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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024175746
(43)【公開日】2024-12-19
(54)【発明の名称】スパウトおよび注出ユニット
(51)【国際特許分類】
   A61J 1/10 20060101AFI20241212BHJP
【FI】
A61J1/10 335B
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023093712
(22)【出願日】2023-06-07
(71)【出願人】
【識別番号】313005282
【氏名又は名称】東洋製罐株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000228442
【氏名又は名称】日本クロージャー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002354
【氏名又は名称】弁理士法人平和国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】吉田 創哉
(72)【発明者】
【氏名】竹中 雅浩
(72)【発明者】
【氏名】阿部 泰地
(72)【発明者】
【氏名】大森 慎二
(72)【発明者】
【氏名】島田 知
(72)【発明者】
【氏名】杉山 祐香
【テーマコード(参考)】
4C047
【Fターム(参考)】
4C047AA11
4C047CC27
4C047DD03
4C047DD04
4C047DD05
4C047DD06
(57)【要約】
【課題】スパウト筒状部の内周面とコネクタ注出筒部の外周面との間の密封性を向上するスパウトおよび注出ユニットを提供すること。
【解決手段】スパウト筒状部21内にコネクタ注出筒部31が挿入された状態でコネクタ30に接続されるスパウト20であって、スパウト筒状部21は、その外周面にスパウトネジ部23bが形成された上方側ネジ付き領域23と、上方側ネジ付き領域23の下方側に隣接して形成されたスパウト下方側領域24とを有し、スパウト下方側領域24は、上方に向かうに従って拡径するように形成された、コネクタ注出筒部31の外周面と密着可能な密封用テーパ内周面24aを有し、上方側ネジ付き領域23の内周面は、その全域が、密封用テーパ内周面24aを上方側に延長させた仮想テーパ面Tよりも外周側に位置しているスパウト20。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
スパウト筒状部内にコネクタ注出筒部が挿入された状態でコネクタに接続されるスパウトであって、
前記スパウト筒状部は、その外周面にスパウトネジ部が形成された上方側ネジ付き領域と、前記上方側ネジ付き領域の下方側に隣接して形成されたスパウト下方側領域とを有し、
前記スパウト下方側領域は、上方に向かうに従って拡径するように形成された、前記コネクタ注出筒部の外周面と密着可能な密封用テーパ内周面を有し、
前記上方側ネジ付き領域の内周面は、その全域が、前記密封用テーパ内周面を上方側に延長させた仮想テーパ面よりも外周側に位置していることを特徴とするスパウト。
【請求項2】
前記密封用テーパ内周面は、その上端位置が前記スパウト下方側領域の上端位置に一致するように形成されていることを特徴とする請求項1に記載のスパウト。
【請求項3】
前記上方側ネジ付き領域は、上方に向かうに従って拡径するように形成された上方側テーパ内周面を有し、
前記上方側テーパ内周面の上下方向に対する傾斜角度は、前記密封用テーパ内周面の上端部分の上下方向に対する傾斜角度よりも大きいことを特徴とする請求項1に記載のスパウト。
【請求項4】
前記上方側ネジ付き領域および前記スパウト下方側領域の内周面は、その全域に亘って、上方側に向かうに従って拡径するテーパ状に形成されていることを特徴とする請求項1に記載のスパウト。
【請求項5】
前記スパウト筒状部は、前記スパウト下方側領域の内周面の下方側に隣接して形成された第3テーパ内周面を有し、
前記第3テーパ内周面は、上方に向かうに従って拡径するように形成され、
前記第3テーパ内周面の上下方向に対する傾斜角度は、前記密封用テーパ内周面の上端部分の上下方向に対する傾斜角度よりも大きいことを特徴とする請求項1に記載のスパウト。
【請求項6】
請求項1に記載のスパウトと、前記コネクタとを備えることを特徴とする注出ユニット。
【請求項7】
前記コネクタ注出筒部は、前記スパウトに対して前記コネクタを接続した状態で、前記上方側ネジ付き領域の内周側に挿入されるコネクタ上方側領域と、前記スパウト下方側領域の内周側に挿入されるコネクタ下方側領域とを有し、
前記コネクタ下方側領域は、前記スパウトに対して前記コネクタを接続した状態で、前記密封用テーパ内周面との間に第1締め代が生じるように、前記密封用テーパ内周面の内周側に挿入される密封用テーパ外周面を有し、
前記コネクタ上方側領域は、前記スパウトに対して前記コネクタを接続した状態で、前記上方側ネジ付き領域との間に前記第1締め代よりも小さい締め代が生じるように、または、前記上方側ネジ付き領域との間に締め代を生じることなく前記上方側ネジ付き領域の内周面に接触するように、または、前記上方側ネジ付き領域との間に間隔が生じるように、前記上方側ネジ付き領域内に挿入されることを特徴とする請求項6に記載の注出ユニット。
【請求項8】
前記コネクタ下方側領域の外周面は、その全域に亘って、上方側に向かうに従って拡径するテーパ状に形成されていることを特徴とする請求項7に記載の注出ユニット。
【請求項9】
前記コネクタは、前記スパウトネジ部に螺合可能なコネクタネジ部を有していることを特徴とする請求項6に記載の注出ユニット。
【請求項10】
前記注出ユニットは、前記スパウトに装着可能なキャップを更に備え、
前記スパウト筒状部は、前記上方側ネジ付き領域よりも上方側の上端側領域を有し、
前記キャップは、前記スパウトに対して装着された状態で、前記上端側領域の外周面に接触するアウターリング部と、前記上端側領域の内周面に接触するインナーリング部と、前記上端側領域の上端面に接触するコンタクトリング部とを有することを特徴とする請求項6に記載の注出ユニット。
【請求項11】
スパウトとコネクタとを備え、スパウト筒状部内にコネクタ注出筒部が挿入された状態で前記スパウトに対して前記コネクタが接続される注出ユニットであって、
前記スパウト筒状部は、その外周面にスパウトネジ部が形成された上方側ネジ付き領域と、前記上方側ネジ付き領域の下方側に隣接して形成されたスパウト下方側領域とを有し、
前記スパウト下方側領域は、上方に向かうに従って拡径するように形成された、前記コネクタ注出筒部の外周面と密着可能な密封用テーパ内周面を有し、
前記コネクタ注出筒部は、前記スパウトに対して前記コネクタを接続した状態で、前記上方側ネジ付き領域の内周側に配置されるコネクタ上方側領域と、前記スパウト下方側領域の内周側に配置されるコネクタ下方側領域とを有し、
前記コネクタ下方側領域は、前記スパウトに対して前記コネクタを接続した状態で、前記密封用テーパ内周面との間に第1締め代が生じるように、前記密封用テーパ内周面の内周側に挿入される密封用テーパ外周面を有し、
前記コネクタ上方側領域は、前記スパウトに対して前記コネクタを接続した状態で、前記上方側ネジ付き領域との間に前記第1締め代よりも小さい締め代が生じる、または、前記上方側ネジ付き領域との間に締め代を生じることなく前記上方側ネジ付き領域との内周面に接触するように、または、前記上方側ネジ付き領域との間に間隔が生じるように、前記上方側ネジ付き領域内に挿入されることを特徴とする注出ユニット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スパウトおよび注出ユニットに関する。
【0002】
従来から、経腸栄養においては、患者に投与される栄養剤を含む内容液をパウチ等の容器(バッグ)に充填したRTH(Ready To Hang)製剤が広く用いられている。このようなRTH製剤では、内容液を充填した容器の注出口にスパウトを取り付け、内容液を患者に投与する直前にスパウトを開封し、この開封されたスパウトに対して、その一端が患者の体内に挿入されるカテーテルの他端側に接続されたコネクタを接続することで、患者に対して栄養剤を含む内容液を投与することが行われている。
【0003】
このようなスパウトおよびコネクタでは、近年、栄養系の医療機器に関する国際規格ISO80369-3の関係で、スパウトに形成されたスパウト筒状部(メスコネクタ部)内に、コネクタに形成されたコネクタ注出筒部(オスコネクタ部)を挿入するという、コネクタ接続形態が採用され始めている(例えば特許文献1を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2020-033084号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところが、本出願人がこのようなスパウトおよびコネクタを含む注出ユニットについて開発を進めていく中で、スパウト筒状部の内周面とコネクタ注出筒部の外周面との間の密封性について改善の余地があることが分かった。
【0006】
そこで、本発明は、これらの問題点を解決するものであり、簡素な構成で、スパウト筒状部の内周面とコネクタ注出筒部の外周面との間の密封性を向上するスパウトおよび注出ユニットを提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明のスパウトは、スパウト筒状部内にコネクタ注出筒部が挿入された状態でコネクタに接続されるスパウトであって、前記スパウト筒状部は、その外周面にスパウトネジ部が形成された上方側ネジ付き領域と、前記上方側ネジ付き領域の下方側に隣接して形成されたスパウト下方側領域とを有し、前記スパウト下方側領域は、上方に向かうに従って拡径するように形成された、前記コネクタ注出筒部の外周面と密着可能な密封用テーパ内周面を有し、前記上方側ネジ付き領域の内周面は、その全域が、前記密封用テーパ内周面を上方側に延長させた仮想テーパ面よりも外周側に位置していることにより、前記課題を解決するものである。
本発明の注出ユニットの一態様は、前記スパウトと、前記コネクタとを備えることにより、前記課題を解決するものである。
本発明の注出ユニットの他の態様は、スパウトとコネクタとを備え、スパウト筒状部内にコネクタ注出筒部が挿入された状態で前記スパウトに対して前記コネクタが接続される注出ユニットであって、前記スパウト筒状部は、その外周面にスパウトネジ部が形成された上方側ネジ付き領域と、前記上方側ネジ付き領域の下方側に隣接して形成されたスパウト下方側領域とを有し、前記スパウト下方側領域は、上方に向かうに従って拡径するように形成された、前記コネクタ注出筒部の外周面と密着可能な密封用テーパ内周面を有し、前記コネクタ注出筒部は、前記スパウトに対して前記コネクタを接続した状態で、前記上方側ネジ付き領域の内周側に配置されるコネクタ上方側領域と、前記スパウト下方側領域の内周側に配置されるコネクタ下方側領域とを有し、前記コネクタ下方側領域は、前記スパウトに対して前記コネクタを接続した状態で、前記密封用テーパ内周面との間に第1締め代が生じるように、前記密封用テーパ内周面の内周側に挿入される密封用テーパ外周面を有し、前記コネクタ上方側領域は、前記スパウトに対して前記コネクタを接続した状態で、前記上方側ネジ付き領域との間に前記第1締め代よりも小さい締め代が生じる、または、前記上方側ネジ付き領域との間に締め代を生じることなく前記上方側ネジ付き領域との内周面に接触するように、または、前記上方側ネジ付き領域との間に間隔が生じるように、前記上方側ネジ付き領域内に挿入されることにより、前記課題を解決するものである。
上記のいずれかのスパウトまたは注出ユニットでは、前記密封用テーパ内周面は、その上端位置が前記スパウト下方側領域の上端位置に一致するように形成されていてもよい。
上記のいずれかのスパウトまたは注出ユニットでは、前記上方側ネジ付き領域は、上方に向かうに従って拡径するように形成された上方側テーパ内周面を有し、前記上方側テーパ内周面の上下方向に対する傾斜角度は、前記密封用テーパ内周面の上端部分の上下方向に対する傾斜角度よりも大きくてもよい。
上記のいずれかのスパウトまたは注出ユニットでは、前記上方側ネジ付き領域および前記スパウト下方側領域の内周面は、その全域に亘って、上方側に向かうに従って拡径するテーパ状に形成されていてもよい。
上記のいずれかのスパウトまたは注出ユニットでは、前記スパウト筒状部は、前記スパウト下方側領域の内周面の下方側に隣接して形成された第3テーパ内周面を有し、前記第3テーパ内周面は、上方に向かうに従って拡径するように形成され、前記第3テーパ内周面の上下方向に対する傾斜角度は、前記密封用テーパ内周面の上端部分の上下方向に対する傾斜角度よりも大きくてもよい。
上記のいずれかのスパウトまたは注出ユニットでは、前記コネクタ注出筒部は、前記スパウトに対して前記コネクタを接続した状態で、前記上方側ネジ付き領域の内周側に挿入されるコネクタ上方側領域と、前記スパウト下方側領域の内周側に挿入されるコネクタ下方側領域とを有し、前記コネクタ下方側領域は、前記スパウトに対して前記コネクタを接続した状態で、前記密封用テーパ内周面との間に第1締め代が生じるように、前記密封用テーパ内周面の内周側に挿入される密封用テーパ外周面を有し、前記コネクタ上方側領域は、前記スパウトに対して前記コネクタを接続した状態で、前記上方側ネジ付き領域との間に前記第1締め代よりも小さい締め代が生じるように、または、前記上方側ネジ付き領域との間に締め代を生じることなく前記上方側ネジ付き領域の内周面に接触するように、または、前記上方側ネジ付き領域との間に間隔が生じるように、前記上方側ネジ付き領域内に挿入されてもよい。
上記のいずれかのスパウトまたは注出ユニットでは、前記コネクタ下方側領域の外周面は、その全域に亘って、上方側に向かうに従って拡径するテーパ状に形成されていてもよい。
上記のいずれかのスパウトまたは注出ユニットでは、前記コネクタは、前記スパウトネジ部に螺合可能なコネクタネジ部を有していてもよい。
上記のいずれかの注出ユニットでは、前記注出ユニットは、前記スパウトに装着可能なキャップを更に備え、前記スパウト筒状部は、前記上方側ネジ付き領域よりも上方側の上端側領域を有し、前記キャップは、前記スパウトに対して装着された状態で、前記上端側領域の外周面に接触するアウターリング部と、前記上端側領域の内周面に接触するインナーリング部と、前記上端側領域の上端面に接触するコンタクトリング部とを有していてもよい。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、簡素な構成で、スパウト筒状部の内周面とコネクタ注出筒部の外周面との間の密封性を向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の一実施形態に係るスパウトを示す説明図。
図2】スパウト筒状部の内周面の態様を説明する説明図。
図3】スパウトに対してコネクタを接続した状態を示す説明図。
図4】スパウトおよびコネクタを示す説明図。
図5】スパウトに対してキャップを装着した状態を示す説明図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下に、本発明の一実施形態に係る注出ユニット10について、図面に基づいて説明する。
【0011】
まず、注出ユニット10は、図1図5に示すように、経腸栄養用の栄養剤を含む内容液が充填されたパウチ等の容器(図示しない)の注出口に装着されるスパウト20と、スパウト20に接続可能に構成されたコネクタ30と、スパウト20に装着可能なキャップ40とを備えている。
【0012】
以下、各構成要素の具体的構成について、図面に基づいて説明する。
【0013】
まず、スパウト20は、合成樹脂等から成る射出成形品として形成され、図1に示すように、内容液を注出するための上下方向に沿って延びる注出流路21aを内側に有した筒状のスパウト筒状部21と、熱溶着によって容器に装着される容器用取付部26とを一体に備え、図3に示すように、そのスパウト筒状部21内にコネクタ注出筒部31が挿入された状態でコネクタ30に接続されるものである。
【0014】
スパウト筒状部21は、容器用取付部26から上方側に向けて突出して形成され、図1に示すように、その上端側に形成された上端側領域22と、上端側領域22の下方側に隣接し、その外周面にスパウトネジ部23bが突出して形成された上方側ネジ付き領域23と、上方側ネジ付き領域23の下方側に隣接して形成された領域であって、コネクタ30との接続時にコネクタ注出筒部31の外周面と密着可能な密封用テーパ内周面24aを有したスパウト下方側領域24と、スパウト下方側領域24の下方側に隣接して形成された突出部付き領域25とを有している。
【0015】
以下に、スパウト筒状部21の各部22~25の内周面の態様について説明する。
【0016】
まず、上端側領域22の内周面22aは、図2に示すように、その全域が、密封用テーパ内周面24aを上方側に延長させた(すなわち、密封用テーパ内周面24aの上端側部分を上方側に延長させた)仮想テーパ面Tよりも外周側に位置するように形成されている。
ここで、図2においては、発明の理解を容易にするために、上端側領域22および上方側ネジ付き領域23の内周面の傾斜角度を誇張して(他の図よりも上下方向に対する傾斜角度を大きく)描いている。
【0017】
なお、本実施形態では、上端側領域22の内周面22aは、図1図2に示すように、その全域に亘って、上方に向かうに従って拡径するようにテーパ状に形成されているが、上端側領域22の内周面22aの具体的態様は、テーパ状のものに限定されず、例えば、その上下方向の少なくとも一部領域に、上下方向に平行な筒状(円筒状)の部分を有していてもよい。
【0018】
また、上方側ネジ付き領域23は、図1図2に示すように、上方に向かうに従って拡径するようにテーパ状に形成された上方側テーパ内周面23aを有しており、本実施形態では、上方側ネジ付き領域23の内周面の全域が、上方側テーパ内周面23aから構成されている。
上方側テーパ内周面23aの上下方向に対する傾斜角度は、(上方側テーパ内周面23aの上下方向のいずれの位置においても、)密封用テーパ内周面24aの上端部分の上下方向に対する傾斜角度よりも大きい。
このように形成された上方側ネジ付き領域23の内周面は、図2に示すように、その全域が、密封用テーパ内周面24aを上方側に延長させた(すなわち、密封用テーパ内周面24aの上端側部分を上方側に延長させた)仮想テーパ面Tよりも外周側に位置している。
【0019】
なお、本実施形態では、上方側ネジ付き領域23の内周面が、その全域に亘って上方側テーパ内周面23aから構成され、言い換えると、その全域に亘って上方側に向かうに従って拡径するテーパ状に形成されているが、上方側ネジ付き領域23の内周面の具体的態様はこれに限定されず、例えば、その上下方向の少なくとも一部領域に、上下方向に平行な筒状(円筒状)の部分を有していてもよい。
また、本実施形態では、上方側テーパ内周面23aが、その全域に亘って上下方向に対する傾斜角度が同一の(傾斜角度が変わらない)テーパ部のみから形成されているが、上方側テーパ内周面23aの具体的態様は、同一の傾斜角度で形成されたものに限定されず、傾斜角度が異なる複数のテーパ部から構成されるものや、上下方向の位置によって傾斜角度が変化するもの等、如何なるものでもよい。
【0020】
また、スパウト下方側領域24は、図1図2に示すように、上方に向かうに従って拡径するようにテーパ状に形成され、コネクタ30との接続時にコネクタ注出筒部31の外周面(コネクタ下方側領域34の密封用テーパ外周面34a)と密着可能な密封用テーパ内周面24aを有している。
本実施形態では、密封用テーパ内周面24aは、図1図2に示すように、その上端位置がスパウト下方側領域24の上端位置(すなわち、上方側ネジ付き領域23の下端位置)に一致するように形成され、更に具体的には、スパウト下方側領域24の全域が、密封用テーパ内周面24aから構成されている。
【0021】
なお、本実施形態では、スパウト下方側領域24の内周面が、その全域に亘って密封用テーパ内周面24aから構成されているが、スパウト下方側領域24の内周面の具体的態様はこれに限定されず、その上下方向の一部領域に、密封用テーパ内周面24aとして機能しない部分を有していてもよい。
また、本実施形態では、スパウト下方側領域24の内周面が、その全域に亘って上方側に向かうに従って拡径するテーパ状に形成されているが、スパウト下方側領域24の内周面の具体的態様はこれに限定されず、例えば、その上下方向の一部領域に、上下方向に平行な筒状(円筒状)の部分を有していてもよい。
また、密封用テーパ内周面24aの具体的態様については、上下方向に対する傾斜角度が同一の(傾斜角度が変わらない)テーパ部のみから構成されるものや、傾斜角度が異なる複数のテーパ部から構成されるものや、上下方向の位置によって傾斜角度が変化するもの等、如何なるものでもよい。
【0022】
また、突出部付き領域25は、図1に示すように、内周側に向けて突出して形成された環状突出部25bを有した領域であり、第3テーパ内周面25aを有している。
この第3テーパ内周面25aは、図1に示すように、スパウト下方側領域24の内周面(本実施形態では、密封用テーパ内周面24a)の下方側に隣接して、上方に向かうに従って拡径するようにテーパ状に形成されている。
第3テーパ内周面25aの上下方向に対する傾斜角度は、(第3テーパ内周面25aの上下方向のいずれの位置においても、)密封用テーパ内周面24aの上端部分の上下方向に対する傾斜角度よりも大きい。
【0023】
なお、第3テーパ内周面25aの具体的態様については、上下方向に対する傾斜角度が同一の(傾斜角度が変わらない)テーパ部のみから構成されるものや、傾斜角度が異なる複数のテーパ部から構成されるものや、上下方向の位置によって傾斜角度が変化するもの等、如何なるものでもよい。
【0024】
また、スパウト筒状部21の各部22~25の内周面は、その全域に亘って、上下方向に垂直な平面で切った場合の断面形状が、円形状に形成されている。
【0025】
コネクタ30は、合成樹脂等から形成され、患者の体内にその一端が挿入されるカテーテルの他端側に接続されるものであり、図3に示すように、スパウト20に対してコネクタ30を接続した状態でスパウト筒状部21内に挿入される筒状のコネクタ注出筒部31と、その中央にコネクタ注出筒部31の注出流路31aに連通する貫通孔を有した天板部36と、天板部36の外周縁から下方側に向けて垂下する筒状のスカート部37とを一体に備えている。
なお、スパウト20に対してコネクタ30を接続した状態では、図3に示すように、スパウト筒状部21の上端面が天板部36の下面に接触してもよく、スパウト筒状部21の上端面が天板部36の下面に接触しないようにしてもよい。
【0026】
コネクタ注出筒部31は、図3に示すように、スパウト20に対してコネクタ30を接続した状態で、上端側領域22の内周側に挿入される天板側領域32と、上方側ネジ付き領域23の内周側に挿入されるコネクタ上方側領域33と、スパウト下方側領域24の内周側に挿入されるコネクタ下方側領域34と、突出部付き領域25の内周側に挿入されるコネクタ下端側領域35とを有している。
【0027】
本実施形態では、天板側領域32、コネクタ上方側領域33、コネクタ下方側領域34、およびコネクタ下端側領域35の外周面は、その全域に亘って、上方側に向かうに従って拡径するテーパ状に形成されている。
しかしながら、これらコネクタ注出筒部31の各部32~35の外周面の具体的態様はこれに限定されず、例えば、その上下方向の少なくとも一部領域に、上下方向に平行な筒状(円筒状)の部分を有していてもよい。
また、コネクタ注出筒部31の各部32~35の外周面を、上方側に向かうに従って拡径するテーパ状に形成する場合、コネクタ注出筒部31の各部32~35の外周面の具体的態様については、上下方向に対する傾斜角度が同一の(傾斜角度が変わらない)テーパ部のみから構成されるものや、傾斜角度が異なる複数のテーパ部から構成されるものや、上下方向の位置によって傾斜角度が変化するもの等、如何なるものでもよい。
また、コネクタ注出筒部31の各部32~35の内周面は、その全域に亘って、上下方向に垂直な平面で切った場合の断面形状が、円形状に形成されている。
【0028】
また、スカート部37は、図1図3に示すように、コネクタ30がスパウト20に対して接続された状態でスパウトネジ部23bに螺合可能なコネクタネジ部37aをその内周側に有している。
【0029】
次に、スパウト20に対してコネクタ30を接続した状態における、スパウト筒状部21の内周面およびコネクタ注出筒部31の外周面の関係について、以下に説明する。
【0030】
まず、コネクタ下方側領域34の密封用テーパ外周面34aの外径は、スパウト下方側領域24の密封用テーパ内周面24a(の挿入時における対応箇所)の内径よりも大きく設計されており、図3に示すように、スパウト20に対してコネクタ30を接続した状態では、密封用テーパ外周面34aが、密封用テーパ内周面24aとの間に第1締め代が生じるように、密封用テーパ内周面24aの内周側に挿入され、これにより、スパウト筒状部21の内周面とコネクタ注出筒部31の外周面との間が密封される。
【0031】
また、図3に示すように、スパウト20に対してコネクタ30を接続した状態では、コネクタ上方側領域33は、(コネクタ上方側領域33の上下方向のいずれの位置においても、)上方側ネジ付き領域23との間に第1締め代よりも小さい締め代が生じるように(すなわち、上方側ネジ付き領域23とコネクタ上方側領域33との間の締め代のうち締め代が最も大きい部分の締め代が、上述した第1締め代のうち締め代が最も小さい部分の締め代よりも小さくなるように)、または、上方側ネジ付き領域23との間に締め代を生じることなく上方側ネジ付き領域23の内周面23aに接触するように、または、上方側ネジ付き領域23との間に間隔が生じるように、上方側ネジ付き領域23内に挿入されるように形成されている。
【0032】
また、同様に、図3に示すように、スパウト20に対してコネクタ30を接続した状態では、天板側領域32は、(天板側領域32の上下方向のいずれの位置においても、)上端側領域22との間に第1締め代よりも小さい締め代が生じるように(すなわち、上端側領域22と天板側領域32との間の締め代のうち締め代が最も大きい部分の締め代が、上述した第1締め代のうち締め代が最も小さい部分の締め代よりも小さくなるように)、または、上端側領域22との間に締め代を生じることなく上端側領域22の内周面に接触するように、または、上端側領域22との間に間隔が生じるように、上端側領域22内に挿入されるように形成されている。
【0033】
また、図3に示すように、スパウト20に対してコネクタ30を接続した状態では、コネクタ下端側領域35は、その全域に亘って、突出部付き領域25との間に間隔が生じるように、突出部付き領域25内に挿入されるように形成されている。
なお、図3では、突出部付き領域25とコネクタ下端側領域35との間の間隔が僅かであるように描いたが、当該間隔はもっと大きいものであってもよく、突出部付き領域25とコネクタ下端側領域35が接触していてもよい。
【0034】
キャップ40は、合成樹脂等から形成され、コネクタ30に接続されていない状態のスパウト20に装着されるものであり、図5に示すように、天板部41と、天板部41の外周縁から下方側に向けて垂下する環状のスカート部42と、スカート部42の内周側において天板部41の下面から下方側に向けて突出する環状のインナーリング部43とを一体に備えている。
【0035】
天板部41は、図5に示すように、インナーリング部43の外周側において、天板部41の下面から下方側に向けて突出して形成された環状のコンタクトリング部41aを有している。
【0036】
スカート部42は、スパウト筒状部21の外周側に配置される部位であり、図5に示すように、アウターリング部42aと、キャップ40がスパウト20に対して装着された状態でスパウトネジ部23bに螺合するキャップネジ部42bとをその内周側に有している。
【0037】
キャップ40は、図5に示すように、スパウト20に対して装着された状態で、上端側領域22の上端面に接触するコンタクトリング部41aと、上端側領域22の外周面に接触するアウターリング部42aと、上端側領域22の内周面22aに接触するインナーリング部43とを有し、これにより、キャップ40によってスパウト20を密封し、スパウト20が取り付けられた容器(図示しない)内の内容液が漏れ出すことを防止するように構成されている。
【0038】
このようにして得られた本実施形態の注出ユニット10では、上方側ネジ付き領域23の内周面が、その全域に亘って、密封用テーパ内周面24aを上方側に延長させた仮想テーパ面Tよりも外周側に位置していることにより、ヒケ(凹み)が形成されがちな上方側ネジ付き領域23の内周面とコネクタ注出筒部31(のコネクタ上方側領域33)の外周面との間の接触に起因して、密封用テーパ外周面34aと密封用テーパ内周面24aとの間の嵌合(挿入)が阻害されてしまうことを回避できるため、密封用テーパ外周面34aと密封用テーパ内周面24aとの間の嵌合による、スパウト筒状部21の内周面とコネクタ注出筒部31の外周面との間の密封性を向上させることができる。
すなわち、その外周面にスパウトネジ部23bが突出して形成された上方側ネジ付き領域23の内周面には、スパウト20の射出成形時における樹脂材料の収縮に起因してヒケが生じることがあり、このようなヒケが上方側ネジ付き領域23の内周面に形成された場合、当該ヒケに起因してスパウト筒状部21とコネクタ注出筒部31との間の密封性が損なわれるという問題があった。
そこで、本実施形態の注出ユニット10では、上方側ネジ付き領域23の内周面を、その全域に亘って、密封用テーパ内周面24aを上方側に延長させた仮想テーパ面Tよりも外周側に位置させ、上方側ネジ付き領域23の内周面とコネクタ注出筒部31の外周面との間の締め代を小さくするまたは接触を避けることで、スパウト筒状部21に対するコネクタ注出筒部31の挿入性を向上させ、これにより、密封用テーパ外周面34aと密封用テーパ内周面24aとを確実に嵌合させて、スパウト筒状部21の内周面とコネクタ注出筒部31の外周面との間の密封性を向上させることができる。
【0039】
また、密封用テーパ内周面24aを、その上端位置がスパウト下方側領域24の上端位置(すなわち、上方側ネジ付き領域23の下端位置)に一致するように形成することにより、密封用テーパ内周面24aの上下方向幅を広く確保することが可能であるため、スパウト筒状部21の内周面とコネクタ注出筒部31の外周面との間の密封性を向上させることができる。
【0040】
また、本実施形態の注出ユニット10では、スパウト筒状部21の内周面のうち、キャップ40との接続時にキャップ40との間の密封を確保する部位として、上端側領域22の内周面22aを利用し、また、コネクタ30との接続時にコネクタ30との間の密封を確保する部位として、(少なくとも主に)密封用テーパ内周面24aを利用している。
このように、スパウト筒状部21の内周面のうち、キャップ40との間の密封を確保する部位(内周面22a)と、コネクタ30との間の密封を確保する部位(密封用テーパ内周面24a)とを異ならせることにより、相互間で影響を与えることを回避できる。
【0041】
以上、本発明の実施形態を詳述したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明を逸脱することなく種々の設計変更を行なうことが可能である。
【0042】
例えば、上述した実施形態では、注出ユニット10およびコネクタ30が経腸栄養の用途で用いられるものとして説明したが、注出ユニット10およびコネクタ30を、経腸栄養以外の用途で用いても何ら構わない。
【0043】
また、上述した実施形態では、キャップ40がスパウト20に対して装着され、上端側領域22の上端面に接触するコンタクトリング部41aと、上端側領域22の外周面に接触するアウターリング部42aと、上端側領域22の内周面22aに接触するインナーリング部43とを有し、これにより、キャップ40によってスパウト20を密封するものとして説明したが、キャップ40の形態はこれに限らない。さらにキャップ40の代わりにアルミシールによってスパウト筒状部21の開口を塞ぐものや、当該アルミシールとキャップ40とを併用したものなどその他の密封形態を用いても何ら構わない。
【符号の説明】
【0044】
10 ・・・ 注出ユニット
20 ・・・ スパウト
21 ・・・ スパウト筒状部
21a ・・・ 注出流路
22 ・・・ 上端側領域
22a ・・・ 内周面
23 ・・・ 上方側ネジ付き領域
23a ・・・ 上方側テーパ内周面
23b ・・・ スパウトネジ部
24 ・・・ スパウト下方側領域
24a ・・・ 密封用テーパ内周面
25 ・・・ 突出部付き領域
25a ・・・ 第3テーパ内周面
25b ・・・ 環状突出部
26 ・・・ 容器用取付部
30 ・・・ コネクタ
31 ・・・ コネクタ注出筒部
31a ・・・ 注出流路
32 ・・・ 天板側領域
33 ・・・ コネクタ上方側領域
34 ・・・ コネクタ下方側領域
34a ・・・ 密封用テーパ外周面
35 ・・・ コネクタ下端側領域
36 ・・・ 天板部
37 ・・・ スカート部
37a ・・・ コネクタネジ部
40 ・・・ キャップ
41 ・・・ 天板部
41a ・・・ コンタクトリング部
42 ・・・ スカート部
42a ・・・ アウターリング部
42b ・・・ キャップネジ部
43 ・・・ インナーリング部
T ・・・ 仮想テーパ面
図1
図2
図3
図4
図5