(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024175785
(43)【公開日】2024-12-19
(54)【発明の名称】空調システム
(51)【国際特許分類】
A01G 9/24 20060101AFI20241212BHJP
【FI】
A01G9/24 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023093788
(22)【出願日】2023-06-07
(71)【出願人】
【識別番号】000156938
【氏名又は名称】関西電力株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100115381
【弁理士】
【氏名又は名称】小谷 昌崇
(74)【代理人】
【識別番号】100127797
【弁理士】
【氏名又は名称】平田 晴洋
(72)【発明者】
【氏名】衣笠 明
(72)【発明者】
【氏名】伊達 茂雄
(72)【発明者】
【氏名】石津 京二
【テーマコード(参考)】
2B029
【Fターム(参考)】
2B029MA08
2B029SA01
2B029TA05
(57)【要約】
【課題】対象室において温度ムラ及び湿度ムラが発生することを抑制しつつ、対象室の空気の相対湿度及び温度を適切な状態に保つ。
【解決手段】空調システムは、複数の空気調和装置が設置されている空調室と、調温調湿された空気を要する対象室と、前記対象室における除湿要求と空調要求とに基づいて、前記複数の空気調和装置のそれぞれの運転状態を冷房運転状態と暖房運転状態との間で切り替える制御装置と、前記複数の空気調和装置によって調温調湿された空気を前記空調室から前記対象室に送る送風機と、を備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の空気調和装置が設置されている空調室と、
調温調湿された空気を要する対象室と、
前記対象室における除湿要求と空調要求とに基づいて、前記複数の空気調和装置のそれぞれの運転状態を冷房運転状態と暖房運転状態との間で切り替える制御装置と、
前記複数の空気調和装置によって調温調湿された空気を前記空調室から前記対象室に送る送風機と、を備える、空調システム。
【請求項2】
請求項1に記載の空調システムであって、
前記対象室には植物の生育床が配置されている、空調システム。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の空調システムであって、
前記制御装置は、前記送風機が生成する空気流において、冷房運転状態の前記空気調和装置が暖房運転状態の前記空気調和装置に対して上流側に位置するように、前記各空気調和装置の運転状態の切り替えを行う、空調システム。
【請求項4】
請求項1又は2に記載の空調システムであって、
前記空調室は、外気を取り込むための外気取り込み口を有しており、
前記対象室は、室内空気を外気に排出するための排気口を有している、空調システム。
【請求項5】
請求項1又は2に記載の空調システムであって、
前記制御装置は、前記各空気調和装置の運転状態を切り替えて、冷房運転状態の前記空気調和装置の台数が過半数を超える過半数冷房運転モードと、暖房運転状態の前記空気調和装置の台数が過半数を超える過半数暖房運転モードと、全ての前記空気調和装置が冷房運転状態となる全冷房運転モードと、冷房運転状態の前記空気調和装置と暖房運転状態の前記空気調和装置との台数が同数となる冷暖同数運転モードと、のうちいずれかの運転モードを実行する、空調システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、空調システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、所定の空間の空気を調温調湿する技術が知られている。例えば、特許文献1には、閉鎖型構造物(対象室)の内部に複数台の空調装置(空気調和装置)を設置し、前記閉鎖型構造物の内部の冷房負荷が低下した際に、前記複数の空調装置のうちの1台で暖房運転を行い、残りの空調装置で冷房運転を行う空調方法が開示されている。この空調方法は、冷房負荷が低下した際は冷房運転が送風運転等に切り替わるおそれがあることを考慮して、1台の空調装置で暖房運転を行うことにより、冷房負荷が低下することを抑制している。これにより、残りの空調装置による安定的な冷房運転を継続させ、冷房運転による除湿効果を維持することを企図している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載の空調方法では、温度ムラ及び湿度ムラが発生するおそれがある。具体的に、特許文献1では、暖気と寒気との混合が閉鎖型構造物の内部で行われており、かつ、冷房負荷が低下した際には、暖房運転を行う空調装置が1台のみ存在するように各空調装置の制御がなされる。そのため、閉鎖型構造物の内部における所定の領域、例えば、暖房運転を行っている空調装置から遠く離れている領域においては、暖気と寒気との混合がうまく行われない可能性がある。その結果、当該領域における空気の相対湿度及び温度と、他の領域における空気の相対湿度及び温度とが不均一になるおそれがある。
【0005】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、対象室において温度ムラ及び湿度ムラが発生することを抑制しつつ、対象室の空気の相対湿度及び温度を適切な状態に保つことができる空調システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一局面に係る空調システムは、複数の空気調和装置が設置されている空調室と、調温調湿された空気を要する対象室と、前記対象室における除湿要求と空調要求とに基づいて、前記複数の空気調和装置のそれぞれの運転状態を冷房運転状態と暖房運転状態との間で切り替える制御装置と、前記複数の空気調和装置によって調温調湿された空気を前記空調室から前記対象室に送る送風機と、を備える。
【0007】
この空調システムによれば、複数の空気調和装置によって調温調湿された空気を対象室に送り込むことができるため、対象室の空気の相対湿度及び温度を適切な状態に保つことができる。具体的に、上記システムでは、制御装置が、対象室における除湿負荷と空調負荷とに基づいて、複数の空気調和装置のうち一部の空気調和装置を冷房運転状態にするとともに、残りの空気調和装置を暖房運転状態にする。これにより、空調室における空気の調温及び調湿が行われる。言い換えると、対象室における相対湿度及び温度を適切な状態に保つために最適化された空気が生成される。そして、当該空気を送風機によって空調室から対象室に送り込むことにより、対象室における空気の相対湿度及び温度を適切な状態に保つことができる。
【0008】
ここで、上記空調システムによれば、空調室から対象室に空気が送り込まれる過程において、冷房運転状態の空気調和装置から送り出される空気と、暖房運転状態の空気調和装置から送り出される空気と、の混合がなされる。これにより、略均一な相対湿度及び温度を有する空気を対象室に送り込むことができる。このため、対象室において空気の混合を行う場合と比較して、対象室に温度ムラ及び湿度ムラが生じることを抑制できる。
【0009】
したがって、上記空調システムによれば、対象室において温度ムラ及び湿度ムラが生じることを抑制しつつ、対象室の空気の相対湿度及び温度を適切な状態に保つことができる。
【0010】
上記の空調システムにおいて、前記対象室には植物の生育床が配置されていることが好ましい。
【0011】
この構成によれば、植物の生育に最適な相対湿度及び温度が維持される対象室において植物を育てることができる。そのため、植物を効率よく生育することができる。
【0012】
上記の空調システムにおいて、前記制御装置は、前記送風機が生成する空気流において、冷房運転状態の前記空気調和装置が暖房運転状態の前記空気調和装置に対して上流側に位置するように、前記各空気調和装置の運転状態の切り替えを行うことが好ましい。
【0013】
この構成によれば、冷房運転状態の空気調和装置によって調湿されることに伴い温度が低下した空調室の空気を、暖房運転状態の空気調和装置によって暖め直すことできる。したがって、適切な温度条件から逸脱した空気が対象室に送り込まれることを抑制できる。
【0014】
上記の空調システムにおいて、前記空調室は、外気を取り込むための外気取り込み口を有しており、前記対象室は、室内空気を外気に排出するための排気口を有していることが好ましい。
【0015】
この構成によれば、外気取り込み口を通じて新鮮な外気を空調室に取り込むことができる。また、調温調湿された新鮮な空気が対象室に供給されることに伴い、対象室の室内空気を排気口を通じて外気に排出することができる。これにより、室内空気の状態を清潔に保つことができる。
【0016】
また、対象室において植物の生育が行われており、当該植物を育成するために農薬及び肥料が散布されている場合、室内空気には、農薬の成分の揮発物、粉体状の肥料、及び塵埃等の浮遊物が含まれている可能性がある。仮に、このような浮遊物を含む室内空気が空調室に直接的に還気して空気調和装置に吸引されると、前記浮遊物が空気調和装置の能力を劣化させるおそれがある。これに対して、上記構成によれば、前記浮遊物を含む室内空気が外気に排出されるため、室内空気の状態を清潔に保つことができる。また、前記浮遊物を含む室内空気が空調室に直接的に還気することが防止されているため、空気調和装置の能力が劣化することを抑制できる。
【0017】
上記の空調システムにおいて、前記制御装置は、前記各空気調和装置の運転状態を切り替えて、冷房運転状態の前記空気調和装置の台数が過半数を超える過半数冷房運転モードと、暖房運転状態の前記空気調和装置の台数が過半数を超える過半数暖房運転モードと、全ての前記空気調和装置が冷房運転状態となる全冷房運転モードと、冷房運転状態の前記空気調和装置と暖房運転状態の前記空気調和装置との台数が同数となる冷暖同数運転モードと、のうちいずれかの運転モードを実行することが好ましい。
【0018】
この構成によれば、対象室における除湿要求と空調要求とに見合った運転モードを実行することができる。これにより、対象室の空気の相対湿度及び温度をきめ細かく調整することができる。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、対象室において温度ムラ及び湿度ムラが生じることを抑制しつつ、対象室の空気の相対湿度及び温度を適切な状態に保つことができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】本発明の一実施形態に係る空調システムの構成を概略的に示す図である。
【
図2】制御装置の電気的構成を示すブロック図である。
【
図3】(a)は、過半数冷房運転モードを示す模式図であり、(b)は、過半数暖房運転モードを示す模式図であり、(c)は、全冷房運転モードを示す模式図であり、(d)は、冷暖同数運転モードを示す模式図であり、(e)は、全暖房運転モードを示す模式図である。
【
図4】制御装置の処理フローを示すフローチャートである。
【
図5】調湿を行う空気調和装置における制御ユニットの処理フローを示すフローチャートである。
【
図6】調温を行う空気調和装置における制御ユニットの処理フローを示すフローチャートである。
【
図7】変形実施形態に係る制御ユニットの処理フローを示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の実施形態を、図面に基づいて詳細に説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係る空調システム1の構成を概略的に示す図である。空調システム1は、所定の対象室4の空気(以下、室内空気と呼ぶことがある)の相対湿度及び温度を適切な状態に保つためのシステムである。
図1に示すように、空調システム1は、空調室2と、送風機3と、対象室4と、制御装置6と、を有している。
【0022】
空調室2は、
図1に示すように、複数の空気調和装置21と、外気取り込み口22と、送風口23と、空調室湿度センサ24と、空調室温度センサ25と、を有している。
【0023】
空気調和装置21は、空調室2における空気の調温及び調湿を行う装置である。ここでは、空気調和装置21として、市販されているルームエアコンの室内機及び室外機を用いている。
図1に示すように、本実施形態では3台の空気調和装置21の室内機が空調室2に設置されている例を示しているが(前記室外機は図略)、空気調和装置21の設置台数は適宜変更可能であり、2台又は4台以上であってもよい。本実施形態において、各空気調和装置21の能力は同一である。ただし、各空気調和装置21の能力は、それぞれ異なっていてもよい。なお、本明細書において、空気調和装置21の能力とは、空気調和装置21の性能のことを指している。以下では、各空気調和装置21について、説明の便宜上、送風機3が生成する空気流Fにおいて上流側に位置する空気調和装置21から順に、第1空気調和装置21a、第2空気調和装置21b、及び第3空気調和装置21cと呼ぶことがある(
図3参照)。
図1に示すように、各空気調和装置21のそれぞれは、制御ユニット21Aを有している。
【0024】
制御ユニット21Aは、CPU、RAM、ROM等のマイクロコンピュータから構成され、空気調和装置21の全体制御を司る。制御ユニット21Aは、後述する出力部614が出力する制御信号に応じて、空気調和装置21の運転状態を冷房運転状態、暖房運転状態、及び運転停止状態のうちのいずれかに切り替える。冷房運転状態では、空調室2における空気の温度を低下させるとともに、相対湿度を低下させることができる。すなわち、除湿を行うことができる。暖房運転状態では、空調室2における空気の温度を上昇させることができる。運転停止状態では、空気調和装置21の動作が停止され、空調室2の調温及び調湿は行われない。
【0025】
外気取り込み口22は、新鮮な外気を空調室2の内部に取り込むための開口であり、空調室2を構成する壁部に貫設されている。なお、外気取り込み口22は、ルームエアコンの室外機と、前記室外機と前記室内機とを繋ぐ配管とによって構成しても良い。本実施形態では、外気取り込み口22の周辺に外気の相対湿度及び温度を計測するための図示しない外気湿度センサ及び外気温度センサが取り付けられている。
【0026】
送風口23は、空調室2の空気を対象室4に送るための開口であり、空調室2を構成する壁部に貫設されている。送風口23は、
図1に示すように、空調室2と対象室4との間に配置されているダクト5の一方側端部と接続されている。なお、ダクト5には、外気との熱交換を抑制可能な断熱構造が付設されていることが好ましい。この構成によれば、空調室2から対象室4に送り込まれる空気の温湿度がダクト5を通過する過程において変化することを抑制できる。
【0027】
空調室湿度センサ24及び空調室温度センサ25は、空調室2の所定箇所に配設されて、空調室2の空気の相対湿度及び温度を定期的に計測する公知のセンサである。
【0028】
送風機3は、空調室2から対象室4に向かって流れる空気流Fを生成する。送風機3は、例えばシロッコファンやプロペラファンなどの公知のファンによって構成することができる。ここでは、送風機3が空調室2の送風口23付近に設置されている例を示している。ただし、空調室2から対象室4に向かう空気流Fを形成できる限りにおいて、送風機3は、ダクト5又は対象室4に設置されていてもよい。
【0029】
対象室4は、調温調湿された空気を要する空間である。本実施形態に係る対象室4は、植物の生育が行われる生育室である。具体的には、年間を通じて気温が20℃~30℃に維持されることが求められており、かつ、相対湿度が60%~80%に維持されることが求められているビニールハウスなどの温室である。本実施形態では、植物を育成するための農薬及び肥料が対象室4の室内に散布されることが想定されている。対象室4は、
図1に示すように、生育床41と、吹き出し口42と、排気口43と、対象室湿度センサ44と、対象室温度センサ45と、を有している。
【0030】
生育床41では、野菜や果実、観葉植物、樹木などの種々の植物が生育される。生育床41は、例えば培養土及び植物の苗を収容する鉢である。ただし、生育床41は、パレットや地面、水耕生育設備などにより構成されていてもよい。本実施形態では、胡蝶蘭やマンゴーなどのように、温湿度の調整が品質に大きな影響を与え得る植物が生育床41において生育されている。
【0031】
吹き出し口42は、空気流Fによって空調室2から送られてきた空気を対象室4に吹き出すための開口であり、対象室4を構成する壁部に貫設されている。
図1に示すように、吹き出し口42はダクト5の他方側端部に接続されている。
【0032】
排気口43は、対象室4の内部において循環した室内空気を外気に排出するための開口であり、対象室4を構成する壁部に貫設されている。この構成によれば、例えば空調室2において調温調湿された新鮮な空気が吹き出し口42から吹き出されることに伴い、排気口43を通じて室内空気を外気に排出することができる。これにより、室内空気の換気がなされ、室内空気の状態を清潔に保つことができる。また、上記したように、本実施形態では対象室4の室内において農薬及び肥料が散布される場合があるため、室内空気には農薬の成分の揮発物、粉体状の肥料、及び塵埃等の浮遊物が含まれている可能性がある。その一方で、本実施形態に係る室内空気は排気口43を通じて外気に排出されるため、前記浮遊物を含む室内空気が空調室2に直接的に還気されること、及び、前記浮遊物が空気調和装置21に直接的に吸引されることが防止されている。そのため、本実施形態では、前記浮遊物によって空気調和装置21の能力が劣化することが抑制されている。
【0033】
対象室湿度センサ44及び対象室温度センサ45は、対象室4の所定箇所に配設されて、対象室4の空気の相対湿度(以下、対象室湿度RHと呼ぶ)及び温度(以下、対象室温度Tと呼ぶ)を定期的に計測する公知のセンサである。
【0034】
制御装置6は、後述する除湿要求と空調要求とに基づいて、複数の空気調和装置21のそれぞれの運転状態を冷房運転状態と暖房運転状態との間で切り替えるための信号を出力する。制御装置6は、LAN等の通信回線を介して、各制御ユニット21A及び各センサとの間で相互に通信可能に接続されている。
図1に示すように、本実施形態に係る制御装置6は空調室2に設置されている。ただし、制御装置6は対象室4に設置されていてもよく、所定の制御室に設置されていてもよい。
図2は、制御装置6の電気的構成を示すブロック図である。制御装置6は、
図2に示すように、本体部61と、本体部61に接続されている入力部62及び図示しない表示部(例えば液晶モニタ)と、記憶部63と、を有する。
【0035】
入力部62は、空調システム1のユーザによる各種指令やデータの入力に関する操作を受け付けるためのものであり、例えばキーボードやマウス等によって構成されている。本実施形態に係る入力部62は、対象室4の空気の目標温度(以下、対象室目標温度TSと呼ぶ)及び対象室4の空気の目標湿度(以下、対象室目標湿度RHSと呼ぶ)を受け付ける。なお、これらの情報は、空気調和装置21を操作するためのリモートコントローラを通じて入力されてもよい。
【0036】
記憶部63は、例えば後述する本体部61に具備されているメモリー領域、HDD(Hard Disk Drive)やSSD(Solid State Drive)等の記憶装置であり、入力部62が受け付けた情報を記憶する。
【0037】
本体部61は、各種の演算処理や制御処理を行うCPU、所定の制御プログラムが記憶されたROM等の図示しない不揮発性メモリー、データを一時的に記憶するための図示しないRAM、現在日時を計時する図示しないタイマー回路、及びこれらの周辺回路等を備えた情報処理装置である。本体部61は、前記ROM等に記憶されている制御プログラムを前記CPUに実行させることにより、取得部611、算出部612、処理部613、及び出力部614を機能的に具備する。
【0038】
取得部611は、後述する除湿要求及び空調要求を算出するために必要な情報を取得する。具体的には、取得部611は、記憶部63にアクセスして、対象室目標湿度RHS及び対象室目標温度TSを取得する。また、取得部611は、対象室湿度センサ44及び対象室温度センサ45から、対象室湿度RH及び対象室温度Tを取得する。
【0039】
算出部612は、除湿要求及び空調要求の値を算出する。具体的には、算出部612は、対象室目標湿度RHSと対象室湿度RHとの差分を算出し、当該差分を小さくするために必要な除湿要求の値を算出する。また、算出部612は、対象室目標温度TSと対象室温度Tとの差分を算出し、当該差分を小さくするために必要な冷房要求又は暖房要求の値を算出する。詳細には、算出部612は、対象室温度Tが対象室目標温度TSを上回っている場合は冷房要求の値を算出し、対象室温度Tが対象室目標温度TSを下回っている場合は暖房要求の値を算出する。本明細書では、これらの冷房要求及び暖房要求を空調要求と総称することがある。
【0040】
処理部613は、除湿要求及び空調要求を満たすことができる運転モードを選択する。具体的には、処理部613は、各空気調和装置21の運転状態及び運転台数の組み合わせからなる各種の運転モードの中から、除湿要求及び空調要求を満たすことができる運転モードを選択する。以下、
図3を参照して、処理部613によって選択される各種の運転モードについて説明する。なお、
図3の(a)~(e)において、矢印の大きさは風量の大きさを表している。
【0041】
図3の(a)は、過半数冷房運転モードを示す模式図である。過半数冷房運転モードは、複数の空気調和装置21のうち過半数の空気調和装置21が冷房運転状態となる運転モードである。過半数冷房運転モードは、例えば、対象室4における除湿要求が大きく、かつ、暖房要求が小さい状況において選択される。本実施形態に係る過半数冷房運転モードでは、第1空気調和装置21a及び第2空気調和装置21bが冷房運転状態となって空気の調湿(除湿)を行い、第3空気調和装置21cが暖房運転状態となって空気の調温を行う。このようにして調温調湿された空調室2の空気が、空調室2及びダクト5において混合されながら対象室4に送り込まれる。この運転モードでは、対象室湿度RHを低下させつつ、対象室温度Tを上昇、低下、又は維持させることができる。また、過半数冷房運転モードでは、除湿がされていない程度に冷却された空調室2の空気を対象室4に送り込み、対象室4における絶対湿度を低下させることなく対象室温度Tを低下させることにより、対象室湿度RHを上昇させることができる。
【0042】
図3の(b)は、過半数暖房運転モードを示す模式図である。過半数暖房運転モードは、複数の空気調和装置21のうち過半数の空気調和装置21が暖房運転状態となる運転モードである。過半数暖房運転モードは、例えば、対象室4における除湿要求が小さく、かつ、暖房要求が大きい状況において選択される。本実施形態に係る過半数暖房運転モードでは、第1空気調和装置21aが冷房運転状態となって空気の調湿を行い、第2空気調和装置21b及び第3空気調和装置21cが暖房運転状態となって空気の調温を行う。この運転モードでは、対象室湿度RHを維持又は低下させつつ、対象室温度Tを上昇させることができる。
【0043】
図3の(c)は、全冷房運転モードを示す模式図である。全冷房運転モードは、全ての空気調和装置21a~21cが冷房運転状態となる運転モードである。全冷房運転モードは、例えば、対象室4における除湿要求が大きく、かつ、冷房要求が大きい状況において選択される。本実施形態に係る全冷房運転モードでは、第1空気調和装置21a及び第2空気調和装置21bが空気の調湿を行い、第3空気調和装置21cが空気の調温を行う。この運転モードでは、対象室湿度RHを低下させつつ、対象室温度Tを低下させることができる。また、全冷房運転モードでは、除湿がされていない程度に冷却された空調室2の空気を対象室4に送り込み、対象室4における絶対湿度を低下させることなく対象室温度Tを低下させることにより、対象室湿度RHを上昇させることができる。
【0044】
図3の(d)は、冷暖同数運転モードを示す模式図である。冷暖同数運転モードは、冷房運転状態の空気調和装置21の台数と暖房運転状態の空気調和装置21の台数とが同数となる運転モードである。冷暖同数運転モードは、例えば、対象室4における除湿要求が小さく、かつ、暖房要求が小さい状況において選択される。つまり、冷暖同数運転モードは、相対湿度及び温度の現状維持が求められる状況において選択され得る。本実施形態に係る冷暖同数運転モードでは、第1空気調和装置21aが冷房運転状態となって空気の調湿を行い、第3空気調和装置21cが暖房運転状態となって空気の調温を行い、第2空気調和装置21bが運転停止状態になる。この運転モードでは、対象室湿度RHを維持しつつ、対象室温度Tを維持することができる。なお、4台の空気調和装置21が配置されている場合は、2台を冷房運転状態とし、残り2台を暖房運転状態とする運用とすることができる。
【0045】
さらに、本実施形態に係る処理部613は、必要に応じて全暖房運転モードを選択してもよい。
図3の(e)は、全暖房運転モードを示す模式図である。全暖房運転モードは、全ての空気調和装置21a~21cが暖房運転状態となる運転モードである。全暖房運転モードは、例えば、暖房要求が大きい状況において選択される。この運転モードでは、対象室温度Tを上昇させることができる。また、対象室温度Tが上昇することに伴い室内空気の飽和水蒸気量が増加することから、対象室湿度RHを低下させることができる。
【0046】
本実施形態に係る処理部613は、対象室4における除湿要求と空調要求とに応じて、以上説明したような各種の運転モードを適宜選択する。これにより、各種の運転モードが適宜切り替わりながら実行されるとともに、当該運転モードにより調温調湿された空気が対象室4に送り込まれるため、対象室湿度RHを上昇、低下、又は維持させつつ、対象室温度Tを上昇、低下、又は維持させることができる。つまり、対象室4における空気の相対湿度及び温度をきめ細かく調整することができる。なお、処理部613は、COP(Coefficient Of Performance)を基準にして運転モードを選択することが好ましい。つまり、処理部613は、除湿要求及び空調要求を満たすことが可能であり、かつ、高COP状態で各空気調和装置21を運転することが可能な運転モードを選択することが好ましい。これにより、対象室湿度RH及び対象室温度Tを効率よく調整することができる。
【0047】
出力部614は、処理部613が選択した運転モードが実現されるように、各空気調和装置21の運転状態を規定する制御信号を各空気調和装置21に出力する。具体的には、出力部614は、各空気調和装置21を冷房運転状態、暖房運転状態、又は運転停止状態に切り替えるための制御信号を出力する。
【0048】
ここで、本実施形態に係る出力部614は、冷房運転状態の空気調和装置21と暖房運転状態の空気調和装置21とが存在するような運転モードが選択されている場合、送風機3が生成する空気流Fにおいて、冷房運転状態の空気調和装置21が暖房運転状態の空気調和装置21に対して上流側に位置するように制御信号を出力する。冷房運転状態の空気調和装置21と暖房運転状態の空気調和装置21とが存在するような運転モードの例としては、過半数冷房運転モード、過半数暖房運転モード、及び冷暖同数運転モードが挙げられる。この構成によれば、冷房運転状態の空気調和装置21によって除湿されることにより温度が低下した空調室2の空気を、暖房運転状態の空気調和装置21によって暖め直すことできる。したがって、適切な温度条件から逸脱した空気が対象室4に送り込まれることを抑制できる。
【0049】
さらに、上記構成によれば、冷房運転状態の空気調和装置21の吸い込み空気の温度が上昇することが抑制されるため、効率よく除湿を行うことができる。具体的に、冷房運転状態の空気調和装置21では、空気調和装置21が有する低温の熱交換器(蒸発器)に、空気調和装置21が有するファンが吸い込んだ吸い込み空気が接触して熱交換し、当該空気の温度が低下して結露現象が発生することにより除湿が行われる。ここで、仮に冷房運転状態の空気調和装置21の上流側に暖房運転状態の空気調和装置21が位置している場合、冷房運転状態の空気調和装置21における吸い込み空気の温度が上昇する可能性がある。この場合、蒸発器において空気の温度を十分に低下させることができず、結露現象の発生が抑制されるおそれがある。これに対して、本実施形態では、冷房運転状態の空気調和装置21が暖房運転状態の空気調和装置21の上流側に位置するように、出力部614が制御信号を出力する。これにより、冷房運転状態の空気調和装置21の吸い込み空気の温度が上昇することが抑制されるため、効率よく除湿を行うことができる。
【0050】
また、出力部614は、各制御ユニット21Aに、対象室目標湿度RHS及び対象室目標温度TSを示す信号を出力する。
【0051】
以上説明した通りに構成された制御装置6の処理フローについて、
図4のフローチャートを参照して説明する。
【0052】
ステップS1において、取得部611は、記憶部63から対象室目標湿度RHS及び対象室目標温度TSを取得する。そして、ステップS2において、取得部611は、対象室湿度センサ44及び対象室温度センサ45から対象室湿度RH及び対象室温度Tを取得する。
【0053】
次に、ステップS3において、算出部612は、対象室湿度RH及び対象室目標湿度RHSに基づいて、除湿要求の値を算出する。また、算出部612は、対象室温度T及び対象室目標温度TSに基づいて、空調要求の値を算出する。
【0054】
次に、ステップS4において、処理部613は、除湿要求及び空調要求を満たすことができる運転モードを選択する。例えば、処理部613は、過半数冷房運転モードを選択する。
【0055】
次に、ステップS5において、出力部614は、ステップS4で選択された運転モードを実現するための制御信号を各空気調和装置21に出力する。ここでは、過半数冷房運転モードが選択されているため、出力部614は、第1空気調和装置21a及び第2空気調和装置21bに冷房運転を実行させる制御信号を出力するとともに、第3空気調和装置21cに暖房運転を実行させる制御信号を出力する。過半数冷房運転モード以外の他の運転モードが選択されている場合の空気調和装置21a~21cへの制御信号の出力態様は、上述した通りである。また、ステップS5において、出力部614は、対象室目標湿度RHS及び対象室目標温度TSを示す信号を各空気調和装置21に出力する。
【0056】
制御装置6は、上記のステップS2~ステップS5の処理を、空調システム1の運転が停止するまで繰り返す。なお、上記の処理の途中に、入力部62が対象室目標湿度RHS又は対象室目標温度TSの更新を受け付けた場合、制御装置6は、上記の処理をステップS1から再開する。
【0057】
次に、出力部614からの制御信号を受け付けた制御ユニット21Aの処理フローについて説明する。ここでは、処理部613が過半数冷房運転モードを選択している場合を想定する。制御ユニット21Aは、出力部614から出力される制御信号の内容に応じて、
図5に示す処理、又は、
図6に示す処理を実行する。なお、空気調和装置21を運転停止状態に切り替える旨の制御信号を受信した場合、制御ユニット21Aは、空気調和装置21の運転を停止させる。
【0058】
まず、
図5を参照して、冷房運転を実行するように出力部614から指示を受けた制御ユニット21Aの処理フローについて説明する。つまり、
図5は、対象室湿度RHの調整を行うように出力部614から指示を受けている制御ユニット21Aについての処理フローであると言い換えることができる。
【0059】
ステップS21において、制御ユニット21Aは、出力部614から、対象室目標湿度RHSを取得する。
【0060】
ステップS22において、制御ユニット21Aは、対象室湿度センサ44から対象室湿度RHを取得する。なお、ステップS22において、制御ユニット21Aは、空調室湿度センサ24及び空調室温度センサ25から空調室2の空気の相対湿度及び温度を取得してもよい。また、制御ユニット21Aは、外気湿度センサ及び外気温度センサから外気の相対湿度及び温度を取得してもよい。
【0061】
ステップS23において、制御ユニット21Aは、対象室目標湿度RHSと対象室湿度RHとの差分を算出するとともに、当該差分を小さくするための具体的な設定温度及び風量(以下、冷房設定温度及び冷房風量と呼ぶ)を算出する。
【0062】
ステップS24において、制御ユニット21Aは、ステップS23で算出した冷房設定温度及び冷房風量を出力し、空気調和装置21を冷房運転状態で稼働させる。
【0063】
制御ユニット21Aは、上記のステップS22~ステップS24の処理を、空気調和装置21の運転状態を変更する旨の制御信号を出力部614から受け付けるまで繰り返す。なお、上記の処理の途中に、対象室目標湿度RHSを更新する旨の信号を出力部614から受け付けた場合、制御ユニット21Aは、上記の処理をステップS21から再開する。
【0064】
次に、
図6を参照して、暖房運転を実行するように出力部614から指示を受けた制御ユニット21Aの処理フローについて説明する。つまり、
図6は、対象室温度Tの調整を行うように出力部614から指示を受けている制御ユニット21Aについての処理フローであると言い換えることができる。
【0065】
ステップS31において、制御ユニット21Aは、出力部614から、対象室目標温度TSを取得する。
【0066】
ステップS32において、制御ユニット21Aは、対象室温度センサ45から対象室温度Tを取得する。なお、ステップS32において、制御ユニット21Aは、上記のステップS22の場合と同様に、空調室2の空気の相対湿度及び温度、ならびに外気の相対湿度及び温度を取得してもよい。さらに、制御ユニット21Aは、上記のステップS23で算出されている冷房設定温度及び冷房風量を取得してもよい。
【0067】
ステップS33において、制御ユニット21Aは、対象室目標温度TSと対象室温度Tとの差分を算出するとともに、当該差分を小さくするための具体的な設定温度及び風量(以下、暖房設定温度及び暖房風量と呼ぶ)を算出する。この際、制御ユニット21Aは、上記のステップS23で算出されている冷房設定温度及び冷房風量を参照し、当該冷房設定温度及び冷房風量に基づいて暖房設定温度及び暖房風量を補正してもよい。
【0068】
ステップS34において、制御ユニット21Aは、ステップS33で算出した暖房設定温度及び暖房風量を出力し、空気調和装置21を暖房運転状態で稼働させる。
【0069】
制御ユニット21Aは、上記のステップS32~ステップS34の処理を、空気調和装置21の運転状態を変更する旨の制御信号を出力部614から受け付けるまで繰り返す。なお、上記の処理の途中に、対象室目標温度TSを更新する旨の信号を出力部614から受け付けた場合、制御ユニット21Aは、上記の処理をステップS31から再開する。
【0070】
以上説明したように、本実施形態に係る空調システム1によれば、対象室4における除湿負荷と空調負荷とに基づいて、対象室4における空気の相対湿度及び温度を適切な状態に保つために最適化された空気を空調室2において生成することができる。そして、当該空気が送風機3によって空調室2から対象室4に送り込まれるため、対象室4の空気の相対湿度及び温度を適切な状態に保つことができる。
【0071】
ここで、本実施形態に係る空調システム1によれば、空調室2から対象室4に空気が送り込まれる過程において、冷房運転状態の空気調和装置21から送り出される空気と、暖房運転状態の空気調和装置21から送り出される空気との混合がなされる。これにより、略均一な相対湿度及び温度を有する空気を対象室4に送り込むことができる。このため、対象室4において空気の混合を行う場合と比較して、対象室4に温度ムラ及び湿度ムラが生じることを抑制できる。
【0072】
したがって、本実施形態に係る空調システム1によれば、対象室4において温度ムラ及び湿度ムラが生じることを抑制しつつ、対象室4の空気の相対湿度及び温度を適切な状態に保つことができる。
【0073】
また、本実施形態に係る空調システム1によれば、植物の生育に最適な相対湿度及び温度が維持される対象室4において植物を育てることができる。そのため、植物を効率よく生育することができる。特に、本実施形態に係る空調システム1によれば、胡蝶蘭やマンゴーなどのように、温湿度の調整が品質に大きな影響を与え得る植物を効率よく生育することができる。
【0074】
さらに、本実施形態に係る空調システム1によれば、温湿度をきめ細かく調整することができるため、ユーザの様々なニーズに対応することができる。例えば、植物の生育を促進するために、作物病害が発生するリスクを軽減可能な範囲で、対象室温度Tを維持しながら対象室湿度RHを低下させたいといったニーズに対応することができる。あるいは、作物病害が発生することをより確実に抑制するために、対象室温度Tを維持しながら対象室湿度RHを上昇させたいといったニーズに対応することができる。
【0075】
以上、本発明の実施形態を説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、次のような変形実施形態を取り得る。
【0076】
(1)上記実施形態では、対象室がビニールハウスなどの温室である例について説明したが、対象室は、例えば、博物館の展示室、コンピュータのサーバルーム、及び植物工場の生育室などの種々の空間であってもよい。つまり、本発明は、温室の温湿度管理のみならず、種々の空間の温湿度を管理するために用いることができる。
【0077】
(2)上記実施形態では、空気調和装置としてルームエアコンを用いる例について説明したが、空気調和装置は、いわゆる農業用ヒートポンプであってもよい。ただし、一般に、ルームエアコンは農業用ヒートポンプよりも安価であり、かつ、COPにおいて優れていることが多い。そのため、上記実施形態のようにルームエアコンを空気調和装置として用いる場合は、設備費用が増加することを抑制しつつ、対象室4の相対湿度及び気温を効率よく調整することができると考えられる。
【0078】
また、上記実施形態では、複数の空気調和装置21がルームエアコンのみによって構成される例について説明したが、複数の空気調和装置は、例えば公知の加湿装置を含むものであってもよい。この場合、対象室4の相対湿度を効率よく上昇させることが可能になる。
【0079】
(3)上記実施形態では、空調室2と対象室4との間にダクト5が配置される例について説明したが、ダクト5は必須ではない。例えば、空調室と対象室とは、所定の壁部を隔てて隣接していてもよい。そして、当該壁部には通気口が設けられており、この通気口を通じて調温調湿された空気が空調室から対象室に送り込まれてもよい。
【0080】
(4)上記実施形態では、制御ユニット21Aが、冷房設定温度及び冷房風量、又は暖房設定温度及び暖房風量を算出する例について説明したが、これらの情報は制御装置が算出してもよい。この場合、冷房設定温度及び冷房風量、又は暖房設定温度及び暖房風量を指示する信号が、制御装置から各制御ユニットに出力される。
【0081】
(5)対象室4の換気を効率よく行うために、外気取り込み口22及び排気口43のそれぞれに、換気用送風機(例えばプロペラファン)が取り付けられていてもよい。この場合、制御装置は、各換気用送風機が連動するように各換気用送風機の制御を行ってもよい。例えば、制御装置は、外気取り込み口22側の換気用送風機が稼働して外気が空調室2に取り込まれるタイミングで、排気口43側の換気用送風機を稼働させて対象室4の空気を外気に排出してもよい。この構成によれば、換気の効率が向上するため、室内空気の状態をより清潔に保つことができる。
【0082】
(6)制御ユニットは、絶対湿度に基づいて、対象室湿度RHの調整を行ってもよい。以下、
図7を参照して、本変形実施形態に係る制御ユニットの処理フローについて説明する。
【0083】
ステップS101において、制御ユニットは、出力部614から、対象室目標湿度RHS及び対象室目標温度TSを取得する。そして、ステップS102において、制御ユニットは、対象室目標湿度RHS及び対象室目標温度TSに基づいて、対象室4の空気の目標絶対湿度(以下、対象室目標絶対湿度と呼ぶ)を算出する。
【0084】
ステップS103において、制御ユニットは、対象室湿度センサ44及び対象室温度センサ45から、対象室湿度RH及び対象室温度Tを取得する。そして、ステップS104において、制御ユニットは、対象室湿度RH及び対象室温度Tに基づいて、対象室4の空気の絶対湿度(以下、対象室絶対湿度と呼ぶ)を算出する。
【0085】
ステップS105において、制御ユニットは、対象室目標絶対湿度と対象室絶対湿度との差分を算出するとともに、当該差分を小さくするための具体的な冷房設定温度及び冷房風量を算出する。
【0086】
ステップS106において、制御ユニットは、ステップS105で算出した冷房設定温度及び冷房風量を出力し、空気調和装置21を冷房運転状態で稼働させる。
【0087】
本変形実施形態に係る制御ユニットは、上記のステップS103~ステップS106の処理を、空気調和装置21の運転状態を変更する旨の制御信号を出力部614から受け付けるまで繰り返す。なお、上記の処理の途中に、対象室目標湿度RHS又は対象室目標温度TSを更新する旨の信号を出力部614から受け付けた場合、制御ユニットは、上記の処理をステップS101から再開する。
【0088】
(7)上記実施形態では、各空気調和装置21の能力が同一である例について説明したが、上記のとおり、各空気調和装置21の能力はそれぞれ異なっていてもよい。各空気調和装置21の能力がそれぞれ異なる場合、制御装置6は、上述した運転モードによる温湿度の調整が好適に実現されるように、各空気調和装置21の出力を調整することが好ましい。例えば、第1空気調和装置21a及び第2空気調和装置21bの能力が同一であり、かつ、第3空気調和装置21cの能力が前記各空気調和装置21a、21bよりも優れている状態で、過半数冷房運転モードを実行する場合を想定する。この状態で、第1空気調和装置21a及び第2空気調和装置21bに冷房運転を実行させ、第3空気調和装置21cに暖房運転を実行させた場合、過半数冷房運転モードを実行しているにも関わらず、対象室温度Tが過度に上昇する可能性がある。したがって、この場合、制御装置6は、空気調和装置21cの出力が第1空気調和装置21a及び第2空気調和装置21bの出力と同様になるように、各出力を調整する。過半数冷房運転モード以外の運転モードに関しても同様である。
【符号の説明】
【0089】
1 :空調システム
2 :空調室
3 :送風機
4 :対象室
6 :制御装置
21 :空気調和装置
22 :外気取り込み口
23 :送風口
24 :空調室湿度センサ
25 :空調室温度センサ
41 :生育床
42 :吹き出し口
43 :排気口
44 :対象室湿度センサ
45 :対象室温度センサ
F :空気流
RH :対象室湿度
RHS :対象室目標湿度
T :対象室温度
TS :対象室目標温度