(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024017579
(43)【公開日】2024-02-08
(54)【発明の名称】携帯端末及びそのプログラム
(51)【国際特許分類】
G01C 21/26 20060101AFI20240201BHJP
【FI】
G01C21/26 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022120307
(22)【出願日】2022-07-28
(71)【出願人】
【識別番号】390004710
【氏名又は名称】株式会社第一興商
(74)【代理人】
【識別番号】100111202
【弁理士】
【氏名又は名称】北村 周彦
(74)【代理人】
【識別番号】100187562
【弁理士】
【氏名又は名称】沼田 義成
(72)【発明者】
【氏名】岡本 直紀
【テーマコード(参考)】
2F129
【Fターム(参考)】
2F129AA03
2F129BB03
2F129CC15
2F129CC16
2F129CC17
2F129DD13
2F129DD14
2F129DD15
2F129DD20
2F129EE02
2F129EE43
2F129EE52
2F129EE58
2F129EE59
2F129EE78
2F129EE79
2F129EE80
2F129FF12
2F129FF15
2F129FF20
2F129FF32
2F129FF42
2F129FF43
2F129FF58
2F129FF62
2F129FF63
2F129FF64
2F129HH12
2F129HH21
(57)【要約】
【課題】カラオケ歌唱を邪魔することなく音声ガイドを利用者に伝えることができる携帯端末及びそのプログラムを提供する。
【解決手段】携帯端末3は、ナビアプリ21と、カラオケアプリ20と、特定部23及び変更処理部24を有する管理アプリ22と、を有する。特定部23は、ナビアプリ21が経路案内を開始してカラオケアプリ20がカラオケ演奏を開始した場合、ナビアプリ21の走行経路情報とカラオケアプリ20の演奏区間情報とに基づいて楽曲の歌唱区間に対応する走行経路の走行区間を示す歌唱走行区間を特定する。変更処理部24は、音声ガイドの音声ガイド位置とガイドデータとを対応付けた音声ガイドテーブルを取得し、音声ガイド位置が歌唱走行区間の範囲内にある場合に範囲外に変更し、変更距離に応じてガイドデータを変更し、変更した音声ガイド位置及びガイドデータを対応付けた音声ガイドテーブルをナビアプリ21に出力する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
出発地から目的地までの走行経路を探索して案内するナビゲーション手段と、楽曲のカラオケ演奏を行うカラオケ演奏手段とを有する携帯端末であって、
前記ナビゲーション手段が前記走行経路の案内を開始した後、前記カラオケ演奏手段が所定の演奏開始位置でカラオケ演奏を開始した場合に、前記走行経路に関する走行経路情報を前記ナビゲーション手段から取得し、前記楽曲のカラオケ演奏に関する演奏区間情報を前記カラオケ演奏手段から取得し、前記走行経路情報と前記演奏区間情報とに基づいて、前記楽曲の歌唱区間に対応する前記走行経路の走行区間を示す歌唱走行区間を特定する特定部と、
前記走行経路を案内する音声ガイドの出力位置を示す音声ガイド位置と当該音声ガイド位置での案内内容を示すガイドデータとを対応付けて含む音声ガイドテーブルを前記ナビゲーション手段から取得し、前記音声ガイドテーブルに含まれる前記音声ガイド位置が前記歌唱走行区間の範囲内にある場合、当該音声ガイド位置を前記歌唱走行区間の範囲外に変更すると共に、当該音声ガイド位置の変更距離に応じて当該音声ガイド位置に対応する前記ガイドデータを変更し、変更した前記音声ガイド位置と変更した前記ガイドデータとを対応付けた音声ガイドテーブルを前記ナビゲーション手段に対して出力する変更処理部と、
を有することを特徴とする携帯端末。
【請求項2】
前記変更処理部は、前記音声ガイド位置を前記出発地の方向に移動させるように変更することを特徴とする請求項1に記載の携帯端末。
【請求項3】
前記変更処理部は、前記音声ガイド位置の変更距離が所定の移動条件を満たす場合に、前記音声ガイド位置を前記目的地の方向に移動させるように変更することを特徴とする請求項1又は2に記載の携帯端末。
【請求項4】
出発地から目的地までの走行経路を探索して案内するナビゲーション手段と、楽曲のカラオケ演奏を行うカラオケ演奏手段とを有する携帯端末のプログラムであって、
前記ナビゲーション手段が前記走行経路の案内を開始した後、前記カラオケ演奏手段が所定の演奏開始位置でカラオケ演奏を開始した場合に、前記走行経路に関する走行経路情報を前記ナビゲーション手段から取得し、前記楽曲のカラオケ演奏に関する演奏区間情報を前記カラオケ演奏手段から取得し、前記走行経路情報と前記演奏区間情報とに基づいて、前記楽曲の歌唱区間に対応する前記走行経路の走行区間を示す歌唱走行区間を特定する特定ステップと、
前記走行経路を案内する音声ガイドの出力位置を示す音声ガイド位置と当該音声ガイド位置での案内内容を示すガイドデータとを対応付けて含む音声ガイドテーブルを前記ナビゲーション手段から取得し、前記音声ガイドテーブルに含まれる前記音声ガイド位置が前記歌唱走行区間の範囲内にある場合、当該音声ガイド位置を前記歌唱走行区間の範囲外に変更すると共に、当該音声ガイド位置の変更距離に応じて当該音声ガイド位置に対応する前記ガイドデータを変更し、変更した前記音声ガイド位置と変更した前記ガイドデータとを対応付けた音声ガイドテーブルを前記ナビゲーション手段に対して出力する変更処理ステップと、
を前記携帯端末に実行させることを特徴とするプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ナビゲーション手段とカラオケ演奏手段とを有する携帯端末及びそのプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、スマートフォンやタブレットなどの携帯端末は、様々なアプリケーションを搭載して、自宅、飲食店、街中、公共交通機関や自家用車の中などのあらゆる場所で、当該アプリケーション及び配信サービスによって、利用者に様々なエンターテイメントを提供する。例えば、携帯端末は、カラオケアプリケーションによって、楽曲のカラオケ演奏などのエンターテイメントを利用者に提供することができ、利用者はカラオケ演奏に合わせてカラオケ歌唱をすることができる。また、携帯端末は、ナビゲーションアプリケ-ションによって、経路案内を利用者に提供するだけでなく、通行規制や渋滞情報、更には、交通取り締まり情報などを利用者に提供することができる。
【0003】
ところで、車両には、楽曲などの音声を出力するオーディオシステムと、案内音声を出力するナビゲーションシステムとを搭載するものがある。例えば、特許文献1の車載用割込信号出力装置は、オーディオ信号以外の割込信号を出力する装置であって、割込信号及び割込制御信号を出力するナビゲーション部と、割込信号及び割込制御信号をオーディオ信号用のアンプに導く手段とを有し、アンプは、オーディオ信号と割込信号とを割込制御信号に基づき合成あるいは切り替えて出力するスイッチ手段を有する。例えば、割込信号の優先度がオーディオ信号の優先度よりも高い場合、スイッチ手段によりオーディオ信号に代えて割込信号が出力される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、携帯端末は、複数のアプリケーションを同時に実行させることができ、例えば、ナビゲーションアプリケ-ションを実行して経路案内の音声ガイドを利用者に出力している間に、カラオケアプリケーションを実行してカラオケ演奏を行うことがある。このとき、カラオケ歌唱中に音声ガイドが放音されるので、音声ガイドは、カラオケ歌唱を邪魔することになる。
【0006】
また、携帯端末に上記の特許文献1のような技術を適用すると、カラオケアプリケーションによるカラオケ演奏を実行している間に、ナビゲーションアプリケ-ションによって経路案内の音声ガイドを出力する場合、カラオケ演奏を中断することになる。そのため、携帯端末の利用者が、音声ガイドなどによってカラオケ歌唱を邪魔されたくないと感じる場合には、従来技術では、音声ガイドなどによってカラオケ演奏が中断され、カラオケ歌唱を邪魔してしまう。一方、カラオケ歌唱を優先させるために音声ガイドの出力を中断すると、経路案内が妨げられるので、ナビゲーションアプリケ-ションを有効に利用することができなくなる。
【0007】
本発明の目的は、カラオケ歌唱を邪魔することなく、音声ガイドを利用者に伝えることができる携帯端末及びそのプログラムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、本発明の携帯端末は、出発地から目的地までの走行経路を探索して案内するナビゲーション手段と、楽曲のカラオケ演奏を行うカラオケ演奏手段とを有する携帯端末であって、前記ナビゲーション手段が前記走行経路の案内を開始した後、前記カラオケ演奏手段が所定の演奏開始位置でカラオケ演奏を開始した場合に、前記走行経路に関する走行経路情報を前記ナビゲーション手段から取得し、前記楽曲のカラオケ演奏に関する演奏区間情報を前記カラオケ演奏手段から取得し、前記走行経路情報と前記演奏区間情報とに基づいて、前記楽曲の歌唱区間に対応する前記走行経路の走行区間を示す歌唱走行区間を特定する特定部と、前記走行経路を案内する音声ガイドの出力位置を示す音声ガイド位置と当該音声ガイド位置での案内内容を示すガイドデータとを対応付けて含む音声ガイドテーブルを前記ナビゲーション手段から取得し、前記音声ガイドテーブルに含まれる前記音声ガイド位置が前記歌唱走行区間の範囲内にある場合、当該音声ガイド位置を前記歌唱走行区間の範囲外に変更すると共に、当該音声ガイド位置の変更距離に応じて当該音声ガイド位置に対応する前記ガイドデータを変更し、変更した前記音声ガイド位置と変更した前記ガイドデータとを対応付けた音声ガイドテーブルを前記ナビゲーション手段に対して出力する変更処理部と、を有することを特徴とする。
【0009】
また、本発明の携帯端末のプログラムは、出発地から目的地までの走行経路を探索して案内するナビゲーション手段と、楽曲のカラオケ演奏を行うカラオケ演奏手段とを有する携帯端末のプログラムであって、前記ナビゲーション手段が前記走行経路の案内を開始した後、前記カラオケ演奏手段が所定の演奏開始位置でカラオケ演奏を開始した場合に、前記走行経路に関する走行経路情報を前記ナビゲーション手段から取得し、前記楽曲のカラオケ演奏に関する演奏区間情報を前記カラオケ演奏手段から取得し、前記走行経路情報と前記演奏区間情報とに基づいて、前記楽曲の歌唱区間に対応する前記走行経路の走行区間を示す歌唱走行区間を特定する特定ステップと、前記走行経路を案内する音声ガイドの出力位置を示す音声ガイド位置と当該音声ガイド位置での案内内容を示すガイドデータとを対応付けて含む音声ガイドテーブルを前記ナビゲーション手段から取得し、前記音声ガイドテーブルに含まれる前記音声ガイド位置が前記歌唱走行区間の範囲内にある場合、当該音声ガイド位置を前記歌唱走行区間の範囲外に変更すると共に、当該音声ガイド位置の変更距離に応じて当該音声ガイド位置に対応する前記ガイドデータを変更し、変更した前記音声ガイド位置と変更した前記ガイドデータとを対応付けた音声ガイドテーブルを前記ナビゲーション手段に対して出力する変更処理ステップと、を前記携帯端末に実行させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、カラオケ歌唱を邪魔することなく、音声ガイドを利用者に伝えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本発明の第1の実施形態の携帯端末を備える通信システムを示すブロック図である。
【
図2】本発明の第1の実施形態の携帯端末における音声ガイドテーブルの一例を示す表である。
【
図3】本発明の第1の実施形態の携帯端末における楽曲の演奏区間情報の一例を示す概念図である。
【
図4】本発明の第1の実施形態の携帯端末における歌唱走行区間と音声ガイド位置との関係を示す概念図である。
【
図5】本発明の第1の実施形態の携帯端末において、変更された音声ガイドテーブルの一例を示す表である。
【
図6】本発明の第1の実施形態の携帯端末の動作例を示すフローチャートである。
【
図7】本発明の第2の実施形態の携帯端末における歌唱走行区間と音声ガイド位置との関係を示す概念図である。
【
図8】本発明の第2の実施形態の携帯端末において、変更された音声ガイドテーブルの一例を示す表である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
[第1の実施形態]
以下、本発明の第1の実施形態の通信システム100について説明する。
【0013】
[通信システム]
図1は、第1の実施形態の通信システム100の構成を示すブロック図である。
図1に示すように、通信システム100は、カラオケ演奏する楽曲の配信サービスを行うカラオケサーバ1と、経路案内に用いる走行経路情報の配信サービスを行うナビゲーションサーバ2と、カラオケ演奏手段であるカラオケアプリケーション(以下、カラオケアプリ20と称する)及びナビゲーション手段であるナビゲーションアプリケーション(以下、ナビアプリ21と称する)などのアプリケーション(以下、アプリと称する)を搭載した携帯端末3と、を有する。携帯端末3は、インターネットなどのネットワークを介してカラオケサーバ1及びナビゲーションサーバ2と通信可能に接続される。なお、本実施形態では、通信システム100が1台の携帯端末3を有する例を説明するが、本発明では、2台以上の携帯端末3を有することができる。
【0014】
[カラオケサーバ]
カラオケサーバ1は、例えば、MP3形式のオーディオデータから成る楽曲データを楽曲データベースによって管理している。楽曲データベースには、楽曲識別情報(楽曲ID)と楽曲データの格納先が関連付けられている。カラオケサーバ1は、カラオケアプリ20を実行する携帯端末3から、楽曲IDなどによって楽曲を指定した配信要求を受け付けていて、当該配信要求に応じて当該楽曲の楽曲データを当該携帯端末3へと配信する。
【0015】
なお、楽曲データは、演奏データやリファレンスデータ、歌詞データを含んでいる。演奏データは、カラオケ演奏の伴奏音の元となるデータである。リファレンスデータは、利用者によるカラオケ歌唱を評価する際の基準として用いられる音高情報である。歌詞データは、携帯端末3のディスプレイ15に表示される歌詞テロップの元になるデータである。
【0016】
また、楽曲は、複数の演奏区間から構成されていて、その楽曲データは、各演奏区間に関する情報を演奏区間情報として含んでいる。演奏区間には、Aメロ、Bメロ、サビなどの歌唱区間と、前奏、間奏、後奏などの非歌唱区間とがあり、各演奏区間は、複数の小節から構成されている。演奏区間情報は、楽曲の1小節当たりの演奏時間に関する情報や、各演奏区間の種類や小節数の情報を含んでいる。
【0017】
[ナビゲーションサーバ]
ナビゲーションサーバ2は、例えば、地図データベースを有していて、出発地及び目的地を含む経路条件と地図データベースとに基づいて、出発地から目的地までの走行経路を探索する機能を有する。ナビゲーションサーバ2は、ナビアプリ21を実行する携帯端末3から、経路条件を指定した経路探索要求を受け付けていて、当該経路探索要求に応じて走行経路を探索して、当該走行経路を示す走行経路情報を当該携帯端末3へと配信する。なお、ナビゲーションサーバ2は、携帯端末3が走行経路情報に基づいて経路案内を開始した後、携帯端末3の現在位置が更新されると、携帯端末3の現在位置に応じて走行経路情報を更新して携帯端末3へと送信する。
【0018】
なお、走行経路情報は、走行経路だけでなく、走行経路を包含する地図情報を含む。また、走行経路情報は、走行経路に関する通行規制や渋滞情報、更には、交通取り締まり情報などの交通情報を含む。更に、走行経路情報は、走行経路における右左折や分岐、合流、レーン移動などの目標位置を案内する音声ガイドに関する音声ガイドテーブルを含んでいる。音声ガイドテーブルは、走行経路における音声ガイドの出力位置を示す音声ガイド位置と、当該音声ガイドの案内内容を示すガイドデータとを対応付けて含んでいる。ナビゲーションサーバ2は、走行経路に基づいて音声ガイドテーブルを生成する。例えば、音声ガイド位置は、GPSなどの測位システムによって取得される位置情報に対応するものである。
【0019】
図2では、音声ガイドテーブルの一例を示す。例えば、走行経路が出発地から目的地までの間に、右折の目標位置F1と、左折の目標位置F2と、右折の目標位置F3と、目的地到着の目標位置F4(目的地)とを目標位置として含んでいるものとする。この場合、ナビゲーションサーバ2は、右折の目標位置F1の300m前に音声ガイド位置G1を設定し、目標位置F1での右折を案内する音声ガイドを示す「およそ300メートル先で信号を右折です」のテキストデータをガイドデータとして生成する。また、ナビゲーションサーバ2は、左折の目標位置F2の300m前に音声ガイド位置G2を設定し、目標位置F2での左折を案内する音声ガイドを示す「およそ300メートル先で信号を左折です」のテキストデータをガイドデータとして生成する。また、ナビゲーションサーバ2は、右折の目標位置F3の300m前に音声ガイド位置G3を設定し、目標位置F3での右折を案内する音声ガイドを示す「およそ300メートル先で信号を右折です」のテキストデータをガイドデータとして生成する。また、ナビゲーションサーバ2は、目的地到着の目標位置F4の200m前に音声ガイド位置G4を設定し、目標位置F4での目的地到着を案内する音声ガイドを示す「×××(目的地)はおよそ200メートル先の左側です」のテキストデータをガイドデータとして生成する。
【0020】
なお、本実施形態では、ガイドデータが音声ガイドの全文を示すテキストデータで構成される例を説明するが、ガイドデータは、目標位置を案内するための部分的なデータで構成されてもよく、例えば、走行経路上の音声ガイド位置から目標位置までの距離や、目標位置での右左折の種類などのデータで構成されてもよい。
【0021】
[携帯端末]
携帯端末3は、スマートフォンやタブレットなどの端末であり、カラオケ演奏手段であるカラオケアプリ20及びナビゲーション手段であるナビアプリ21を搭載(インストール)している。本実施形態では特に、携帯端末3は、カラオケアプリ20と連携してナビアプリ21を管理する管理アプリケーション(以下、管理アプリ22と称する)を搭載(インストール)している。
【0022】
携帯端末3は、制御部10、記憶部11及び通信部12を備える。また、携帯端末3は、マイク13、スピーカ14、ディスプレイ15などを備えている。ディスプレイ15はタッチパネルで構成されており、利用者が操作する入力手段として機能する。制御部10は、CPU等のコンピュータで構成され、携帯端末3を統括制御する。記憶部11は、ROM、RAMなどの記憶媒体を有して構成される。通信部12は、カラオケサーバ1及びナビゲーションサーバ2と通信可能に接続されるインタフェースである。
【0023】
記憶部11は、携帯端末3の各部及び各機能を制御するためのプログラムやデータを記憶し、制御部10が、記憶部11に記憶されたプログラムやデータに基づいて演算処理を実行することにより、各部及び各機能を制御する。例えば、記憶部11は、カラオケアプリ20に対応するカラオケプログラム、ナビアプリ21に対応するナビゲーションプログラム、及び管理アプリ22に対応する管理プログラムを記憶している。制御部10が、カラオケプログラムを実行することでカラオケアプリ20を実行し、ナビゲーションプログラムを実行することでナビアプリ21を実行し、また、管理プログラムを実行することで管理アプリ22を実行する。
【0024】
[カラオケアプリ]
携帯端末3は、カラオケアプリ20によって、選曲された楽曲をカラオケ演奏させるカラオケ演奏機能を有する。
【0025】
カラオケアプリ20は、カラオケ演奏させる楽曲の選曲を受け付けていて、例えば、利用者が楽曲を選曲可能な選曲画面をディスプレイ15によって表示する。また、カラオケアプリ20は、選曲した楽曲のカラオケ演奏の開始指示を受け付けていて、利用者による当該開始指示に応じて、選曲した楽曲の楽曲IDを含む配信要求をカラオケサーバ1へと送信する。例えば、カラオケアプリ20は、選曲画面において、楽曲の選曲確定操作によって当該楽曲の開始指示を受け付けている。
【0026】
カラオケアプリ20は、楽曲の配信要求に応じてカラオケサーバ1から配信された楽曲データを受信して記憶部11に記憶し、当該楽曲データの演奏データに基づいてカラオケ演奏の演奏信号を生成する。また、カラオケアプリ20は、カラオケ演奏の開始指示がされた場合、携帯端末3のマイク13によって集音された利用者のカラオケ歌唱を音声信号として入力する。そして、カラオケアプリ20は、カラオケ演奏の演奏信号やカラオケ歌唱の音声信号をミキシングし、増幅して、スピーカ14へ出力して放音する。
【0027】
図3では、携帯端末3でカラオケ演奏される楽曲Xの一例を示す。楽曲Xは、「前奏(8小節)」、「1番Aメロ(8小節)」、「1番Bメロ(8小節)」、「1番サビ(8小節)」、「2番Aメロ(8小節)」、「2番Bメロ(8小節)」、「2番サビ(8小節)」、「間奏(8小節)」、「3番Aメロ(8小節)」、「3番Bメロ(8小節)」、「3番サビ(8小節)」、「後奏(8小節)」からなる複数の演奏区間を有していて、全体で96小節から構成されているものとする。楽曲Xの楽曲データは、これらの演奏区間に関する演奏区間情報を含んでいる。また、楽曲Xは、BPM=120、4分の4拍子であり、楽曲Xの1小節の演奏時間が、2secであるものとし、楽曲Xの演奏時間は192sec(3分12秒)である。
【0028】
[ナビアプリ]
携帯端末3は、ナビアプリ21によって、出発地から目的地までの経路案内や交通情報を利用者に提供するナビゲーション機能を有する。
【0029】
ナビアプリ21は、経路案内の対象となる出発地及び目的地の入力を受け付けていて、例えば、利用者が出発地及び目的地を含む経路条件を入力可能な経路条件入力画面をディスプレイ15によって表示する。なお、携帯端末3は、GPSなどの測位システムを利用して現在位置を取得することができ、ナビアプリ21は、出発地を携帯端末3の現在位置に設定することもできる。ナビアプリ21は、入力された経路条件を指定した経路探索要求をナビゲーションサーバ2へと送信する。ナビアプリ21は、経路探索要求に応じてナビゲーションサーバ2から配信された走行経路情報を受信して記憶部11に記憶し、当該走行経路情報の示す地図情報や走行経路を表示した経路案内画面をディスプレイ15によって表示する。
【0030】
また、ナビアプリ21は、受信した走行経路情報に基づく経路案内の開始指示を受け付けていて、利用者による当該開始指示に応じて、当該走行経路情報に基づく経路案内を開始する。なお、ナビアプリ21は、経路条件入力画面において経路条件の入力操作によって開始指示を受け付けてもよく、若しくは、経路案内画面において所定の操作によって開始指示を受け付けてもよい。ナビアプリ21は、経路案内を開始した後、更新された携帯端末3の現在位置をナビゲーションサーバ2へと送信し、ナビゲーションサーバ2によって携帯端末3の現在位置に応じて更新された走行経路情報を受信し、更新された走行経路情報に応じて経路案内画面を更新する。
【0031】
ナビアプリ21は、走行経路情報の音声ガイドテーブルに含まれる各音声ガイドの音声ガイド位置を、携帯端末3の現在位置が通過するか否かを判定する。携帯端末3の現在位置が音声ガイド位置を通過するとき、ナビアプリ21は、当該音声ガイド位置に対応する音声ガイドを示す音声信号を生成してスピーカ14へ出力して放音することで、当該音声ガイド位置で音声ガイドの経路案内を行う。このとき、ナビアプリ21は、当該音声ガイド位置に対応するガイドデータに基づいて音声合成処理などを行うことで音声ガイドの音声信号を生成して出力する。
【0032】
また、ナビアプリ21は、管理アプリ22によって音声ガイドテーブルが変更された場合には、管理アプリ22から変更された音声ガイドテーブルを受け取って記憶部11に記憶して更新する。音声ガイドテーブルを更新した後、ナビアプリ21は、更新した音声ガイドテーブルを用いて音声ガイドの経路案内を行う。
【0033】
なお、ナビアプリ21は、走行経路情報に基づいて経路案内を開始した後、カラオケアプリ20によるカラオケ演奏が開始される前に、通過した音声ガイド位置の音声ガイドについては、音声ガイドテーブルから削除する。また、ナビアプリ21は、カラオケ演奏を開始してから通過した音声ガイド位置の音声ガイドについても、音声ガイドテーブルから削除してよい。
【0034】
[管理アプリ]
携帯端末3は、管理アプリ22によって、カラオケアプリ20と連携してナビアプリ21を管理する管理機能を有する。管理アプリ22は、ナビアプリ21が経路案内を実行している間に、カラオケアプリ20がカラオケ演奏を開始するときに動作して、カラオケアプリ20がカラオケ演奏する楽曲の楽曲データ(特に、演奏区間情報)とナビアプリ21が経路案内に用いる走行経路情報とに基づいて、カラオケ演奏に合わせたカラオケ歌唱をナビアプリ21による音声ガイドが邪魔しないように走行経路情報に含まれる音声ガイドテーブルを管理(変更)する。
【0035】
管理アプリ22(管理プログラム)は、特定部23と、変更処理部24とを有する。特定部23及び変更処理部24は、記憶部11に記憶されたプログラムであって、制御部10によって実行される。換言すれば、管理アプリ22は、特定部23に対応する特定ステップと、変更処理部24に対応する変更処理ステップとを、携帯端末3のコンピュータである制御部10に実行させる。
【0036】
特定部23は、ナビアプリ21の走行経路情報とカラオケアプリ20の演奏区間情報とに基づいて、楽曲の歌唱区間に対応する走行経路の走行区間を示す歌唱走行区間を特定するものである。具体的には、特定部23は、ナビアプリ21が経路案内を実行している間に、カラオケアプリ20がカラオケ演奏を開始するときに動作して、ナビアプリ21から経路案内を実行中の走行経路情報を取得すると共に、カラオケアプリ20からカラオケ演奏を行う楽曲の楽曲データから演奏区間情報を取得する。このとき、特定部23は、カラオケアプリ20がカラオケ演奏を開始するときの演奏開始位置から目的地までの走行経路情報を取得する。
【0037】
演奏区間情報は、楽曲の1小節当たりの演奏時間に関する情報や、各演奏区間の小節数の情報を含んでいるので、特定部23は、カラオケアプリ20がカラオケ演奏を開始する演奏開始時刻を基準として、各演奏区間の演奏時刻を算出することができる。
【0038】
また、特定部23は、走行経路情報の走行経路に基づいて、各演奏区間の演奏時刻に対応する走行経路上の各演奏位置を特定する。例えば、特定部23は、携帯端末3を保有する利用者が車両などで移動していることを前提とし、公知のナビゲーション技術を利用して、各演奏時刻までの走行時間、道路の種類、渋滞状況などに応じて各演奏時刻での到着予定位置を算出することで、各演奏時刻に対応する各演奏位置を特定する。なお、特定部23は、公知のナビゲーション技術として、ナビゲーションサーバ2を利用してもよく、ナビアプリ21に搭載されるナビゲーションプログラムを利用してもよい。
【0039】
あるいは、特定部23は、携帯端末3を保有する利用者の車両などの移動速度を予め設定し、移動速度と各演奏区間の演奏時刻とに基づいて、演奏開始時刻から各演奏時刻までに走行経路上を移動する移動距離を算出してもよい。この場合、特定部23は、カラオケアプリ20がカラオケ演奏を開始するときの携帯端末3の現在位置を演奏開始位置とし、走行経路において演奏開始位置から目的地に向かって各演奏時刻での移動距離だけ移動した位置を取得して各演奏時刻での演奏位置とする。なお、移動速度は、初期値として予め設定されてよく、また、利用者の任意の操作に応じて設定されてもよく、あるいは、携帯端末3の位置情報の推移に応じて算出されて設定されてもよい。また、移動速度は、走行経路情報の交通情報に応じて調整されてよい。
【0040】
また、特定部23は、演奏区間情報に基づいて、楽曲の歌唱区間と非歌唱区間とを特定し、上記の各演奏区間の演奏時刻及び演奏位置の特定と同様にして、歌唱区間及び非歌唱区間の演奏時刻及び演奏位置を特定する。
【0041】
一例として、
図3を参照して例示した上記の楽曲Xが、携帯端末3によって、走行経路上の演奏開始位置P0において演奏開始時刻0secでカラオケ演奏を開始される場合を説明する。この場合、特定部23は、「1番Aメロ(8小節)」、「1番Bメロ(8小節)」、「1番サビ(8小節)」、「2番Aメロ(8小節)」、「2番Bメロ(8小節)」、「2番サビ(8小節)」を含む歌唱区間R1と、「3番Aメロ(8小節)」、「3番Bメロ(8小節)」、「3番サビ(8小節)」、を含む歌唱区間R2とを特定する。
【0042】
このとき、特定部23は、携帯端末3を保有する利用者が車両などによって移動している場合、上述したように、歌唱区間R1の演奏開始時刻16secに対応する演奏位置P1及び歌唱区間R1の演奏終了時刻112secに対応する演奏位置P2を特定し、歌唱区間R2の演奏開始時刻128secに対応する演奏位置P3及び歌唱区間R2の演奏終了時刻176secに対応する演奏位置P4を特定する。
【0043】
更に、特定部23は、走行経路における演奏位置P1から演奏位置P2までの走行区間を歌唱走行区間S1として特定する。また、特定部23は、走行経路における演奏位置P3から演奏位置P4までの走行区間を歌唱走行区間S2として特定する。
【0044】
変更処理部24は、カラオケアプリ20によるカラオケ演奏に合わせたカラオケ歌唱を、ナビアプリ21による音声ガイドが邪魔しないように、ナビアプリ21が用いる走行経路情報の音声ガイドテーブルを変更する。例えば、変更処理部24は、特定部23によって特定された歌唱走行区間に基づいて、音声ガイドテーブルに含まれる音声ガイドの音声ガイド位置が歌唱走行区間の範囲外となるように音声ガイドテーブルを変更する。
【0045】
具体的には、変更処理部24は、ナビアプリ21が用いる走行経路情報の音声ガイドテーブルをナビアプリ21から取得する。なお、変更処理部24は、特定部23がナビアプリ21から取得した走行経路情報の音声ガイドテーブルを取得すればよい。
【0046】
変更処理部24は、取得した音声ガイドテーブルに含まれる各音声ガイドについて、音声ガイド位置が歌唱走行区間の範囲内にあるか範囲外にあるかを判定する。なお、変更処理部24は、カラオケ演奏する楽曲の演奏区間の範囲外(演奏開始位置から演奏終了位置までの範囲外)に音声ガイド位置がある音声ガイドについて、判定から除外してもよい。
【0047】
音声ガイド位置が歌唱走行区間の範囲外にある音声ガイドについては、変更処理部24は、音声ガイド位置及びガイドデータをそのまま維持する。
【0048】
一方、音声ガイド位置が歌唱走行区間の範囲内にある音声ガイドについては、変更処理部24は、音声ガイド位置が歌唱走行区間の範囲外となるように、音声ガイド位置及びガイドデータを変更する。このとき、変更処理部24は、走行経路において目的地から見て出発地や演奏開始位置の方向に音声ガイド位置を移動して変更するとよい。変更処理部24は、音声ガイド位置を所定の単位距離(例えば、100m単位)で移動することが望ましい。変更処理部24は、音声ガイド位置を移動して変更した音声ガイドについて、対応するガイドデータをその移動距離に応じて変更する。
【0049】
変更処理部24は、変更した音声ガイド位置と変更したガイドデータとを対応付けた音声ガイドテーブルを、ナビアプリ21に対して出力することで、ナビアプリ21に音声ガイドテーブルを更新させる。なお、何れの音声ガイドについても音声ガイド位置の変更がされなかった場合には、変更処理部24は、音声ガイドテーブルをナビアプリ21に対して出力しなくてよい。
【0050】
一例として、
図3を参照して例示した上記の楽曲Xが、携帯端末3によってカラオケ演奏を開始されて、特定部23によって、演奏位置P1から演奏位置P2までの歌唱走行区間S1と、演奏位置P3から演奏位置P4までの歌唱走行区間S2とが特定された場合を説明する。変更処理部24は、
図2を参照して例示した音声ガイドテーブルをナビアプリ21から取得するものとし、取得した音声ガイドテーブルに含まれる走行経路の目標位置F1、F2、F3、F4をそれぞれ案内する音声ガイドの音声ガイド位置G1、G2、G3、G4が、それぞれ楽曲Xの歌唱走行区間S1又は歌唱走行区間S2に含まれるか否かを判定する。
【0051】
このとき、変更処理部24は、
図4に示すように、音声ガイド位置G1が演奏位置P3と演奏位置P4との間の歌唱走行区間S2の範囲内にあると判定する。そこで、変更処理部24は、音声ガイド位置G1を走行経路において演奏開始位置の方向に単位距離に基づいて200mだけ移動することで、歌唱走行区間S1と歌唱走行区間S2との間であって、演奏位置P2と演奏位置P3との間にある非歌唱区間へと移動して、音声ガイド位置G1’に変更する。
【0052】
また、変更処理部24は、音声ガイド位置G1を演奏開始位置の方向に200m移動したので、この移動距離に応じて音声ガイド位置G1に対応するガイドデータを「およそ300メートル先で信号を右折です」から「およそ500m先で信号を右折です」に変更する。変更処理部24は、変更した音声ガイド位置G1’と変更したガイドデータ「およそ500m先で信号を右折です」とを対応付けて、音声ガイドテーブルを更新する。これにより、音声ガイドテーブルは、
図5に示すように変更される
【0053】
なお、音声ガイド位置G2、G3、G4は、楽曲Xの歌唱走行区間S1又は歌唱走行区間S2に含まれないので、変更処理部24は、音声ガイド位置G2、G3、G4及び対応するガイドデータについては変更しない。
【0054】
[第1の実施形態の動作例]
次に、第1の実施形態の携帯端末3において、ナビアプリ21が経路案内を実行している間に、カラオケアプリ20がカラオケ演奏を開始する際の動作例について、
図6を参照して説明する。
図6は、第1の実施形態の携帯端末3の動作例を示すフローチャートである。
【0055】
この例では、先ず、携帯端末3のナビアプリ21が、利用者によって入力された経路条件を指定した経路探索要求をナビゲーションサーバ2へと送信することで、ナビゲーションサーバ2から走行経路情報を受信する。また、ナビアプリ21は、利用者によって入力された開始指示に応じて、走行経路情報に基づく経路案内を開始する(ステップS101)。
【0056】
ナビアプリ21が経路案内を実行中に、携帯端末3のカラオケアプリ20が、利用者によって選曲された楽曲の配信要求をカラオケサーバ1へと送信することで、カラオケサーバ1から楽曲データを受信する。また、カラオケアプリ20は、利用者によって入力された開始指示に応じて、楽曲データに基づくカラオケ演奏を開始する(ステップS102)。
【0057】
カラオケアプリ20がカラオケ演奏を開始するとき、携帯端末3の管理アプリ22が、特定部23によって、ナビアプリ21から走行経路情報を取得する(ステップS103)と共に、カラオケアプリ20から楽曲データの演奏区間情報を取得する(ステップS104)。
【0058】
また、特定部23は、走行経路情報と演奏区間情報とに基づいて、楽曲の歌唱走行区間を特定する(ステップS105)。
【0059】
次に、管理アプリ22が、変更処理部24によって、走行経路情報の音声ガイドテーブルをナビアプリ21から取得する(ステップS106)。
【0060】
変更処理部24は、音声ガイドテーブルに含まれる各音声ガイドを順次、判定対象として、当該音声ガイドに対応する音声ガイド位置が、特定した歌唱走行区間の範囲内にあるか否かを判定する(ステップS107)。
【0061】
音声ガイドの音声ガイド位置が歌唱走行区間の範囲内にある場合(ステップS107:Yes)、変更処理部24は、当該音声ガイド位置を走行経路において演奏開始位置の方向に移動して歌唱走行区間の範囲外に変更する(ステップS108)。また、変更処理部24は、音声ガイド位置の移動距離に応じて、当該音声ガイドに対応するガイドデータを変更する(ステップS109)。そして、変更処理部24は、全ての音声ガイド位置を判定対象としたかを判定し(ステップS110)、判定対象としていない音声ガイド位置がある場合(ステップS110:No)、ステップS107に移行して、次の音声ガイド位置を判定対象として上記の処理を繰り返す。
【0062】
一方、音声ガイドの音声ガイド位置が歌唱走行区間の範囲外にある場合(ステップS107:No)、音声ガイド位置やガイドデータを変更することなく、上記と同様に、全ての音声ガイド位置を判定対象としたかを判定する(ステップS110)。
【0063】
変更処理部24は、全ての音声ガイドを判定対象とした場合(ステップS110:Yes)、変更した音声ガイド位置と変更したガイドデータとを対応付けた音声ガイドテーブルをナビアプリ21に出力して更新させる(ステップS111)。
【0064】
上記したように、本発明の第1の実施形態によれば、通信システム100は、出発地から目的地までの走行経路を探索して案内するナビゲーション手段であるナビアプリ21と、楽曲のカラオケ演奏を行うカラオケ演奏手段であるカラオケアプリ20とを有する携帯端末3を備えている。携帯端末3は、管理アプリ22を有していて、管理アプリ22は、特定部23と、変更処理部24とを有する。特定部23は、ナビアプリ21が走行経路の案内を開始した後、カラオケアプリ20が所定の演奏開始位置でカラオケ演奏を開始した場合に、走行経路に関する走行経路情報をナビアプリ21から取得し、楽曲のカラオケ演奏に関する演奏区間情報をカラオケアプリ20から取得し、走行経路情報と演奏区間情報とに基づいて、楽曲の歌唱区間に対応する走行経路の走行区間を示す歌唱走行区間を特定する。変更処理部24は、走行経路を案内する音声ガイドの出力位置を示す音声ガイド位置と当該音声ガイド位置での案内内容を示すガイドデータとを対応付けて含む音声ガイドテーブルをナビアプリ21から取得し、音声ガイドテーブルに含まれる音声ガイド位置が歌唱走行区間の範囲内にある場合、当該音声ガイド位置を歌唱走行区間の範囲外に変更すると共に、当該音声ガイド位置の変更距離に応じて当該音声ガイド位置に対応するガイドデータを変更し、変更した音声ガイド位置と変更したガイドデータとを対応付けた音声ガイドテーブルをナビアプリ21に対して出力する。
【0065】
これにより、携帯端末3において、ナビアプリ21は、カラオケアプリ20によるカラオケ演奏においてカラオケ歌唱が行われない間奏の間に音声ガイドを行うので、カラオケ演奏を中断することなく音声ガイドを出力することができる。従って、携帯端末3は、利用者のカラオケ歌唱を邪魔することなく、ナビアプリ21の音声ガイドを利用者に対して伝えることができる。
【0066】
また、本発明の第1の実施形態によれば、変更処理部24は、音声ガイド位置を走行経路において演奏開始位置(出発地)の方向に移動させるように変更する。
【0067】
これにより、音声ガイド位置を変更する場合でも、目標位置と音声ガイド位置との間に十分な距離を確保することができ、目標位置を確実に案内可能な音声ガイド位置を設定することができる。
【0068】
なお、第1の実施形態では、カラオケアプリ20によって選曲されると共にカラオケ演奏を開始された楽曲について、管理アプリ22の特定部23が歌唱走行区間を特定して、変更処理部24がその歌唱走行区間に基づいて音声ガイドテーブルを変更する例を説明したが、本発明はこの例に限定されない。
【0069】
他の例では、カラオケアプリ20は、複数の楽曲を選曲して予約楽曲リストに予約可能にしてよく、特定部23は、予約楽曲リストに予約されている複数の楽曲それぞれのカラオケ演奏が開始される都度、演奏開始時刻及び演奏開始位置を設定し、歌唱走行区間を特定して、変更処理部24が当該楽曲の歌唱走行区間に基づいて音声ガイドテーブルを変更してもよい。
【0070】
また、第1の実施形態では、音声ガイドテーブルは、走行経路における音声ガイドの出力位置を示す音声ガイド位置と、当該音声ガイドの案内内容を示すガイドデータとを対応付けて含んで構成される例を説明したが、本発明はこの例に限定されない。
【0071】
他の例では、音声ガイドテーブルは、走行経路における音声ガイドの出力時刻を示す音声ガイド時刻と、当該音声ガイドの案内内容を示すガイドデータとを対応付けて含んで構成されてもよい。この場合、特定部23は、カラオケアプリ20の演奏区間情報に基づいて楽曲の歌唱区間の演奏時刻を特定する。変更処理部24は、音声ガイドテーブルに含まれる各音声ガイドの音声ガイド時刻が歌唱区間に含まれる場合、当該音声ガイド時刻を走行経路において歌唱区間の範囲外であって、且つ演奏開始時刻の側に早めて移動すると共に、当該音声ガイド時刻の移動時間に応じた移動距離を算出して、当該音声ガイド時刻に対応するガイドデータを当該移動距離に応じて変更する。
【0072】
[変形例]
また、第1の実施形態では、変更処理部24は、音声ガイドテーブルに含まれる音声ガイドの音声ガイド位置が、特定部23によって特定された楽曲の歌唱走行区間の範囲内である場合に、当該音声ガイド位置を、歌唱走行区間の範囲外であって、走行経路において目的地から見て演奏開始位置の方向に移動して変更する例を説明したが、本発明はこの例に限定されない。
【0073】
変形例では、変更処理部24は、音声ガイド位置が歌唱走行区間の範囲外となるように移動する移動距離が所定の距離閾値以上であるか否かを判定して、その判定結果に応じて、音声ガイド位置を移動する位置を設定してもよい。例えば、変更処理部24は、当該移動距離が所定の距離閾値未満である場合には、上記の第1の実施形態のように、音声ガイド位置を当該移動距離の分だけ歌唱走行区間の範囲外へと移動して変更する。一方、変更処理部24は、当該移動距離が所定の距離閾値以上である場合には、音声ガイド位置を含む歌唱走行区間に対応する歌唱区間から、所定時間(例えば、所定の案内可能時間)の間、歌唱が行われない部分を含む演奏区間を検出し、当該音声ガイド位置を、検出した演奏区間に対応する走行区間へと移動して変更する。
【0074】
具体的には、まず、音声ガイドテーブルの所定の音声ガイドについて、右折位置の300m前に音声ガイド位置が設定されて、当該右折位置を案内する音声ガイドを示す「およそ300メートル先で信号を右折です」のガイドデータが当該音声ガイド位置に対応付けられているものとする。また、変更処理部24が、当該音声ガイド位置が歌唱走行区間の範囲内にあると判定して、当該音声ガイド位置を演奏開始位置の方向で歌唱走行区間の範囲外に移動する移動距離が、700mであって、所定の距離閾値(例えば、500m)以上であるものとする。このとき、変更処理部24が、700mの移動距離に基づいて音声ガイド位置を変更すると、目標位置よりも1km前で音声ガイドが出力されてしまい、また、700mの移動距離に基づいてガイドデータが「およそ1キロメートル先で信号を右折です」に変更されてしまう。そのため、利用者にとって分かり難い音声ガイドが出力され、経路案内を効果的に行うことができないので、所定の距離閾値以上の移動距離となる音声ガイド位置の変更は好ましくない。
【0075】
そこで、変更処理部24は、音声ガイド位置を歌唱走行区間の範囲外にするための移動距離が所定の距離閾値以上である場合には、例えば、楽曲のリファレンスデータを参照することで、音声ガイド位置を含む歌唱走行区間に対応する歌唱区間から、所定の案内可能時間(例えば、1000msec)の間、歌唱が行われない部分を含む演奏区間を検出する。そして、変更処理部24は、検出した演奏区間に対応する走行区間へと音声ガイド位置を移動して変更すると共に、その移動距離に応じて、当該音声ガイド位置に対応するガイドデータを変更する。なお、上記したように、BPM=120、4分の4拍子であって、1小節の演奏時間が2secである楽曲Xであれば、1000msecの案内可能時間は、2拍分、即ち2分休符に相当するので、歌唱走行区間から検出できる可能性が高いと考えられる。
【0076】
これにより、音声ガイド位置を歌唱走行区間の範囲外に移動することが望ましくない場合であっても、歌唱区間において歌唱が行われない部分を含む演奏区間を利用して、当該演奏区間に対応する走行区間で音声ガイドを出力することができる。従って、携帯端末3は、利用者のカラオケ歌唱を邪魔することなく、ナビアプリ21の音声ガイドを利用者に対して伝えることができる。
【0077】
[第2の実施形態]
また、第2の実施形態では、変更処理部24は、音声ガイドテーブルに含まれる音声ガイドの音声ガイド位置が、特定部23によって特定された楽曲の歌唱走行区間の範囲内である場合であって、所定の移動条件を満たす場合に、当該音声ガイド位置を、歌唱走行区間の範囲外であって、走行経路において演奏開始位置から見て目的地の方向に移動して変更してもよい。変更処理部24は、例えば、音声ガイド位置を歌唱走行区間の範囲外で目的地の方向に移動する移動距離が、所定の距離閾値(例えば、100m)以下であることを、所定の移動条件とする。
【0078】
一例として、
図3を参照して例示した上記の楽曲Xが、携帯端末3によってカラオケ演奏を開始されて、特定部23によって、演奏位置P1から演奏位置P2までの歌唱走行区間S1と、演奏位置P3から演奏位置P4までの歌唱走行区間S2とが特定された場合を説明する。変更処理部24は、
図2を参照して例示した音声ガイドテーブルをナビアプリ21から取得するものとし、取得した音声ガイドテーブルに含まれる走行経路の目標位置F1、F2、F3、F4をそれぞれ案内する音声ガイドの音声ガイド位置G1、G2、G3、G4が、それぞれ楽曲Xの歌唱走行区間S1又は歌唱走行区間S2に含まれるか否かを判定する。
【0079】
このとき、変更処理部24は、
図7に示すように、音声ガイド位置G1が演奏位置P1と演奏位置P2との間の歌唱走行区間S1の範囲内にあると判定する。また、変更処理部24は、音声ガイド位置G1を走行経路において目的地の方向に移動することで、歌唱走行区間S1と歌唱走行区間S2との間であって、演奏位置P2と演奏位置P3との間にある非歌唱区間へと移動させて、音声ガイド位置G1’’に変更した場合に、所定の移動条件を満たすか否かを判定する。ここで、変更処理部24は、音声ガイド位置G1を目的地の方向に単位距離に基づいて100mだけ移動した場合、変更前の音声ガイド位置G1と変更後の音声ガイド位置G1’’との走行経路上の移動距離が100mであるため、所定の移動条件を満たすかと判定する。
【0080】
また、変更処理部24は、音声ガイド位置G1を目的地の方向に100m移動したので、この移動距離に応じて音声ガイド位置G1に対応するガイドデータを「およそ300メートル先で信号を右折です」から「およそ200m先で信号を右折です」に変更する。変更処理部24は、変更した音声ガイド位置G1’’と変更したガイドデータ「およそ200m先で信号を右折です」とを対応付けて、音声ガイドテーブルを更新する。これにより、音声ガイドテーブルは、
図8に示すように変更される
【0081】
本発明の第2の実施形態によれば、変更処理部24は、音声ガイド位置の変更距離が所定の移動条件を満たす場合に、音声ガイド位置を目的地の方向に移動させるように変更する。
【0082】
これにより、音声ガイド位置が歌唱走行区間の開始位置から遠い場合には、音声ガイド位置を演奏開始位置の方向に移動することがなく、音声ガイド位置が歌唱走行区間の終了位置に近い場合には、音声ガイド位置を目的地の方向に移動することができる。従って、携帯端末3は、利用者のカラオケ歌唱を邪魔することなく、ナビアプリ21の音声ガイドを利用者に対して伝えることができる。
【0083】
なお、上記した各実施形態では、携帯端末3では、特定部23及び変更処理部24を管理アプリ22が有する例を説明したが、本発明はこの例に限定されず、特定部23及び変更処理部24をカラオケアプリ20又はナビアプリ21が有して構成されてもよい。
【0084】
また、本発明は、請求の範囲及び明細書全体から読み取ることのできる発明の要旨又は思想に反しない範囲で適宜変更可能であり、そのような変更を伴う携帯端末及びそのプログラムもまた本発明の技術思想に含まれる。
【符号の説明】
【0085】
1 カラオケサーバ
2 ナビゲーションサーバ
3 携帯端末
10 制御部
20 カラオケアプリ(カラオケ演奏手段)
21 ナビアプリ(ナビゲーション手段)
22 管理アプリ
23 特定部
24 変更処理部
100 通信システム