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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024175828
(43)【公開日】2024-12-19
(54)【発明の名称】インクジェット記録装置
(51)【国際特許分類】
   B41J 2/17 20060101AFI20241212BHJP
   B41J 2/165 20060101ALI20241212BHJP
   B41J 2/01 20060101ALI20241212BHJP
【FI】
B41J2/17 207
B41J2/165 207
B41J2/01 305
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023093865
(22)【出願日】2023-06-07
(71)【出願人】
【識別番号】000006150
【氏名又は名称】京セラドキュメントソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001933
【氏名又は名称】弁理士法人 佐野特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】大棚 愛一朗
【テーマコード(参考)】
2C056
【Fターム(参考)】
2C056EA16
2C056EA27
2C056HA29
2C056JC05
2C056JC06
2C056JC10
2C056JC13
2C056JC17
2C056JC23
(57)【要約】
【課題】廃インク容器からのインクの漏出を抑制する。
【解決手段】インクジェット記録装置は、記録ヘッドと、廃インク容器と、吸引機構と、を備え、廃インク容器は、インクを受ける複数の受け口と、吸引機構に接続される吸引口と、複数の受け口のそれぞれに接続され、接続先の受け口と吸引口とを連通することにより、吸引機構の駆動によって発生する吸引気流を通過させる複数の吸引風路と、を有し、少なくとも1つの吸引風路は、接続先の受け口から吸引口に至る途中に第1方向から第2方向に屈曲する屈曲部を有する。
【選択図】図9
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1方向に搬送中の記録媒体にインクを吐出することによって画像を記録する記録ヘッドと、
前記記録媒体の搬送経路を挟んで前記記録ヘッドと第2方向に対向するよう配置され、貯留領域を内部に有し、前記記録ヘッドから吐出されるが前記画像の記録には使用されない前記インクを前記貯留領域に貯留する廃インク容器と、
前記廃インク容器から気体を吸引する吸引機構と、を備え、
前記廃インク容器は、
前記記録ヘッドから吐出される前記インクを受ける複数の受け口と、
前記第2方向から見て、複数の前記受け口のそれぞれから間隔を隔てた位置に配置され、前記吸引機構に接続される吸引口と、
複数の前記受け口のそれぞれに接続され、接続先の前記受け口と前記吸引口とを連通することにより、前記吸引機構の駆動によって発生する吸引気流を通過させる複数の吸引風路と、を有し、
少なくとも1つの前記吸引風路は、接続先の前記受け口から前記吸引口に至る途中に前記第1方向から前記第2方向に屈曲する屈曲部を有する、インクジェット記録装置。
【請求項2】
少なくとも1つの前記吸引風路は、複数の前記屈曲部を有する、請求項1に記載のインクジェット記録装置。
【請求項3】
複数の前記屈曲部は、
前記第1方向から前記第2方向の一方に屈曲する第1屈曲部と、
前記第1屈曲部のうち前記吸引気流の流通方向下流側の端に接続され、前記第1方向から前記第2方向の他方に屈曲する第2屈曲部と、を含む、請求項2に記載のインクジェット記録装置。
【請求項4】
前記第2方向から見た場合において接続先の前記受け口から前記吸引口に向かって直線的に延びる前記吸引風路に少なくとも、前記屈曲部が設けられる、請求項1に記載のインクジェット記録装置。
【請求項5】
複数の前記吸引風路の全てに前記屈曲部が設けられる、請求項1に記載のインクジェット記録装置。
【請求項6】
前記廃インク容器は、前記インクを吸収する吸収部材を前記貯留領域に有し、
複数の前記吸引風路は、前記貯留領域のうち前記吸収部材が存在しない空間によって形成される、請求項1に記載のインクジェット記録装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、インクジェット記録装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来のインクジェット記録装置には、廃棄予定のインクを貯留する廃インク容器が装着される。インクジェット記録装置に装着される廃インク容器は、たとえば、特許文献1に開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平6-340092号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
廃インク容器は、吸引機構に接続される。吸引機構は、廃インク容器から気体を吸引する。吸引機構により吸引される気体は、廃インク容器の内部に設けられた風路を流れる。なお、当該気体には、ミスト状のインクが含まれる。
【0005】
この構成において、風路を流れる気体からのインクの分離が良好に行われなかった場合には、廃インク容器と吸引機構との接続口からインクが漏出する。その結果、インクによって機内が汚染されるという不都合が生じる。
【0006】
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、廃インク容器からのインクの漏出を抑制することが可能なインクジェット記録装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、本発明のインクジェット記録装置は、第1方向に搬送中の記録媒体にインクを吐出することによって画像を記録する記録ヘッドと、記録媒体の搬送経路を挟んで記録ヘッドと第2方向に対向するよう配置され、貯留領域を内部に有し、記録ヘッドから吐出されるが画像の記録には使用されないインクを貯留領域に貯留する廃インク容器と、廃インク容器から気体を吸引する吸引機構と、を備える。廃インク容器は、記録ヘッドから吐出されるインクを受ける複数の受け口と、第2方向から見て、複数の受け口のそれぞれから間隔を隔てた位置に配置され、吸引機構に接続される吸引口と、複数の受け口のそれぞれに接続され、接続先の受け口と吸引口とを連通することにより、吸引機構の駆動によって発生する吸引気流を通過させる複数の吸引風路と、を有する。少なくとも1つの吸引風路は、接続先の受け口から吸引口に至る途中に第1方向から第2方向に屈曲する屈曲部を有する。
【発明の効果】
【0008】
本発明の構成では、廃インク容器からのインクの漏出を抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】実施形態によるインクジェット記録装置の概略図である。
図2】実施形態によるインクジェット記録装置の記録部の平面図である。
図3】実施形態によるインクジェット記録装置のブロック図である。
図4】実施形態によるインクジェット記録装置の搬送ベルトの平面図である。
図5】実施形態によるインクジェット記録装置の搬送ベルト周辺の模式図である。
図6】実施形態によるインクジェット記録装置の搬送ベルト周辺の概略斜視図(全ての廃インク容器が装着された状態を示す図)である。
図7】実施形態によるインクジェット記録装置の搬送ベルト周辺の概略斜視図(一部の廃インク容器が取り外された状態を示す図)である。
図8】実施形態によるインクジェット記録装置の廃インク容器の貯留領域を示す模式図である。
図9図8のA-A線に沿った断面に対応する模式図である。
図10】吸引風路を水平面上で屈曲させた場合に生じる不都合を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の一実施形態によるインクジェット記録装置について、記録媒体としてのシートに画像を記録(すなわち、印刷)するプリンターを例にとって説明する。シートとして、主に用紙が使用される。OHPシートなど他のシートを使用することもできる。また、布および段ボールなどを使用することもできる。
【0011】
<プリンターの構成>
図1に示すように、本実施形態のプリンター100(「インクジェット記録装置」に相当)は、第1搬送部1および第2搬送部2を備える。第1搬送部1は、給紙カセットCAにセットされたシートS(「記録媒体」に相当)を給紙し、記録位置に向けて搬送する。プリンター100による印刷ジョブでは、記録位置を通過するシートSに対して画像の記録(印刷)が行われる。第2搬送部2は、記録済みのシートSを搬送する。第2搬送部2は、記録済みのシートSを排出トレイETに排出する。
【0012】
第1搬送部1は、レジストローラー対11を含む複数の搬送ローラー部材を備える。図1では、複数の搬送ローラー部材のうちレジストローラー対11にのみ符号を付す。複数の搬送ローラー部材は、それぞれ、回転することによってシートSを搬送する。レジストローラー対11は、互いに圧接する一対のローラーを含む。当該一対のローラー間にレジストニップが形成される。給紙カセットCAから給紙されたシートSがレジストニップに進入する。レジストローラー対11は、回転することにより、後述するベルト搬送部3に向けて、レジストニップに進入したシートSを搬送する。
【0013】
シートSの前端がレジストニップに到達した時点では、レジストローラー対11は回転を停止している。一方で、レジストローラー対11よりもシートSの搬送方向上流側の搬送ローラー部材は回転している。これにより、シートSの斜行が矯正される。
【0014】
プリンター100は、ベルト搬送部3を備える。ベルト搬送部3は、第1搬送部1からシートSを受け入れ、搬送する。ベルト搬送部3は、搬送ベルト30を備える。搬送ベルト30は、無端状であり、回転可能に支持される。また、ベルト搬送部3は、複数の張架ローラー301を備える。複数の張架ローラー301は、回転可能に支持される。搬送ベルト30は、複数の張架ローラー301によって張架され、回転する。第1搬送部1から搬送されてくるシートSは、搬送ベルト30の外周面に至る。
【0015】
複数の張架ローラー301のうち1つは、ベルトモーター(図示せず)に連結され、ベルトモーターの駆動力が伝達されて回転する。ベルトモーターに連結された張架ローラー301が回転することにより、搬送ベルト30が従動して回転する。このとき、他の張架ローラー301も従動して回転する。
【0016】
また、ベルト搬送部3は、吸引ユニット300を備える。吸引ユニット300は、搬送ベルト30の内周側に配置される。吸引ユニット300は、搬送ベルト30の外周面上のシートSを吸引する。
【0017】
具体的には、搬送ベルト30は、吸引孔(図示せず)を複数有する。搬送ベルト30の吸引孔は、搬送ベルト30の厚み方向に貫通する。吸引ユニット300は、搬送ベルト30の吸引孔を介してシートSを吸引する。これにより、搬送ベルト30の外周面にシートSが吸着される。搬送ベルト30は、シートSを外周面に吸着保持して回転する。その結果、シートSが搬送される。すなわち、搬送ベルト30は、シートSを外周面に吸着して搬送する。
【0018】
プリンター100は、記録部4を備える。記録部4は、搬送ベルト30の外周面と上下方向に対向するよう配置される。シートSの搬送中、搬送ベルト30の外周面上のシートSと記録部4とが上下方向に間隔を隔てて対向する。これにより、シートSの搬送中、後述する記録ヘッド40のノズル面と搬送ベルト30の外周面との間をシートSが通過する。すなわち、記録ヘッド40のノズル面と搬送ベルト30の外周面との間がシートSの搬送経路の一部となる。ここで、搬送ベルト30により搬送中のシートSの搬送方向は水平方向であり「第1方向」に相当する。また、上下方向は「第2方向」に相当する。
【0019】
記録部4は、図2に示すように、シアン、マゼンタ、イエローおよびブラックの各色にそれぞれ対応する4つのラインヘッド41を備える。図2では、シアンのラインヘッド41に符号「C」を付し、マゼンタのラインヘッド41に符号「M」を付し、イエローのラインヘッド41に符号「Y」を付し、ブラックのラインヘッド41に符号「K」を付して区別する。後の説明で参照する図5も同様である。
【0020】
各色のラインヘッド41は、複数(たとえば、3つ)の記録ヘッド40を含む。たとえば、各色の複数の記録ヘッド40は、搬送ベルト30によるシートSの搬送方向と直交する方向に千鳥状に配列される。以下の説明では、搬送ベルト30によるシートSの搬送方向と直交する方向を単に幅方向と称する。
【0021】
各記録ヘッド40は、搬送ベルト30の外周面に対して上下方向に間隔を隔てて配置される。言い換えると、各記録ヘッド40は、搬送ベルト30により搬送されるシートSと上下方向に対向する位置に配置される。さらに言い換えると、搬送ベルト30は、各記録ヘッド40の下方においてシートSを吸着して搬送する。上下方向は、搬送ベルト30によるシートSの搬送方向および幅方向と直交する方向である。
【0022】
各記録ヘッド40は、搬送ベルト30の外周面と上下方向に対向する面をノズル面として有する。各記録ヘッド40のノズル面は、複数のノズル4Nを有する。各記録ヘッド40の複数のノズル4Nは、対応する色のインクを下方に吐出する。たとえば、各記録ヘッド40のノズル4Nの個数は同数である。各記録ヘッド40の複数のノズル4Nは、搬送ベルト30の幅方向に沿って配列される。図2では、ノズル4Nを破線で示す。実際には、より多くのノズル4Nが各記録ヘッド40に設けられる。便宜上、一部のノズル4Nにのみ符号を付す。
【0023】
各記録ヘッド40は、印刷ジョブでシートSに記録すべき画像データに基づき、搬送ベルト30の外周面上のシートSに向け、ノズル4Nからインクを吐出する。各記録ヘッド40から吐出されるインクはシートSに付着する。これにより、シートSに画像が記録される。言い換えると、各記録ヘッド40と搬送ベルト30との間が記録位置であり、その記録位置においてシートSに対する画像の記録が行われる。
【0024】
ここで、複数のノズル4Nのうちインク吐出回数が少ないノズル4Nに残留するインク粘度は経時的に高くなる。その結果、目詰まりが発生し、画質が低下する。このような不都合を抑制するため、各記録ヘッド40は、フラッシング処理を行う。各記録ヘッド40によるフラッシング処理では、ノズル4Nに残留したインクが吐出される。これにより、目詰まりが抑制される。フラッシング処理については、後に詳細に説明する。
【0025】
図1に戻り、プリンター100は、乾燥ユニット51およびデカーラー52を備える。乾燥ユニット51は、デカーラー52に向けてシートSを搬送しつつ、搬送中のシートSに付着したインクを乾燥する。デカーラー52は、シートSのカールを矯正する。デカーラー52は、カール矯正後のシートSを第2搬送部2に向けて搬送する。
【0026】
また、図3に示すように、プリンター100は、制御部6を備える。制御部6は、CPUおよびASICなどの処理回路を含む。制御部6は、印刷ジョブを制御する。言い換えると、制御部6は、第1搬送部1、第2搬送部2、ベルト搬送部3、記録部4、乾燥ユニット51およびデカーラー52の各動作を制御する。さらに言い換えると、制御部6は、シートSの搬送および各記録ヘッド40のインク吐出を制御する。また、制御部6は、各記録ヘッド40によるフラッシング処理を制御する。
【0027】
制御部6には、レジストセンサー61、シートセンサー62およびベルトセンサー63が接続される。制御部6は、レジストセンサー61、シートセンサー62およびベルトセンサー63の各出力に基づき、シートSの搬送およびシートSへの画像記録を制御する。
【0028】
レジストセンサー61は、レジストニップよりもシートSの搬送方向上流側の位置を検知位置とする。レジストセンサー61は、たとえば、反射型または透過型の光センサーである。レジストセンサー61は、対応する検知位置におけるシートSの有無に応じて出力値を変化させる。
【0029】
制御部6は、レジストセンサー61の出力値に基づき、レジストセンサー61の検知位置におけるシートSの前端到達および後端通過を検知する。言い換えると、制御部6は、レジストセンサー61の出力値に基づき、レジストニップにおけるシートSの前端到達および後端通過を検知する。制御部6は、レジストセンサー61の検知位置でシートSの前端到達を検知してからの経過時間に基づき、レジストローラー対11によるシートSの搬送開始タイミング(レジストローラー対11の回転開始タイミング)を計る。
【0030】
シートセンサー62は、複数のラインヘッド41のうちシートSの搬送方向の最上流側にあるラインヘッド41の記録位置とレジストニップとの間の位置を検知位置とする。シートセンサー62は、対応する検知位置におけるシートSの有無に応じて出力値を変化させる。シートセンサー62として、CIS(Contact Image Sensor)を用いてもよい。また、シートセンサー62として、反射型または透過型の光センサーを用いてもよい。たとえば、シートセンサー62としてCISが用いられる。
【0031】
制御部6は、シートセンサー62の出力値に基づき、シートセンサー62の検知位置におけるシートSの前端到達および後端通過を検知する。制御部6は、シートセンサー62の出力値に基づき、搬送ベルト30により搬送されるシートSへのインクの吐出タイミングを計る。なお、レジストローラー対11によるシートSの搬送開始からの経過時間に基づき、搬送ベルト30により搬送されるシートSへのインクの吐出タイミングを計ってもよい。
【0032】
また、制御部6は、シートセンサー62の検知位置にシートSの前端が到達してからシートセンサー62の検知位置を同じシートSの後端が通過するまでにかかった通紙時間を計測する。シートセンサー62の検知位置における通紙時間は、シートSの搬送方向のサイズに応じて変わる。そこで、制御部6は、通紙時間に基づき、搬送ベルト30により搬送されるシートSの搬送方向のサイズを認識する。これにより、搬送ベルト30により搬送されるシートSが不定型サイズであっても、シートSの搬送方向のサイズを制御部6に認識させることができる。
【0033】
ベルトセンサー63は、搬送ベルト30の予め定められた基準位置(ホームポジション)を検知するためのセンサーである。たとえば、搬送ベルト30の基準位置には、所定のマークが設けられる。これにより、ベルトセンサー63の出力値に基づき、搬送ベルト30の基準位置を検知できる。ベルトセンサー63として、CISが用いられてもよい。また、ベルトセンサー63として、透過型または反射型の光センサーが用いられてもよい。
【0034】
制御部6は、ベルトセンサー63の出力値に基づき、搬送ベルト30の基準位置を検知する。言い換えると、制御部6は、ベルトセンサー63の出力値に基づき、後述するフラッシング領域31(フラッシング孔30a)の位置を検知する。
【0035】
また、プリンター100は、記憶部601を備える。記憶部601は、ROMおよびRAMなどの記憶デバイスを含む。記憶部601は、制御部6に接続される。制御部6は、記憶部601からの情報の読み出しを行う。また、制御部6は、記憶部601への情報の書き込みを行う。
【0036】
プリンター100は、操作部602を備える。操作部602は、たとえば、タッチスクリーンを含む。タッチスクリーンは、ソフトウェアボタンおよびメッセージなどの表示を行い、ユーザーからタッチ操作を受け付ける。また、操作部には、設定および指示などを受け付けるハードウェアボタンも設けられる。操作部602は、制御部6に接続される。制御部6は、操作部602(タッチスクリーン)の表示動作を制御する。また、制御部6は、操作部602に対して行われた操作を検知する。
【0037】
プリンター100は、通信部603を備える。通信部603は、通信回路などを含む。通信部603は、ネットワークNTを介して、ユーザー端末PCに接続される。ユーザー端末PCは、パーソナルコンピューターなどの情報処理装置である。制御部6は、通信部603を用いて、ユーザー端末PCと通信する。たとえば、ユーザー端末PCからプリンター100に対して、印刷ジョブでシートSに記録すべき画像データを含む印刷データ(PDLデータなど)が送信される。言い換えると、ユーザー端末PCからプリンター100に対して、印刷ジョブの実行要求が送信される。印刷ジョブの印刷データは、印刷ジョブで使用するシートSのサイズなど、印刷に関する種々の設定データを含む。
【0038】
<フラッシング処理の概要>
図4に示すように、搬送ベルト30は、フラッシング領域31を有する。図4では、フラッシング領域31を破線で囲む。フラッシング領域31は、搬送ベルト30の厚み方向に貫通する貫通孔であるフラッシング孔30aを含む領域である。搬送ベルト30には、フラッシング領域31が複数設けられる。複数のフラッシング領域31は、搬送ベルト30の回転方向(シートSの搬送方向)に互いに所定間隔を隔てて配置される。
【0039】
各フラッシング領域31は、フラッシング孔30aを複数ずつ含む。フラッシング孔30aの開口形状(搬送ベルト30の厚み方向から見た場合の形状)は特に限定されない。フラッシング孔30aの形状は、円形状でもよいし、楕円形状でもよいし、オーバル形状でもよいし、矩形状でもよい。複数のノズル4Nはそれぞれ、搬送ベルト30が回転することにより、少なくともいずれかのフラッシング孔30aと上下方向に対向する。
【0040】
フラッシング処理として、各記録ヘッド40のノズル4Nからインクを吐出する処理が行われる。フラッシング処理の実行時、各ノズル4Nからは、フラッシング孔30aと上下方向に対向するタイミングで、インクが吐出される。そして、インクはフラッシング孔30aを通過する。これにより、フラッシング処理が実行されても、搬送ベルト30にはインクが付着しない。以下の説明では、フラッシング処理の実行時に各ノズル4Nから吐出されるインクをフラッシングインクと称し、シートSに対する画像記録に寄与するインクと区別する。シートSに対する画像記録に寄与しないインクがフラッシングインクである。
【0041】
印刷ジョブの実行中、制御部6は、フラッシング処理を制御する。具体的には、制御部6は、フラッシング領域31が一定周期で紙間(先行のシートSの後端とその次のシートSの前端との間隔)に出現するようレジストローラー対11から搬送ベルト30へのシートSの搬送開始タイミングを計る。そして、制御部6は、各ノズル4Nから、シートSに重なっていないフラッシング孔30aと上下方向に対向するタイミングで、インクを吐出させる。言い換えると、制御部6は、各ノズル4Nから、シートSに対する画像の記録タイミングとは異なるタイミングで、インクを吐出させる。
【0042】
<フラッシングインクの貯留>
フラッシングインクは、プリンター100の本体(以下、単に装置本体と称する)に貯留される。そして、フラッシングインクの貯留量が一定量になると、フラッシングインクは破棄される。
【0043】
具体的には、プリンター100は、図5図9に示すように、廃インク容器7と、廃インク容器7に接続される吸引機構10と、を備える。吸引機構10は、廃インク容器7から気体を吸引する。
【0044】
フラッシング処理では、搬送ベルト30のフラッシング孔30aをフラッシングインクが通過し、当該フラッシングインクが吸引機構10の機能によって吸引され、廃インク容器7にフラッシングインクが至る。廃インク容器7は、貯留領域を内部に有する。廃インク容器7は、フラッシングインクを貯留領域に貯留する。なお、吸引機構10による吸引により、廃インク容器7の外部にフラッシングインクのミストが出難くなる。
【0045】
廃インク容器7の設置数は複数である。廃インク容器7は、各ラインヘッド41に1つずつ割り当てられる。言い換えると、廃インク容器7は、シアン、マゼンタ、イエローおよびブラックの各色に1つずつ割り当てられる。
【0046】
各廃インク容器7は、装置本体のうち搬送ベルト30の内周側に装着される。各廃インク容器7は、装置本体に装着された状態では、対応する色のインクを吐出する記録ヘッド40の下方に配置される。各廃インク容器7は、対応する記録ヘッド40のノズル面に対し、搬送ベルト30を挟んで対向するよう配置される。すなわち、各廃インク容器7は、シートSの搬送経路を挟んで、対応する記録ヘッド40と上下方向に対向するよう配置される。これにより、フラッシング処理の実行時、フラッシング孔30aをフラッシングインクが通過し、各廃インク容器7の貯留領域にフラッシングインクが貯留される。
【0047】
各廃インク容器7は、装置本体に対して着脱可能に装着される。各廃インク容器7は、プリンター100の装置正面(幅方向の前方)から手前(幅方向の前方)に引き出すことにより、装置本体から取り外すことができる。いずれかの廃インク容器7でフラッシングインクの貯留量が一定量になると、その廃インク容器7が装置本体から取り外され、交換される。
【0048】
吸引機構10は、吸引気流を発生させる。吸引機構10は、各廃インク容器7に1つずつ割り当てられる。各吸引機構10は、対応する廃インク容器7に接続され、対応する記録ヘッド40から廃インク容器7の貯留領域に向けてフラッシングインクを吸引する。各吸引機構10の機能によってフラッシングインクが吸引されることにより、フラッシングインクによる機内汚染を抑制できる。図5では、フラッシングインクの吸引方向を黒塗り矢印で示す。白抜き矢印は吸引ユニット300による吸引方向である。
【0049】
なお、各廃インク容器7は、フラッシングインクなど、廃棄予定のインクを貯留する。廃棄予定のインクは、記録ヘッド40から吐出されるが画像の記録には使用されないインクである。すなわち、各廃インク容器7は、画像の記録に寄与しないインクを貯留する。以下の説明では、便宜上、フラッシングインクを含む廃棄予定のインクを総じてフラッシングインクと称する。
【0050】
<廃インク容器の構成>
以下、図8および図9を参照し、或る1つの廃インク容器7に着目してその構成を説明する。各廃インク容器7の構成は互いに同じである。したがって、他の廃インク容器7の構成説明については、以下の説明を援用するものとして省略する。
【0051】
以下の説明では、上下方向(「第2方向」に相当)と直交する水平方向(「第1方向」に相当)のうち、一方向を短手方向D1と称し、一方向と直交する他方向を長手方向D2と称する。短手方向D1は、搬送ベルト30によるシートSの搬送方向と平行な方向である。長手方向D2は、搬送ベルト30の幅方向(搬送ベルト30の回転方向と直交する方向)である。
【0052】
なお、以下の説明で参照する図8および図9は、廃インク容器7の貯留領域を模式的に示したものであり、実際の寸法および形状などをそのまま示したものではない。
【0053】
廃インク容器7は、略直方体の容器である。廃インク容器7は、たとえば、板金製である。廃インク容器7は、天井部7Aを有するとともに、天井部7Aと上下方向に対向する底部7Bを有する。また、廃インク容器7は、天井部7Aと底部7Bとの間の領域を側方から囲む側壁部(符号省略)を有する。廃インク容器7は、天井部7Aと底部7Bと側壁部とで囲まれた内部領域をフラッシングインクの貯留領域として有する。
【0054】
廃インク容器7は、吸収部材8を有する。吸収部材8は、廃インク容器7の貯留領域に配置される。吸収部材8は、フラッシングインクを吸収する多孔質部材である。吸収部材8の構成材料として、メラミンスポンジを使用できる。吸収部材8は、フラッシングインクを吸収し、その内部にフラッシングインクを保持する。
【0055】
ここで、廃インク容器7は、吸引機構10の駆動により発生する吸引気流を通過させる吸引風路70を貯留領域に有する。吸引風路70は複数である。吸引風路70は、廃インク容器7の貯留領域のうち吸収部材8が存在しない空間(すなわち、貯留領域に存在する隙間)によって形成される。たとえば、吸引風路70は、吸収部材8の一部が切り取られることによって得られる空間である。言い換えると、吸引風路70は、吸収部材8で囲まれた空間である。
【0056】
天井部7Aは、吸引機構10により吸引されるフラッシングインクを受けるインク受け部として機能する。具体的には、天井部7Aは、上下方向に矩形状に貫通する受け口710を有する。受け口710は複数である。なお、受け口710は、上方に開口する。すなわち、受け口710の開口方向は上下方向である。
【0057】
受け口710は、各記録ヘッド40に1つずつ割り当てられる。記録ヘッド40が3つであれば、受け口710は3つである。各受け口710は、搬送ベルト30(すなわち、シートSの搬送経路)を挟んで、対応する記録ヘッド40と上下方向に対向する。このため、各受け口710は、上下方向から見て、互いに間隔を隔てて配置される。
【0058】
各受け口710は、対応する記録ヘッド40から吐出されるフラッシングインクを廃インク容器7の貯留領域に回収するための開口である。各記録ヘッド40のフラッシングインクは、対応する受け口710を通過し、廃インク容器7の貯留領域に至る。
【0059】
廃インク容器7の貯留領域には、円筒状のダクト73が配置される。ダクト73の筒軸は、上下方向に延びる。ダクト73は、上下方向の一方端側の開口を吸引口730として有する。すなわち、廃インク容器7は、吸引口730を有する。
【0060】
底部7Bは、上下方向に貫通する接続口(符号省略)を有する。ダクト73は、底部7Bの接続口の縁部から上方に円筒状に延びる。吸引機構10は、廃インク容器7の外部に配置され、底部7Bの接続口に接続される。すなわち、吸引機構10は、ダクト73に接続される。吸収部材8の一部を上下方向に穿孔することによって得られる孔部をダクト73としてもよいし、当該孔部に配置した管材をダクト73としてもよい。
【0061】
吸引風路70は、3つの受け口710にそれぞれ割り当てられる。すなわち、廃インク容器7は、3つの受け口710のそれぞれに接続される3つの吸引風路70を有する。3つの吸引風路70は、それぞれ、接続先の受け口710と吸引口730とを連通する。図8では、3つの受け口710をそれぞれ破線で示す。なお、吸引口730は、上下方向から見て、3つの受け口710のそれぞれから間隔を隔てた位置に配置される。
【0062】
3つの受け口710のうち、1つの受け口710は、上下方向から見て、吸引口730に対して短手方向D1に間隔を隔てて配置される。以下の説明では、当該1つの受け口710を第1受け口711と称する。第1受け口711の上下方向から見た開口形状は、長手方向D2を長手方向とする略矩形状である。
【0063】
3つの受け口710のうち、第1受け口711とは別の2つの受け口710は、上下方向から見て、吸引口730を挟んで長手方向D2に互いに間隔を隔てて配置される。以下の説明では、当該2つの受け口710をそれぞれ第2受け口712と称する。2つの第2受け口712の上下方向から見た各開口形状は、長手方向D2を長手方向とする略矩形状である。
【0064】
また、以下の説明では、第1受け口711に接続される吸引風路70を第1風路71と称する。一方の第2受け口712に接続される吸引風路70および他方の第2受け口712に接続される吸引風路70をそれぞれ第2風路72と称する。
【0065】
ここで、第1風路71は、2つの第2風路72とは異なる形状を有する。2つの第2風路72は、上下方向から見て、吸引口730の中心に対して互いに対称な形状に形成される。すなわち、2つの第2風路72は、互いに同じ形状を有する。
【0066】
第1風路71は、上下方向から見て、接続先の第1受け口711から吸引口730に向かって直線的に延びる。すなわち、第1風路71は、上下方向から見て、屈曲することなく延びる。2つの第2風路72は、上下方向から見て、それぞれ、屈曲する。2つの第2風路72は、上下方向から見て、それぞれ、接続先の第2受け口712から短手方向D1延び、途中で屈曲して長手方向D2に延び、吸引口730に至る。
【0067】
<吸引風路の形状>
吸引気流は、フラッシングインクのミストを含む。ミスト状のフラッシングインクが吸引口730を介して漏出すると、プリンター100の機内が汚染されるなどの不都合が生じる。このような不都合の発生を抑制するためには、吸引風路70を流れる気体(すなわち、吸引機構10により吸引される気体)とフラッシングインクとを廃インク容器7の貯留領域で良好に分離し、吸収部材8にフラッシングインクを吸収させる必要がある。すなわち、廃インク容器7の貯留領域でのフラッシングインクの回収効率を向上させる必要がある。
【0068】
廃インク容器7の貯留領域でのフラッシングインクの回収効率を向上させるため、吸引風路70の内壁が吸収部材8で構成される。この構成では、吸引風路70の屈曲を多くすることにより、吸引風路70を流れる気体に含まれるフラッシングインクが遠心力によって分離され易くなる。その結果、吸収部材8にフラッシングインクが吸収され易くなり、フラッシングインクの回収効率が向上する。
【0069】
たとえば、図10に示すように、吸引風路70の短手方向D1および長手方向D2への屈曲を多くすることが考えられる。言い換えると、水平面上での屈曲が多くなるよう吸引気流の経路を設計することが考えられる。
【0070】
しかし、この場合には、吸引風路70の一部が水平方向に突出するので、或る吸引風路70(図10では、第1風路71)が他の吸引風路70(図10では、一方の第2風路72)と干渉する場合がある。具体的には、上下方向から見て、2つの吸引風路70の間隔Gが小さくなり過ぎる場合がある。その結果、2つの吸引風路70の隔壁が破れるなどの不都合が生じる。また、そもそも、間隔Gが小さ過ぎると、吸収部材8で構成する吸引風路70を製造できないという不都合が生じる。
【0071】
なお、吸引風路70の上下方向から見た場合の形成位置は、受け口710の水平方向の位置(すなわち、記録ヘッド40の水平方向の位置)に依存する。このため、上記不都合の発生を抑制するために吸引風路70の上下方向から見た場合の形成位置を変更する、という対策をとることは困難である。
【0072】
そこで、少なくとも1つの吸引風路70は、接続先の受け口710から吸引口730に至る途中に屈曲部9を有する。少なくとも1つの吸引風路70は、水平方向から上下方向に屈曲する部分を屈曲部9として有する。屈曲部9は、水平方向に流れる吸引気流を上下方向に屈曲させる。言い換えると、屈曲部9は、水平方向に流れる吸引気流を上下方向に立設する内壁(すなわち、吸収部材8で構成される内壁)に衝突させる。
【0073】
これにより、水平方向に流れる吸引気流が上下方向に屈曲するとき、遠心力が働いて気体からフラッシングインクが分離する。その分離したフラッシングインクは吸収部材8に吸収される。すなわち、図10に示す対策をとらなくても、フラッシングインクの回収効率が向上する。
【0074】
本実施形態では、屈曲部9を有する吸引風路70については、その一部を水平方向に突出させなくても(すなわち、図10に示す対策をとらなくても)、廃インク容器7の貯留領域において、吸引風路70を流れる気体からフラッシングインク(すなわち、廃インク)を良好に分離できる。これにより、廃インク容器7の貯留領域でのフラッシングインクの回収効率が向上する。その結果、廃インク容器7からのフラッシングインクの漏出を抑制できる。廃インク容器7からのフラッシングインクの漏出を抑制できれば、機内(たとえば、吸引機構10)がフラッシングインクで汚染されるなどの不都合の発生が抑制される。
【0075】
なお、本実施形態では、単一の廃インク容器7に複数(3つ)の受け口710が設けられる。すなわち、単一の廃インク容器7に複数(3つ)の吸引風路70が設けられる。この構成では、或る吸引風路70の一部が水平方向に突出すると、その突出した部分が他の吸引風路70に干渉する。すなわち、複数の吸引風路70が互いに干渉する。
【0076】
一方で、本実施形態では、複数の吸引風路70が互いに干渉することを抑制するため、少なくとも1つの吸引風路70に屈曲部9が設けられる。屈曲部9を有する吸引風路70については、屈曲部9においてフラッシングインクが吸収部材8に効率的に吸収されるので、その一部を水平方向に突出させる必要はない。これにより、複数の吸引風路70が互いに干渉することを抑制できる。
【0077】
また、本実施形態では、少なくとも1つの吸引風路70は、複数の屈曲部9を有する。これにより、複数の屈曲部9を有する吸引風路70については、より効率的に、そこを流れる気体からフラッシングインクを分離して吸収部材8に吸収させることができる。
【0078】
単一の吸引風路70に複数の屈曲部9を設ける場合、その複数の屈曲部9は、第1屈曲部91と第2屈曲部92とを含む(図9参照)。図9では、第1屈曲部91および第2屈曲部92をそれぞれ破線で囲む。
【0079】
第1屈曲部91は、水平方向から上方(「上下方向の一方」に相当)に屈曲する部分であり、第2屈曲部92は、第1屈曲部91のうち吸引気流の流通方向下流側の端に接続され、水平方向から下方(「上下方向の他方」に相当)に屈曲する部分である。すなわち、吸引気流の流通方向の上流側から下流側に向かって、第1屈曲部91および第2屈曲部92がこの順番で連なる。これにより、容易に、複数の屈曲部9を有する吸引風路70を得ることができる。なお、第1屈曲部91では、水平方向に流れる吸引気流が上方に屈曲する。第2屈曲部92では、水平方向に流れる吸引気流が下方に屈曲する。
【0080】
本実施形態では、2つの屈曲部9(すなわち、第1屈曲部91と第2屈曲部92)が単一の吸引風路70に設けられる。ただし、これに限定されない。3つ以上の屈曲部9が単一の吸引風路70に設けられてもよい。たとえば、3つの屈曲部9を単一の吸引風路70に設ける場合、吸引気流の流通方向の上流側から下流側に向かって、第1屈曲部91、第2屈曲部92および第1屈曲部91がこの順番で連接してもよい。
【0081】
吸引風路70に設ける屈曲部9が多いほど、廃インク容器7の貯留領域でのフラッシングインクの回収効率が向上する。一方で、吸引風路70に設ける屈曲部9が多いほど、吸引風路70の流路抵抗が大きくなる。このため、吸引風路70のサイズ(流路幅および流路長)、吸引機構10の能力、および、吸収部材8の材質などに基づき、屈曲部9の形成数が決められる。
【0082】
ここで、第1風路71は、上下方向から見て、接続先の第1受け口711から吸引口730に向かって直線的に延びる。一方で、2つの第2風路72は、上下方向から見て、それぞれ、接続先の第2受け口712から吸引口730に至るまでに1回屈曲する。上下方向から見た場合での吸引風路70の形状だけに着目すると、屈曲数が少ない分、第1風路71は2つの第2風路72よりもフラッシングインクの回収効率が悪い。
【0083】
このため、本実施形態では、少なくとも第1風路71に屈曲部9が設けられる。すなわち、上下方向から見た場合において接続先の受け口710から吸引口730に向かって直線的に延びる吸引風路70に少なくとも、屈曲部9が設けられる。これにより、第1風路71の上下方向から見た場合における形状が直線的であっても、第1風路71でのフラッシングインクの回収効率を向上させることができる。
【0084】
本実施形態では、図示しないが、2つの第2風路72にも屈曲部9が設けられる。すなわち、複数の吸引風路70の全てに屈曲部9が設けられる。これにより、全ての吸引風路70において、吸収部材8でのフラッシングインクの吸収が促進される。これにより、フラッシングインクの回収効率をより向上させることができる。
【0085】
また、本実施形態では、廃インク容器7の貯留領域に吸収部材8を配置し、貯留領域のうち吸収部材8が存在しない空間によって複数の吸引風路70を形成しているので、フラッシングインクの回収効率を容易に向上させることができる。ただし、吸収部材8よりもインクの吸収能力が低いまたはインクを吸収しない部材を廃インク容器7の貯留領域に配置し、その部材で複数の吸引風路70を形成してもよい。
【0086】
今回開示された実施形態は、すべての点で例示であって、制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記実施形態の説明ではなく特許請求の範囲によって示され、さらに、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれる。
【符号の説明】
【0087】
7 廃インク容器
8 吸収部材
9 屈曲部
10 吸引機構
40 記録ヘッド
70 吸引風路
91 第1屈曲部
92 第2屈曲部
100 プリンター(インクジェット記録装置)
710 受け口
730 吸引口
S シート(記録媒体)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10