(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024175799
(43)【公開日】2024-12-19
(54)【発明の名称】電動式作業機械
(51)【国際特許分類】
E02F 9/00 20060101AFI20241212BHJP
B60K 1/04 20190101ALI20241212BHJP
B60K 11/04 20060101ALI20241212BHJP
【FI】
E02F9/00 M
B60K1/04 Z
B60K11/04 E
【審査請求】未請求
【請求項の数】17
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023093813
(22)【出願日】2023-06-07
(71)【出願人】
【識別番号】720001060
【氏名又は名称】ヤンマーホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001933
【氏名又は名称】弁理士法人 佐野特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】村岡 宏之
(72)【発明者】
【氏名】畠中 光幸
【テーマコード(参考)】
2D015
3D038
3D235
【Fターム(参考)】
2D015CA02
3D038AA09
3D038AB09
3D038AC22
3D235AA19
3D235BB17
3D235BB18
3D235BB45
3D235CC12
3D235CC15
(57)【要約】
【課題】機体内部の機器を効率よく冷却しつつ、機体内部の限られたスペースにできるだけ大きなバッテリユニットを設けて、バッテリ容量を増大することができる電動式作業機械を提供する。
【解決手段】電動式作業機械としての油圧ショベルは、機体内に、電力を蓄えるバッテリユニットと、バッテリユニットから電力の供給を受けて駆動する電動モータと、電動モータによって駆動される油圧ポンプと、油圧ポンプから吐出される作動油を冷却するオイルクーラと、機体内に空気を取り込むファンと、を備える。機体は、第1開口部と、第2開口部とを有し、第1開口部は、機体の一方の側方側に設けられ、第2開口部は、機体の他方の側方側に設けられる。ファンは、機体内で、第1開口部と対向して配置され、オイルクーラは、機体内で、第2開口部と対向して配置される。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
機体内に、
電力を蓄えるバッテリユニットと、
前記バッテリユニットから前記電力の供給を受けて駆動する電動モータと、
前記電動モータによって駆動される油圧ポンプと、
前記油圧ポンプから吐出される作動油を冷却するオイルクーラと、
前記機体内に空気を取り込むファンと、を備え、
前記機体は、第1開口部と、第2開口部とを有し、
前記第1開口部は、前記機体の一方の側方側に設けられ、
前記第2開口部は、前記機体の他方の側方側に設けられ、
前記ファンは、前記機体内で、前記第1開口部と対向して配置され、
前記オイルクーラは、前記機体内で、前記第2開口部と対向して配置される、電動式作業機械。
【請求項2】
前記バッテリユニットは、背面視で、前記ファンと前記第2開口部との間に配置される、請求項1に記載の電動式作業機械。
【請求項3】
前記バッテリユニットと接続される電装機器を備え、
前記電装機器は、前記機体内で、前記バッテリユニットよりも前記機体の後方側に位置する第1電装機器を含み、
前記第1電装機器は、前記機体内で、前記ファンと前記オイルクーラとの間に配置される、請求項2に記載の電動式作業機械。
【請求項4】
前記作動油を貯留する作動油タンクを備え、
前記電動モータ及び前記作動油タンクは、前記機体内で、前記バッテリユニットの下方に並べて配置され、
前記電動モータは、前記機体の前記一方の側方側に設けられ、
前記作動油タンクは、前記機体の前記他方の側方側に設けられる、請求項3に記載の電動式作業機械。
【請求項5】
前記ファンは、前記バッテリユニットの側方に配置される、請求項3に記載の電動式作業機械。
【請求項6】
前記ファンの一部は、側面視で、前記バッテリユニットよりも前記機体の後方側に位置する、請求項5に記載の電動式作業機械。
【請求項7】
前記オイルクーラは、前記バッテリユニットよりも前記機体の後方側に配置される、請求項3に記載の電動式作業機械。
【請求項8】
前記機体は、前記他方の側方側に設けられ、前記第2開口部よりも前方に位置する第3開口部を有し、
前記第3開口部の少なくとも一部は、側面視で、前記バッテリユニットの前部と重なって位置する、請求項3に記載の電動式作業機械。
【請求項9】
前記電装機器は、前記機体内で、前記ファンよりも前記機体の前方側に位置する第2電装機器を含み、
前記第2電装機器は、前記バッテリユニットの側方で、前記機体の前記一方の側方側に配置される、請求項8に記載の電動式作業機械。
【請求項10】
前記ファンは、上下方向に並べて複数配置される、請求項1から9のいずれかに記載の電動式作業機械。
【請求項11】
前記バッテリユニットは、前記ファンと前記オイルクーラとの間に配置される、請求項1に記載の電動式作業機械。
【請求項12】
前記バッテリユニットと接続される電装機器を備え、
前記電装機器は、前記機体内で、前記ファンと前記オイルクーラとの間に位置する第3電装機器を含む、請求項11に記載の電動式作業機械。
【請求項13】
前記作動油を貯留する作動油タンクを備え、
前記作動油タンクは、前記機体内で、前記バッテリユニットよりも前記機体の前方側に配置される、請求項12に記載の電動式作業機械。
【請求項14】
前記作動油タンクは、前記バッテリユニットに対して、左右のいずれか一方にずれて配置される、請求項13に記載の電動式作業機械。
【請求項15】
前記電動モータは、前記作動油タンクよりも前記機体の後方側において、前記ファンの下方に配置される、請求項13に記載の電動式作業機械。
【請求項16】
前記電装機器は、前記機体内に配置される第4電装機器を含み、
前記第4電装機器は、前記作動油タンクよりも前記機体の後方側で、かつ、前記ファンよりも前記機体の前方側に位置する、請求項13に記載の電動式作業機械。
【請求項17】
前記作動油によって駆動される油圧アクチュエータと、
前記油圧ポンプから前記油圧アクチュエータに供給される前記作動油の流れ方向及び流量を制御するコントロールバルブと、をさらに備え、
前記コントロールバルブは、前記作動油タンクの上方に配置される、請求項13から16のいずれかに記載の電動式作業機械。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電動式作業機械に関する。
【背景技術】
【0002】
バッテリユニットを機体内部に備える電動式建設機械が従来技術として知られている(例えば特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
小型の電動式作業機械では、機体内部の限られたスペースに大きなバッテリユニットを設けて、バッテリ容量を増大し、稼働時間を長くすることが望ましい。また、機体内部の機器(バッテリユニットも含む)を効率よく冷却することも同時に望まれる。特許文献1では、バッテリユニットの配置スペースを広く確保する点については考慮されているが、機体内部の機器を効率よく冷却する点については考慮されていない。この点で、特許文献1の電動式建設機械は、改善の余地がある。
【0005】
本発明は、上記の問題点を解決するためになされたものであり、その目的は、機体内部の機器を効率よく冷却しつつ、機体内部の限られたスペースにできるだけ大きなバッテリユニットを設けて、バッテリ容量を増大することができる電動式作業機械を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一側面に係る電動式作業機械は、機体内に、電力を蓄えるバッテリユニットと、前記バッテリユニットから前記電力の供給を受けて駆動する電動モータと、前記電動モータによって駆動される油圧ポンプと、前記油圧ポンプから吐出される作動油を冷却するオイルクーラと、前記機体内に空気を取り込むファンと、を備え、前記機体は、第1開口部と、第2開口部とを有し、前記第1開口部は、前記機体の一方の側方側に設けられ、前記第2開口部は、前記機体の他方の側方側に設けられ、前記ファンは、前記機体内で、前記第1開口部と対向して配置され、前記オイルクーラは、前記機体内で、前記第2開口部と対向して配置される。
【発明の効果】
【0007】
上記の構成によれば、機体内部の機器を効率よく冷却しつつ、機体内部の限られたスペースにできるだけ大きなバッテリユニットを設けて、バッテリ容量を増大することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本発明の実施の一形態に係る電動式作業機械の一例である油圧ショベルの概略の構成を示す左側面図である。
【
図3】上記油圧ショベルの電気系及び油圧系の構成を模式的に示すブロック図である。
【
図4】上記油圧ショベルの機関室における第1配置例での内部構成を示す平面図である。
【
図5】上記機関室の第1配置例での内部構成を示す背面図である。
【
図6】上記機関室の第1配置例での内部構成を示す左側面図である。
【
図7】上記機関室の内部構成が第2配置例である上記油圧ショベルの左側面図である。
【
図9】上記機関室の第2配置例での内部構成を示す平面図である。
【
図10】上記機関室の第2配置例での内部構成を示す背面図である。
【
図11】上記機関室の第2配置例での内部構成を示す左側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明の実施の形態について、図面に基づいて説明すれば、以下の通りである。
【0010】
〔1.電動式作業機械〕
図1は、本発明の実施の一形態に係る電動式作業機械の一例である油圧ショベル1(電動ショベル)の概略の構成を示す左側面図である。
図2は、油圧ショベル1の右側面図である。油圧ショベル1は、下部走行体2と、作業機3と、上部旋回体4(機体とも呼ばれる)と、を備える。本実施形態では、上部旋回体4(特に後述する機関室44)の内部構成について、2つの例(第1配置例、第2配置例)に基づいて説明する。以下、上部旋回体4(機関室44)の内部構成が、第1配置例の場合について説明する。
【0011】
ここで、方向を以下のように定義する。上部旋回体4の操縦部43に配置される運転席43aに着座したオペレータ(操縦者、運転手)が、正面を向く方向を「前」とし、その反対方向を「後ろ」とする。下部走行体2に対して、上部旋回体4が非旋回の状態(旋回角度0度)では、上部旋回体4の前後方向は、下部走行体2の前後方向と一致する。図面では、下部走行体2に対して、上部旋回体4が非旋回の状態で油圧ショベル1を示す。また、運転席43aに着座したオペレータから見て左側を「左」とし、右側を「右」とする。さらに、前後方向及び左右方向に垂直な重力方向を上下方向とし、重力方向の上流側を「上」とし、下流側を「下」とする。図面では、必要に応じて、前方を「F」、後方を「B」、右方を「R」、左方を「L」、上方を「U」、下方を「D」の記号で示す。
【0012】
下部走行体2は、左右一対のクローラ21と、左右一対の走行モータ22と、ブレード23と、を備える。左右の走行モータ22が左右のクローラ21をそれぞれ駆動することにより、油圧ショベル1を前後進させることができる。走行モータ22は、油圧モータで構成される。整地作業等を行うブレード23は、下部走行体2の前方側に設けられる。ブレード23は、ブレードシリンダ23aによって回動される。ブレードシリンダ23aは、油圧シリンダで構成される。
【0013】
作業機3は、ブーム31と、アーム32と、バケット33と、を備える。ブーム31と、アーム32と、バケット33とを独立して駆動することにより、土砂等の掘削作業を行うことができる。
【0014】
ブーム31は、ブームシリンダ31aによって回動される。ブームシリンダ31aは、基端部が上部旋回体4の前部に支持され、伸縮自在に可動する。図面では、ブームシリンダ31aは、ロッド側が基端部となるように配置されているが、チューブ側が基端部となるように配置されてもよい。アーム32は、アームシリンダ32aによって回動される。アームシリンダ32aは、基端部がブーム31に支持され、伸縮自在に可動する。バケット33は、バケットシリンダ33aによって回動される。バケットシリンダ33aは、基端部がアーム32に支持され、伸縮自在に可動する。ブームシリンダ31a、アームシリンダ32a、及びバケットシリンダ33aは、油圧シリンダでそれぞれ構成される。
【0015】
ブーム31の基端部は、後述する旋回フレーム41の先端部41aに、ブラケット(図示せず)を介してスイング可能に連結される。すなわち、本実施形態の油圧ショベル1は、先端部41aを起点としてブーム31が左右にスイングするブームスイング機能を有する。
【0016】
上部旋回体4は、下部走行体2の上方に位置し、下部走行体2に対して旋回ベアリング(図示せず)を介して、旋回可能に設けられる。上部旋回体4は、旋回フレーム41と、旋回モータ42と、操縦部43と、機関室44と、を備える。上部旋回体4は、旋回フレーム41に配置される旋回モータ42の駆動により、下部走行体2に対して旋回する。旋回フレーム41は、溶接等によって結合される複数の金属部材を含んで構成される。旋回モータ42は、油圧モータで構成される。
【0017】
機関室44には、左右の側壁となる左ボンネット44L及び右ボンネット44Rが設けられる。左ボンネット44Lは、機関室44の左方側(一方の側方側)に位置し、右ボンネット44Rは、機関室44の右方側(他方の側方側)に位置する。左ボンネット44L及び右ボンネット44Rは、支持部材(図示せず)を介して旋回フレーム41にそれぞれ固定される。左ボンネット44Lの第1開口部44L1と、右ボンネット44Rの第2開口部44R1及び第3開口部44R2と、については後述する。
【0018】
機関室44内には、バッテリユニットBU及びファン45が収容される。すなわち、油圧ショベル1は、機体内に、バッテリユニットBUと、ファン45とを備える。バッテリユニットBUは、例えば、リチウムイオンバッテリで構成され、電動モータEM(
図3参照)を駆動するための電力を蓄える。バッテリユニットBUは、複数のバッテリをユニット化して構成されてもよいし、単一のバッテリセルで構成されてもよい。また、上部旋回体4には、給電口(図示せず)が設けられる。上記の給電口と、外部電源(図示せず)を接続することで、バッテリユニットBUを充電することができる。
【0019】
ファン45は、電動ファンで構成され、機関室44内に空気(外気)を取り込む。すなわち、ファン45は、機体内に空気を取り込む。これにより、機関室44内に風の流れが作られる。ファン45は、第1ファン45aと、第2ファン45bとを有する。第1ファン45aは、第2ファン45bの上方に位置する。つまり、ファン45は、上下方向に並べて複数配置される。
【0020】
機関室44内には、油圧ポンプ61(
図3参照)及びオイルクーラ46がさらに収容される。すなわち、油圧ショベル1は、機体内に、油圧ポンプ61と、オイルクーラ46とを備える。油圧ポンプ61は、電動モータEMによって駆動され、油圧モータ(例えば、左右の走行モータ22、旋回モータ42)及び油圧シリンダ(例えばブレードシリンダ23a、ブームシリンダ31a、アームシリンダ32a、バケットシリンダ33a)に作動油(圧油)を供給する。油圧ポンプ61から作動油が供給されて駆動する油圧モータ及び油圧シリンダを、まとめて油圧アクチュエータ63(
図3参照)と呼ぶ。
【0021】
オイルクーラ46は、油圧ポンプ61から吐出される作動油が循環する油路に接続される(
図3参照)。上記の油路において、オイルクーラ46には、油圧アクチュエータ63の駆動に伴って発熱した作動油がコントロールバルブ62を介して流入する。オイルクーラ46は、オイルクーラ46に当たる風(空気)と熱交換されることで作動油を冷却する熱交換器で構成される。つまり、オイルクーラ46は、油圧ポンプ61から吐出され、油圧アクチュエータ63の駆動によって発熱する作動油を冷却する。
【0022】
操縦部43は、上部旋回体4の上部に設けられる。操縦部43には、運転席43aが配置される。運転席43aの周囲には、複数の操縦部材43bが配置される。複数の操縦部材43bは、レバー、スイッチ、ペダル等を含んで構成される。オペレータが運転席43aに着座し、複数の操縦部材43bを操作することにより、油圧アクチュエータ63が駆動される。これにより、下部走行体2の走行、ブレード23による整地作業、作業機3による掘削作業、上部旋回体4の旋回、等を行うことができる。
【0023】
油圧ショベル1は、アクチュエータとして、油圧アクチュエータ63と、電力で駆動される電動アクチュエータとを併用する構成であってもよい。上記の電動アクチュエータには、例えば、電動走行モータ、電動旋回モータ、及び電動シリンダが含まれる。
【0024】
〔2.電気系及び油圧系の構成〕
図3は、油圧ショベル1の電気系及び油圧系の構成を模式的に示すブロック図である。なお、
図3では、電気信号または電流が流れる配線を実線で示し、作動油が流れる油路を破線で示す。油圧ショベル1は、電動モータEMと、充電器51と、インバータ52と、PDU(Power Drive Unit)53と、ジャンクションボックス54と、DC-DCコンバータ55と、鉛バッテリ56と、システムコントローラ57と、を備える。充電器51、インバータ52、PDU53、ジャンクションボックス54、DC-DCコンバータ55、及び鉛バッテリ56を、まとめて電装機器EQと呼ぶ。電装機器EQは、機関室44内に収容される(
図4参照)。
【0025】
電装機器EQは、バッテリユニットBUと直接接続されるか、他の電装機器を介してバッテリユニットBUと電気的に接続される。例えば、電装機器EQとしてのPDU53は、バッテリユニットBUと直接接続される。また、電装機器EQとしてのインバータ52は、他の電装機器EQであるジャンクションボックス54を介してバッテリユニットBUと電気的に接続される。
【0026】
電動モータEMは、バッテリユニットBUから、ジャンクションボックス54及びインバータ52を介して供給される電力により駆動される。電動モータEMは、同期モータ又は誘導モータ等で構成される。電動モータEMは、機関室44内に収容される。つまり、油圧ショベル1は、機体内に、バッテリユニットBUから電力の供給を受けて駆動する電動モータEMを備える。
【0027】
充電器51(給電器とも呼ばれる)は、上記の外部電源から供給される交流電圧を直流電圧に変換する。インバータ52は、バッテリユニットBUから供給される直流電圧を交流電圧に変換して、電動モータEMに供給する。これにより、電動モータEMが駆動される。インバータ52から電動モータEMへの交流電圧の供給は、システムコントローラ57から出力される回転指令に基づいて行われる。
【0028】
PDU53は、内部のバッテリリレーを制御してバッテリユニットBUの入出力を制御するバッテリ制御ユニットである。ジャンクションボックス54は、充電器リレー、インバータリレー、ヒューズ等を含んで構成される。充電器51から出力される電圧は、ジャンクションボックス54及びPDU53を介してバッテリユニットBUに供給される。また、バッテリユニットBUから出力される電圧は、PDU53及びジャンクションボックス54を介してインバータ52に供給される。
【0029】
DC-DCコンバータ55は、バッテリユニットBUからジャンクションボックス54を介して供給される高電圧(例えば300V)の直流電圧を、低電圧(例えば12V)に降圧する。鉛バッテリ56は、低電圧の直流電圧を出力する。DC-DCコンバータ55及び鉛バッテリ56から出力される低電圧の直流電圧は、ファン45(第1ファン45a及び第2ファン45b)の駆動部、システムコントローラ57、等に供給される。本実施形態では、DC-DCコンバータ55は、複数設けられる(
図4参照)が、1つであってもよい。システムコントローラ57は、ECU(Electronic Control Unit)とも呼ばれる電子制御ユニットで構成される。システムコントローラ57は、油圧ショベル1の各部の電気的な制御を行う。
【0030】
電動モータEMの回転軸(出力軸)には、複数の油圧ポンプ61が接続される。複数の油圧ポンプ61は、可変容量型ポンプ及び固定容量型ポンプを含む。
図3では、例として油圧ポンプ61を1つのみ図示している。各油圧ポンプ61は、作動油を貯留する作動油タンク64と接続される。電動モータEMによって油圧ポンプ61が駆動されると、作動油タンク64内の作動油が、コントロールバルブ62を介して油圧アクチュエータ63に供給される。これにより、油圧アクチュエータ63が駆動される。すなわち、油圧アクチュエータ63は、油圧ポンプ61による作動油の供給によって駆動される。コントロールバルブ62は、油圧ポンプ61によって油圧アクチュエータ63に供給される作動油の流れ方向及び流量を制御する方向切替弁である。
【0031】
油圧アクチュエータ63から排出される作動油は、コントロールバルブ62及びオイルクーラ46を介して、作動油タンク64に流入する。このため、油圧アクチュエータ63の駆動に伴って発熱した作動油は、オイルクーラ46によって冷却された後、作動油タンク64に流入することとなる。このように、油圧ショベル1は、オイルクーラ46と、コントロールバルブ62と、油圧アクチュエータ63と、作動油タンク64と、を備える。
【0032】
〔3.機関室の内部構成〕
機関室44内の各機器(例えばファン45、オイルクーラ46、バッテリユニットBU等)の配置について、
図4、
図5、及び
図6に基づいて説明する。
図4、
図5、及び
図6は、機関室44の内部構成を示す平面図、背面図、及び左側面図である。機関室44内に配置される各機器は、ステー等の支持部材を介して旋回フレーム41上に支持されるが、
図4から
図6では、各機器の配置位置を明確にする目的で、支持部材の図示を省略している。また、
図4及び
図5には、第1開口部44L1に対するファン45の配置位置を明確にする目的で、第1開口部44L1の位置で水平方向及び上下方向に切断した左ボンネット44Lを図示している。同様に、第2開口部44R1に対するオイルクーラ46の配置位置を明確にする目的で、第2開口部44R1の位置で水平方向及び上下方向に切断した右ボンネット44Rを図示している。
【0033】
図4及び
図5に示すように、機関室44の左方側(一方の側方側)には、左ボンネット44Lが位置する。左ボンネット44Lには、左右方向に貫通する第1開口部44L1が設けられる。第1開口部44L1は、第1ファン45a及び第2ファン45bに対応して2つ設けられている。機関室44の右方側(他方の側方側)には、右ボンネット44Rが位置する。右ボンネット44Rには、左右方向に貫通する第2開口部44R1及び第3開口部44R2が設けられる。つまり、機体(上部旋回体4の特に機関室44)は、機体の一方の側方側に設けられる第1開口部44L1と、機体の他方の側方側に設けられる第2開口部44R1とを有する。
【0034】
第3開口部44R2は、第2開口部44R1よりも前方に位置する。第3開口部44R2は、機関室44を右方から見て、バッテリユニットBUの前部BU1と重なる位置に設けられている。なお、バッテリユニットBUの前部BU1とは、バッテリユニットBUの最前面を含む部分を指す。また、前部BU1の前後方向の範囲は特に限定されず、バッテリユニットBUの前後方向の中央よりも前方の範囲内で適宜設定されればよい。
【0035】
本実施形態では、第3開口部44R2の全てがバッテリユニットBUの前部BU1と重なるように設けられているが、第3開口部44R2の構成は、上記の構成に限定されない。例えば、第3開口部44R2の後部のみが、前部BU1と重なって設けられてもよい。このように、機体は、他方の側方側に設けられ、第2開口部44R1よりも前方に位置する第3開口部44R2を有する。そして、第3開口部44R2の少なくとも一部は、側面視で、バッテリユニットBUの前部BU1と重なって位置する。
【0036】
第1開口部44L1に対して機関室44の内側(つまり右側)で、第1開口部44L1と向かい合う位置には、ファン45(第1ファン45a及び第2ファン45b)が配置される。第2開口部44R1に対して機関室44の内側(つまり左側)で、第2開口部44R1と向かい合う位置には、オイルクーラ46が配置される。すなわち、ファン45は、機体内で、第1開口部44L1と対向して配置され、オイルクーラ46は、機体内で、第2開口部44R1と対向して配置される。
【0037】
機関室44を後方から見て、ファン45と、第2開口部44R1(右ボンネット44R)との間には、バッテリユニットBUが配置される。すなわち、バッテリユニットBUは、背面視で、ファン45と、第2開口部44R1との間に配置される。バッテリユニットBUは、3つ設けられ、上下方向に並べて配置される。
【0038】
バッテリユニットBUの下方には、電動モータEM及び作動油タンク64が左右に並べて配置される。電動モータEMは、機関室44の左方側(一方の側方側)に設けられ、作動油タンク64は、機関室44の右方側(他方の側方側)に設けられる。
【0039】
バッテリユニットBUよりも後方には、オイルクーラ46及び電装機器EQの一部(第1電装機器EQ1)が配置される。第1電装機器EQ1は、充電器51と、インバータ52と、DC-DCコンバータ55と、鉛バッテリ56とを含む。インバータ52及びDC-DCコンバータ55は、ファン45よりも右方に配置される。インバータ52は、DC-DCコンバータ55の下方に位置する。インバータ52及びDC-DCコンバータ55よりも右方には、充電器51が配置される。充電器51よりも下方で、充電器51に対して左方にずれた位置には、鉛バッテリ56が配置される。充電器51よりも右方には、オイルクーラ46が位置する。したがって、第1電装機器EQ1は、機体内で、ファン45と、オイルクーラ46との間に配置される。
【0040】
図4及び
図6に示すように、バッテリユニットBUよりも左方には、電装機器EQの残り(第2電装機器EQ2)と、ファン45とが配置される。すなわち、第2電装機器EQ2及びファン45は、バッテリユニットBUの側方に配置される。第2電装機器EQ2は、PDU53及びジャンクションボックス54を含む。第2電装機器EQ2は、ファン45よりも前方に位置する。ファン45は、機関室44を左方から見て、バッテリユニットBUの後端部よりも後方に向かって突出して設けられる。すなわち、ファン45の一部は、側面視で、バッテリユニットBUよりも機体の後方側に位置する。
【0041】
上記の構成によれば、ファン45が駆動されると、第1開口部44L1を介して機体(上部旋回体4の特に機関室44)内に空気が取り込まれる(吸い込まれる)。取り込まれた空気は、機体内を左方側(一方の側方側)から右方側(他方の側方側)に向かって流れ、第2開口部44R1を介して排出される。これにより、機体内を左方側から右方側に向かう風の流れが作られる。そして、上記の風によって、機体内に配置される各機器(例えばオイルクーラ46、バッテリユニットBU、電動モータEM、電装機器EQ等)が冷却される。なお、上記の取り込まれた空気は、第3開口部44R2を介しても排出されるが、第3開口部44R2に向かう風の流れについては後述する。
【0042】
オイルクーラ46は、上述のように、第2開口部44R1と対向して配置される。このため、上記の風は、機体内に配置される各機器の中で最後にオイルクーラ46に当たる。すなわち、オイルクーラ46は、機体内の各機器の中で最後に冷却される。そして、比較的高温のオイルクーラ46を冷却した後の風(比較的高温の風)は、第2開口部44R1から直に機体外に排出される。したがって、比較的高温の風が機体内のバッテリユニットBU、電動モータEM、及び電装機器EQに当たることを避けつつ、比較的高温の風を機体外に排出することができる。このため、機体内の各機器を効率よく冷却することができる。また、ファン45は、機体の左方側に寄せて配置され、オイルクーラ46は、機体の右方側に寄せて配置される。これにより、機体内で、バッテリユニットBUの配置スペースを左右方向(機体の幅方向)にできるだけ広く確保しつつ、上記各機器の残りを容易に配置することができる。以上により、機体内の各機器を効率よく冷却しつつ、機体内の限られたスペースにできるだけ大きなバッテリユニットBUを設けて、バッテリ容量を増大することができる。
【0043】
バッテリユニットBUをファン45と、第2開口部44R1との間に配置すると、ファン45と、オイルクーラ46との間に配置する場合に比べて、バッテリユニットBUの配置スペースを左右方向に広げることが容易になる。つまり、少なくとも、左右方向におけるオイルクーラ46の幅分だけ、バッテリユニットBUの配置スペースを左右方向に広げることが容易になる。この観点では、本実施形態のように、バッテリユニットBUは、背面視で、ファン45と、第2開口部44R1との間に配置されることが望ましい。
【0044】
第1電装機器EQ1(例えば充電器51)を、ファン45とオイルクーラ46との間に配置することで、比較的高温のオイルクーラ46を冷却した後の風(比較的高温の風)が、第1電装機器EQ1に当たることを避けられる。これにより、機体内の第1電装機器EQ1及びオイルクーラ46は、効率よく冷却される。したがって、本実施形態のように、油圧ショベル1が、バッテリユニットBUと接続される電装機器EQを備え、電装機器EQが、機体内で、バッテリユニットBUよりも機体の後方側に位置する第1電装機器EQ1を含む構成では、第1電装機器EQ1は、機体内で、ファン45と、オイルクーラ46との間に配置されることが望ましい。
【0045】
電動モータEM及び作動油タンク64をバッテリユニットBUの下方に並べて配置することで、水平方向におけるバッテリユニットBUの配置スペースを確保しやすくなる。このため、水平方向に大きなバッテリユニットBUが容易に設けられる。したがって、本実施形態のように、油圧ショベル1が電動モータEMに加えて作動油タンク64をさらに備える構成では、電動モータEM及び作動油タンク64は、機体内で、バッテリユニットBUの下方に並べて配置されることが望ましい。
【0046】
電動モータEMは、ファン45と同じ側(機体の一方の側方側)に設けられ、作動油タンク64は、オイルクーラ46と同じ側(機体の他方の側方側)に設けられる。この場合、バッテリユニットBUの下方において、第1開口部44L1から第2開口部44R1に向かって流れる風の上流側に電動モータEMが配置され、下流側に作動油タンク64が配置されることになる。この配置では、電動モータEMを冷却した後の風が、作動油タンク64に当たり、作動油タンク64を冷却する。そして、作動油タンク64を冷却した後の風(比較的高温の風)は、第2開口部44R1から機体外に排出される。つまり、比較的高温の風が電動モータEMに当たることを避けられる。したがって、電動モータEM及び作動油タンク64は、効率よく冷却される。以上の観点から、電動モータEMは、機体の一方の側方側に設けられ、作動油タンク64は、機体の他方の側方側に設けられることが望ましい。
【0047】
複数のファン45(第1ファン45a及び第2ファン45b)を上下方向に並べて配置することで、機体内で風が流れる範囲を上下方向に広げることができる。これにより、機体内で冷却が必要な電装機器EQを上下方向に並べて配置するレイアウトが可能となり、電装機器EQの配置の自由度が向上する。また、複数のファン45を上下方向に配置することで、上下方向の同じ範囲に1つのファンを配置する構成に比べて、各ファン45の径が小さくなる。これにより、ファン45と対向する第1開口部44L1は、必要最小限の大きさで形成され、機体(特に左ボンネット44L)の強度低下が回避される。このような観点では、本実施形態のように、ファン45は、上下方向に並べて複数配置されることが望ましい。
【0048】
ファン45をバッテリユニットBUの側方(本実施形態では左方)に配置することで、ファン45から流れる風が、バッテリユニットBUに効率よく当たる。これにより、バッテリユニットBUは、効率よく冷却される。この観点では、本実施形態のように、ファン45は、バッテリユニットBUの側方に配置されることが望ましい。
【0049】
ファン45から流れる風の一部が、バッテリユニットBUよりも後方を流れれば、バッテリユニットBUの後方に配置される第1電装機器EQ1が効率よく冷却される。この観点では、ファン45の一部は、側面視で、バッテリユニットBUよりも機体の後方側に位置することが望ましい。
【0050】
オイルクーラ46をバッテリユニットBUよりも後方に配置することで、左右方向に大きなバッテリユニットBUを設けることが容易になる。また、バッテリユニットBUよりも後方において、ファン45から流れる風が、オイルクーラ46に効率よく当たる。これにより、オイルクーラ46の冷却効率が高まる。このような観点では、本実施形態のように、オイルクーラ46は、バッテリユニットBUよりも機体の後方側に配置されることが望ましい。
【0051】
ここで、第3開口部44R2に向かう風の流れについて、
図4に基づいて説明する。ファン45によって第1開口部44L1から機関室44の内部に取り込まれた空気は、機関室44の内部を通り、第2開口部44R1を介して排出されるとともに、第3開口部44R2を介しても排出される。上述のように、第3開口部44R2は、第2開口部44R1よりも前方に位置する。このため、第1開口部44L1から第3開口部44R2に向かう上記の空気は、バッテリユニットBUの側面に沿って(バッテリユニットBUが複数積層されている場合は、上下のバッテリユニットBUの隙間を通って)、機体内を左方側から右方側に向かって流れつつ、後方側から前方側に向かって流れる。これにより、機体内を左方側から右方側に向かいつつ、後方側から前方側に向かう風の流れが作られる。
【0052】
上述のように、第3開口部44R2の少なくとも一部は、側面視で、バッテリユニットBUの前部BU1と重なって位置する。この場合、第1開口部44L1から取り込まれた風は、バッテリユニットBUの前部BU1付近を通って流れて、第3開口部44R2から排出される。したがって、バッテリユニットBUの前部BU1に風を当てて、バッテリユニットBUを冷却することが可能となる。よって、バッテリユニットBUの冷却効率を上げる観点では、本実施形態のように、機体は、他方の側方側に設けられ、第2開口部44R1よりも前方に位置する第3開口部44R2を有し、第3開口部44R2の少なくとも一部は、側面視で、バッテリユニットBUの前部BU1と重なって位置することが望ましい。
【0053】
第2電装機器EQ2(例えばPDU53)をファン45よりも前方で、バッテリユニットBUの側方(本実施形態では左方)に配置することで、ファン45から第3開口部44R2に向かって流れる風が、バッテリユニットBUの側方で第2電装機器EQ2に効率よく当たる。これにより、第2電装機器EQ2は、効率よく冷却される。第2電装機器EQ2を効率よく冷却しつつ、バッテリユニットBUの側方の空スペースを有効活用する観点では、本実施形態のように、電装機器EQは、機体内で、ファン45よりも機体の前方側に位置する第2電装機器EQ2を含み、第2電装機器EQ2は、バッテリユニットBUの側方で、機体の一方の側方側に配置されることが望ましい。
【0054】
〔4.機関室の他の内部構成〕
機関室44の内部構成が第2配置例の場合について説明する。
図7及び
図8は、上記の場合における油圧ショベル1の左側面図及び右側面図である。
図9、
図10、及び
図11は、機関室44の第2配置例での内部構成を示す平面図、背面図、及び左側面図である。
図9から
図11では、
図4から
図6と同様に、各機器(例えばファン45、オイルクーラ46、バッテリユニットBU等)の配置位置を明確にする目的で、ステー等の支持部材の図示を省略している。また、
図9及び
図10には、
図4及び
図5と同様に、第1開口部44L1に対するファン45の配置位置を明確にする目的で、第1開口部44L1の位置で水平方向及び上下方向に切断した左ボンネット44Lを図示している。同様に、第2開口部44R1に対するオイルクーラ46の配置位置を明確にする目的で、第2開口部44R1の位置で水平方向及び上下方向に切断した右ボンネット44Rを図示している。
【0055】
図7から
図11に示すように、左ボンネット44Lには、左右方向に貫通する第1開口部44L1が設けられる。機関室44内で、第1開口部44L1と向かい合う位置には、ファン45が配置される。ここでは、ファン45が1つ設けられている。右ボンネット44Rには、左右方向に貫通する第2開口部44R1が設けられる。機関室44内で、第2開口部44R1と向かい合う位置には、オイルクーラ46が配置される。ファン45と、オイルクーラ46との間には、バッテリユニットBUと、電装機器EQの一部である第3電装機器EQ3とが配置される。バッテリユニットBUは、4つ設けられ、前後方向に並べて配置される。
【0056】
第3電装機器EQ3は、充電器51と、インバータ52と、PDU53と、DC-DCコンバータ55とを含む。インバータ52は、ファン45よりも右方に配置される。インバータ52よりも右方には、PDU53が配置される。PDU53よりも前方には、充電器51が配置される。充電器51、インバータ52、及びPDU53は、バッテリユニットBUよりも上方に位置する。PDU53よりも後方で、バッテリユニットBUの後側には、DC-DCコンバータ55が配置される。充電器51、PDU53、及びDC-DCコンバータ55よりも右方には、オイルクーラ46が位置する。より詳しくは、バッテリユニットBUの右側にオイルクーラ46が位置する。
【0057】
バッテリユニットBUよりも前方で、操縦部43の下方側に設けられる床部43cの下方のスペースは、機関室44の内部に含まれる。上記のスペースには、作動油タンク64が収容される。つまり、作動油タンク64は、機体内で、バッテリユニットBUよりも機体の前方側に配置される。また、機体の後方側から見て、作動油タンク64は、バッテリユニットBUに対して左方にずれて位置している。
【0058】
床部43cの前方側には、床部43cから上方に向かって延びる、操縦部材43bの支持部43b1が設けられる。支持部43b1には、複数の操縦部材43bの一部が設けられる。支持部43b1内には、コントロールバルブ62が収容される。このため、コントロールバルブ62は、作動油タンク64の上方に位置する。
【0059】
作動油タンク64よりも後方で、ファン45よりも前方には、電装機器EQの残り(第4電装機器EQ4)が配置される。第4電装機器EQ4は、ジャンクションボックス54及び鉛バッテリ56を含む。ジャンクションボックス54及び鉛バッテリ56は、バッテリユニットBUよりも左方において、左右に並べて配置される。鉛バッテリ56は、ジャンクションボックス54よりも左方に位置する。作動油タンク64よりも後方で、ファン45の下方には、電動モータEMが配置される。
【0060】
以上のように、第2配置例であっても、第1配置例と同様に、機体(上部旋回体4の特に機関室44)には、左方側(一方の側方側)に第1開口部44L1が設けられ、右方側(他方の側方側)に第2開口部44R1が設けられる。また、ファン45は、機体内で、第1開口部44L1と対向して配置され、オイルクーラ46は、機体内で、第2開口部44R1と対向して配置される。したがって、第2配置例であっても、第1配置例と同様の効果を得ることができる。より詳しくは、機体内の各機器(例えばオイルクーラ46、バッテリユニットBU、電動モータEM、電装機器EQ等)を効率よく冷却しつつ、バッテリユニットBUの配置スペースをできるだけ広く確保することができる。
【0061】
バッテリユニットBUをファン45と、オイルクーラ46との間に配置することで、オイルクーラ46を冷却した後の比較的高温の風が、バッテリユニットBUに当たることを避けられる。これにより、機体内のバッテリユニットBU及びオイルクーラ46は、効率よく冷却される。したがって、第2配置例のように、バッテリユニットBUは、ファン45と、オイルクーラ46との間に配置されてもよい。
【0062】
第3電装機器EQ3(例えば充電器51)を、ファン45とオイルクーラ46との間に配置することで、オイルクーラ46を冷却した後の比較的高温の風が、第3電装機器EQ3に当たることを避けられる。これにより、機体内の第3電装機器EQ3及びオイルクーラ46は、効率よく冷却される。したがって、油圧ショベル1が電装機器EQを備える構成では、第2配置例のように、電装機器EQの一部(第3電装機器EQ3)は、機体内で、ファン45と、オイルクーラ46との間に配置されてもよい。
【0063】
作動油タンク64をバッテリユニットBUよりも前方に配置することで、作動油タンク64をバッテリユニットBUの下方に配置する第1配置例に比べて、上下方向におけるバッテリユニットBUの配置スペースを確保しやすくなる。このため、上下方向に大きなバッテリユニットBUが容易に設けられる。また、バッテリユニットBUよりも前方における機体内の空スペースが、作動油タンク64の配置スペースとして有効活用される。このような観点では、油圧ショベル1が作動油タンク64を備える構成では、第2配置例のように、作動油タンク64は、機体内で、バッテリユニットBUよりも機体の前方側に配置されてもよい。
【0064】
このとき、作動油タンク64がバッテリユニットBUに対して左右方向のどちらかにずれて配置されていれば、バッテリユニットBUの配置スペースを前方に延ばして、バッテリユニットBUの大容量化をさらに図ることが可能となる。また、バッテリユニットBUの配置スペースを前方に広げる代わりに、バッテリユニットBUよりも前方のスペースに他の部材を配置することも可能となる。例えば、バッテリユニットBUよりも前方のスペースに、ブーム31(
図7、
図8参照)をスイングさせるスイングシリンダ(図示せず)を配置することが可能となる。このように、バッテリユニットBUの大容量化、又は、他の部材の配置スペースとしての有効活用においては、第2配置例のように、作動油タンク64は、バッテリユニットBUに対して、左右のいずれか一方(第2配置例では左方)にずれて配置されることが望ましい。
【0065】
作動油タンク64よりも後方で、ファン45の下方に位置する機体内の空スペースを有効活用する観点では、第2配置例のように、電動モータEMは、作動油タンク64よりも機体の後方側において、ファン45の下方に配置されることが望ましい。
【0066】
作動油タンク64よりも後方で、ファン45よりも前方に位置する機体内の空スペースを有効活用する観点では、第2配置例のように、第4電装機器EQ4(例えばジャンクションボックス54)は、作動油タンク64よりも機体の後方側で、ファン45よりも機体の前方側に配置されることが望ましい。
【0067】
コントロールバルブ62を作動油タンク64の上方に配置すると、コントロールバルブ62から作動油が漏れたとしても、漏れた作動油がバッテリユニットBUに付着することを避けられる。また、
図7及び
図8に示すように、作動油タンク64の上方に、床部43cを介して支持部43b1が位置する構成では、支持部43b1内にコントロールバルブ62を配置するレイアウトが可能となる。この場合、支持部43b1内のスペースを有効活用して、超小旋回型の小型の油圧ショベル1を実現することが容易となる。したがって、油圧ショベル1が作動油タンク64に加えてコントロールバルブ62を備える構成では、第2配置例のように、コントロールバルブ62は、作動油タンク64の上方に配置されてもよい。
【0068】
〔5.補足〕
本実施形態では、バッテリユニットBUを3つ(第1配置例)又は4つ(第2配置例)備える構成について説明したが、バッテリユニットBUの構成は、上記に限定されない。バッテリユニットBUは、確保されたバッテリユニットBUの配置スペースに応じて、できるだけ大きく構成されればよい。
【0069】
本実施形態では、ファン45を2つ(第1配置例)又は1つ(第2配置例)備える構成について説明したが、ファン45の構成は、上記に限定されない。機関室44内の各機器(例えばオイルクーラ46、バッテリユニットBU等)の冷却に必要な風(風量)が確保されればよく、ファン45の大きさ及び個数は、必要な風量に応じて選択されればよい。
【0070】
図1及び
図7では、第1開口部44L1がファン45(第1ファン45a及び第2ファン45b)の外径よりも小さく図示されているが、ファン45の外径よりも大きく形成されてもよい。同様に、
図2及び
図8では、第2開口部44R1がオイルクーラ46の外径よりも小さく図示されているが、オイルクーラ46の外径よりも大きく形成されてもよい。また、第1開口部44L1、第2開口部44R1、及び第3開口部44R2には、保護部材(例えばルーバー、メッシュ等)が取り付けられてもよい。上記の保護部材を取り付ける場合、開口部の一部が保護部材によって塞がれるため、開口部の大きさは、保護部材を考慮に入れて選択されることが望ましい。
【0071】
本実施形態では、機体(右ボンネット44R)が第3開口部44R2を備える構成について説明したが、第3開口部44R2を備えることは必須ではない。第3開口部44R2を備えていなくても、第1開口部44L1から機体内に取り込まれた空気は、第2開口部44R1から機体外に排出される。このため、機体内を左方側から右方側に向かって風が流れることに変わりはない。そして、上記の風によって、機体内の各機器(例えばオイルクーラ46、バッテリユニットBU等)が冷却されることにも変わりはない。つまり、この場合であっても、機体内の各機器を効率よく冷却しつつ、機体内の限られたスペースにできるだけ大きなバッテリユニットBUを設ける効果を得ることができる。
【0072】
本実施形態では、機関室44の内部を左方側から右方側に向かって風が流れるように、第1開口部44L1、第2開口部44R1、及び第3開口部44R2を機関室44に設けるとともに、機関室44内で第1開口部44L1と対向する位置にファン45を設けたが、この配置には限定されない。例えば、機関室44の内部を右方側から左方側に向かって風が流れるように各開口部及びファン45を配置してもよい。この場合、機関室44内での各機器(各部材)の配置は、本実施形態とは左右方向が逆の配置となる。
【0073】
本実施形態では、電動式作業機械として、建設機械である油圧ショベル1を例に挙げて説明したが、電動式作業機械は、油圧ショベル1に限定されず、ホイールローダ等の建設機械であってもよい。また、電動式作業機械は、コンバイン、トラクタ等の農業機械であってもよい。
【0074】
〔6.付記〕
本実施形態で説明した油圧ショベル1は、以下の付記に示す電動式作業機械と表現することもできる。
【0075】
付記(1)の電動式作業機械は、
機体内に、
電力を蓄えるバッテリユニットと、
前記バッテリユニットから前記電力の供給を受けて駆動する電動モータと、
前記電動モータによって駆動される油圧ポンプと、
前記油圧ポンプから吐出される作動油を冷却するオイルクーラと、
前記機体内に空気を取り込むファンと、を備え、
前記機体は、第1開口部と、第2開口部とを有し、
前記第1開口部は、前記機体の一方の側方側に設けられ、
前記第2開口部は、前記機体の他方の側方側に設けられ、
前記ファンは、前記機体内で、前記第1開口部と対向して配置され、
前記オイルクーラは、前記機体内で、前記第2開口部と対向して配置される。
【0076】
付記(2)の電動式作業機械は、付記(1)に記載の電動式作業機械において、
前記バッテリユニットは、背面視で、前記ファンと前記第2開口部との間に配置される。
【0077】
付記(3)の電動式作業機械は、付記(2)に記載の電動式作業機械において、
前記バッテリユニットと接続される電装機器を備え、
前記電装機器は、前記機体内で、前記バッテリユニットよりも前記機体の後方側に位置する第1電装機器を含み、
前記第1電装機器は、前記機体内で、前記ファンと前記オイルクーラとの間に配置される。
【0078】
付記(4)の電動式作業機械は、付記(3)に記載の電動式作業機械において、
前記作動油を貯留する作動油タンクを備え、
前記電動モータ及び前記作動油タンクは、前記機体内で、前記バッテリユニットの下方に並べて配置され、
前記電動モータは、前記機体の前記一方の側方側に設けられ、
前記作動油タンクは、前記機体の前記他方の側方側に設けられる。
【0079】
付記(5)の電動式作業機械は、付記(3)又は(4)に記載の電動式作業機械において、
前記ファンは、前記バッテリユニットの側方に配置される。
【0080】
付記(6)の電動式作業機械は、付記(5)に記載の電動式作業機械において、
前記ファンの一部は、側面視で、前記バッテリユニットよりも前記機体の後方側に位置する。
【0081】
付記(7)の電動式作業機械は、付記(3)から(6)のいずれかに記載の電動式作業機械において、
前記オイルクーラは、前記バッテリユニットよりも前記機体の後方側に配置される。
【0082】
付記(8)の電動式作業機械は、付記(3)から(7)のいずれかに記載の電動式作業機械において、
前記機体は、前記他方の側方側に設けられ、前記第2開口部よりも前方に位置する第3開口部を有し、
前記第3開口部の少なくとも一部は、側面視で、前記バッテリユニットの前部と重なって位置する。
【0083】
付記(9)の電動式作業機械は、付記(8)に記載の電動式作業機械において、
前記電装機器は、前記機体内で、前記ファンよりも前記機体の前方側に位置する第2電装機器を含み、
前記第2電装機器は、前記バッテリユニットの側方で、前記機体の前記一方の側方側に配置される。
【0084】
付記(10)の電動式作業機械は、付記(1)から(9)のいずれかに記載の電動式作業機械において、
前記ファンは、上下方向に並べて複数配置される。
【0085】
付記(11)の電動式作業機械は、付記(1)に記載の電動式作業機械において、
前記バッテリユニットは、前記ファンと前記オイルクーラとの間に配置される。
【0086】
付記(12)の電動式作業機械は、付記(11)に記載の電動式作業機械において、
前記バッテリユニットと接続される電装機器を備え、
前記電装機器は、前記機体内で、前記ファンと前記オイルクーラとの間に位置する第3電装機器を含む。
【0087】
付記(13)の電動式作業機械は、付記(12)に記載の電動式作業機械において、
前記作動油を貯留する作動油タンクを備え、
前記作動油タンクは、前記機体内で、前記バッテリユニットよりも前記機体の前方側に配置される。
【0088】
付記(14)の電動式作業機械は、付記(13)に記載の電動式作業機械において、
前記作動油タンクは、前記バッテリユニットに対して、左右のいずれか一方にずれて配置される。
【0089】
付記(15)の電動式作業機械は、付記(13)又は(14)に記載の電動式作業機械において、
前記電動モータは、前記作動油タンクよりも前記機体の後方側において、前記ファンの下方に配置される。
【0090】
付記(16)の電動式作業機械は、付記(13)から(15)のいずれかに記載の電動式作業機械において、
前記電装機器は、前記機体内に配置される第4電装機器を含み、
前記第4電装機器は、前記作動油タンクよりも前記機体の後方側で、かつ、前記ファンよりも前記機体の前方側に位置する。
【0091】
付記(17)の電動式作業機械は、付記(13)から(16)のいずれかに記載の電動式作業機械において、
前記作動油によって駆動される油圧アクチュエータと、
前記油圧ポンプから前記油圧アクチュエータに供給される前記作動油の流れ方向及び流量を制御するコントロールバルブと、をさらに備え、
前記コントロールバルブは、前記作動油タンクの上方に配置される。
【0092】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明の範囲はこれに限定されるものではなく、発明の主旨を逸脱しない範囲で拡張又は変更して実施することができる。
【産業上の利用可能性】
【0093】
本発明は、例えば建設機械、農業機械等の電動式作業機械に利用可能である。
【符号の説明】
【0094】
1 油圧ショベル(電動式作業機械)
4 上部旋回体(機体)
44L1 第1開口部
44R1 第2開口部
44R2 第3開口部
45 ファン
46 オイルクーラ
61 油圧ポンプ
62 コントロールバルブ
63 油圧アクチュエータ
64 作動油タンク
BU バッテリユニット
BU1 前部
EM 電動モータ
EQ 電装機器
EQ1 第1電装機器
EQ2 第2電装機器
EQ3 第3電装機器
EQ4 第4電装機器