(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024175804
(43)【公開日】2024-12-19
(54)【発明の名称】給水装置
(51)【国際特許分類】
F04B 49/10 20060101AFI20241212BHJP
F04D 15/00 20060101ALI20241212BHJP
【FI】
F04B49/10 331N
F04D15/00 D
F04B49/10 331P
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023093828
(22)【出願日】2023-06-07
(71)【出願人】
【識別番号】000148209
【氏名又は名称】株式会社川本製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110000578
【氏名又は名称】名古屋国際弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】飯見 一真
(72)【発明者】
【氏名】大槻 祥平
(72)【発明者】
【氏名】濱田 憲
(72)【発明者】
【氏名】藤田 雅之
(72)【発明者】
【氏名】豊田 耕司
【テーマコード(参考)】
3H020
3H145
【Fターム(参考)】
3H020AA05
3H020BA01
3H020CA01
3H020CA04
3H020EA02
3H020EA03
3H020EA12
3H020EA17
3H145AA16
3H145AA23
3H145AA42
3H145BA01
3H145CA03
3H145CA06
3H145EA36
3H145EA38
(57)【要約】
【課題】 逆止弁の損傷を判断可能な給水装置の一例を開示する。
【解決手段】 第1ポンプ3Aの圧力低下が確定し、かつ、第2ポンプ3Bの圧力低下が確定した場合には、制御装置10は、第3逆止弁8が損傷していると判断する(S23)。第1ポンプ3Aの圧力低下が確定しておらず、かつ、第2ポンプ3Bの圧力低下が確定した場合には、制御装置10は、第1逆止弁6が損傷していると判断する(S26)。第1ポンプ3Aの圧力低下が確定しておらず、第2ポンプ3Bの圧力低下が確定していない場合には、制御装置10は、第1逆止弁6~第3逆止弁8のいずれの逆止弁も損傷していないと判断する(S27)。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
給水用のポンプ装置であって、互いに並列に配置された第1ポンプ及び第2ポンプを有するポンプ装置と、
前記第1ポンプの吐出し口に設けられた第1逆止弁と、
前記第2ポンプの吐出し口に設けられた第2逆止弁と、
前記ポンプ装置の流入側と流出側とを繋ぐバイパス部に設けられ、流出側から流入側への流れを禁止する第3逆止弁と、
給水先に送水された給水量を検出する流量センサと、
前記ポンプ装置の吐出し側の水圧を検出する圧力センサと、
前記ポンプ装置の運転を制御するポンプ制御部であって、前記圧力センサ及び前記流量センサの検出信号を利用して前記ポンプ装置の運転を制御するポンプ制御部と、
前記流量センサ及び前記圧力センサの検出信号を利用して、前記第1逆止弁、前記第2逆止弁及び前記第3逆止弁のうちいずれの逆止弁が損傷したか否か特定するための損傷特定判断部とを備え、
前記第1ポンプが稼働し、前記第2ポンプが停止しているときに前記圧力センサが検出した水圧を第1検出圧とし、前記第1ポンプが稼働し、前記第2ポンプが停止しているときに前記流量センサが検出した流量を第1検出流量とし、
前記第2ポンプが稼働し、前記第1ポンプが停止しているときに前記圧力センサが検出した水圧を第2検出圧とし、前記第2ポンプが稼働し、前記第1ポンプが停止しているときに前記流量センサが検出した流量を第2検出流量としたとき、
前記損傷特定判断部は、前記第1検出圧が予め決められた規定圧力以下であって、前記第2検出圧が前記規定圧力以下であり、かつ、前記第1検出流量が予め決められた規定流量以下であって、前記第2検出流量が前記規定流量以下であると当該損傷特定判断部が判断したときに、前記第3逆止弁が損傷していると判断し、
前記損傷特定判断部は、前記第1検出圧が前記規定圧力以下であって、前記第2検出圧が前記規定圧力より大きく、かつ、前記第1検出流量が前記規定流量以下であって、前記第2検出流量が前記規定流量より大きいと当該損傷特定判断部が判断したときに、前記第2逆止弁が損傷していると判断し、
前記損傷特定判断部は、前記第2検出圧が前記規定圧力以下であって、前記第1検出圧が前記規定圧力より大きく、かつ、前記第2検出流量が前記規定流量以下であって、前記第1検出流量が前記規定流量より大きいと当該損傷特定判断部が判断したときに、前記第1逆止弁が損傷していると判断する給水装置。
【請求項2】
給水用のポンプ装置であって、互いに並列に配置された第1ポンプ及び第2ポンプを有するポンプ装置と、
前記第1ポンプの吐出し口に設けられた第1逆止弁と、
前記第2ポンプの吐出し口に設けられた第2逆止弁と、
前記ポンプ装置の流入側と流出側とを繋ぐバイパス部に設けられ、流出側から流入側への流れを禁止する第3逆止弁と、
給水先に送水された給水量を検出する流量センサと、
前記ポンプ装置の吐出し側の水圧を検出する圧力センサと、
前記ポンプ装置の運転を制御するポンプ制御部であって、前記圧力センサ及び前記流量センサの検出信号を利用して前記ポンプ装置の運転を制御するポンプ制御部と、
前記圧力センサの検出信号を利用して、前記第1逆止弁、前記第2逆止弁及び前記第3逆止弁のうちいずれの逆止弁が損傷したか否か特定するための損傷特定判断部とを備え、
前記第1ポンプが稼働し、前記第2ポンプが停止しているときに前記圧力センサが検出した水圧を第1検出圧とし、前記第2ポンプが稼働し、前記第1ポンプが停止しているときに前記圧力センサが検出した水圧を第2検出圧としたとき、
前記損傷特定判断部は、前記第1検出圧が予め決められた規定圧力以下であって、前記第2検出圧が前記規定圧力以下であると当該損傷特定判断部が判断したときに、前記第3逆止弁が損傷していると判断し、
前記損傷特定判断部は、前記第1検出圧が前記規定圧力以下であって、前記第2検出圧が前記規定圧力より大きいと当該損傷特定判断部が判断したときに、前記第2逆止弁が損傷していると判断し、
前記損傷特定判断部は、前記第2検出圧が前記規定圧力以下であって、前記第1検出圧が前記規定圧力より大きいと当該損傷特定判断部が判断したときに、前記第1逆止弁が損傷していると判断する給水装置。
【請求項3】
給水用のポンプ装置であって、互いに並列に配置された第1ポンプ及び第2ポンプを有するポンプ装置と、
前記第1ポンプの吐出し口に設けられた第1逆止弁と、
前記第2ポンプの吐出し口に設けられた第2逆止弁と、
前記ポンプ装置の流入側と流出側とを繋ぐバイパス部に設けられ、流出側から流入側への流れを禁止する第3逆止弁と、
給水先に送水された給水量を検出する流量センサと、
前記ポンプ装置の吐出し側の水圧を検出する圧力センサと、
前記ポンプ装置の運転を制御するポンプ制御部であって、前記圧力センサ及び前記流量センサの検出信号を利用して前記ポンプ装置の運転を制御するポンプ制御部と、
前記流量センサの検出信号を利用して、前記第1逆止弁、前記第2逆止弁及び前記第3逆止弁のうちいずれの逆止弁が損傷したか否か特定するための損傷特定判断部とを備え、
前記第1ポンプが稼働し、前記第2ポンプが停止しているときに前記流量センサが検出した流量を第1検出流量とし、前記第2ポンプが稼働し、前記第1ポンプが停止しているときに前記流量センサが検出した流量を第2検出流量としたとき、
前記損傷特定判断部は、前記第1検出流量が予め決められた規定流量以下であって、前記第2検出流量が前記規定流量以下であると当該損傷特定判断部が判断したときに、前記第3逆止弁が損傷していると判断し、
前記損傷特定判断部は、前記第1検出流量が前記規定流量以下であって、前記第2検出流量が前記規定流量より大きいと当該損傷特定判断部が判断したときに、前記第2逆止弁が損傷していると判断し、
前記損傷特定判断部は、前記第2検出流量が前記規定流量以下であって、前記第1検出流量が前記規定流量より大きいと当該損傷特定判断部が判断したときに、前記第1逆止弁が損傷していると判断する給水装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、逆止弁の損傷を判断可能な給水装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、特許文献1に記載の給水装置では、ポンプの羽根車を回転させる電動モータが逆転しているか否かを判断して、当該給水装置に設けられた逆止弁に損傷が発生しているか否かを判断している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本開示は、特許文献1に異なる手法にて逆止弁の損傷を判断可能な給水装置の一例を開示する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
給水装置(1)は、例えば、以下の構成要件のうち少なくとも1つを備えることが望ましい。
すなわち、給水用のポンプ装置(3)であって、互いに並列に配置された第1ポンプ(3A)及び第2ポンプ(3B)を有するポンプ装置(3)と、第1ポンプ(3A)の吐出し口に設けられた第1逆止弁(6)と、第2ポンプ(3B)の吐出し口に設けられた第2逆止弁(7)と、ポンプ装置(3)の流入側と流出側とを繋ぐバイパス部(13)に設けられ、流出側から流入側への流れを禁止する第3逆止弁(8)と、給水先に送水された給水量を検出する流量センサ(5)と、ポンプ装置(3)の吐出し側の水圧を検出する圧力センサ(4)と、ポンプ装置(3)の運転を制御するポンプ制御部(10A)であって、圧力センサ(4)及び流量センサ(5)の検出信号を利用してポンプ装置(3)の運転を制御するポンプ制御部(10A)と、流量センサ(5)及び圧力センサ(4)の検出信号を利用して、第1逆止弁(6)、第2逆止弁(7)及び第3逆止弁(8)のうちいずれの逆止弁が損傷したか否か特定するための損傷特定判断部(10B)とである。
【0006】
そして、損傷特定判断部(10B)は、第1検出圧(Pm1)が予め決められた規定圧力(P1)以下であって、第2検出圧(Pm2)が規定圧力(P1)以下であり、かつ、第1検出流量(Fm1)が予め決められた規定流量(Fo)以下であって、第2検出流量(Fm2)が規定流量(Fo)以下であると当該損傷特定判断部(10B)が判断したときに、第3逆止弁(8)が損傷していると判断する。
【0007】
また、損傷特定判断部(10B)は、第1検出圧(Pm1)が規定圧力(P1)以下であって、第2検出圧(Pm2)が規定圧力(P1)より大きく、かつ、第1検出流量(Fm1)が規定流量(Fo)以下であって、第2検出流量(Fm2)が規定流量(Fo)より大きいと当該損傷特定判断部(10B)が判断したときに、第2逆止弁(7)が損傷していると判断する。
【0008】
さらに、損傷特定判断部(10B)は、第2検出圧(Pm2)が規定圧力(P1)以下であって、第1検出圧(Pm1)が規定圧力(P1)より大きく、かつ、第2検出流量(Fm2)が規定流量(Fo)以下であって、第1検出流量(Fm1)が規定流量(Fo)より大きいと当該損傷特定判断部(10B)が判断したときに、第1逆止弁(6)が損傷していると判断する。
【0009】
なお、第1検出圧(Pm1)とは、第1ポンプ(3A)が稼働し、第2ポンプ(3B)が停止しているときに圧力センサ(4)が検出した水圧をいう。第2検出圧(Pm2)とは、第2ポンプ(3B)が稼働し、第1ポンプ(3A)が停止しているときに圧力センサ(4)が検出した水圧をいう。
【0010】
第1検出流量(Fm1)とは、第1ポンプ(3A)が稼働し、第2ポンプ(3B)が停止しているときに流量センサ(5)が検出した流量をいう。第2検出流量(Fm2)とは、第2ポンプ(3B)が稼働し、第1ポンプ(3A)が停止しているときに流量センサ(5)が検出した流量をいう。
【0011】
因みに、上記各括弧内の符号は、後述する実施形態に記載の具体的構成等との対応関係を示す一例であり、本開示は上記括弧内の符号に示された具体的構成等に限定されない。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】第1実施形態に係る給水装置のブロック図である。
【
図2】第1実施形態に係るポンプ制御部の作動を示すフローチャートである。
【
図3】第1実施形態に係る損傷特定判断部の作動を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下の「発明の実施形態」は、本開示の技術的範囲に属する実施形態の一例を示すものである。つまり、特許請求の範囲に記載された発明特定事項等は、下記の実施形態に示された具体的構成や構造等に限定されない。
【0014】
(第1実施形態)
<1.給水装置の概要>
本実施形態は、直結式給水装置に本開示に係る給水装置の一例が適用されたものである。直結式給水装置とは、水道圧を利用して給水可能な給水装置である。このため、
図1に示されるように、当該給水装置1は、受水槽等の貯水装置を備えていない。
【0015】
<2.給水装置の構成(
図1参照)>
給水装置1は、ポンプ装置3、圧力センサ4、流量センサ5、第1逆止弁6、第2逆止弁7、第3逆止弁8、蓄圧器9、制御装置10、並びに流路を構成する配管材及び流路の切替バルブ11A~11D等を少なくとも備える。
【0016】
<ポンプ装置>
ポンプ装置3は、流入側に水道水が流入するとともに、その流入した水の水圧を上昇させて建物等の給水先に送水する。このため、設置されたポンプ装置3の流入側には、水道水圧が作用し、流出側は給水先に接続される。
【0017】
ポンプ装置3の流入側には、仕切弁12A及び逆流防止装置12Cが設けられている。ポンプ装置3の流出側には仕切弁12Bが設けられている。仕切弁12A、12Bは、流路を開閉するバルブである。なお、流入側の仕切弁12Aには、ストレーナが内蔵され、供給される水から異物等を除去する。
【0018】
逆流防止装置12Cは、仕切弁12Aの下流側に設けられている。当該逆流防止装置12Cは、水道配管からポンプ装置3の流入側に水が流通することを許容し、ポンプ装置3の流入側から水道配管に水が流通することを規制する。
【0019】
本実施形態に係るポンプ装置3は、複数の電動式ポンプ(本実施形態では、第1ポンプ3A及び第2ポンプ3B)を有して構成されている。第1ポンプ3A及び第2ポンプ3Bは、流入側から流出側に至る水の流路において、互いに並列に配置されている。
【0020】
本実施形態に係るポンプ装置3においては、第1ポンプ3Aと第2ポンプ3Bとは交互に稼働し、2つのポンプ3A、3Bが同時に稼働することはない。つまり、第1ポンプ3Aが稼働しているときは、第2ポンプ3Bは停止している。
【0021】
そして、第1ポンプ3Aが停止し、ポンプ装置3が停止した場合、次回、ポンプ装置3が稼働するときには、第2ポンプ3Bが稼働し、第1ポンプ3Aは停止した状態となる。その後、第2ポンプ3Bが停止すると、その次は、第1ポンプ3Aが稼働する。
【0022】
<圧力センサ、流量センサ>
圧力センサ4は、ポンプ装置3の吐出し側の水圧であって、送水先(例えば、建物)に流入する水の水圧(以下、給水圧という。)を検出する。流量センサ5は、給水先に現実に送水された流量(以下、給水量という。)を検出する。
【0023】
なお、本実施形態に係る流量センサ5は、給水量が予め決められた流量(以下、停止流量Foという。)を超えているときにはオン信号をポンプ制御部10Aに入力させ、給水量が停止流量Fo以下のときにはオフ信号をポンプ制御部10Aに入力させる。
【0024】
なお、圧力センサ4及び流量センサ5は、ポンプ装置3の流出側から給水先に繋がる流路に設けられている。これにより、本実施形態では、複数のポンプ3A、3Bのうちいずれのポンプが稼働している場合であっても、1つの圧力センサ4及び1つの流量センサ5にて給水圧及び給水量を検出できる。
【0025】
<逆止弁>
第1逆止弁6は、第1ポンプ3Aの吐出し口に設けられている。当該第1逆止弁6は、第1ポンプ3Aから吐き出された水が、第1ポンプ3Aの吐出し口から当該第1ポンプ3Aに流入することを規制する。
【0026】
第2逆止弁7は、第2ポンプ3Bの吐出し口に設けられている。当該第2逆止弁7は、第2ポンプ3Bから吐き出された水が、第2ポンプ3Bの吐出し口から当該第2ポンプ3Bに流入することを規制する。
【0027】
第3逆止弁8は、バイパス部13に設けられ、ポンプ装置3の流出側から流入側に水が流れることを規制する。バイパス部13は、ポンプ装置3の流入側と流出側とを繋ぐ流路である。
【0028】
つまり、バイパス部13は、ポンプ装置3に流入した水を第1ポンプ3A及び第2ポンプ3Bを迂回させて流出側に導く。そして、第3逆止弁8は、バイパス部13を経由して水がポンプ装置3の流出側から流入側への水が流れることを規制する。
【0029】
<蓄圧器>
蓄圧器9は、ポンプ装置3が停止しているときに、給水圧を保持するため装置である。このため、蓄圧器9は、ポンプ装置3の流出側に接続されている。本実施形態に係る蓄圧器9は、ガス圧を利用したアキュムレータにて構成されている。
【0030】
<制御装置>
制御装置10は、ポンプ制御部10A及び損傷特定判断部10B等を有する。なお、制御装置10は、CPU、ROM及びRAM等を有するコンピュータにて構成されている。
【0031】
そして、本実施形態では、当該コンピュータにてソフトウェアが実行されることにより、ポンプ制御部10A及び損傷特定判断部10Bが実現されている。なお、当該ソフトウェアは、ROM等の不揮発性記憶部(図示せず。)に予め記憶されている。
【0032】
<ポンプ制御部>
ポンプ制御部10Aは、ポンプ装置3の運転、つまりポンプ装置3の稼働及び停止を制御する。なお、本実施形態に係るポンプ制御部10Aは、駆動部10Cを介して第1ポンプ3A又は第2ポンプ3Bの運転を制御する。
【0033】
本実施形態に係る駆動部10Cは、インバータ方式のモータ駆動回路を有して構成されている。当該駆動部10Cは、第1ポンプ3A又は第2ポンプ3Bに供給する駆動電流の周波数(以下、駆動周波数という。)を変更することにより、それらポンプ3A、3Bの転数を変更・制御する。
【0034】
このとき、ポンプ制御部10Aは、駆動部10Cが出力すべき駆動周波数を当該駆動部10Cに指示する。つまり、ポンプ制御部10Aは、駆動部10Cを介して間接的にポンプ装置3の運転を制御する。
【0035】
また、ポンプ制御部10Aは、圧力制御方式にてポンプ装置3、つまり第1ポンプ3A及び第2ポンプ3Bの運転を制御する。圧力制御方式とは、「圧力センサ4の検出圧力を利用してポンプ装置3の回転数、つまり第1ポンプ3A又は第2ポンプ3Bの駆動周波数を制御する」運転モードである。
【0036】
すなわち、ポンプ制御部10Aは、ポンプ装置3が停止している状態において、圧力センサ4の検出圧力が予め決められた圧力(以下、起動圧力という。)以下となったときに、当該ポンプ装置3を起動する。
【0037】
圧力制御方式の運転モードでは、例えば、検出圧力が目標とする圧力(以下、目標圧力という。)となるように、ポンプ装置3の回転数が制御される。目標圧力とは、送水先の末端部における水圧が予め決められた圧力以上となるような給水圧をいう。
【0038】
具体的には、給水先における水需要が大きくなると、給水圧が小さくなる。このため、ポンプ制御部10Aは、給水圧を目標圧力に維持すべく、ポンプ装置3の回転数を現時の回転数より大きくする。
【0039】
ポンプ装置3の回転数が増大した状態で、水需要が小さくなると、給水圧が大きくなる。このため、ポンプ制御部10Aは、給水圧を目標圧力に維持すべく、ポンプ装置3の回転数を現時の回転数より小さくする。
【0040】
そして、水需要が小さくなり、給水量が予め決められた流量(本実施形態では、停止流量Fo)以下となったときに、ポンプ制御部10Aは、ポンプ装置3を停止させ、第1ポンプ3A又は第2ポンプ3Bによる給水を停止させる。
【0041】
<3.損傷特定判断部>
<3.1 損傷特定判断部の概要>
損傷特定判断部10Bは、流量センサ5及び圧力センサ4の検出信号を利用して、第1逆止弁6、第2逆止弁7及び第3逆止弁8のうちいずれの逆止弁が損傷したか否か特定する。具体的には、損傷特定判断部10Bは、以下のようにして損傷した逆止弁を特定する。
【0042】
<用語の定義>
第1検出圧Pm1とは、第1ポンプ3Aが稼働し、第2ポンプ3Bが停止しているときに圧力センサ4が検出した水圧をいう。第2検出圧Pm2とは、第2ポンプ3Bが稼働し、第1ポンプ3Aが停止しているときに圧力センサ4が検出した水圧をいう。
【0043】
第1検出流量Fm1とは、第1ポンプ3Aが稼働し、第2ポンプ3Bが停止しているときに流量センサ5が検出した流量をいう。第2検出流量Fm2とは、第2ポンプ3Bが稼働し、第1ポンプ3Aが停止しているときに流量センサ5が検出した流量をいう。
【0044】
なお、本実施形態に係る流量センサ5は、停止流量Foを超えているときにはオン信号を出力し、給水量が停止流量Fo以下のときにはオフ信号を出力する。したがって、本実施では、オン信号又はオフ信号のいずれであるかに基づいて、第1検出流量Fm1及び第2検出流量Fm2が判断される。
【0045】
<第1逆止弁損傷の判断>
損傷特定判断部10Bは、以下の第1圧力要件及び第1流量要件それぞれが少なくとも1回(本実施形態では、複数回)成立したときに、第1逆止弁6が損傷していると判断する。
【0046】
第1圧力要件とは、「第2検出圧Pm2が起動圧力以下であって、第1検出圧Pm1が起動圧力より大きい」ことをいう。
第1流量要件とは、「第2検出流量Fm2が停止流量Fo以下(流量センサ5がオフ)であって、第1検出流量Fm1が停止流量Foより大きい(流量センサ5がオンである)」ことをいう。
【0047】
<第2逆止弁損傷の判断>
損傷特定判断部10Bは、以下の第2圧力要件及び第2流量要件それぞれが少なくとも1回(本実施形態では、複数回)成立したときに、第2逆止弁7が損傷していると判断する。
【0048】
第2圧力要件とは、「第1検出圧Pm1が起動圧力以下であって、第2検出圧Pm2が起動圧力より大きい」ことをいう。
第2流量要件とは、「第1検出流量Fm1が停止流量Fo以下(流量センサ5がオフ)であって、第2検出流量Fm2が停止流量Foより大きい(流量センサ5がオンである)」ことをいう。
【0049】
<第3逆止弁損傷の判断>
損傷特定判断部10Bは、以下の第3圧力要件及び第3流量要件それぞれが少なくとも1回(本実施形態では、複数回)成立したときに、第3逆止弁8が損傷していると判断する。
【0050】
第3圧力要件とは、「第1検出圧Pm1が起動圧力以下であって、第2検出圧Pm2が起動圧力以下である」ことをいう。
第3流量要件とは、「第1検出流量Fm1が停止流量Fo以下(流量センサ5がオフ)であって、第2検出流量Fm2が停止流量Fo以下(流量センサ5がオフ)である」ことをいう。
【0051】
<3.2 損傷特定判断部の判断の詳細>
<ポンプ装置の制御>
給水装置1の電源が投入されると、
図2に示されるように、制御装置10は、第1検出圧力Pm1が起動圧力以下であるか否かを判断する(S1)。第1検出圧力Pm1が起動圧力より大きい場合には(S1:NO)、ポンプ装置3の停止状態が保持される。
【0052】
第1検出圧力Pm1が起動圧力以下である場合には(S1:YES)、制御装置10は、第1ポンプ3Aを起動させた後(S2)、第1検出圧力Pm1が起動圧力より大きいか否かを判断する(S3)。
【0053】
第1検出圧力Pm1が起動圧力より大きい場合には(S3:YES)、制御装置10は、第1検出流量Fm1が停止流量Fo以下であるか否かが判断する(S4)。第1検出流量Fm1が停止流量Fo以下の場合には(S4:YES)、制御装置10は、稼働中のポンプ、つまり第1ポンプ3Aを停止させる(S5)。
【0054】
S3にて、第1検出圧力Pm1が起動圧力より大きい場合には(S3:NO)、制御装置10は、第1検出流量Fm1が停止流量Fo以下であるか否かが判断する(S6)。第1検出流量Fm1が停止流量Foより大きい場合には(S5:NO)、制御装置10は、再び、S3を実行する。
【0055】
第1検出流量Fm1が停止流量Fo以下である場合には(S6:YES)、制御装置10は、第1ポンプ3Aの圧力低下が発生しているものとみなして、当該第1ポンプ3Aを停止させるとともに、その旨を示す値(以下、停止回数という。)を現時の値に対して「1」増加させる(S7)。なお、停止回数は、書き換え可能な不揮発性記憶部に記憶されている。
【0056】
次に、制御装置10は、第2検出圧力Pm2が起動圧力以下であるか否かを判断する(S8)。なお、制御装置10は、S5にて、第1ポンプ3Aを停止させたときにもS8を実行する。そして、第2検出圧力Pm2が起動圧力より大きい場合には(S8:NO)、ポンプ装置3の停止状態が保持される。
【0057】
第2検出圧力Pm2が起動圧力以下である場合には(S8:YES)、制御装置10は、第2ポンプ3Bを起動させた後(S9)、第2検出圧力Pm2が起動圧力より大きいか否かを判断する(S10)。
【0058】
第2検出圧力Pm2が起動圧力より大きい場合には(S10:YES)、制御装置10は、第2検出流量Fm2が停止流量Fo以下であるか否かが判断する(S11)。第2検出流量Fm2が停止流量Fo以下の場合には(S11:YES)、制御装置10は、稼働中のポンプ、つまり第2ポンプ3Bを停止させる(S12)。
【0059】
S10にて、第2検出圧力Pm2が起動圧力より大きい場合には(S10:NO)、制御装置10は、第2検出流量Fm2が停止流量Fo以下であるか否かが判断する(S13)。第2検出流量Fm2が停止流量Foより大きい場合には(S13:NO)、制御装置10は、再び、S10を実行する。
【0060】
第2検出流量Fm2が停止流量Fo以下である場合には(S13:YES)、制御装置10は、第2ポンプ3Bの圧力低下が発生しているものとみなして、当該第2ポンプ3Bを停止させるとともに、第2ポンプ3Bについての停止回数を現時の値に対して「1」増加させる(S14)。
【0061】
<損傷特定判断>
図3に示される損傷特定判断部10Bの作動フローは、ポンプ装置3が停止しているときに実行される。当該作動フローが起動されると、制御装置10は、先ず、第1ポンプ3Aの圧力低下が確定したか否かを判断する(S21)。
【0062】
なお、「第1ポンプ3Aの圧力低下が確定した」とは、第1ポンプ3Aについての停止回数が予め決められた回数(本実施形態では、3回)以上となった状態をいう。「第1ポンプ3Aの圧力低下が確定していない」とは、第1ポンプ3Aについての停止回数が予め決められた回数(本実施形態では、3回)未満の状態をいう。
【0063】
そして、第1ポンプ3Aの圧力低下が確定している場合には(S21:YES)、制御装置10は、第2ポンプ3Bの圧力低下が確定したか否かを判断する(S22)。なお、「第2ポンプ3Bの圧力低下が確定したか否か」の判断基準は、「第1ポンプ3Aの圧力低下が確定したか否か」と同じである。
【0064】
第2ポンプ3Bの圧力低下が確定した場合には(S22:YES)、制御装置10は、第3逆止弁8が損傷していると判断し、その旨の警告を発報する(S23)。S22にて第2ポンプ3Bの圧力低下が確定していない場合には(S22:NO)、制御装置10は、第2逆止弁7が損傷していると判断する(S24)。
【0065】
S21にて第1ポンプ3Aの圧力低下が確定していない場合には(S21:NO)、制御装置10は、第2ポンプ3Bの圧力低下が確定したか否かを判断する(S25)。第2ポンプ3Bの圧力低下が確定した場合には(S25:YES)、制御装置10は、第1逆止弁6が損傷していると判断する(S26)。
【0066】
第2ポンプ3Bの圧力低下が確定していない場合には(S25:NO)、制御装置10は、第1逆止弁6~第3逆止弁8のいずれの逆止弁も損傷していないと判断する。なお、本実施形態では、「複数の逆止弁が同時に損傷することは、可能性は極めて低いため、複数の逆止弁が同時に損傷することは発生しない」ものとしている。
【0067】
<4.本実施形態に係る給水装置の特徴>
本実施形態に係る給水装置1では、上記のように、ポンプの作動を制御する際に用いる既存の圧力センサ5及び流量センサ4を利用して損傷した逆止弁を特定することができる。延いては、給水装置1の修理・メンテナンスの作業性を向上させることが可能となる。
【0068】
本実施形態では、圧力要件(例えば、第1圧力要件)及び流量要件(例えば、第1流量要件)が共に成立したときに逆止弁の損傷を判断する構成であるので、判断の精度を向上させることができる。
【0069】
すなわち、例えば、建物側で必要とする給水量が極めて大きい場合には、第1逆止弁6~第8逆止弁8のいずれも損傷していない場合であっても、給水圧が第1起動圧力を超えない場合が発生し得る。
【0070】
また、例えば、建物側で必要とする給水量が極めて少ない場合には、第1逆止弁6~第8逆止弁8のいずれも損傷していない場合であっても、給水量が停止流量を大きく超えない場合が発生し得る。
【0071】
そして、上記の場合に、圧力要件のみ又は流量要件のみで逆止弁の損傷を判断する構成であると、第1逆止弁6~第8逆止弁8のいずれも損傷していない場合であっても、逆止弁が損傷していると、誤判断してしまう可能性がある。
【0072】
これに対して、本実施形態に係る給水装置1では、圧力要件及び流量要件を考慮して逆止弁の損傷を判断する構成であるので、給水量が極めて大きい場合又は給水量が極めて少ない場合であっても、適切に逆止弁の損傷を判断でき得る。
【0073】
(その他の実施形態)
上述の実施形態は、直結式給水装置に本開示に係る給水装置の一例が適用されたものであった。しかし、本開示はこれに限定されない。すなわち、当該開示は、例えば、受水槽等の貯水装置を備える給水装置にも適用可能である。
【0074】
上述の実施形態に係る運転モードは、給水圧が末端圧に基づく目標圧力となるようにポンプ装置3の回転数を制御するモードであった。しかし、本開示はこれに限定されない。すなわち、当該開示は、例えば、目標圧力が末端圧に基づかないものであってもよい。
【0075】
上述の実施形態では、コンピュータにてソフトウェアが実行されることにより、ポンプ制御部10A及び損傷特定判断部10Bが実現されていた。しかし、本開示はこれに限定されない。
【0076】
すなわち、当該開示は、例えば、ポンプ制御部10A及び損傷特定判断部10Bそれぞれを構成する専用のハードウェア、又はポンプ制御部用のコンピュータ及び損傷特定判断部用のコンピュータにて構成されていてもよい。
【0077】
上述の実施形態に係る流量センサ5は、給水量が停止流量を超えているときにはオン信号を出力し、給水量が停止流量以下のときにはオフ信号を出力する構成であった。しかし、本開示はこれに限定されない。すなわち、当該開示は、例えば、給水量に応じた連続する信号を出力する流量センサであってもよい。
【0078】
上述の実施形態に係る圧力センサ5及び流量センサ4は、複数のポンプの吐出し側配管の集合部より下流側に配置されていた。しかし、本開示はこれに限定されない。すなわち、当該開示は、例えば、圧力センサ5及び流量センサ4が各ポンプの吐出し口直上に配置された構成であってもよい。
【0079】
上述の実施形態では、圧力センサ5及び流量センサ4の両センサの検出値を利用して逆止弁の損傷を特定した。しかし、本開示はこれに限定されない。すなわち、当該開示は、例えば、第1圧力要件、第2圧力要件及び第3圧力要件のみ利用して逆止弁の損傷を特定する構成、又は第1流量要件、第2流量要件及び第3流量要件のみ利用して逆止弁の損傷を特定する構成であってもよい。
【0080】
そして、当該構成に係る制御装置10は、第1圧力要件又は第1流量要件が少なくとも1回成立した場合には、第1逆止弁6が損傷したみなし、第2圧力要件又は第2流量要件が少なくとも1回成立した場合には、第7逆止弁7が損傷したみなし、第3圧力要件又は第3流量要件が少なくとも1回成立した場合には、第3逆止弁8が損傷したとみなす。
【0081】
上述の実施形態では、停止回数が複数回以上となったときに、「第1ポンプ3A又は第2ポンプ3Bの圧力低下が確定した」とした。しかし、本開示はこれに限定されない。すなわち、当該開示は、例えば、停止回数が発生したときに、「第1ポンプ3A又は第2ポンプ3Bの圧力低下が確定した」としてもよい。
【0082】
さらに、本開示は、上述の実施形態に記載された開示の趣旨に合致するものであればよく、上述の実施形態に限定されない。したがって、上述した複数の実施形態のうち少なくとも2つの実施形態が組み合わせられた構成、又は上述の実施形態において、図示された構成要件もしくは符号を付して説明された構成要件のうちいずれかが廃止された構成であってもよい。
【符号の説明】
【0083】
1… 給水装置 3…ポンプ装置 3A… 第1ポンプ
3B… 第2ポンプ 4…圧力センサ 5… 流量センサ
6… 第1逆止弁 7…第2逆止弁 8… 第3逆止弁
9… 蓄圧器 10…制御装置 10A… ポンプ制御部
10B… 警告部 10C…駆動部 12A… 仕切弁
12C… 逆流防止装置 12B…仕切弁 13… バイパス部