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特開2024-175790発電システムの制御器および発電システムの制御方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024175790
(43)【公開日】2024-12-19
(54)【発明の名称】発電システムの制御器および発電システムの制御方法
(51)【国際特許分類】
   H02P 6/22 20060101AFI20241212BHJP
【FI】
H02P6/22
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023093799
(22)【出願日】2023-06-07
(71)【出願人】
【識別番号】000000974
【氏名又は名称】川崎重工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000556
【氏名又は名称】弁理士法人有古特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】澤田 正志
【テーマコード(参考)】
5H560
【Fターム(参考)】
5H560AA01
5H560BB04
5H560BB07
5H560BB12
5H560DB13
5H560DC12
5H560DC13
5H560EB01
5H560HA08
5H560JJ08
5H560JJ19
5H560SS02
5H560TT15
5H560XA02
5H560XA12
5H560XA13
(57)【要約】
【課題】 1つの電動発電機を、スタータおよび発電機の両方として機能させながら、損失を低減することができる発電システムの制御器および制御方法を提供する。
【解決手段】 発電システムの制御器は、処理回路を備え、処理回路は、第1制御モードと、エンジンを停止状態から始動させるために、直流配線の直流電力を交流電力に変換し、当該交流電力を同期電動発電機に供給するように第1電力変換器を制御する第2制御モードとを実行可能であり、第2制御モードは、エンジンの回転数が基準回転数未満である期間、第1電力変換器におけるキャリア周波数を第1制御モードにおける第1キャリア周波数よりも低い第2キャリア周波数に設定する周波数低減処理、および、直流配線における直流電圧目標値を第1制御モードにおける第1直流電圧目標値よりも低い第2直流電圧目標値に設定する電圧低減処理の少なくとも1つを含む。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
エンジンと、前記エンジンに機械的に接続され、前記エンジンの駆動力を利用して発電可能な同期電動発電機と、前記同期電動発電機に電気的に接続される第1電力変換器を備えた発電システムの制御器であって、
処理回路を備え、
前記処理回路は、前記同期電動発電機との間の交流配線の交流電力を直流電力に変換して直流配線に出力するように前記第1電力変換器を制御する第1制御モードと、前記エンジンを停止状態から始動させるために、前記直流配線の直流電力を交流電力に変換し、当該交流電力を前記同期電動発電機に供給するように前記第1電力変換器を制御する第2制御モードとを実行可能であり、
前記第2制御モードは、前記エンジンの回転数が基準回転数未満である期間、前記第1電力変換器におけるキャリア周波数を前記第1制御モードにおける第1キャリア周波数よりも低い第2キャリア周波数に設定する周波数低減処理、および、前記直流配線における直流電圧目標値を前記第1制御モードにおける第1直流電圧目標値よりも低い第2直流電圧目標値に設定する電圧低減処理の少なくとも1つを含む、発電システムの制御器。
【請求項2】
前記発電システムは、
前記直流配線に電気的に接続され、前記直流配線における直流電圧を定義するキャパシタと、
前記直流配線と所定の電源との間に電気的に接続される第2電力変換器と、を備え、
前記第2制御モードは、前記電圧低減処理を含み、
前記処理回路は、前記第2制御モードを開始する際に、前記直流配線の直流電圧が前記第2直流電圧目標値となるように前記電源における電源電圧を降圧して前記キャパシタを充電するように前記第2電力変換器を制御する、請求項1に記載の発電システムの制御器。
【請求項3】
前記第2制御モードは、前記周波数低減処理を含み、
前記処理回路は、前記第2制御モードにおいて、前記エンジンまたは前記同期電動発電機の回転数を取得し、前記回転数が前記エンジンが着火する回転数として設定された着火回転数以上になった場合に、前記キャリア周波数を前記第2キャリア周波数から前記第1キャリア周波数に上昇させる、請求項1に記載の発電システムの制御器。
【請求項4】
前記第2制御モードは、前記周波数低減処理を含み、
前記処理回路は、前記第2制御モードにおいて、前記同期電動発電機に流れる電流が所定範囲内になった場合に、前記キャリア周波数を前記第2キャリア周波数から前記第1キャリア周波数に上昇させる、請求項1に記載の発電システムの制御器。
【請求項5】
前記処理回路は、前記キャリア周波数を前記第2キャリア周波数から前記第1キャリア周波数にランプ状に上昇させる、請求項3または4に記載の発電システムの制御器。
【請求項6】
前記第2制御モードは、前記電圧低減処理を含み、
前記処理回路は、前記第2制御モードにおいて、前記同期電動発電機に流れる電流が所定範囲内になった場合に、前記直流電圧目標値を前記第2直流電圧目標値から前記第1直流電圧目標値に上昇させる、請求項1に記載の発電システムの制御器。
【請求項7】
前記処理回路は、前記直流電圧目標値を前記第2直流電圧目標値から前記第1直流電圧目標値にランプ状に上昇させる、請求項6に記載の発電システムの制御器。
【請求項8】
前記同期電動発電機は、回転角度の検出が行われないセンサレス制御により制御される、請求項1または2に記載の発電システムの制御器。
【請求項9】
前記処理回路は、前記第2制御モードにおいて、前記第1電力変換器から前記交流配線を介して前記同期電動発電機に流れる電流が所定値以下になった場合に、所定の期間、前記第1電力変換器に対する制御を停止し、前記所定の期間の経過後、前記第1制御モードを実行する、請求項8に記載の発電システムの制御器。
【請求項10】
前記第2制御モードは、前記電圧低減処理を含み、
前記処理回路は、前記同期電動発電機に流れる電流が前記所定値以下になってから所定の期間が経過するまで前記直流配線の前記直流電圧を前記第2直流電圧目標値に維持するように前記第2電力変換器を制御する、請求項8に記載の発電システムの制御器。
【請求項11】
前記処理回路は、前記第2制御モードにおいて、前記第1電力変換器から前記交流配線を介して前記同期電動発電機に流れる電流が所定値以下になった場合に、所定の期間、前記第1電力変換器から前記同期電動発電機に無効電力を供給するように前記第1電力変換器を制御し、前記所定の期間の経過後、前記第1制御モードを実行する、請求項8に記載の発電システムの制御器。
【請求項12】
前記処理回路は、前記第2制御モードにおいて、前記同期電動発電機の回転数に応じた制御を実行し、前記第1制御モードにおいて、前記第1電力変換器から前記直流配線に出力する電力に応じた制御を実行する、請求項1または2に記載の発電システムの制御器。
【請求項13】
エンジンと、前記エンジンに機械的に接続され、前記エンジンの駆動力を利用して発電可能な同期電動発電機と、前記同期電動発電機に電気的に接続される第1電力変換器を備えた発電システムの制御方法であって、
前記同期電動発電機との間の交流配線の交流電力を直流電力に変換して直流配線に出力するように前記第1電力変換器を制御する第1制御モードと、前記エンジンを停止状態から始動させるために、前記直流配線の直流電力を交流電力に変換し、当該交流電力を前記同期電動発電機に供給するように前記第1電力変換器を制御する第2制御モードとを切り替えて実行し、
前記第2制御モードにおいて、前記エンジンの回転数が基準回転数未満である期間、前記第1電力変換器におけるキャリア周波数を前記第1制御モードにおける第1キャリア周波数よりも低い第2キャリア周波数に設定する、または、前記直流配線における直流電圧目標値を前記第1制御モードにおける第1直流電圧目標値よりも低い第2直流電圧目標値に設定する、発電システムの制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、発電システムの制御器および発電システムの制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
車両、船舶、航空機等における駆動源としてエンジンを備え、エンジンの駆動力により発電を行う電動発電機がエンジンに機械的に接続される発電システムが知られている。さらに、下記特許文献1では、電動発電機を発電だけでなく、エンジンを始動させるためのスタータとして用いることが提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2001-334998号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、1つの電動発電機に、発電機およびスタータの両方の役割を持たせるためには以下のような問題がある。すなわち、電動発電機がスタータとして機能する場合、エンジンを回転させるために大きなトルクが必要となる。このために電動発電機は、低周波数ではあるが大電流が要求される。一方、電動発電機が発電機として機能する場合、エンジンの高速回転に対応する必要がある。エンジンの高速回転時には誘起電圧が高くなる。このために電動発電機は、高周波数かつ大電圧が要求される。
【0005】
これらの2つの機能を同時に実現するために、電動発電機に電力を供給し、電動発電機で発電された電力を受け取る電力変換器をどのように構成するかについて特許文献1には特段記載されていない。電力変換器を低電圧、低周波数および大電流に最適化すると、高電圧および高周波数に対応できない。電力変換器を高電圧、高周波数に最適化すると、低電圧、低周波数および大電流時にスイッチング損失が増大する。1つの制御モードで電動発電機に要求される大電流かつ大電圧に対応しようとすると、電力変換器が大型化してしまう。
【0006】
本開示は、上記課題を解決するものであり、1つの電動発電機を、スタータおよび発電機の両方として機能させながら、損失を低減することができる発電システムの制御器および発電システムの制御方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の一態様に係る発電システムの制御器は、エンジンと、前記エンジンに機械的に接続され、前記エンジンの駆動力を利用して発電可能な同期電動発電機と、前記同期電動発電機に電気的に接続される第1電力変換器を備えた発電システムの制御器であって、処理回路を備え、前記処理回路は、前記同期電動発電機との間の交流配線の交流電力を直流電力に変換して直流配線に出力するように前記第1電力変換器を制御する第1制御モードと、前記エンジンを停止状態から始動させるために、前記直流配線の直流電力を交流電力に変換し、当該交流電力を前記同期電動発電機に供給するように前記第1電力変換器を制御する第2制御モードとを実行可能であり、前記第2制御モードは、少なくとも前記エンジンが停止状態であるときに、前記第1電力変換器におけるキャリア周波数を前記第1制御モードにおける第1キャリア周波数よりも低い第2キャリア周波数に設定する周波数低減処理、および、前記直流配線における直流電圧目標値を前記第1制御モードにおける第1直流電圧目標値よりも低い第2直流電圧目標値に設定する電圧低減処理の少なくとも1つを含む。
【0008】
本開示の他の態様に係る発電システムの制御方法は、エンジンと、前記エンジンに機械的に接続され、前記エンジンの駆動力を利用して発電可能な同期電動発電機と、前記同期電動発電機に電気的に接続される第1電力変換器を備えた発電システムの制御方法であって、前記同期電動発電機との間の交流配線の交流電力を直流電力に変換して直流配線に出力するように前記第1電力変換器を制御する第1制御モードと、前記エンジンを停止状態から始動させるために、前記直流配線の直流電力を交流電力に変換し、当該交流電力を前記同期電動発電機に供給するように前記第1電力変換器を制御する第2制御モードとを切り替えて実行し、前記第2制御モードにおいて、少なくとも前記エンジンが停止状態であるときに、前記第1電力変換器におけるキャリア周波数を前記第1制御モードにおける第1キャリア周波数よりも低い第2キャリア周波数に設定する、または、前記直流配線における直流電圧目標値を前記第1制御モードにおける第1直流電圧目標値よりも低い第2直流電圧目標値に設定する。
【発明の効果】
【0009】
本開示によれば、1つの電動発電機を、スタータおよび発電機の両方として機能させながら、損失を低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1図1は、本開示の一実施の形態における発電システムの概略構成を示すブロック図である。
図2図2は、図1に示す第1電力変換器の回路構成の一例を示す図である。
図3図3は、図1に示す発電システムにおける処理回路の概略構成を示す図である。
図4図4は、本実施の形態における電圧目標値生成回路の例を模式的に示すブロック図である。
図5図5は、本実施の形態の第2制御モードにおける発電システムに関する各種パラメータのタイムチャートである。
図6図6は、一変形例の第2制御モードにおける発電システムに関する各種パラメータのタイムチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本開示の実施の形態を、図面を参照しながら説明する。なお、以下では全ての図を通じて同一または同じ機能を有する要素には同一の参照符号を付して、その重複する説明を省略する。
【0012】
図1は、本開示の一実施の形態における発電システムの概略構成を示すブロック図である。図1に示すように、本実施の形態における発電システム1は、エンジン2および同期電動発電機3を備えている。エンジン2は、例えば、車両、船舶、航空機等の移動体における駆動源として構成される。エンジン2は、例えばガスタービンエンジンを含む。なお、エンジン2は、レシプロエンジンであってもよい。
【0013】
同期電動発電機3は、エンジン2に機械的に接続される。これにより、同期電動発電機3は、エンジン2の出力軸4の回転に同期して回転可能である。なお、同期電動発電機3は、エンジン2の出力軸4に直結されてもよいし、エンジン2の出力軸4にギヤ等の動力伝達機構を介して接続されてもよい。同期電動発電機3は、エンジン2の駆動力を利用して発電可能に構成される。本実施の形態において、同期電動発電機3は、回転角度センサによる回転角度の検出が行われないセンサレス制御により制御される。同期電動発電機3は、エンジン2の高速回転に対応するために円筒形の回転子を有する。ただし、同期発電機3は、これに限られず、例えば、突極形の回転子を有してもよい。
【0014】
さらに、発電システム1は、同期電動発電機3に電気的に接続される第1電力変換器5を備えている。第1電力変換器5と同期電動発電機3との間は、交流配線6により接続されている。第1電力変換器5は、第2電力変換器7を介して所定の電源8に接続されている。第1電力変換器5と第2電力変換器7との間は直流配線9により接続されている。直流配線9には当該直流配線9における直流電圧を定義するキャパシタ10が電気的に接続されている。なお、図1においては、説明上、キャパシタ10が第1電力変換器5および第2電力変換器7とは独立して配置された例を示している。しかし、キャパシタ10は、第1電力変換器5および第2電力変換器7の何れか一方または両方に含まれていてもよい。第1電力変換器5は、同期電動発電機3で発電された交流電力を直流電力に変換して直流配線9に供給し、直流配線9における直流電力を交流電力に変換して同期電動発電機3に供給する。
【0015】
電源8は、例えば移動体内交流系統、商用交流系統またはマイクログリッド等の交流電源系統であってもよいし、例えば移動体内または移動体外に配置されたバッテリ等の直流電源系統であってもよい。すなわち、第2電力変換器7と電源8との間の電源配線11は、電源8が交流電源系統の場合は交流配線となり、電源8が直流電源系との場合は直流配線となる。第2電力変換器7は、直流配線9の直流電力を電源8に供給するための電力に変換し、電源8からの電源電力を直流配線9に供給するための直流電力に変換する。第2電力変換器7は、電源8が交流電源系統の場合はAC-DCコンバータであり、電源8が直流電源系統の場合はDC-DCコンバータである。
【0016】
さらに、発電システム1は、制御器12を備えている。制御器12は、第1電力変換器5および第2電力変換器7を制御する。制御器12は、各種の信号処理を行う処理回路13を備えている。処理回路13は、例えばマイクロコントローラ、パーソナルコンピュータ、PLC(Programmable Logic Controller)等のコンピュータを有する。例えば、処理回路13は、プロセッサ、メモリおよび周辺回路を含む。また、制御器12の処理回路13は、複数に分割された処理回路により構成されてもよい。
【0017】
プロセッサは、例えば、CPUまたはMPU等を含む。メモリは、ROM、RAM、レジスタ等の揮発性メモリおよびフラッシュメモリ等の不揮発性メモリを含む。メモリには、電力変換器5,7に対する制御プログラムが予め記憶されている。周辺回路、入出力インターフェイス等を含む。プロセッサ、メモリおよび周辺回路は、バスを通じて相互にデータ伝達を行う。プロセッサは、制御プログラムを実行することにより、メモリに記憶された各種の情報に基づいて後述する演算処理を実行する。
【0018】
なお、本明細書で開示する要素の機能は、開示された機能を実行するよう構成またはプログラムされた汎用プロセッサ、専用プロセッサ、集積回路、ASIC(Application Specific Integrated Circuits)、従来の回路、または、それらの組み合わせを含む回路または処理回路を使用して実行できる。プロセッサは、トランジスタやその他の回路を含むため、処理回路または回路と見なされる。本明細書において、回路、ユニット、または手段は、列挙された機能を実行するハードウェアであるか、または、列挙された機能を実行するようにプログラムされたハードウェアである。ハードウェアは、本明細書に開示されているハードウェアであってもよいし、あるいは、列挙された機能を実行するようにプログラムまたは構成されているその他の既知のハードウェアであってもよい。ハードウェアが回路の一種と考えられるプロセッサである場合、回路、ユニット、手段、または部は、ハードウェアとソフトウェアとの組み合わせであり、ソフトウェアはハードウェアまたはプロセッサの構成に使用される。
【0019】
図2は、図1に示す第1電力変換器の回路構成の一例を示す図である。図2の例では、第1電力変換器5は、PWM(Pulse Width Modulation)インバータ回路として構成される。この場合、第1電力変換器5は、例えば三相のブリッジ回路によって実現される。第1電力変換器5は、直流配線9で与えられる直流電力を、3相の交流電力に変換して同期電動発電機3に供給する。すなわち、交流配線6は、3つの接続配線6a,6b,6cを含む。接続配線6a,6b,6cは、同期電動発電機3の3つの端子3a,3b,3cにそれぞれ接続される。3つの端子3a,3b,3cのそれぞれに接続される固定子の巻線がa相巻線、b相巻線、c相巻線に対応する。
【0020】
第1電力変換器5は、交流電流を各接続配線6a,6cにそれぞれ流すための複数のスイッチング素子Tを含む。スイッチング素子Tは、制御器12からの駆動信号Sd1に基づいて、オンオフ状態が切り替えられる。スイッチング素子Tにおいて、オン状態は、スイッチング素子Tの主端子間の導通状態を意味し、オフ状態は、スイッチング素子Tの主端子間の遮断状態を意味する。スイッチング素子Tは、例えばトランジスタによって実現される。例えば、図2の例において、スイッチング素子Tは、IGBTやバイポーラトランジスタである。この場合のスイッチング素子Tには、ダイオードDが逆並列に接続される。なお、スイッチング素子Tは、MOSFET等の電界効果型トランジスタでもよい。この場合のスイッチング素子Tには、ダイオードDは接続されなくてもよい。
【0021】
本実施の形態において、スイッチング素子Tは、6つのスイッチング素子T1U,T1D,T2U,T2D,T3U,T3Dを含む。スイッチング素子T1U,T1Dは、直列接続されてスイッチング素子対を構成し、当該スイッチング素子対がキャパシタ10に並列に接続される。同様に、スイッチング素子T2U,T2Dは、直列接続されてスイッチング素子対を構成し、当該スイッチング素子対がキャパシタ10に並列に接続される。同様に、スイッチング素子T3U,T3Dは、直列接続されてスイッチング素子対を構成し、当該スイッチング素子対がキャパシタ10に並列に接続される。
【0022】
スイッチング素子T1U,T1D間の中間配線51には接続配線6aが接続される。スイッチング素子T2U,T2D間の中間配線52には接続配線6bが接続される。スイッチング素子T3U,T3D間の中間配線53には接続配線6cが接続される。
【0023】
制御器12の処理回路13は、各スイッチング素子Tに対応するゲート信号を生成する。ゲート信号は、PWM変調、すなわちパルス幅変調された信号である。複数のスイッチング素子Tに対するゲート信号の組み合わせが駆動信号Sd1となる。
【0024】
処理回路13は、同期電動発電機3を発電機として機能させる第1制御モードと、同期電動発電機3をエンジン2のスタータとして機能させる第2制御モードとを実行可能である。
【0025】
処理回路13は、第1制御モードにおいて、同期電動発電機3と第1電力変換器5との間の交流配線6の交流電力を直流電力に変換して直流配線9に出力するように第1電力変換器5を制御する。第1制御モードにおいて、処理回路13は、同期電動発電機3に流れる実電流および交流配線6における電圧目標値から同期電動発電機3の回転子の磁極の角速度および位相を推定する。処理回路13は、推定した角速度および位相に追従するように、整流器として機能する第1電力変換器5を制御するための駆動信号Sd1を生成する。
【0026】
処理回路13は、第2制御モードにおいて、エンジン2を停止状態から始動させるために、直流配線9の直流電力を交流電力に変換し、当該交流電力を同期電動発電機3に供給するように第1電力変換器5を制御する。第2制御モードにおいて、処理回路13は、120度ずつ位相がずれた正弦波形の交流電流が各接続配線6a,6b,6cに流れるように、第1電力変換器5を制御するための駆動信号Sd1を生成する。このような交流電流が各接続配線6a,6b,6cに流れることによって、同期電動発電機3の回転子が回転駆動される。処理回路13は、駆動信号Sd1を調整することにより同期電動発電機3の回転子の速度を変更することができる。
【0027】
本実施の形態において、処理回路13は、同期電動機3の角速度が所定の基準角速度以上である場合に、センサレスベクトル制御である第1始動制御を実行し、同期電動機3の始動開始から同期電動機3の角速度が第1角速度基準値ωa未満である間には、第1始動制御とは異なる第2始動制御を実行する。例えば、第1角速度基準値ωaは、エンジン2が自立運転可能な回転数に相当する角速度に設定され得る。
【0028】
例えば、第2始動制御は、電流目標値を用いたV/f制御であってもよい。この場合、処理回路13は、予め設定された値または演算式を用いて電流目標値を生成する。処理回路13は、電流目標値に実電流が一致するように、例えばPID演算を用いて電圧目標値を生成する。処理回路13は、第1電力変換器5の周波数に対する出力電圧の比率が一定となるような電圧目標値を生成する。
【0029】
発電システム1は、制御器12の処理回路13により第1電力変換器5を制御するために、直流配線9における直流電圧を検出する電圧検出器14と、交流配線6における交流電流を検出する電流検出器15と、を備えている。電流検出器15は、接続配線6aの電流Iaを検出する第1検出器15aと接続配線6cの電流Icを検出する第2検出器15cを含む。なお、接続配線6bの電流Ibは、接続配線6aの電流Iaおよび接続配線6cの電流Icのベクトル和から算出可能である。
【0030】
図3は、図1に示す発電システムにおける処理回路の概略構成を示す図である。処理回路13は、制御ブロックとして推定部21および信号生成部22を含む。推定部21は、同期電動発電機3の回転子における磁極の角速度および位相を推定する。このために、推定部21は、dq変換回路23、モデル適用回路24および推定回路25を有する。
【0031】
dq変換回路23は、電流検出器15a,15cにより検出された交流配線6に流れる電流の瞬時値から後述する磁極の推定位相θmを用いてd軸実電流Idおよびq軸実電流Iqを出力する。モデル適用回路24は、同期電動発電機3をモデル化したモデル演算式を用いて、同期電動発電機3に流れる電流を推定する。モデル演算式は、処理回路13のメモリに予め記憶される。
【0032】
モデル適用回路24には、d軸実電流Idおよびq軸実電流Iqが入力される。さらに、モデル適用回路24には、後述する電圧目標値生成回路26で生成されるd軸電圧目標値Vodおよびq軸電圧目標値Voqが入力される。さらに、モデル適用回路24には、推定回路25で推定される推定誘起電圧Emが入力される。モデル適用回路24は、これらの値Id,Iq,Vod,Voq,Emをモデル演算式に代入してモデル演算式を解くことにより、d軸推定電流Imdおよびq軸推定電流Imqを出力する。
【0033】
推定回路25は、d軸実電流Idとd軸推定電流Imdとの間のd軸推定偏差ΔIdおよびq軸実電流Iqとq軸推定電流Imqとの間のq軸推定偏差ΔIqから所定の推定アルゴリズムを用いて推定誘起電圧Em、推定角速度ωmおよび推定位相θmを推定する。d軸推定偏差ΔIdは、d軸実電流Idからd軸推定電流Imdを差し引くことにより得られる。q軸推定偏差ΔIqは、q軸実電流Iqからq軸推定電流Imqを差し引くことにより得られる。
【0034】
推定回路25で推定された推定誘起電圧Emは、前述の通りモデル適用回路24においてモデル演算式に代入される。推定位相θmは、dq変換回路23および後述する駆動信号生成回路27で用いられる。
【0035】
信号生成部22は、第1電力変換器5に対する駆動信号Sd1を生成する。このために、信号生成部22は、電圧目標値生成回路26および駆動信号生成回路27を有する。電圧目標値生成回路26は、d軸実電流Id、q軸実電流Iqおよび推定回路25で推定された推定角速度ωmを用いて電圧目標値Vod,Voqを生成する。
【0036】
図4は、本実施の形態における電圧目標値生成回路の例を模式的に示すブロック図である。電圧目標値生成回路26は、PID演算回路28,29,31および選択回路30を含む。電圧目標値生成回路26は、推定角速度ωmと角速度目標値ωoとの偏差である角速度偏差Δωを生成する。角速度偏差Δωは、角速度目標値ωoから推定角速度ωmを差し引いて求められる。PID演算回路28は、角速度偏差ΔωをPID演算して第1q軸電流目標値Ioq_1を算出する。
【0037】
さらに、電圧目標値生成回路26は、同期電動発電機3で発電される発電電力Pと発電電力目標値Poとの偏差である電力偏差ΔPを生成する。ここで、発電電力Pは、同期電動発電機3が発電する場合を負の値とする。発電電力Pは、例えば各相の電流Ia,Ib,Ic、各相の電圧Voa,Vob,Vocから算出される。すなわち、発電電力Pは、P=Voa×Ia+Vob×Ib+Voc×Icで表される。各相の電圧Voa,Vob,Vocは、電圧検出器14で検出される直流電圧V、推定位相θmおよび駆動信号Sd1から導出される。なお、発電電力Pは、d軸実電流Id、q軸実電流Iqおよび電圧目標値Vod,Voqから算出されてもよい。この場合、発電電力Pは、dq変換に基づく係数Kを用いてP=K(Vod×Id+Voq×Iq)で表される。電力偏差ΔPは、発電電力目標値Poから発電電力Pを差し引いて求められる。PID演算回路29は、電力偏差ΔPをPID演算して第2q軸電流目標値Ioq_2を算出する。
【0038】
選択回路30は、第1q軸電流目標値Ioq_1と第2q軸電流目標値Ioq_2とを比較し、値がより大きい方をq軸電流目標値Ioqとして出力する。d軸電流目標値Iodは、トルク目標値または回転速度目標値等に応じて設定される。電圧目標値生成回路26は、d軸電流目標値Iodとd軸実電流Idとの間のd軸目標偏差ΔIodおよびq軸電流目標値Ioqとq軸実電流Iqとの間のq軸目標偏差ΔIoqを生成する。d軸目標偏差ΔIodは、d軸電流目標値Iodからd軸実電流Idを差し引くことにより得られる。q軸目標偏差ΔIoqは、q軸電流目標値Ioqからq軸実電流Iqを差し引くことにより得られる。
【0039】
PID演算回路31は、d軸目標偏差ΔIodをPID演算してd軸電圧目標値Vodを算出し、q軸目標偏差ΔIoqをPID演算してq軸電圧目標値Voqを算出する。
【0040】
駆動信号生成回路27は、電圧目標値Vod,Voqおよび推定位相θmから駆動信号Sd1を生成する。駆動信号生成回路27は、電圧目標値Vod,Voqを磁極の推定位相θmを用いて逆dq変換して三相の電圧目標値voa,vob,vocを算出する。さらに、駆動信号生成回路27は、三相の電圧目標値voa,vob,vocを所定のキャリア周波数fcに基づいてパルス幅変調した駆動信号Sd1を生成する。本実施の形態において、駆動信号生成回路27がパルス幅変調を実行する際のキャリア周波数fcは、変更可能に構成されている。
【0041】
ここで、同期電動発電機3の誘起電圧は、発電時を基準に設計される。この結果、トルク定数は低くなり、同期電動発電機3の始動時の電流は大きくなる。このため、同期電動発電機3をエンジン2のスタータとして機能させる第2制御モードにおいて、駆動効率を向上させるとともに同期電動発電機3の内部温度の上昇を抑制する必要が生じる。
【0042】
これに対して、処理回路13は、第2制御モードにおいて、周波数低減処理および電圧低減処理を実行する。処理回路13は、周波数低減処理として、エンジン2の回転数Rが基準回転数Rj未満である期間、キャリア周波数fcを、第1制御モードにおいて設定される第1キャリア周波数fc1よりも低い第2キャリア周波数fc2に設定する。また、処理回路13は、電圧低減処理として、エンジン2の回転数Rが基準回転数Rj未満である期間、直流配線9における直流電圧目標値Voを第1制御モードにおける第1直流電圧目標値Vo1よりも低い第2直流電圧目標値Vo2に設定する。
【0043】
図5は、本実施の形態の第2制御モードにおける発電システムに関する各種パラメータのタイムチャートである。図5には、エンジン2の回転数R、直流配線9の直流電圧V、第1電力変換器5のキャリア周波数fcおよび同期電動発電機3の発電電力Pのタイムチャートが示されている。
【0044】
処理回路13は、第2制御モードを開始する際に、直流配線9の直流電圧Vが第2直流電圧目標値V2となるように電源8における電源電圧を降圧してキャパシタ10を充電するように第2電力変換器7を制御する。このため、処理回路13は、時刻t1において直流電圧目標値Voが第2直流電圧目標値Vo2であるような駆動信号Sd2を生成し、第2電力変換器7に送信する。
【0045】
時刻t2において直流配線9の直流電圧Vが第2直流電圧目標値Vo2となる。直流電圧Vは、時刻t2以降、後述するエンジン2が自立運転を開始する時刻t6を経過した後の時刻t7まで第2直流電圧目標値Vo2が維持される。処理回路13は、時刻t2経過後の時刻t3から同期電動発電機3を回転駆動させるために、直流配線9の直流電力を第1電力変換器5により交流電力に変換して同期電動発電機3に供給するための駆動信号Sd1を出力する。すなわち、図5の例において、処理回路13は、エンジン2が停止状態である時刻t3からエンジン2が自立運転を開始する際の回転数Raに達する時刻t6に基づいて定められる時刻t7までの期間、電圧低減処理を実行する。本例において、電圧低減処理における基準回転数Rjは、エンジン2が自立運転を開始する際の回転数Raに基づいて定められる。
【0046】
時刻t3において、処理回路13は、電圧目標値Vod,Voqから駆動信号Sd1を生成する際のキャリア周波数fcとして発電時の第1キャリア周波数fc1よりも低い第2キャリア周波数fc2を採用する。駆動信号Sd1により、第1電力変換器5から交流配線6を介して同期電動発電機3に電力が供給されることにより、同期電動発電機3が回転を開始し、それに伴ってエンジン2の回転も開始される。
【0047】
エンジン2の回転数Rが所定の着火回転数Riに達するとエンジン2が着火され、エンジン2から駆動力が発生するようになる。なお、図5の例では、エンジン2が着火回転数Riに達する時刻t4から所定期間は、エンジン2が着火するまでに必要な期間としてエンジン2の回転数R、すなわち、同期電動発電機3の角速度が一定となるように第1電力変換器5が制御される。本実施の形態において、エンジン2の回転数Rは、同期電動発電機3の磁極の推定角速度ωmから算出される。これに代えて、処理回路13は、エンジン2の回転数Rを検出するエンジン回転数検出器からエンジン2の回転数Rを取得してもよい。
【0048】
時刻t4から所定期間が経過した時刻t5以降において、エンジン2が発生する駆動力が徐々に大きくなり、それに伴って同期電動発電機3が出力軸4に伝達する駆動力は徐々に小さくなる。図5の発電電力Pのグラフにおいて負の値は、電力の消費、すなわち、同期電動発電機3により発生するトルクのための電力を示している。このため、図5には、時刻t5から同期電動発電機3により発生するトルクが低減していき、時刻t6に0になることが示されている。時刻t6の時点でエンジン2は、自立運転となる。自立運転が開始されるエンジン2の回転数は、図5において自立回転数Raで示される。時刻t6以降において、同期電動発電機3は、エンジン2の駆動力による発電状態となる。
【0049】
図5の例において、キャリア周波数fcは、時刻t3以降、後述するエンジン2が着火する時刻t4を経過するまで第2キャリア周波数fc2が維持される。すなわち、処理回路13は、エンジン2が停止状態である時刻t3からエンジン2が着火する際の回転数Riに達する時刻t4までの期間、周波数低減処理を実行する。本例において、周波数低減処理における基準回転数Rjは、着火回転数Riである。本例において、処理回路13は、エンジン2の回転数Rが着火回転数Ri以上になった場合に、キャリア周波数fcを第2キャリア周波数fc2から第1キャリア周波数fc1に上昇させる。本実施の形態において、処理回路13は、時刻t5からキャリア周波数fcを第2キャリア周波数fc2から第1キャリア周波数fc1にランプ状に上昇させる。図5の例において、キャリア周波数fcが第1キャリア周波数fc1に達するタイミングは、エンジン2が自立運転となる、すなわち、同期電動発電機3が電力供給状態から発電状態に切り替わる時刻t6より前である。ただし、キャリア周波数fcが時刻t6より後に第1キャリア周波数fc1に達してもよい。
【0050】
なお、キャリア周波数fcを上昇させるタイミングを決定する基準回転数Rjは、上記に限られない。例えば、周波数低減処理においてキャリア周波数fcを上昇させる基準となる基準回転数Rj[rpm]は、以下の式の範囲内に設定され得る。
fc2/60PN<Rj<fc2/60PM
ここで、Pは、同期電動発電機の極対数を示し、N,Mは、同期電動発電機が1回転する間に含まれるキャリア周波数の周期を示す。例えば、Nは9から20の中から選択され、Mは2から5の中から選択される。
【0051】
また、処理回路13は、キャリア周波数fcを上昇させるタイミング、すなわち、基準回転数Rjを同期電動発電機に流れる電流に基づいて決定してもよい。すなわち、処理回路13は、第2制御モードにおいて、同期電動発電機3に流れる電流が所定範囲内になった場合に、キャリア周波数fcを第2キャリア周波数fc2から第1キャリア周波数fc1に上昇させてもよい。キャリア周波数fcを上昇させるための基準となる所定範囲は、着火回転数Riに対応する電流値に基づいて定められてもよいし、エンジン2が自立運転に切り替わり、同期電動発電機3が電力供給状態から発電状態に切り替わる時刻t6における電流値、すなわち、0に基づいて定められてもよい。所定範囲は、基準となる電流値を下限値、中間値または上限値として定められてもよいし、基準となる電流値から所定量オフセットした値を下限値、中間値または上限値として定めてもよい。これにより、エンジン2の着火時または自立運転開始時を同期電動発電機3に流れる電流から検出することができる。
【0052】
さらに、処理回路13は、第1電力変換器5から交流配線6を介して同期電動発電機3に流れる電流が所定値以下になった場合に、所定の期間、第1電力変換器5に対する制御を停止する。前述の通り、同期電動発電機3により発生するトルクは、時刻t6に0になる。このとき、同期電動発電機3には電流が流れない。このため、処理回路13は、時刻t6の前後においてモデル適用回路24および推定回路25による角速度等の推定を行うことが困難になる。
【0053】
そこで、同期電動発電機3に流れる電流が所定値以下になった場合、処理回路13は、第1電力変換器5に対する制御を停止する。これにより、第1電力変換器5におけるすべてのスイッチング素子Tがオフ状態となる。スイッチング素子Tがオフ状態であってもエンジン2の回転数Rの上昇に伴い同期電動発電機3の回転数も上昇する。このように、同期電動発電機3に流れる電流が所定値以下になった場合に第1電力変換器5に対する制御を停止することにより、角速度等の推定誤差によって脱調が発生することを防止することができる。制御停止中においては、同期電動発電機3の回転により発電され、ダイオードDを介して直流配線9に電力が供給される。
【0054】
さらに、処理回路13は、制御停止中も直流配線9の直流電圧Vを第2直流電圧目標値Vo2に維持するように第2電力変換器7を制御する。上記のような制御停止後、処理回路13は、第1電力変換器5を第1制御モードで制御する。
【0055】
このとき、モデル適用回路24に入力される推定誘起電圧Emは、予め定められた固定値または制御停止直前の値となる。このため、モデル適用回路24が出力するd軸推定電流Imdおよびq軸推定電流Imqは、精度が高くない。したがって、推定回路25で推定される推定位相θmは、実際の同期電動発電機3の磁極の位相とは一致しない可能性がある。この結果、駆動信号Sd1に基づいて動作するスイッチング素子Tのオンオフタイミングが同期電動発電機3の位相に追従せず、適切な整流処理を行うことができない恐れがある。
【0056】
これに対して、第1制御モードの実行開始時において直流配線9の直流電圧Vを第1直流電圧目標値Vo1より低い第2直流電圧目標値Vo2に維持しておくことにより、第1制御モードの実行開始時において同期電動発電機3に流れる電流を低く抑えることができ、第1電力変換器5に対する制御の再開後に整流処理に乱れが生じて直流配線9に過大な電流が流れることを防止することができる。
【0057】
処理回路13は、第1制御モードを開始した後の時刻t7を起点として、直流配線9の直流電圧Vを第2直流電圧目標値Vo2から第1直流電圧目標値Vo1に上昇させる。例えば、時刻t7は、同期電動発電機3から第1電力変換器5に流れる電流が0より大きい基準値以上である時刻である。すなわち、処理回路13は、第2制御モードにおいて、同期電動発電機3に流れる電流が基準値を含む所定範囲内になった場合に、直流電圧目標値を第2直流電圧目標値Vo2から第1直流電圧目標値Vo1に上昇させる。これにより、第2制御モードから第1制御モードの切り替わりを容易に検出することができ、第1制御モードの実行開始時において直流配線9の直流電圧を第2直流電圧目標値Vo2に維持した上で、その後の適切なタイミングで第1直流電圧目標値Vo1に上昇させることができる。
【0058】
本実施の形態において、処理回路13は、時刻t7を起点として直流電圧目標値を第2直流電圧目標値Vo2から第1直流電圧目標値Vo1にランプ状に上昇させる。図5の例において、直流電圧Vが第1直流電圧目標値Vo1に達するタイミングは、エンジン2が定常回転数での運転となる時刻t8より前である。
【0059】
時刻t8以後の第1制御モードにおいて、同期電動発電機3がエンジン2に対して優勢である場合、通常、エンジン2の回転数Rにおいて大きな変動がないため、電圧目標値生成回路26のPID演算回路28に入力される角速度偏差Δωもほぼ0に近い値となる。このため、選択回路30で選択されるq軸電流目標値Ioqは、電力偏差ΔPに基づく第2q軸電流目標値Ioq_2が優勢となる。一方、エンジン2が同期電動発電機3に対して優勢である場合、角速度偏差Δωが大きくなり、選択回路30で選択されるq軸電流目標値Ioqは、角速度偏差Δωに基づく第1電流目標値Ioq_1が優勢となる。
【0060】
このようにして、処理回路13は、第2制御モードにおいて、同期電動発電機3の回転数に応じた制御を実行し、第1制御モードにおいて、第1電力変換器5から直流配線9に出力する電力に応じた制御を実行する。
【0061】
本実施の形態によれば、同期電動発電機3をエンジン2のスタータとして機能させる第2制御モードにおいて、同期電動発電機3をエンジン2の駆動力を用いた発電機として機能させる第1制御モードに比べて、低いキャリア周波数fcである第2キャリア周波数fc2を用いて駆動信号Sd1が生成される。第1電力変換器5におけるキャリア周波数fcと同期電動発電機3における損失とは、比例関係にある。そのため、エンジン2の始動に際して、同期電動発電機3の角速度すなわち周波数が低い状態となった場合に、キャリア周波数fcも低くすることにより、適切な制御を行いつつ損失を低減することができる。
【0062】
さらに、本実施の形態によれば、第2制御モードにおいて、第1制御モードに比べて、直流配線9における直流電圧Vが低い電圧となる。直流電圧Vを単位時間あたりの変化率を一定に上昇させた場合、同期電動発電機3における損失は電圧の2乗に比例する。そのため、エンジン2の始動に際して、同期電動発電機3の誘起電圧が低い状態となった場合に、直流電圧も低くすることにより、適切な制御を行いつつ損失を低減することができる。
【0063】
このように、第2制御モード実行時のエンジン2の停止状態を含む所定の期間において、第1電力変換器5におけるキャリア周波数fcを第1制御モードにおける第1キャリア周波数fc1より低い第2キャリア周波数fc2に設定する周波数低減処理、および、直流配線9における直流電圧目標値を第1制御モードにおける第1直流電圧目標値Vo1より低い第2直流電圧目標値Vo2に設定する電圧低減処理を実行することにより、1つの同期電動発電機3を、スタータおよび発電機の両方として機能させながら、同期電動発電機3における損失を低減することができる。
【0064】
さらに、本実施の形態によれば、第1電力変換器5を小型化することができる。また、本実施の形態のようにセンサレス制御の場合、同期電動発電機3も小型化することができる。第1電力変換器5の大きさ、すなわち、寸法重量は、容量に依存する。第1電力変換器5において、容量が大きいほど、寸法重量も大きくなる。第1電力変換器5における容量は、一般的に、(電圧)×(電流)の値に比例する。
【0065】
本実施の形態のように、同期電動発電機3に発電機およびスタータの両方の機能が含まれる場合、スタータとして機能する第2制御モードにおいて大きなトルクを発生させるために大きな電流が必要になる一方で、発電機として機能する第1制御モードにおいて発生する誘起電圧に対応するために高電圧が要求される。すなわち、第1制御モードにおいてはエンジン2の高速回転に伴って同期電動発電機3も高速回転となり、誘起電圧が高くなる。したがって、第1電力変換器5において要求される容量は、(低速回転かつ大トルクに対応した大電流)×(高速回転に対応した高電圧)となり、大きな容量が必要となる。
【0066】
これに対して、本実施の形態によれば、低速かつ大トルクが必要な第2制御モードにおいて直流電圧Vを低くすることにより、第1電力変換器5において要求される容量を、(低速回転かつ大トルクに対応した大電流)×(低速回転に対応した低電圧)と、(高速発電時の低電流)×(高速回転に対応した高電圧)とのうちの何れか大きい方とすることができる。すなわち、この差によって、第1電力変換器5を小型化することができる。
【0067】
また、キャリア周波数fcも第1電力変換器5の寸法重量に大きく影響する。キャリア周波数fcは、第1電力変換器5が出力する周波数に依存し、第1電力変換器5が出力する周波数を高くするためにはキャリア周波数fcも高くする必要がある。また、高いキャリア周波数で大きな電流を流すと損失が大きくなる。このため、第1電力変換器5における発熱量が大きくなり、第1電力変換器5を冷却するための冷却器も大型化する。これに対して、本実施の形態では、大電流が流れる第2制御モードにおいてはキャリア周波数fcを低くすることにより、損失を低減することができ、その結果、第1電力変換器5を小型化することができる。
【0068】
さらに、本実施の形態によれば、第2制御モードを開始する際に、直流配線9の直流電圧Vが第2直流電圧目標値Vo2となるように電源8における電源電圧を降圧して直流配線9に接続されるキャパシタ10を充電するように第2電力変換器7が制御される。すなわち、第2電力変換器7は、降圧コンバータとして動作するように構成される。例えば、第2電力変換器7は、昇降圧のDC-DCコンバータである。これにより、直流配線9の直流電圧Vを第1直流電圧目標値Vo1と第2直流電圧目標値Vo2との間で容易に切り替えることができる。
【0069】
さらに、本実施の形態によれば、エンジン2の回転数Rが着火回転数Ri以上になった場合に、キャリア周波数fcが第2キャリア周波数fc2から第1キャリア周波数fc1に上昇するように制御される。これにより、エンジン2の着火後のトルクの増大に従って第2キャリア周波数fc2から第1キャリア周波数fc1へ上昇させることができる。また、キャリア周波数fcをランプ状に上昇させることにより、同期電動発電機3における損失の発生を抑制することができる。
【0070】
以上、本開示の実施の形態について説明したが、本開示は上記実施の形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲内で種々の改良、変更、修正が可能である。
【0071】
[他の実施の形態]
例えば、上記実施の形態においては、第2制御モードにおいて、周波数低減処理および電圧低減処理の両方を実行する態様を例示したが、周波数低減処理および電圧低減処理のうちの何れか一方のみを実行してもよい。
【0072】
また、上記実施の形態においては、同期電動発電機3が、回転角度の検出が行われないセンサレス制御により制御される態様を例示したが、回転角度センサにより同期電動発電機3の回転角度を検出し、当該回転角度に基づいて回転数制御が行われる態様についても、上記開示の制御を適用可能である。例えば、処理回路13は、第2制御モードにおいて、検出した同期電動発電機3の回転角度がエンジン2の着火回転数Riに対応する値以上になった場合に、キャリア周波数fcを第2キャリア周波数fc2から第1キャリア周波数fc1に上昇させてもよい。
【0073】
また、上記実施の形態においては、第1q軸電流目標値Ioq_1を推定角速度ωmと角速度目標値ωoとの偏差である角速度偏差Δωから生成する態様を例示した。すなわち、上記実施の形態においては、回転数制御と発電電力制御とを組み合わせた制御態様を例示した。これに代えて、第1q軸電流目標値Ioq_1をトルク目標値Toに所定のトルク定数を掛けることにより生成してもよい。すなわち、本開示の構成において、トルク制御と発電電力制御とを組み合わせた制御態様を採用することが可能である。
【0074】
また、上記実施の形態においては、着火回転数Riにおいてエンジン2の回転数が一定となる期間が存在するように第1電力変換器5が制御される態様を例示したが、これに限られない。図6は、一変形例の第2制御モードにおける発電システムに関する各種パラメータのタイムチャートである。図6においても図5と同様のパラメータR,V,fc,Pについてのタイムチャートが示されている。エンジン2の特性によっては、着火時に一定の回転数が不要の場合もある。そのような場合には、図6のタイムチャートに示すように、エンジン2の回転開始から定常運転になるまでエンジン2の回転数がランプ状に上昇するように制御されてもよい。この場合、上記トルク制御を容易に適用できる。
【0075】
また、上記実施の形態においては、第2制御モードにおいて、同期電動発電機3に流れる電流が所定値以下になった場合、第1電力変換器5に対する制御が停止される態様を例示したが、これに限られない。同期電動発電機3の回転角度を検出し、当該回転角度に基づいて回転数制御が行われる態様であれば、このような制御は必要ない。また、センサレス制御においても上記態様に代えて、同期電動発電機3に無効電力を供給するようにしてもよい。すなわち、処理回路13は、第2制御モードにおいて、第1電力変換器5から交流配線6を介して同期電動発電機3に流れる電流が所定値以下になった場合に、所定の期間、第1電力変換器5から同期電動発電機3に無効電力を供給するように第1電力変換器5を制御し、所定の期間の経過後、第1制御モードを実行してもよい。
【0076】
無効電力を供給することにより、有効電力すなわち発電電力に寄与しない電流を同期電動発電機3に流すことができる。このため、当該電流を用いて同期電動発電機3の角速度を推定することができる。
【0077】
また、上記実施の形態では、キャリア周波数fcを第2キャリア周波数fc2から第1キャリア周波数fc1に上昇させる際にランプ状に上昇させる態様を例示したが、これに限られない。例えば、キャリア周波数fcをステップ状に上昇させてもよい。
【0078】
また、上記実施の形態では、1つの制御器12が第1電力変換器5および第2電力変換器7の両方を制御する態様を例示したが、これに代えて、第1電力変換器5を制御する制御器と、第2電力変換器7を制御する制御器とが、別の制御器であってもよい。また、第1電力変換器5または第2電力変換器7を制御する制御器12は、エンジン2を制御する制御器と同じ制御器により構成されてもよいし、別の制御器として構成されてもよい。
【0079】
[本開示のまとめ]
[項目1]
本開示の一態様に係る発電システムの制御器は、エンジンと、前記エンジンに機械的に接続され、前記エンジンの駆動力を利用して発電可能な同期電動発電機と、前記同期電動発電機に電気的に接続される第1電力変換器を備えた発電システムの制御器であって、処理回路を備え、前記処理回路は、前記同期電動発電機との間の交流配線の交流電力を直流電力に変換して直流配線に出力するように前記第1電力変換器を制御する第1制御モードと、前記エンジンを停止状態から始動させるために、前記直流配線の直流電力を交流電力に変換し、当該交流電力を前記同期電動発電機に供給するように前記第1電力変換器を制御する第2制御モードとを実行可能であり、前記第2制御モードは、前記エンジンの回転数が基準回転数未満である期間、前記第1電力変換器におけるキャリア周波数を前記第1制御モードにおける第1キャリア周波数よりも低い第2キャリア周波数に設定する周波数低減処理、および、前記直流配線における直流電圧目標値を前記第1制御モードにおける第1直流電圧目標値よりも低い第2直流電圧目標値に設定する電圧低減処理の少なくとも1つを含む。
【0080】
上記構成によれば、同期電動発電機をエンジンのスタータとして機能させる第2制御モードにおいて、同期電動発電機をエンジンの駆動力を用いた発電機として機能させる第1制御モードに比べて、低いキャリア周波数を用いて駆動信号が生成される、または、直流配線9における直流電圧Vが低い電圧となる。エンジンの始動に際して、同期電動発電機の角速度すなわち周波数が低い状態となった場合に、キャリア周波数も低くするまたは直流電圧も低くすることにより、適切な制御を行いつつ損失を低減することができる。したがって、1つの電動発電機を、スタータおよび発電機の両方として機能させながら、同期電動発電機における損失を低減することができる。
【0081】
[項目2]
項目1の発電システムの制御器において、前記発電システムは、前記直流配線に電気的に接続され、前記直流配線における直流電圧を定義するキャパシタと、前記直流配線と所定の電源との間に電気的に接続される第2電力変換器と、を備え、前記第2制御モードは、前記電圧低減処理を含み、前記処理回路は、前記第2制御モードを開始する際に、前記直流配線の直流電圧が前記第2直流電圧目標値となるように前記電源における電源電圧を降圧して前記キャパシタを充電するように前記第2電力変換器を制御してもよい。これにより、直流配線の直流電圧を第1直流電圧目標値と第2直流電圧目標値との間で容易に切り替えることができる。
【0082】
[項目3]
項目1または2の発電システムの制御器において、前記第2制御モードは、前記周波数低減処理を含み、前記処理回路は、前記第2制御モードにおいて、前記エンジンまたは前記同期電動発電機の回転数を取得し、前記回転数が前記エンジンが着火する回転数として設定された着火回転数以上になった場合に、前記キャリア周波数を前記第2キャリア周波数から前記第1キャリア周波数に上昇させてもよい。これにより、エンジンの着火後のトルクの増大に従って第2キャリア周波数から第1キャリア周波数へ上昇させることができる。
【0083】
[項目4]
項目1または2の発電システムの制御器において、前記第2制御モードは、前記周波数低減処理を含み、前記処理回路は、前記第2制御モードにおいて、前記同期電動発電機に流れる電流が所定範囲内になった場合に、前記キャリア周波数を前記第2キャリア周波数から前記第1キャリア周波数に上昇させてもよい。これにより、エンジンの着火時または自立運転開始時を同期電動発電機に流れる電流から検出することができ、エンジンの着火後のトルクの増大に従って第2キャリア周波数から第1キャリア周波数へ上昇させることができる。
【0084】
[項目5]
項目3または4の発電システムの制御器において、前記処理回路は、前記キャリア周波数を前記第2キャリア周波数から前記第1キャリア周波数にランプ状に上昇させてもよい。これにより、同期電動発電機における損失の発生を抑制することができる。
【0085】
[項目6]
項目1から5の何れかの発電システムの制御器において、前記第2制御モードは、前記電圧低減処理を含み、前記処理回路は、前記第2制御モードにおいて、前記同期電動発電機に流れる電流が所定範囲内になった場合に、前記直流電圧目標値を前記第2直流電圧目標値から前記第1直流電圧目標値に上昇させてもよい。これにより、適切なタイミングで直流配線における直流電圧目標値を第2直流電圧目標値から第1直流電圧目標値に上昇させることができる。
【0086】
[項目7]
項目6の発電システムの制御器において、前記処理回路は、前記直流電圧目標値を前記第2直流電圧目標値から前記第1直流電圧目標値にランプ状に上昇させてもよい。
【0087】
[項目8]
項目1から7の何れかの発電システムの制御器において、前記同期電動発電機は、回転角度の検出が行われないセンサレス制御により制御されてもよい。
【0088】
[項目9]
項目8の発電システムの制御器において、前記処理回路は、前記第2制御モードにおいて、前記第1電力変換器から前記交流配線を介して前記同期電動発電機に流れる電流が所定値以下になった場合に、所定の期間、前記第1電力変換器に対する制御を停止し、前記所定の期間の経過後、前記第1制御モードを実行してもよい。これにより、角速度等の推定誤差によって脱調が発生することを防止することができる。
【0089】
[項目10]
項目8の発電システムの制御器において、前記第2制御モードは、前記電圧低減処理を含み、前記処理回路は、前記同期電動発電機に流れる電流が前記所定値以下になってから所定の期間が経過するまで前記直流配線の前記直流電圧を前記第2直流電圧目標値に維持するように前記第2電力変換器を制御してもよい。これにより、第1電力変換器に対する制御の再開後に整流処理に乱れが生じて直流配線に過大な電流が流れても、直流配線に接続されるキャパシタに電流を流すことで吸収することができる。
【0090】
[項目11]
項目8の発電システムの制御器において、前記処理回路は、前記第2制御モードにおいて、前記第1電力変換器から前記交流配線を介して前記同期電動発電機に流れる電流が所定値以下になった場合に、所定の期間、前記第1電力変換器から前記同期電動発電機に無効電力を供給するように前記第1電力変換器を制御し、前記所定の期間の経過後、前記第1制御モードを実行してもよい。
【0091】
[項目12]
項目1から11の何れかの発電システムの制御器において、前記処理回路は、前記第2制御モードにおいて、前記同期電動発電機の回転数に応じた制御を実行し、前記第1制御モードにおいて、前記第1電力変換器から前記直流配線に出力する電力に応じた制御を実行してもよい。
【0092】
[項目13]
本開示の他の態様に係る発電システムの制御方法は、エンジンと、前記エンジンに機械的に接続され、前記エンジンの駆動力を利用して発電可能な同期電動発電機と、前記同期電動発電機に電気的に接続される第1電力変換器を備えた発電システムの制御方法であって、前記同期電動発電機との間の交流配線の交流電力を直流電力に変換して直流配線に出力するように前記第1電力変換器を制御する第1制御モードと、前記エンジンを停止状態から始動させるために、前記直流配線の直流電力を交流電力に変換し、当該交流電力を前記同期電動発電機に供給するように前記第1電力変換器を制御する第2制御モードとを切り替えて実行し、前記第2制御モードにおいて、前記エンジンの回転数が基準回転数未満である期間、前記第1電力変換器におけるキャリア周波数を前記第1制御モードにおける第1キャリア周波数よりも低い第2キャリア周波数に設定する、または、前記直流配線における直流電圧目標値を前記第1制御モードにおける第1直流電圧目標値よりも低い第2直流電圧目標値に設定する。
【符号の説明】
【0093】
1 発電システム
2 エンジン
3 同期電動発電機
5 第1電力変換器
6 交流配線
7 第2電力変換器
8 電源
9 直流配線
10 キャパシタ
12 制御器
13 処理回路
図1
図2
図3
図4
図5
図6