(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024175749
(43)【公開日】2024-12-19
(54)【発明の名称】侵入防止部材
(51)【国際特許分類】
E04B 1/70 20060101AFI20241212BHJP
E04B 1/64 20060101ALI20241212BHJP
E04B 1/72 20060101ALI20241212BHJP
【FI】
E04B1/70 D
E04B1/64 C
E04B1/72
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023093717
(22)【出願日】2023-06-07
(71)【出願人】
【識別番号】390004145
【氏名又は名称】城東テクノ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001841
【氏名又は名称】弁理士法人ATEN
(72)【発明者】
【氏名】新東 祝
【テーマコード(参考)】
2E001
【Fターム(参考)】
2E001DA03
2E001DB02
2E001DH11
2E001DH16
2E001EA08
2E001FA21
2E001FA35
2E001FA53
2E001GA13
2E001GA18
2E001GA55
2E001HB01
(57)【要約】
【課題】外装材が施工された後や既存の建物のリフォーム時にも取り付け可能にする。
【解決手段】侵入防止部材30は、水切り部材1の雨水案内板部12の上方であってサイディング105の内側に形成された通気層110へ小動物が侵入するのを防止するために、雨水案内板部12と通気層110の下側通気口111との間に配置して取り付けるためのものである。侵入防止部材30は、複数の通気孔が形成された上板部31、上板部31の後端から下方へ屈曲して延びる取付板部32、及び、取付板部32の下端から前方へ屈曲して延びる下板部33を有する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
水切り部材又はオーバーハング部材の雨水案内部の上方であって外装材の内側に形成された通気層へ小動物が侵入するのを防止するために、前記雨水案内部と前記通気層の下側通気口との間に配置して取り付けるための侵入防止部材であって、
複数の通気孔が形成された上板部、及び、前記上板部の後端から下方へ屈曲して延びる取付板部を有することを特徴とする侵入防止部材。
【請求項2】
水切り部材又はオーバーハング部材の雨水案内部の上方であって外装材の内側に形成された通気層へ小動物が侵入するのを防止するために、前記雨水案内部と前記通気層の下側通気口との間に配置して取り付けるための侵入防止部材であって、
複数の通気孔が形成された上板部、前記上板部の後端から下方へ屈曲して延びる取付板部、及び、前記取付板部の下端から前方へ屈曲して延びる下板部を有することを特徴とする侵入防止部材。
【請求項3】
前記取付板部と前記下板部との間の屈曲ラインに沿って複数のスリットが形成されていることを特徴とする請求項2に記載の侵入防止部材。
【請求項4】
前記取付板部と前記下板部との間でなす内角が、鈍角であることを特徴とする請求項2又は3に記載の侵入防止部材。
【請求項5】
前記侵入防止部材が、一枚の金属板からなり、
前記上板部の前端から内側へ折り返されて当該上板部と重なる第1折返し板部をさらに有していることを特徴とする請求項1又は2に記載の侵入防止部材。
【請求項6】
前記侵入防止部材が、一枚の金属板からなり、
前記下板部の前端から内側へ折り返されて当該下板部と重なる第2折返し板部をさらに有していることを特徴とする請求項2に記載の侵入防止部材。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、外壁通気工法における外装材の内側の通気層の下側通気口から当該通気層へ鼠、コウモリ等の小動物の侵入を防止するための侵入防止部材に関し、特に、外装材が施工された建物に取り付けることが可能な後付け用又はリフォーム用の侵入防止部材に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、オーバーハング部を含む外壁(外装材、サイディング)の内側に通気層を設ける外壁通気工法が知られている。この通気層の下側通気口には、鼠、コウモリ等の小動物が通気層内へ侵入するのを防止する侵入防止部材が設けられている。侵入防止部材は、水切り部材を土台や横架材に取り付ける施工時に取り付けられる。
【0003】
また、特許文献1には、侵入防止部材としての防鼠部及び防虫部を有する通気工法用水切り材について記載されている。この水切り材は、侵入防止部材が水切り材本体(水切り部材)と一体化されており、当該水切り材本体を土台に取り付ける際に防鼠部及び防虫部も取り付けられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記の外壁通気工法が採用された既存の建物の中には、通気層の下側通気口に侵入防止部材が取り付けられていないものが多く存在する。このため、通気層内に鼠やコウモリが侵入することがある。しかしながら、外壁通気工法に用いられる従来の侵入防止部材は、外装材を取り付ける前に土台等に取り付けるものであって、外装材が施工された後の既存の建物のリフォーム時などに使用するものではない。
【0006】
そこで、本発明の目的は、外装材が施工された後や既存の建物のリフォーム時にも取り付けることが可能な後付け用又はリフォーム用の侵入防止部材を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の侵入防止部材は、第1の観点では、水切り部材又はオーバーハング部材の雨水案内部の上方であって外装材の内側に形成された通気層へ小動物が侵入するのを防止するために、前記雨水案内部と前記通気層の下側通気口との間に配置して取り付けるための侵入防止部材であって、複数の通気孔が形成された上板部、及び、前記上板部の後端から下方へ屈曲して延びる取付板部を有する。
【0008】
本発明の侵入防止部材は、第2の観点では、水切り部材又はオーバーハング部材の雨水案内部の上方であって外装材の内側に形成された通気層へ小動物が侵入するのを防止するために、前記雨水案内部と前記通気層の下側通気口との間に配置して取り付けるための侵入防止部材であって、複数の通気孔が形成された上板部、前記上板部の後端から下方へ屈曲して延びる取付板部、及び、前記取付板部の下端から前方へ屈曲して延びる下板部を有する。
【0009】
これによると、取付板部を土台や横架材などに取り付けることで、上板部で下側通気口を覆うことが可能となる。このため、外装材を施工する前であっても、外装材の施工後又はリフォーム時であっても侵入防止部材を取り付けることが可能となる。したがって、小動物の侵入を防止する侵入防止部材が取り付けられておらず、外装材が施工された後又は既存の建物のリフォーム時などに侵入防止部材を取り付けることが可能となる。
【0010】
本発明において、前記取付板部と前記下板部との間の屈曲ラインに沿って複数のスリットが形成されていることが好ましい。これにより、下板部を取付板部に対して容易に屈曲させることが可能となる。また、取付板部と下板部との間でなす内角の角度調整も容易行うことが可能となる。
【0011】
また、本発明において、前記取付板部と前記下板部との間でなす内角が、鈍角であることが好ましい。これにより、雨水案内部と下側通気口との間に侵入防止部材を配置したときに、下板部と雨水案内部とが当接しやすくなって上板部を下側通気口に密着させることが可能となる。また、雨水案内部と下側通気口との間の隙間の大小に柔軟に適応することが可能となる。
【0012】
また、本発明において、前記侵入防止部材が、一枚の金属板からなり、前記上板部の前端から内側へ折り返されて当該上板部と重なる第1折返し板部をさらに有していることが好ましい。これにより、上板部の前端に第1折返し板部を形成する際の折返しによるR部が形成される。このため、上板部の前端にユーザが接触することによる怪我を防止することができる。
【0013】
また、本発明において、前記侵入防止部材が、一枚の金属板からなり、前記下板部の前端から内側へ折り返されて当該下板部と重なる第2折返し板部をさらに有していることが好ましい。これにより、下板部の前端に第2折返し板部を形成する際の折返しによるR部が形成される。このため、下板部の前端にユーザが接触することによる怪我を防止することができる。また、下方から第2折返し板部が視認しにくくできる。
【発明の効果】
【0014】
本発明の侵入防止部材によると、取付板部を土台や横架材などに取り付けることで、上板部で下側通気口を覆うことが可能となる。このため、外装材を施工する前であっても、外装材の施工後又はリフォーム時であっても侵入防止部材を取り付けることが可能となる。したがって、小動物の侵入を防止する侵入防止部材が取り付けられておらず、外装材が施工された後又は既存の建物のリフォーム時などに侵入防止部材を取り付けることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】本発明の一実施形態に係る侵入防止部材を建物躯体に取り付けた状態を示す概略断面図である。
【
図3】
図1に示す侵入防止部材を後方から見たときの図である。
【
図4】
図1に示す侵入防止部材を上方から見たときの図である。
【
図5】本発明の第1変形例に係る侵入防止部材の断面図である。
【
図6】本発明の第2変形例に係る侵入防止部材の断面図である。
【
図7】本発明の一実施形態に係る侵入防止部材を建物躯体のオーバーハング部に取り付けた状態を示す概略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の一実施形態に係る侵入防止部材30を
図1~
図4を参照しながら説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係る侵入防止部材を建物躯体の一部である土台に取り付けた状態を示している。本実施形態における建物躯体100は、基礎101、基礎パッキン102、土台103、縦胴縁104、サイディング(外装材)105、水切り部材1、侵入防止部材30などを有する。
【0017】
基礎101は、地面から上方に立ち上がって形成されており、
図1中紙面垂直方向Aに長尺に延在している。基礎101の屋外側の側面には、化粧モルタル101aが形成されている。基礎パッキン102は、方向Aに沿って長尺に形成されており、基礎101上に設置されている。また、基礎パッキン102には、屋外側と屋内側とを連通させるための複数の通気孔(不図示)が形成されている。
【0018】
土台103も、方向Aに沿って長尺に形成されており、基礎パッキン102上に設置されている。土台103の屋外側の側面103aには、雨水などの浸入を防ぐための複数の水切り部材1が、方向Aに沿って並べて取り付けられている。各水切り部材1は、底板部14(後述する)を基礎101上に当接させた状態で土台103に取り付けられている。また、土台103と縦胴縁104との間には、透湿防水シート106が配置されている。
【0019】
縦胴縁104は、土台103とサイディング105との間に配置されており、上下方向に沿って延びている。また、縦胴縁104は、方向Aに沿って互いに離隔して複数配置されている。サイディング105は、縦胴縁104の外側に配置されている。サイディング105と土台103との間であって、複数の縦胴縁104間には通気層110が形成されている。通気層110は、屋外の空気をサイディング105と土台103との間に通す。
【0020】
水切り部材1は、1枚の鋼板(金属板)を折り曲げて製造される。水切り部材1を構成する鋼板としては、ステンレス鋼板、ガルタイト(登録商標)鋼板、溶融55%アルミニウム-亜鉛合金めっき鋼板などを用いることができる。そして、1枚の鋼板から打ち抜いた、折り曲げ前の鋼板を折り曲げて、
図1に示すような水切り部材1が製造される。なお、水切り部材1にアルミニウム製のものを用いても構わない。
【0021】
水切り部材1は、
図1に示すように、取付板部11と、雨水案内板部12と、前垂れ板部13と、底板部14とを有しており、方向Aに長尺に形成されている。また、水切り部材1については、その屋外側を前方とし、屋内側を後方として以下に説明する。また、方向Aは、水平方向であって前後方向Bと直交する左右方向である。
【0022】
取付板部11は、上下方向Cに沿って垂直平面状に形成されている。取付板部11は、その上端を土台103の側面103aに描かれた罫書きに沿わせた状態で土台103に釘などで取り付けられる(
図1参照)。雨水案内板部(雨水案内部)12は、取付板部2の下端から前方斜め下方へ傾斜して延出され、サイディング105よりも屋外側に突出して配置される。これにより、サイディング105の表面に伝って流下し、雨水案内板部12上に落下してきた雨水を前垂れ板部13側へと案内することができる。前垂れ板部13は、雨水案内板部12の前端から鉛直方向下方へ延出されている。底板部14は、前垂れ板部4の下部から一端上方に延びてから後方に延出されている。また、底板部14の後端部分には、前方に折り返された折返し部15が形成されている。
【0023】
本実施形態における侵入防止部材30は、水切り部材1の雨水案内板部12の上方であってサイディング105の内側に形成された通気層110へ小動物が侵入するのを防止するものである。侵入防止部材30は、雨水案内板部12と通気層110の下側通気口111との間に配置して取り付けられている。また、侵入防止部材30は、1枚の鋼板(金属板)を折り曲げて製造される。侵入防止部材30を構成する鋼板も、上述の水切り部材1と同様に、ステンレス鋼板、ガルタイト(登録商標)鋼板、溶融55%アルミニウム-亜鉛合金めっき鋼板などを用いることができる。そして、1枚の鋼板から打ち抜いた、折り曲げ前の鋼板を折り曲げて、
図1に示すような侵入防止部材30が製造される。
【0024】
侵入防止部材30は、
図2~
図4に示すように、上板部31と、取付板部32と、下板部33とを有し、断面形状が略コ字状(略U字状、略つ字状を含む)とされている。上板部31は、前後方向B及び左右方向Aに延びた水平な板状部である。上板部31は、左右方向Aに長尺に延びており、
図1に示すように、下側通気口111を覆っている。つまり、上板部31は、前後方向Bにおいて、下側通気口111の長さよりも長く形成されている。
【0025】
上板部31は、
図2及び
図4に示すように、厚み方向に貫通した複数の通気孔31aを有する。本実施形態における通気孔31aは、直径3mmの円形とされているが、通気孔31aのサイズ及び形状は適宜変更することができる。例えば、通気孔31aが円形とした場合の直径としては、好ましくは1~15mm程度で、直径を3mm以下としたときには小動物のみならず虫の侵入の防止にも効果的である。また、通気孔31aの数及び開口面積は、通気層110へ外気を通気するために必要な設計通気量に応じて設定されればよい。
【0026】
また、侵入防止部材30は、
図2に示すように、上板部31の前端から内側(上板部31と下板部33との間)へ折り返されて当該上板部31と重なる第1折返し板部35を有している。第1折返し板部35は、上板部31の下方に配置されている。また、第1折返し板部35は、前後方向Bにおいて、上板部31の前端から略中央部までの部分と上下に重なるように配置されている。これにより、上板部31の前端に第1折返し板部35を形成する際の折返しによるR部が形成される。このため、上板部31の前端にユーザが接触することによる怪我を防止することができる。また、第1折返し板部35が上板部31と下板部33との間に配置されていることで、第1折返し板部35の先端が引っ掛かったりするのを防ぐことができる。
【0027】
取付板部32は、
図2に示すように、上板部31の後端から下方へ屈曲して延びる。取付板部32は、
図2及び
図3に示すように、厚み方向に貫通した複数の取付孔32aを有する。複数の取付孔32aは、左右方向Aに互いに離隔して配置されている。取付孔32aは、ビスなどを通すための孔である。取付孔32aを介してビスを水切り部材1の取付板部11を貫通させ土台103にねじ込むことで、取付板部32(侵入防止部材30)を土台103に固定する。本実施形態における取付孔32aは、直径4mmの円形であるが、サイズ及び形状を適宜変更してもよい。
【0028】
下板部33は、
図2に示すように、取付板部32の下端から前方へ屈曲して延びる。下板部33は、取付板部32との間でなす内角θが鈍角となるように、取付板部32の下端から前方下方へ傾斜している。これにより、
図1に示すように、下板部33と雨水案内板部12との間に隙間が生じにくくなる。つまり、侵入防止部材30を下側通気口111と雨水案内板部12との間に挿入したときに、下板部33と雨水案内板部12との当接により、上板部31をサイディング105の下端に当接させやすくなる。このため、上板部31により下側通気口111を隙間なく覆うことが可能となり(つまり、上板部31を下側通気口111に密着させることが可能となり)、上板部31とサイディング105との間から小動物などの侵入を防止できる。仮に、内角θが90度以下であると、下板部33と雨水案内板部12との間に隙間が生じやすくなり、ユーザが上板部31をサイディング105の下端に当接させつつ取付板部32を土台103に固定する必要が生じる。このように内角θが鈍角であると、雨水案内板部12と下側通気口111との間の隙間の大小に柔軟に適応することが可能となる。
【0029】
また、下板部33は、上板部31よりも前後方向Bの長さが短い。つまり、下板部33の前後方向の幅が上板部31の前後方向の幅よりも小さい。これにより、水切り部材1の雨水案内板部12上の視認がしにくくできる。つまり、侵入防止部材30が目立たない。
【0030】
また、侵入防止部材30は、
図3に示すように、取付板部32と下板部33との間の屈曲ラインLに沿って複数の長孔34が形成されている。各長孔34は、下板部33を取付板部32に対して容易に屈曲させるためのスリットであり、左右方向Aに長尺に延びている。また、複数の長孔34は、左右方向Aに沿って互いに離隔して配置されている。このような複数の長孔34を有していることで、下板部33を取付板部32に対して容易に屈曲させることが可能となる。また、取付板部32と下板部33との間でなす内角θの角度調整も容易行うことが可能となる。
【0031】
また、侵入防止部材30は、
図2に示すように、下板部33の前端から内側(上板部31と下板部33との間)へ折り返されて当該下板部33と重なる第2折返し板部36を有している。第2折返し板部36は、下板部33の上方に配置されている。また、第2折返し板部36は、前後方向Bにおいて、下板部33の前端から後端近傍部分までの部分と上下に重なるように配置されている。これにより、下板部33の前端に第2折返し板部36を形成する際の折返しによるR部が形成される。このため、下板部33の前端にユーザが接触することによる怪我を防止することができる。また、第2折返し板部36が下板部33の前端から内側へ折り返されているため、当該第2折返し板部36が下方から視認しにくくできる。また、第2折返し板部36が上板部31と下板部33との間に配置されていることで、第2折返し板部36の先端が引っ掛かったりするのを防ぐことができる。
【0032】
以上に述べたように、本実施形態における侵入防止部材30によると、取付板部32を土台103に取り付けることで、上板部31で下側通気口111を覆うことが可能となる。このため、サイディング105を施工する前であっても、サイディング105の施工後又はリフォーム時であっても侵入防止部材30を取り付けることが可能となる。したがって、小動物の侵入を防止する侵入防止部材30が取り付けられておらず、サイディング105が施工された後又は既存の建物のリフォーム時などに侵入防止部材30を取り付けることが可能となる。
【0033】
また、侵入防止部材30は、板状の各板部31,32,33により構成されている。このため、水切り部材1同士の接続部などに多少の不陸が生じていても当該不陸に追従させて変形させることができる。また、複数の侵入防止部材30同士を左右方向Aにおいて部分的に重ね合わせて連続させることができる。つまり、隣接する2つの侵入防止部材30間に大きな隙間を生じさせずに連続して配置させることができる。
【0034】
上述の実施形態においては、第1折返し板部35及び第2折返し板部36が侵入防止部材30の内側へ折り返されていたが、第1変形例において、第1折返し板部235及び第2折返し板部236が侵入防止部材230の外側へ折り返されていてもよい。本変形例における侵入防止部材230は、
図5に示すように、上述の上板部31、取付板部32、下板部33を有している。なお、上述の実施形態と同様な構成については同符号で示し、詳細の説明を省略する。
【0035】
第1折返し板部235は、
図5に示すように、上板部31の前端から外側(上板部31と下板部33との間とは反対側)へ折り返されて当該上板部31と重なる。第1折返し板部235は、上板部31の上方に配置されている。また、第1折返し板部235は、前後方向Bにおいて、上板部31の前端から略中央部までの部分と上下に重なるように配置されている。これにより、上述の実施形態と同様な効果を得ることができる。
【0036】
また、第2折返し板部236は、
図5に示すように、下板部33の前端から外側へ折り返されて当該下板部33と重なる。第2折返し板部236は、下板部33の下方に配置されている。また、第2折返し板部236は、前後方向Bにおいて、下板部33の前端から後端近傍部分までの部分と上下に重なるように配置されている。これにより、上述の実施形態と同様な効果を得ることができる。
【0037】
このような第1変形例における侵入防止部材230においても、上述の実施形態と同様に、サイディング105を施工する前であっても、サイディング105の施工後又はリフォーム時であっても侵入防止部材30を取り付けることが可能となる。
【0038】
上述の侵入防止部材30,230においては、下板部33を有しているが、第2変形例として、下板部33を有していなくてもよい。本変形例における侵入防止部材330は、
図6に示すように、上述の侵入防止部材30の上板部31、取付板部32及び第1折返し板部35を有し、断面形状が略L字状とされている。なお、上述の実施形態と同様な構成については同符号で示し、詳細の説明を省略する。
【0039】
このような第2変形例における侵入防止部材330においても、上述の実施形態と同様に、サイディング105を施工する前であっても、サイディング105の施工後又はリフォーム時であっても侵入防止部材30を取り付けることが可能となる。
【0040】
上述の実施形態における侵入防止部材30は、土台103に取り付けられていたが、第3変形例として、
図7に示すように、建物躯体のオーバーハング部400に侵入防止部材30が取り付けられてもよい。
【0041】
本変形例においける建物躯体は、
図7に示すように、サイディング403から張り出した部分(一般的に「オーバーハング部400」と呼ばれる部分)を有する。
図7に、オーバーハング部400の一例を示している。
【0042】
図7に示すオーバーハング部400は、横架材401と、横架材401の外側(屋外側)に配置された縦胴縁402と、縦胴縁402の外側に配置されたサイディング403と、横架材401の下方に配置された軒天材404とを有する。横架材401の屋外側の側面401aには、雨水などの浸入を防ぐための複数のオーバーハング部材420が、方向Aに沿って並べて取り付けられている。各オーバーハング部材420は、底板部424(後述する)を軒天材404の下面に当接させた状態で横架材401に取り付けられている。また、横架材401と縦胴縁402との間には、透湿防水シート406が配置されている。
【0043】
縦胴縁402は、横架材401とサイディング403との間に配置されており、上下方向に沿って延びている。また、縦胴縁402は、方向Aに沿って互いに離隔して複数配置されている。サイディング403と横架材401との間であって、複数の縦胴縁402間には通気層410が形成されている。通気層410は、屋外の空気をサイディング403と横架材401との間に通す。
【0044】
オーバーハング部材420も、上述の水切り部材1と同様に、1枚の鋼板(金属板)を折り曲げて製造される。オーバーハング部材420を構成する鋼板としては、上述の実施形態と同様である。なお、オーバーハング部材420にアルミニウム製のものを用いても構わない。
【0045】
オーバーハング部材420は、
図7に示すように、取付板部421と、雨水案内板部422と、前垂れ板部423と、底板部424とを有しており、方向Aに長尺に形成されている。また、オーバーハング部材420については、その屋外側を前方とし、屋内側を後方として以下に説明する。
【0046】
取付板部421は、
図7に示すように、上下方向Cに沿って垂直平面状に形成されている。取付板部421は、その上端を横架材401の側面401aに描かれた罫書きに沿わせた状態で横架材401に釘などで取り付けられる。雨水案内板部(雨水案内部)422は、取付板部421の下端から前方斜め下方へ傾斜して延出され、サイディング403よりも屋外側に突出して配置される。これにより、サイディング403の表面に伝って流下し、雨水案内板部422上に落下してきた雨水を前垂れ板部423側へと案内することができる。前垂れ板部423は、雨水案内板部422の前端から鉛直方向下方へ延出されている。底板部424は、前垂れ板部423の下端からやや斜め上方に延びた後、後方に水平に延出されている。また、底板部424は、その後端部分に、前方に折り返された折返し部425を有する。
【0047】
侵入防止部材30は、
図7に示すように、オーバーハング部材420の雨水案内板部422と通気層410の下側通気口411との間に配置して取り付けられる。より詳細には、侵入防止部材30は、下側通気口411と雨水案内板部422との間に挿入される。このとき、下板部33と雨水案内板部422との当接により、上板部31がサイディング403の下端に当接する。つまり、上板部31により下側通気口111を隙間なく覆うことが可能となる。この後、上述の実施形態と同様に、取付孔32aを介して取付板部32をビスなどで横架材401に固定する。こうして、侵入防止部材30がオーバーハング部400に取り付けられる。
【0048】
以上に述べたように、本変形例においても、オーバーハング部400のサイディング403を施工する前であっても、サイディング403の施工後又はリフォーム時であっても侵入防止部材30を取り付けることが可能となる。したがって、小動物の侵入を防止する侵入防止部材30が取り付けられておらず、サイディング403が施工された後又は既存の建物のリフォーム時などに侵入防止部材30を取り付けることが可能となる。
【0049】
以上、本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は上述の実施形態に限られるものではなく、特許請求の範囲に記載した限りにおいて様々な変更が可能なものである。例えば、侵入防止部材30の下板部33が取付板部32の下端から前方に延びていてもよい。つまり、内角θが90度であってもよい。また、内角θは90度未満となるように、下板部33が取付板部32の下端から延びていてもよい。また、侵入防止部材30は、取付板部32が湾曲し、断面形状がU字状に形成されていてもよい。
【0050】
また、上述の実施形態及び各変形例においては、上板部31と取付板部32とでなす内角が90度であるが、当該内角が鋭角又は鈍角であってもよい。侵入防止部材の取付位置に応じて内角の角度を適宜調整すればよい。
【0051】
また、下板部33は、左右方向Aに沿って複数に分断されていてもよい。つまり、左右方向Aの長さが下板部33よりも短い下板部が左右方向Aに沿って複数設けられていてもよい。これにおいても、下板部を取付板部32に対して曲げやすくなる。また、下板部33の左右方向Aの長さが取付板部32よりも短くてもよい。また、取付板部32及び下板部33の左右方向Aの長さが上板部31よりも短くてもよい。
【0052】
また、スリットとしての長孔34は1つだけ形成されていてもよい。また、長孔34が形成されていなくてもよい。長孔34に代えて、周囲の他の部位よりも厚みが減じられた薄肉部が形成されていてもよい。
【0053】
また、第1折返し板部35,235が形成されていなくてもよい。また、第1折返し板部35,235が、上板部31の前端から後端近傍までの部分と重なっていてもよい。また、第2折返し板部36,236が形成されていなくてもよい。また、第2折返し板部36,236は、下板部33の前端から中央部までの少なくとも一部分とだけ重なっていてもよい。
【0054】
侵入防止部材が合成樹脂から構成されていてもよい。また、取付板部32が釘や両面テープなどの粘着剤で土台103又は横架材401に固定されてもよい。また、取付板部32が金属製の場合、磁石により取付板部32を金属製の水切り部材1又はオーバーハング部材420に固定してもよい。また、取付板部32に取付孔32aが形成1つだけ形成されていてもよい。また、取付板部32に取付孔32aが形成されていなくてもよいし、取付孔32aに代えて窪みが形成されていてもよい。
【0055】
また、上板部31の前後方向Bの長さが、下板部33の前後方向Bの長さ以下であってもよい。
【符号の説明】
【0056】
1 水切り部材
12,422 雨水案内板部(雨水案内部)
105,403 サイディング(外装材)
110,410 通気層
111,411 下側通気口
30,230,330 侵入防止部材
31 上板部
31a 通気孔
32 取付板部
33 下板部
34 長孔(スリット)
35,235 第1折返し板部
36,236 第2折返し板部
420 オーバーハング部材
θ 内角