IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社JVCケンウッドの特許一覧

特開2024-175779車載装置、画質調整方法、及びプログラム
<>
  • 特開-車載装置、画質調整方法、及びプログラム 図1
  • 特開-車載装置、画質調整方法、及びプログラム 図2
  • 特開-車載装置、画質調整方法、及びプログラム 図3
  • 特開-車載装置、画質調整方法、及びプログラム 図4
  • 特開-車載装置、画質調整方法、及びプログラム 図5
  • 特開-車載装置、画質調整方法、及びプログラム 図6
  • 特開-車載装置、画質調整方法、及びプログラム 図7
  • 特開-車載装置、画質調整方法、及びプログラム 図8
  • 特開-車載装置、画質調整方法、及びプログラム 図9
  • 特開-車載装置、画質調整方法、及びプログラム 図10
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024175779
(43)【公開日】2024-12-19
(54)【発明の名称】車載装置、画質調整方法、及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   G01C 21/36 20060101AFI20241212BHJP
   G08G 1/16 20060101ALI20241212BHJP
【FI】
G01C21/36
G08G1/16 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023093777
(22)【出願日】2023-06-07
(71)【出願人】
【識別番号】308036402
【氏名又は名称】株式会社JVCケンウッド
(74)【代理人】
【識別番号】100103894
【弁理士】
【氏名又は名称】家入 健
(72)【発明者】
【氏名】赤井 愛智
【テーマコード(参考)】
2F129
5H181
【Fターム(参考)】
2F129AA03
2F129CC14
2F129CC16
2F129CC18
2F129CC31
2F129CC33
2F129DD13
2F129DD15
2F129DD24
2F129DD27
2F129DD29
2F129EE69
2F129EE78
2F129EE94
2F129EE96
2F129FF11
2F129FF12
2F129FF25
2F129FF43
2F129FF52
2F129FF59
2F129FF62
2F129FF63
2F129FF65
2F129FF66
2F129GG17
2F129HH18
2F129HH19
5H181AA01
5H181BB13
5H181BB15
5H181CC04
5H181EE13
5H181FF10
5H181FF12
5H181FF14
5H181FF22
5H181FF27
(57)【要約】
【課題】画質の調整が遅れるおそれを抑制できる車載装置、画質調整方法、及びプログラムを提供する。
【解決手段】車載装置10は、車両の周辺を撮像して、画像データを生成する撮像部1と、車両をナビゲートするナビゲーション装置20から車両の周辺の情報を取得する情報取得部2と、車両の周辺の情報に基づいて、車両が走行する予定地点における明るさを予測する予測部3と、予測された明るさに基づいて、画像データの示す画像の画質を調整する画質調整部4と、を備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の周辺を撮像して、画像データを生成する撮像部と、
前記車両をナビゲートするナビゲーション装置から前記車両の周辺の情報を取得する情報取得部と、
前記車両の周辺の情報に基づいて、前記車両が走行する予定地点における明るさを予測する予測部と、
前記予測された明るさに基づいて、前記画像データの示す画像の画質を調整する画質調整部と、を備える、
車載装置。
【請求項2】
前記画質調整部は、前記車両が前記予定地点に到達する前の時点において、前記画像データの示す画像の画質の調整を開始する、
請求項1に記載の車載装置。
【請求項3】
前記画像データの示す画像が、前記車両の周辺において移動する移動体を示す場合、
前記画質調整部は、前記予測された明るさに基づいて、前記移動体の所定部位が認識できるように、前記撮像部が撮像した画像の画質を調整する、
請求項1又は2に記載の車載装置。
【請求項4】
車載装置による画質を調整する画質調整方法において
車両の周辺を撮像して、画像データを生成するステップと、
前記車両をナビゲートするナビゲーション装置から前記車両の周辺の情報を取得するステップと、
前記車両の周辺の情報に基づいて、前記車両が走行する予定地点における明るさを予測するステップと、
前記予測された明るさに基づいて、前記画像データの示す画像の画質を調整するステップと、を備える、
画質調整方法。
【請求項5】
車載装置として動作するコンピュータに、
車両の周辺を撮像して、画像データを生成するステップと、
前記車両をナビゲートするナビゲーション装置から前記車両の周辺の情報を取得するステップと、
前記車両の周辺の情報に基づいて、前記車両が走行する予定地点における明るさを予測するステップと、
前記予測された明るさに基づいて、前記画像データの示す画像の画質を調整するステップと、を実行させる、
プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、車載装置、画質調整方法、及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に開示の周囲環境認識装置は、車両前方に設置したカメラの映像の輝度情報を用いて、車両後方のカメラの視野の輝度がどのように変化するかを予測して、車両後方のカメラのゲイン調整や露光時間の調整を行う。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008-021196号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本願発明者等は以下の技術的な課題を見出した。
このような周囲環境認識装置では、車両の周辺の明るさが急激に変化すると、画質の調整が遅れるおそれがある。
【0005】
本開示は、上述した課題を鑑みてなされたものであり、画質の調整が遅れるおそれを抑制できる車載装置、画質調整方法、及びプログラムを提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示に係る車載装置は、
車両の周辺を撮像して、画像データを生成する撮像部と、
前記車両をナビゲートするナビゲーション装置から前記車両の周辺の情報を取得する情報取得部と、
前記車両の周辺の情報に基づいて、前記車両が走行する予定地点における明るさを予測する予測部と、
前記予測された明るさに基づいて、前記画像データの示す画像の画質を調整する画質調整部と、を備える。
【0007】
本開示に係る画質調整方法は、車載装置による画質を調整する画質調整方法において
車両の周辺を撮像して、画像データを生成するステップと、
前記車両をナビゲートするナビゲーション装置から前記車両の周辺の情報を取得するステップと、
前記車両の周辺の情報に基づいて、前記車両が走行する予定地点における明るさを予測するステップと、
前記予測された明るさに基づいて、前記画像データの示す画像の画質を調整するステップと、を備える。
【0008】
本開示に係るプログラムは、車載装置として動作するコンピュータに、
車両の周辺を撮像して、画像データを生成するステップと、
前記車両をナビゲートするナビゲーション装置から前記車両の周辺の情報を取得するステップと、
前記車両の周辺の情報に基づいて、前記車両が走行する予定地点における明るさを予測するステップと、
前記予測された明るさに基づいて、前記画像データの示す画像の画質を調整するステップと、を実行させる。
【発明の効果】
【0009】
本開示によれば、画質の調整が遅れるおそれを抑制できる車載装置、画質調整方法、プログラムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】実施の形態1にかかる車載装置の一構成例を示すブロック図である。
図2】実施の形態1にかかる車載装置による処理の一例を示すフローチャートである。
図3】画質調整方法の一例を示す概略図である。
図4】画質調整方法の一例を適用した画像の一例を示す概略図である。
図5】画質調整方法の一例を適用した画像の一例を示す概略図である。
図6】画質調整方法の一例を適用した画像の一例を示す概略図である。
図7】画質調整方法の一例を適用した画像の一例を示す概略図である。
図8】画質調整方法の一例を適用した画像の一例を示す概略図である。
図9】画質調整方法の一例を適用した画像の一例を示す概略図である。
図10】車載装置に含まれるハードウェア構成例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
(実施の形態1)
<構成>
図1を参照して実施の形態1にかかる車載装置の一構成例について説明する。
【0012】
図1に示すように、車載装置10は、ナビゲーション装置20と連動する。ナビゲーション装置20は、車両30をナビゲートする。車載装置10、及びナビゲーション装置20は、車両30に搭載されている。車載装置10とナビゲーション装置20とは、有線回線又は無線回線を介して、相互に接続及び通信を行う。車載装置10とナビゲーション装置20とは、各種データを相互に授受するとよい。ナビゲーション装置20は、ネットワークを介して、図示しないサーバから、各種データを取得するとよい。ナビゲーション装置20は、車載専用のカーナビゲーションであってもよいし、ナビゲーションアプリケーションを実行可能なスマートフォン又はタブレット等の通信機器であってもよい。通信機器を用いてナビゲーションアプリケーションを実行する場合、通信機器は、車両30に搭載されていなくてもよい。通信機器は、車両30の外で用いてもよい。
【0013】
車載装置10は、撮像部1と、情報取得部2と、予測部3と、画質調整部4とを備える。
【0014】
撮像部1は、車両30の周辺を撮像して、画像データを生成する。車両30の周辺は、例えば、車両30の前方領域、後方領域、側方領域等である。撮像部1が撮像する被写体は、特に限定されないが、ナビゲーション装置20の地図情報に記載されてないものや移動体を含む。地図情報に記載されてないものとは、例えば、建造物、自然物、移動体等である。建造物は、例えば、トンネル、建物等である。自然物は、例えば、山、川、海等である。撮像部1は、例えば、車載カメラである。撮像部1は、車両30の周辺を撮像可能な場所に設けられているとよく、例えば、車両30のフロントウィンドウのバックミラーやバックウィンドウ近傍に取り付けられるとよい。
【0015】
情報取得部2は、ナビゲーション装置20から車両30の周辺の情報を取得する。車両30の周辺の情報は、例えば、車両30が走行する予定地点、車両30の走行方向、車両30の周辺の渋滞情報、現在時刻、天気、自車状況、車両30のルート、当該ルート上の道路情報、地図情報等を含む。当該道路情報は、例えば、当該ルートの左右に配置された建物等を含む。なお、車両30が走行する予定地点は、車両30のルート上の現在位置より先の地点であり、例えば、撮像部1が撮像した画像での認識が難しい車両30の前方5mから50m程度離れた地点である。
【0016】
予測部3は、車両30の周辺の情報に基づいて、車両30が走行する予定地点における明るさを予測する。予測部3は、車両30が走行する予定地点、車両30の走行方向、車両30の周辺の渋滞情報に基づいて、車両30が走行する予定地点における明るさを予測する。予測部3は、撮像部1が生成する画像データに係る画像全体の明るさを予測してもよい。また、予測部3は、当該画像全体を分割した複数の領域毎の明るさを予測してもよい。
【0017】
なお、画質調整部4は、予測部3が予測した明るさに基づいて、画像データの示す画像の画質を調整する。画質調整部4は、車両30が予定地点に到達する前の時点において、画像データの示す画像の画質の調整を開始するとよい。なお、車両30が予定地点に到達する前の時点は、車両30の現在位置と予定地点との間の距離と、車両30の速度とに基づいて、任意に設定してもよい。画像データの示す画像が、車両30の周辺において移動する移動体を示す場合、画質調整部4は、予測部3が予測した明るさに基づいて、車両30の周辺において移動する移動体の所定部位が認識できるように、撮像部1が撮像した画像の画質を調整してもよい。当該移動体は、例えば、車両30とは別の車両や自転車等である。当該移動体の所定部位は、例えば、ナンバーである。画質調整部4は、具体的には、ホワイトバランス調整、露出制御、より具体的には絞り制御を行って、画質を調整するとよい。
【0018】
車載装置10は、記録部をさらに備えてもよい。当該記録部は、画像データと、当該画像データが撮像された時点とを関連付けて記録する。この記録された画像データは、撮像部1が生成した画像データ、及び、画質調整部4がその画質を調整した画像を示す画像データの少なくとも1つである。
【0019】
<処理>
次に、図2を参照して、車載装置10による処理の一例について説明する。
【0020】
車両30の周辺を撮像して、画像データを生成する(ステップST1)。
【0021】
続いて、ナビゲーション装置20から車両30の周辺の情報を取得する(ステップST2)。
【0022】
続いて、車両30の周辺の情報に基づいて、車両30の走行する予定地点における明るさを予測する(ステップST3)。
【0023】
最後に、ステップST3で予測された明るさに基づいて、画像データの示す画像の画質を調整する(ステップST4)。具体的には、当該画像は、明るい領域、及び、暗い領域の少なくとも一方を含む。当該明るい領域は、当該明るい領域の周辺と比較して明るい。当該暗い領域は、当該暗い領域の周辺と比較して暗い。当該明るい領域において白飛びが発生しないように、当該明るい領域を暗くする。当該暗い領域が認識されるように、当該暗い領域を明るくする。
【0024】
例えば、図3に示す画像IM1の一例では、総合領域T1について画質を調整する。なお、図3に示す画像IM1の一例は、道路IM1a、空IM1b、草原IM1c等を示すが、画像IM1が示す被写体はこれに限定されない。図3に示す画像IM1における各領域は、各ハッチングで示した。当該各領域の輝度が低いほど、当該各領域に対応する各ハッチングの線密度が高い。画像IM1の一例における総合領域T1を複数の分割領域M1に分割する。総合領域T1は、複数の分割領域M1にメッシュ状に分割されるとよい。分割領域M1の数は、特に限定されず、幅広い範囲から選択できる。ステップST3で予測された明るさに応じて、複数の分割領域M1毎に重み付けを行う。これによって、重み付け総合領域WT1を生成する。図3に示すように、重み付け総合領域WT1は、各分割領域WM1の重み付けの大きさを示す。図3に示す重み付け総合領域WT1の一例では、重み付け総合領域WT1の中央近傍における分割領域WM1の重み付けは、重み付け総合領域WT1の外縁における分割領域WM1の重み付けと比較して大きい。また、この一例では、分割領域WM1の重み付けは、重み付け総合領域WT1の中央から外縁にかけて段階的に低下する。具体的には、分割領域WM1a、分割領域WM1b、分割領域WM1c、分割領域WM1d、分割領域WM1eは、この順に重み付け総合領域WT1の中央から外縁へ配置されている。分割領域WM1a、分割領域WM1b、分割領域WM1c、分割領域WM1d、分割領域WM1eの重み付けは、この順に大きい。各分割領域WM1の重み付けの大きさに応じて、分割領域M1の輝度を変更する。例えば、分割領域WM1が重く重み付けされた場合、分割領域M1の輝度を低減させる。言い換えると、分割領域M1が明るい場合、白飛びが発生しないように分割領域M1の輝度を変更する。また、分割領域WM1が軽く重み付けされた場合、分割領域M1の輝度を増大させる。言い換えると、分割領域M1が暗い場合、分割領域M1が認識されるように分割領域M1の輝度を変更する。
【0025】
以上より、予定地点における明るさを予測して、その明るさに基づいて、画像データの示す画像の画質を調整する。従って、その予定地点に到達する前に、その予定地点における明るさを取得し、その取得した予定地点における明るさに基づいた画質の調整を開始することができる。つまり、予定地点における明るさを先読みして、画質を調整できる。よって、画質の調整が遅れるおそれを抑制できる。
【0026】
(処理の各具体例)
次に、図4から図9を参照して、車載装置10による処理のステップST2からステップST4の各具体例について説明する。詳細には、ステップST2において取得した車両30の周辺の情報に応じた各具体例を説明する。なお、図4図9に示す画像IM2~画像IM6の一例は、道路等を示すが、画像IM2~画像IM6が示す被写体はこれに限定されない。図4図9に示す画像IM2~画像IM6における各領域は、各ハッチングを用いて示した。当該各領域の輝度が低いほど、当該各領域に対応する各ハッチングの線密度が高い。また、当該各領域の輝度が最も高い領域は、ハッチングされていない。
【0027】
<現在時刻>
ステップST2において取得した車両30の周辺の情報は現在時刻を含む場合がある。
【0028】
このような場合、現在時刻が昼であるとき、ステップST3では、車両30の走行する予定地点における明るさは全体的に明るいと予測する。ステップST4では、画像全体が暗くなるように、画質を調整する。
【0029】
一方、現在時刻が夜であるとき、ステップST3では、車両30の走行する予定地点における明るさは全体的に暗いと予測する。ステップST4では、画像全体が明るくなるように、画質を調整する。
【0030】
<現在時刻及び天気>
ステップST2において取得した車両30の周辺の情報は、現在時刻、及び天気を含み、現在時刻が昼である場合がある。
【0031】
このような場合、天気は晴れであるとき、ステップST3では、車両30の走行する予定地点における明るさは、画像の上半分の領域、つまり、中央から上端までの領域が特に明るいと予測する。ステップST4では、画像の上半分が特に暗くなるように、画質を調整する。
【0032】
一方、天気が曇りであるとき、ステップST3では、車両30の走行する予定地点における明るさは、画像の上半分が明るいと予測する。ステップST4では、画像の上半分が暗くなるように、画質を調整する。
【0033】
また、天気が雨であるとき、ステップST3では、車両30の走行する予定地点における明るさは、画像の上半分がやや暗いと予測する。ステップST4では、画像の上半分がやや明るくなるように、画質を調整する。
【0034】
ステップST2において取得した車両30の周辺の情報は、現在時刻、及び天気であり、現在時刻が夜である場合がある。このような場合、天気が雨であるとき、ステップST3では、車両30の走行する予定地点における明るさは、雨による影響を受けると予測する。雨による影響は、例えば、雨の濡らした路面等からの光の反射である。ステップST4では、雨による影響を考慮して、画質を調整する。
【0035】
<自車状況>
ステップST2において取得した車両30の周辺の情報は、自車状況を含む場合がある。
【0036】
このような場合、自車状況が自宅に駐車中であるとき、ステップST3では、車両30の走行する予定地点における明るさは、現在時刻、天気以外の変化が少ないと予測する。ステップST4では、現在時刻、及び天気を考慮して、画質を調整する。
【0037】
一方、自車状況が走行中であるとき、ステップST3では、車両30の走行する予定地点における明るさは、車速に応じて変動すると予測する。例えば、車速が高い場合、車両30の前照灯が点灯するため、車両30の走行する予定地点は明るいと予測される。車速が略0(ゼロ)である場合、車両30の前照灯が消灯するため、車両30の走行する予定地点は明るいと予測される。ステップST4では、車速に応じて画質を調整する。
【0038】
<走行位置>
ステップST2において取得した車両30の周辺の情報は、走行位置を含む場合がある。
【0039】
このような場合、走行位置が交差点の無い位置、例えば、一本道であるときがある。このようなとき、ステップST3では、車両30の走行する予定地点における明るさは、車両30の左右に設けられた建物や、車両30の近くの歩道を移動する歩行者、及び自転車に影響されると予測する。ステップST4では、このような建物、歩行車、及び自転車による影響を考慮して、画質を調整する。
【0040】
また、このような場合、走行位置が交差点であるとき、ステップST3では、車両30の走行する予定地点における明るさは、車両30の左右において移動する車両に影響されると予測する。ステップST4では、このような車両による影響を考慮して、画質を調整する。
【0041】
また、このような場合、走行位置が高速道路であるとき、ステップST3では、車両30の走行する予定地点における明るさは、一方通行に影響されると予測する。ステップST4では、一方通行による影響を考慮して、画質を調整する。
【0042】
また、走行位置がトンネルの入口近傍であるとき、ステップST3では、車両30の走行する予定地点における明るさは、画像の中央部のみが暗いと予測する。ステップST4では、一方通行による影響を考慮して、画質を調整する。例えば、図4に示す画像IM2では、総合領域T2の中央部C2はトンネル入口を示し、当該トンネル入口は暗い。中央部C2が明るくなるように、画像IM2の画質を調整する。なお、図4に示す画像IM2の一例は、道路IM2a、空IM2b、壁IM2c等を示す。
【0043】
また、走行位置がトンネル内であるとき、ステップST3では、車両30の走行する予定地点における明るさは、画像全体においてやや暗いと予測する。ステップST4では、画像全体がやや明るくなるように、画質を調整する。
【0044】
また、走行位置がトンネル内における出口側であるとき、ステップST3では、車両30の走行する予定地点における明るさは、画像の中央部のみにおいて明るい部分があると予測する。走行位置がトンネル内から出口に接近するにつれて、明るい部分が大きくなる。ステップST4では、画像の中央部が暗くなるよう、画質を調整する。例えば、図5に示す画像IM3では、総合領域T3の中央部C3は、トンネル出口を示し、当該トンネル出口は明るい。中央部C3が暗くなるように、画像IM3の画質を調整する。なお、図5に示す画像IM3は、道路IM3a、トンネルの壁IM3c等を示す。
【0045】
<走行位置、及び現在時刻>
ステップST2において取得した車両30の周辺の情報は、走行位置、及び現在時刻を含む場合がある。
【0046】
このような場合、走行位置が繁華街であり、現在時刻が夜であるとき、ステップST3では、車両30の走行する予定地点における明るさは、車両30の左右に設けられた建物やその看板の光に影響されると予測する。ステップST4では、このような建物やその看板の光による影響を考慮して、画質を調整する。
【0047】
また、このような場合、走行位置が田舎道であり、現在時刻が夜であるとき、ステップST3では、車両30の走行する予定地点における明るさは、車両30と、車両30の左右において移動する車両と、自転車とによる光のみに影響されると予測する。ステップST4では、このような光による影響を考慮して、画質を調整する。
【0048】
<走行方向>
ステップST2において取得した車両30の周辺の情報は、走行方向を含む場合がある。
【0049】
このような場合、走行方向が、交差点において車両30の曲がる方向を示すとき、ステップST3では、車両30の走行する予定地点における明るさは、交差点において曲がった先の地点における道路情報や曲がった方向に影響されると予測する。ステップST4では、このような道路情報や曲がった方向による影響を考慮して、画質を調整する。具体的には、曲がった方向が右方向であれば、画像の左半分が優先するよう、画質を調整する。同様に、曲がった方向が左方向であれば、画像の右半分が優先するよう、画質を調整する。画像の左半分は画像の中央から左端までの領域であり、画像の右半分は画像の中央から右端までの領域である。ステップST3は、車両30が交差点に到達する前に実施するとよい。また、ステップST4は、車両30の方向が交差点において変化した時点から、開始するとよい。また、ステップST4は、その時点までに取得した交差点において曲がった先の地点における道路情報や曲がった方向を考慮して、行うとよい。
【0050】
また、このような場合、走行方向は、撮像部1が逆光状態において撮像する方向であるとき、ステップST3では、車両30の走行する予定地点における明るさは、画像の太陽部分の周辺が暗いと予測する。撮像部1の撮像した車両30の周辺が撮像部1と太陽との間に位置する場合、撮像部1が逆光状態において撮像する傾向にある。ステップST4では、画像の太陽部分の周辺が明るくなるように、画質を調整する。
【0051】
例えば、図6に示す画像IM4では、総合領域T4の部分P4は、太陽を示し、部分P4の周辺と比較して明るい。部分P4の周辺が明るくなるように、画像IM4の画質を調整する。なお、図6に示す画像IM4の一例は、道路IM4a、空IM4b、建物IM4c等を示す。
【0052】
また、図7に示す画像IM5の部分P5は、太陽を示し、部分P5の周辺と比較して明るい。部分P5の周辺は暗過ぎて、認識され難い。部分P5の周辺が明るくなるように、画像IM5の画質を調整する。なお、図7に示す画像IM5の一例は、道路IM5a、空IM5b、壁IM5c等を示す。
【0053】
また、図8に示す画像IM6を、画像IM5の画質を調整した後の時点において撮像し、その画質を調整した。画像IM6の部分P6の周辺は明るく、認識され易い。なお、図8に示す画像IM6の一例は、道路IM6a、空IM6b、壁IM6c等を示す。
【0054】
また、このような場合、走行方向が、撮像部1が順光状態において撮像する方向であるとき、ステップST3では、車両30の走行する予定地点における明るさは、画像全体が明るいと予測する。撮像部1が、撮像部1の撮像した車両30の周辺と太陽との間に位置する場合、撮像部1が順光状態において撮像する傾向にある。ステップST4では、画像全体が暗くなるように、画質を調整する。
【0055】
以上、上記したステップST2において取得した車両30の周辺の情報は、走行方向を含む場合、予測部3は、車両30の走行方向に基づいて、車両30が走行する予定地点における明るさを予測する。これによって、例えば、車両30のルートや太陽の位置に応じて、車両30が走行する予定地点における明るさを予測できる。
【0056】
<渋滞情報>
ステップST2において取得した車両30の周辺の情報は、渋滞情報を含む場合がある。
【0057】
このような場合、渋滞情報が、車両30が渋滞に巻き込まれていることを示すとき、ステップST3では、別の車両が車両30の周辺に位置し続けるため、車両30の走行する予定地点における明るさは、変動が少ないと予測する。ステップST4では、車両30の周辺の車両のナンバーを優先して認識するように、画質を調整する。
【0058】
図9に示す画像IM7は、ステップST4において画質を調整した画像の一例である。画像IM7は、夜に撮像されている。画像IM7の部分P7は、車両30(図示略)の前方に位置する車両31のナンバーを示す。部分P7は、部分P7の周辺と比較して明るく、車両31のナンバーが認識され易い。なお、図9に示す画像IM7は、道路IM7a、空IM7b、建物IM7c等を示す。
【0059】
一方、ステップST2において取得した車両30の周辺の情報は渋滞情報を含む場合、当該渋滞情報は、車両30が渋滞を抜けることを示すときがある。このようなとき、ステップST3では、別の車両が車両30の周辺から離隔するため、車両30の走行する予定地点における明るさは、大きく変動し得ると予測する。ステップST4では、この明るさの変動を考慮して、画質を調整する。
【0060】
上記したステップST2において取得した車両30の周辺の情報は、渋滞情報を含む場合、画像データの示す画像が、車両30の周辺において移動する移動体を示すときがある。このような場合、予測部3は、車両30の周辺の渋滞情報に基づいて、車両30の周辺において移動する別の車両からの影響等を考慮して、車両30が走行する予定地点における明るさを予測する。画質調整部4は、予測部3が予測した明るさに基づいて、車両30の周辺において移動する移動体の所定部位が認識できるように、撮像部1が撮像した画像の画質を調整する。これによって、車両30の周辺の車両、及び、その車両のナンバーを考慮して、画質を調整することができる。
【0061】
<渋滞情報、及び現在時刻>
ステップST2において取得した車両30の周辺の情報は、渋滞情報、及び現在時刻を含む場合がある。
【0062】
このような場合、渋滞情報は車両30が渋滞に巻き込まれていることを示し、現在時刻は夜であるときがある。このようなとき、ステップST3では、別の車両がヘッドライト及びバックライトを点灯しつつ車両30の周辺に位置し続けるため、車両30の走行する予定地点における明るさは、ヘッドライト及びバックライトに影響されると予測する。ステップST4では、このようなヘッドライト及びバックライトによる影響を考慮して、画質を調整する。具体的には、このようなヘッドライト及びバックライトによって、画像の中心以外、言い換えると、画像の中央部分の周辺、及び画像の外縁が暗くなることがある。そのため、画像全体が明るくなるように、画質を調整する。
【0063】
以上より、上記した各具体例において、ステップST2からステップST4を実施し、画像の画質を調整した後、車両30が予定地点に到達する。車両30が予定地点に到達する前に、画像の画質を調整するため、予定地点を先読みして画質の調整を行うことができる。また、画質の調整によって、画像の明るい領域における白飛びの発生を抑制できる。また、画像の暗い領域を認識できるように、画質を調整できる。
【0064】
(他の実施の形態)
なお、上記実施の形態に係る車載装置は、次のようなハードウェア構成を備えることができる。図10は、車載装置に含まれるハードウェア構成例を示す図である。上述した様々な実施の形態において、車載装置における処理の手順を説明したように、本開示は画質調整方法としての形態も採り得る。
【0065】
図10に示す車載装置100は、インタフェース103とともに、プロセッサ101及びメモリ102を備える。上述した実施の形態で説明した車載装置10の各構成は、プロセッサ101がメモリ102に記憶されたプログラムを読み込んで実行することにより実現される。つまり、このプログラムは、プロセッサ101を車載装置10、又はその一部として機能させるための制御プログラムである。
【0066】
上述したプログラムは、コンピュータに読み込まれた場合に、実施形態で説明された1又はそれ以上の機能をコンピュータに行わせるための命令群(又はソフトウェアコード)を含む。プログラムは、非一時的なコンピュータ可読媒体又は実体のある記憶媒体に格納されてもよい。限定ではなく例として、コンピュータ可読媒体又は実体のある記憶媒体は、random-access memory(RAM)、read-only memory(ROM)、フラッシュメモリ、solid-state drive(SSD)又はその他のメモリ技術、CD-ROM、digital versatile disc(DVD)、Blu-ray(登録商標)ディスク又はその他の光ディスクストレージ、磁気カセット、磁気テープ、磁気ディスクストレージ又はその他の磁気ストレージデバイスを含む。プログラムは、一時的なコンピュータ可読媒体又は通信媒体上で送信されてもよい。限定ではなく例として、一時的なコンピュータ可読媒体又は通信媒体は、電気的、光学的、音響的、またはその他の形式の伝搬信号を含む。
【0067】
また、上述のプログラムは、車載装置10にこのような画質調整方法を実行させるためのプログラムであると言える。
【0068】
なお、本発明は上記実施の形態に限られたものではなく、趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更することが可能である。例えば、上記した車載装置10による処理のステップST2からステップST4の各具体例を組み合わせて、ステップST2からステップST4を実施してもよい。
【0069】
例えば、ステップST2において取得した車両30の周辺の情報は、走行位置、渋滞情報、現在時刻、及び天気を含む場合がある。このような場合、走行位置がトンネル内における出口側であり、渋滞情報は別の車両が車両30の前方に位置することを示し、現在時刻が昼であるときがある。このようなとき、ステップST3では、画像の中央部のみにおいて明るい部分があるものの、当該別の車両に影響されると予測する。ステップST4では、当該別の車両による影響に加えて、現在時刻、天気を考慮して、画質を調整する。
【0070】
また、例えば、ステップST2において取得した車両30の周辺の情報は、走行位置、渋滞情報、及び現在時刻を含む場合がある。
【0071】
このような場合、走行位置が繁華街であり、渋滞情報は別の車両が車両30の前後に位置しないことを示し、現在時刻が夜であるときがある。このようなとき、ステップST3において、車両30の走行する予定地点における明るさは、周囲の街灯、看板の光に影響されると予測される。ステップST4において、周囲の街灯、看板の光が映るように画質を調整する。
【0072】
また、このような場合、走行位置が、直線状に延びる田舎道であり、渋滞情報は別の車両が車両30の前後に位置することを示し、現在時刻が夜であるときがある。このようなとき、ステップST3において、車両30の走行する予定地点における明るさは、画像の中央部が明るく、画像の中央部の周囲が暗いと予測される。ステップST4において、画像の中央部が暗く、画像の中央部の周囲が明るくなるように、画質を調整する。言い換えると、なお、自転車の光や建物の光が発生することがあるが、無視してもよい。
【0073】
また、撮像部1は、車両30の車室内に設けられている場合がある。このような場合、撮像部1が生成した画像データに係る画像の中央部は当該車室内を示し、当該画像の中央部の周辺部は当該車室外を示すとよい。ステップST4では、車両30の周辺を示す当該周辺部のみの画質を調整するとよい。
【符号の説明】
【0074】
10、100 車載装置
1 撮像部
2 情報取得部
3 予測部
4 画質調整部
20 ナビゲーション装置
30、31、32 車両
101 プロセッサ
102 メモリ
103 インタフェース
ST1、ST2、ST3、ST4 ステップ
IM1、IM2、IM3、IM4、IM5、IM6、IM7 画像
IM1a、IM2a、IM3a、IM4a、IM5a、IM6a、IM7a 道路
IM1b、IM2b、IM4b、IM5b、IM6b、IM7b 空
IM1c 草原
IM2c、IM3c、IM5c、IM6c 壁
IM4c、IM7c 建物
M1 分割領域
T1、T2、T3、T4、T8 総合領域
WM1、WM1a、WM1b、WM1c、WM1d、WM1e 分割領域
WT1 重み付け総合領域
C2、C3、C8 中央部
P4、P5、P6、P7 部分
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10