ易くなるものと考えられている。配線180の部分の破壊は、半導体装置100の耐圧の低下を招く。
【0034】
また、半導体装置100では、ゲート電極120とソース電極130との間、及び、ゲート電極120とドレイン電極140との間に、層間絶縁膜170が充填される。この場合、半導体装置100では、ゲート-ソース間容量Cgs、ゲート-ドレイン間容量Cgdといった容量成分が付加され得る。このような容量成分の付加は、半導体装置100の高周波特性、例えば、カットオフ周波数(f=gm/(2π×Cgs)、gm:相互コンダクタンス)等の高周波特性の低下を招くことがある。
【0035】
以上のような点に鑑み、ここでは以下に実施の形態と示すような構成を採用し、高性能の半導体装置を実現する。
[第1実施形態]
図3及び図4は第1実施形態に係る半導体装置の一例について説明する図である。図3には、第1実施形態に係る半導体装置の一例の要部平面図を模式的に示している。図4には、第1実施形態に係る半導体装置の一例の要部断面図を模式的に示している。図4図3のIV-IV断面模式図である。尚、便宜上、平面図の図3にもハッチングを付している。
【0036】
図3及び図4に示す半導体装置1Aは、基板10、ゲート電極20、ソース電極30及びドレイン電極40を有する。半導体装置1Aは更に、ソースフィールドプレート50及びエアブリッジ配線80を有する。
【0037】
基板10は、図4に示すように、下地基板11と、その上に設けられる半導体層12とを含む。下地基板11には、上記図1について述べたような下地基板が用いられる。半導体層12には、上記図1について述べたような半導体層が用いられ、上記のようなチャネル層12a、バリア層12b及びキャップ層12c等が含まれる。
【0038】
ゲート電極20、ソース電極30及びドレイン電極40は、基板10の一方の面13側に設けられる。尚、基板10の面13を「第1面」とも言う。基板10の面13側には、ゲート電極20、ソース電極30及びドレイン電極40が、それぞれ複数設けられる。ゲート電極20群は、図3に示すように、ゲートバスライン21と接続される。ゲート電極20群は、互いに並んで設けられる。ソース電極30群は、互いに並んで、且つ、ゲート電極20群と並んで設けられる。ドレイン電極40群は、互いに並んで、且つ、ゲート電極20群と並んで設けられる。
【0039】
ゲート電極20の両側にそれぞれ、当該ゲート電極20から離間されて、ソース電極30及びドレイン電極40が設けられる。例えば、ゲート電極20は、ドレイン電極40よりもソース電極30の近傍に設けられる。ゲート電極20を挟むソース電極30とドレイン電極40との間の部位が、それぞれトランジスタ素子(又はトランジスタセル)として機能する。ゲート電極20、ソース電極30及びドレイン電極40はそれぞれ、少なくとも一部が、図3に示すように、基板10に形成される素子分離領域10bによって画定される活性領域10a上に設けられる。
【0040】
基板10の素子分離領域10b上には、ゲート電極20と接続されるゲートバスライン21が設けられるほか、ゲートバスライン21と接続されるゲートパッド部(図示せず)が設けられてもよい。更に、基板10の素子分離領域10b上には、ソース電極30と接続されるソースパッド部(図示せず)、及び、ドレイン電極40と接続されるドレインパッド部(図示せず)等が設けられてもよい。
【0041】
尚、半導体装置1Aのゲート電極20、ソース電極30及びドレイン電極40の本数、即ち、トランジスタ素子の個数は、図3及び図4に示すようなものには限定されない。
半導体装置1Aは更に、基板10の面13側に設けられるパッシベーション膜60及び層間絶縁膜70を有する。
【0042】
パッシベーション膜60は、図3及び図4に示すように、ソース電極30とドレイン電極40との間に設けられる。パッシベーション膜60は、図4に示すように、基板10の面13の一部、並びに、ソース電極30の下層部(「ソース電極下層部」とも言う)及びドレイン電極40の下層部(「ドレイン電極下層部」とも言う)を部分的に覆うように、設けられる。パッシベーション膜60には、SiN等の絶縁材料が用いられる。ゲート電極20は、図4に示すように、パッシベーション膜60に設けられた開口部61に設けられる。
【0043】
層間絶縁膜70は、図3及び図4に示すように、パッシベーション膜60の一部、ゲート電極20及びゲートバスライン21を覆うように、設けられる。層間絶縁膜70とソース電極30との間、及び、層間絶縁膜70とドレイン電極40との間には、空洞90が設けられる。即ち、層間絶縁膜70は、ゲート電極20、ソース電極30及びドレイン電極40のうち、ゲート電極20の周辺に設けられ、ソース電極30及びドレイン電極40の周辺には設けられない。層間絶縁膜70には、SiO等の絶縁材料が用いられる。図4に示すように、パッシベーション膜60を貫通するように、ソース電極30の上層部(「ソース電極上層部」とも言う)及びドレイン電極40の上層部(「ドレイン電極上層部」とも言う)が設けられる。
【0044】
ソースフィールドプレート50は、図3及び図4に示すように、パッシベーション膜60の一部とゲート電極20とを覆う層間絶縁膜70の上に設けられる。ソースフィールドプレート50は、層間絶縁膜70の、基板10側とは反対側に設けられるとも言える。ソースフィールドプレート50は、層間絶縁膜70上であって、ゲート電極20の近傍に、ゲート電極20と並んで、設けられる。例えば、ソースフィールドプレート50は、平面視で、ゲート電極20のドレイン電極40側に、或いは、ゲート電極20のドレイン電極40側の端部と部分的に重なるように、設けられる。ソースフィールドプレート50には、Au、Cu、Al、Ni、Ta、Ti等の金属材料が用いられる。
【0045】
エアブリッジ配線80は、図3及び図4に示すように、ソース電極30とソースフィールドプレート50とを接続するように設けられる。エアブリッジ配線80は、ソース電極30と、ソースフィールドプレート50が設けられる層間絶縁膜70との間の空洞90を跨いで、ソース電極30とソースフィールドプレート50とを接続する。エアブリッジ配線80には、Au、Cu、Al、Ni、Ta、Ti等の金属材料が用いられる。
【0046】
半導体装置1Aでは、ゲート電極20を覆う層間絶縁膜70上にソースフィールドプレート50が設けられる。半導体装置1Aでは、ソース電極30とソースフィールドプレート50とが、ソース電極30と層間絶縁膜70との間の空洞90を跨ぐように設けられるエアブリッジ配線80で接続される。ソースフィールドプレート50は、エアブリッジ配線80を通じてソース電極30と電気的に接続され、ソース電極30と同電位とされる。ソースフィールドプレート50は、半導体装置1Aの動作時にドレイン電極40に印加されるドレイン電圧の電界を分散し、半導体装置1Aの破壊、耐圧の低下を抑える機能を有する。
【0047】
半導体装置1Aでは、ソース電極30とソースフィールドプレート50とが、ドレイン電圧の電界がかかり易い角部を有するような形状の引き回し配線ではなく、エアブリッジ配線80によって接続される。即ち、半導体装置1Aでは、上記図2(A)及び図2(B)に示したような形態の配線180ではなく、図3及び図4に示すようなエアブリッジ配線80によってソース電極30とソースフィールドプレート50とが接続される。
【0048】
エアブリッジ配線80によれば、ドレイン電圧の電界がかかり易い角部が形成されることを抑えることが可能になる。そのため、エアブリッジ配線80の形状の観点から、エアブリッジ配線80にはドレイン電圧の電界がかかり難くなり、エアブリッジ配線80に破壊が生じることが抑えられるようになる。また、エアブリッジ配線80によれば、ソース電極30とソースフィールドプレート50とがそれらの上部空間において接続されるようになる。そのため、エアブリッジ配線80のレイアウトの観点から、エアブリッジ配線80にはドレイン電圧の電界がかかり難くなり、エアブリッジ配線80に破壊が生じることが抑えられるようになる。
【0049】
半導体装置1Aでは、エアブリッジ配線80が採用されることで、ドレイン電圧の電界がかかること、及び、ドレイン電圧の電界によって破壊が生じることが抑えられるようになる。これにより、ソース電極30とソースフィールドプレート50との電気的接続部の破壊に起因した半導体装置1Aの耐圧の低下が効果的に抑えられる。
【0050】
半導体装置1Aでは、ゲート電極20が層間絶縁膜70によって覆われて保護される。半導体装置1Aでは、ゲート電極20(それを覆う層間絶縁膜70)と、ソース電極30との間及びドレイン電極40との間に、層間絶縁膜70が存在しない空洞90が設けられる。半導体装置1Aでは、空洞90が設けられることで、ゲート-ソース間容量Cgs、ゲート-ドレイン間容量Cgdといった容量成分が付加されることが抑えられるようになる。これにより、容量成分の付加に起因した半導体装置1Aの高周波特性の低下、例えば、カットオフ周波数等の高周波特性の低下が効果的に抑えられる。
【0051】
上記のような構成によれば、ソースフィールドプレート50を備え、耐圧の低下及び高周波特性の低下が効果的に抑えられる、高性能の半導体装置1Aが実現される。
次に、半導体装置1Aの製造方法について説明する。
【0052】
図5から図7は第1実施形態に係る半導体装置の製造方法の一例について説明する図である。図5(A)には、ソース電極下層部及びドレイン電極下層部並びにパッシベーション膜形成工程の一例の要部断面図を模式的に示している。図5(B)には、ゲート電極形成工程の一例の要部断面図を模式的に示している。図5(C)には、層間絶縁膜形成工程の一例の要部断面図を模式的に示している。図6(A)には、開口部形成工程の一例の要部断面図を模式的に示している。図6(B)には、ソース電極上層部及びドレイン電極上層部並びにソースフィールドプレート形成工程の一例の要部断面図を模式的に示している。図6(C)には、層間絶縁膜一部除去工程の一例の要部断面図を模式的に示している。図7(A)には、エアブリッジ用レジスト及びエアブリッジ配線形成工程の一例の要部断面図を模式的に示している。図7(B)には、エアブリッジ用レジスト除去工程の一例の要部断面図を模式的に示している。
【0053】
ここでは、半導体装置1Aの活性領域10aの製造を中心に説明する。
まず、図5(A)に示すような基板10が準備される。即ち、下地基板11上に、MOVPE法等を用いて、半導体層12として、上記図1に示したようなチャネル層12a、バリア層12b及びキャップ層12c等が形成され、基板10が準備される。基板10には、例えば、アルゴン(Ar)等のイオン注入により、上記図3に示したような素子分離領域10bが形成される。素子分離領域10bによって画定される領域に、上記図3に示したような活性領域10aが形成される。
【0054】
基板10の準備後、図5(A)に示すように、基板10の半導体層12側の面13上に、リソグラフィ技術、蒸着技術及びリフトオフ技術を用いて、Ta及びAlの積層構造等を有する金属材料が形成される。これにより、ソース電極30の下層部であるソース電極下層部31、及び、ドレイン電極40の下層部であるドレイン電極下層部41が形成される。尚、ソース電極下層部31及びドレイン電極下層部41と共に、基板10の素子分離領域10b上には、ソースパッド部及びドレインパッド部(例えばそれらの下層部)が形成されてもよい。
【0055】
ソース電極下層部31及びドレイン電極下層部41の形成前には、半導体層12に設けた凹部にコンタクト層(再成長層)が形成されてもよい。ソース電極下層部31及びドレイン電極下層部41の形成後には、オーミック接続を確立するための熱処理が行われてもよい。
【0056】
ソース電極下層部31及びドレイン電極下層部41の形成後、図5(A)に示すように、それらを形成した基板10上に、パッシベーション膜60が形成される。例えば、化学気相堆積(Chemical Vapor Deposition;CVD)法等を用いて、SiN等のパッシベーション膜60が形成される。
【0057】
次いで、図5(B)に示すように、パッシベーション膜60の、ソース電極下層部31とドレイン電極下層部41との間の所定の位置に、開口部61が形成される。そして、開口部61の位置に、リソグラフィ技術、蒸着技術及びリフトオフ技術を用いて、Ni及びAuの積層構造等を有する金属材料が形成される。これにより、ゲート電極20が形成される。尚、ゲート電極20と共に、基板10の素子分離領域10b上には、ゲート電極20と接続されるゲートバスライン21及びゲートパッド部が形成されてもよい。
【0058】
次いで、図5(C)に示すように、パッシベーション膜60及びゲート電極20を覆う層間絶縁膜70が形成される。例えば、CVD法等を用いて、SiO等の層間絶縁膜70が形成される。
【0059】
次いで、図6(A)に示すように、層間絶縁膜70及びパッシベーション膜60を貫通し、ソース電極下層部31及びドレイン電極下層部41にそれぞれ達する開口部91が形成される。例えば、エッチング法を用いて、開口部91が形成される。
【0060】
次いで、図6(B)に示すように、開口部91の位置に、ソース電極30の上層部であるソース電極上層部32、及び、ドレイン電極40の上層部であるドレイン電極上層部42が形成される。例えば、リソグラフィ技術及びめっき技術を用いて、ソース電極上層部32及びドレイン電極上層部42が形成される。ソース電極上層部32は、ソース電極下層部31上に形成され、ソース電極下層部31と接続される。ドレイン電極上層部42は、ドレイン電極下層部41上に形成され、ドレイン電極下層部41と接続される。ソース電極上層部32及びドレイン電極上層部42には、Au、Cu、Al等の金属材料が用いられる。ソース電極上層部32及びドレイン電極上層部42には、ソース電極下層部31及びドレイン電極下層部41とは異なる金属材料が用いられてもよい。尚、ソース電極上層部32及びドレイン電極上層部42と共に、基板10の素子分離領域10b上には、ソースパッド部及びドレインパッド部(例えばそれらの上層部)が形成されてもよい。
【0061】
ソース電極下層部31及びソース電極上層部32により、半導体装置1Aのソース電極30が形成される。ドレイン電極下層部41及びドレイン電極上層部42により、半導体装置1Aのドレイン電極40が形成される。
【0062】
ソース電極上層部32及びドレイン電極上層部42と共に、層間絶縁膜70上にソースフィールドプレート50が形成される。例えば、図6(B)に示すように、層間絶縁膜70上であって、ゲート電極20のドレイン電極40側の端部に対応する位置に、ソースフィールドプレート50が形成される。例えば、リソグラフィ技術及びめっき技術を用いて、ソースフィールドプレート50が形成される。ソースフィールドプレート50には、Au、Cu、Al等の金属材料が用いられる。ソースフィールドプレート50には、ソース電極上層部32及びドレイン電極上層部42とは異なる金属材料が用いられてもよい。
【0063】
次いで、図6(C)に示すように、層間絶縁膜70が部分的に除去される。ここでは、ソースフィールドプレート50が形成された領域を含む、ゲート電極20(及びゲートバスライン21)の周辺に、層間絶縁膜70が残存するように、層間絶縁膜70が部分的に除去される。このように層間絶縁膜70が部分的に除去されることで、残存する層間絶縁膜70とソース電極30及びドレイン電極40との間に、層間絶縁膜70が介在されない空洞90が形成される。
【0064】
次いで、図7(A)に示すように、層間絶縁膜70とソース電極30との間の空洞90を埋めるように、犠牲層となるエアブリッジ用レジスト81が形成される。そして、図7(A)に示すように、エアブリッジ用レジスト81上に、層間絶縁膜70上のソースフィールドプレート50と、ソース電極30(そのソース電極上層部32)とを接続する、エアブリッジ配線80が形成される。例えば、リソグラフィ技術及びめっき技術を用いて、エアブリッジ配線80が形成される。エアブリッジ配線80には、Au、Cu、Al等の金属材料が用いられる。エアブリッジ配線80には、ソースフィールドプレート50及びソース電極30とは異なる金属材料が用いられてもよい。
【0065】
次いで、図8(B)に示すように、犠牲層のエアブリッジ用レジスト81が除去される。これにより、ゲート電極20を覆う層間絶縁膜70との間に空洞90を介してソース電極30が設けられ、層間絶縁膜70上のソースフィールドプレート50と、ソース電極30とが、エアブリッジ配線80で接続された構造が形成される。
【0066】
以上述べた図5(A)から図5(C)、図6(A)から図6(C)、図7(A)及び図7(B)のような工程により、上記図3及び図4に示したような構成を有する半導体装置1Aが製造される。
【0067】
半導体装置1Aでは、ソースフィールドプレート50とソース電極30とがエアブリッジ配線80で接続されることで、ドレイン電圧の電界による破壊が抑えられ、耐圧の低下が抑えられる。更に、半導体装置1Aでは、ゲート電極20とソース電極30及びドレイン電極40との間に空洞90が設けられることで、容量成分の付加に起因した高周波特性の低下が抑えられる。ソースフィールドプレート50を備え、耐圧の低下及び高周波特性の低下が抑えられる、高性能の半導体装置1Aが実現される。
【0068】
尚、この第1実施形態の説明では、窒化物半導体を用いたHEMTを例にしたが、上記のような構成は、窒化物半導体以外の半導体又は化合物半導体を用いた各種FETに適用することもできる。即ち、ゲート電極を覆う層間絶縁膜上のソースフィールドプレートと、ソース電極とを、エアブリッジ配線で接続する構成は、HEMTに限らず、各種FETに適用可能である。以下に述べる第2から第4実施形態についても同様である。
【0069】
[第2実施形態]
図8は第2実施形態に係る半導体装置の一例について説明する図である。図8には、第2実施形態に係る半導体装置の一例の要部断面図を模式的に示している。尚、便宜上、平面図の図8にもハッチングを付している。
【0070】
図8に示す半導体装置1Bは、層間絶縁膜70上のソースフィールドプレート50とソース電極30とを接続するエアブリッジ配線80が複数とされた構成を有する。半導体装置1Bは、このような構成を有する点で、上記第1実施形態で述べた半導体装置1Aと相違する。
【0071】
半導体装置1Bによっても、上記半導体装置1Aについて述べたのと同様の効果が得られる。即ち、半導体装置1Bでは、ソースフィールドプレート50とソース電極30とが複数のエアブリッジ配線80で接続されることで、ドレイン電圧の電界による破壊が抑えられ、耐圧の低下が抑えられる。更に、半導体装置1Bでは、ゲート電極20とソース電極30及びドレイン電極40との間に空洞90が設けられることで、容量成分の付加に起因した高周波特性の低下が抑えられる。ソースフィールドプレート50を備え、耐圧の低下及び高周波特性の低下が抑えられる、高性能の半導体装置1Bが実現される。
【0072】
また、半導体装置1Bでは、エアブリッジ配線80が複数とされている。そのため、個々のエアブリッジ配線80を精度良く形成し、ソースフィールドプレート50とソース電極30とを接続することができる。一方向に長尺のソースフィールドプレート50とソース電極30との間を1つのエアブリッジ配線80で接続する場合には、長尺の1つのエアブリッジ配線80を形成する際、当該エアブリッジ配線80が途切れたり膜厚が変動したりすることが起こり得る。その結果、ソースフィールドプレート50の電位が不安定となったりドレイン電圧の電界が局所的にかかったりする等の事態が起こり得る。これに対し、エアブリッジ配線80を複数とすると、長尺の1つのエアブリッジ配線80を形成する場合に比べて、個々のエアブリッジ配線80を、途切れたり膜厚が変動したりすることを抑えて、精度良く形成することが可能になる。その結果、上記のような事態を抑えることが可能になる。
【0073】
半導体装置1Bの製造では、上記図7(A)に示した工程において、エアブリッジ用レジスト81の形成後、リソグラフィ技術及びめっき技術を用いて、ソースフィールドプレート50とソース電極30とを接続する複数のエアブリッジ配線80が形成される。その他の工程は、上記半導体装置1Aの製造について述べたのと同様とすることができる。
【0074】
[第3実施形態]
図9は第3実施形態に係る半導体装置の一例について説明する図である。図9には、第3実施形態に係る半導体装置の一例の要部断面図を模式的に示している。
【0075】
図9に示す半導体装置1Cは、基板10(その面13)に対し、ソースフィールドプレート50がソース電極30よりも低い位置に設けられた構成を有する。即ち、半導体装置1Cは、ソースフィールドプレート50の、基板10側とは反対側の面50aが、ソース電極30の、基板10側とは反対側の面30aよりも、基板10側に位置する構成を有する。尚、ソースフィールドプレート50の面50aを「第2面」とも言い、ソース電極30の面30aを「第3面」とも言う。半導体装置1Cは、このような構成を有する点で、上記第1実施形態で述べた半導体装置1Aと相違する。
【0076】
半導体装置1Cによっても、上記半導体装置1Aについて述べたのと同様の効果が得られる。即ち、半導体装置1Cでは、ソースフィールドプレート50とソース電極30とがエアブリッジ配線80で接続されることで、ドレイン電圧の電界による破壊が抑えられ、耐圧の低下が抑えられる。更に、半導体装置1Cでは、ゲート電極20とソース電極30及びドレイン電極40との間に空洞90が設けられることで、容量成分の付加に起因した高周波特性の低下が抑えられる。ソースフィールドプレート50を備え、耐圧の低下及び高周波特性の低下が抑えられる、高性能の半導体装置1Cが実現される。
【0077】
半導体装置1Cでは、基板10に対し、ソースフィールドプレート50がソース電極30よりも低い位置に設けられる。半導体装置1Cでは、ゲート電極20を覆う層間絶縁膜70の膜厚が、ソース電極30の高さに比べて薄くなるように調整される。ソース電極30に対して比較的薄くなるように膜厚が調整された層間絶縁膜70上にソースフィールドプレート50が形成され、そのソースフィールドプレート50とソース電極30とがエアブリッジ配線80で接続される。
【0078】
半導体装置1Cのように、ソースフィールドプレート50は、必ずしもその面50aがソース電極30の面30aと同じ高さに位置していることを要しない。半導体装置1Cでは、ソース電極30の高さに対し、層間絶縁膜70の膜厚及びソースフィールドプレート50の高さを調整することができる。例えば、半導体装置1Cのソース電極30の高さを、上記半導体装置1Aのソース電極30と同じ高さに設定した場合、半導体装置1Cの層間絶縁膜70の膜厚は、上記半導体装置1Aの層間絶縁膜70の膜厚に比べて、相対的に薄くなる。その結果、半導体装置1Cの基板10に対するソースフィールドプレート50の高さは、上記半導体装置1Aの基板10に対するソースフィールドプレート50の高さに比べて、相対的に低くなる。
【0079】
半導体装置1Cでは、ソース電極30の高さとは独立に、ソースフィールドプレート50とゲート電極20との間の距離を調整することができる。半導体装置1Cでは、ドレイン電圧の電界に基づき、ソースフィールドプレート50とゲート電極20との間の距離を調整することもできる。半導体装置1Cによれば、ソースフィールドプレート50とゲート電極20との間の距離を調整し、ドレイン電圧の電界をソースフィールドプレート50で効果的に分散し、ドレイン電圧の電界がゲート電極20に集中することを効果的に抑えることが可能になる。
【0080】
次に、半導体装置1Cの製造方法について説明する。
図10及び図11は第3実施形態に係る半導体装置の製造方法の一例について説明する図である。図10(A)には、電極形成用レジスト形成工程の一例の要部断面図を模式的に示している。図10(B)には、開口部形成工程の一例の要部断面図を模式的に示している。図10(C)には、ソース電極最上層部及びドレイン電極最上層部形成工程の一例の要部断面図を模式的に示している。図11(A)には、電極形成用レジスト除去工程の一例の要部断面図を模式的に示している。図11(B)には、エアブリッジ用レジスト及びエアブリッジ配線形成工程の一例の要部断面図を模式的に示している。図11(C)には、エアブリッジ用レジスト除去工程の一例の要部断面図を模式的に示している。
【0081】
半導体装置1Cの製造では、上記第1実施形態の半導体装置1Aの製造方法について述べた図5(A)から図5(C)、及び、図6(A)から図6(C)の工程までは同様とすることができる。
【0082】
半導体装置1Cの製造では、上記図6(C)の工程後、図10(A)に示すように、基板10上に形成されたソース電極上層部32及びドレイン電極上層部42等を覆うように、電極形成用レジスト93が形成される。
【0083】
次いで、図10(B)に示すように、電極形成用レジスト93に、ソース電極上層部32及びドレイン電極上層部42に通じる開口部94が形成される。
次いで、図10(C)に示すように、開口部94に、ソース電極最上層部33及びドレイン電極最上層部43が形成される。例えば、めっき技術を用いて、ソース電極最上層部33及びドレイン電極最上層部43が形成される。ソース電極最上層部33は、ソース電極上層部32上に形成され、ソース電極上層部32と接続される。ドレイン電極最上層部43は、ドレイン電極上層部42上に形成され、ドレイン電極上層部42と接続される。ソース電極最上層部33及びドレイン電極最上層部43には、Au、Cu、Al等の金属材料が用いられる。ソース電極最上層部33及びドレイン電極最上層部43には、ソース電極上層部32及びドレイン電極上層部42とは異なる金属材料が用いられてもよい。尚、ソース電極最上層部33及びドレイン電極最上層部43と共に、基板10の素子分離領域10b上には、ソースパッド部及びドレインパッド部(例えばそれらの最上層部)が形成されてもよい。
【0084】
ソース電極下層部31、ソース電極上層部32及びソース電極最上層部33により、半導体装置1Cのソース電極30が形成される。ドレイン電極下層部41、ドレイン電極上層部42及びドレイン電極最上層部43により、半導体装置1Cのドレイン電極40が形成される。
【0085】
次いで、図11(A)に示すように、電極形成用レジスト93が除去される。
このようにして、基板10(その面13)に対し、ソースフィールドプレート50がソース電極30よりも低い位置に設けられた構成、即ち、ソースフィールドプレート50の面50aが、ソース電極30の面30aよりも基板10側に位置する構成が得られる。
【0086】
次いで、図11(B)に示すように、層間絶縁膜70とソース電極30との間の空洞90を埋めるように、犠牲層となるエアブリッジ用レジスト81が形成される。そして、図7(A)に示すように、エアブリッジ用レジスト81上に、層間絶縁膜70上のソースフィールドプレート50と、ソース電極30(そのソース電極最上層部33)とを接続する、エアブリッジ配線80が形成される。例えば、リソグラフィ技術及びめっき技術を用いて、エアブリッジ配線80が形成される。エアブリッジ配線80には、Au、Cu、Al等の金属材料が用いられる。エアブリッジ配線80には、ソースフィールドプレート50及びソース電極30とは異なる金属材料が用いられてもよい。
【0087】
次いで、図11(C)に示すように、エアブリッジ用レジスト81が除去される。これにより、ゲート電極20を覆う層間絶縁膜70との間に空洞90を介してソース電極30が設けられ、層間絶縁膜70上のソースフィールドプレート50と、ソース電極30とが、エアブリッジ配線80で接続された構造が形成される。
【0088】
上記図6(C)の工程後、以上の図10(A)から図10(C)、及び、図11(A)から図11(C)のような工程により、上記図9に示したような構成を有する半導体装置1Cが製造される。
【0089】
[第4実施形態]
図12は第4実施形態に係る半導体装置の一例について説明する図である。図12には、第4実施形態に係る半導体装置の一例の要部断面図を模式的に示している。
【0090】
図12に示す半導体装置1Dは、ソース電極30とドレイン電極40との間に層間絶縁膜70が充填された構成を有する。即ち、半導体装置1Dは、上記のような空洞90が設けられない構成を有する。半導体装置1Dは、このような構成を有する点で、上記第1実施形態で述べた半導体装置1Aと相違する。
【0091】
半導体装置1Dによっても、上記半導体装置1Aについて述べたのと同様に、ソースフィールドプレート50とソース電極30とがエアブリッジ配線80で接続されることで、ドレイン電圧の電界による破壊が抑えられ、耐圧の低下が抑えられる。ソースフィールドプレート50を備え、耐圧の低下が抑えられる、高性能の半導体装置1Dが実現される。
【0092】
半導体装置1Dの製造では、上記図6(B)の工程後、上記図7(A)の工程の例に従い、ソースフィールドプレート50とソース電極30との間に残存する層間絶縁膜70上に、エアブリッジ用レジスト81が形成される。そして、エアブリッジ用レジスト81上に、ソースフィールドプレート50とソース電極30とを接続するエアブリッジ配線80が形成される。その後、エアブリッジ用レジスト81が除去される。その他の工程は、上記半導体装置1Aの製造について述べたのと同様とすることができる。
【0093】
半導体装置1Dでは、層間絶縁膜70を部分的に除去して空洞90を形成する工程(図6(C))を省略し、製造工数を削減することが可能になる。
尚、半導体装置1Dにおいて、上記第3実施形態の例に従い、層間絶縁膜70の膜厚及びソース電極30の高さを調整し、ソースフィールドプレート50をソース電極30よりも低い位置としてもよい。それにより、ソースフィールドプレート50とゲート電極20との間の距離を調整してもよい。この場合は、上記図6(B)の工程後、上記図10(A)以降の工程の例に従い、電極形成用レジスト93を用いたソース電極最上層部33及びドレイン電極最上層部43の形成(図10(A)-図11(A))、並びに、エアブリッジ配線80の形成(図11(B)-図11(C))が行われる。
【0094】
以上、第1から第4実施形態について説明した。
以上述べた半導体装置1A、1B、1C、1D等は、各種電子装置に適用することができる。例として、上記のような構成を有する半導体装置を、半導体パッケージ、力率改善回路、電源装置及び増幅器に適用する場合について、以下に説明する。
【0095】
[第5実施形態]
ここでは、上記のような構成を有する半導体装置の、半導体パッケージへの適用例を、第5実施形態として説明する。
【0096】
図13は第5実施形態に係る半導体パッケージの一例について説明する図である。図13には、半導体パッケージの一例の要部平面図を模式的に示している。
図13に示す半導体パッケージ200は、ディスクリートパッケージの一例である。半導体パッケージ200は、例えば、上記第1実施形態で述べたような半導体装置1A(図3及び図4等)、半導体装置1Aが搭載されたリードフレーム210、及び、それらを封止する樹脂220を含む。
【0097】
半導体装置1Aは、例えば、リードフレーム210のダイパッド210a上にダイアタッチ材等(図示せず)を用いて搭載される。半導体装置1Aには、上記ゲート電極20と接続されたパッド24、ソース電極30と接続されたパッド34、及び、ドレイン電極40と接続されたパッド44が設けられる。パッド24、パッド34及びパッド44はそれぞれ、Au、Al等のワイヤ230を用いてリードフレーム210のゲートリード211、ソースリード212及びドレインリード213に接続される。ゲートリード211、ソースリード212及びドレインリード213の各一部が露出するように、リードフレーム210とそれに搭載された半導体装置1A及びそれらを接続するワイヤ230が、樹脂220で封止される。
【0098】
半導体装置1Aの、ゲート電極20と接続されたパッド24及びドレイン電極40と接続されたパッド44が設けられる面とは反対側の面に、ソース電極30と接続された外部接続用電極が設けられてもよい。当該外部接続用電極を、ソースリード212に繋がるダイパッド210aに、半田等の導電性接合材を用いて接続してもよい。
【0099】
例えば、上記第1実施形態で述べたような半導体装置1Aが用いられ、このような構成を有する半導体パッケージ200が得られる。
上記のように、半導体装置1Aでは、ソースフィールドプレート50とソース電極30とがエアブリッジ配線80で接続されることで、ドレイン電圧の電界による破壊が抑えられ、耐圧の低下が抑えられる。更に、半導体装置1Aでは、ゲート電極20とソース電極30及びドレイン電極40との間に空洞90が設けられることで、容量成分の付加に起因した高周波特性の低下が抑えられる。これにより、ソースフィールドプレート50を備えた高性能の半導体装置1Aが実現される。このような半導体装置1Aが用いられ、高性能の半導体パッケージ200が実現される。
【0100】
ここでは、半導体装置1Aを例にしたが、他の半導体装置1B、1C、1D等を用いて同様に半導体パッケージを得ることが可能である。
[第6実施形態]
ここでは、上記のような構成を有する半導体装置の、力率改善回路への適用例を、第6実施形態として説明する。
【0101】
図14は第6実施形態に係る力率改善回路の一例について説明する図である。図14には、力率改善回路の一例の等価回路図を示している。
図14に示す力率改善(Power Factor Correction;PFC)回路300は、スイッチ素子310、ダイオード320、チョークコイル330、コンデンサ340、コンデンサ350、ダイオードブリッジ360及び交流電源370(AC)を含む。
【0102】
PFC回路300において、スイッチ素子310のドレイン電極と、ダイオード320のアノード端子及びチョークコイル330の一端子とが接続される。スイッチ素子310のソース電極と、コンデンサ340の一端子及びコンデンサ350の一端子とが接続される。コンデンサ340の他端子とチョークコイル330の他端子とが接続される。コンデンサ350の他端子とダイオード320のカソード端子とが接続される。また、スイッチ素子310のゲート電極には、ゲートドライバが接続される。コンデンサ340の両端子間には、ダイオードブリッジ360を介して交流電源370が接続され、コンデンサ350の両端子間から直流電源(DC)が取り出される。
【0103】
例えば、このような構成を有するPFC回路300のスイッチ素子310に、上記半導体装置1A、1B、1C、1D等が用いられる。
上記のように、半導体装置1A、1B、1C、1D等では、ソースフィールドプレート50とソース電極30とがエアブリッジ配線80で接続されることで、ドレイン電圧の電界による破壊が抑えられ、耐圧の低下が抑えられる。更に、半導体装置1A、1B、1C等では、ゲート電極20とソース電極30及びドレイン電極40との間に空洞90が設けられることで、容量成分の付加に起因した高周波特性の低下が抑えられる。これにより、ソースフィールドプレート50を備えた高性能の半導体装置1A、1B、1C、1D等が実現される。このような半導体装置1A、1B、1C、1D等が用いられ、高性能のPFC回路300が実現される。
【0104】
[第7実施形態]
ここでは、上記のような構成を有する半導体装置の、電源装置への適用例を、第7実施形態として説明する。
【0105】
図15は第7実施形態に係る電源装置の一例について説明する図である。図15には、電源装置の一例の等価回路図を示している。
図15に示す電源装置400は、一次側回路410及び二次側回路420、並びに一次側回路410と二次側回路420との間に設けられるトランス430を含む。
【0106】
一次側回路410には、上記第6実施形態で述べたようなPFC回路300、及びPFC回路300のコンデンサ350の両端子間に接続されたインバータ回路、例えば、フルブリッジインバータ回路440が含まれる。フルブリッジインバータ回路440には、複数、ここでは一例として4つのスイッチ素子441、スイッチ素子442、スイッチ素子443及びスイッチ素子444が含まれる。
【0107】
二次側回路420には、複数、ここでは一例として3つのスイッチ素子421、スイッチ素子422及びスイッチ素子423が含まれる。
例えば、このような構成を有する電源装置400の、一次側回路410に含まれるPFC回路300のスイッチ素子310、及びフルブリッジインバータ回路440のスイッチ素子441-444に、上記半導体装置1A、1B、1C、1D等が用いられる。例えば、電源装置400の、二次側回路420のスイッチ素子421、422、423には、Siを用いた通常のMIS型電界効果トランジスタが用いられる。
【0108】
上記のように、半導体装置1A、1B、1C、1D等では、ソースフィールドプレート50とソース電極30とがエアブリッジ配線80で接続されることで、ドレイン電圧の電界による破壊が抑えられ、耐圧の低下が抑えられる。更に、半導体装置1A、1B、1C等では、ゲート電極20とソース電極30及びドレイン電極40との間に空洞90が設けられることで、容量成分の付加に起因した高周波特性の低下が抑えられる。これにより、ソースフィールドプレート50を備えた高性能の半導体装置1A、1B、1C、1D等が実現される。このような半導体装置1A、1B、1C、1D等が用いられ、高性能の電源装置400が実現される。
【0109】
[第8実施形態]
ここでは、上記のような構成を有する半導体装置の、増幅器への適用例を、第8実施形態として説明する。
【0110】
図16は第8実施形態に係る増幅器の一例について説明する図である。図16には、増幅器の一例の等価回路図を示している。
図16に示す増幅器500は、デジタルプレディストーション回路510、ミキサー520、ミキサー530及びパワーアンプ540を含む。
【0111】
デジタルプレディストーション回路510は、入力信号の非線形歪みを補償する。ミキサー520は、非線形歪みが補償された入力信号SIと交流信号とをミキシングする。パワーアンプ540は、入力信号SIが交流信号とミキシングされた信号を増幅する。増幅器500では、例えば、スイッチの切り替えにより、出力信号SOをミキサー530で交流信号とミキシングしてデジタルプレディストーション回路510に送出することができる。増幅器500は、高周波増幅器、高出力増幅器として使用することができる。
【0112】
このような構成を有する増幅器500のパワーアンプ540に、上記半導体装置1A、1B、1C、1D等が用いられる。
上記のように、半導体装置1A、1B、1C、1D等では、ソースフィールドプレート50とソース電極30とがエアブリッジ配線80で接続されることで、ドレイン電圧の電界による破壊が抑えられ、耐圧の低下が抑えられる。更に、半導体装置1A、1B、1C等では、ゲート電極20とソース電極30及びドレイン電極40との間に空洞90が設けられることで、容量成分の付加に起因した高周波特性の低下が抑えられる。これにより、ソースフィールドプレート50を備えた高性能の半導体装置1A、1B、1C、1D等が実現される。このような半導体装置1A、1B、1C、1D等が用いられ、高性能の増幅器500が実現される。
【0113】
上記半導体装置1A、1B、1C、1D等を適用した各種電子装置(上記第5から第8実施形態で述べた半導体パッケージ200、PFC回路300、電源装置400及び増幅器500等)は、各種電子機器又は電子装置に搭載することができる。例えば、コンピュータ(パーソナルコンピュータ、スーパーコンピュータ、サーバ等)、スマートフォン、携帯電話、タブレット端末、センサ、カメラ、オーディオ機器、測定装置、検査装置、製造装置、送信器、受信器、レーダー装置といった、各種電子機器又は電子装置に搭載することが可能である。
【0114】
以上説明した実施の形態に関し、更に以下の付記を開示する。
(付記1) 基板と、
前記基板の第1面側に設けられるゲート電極と、
前記基板の前記第1面側の、前記ゲート電極の両側にそれぞれ設けられるソース電極及びドレイン電極と、
前記基板の前記第1面側の、前記ゲート電極と前記ドレイン電極との間であって、前記ドレイン電極よりも前記ゲート電極の近傍に設けられるソースフィールドプレートと、
前記ソース電極と前記ソースフィールドプレートとを接続するエアブリッジ配線と、
を含む、半導体装置。
【0115】
(付記2) 前記基板の前記第1面側の、前記ソース電極と前記ドレイン電極との間に設けられるパッシベーション膜と、
前記基板の前記第1面側に設けられ、前記パッシベーション膜及び前記ゲート電極を覆う層間絶縁膜と、
を含む、付記1に記載の半導体装置。
【0116】
(付記3) 前記ソースフィールドプレートは、前記層間絶縁膜の、前記基板側とは反対側に設けられる、付記2に記載の半導体装置。
(付記4) 前記層間絶縁膜と前記ソース電極との間、及び、前記層間絶縁膜と前記ドレイン電極との間に、空洞が設けられる、付記2に記載の半導体装置。
【0117】
(付記5) 前記ソースフィールドプレートの、前記基板側とは反対側の第2面は、前記ソース電極の、前記基板側とは反対側の第3面よりも、前記基板側に位置する、付記2に記載の半導体装置。
【0118】
(付記6) 基板の第1面側に、ゲート電極と、前記ゲート電極の両側にそれぞれ設けられるソース電極及びドレイン電極とを形成する工程と、
前記基板の前記第1面側の、前記ゲート電極と前記ドレイン電極との間であって、前記ドレイン電極よりも前記ゲート電極の近傍に、ソースフィールドプレートを形成する工程と、
前記ソース電極と前記ソースフィールドプレートとを接続するエアブリッジ配線を形成する工程と、
を含む、半導体装置の製造方法。
【0119】
(付記7) 前記基板の前記第1面側の、前記ソース電極と前記ドレイン電極との間に、パッシベーション膜を形成する工程と、
前記基板の前記第1面側に、前記パッシベーション膜及び前記ゲート電極を覆う層間絶縁膜を形成する工程と、
を含む、付記6に記載の半導体装置の製造方法。
【0120】
(付記8) 前記ソースフィールドプレートを形成する工程は、前記層間絶縁膜の、前記基板側とは反対側に、前記ソースフィールドプレートを形成する工程を含む、付記7に記載の半導体装置の製造方法。
【0121】
(付記9) 前記層間絶縁膜を形成する工程は、前記層間絶縁膜と前記ソース電極との間、及び、前記層間絶縁膜と前記ドレイン電極との間に、空洞が設けられるように、前記層間絶縁膜を形成する工程を含む、付記7に記載の半導体装置の製造方法。
【0122】
(付記10) 前記ソース電極を形成する工程は、前記ソースフィールドプレートの、前記基板側とは反対側の第2面が、前記ソース電極の、前記基板側とは反対側の第3面よりも、前記基板側に位置するように、前記ソース電極を形成する工程を含む、付記7に記載の半導体装置の製造方法。
【0123】
(付記11) 基板と、
前記基板の第1面側に設けられるゲート電極と、
前記基板の前記第1面側の、前記ゲート電極の両側にそれぞれ設けられるソース電極及びドレイン電極と、
前記基板の前記第1面側の、前記ゲート電極と前記ドレイン電極との間であって、前記ドレイン電極よりも前記ゲート電極の近傍に設けられるソースフィールドプレートと、
前記ソース電極と前記ソースフィールドプレートとを接続するエアブリッジ配線と、
を含む半導体装置を備える、電子装置。
【符号の説明】
【0124】
1、1A、1B、1C、1D、100 半導体装置
10、110 基板
10a、110a 活性領域
10b、110b 素子分離領域
11、111 下地基板
12、112 半導体層
12a チャネル層
12b バリア層
12c キャップ層
13、30a、50a、113 面
20、120 ゲート電極
21、121 ゲートバスライン
24、34、44 パッド
30、130 ソース電極
31 ソース電極下層部
32 ソース電極上層部
33 ソース電極最上層部
40、140 ドレイン電極
41 ドレイン電極下層部
42 ドレイン電極上層部
43 ドレイン電極最上層部
50、150 ソースフィールドプレート
60、160 パッシベーション膜
61、91、94、161 開口部
70、170 層間絶縁膜
80 エアブリッジ配線
81 エアブリッジ用レジスト
90 空洞
93 電極形成用レジスト
101 2DEG領域
180 配線
200 半導体パッケージ
210 リードフレーム
210a ダイパッド
211 ゲートリード
212 ソースリード
213 ドレインリード
220 樹脂
230 ワイヤ
300 PFC回路
310、421、422、423、441、442、443、444 スイッチ素子
320 ダイオード
330 チョークコイル
340、350 コンデンサ
360 ダイオードブリッジ
370 交流電源
400 電源装置
410 一次側回路
420 二次側回路
430 トランス
440 フルブリッジインバータ回路
500 増幅器
510 デジタルプレディストーション回路
520、530 ミキサー
540 パワーアンプ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16