IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社オービックの特許一覧

特開2024-17575業務支援装置、業務支援方法、及び、業務支援プログラム
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024017575
(43)【公開日】2024-02-08
(54)【発明の名称】業務支援装置、業務支援方法、及び、業務支援プログラム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 40/12 20230101AFI20240201BHJP
【FI】
G06Q40/00 400
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022120301
(22)【出願日】2022-07-28
(71)【出願人】
【識別番号】398040527
【氏名又は名称】株式会社オービック
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】長谷川 裕寿
(72)【発明者】
【氏名】上野 剛光
【テーマコード(参考)】
5L055
【Fターム(参考)】
5L055BB63
(57)【要約】
【課題】簡単かつ短時間で固定資産データを生成する。
【解決手段】取得部が、複数の固定資産要素で構成される固定資産における固定資産要素毎に、少なくとも構成品目、構成数量及び各構成品目の単価、及び、固定資産に対応する労務費等の発生した費用を取得する。材料費算出部は、固定資産要素毎に、取得された各構成品目の構成数量に各構成品目の単価を乗算処理して加算処理することで、各固定資産要素の材料費を算出する。また、按分費用算出部は、取得された費用に対して、固定資産を構成する固定資産要素毎に定められている按分係数を乗算処理し、各固定資産要素の按分費用を算出する。また、取得価格算出部は、固定資産要素毎に材料費及び按分費用を加算処理し、各固定資産要素の取得価格をそれぞれ算出する。データ生成部は、固定資産要素毎に、固定資産番号、資産名、耐用年数、償却方法、及び、取得価格を含む固定資産データを生成する。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の固定資産要素で構成される固定資産における前記固定資産要素毎に、少なくとも構成品目、構成数量及び各構成品目の単価、及び、前記固定資産に対応する労務費、経費、外注費のうち、発生した費用を取得する取得部と、
前記固定資産要素毎に、取得された各前記構成品目の構成数量に各前記構成品目の単価を乗算処理した乗算処理結果をそれぞれ加算処理することで、各前記固定資産要素の材料費を算出する材料費算出部と、
取得された前記費用に対して、前記固定資産を構成する前記固定資産要素毎に定められている按分係数を乗算処理することで、各前記固定資産要素の按分費用を算出する按分費用算出部と、
前記固定資産要素毎に前記材料費及び前記按分費用を加算処理することで、各前記固定資産要素の取得価格をそれぞれ算出する取得価格算出部と、
前記固定資産要素毎に、固定資産番号、資産名、耐用年数、償却方法、及び、前記取得価格を含む固定資産データを生成するデータ生成部と、
を有する業務支援装置。
【請求項2】
各前記固定資産要素のうち、前記取得価格が、法令で定められた取得価格以上の固定資産要素を資産計上とする固定資産要素として判別し、法令で定められた取得価格未満の固定資産要素を費用計上とする固定資産要素として判別する判別部を、さらに備え、
前記データ生成部は、前記判別部の判別結果を費用計上判断区分として含む前記固定資産データを生成すること、
を特徴とする請求項1に記載の業務支援装置。
【請求項3】
前記取得部は、前記固定資産要素を資産計上とすることがデフォルト設定された固定資産計上区分を取得し、
前記データ生成部は、前記判別部で、法令で定められた取得価格未満の固定資産要素であることから、費用計上とすることが判別された前記固定資産要素の前記固定資産計上区分を、費用計上とすることを示す固定資産計上区分に修正処理すること、
を特徴とする請求項2に記載の業務支援装置。
【請求項4】
前記データ生成部は、追加原価が発生した場合、発生した追加原価に対応する前記取得価格、及び、生成済の前記固定資産データの前記固定資産番号に、発生した追加原価に対応する枝番を付した追加原価用の固定資産番号を含む前記固定資産データを生成すること、
を特徴とする請求項1から請求項3のうち、いずれか一項に記載の業務支援装置。
【請求項5】
取得部が、複数の固定資産要素で構成される固定資産における前記固定資産要素毎に、少なくとも構成品目、構成数量及び各構成品目の単価、及び、前記固定資産に対応する労務費、経費、外注費のうち、発生した費用を取得する取得ステップと、
材料費算出部が、前記固定資産要素毎に、取得された各前記構成品目の構成数量に各前記構成品目の単価を乗算処理した乗算処理結果をそれぞれ加算処理することで、各前記固定資産要素の材料費を算出する材料費算出ステップと、
按分費用算出部が、取得された前記費用に対して、前記固定資産を構成する前記固定資産要素毎に定められている按分係数を乗算処理することで、各前記固定資産要素の按分費用を算出する按分費用算出ステップと、
取得価格算出部が、前記固定資産要素毎に前記材料費及び前記按分費用を加算処理することで、各前記固定資産要素の取得価格をそれぞれ算出する取得価格算出ステップと、
データ生成部が、前記固定資産要素毎に、固定資産番号、資産名、耐用年数、償却方法、及び、前記取得価格を含む固定資産データを生成するデータ生成ステップと、
を有する業務支援方法。
【請求項6】
コンピュータを、
複数の固定資産要素で構成される固定資産における前記固定資産要素毎に、少なくとも構成品目、構成数量及び各構成品目の単価、及び、前記固定資産に対応する労務費、経費、外注費のうち、発生した費用を取得する取得部と、
前記固定資産要素毎に、取得された各前記構成品目の構成数量に各前記構成品目の単価を乗算処理した乗算処理結果をそれぞれ加算処理することで、各前記固定資産要素の材料費を算出する材料費算出部と、
取得された前記費用に対して、前記固定資産を構成する前記固定資産要素毎に定められている按分係数を乗算処理することで、各前記固定資産要素の按分費用を算出する按分費用算出部と、
前記固定資産要素毎に前記材料費及び前記按分費用を加算処理することで、各前記固定資産要素の取得価格をそれぞれ算出する取得価格算出部と、
前記固定資産要素毎に、固定資産番号、資産名、耐用年数、償却方法、及び、前記取得価格を含む固定資産データを生成するデータ生成部として機能させること、
を特徴とする業務支援プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、業務支援装置、業務支援方法、及び、業務支援プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
今日において、製造品を固定資産として計上する場合、発生原価及び作成した資産分類等の内容を精査して計上する必要がある。
【0003】
特許文献1(特開2010-072964号公報)に開示されている減価償却資産価格算定装置は、工事内訳書データ入力画面を介して入力された中分類項目毎の資産の金額と、中分類項目に対応した償却率とに基づいて減価償却後の償却後残存価格を中分類項目毎にそれぞれ算出し、その償却後残存価格を累計する。
【0004】
そして、1棟ごとの建物に対する累計残存価格を求めた後、償却資産に対する更新、修繕又は改修に伴って指定された工事価格の金額に基づいて、資産変動を反映させた償却後残存価格を分類項目毎に算出し直して累計残存価格を再計算する。これにより、資産を正確に算定し、正しい資産価格を何時の時点でも容易かつ短時間に求めることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2010-072964号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、従来は、固定資産を考慮した製造原価の管理ができていなかったため、全体の金額を算出した後に、経理部が、固定産を構成する固定資産要素毎に分割して取得価格等を再計算する必要があった。このため、計上する固定資産データの生成に面倒な作業及び長時間を要する問題があった。
【0007】
本発明は、上述の課題に鑑みてなされたものであり、簡単かつ短時間で固定資産データを生成可能とした業務支援装置、業務支援方法、及び、業務支援プログラムの提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述の課題を解決し、目的を達成するために、本発明に係る業務支援装置は、複数の固定資産要素で構成される固定資産における固定資産要素毎に、少なくとも構成品目、構成数量及び各構成品目の単価、及び、固定資産に対応する労務費、経費、外注費のうち、発生した費用を取得する取得部と、固定資産要素毎に、取得された各構成品目の構成数量に各構成品目の単価を乗算処理した乗算処理結果をそれぞれ加算処理することで、各固定資産要素の材料費を算出する材料費算出部と、取得された費用に対して、固定資産を構成する固定資産要素毎に定められている按分係数を乗算処理することで、各固定資産要素の按分費用を算出する按分費用算出部と、固定資産要素毎に材料費及び按分費用を加算処理することで、各固定資産要素の取得価格をそれぞれ算出する取得価格算出部と、固定資産要素毎に、固定資産番号、資産名、耐用年数、償却方法、及び、取得価格を含む固定資産データを生成するデータ生成部と、を有する。
【0009】
また、上述の課題を解決し、目的を達成するために、本発明に係る業務支援方法は、取得部が、複数の固定資産要素で構成される固定資産における固定資産要素毎に、少なくとも構成品目、構成数量及び各構成品目の単価、及び、固定資産に対応する労務費、経費、外注費のうち、発生した費用を取得する取得ステップと、材料費算出部が、固定資産要素毎に、取得された各構成品目の構成数量に各構成品目の単価を乗算処理した乗算処理結果をそれぞれ加算処理することで、各固定資産要素の材料費を算出する材料費算出ステップと、按分費用算出部が、取得された費用に対して、固定資産を構成する固定資産要素毎に定められている按分係数を乗算処理することで、各固定資産要素の按分費用を算出する按分費用算出ステップと、取得価格算出部が、固定資産要素毎に材料費及び按分費用を加算処理することで、各固定資産要素の取得価格をそれぞれ算出する取得価格算出ステップと、データ生成部が、固定資産要素毎に、固定資産番号、資産名、耐用年数、償却方法、及び、取得価格を含む固定資産データを生成するデータ生成ステップと、を有する。
【0010】
また、上述の課題を解決し、目的を達成するために、本発明に係る業務支援プログラムは、コンピュータを、複数の固定資産要素で構成される固定資産における固定資産要素毎に、少なくとも構成品目、構成数量及び各構成品目の単価、及び、固定資産に対応する労務費、経費、外注費のうち、発生した費用を取得する取得部と、固定資産要素毎に、取得された各構成品目の構成数量に各構成品目の単価を乗算処理した乗算処理結果をそれぞれ加算処理することで、各固定資産要素の材料費を算出する材料費算出部と、取得された費用に対して、固定資産を構成する固定資産要素毎に定められている按分係数を乗算処理することで、各固定資産要素の按分費用を算出する按分費用算出部と、固定資産要素毎に材料費及び按分費用を加算処理することで、各固定資産要素の取得価格をそれぞれ算出する取得価格算出部と、固定資産要素毎に、固定資産番号、資産名、耐用年数、償却方法、及び、取得価格を含む固定資産データを生成するデータ生成部として機能させる。
【発明の効果】
【0011】
本発明は、簡単かつ短時間で固定資産データを生成できる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1図1は、実施の形態の業務支援装置のハードウェア構成を示すブロック図である。
図2図2は、固定資産データの生成対象となっている複数の固定資産要素から構成された製造品の一例を示す図である。
図3図3は、品目マスタの一例を示す図である。
図4図4は、製造構成マスタの一例を示す図である。
図5図5は、実施の形態の業務支援装置における固定資産データの生成動作の流れを示すフローチャートである。
図6図6は、製造基本データの一例を示す図である。
図7図7は、労務費データの一例を示す図である。
図8図8は、外注費データの一例を示す図である。
図9図9は、経費データの一例を示す図である。
図10図10は、材料費データの一例を示す図である。
図11図11は、全体の製造原価の算出の仕方を説明するための図である。
図12図12は、固定資産要素別の発生原価の算出の仕方を説明するための図である。
図13図13は、按分費用の算出の仕方を説明するための図である。
図14図14は、固定資産要素別の取得価格の算出の仕方を説明するための図である。
図15図15は、固定資産データの一例を示す図である。
図16図16は、定期点検作業の追加原価が発生した場合に入力される製番基本データの一例を示す図である。
図17図17は、定期点検作業の追加原価に対応する労務費データの一例を示す図である。
図18図18は、定期点検作業の追加原価に対応する固定資産データの一例を示す図である。
図19図19は、パネル交換作業の追加原価が発生した場合に入力される製番基本データの一例を示す図である。
図20図20は、パネル交換作業の追加原価に対応する材料費データの一例を示す図である。
図21図21は、パネル交換作業の追加原価に対応する労務費データの一例を示す図である。
図22図22は、パネル交換作業の追加原価に対応する経費データの一例を示す図である。
図23図23は、パネル交換作業の追加原価に対応する固定資産データの一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明を適用した実施の形態となる業務支援装置を、図面に基づいて詳細に説明する。なお、このような実施の形態に本発明が限定されるものではない。
【0014】
(ハードウェア構成)
図1は、実施の形態の業務支援装置1のハードウェア構成を示すブロック図である。この図1に示す業務支援装置1は、製造品を固定資産として計上する際に、一つの固定資産を構成する固定資産要素毎に固定資産データを生成可能となっている。例えば、製造品が、図2に示すように看板の場合、業務支援装置1は、パネル及びパネルを支持する躯体に分けて固定資産データを生成可能となっている。あくまでも一例であるが、以下、看板のパネル及びパネルを支持する躯体の固定資産データをそれぞれ生成する場合を例として、この実施の形態の業務支援装置1の説明を行う。
【0015】
このような業務支援装置1は、記憶部2、制御部3、通信インターフェース部4及び入出力インターフェース部5を備えている。入出力インターフェース部5には、入力装置6及び出力装置7が接続されている。出力装置7としては、モニタ装置(家庭用テレビを含む)等の表示部又は印刷装置等を用いることができる。入力装置6としては、キーボード装置、マウス装置及びマイクロホン装置等の他、マウス装置と協働してポインティングデバイス機能を実現するモニタ装置等を用いることができる。
【0016】
通信インターフェース部4は、例えばインターネット等の広域網又はLAN(Local Area Network)等のプライベート網に接続される。
【0017】
記憶部2としては、例えばROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、HDD(Hard Disk Drive)又はSSD(Solid State Drive)等の記憶装置を用いることができる。記憶部2には、品目マスタ11及び製造構成マスタ12が記憶されている。
【0018】
また、記憶部2には、一つの固定資産を構成する複数の固定資産要素の固定資産データを生成する業務支援プログラムが記憶されている。また、記憶部2には、後述する製番基本データ、材料費データ、労務費データ、外注費データ、経費データ及び固定資産データが記憶される。
【0019】
図3は、品目マスタ11の一例を示す図である。この図3に示すように、品目マスタ11には、品目コード、品目名、按分係数、接頭辞、耐用年数、償却方法、備忘価格、及び、資産種類コードが記憶されている。品目コード及び品目名は、製造品を構成する固定資産要素毎に記憶されており、パネルの品目コードは「H001」、躯体の品目コードは「H002」となっている。
【0020】
按分係数は、労務費、外注費及び経費等の、製造品の作成及び設置等に要した費用を、固定資産要素毎に按分するための係数である。パネルの按分係数は「1」であり、躯体の按分係数は「2」となっている。
【0021】
接頭辞は、生成された各固定資産要素の固定資産データの固定資産番号に付される文字である。パネルの固定資産番号に付される接頭辞は「PA」に設定されている。このため、パネルの固定資産データに対しては、「PA00001」等の固定資産番号が付される。また、躯体の固定資産番号に付される接頭辞は「KU」に設定されている。このため、躯体の固定資産データに対しては、「KU00001」等の固定資産番号が付される。
【0022】
耐用年数は、耐用年数は、国税庁から発表されている減価償却資産の耐用年数表に基づいて設定される。パネルの耐用年数は「5年」、躯体の耐用年数は「25年」である。償却方法としては、いわゆる定額法又は定率法に基づく減価償却方法が設定される。図3の例は、パネル及び躯体に対して、定額法に基づく「均等償却」の減価償却方法が設定された例である。備忘価格は、パネル及び躯体に対して「1円」が設定されている。また、パネルの資産種類コードは「11」とされ、躯体の資産種類コードは、「41」とされている。
【0023】
図4は、製造構成マスタ12の一例を示す図である。製造構成マスタ12には、図4に示すように、固定資産要素となる品目毎に、品目コード、品目名、構成品目コード、構成品目名、構成数量、及び、単価が記憶されている。
【0024】
この図4に示すように、「H001」の品目コードのパネルは、
「H00101」の構成品目コードで単価が「1200円」の四角ボルトを「10個」と、
「H00102」の構成品目コードで単価が「6千円」のシートを「1枚」と、
「H00103」の構成品目コードで単価が「1000円」のブラケットを「10個」と、
「H00104」の構成品目コードで単価が「3万円」のカラーパイプを「4本」とで構成されている。
【0025】
同様に、図4に示すように、「H002」の品目コードの躯体は、
「H00201」の構成品目コードで単価が「5万円」の鉄骨を「8本」と、
「H00202」の構成品目コードで単価が「5千円」の電線を「20m」と、
「H00203」の構成品目コードで単価が「1000円」のLアングルを「20個」とで構成されている。
【0026】
(業務支援装置の機能構成)
次に、制御部3は、記憶部2に記憶されている業務支援プログラムを実行することで、図1に示すように、取得部21、材料費算出部22、按分費用算出部23、取得価格算出部24、データ生成部25、判別部26、記憶制御部27、及び、出力制御部28として機能する。
【0027】
取得部21は、品目マスタ11及び製造構成マスタ12を参照し、複数の固定資産要素で構成される固定資産における固定資産要素毎に、少なくとも構成品目、構成数量及び各構成品目の単価を取得する。また、取得部21は、業務オペレータにより入力されることで記憶部2に記憶される労務費データ、外注費データ、経費データに基づいて、固定資産に対応する労務費、経費、外注費のうち、発生した費用を取得する。
【0028】
材料費算出部22は、固定資産要素毎に、取得された各構成品目の構成数量に各構成品目の単価を乗算処理した乗算処理結果をそれぞれ加算処理することで、各固定資産要素の材料費を算出する。
【0029】
按分費用算出部23は、取得された費用に対して、固定資産を構成する固定資産要素毎に定められている按分係数(図3参照)を乗算処理することで、各固定資産要素の按分費用を算出する。
【0030】
取得価格算出部24は、固定資産要素毎に材料費及び按分費用を加算処理することで、各固定資産要素の取得価格をそれぞれ算出する。
【0031】
データ生成部25は、固定資産要素毎に、固定資産番号、資産名、耐用年数、償却方法、及び、取得価格を含む固定資産データを生成する。
【0032】
記憶制御部27は、業務オペレータから入力される製番基本データ、材料費データ、外注費データ及び経費データを記憶部2に記憶すると共に、データ生成部25で生成された固定資産データを記憶部2に記憶する。
【0033】
出力制御部28は、業務オペレータにより指定されたタイミングで、記憶部2に記憶されている固定資産データを出力装置7に出力し、固定資産データの表示又は印刷を行う。
【0034】
判別部26は、各固定資産要素のうち、取得価格が、法令で定められた取得価格以上の固定資産要素を資産計上する固定資産要素と判別し、法令で定められた取得価格未満の固定資産要素を、費用計上とする固定資産要素として判別する。データ生成部25は、資産計上判断区分の判別結果を含む固定資産データを生成する。
【0035】
また、取得部21は、固定資産要素を資産計上とすることがデフォルト設定された固定資産計上区分を取得し、データ生成部25は、判別部26で、法令で定められた取得価格未満の固定資産要素であることから、費用計上とすることが判別された固定資産要素の固定資産計上区分を、費用計上とすることを示す固定資産計上区分に修正処理する。
【0036】
また、データ生成部25は、例えば定期点検作業又はパネル交換作業等の追加原価が発生した場合、発生した追加原価に対応する取得価格、及び、生成済の固定資産データの固定資産番号に、発生した追加原価に対応する枝番を付した追加原価用の固定資産番号を含む固定資産データを生成する。記憶制御部27は、生成済の固定資産データと、発生した追加原価に対応する枝番を付した追加原価用の固定資産番号を含む固定資産データとを、それぞれ関連付けて記憶部2に記憶する。これにより、各固定資産要素の元となる固定資産データと、後日追加となった追加原価に対応する固定資産データとを関連付けて管理することができる。
【0037】
(固定資産データの生成動作)
次に、このような構成を有する実施の形態の業務支援装置1における固定資産データの生成動作を説明する。図5は、実施の形態の業務支援装置1における固定資産データの生成動作の流れを示すフローチャートである。業務オペレータにより、入力装置6を介して固定資産データの生成を指定する操作がされると、制御部3が記憶部2に記憶されている業務支援プログラムに基づいて、図5のフローチャートの処理を開始し、ステップS1から順に処理を実行する。
【0038】
まず、業務オペレータは、固定資産の製品番号(製番)を示す製番基本データ、固定資産の設置等に要した労務費を示す労務費データ、固定資産の設置等に要した外注費の外注費データ、固定資産の設置等の要した経費の経費データの入力を行う。記憶制御部27は、これらのデータを記憶部2に記憶する。ステップS1では、取得部21が、製番基本データ、労務費データ、外注費データ、及び、経費データを記憶部2から取得する。また、ステップS1では、取得部21が、図3に示す品目マスタ11及び図4に示す製造構成マスタ12を参照し、固定資産の各固定資産要素となる構成品目の数量及び単価等の材料費データを取得する。
【0039】
具体的には、図6は、製番基本データの一例を示す図である。この図6に示すように、製番基本データは、製番、品番、品番名、基本情報、案件番号(親製番)、及び、固定資産計上区分を含んで構成される。この図6の例は、「〇〇デンタルクリニック」の看板に対する製番基本データであり、製番は「S001」で、品番は「A001」とされている。基本情報は、「〇〇市△△町×××□□交差点西 700m」等のように、この看板の設置場所を示している。
【0040】
案件番号(親製番)としては、「親」に相当する固定資産の固定資産データに付された製番が指定され入力される。すなわち、親となる固定資産である看板が設置された後に、例えば定期点検作業又はパネル交換作業等による追加原価が発生することがある。このような追加原価に対応して、追加原価の固定資産データが生成されるのであるが、この追加原価の固定資産データを生成する際に参照される製番基本データの案件番号(親製番)に、「親」に相当する設置済の看板の固定資産データに付与されている製番を指定して入力する。これにより、親となる看板の固定資産データ、及び、子となる追加原価の固定資産データが、同じ製番を介してそれぞれ関連付けされて記憶されることとなる。
【0041】
固定資産計上区分は、その固定資産の計上を行うか否かを示す情報であり、固定資産計上を行う固定資産である場合は「1」が付され、費用計上する資産である場合は「0」が付される。後述する図5のフローチャートのステップS2では、判別部26が、この固定資産計上区分を参照することで、現在、固定資産データの生成が指定されている固定資産は、固定資産計上を行う固定資産であるか否かを判別する。
【0042】
図7は、労務費データの一例を示す図である。この図7に示すように、労務費データは、製番、作業担当者、作用時間、単価、金額、及び、備考を含んで構成される。製番は、親としていの固定資産の製番基本データに用いた「S001」等の製番が統一して用いられる。また、この労務費データは、作業担当者「A」が、看板の「設置工事」のために、「200時間」の作業を行うことで、労務費として「6万円」を要したことを示している。
【0043】
図8は、外注費データの一例を示す図である。この図8に示すように、外注費データは、製番、費目コード、費目名、及び、金額を含んで構成される。製番は、親としての固定資産の製番基本データに用いた「S001」等の製番が統一して用いられる。また、この外注費データは、看板を設置する際の「電線工事一式」の工事のために、「30万円」の外注費を要したことを示している。
【0044】
図9は、経費データの一例を示す図である。経費データは、間接経費を示しており、図9に示すように、製番、費目コード、費目名、及び、金額を含んで構成される。製番は、親としての固定資産の製番基本データに用いた「S001」等の製番が統一して用いられる。また、この経費データは、消耗品費に「3万円」を経費として要し、原価償却費に「9万円」を経費として要したことを示している。
【0045】
次に、図5のフローチャートのステップS2では、判別部26が、取得された製番基本データの固定資産計上区分に基づいて、現在、固定資産データの生成が指定されている固定資産は、固定資産計上を行う固定資産であるか否かを判別する。固定資産計上区分が「0」である場合は、判別部26により、現在、固定資産データの生成が指定されている固定資産は、固定資産計上を行わない固定資産であると判別され、ステップS8を介して通常の原価計算処理に移行して、この図5のフローチャートの処理を終了する。
【0046】
これに対して、固定資産計上区分が「1」である場合は、判別部26により、現在、固定資産データの生成が指定されている固定資産は、固定資産計上を行う固定資産であると判別され、ステップS3に処理が進む。ステップS3では、看板の設置に要した直接費が算出される。
【0047】
具体的には、まず、データ生成部25は、図4に示した製造構成マスタ12等から取得されたパネルの構成品目、構成数量、単価、及び、躯体の構成品目、構成数量、単価等に基づいて、図10に例示する材料費データを生成する。この図10に示すように、材料費データは、製番、構成順位、品目コード、品目名、構成数量、単価、及び金額を含んで構成される。
【0048】
製番は、親としての固定資産を示す上述の「S001」の製番が用いられる。また、構成順位は、「1」のパネル(品目コード:H001)及び「2」の躯体(品目コード:H002)となる。また、各品目を構成する構成品目の構成順位は、各品目の構成順位に対して、降順に枝番を付した番号が用いられる。
【0049】
すなわち、パネルの品目に対しては「1」の構成順位を付したため、このパネルを構成する構成品目である四角ボルト(品目コード:H00101)には「1-1」の構成順位が付され、シート(品目コード:H00102)の構成品目には「1-2」の構成順位が付され、ブラケット(品目コード:H00103)の構成品目には「1-3」の構成順位が付され、カラーパイプ(品目コード:H00104)の構成品目には「1-4」の構成順位が付される。
【0050】
同様に、躯体の品目に対しては「2」の構成順位を付したため、この躯体を構成する構成品目である鉄骨(品目コード:H00201)には「2-1」の構成順位が付され、電線(品目コード:H00202)の構成品目には「2-2」の構成順位が付され、Lアングル(品目コード:H00203)の構成品目には「2-3」の構成順位が付される。
【0051】
このような材料費データが生成されると、材料費算出部22は、各構成品目の構成数量に単価を乗算処理することで、各構成品目の金額をそれぞれ算出する。データ生成部25は、算出された各構成品目の金額を、材料費データの金額の入力欄にそれぞれ入力する。具体的には、パネルの製造に単価が1200円の四角ボルトが10個用いられているため、材料費算出部22は、「1200円×10個=1万2千円」の演算を行う。データ生成部25は、この算出した金額を、材料費データの四角ボルトの金額の入力欄に入力する。
【0052】
同様に、パネルの製造に単価が3万円のカラーパイプが4個用いられているため、材料費算出部22は、「3万円×4個=12万円」の演算を行う。データ生成部25は、この算出した金額を、材料費データのカラーパイプの金額の入力欄に入力する。同様に、躯体の製造に単価が5万円の鉄骨が8本用いられているため、材料費算出部22は、「5万円×8本=40万円」の演算を行う。データ生成部25は、この算出した金額を、材料費データの鉄骨の金額の入力欄に入力する。
【0053】
次に、材料費算出部22は、品目毎に各構成品目の合計額である直接材料費を算出する。具体的には、材料費算出部22は、図12に示すようにパネルの各構成品目の金額を加算処理することで、「1万2千円+6千円+1万円+12万円=14万8千円」の演算を行い、パネルの直接材料費を算出する。
【0054】
また、材料費算出部22は、図12に示すように躯体の各構成品目の金額を加算処理することで、「40万円+10万円+2万円=52万円」の演算を行い、躯体の直接材料費を算出する。データ生成部25は、算出された14万8千円の直接材料費を、材料費データのパネルの金額の入力欄に入力し、算出された52万円の直接材料費を、材料費データの躯体の金額の入力欄に入力する。
【0055】
次に、図5のフローチャートのステップS4では、資産毎(品目毎)の原価按分処理(費用の按分処理)を行う。すなわち、このステップS4に移行すると、按分費用算出部23は、労務費データ、外注費データ及び経費データの各金額を参照し、図13に示すようにパネルの設置に要した労務費、外注費、経費、及び、躯体の設置に要した労務費、外注費、経費を検出する。また、按分費用算出部23は、図3に示した品目マスタを参照することで、各品目であるパネルの按分係数及び躯体の按分係数を検出する。図3の例の場合、パネルの按分係数は「1」に設定されており、躯体の按分係数は「2」に設定されている。このため、パネルの按分係数は「1/3」となり、躯体の按分係数は「2/3」となる。
【0056】
そして、按分費用算出部23は、図13に示すように、パネルの労務費である6万円にパネルの按分係数である「1/3」を乗算処理することで、「2万円」の直接労務費を算出する。同様に、按分費用算出部23は、図13に示すように、パネルの外注費である30万円にパネルの按分係数である「1/3」を乗算処理することで、「10万円」の直接外注費を算出する。同様に、按分費用算出部23は、図13に示すように、パネルの経費である12万円にパネルの按分係数である「1/3」を乗算処理することで、「4万円」の間接経費を算出する。そして、按分費用算出部23は、算出した直接労務費、直接外注費及び間接経費を加算処理することで、パネルの按分費用である「16万円」の按分費用を算出する。
【0057】
また、按分費用算出部23は、図13に示すように、躯体の労務費である6万円に躯体の按分係数である「2/3」を乗算処理することで、「4万円」の直接労務費を算出する。同様に、按分費用算出部23は、図13に示すように、躯体の外注費である30万円にパネルの按分係数である「2/3」を乗算処理することで、「20万円」の直接外注費を算出する。同様に、按分費用算出部23は、図13に示すように、躯体の経費である12万円にパネルの按分係数である「2/3」を乗算処理することで、「8万円」の間接経費を算出する。そして、按分費用算出部23は、算出した直接労務費、直接外注費及び間接経費を加算処理することで、躯体の按分費用である「32万円」の按分費用を算出する。
【0058】
これにより、各構成品目であるパネル及び躯体に按分した費用をそれぞれ算出できる。なお、看板全体の製造原価は、直接材料費が「66万8千円」、直接労務費が「6万円」、直接外注費が「30万円」、間接経費が「12万円」であるため、図11に示すように、計「114万8千円」となる。
【0059】
次に、取得価格算出部24は、図14に示すようにパネルの直接材料費である「14万8千円」に、パネルの按分費用である「16万円」を加算処理することで「30万8千円」の製造原価(取得価格)を算出する。また、取得価格算出部24は、図14に示すように躯体の直接材料費である「52万円」に、躯体の按分費用である「32万円」を加算処理することで「84万円」の製造原価(取得価格)を算出する。
【0060】
ここで、法人税法施行令(昭和四十年政令第九十七号)の第133条(少額の減価償却資産の取得価額の損金算入)には、取得価額が10万円未満の減価償却資産は、これを事業の用に供した事業年度において一時償却することができると規定されている。このため、図5のフローチャートのステップS5では、判別部26が、上述のように算出されたパネル及び躯体の取得価格は、このような法定金額未満であるか否かを判別する。
【0061】
この例の場合、パネルの取得価格は「30万8千円」であり、躯体の取得価格は「84万円」である。このため、パネル及び躯体の取得価格は、両方とも法定金額以上となる(ステップS5:No)。このため、処理がステップS6に進み、データ生成部25が、構成品目毎に、費用計上判断区分を資産計上として固定資産データをそれぞれ生成する。
【0062】
図15に、生成された固定資産データの一例を示す。この図15に示すように、固定資産データは、固定資産番号、製番、資産名、耐用年数、償却方法、備忘価格、資産種類コード、取得価格、費用計上判断区分を含んで構成される。
【0063】
固定資産番号としては、図3の品目マスタ11に示した接頭辞を用いた固定資産番号が制御部3により自動採番されて付される。すなわち、図3に示すように、パネルの接頭辞は、「PA」である。このため、制御部3は、例えば「PA0001-000」の固定資産番号を生成し、これを図15に示すようにパネルの固定資産番号として付す。また、図3に示すように、躯体の接頭辞は、「KU」である。このため、制御部3は、例えば「KU0001-000」の固定資産番号を生成し、これを図15に示すように躯体の固定資産番号として付す。
【0064】
製番は、親としての固定資産を示す上述の「S001」の製番が用いられる。資産名、耐用年数、償却方法、備忘価格、資産種類コードは、図3に示した品目マスタ11から取得され、固定資産データに反映される。取得価格は、上述のように算出された価格であり、パネルの取得価格が「30万8千円」であり、躯体の取得価格は「84万円」である。費用計上判断区分は、法定金額以上である場合は固定資産として計上することを示す「資産計上」が入力され、法定金額未満である場合は、費用として計上することを示す「費用計上」が入力される。
【0065】
このような固定資産データは、記憶制御部27により記憶部2に記憶される(ステップS7)。そして、業務オペレータにより指示されたタイミングで、出力制御部28により記憶部2から読み出され、出力装置7を介して表示又は印刷を行われる。
【0066】
(定期点検作業による追加原価が発生した場合)
次に、例えば看板の定期点検作業により10万円未満(法定金額未満=ステップS5:Yes)の追加原価が発生した場合における固定資産データの生成動作を説明する。
【0067】
上述の例において、親となる固定資産である看板の設置を行い、固定資産データを生成した後において、看板の定期点検が行われる場合がある。この場合、業務オペレータは、定期点検用の製番基本データの入力を行う。これにより、データ生成部25は、図16に示すように、定期点検用として「S020」の製番を付した製番基本データを生成する。なお、定期点検の品番は、例えば「A001」とされる。この製番基本データの入力の際、業務オペレータは、親となる品目の製番を指定する。
【0068】
また、固定資産計上区分は、デフォルトで、固定資産計上を行うことを示す「1」とされる。これにより、ステップS4で説明した直接労務費の算出、及び、ステップS5で説明した、算出された直接労務費が10万円の法定金額未満であるか否かの判別が行われる。
【0069】
すなわち、上述の例の場合、先に固定資産データが生成された親となる品目のパネル及び躯体に付されている製番は「S001」である。このため、業務オペレータは、親となる品目のパネル及び躯体の定期点検が行われた際に生成する製番基本データ対して、パネル及び躯体に付されている「S001」を案件番号(親製番)として指定する。この案件番号は、定期点検の固定資産データに反映される。これにより、親となる看板のパネル及び躯体の固定資産データと、定期点検の固定資産データとの関連付けが可能となる。
【0070】
また、業務オペレータは、定期点検に要した労務費を示す労務費データの入力を行う。これにより、データ生成部25は、図17に示すように、定期点検に要した「1万5千円」の労務費の労務費データを生成する。なお、定期点検の労務費データに付される製番は、定期点検の製番基本データと同じ「S020」の製番が付され、統一される。
【0071】
次に、按分費用算出部23は、この「1万5千円」の労務費を、図3に示した按分係数に基づいて、パネルの定期点検の労務費、及び、躯体の定期点検の労務費に按分する。すなわち、按分費用算出部23は、この「1万5千円」の労務費に「1/3」の按分係数を乗算処理することで、パネルの定期点検の直接労務費として「5千円」を算出する。また、按分費用算出部23は、この「1万5千円」の労務費に「2/3」の按分係数を乗算処理することで、躯体の定期点検の直接労務費として「1万円」を算出する。
【0072】
取得価格算出部24は、算出された「5千円」の直接労務費を、定期点検によるパネルの取得価格とし、算出された「1万円」の直接労務費を、定期点検による躯体の取得価格とする。
【0073】
次に、判別部26は、パネルの定期点検の取得価格及び躯体の定期点検の取得価格が、それぞれ法定金額の10万円未満であるか否かを判別する。この場合、パネルの定期点検の取得価格は「5千円」で、躯体の定期点検の取得価格は「1万円」である。このため、両者ともに、法定金額の10万円未満となり、図5のフローチャートにおいて、ステップS5の判別枝が「Yes」と判別され、ステップS9に処理が進むこととなる。
【0074】
これにより、データ生成部25は、ステップS9において、図18に示すように、費用計上判断区分をそれぞれ「費用計上」とし、取得価格を「5千円」としたパネルの定期点検時の固定資産データを生成し、取得価格を「1万円」とした躯体の定期点検時の固定資産データを生成する。
【0075】
また、データ生成部25は、パネルの定期点検時の固定資産データに対しては、図16に示す製番基本データの案件番号(親番号)で指定された「S001」の親となる品目の固定資産データに付した固定資産番号に、定期点検による追加原価を示す「001」の枝番を付した固定資産番号を付す。すなわち、データ生成部25は、パネルの定期点検時の固定資産データに対しては、図18に示すように「PA00001-001」の固定資産番号を付し、躯体の定期点検時の固定資産データに対しては、「KU00001-001」の固定資産番号を付す。これにより、親となる品目の固定資産データと、定期点検等の追加原価発生時の固定資産データとを関連付けすることができる。
【0076】
また、データ生成部25は、このようにパネル及び躯体の費用計上区分が「費用計上」となった場合、図16に示す製番基本データの、デフォルトで「1(固定資産計上する)」とした固定資産計上区分を、「0(費用計上する)」に修正処理する。これにより、固定資産データの生成前後における製番基本データの整合性を取ることができる。
【0077】
(パネル交換作業による追加原価が発生した場合)
次に、例えば看板のパネル交換作業により10万円以上(法定金額以上)の追加原価が発生した場合における固定資産データの生成動作を説明する。
【0078】
上述の例において、親となる固定資産である看板の設置を行い、固定資産データを生成した後において、看板のパネル交換が行われる場合がある。この場合、業務オペレータは、パネル交換用の製番基本データの入力を行う。これにより、データ生成部25は、図19に示すように、パネル交換用として「S130」の製番を付した製番基本データを生成する。なお、パネル交換の品番は、例えば「A001」とされる。この製番基本データの入力の際、業務オペレータは、親となる品目の製番を指定する。
【0079】
すなわち、上述の例の場合、先に固定資産データが生成された親となる品目のパネル及び躯体に付されている製番は「S001」である。このため、業務オペレータは、親となる品目の看板のパネル交換が行われた際に生成する製番基本データ対して、パネル及び躯体に付されている「S001」を案件番号(親製番)として指定する。この案件番号は、パネル交換の固定資産データに反映される。これにより、親となる看板のパネル及び躯体の固定資産データと、パネル交換時の固定資産データとの関連付けが可能となる。
【0080】
また、業務オペレータは、パネル交換に要した材料費を示す材料費データの入力を行う。これにより、データ生成部25は、図20に示すように、パネル交換に要した「シート(1枚)」、「保護シール(1枚)」及び「カラーパイプ(2本)」の材料費データを生成する。材料費算出部22は、シート代「6千円」、保護シール代「2万円」、及び、カラーパイプ代「3万円×2本=6万円」をそれぞれ加算処理することで、パネルの直接材料費として計「8万6千円」の直接材旅費を算出する。なお、この例は、パネル交換の例であるため、躯体の材料費は発生していない(躯体の直接材料費=0円)。データ生成部25は、算出された各金額を、パネル交換の材料費データの各構成品目の金額の入力欄に入力する。
【0081】
また、業務オペレータは、パネル交換に要した労務費を示す労務費データの入力を行う。これにより、データ生成部25は、図21に示すように、パネル交換に要した「3万円」の労務費の労務費データを生成する。
【0082】
また、業務オペレータは、パネル交換に要した経費を示す経費データの入力を行う。これにより、データ生成部25は、図22に示すように、パネル交換に要した消耗品費が「2万円」であり、減価償却費が「4万円」の経費の経費データを生成する。
【0083】
次に、按分費用算出部23は、パネル交換に要した「3万円」の労務費及び「2万円+4万円=6万円」の経費を加算処理した「9万円」の費用を、上述の按分係数に基づいてパネル用の按分費用(9万円×1/3=3万円)、及び、躯体用の按分費用(9万円×2/3=6万円)の按分費用に按分する。そして、取得価格算出部24が、パネル用の按分費用(9万円×1/3=3万円)に、パネル交換の直接材料費である「8万6千円」を加算処理することで、パネルに対する取得価格として「11万6千円」の取得価格を算出する。また、取得価格算出部24が、躯体用の按分費用(9万円×2/3=6万円)を、躯体の取得価格とする。
【0084】
次に、判別部26は、パネル交換によるパネルの取得価格及び躯体の取得価格が、それぞれ法定金額の10万円未満であるか否かを判別する。この場合、パネル交換によるパネルの取得価格は、「11万6千円」であるため、法定金額の10万円以上となる。これに対して、パネル交換による躯体の取得価格は、「6万円」であるため、法定金額の10万円未満となる。
【0085】
このため、データ生成部25は、図23に示すように、費用計上判断区分を「資産計上」とし、取得価格を「11万6千円」としたパネル交換時のパネルの固定資産データを生成する。また、データ生成部25は、図23に示すように、費用計上判断区分を「費用計上」とし、取得価格を「6万円」としたパネル交換時の躯体の固定資産データを生成する。
【0086】
(実施の形態の効果)
以上の説明から明らかなように、実施の形態の業務支援装置1は、例えば製造品を自社資産として管理する際に、資産種別毎(固定資産要素毎)にマスタ管理を行い、製造原価に基づいて固定資産の取得原価を自動計算する。これにより、簡単かつ短時間で固定資産データを生成して計上可能とすることができる。
【0087】
また、資産登録単位で金額のチェックを行い、固定資産で資産計上すべきか費用計上すべきかを、自動で判別する。これにより、製造原価でも10万未満の場合には資産登録ではなく、費用計上として会計処理することができる。
【0088】
また、1つの固定資産であっても製造品の構成毎(固定資産要素毎)に資産分類及び償却年数等を分割する必要がある。このため、構成品に資産種別、及び、按分係数をマスタ化し、全体に発生する労務費及び経費等の費用を資産種別毎に自動的に按分する。これにより、製造原価を固定資産別にデータ出力可能とすることができる。
【0089】
[国連が主導する持続可能な開発目標(SDGs)への貢献]
本実施形態により、業務効率化や企業の適切な経営判断を推進することに寄与することができるので、SDGsの目標8及び目標9に貢献することが可能となる。
【0090】
また、本実施形態により、廃棄ロス削減や、ペーパレス・電子化を推進することに寄与することができるので、SDGsの目標12、目標13及び目標15に貢献することが可能となる。
【0091】
また、本実施形態により、統制、ガバナンス強化に寄与することができるので、SDGsの目標16に貢献することが可能となる。
【0092】
[他の実施の形態]
本発明は、上述した実施形態以外にも、特許請求の範囲に記載した技術的思想の範囲内において種々の異なる実施形態にて実施されてよいものである。
【0093】
例えば、実施形態において説明した各処理のうち、自動的に行われるものとして説明した処理の全部又は一部を手動的に行うこともでき、或いは、手動的に行われるものとして説明した処理の全部または一部を公知の方法で自動的に行うこともできる。
【0094】
また、本明細書中や図面中で示した処理手順、制御手順、具体的名称、各処理の登録データや検索条件等のパラメータを含む情報、画面例、データベース構成については、特記する場合を除いて任意に変更することができる。
【0095】
また、業務支援装置1に関して、図示の各構成要素は機能概念的なものであり、必ずしも図示の如く物理的に構成されていることを要しない。
【0096】
例えば、業務支援装置1が備える処理機能、特に制御部3及び制御部3にて行われる各処理機能については、その全部又は任意の一部を、CPU(Central Processing Unit)および当該CPUにて解釈実行されるプログラムにて実現してもよく、また、ワイヤードロジックによるハードウェアとして実現してもよい。なお、プログラムは、本実施形態で説明した処理を情報処理装置に実行させるためのプログラム化された命令を含む一時的でないコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録されており、必要に応じて業務支援装置1に機械的に読み取られる。すなわち、ROM又はHDD等の記憶部等には、OSと協働してCPUに命令を与え、各種処理を行うためのコンピュータプログラムが記録されている。このコンピュータプログラムは、RAMにロードされることによって実行され、CPUと協働して制御部3を構成する。
【0097】
また、この業務支援装置1の業務支援プログラムは、業務支援装置1に対して任意のネットワークを介して接続された他のサーバ装置に記憶されていてもよく、必要に応じてその全部又は一部をダウンロードすることも可能である。
【0098】
また、本実施形態で説明した処理を実行するための業務支援プログラムを、一時的でないコンピュータ読み取り可能な記録媒体に格納してもよく、また、プログラム製品として構成することもできる。ここで、この「記録媒体」とは、メモリーカード、USB(Universal Serial Bus)メモリ、SD(Secure Digital)カード、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、EPROM(Erasable Programmable Read Only Memory)、EEPROM(登録商標)(Electrically Erasable and Programmable Read Only Memory)、CD-ROM(Compact Disk Read Only Memory)、MO(Magneto-Optical Disk)、DVD(Digital Versatile Disk)、及び、Blu-ray(登録商標) Disc等の任意の「可搬用の物理媒体」を含むものとする。
【0099】
また、「プログラム」とは、任意の言語または記述方法にて記述されたデータ処理方法であり、ソースコード又はバイナリコード等の形式を問わない。なお、「プログラム」は必ずしも単一的に構成されるものに限られず、複数のモジュールやライブラリとして分散構成されるものや、OSに代表される別個のプログラムと協働してその機能を達成するものをも含む。なお、実施の形態に示した業務支援装置1において記録媒体を読み取るための具体的な構成および読み取り手順ならびに読み取り後のインストール手順等については、周知の構成や手順を用いることができる。
【0100】
記憶部2は、RAM、ROM等のメモリ装置、ハードディスク等の固定ディスク装置、フレキシブルディスク、及び、光ディスク等のストレージ手段であり、各種処理やウェブサイト提供に用いる各種のプログラム、テーブル、データベース、及び、ウェブページ用ファイル等を格納する。
【0101】
また、業務支援装置1は、既知のパーソナルコンピュータ装置又はワークステーション等の情報処理装置で構成してもよく、また、任意の周辺装置が接続された情報処理装置で構成してもよい。また、情報処理装置は、本実施形態で説明した処理を実現させるソフトウェア(プログラム又はデータ等を含む)を実装することにより実現してもよい。
【0102】
さらに、装置の分散・統合の具体的形態は図示するものに限られず、その全部又は一部を、各種の付加等に応じて又は機能付加に応じて、任意の単位で機能的又は物理的に分散・統合して構成することができる。すなわち、上述した実施形態を任意に組み合わせて実施してもよく、実施形態を選択的に実施してもよい。
【産業上の利用可能性】
【0103】
本発明は、固定資産を計上する業種であれば、どのような業種にも適用することができる。また、一例ではあるが、製造品(建設物)を製作後に、自社資産計上してレンタルし又は使用料を徴収する等のランニングビジネスを展開しているビジネスモデルとなる業種又は業界に適用することができる。
【符号の説明】
【0104】
1 業務支援装置
2 記憶部
3 制御部
4 通信インターフェース部
5 入出力インターフェース部
6 入力装置
7 出力装置
11 品目マスタ
12 製造構成マスタ
21 取得部
22 材料費算出部
23 按分費用算出部
24 取得価格算出部
25 データ生成部
26 判別部
27 記憶制御部
28 出力制御部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23