IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ トヨタ自動車株式会社の特許一覧

<>
  • 特開-配送システム 図1
  • 特開-配送システム 図2
  • 特開-配送システム 図3
  • 特開-配送システム 図4
  • 特開-配送システム 図5
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024175780
(43)【公開日】2024-12-19
(54)【発明の名称】配送システム
(51)【国際特許分類】
   B65G 61/00 20060101AFI20241212BHJP
【FI】
B65G61/00 530
B65G61/00 550
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023093778
(22)【出願日】2023-06-07
(71)【出願人】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100103894
【弁理士】
【氏名又は名称】家入 健
(72)【発明者】
【氏名】小池 宇織
(72)【発明者】
【氏名】糸澤 祐太
(72)【発明者】
【氏名】泉 貴士
(72)【発明者】
【氏名】椿本 樹矢
(72)【発明者】
【氏名】駒嶺 聡史
(57)【要約】
【課題】プライバシー情報を保護することができる配送システムを提供すること。
【解決手段】本開示にかかる配送システム1は、プライバシー情報が付された荷物を配送する配送システムであって、荷物を配送する移動ロボットと、移動ロボットが配送した前記荷物を格納場所に移載する、又は格納場所にある荷物を前記移動ロボットに移載する移載機構と、格納場所の周辺に人がいるか否かを検知する検知部19と、を備え、格納場所の周辺にいる人から、プライバシー情報を保護した移載形態で、荷物を移載する。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
プライバシー情報が付された荷物を配送する配送システムであって、
前記荷物を配送する移動ロボットと、
前記移動ロボットが配送した前記荷物を格納場所に移載する、又は前記格納場所にある荷物を前記移動ロボットに移載する移載機構と、
前記格納場所の周辺に人がいるか否かを検知する検知部と、を備え、
前記前記格納場所に周辺にいる人から、前記プライバシー情報を保護した移載形態で、前記荷物を移載する配送システム。
【請求項2】
前記プライバシー情報が前記人と反対側に配置されるように、前記荷物の向きを変える駆動機構をさらに備え、
前記移載機構が、前記プライバシー情報が前記人と反対側になっている状態で、前記荷物を移載する請求項1に記載の配送システム。
【請求項3】
前記プライバシー情報が前記人と反対側に配置される向きで、前記移動ロボットが前記格納場所の移載位置まで移動し、
前記移載機構が、前記プライバシー情報が前記人と反対側になっている状態で、前記荷物を移載する請求項1に記載の配送システム。
【請求項4】
前記格納場所に設けられた左右の開閉ドアを備え、
前記左右の開閉ドアのうち、前記人がいる方向に向けて開く開閉ドアを開けた状態で、前記移載機構が荷物を移載する請求項1に記載の配送システム。
【請求項5】
前記周辺にいる人が前記荷物と関連する人である場合、前記プライバシー情報を保護した移載形態以外の移載形態で前記荷物を移載する請求項1~4のいずれか1項に記載の配送システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、配送システムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、荷物を搬送する搬送ロボットが開示されている。この搬送ロボットは、枠体に載せられた荷物を枠体にロック(固定)する機構を備えている。このロック機構によって、走行中に落下せず、また受取人でない第三者に抜き取られないようにすることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2021-71884号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
搬送ロボットが、荷物を格納場所に移載する場合、受取人のプライバシーに関する情報が周囲の人に見られてしまう可能性がある。例えば、受取人の住所、氏名などの個人情報が付されたラベルが荷物に貼り付けられていることがある。あるいは、荷物の内容が分かるロゴなどが、荷物に付されていることがある。荷物の移載中に、受取人の個人情報や荷物の内容などのプライバシー情報が、周辺の人に見られてしまうおそれがある。さらに、商品やブランドのロゴから、荷物が高価な物であることが推定されると、荷物が盗難されるおそれもある。
【0005】
本発明は、以上の背景に鑑みなされたものであり、プライバシー情報を保護することができる配送システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示に係る配送システムは、プライバシー情報が付された荷物を配送する配送システムであって、前記荷物を配送する移動ロボットと、前記移動ロボットが配送した前記荷物を格納場所に移載する、又は前記格納場所にある荷物を前記移動ロボットに移載する移載機構と、前記格納場所の周辺に人がいるか否かを検知する検知部と、前記前記格納場所に周辺にいる人から、前記プライバシー情報を保護した移載形態で、前記荷物を移載する。
【発明の効果】
【0007】
本開示によれば、プライバシー情報を保護することができる配送システムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】配送システムを説明する概略斜視図である。
図2】配送システムの構成を説明する機能ブロック図である。
図3】載置台の回転によって、プライバシー情報を保護した移載形態を説明するための上面図である。
図4】配送ロボットの向きによって、プライバシー情報を保護した移載形態を説明するための上面図である。
図5】扉の開閉方向によって、プライバシー情報を保護した移載形態を説明するための斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図1を参照して、配送システムとその方法について説明する。図1は、配送システム1の概要を説明する概略斜視図である。配送システム1は、物流におけるラストワンマイル、すなわち、最終拠点からエンドユーザ(単にユーザともいう)への物流サービスに用いられる。例えば、配送システム1は、各ユーザの部屋や通路を有する施設で利用される。具体的には、配送システム1は、マンションなどの集合住宅、又はホテルなどの宿泊施設で利用される。
【0010】
配送システム1は、配送ロボット10と収納棚30を備える。配送ロボット10は、施設の通路Aを走行する。収納棚30は、例えば、ユーザUが住む集合住宅の各部屋に設置される。収納棚30は、集合住宅の各住居に設置されている。収納棚30は、物品20を格納する格納場所となる。例えば、収納棚30はスマートポストや宅配ロッカーである。配送ロボット10がユーザに物品を手渡しする必要はなく、配送を完了することができる。例えば、ユーザがインターネット通販などで物品20を購入した場合、配送ロボット10が受取人であるユーザ(購入者)に物品20を配送する。
【0011】
配送ロボット10は、複数の収納棚30の前に順次移動し停車して、物品20を収納棚30に収納する。これは、配達とも呼ばれ得る。また、配送ロボット10は、複数の収納棚30の前に順次移動し停車し、収納棚30から物品20を取り出し、取り出した物品20を搬送する。これは、集荷とも呼ばれ得る。配送ロボット10(又は収納棚30)は、収納棚30との間で物品を受け渡しための機構を備える。また、配送ロボット10は、各種センサを備え、収納棚30、通路の障害物を検知し、自律的に移動可能である。既知の物体認識技術を利用することができる。
【0012】
収納棚30は、物品20を収容可能な多段の棚(不図示)を含み得る。収納棚30は、例えば、建物や集合住宅の各部屋の通路側に設置されている。あるいは、収納棚は集合住宅の玄関周辺に配置されていてもよい。配送ロボット10は、通路側から収納棚30内にアクセスして、物品20を出し入れする。住民(ユーザ)が部屋の中から収納棚30内にアクセスし、物品20を出し入れする。
【0013】
例えば、収納棚30は、扉31を備えている。扉31は、通路側に設けられている。配送ロボット10は、扉31を開けて、通路側から物品20を収納棚30に出し入れする。扉31は、例えば、横開きシャッター、縦開きシャッター、片開き戸、又は両開き戸などであり得る。ここでは、扉31が左右のいずれの方向からも開閉可能であるとして説明する。また、収納棚30は、部屋側に扉が追加されていても良い。この場合、ユーザが部屋内から扉を開けて、物品20を取り出すことができる。
【0014】
扉31は施錠可能になっていてもよい。例えば、ユーザUや配送ロボット10が、扉31の施錠/解錠するようにしてもよい。これにより、物品20の盗難などを防ぐことができる。配送ロボット10は、扉31の開閉を制御してもよい。例えば、配送ロボット10が収納棚30に近傍に移動すると、配送ロボット10が該収納棚30の扉31を開けるための指令を収納棚30に送信する。配送ロボット10と収納棚30とは無線通信可能になっている。
【0015】
図1に示すように、配送ロボット10は、複数の車輪13を備えたベース部11(これらは、合わせて台車部130とも称され得る)と、ベース部11上に設けられ、多数の物品20を収納可能な収納部12と、ベース部11上に設けられ、物品20を載せた載置台15と、を備える。ベース部11は、略矩形の細長い板状部材であり得る。また、配送ロボット10の任意の場所(本例ではベース部11)には、配送ロボット10の全方位方向の物体等を検知又は撮影し、道路上の障害物の位置や収納棚の位置等を検知する1つ以上のセンサ18が設けられている。センサ18は、例えば、カメラやLiDAR(Light Detection And Ranging)であり得る。さらに、センサ18は、配送ロボット10や収納棚30の周辺に人がいることを検知するために設けられる。
【0016】
また、配送ロボット10は、配送ロボット10以外に設置されたセンサ218(図2参照)からのデータを利用してもよい。センサ218は、施設に設置された監視カメラなどである。あるいは、施設において、2台以上のロボットが利用されている場合、センサ218は、他のロボットに設置されていてもよい。配送ロボット10は、無線ネットワークを介して、センサ218からのデータを受信する。
【0017】
載置台15は、収納部12から取り出された1つの物品20を載せて、当該物品20を、収納棚30の目的の一の棚に格納するための機構を備えている。また、載置台15は、鉛直方向に沿って昇降可能で、水平方向軸に伸縮可能な伸縮アーム(図示せず)を備えている。伸縮アームは、前後左右に移動可能に構成される。いくつかの実施形態では、載置台15は、鉛直軸周りに回転可能に構成され得る。また、載置台15は、物品20を載せて全方位(360°)に移動可能に構成され得る。ただし、図1に示すように、ベース部11の片側には、収納部12が配置されているため、載置台15は、収納部12のある方向(本明細書では背面側とも呼ばれる)には移動できない。
【0018】
なお、配送システム1には、配送ロボット10の走行を制御する管理サーバ(不図示)が備えられていてもよい。この場合、管理サーバは、配送ロボット10とネットワークを介して接続された制御部100(図2参照)を備える。他の実施形態では、管理サーバの制御部と、配送ロボットの制御部が機能を分散して本開示を実現することができる。
【0019】
物品20には、ラベル21が貼り付けられている。ここでは、ラベル21は、物品20の側面に付されている。例えば、ラベル21は、配達物を収容する段ボール箱などの貼り付けられた宛名シールである。ラベル21は宛先や受取人名等のプライバシー情報を含んでいる。従って、ラベル21に記されているプライバシー情報が周辺にいる人Pから視認可能になっている。また、プライバシー情報は受取人の個人情報に限らず、物品の内容が分かる情報であってもよい。例えば、プライバシー情報は、商品ロゴやブランドなどであってもよい。また、プライバシー情報は、段ボールなどの外箱に直接印刷されていてもよい。
【0020】
図2は、配送システム1の機能を説明するブロック図である。配送システム1は、制御部100を備えている。制御部100は、配送ロボット10又は管理サーバなどに設けられうる。制御部100は、有線又は無線ネットワークで接続されたセンサ18、218からのセンサ信号を受け付けて、台車部130、昇降部151、および伸縮アーム152など配送ロボットを含む配送システムの通常動作を制御する。いくつかの実施形態では、制御部100は、収納棚前面の扉やその内部のマニピュレータの動作を制御することができる。
【0021】
台車部130は、ベース部11と、ベース部11に回転可能に設けられた駆動車輪13(図1参照)と、各駆動車輪13を回転駆動するモータ1301とを有している。各モータ1301は、減速機などを介して、各駆動車輪13を回転させる。各モータ1301は、制御部100からの制御信号に応じて、各駆動車輪13を回転させる。各モータ1301は、制御部100からの制御信号に応じて、各駆動車輪13を回転及び停止させることで、ベース部11を任意の位置に移動及び停車することができる。なお、上記台車部130の構成は一例であり、これに限定されない。例えば、台車部130の駆動車輪および従動車輪の数は任意でよく、ベース部11を任意の位置に移動させることができれば任意の構成が適用可能である。
【0022】
昇降部151が鉛直軸に沿って伸縮することで、載置台15が昇降する。昇降部151は、回転装置1511を備える。伸縮アーム152は、載置台15に取り付けられている。伸縮アーム152は、アーム本体および駆動装置1521を備えている。駆動装置1521は、載置台15の内部(不図示)に取り付けられており、アーム本体を水平方向に移動させる。駆動装置1521は、アーム本体を軸周りに回転させる機構をさらに有していてもよい。
【0023】
センサ18は、台車部130等を含む配送ロボット10の任意の場所に設けられている。センサ18は、例えば、カメラであり、撮影画像を取得することができる。センサ18は、例えば、LiDAR(Light Detection And Ranging)であり得る。センサ18は、通路、障害物、人、収納棚等の存在を検知することができる。センサ18は、台車部130の移動を検出する移動検出センサや、載置台15の高さを検出する高さ検出センサを含んでもよい。
【0024】
配送ロボット10は、配送ロボット10以外に設置されたセンサ218からのデータを利用してもよい。センサ218は、施設のエレベータ、階段、通路等に設置された監視カメラなどである。あるいは、施設において、2台以上のロボットが利用されている場合、センサ218は、他のロボットに設置されていてもよい。配送ロボット10は、無線ネットワークを介して、センサ218からのデータを受信する。
【0025】
検知部19は、センサ18又はセンサ218からのセンサデータに基づいて、周辺に人がいるか否かを検知する。例えば、検知部19はカメラ画像に対して画像処理を行うことで、周辺に人Pがいることを検知する。カメラ画像は、配送ロボット10に設置されたセンサ18であってもよく、監視カメラなどのセンサ18であってもよい。検知部19はLiDARからの点群データ等に基づいて、周辺に人Pがいることを検知する。あるいは、検知部19は、エレベータの動作情報等に基づいて、フロアに人がいるか否かを検知してもよい。
【0026】
検知部19は、配送ロボット10内に搭載されていてもよく、配送ロボット10の外部に配置されていてもよい。例えば、配送ロボット10の外部にあるサーバが配送ロボット10を備えている場合、サーバが配送ロボット10に人を検知したことを示す検知信号を送信すればよい。
【0027】
制御部100は、台車部130、昇降部151、および伸縮アーム152など配送ロボットを含む配送システムの通常動作を制御する。制御部100は、台車部130の各モータ1301に制御信号を送信することで、各駆動車輪13の回転を制御し、ベース部11を任意の位置に移動させることができる。制御部100は、昇降部151の回転装置1511に対して制御信号を送信することで、載置台15の高さ位置を変更することができる。また、制御部100は、伸縮アーム152の駆動装置1521に制御信号を送信することでアーム本体の水平位置を変更できる。
【0028】
制御部100は、駆動車輪13に設けられた回転センサにより検出された駆動車輪13の回転情報などに基づいて、フィードバック制御、ロバスト制御等の周知の制御を行うことで、ベース部11の移動を制御してもよい。制御部100は、ベース部11に設けられたカメラや超音波センサなどの距離センサにより検出された距離情報、移動環境の地図情報などの情報に基づいて、台車部130、昇降部151、および伸縮アーム152の動作を制御してもよい。制御部100は、カメラにより検知された障害物の位置及び収納棚の位置に基づいて、収納棚に対する配送ロボットの停止位置及び停止向きを決定する。
【0029】
制御部100は、例えば、制御処理、演算処理等を行うCPU(Central Processing Unit)101によって実行される制御プログラム、演算プログラム等が記憶されたROM(Read Only Memory)からなるメモリ102、外部と信号の入出力を行うインタフェース部(I/F)103などからなるマイクロコンピュータを備える。CPU101、メモリ102、およびインタフェース部103は、データバスなどを介して相互に接続されている。
【0030】
(移載時の動作)
移載時において、検知部19が人Pを検知した場合、制御部100は、プライバシー情報を保護するための制御を行う。例えば、配送ロボット10は、収納棚30に物品を移載する場合において、収納棚30の周辺にいる人Pから、プライバシー情報を保護した移載形態で、物品を移載する。プライバシー情報を保護した移載形態とは、周辺にいる人Pがラベル21などのプライバシー情報を見えない状態とすることである。これにより、住所、氏名などのプライバシー情報を確実に保護することができる。あるいは、商品名やブランド名等が他者に知られることを防ぐことができる。以下、移載形態のいくつかの例について説明する。
【0031】
(移載形態例1)
プライバシー情報を保護した移載形態例1について、図3を用いて説明する。図3は、配送ロボット10が収納棚30に物品20を移載する動作を模式的に示す上面図である。載置台15が物品20を回転することで、ラベル21の向きが変わる。載置台15が、ラベル21が人Pと反対側に配置されるように、物品20の向きを変える。伸縮アーム152が、ラベルが人Pと反対側になっている状態で、物品20を移載する。
【0032】
例えば、配送ロボット10が収納棚30の手前まで移動すると、配送ロボット10は、扉31を開ける。さらに、配送ロボット10は、物品20を収納部12から取り出す。これにより、図3の移載前の状態となる。このとき、配送ロボット10は、配送ロボット10の前方を人Pが歩いているとする。物品20のラベル21は人Pの方向を向いているとする。
【0033】
検知部19が、前方にいる人Pを検知すると、配送ロボット10は、人Pの方向に応じて、載置台15を回転する。載置台15が回転することで、ラベル21が設けられる物品20の側面が人Pの反対側を向く。載置台15の回転後では、ラベル21が物品20の死角となるため、人Pがラベル21を視認できない状態となる。そして、配送ロボット10は、この状態で物品20を収納棚30に移載する。よって、収納棚30の周辺にいる人Pから、プライバシー情報を保護した移載形態で、配送ロボット10が物品20を移載することができる。
【0034】
例えば、物品20に対するラベル21の貼り付け位置が既知となっている。あるいは、カメラ画像等によって、制御部100がラベル21の貼り付け位置を検出してもよい。検知部19は、人Pを検知すると、配送ロボット10に対する人Pの方向を特定する。そして、制御部100は、ラベル21が人Pの反対側を向くように、回転装置1511を制御する。回転装置1511が載置台15を所望の角度に回転するが、ラベル21が適切な向きとなる。そして、載置台15の回転が終了すると、駆動装置1521が伸縮アーム152を伸縮させる。これにより、収納棚30に周辺にいる人Pから、プライバシー情報を保護した移載形態で、配送ロボット10が物品20を移載することができる。
【0035】
さらに、移載形態例2では、人Pの方向によらず、プライバシー情報を保護した移載形態で配送ロボット10が物品20を移載してもよい。例えば、収納部12に物品20を収納する向きによって、プライバシー情報を保護した移載形態を実現することが可能となる。ラベル21が配送ロボット10の後方を向いた状態で,物品20を収納部12に収納する。伸縮アーム152が収納部12から物品20を取り出すと、ラベル21が収納部12を向いた状態となる(図3の回転後のラベル向き)。収納部12は、載置台15の載置面よりも高くなっている。ラベル21を視認できる範囲を減らすことができる。プライバシー情報を保護した移載形態で、配送ロボット10が物品20を移載することができる。
【0036】
もちろん、ラベル21が底面(下面)となるように、収納部12に物品20を配置しても良い。あるいは、ラベル21が扉31を向くように、載置台15が回転してもよい。つまり、人Pの死角となる方向にラベル21が向いた状態で、配送ロボット10が物品20を収納棚30に移載すればよい。
【0037】
(移載形態例2)
プライバシー情報を保護した移載形態例2について、図4を用いて説明する。図4は、配送ロボット10が収納棚30に物品20を移載する動作を模式的に示す上面図である。移載形態例2では、配送ロボット10が移動することで、プライバシー情報を保護した移載形態で、物品を移載する。具体的には、ラベル21が人Pと反対側に配置される向きで、配送ロボット10が格納場所の移載位置まで移動する。伸縮アーム152が、ラベル21が人Pと反対側になっている状態で、物品20を移載する。
【0038】
図4では移載前において、配送ロボット10が左側から右側に向かって移動している。検知部19が収納棚30の手前で、収納棚30の近傍にいる人Pを検知する。すると、配送ロボット10が向きを変えるように、移動する。ここでは、配送ロボット10が一度、収納棚30を通り過ぎてから,\向きを変えて収納棚30まで戻ってきている。つまり、配送ロボット10がUターンして、収納棚30への移載位置に移動する。従って、配送ロボット10が左側から収納棚30に接近していき、移載位置に到達する。ラベル21が人Pと反対側に配置される向きとなる。
【0039】
配送ロボット10は、移載位置まで移動すると、収納部12から物品20を取り出す。このとき、ラベル21が人Pの反対側を向いた状態で、物品20が取り出される。ラベル21が物品20の死角になるため、人Pがラベル21を視認することができない状態となる。プライバシー情報を保護した移載形態で、配送ロボット10が物品20を移載することができる。
【0040】
(移載形態例3)
プライバシー情報を保護した移載形態例3について、図5を用いて説明する。図5は、配送ロボット10が収納棚30に物品を移載する構成を模式的に示す斜視図である。図5では、左右両方向に開く扉31を人Pに向けて開くように、配送ロボット10が扉31の開閉を制御している。扉31によって、人Pから物品20を隠すことができる。このため、図3の破線矢印に示すように、扉31によって、物品20が人Pの死角になる。人Pがラベル21を見ることができない状態で、物品20を移載することができる。
【0041】
つまり、収納棚30の周辺にいる人Pから、プライバシー情報を保護した移載形態で、配送ロボット10が物品20を移載することができる。配送ロボット10は、扉31の開閉方向や開閉角度を制御してもよい。これにより、プライバシー情報を確実に保護することができる。扉31の開閉方向を制御することで、物品20がプライバシー情報を保護した移載形態となる。
【0042】
移載形態例1~3の少なくとも一つによれば、配送ロボット10は、ラベル21を人Pから隠した状態で移載することができる。なお、移載形態例1~3はそれぞれ単独で実施されてもよく、2つ以上を組み合わせて使用されても良い。例えば、扉31の開閉方向と、物品20の回転の両方により、プライバシー情報を保護してもよい。あるいは、扉31の開閉方向と、配送ロボット10の向きの両方により、プライバシー情報を保護してもよい。これにより、プライバシー情報を確実に保護することができる。
【0043】
上記の説明では、配送ロボット10が収納棚30に物品20を受け渡す例について説明したが、収納棚30にある物品20を配送ロボット10が受け取る例についても、配送システム1は同様の移載形態を適用することができる。この場合、受取前に、配送ロボット10は、物品20をカメラで撮像し、その画像からプライバシー情報が付されている位置を特定してもよい。
【0044】
また、検知部19は人Pを特定しても良い。検知部19は特定された人Pがプライバシー情報を保護すべき人か否かを判定しても良い。人Pが物品20の受取人である場合、プライバシー情報を保護する必要が無い。周辺にいる人Pが受取人である場合、プライバシー情報を保護した移載形態以外の移載形態(非保護形態とする)で配送ロボット10が物品を移載する。例えば、人Pが受取人であるか否かは、顔画像を用いた顔認識により実施される。予め、プライバシー情報を保護する必要がない人の顔画像等がメモリなどに登録されていればよい。
【0045】
もちろん、プライバシーを保護する必要が無い人は、受取人本人に限られるものではない。人Pが受取人の家族や同居者などであっても、配送システム1が、非保護形態で、収納棚30に物品20を移載してもよい。つまり、配送システム1は、物品20と関連のない人が周辺にいる場合、プライバシーを保護する移載形態とし、物品20と関連のある人が周辺にいる場合、非保護形態とするようにしてもよい。
【0046】
また、上記の説明では、物品20の1側面のみにプライバシー情報が付されていたが、2側面以上にプライバシー情報が付されていてもよい。例えば、1側面にラベル21が貼り付けられており、隣の側面にブランド名などが印刷されている場合がある。この場合、配送システム1は、2面を人Pから見えない状態としてもよい。あるいは、配送システム1は、1側面のみを人Pのみを見えない状態としてもよい。この場合、配送システム1は、住所、氏名などのより重要なプライバシー情報を人Pに見えない情報とすることが好ましい。
【0047】
なお、本発明は上記実施の形態に限られたものではなく、趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更することが可能である。さらに、本開示は、配送システム1における制御処理の一部又は全部を、CPU(Central Processing Unit)等のプロセッサにコンピュータプログラムを実行させることにより実現することが可能である。例えば、制御部100等は、例えば、コンピュータの中央演算処理装置等のプログラムを実行可能な装置として実装可能である。そして、各種機能はプログラムにより実現することもできる。
【符号の説明】
【0048】
10 配送ロボット
20 物品(荷物)
21 ラベル
30 収納棚(格納場所)
図1
図2
図3
図4
図5