(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024175766
(43)【公開日】2024-12-19
(54)【発明の名称】検出装置及び検出システム
(51)【国際特許分類】
F16K 37/00 20060101AFI20241212BHJP
【FI】
F16K37/00 A
【審査請求】有
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023093749
(22)【出願日】2023-06-07
(71)【出願人】
【識別番号】000002853
【氏名又は名称】ダイキン工業株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】500077292
【氏名又は名称】ダイキン潤滑機設株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001427
【氏名又は名称】弁理士法人前田特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】長谷川 浩
【テーマコード(参考)】
3H065
【Fターム(参考)】
3H065BA02
3H065BA07
3H065BB11
(57)【要約】
【課題】メンテナンス性を向上させることができるようにする。
【解決手段】検出装置は、ピストン(12)を動作させることで供給物を送る分配弁(10)に設けられる。検出装置は、前記ピストン(12)に連動するインジケータピン(13)の動作を検出する検出部(21)と、前記検出部(21)の検出結果を示す情報を無線送信する送信部(22)とを備える。前記検出部(21)の筐体(21a)と前記送信部(22)の筐体(22a)とが、別体であり、前記検出部(21)と前記送信部(22)とが有線接続されることが好ましい。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ピストン(12)を動作させることで供給物を送る分配弁(10)に設けられる検出装置であって、
前記ピストン(12)に連動するインジケータピン(13)の動作を検出する検出部(21)と、
前記検出部(21)の検出結果を示す情報を無線送信する送信部(22)と
を備える、検出装置。
【請求項2】
前記検出部(21)の筐体(21a)と前記送信部(22)の筐体(22a)とが、別体であり、
前記検出部(21)と前記送信部(22)とが有線接続される、請求項1に記載の検出装置。
【請求項3】
前記インジケータピン(13)を覆いつつ、前記検出部(21)を支持する支持部(23)を備え、
前記支持部(23)は、透過性を有する、請求項1又は請求項2に記載の検出装置。
【請求項4】
前記支持部(23)は、両端に開口(23a,23b)が設けられる筒形状を有し、
前記両端の開口(23a,23b)のうちの一の開口(23b)を通じて、前記支持部(23)内に前記インジケータピン(13)が配置され、
前記両端の開口(23a,23b)のうちの他の開口(23a)には、前記検出部(21)が取り付けられる、請求項3に記載の検出装置。
【請求項5】
前記支持部(23)は、前記支持部(23)の外部から前記支持部(23)内のインジケータピン(13)を視認可能な程度の透過性を有する、請求項3に記載の検出装置。
【請求項6】
前記インジケータピン(13)は、前記支持部(23)内で前記検出部(21)に対して近接離間する方向に移動する、請求項3に記載の検出装置。
【請求項7】
前記検出部(21)は、近接センサを含む、請求項1又は請求項2に記載の検出装置。
【請求項8】
前記送信部(22)から送信される前記情報を無線受信する受信装置(26)を備え、
前記受信装置(26)が携帯可能である、請求項1又は請求項2に記載の検出装置。
【請求項9】
前記受信装置(26)は、前記情報を表示する表示部を含む、請求項8に記載の検出装置。
【請求項10】
請求項1又は請求項2に記載の検出装置と、前記分配弁(10)とを備える、検出システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、検出装置及び検出システムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、分配弁のピストンに連動するインジケータピンを検出するためのマイクロスイッチが開示されている。マイクロスイッチは端子を有する。端子には配線が接続される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、配線を通じてマイクロスイッチの検出結果を示す情報が有線送信される場合において、当該配線が設備の他の機器の配線と同じ配線ダクト等を経由されると、複数の配線が配線ダクトで混在するため、当該複数の配線のうちどの配線がマイクロスイッチの配線なのかを識別することが困難となり、メンテナンス性が低下する可能性がある。また、複数の分配弁が設けられ、複数の分配弁のうちのいずれかの分配弁が動作不良を起こした場合、複数の分配弁から延びる複数の配線が混在するため、当該複数の配線のうちいずれの配線が動作不良を起こした分配弁の配線なのかを識別することが困難となり、メンテナンス性が低下する可能性がある。
【0005】
本開示の目的は、メンテナンス性を向上させることができる検出装置及び検出システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
第1の態様の検出装置は、ピストン(12)を動作させることで供給物を送る分配弁(10)に設けられる。検出装置は、前記ピストン(12)に連動するインジケータピン(13)の動作を検出する検出部(21)と、前記検出部(21)の検出結果を示す情報を無線送信する送信部(22)とを備える。
【0007】
第1の態様では、メンテナンス性を向上させることができる。
【0008】
第2の態様は、第1の態様において、前記検出部(21)の筐体(21a)と前記送信部(22)の筐体(22a)とが、別体であり、前記検出部(21)と前記送信部(22)とが有線接続される。
【0009】
第2の態様では、検出部(21)及び送信部(22)の各々の設置場所の自由度を向上させることができる。
【0010】
第3の態様は、第1の態様又は第2の態様において、検出装置は、前記インジケータピン(13)を覆いつつ、前記検出部(21)を支持する支持部(23)を備え、前記支持部(23)は、透過性を有する。
【0011】
第3の態様では、インジケータピン(13)が動作しているか否かを支持部(23)の外部から目視により容易に確認することができる。
【0012】
第4の態様は、第3の態様において、前記支持部(23)は、両端に開口(23a,23b)が設けられる筒形状を有し、前記両端の開口(23a,23b)のうちの一の開口(23b)を通じて、前記支持部(23)内に前記インジケータピン(13)が配置され、前記両端の開口(23a,23b)のうちの他の開口(23a)には、前記検出部(21)が取り付けられる。
【0013】
第4の態様では、インジケータピン(13)と検出部(21)とを対向配置することができる。
【0014】
第5の態様は、第3の態様又は第4の態様において、前記支持部(23)は、前記支持部(23)の外部から前記支持部(23)内のインジケータピン(13)を視認可能な程度の透過性を有する。
【0015】
第5の態様では、支持部(23)の外部からインジケータピン(13)の動作を目視により確認することができる。
【0016】
第6の態様は、第3~第5のいずれか1つの態様において、前記インジケータピン(13)は、前記支持部(23)内で前記検出部(21)に対して近接離間する方向に移動する。
【0017】
第6の態様では、検出部(21)がインジケータピン(13)との距離に基づいてインジケータピン(13)を検出することができる。
【0018】
第7の態様は、第1~第6のいずれか1つの態様において、前記検出部(21)は、近接センサを含む。
【0019】
第7の態様では、ピストン(12)の動作を効果的に検出することができる。
【0020】
第8の態様は、第1~第7のいずれか1つの態様において、前記送信部(22)から送信される前記情報を無線受信する受信装置(26)を備え、前記受信装置(26)が携帯可能である。
【0021】
第8の態様では、電波状況が悪くても、電波状況が改善される場所へ受信装置(26)を携帯することで、検出部(21)の検出結果を示す情報を効果的に無線受信することができる。
【0022】
第9の態様は、第8の態様において、前記受信装置(26)は、前記情報を表示する表示部を含む。
【0023】
第9の態様では、表示部により分配弁(10)が正常に作動しているか否かを確認することができる。
【0024】
第10の態様の検出システムは、第1~第9のいずれか1つの態様の検出装置と、前記分配弁(10)とを備える。
【0025】
第10の態様では、メンテナンス性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【
図1】
図1は、検出システムの構成を示す概略図である。
【
図7】
図7は、給油システムの構成を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、本開示の実施形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、本開示は、以下に示される実施形態に限定されるものではなく、本開示の技術的思想を逸脱しない範囲内で各種の変更が可能である。各図面は、本開示を概念的に説明するためのものであるから、理解容易のために必要に応じて寸法、比または数を誇張または簡略化して表す場合がある。各実施形態、変形例、および図中において、同一又は相当部分については同一の参照符号を付し、詳細な説明及びそれに付随する効果等の説明は繰り返さない。
【0028】
-検出システム-
本発明の検出システムの実施形態である検出システム(1)について説明する。
【0029】
図1に示すように、検出システム(1)は、分配弁(10)と、ハウジング(11)と、検出装置(20)とを備える。
【0030】
-分配弁の構成-
分配弁(10)は、自機に対して交互に圧送される供給物の圧力により対象物に対して当該供給物を供給する。分配弁(10)は、ハウジング(11)に設けられる。本実施形態では、ハウジング(11)に複数(3つ)の分配弁(10)が設けられる。ハウジング(11)に設けられる分配弁(10)の個数は特に限定されない。
【0031】
分配弁(10)は、ピストン(12)と、インジケータピン(13)と、ピン支持部(14)とを含む。インジケータピン(13)は、ピストン(12)に固定される。インジケータピン(13)は、棒状の形状を有し、ピストン(12)と共に移動する。以下では、ピストン(12)及びインジケータピン(13)の移動方向を軸方向(M)と記載することがある。ピストン(12)及びインジケータピン(13)は、軸方向(M)に沿って往復動する。インジケータピン(13)は、ピストン(12)から軸方向(M)の一方向側(M1)に突出する。ピン支持部(14)は、インジケータピン(13)を軸方向(M)に沿って移動可能に支持する。
【0032】
ハウジング(11)には、第1通路(11a)と、第2通路(11b)と、第3通路(11c)と、第4通路(11d)と、吐出通路(11e,11f)とが設けられる。ハウジング(11)に複数の分配弁(10)が設けられる場合、第1通路(11a)、第2通路(11b)、第3通路(11c)、第4通路(11d)、及び吐出通路(11e,11f)は、分配弁(10)毎に設けられる。
【0033】
第1通路(11a)は、軸方向(M)に沿って延びる。第1通路(11a)は、開口部(111a)を含む。開口部(111a)は、ハウジング(11)の外面において軸方向(M)の一方向側(M1)に位置し、ハウジング(11)の外部に連通する。第1通路(11a)にはピストン(12)が設けられる。開口部(111a)には、ピン支持部(14)が設けられる。ハウジング(11)において開口部(111a)を形成する場所に形成されるネジ溝と、ピン支持部(14)の外周面(14c)に形成されるネジ溝とが嵌め合わされることで、開口部(111a)(ハウジング(11))にピン支持部(14)が取り付けられる。ピン支持部(14)には軸方向(M)に貫通する孔(14b)が形成され、孔(14b)にはインジケータピン(13)が挿通される。第1通路(11a)は、第1室(11a1)と第2室(11a2)とに区画される。第1室(11a1)は、ピストン(12)に対して軸方向(M)の一方向側(M1)に位置する空間である。第2室(11a2)は、ピストン(12)に対して軸方向(M)の他方向側(M2)に位置する空間である。
【0034】
第2通路(11b)は、軸方向(M)に沿って延びる。第2通路(11b)には、スプール(15)が配置される。スプール(15)には、複数のランド(15a)が設けられる。第2通路(11b)は、複数のランド(15a)により複数の区画室(16a,16b,16c,16d)に区画される。複数の区画室(16a,16b,16c,16d)は、軸方向(M)の他方向側(M2)に向かって、区画室(16a)、区画室(16b)、区画室(16c)、及び区画室(16d)の順番に形成される。区画室(16a)には、貫通孔(17a)が連通する。区画室(16d)には、貫通孔(17b)が連通する。
【0035】
第3通路(11c)は、第1室(11a1)と、第2通路(11b)とに連通する。第4通路(11d)は、第2室(11a2)と、第2通路(11b)とに連通する。吐出通路(11e,11f)は、第2通路(11b)と、ハウジング(11)の外部とに連通する。
【0036】
-分配弁の動作-
以下では、ピストン(12)、インジケータピン(13)及びスプール(15)において、最も軸方向(M)の一方向側(M1)へ移動したときの位置を上死点と記載し、最も軸方向(M)の他方向側(M2)へ移動したときの位置を下死点と記載することがある。
【0037】
図2及び
図3に示すように、ピストン(12)、インジケータピン(13)及びスプール(15)が下死点に位置する状態から、貫通孔(17b)を通じて区画室(16d)に潤滑油が供給されると、スプール(15)が上死点へ移動すると共に、第4通路(11d)を通じて区画室(16d)から第2室(11a2)へ潤滑油が供給されることで、ピストン(12)及びインジケータピン(13)が上死点へ移動する。これにより、第1室(11a1)の潤滑油が、第3通路(11c)、区画室(16b)、及び吐出通路(11e)を通じて、ハウジング(11)の外部へ吐出される。
【0038】
図4及び
図5に示すように、ピストン(12)、インジケータピン(13)及びスプール(15)が上死点に位置する状態から、貫通孔(17a)を通じて区画室(16a)に潤滑油が供給されると、スプール(15)が下死点へ移動すると共に、第3通路(11c)を通じて区画室(16a)から第1室(11a1)へ潤滑油が供給されることで、ピストン(12)及びインジケータピン(13)が下死点へ移動する。これにより、第2室(11a2)の潤滑油が、第4通路(11d)、区画室(16c)、及び吐出通路(11f)を通じて、ハウジング(11)の外部へ吐出される。潤滑油は、供給物の一例である。
【0039】
吐出通路(11e,11f)から吐出された潤滑油は、例えば軸受けのような対象物に供給される。分配弁(10)は、
図2及び
図3に示す動作と、
図4及び
図5に示す動作を交互に繰り返すことで対象物に対して潤滑油を定量的に供給する。
【0040】
-検出装置の構成-
図1及び
図2に示すように、検出装置(20)は、検出部(21)と、送信部(22)と、支持部(23)と、制御装置(24)とを備える。
【0041】
検出部(21)は、インジケータピン(13)を検出する。本実施形態では、検出部(21)は、近接センサを含む。近接センサは、レーザ式の近接センサであってもよく、又は、超音波式の近接センサであってもよい。検出部(21)の筐体(21a)内には検出部(21)に電力を供給するための電池式の電源部が設けられる。
【0042】
送信部(22)は、検出部(21)の検出結果を示す情報を無線送信する。送信部(22)は、検出部(21)の検出結果を示す情報を無線送信するための無線通信モジュ-ルを含む。無線通信モジュ-ルは、例えば、BLE(Bluetooth Low Energy)(登録商標)のような近距離無線通信規格に準じた機器であってもよく、又は、インターネットなどのネットワーク網を介して無線通信を行うためのLANボ-ドのような通信モジュールであってもよい。送信部(22)の無線通信方式は、特に限定されず、例えば、ZigBee(登録商標)等であってもよい。送信部(22)の筐体(22a)内には送信部(22)に電力を供給するための電池式の電源部が設けられる。なお、検出部(21)の筐体(21a)及び送信部(22)の筐体(22a)のうちのいずれかに電源部を設け、当該電源部が検出部(21)及び送信部(22)の両方の電源部として機能するように構成してもよい。
【0043】
検出部(21)の筐体(21a)と、送信部(22)の筐体(22a)とは、別体である。送信部(22)は、例えば、検出部(21)の周辺に設置される。
【0044】
検出部(21)と送信部(22)とは、有線接続される。検出部(21)には通信ケーブル(25)の一端が接続され、送信部(22)には通信ケーブル(25)の他端が接続される。検出部(21)の検出結果を示す情報は、通信ケーブル(25)を通じて送信部(22)へ送られた後、送信部(22)から無線送信される。
【0045】
支持部(23)は、検出部(21)を支持する。支持部(23)は、両端に開口(23a,23b)が設けられる筒形状を有する。開口(23a,23b)は、支持部(23)の内部と外部とを連通する。両端の開口(23a,23b)は、軸方向(M)に対向する。開口(23a)は、開口(23b)に対して軸方向(M)の一方向側(M1)に位置する。開口(23a)には、検出部(21)が取り付けられる。開口(23a)の内周面と検出部(21)の外周面(21a1)とにはネジ溝がそれぞれ形成され、検出部(21)のネジ溝に開口(23a)のネジ溝とナット(27)とが嵌め合わされることで、開口(23a)に検出部(21)が取り付けられる。開口(23b)には、ピン支持部(14)が取り付けられる。開口(23b)の内周面とピン支持部(14)の外周面(14a)とにはネジ溝が形成され、ピン支持部(14)のネジ溝に開口(23b)のネジ溝が嵌め合わされることで、開口(23b)にピン支持部(14)が取り付けられる。
【0046】
支持部(23)内には、開口(23b)を通じてインジケータピン(13)が配置される。支持部(23)は、例えば、樹脂により形成され、透過性を有する。支持部(23)は、支持部(23)の外部から支持部(23)内のインジケータピン(13)を人が視認可能な程度の透過性を有する(
図4参照)。
【0047】
図1に示すように、制御装置(24)は、例えば、PC(Personal Computer)を含む。制御装置(24)は、通信部(24a)と、表示部(24b)と、記憶部(24c)と、制御部(24d)とを含む。通信部(24a)は、送信部(22)と無線通信するための無線通信モジュ-ルを含む。表示部(24b)は、例えば、液晶パネルのような表示パネル等を含み、検出部(21)の検出結果を示す情報を表示する。表示部(24b)は、例えば、文字、ランプ等を用いて検出部(21)の検出結果を示す情報を表示してもよい。記憶部(24c)は、ROM、RAM、及びHDDのような記憶装置を含む。記憶部(24c)は、制御部(24d)によって実行される種々のコンピュータープログラム等を記憶する。制御部(24d)は、CPU及びMPUのようなプロセッサーを含む。制御部(24d)は、記憶部(24c)に記憶されたコンピュータープログラムを実行することにより、制御装置(24)の各要素を制御する。
【0048】
-検出装置の動作-
図2に示すように、近接センサである検出部(21)は、検出部(21)に対して所定の範囲内(P)に位置する物を検出する。
図2~
図5に示すように、ピストン(12)が動作することで、インジケータピン(13)が支持部(23)内で検出部(21)に対して近接離間する方向(軸方向(M))に往復動する。インジケータピン(13)が所定の範囲内(P)に進入するとインジケータピン(13)を検出している状態となり(
図3及び
図4参照)、インジケータピン(13)が所定の範囲内(P)から離間するとインジケータピン(13)を非検出の状態となることで(
図2及び
図5参照)、検出部(21)がインジケータピン(13)の動作を検出する。
【0049】
図3及び
図4に示すように、インジケータピン(13)が検出部(21)に対して近接して所定の範囲内(P)に進入すると、検出部(21)がインジケータピン(13)を検出する。これにより、インジケータピン(13)の検出情報が、送信部(22)から制御装置(24)へ無線送信される。その結果、制御装置(24)の通信部(24a)がインジケータピン(13)の検出情報を無線受信し、表示部(24b)がインジケータピン(13)の検出情報を表示する。
【0050】
分配弁(10)が正常に作動している場合、インジケータピン(13)が
図2~
図5に示す動作を繰り返す。このとき、検出部(21)がインジケータピン(13)を定期的に検出し、送信部(22)がインジケータピン(13)の検出情報を一定間隔で無線送信する。以下では、一定間隔で検出されるインジケータピン(13)の検出情報を、インジケータピン(13)の動作情報と記載することがある。
【0051】
分配弁(10)が正常に作動している場合、制御装置(24)の通信部(24a)は、送信部(22)からのインジケータピン(13)の動作情報を無線受信する。これにより、制御装置(24)の表示部(24b)は、インジケータピン(13)の動作情報を表示する。
【0052】
これに対し、分配弁(10)が正常に作動してない場合は、送信部(22)からはインジケータピン(13)の動作情報が送信されず、制御装置(24)の表示部(24b)には、インジケータピン(13)の動作情報が表示されない。
【0053】
作業者は、表示部(24b)を視認することで、分配弁(10)が正常に作動しているか否かを確認することができる。
【0054】
-効果-
以上のように、検出装置(20)は、ピストン(12)に連動するインジケータピン(13)の動作を検出する検出部(21)と、検出部(21)の検出結果を示す情報を無線送信する送信部(22)とを備える。これにより、送信部(22)と、送信部(22)から送信される情報を受信する制御装置(24)とを接続する配線が不要になるので、当該配線の接続作業、管理作業等の煩雑な作業が不要になる。その結果、検出装置(20)のメンテナンス性を向上させることができる。また、検出システム(1)が設置される施設内に複数の配線が存在する場合において、検出装置(20)のメンテナンス時に、複数の配線のうち、どの配線が送信部(22)と制御装置(24)とを接続する配線なのかを識別する作業のような煩雑な作業が不要となるので、検出装置(20)のメンテナンス性を向上させることができる。
【0055】
また、送信部(22)と制御装置(24)とを接続する配線が不要となることで当該配線の取り回し作業が不要となり、検出システム(1)を容易に設置できる。
【0056】
また、検出部(21)の筐体(21a)と送信部(22)の筐体(22a)とが別体であり、検出部(21)と送信部(22)とが有線接続される。これにより、検出部(21)と送信部(22)とを一つの筐体内にまとめた場合よりも、検出部(21)の筐体及び送信部(22)の筐体をコンパクト化できるので、検出部(21)及び送信部(22)の各々の設置場所の自由度を向上させることができる。また、送信部(22)の筐体の設置場所として、検出部(21)の筐体の設置場所とは異なる場所を選択でき、例えば障害物による通信妨害を受けにくいような、良好に無線通信を行える場所を選択することができる。
【0057】
また、制御装置(24)が検出部(21)からの信号を受信しない場合、作業者は、インジケータピン(13)の設置場所まで出向いて、インジケータピン(13)が正常に動作しているか否かを目視で確認が必要である。この場合、支持部(23)が透過性を有することで、作業者は、支持部(23)を分解することなく、支持部(23)の外部からインジケータピン(13)が動作しているか否かを目視により容易に確認できる(
図4参照)。
【0058】
また、検出部(21)は、近接センサを含む。これにより、ピストン(12)とインジケーターピンの位相差によってピストン(12)の上死点の位置に誤差が生じた場合でも、検出部(21)による誤検出が発生することを抑制できる。また、検出部(21)及び送信部(22)は、インジケータピン(13)を検出しているとき以外は待機状態であり、いつでもインジケータピン(13)の検出及び通信が可能でありながら、インジケータピン(13)が所定の範囲内(P)へ移動しない限りはインジケータピン(13)の検出及び通信を行わないので、検出部(21)及び送信部(22)を効率的に作動させることができる。その結果、検出部(21)及び送信部(22)の電池の持ちを良くすることができる。
【0059】
-検出装置の変形例-
図6に示すように、検出装置(20)の変形例は、検出部(21)と、送信部(22)と、支持部(23)と、制御装置(24)と、受信装置(26)とを備える。
【0060】
受信装置(26)は、例えば、タブレットPC、及びスマートフォンのような携帯可能な機器である。また、受信装置(26)は、インジケータピン(13)の動作情報等を確認するための専用の携帯機器であってもよい。
【0061】
受信装置(26)は、通信部(26a)を含む。通信部(26a)は、検出装置(20)の送信部(22)及び制御装置(24)の通信部(24a)と通信するための無線通信モジュ-ルを含む。受信装置(26)は、送信部(22)から無線送信される検出部(21)の検出結果を示す情報を受信(無線受信)する。通信部(26a)は、制御装置(24)と有線接続又は無線接続され、送信部(22)から送られる検出部(21)の検出結果を示す情報を制御装置(24)へ有線又は無線で送信する。制御装置(24)の通信部(24a)は、受信装置(26)を介して検出部(21)の検出結果を示す情報を受信する。受信装置(26)には、例えば、通信部(26a)等の受信装置(26)の構成要素に電力を供給するための電池式の電源部が設けられる。
【0062】
検出装置(20)の送信部(22)と制御装置(24)の送信部(22)との間に、例えば障害物等が存在することで通信不良がある場合、作業者は、受信装置(26)を携帯し、送信部(22)との通信状況が良好な場所まで移動する。その結果、受信装置(26)により検出部(21)の検出結果を示す情報を受信し、受信した当該情報を受信装置(26)から制御装置(24)へ送信するように構成して、通信不良を解消することが可能となる。
【0063】
受信装置(26)は、検出部(21)の検出結果を示す情報を表示する表示部(液晶パネル等)を含んでいてもよい。これにより、作業者は受信装置(26)の表示部を視認することで分配弁(10)が正常に作動しているか否かを確認することができる。
【0064】
-給油システム-
本発明の給油システムの実施形態である給油システム(2)について説明する。
【0065】
図1及び
図7に示すように、給油システム(2)は、検出システム(1)と、給油ポンプ(100)と、供給主管(L1,L2)と、供給枝管(L11,L12)と、給油管(L21)と、制御装置(300)とを備える。給油ポンプ(100)は、潤滑油を供給する。供給主管(L1,L2)は、給油ポンプ(100)に連通する。供給枝管(L11,L12)は、供給主管(L1,L2)と分配弁(10)とに連通する。供給枝管(L11)は、供給主管(L1)と分配弁(10)の貫通孔(17a)とに連通する。供給枝管(L12)は、供給主管(L2)と分配弁(10)の貫通孔(17b)とに連通する。給油管(L21)は、分配弁(10)の吐出通路(11e,11f)と、対象物の一例である軸受け(200)とに連通する。制御装置(300)は、給油ポンプ(100)の動作を制御するCPU及びMPUのようなプロセッサーと、当該プロセッサーにより実行されるプログラムを記憶するメモリを含む。制御装置(300)は、制御装置(24)(
図1参照)の機能を含んでいてもよい。
【0066】
給油ポンプ(100)により圧送される潤滑油は、供給主管(L1,L2)、供給枝管(L11,L12)、分配弁(10)、及び給油管(L21)を通じて軸受け(200)に供給される。このとき、分配弁(10)が
図2~
図5に示す動作を繰り返すことで、潤滑油が軸受け(200)に定量的に供給される。このときのインジケータピン(13)の動作情報は、送信部(22)から無線送信される。送信部(22)からインジケータピン(13)の動作情報は、通信部(24a)(受信装置(26)が用いられる場合は受信装置(26)の通信部(26a))により無線受信される。作業者は、表示部(24b)(受信装置(26)を携帯している場合は受信装置(26)の表示部(26b))を視認することで、分配弁(10)が正常に作動しているか否かを確認することができる。
【0067】
-検出部の変形例-
本実施形態の検出部(21)は、近接センサである。しかし、本発明はこれに限定されない。検出部(21)は、インジケータピン(13)の往復動を検出できるセンサであればよく、例えば、リミットスイッチであってもよい。この場合、検出部(21)による検出領域(所定の範囲内(P))は、リミットスイッチとインジケータピン(13)との接点となる。
【0068】
以上、実施形態および変形例を説明したが、特許請求の範囲の趣旨および範囲から逸脱することなく、形態や詳細の多様な変更が可能なことが理解されるであろう。また、以上の実施形態、変形例、その他の実施形態は、本開示の対象の機能を損なわない限り、適宜組み合わせたり、置換したりしてもよい。
【0069】
以上に述べた「第1」、「第2」、「第3」…という記載は、これらの記載が付与された語句を区別するために用いられており、その語句の数や順序までも限定するものではない。
【産業上の利用可能性】
【0070】
以上に説明したように、本開示は、検出装置及び検出システムについて有用である。
【符号の説明】
【0071】
1 検出システム
2 給油システム
10 分配弁
11 ハウジング
12 ピストン
13 インジケータピン
14 ピン支持部
20 検出装置
21 検出部
22 送信部