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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024175789
(43)【公開日】2024-12-19
(54)【発明の名称】配線モジュール
(51)【国際特許分類】
   H01M 50/298 20210101AFI20241212BHJP
   H01M 50/507 20210101ALI20241212BHJP
   H01M 50/284 20210101ALI20241212BHJP
   H01G 17/00 20060101ALI20241212BHJP
   H01G 4/38 20060101ALI20241212BHJP
   H01M 50/569 20210101ALI20241212BHJP
   H01M 50/204 20210101ALI20241212BHJP
【FI】
H01M50/298
H01M50/507
H01M50/284
H01G17/00
H01G4/38 B
H01G4/38 A
H01M50/569
H01M50/204 401D
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023093797
(22)【出願日】2023-06-07
(71)【出願人】
【識別番号】395011665
【氏名又は名称】株式会社オートネットワーク技術研究所
(71)【出願人】
【識別番号】000183406
【氏名又は名称】住友電装株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000002130
【氏名又は名称】住友電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001036
【氏名又は名称】弁理士法人暁合同特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】杉浦 成
(72)【発明者】
【氏名】猪飼 義徳
【テーマコード(参考)】
5E082
5H040
5H043
【Fターム(参考)】
5E082CC02
5E082GG30
5H040AA07
5H040AS04
5H040NN03
5H043AA02
5H043AA13
5H043CA05
(57)【要約】
【課題】回路基板と電線との接続部の損傷を抑制可能な配線モジュールを提供する。
【解決手段】配線モジュール20は、複数の蓄電素子に取り付けられる配線モジュール20であって、複数の電線40と、複数の回路基板21と、複数の回路基板21及び複数の電線40を保持するプロテクタ50と、を備え、各電線40は各回路基板21と電気的に接続され、プロテクタ50は、第1方向に延び複数の電線40を収容する電線収容部62を備え、電線収容部62は、複数の電線40を包囲するように配される周壁63と、周壁63から電線収容部62の内方に延びる第1屈曲リブ54及び第2屈曲リブ55と、を備え、第1屈曲リブ54は、第2屈曲リブ55と第1方向にずれた位置に配され、第1屈曲リブ54は、周壁63から第1方向に直交する第2方向における一方側に延び、第2屈曲リブ55は、周壁63から第2方向における他方側に延びている。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の蓄電素子に取り付けられる配線モジュールであって、
複数の電線と、
複数の回路基板と、
前記複数の回路基板及び前記複数の電線を保持するプロテクタと、を備え、
各前記電線は各前記回路基板と電気的に接続され、
前記プロテクタは、第1方向に延び前記複数の電線を収容する電線収容部を備え、
前記電線収容部は、前記複数の電線を包囲するように配される周壁と、前記周壁から前記電線収容部の内方に延びる第1屈曲リブ及び第2屈曲リブと、を備え、
前記第1屈曲リブは、前記第2屈曲リブと前記第1方向にずれた位置に配され、
前記第1屈曲リブは、前記周壁から前記第1方向に直交する第2方向における一方側に延び、
前記第2屈曲リブは、前記周壁から前記第2方向における他方側に延びている、配線モジュール。
【請求項2】
前記電線収容部は、前記周壁から前記電線収容部の内方に延びる押圧リブをさらに備え、
前記押圧リブは、前記第1方向について前記第1屈曲リブと前記第2屈曲リブとの間に配され、
前記複数の電線は、前記周壁と前記押圧リブとによって、前記第1方向に直交するとともに前記第2方向と交差する第3方向に挟持されるようになっている、請求項1に記載の配線モジュール。
【請求項3】
前記押圧リブは、前記第1方向視において円弧状をなす凹部を有する、請求項2に記載の配線モジュール。
【請求項4】
前記第1屈曲リブ及び前記第2屈曲リブは、それぞれ前記第1方向視において円弧状をなす凹部を有する、請求項1または請求項2に記載の配線モジュール。
【請求項5】
前記複数の電線は束ねられて幹線部を構成しており、
前記電線収容部の内部空間の前記第1方向視における投影面積は、前記幹線部の断面積よりも小さく設定されている、請求項1または請求項2に記載の配線モジュール。
【請求項6】
前記周壁は、前記第1屈曲リブが延出される第1壁部と、前記第2屈曲リブが延出される第2壁部と、を備え、
前記第2壁部は、前記第2方向について前記第1壁部と対向し、
前記第1方向における前記第1屈曲リブと前記第2屈曲リブとの間隔は、前記第2方向における前記第1壁部と前記第2壁部との間隔の3倍よりも小さく設定されている、請求項1または請求項2に記載の配線モジュール。
【請求項7】
前記プロテクタは、プロテクタ本体と、前記プロテクタ本体に対して前記第1方向と直交する方向に重ねられる蓋体と、を備え、
前記電線収容部は、前記プロテクタ本体と前記蓋体とから構成されている、請求項1または請求項2に記載の配線モジュール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、配線モジュールに関する。
【背景技術】
【0002】
電気自動車やハイブリッド自動車等に用いられる高圧のバッテリーパックは、通常、多数のバッテリが積層され、配線モジュールによって直列あるいは並列に電気接続されている。このような配線モジュールとして、従来、特開2019-23996号公報(下記特許文献1)に記載のバッテリ接続モジュールが知られている。特許文献1に記載のバッテリ接続モジュールは、バスバーと、バスバーに接続されるフレキシブル回路基板と、を備えて構成されている。フレキシブル回路基板はその端部にコネクタを含んでいる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2019-23996号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記の構成とは異なり、配線モジュールは、バスバーと、バスバーに接続される回路基板と、回路基板に接続される電線と、を備えてもよい。また、電線の端部にはコネクタが接続されていてもよい。回路基板と電線との接続は、例えば、半田付け等により行うことが考えられる。こうした配置モジュールにおいて、回路基板と電線との接続部は、例えば電線に振動あるいは応力が加わった場合や、コネクタの嵌合操作時に電線が引っ張られたた場合等に、損傷することがありうる。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の配線モジュールは、複数の蓄電素子に取り付けられる配線モジュールであって、複数の電線と、複数の回路基板と、前記複数の回路基板及び前記複数の電線を保持するプロテクタと、を備え、各前記電線は各前記回路基板と電気的に接続され、前記プロテクタは、第1方向に延び前記複数の電線を収容する電線収容部を備え、前記電線収容部は、前記複数の電線を包囲するように配される周壁と、前記周壁から前記電線収容部の内方に延びる第1屈曲リブ及び第2屈曲リブと、を備え、前記第1屈曲リブは、前記第2屈曲リブと前記第1方向にずれた位置に配され、前記第1屈曲リブは、前記周壁から前記第1方向に直交する第2方向における一方側に延び、前記第2屈曲リブは、前記周壁から前記第2方向における他方側に延びている、配線モジュールである。
【発明の効果】
【0006】
本開示によれば、回路基板と電線との接続部の損傷を抑制可能な配線モジュールを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1図1は、実施形態1にかかる蓄電モジュールの平面図であって、電線収容部が開放された状態を示す図である。
図2図2は、実施形態1にかかる蓄電モジュールの平面図であって、電線収容部が閉塞された状態を示す図である。
図3図3は、実施形態1にかかるプロテクタの斜視図である。
図4図4は、実施形態1にかかる配線モジュールの拡大平面図であって、電線収容部が開放された状態を示す図である。
図5図5は、実施形態1にかかる配線モジュールの拡大平面図であって、電線収容部が閉塞された状態を示す図である。
図6図6は、図5のA-A断面図である。
図7図7は、実施形態1にかかるプロテクタの拡大正面図であって、電線収容部の内部空間の投影面積を示す図である。
図8図8は、実施形態2にかかる配線モジュールの拡大平面図であって、電線収容部が開放された状態を示す図である。
図9図9は、実施形態2にかかる配線モジュールの拡大平面図であって、電線収容部が閉塞された状態を示す図である。
図10図10は、図9のB-B断面図である。
図11図11は、実施形態2にかかるプロテクタの斜視図である。
図12図12は、実施形態2にかかるプロテクタの拡大正面図であって、電線収容部の内部空間の投影面積を示す図である。
図13図13は、実施形態3にかかる配線モジュールの拡大平面図であって、電線収容部が開放された状態を示す図である。
図14図14は、実施形態3にかかる配線モジュールの拡大平面図であって、電線収容部が閉塞された状態を示す図である。
図15図15は、図14のC-C断面図である。
図16図16は、実施形態3にかかるプロテクタの斜視図である。
図17図17は、実施形態3にかかるプロテクタの拡大正面図であって、電線収容部の内部空間の投影面積を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
[本開示の実施形態の説明]
最初に本開示の実施態様を列挙して説明する。
[1]本開示の配線モジュールは、複数の蓄電素子に取り付けられる配線モジュールであって、複数の電線と、複数の回路基板と、前記複数の回路基板及び前記複数の電線を保持するプロテクタと、を備え、各前記電線は各前記回路基板と電気的に接続され、前記プロテクタは、第1方向に延び前記複数の電線を収容する電線収容部を備え、前記電線収容部は、前記複数の電線を包囲するように配される周壁と、前記周壁から前記電線収容部の内方に延びる第1屈曲リブ及び第2屈曲リブと、を備え、前記第1屈曲リブは、前記第2屈曲リブと前記第1方向にずれた位置に配され、前記第1屈曲リブは、前記周壁から前記第1方向に直交する第2方向における一方側に延び、前記第2屈曲リブは、前記周壁から前記第2方向における他方側に延びている。
【0009】
このような構成によると、第1屈曲リブと第2屈曲リブとは互いに第2方向における反対側から複数の電線に接触することができるから、複数の電線を第1屈曲リブと第2屈曲リブとによって屈曲させた状態で電線収容部に保持することができる。このため、複数の電線において第1屈曲リブと第2屈曲リブとによって屈曲された部分は、電線収容部の内部でプロテクタに対して第1方向に移動し難くなる。よって、複数の電線に振動や応力がかかった場合に、電線と回路基板との接続部分に応力が生じることを抑制できるため、電線と回路基板との接続部の損傷を抑制することができる。
【0010】
[2]上記[1]において、前記電線収容部は、前記周壁から前記電線収容部の内方に延びる押圧リブをさらに備え、前記押圧リブは、前記第1方向について前記第1屈曲リブと前記第2屈曲リブとの間に配され、前記複数の電線は、前記周壁と前記押圧リブとによって、前記第1方向に直交するとともに前記第2方向と交差する第3方向に挟持されるようになっていることが好ましい。
【0011】
このような構成によると、周壁と押圧リブとにより複数の電線を挟持することができるから、第1屈曲リブ及び第2屈曲リブの周辺で複数の電線を電線収容部により、一層強固に保持しやすくなる。
【0012】
[3]上記[2]において、前記押圧リブは、前記第1方向視において円弧状をなす凹部を有することが好ましい。
【0013】
このような構成によると、押圧リブと複数の電線との接触面積を増大させやすくなる。
【0014】
[4]上記[1]から[3]のいずれか1つにおいて、前記第1屈曲リブ及び前記第2屈曲リブは、それぞれ前記第1方向視において円弧状をなす凹部を有することが好ましい。
【0015】
このような構成によると、第1屈曲リブ及び第2屈曲リブと複数の電線との接触面積を増大させやすくなる。
【0016】
[5]上記[1]から[4]のいずれか1つにおいて、前記複数の電線は束ねられて幹線部を構成しており、前記電線収容部の内部空間の前記第1方向視における投影面積は、前記幹線部の断面積よりも小さく設定されていることが好ましい。
【0017】
このような構成によると、幹線部が第1屈曲リブ及び第2屈曲リブと接触しやすくなる。
【0018】
[6]上記[1]から[5]のいずれか1つにおいて、前記周壁は、前記第1屈曲リブが延出される第1壁部と、前記第2屈曲リブが延出される第2壁部と、を備え、前記第2壁部は、前記第2方向について前記第1壁部と対向し、前記第1方向における前記第1屈曲リブと前記第2屈曲リブとの間隔は、前記第2方向における前記第1壁部と前記第2壁部との間隔の3倍よりも小さく設定されていることが好ましい。
【0019】
このような構成によると、第1屈曲リブ及び第2屈曲リブのそれぞれと複数の電線との間の摩擦力を高めることができる。
【0020】
[7]上記[1]から[6]のいずれか1つにおいて、前記プロテクタは、プロテクタ本体と、前記プロテクタ本体に対して前記第1方向と直交する方向に重ねられる蓋体と、を備え、前記電線収容部は、前記プロテクタ本体と前記蓋体とから構成されていることが好ましい。
【0021】
このような構成によると、電線収容部を簡便に構成することができる。
【0022】
[本開示の実施形態の詳細]
以下に、本開示の実施形態について説明する。本開示はこれらの例示に限定されるものではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内での全ての変更が含まれることが意図される。各図面では、説明の便宜上、構成の一部を誇張または簡略化して示す場合がある。また、各部分の寸法比率については各図面で異なる場合がある。本明細書における「直交」は、厳密に直交の場合のみでなく、本実施形態における作用ならびに効果を奏する範囲内で概ね直交の場合も含まれる。
【0023】
また、本明細書における「対向」とは、面同士又は部材同士が互いに正面の位置にあることを指し、互いが完全に正面の位置にある場合だけでなく、互いが部分的に正面の位置にある場合を含む。また、本明細書における「対向」とは、2つの部分の間に、2つの部分とは別の部材が介在している場合と、2つの部分の間に何も介在していない場合の両方を含む。
【0024】
<実施形態1>
本開示の実施形態1について、図1から図7を参照しつつ説明する。本実施形態の配線モジュール20を備えた蓄電モジュール10は、例えば、電気自動車またはハイブリッド自動車などの車両を駆動するための電源として車両に搭載されるものである。以下の説明においては、矢線Zの示す方向を上方、矢線Xの示す方向を前方、矢線Yの示す方向を左方として説明する。本実施形態では、前後方向は第1方向の一例、左右方向は第2方向の一例、上下方向は第3方向の一例である。なお、複数の同一部材については、一部の部材にのみ符号を付し、他の部材の符号を省略する場合がある。
【0025】
蓄電モジュール10は、図1及び図2に示すように、一列に並べられた複数の蓄電素子11と、複数の蓄電素子11の上面に装着される配線モジュール20と、を備える。配線モジュール20は、複数の蓄電素子11の右側部分に取り付けられている。なお、図示しないものの、複数の蓄電素子11の左側部分にも同様の配線モジュールが取り付けられる。蓄電素子11は、内部に蓄電要素が収容された扁平な直方体状をなしている。蓄電素子11は、上面の右端部寄りの位置と左端部寄りの位置に2つの電極端子12を有する。2つの電極端子12のうち一方は正極であり、他方は負極である。
【0026】
(配線モジュール20)
図1に示すように、配線モジュール20は、蓄電素子11の電極端子12に接続されるバスバー30と、バスバー30に接続される回路基板21と、回路基板21に接続される電線40と、バスバー30、回路基板21、及び電線40を保持するプロテクタ50と、を備える。
【0027】
バスバー30は金属板材から構成され、平面視方形状をなしている。バスバー30は複数の蓄電素子11の積層方向(前後方向)に隣接する電極端子12間を接続している。また、図示しないが、配線モジュール20は、積層方向の端部に配される蓄電素子11の電極端子12(総正極または総負極)に接続される出力バスバーを備えてもよい。バスバー30と電極端子12との接続は、溶接等により行われる。バスバー30は後述するプロテクタ50のバスバー収容部51に収容されている。
【0028】
(回路基板21)
回路基板21は、本実施形態では、フレキシブル基板とされており、可撓性を有する絶縁性のシートの表面にプリント配線技術により導電路が形成されて構成されている。図4に示すように、回路基板21は、基板本体22と、基板本体22から延出される延出部23と、を備える。基板本体22は、平面視略方形状をなしている。基板本体22には挿通孔22Bが設けられており、この挿通孔22Bに後述する突起53Bが挿通されるようになっている。基板本体22には、導電路の一端に配される電線ランド22Aが設けられている。電線ランド22Aは、半田付け等により電線40に接続される。
【0029】
延出部23は線ばね状をなし、伸縮可能に構成されている。延出部23が設けられることにより、延出部23の基板本体22と反対側の端部(先端部)が基板本体22に対して所定寸法変位することが許容されるようになっている。延出部23の先端部には、導電路の他端に配される接続ランド23Aが設けられている。接続ランド23Aは、金属小片15を介してバスバー30と電気的に接続される。
【0030】
図示しないものの、回路基板21の導電路にはヒューズ等が設けられていてもよい。また、回路基板21は複数の導電路を備え、導電路は蓄電素子11の温度を測定するためのサーミスタ回路の一部を含んでもよい。
【0031】
(電線40、幹線部41)
回路基板21に接続された電線40は、後述するプロテクタ50の電線収容部62へとまとめて収容される。複数の電線40は電線収容部62内において前後方向に延びて配されている。なお、複数の電線40は、バスバー30に電気的に接続される電圧検知線の他に、例えば蓄電素子11の温度を測定するサーミスタに接続された温度検知線を含んでもよい。複数の電線40は束ねられて幹線部41を構成している。詳細には、幹線部41は、複数の電線40をテープや熱収縮チューブ等により一体化することにより構成されている。幹線部41は略円柱形状をなしている。幹線部41は所定の剛性を有し、屈曲可能となっている。
【0032】
複数の電線40は、回路基板21と反対側の端部においてコネクタ42に接続されている。コネクタ42は、外部のECU(Electronic Control Unit)等に接続されるようになっている。ECUは、マイクロコンピュータ、素子等が搭載されたものであって、各蓄電素子11の電圧、電流、温度等の検知や、各蓄電素子11の充放電制御コントロール等を行うための機能を備えた周知の構成のものである。
【0033】
(プロテクタ50)
プロテクタ50は絶縁性の合成樹脂から構成されている。図3から図5に示すように、プロテクタ50は、プロテクタ本体50Aと、プロテクタ本体50Aを上方から覆う蓋体50Bと、を備える。蓋体50Bはヒンジ部50Cを介してプロテクタ本体50Aと一体的に形成されている。ヒンジ部50Cは弾性変形可能に構成されている。図5に示すように、ヒンジ部50Cを弾性変形させることにより、蓋体50Bをプロテクタ本体50Aの上方に重ねて組み付けることができる。
【0034】
(プロテクタ本体50A)
図3に示すように、プロテクタ本体50Aはトレイ状をなしている。プロテクタ本体50Aは、バスバー30が収容されるバスバー収容部51と、複数の電線40が収容される収容凹部52と、バスバー収容部51と収容凹部52との間に配される中間配索部53と、を備える。バスバー収容部51は、枠状をなして、前後方向に並んで配置されている。
【0035】
図4に示すように、中間配索部53には、回路基板21と、回路基板21に接続された電線40と、が配置されている。図3に示すように、中間配索部53は、回路基板21が載置される載置面53Aと、載置面53Aから上方に突出する柱状の突起53Bと、載置面53Aから下方に凹む突出部受け部53Cと、を有する。突起53Bは回路基板21の挿通孔22Bに挿通される。これにより、基板本体22は中間配索部53において位置決めされる。
【0036】
中間配索部53には、載置面53Aから上方に立ち上がる仕切壁53Dが設けられている。仕切壁53Dにより電線40の位置決めを行うことができる。仕切壁53Dは突出部受け部53Cの周囲に配されることが好ましい。
【0037】
中間配索部53は、後述する蓋体50Bのロック部58と係止するロック受け部53Eを有する。ロック受け部53Eは、中間配索部53におけるバスバー収容部51寄りの位置に配されている。
【0038】
収容凹部52は溝状をなし、前後方向に延びている。収容凹部52は、後述するように蓋体50Bとともに電線収容部62を構成する。収容凹部52は底壁52Aと、底壁52Aの左端縁から上方に立ち上がる第1側壁52Bと、底壁52Aの右端縁から上方に立ち上がる第2側壁52Cと、を備える。第1側壁52Bはヒンジ部50Cを介して蓋体50Bと接続されている。第2側壁52Cには、図示しない切り欠き部が形成されている。この切り欠き部を通じて中間配索部53から収容凹部52へと電線40が受け入れられるようになっている。
【0039】
(第1屈曲リブ54、第2屈曲リブ55)
収容凹部52は、第1側壁52B(第1壁部の一例)から右方に延びる第1屈曲リブ54と、第2側壁52C(第2壁部の一例)から左方に延びる第2屈曲リブ55と、を備える。第1屈曲リブ54及び第2屈曲リブ55は、左右方向について収容凹部52(電線収容部62)の内方に向かって延びている。第1屈曲リブ54の下端部及び第2屈曲リブ55の下端部は、底壁52Aに接続されている。第1屈曲リブ54は第2屈曲リブ55より前方に位置している。
【0040】
第1屈曲リブ54及び第2屈曲リブ55は、複数の電線40が導出される電線収容部62の終端部(ここでは電線収容部62の前端部)の近傍に配されている。プロテクタ本体50Aにおける電線収容部62の終端部よりも前側の位置には、余長部配設部56が設けられている。余長部配設部56は、幹線部41とコネクタ42との間に配される電線40の余長部やコネクタ42を配設可能とされている。
【0041】
図4に示すように、収容凹部52内に幹線部41が収容されると、第1屈曲リブ54は左側から幹線部41に接触し、第2屈曲リブ55は右側から幹線部41に接触する。これにより、幹線部41は平面視において略S字状に屈曲した状態となる。したがって、収容凹部52において複数の電線40を強固に保持することができる。
【0042】
本実施形態の配線モジュール20は車両に用いられるため、電線40に振動が加わることが考えられる。また、複数の電線40はコネクタ42に接続されており、このコネクタ42を外部のECU等に接続する際に、複数の電線40に引っ張り応力が加わることが想定される。上記したように、本実施形態では、電線収容部62において幹線部41が第1屈曲リブ54及び第2屈曲リブ55により屈曲された状態となっている。このため、複数の電線40に振動や引っ張り応力が加わった場合でも、電線40と回路基板21との接続部に振動や引っ張り応力が伝わりにくくなっている。したがって、電線40と回路基板21との接続部の損傷を抑制することができる。
【0043】
前後方向における第1屈曲リブ54と第2屈曲リブ55との間隔D1は、ある程度小さく設定されることが好ましい。例えば、前後方向における第1屈曲リブ54と第2屈曲リブ55との間隔D1は、左右方向における第1側壁52Bと第2側壁52Cとの間隔D2の3倍よりも小さく設定されていることが好ましい。また、前後方向における第1屈曲リブ54と第2屈曲リブ55との間隔D1は、幹線部41の径D3の3倍よりも小さく設定されていてもよい。このような寸法設定によれば、幹線部41を前後方向について狭い範囲で略S字状に屈曲させることで、幹線部41が屈曲状態から復帰しようとする復元力を高めることができる。この結果、幹線部41と第1屈曲リブ54及び第2屈曲リブ55とを強く接触させ、幹線部41と第1屈曲リブ54及び第2屈曲リブ55との間の摩擦を大きくすることができる。
【0044】
左右方向における第1屈曲リブ54と第2屈曲リブ55との間隔D4(図7参照)は、幹線部41の径D3(図4参照)よりも小さく設定されていることが好ましい。このような寸法設定によれば、第1屈曲リブ54と第2屈曲リブ55とにより幹線部41を大きく屈曲させることができる。よって、電線収容部62にさらに強固に幹線部41を保持しやすくなる。
【0045】
(蓋体50B)
図3から図5に示すように、蓋体50Bはプロテクタ本体50Aの収容凹部52及び中間配索部53を上方から閉塞可能に構成されている。すなわち、蓋体50Bは、プロテクタ本体50Aに対して第1方向と直交する方向に重ねられていてもよい。例えば、蓋体50Bは、プロテクタ本体50Aに対して第1方向と直交し且つ第2方向と交差する方向に重ねられている。図3に示すように、蓋体50Bは、板状部57と、板状部57から突出するロック部58、突出部59、凸部60、及び押圧リブ61と、を備える。ロック部58がロック受け部53Eと係止することにより、蓋体50Bがプロテクタ本体50Aを閉塞した状態を維持可能とされている。
【0046】
突出部59は、例えばブロック状をなしている。蓋体50Bがプロテクタ本体50Aを閉塞した状態で、突出部59は突出部受け部53Cと上下方向に対向して配され、突出部59と突出部受け部53Cとの間には電線40が配されるようになっている。突出部59と突出部受け部53Cとの間隔は、電線40の径と同程度となっている。これにより、電線40に振動や応力が加わった場合に、電線40と突出部59または突出部受け部53Cとの間に摩擦が生じやすくなる。よって、振動や応力が電線40と回路基板21との接続部に伝わりにくくなり、電線40と回路基板21との接続部の損傷を抑制することができる。
【0047】
凸部60は、例えばブロック状をなしている。蓋体50Bがプロテクタ本体50Aを閉塞した状態で、凸部60は載置面53Aと対向して配され、凸部60と載置面53Aとの間には電線40が配されるようになっている。凸部60と載置面53Aとの間隔は、電線40の径と同程度となっている。これにより、電線40に振動や応力が加わった場合に、電線40と凸部60または載置面53Aとの間に摩擦が生じやすくなる。よって、振動や応力が電線40と回路基板21との接続部に伝わりにくくなり、電線40と回路基板21との接続部の損傷を抑制することができる。
【0048】
(押圧リブ61、電線収容部62、周壁63)
板状部57のうちヒンジ部50C寄りの部分は、収容凹部52を閉塞する天井壁57Aとなっている。蓋体50Bは、蓋体50Bがプロテクタ本体50Aを閉塞した状態で、天井壁57Aから収容凹部52の内方に延びる押圧リブ61を備える(図6参照)。押圧リブ61は、前後方向について第1屈曲リブ54と第2屈曲リブ55との間に配されている。本実施形態の電線収容部62は、プロテクタ本体50Aの収容凹部52と、蓋体50Bの天井壁57A及び押圧リブ61と、により構成されている。電線収容部62において幹線部41を取り囲んで配される周壁63は、底壁52Aと、第1側壁52Bと、第2側壁52Cと、天井壁57Aと、により構成されている。
【0049】
図6に示すように、蓋体50Bがプロテクタ本体50Aを閉塞した状態で、押圧リブ61と底壁52Aとは、上下方向に幹線部41を挟持するように構成されている。押圧リブ61により、幹線部41をさらに強固に電線収容部62に保持することができるから、複数の電線40に振動や応力が加わった場合でも電線40と回路基板21との接続部に振動や応力が伝わることを抑制することができる。よって、電線40と回路基板21との接続部の損傷を抑制することができる。
【0050】
(凹部61A)
押圧リブ61は、突出端から天井壁57A側に凹む凹部61Aを有する。凹部61Aは、前後方向から見て円弧状をなして形成されている。押圧リブ61に凹部61Aを形成することで、幹線部41と押圧リブ61との接触面積を増大させることができる。よって、幹線部41をさらに強固に電線収容部62に保持することが可能となる。また、凹部61Aにより幹線部41を左右方向に位置決めすることができる。
【0051】
(投影面積64)
図7に示すように、電線収容部62を前後方向から見た場合に、電線収容部62の内部空間は、第1屈曲リブ54、第2屈曲リブ55、及び押圧リブ61に遮られることなく、前後方向に延びる連続空間(図7の斜線部)を含んでいる。この連続空間を前後方向から見た場合の面積を、電線収容部62の内部空間を前後方向から見た場合の投影面積64と定義し、以下、簡単に投影面積64と呼称する。本実施形態では、投影面積64は、幹線部41の断面積41A(図6参照)よりも小さく設定されている。例えば、投影面積64は、幹線部41の断面積41Aの70%以下であってもよい。このような構成によれば、連続空間が小さくなることにより、幹線部41が、第1屈曲リブ54、第2屈曲リブ55、及び押圧リブ61と接触しやすくなる。よって、幹線部41を電線収容部62にさらに強固に保持することができる。
【0052】
(実施形態1の作用効果)
(1-1)実施形態1にかかる配線モジュール20は、複数の蓄電素子11に取り付けられる配線モジュール20であって、複数の電線40と、複数の回路基板21と、複数の回路基板21及び複数の電線40を保持するプロテクタ50と、を備え、各電線40は各回路基板21と電気的に接続され、プロテクタ50は、第1方向(前後方向)に延び複数の電線40を収容する電線収容部62を備え、電線収容部62は、複数の電線40を包囲するように配される周壁63と、周壁63から電線収容部62の内方に延びる第1屈曲リブ54及び第2屈曲リブ55と、を備え、第1屈曲リブ54は、第2屈曲リブ55と第1方向にずれた位置に配され、第1屈曲リブ54は、周壁63から第1方向に直交する第2方向(左右方向)における一方側に延び、第2屈曲リブ55は、周壁63から第2方向における他方側に延びている。
【0053】
このような構成によると、第1屈曲リブ54と第2屈曲リブ55とは互いに第2方向における反対側から複数の電線40に接触することができるから、複数の電線40を第1屈曲リブ54と第2屈曲リブ55とによって屈曲させた状態で電線収容部62に保持することができる。このため、複数の電線40において第1屈曲リブ54と第2屈曲リブ55とによって屈曲された部分は、電線収容部62の内部でプロテクタ50に対して第1方向に移動し難くなる。よって、複数の電線40に振動や応力がかかった場合に、電線40と回路基板21との接続部分に応力が生じることを抑制できるため、電線40と回路基板21との接続部の損傷を抑制することができる。
【0054】
(1-2)実施形態1では、電線収容部62は、周壁63から電線収容部62の内方に延びる押圧リブ61をさらに備え、押圧リブ61は、第1方向について第1屈曲リブ54と第2屈曲リブ55との間に配され、複数の電線40は、周壁63と押圧リブ61とによって、第1方向に直交するとともに第2方向と交差する第3方向(上下方向)に挟持されるようになっている。
【0055】
このような構成によると、周壁63と押圧リブ61とにより複数の電線40を挟持することができるから、第1屈曲リブ54及び第2屈曲リブ55の周辺で複数の電線40を電線収容部62により、一層強固に保持しやすくなる。
【0056】
(1-3)実施形態1では、押圧リブ61は、第1方向視において円弧状をなす凹部61Aを有する。
【0057】
このような構成によると、押圧リブ61と複数の電線40との接触面積を増大させやすくなる。したがって、押圧リブ61と電線40との間の摩擦力を高めることができるため、押圧リブ61の近傍で電線40が電線収容部62に対して第1方向に移動することを、より抑制することができる。
【0058】
(1-4)実施形態1では、複数の電線40は束ねられて幹線部41を構成しており、電線収容部62の内部空間の第1方向視における投影面積64は、幹線部41の断面積41Aよりも小さく設定されている。
【0059】
このような構成によると、幹線部41が第1屈曲リブ54及び第2屈曲リブ55と接触しやすくなる。したがって、複数の電線40において第1屈曲リブ54と第2屈曲リブ55とによって屈曲された部分は、電線収容部62の内部でプロテクタ50に対して第1方向に、より一層移動し難くなる。よって、電線40と回路基板21との接続部の損傷を、より一層抑制することができる。
【0060】
(1-5)実施形態1では、周壁63は、第1屈曲リブ54が延出される第1壁部(第1側壁52B)と、第2屈曲リブ55が延出される第2壁部(第2側壁52C)と、を備え、第2壁部は、第2方向について第1壁部と対向し、第1方向における第1屈曲リブ54と第2屈曲リブ55との間隔D1は、第2方向における第1壁部と第2壁部との間隔D2の3倍よりも小さく設定されている。
【0061】
このような構成によると、第1屈曲リブ54及び第2屈曲リブ55のそれぞれと複数の電線40との間の摩擦力を高めることができる。したがって、複数の電線40において第1屈曲リブ54と第2屈曲リブ55とによって屈曲された部分は、プロテクタ50に対して第1方向にさらに一層移動し難くなるため、電線40と回路基板21との接続部の損傷をさらに一層抑制することができる。
【0062】
(1-6)実施形態1では、プロテクタ50は、プロテクタ本体50Aと、プロテクタ本体50Aに対して第1方向と直交する方向に重ねられる蓋体50Bと、を備え、電線収容部62は、プロテクタ本体50Aと蓋体50Bとから構成されている。
【0063】
このような構成によると、電線収容部62を簡便に構成することができる。
【0064】
<実施形態2>
本開示の実施形態2について、図8から図12を参照しつつ説明する。実施形態2にかかる配線モジュール120は、第1屈曲リブ154及び第2屈曲リブ155の構成を除いて、実施形態1と略同様に構成されている。実施形態2では、前後方向は第1方向の一例、上下方向は第2方向の一例である。以下、実施形態1と同一の部材には同一の符号を付し、実施形態1と同様の構成、作用効果については、詳細な説明を省略する。
【0065】
図8及び図9に示すように、本実施形態の配線モジュール120はプロテクタ150を備え、プロテクタ150はプロテクタ本体150Aと蓋体150Bとを備える。プロテクタ150は、複数の電線40を収容する電線収容部162を備える。図11に示すように、電線収容部162は、プロテクタ本体150Aの収容凹部152と、蓋体150Bの天井壁57A及び第2屈曲リブ155と、により構成されている。
【0066】
(第1屈曲リブ154)
収容凹部152は、底壁52Aから上方に延びる2つの第1屈曲リブ154を備える。第1屈曲リブ154の左端部は第1側壁52Bに接続され、第1屈曲リブ154の右端部は第2側壁52Cに接続されている。2つの第1屈曲リブ154は前後方向に離間している。
【0067】
(凹部154A)
第1屈曲リブ154は、突出端から底壁52A側に凹む凹部154Aを有する。凹部154Aは、前後方向から見て円弧状をなして形成されている。第1屈曲リブ154に凹部154Aを形成することで、幹線部41と第1屈曲リブ154との接触面積を増大させることができる。よって、幹線部41をさらに強固に電線収容部162に保持することが可能となる。また、凹部154Aにより幹線部41を左右方向に位置決めすることができる。
【0068】
(第2屈曲リブ155)
蓋体150Bは、天井壁57Aから延びる第2屈曲リブ155を備える。蓋体150Bがプロテクタ本体150Aを閉塞した状態で、第2屈曲リブ155は底壁52A側(下方)に延びている。第2屈曲リブ155は、前後方向について2つの第1屈曲リブ154の間に配されている。
【0069】
(凹部155A)
第2屈曲リブ155は、突出端から天井壁57A側に凹む凹部155Aを有する。凹部155Aは、前後方向から見て円弧状をなして形成されている。第2屈曲リブ155に凹部155Aを形成することで、幹線部41と第2屈曲リブ155との接触面積を増大させることができる。よって、幹線部41をさらに強固に電線収容部162に保持することが可能となる。また、凹部155Aにより幹線部41を左右方向に位置決めすることができる。
【0070】
図10に示すように、電線収容部162内に幹線部41が収容されると、第1屈曲リブ154は下側から幹線部41に接触し、第2屈曲リブ155は上側から幹線部41に接触する。これにより、幹線部41は左右方向から見て略S字状に屈曲した状態となる。したがって、電線収容部162において複数の電線40を強固に保持することができる。
【0071】
(投影面積164)
図12に示すように、電線収容部162を前後方向から見た場合に、電線収容部162の内部空間は、第1屈曲リブ154及び第2屈曲リブ155に遮られることなく、前後方向に延びる連続空間を含んでいる。この連続空間のうち、凹部154A,155Aの内側に配される正面視楕円状の空間(図の斜線部)は、幹線部41が進入可能な進入空間とされる。この進入空間を前後方向から見た場合の面積を、投影面積164とする。本実施形態では、投影面積164は、幹線部41の断面積41Aよりも小さく設定されている。このような構成によれば、進入空間が小さくなることにより、幹線部41が、第1屈曲リブ154及び第2屈曲リブ155と接触しやすくなる。よって、幹線部41を電線収容部162にさらに強固に保持することができる。
【0072】
(実施形態2の作用効果)
(2-1)実施形態2では、第1屈曲リブ154及び第2屈曲リブ155は、それぞれ第1方向視において円弧状をなす凹部154A,155Aを有する。
【0073】
このような構成によると、第1屈曲リブ154及び第2屈曲リブ155と複数の電線40との接触面積を増大させやすくなる。したがって、第1屈曲リブ154及び第2屈曲リブ155と電線40との間の摩擦力を高めることができるため、第1屈曲リブ154及び第2屈曲リブ155の近傍で電線40が電線収容部162に対して第1方向に移動することを、より抑制することができる。
【0074】
<実施形態3>
本開示の実施形態3について、図13から図17を参照しつつ説明する。実施形態3にかかる配線モジュール220は、前側リブ265、後側リブ266、及び中間リブ267の構成を除いて、実施形態1と略同様に構成されている。実施形態2では、前後方向は第1方向の一例である。以下、実施形態1と同一の部材には同一の符号を付し、実施形態1と同様の構成、作用効果については、詳細な説明を省略する。
【0075】
図13及び図14に示すように、本実施形態の配線モジュール220はプロテクタ250を備え、プロテクタ250はプロテクタ本体250Aと蓋体250Bとを備える。プロテクタ250は、複数の電線40を収容する電線収容部262を備える。図16に示すように、電線収容部262は、プロテクタ本体250Aの収容凹部252と、蓋体250Bの天井壁57A及び中間リブ267と、により構成されている。
【0076】
(前側リブ265、後側リブ266)
収容凹部252は、前側リブ265と、前側リブ265より後方に位置する後側リブ266と、を備える。前側リブ265は、底壁52Aから上方に延びるとともに、第1側壁52Bから右方に延びている。前側リブ265の右端部は第2側壁52Cに接続されている。後側リブ266は、底壁52Aから上方に延びるとともに、第2側壁52Cから左方に延びている。後側リブ266の左端部は第1側壁52Bに接続されている。
【0077】
(凹部265A)
前側リブ265の右側部分には、突出端から底壁52A側に凹む凹部265Aが形成されている。凹部265Aは、前後方向から見て円弧状をなして形成されている。前側リブ265に凹部265Aを形成することで、幹線部41と前側リブ265との接触面積を増大させることができる。よって、幹線部41をさらに強固に電線収容部262に保持することが可能となる。また、凹部265Aにより幹線部41を左右方向に位置決めすることができる。
【0078】
(凹部266A)
後側リブ266の左側部分には、突出端から底壁52A側に凹む凹部266Aが形成されている。凹部266Aは、前後方向から見て円弧状をなして形成されている。後側リブ266に凹部266Aを形成することで、幹線部41と後側リブ266との接触面積を増大させることができる。よって、幹線部41をさらに強固に電線収容部262に保持することが可能となる。また、凹部266Aにより幹線部41を左右方向に位置決めすることができる。
【0079】
(中間リブ267)
蓋体250Bは、天井壁57Aから延びる中間リブ267を備える。蓋体250Bがプロテクタ本体250Aを閉塞した状態で、中間リブ267は底壁52A側(下方)に延びている。中間リブ267は、前後方向について前側リブ265と後側リブ266との間に配されている。
【0080】
(凹部267A)
中間リブ267は、突出端から天井壁57A側に凹む凹部267Aを有する。凹部267Aは、前後方向から見て円弧状をなして形成されている。中間リブ267に凹部267Aを形成することで、幹線部41と中間リブ267との接触面積を増大させることができる。よって、幹線部41をさらに強固に電線収容部262に保持することが可能となる。また、凹部267Aにより幹線部41を左右方向に位置決めすることができる。
【0081】
電線収容部262内に幹線部41が収容されると、図13に示すように、前側リブ265は左側から幹線部41に接触し、後側リブ266は右側から幹線部41に接触する。これにより、幹線部41は平面視において略S字状に屈曲した状態となる。すなわち、前側リブ265は第1屈曲リブの一例、後側リブ266は第2屈曲リブの一例、左右方向は第2方向の一例として捉えることができる。また、中間リブ267は前後方向について前側リブ265と後側リブ266との間に配され、底壁52Aとともに上下方向に幹線部41を挟持するから、中間リブ267は押圧リブの一例、上下方向は第3方向の一例として捉えることができる。
【0082】
さらに図15に示すように、前側リブ265及び後側リブ266は下側から幹線部41に接触し、中間リブ267は上側から幹線部41に接触する。これにより、幹線部41は左右方向から見て略S字状に屈曲した状態となる。すなわち、前側リブ265及び後側リブ266は第1屈曲リブの一例、中間リブ267は第2屈曲リブの一例、上下方向は第2方向の一例として捉えることができる。
【0083】
上記のように、本実施形態では、幹線部41は平面視及び側面視において屈曲しつつ、前側リブ265、後側リブ266、及び中間リブ267と接触するから、電線収容部262において複数の電線40を強固に保持することができる。
【0084】
(投影面積264)
図17に示すように、電線収容部262を前後方向から見た場合に、電線収容部262の内部空間は、前側リブ265、後側リブ266、及び中間リブ267に遮られることなく、前後方向に延びる連続空間(図の斜線部)を含んでいる。この連続空間を前後方向から見た場合の面積を、投影面積264とする。本実施形態では、投影面積264は、幹線部41の断面積41Aよりも小さく設定されている。このような構成によれば、連続空間が小さくなることにより、幹線部41が、前側リブ265、後側リブ266、及び中間リブ267と接触しやすくなる。よって、幹線部41を電線収容部262にさらに強固に保持することができる。
【0085】
実施形態3の作用効果は、実施形態1の作用効果または実施形態2の作用効果と同様であるから、説明を省略する。
【0086】
(他の実施形態)
上記実施形態1~3は、以下のように変更して実施することができる。上記実施形態1~3及び以下の変更例は、技術的に矛盾しない範囲で互いに組み合わせて実施することができる。
【0087】
・上記実施形態1~3では、周壁63は底壁52Aと第1側壁52Bと第2側壁52Cと天井壁57Aとを備え、角筒状をなしていたが、周壁は例えば円筒状であってもよい。また、上記実施形態1~3では、周壁63は複数の電線40の外周全体を覆うように配されていたが、周壁は複数の電線の外周の少なくとも一部を覆っていればよい。例えば、周壁は天井壁を有さず、底壁と第1側壁と第2側壁とから構成されていてもよい。
【0088】
・上記実施形態1~3では、複数の電線40は束ねられて幹線部41を構成していたが、複数の電線は幹線部を構成していなくてもよい。
【0089】
・上記実施形態1~3では、電線収容部62,162,262はそれぞれプロテクタ本体50A,150A,250Aと蓋体50B,150B,250Bとから構成されていたが、電線収容部は1つの部材から構成されていてもよい。
【0090】
・上記実施形態1~3では、回路基板21はフレキシブル基板であったが、回路基板は硬質基板であってもよい。
【符号の説明】
【0091】
10: 蓄電モジュール
11: 蓄電素子
12: 電極端子
15: 金属小片
20: 配線モジュール
21: 回路基板
22: 基板本体
22A: 電線ランド
22B: 挿通孔
23: 延出部
23A: 接続ランド
30: バスバー
40: 電線
41: 幹線部
41A: 幹線部41の断面積
42: コネクタ
50: プロテクタ
50A: プロテクタ本体
50B: 蓋体
50C: ヒンジ部
51: バスバー収容部
52: 収容凹部
52A: 底壁
52B: 第1側壁
52C: 第2側壁
53: 中間配索部
53A: 載置面
53B: 突起
53C: 突出部受け部
53D: 仕切壁
53E: ロック受け部
54: 第1屈曲リブ
55: 第2屈曲リブ
56: 余長部配設部
57: 板状部
57A: 天井壁
58: ロック部
59: 突出部
60: 凸部
61: 押圧リブ
61A: 凹部
62: 電線収容部
63: 周壁
64: 投影面積
120: 配線モジュール
150: プロテクタ
150A: プロテクタ本体
150B: 蓋体
152: 収容凹部
154: 第1屈曲リブ
154A: 凹部
155: 第2屈曲リブ
155A: 凹部
162: 電線収容部
164: 投影面積
220: 配線モジュール
250: プロテクタ
250A: プロテクタ本体
250B: 蓋体
252: 収容凹部
262: 電線収容部
264: 投影面積
265: 前側リブ
265A: 凹部
266: 後側リブ
266A: 凹部
267: 中間リブ
267A: 凹部
D1: 前後方向における第1屈曲リブ54と第2屈曲リブ55との間隔
D2: 左右方向における第1側壁52Bと第2側壁52Cとの間隔
D3: 幹線部41の径
D4: 左右方向における第1屈曲リブ54と第2屈曲リブ55との間隔
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17