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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024175750
(43)【公開日】2024-12-19
(54)【発明の名称】乾燥装置
(51)【国際特許分類】
   B41J 2/01 20060101AFI20241212BHJP
   F26B 13/04 20060101ALI20241212BHJP
   B65H 5/06 20060101ALN20241212BHJP
【FI】
B41J2/01 125
B41J2/01 305
B41J2/01 451
B41J2/01 401
F26B13/04
B65H5/06 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023093718
(22)【出願日】2023-06-07
(71)【出願人】
【識別番号】000006150
【氏名又は名称】京セラドキュメントソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100111202
【弁理士】
【氏名又は名称】北村 周彦
(72)【発明者】
【氏名】床次 実
(72)【発明者】
【氏名】合田 光弘
(72)【発明者】
【氏名】村島 正樹
(72)【発明者】
【氏名】上田 博之
【テーマコード(参考)】
2C056
3F049
3L113
【Fターム(参考)】
2C056EA20
2C056EB12
2C056EB29
2C056EB35
2C056EC14
2C056HA29
2C056HA47
3F049AA05
3F049DA12
3F049LA07
3F049LB01
3L113AA02
3L113AB02
3L113AC08
3L113AC31
3L113AC44
3L113AC52
3L113AC67
3L113BA30
3L113CA05
3L113CA11
3L113CB05
3L113CB21
3L113DA07
3L113DA16
(57)【要約】
【課題】媒体の搬送不良を迅速に検知することのできる乾燥装置を提供する。
【解決手段】乾燥装置1は、媒体を搬送する搬送装置3と、前記搬送装置3で搬送される媒体を高温環境下で乾燥する加熱装置5と、駆動されることで回転する駆動ローラー21と該駆動ローラー21に従動して回転する従動ローラー23とを含み、前記加熱装置5を通過した媒体を搬送する搬送ローラー対7と、前記駆動ローラー21の回転を検知する駆動ローラー回転検知部51と、前記従動ローラー23の回転を検知する従動ローラー回転検知部41と、前記駆動ローラー回転検知部51によって前記駆動ローラー21の回転が検知され、且つ、前記従動ローラー回転検知部41の検知結果から得られる前記従動ローラー23の回転周期が一定の周期よりも長くなった場合に前記加熱装置5を停止させる制御部51と、を備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
インクによって画像が形成された媒体を所定の搬送方向に沿って搬送する搬送装置と、
前記搬送装置で搬送される媒体のインクを高温環境下で乾燥する加熱装置と、
前記加熱装置よりも前記搬送方向の下流側に配置され、駆動されることで回転する駆動ローラーと該駆動ローラーに従動して回転する従動ローラーとを含み、前記加熱装置を通過した媒体を搬送する搬送ローラー対と、
前記駆動ローラーの回転を検知する駆動ローラー回転検知部と、
前記従動ローラーの回転を検知する従動ローラー回転検知部と、
前記駆動ローラー回転検知部によって前記駆動ローラーの回転が検知され、且つ、前記従動ローラー回転検知部の検知結果から得られる前記従動ローラーの回転周期が一定の周期よりも長くなった場合に前記加熱装置を停止させる制御部と、を備えることを特徴とする乾燥装置。
【請求項2】
前記一定の周期は、前記加熱装置によって媒体に不具合が発生する時間を基にして決定されることを特徴とする請求項1に記載の乾燥装置。
【請求項3】
前記従動ローラー回転検知部は、前記従動ローラーの回転軸の端部に向かって光を出射する出射部と、前記出射部から出射されて前記端部で反射した光を受光する受光部と、を有する反射型センサーであることを特徴とする請求項1に記載の乾燥装置。
【請求項4】
前記従動ローラーの回転軸の端部は、該回転軸の軸方向と平行な平坦面と、該回転軸の周方向に沿った湾曲面と、を有し、
前記従動ローラー回転検知部は、前記出射部から出射されて前記平坦面で反射した光を前記受光部で受光することで、前記従動ローラーの回転を検知することを特徴とする請求項3に記載の乾燥装置。
【請求項5】
前記平坦面の光沢度は、前記湾曲面の光沢度よりも高いことを特徴とする請求項4に記載の乾燥装置。
【請求項6】
前記従動ローラーの回転軸の端部は、該回転軸の周方向に等間隔で形成され、該回転軸の軸方向と平行な複数の平坦面を有する、断面が多角形状に形成され、
前記従動ローラー回転検知部は、前記出射部から出射されて前記複数の平坦面で反射した光を前記受光部で受光することで、前記従動ローラーの回転を検知することを特徴とする請求項3に記載の乾燥装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、インクによって画像が形成された媒体を搬送しながら高温環境下で乾燥する乾燥装置に関する。
【背景技術】
【0002】
インクジェット式の画像形成装置を含む画像形成システムには、媒体に形成された画像(インク)を乾燥する乾燥装置が備えられる。このような乾燥装置では、媒体の搬送不良を検知するために、反射型や透過型の光センサーを用いられる場合が多い。特許文献1に記載の乾燥装置は、乾燥室の上流側に反射型の光センサーが配置され、乾燥室内に透過型の光センサーが配置されている。 上流側の光センサーによって乾燥室へのシート(媒体)の搬入が検出され、下流側の光センサーによって乾燥室からのシートの搬出が検出されるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2022-147335号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら特許文献1のような乾燥装置では、長尺の媒体の先端が乾燥室から排出された後に媒体の搬送不良が発生し、媒体が乾燥室内に留まってしまった場合、媒体の搬送不良を迅速に検知できないという問題がある。
【0005】
そこで、本発明は上記事情を考慮し、媒体の搬送不良を迅速に検知することのできる乾燥装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、本発明の乾燥装置は、インクによって画像が形成された媒体を所定の搬送方向に沿って搬送する搬送装置と、前記搬送装置で搬送される媒体のインクを高温環境下で乾燥する加熱装置と、前記加熱装置よりも前記搬送方向の下流側に配置され、駆動されることで回転する駆動ローラーと該駆動ローラーに従動して回転する従動ローラーとを含み、前記加熱装置を通過した媒体を搬送する搬送ローラー対と、前記駆動ローラーの回転を検知する駆動ローラー回転検知部と、前記従動ローラーの回転を検知する従動ローラー回転検知部と、前記駆動ローラー回転検知部によって前記駆動ローラーの回転が検知され、且つ、前記従動ローラー回転検知部の検知結果から得られる前記従動ローラーの回転周期が一定の周期よりも長くなった場合に前記加熱装置を停止させる制御部と、を備えることを特徴とする。
【0007】
本発明において、前記一定の周期は、前記加熱装置によって媒体に不具合が発生する時間を基にして決定されることを特徴としてもよい。
【0008】
本発明において、前記従動ローラー回転検知部は、前記従動ローラーの回転軸の端部に向かって光を出射する出射部と、前記出射部から出射されて前記端部で反射した光を受光する受光部と、を有する反射型センサーであることを特徴としてもよい。
【0009】
本発明において、前記従動ローラーの回転軸の端部は、該回転軸の軸方向と平行な平坦面と、該回転軸の周方向に沿った湾曲面と、を有し、前記従動ローラー回転検知部は、前記出射部から出射されて前記平坦面で反射した光を前記受光部で受光することで、前記従動ローラーの回転を検知することを特徴としてもよい。
【0010】
本発明において、前記平坦面の光沢度は、前記湾曲面の光沢度よりも高いことを特徴としてもよい。
【0011】
本発明において、前記従動ローラーの回転軸の端部は、該回転軸の周方向に等間隔で形成され、該回転軸の軸方向と平行な複数の平坦面を有する、断面が多角形状に形成され、 前記従動ローラー回転検知部は、前記出射部から出射されて前記複数の平坦面で反射した光を前記受光部で受光することで、前記従動ローラーの回転を検知することを特徴としてもよい。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、媒体に従動して回転する従動ローラーの回転を検知することで、媒体の搬送停止と媒体の搬送速度の低下とを正確かつ迅速に検知することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明の一実施形態に係る乾燥装置を模式的に示す正面図である。
図2A】本発明の一実施形態に係る乾燥装置において、搬送ローラー対及び回転検知センサー(オン信号出力時)を示す図である。
図2B】本発明の一実施形態に係る乾燥装置において、搬送ローラー対及び回転検知センサー(オフ信号出力時)を示す図である。
図2C】本発明の一実施形態に係る乾燥装置において、回転検知センサーの出力波形の一例を示す図である。
図3A】本発明の一実施形態に係る乾燥装置において、媒体搬送停止時の搬送ローラー対及び回転検知センサー(オフ信号出力時)を説明する図である。
図3B】本発明の一実施形態に係る乾燥装置において、媒体搬送停止時の回転検知センサーの出力波形の一例を示す図である。
図4A】本発明の一実施形態に係る乾燥装置において、媒体搬送速度低下時の搬送ローラー対及び回転検知センサー(オン信号出力時)を説明する図である。
図4B】本発明の一実施形態に係る乾燥装置において、媒体搬送速度低下時の搬送ローラー対及び回転検知センサー(オフ信号出力時)を説明する図である。
図4C】本発明の一実施形態に係る乾燥装置において、媒体搬送速度低下時の回転検知センサーの出力波形の一例を示す図である。
図5A】本発明の一実施形態に係る乾燥装置の変形例において、搬送ローラー対及び回転検知センサー(オン信号出力時)を説明する図である。
図5B】本発明の一実施形態に係る乾燥装置の変形例において、搬送ローラー対及び回転検知センサー(オフ信号出力時)を説明する図である。
図5C】本発明の一実施形態に係る乾燥装置の変形例において、回転検知センサーの出力波形の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、図面を参照しつつ、本発明の一実施形態に係る乾燥装置について説明する。
【0015】
まず、図1を参照して、乾燥装置1の全体の構成について説明する。図1は乾燥装置1の内部を示す正面図である。乾燥装置1は、インクジェット方式によって画像が形成された媒体を搬送方向(図1の右から左へ向かう方向)に沿って搬送する搬送装置3と、搬送装置3によって搬送される媒体のインクを高温環境下で乾燥させる加熱装置5と、加熱装置5を通過した媒体を搬送する搬送ローラー対7と、を備えている。
【0016】
まず、搬送装置3について説明する。搬送装置3は、媒体を搬送する搬送ベルト11と、搬送ベルト11を支持する搬送板13と、媒体を搬送ベルト11に引き付ける吸引装置15と、を備えている。
【0017】
搬送ベルト11は無端状のベルトであり、厚さ方向に貫通する多数の貫通孔が全面に形成されている。搬送ベルト11は、駆動ローラー17と従動ローラー19とに巻き掛けられている。駆動ローラー17がモーター(図示省略)で駆動されて回転することで、搬送ベルト11は図1の反時計回り方向に循環走行する。上側の軌道に沿った搬送ベルト11の外側の面が、媒体(カットされたシート、長尺のシート等)が搬送される搬送面となる。
【0018】
搬送板13は、上側の軌道を走行する搬送ベルト11の内周面(搬送面の裏側の面)に接触して、搬送ベルト11を支持する。搬送ベルト11の走行時、搬送ベルト11の内周面は、搬送板13の上側の面に沿って摺動する。搬送板13には、厚さ方向に貫通する多数の貫通孔が全面に形成されている。
【0019】
吸引装置15は、搬送ベルト11の中空部に配置されている。吸引装置15が駆動されることで、搬送ベルト11の貫通孔及び搬送板13の貫通孔の空気が取り込まれて、搬送ベルト11の搬送面に媒体が引き付けられる。
【0020】
次に、加熱装置5について説明する。加熱装置5は、搬送装置3の上方に配置され、複数個の送風ファンと、ヒーターユニット(いずれも図示省略)と、を備えている。送風ファンは、空気を取り込んで下方に向かう気流を発生する。ヒーターユニットは、発生した気流を加熱する。加熱装置5は、制御部51と電気的に接続している。
【0021】
次に、搬送ローラー対7について、図1と、図2A図2B図2Cも参照して説明する。図2A及び図2Bは搬送ローラー対7及び回転検知センサー41を示す図であり、図2Cは回転検知センサー41の出力波形の一例を示す図である。
【0022】
搬送ローラー対7は、図1に示されるように、媒体の搬送方向において加熱装置5の下流側に配置されている。搬送ローラー対7は、駆動ローラー21と従動ローラー23とを含んでいる。駆動ローラー21はモーター25に接続されて、モーター25で駆動されて回転する。モーター25は、制御部51と電気的に接続している。
【0023】
従動ローラー23は、駆動ローラー21の回転、又は、駆動ローラー21の回転によって搬送される媒体に従動して回転する。図2A及び図2Bに示されるように、従動ローラー23の回転軸の端部31は、Dカット形状に形成されている。すなわち、端部31は、回転軸と平行な平坦面31aと、回転軸の周方向に沿った湾曲面31bと、を有している。
【0024】
従動ローラー23の回転は、回転検知センサー41で検知される。回転検知センサー41は、光を出射する出射部と、光を受光する受光部と、を有する光センサーである。回転検知センサー41は、出射部から出射される光が、従動ローラー23の回転軸の端部31に入射するように、従動ローラー23の回転軸の端部31の下方に配置されている。回転検知センサー41は、制御部51(図1参照)と電気的に接続しており、検知結果に基づいてオン信号又はオフ信号を制御部51に送信する。
【0025】
すなわち、図2Aに示されるように、出射部から出射された光が平坦面31aに略垂直に入射すると、光は平坦面31aで略垂直に反射して受光部で受光される。すると、回転検知センサー41はオン信号を出力する。一方で、図2Bに示されるように、出射部から出射された光が平坦面31aに略垂直に入射しなかったり、湾曲面31bに入射したりした場合は、光は受光部とは異なる方向に反射して受光部で受光されないので、回転検知センサー41はオフ信号を出力する。なお、回転検知センサー41の受光部は、平坦面31aでの垂直に反射する光のみではなく、平坦面31aでの光の反射角度が所定の範囲内において受光可能である。
【0026】
この結果、従動ローラー23が一回転する度、回転検知センサー41の出力波形には、オン信号を示す“1”とオフ信号を示す“0”とが現れる。したがって、従動ローラー23が回転すると、図2Cに示されるように、“1”と“0”とが一定の周期Pで現れる。
【0027】
また、図1に示されるように、搬送ローラー対7よりも搬送方向の下流側には、媒体検知センサー43が配置されている。媒体検知センサー43は、光を出射する出射部と、出射部から出射されて、搬送ローラー対7で搬送される媒体で反射した光を受光する受光部と、を有する光センサーである。媒体検知センサー43は、制御部51と電気的に接続しており、検知結果に基づいてオン信号又はオフ信号を制御部51に送信する。
【0028】
次に、制御部51について、図1を参照して説明する。制御部51は、加熱装置5(送風ファン、ヒーターユニット)を制御して、加熱装置5を駆動又は駆動を停止する。
【0029】
制御部51は、搬送ローラー対7の駆動ローラー21を回転させるモーター25を駆動又は駆動を停止する。さらに、制御部51には、回転検知センサー41からオン信号又はオフ信号が入力される。制御部51は、入力された信号に基づいて、従動ローラー19の回転周期を算出する。なお、制御部51には、搬送ローラー対7によって媒体が正常に搬送される場合の従動ローラー19の基準回転周期が予め保存されている。基準回転周期は、加熱装置5によって媒体に不具合が発生する時間を基にして決定される。さらに、制御部51には、媒体検知センサー43からオン信号又はオフ信号が入力される。
【0030】
上記構成を有する乾燥装置1の乾燥動作について、図1と、図3A図3B図4A図4B図4Cを参照して説明する。図3Aは媒体搬送停止時の搬送ローラー対7及び回転検知センサー41を示す図、図3Bは媒体搬送停止時の回転検知センサー41の出力波形の一例を示す図である。図4A及び図4Bは媒体搬送速度低下時の搬送ローラー対7及び回転検知センサー41を示す図、図4Cは媒体搬送速度低下時の回転検知センサー41の出力波形の一例を示す図である。
【0031】
搬送装置3においては、駆動ローラー17が駆動されて回転して搬送ベルト11が走行する。その後、インクジェット方式によって画像が形成された媒体が、搬送ベルト11の搬送面に搬送される。また、吸引装置15が駆動される。これにより、前述のように搬送ベルト11の貫通孔及び搬送板13の貫通孔内の空気が取り込まれ、搬送ベルト11の搬送面の上方が負圧になる。すると、媒体が搬送面に引き付けられる。このように、媒体は、搬送ベルト11の搬送面に引き付けられながら搬送方向に沿って搬送される。
【0032】
さらに、制御部51は加熱装置5を駆動する。これにより、送風ファンによって取り込まれた空気が、下方に向かって送風される。送風された空気は、ヒーターユニットで加熱され、加熱された空気が搬送装置3によって搬送される媒体に吹き付けられる。これにより、媒体のインクを乾燥させる。インクが乾燥した媒体は、搬送ベルト11から搬送ローラー対7に搬送され、搬送ローラー対7によって下流側へ搬送される。すなわち、モーター25が駆動されて駆動ローラー21が回転し、駆動ローラー21の回転によって搬送される媒体に従動して従動ローラー23が回転する。従動ローラー23の回転は、回転検知センサー41で検知される。回転検知センサー41の検知結果は、制御部51に送信される。
【0033】
制御部51は、回転検知センサー41の検知結果に基づいて従動ローラー23の回転周期を算出する。制御部51は、算出された回転周期と、保存されている基準回転周期Pとを比較する。さらに、制御部51は、駆動ローラー21を駆動するモーター25が駆動しているかどうかを判定する。制御部51は、算出された回転周期が基準回転周期Pよりも長く、且つ、モーター25が駆動していると判定すると、加熱装置5の駆動を停止する。
【0034】
すなわち、図3Bに示されるように、回転検知センサー41の出力波形が、オン信号を示す“1”が現れた後、オフ信号を示す“0”が続いた場合、制御部51は、従動ローラー23が回転していないと判定する。図3Aに示されるように、駆動ローラー21が回転していても従動ローラー23が回転していない場合、従動ローラー23は媒体に従動して回転していないこととなり、媒体Sが搬送されていないと判定できる。この場合、媒体Sが加熱装置5内に留まってしまうので、加熱装置5の駆動を停止する。
【0035】
なお、算出された回転周期が基準回転周期P(正常搬送動作時の回転周期)よりも長い場合とは、上記場合のような、オン信号を示す“1”が現れた後、オフ信号を示す“0”が続いた場合を含む。あるいは、回転検知センサー41の出力波形が、“1”のまま継続する場合もあり得る。この場合は、回転検知センサー41から出射された光が従動ローラー23の回転軸の端部31の平坦面31aに略垂直に入射した状態で、従動ローラー23の回転が停止した場合である。この場合も、算出された回転周期が基準回転周期Pよりも長い場合に含まれる。
【0036】
このように、制御部51は、本発明における駆動ローラー21の回転を検知する駆動ローラー回転検知部の一例であり、回転検知センサー41は、従動ローラー23の回転を検知する従動ローラー回転検知部の一例である。
【0037】
あるいは、図4Cに示されるように、制御部51は、回転検知センサー41の回転周期P1が、基準回転周期Pよりも長く、且つ、モーター25が駆動していると判定すると、加熱装置5の駆動を停止する。すなわち、回転検知センサー41の回転周期P1が、基準回転周期Pよりも長いと、図4A及び図4Bに示されるように、駆動ローラー21が回転していても、媒体Sに従動して回転する従動ローラー23の回転速度が遅いこととなり、媒体Sの搬送速度が遅いと判定できる。この場合、長尺の媒体Sでは、加熱装置5内を媒体Sが搬送される時間が長くなってしまうので、制御部51は、加熱装置5の駆動を停止する。
【0038】
上記説明から明らかなように、本発明の乾燥装置1によれば、媒体に従動して回転する従動ローラー23の回転を検知することで、媒体の搬送停止と媒体の搬送速度の低下とを、正確かつ迅速に検知することができる。そして、このような搬送不良を検知した場合には、速やかに加熱装置5を停止するので、媒体が高温の加熱装置5に留まるような事態を避けることができる。
【0039】
また、従動ローラー23の端部31を、平坦面31aの光沢度が湾曲面31bの光沢度よりも高くなるように加工してもよい。例えば、平坦面31aに光沢度の高い塗料を塗布し、湾曲面31bに、該塗料よりも光沢度の低い塗料を塗布してもよい。この場合、平坦面31aと湾曲面31bとにおいて、回転検知センサー41の受光部で受光される光量の差が大きくなるので、従動ローラー23の回転をより正確に把握することができる。
【0040】
次に、図5A及び図5Bを参照して従動ローラー23の変形例を示す。この変形例においては、図5A及び図5Bに示されるように、従動ローラー23の回転軸の端部31が、断面視において多角形(この例では正方形)に形成されている。つまり、端部31には、4個の平坦面31aが周方向に沿って等しい中心角度で形成されている。この場合、図4Aに示されるように、回転検知センサー41から出射された光が平坦面31aで略垂直に反射した場合は、回転検知センサー41はオン信号を出力し、図4Bに示されるように、回転検知センサー41から出射された光が平坦面31aで略垂直に反射しなかった場合は、回転検知センサー41はオフ信号を出力する。
【0041】
この例では、図5Cのように従動ローラー23の一回転毎にオン信号が4回出力されることになるので、回転周期P2は、基準回転周期Pの1/4となる。したがって、回転周期から判定される媒体の搬送不良をより迅速に検知することができる。
【0042】
なお、本実施形態では、回転検知センサー41が、従動ローラー23の回転軸の端部31にDカット状の平坦面31aでの光の反射を受光する。しかし、従動ローラー23の回転軸にパルス板を設け、回転検知センサー41で、パルス板の反射面での光の反射を受光してもよい。しかしながら、本実施形態のように、Dカット状の平坦面31aでの光の反射を受光することで、回転検知センサー41を、従動ローラー23の回転軸の長さ範囲内の比較的狭いスペースに設置することができる。
【0043】
本発明は特定の実施形態について記載されてきたが、本発明は上記実施形態に限定されない。本発明の範囲及び主旨を逸脱しない限りにおいて、上記実施形態は様々に変更、置換、変形されてもよく、特許請求の範囲は技術的思想の範囲内に含まれ得る全ての実施態様を含んでいる。
【符号の説明】
【0044】
1 乾燥装置
3 搬送装置
5 加熱装置
7 搬送ローラー対
21 駆動ローラー
23 従動ローラー
25 モーター
41 回転検知センサー(従動ローラー回転検知部)
51 制御部(駆動ローラー回転検知部)
図1
図2A
図2B
図2C
図3A
図3B
図4A
図4B
図4C
図5A
図5B
図5C