(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024175757
(43)【公開日】2024-12-19
(54)【発明の名称】同軸コネクタの接続構造
(51)【国際特許分類】
H01R 24/40 20110101AFI20241212BHJP
【FI】
H01R24/40
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023093730
(22)【出願日】2023-06-07
(71)【出願人】
【識別番号】395011665
【氏名又は名称】株式会社オートネットワーク技術研究所
(71)【出願人】
【識別番号】000183406
【氏名又は名称】住友電装株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000002130
【氏名又は名称】住友電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088672
【弁理士】
【氏名又は名称】吉竹 英俊
(74)【代理人】
【識別番号】100088845
【弁理士】
【氏名又は名称】有田 貴弘
(74)【代理人】
【識別番号】100117662
【弁理士】
【氏名又は名称】竹下 明男
(74)【代理人】
【氏名又は名称】福市 朋弘
(72)【発明者】
【氏名】浅野 泰徳
(72)【発明者】
【氏名】小林 豊
(72)【発明者】
【氏名】田中 真二
(72)【発明者】
【氏名】石榑 浩之
【テーマコード(参考)】
5E223
【Fターム(参考)】
5E223AA16
5E223AA21
5E223AB26
5E223AC50
5E223BA07
5E223BA12
5E223BB01
5E223CA13
5E223CB03
5E223CB46
5E223CD01
5E223CD04
5E223DB08
5E223DB11
5E223GA08
5E223GA22
5E223GA32
5E223GA52
5E223GA62
(57)【要約】
【課題】第1同軸コネクタに対する第2同軸コネクタの接続位置がずれても、安定した通信性能が得られるようにすること目的とする。
【解決手段】同軸コネクタの接続構造28は、第1同軸コネクタ40と第2同軸コネクタ70との接続構造であって、第1同軸コネクタは、第1内導体50と、第1外導体60と、第1誘電体42とを含み、第2同軸コネクタは、第2内導体80と、第2外導体90と、第2誘電体72とを含み、両同軸コネクタの接続状態で、接続方向において第1内導体と第2内導体とが重複する部分を内側重複部分E1とし、接続方向において第1外導体と第2外導体とが重複する部分を外側重複部分E2としたとき、第1誘電体42および第2誘電体72は共に、内側重複部分および外側重複部分の双方を避けて位置する。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1同軸コネクタと第2同軸コネクタとが接続された同軸コネクタの接続構造であって、
前記第1同軸コネクタは、第1内導体と、前記第1内導体の外周側を囲む第1外導体と、前記第1内導体と前記第1外導体との間に位置する第1誘電体とを含み、
前記第2同軸コネクタは、第2内導体と、前記第2内導体の外周側を囲む第2外導体と、前記第2内導体と前記第2外導体との間に位置する第2誘電体とを含み、
前記第1同軸コネクタと前記第2同軸コネクタとの接続状態で、前記第1同軸コネクタと前記第2同軸コネクタとの接続方向において前記第1内導体と前記第2内導体とが重複する部分を内側重複部分とし、前記接続方向において前記第1外導体と前記第2外導体とが重複する部分を外側重複部分としたとき、
前記第1誘電体および前記第2誘電体は共に、前記接続方向において前記内側重複部分および前記外側重複部分の双方を避けて位置する、同軸コネクタの接続構造。
【請求項2】
請求項1に記載の同軸コネクタの接続構造であって、
前記第1誘電体は、前記接続方向において、前記内側重複部分および前記外側重複部分の双方よりも、前記第1内導体および前記第1外導体のそれぞれの基端側に位置し、
前記第2誘電体は、前記接続方向において、前記内側重複部分および前記外側重複部分の双方よりも、前記第2内導体および前記第2外導体のそれぞれの基端側に位置する、同軸コネクタの接続構造。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の同軸コネクタの接続構造であって、
前記接続方向において前記内側重複部分および前記外側重複部分のそれぞれに許容最大長が設定されており、
前記第1誘電体および前記第2誘電体は共に、それぞれの前記許容最大長となった状態の前記内側重複部分および前記外側重複部分の双方を避けて位置する、同軸コネクタの接続構造。
【請求項4】
請求項1または請求項2に記載の同軸コネクタの接続構造であって、
前記第1内導体は、第1内導体筒部と、前記第1内導体筒部の先端から突出する第1内導体弾性片とを含み、
前記第2内導体は、前記第1内導体弾性片が弾性的に接触する第2内導体筒部を含み、
前記第1誘電体は、前記第1内導体筒部のうちの基端側部分を囲んでおり、
前記第1誘電体は、前記第1内導体筒部の先端から前記接続方向において前記第1内導体弾性片の突出長さの半分以上離間して前記第1内導体筒部の基端側に位置する、同軸コネクタの接続構造。
【請求項5】
請求項1または請求項2に記載の同軸コネクタの接続構造であって、
前記第2内導体は、第2内導体筒部と第2内導体延長筒部とを含み、
前記第2外導体は、第2外導体筒部と第2外導体延長筒部とを含み、
前記第2内導体筒部は、前記第1内導体に接続される部分であり、
前記第2外導体筒部は、前記第1外導体に接続される部分であり、
前記第2外導体筒部は、前記第2内導体筒部の周りに同軸上に配置され、
前記第2誘電体は、前記接続方向において、前記第2内導体筒部と前記第2外導体筒部との間を避けて前記第2内導体延長筒部と前記第2外導体延長筒部との間に配置されている、同軸コネクタの接続構造。
【請求項6】
請求項1または請求項2に記載の同軸コネクタの接続構造であって、
前記第1内導体は、第1内導体筒部と、前記第1内導体筒部の先端から突出する第1内導体弾性片とを含み、
前記第1外導体は、第1外導体筒部と、前記第1外導体筒部の先端から突出する第1外導体弾性片とを含み、
前記第2内導体は、前記第1内導体弾性片が弾性的に接触する第2内導体筒部を含み、
前記第2外導体は、前記第1外導体弾性片が弾性的に接触する第2外導体筒部を含み、
前記第1内導体弾性片は、前記第2内導体筒部の内周面に弾性的に接触し、
前記第1外導体弾性片は、前記第2外導体筒部の外周面に弾性的に接触する、同軸コネクタの接続構造。
【請求項7】
請求項1または請求項2に記載の同軸コネクタの接続構造であって、
前記第1内導体は、前記第1内導体の基端部外周面から外周側に突出すると共に、前記第1内導体の中心軸に沿って延びる位置決め片を含み、
前記第1誘電体は、前記第1内導体の前記基端部が挿入される挿入孔と、前記位置決め片が嵌め込まれる位置決め溝とが形成され、
前記挿入孔に前記第1内導体の前記基端部が挿入された状態で、前記位置決め片が前記位置決め溝に嵌め込まれることで、前記第1内導体が前記第1誘電体に挿入状態で固定されている、同軸コネクタの接続構造。
【請求項8】
請求項7に記載の同軸コネクタの接続構造であって、
前記位置決め片の突出端部には、前記位置決め溝の内部で前記第1誘電体に引っ掛かる抜止め突起が形成されている、同軸コネクタの接続構造。
【請求項9】
請求項7に記載の同軸コネクタの接続構造であって、
前記第1誘電体のうち前記挿入孔を囲む部分には、前記第1内導体の先端側に向かって環状に突出する保持環状凸部が形成されている、同軸コネクタの接続構造。
【請求項10】
請求項7に記載の同軸コネクタの接続構造であって、
前記第1誘電体のうち前記第1外導体側の外周部分には、前記第1内導体の先端側に向かって環状に突出する外周環状凸部が形成されている、同軸コネクタの接続構造。
【請求項11】
請求項1または請求項2に記載の同軸コネクタの接続構造であって、
前記第1同軸コネクタは、回路基板に固定される基板側同軸コネクタであり、
前記第2同軸コネクタは、前記第1同軸コネクタと第3同軸コネクタとを中継接続する中継同軸コネクタである、同軸コネクタの接続構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、同軸コネクタの接続構造に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、同軸コネクタと相手側同軸コネクタとの接続構造を開示している。両コネクタの接続状態において、ハウジング可動部が中心コンタクトの接続部と外側コンタクトの弾性接触片部との間に位置する。また、両コネクタの接続状態において、インシュレータがハウジング可動部に対向している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1のハウジング可動部およびインシュレータは、内導体と外導体との間の誘電体として機能することが考えられる。また、特許文献1では、インシュレータがハウジング可動部の直ぐ近くで当該ハウジング可動部に接近する構成を想定して、所望の通信性能を得ることができるように形状設計がなされることが考えられる。
【0005】
しかしながら、同軸コネクタに対して相手側同軸コネクタの位置がずれると、ハウジング可動部とインシュレータとの間に大きな空気層が介在することが想定される。この場合、同軸コネクタと相手側同軸コネクタとの接続構造における通信性能が設計値からずれてしまう可能性がある。
【0006】
そこで、本開示は、第1同軸コネクタに対する第2同軸コネクタの接続位置がずれても、安定した通信性能が得られるようにすること目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の同軸コネクタの接続構造は、第1同軸コネクタと第2同軸コネクタとが接続された同軸コネクタの接続構造であって、前記第1同軸コネクタは、第1内導体と、前記第1内導体の外周側を囲む第1外導体と、前記第1内導体と前記第1外導体との間に位置する第1誘電体とを含み、前記第2同軸コネクタは、第2内導体と、前記第2内導体の外周側を囲む第2外導体と、前記第2内導体と前記第2外導体との間に位置する第2誘電体とを含み、前記第1同軸コネクタと前記第2同軸コネクタとの接続状態で、前記第1同軸コネクタと前記第2同軸コネクタとの接続方向において前記第1内導体と前記第2内導体とが重複する部分を内側重複部分とし、前記接続方向において前記第1外導体と前記第2外導体とが重複する部分を外側重複部分としたとき、前記第1誘電体および前記第2誘電体は共に、前記接続方向において前記内側重複部分および前記外側重複部分の双方を避けて位置する、同軸コネクタの接続構造である。
【発明の効果】
【0008】
本開示によれば、第1同軸コネクタに対する第2同軸コネクタの接続位置がずれても、安定した通信性能が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】
図1は実施形態に係る機器を示す斜視図である。
【
図3】
図3は同軸コネクタの接続構造を示す斜視図である。
【
図4】
図4は同上の接続構造を示す分解斜視図である。
【
図6】
図6は第1誘電体に対する第1内導体の固定箇所を示す部分破断斜視図である。
【
図7】
図7は同軸コネクタの接続構造の他の状態を示す斜視図である。
【
図8】
図8は同軸コネクタの接続構造のさらに他の状態を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
[本開示の実施形態の説明]
最初に本開示の実施態様を列記して説明する。
【0011】
本開示の同軸コネクタの接続構造は、次の通りである。
【0012】
(1)第1同軸コネクタと第2同軸コネクタとが接続された同軸コネクタの接続構造であって、前記第1同軸コネクタは、第1内導体と、前記第1内導体の外周側を囲む第1外導体と、前記第1内導体と前記第1外導体との間に位置する第1誘電体とを含み、前記第2同軸コネクタは、第2内導体と、前記第2内導体の外周側を囲む第2外導体と、前記第2内導体と前記第2外導体との間に位置する第2誘電体とを含み、前記第1同軸コネクタと前記第2同軸コネクタとの接続状態で、前記第1同軸コネクタと前記第2同軸コネクタとの接続方向において前記第1内導体と前記第2内導体とが重複する部分を内側重複部分とし、前記接続方向において前記第1外導体と前記第2外導体とが重複する部分を外側重複部分としたとき、前記第1誘電体および前記第2誘電体は共に、前記接続方向において前記内側重複部分および前記外側重複部分の双方を避けて位置する、同軸コネクタの接続構造である。
【0013】
この場合、第1誘電体および第2誘電体は共に、接続方向において内側重複部分および外側重複部分の双方を避けて位置する。このため、同軸コネクタの接続構造において、内側重複部分と、外側重複部分との間に空気が介在することを前提として、所望の通信性能が得られるように、第1同軸コネクタと第2同軸コネクタとが設計され得る。この場合、第1同軸コネクタに対する第2同軸コネクタの接続位置がずれても、接続方向において空気の介在部分の長さが変動するだけである。内側重複部分と外側重複部分とのほとんどの部分に誘電体が介在することを想定して各同軸コネクタが設計される場合と比較して、安定した通信性能が得られる。
【0014】
(2)(1)の同軸コネクタの接続構造であって、前記第1誘電体は、前記接続方向において、前記内側重複部分および前記外側重複部分の双方よりも、前記第1内導体および前記第1外導体のそれぞれの基端側に位置し、前記第2誘電体は、前記接続方向において、前記内側重複部分および前記外側重複部分の双方よりも、前記第2内導体および前記第2外導体のそれぞれの基端側に位置してもよい。
【0015】
この場合、第1誘電体は、内側重複部分および外側重複部分の双方よりも、第1内導体および第1外導体のそれぞれの基端側で、第1内導体と第1外導体とを一定の位置関係に保つことができる。第2誘電体は、内側重複部分および外側重複部分の双方よりも、第2内導体および第2外導体のそれぞれの基端側で、第2内導体と第2外導体とを一定の位置関係に保つことができる。このため、空気層を設けつつ、同軸コネクタの同軸状態が保たれ易くなり、通信性能が安定する。
【0016】
(3)(1)または(2)の同軸コネクタの接続構造であって、前記接続方向において前記内側重複部分および前記外側重複部分のそれぞれに許容最大長が設定されており、前記第1誘電体および前記第2誘電体は共に、それぞれの前記許容最大長となった状態の前記内側重複部分および前記外側重複部分の双方を避けて位置してもよい。
【0017】
第1同軸コネクタに対して第2同軸コネクタが公差範囲内で接続過多状態となった場合に、内側重複部分および外側重複部分のそれぞれが許容最大長となることが想定される。この場合でも、内側重複部分と外側重複部分との間に空気が介在するため、安定した通信性能が得られる。
【0018】
(4)(1)から(3)のいずれか1つに記載の同軸コネクタの接続構造であって、前記第1内導体は、第1内導体筒部と、前記第1内導体筒部の先端から突出する第1内導体弾性片とを含み、前記第2内導体は、前記第1内導体弾性片が弾性的に接触する第2内導体筒部を含み、前記第1誘電体は、前記第1内導体筒部のうちの基端側部分を囲んでおり、前記第1誘電体は、前記第1内導体筒部の先端から前記接続方向において前記第1内導体弾性片の突出長さの半分以上離間して前記第1内導体筒部の基端側に位置してもよい。
【0019】
この場合、第1誘電体は、内側重複部分および外側重複部分のそれぞれを避けて位置し易い。
【0020】
(5)(1)から(4)のいずれか1つの同軸コネクタの接続構造であって、前記第2内導体は、第2内導体筒部と第2内導体延長筒部とを含み、前記第2外導体は、第2外導体筒部と第2外導体延長筒部とを含み、前記第2内導体筒部は、前記第1内導体に接続される部分であり、前記第2外導体筒部は、前記第1外導体に接続される部分であり、前記第2外導体筒部は、前記第2内導体筒部の周りに同軸上に配置され、前記第2誘電体は、前記接続方向において、前記第2内導体筒部と前記第2外導体筒部との間を避けて前記第2内導体延長筒部と前記第2外導体延長筒部との間に配置されていてもよい。
【0021】
この場合、内側重複部分と外側重複部分との間に空気を配置し易い。
【0022】
(6)(1)から(4)のいずれか1つの同軸コネクタの接続構造であって、前記第1内導体は、第1内導体筒部と、前記第1内導体筒部の先端から突出する第1内導体弾性片とを含み、前記第1外導体は、第1外導体筒部と、前記第1外導体筒部の先端から突出する第1外導体弾性片とを含み、前記第2内導体は、前記第1内導体弾性片が弾性的に接触する第2内導体筒部を含み、前記第2外導体は、前記第1外導体弾性片が弾性的に接触する第2外導体筒部を含み、前記第1内導体弾性片は、前記第2内導体筒部の内周面に弾性的に接触し、前記第1外導体弾性片は、前記第2外導体筒部の外周面に弾性的に接触してもよい。
【0023】
これにより、第2内導体筒部と第2外導体筒部との間に、弾性片が介在することが抑制される。これにより、同軸コネクタの接続構造における通信性能を、第2内導体筒部と第2外導体筒部とを基準として設計することができ、当該設計を容易に行える。また、第2内導体筒部と第2外導体筒部とは、第2同軸コネクタの構成部分であるため、第2内導体筒部と第2外導体筒部との位置関係を一定に保ちやすい。このため、より安定した通信性能が得られる。
【0024】
(7)(1)から(6)のいずれか1つの同軸コネクタの接続構造であって、前記第1内導体は、前記第1内導体の基端部外周面から外周側に突出すると共に、前記第1内導体の中心軸に沿って延びる位置決め片を含み、前記第1誘電体は、前記第1内導体の前記基端部が挿入される挿入孔と、前記位置決め片が嵌め込まれる位置決め溝とが形成され、前記挿入孔に前記第1内導体の前記基端部が挿入された状態で、前記位置決め片が前記位置決め溝に嵌め込まれることで、前記第1内導体が前記第1誘電体に挿入状態で固定されていてもよい。
【0025】
これにより、第1内導体が第1誘電体にしっかりと固定される。
【0026】
(8)(7)の同軸コネクタの接続構造であって、前記位置決め片の突出端部には、前記位置決め溝の内部で前記第1誘電体に引っ掛かる抜止め突起が形成されていてもよい。
【0027】
これにより、位置決め片の突出端部の抜止め突起が位置決め溝の内部で第1誘電体に引っ掛かることで、第1内導体が第1誘電体から抜け難くなる。
【0028】
(9)(7)または(8)の同軸コネクタの接続構造であって、前記第1誘電体のうち前記挿入孔を囲む部分には、前記第1内導体の先端側に向かって環状に突出する保持環状凸部が形成されていてもよい。
【0029】
この場合、保持環状凸部でも第1内導体を保持できるので、第1内導体がよりしっかりと保持される。
【0030】
(10)(7)から(9)のいずれか1つの同軸コネクタの接続構造であって、前記第1誘電体のうち前記第1外導体側の外周部分には、前記第1内導体の先端側に向かって環状に突出する外周環状凸部が形成されていてもよい。
【0031】
この場合、外周環状凸部が第1外導体に接触することで、第1誘電体に対して第1外導体の姿勢が安定し易い。これにより、第1内導体と第1外導体との位置関係が安定し、通信性能が安定し易い。
【0032】
(11)(1)から(10)のいずれか1つの同軸コネクタの接続構造であって、前記第1同軸コネクタは、回路基板に固定される基板側同軸コネクタであり、前記第2同軸コネクタは、前記第1同軸コネクタと第3同軸コネクタとを中継接続する中継同軸コネクタであってもよい。
【0033】
このように、第2同軸コネクタが、第1同軸コネクタと第3同軸コネクタとを中継接続する中継同軸コネクタである場合、第1同軸コネクタと第3同軸コネクタとの位置関係に応じて、第1同軸コネクタに対する第2同軸コネクタの位置が変動する可能性がある。このような場合に、第1同軸コネクタと第2同軸コネクタとの間で安定した通信性能が得られる。
【0034】
[本開示の実施形態の詳細]
本開示の同軸コネクタの接続構造の具体例を、以下に図面を参照しつつ説明する。なお、本開示はこれらの例示に限定されるものではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【0035】
[実施形態]
以下、実施形態に係る同軸コネクタの接続構造について説明する。
図1は同軸コネクタの接続構造28を備える機器10を示す斜視図である。
図2は
図1のII-II線断面図である。
【0036】
<機器の全体構成について>
機器10は、例えば、カメラ機器である。カメラ機器は、例えば、車載用の機器である。機器10は、カメラ機器でなくてもよい。
【0037】
機器10は、ケース12と、電気部品20と、外部接続用同軸コネクタ30とを備える。ケース12内に電気部品20が収容されている。外部接続用同軸コネクタ30は、電気部品20と、外部の電気部品とを接続するためのコネクタである。例えば、外部接続用同軸コネクタ30は、外部の電気部品に接続されたケーブルが接続されるコネクタである。
【0038】
ケース12は、第1ケース13と、第2ケース14とを備えている。第1ケース13および第2ケース14は、例えば、樹脂によって形成される。第1ケース13と第2ケース14とが合体することで、電気部品20を収容する直方体箱状のケース12が構成される。機器10がカメラ機器である場合、第1ケース13は撮像用のレンズまたは窓を有しており、第2ケース14が外部接続用同軸コネクタ30を有していることが想定される。
【0039】
より具体的には、ケース12の底部15に保持筒部16が突設されている。保持筒部16は、円筒であり、底部15の中央部から外側に突出している。保持筒部16の内側開口は第2ケース14内に開口し、保持筒部16の外側開口は第2ケース14外に開口している。保持筒部16の中心軸Xに沿った方向の中間部に保持仕切部17が形成されている。本実施形態では、保持筒部16の中心軸Xに沿った方向の中間であって内側開口寄りの位置に保持仕切部17が形成されている。保持仕切部17は、保持筒部16のうち内側開口側の空間と、外側開口側の空間とを仕切っている。保持仕切部17に保持孔17hが形成されており、当該保持孔17hに外部接続用同軸コネクタ30が挿入されて保持される。
【0040】
外部接続用同軸コネクタ30は、外部接続用内導体32と、外部接続用誘電体34と、外部接続用外導体36とを備える。
【0041】
外部接続用内導体32は、細長い棒状に形成されており、金属等の導電材料によって形成されている。外部接続用内導体32は、後述する第2内導体80に挿入接続されるピン状の相手側内導体の一例である。外部接続用誘電体34は、樹脂等の絶縁体によって形成されており、外部接続用内導体32の周りを囲んでいる。外部接続用外導体36は、金属等の導電材料によって形成されている。外部接続用外導体36は、外部接続用誘電体34の周りを囲む筒状に形成されている。外部接続用外導体36は、第2外導体90が接続される相手側外導体の一例である。
【0042】
電気部品20は、例えば、基板に電子部品が実装された実装基板である。機器10がカメラ機器である場合、電気部品20は、回路基板21と、当該回路基板21に実装された撮像素子22であることが想定される。撮像素子22は、第1ケース13の撮像用のレンズまたは窓に対向し、当該レンズまたは窓を回して外側景色を撮像する。以下、撮像素子22が向く第1ケース13側を前側、それとは反対側の第2ケース14側を後側という場合がある。
【0043】
機器10に同軸コネクタの接続構造28が組込まれる。同軸コネクタの接続構造28は、第1同軸コネクタ40と第2同軸コネクタ70との接続構造である。
【0044】
本実施形態では、回路基板21のうち撮像素子22とは反対側の面に第1同軸コネクタ40が設けられる。第1同軸コネクタ40は、回路基板21に固定される基板側同軸コネクタの一例である。
【0045】
第1同軸コネクタ40は、第1内導体50と、第1内導体50の外周側を囲む第1外導体60と、第1内導体50と第1外導体60との間に位置する第1誘電体42とを含む。
【0046】
第1誘電体42は、第1内導体50の周囲を囲んでいる。第1誘電体42は、絶縁体によって形成されている。第1誘電体42の周囲を第1外導体60が囲んでいる。第1内導体50の基端部と第1外導体60の基端部とが回路基板21にはんだ付け等によって固定される。これより、第1内導体50と第1外導体60とが回路基板21の回路に電気的に接続されると共に、回路基板21から突出した状態で固定される。第1同軸コネクタ40は、回路基板21から外部接続用同軸コネクタ30に向けて突出している。
【0047】
第1同軸コネクタ40に第2同軸コネクタ70が接続される。第2同軸コネクタ70は、第2内導体80と、第2内導体80の外周側を囲む第2外導体90と、第2内導体80と第2外導体90との間に位置する第2誘電体72とを含む。第2誘電体72は、第2内導体80の周囲を囲んでいる。第2誘電体72は、絶縁体によって構成されている。第2誘電体72の周囲を第2外導体90が囲んでいる。第1内導体50が第2内導体80に挿入接続されると共に、第2外導体90が第1外導体60に挿入接続された状態で、第2同軸コネクタ70が第1同軸コネクタ40に接続されている。第2同軸コネクタ70は、第1同軸コネクタ40からさらに外部接続用同軸コネクタ30に向けて突出している。第2同軸コネクタ70が、第1同軸コネクタ40と外部接続用同軸コネクタ30とを中継接続する。第2同軸コネクタ70は、第1同軸コネクタ40および外部接続用同軸コネクタ30に対して姿勢変更可能に接続される。
【0048】
外部接続用同軸コネクタ30は、第3同軸コネクタであり、第2同軸コネクタ70は、第1同軸コネクタ40と第3同軸コネクタとを中継接続する中継同軸コネクタであると把握されてもよい。
【0049】
外部接続用同軸コネクタ30は、第2ケース14側、即ち、ケース12の後側に設けられる。ケース12内で、第2同軸コネクタ70が外部接続用同軸コネクタ30に接続されている。外部からのケーブルが、当該外部接続用同軸コネクタ30に接続されることで、当該ケーブルの接続先である外部の電気部品と、ケース12内の電気部品20とが電気的に接続される。
【0050】
ケース12内において回路基板21は一定位置に支持される。設計上は、外部接続用同軸コネクタ30に対する第1同軸コネクタ40の位置は一定位置に設定される。しかしながら、公差範囲内で、外部接続用同軸コネクタ30に対する第1同軸コネクタ40の位置が設計上の位置からずれる可能性がある。
【0051】
本実施形態では、第1同軸コネクタ40に対する第2同軸コネクタ70の挿入量は、第1内導体50と第2内導体80とが電気的接触を維持でき、かつ、第1外導体60と第2外導体とが電気的接触を維持できる範囲で、調整可能である。また、第2同軸コネクタ70は、第1同軸コネクタ40および外部接続用同軸コネクタ30に対して傾いた状態で挿入接続可能である。これにより、本機器10の組付作業時または完成状態において、第1同軸コネクタ40に対する外部接続用同軸コネクタ30の距離が変動したとしても、第1同軸コネクタ40に対する第2同軸コネクタ70の挿入量を調整することで、当該距離変動を吸収できる。また、外部接続用同軸コネクタ30が、第1同軸コネクタ40に対して同軸上で対向する位置からずれていたとしても、第1同軸コネクタ40および外部接続用同軸コネクタ30に対して第2同軸コネクタ70が傾くことで、当該位置ずれが吸収される。
【0052】
<同軸コネクタの接続構造について>
同軸コネクタの接続構造28についてより具体的に説明する。
図3は同軸コネクタの接続構造28を示す斜視図である。
図4は同接続構造を示す分解斜視図である。
図5は
図3の拡大断面図である。
図6は第1誘電体42に対する第1内導体50の固定箇所を示す部分破断斜視図である。
【0053】
第1同軸コネクタ40および第2同軸コネクタ70のそれぞれについてより具体的に説明してから、両同軸コネクタ40、70の位置関係に着目して接続構造28についてより具体的に説明する。
【0054】
<第1同軸コネクタについて>
上記したように第1同軸コネクタ40は、第1内導体50と、第1外導体60と、第1誘電体42とを含む。
【0055】
第1内導体50は、細長い導電性部材である。本実施形態では、第1内導体50は、金属板をプレス加工することによって形成されている。なお、第1内導体は、金属材を切削加工することによって形成されてもよい。
【0056】
より具体的には、第1内導体50は、第1内導体筒部52と、第1内導体弾性片56とを含む。
【0057】
第1内導体筒部52は、筒状、より具体的には、円筒状に形成されている。第1内導体50の基端部は、第1誘電体42に収容保持される。なお、第1同軸コネクタ40において、先端とは第2同軸コネクタ70が接続される側の端であり、基端とは当該先端の反対側の端、ここでは、回路基板21を向く側の端である。
【0058】
第1内導体筒部52の基端部における周方向の1部から外周側に突出するように位置決め片53が形成されている。位置決め片53は、第1内導体筒部52の中心軸に沿う板状部分であり、本実施形態では、方形板状部分である。位置決め片53は、2枚の板状部分が重なった構成とされている。本実施形態では、板状部分が筒をなすようにプレス加工されることで第1内導体筒部52が形成される。当該筒の継目で隣接する2つの縁部のそれぞれから板状部分が外周側に突出しており、当該2つの板状部分が重なることで位置決め片53が形成されている。
【0059】
位置決め片53の突出端部53eに、第1誘電体42の位置決め溝44の底に引っ掛る抜止め突起53pが形成されている。抜止め突起53pは、第1内導体筒部52が第1誘電体42に対して先端側に抜け難くなるように位置決め溝44の底に引っ掛る形状に形成されている。ここでは、抜止め突起53pは、三角板状に形成されている。抜止め突起53pのうち第1内導体筒部52の先端側の縁は、抜止め突起53pのうち第1内導体筒部52の基端側の縁よりも、中心軸Xに対して大きく傾いている。このため、抜止め突起53pを位置決め溝44に対して第1内導体筒部52の基端側に圧入し易く、かつ、第1内導体筒部52の先端側に抜け難くできる。上記位置決め片53および抜止め突起53pは、省略されてもよい。
【0060】
上記第1内導体筒部52に、第1誘電体42への圧入時に当該第1誘電体42の内周面に引っ掛る係止片52aが形成されてもよい。上記第1内導体筒部52の基端に回路基板21の主面に沿って延びて、はんだ付のために利用される突出片52bが設けられてもよい。
【0061】
第1内導体筒部52の先端から第1内導体弾性片56が突出している。本実施形態では、複数(ここでは3つ)の第1内導体弾性片56が、第1内導体筒部52の先端から周方向において間隔をあけて延出している。好ましくは、複数の第1内導体弾性片56は、第1内導体筒部52の中心軸X周りに等間隔で位置する。
【0062】
第1内導体弾性片56は、第1内導体筒部52の先端から外向き傾斜する傾斜部56aと、当該傾斜部56aの先端部に連なり外向きに凸をなす湾曲形状をなす湾曲部56bとを含む。
【0063】
複数の第1内導体弾性片56が第2内導体80に挿入されると、傾斜部56aが内側に弾性変形しつつ、湾曲部56bの外向きの頂部が、第2内導体80の内周面に弾性的に押付けられる。これにより、第1内導体50が第2内導体80に電気的に接続された状態に保たれる。
【0064】
なお、弾性片は2つであってもよいし、4つ以上であってもよい。
【0065】
第1誘電体42は、樹脂等によって円板状に形成されている。第1誘電体42の最大厚み寸法は、第1内導体筒部52の長さ寸法よりも小さい。第1誘電体42は、例えば、金型成形樹脂部品である。
【0066】
第1誘電体42の中央に、第1内導体50の基端部、より具体的には、第1内導体筒部52の基端部が挿入される挿入孔43が形成されている。また、位置決め片53が嵌め込まれる位置決め溝44が形成されている。位置決め溝44は、挿入孔43の周方向の1部から外周側に向かって凹み、かつ、中心軸Xに沿って延びる溝に形成されている。
【0067】
そして、挿入孔43に第1内導体筒部52が挿入されることで、第1内導体50が第1誘電体42に対して挿入保持される。好ましくは、第1内導体筒部52が挿入孔43に圧入保持される。
【0068】
第1内導体が切削加工品であれば、上記圧入構造によって第1誘電体に対して第1内導体をしっかり保持し易い。第1内導体50が金属板のプレス加工品である場合、保持強度を高めるため、位置決め片53が位置決め溝44に嵌め込まれる。位置決め溝44の内周面が位置決め片53を挟持することによって、第1誘電体42が第1内導体50をしっかり保持し易くなる。
【0069】
また、位置決め片53の上記抜止め突起53pが位置決め溝44の底に食込むように引っ掛ることで、第1内導体50が第1誘電体42から抜出難くなり、第1内導体50がよりしっかりと保持される。
【0070】
また、第1誘電体42のうち挿入孔43を囲む部分に、第1内導体50の先端側に向かって環状に突出する保持環状凸部45が形成されている。保持環状凸部45が第1内導体筒部52を保持することで、第1内導体50がよりしっかりと保持され、また、第1内導体50が第1誘電体42に対して傾き難い。
【0071】
第1誘電体42の外周面は、第1外導体60の内周部に挿入可能な短円柱周面形状に形成されている。第1誘電体42のうち第1外導体60側の外周部分に、第1内導体50の先端側に向かって環状に突出する外周環状凸部46が形成されている。第1誘電体42の外周面は、外周環状凸部46の分、中心軸X方向において広く形成されている。このため、第1誘電体42の外周面は、広い面積で、第1外導体60の内周面に対向することができる。これにより、第1外導体60に対して第1誘電体42がしっかりと保持され易く、かつ、第1誘電体42に対して第1外導体60が傾き難い。これにより、第1内導体50と第1外導体60とが同軸上の位置関係に保たれ易い。
【0072】
第1外導体60は、金属等の導電材料によって形成されており、第1誘電体42の周りを囲んでいる。よって、第1誘電体42は、第1内導体50と第1外導体60との間に介在する筒状の部材である。第1外導体60は、例えば、金属板をプレス加工等することによって形成される。
【0073】
本実施形態では、第1外導体60は、第1外導体筒部62と、第1外導体筒部62の先端から突出する第1外導体弾性片66とを含む。
【0074】
第1外導体筒部62は、内側に第1誘電体42を配置可能な筒状、より具体的には、円筒状に形成されている。第1誘電体42が、第1外導体筒部62の基端部分に収容保持される。
【0075】
第1外導体筒部62に、第1誘電体42の圧入時に当該第1誘電体42の外周面に引っ掛る係止片62aが形成されてもよい。
【0076】
第1外導体筒部62の先端から第1外導体弾性片66が突出している。本実施形態では、複数(ここでは8つ)の第1外導体弾性片66が、第1外導体筒部62の先端から周方向において間隔をあけて延出している。好ましくは、複数の第1外導体弾性片66は、第1外導体筒部62の中心軸X周りに等間隔で位置する。
【0077】
第1外導体弾性片66は、第1外導体筒部62の先端から内向き傾斜する傾斜部66aと、当該傾斜部66aの先端部に連なり内向きに凸をなす湾曲形状をなす湾曲部66bとを含む。
【0078】
複数の第1外導体弾性片66が第2外導体90に外嵌めされると、傾斜部66aが外側に弾性変形しつつ、湾曲部66bの内向きの頂部が、第2外導体90の外周面に弾性的に押付けられる。これにより、第1外導体60が第2外導体90に電気的に接続された状態に保たれる。
【0079】
なお、弾性片は7つ以下であってもよいし、9つ以上であってもよい。
【0080】
中心軸X方向において、第1外導体筒部62の長さ寸法は、第1誘電体42の厚み寸法よりも大きい。また、本実施形態では、第1外導体筒部62の長さ寸法は、第1内導体50の長さ寸法よりも大きい。また、第1誘電体42に対して、第1外導体弾性片66の基端は、第1内導体弾性片56の基端よりも離れて位置する。さらに、第1誘電体42に対して、第1外導体弾性片66の先端は、第1内導体弾性片56の先端よりも離れて位置する。但し、湾曲部56b、66bは、中心軸Xにおいて同じ位置で第2内導体80または第2外導体90に接触できる。
【0081】
第1同軸コネクタ40は、筒状のコネクタホルダ41によって囲まれていてもよい。コネクタホルダ41は、樹脂等によって形成された部材であり、当該第1同軸コネクタ40を周りから囲って、他の部材への接触を抑制する役割を果す。
【0082】
<第2同軸コネクタについて>
上記したように、第2同軸コネクタ70は、第2内導体80と、第2外導体90と、第2誘電体72とを備える。
【0083】
第2内導体80は、細長い導電性部材である。本実施形態では、第2内導体80は、金属板をプレス加工することによって形成されている。より具体的には、第2内導体80は、第2内導体筒部82と、第2内導体延長筒部86とを含む。
【0084】
第2内導体筒部82は、筒状、より具体的には、円筒状に形成されている。第2内導体筒部82の開口端は、第1同軸コネクタ40側を向いている。第2内導体筒部82は、第1内導体50に接続される部分である。
【0085】
より具体的には、第2内導体筒部82は、中心軸Xに沿って細長い筒である。第2内導体筒部82の内径は、複数の第1内導体弾性片56の頂部を結ぶ仮想円の外径よりも小さい。複数の第1内導体弾性片56が、内側に弾性変形しつつ、第2内導体筒部82の内周面に弾性的に接触できる。
【0086】
中心軸X方向において、第2内導体筒部82は、第1内導体弾性片56よりも長い。中心軸X方向において、第2内導体筒部82の内周面の任意の位置に、第1内導体弾性片56の湾曲部56bの頂部が接触することで、第1内導体50と第2内導体80とが接続され得る。これにより、中心軸X方向における、第1内導体50と第2内導体80との位置ずれに対応できる。
【0087】
第2内導体延長筒部86は、上記第2内導体筒部82に対して第1同軸コネクタ40とは反対側に位置している。本実施形態では、第2内導体延長筒部86は、第2内導体筒部82よりも細い。第2内導体延長筒部86は、第2内導体筒部82に対してテーパ部81を介して連なっている。テーパ部81は、第2内導体筒部82から第2内導体延長筒部86に向けて徐々に細くなるテーパ形状部分である。第2内導体延長筒部は、第2内導体筒部に対して段部を介して連なっていてもよい。
【0088】
第2内導体延長筒部86は、先端側に向けて突出する弾性片87を有していてもよい。弾性片87は、内外方向に弾性変形可能に構成されている。外部接続用内導体32が、2つの弾性片87の先端側から当該2つの弾性片87間に向けて挿入される。外部接続用内導体32が、当該2つの弾性片87によって挟込まれた状態となることで、第2内導体80が外部接続用内導体32に接続される。
【0089】
第2内導体延長筒部86に、第2誘電体72に係止可能な部分的な係止片86aが形成されてもよい。
【0090】
第2誘電体72は、樹脂等によって形成されている。第2誘電体72は、例えば、金型成形樹脂部品である。
【0091】
第2誘電体72は、第2内導体80の少なくとも一部を収容可能な筒状に形成されている。本実施形態では、第2誘電体72は、円筒状に形成されている。第2誘電体72内に、第2内導体延長筒部86が収容される。第2内導体延長筒部86の内部空間は、第2内導体延長筒部86の基端部を圧入状態で保持でき、かつ、弾性片87の内外方向への弾性変形を許容できる程度の大きさに形成されている。
【0092】
第2誘電体72の一端が、テーパ部81に接することで、第2内導体80に対する第2誘電体72の位置決めがなされ得る。第2内導体筒部82は、第2誘電体72よりも第1同軸コネクタ40側に延出している。
【0093】
第2誘電体72の外周側に第2外導体90が配置される。第2外導体90は、金属等の導電材料によって形成されており、第2誘電体72の周りを囲んでいる。第2外導体90は、例えば、金属板をプレス加工等することによって形成される。
【0094】
第2外導体90は、第2外導体筒部92と、第2外導体延長筒部96とを備える。
【0095】
第2外導体筒部92は、筒状、より具体的には、円筒状に形成されている。第2外導体筒部92の開口端は、第1同軸コネクタ40側を向いている。第2外導体筒部92は、第1外導体60に接続される部分である。
【0096】
第2外導体筒部92は、第2内導体筒部82の外周側に間隔をあけて位置する。第2外導体筒部92の外径は、複数の第1外導体弾性片66の頂部を結ぶ仮想円の外径よりも大きい。複数の第1外導体弾性片66が、外側に弾性変形しつつ、第2外導体筒部92の外周面に弾性的に接触できる。
【0097】
中心軸X方向において、第2外導体筒部92は、第1外導体弾性片66よりも長い。中心軸X方向において、第2外導体筒部92の外周面の任意の位置に、第1外導体弾性片66の湾曲部66bの頂部が接触することで、第1外導体60と第2外導体90とが接続され得る。これにより、中心軸X方向における、第1外導体60と第2外導体90との位置ずれに対応できる。
【0098】
第2外導体延長筒部96は、上記第2外導体筒部92に対して第1同軸コネクタ40とは反対側に位置している。本実施形態では、第2外導体延長筒部96は、第2外導体筒部92よりも細い。第2外導体延長筒部96は、第2外導体筒部92に対してテーパ部91を介して連なっている。テーパ部91は、第2外導体筒部92から第2外導体延長筒部96に向けて徐々に細くなるテーパ形状部分である。第2外導体延長筒部は、第2外導体筒部に対して段部を介して連なっていてもよい。
【0099】
第2外導体延長筒部96は、先端側に向けて突出する弾性片97を有していてもよい。弾性片97は、内外方向に弾性変形可能に構成されている。外部接続用外導体36が、複数の弾性片97の先端側から当該複数の弾性片97の外周に外嵌めされる。複数の弾性片97が外部接続用外導体36の内周面に弾性的に押付けられることで、第2外導体90が外部接続用外導体36に接続される。
【0100】
第2外導体延長筒部96に、第2誘電体72に係止可能な部分的な係止片96aが形成されてもよい。
【0101】
<接続構造について>
第1同軸コネクタ40と第2同軸コネクタ70とが接続された状態を前提として、第1誘電体42と第2誘電体72との配置位置が説明される。
【0102】
第1同軸コネクタ40と第2同軸コネクタ70との接続状態を想定する。ここでは、第1同軸コネクタ40と外部接続用同軸コネクタ30とが距離L1離れているとする(
図5参照)。
【0103】
第1同軸コネクタ40と第2同軸コネクタ70との接続方向は、第1同軸コネクタ40と第2同軸コネクタ70との中心軸Xに沿っている。中心軸Xの方向において、第1内導体50と第2内導体80とが重複する部分を内側重複部分E1とする(
図5参照)。中心軸Xの方向において、第1外導体60と第2外導体90とが重複する部分を外側重複部分E2とする(
図5参照)。
【0104】
第1誘電体42と第2誘電体72とは共に、接続方向において、内側重複部分E1および外側重複部分E2の双方を避けて位置する。好ましくは、第1誘電体42は、内側重複部分E1および外側重複部分E2の双方よりも、第1内導体50および第1外導体60のそれぞれの基端側に位置する。また、好ましくは、第2誘電体72は、内側重複部分E1および外側重複部分E2の双方よりも、第2内導体80および第2外導体90のそれぞれの基端側に位置する。
【0105】
この場合、内側重複部分E1において、最も外周側に位置する導体は、第2内導体80の第2内導体筒部82である。また、外側重複部分E2において、最も内周側に位置する導体は、第2外導体90の第2外導体筒部92である。第2内導体筒部82と第2外導体筒部92との環状空間には、第1誘電体42と第2誘電体72とは介在せず、空気層が介在している。このため、同軸コネクタの接続構造28を設計する際、内側重複部分E1と外側重複部分E2とでは、空気層の介在を前提として所望の通信性能が得られるように設計され得る。
【0106】
また、第1内導体弾性片56を有する第1内導体50は、第2内導体筒部82内に位置し、第1外導体弾性片66を有する第1外導体60は、第2外導体筒部92外に位置する。このため、同軸コネクタの接続構造28を設計する際、内側重複部分E1と外側重複部分E2とでは、同径部分が連続する第2内導体筒部82の外径と、同径部分が連続する第2外導体筒部92の外径とを前提として、所望の通信性能が得られるように設計され得る。このため、複雑な弾性片の形状の存在を前提として設計をする場合を比較して、設計が容易となる。
【0107】
また、上記したように、第1同軸コネクタ40と外部接続用同軸コネクタ30との距離L1は、公差範囲内で変動する可能性がある。
【0108】
第1同軸コネクタ40と外部接続用同軸コネクタ30との距離が公差範囲内で最も大きくなって距離Lmaxとなった場合の断面図が
図7に示される。
【0109】
この場合、第2内導体80と第1誘電体42との距離が大きくなり、かつ、第2外導体90と第1誘電体42との距離も大きくなる。このため、接続構造28において、内外導体間に空気層が介在する領域が大きくなる。しかしながら、もともと内側重複部分E1と外側重複部分E2との間に空気層が介在する前提で、第1同軸コネクタ40と第2同軸コネクタ70との設計がなされている。このため、空気層が割合的に増えたとしても、通信性能に影響を与え難い。
【0110】
これに対して、仮に内側重複部分E1と外側重複部分E2との間に誘電体を配置する構成とすると、当該各コネクタは、当該誘電体の存在を前提に所望の通信性能が得られるように設計がなされると考えられる。当該設計を前提に、コネクタの位置ずれによって,空気層が生じてしまうと、通信性能に与える影響が大となる可能性がある。
【0111】
本実施形態では、内側重複部分E1と外側重複部分E2との間に空気層が介在する前提で、設計がなされるため、空気層が増えたとしても、通信性能に影響を与え難い。なお、内側重複部分E1と外側重複部分E2とから離れた第1誘電体42および第2誘電体72が設けられた領域では、当該第1誘電体42および第2誘電体72の誘電率を前提として適切な通信性能が得られるように各部の径等の設計がなされる。
【0112】
第1同軸コネクタ40と外部接続用同軸コネクタ30との距離が公差範囲内で最も小さくなって距離Lminとなった場合の断面図が
図8に示される。
【0113】
この状態では、中心軸Xの方向において、内側重複部分E1の長さは許容最大長LE1maxとなり、外側重複部分E2の長さは許容最大長LE2maxとなる。この状態が成立し得るように、第1誘電体42と第2誘電体72とは、許容最大長LE1max、LE2maxとなった内側重複部分E1および外側重複部分E2の双方を避けて位置している。
【0114】
内側重複部分E1と外側重複部分E2との間で空気層を確保し、かつ、空気層を大きくするため、第1誘電体42は、第1内導体筒部52の先端からその基端側に、中心軸X方向における第1内導体弾性片56の突出長さNの半分以上離間して位置することが好ましい。
【0115】
<効果等>
このように構成された同軸コネクタの接続構造28によると、第1誘電体42と第2誘電体72とは共に、内側重複部分E1および外側重複部分E2の双方を避けて位置する。このため、内側重複部分E1と、外側重複部分E2との間に空気が介在することを前提として、所望の通信性能が得られるように、第1同軸コネクタ40と第2同軸コネクタ70とが設計され得る。この場合、第1同軸コネクタ40に対する第2同軸コネクタ70の接続位置が所定位置からずれても場合でも、接続方向において空気の介在部分の長さが変動するだけである。内側重複部分E1と外側重複部分E2とのほとんどの部分に誘電体が介在することを想定して各同軸コネクタが設計される場合と比較して、安定した通信性能が得られる。
【0116】
また、第1誘電体42は、内側重複部分E1および外側重複部分E2の双方よりも、第1内導体50および第1外導体60のそれぞれの基端側の位置で、第1内導体50と第1外導体60とを一定の位置関係に保つことができる。第2誘電体72は、内側重複部分E1および外側重複部分E2の双方よりも、第2内導体80および第2外導体90のそれぞれの基端側に位置で、第2内導体80と第2外導体90とを一定の位置関係に保つことができる。このため、接続構造における同軸構造を保ちつつ、安定した通信性能を得易い。
【0117】
また、第1同軸コネクタ40に対して第2同軸コネクタ70が公差範囲内で接続過多状態となった場合に、内側重複部分E1と外側重複部分E2との許容最大長LE1max、LE2maxとなることが想定される。この場合でも、内側重複部分E1と外側重複部分E2との間に空気が介在した接続が実現され、安定した通信性能が得られる。
【0118】
また、第1誘電体42が、第1内導体筒部52の先端からその基端側に、中心軸X方向における第1内導体弾性片56の突出長さNの半分以上離間して位置するため、第1誘電体42は、内側重複部分E1と外側重複部分E2とを避けて位置し易い。
【0119】
また、第2誘電体72が第2内導体筒部82と第2外導体筒部92とから外れて第2内導体延長筒部86と第2外導体延長筒部96との間に配置されているため、内側重複部分E1と外側重複部分E2との間に空気を配置し易い。
【0120】
また、第1内導体弾性片56が第2内導体筒部82の内周面に弾性的に接触し、第1外導体弾性片66が第2外導体筒部92の外周面に弾性的に接触する。このため、第2内導体筒部82と第2外導体筒部92との間に、弾性片56、66が介在することが回避される。これにより、同軸コネクタの接続構造28における通信性能を、形状を単純化し易い第2内導体筒部82と第2外導体筒部92とを基準として設計することができ、当該設計を容易に行える。例えば、第2内導体筒部82と第2外導体筒部92との全体を円筒形状とすることができる。また、第2内導体筒部82と第2外導体筒部92とは、第2同軸コネクタ70の構成部分であるため、第2内導体筒部82と第2外導体筒部92との位置関係を一定に保ちやすい。このため、より安定した通信性能が得られる。
【0121】
また、第1誘電体42の挿入孔43に第1内導体50の第1内導体筒部52の基端部が挿入された状態で、位置決め片53が位置決め溝44に嵌め込まれることで、第1内導体50が第1誘電体42に挿入状態で固定される。このため、第1内導体筒部52が第1誘電体42にしっかりと固定される。
【0122】
例えば、第1内導体50が金属板のプレス加工によって形成される場合でも、当該第1内導体50を第1誘電体42によってしかりと保持し易い。第1内導体50をプレス加工によって形成すれば、切削加工で形成する場合よりも低コスト化が可能になる。
【0123】
また、位置決め片53の突出端部の抜止め突起53pが位置決め溝44の底に引っ掛ることで、第1内導体50が第1誘電体42から抜け難くなる。
【0124】
また、第1誘電体42のうち挿入孔43を囲む部分に、保持環状凸部45が形成されているため、第1誘電体42を重複部分E1、E2から離すように形成した結果、薄くなった場合でも、第1内導体50をしっかりと保持し易い。
【0125】
また、第1誘電体42の外周環状凸部46が、第1外導体60に接触することで、第1誘電体42に対して第1外導体60の姿勢が安定し易い。これにより、第1内導体50と第1外導体60との位置関係が安定し、通信性能が安定し易い。
【0126】
また、第1同軸コネクタ40は、基板側同軸コネクタであり、第2同軸コネクタ70は、基板側同軸コネクタとしての第1同軸コネクタ40と外部接続用同軸コネクタ30とを中継する中継同軸コネクタである。この場合、外部接続用同軸コネクタ30に対する回路基板21の位置ずれによって、第1同軸コネクタ40に対する第2同軸コネクタ70の位置が変動する可能性がある。このような場合に、第1同軸コネクタ40と第2同軸コネクタ70との間で安定した通信性能が得られる。
【0127】
なお、上記実施形態および各変形例で説明した各構成は、相互に矛盾しない限り適宜組合わせることができる。
【符号の説明】
【0128】
10 機器
12 ケース
13 第1ケース
14 第2ケース
15 底部
16 保持筒部
17 保持仕切部
17h 保持孔
20 電気部品
21 回路基板
22 撮像素子
28 接続構造
30 外部接続用同軸コネクタ(第3同軸コネクタ)
32 外部接続用内導体
34 外部接続用誘電体
36 外部接続用外導体
40 第1同軸コネクタ(基板側同軸コネクタ)
41 コネクタホルダ
42 第1誘電体
43 挿入孔
44 位置決め溝
45 保持環状凸部
46 外周環状凸部
50 第1内導体
52 第1内導体筒部
52a 係止片
52b 突出片
53 位置決め片
53e 突出端部
53p 抜止め突起
56 第1内導体弾性片
56a 傾斜部
56b 湾曲部
60 第1外導体
62 第1外導体筒部
62a 係止片
66 第1外導体弾性片
66a 傾斜部
66b 湾曲部
70 第2同軸コネクタ(中継同軸コネクタ)
72 第2誘電体
80 第2内導体
81 テーパ部
82 第2内導体筒部
86 第2内導体延長筒部
86a 係止片
87 弾性片
90 第2外導体
91 テーパ部
92 第2外導体筒部
96 第2外導体延長筒部
96a 係止片
97 弾性片
E1 内側重複部分
E2 外側重複部分
LE1max、LE2max 許容最大長
X 中心軸