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特開2024-175816二酸化炭素排出量算出システム、二酸化炭素排出量算出方法およびプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024175816
(43)【公開日】2024-12-19
(54)【発明の名称】二酸化炭素排出量算出システム、二酸化炭素排出量算出方法およびプログラム
(51)【国際特許分類】
   G08G 1/01 20060101AFI20241212BHJP
   G08G 1/09 20060101ALI20241212BHJP
【FI】
G08G1/01 C
G08G1/09 F
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023093848
(22)【出願日】2023-06-07
(71)【出願人】
【識別番号】309036221
【氏名又は名称】三菱重工機械システム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【弁理士】
【氏名又は名称】松沼 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100162868
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 英輔
(74)【代理人】
【識別番号】100161702
【弁理士】
【氏名又は名称】橋本 宏之
(74)【代理人】
【識別番号】100189348
【弁理士】
【氏名又は名称】古都 智
(74)【代理人】
【識別番号】100196689
【弁理士】
【氏名又は名称】鎌田 康一郎
(72)【発明者】
【氏名】山本 哲也
【テーマコード(参考)】
5H181
【Fターム(参考)】
5H181AA01
5H181BB04
5H181BB13
5H181CC12
5H181EE10
5H181FF10
5H181FF13
5H181FF27
5H181MC12
(57)【要約】
【課題】複数の車両の合計の二酸化炭素排出量を適切に算出する。
【解決手段】二酸化炭素排出量算出システムは、所定の地域内の有料道路を走行する複数の車両が排出する合計の二酸化炭素排出量を所定の単位時間毎に算出するシステムであって、車両毎に有料道路の地域内への進入時刻と車種種別と地域内からの退出時刻とを取得する取得部と、地域内に位置する複数の車両について、各車両の車種種別に基づく重量に対応する値と、単位時間における移動距離に対応する値と、重量と距離との積当たりの二酸化炭素の排出量を表す二酸化炭素の排出原単位に対応する値とに基づいて、二酸化炭素排出量を車両毎に算出する算出部と、地域内に位置する複数の車両について、車両毎の二酸化炭素排出量を合算して当該単位時間において地域内の有料道路を走行する複数の車両が排出する合計の二酸化炭素排出量を算出する合算部とを備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の地域内の有料道路を走行する複数の車両が排出する合計の二酸化炭素排出量を所定の単位時間毎に算出するシステムであって、
前記車両毎に、前記有料道路の前記地域内への進入時刻と車種種別と前記地域内からの退出時刻とを取得する取得部と、
前記地域内に位置する複数の前記車両について、各前記車両の前記車種種別に基づく重量に対応する値と、前記単位時間における移動距離に対応する値と、重量と距離との積当たりの二酸化炭素の排出量を表す二酸化炭素の排出原単位に対応する値とに基づいて、二酸化炭素排出量を前記車両毎に算出する算出部と、
前記地域内に位置する複数の前記車両について、前記車両毎の前記二酸化炭素排出量を合算して当該単位時間において前記地域内の前記有料道路を走行する複数の前記車両が排出する合計の二酸化炭素排出量を算出する合算部と、
を備える二酸化炭素排出量算出システム。
【請求項2】
前記単位時間における移動距離は、前記車両の所定の平均速度と前記単位時間との積に基づく値である
請求項1に記載の二酸化炭素排出量算出システム。
【請求項3】
前記平均速度は、同一の前記車両の前記進入時刻と前記退出時刻と進入位置から退出位置までの距離とに基づいて算出された値である
請求項2に記載の二酸化炭素排出量算出システム。
【請求項4】
所定の地域内の有料道路を走行する複数の車両が排出する合計の二酸化炭素排出量を所定の単位時間毎に算出する方法であって、
前記車両毎に、前記有料道路の前記地域内への進入時刻と車種種別と前記地域内からの退出時刻とを取得するステップと、
前記地域内に位置する複数の前記車両について、各前記車両の前記車種種別に基づく重量に対応する値と、前記単位時間における移動距離に対応する値と、重量と距離との積当たりの二酸化炭素の排出量を表す二酸化炭素の排出原単位に対応する値とに基づいて、二酸化炭素排出量を前記車両毎に算出するステップと、
前記地域内に位置する複数の前記車両について、前記車両毎の前記二酸化炭素排出量を合算して当該単位時間において前記地域内の前記有料道路を走行する複数の前記車両が排出する合計の二酸化炭素排出量を算出するステップと、
を含む二酸化炭素排出量算出方法。
【請求項5】
所定の地域内の有料道路を走行する複数の車両が排出する合計の二酸化炭素排出量を所定の単位時間毎に算出する際に、
前記車両毎に、前記有料道路の前記地域内への進入時刻と車種種別と前記地域内からの退出時刻とを取得するステップと、
前記地域内に位置する複数の前記車両について、各前記車両の前記車種種別に基づく重量に対応する値と、前記単位時間における移動距離に対応する値と、重量と距離との積当たりの二酸化炭素の排出量を表す二酸化炭素の排出原単位に対応する値とに基づいて、二酸化炭素排出量を前記車両毎に算出するステップと、
前記地域内に位置する複数の前記車両について、前記車両毎の前記二酸化炭素排出量を合算して当該単位時間において前記地域内の前記有料道路を走行する複数の前記車両が排出する合計の二酸化炭素排出量を算出するステップと、
をコンピュータに実行させるプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、二酸化炭素排出量算出システム、二酸化炭素排出量算出方法およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、有料道路における二酸化炭素排出抑制量に応じた通行料割引のポイント付与ないし減算の管理を可能とし、ひいては二酸化炭素低排出車の利用促進を図ることを目的としたポイント管理システムの構成例が記載されている。特許文献1に記載されているポイント管理システムでは、各車両の実績二酸化炭素排出量と基準二酸化炭素排出量とに基づいて排出抑制量を算出することでポイント数が算定される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009-217502号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、有料道路の二酸化炭素排出量については、例えば所定の地域内を走行する複数の車両の二酸化炭素排出量の合計値を把握することが求められるということが考えられる。しかしながら、特許文献1に記載のシステムは、車両毎に二酸化炭素排出量を把握するものであり、複数の車両の二酸化炭素排出量の合計値を把握するのには必ずしも適していない場合があるという課題があった。
【0005】
本開示は、上記課題を解決するためになされたものであって、複数の車両の合計の二酸化炭素排出量を適切に算出することができる二酸化炭素排出量算出システム、二酸化炭素排出量算出方法およびプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本開示に係る二酸化炭素排出量算出システムは、所定の地域内の有料道路を走行する複数の車両が排出する合計の二酸化炭素排出量を所定の単位時間毎に算出するシステムであって、前記車両毎に、前記有料道路の前記地域内への進入時刻と車種種別と前記地域内からの退出時刻とを取得する取得部と、前記地域内に位置する複数の前記車両について、各前記車両の前記車種種別に基づく重量に対応する値と、前記単位時間における移動距離に対応する値と、重量と距離との積当たりの二酸化炭素の排出量を表す二酸化炭素の排出原単位に対応する値とに基づいて、二酸化炭素排出量を前記車両毎に算出する算出部と、前記地域内に位置する複数の前記車両について、前記車両毎の前記二酸化炭素排出量を合算して当該単位時間において前記地域内の前記有料道路を走行する複数の前記車両が排出する合計の二酸化炭素排出量を算出する合算部と、を備える。
【0007】
本開示に係る二酸化炭素排出量算出方法は、所定の地域内の有料道路を走行する複数の車両が排出する合計の二酸化炭素排出量を所定の単位時間毎に算出する方法であって、前記車両毎に、前記有料道路の前記地域内への進入時刻と車種種別と前記地域内からの退出時刻とを取得するステップと、前記地域内に位置する複数の前記車両について、各前記車両の前記車種種別に基づく重量に対応する値と、前記単位時間における移動距離に対応する値と、重量と距離との積当たりの二酸化炭素の排出量を表す二酸化炭素の排出原単位に対応する値とに基づいて、二酸化炭素排出量を前記車両毎に算出するステップと、前記地域内に位置する複数の前記車両について、前記車両毎の前記二酸化炭素排出量を合算して当該単位時間において前記地域内の前記有料道路を走行する複数の前記車両が排出する合計の二酸化炭素排出量を算出するステップと、を含む。
【0008】
本開示に係るプログラムは、所定の地域内の有料道路を走行する複数の車両が排出する合計の二酸化炭素排出量を所定の単位時間毎に算出する際に、前記車両毎に、前記有料道路の前記地域内への進入時刻と車種種別と前記地域内からの退出時刻とを取得するステップと、前記地域内に位置する複数の前記車両について、各前記車両の前記車種種別に基づく重量に対応する値と、前記単位時間における移動距離に対応する値と、重量と距離との積当たりの二酸化炭素の排出量を表す二酸化炭素の排出原単位に対応する値とに基づいて、二酸化炭素排出量を前記車両毎に算出するステップと、前記地域内に位置する複数の前記車両について、前記車両毎の前記二酸化炭素排出量を合算して当該単位時間において前記地域内の前記有料道路を走行する複数の前記車両が排出する合計の二酸化炭素排出量を算出するステップと、をコンピュータに実行させる。
【発明の効果】
【0009】
本開示の二酸化炭素排出量算出システム、二酸化炭素排出量算出方法およびプログラムによれば、複数の車両の合計の二酸化炭素排出量を適切に算出することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本開示の実施形態に係る二酸化炭素排出量算出システムの構成例を模式的に示すブロック図である。
図2】本開示の実施形態に係る料金所装置の構成例を示すブロック図である。
図3】本開示の実施形態に係る電子式料金自動収受装置で生成されるログデータの構成例を示す模式図である。
図4】本開示の実施形態に係る車種判別装置で生成されるログデータの構成例を示す模式図である。
図5】本開示の実施形態に係る集約監視装置の構成例を示すブロック図である。
図6】本開示の実施形態に係る走行車両情報の構成例を示す模式図である。
図7】本開示の実施形態に係る算出部による二酸化炭素排出量の算出例を示す模式図である。
図8】本開示の実施形態に係るCO2排出原単位の例を示す模式図である。
図9】本開示の実施形態に係る集約監視装置の動作例を示すフローチャートである。
図10】本開示の実施形態に係る処理部の動作例を示すフローチャートである。
図11】本開示の実施形態に係るコンピュータの構成例を示す概略ブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本開示の実施形態に係る二酸化炭素排出量算出システム、二酸化炭素排出量算出方法およびプログラムについて、図1図10を参照して説明する。図1は、本開示の実施形態に係る二酸化炭素排出量算出システムの構成例を示す模式的に示すブロック図である。図2は、本開示の実施形態に係る料金所装置の構成例を示すブロック図である。図3は、本開示の実施形態に係る電子式料金自動収受装置で生成されるログデータの構成例を示す模式図である。図4は、本開示の実施形態に係る車種判別装置で生成されるログデータの構成例を示す模式図である。図5は、本開示の実施形態に係る集約監視装置の構成例を示すブロック図である。図6は、本開示の実施形態に係る走行車両情報の構成例を示す模式図である。図7は、本開示の実施形態に係る算出部による二酸化炭素排出量の算出例を示す模式図である。図8は、本開示の実施形態に係るCO2排出原単位の例を示す模式図である。図9は、本開示の実施形態に係る集約監視装置の動作例を示すフローチャートである。図10は、本開示の実施形態に係る処理部の動作例を示すフローチャートである。なお、各図において同一または対応する構成には同一の符号を用いて説明を適宜省略する。
【0012】
図1に示すように二酸化炭素排出量算出システム1は、集約監視装置2を備える。図1に示す二酸化炭素排出量算出システム1は、所定の地域である管轄5内の有料道路6を走行する複数の車両7-1、7-2、7-3、…が排出する合計の二酸化炭素排出量を所定の単位時間毎に算出するシステムである。ここで、有料道路6は、高速道路、一般有料道路等である。図1に示す例では、有料道路6には、有料道路6のインターチェンジ等の出入口の料金所に料金所装置3-1、料金所機器3-2、料金所装置3-3および料金所装置3-4が設置されている。図1に示す例では、料金所装置3-1が管轄5の一方の端部の料金所に設置されていて、料金所装置3-4が管轄5の他方の端部の料金所に設置されている。料金所機器3-2および料金所装置3-3は、有料道路6の中間部に位置するインターチェンジやスマートインターチェンジ等に設けられている。なお、車両7-1、7-2および7-3は、ETC(登録商標)等の電子式料金自動収受装置用の車載器8-1、8-2および8-3をそれぞれ備えている。なお、料金所装置3-1、料金所機器3-2、料金所装置3-3および料金所装置3-4は、総称する場合、料金所装置3という。また、車両7-1、7-2および7-3を総称する場合、車両7という。また、車載器8-1、8-2および8-3を総称する場合、車載器8という。図1に示す例では、集約監視装置2は、専用回線4を介して各料金所装置3に通信接続され、各料金所装置3からログデータ30を収集する。
【0013】
料金所装置3は、図2に示すように、例えば、車種判別装置31と、電子式料金自動収受装置32と、通信装置33とを備える。車種判別装置31は、NP(ナンバープレート)認識装置311と、踏板312と、車両検知器313とを備える。電子式料金自動収受装置32は、例えば、電子式料金自動収受アンテナ321を備える。NP認識装置311は、画像処理技術等を用いて、料金所装置3に対応したレーンを通過する車両7のナンバープレート(自動車登録番号標)に表示されている情報を認識する。踏板312は、料金所装置3に対応したレーンを通過する車両7の車軸を認識し、例えば車軸の数を認識する。車両検知器313は、例えば、透過型あるいは反射型の光検知器を備え、料金所における所定の位置において車両7を検知する。車種判別装置31は、NP認識装置311によるナンバープレートの認識結果、踏板312による車軸数の認識結果等に基づいて、車両7の車種種別を判別する。一方、電子式料金自動収受アンテナ321は車載器8との間で無線通信を行う。電子式料金自動収受装置32は、料金所の入口および出口において車載器8との間で無線通信を行うことで、車両7に対する有料道路6の料金の収受処理を行う。通信装置33は、専用回線4を介して、集約監視装置2等との間で所定の信号を送受信する。
【0014】
図3は、電子式料金自動収受アンテナ321と車載器8との間で所定の通信が行われた場合に、料金所装置3から集約監視装置2へ送信されるログデータ30(図3ではログデータ30aとして示す)の構成例を示す。ログデータ30aは、料金所ID(識別情報)30a1と、進入時刻30a2または退出時刻30a3と、車両情報30a4とを含む。料金所ID30a1は、料金所装置3が設置されている料金所(およびレーン)の識別情報である。進入時刻30a2は料金所装置3が有料道路6の入口に設置されている場合に車両7が有料道路6へ進入した時刻を表す。退出時刻30a3は料金所装置3が有料道路6の出口に設置されている場合に車両7が有料道路6から退出した時刻を表す。車両情報30a4は、例えば車載器8に予め登録されている情報であり、NP情報30a41、車載器ID30a42、車種種別30a43、燃料種別30a44、車両重量30a45、最大積載量30a46等を含む。NP情報30a41はナンバープレートの情報である。車載器ID30a42は車載器8の識別情報である。車種種別30a43は車両7の種別(例えば、軽自動車、小型、普通、大型特殊等の区分)を表す情報である。燃料種別30a44は燃料の種類を表す情報であり、例えば、ガソリン、軽油、液化石油ガス、電気、水素等の種類を表す。車両重量30a45は車両7の重量である。
最大積載量30a46は車両7の最大積載量である。
【0015】
図4は、例えば車載器8を備えていない車両7に対して車種判別装置31で認識された情報に基づいて料金所装置3から集約監視装置2へ送信されるログデータ30(図4ではログデータ30bとして示す)の構成例を示す。ログデータ30bは、料金所ID(識別情報)30b1と、進入時刻30b2または退出時刻30b3と、車両情報30b4とを含む。料金所ID30b1は、料金所装置3が設置されている料金所(およびレーン)の識別情報である。進入時刻30b2は料金所装置3が有料道路6の入口に設置されている場合に車両7が有料道路6へ進入した時刻を表す。退出時刻30b3は料金所装置3が有料道路6の出口に設置されている場合に車両7が有料道路6から退出した時刻を表す。車両情報30b4は、NP情報30b41、車載器ID30b42等を含む。NP情報30b41はナンバープレートの情報である。車種種別30b43はナンバープレートの情報等に基づいて判別された車両7の種別(例えば、軽自動車、小型、普通、大型特殊等の区分)を表す情報である。
【0016】
なお、ログデータ30(ログデータ30aおよび30b)は、他に料金収受に関する情報、発生した異常事象の内容を表す情報等を含むことができる。また、ログデータ30は、車両7毎に生成および送信されてもよいし、複数の車両7毎に生成および送信されてもよい。
【0017】
図5は、集約監視装置2の構成例を示す。集約監視装置2は、例えば、サーバ等のコンピュータとその周辺装置等を用いて構成することができる。集約監視装置2は、コンピュータ、その周辺装置等のハードウェアと、コンピュータが実行するプログラム等のソフトウェアとの組み合わせ等から構成される機能的構成として、通信部21、取得部22、算出部23、合算部24、処理部25および記憶部20を備える。記憶部20は、ログデータ30、走行車両情報25、原単位情報26、算出結果情報27等を記憶する。
【0018】
通信部21は、例えば、料金所装置3からログデータ30を収集するため、料金所装置3の通信装置33との間で所定の信号を送受信し、受信したログデータ30を記憶部20に記憶する。
【0019】
取得部22は、通信部21が受信したログデータ30から、車両7毎に、有料道路6の管轄5内(所定の地域内)への進入時刻30a2または30b2と、車種種別30a42または30b42と、管轄5内からの退出時刻30a3または30b3とを取得して、走行車両情報25内に登録したり、走行車両情報25の内容を更新したりする。
【0020】
図6は、走行車両情報25の構成例を示す。走行車両情報25は、有料道路6の管轄5内を走行中(進入後退出前の状態)あるいは退出後例えば所定時間内の車両7に関する情報である。図6に示す例では、走行車両情報25は、車両7を識別する情報をNP情報として、車両7毎にNP情報に対して、車載器ID、進入時刻、退出時刻および車種種別を対応付けて含んでいる。ただし、車載器IDは含まない場合もある。走行車両情報25は、所定の単位時間毎に更新される情報である。単位時間は、例えば1~数分とすることができる。ただし、単位時間の値はこの例に限定されない。本実施形態ではこの単位時間毎に二酸化炭素排出量が算出される。図6に示す例は、NP情報が「A」および「B」である各車両7はすでに管轄5内の有料道路6から退出済みであり、NP情報が「C」、「D」および「E」の各車両7が管轄5内の有料道路6を走行中(あるいはサービスエリア等で停車中)である。この場合、NP情報が「C」、「D」および「E」の各車両7は、管轄5内の有料道路6に位置している。なお、「〇〇〇〇」および「XXXX」は任意の文字列を表す。
【0021】
算出部23は、管轄5内に位置する複数の車両7について、各車両7の車種種別に基づく重量に対応する値と、単位時間における移動距離に対応する値と、重量と距離との積当たりの二酸化炭素の排出量を表す二酸化炭素の排出原単位に対応する値とに基づいて、二酸化炭素排出量を車両7毎に算出する。図7は、算出部23による単位時間毎かつ車両7毎の二酸化炭素(CO2)排出量の算出例を示す。
【0022】
図7に示す例では、単位時間当たりのCO2排出量101は、1台の車両7当たりの排出量であり、車両総重量102と、単位時間における移動距離103と、CO2排出原単位104とを乗じることで算出される。車両総重量102としては、例えば車両種別毎に予め設定した平均的な値を用いることができる。例えば軽自動車であればT1トン、小型であればT2トン、普通であればT3トン、大型特殊であればT4トン(ここで例えばT4>T3>T2>T1)等と予め定めた値を用いることができる。
【0023】
なお、車両総重量102は、各車両7の車種種別に基づく重量に対応する値に対応する。ただし、車種種別に基づく重量に対応する値は、車両重量、車両重量に最大積載量の一定割合を加えた値等であってもよい。また、単位時間における移動距離103は、単位時間における移動距離に対応する値に対応する。また、CO2排出原単位104が、重量と距離との積当たりの二酸化炭素の排出量を表す二酸化炭素の排出原単位に対応する値に対応する。
【0024】
単位時間における移動距離103は、平均車速と単位時間との積に基づく値である。ここで、平均車速は、例えば過去の実績に基づいて予め定めた値としたり、過去の実績等に基づいて予測した値としたり、直近の実績に基づく平均値等としたりすることができる。直近の実績に基づく平均値としては、例えば、図6に示す例において、NP情報が「A」の車両7の進入時刻と退出時刻と進入位置から退出位置までの距離とに基づいて算出された平均車速と、NP情報が「B」の車両7の進入時刻と退出時刻と進入位置から退出位置までの距離とに基づいて算出された平均車速との平均値とすることができる。
【0025】
CO2排出原単位104は、図8に示す原単位情報26のように例えば車両種別毎に設定された複数の値を含み、車両総重量102の車両7が、移動距離103を移動した場合に排出されるCO2の量を算出するための係数である。CO2排出原単位104は、CO2の排出量(重量g)を、t(トン)とkm(キロメートル)の積で除した値である。図8に示す例では、車両種別(軽自動車、小型、普通、大型特殊)毎に設定されている。
【0026】
合算部24は、管轄5内に位置する複数の車両7について、車両7毎の単位時間当たりの二酸化炭素排出量101を合算して当該単位時間において管轄5内の有料道路6を走行する複数の車両7が排出する合計の二酸化炭素排出量を算出する。合算部24は、算出した合計の二酸化炭素排出量を、当該単位時間の開始または終了の時刻情報に対応付けて算出結果情報27として記憶部20に記憶(蓄積)する。
【0027】
処理部25は、算出結果情報27に基づいて、所定の処理を実行する。所定の処理としては、例えば、有料道路6の料金の値上げや値下げである。例えば、複数の単位時間における管轄5内全体としての二酸化炭素排出量が所定のしきい値以上である場合には料金を値上げし、しきい値未満である場合には料金を値下げする等の処理を行うことができる。
【0028】
次に、図9および図10を参照して、集約監視装置2の動作例について説明する。図9は、単位周期毎に実行される集約監視装置2の処理の例を示す。図9に示す処理が開始されると、取得部22(あるいは通信部21)が、管轄5内のログデータ30を収集する(ステップS11)。次に、取得部22が、収集したログデータ30に基づき、走行車両情報25を更新する(ステップS12)。ステップS12では、新たに管轄5内の有料道路6に進入した車両7の情報を走行車両情報25に追加したり、管轄5内の有料道路6から退出した車両7の情報を走行車両情報25から削除したりする。
【0029】
次に、算出部23が、管轄5内に位置する各車両7の二酸化炭素排出量を車両7毎に算出する(ステップS13)。
【0030】
次に、合算部24が、管轄5内に位置する複数の車両の二酸化炭素排出量を合計し、当該単位時間における合計の二酸化炭素排出量を算出し、算出結果を算出結果情報27として記憶(蓄積)する(ステップS14)。
【0031】
以上の処理によって、集約監視装置2は、各車両7の車両種別に基づいて、所定の地域である管轄5内の有料道路6を走行する複数の車両が排出する合計の二酸化炭素排出量を所定の単位時間毎に算出することができる。なお、複数の車両7が排出する合計の二酸化炭素排出量は、例えば、進入後、退出前のすべての車両7の排出量の合計であってもよいし、進入後、退出前の車両7であっても進入後、所定時間経過した場合にはその車両7を積算の対象から除外してもよい。この場合、例えば、長時間にわたって停車している車両7を積算の対象から除外することができる。
【0032】
また、図10は、複数の単位周期毎に実行される処理部25の処理の例を示す。図10に示す処理が開始されると、処理部25は、管轄5内に位置する複数車両7の合計二酸化炭素排出量を算出結果情報27から複数の単位周期分取得する(ステップS21)。次に処理部25は、複数の単位周期分の合計二酸化炭素排出量の積算値が所定のしきい値以上であるか否かを判定する(ステップS22)。複数の単位周期分の合計二酸化炭素排出量の積算値が所定のしきい値以上である場合(ステップS22:YES)、処理部25は、例えば、料金体系を管理する外部のサーバ等に対して、管轄5内の料金の値上げを提案する(ステップS23)。一方、複数の単位周期分の合計二酸化炭素排出量の積算値が所定のしきい値未満である場合(ステップS22:NO)、処理部25は、例えば、料金体系を管理する外部のサーバ等に対して、管轄5内の料金の値下げを提案する(ステップS24)。
【0033】
(作用効果)
本実施形態によれば、管轄5内の有料道路6に位置する複数の車両7の合計の二酸化炭素排出量を適切に算出することができる。
【0034】
以上、この発明の実施形態について図面を参照して説明してきたが、具体的な構成は上記実施形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計変更等も含まれる。例えば、集約監視装置2が備える各構成は、例えば、仮想空間上のコンピュータを用いて構成されていてもよい。また、本開示に係る二酸化炭素排出量算出システム1は、集約監視装置2内の構成に加え、料金所装置3内の一部または全部の構成をさらに含むものであってもよい。
【0035】
〈コンピュータ構成〉
図11は、少なくとも1つの実施形態に係るコンピュータの構成を示す概略ブロック図である。
コンピュータ90は、プロセッサ91、メインメモリ92、ストレージ93、および、インタフェース94を備える。
上述の集約監視装置2は、コンピュータ90に実装される。そして、上述した各処理部の動作は、プログラムの形式でストレージ93に記憶されている。プロセッサ91は、プログラムをストレージ93から読み出してメインメモリ92に展開し、当該プログラムに従って上記処理を実行する。また、プロセッサ91は、プログラムに従って、上述した各記憶部に対応する記憶領域をメインメモリ92に確保する。
【0036】
プログラムは、コンピュータ90に発揮させる機能の一部を実現するためのものであってもよい。例えば、プログラムは、ストレージに既に記憶されている他のプログラムとの組み合わせ、または他の装置に実装された他のプログラムとの組み合わせによって機能を発揮させるものであってもよい。なお、他の実施形態においては、コンピュータは、上記構成に加えて、または上記構成に代えてPLD(Programmable Logic Device)などのカスタムLSI(Large Scale Integrated Circuit)を備えてもよい。PLDの例としては、PAL(Programmable Array Logic)、GAL(Generic Array Logic)、CPLD(Complex Programmable Logic Device)、FPGA(Field Programmable Gate Array)等が挙げられる。この場合、プロセッサによって実現される機能の一部または全部が当該集積回路によって実現されてよい。
【0037】
ストレージ93の例としては、HDD(Hard Disk Drive)、SSD(Solid State Drive)、磁気ディスク、光磁気ディスク、CD-ROM(Compact Disc Read Only Memory)、DVD-ROM(Digital Versatile Disc Read Only Memory)、半導体メモリ等が挙げられる。ストレージ93は、コンピュータ90のバスに直接接続された内部メディアであってもよいし、インタフェース94または通信回線を介してコンピュータ90に接続される外部メディアであってもよい。また、このプログラムが通信回線によってコンピュータ90に配信される場合、配信を受けたコンピュータ90が当該プログラムをメインメモリ92に展開し、上記処理を実行してもよい。少なくとも1つの実施形態において、ストレージ93は、一時的でない有形の記憶媒体である。
【0038】
<付記>
上記実施形態に記載の二酸化炭素排出量算出システム1は、例えば以下のように把握される。
【0039】
(1)第1の態様に係る二酸化炭素排出量算出システム1は、所定の地域内の有料道路を走行する複数の車両が排出する合計の二酸化炭素排出量を所定の単位時間毎に算出するシステムであって、前記車両毎に、前記有料道路の前記地域内への進入時刻と車種種別と前記地域内からの退出時刻とを取得する取得部22と、前記地域内に位置する複数の前記車両について、各前記車両の前記車種種別に基づく重量に対応する値と、前記単位時間における移動距離に対応する値と、重量と距離との積当たりの二酸化炭素の排出量を表す二酸化炭素の排出原単位に対応する値とに基づいて、二酸化炭素排出量を前記車両毎に算出する算出部23と、前記地域内に位置する複数の前記車両について、前記車両毎の前記二酸化炭素排出量を合算して当該単位時間において前記地域内の前記有料道路を走行する複数の前記車両が排出する合計の二酸化炭素排出量を算出する合算部24と、を備える。本態様および以下の各態様によれば、複数の車両の合計の二酸化炭素排出量を適切に算出することができる。
【0040】
(2)第2の態様に係る二酸化炭素排出量算出システム1は、(1)の二酸化炭素排出量算出システム1であって、前記単位時間における移動距離は、前記車両の所定の平均速度と前記単位時間との積に基づく値である。
【0041】
(3)第3の態様に係る二酸化炭素排出量算出システム1は、(2)の二酸化炭素排出量算出システム1であって、前記平均速度は、同一の前記車両の前記進入時刻と前記退出時刻と進入位置から退出位置までの距離とに基づいて算出された値である。
【符号の説明】
【0042】
1…二酸化炭素排出量算出システム
2…集約監視装置
22…取得部
23…算出部
24…合算部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11