(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024175800
(43)【公開日】2024-12-19
(54)【発明の名称】メンテナンス支援システム、メンテナンス支援プログラム
(51)【国際特許分類】
G06Q 10/00 20230101AFI20241212BHJP
【FI】
G06Q10/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023093818
(22)【出願日】2023-06-07
(71)【出願人】
【識別番号】000221834
【氏名又は名称】東邦瓦斯株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000660
【氏名又は名称】Knowledge Partners弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼木 博司
(72)【発明者】
【氏名】金子 祐太
(72)【発明者】
【氏名】堀江 晋平
【テーマコード(参考)】
5L049
【Fターム(参考)】
5L049CC15
(57)【要約】
【課題】修理作業組織が修理作業に要する労力を軽減できる仕組みを低コストで実現する。
【解決手段】機種および不具合事象に対応付けて、不具合原因と、修理部品情報と、修理費用情報と、修理技術情報を記憶するデータベースと、メンテナンス管理システムから新規の修理オーダーを取得し、取得した前記修理オーダーに含まれる修理対象機器の機種と、不具合事象と、修理依頼者の住所情報を抽出する抽出部と、前記データベースを参照し、前記修理対象機器の機種と不具合事象の少なくとも一方に対応する、不具合原因と修理部品情報と修理費用情報と修理技術情報を取得し、前記修理依頼者の住所情報に対応する修理作業組織に通知する通知部と、を備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
機種および不具合事象に対応付けて、不具合原因と、修理部品情報と、修理費用情報と、修理技術情報を記憶するデータベースと、
メンテナンス管理システムから新規の修理オーダーを取得し、取得した前記修理オーダーに含まれる修理対象機器の機種と、不具合事象と、修理依頼者の住所情報を抽出する抽出部と、
前記データベースを参照し、前記修理対象機器の機種と不具合事象の少なくとも一方に対応する、不具合原因と修理部品情報と修理費用情報と修理技術情報を取得し、前記修理依頼者の住所情報に対応する修理作業組織に通知する通知部と、
を備えるメンテナンス支援システム。
【請求項2】
前記修理技術情報は、前記修理対象機器の機種に対応するマニュアルの参照情報と、前記修理部品情報に対応する動画マニュアルの参照情報を含む、
請求項1に記載のメンテナンス支援システム。
【請求項3】
前記修理費用情報は、不具合原因毎の修理費用の概算値を含み、
前記通知部は、不具合原因に対応する修理費用の概算値を、前記修理作業組織に送信する、
請求項1に記載のメンテナンス支援システム。
【請求項4】
前記修理作業組織から、発注指示された部品を示す部品情報を取得すると、前記部品のメーカーに前記部品を発注する発注部を備える、
請求項1に記載のメンテナンス支援システム。
【請求項5】
前記通知部は、前記修理依頼者に、前記修理対象機器の機種と不具合事象に対応する、不具合原因と、修理費用の概算値を通知する、
請求項1に記載のメンテナンス支援システム。
【請求項6】
前記通知部は、前記メンテナンス管理システムが備える、各ユーザの所有機器の機種を記憶する顧客データベースに基づいて、前記修理依頼者が修理を依頼した前記修理対象機器以外の前記修理依頼者の他の所有機器の機種を特定し、前記他の所有機器の機種に対応するマニュアルの参照情報を前記修理作業組織に通知する、
請求項1に記載のメンテナンス支援システム。
【請求項7】
前記通知部は、前記修理対象機器の機種が特定機種である場合に、前記特定機種に予め対応付けられた技術者に、前記特定機種において不具合が生じた旨と、前記修理依頼者の住所情報と、修理訪問予定日時とを通知する、
請求項1に記載のメンテナンス支援システム。
【請求項8】
機種毎の不具合事象の件数を集計する集計部を備え、
前記通知部は、所定期間における、不具合が発生した機種毎の不具合事象の件数を、修理オーダー受付者、機種に対応付けられた技術者、修理作業組織、の少なくともいずれかに通知する、
請求項1に記載のメンテナンス支援システム。
【請求項9】
前記通知部は、前記所定期間における、不具合が発生した機種毎の不具合事象の件数を示したWEBページ、メールマガジン文書、SNS文書の少なくともいずれかを生成し、公開する、
請求項8に記載のメンテナンス支援システム。
【請求項10】
前記データベースにおいて、機種および不具合事象に対応付けて、不具合原因毎に重み係数が記憶され、
前記通知部は、前記修理オーダーに含まれる前記修理対象機器の機種と不具合事象に対応付けて前記データベースに記憶されている不具合原因を、重み係数の順に前記修理作業組織に通知し、
前記抽出部は、前記メンテナンス管理システムから前記修理オーダーについての完了報告を取得し、取得した前記完了報告から前記修理対象機器の機種および不具合事象に対応する不具合原因を抽出し、
前記集計部は、前記修理対象機器の機種および不具合事象に対応付けて前記データベースに記憶されている不具合原因の重み係数を、前記完了報告から抽出した不具合原因を用いて更新する、
請求項8に記載のメンテナンス支援システム。
【請求項11】
前記データベースにおいて、機種および不具合事象および不具合原因に対応付けて、修理部品毎に重み係数が記憶され、
前記通知部は、前記修理オーダーに含まれる前記修理対象機器の機種および不具合事象に対応付けて前記データベースに記憶されている不具合原因に対応する修理部品を、重み係数の順に前記修理作業組織に通知し、
前記抽出部は、前記完了報告から前記修理対象機器の機種および不具合事象および不具合原因に対応する修理部品を抽出し、
前記集計部は、前記修理対象機器の機種および不具合事象および不具合原因に対応付けて前記データベースに記憶されている修理部品毎の重み係数を、前記完了報告から抽出した修理部品を用いて更新する、
請求項10に記載のメンテナンス支援システム。
【請求項12】
前記データベースにおいて、機種および不具合事象および不具合原因に対応付けて、修理費用の概算値が記憶され、
前記通知部は、前記修理オーダーに含まれる前記修理対象機器の機種と不具合事象に対応する不具合原因毎の修理費用の概算値を、前記修理作業組織に通知し、
前記抽出部は、前記完了報告から前記修理対象機器の機種および不具合事象および不具合原因に対応する修理費用を抽出し、
前記集計部は、前記修理対象機器の機種および不具合事象および不具合原因に対応付けて前記データベースに記憶されている修理費用の概算値を、前記完了報告から抽出した修理費用を用いて更新する、
請求項10に記載のメンテナンス支援システム。
【請求項13】
前記完了報告に、前記修理対象機器以外の前記修理依頼者の他の所有機器に対する修理の記録が含まれる場合、前記集計部は、前記修理対象機器の機種および不具合事象に対応付けて、他の所有機器および不具合事象および不具合原因を前記データベースに記憶させ、
前記通知部は、新規の前記修理オーダーに含まれる前記修理対象機器の機種および不具合事象に対応付けて前記データベースに他の機器および不具合事象および不具合原因が記憶されている場合であって新規の前記修理オーダーの前記修理依頼者が前記他の機器を所有している場合、前記他の機器の不具合事象および不具合原因を、前記修理作業組織に通知する、
請求項10に記載のメンテナンス支援システム。
【請求項14】
コンピュータを、
機種および不具合事象に対応付けて、不具合原因と、修理部品情報と、修理費用情報と、修理技術情報を記憶するデータベース、
メンテナンス管理システムから新規の修理オーダーを取得し、取得した前記修理オーダーに含まれる修理対象機器の機種と、不具合事象と、修理依頼者の住所情報を抽出する抽出部、
前記データベースを参照し、前記修理対象機器の機種と不具合事象の少なくとも一方に対応する、不具合原因と修理部品情報と修理費用情報と修理技術情報を取得し、前記修理依頼者の住所情報に対応する修理作業組織に通知する通知部、
として機能させる、メンテナンス支援プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、メンテナンス支援システム、メンテナンス支援プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、修理の対象機器において不具合が発生した場合に、当該不具合への対処を支援するためのシステムが知られている(例えば特許文献1,2等)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2021-89549号公報
【特許文献2】特開2022-33094号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1,2でも述べられているように、従来から、修理作業組織が修理作業に要する労力を軽減する技術が望まれている。しかし、顧客からの修理依頼の受注、および、修理業者への発注を行う受発注システムが既に存在する場合、既存の受発注システムの仕様を変更するには莫大な費用が必要である。そのため、修理作業の労力を軽減するための仕組みを実現することが困難であった。
本発明は、修理作業組織が修理作業に要する労力を軽減できる仕組みを低コストで実現することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するためのメンテナンス支援システムは、機種および不具合事象に対応付けて、不具合原因と、修理部品情報と、修理費用情報と、修理技術情報を記憶するデータベースと、メンテナンス管理システムから新規の修理オーダーを取得し、取得した修理オーダーに含まれる修理対象機器の機種と、不具合事象と、修理依頼者の住所情報を抽出する抽出部と、データベースを参照し、修理対象機器の機種と不具合事象の少なくとも一方に対応する、不具合原因と修理部品情報と修理費用情報と修理技術情報を取得し、修理依頼者の住所情報に対応する修理作業組織に通知する通知部と、を備える。
【0006】
すなわち、メンテナンス支援システムは、新規の修理オーダーをメンテナンス管理システムから取得し、修理オーダーから、修理対象機器の機種と、不具合事象と、修理依頼者の住所情報を抽出する。メンテナンス支援システムは、機種と不具合事象の少なくとも一方に対応する、不具合原因と修理部品情報と修理費用情報と修理技術情報を記憶したデータベースを備えている。メンテナンス支援システムは、当該データベースを参照し、修理オーダーに示された機種と不具合事象の少なくとも一方に対応する、不具合原因と修理部品情報と修理費用情報と修理技術情報を取得する。そして、メンテナンス支援システムは、修理オーダーに含まれる住所情報に対応する修理作業組織に、取得した上述の情報を通知する。当該通知は、任意のタイミングで送信されてよく、例えば当該修理作業組織からの情報提供要求があった場合に当該要求に応じて当該修理作業組織に通知されてもよいし、当該要求の有無に関わらずに当該修理作業組織に通知されてもよい。
【0007】
メンテナンス支援システムがこのような構成を備えることにより、修理オーダーに関する実際の修理作業を担当する修理作業組織に対して上述の情報を提供することができる。メンテナンス管理システムの構成を変更することなく構成するため、修理作業組織が修理オーダーに基づく修理作業に要する労力を軽減できるという効果を、メンテナンス管理システムの構成を変更する場合と比較すると、低コストで実現できる。また、労力の軽減に関して、例えば、機種と不具合事象に応じて想定される不具合原因や修理部品に関する情報を通知することにより、これらの情報が得られていない場合と比較すると、修理作業者(特に経験の浅い作業者)が原因特定に要する時間を短縮できる。また、修理費用情報を通知することにより、修理費用情報が得られない場合と比較して、修理作業者が依頼者に対して提示する見積額や請求額の算出に要する時間を短縮できる。また、修理技術情報を通知することにより、修理技術情報を得られていない場合と比較して、修理作業者が、修理方法を把握するのに要する時間を短縮できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】メンテナンス支援システムを含む全体システムのブロック図。
【
図2】修理依頼から修理完了までの流れの一例を示すシーケンス図。
【
図4】修理部品データベースと修理費用データベースの構成例を示す図。
【
図5】
図5Aは技術マニュアルデータベースの構成例を示す図、
図5Bは動画マニュアルデータベースの構成例を示す図。
【
図6】修理オーダー分析処理を示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0009】
ここでは、下記の順序に従って本発明の実施の形態について説明する。
(1)全体構成:
(2)メンテナンス支援システムの構成:
(3)メンテナンス支援処理:
(3-1)修理オーダー分析処理:
(3-2)作業支援:
(3-3)完了報告分析処理:
(3-4)不具合事象の集計:
(4)他の実施形態:
【0010】
(1)全体構成:
図1は、本発明の実施形態にかかるメンテナンス支援システム10を含む全体構成を示すブロック図である。メンテナンス支援システム10は、既存のメンテナンス管理システム100と協働し、修理対象機器の修理依頼に応じて修理を行う修理作業者(修理作業組織)を支援する機能を有する。メンテナンス管理システム100は、メンテナンス支援システム10の有無に関わらず動作する既存のシステムである。メンテナンス支援システム10はメンテナンス管理システム100とは別に新たに設けられたシステムである。本実施形態において、修理対象機器として給湯器やガスコンロ等の様々なガス関連機器を想定するが、他の実施形態においてはガス関連機器に限定されず様々な機器を想定してよい。
【0011】
メンテナンス支援システム10は、通信ネットワークを介して、メンテナンス管理システム100と、依頼者端末200と、受付者端末300と、作業組織端末400と、技術者端末500と各種の情報を授受する。
図1において、依頼者端末200、受付者端末300、作業組織端末400、技術者端末500は、それぞれ1台ずつ図示されているが、台数に限定はなくそれぞれ複数存在し得る。また、メンテナンス管理システム100は複数のコンピュータで構成されてもよい。メンテナンス支援システム10も、複数のコンピュータで構成されてもよい。
【0012】
(依頼者端末)
依頼者端末200は、修理対象機器の修理を依頼する依頼者が操作する端末である。依頼者端末200としては例えば、スマートフォンやタブレット端末、パーソナルコンピュータを想定してよい。依頼者は、依頼者端末200を操作して、修理依頼受付のためのWEBサイト(修理依頼受付サイト)を表示させ、顧客IDや住所等の顧客を識別するための情報や、修理を依頼したい機器の種類や型式等の情報、訪問希望日時等を入力する。メンテナンス管理システム100は、入力されたこれらの情報を取得し、修理オーダーを作成する。なお、依頼者は、電話で修理を依頼することもできる。
【0013】
(受付者端末)
受付者端末300は、依頼者から修理を依頼する電話を受けた受付者が操作する端末である。受付者端末300は例えば、パーソナルコンピュータ等で構成される。受付者は、依頼者と電話でやりとりし、依頼者から聞き出した顧客を識別するための情報や、修理を依頼された機器の種類や型式等の情報、訪問希望日時等を受付者端末300に入力し、メンテナンス管理システム100に送信する操作を行う。
【0014】
(作業組織端末)
作業組織端末400は、修理作業組織に属する修理作業者(単に作業者とも呼ぶ)やその他担当者が操作する端末である。作業組織端末400には、作業者個人が所有する端末が含まれてもよい。作業組織端末400は、例えばタブレット端末やスマートフォン等である。
【0015】
修理作業組織の作業者やその他担当者は、作業組織端末400を操作してメンテナンス管理システム100の修理オーダーデータベース130bに記憶された自組織に対応付けられた修理オーダーを参照することができる。なお、他組織に対応付けられた修理オーダーを参照することができてもよい。
【0016】
さらに、作業者は、作業組織端末400を操作して、メンテナンス支援システム10から提供された不具合原因を参照し修理対象機器の状態を確認し、不具合原因を特定する。作業者は、メンテナンス支援システム10から提供された概算費用情報を用いて見積書を作成することができる。作業者は、作成した見積書をプリンタで印刷し、依頼者に提示することもできる。
また、メンテナンス支援システム10は部品を発注するための発注サイトを修理作業組織に対して提供している(詳細は後述する)。作業者は、修理対象機器の不具合原因を解消するための修理部品を、メンテナンス支援システム10から提供された修理部品情報に基づいて、上述の発注サイトから選択し、発注指示を行う。
【0017】
作業者は、修理オーダーに示された修理対象機器の修理を完了すると、作業組織端末400を操作して、修理オーダーに対応する完了報告を作成し、メンテナンス管理システム100に送信する。
【0018】
(技術者端末)
技術者端末500は、修理対象機器を開発したメーカーの技術者、修理業務の管理・監督者等が操作する端末であり、例えばパーソナルコンピュータやタブレット端末、スマートフォン等である。技術者は、修理対象機器のうち特定機種において不具合が発生した場合に、その旨が自身に通知されるように予め連絡先をメンテナンス支援システム10に対して登録する。具体的には、技術者は、当該特定機種を示す情報と、連絡先として例えばメールアドレスを登録し、メンテナンス支援システム10はこれらの情報を、後述する特定機種データベース30aに記憶する。
【0019】
(メンテナンス管理システム)
メンテナンス管理システム100は、メンテナンス対象機器に対する修理に関する情報を蓄積し、修理作業組織等に提供する機能を有するコンピュータである。メンテナンス管理システム100は、制御部120と、記録媒体130と、通信部140を備える。制御部120は、CPU,RAM,ROM等を備える。制御部120は、ROMや記録媒体130に記録されたプログラム(不図示)を実行することができる。
【0020】
記録媒体130には、顧客データベース130aと、修理オーダーデータベース130bと、作業組織データベース130cが記憶され、制御部120はこれらのデータベースのデータの参照や、データの更新等を行うことができる。顧客データベース130aは、顧客ID毎に、顧客に関する様々な情報を記憶するデータベースである。顧客データベース130aにおいては、顧客IDに対応付けて、当該顧客IDが示す顧客が所有する機器や、顧客の住所、電話番号、電子メールアドレス等が記憶されている。
【0021】
修理オーダーデータベース130bは、修理オーダーを記憶するデータベースである。修理オーダーは、顧客が修理対象機器に発生した不具合に対する対処を依頼した場合に作成される、修理依頼内容を示す情報である。不具合に対する対処を依頼した顧客を、修理依頼者(あるいは単に依頼者)とも呼ぶこととする。修理オーダーには、オーダー番号、修理対象機器の機種、不具合事象、修理依頼者の住所情報、訪問日時を示す情報等が含まれる。修理オーダーは、修理依頼受付サイト経由で依頼者が入力した内容に基づいて生成される場合と、依頼者と電話で対話した受付担当者によって入力された内容に基づいて生成される場合がある。
【0022】
また、修理オーダーデータベース130bにおいて、修理作業が完了した修理オーダーには、当該修理オーダーに対応する完了報告が対応付けて保存される。完了報告には、作業者が特定した不具合原因、修理部品、請求額を示す情報が含まれる。完了報告には他にも、作業に要した時間(訪問日時、訪問回数等)、作業者の識別情報等が含まれてもよい。修理対象機器以外に依頼者が所有する機器についても修理作業を行った場合には、その旨の情報が含まれても良い。
【0023】
作業組織データベース130cは、各修理作業組織に関する情報を記憶するデータベースである。作業組織データベース130cにおいては、修理作業組織と、当該修理作業組織が担当する地域とが対応付けて記憶されている。また、作業組織データベース130cには、修理作業組織毎に、住所、連絡先の電子メールアドレス等が記憶されている。さらに、作業組織において実際に作業を行う個々の作業者の電子メールアドレスが記憶されていてもよい。
【0024】
通信部140は、他の機器と通信するためのインターフェースを含む。制御部120は、新規で修理オーダーが作成されると、依頼者の住所を含む地域を担当する修理作業組織を作業組織データベース130cに基づいて特定し、特定した修理作業組織に対応付けて修理オーダーを修理オーダーデータベース130bに保存する。修理作業組織に属する修理作業者(あるいはその他の人物でもよい)は、自組織に対応付けて修理オーダーデータベース130bに保存された修理オーダーを参照することができる。すなわち制御部120は、作業組織端末400から自組織に対応付けられた修理オーダーの参照依頼を、通信部140を介して受け付けると、当該組織に対応する修理オーダーを修理オーダーデータベース130bから取得し作業組織端末400に返信する。
【0025】
また、作業者が修理オーダーに示された修理対象機器の修理を完了した場合、制御部120は、作業組織端末400から修理オーダーに対応する完了報告を取得する。制御部120は、作業組織端末400から取得した完了報告を修理オーダーに対応付けて修理オーダーデータベース130bに保存する。
【0026】
図2に、修理オーダーの受発注から作業者の出張を経て修理完了までの流れの一例を示す。依頼者がコールセンターに電話し修理を依頼する(ステップS100)と、受付者が依頼者の氏名や顧客ID、住所、不具合が発生している機器の機種、不具合事象、訪問日時を依頼者に確認し、これらの情報を受付者端末300に入力する。受付者端末300では、入力されたこれらの情報を受け付け、メンテナンス管理システム100に送信する(ステップS105)。メンテナンス管理システム100は、受付者端末300から受信した情報に基づいて修理オーダーを作成し、修理オーダーに示された住所を担当する修理作業組織に対応付けて保存する(ステップS110)。なお、上述したように、修理依頼は、電話による依頼以外にも、依頼者が修理依頼を受け付けるための修理依頼受付サイトに上述の情報を入力して行うこともできる。
【0027】
修理作業組織の作業者は、作業組織端末400から自組織に対応付けられた修理オーダーを、メンテナンス管理システム100が提供する修理オーダー管理サイトによって参照し、依頼者が希望する訪問日時に依頼者を訪問して不具合の状況を確認する。確認後、作業者は、作業組織端末400で見積書を作成し(ステップS115)、見積金額を依頼者に提示する。作業者は、プリンタで見積書を印刷し依頼者に渡しても良いし、電子データの形式で依頼者端末200に送信してもよい。
【0028】
不具合を解消するために部品の交換が必要な場合であって、当該部品が手元にない場合、作業者は2回目の訪問日時を依頼者の希望を確認して決定する。作業者は、交換が必要な部品の発注指示を行う(ステップS120)。なお、作業者は、次回の訪問日時が発注した部品の想定される入手日以降となるように訪問日時を決定する。
【0029】
作業者は、2回目の訪問日時に依頼者を訪問し、部品の交換や動作確認等の作業を行う。なお、修理作業組織に部品の在庫があり1回目の訪問で当該部品を携行している場合はステップS120と2回目の訪問は省略される。いずれにしても作業者による修理作業で不具合が解消した場合、作業者は、作業組織端末400を操作して請求書を作成する(ステップS125)。作業者は、プリンタで請求書を印刷し依頼者に渡しても良いし、電子データの形式で依頼者端末200に送信してもよい。
【0030】
作業者は、修理作業が完了後、作業組織端末400を操作して、メンテナンス管理システム100が提供する修理オーダー管理サイトに修理作業結果を入力し(ステップS130)、メンテナンス管理システム100に送信する。メンテナンス管理システム100は、作業組織端末400から送信された情報に基づいて完了報告を生成し、修理オーダーに対応付けて保存する(ステップS135)。
本実施形態において、メンテナンス管理システム100は、既に運用されている既存のシステムであり、仮にメンテナンス管理システム100に対して仕様変更や機能追加を行う場合、莫大なコストが必要である。そのため、既存の仕組みを変更したり新機能を追加することが困難であるという問題があった。
【0031】
(2)メンテナンス支援システムの構成:
メンテナンス支援システム10は、
図2に示した基本的な修理受発注の流れにおいて、修理作業組織における修理作業を支援し、その他にも修理に関わる各所に対して情報を提供する支援機能を実現するためのシステムである。
図1に示すように、本実施形態において、メンテナンス支援システム10は、制御部20、記録媒体30、通信部40を備えたサーバとして構成される。制御部20は、CPU,RAM,ROM等を備え、ROMや記録媒体30に記録された各種のプログラムを実行することができる。
【0032】
記録媒体30には、特定機種データベース30aと、不具合原因データベース30bと、技術マニュアルデータベース30cと、修理費用データベース30dと、修理部品データベース30eと、動画マニュアルデータベース30f等のデータベースが記憶される。
【0033】
より詳細には、不具合原因データベース30bは、
図3に示すように、機種と、不具合事象に応じて想定される不具合原因(不具合原因の種類と重み係数)を記憶するデータベースである。機種は、機器の種類と機器のメーカーと型式によって示される。不具合事象は、機器に表示されるエラーコードで示される場合と、エラーコードが不明な場合に言語で症状が表現される場合とがある。同一機種の同一不具合事象について、不具合原因は複数存在しうる。例えば、A社の型式「A11***」の給湯器の「お湯が出ない」という不具合事象の場合、想定される不具合原因としては例えば(A)~(F)の6つが対応付けて記憶されている。また例えば、A社の型式「A11***」の給湯器のエラーコード「112」が示す不具合事象については、想定される不具合原因として例えば(D)~(F)の3つが対応付けて記憶されている。重み係数は、機種および不具合事象に対応する不具合原因の頻度(件数)を表している。
【0034】
修理部品データベース30eは、
図3および
図4に示すように、機種と不具合事象と不具合原因に対応する修理部品情報を記憶するデータベースである。
図4は、紙面のスペースの都合上、不具合原因の種類と重み係数の記載(
図3を参照)を省略し、不具合原因を示すアルファベット(例えば(A),(B)等)を記載している。修理部品情報は、部品の名称、重み係数、型番、部品代、出張作業費が含まれる。機種と不具合事象と不具合原因の組み合わせ毎に対応付けられる修理部品は0個の場合(部品を交換する必要がない)もあれば、1個の場合もあれば、2個以上である場合もある。例えば
図4の不具合原因(C)のように、不具合原因(C)に対して2つの部品(c1,c2)が対応付けられている場合、部品c1のみ交換すればいい場合と、部品c2のみ交換すればよい場合と、両方交換する必要がある場合があることを示している。重み係数は、各部品の交換頻度(件数)を示す値である。1つの不具合原因について部品が1つのみ対応付けられている場合は、
図3および
図4に示すように、不具合原因の重み係数と修理部品情報の重み係数は同じ値となる。1つの不具合原因に複数の部品が対応付けられている場合、各部品に対して重み係数が記憶される。出張作業費は、対応する部品の交換等の作業について予め想定される標準的な費用(参考用)であるが、実際の作業内容や所要時間等に応じて実際の出張作業費は変動しうる。
【0035】
修理費用情報は、機種と不具合事象と不具合原因の組み合わせ毎の修理費用の概算値と重み係数を含む。なお修理費用には、部品代と、出張作業費が含まれる。修理費用データベース30dには、
図3および
図4に示すように、機種と不具合事象と不具合原因の組み合わせ毎に、修理費用の概算値として、下限値と上限値と平均値が記憶される。重み係数は、新規の完了報告に応じて修理費用の平均値を更新するために保持される数値(件数に相当)である。例えば
図4の破線の矩形で囲まれた機種および不具合原因に対応する費用について、これまでの修理における金額の合計値を、平均値に重み係数を乗じた値と見なすために重み係数が保存されている。従って例えば破線の矩形で囲まれた機種および不具合原因について、新規の完了報告において請求額が4800円であることが示されている場合、次のように概算費用が更新される。すなわち平均値は、(5000円×80+4800円)÷(80+1)≒4998円で更新され、重み係数は81で更新される。
【0036】
修理技術情報は、修理対象機器の機種に対応するマニュアルの参照情報(保存場所およびファイル名を示す情報)と、修理部品情報に対応する動画マニュアルの参照情報(保存場所およびファイル名を示す情報)を含む。具体的に、技術マニュアルデータベース30cは、
図5Aに示すように、修理対象機器の機種を示す種類・メーカー・型式に対応付けて、当該機種の技術マニュアルの参照情報を記憶するデータベースである。技術マニュアルの参照情報は、各メーカーが運用するWEBサイト上に公開されている技術マニュアルのURLであってもよいし、もちろんメンテナンス支援システム10の記録媒体30に技術マニュアルが保存されている場合は記録媒体30における当該技術マニュアルの保存場所およびファイル名を示す情報であってもよい。技術マニュアルは、修理作業者向けのマニュアルを想定しているが、一般ユーザ向けのユーザガイドを含んでいても良い。
【0037】
動画マニュアルデータベース30fは、
図5Bに示すように、修理対象機器の機種(種類・メーカー・型式で示される)に用いられている部品毎の動画マニュアルの参照情報(保存場所およびファイル名)を記憶するデータベースである。例えば、
図4の修理部品情報に示される、A社の型式「A11***」の給湯器の不具合原因が(D)である場合の修理部品である点火装置の動画マニュアルの参照情報は、
図5Bに示す動画マニュアルデータベース30fによって取得できる。動画マニュアルは動画形式のファイルである。動画マニュアルは、部品を修理あるいは交換する際の手順や注意事項等を解説する動画であることを想定している。
【0038】
特定機種データベース30aは、特定機種を示す情報(例えば、機器の種類とメーカーと型式)に対応付けて、当該特定機種の不具合が生じた際の技術者の連絡先(例えば電子メールアドレス)を記憶するデータベースである。
【0039】
制御部20は、上述の支援機能を実現するために、メンテナンス支援プログラム21を実行する。メンテナンス支援プログラム21を実行することにより、制御部20は、抽出部21a、集計部21b、通知部21c、発注部21dとして機能し、次に説明するメンテナンス支援処理を実行する。
【0040】
(3)メンテナンス支援処理:
(3-1)修理オーダー分析処理:
まず、メンテナンス支援処理の1つである修理オーダー分析処理について説明する。修理オーダー分析処理は、メンテナンス管理システム100の修理オーダーデータベース130bに蓄積された修理オーダーに対して定期的に行われる処理である。修理オーダーは、
図2に示すステップS110において蓄積される。
【0041】
図6は修理オーダー分析処理を示すフローチャートである。修理オーダー分析処理は、一定期間経過(例えば5分、10分等)毎に繰り返し実行される。すなわち、本実施形態において修理オーダー処理は修理オーダーの新規作成とは非同期で行われることを想定しているが、新規作成から一定期間以内には修理オーダー分析処理が実行されることとなる。
【0042】
修理オーダーは修理作業組織に対応付けて保存されており、修理オーダー分析処理では、修理作業組織毎に新規の修理オーダーの有無の確認が行われる。ステップS200~S245は各修理作業組織についてそれぞれ実行されるループ処理であり、全ての修理作業組織の中から処理対象として修理作業組織が1つずつ順に選択され実行される。ステップS205~S240は、処理対象の1つの修理作業組織について実行される処理であり、まず制御部20は、処理対象の修理作業組織に新規の修理オーダーが有るか否かを判定する(ステップS205)。新規の修理オーダーとは、抽出部21aによってまだ抽出処理(S215)が行われていない修理オーダーである。例えば、制御部20は、抽出処理済みの修理オーダーのオーダー番号を記録媒体30に記憶しておき、記録媒体30に記憶されていないオーダー番号の修理オーダーが処理対象の修理作業組織に対応付けて修理オーダーデータベース130bに記録されている場合に当該修理オーダーを新規の修理オーダーと見なすように構成されてもよい。ステップS205において、新規の修理オーダーが有ると判定されなかった場合、制御部20は、ステップS245に進む。
【0043】
ステップS205において、新規の修理オーダーが有ると判定された場合、制御部20は、処理対象の修理作業組織における全ての新規の修理オーダーを確認済みとなるまで、ステップS210~S240のループ処理を実行する。ステップS215~S235(又はS230)は、処理対象の1つの修理オーダー(新規)について実行される処理であり、まず、制御部20は、抽出部21aの機能により、新規の修理オーダーから住所情報と機種と不具合事象を抽出する(ステップS215)。修理オーダーデータベース130bにおいて、修理オーダーがテキスト形式で保存されている場合、制御部20は、修理対象機種を示す文字列と、修理対象機器で発生している不具合事象を示す文字列と、修理依頼者の住所情報を示す文字列等を抽出する。修理オーダーが画像形式で保存されている場合、制御部20は、修理オーダーに対して文字認識処理を行ってから上述の項目に対応する文字列を抽出する。
【0044】
続いて、制御部20は、通知部21cの機能により、機種と不具合事象の少なくとも一方に対応する、不具合原因と修理部品情報と修理費用情報と修理技術情報を含む電子メールを作成し、住所情報に対応する修理作業組織に送信する(ステップS220)。すなわち、制御部20は、不具合原因データベース30bを参照して、機種と不具合事象に応じた不具合原因(不具合原因の種類と重み係数)を取得する。また、制御部20は、修理部品データベース30eを参照して、機種と不具合事象と不具合原因に対応する修理部品情報を取得する。
【0045】
また、制御部20は、修理費用データベース30dを参照し、機種と不具合事象と不具合原因に応じた修理費用の概算値(上限値、下限値、平均値)を取得する。予め記憶している見積書の文書テンプレートに修理費用の概算値に含まれる数値を挿入し、見積書ファイルを生成するように構成されてもよい。不具合原因が複数存在する場合は、不具合原因の個数分、費用の概算値を示す見積書ファイルが生成されてもよいし、1つの見積書ファイルの中に不具合原因別に費用の概算値が含まれてもよい。修理費用の概算値として、見積書には上限値と下限値と平均値を含んで生成される。あるいは、修理部品データベース30eを参照し、機種と不具合事象と不具合原因に応じた修理部品の価格および出張作業費を取得し、予め記憶している見積書の文書テンプレートに数値を挿入し、見積書ファイルを生成するように構成されてもよい。また、制御部20は、技術マニュアルデータベース30cを参照し、機種に対応する技術マニュアルの参照情報を取得する。制御部20は、動画マニュアルデータベース30fを参照し、機種と不具合原因に対応する修理部品の動画マニュアルの参照情報を取得する。
【0046】
制御部20は、これらの情報を本文に記載した電子メールか、または、これらの情報が記載されたファイルを添付した電子メールを、処理対象の修理作業組織宛に送信する。本実施形態において、修理オーダーは当該修理オーダーに含まれる住所情報の地域を担当する修理作業組織に対応付けて保存されているため、処理対象の修理作業組織は、修理オーダーに含まれる住所情報に対応する修理作業組織である。
【0047】
修理作業組織に送信される電子メールには、重み係数順の不具合原因、不具合原因毎の修理部品リスト(重み係数順)、部品の発注サイトの参照情報、部品毎の動画マニュアルの参照情報、不具合原因毎の修理費用の概算値、機種の技術マニュアルの参照情報が含まれる。
【0048】
具体的に、電子メールには、修理オーダーに含まれる修理対象機器の機種と不具合事象に対応付けて不具合原因データベース30bに記憶されている不具合原因が、重み係数の値が大きい順に含まれる。また、修理オーダーに含まれる修理対象機器の機種および不具合事象に対応付けて修理部品データベース30eに記憶されている、不具合原因に対応する修理部品が、重み係数の値が大きい順に電子メールに含まれる。すなわち、不具合原因は不具合原因の重み係数が大きい順にリストアップされ、さらに、各不具合原因において修理部品が修理部品の重み係数が大きい順にリストアップされる。部品の発注サイトの参照情報は、リストアップされた修理部品から実際に発注する部品を選択し発注指示を行うために提供される発注サイトの参照情報である。部品毎の動画マニュアルの参照情報は、リストアップされた修理部品に含まれる部品の交換方法等を示す動画の参照情報である。また、修理オーダーに含まれる修理対象機器の機種と不具合事象に対応付けて修理費用データベース30dに記憶されている、不具合原因毎の修理費用の概算値(上限値、下限値、平均値)が、電子メールに含まれる。機種の技術マニュアルの参照情報は、修理対象機器の技術マニュアルの参照情報である。これらの情報が含まれた電子メールがステップS220では修理作業組織に対して送信される。
【0049】
続いて、制御部20は、通知部21cの機能により、不具合原因と修理費用の概算値とを含む電子メールを作成し、修理依頼者に送信する(ステップS225)。すなわち、制御部20は、修理費用データベース30dを参照し、機種と不具合事象と不具合原因に応じた修理費用の概算値(上限値、下限値、平均値)を取得する。制御部20は、不具合原因と修理費用の概算値を本文に記載した電子メールか、または、これらの情報が記載されたファイルを添付した電子メールを、修理依頼者に送信する。電子メールには、不具合原因毎に、修理費用の上限値、下限値、平均値が含まれる。従って依頼者は、作業者の訪問に先立って、想定される不具合原因と、不具合原因毎の修理費用の概算値を認識することが可能である。なお、ステップS225は、依頼者が自身のメールアドレスをメンテナンス管理システム100に登録済みである場合に実行される。
【0050】
続いて、制御部20は、通知部21cの機能により、処理対象の修理オーダーは特定機種についての修理オーダーであるか否かを判定する(ステップS230)。すなわち、制御部20は、特定機種データベース30aを参照し、処理対象の修理オーダーから抽出された修理対象機器の機種が、特定機種データベース30aに記録された特定機種であるか否かを判定する。
【0051】
ステップS230において特定機種であると判定された場合、制御部20は、通知部21cの機能により、特定機種において不具合が生じた旨と、修理依頼者の住所情報と、修理訪問予定日時とを含む電子メールを作成し、当該特定機種に予め対応付けられた技術者宛に送信する(ステップS235)。すなわち、特定機種データベース30aにおいて、特定機種に対応付けられた技術者の電子メールアドレスに電子メールが送信される。このようにすることで、特定機種の不具合に関する情報を知りたい技術者に当該情報を直ちに伝達することができる。これにより、技術者が作業者に対し、不具合のある特定機種の対応について、早やかに個別の具体的指示を行うことが可能となる。また、訪問予定日時が技術者に伝達されることにより、技術者が作業者とともに依頼者を訪問し、不具合のある特定機種の状況を確認することも可能となる。
【0052】
ステップS230で特定機種であると判定されなかった場合、またはステップS235を実行後、制御部20は処理対象の修理作業組織における全ての新規の修理オーダーを確認済みであるか否かを判定し(ステップS240)、確認済みでなければステップS215に戻る。ステップS240で確認済みであると判定された場合、制御部20は、全ての修理作業組織を確認済みであるか否かを判定する(ステップS245)。確認済みでない場合、制御部20はステップS205に戻り、確認済みである場合、修理オーダー分析処理を終了する。
【0053】
(3-2)作業支援:
上述した修理オーダー分析処理(
図6)によって新規の修理オーダーの分析が行われ、作業者に電子メールが送信される。作業者は、
図2に示すように、作業組織端末400から修理オーダー管理サイトにアクセスすることにより、メンテナンス管理システム100に保存されている修理オーダーを参照することができる。従って作業者は、新規の修理オーダーそのものと、当該修理オーダーに関する作業に関する上述の支援情報が含まれた電子メールを得ることができる。作業者は、これらの情報を参照して、依頼者を訪問し、修理対象機器の状況確認と、不具合原因の特定を行うことができる。修理オーダーそのものだけでなく、メンテナンス支援システム10から送信された電子メールに含まれる上述の支援情報を参照することができるため、支援情報が修理作業時に得られていない場合と比較すると、修理作業者(特に経験の浅い作業者)が原因特定に要する時間を短縮できる。
【0054】
また、重み係数の値が大きい順にリストアップして不具合原因が通知されるため、作業者は、同じ機種および不具合事象に関して複数の不具合原因がある場合に、可能性が高い順に不具合原因を検証することができる。また作業者は、同じ機種および不具合事象および不具合原因に関して複数の部品の修理が必要である可能性がある場合に、重み係数の値が大きい順で部品の修理(交換)が必要か否かを検証できる。
【0055】
不具合原因が確定すると、
図2のステップS115に示すように、作業者は作業組織端末400を操作して、メンテナンス支援システム10から得た電子メールに含まれる修理費用情報を参考にしつつ、実際の部品代、出張作業費に基づいて見積書を作成する。修理費用情報を用いることにより、修理費用情報が得られない場合と比較して、修理作業者が依頼者に対して提示する見積額の算出や、見積書の文書作成に要する時間を短縮できる。修理費用の概算値は、後述する完了報告分析処理によって、実際の修理に要した修理費用に基づいて更新される値であるため、作業者は確からしい値を参考にしつつ、見積額の算出等を行うことができる。
【0056】
さらに、
図2のステップS120に示すように、作業者は作業組織端末400を操作して、修理対象機器の修理に必要な部品(交換部品等)の発注を指示する。メンテナンス支援システム10は部品を発注するための発注サイトを修理作業組織に対して提供している。
【0057】
具体的に、作業者が、電子メールに含まれる発注サイトの参照情報を選択して発注サイトにアクセスすると、当該サイトの表示要求が作業組織端末400からメンテナンス支援システム10に送信される。電子メールに含まれる発注サイトの参照情報は、修理オーダーが示す修理対象機器の機種および不具合事象に対応する、不具合原因毎の修理部品リストを含むページの参照情報である。このような発注サイトへの表示要求を受けて、制御部20は、発注部21dの機能により、修理オーダーに対応する不具合原因毎の部品リストを生成し、表示データを作業組織端末400に返信する。作業組織端末400は表示データに基づいて部品リストを含むページを表示する。作業者が部品リストの中から作業者が発注する部品を選択して発注指示を入力すると、作業組織端末400は選択された部品の発注指示をメンテナンス支援システム10に送信する。制御部20は発注部21dの機能により、発注指示のあった部品を、当該部品のメーカーの発注方法に従って発注する。
【0058】
修理対象機器のメーカーは様々であり、機器に使用されている部品の発注先も様々である。また、部品メーカーによって発注方法(例えばFAXでメーカーに発注、あるいはメーカーWEBサイトで発注、あるいは一般のECサイトで発注等)も異なり得る。制御部20は、部品メーカー毎(あるいは部品毎であってもよい)に、発注方法を記録媒体30に記憶させている。制御部20は、作業者が選択して発注指示を行った部品の発注方法を、記録媒体30を参照して取得し、取得した発注方法に従って部品を発注する。その際に、制御部20は、部品の送付先を修理オーダーに対応付けられた修理作業組織の住所として発注を行う。このように、本実施形態における発注サイトを経由して発注指示を行うことにより、作業者は、様々なメーカーの部品を同様の手順で発注することができる。そのため作業者の負担を軽減でき、発注に要する時間を短縮できる。
【0059】
発注した部品が修理作業組織に届くと、作業者は、依頼者を訪問し、部品を交換する等して修理対象機器の修理を行う。この際に、作業者は、技術マニュアルや動画マニュアルを閲覧し、これらを参考にして作業を行うことができる。そのため、修理作業組織の作業者が対応方法を把握するのに要する時間を短縮できる。
【0060】
修理が完了すると、作業者は、
図2のステップS125に示すように、作業組織端末400を操作して、請求書を作成する。作業者は、電子メールに含まれる修理部品情報の中から実際に発注した部品の部品代を特定する。作業者は、部品代と出張作業費とを加算して、請求額を決定し、予め準備されている請求書テンプレートに入力し、請求書の文書を作成する。作業者は、プリンタで請求書を印刷して、請求書を依頼者に渡すことができる。
【0061】
また、作業者は、
図2のステップS130に示すように、作業組織端末400を操作して、メンテナンス管理システム100が提供する修理オーダー管理サイトに、作業者が特定した不具合原因、修理部品、請求額等の修理作業結果を入力し、作業組織端末400からメンテナンス管理システム100に修理作業結果を送信する。メンテナンス管理システム100は送信された修理作業結果から完了報告を作成し、修理オーダーに対応付けて保存する。
【0062】
(3-3)完了報告分析処理:
完了報告分析処理は、修理オーダーデータベース130bに蓄積された完了報告に対して定期的に行われる処理である。完了報告は、
図2のステップS135で蓄積される。
図7は、完了報告分析処理を示すフローチャートである。完了報告分析処理は、一定期間経過(例えば5分、10分等)毎に繰り返し実行される。ステップS300~S335は各修理作業組織についてそれぞれ実行されるループ処理であり、全ての修理作業組織の中から処理対象として修理作業組織が1つずつ順に選択され実行される。ステップS305~S330は、処理対象の1つの修理作業組織について実行される処理であり、まず制御部20は、処理対象の修理作業組織に新規の完了報告が有るか否かを判定する(ステップS305)。新規の完了報告とは、抽出部21aによってまだ抽出処理(S315)が行われていない完了報告である。例えば、記録媒体30に抽出処理済みの修理オーダーとして当該修理オーダーのオーダー番号を記憶する際(
図6のS205の処理を参照)に、制御部20は、当該修理オーダーに対応する完了報告についての抽出処理は未実施として記憶する。制御部20は、修理オーダーに対応する完了報告が修理オーダーデータベース130bに記憶されている場合であって、当該完了報告の抽出処理が未実施である完了報告が存在する場合に、当該完了報告を新規の完了報告と見なす。なおS315の抽出処理が行われた完了報告には「実施済み」を示す情報が対応付けられる。ステップS305において、新規の完了報告が有ると判定されなかった場合、制御部20は、ステップS335に進む。
【0063】
ステップS305において、新規の完了報告が有ると判定された場合、制御部20は、処理対象の修理作業組織における全ての新規の完了報告を確認済みとなるまで、ステップS310~S330のループ処理を実行する。ステップS315~S325は、処理対象の1つの完了報告(新規)について実行される処理であり、まず、制御部20は、抽出部21aの機能により、処理対象の完了報告から不具合原因、修理費用、修理部品を抽出する(ステップS315)。修理オーダーデータベース130bにおいて、完了報告がテキスト形式で保存されている場合、制御部20は、不具合原因を示す文字列と、修理部品を示す文字列と、請求額を示す文字列等を抽出する。完了報告が画像形式で保存されている場合、制御部20は、完了報告に対して文字認識処理を行ってから上述の項目に対応する文字列を抽出する。なお完了報告は、修理オーダーに対応付けられているため、完了報告から抽出した不具合原因、修理部品、請求額は、当該完了報告と対応する修理オーダーに示される修理対象機器の機種および不具合事象に対応する不具合原因、修理部品、請求額(修理費用)である。
【0064】
続いて、制御部20は、集計部21bの機能により、不具合原因、修理費用、修理部品を集計してデータベースを更新する(ステップS320)。すなわち、制御部20は、修理対象機器の機種および不具合事象に対応付けて不具合原因データベース30bに記憶されている不具合原因の重み係数を、完了報告から抽出した不具合原因を用いて更新する。具体的に、制御部20は、完了報告と対応する修理オーダーに示された修理対象機器の機種と不具合事象における当該不具合原因の重み係数を1増加させる。なお、重み係数(発生件数)には、メンテナンス支援システム10の運用開始時点においてはデフォルト値が設定される。当該デフォルト値は、同じ機種および同じ不具合事象に対して複数の不具合原因があり得る場合、過去の統計等から可能性が高い不具合原因ほど大きい値である。そのため運用開始直後においても、過去の統計等から想定される可能性の高い順序を作業者に案内することができる。
【0065】
また制御部20は、修理対象機器の機種および不具合事象および不具合原因に対応付けて修理部品データベース30eに記憶されている修理部品毎の重み係数を、完了報告から抽出した修理部品を用いて更新する。具体的に、制御部20は、完了報告と対応する修理オーダーに示された修理対象機器の機種と不具合事象と、不具合原因とに対応する修理部品の重み係数を1増加させる。なお重み係数には、メンテナンス支援システム10の運用開始時点においては、デフォルト値が設定されている。デフォルト値は、同じ機種および同じ不具合原因において実際に修理対象となる可能性が過去の統計等に基づいて高い部品ほど大きい値である。そのため運用開始直後においても、可能性が高い順に作業者に部品を案内することができる。
【0066】
さらに制御部20は、修理対象機器の機種および不具合事象および不具合原因に対応付けて修理費用データベース30dに記憶されている修理費用の概算値を、完了報告から抽出した請求額を用いて更新する。制御部20は、修理対象機器の機種および不具合事象および不具合原因に対応する上限値および下限値(
図4を参照)と、完了報告が示す請求額とを比較し、請求額が上限値より大きければ上限値を請求額で更新し、請求額が下限値より小さければ下限値を請求額で更新する。また、制御部20は、(平均値×重み係数+請求額)÷(重み係数+1)の式で算出した値で平均値を更新する。なお、メンテナンス支援システム10の運用開始時点においては過去の統計などに基づいて想定される上限値、下限値、平均値がデフォルト値として設定される。
【0067】
続いて、制御部20は、電子メールを作成し、修理依頼者に送信する(ステップS325)。電子メールには、修理完了に伴って依頼者に伝達すべき様々な情報が含まれうる。例えば、ポイントシステムをメンテナンス支援システム10や他のシステムで運用しており、修理費用が発生した場合に依頼者にポイントを付与するように運用されている場合、ステップS325で送信するメールには、付与予定のポイント数が含まれる構成が想定可能である。
【0068】
ステップS325を実行後、制御部20は処理対象の修理作業組織における全ての新規の完了報告を確認済みであるか否かを判定し(ステップS330)、確認済みでなければステップS315に戻る。ステップS330で確認済みであると判定された場合、制御部20は、全ての修理作業組織を確認済みであるか否かを判定する(ステップS335)。確認済みでない場合、制御部20はステップS305に戻り、確認済みである場合、完了報告分析処理を終了する。
【0069】
(3-4)不具合事象の集計:
他にも、メンテナンス支援システム10は、所定期間における、不具合が発生した機種毎の不具合事象の件数を、修理オーダー受付者、機種に対応付けられた技術者、修理作業組織に通知する機能を有している。所定期間は、例えば1時間、1日、1週間等を想定しているが、もちろんそれ以外の期間であってもよい。このような通知を行うため、集計部21bの機能により、制御部20は、所定期間経過毎に、直近の所定期間内に発生した機種毎の不具合事象の件数を集計する。具体的には例えば、制御部20は、
図6のステップS215において、修理オーダーに示された機種および不具合事象に対応する件数を更新しておき、所定期間経過毎に、機種および不具合事象毎の件数を取得する。そして、制御部20は、通知部21cの機能により、各機種において、件数の多い上位所定個の不具合事象を選出しその件数を、修理オーダー受付者、機種に対応付けられた技術者、修理作業組織に通知する。あるいは、制御部20は、各機種において、件数が基準以上の不具合事象を選出してその件数を通知するようにしてもよい。通知はどのような手段で行われても良いが、例えば電子メールで各者に送信するように構成されてもよい。機種毎の不具合事象の件数は、所定期間経過毎にクリアされる。
【0070】
このように、直近の所定期間における不具合事象の傾向を受付者に通知することにより、修理依頼受付業務において受付者が依頼者に円滑に対応できる可能性を高めることができる。また、直近の所定期間における不具合の傾向を作業者に通知することにより、作業者が傾向を把握し作業品質が向上する可能性を高めることができる。また、直近の所定期間における不具合の傾向を技術者に通知することにより、技術者に各機種における不具合の傾向を認識させることができる。なお、メーカーに属する技術者に対して通知する場合、当該技術者が属するメーカーの機種についての不具合原因毎の件数が通知される。修理業務を管理・監督する組織に属する技術者に対しては、全メーカーの機種についての不具合原因毎の件数が通知される。
【0071】
さらに、通知部21cの機能により、制御部20は、所定期間における、不具合が発生した機種毎の不具合事象の件数を示したWEBページ、メールマガジン文書、SNS文書の少なくともいずれかを生成し、公開する。このようにすることで、修理依頼を行ったユーザ以外の一般のユーザに対して、どのような不具合事象が多く発生しているか情報提供を行うことができる。そのため、例えば、所有機器について気になる事象があるが修理を依頼すべきか(あるいはサポートセンターに問い合わせするか)否か判断しかねているユーザが修理を依頼する心理的ハードルを下げることができる可能性がある。
【0072】
以上のように、本実施形態のメンテナンス支援システム10によれば、修理作業組織の作業者が修理オーダーに対する様々な作業を円滑に行うための情報を提供する機能を、既存のメンテナンス管理システム100の構成を変更することなく実現できる。既存の受発注システムであるメンテナンス管理システム100の仕様変更や機能追加には、莫大なコストを要するため、従来は修理作業の労力を軽減するための仕組みやその他の様々な機能を実現し改良を加えていくことが困難であった。本実施形態によれば、メンテナンス管理システム100を改変する場合と比較すると、低コストで上述の機能を実現できる。
【0073】
(4)他の実施形態:
以上の実施形態は本発明を実施するための一例であり、他にも種々の実施形態を採用可能である。例えば、メンテナンス支援システムにおいて、修理オーダー分析処理と完了報告分析処理とは、別のコンピュータで実行されてもよい。
【0074】
上記実施形態は、メンテナンス支援システム10から能動的に、修理作業組織を支援するための情報を修理作業組織に対して通知する構成であったが、修理依頼者の住所情報に対応する修理作業組織からの要求に応じて、上述の情報を提供するように構成されてもよい。例えば、作業者がメンテナンス管理システム100の修理オーダーを参照するタイミングで、メンテナンス支援システム10に対して情報提供を要求し、要求に応じてメンテナンス支援システム10が要求された情報を提供するように構成されてもよい。作業者がメンテナンス支援システム10に情報提供を要求するタイミングは任意であり、修理出張前であってもよいし出張先で要求してもよいし、出張後であってもよい。
【0075】
通知部21cが作業者に提供する情報は上記実施形態に挙げたものに限定されない。例えば、通知部21cは、メンテナンス管理システム100が備える、各ユーザの所有機器の機種を記憶する顧客データベース130aに基づいて、修理依頼者が修理を依頼した修理対象機器以外の修理依頼者の他の所有機器の機種を特定し、他の所有機器の機種に対応するマニュアルの参照情報を修理作業組織に通知するように構成されてもよい。依頼者が修理を依頼した機器は、必ずしも修理が必要な機器とは限らない。例えば依頼者が不具合を感じた機器の不具合原因が、依頼者が所有する他の機器である可能性がある。あるいは、依頼者が修理を依頼した機器の不具合によって、依頼者が所有する他の機器に不具合が生じる場合もある。そのため、依頼者が修理を依頼した機器以外の所有機器についても作業者に認識させることにより、複合的または連鎖的に生じる不具合を事前に想定することができる。また、他の所有機器のマニュアルの参照情報を通知するように構成することで、修理依頼者が所有する他の所有機器に関する技術情報を作業者が得るための時間を短縮できる。
【0076】
メンテナンス管理システム100が管理対象としている機器を、依頼者が複数機器所有している場合、依頼者が不具合の発生を認識している第1の機器の不具合が、第2の機器の不具合に関連しているという場合がある。そのような場合、作業者は、完了報告に、依頼者が修理を依頼した修理対象機器以外の他の所有機器に対する修理を行った旨の記録を残す。このように、完了報告に、修理対象機器以外の修理依頼者の他の所有機器に対する修理の記録が含まれる場合、集計部21bは、修理対象機器の機種および不具合事象に対応付けて、他の所有機器および不具合事象および不具合原因をデータベースに記憶させるように構成されてもよい。通知部21cは、新規の修理オーダーに含まれる修理対象機器の機種および不具合事象に対応付けてデータベースに他の機器および不具合事象および不具合原因が記憶されている場合であって新規の修理オーダーの修理依頼者が他の機器を所有している場合に、他の機器の不具合事象および不具合原因も、修理作業組織に通知するように構成されてもよい。集計部および通知部がこのように構成されることにより、修理依頼者の他の所有機器の不具合が修理対象機器の不具合に関連している場合に、全体としてこれらの不具合を解消するための時間を短縮できる。
【0077】
技術マニュアルの参照情報は、修理対象機器の機種と不具合事象に対応してデータベースに記憶されていてもよい。例えば、機種に対応する技術マニュアルのうちの、不具合事象に関連した部分(ページ番号等)が、技術マニュアルの参照情報として記憶されてもよい。
【0078】
上記実施形態において、修理費用情報(修理費用の概算値と重み係数、
図4を参照)は、機種と不具合事象と不具合原因に対応付けて記憶されていたが、機種と不具合事象と不具合原因と修理部品に応じて修理費用情報が記憶されてもよい。例えば、A社の型式「A11***」の給湯器の「お湯が出ない」という不具合事象と不具合原因(C)に対応付けて2つの部品が対応付けられている。このような場合に、部品毎に、修理費用の概算値と重み係数が記憶されるように構成されてもよい。
【0079】
さらに、本発明は、コンピュータが実行するプログラムや方法としても適用可能である。また、以上のようなシステム、プログラム、方法は、単独の装置として実現される場合もあれば、複数の装置が備える部品を利用して実現される場合もあり、各種の態様を含むものである。また、一部がソフトウェアであり一部がハードウェアであったりするなど、適宜、変更可能である。さらに、システムを制御するプログラムの記録媒体としても発明は成立する。むろん、そのプログラムの記録媒体は、磁気記録媒体であってもよいし半導体メモリーであってもよいし、今後開発されるいかなる記録媒体においても全く同様に考えることができる。
【符号の説明】
【0080】
10…メンテナンス支援システム、20…制御部、21…メンテナンス支援プログラム、21a…抽出部、21b…集計部、21c…通知部、21d…発注部、30…記録媒体、30a…特定機種データベース、30b…不具合原因データベース、30c…技術マニュアルデータベース、30d…修理費用データベース、30e…修理部品データベース、30f…動画マニュアルデータベース、40…通信部、100…メンテナンス管理システム、120…制御部、130…記録媒体、130a…顧客データベース、130b…修理オーダーデータベース、130c…作業組織データベース、140…通信部、200…依頼者端末、300…受付者端末、400…作業組織端末、500…技術者端末