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特開2024-175829判定装置、判定方法、及びプログラム
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  • 特開-判定装置、判定方法、及びプログラム 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024175829
(43)【公開日】2024-12-19
(54)【発明の名称】判定装置、判定方法、及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   H04W 12/104 20210101AFI20241212BHJP
   H04W 12/63 20210101ALI20241212BHJP
   H04W 12/65 20210101ALI20241212BHJP
   H04W 12/12 20210101ALI20241212BHJP
   G06F 21/60 20130101ALI20241212BHJP
【FI】
H04W12/104
H04W12/63
H04W12/65
H04W12/12
G06F21/60
【審査請求】有
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023093866
(22)【出願日】2023-06-07
(71)【出願人】
【識別番号】399035766
【氏名又は名称】エヌ・ティ・ティ・コミュニケーションズ株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】392026693
【氏名又は名称】株式会社NTTドコモ
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】竹葉 良太郎
(72)【発明者】
【氏名】吉川 裕耀
(72)【発明者】
【氏名】小野田 崇伸
【テーマコード(参考)】
5K067
【Fターム(参考)】
5K067AA30
5K067DD19
5K067DD20
5K067EE02
5K067EE10
5K067EE16
(57)【要約】
【課題】端末の位置情報の正当性を判定する。
【解決手段】端末の位置情報である端末位置情報の正当性を判定するための判定装置であって、前記端末から前記端末位置情報を取得する情報取得部と、前記端末位置情報と、比較対象物についての位置情報である比較対象位置情報とを比較することにより、前記端末位置情報が正当であるか否かを判定する判定部とを備える。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
端末の位置情報である端末位置情報の正当性を判定するための判定装置であって、
前記端末から前記端末位置情報を取得する情報取得部と、
前記端末位置情報と、比較対象物についての位置情報である比較対象位置情報とを比較することにより、前記端末位置情報が正当であるか否かを判定する判定部と
を備える判定装置。
【請求項2】
前記比較対象物は、前記端末と接続される基地局であり、前記比較対象位置情報は、前記基地局の位置情報、又は、前記基地局の通信エリアである
請求項1に記載の判定装置。
【請求項3】
前記端末位置情報により示される位置と前記比較対象位置情報により示される位置との距離が、閾値よりも小さい場合に、前記判定部は、前記端末位置情報を正当であると判定する
請求項2に記載の判定装置。
【請求項4】
前記端末位置情報により示される位置が前記通信エリア内に存在する場合に、前記判定部は、前記端末位置情報を正当であると判定する
請求項2に記載の判定装置。
【請求項5】
前記比較対象物は、固定電話機であり、前記比較対象位置情報は、前記固定電話機の位置情報である
請求項1に記載の判定装置。
【請求項6】
端末の位置情報である端末位置情報の正当性を判定するための判定装置が実行する判定方法であって、
前記端末から前記端末位置情報を取得する情報取得ステップと、
前記端末位置情報と、比較対象物についての位置情報である比較対象位置情報とを比較することにより、前記端末位置情報が正当であるか否かを判定する判定ステップと
を備える判定方法。
【請求項7】
コンピュータを、請求項1ないし5のうちいずれか1項に記載の判定装置における各部として機能させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、位置情報の正当性を判定する技術に関連するものである。
【背景技術】
【0002】
スマートフォン等の端末の位置情報を把握するためにGPS技術が広く使用されている。一般に、GPS技術は、端末のユーザにより、目的地までの道案内、ランニングや登山などで自分の居場所を把握するため、などの目的に利用されている。例えは特許文献1には、GPS技術を用いて歩行者をガイドする技術が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2000-28391号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
近年、多くのサービスが端末により取得された位置情報を利用している。しかし、端末により取得された位置情報は改ざんされる可能性がある。端末の位置情報が改ざんされ、その改ざんを検知できない場合、様々な問題が生じる。
【0005】
例えば、ある企業が、利用者が特定のエリアにいることを条件にサービスを提供するケースにおいて、端末の位置情報が改ざんされてしまうことで、本来利用できない人までそのサービスを利用できてしまうことにつながってしまう。
【0006】
本発明は上記の点に鑑みてなされたものであり、端末の位置情報の正当性を判定するための技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
開示の技術によれば、端末の位置情報である端末位置情報の正当性を判定するための判定装置であって、
前記端末から前記端末位置情報を取得する情報取得部と、
前記端末位置情報と、比較対象物についての位置情報である比較対象位置情報とを比較することにより、前記端末位置情報が正当であるか否かを判定する判定部と
を備える判定装置が提供される。
【発明の効果】
【0008】
開示の技術によれば、端末の位置情報の正当性を判定するための技術が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】通信システムの全体構成例を示す図である。
図2】判定装置100の構成例を示す図である。
図3】通信システムの動作を説明するためのシーケンス図である。
図4】端末位置情報の正当性判定の例を説明するための図である。
図5】端末位置情報の正当性判定の例を説明するための図である。
図6】端末位置情報の正当性判定の例を説明するための図である。
図7】装置のハードウェア構成例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態(本実施の形態)を説明する。以下で説明する実施の形態は一例に過ぎず、本発明が適用される実施の形態は、以下の実施の形態に限られるわけではない。
【0011】
(課題について)
まず、本実施の形態に係る技術についての課題を説明する。前述したように、位置情報の把握のためにGPS技術が広く使用されているが、位置情報は改ざんされる可能性がある。位置情報の改ざんにより問題が生じるケースの例を以下に示す。
【0012】
<例1>
利用者が歩くことを通じて様々なモンスターや特典を享受できる仕組みのゲームが、端末のアプリにより提供されている。本アプリでは、利用者の位置情報を、GPS技術を用いて捕捉している。このケースにおいて、位置情報が改ざんされてしまうと、本来は歩いていないのにもかかわらず様々なポイントを受け取れてしまう。
【0013】
<例2>
クレジットカードの不正利用が増加している。クレジットカード利用者の端末の位置情報を、利用者の位置情報として捕捉することができれば、本人性の確認の信頼度が高まり不正利用を低減できると考えられる。しかし、端末の位置情報が改ざんされてしまうと、クレジットカードの不正利用がなされる可能性がある。
【0014】
<例3>
地震等の災害時には、端末による位置情報収集は救助支援の観点からも重要となる。一方で、災害時にはSNSにおけるデマ情報の流布等がなされる可能性がある。
【0015】
上述した例1~例3のいずれのケースにおいても、端末により取得した位置情報が改ざんされていることを検知することができれば、不正な行為を防止することができる。
【0016】
以下、本実施の形態に係る技術として、端末により取得した位置情報が正当かどうか(改ざんされていないかどうか)を判定するための技術を説明する。
【0017】
(実施の形態の概要)
まず、本実施の形態に係る技術の概要を説明する。本実施の形態では、後述する判定装置100が、端末においてGPSで取得された位置情報と、当該位置情報とは別の位置情報(比較対象位置情報)とを比較することで、当該位置情報の変更や改ざんがされていないかの確認を行う。それにより、「改ざんされていない可能性が高い位置情報」を把握することができる。
【0018】
GPSで取得された位置情報とは別の位置情報として、例えば、端末と通信を行っている基地局(比較対象物の例)の位置情報を用いることができる。
【0019】
基地局は移動しないため、その位置情報は固定となる。判定装置100は、端末から取得した位置情報と、その端末が接続している基地局の位置情報とを比較することで、端末から取得した端末の位置情報が、端末からの電波が基地局に届く範囲の位置を示しているかどうかを判断できる。例えば、端末の位置情報が、本来電波が届かないはずの位置を示している場合、端末の位置情報は改ざんされたものであると判断できる。
【0020】
以下、本実施の形態に係る技術をより詳細に説明する。なお、本技術は例1~例3のいずれのケースにも適用可能であるとともに、例1~例3以外のケースにも適用可能であるが、以下では一例として、本技術を、クレジットカードの不正利用防止に適用する場合の例を説明する。
【0021】
例えば、端末の利用者が、特定の場所(例:日常的にクレジットカードを利用する場所、予め登録した場合)でクレジットカードを利用している場合に、利用者がクレジットカードを正当に利用しようとしている可能性が高い、といった判断を行うケースを想定している。
【0022】
(システム構成例)
図1に、本実施の形態における通信システムの全体構成例を示す。図1に示すように、本通信システムは、判定装置100、情報管理装置200、及びサービス装置300を有し、これらがネットワーク400に接続されている。また、各エリアに、固定の基地局20が備えられており、端末10と基地局20との間で無線通信が行われる。図1には、1つの基地局20と、1つの端末10が示されている。
【0023】
ネットワーク400は、モバイル事業者のコアネットワーク(キャリア網と呼んでもよい)を含み、基地局20は当該コアネットワークに接続されている。基地局20と端末10との間は、3G、4G、5G、あるいは6G等の無線アクセス技術により通信が行われている。
【0024】
判定装置100は、本発明に係る技術を用いて、端末10の位置情報が正当かどうかの判定を行う。情報管理装置200は、基地局の位置情報を保持している。サービス装置300は、本実施の形態においては、クレジットカードの不正利用防止に関する処理を実行する装置である。
【0025】
端末10は、例えばスマートフォン等の携帯端末(移動端末)である。端末10が、自動車等の乗り物であってもよい。端末10は、無線で通信を行う機能、及び、自身の位置情報を取得する機能(例えばGPS機能)を備えている。本実施の形態では、端末10はクレジットカードを利用する利用者の端末10であることを想定している。
【0026】
(判定装置100の構成例)
図2に、判定装置100の構成例を示す。図2に示すように、判定装置100は、情報取得部110、判定部120、情報通知部130、及びデータ記憶部140を備える。各部の動作は、以下の通信システムの動作において説明される。
【0027】
(通信システムの動作例)
次に、図3のシーケンス図の手順に沿って、通信システムの動作例を説明する。図3に示す例において、端末10は、基地局20のエリアに在圏しているものとする。
【0028】
<S101>
S101において、端末10は、GPS機能を用いて自身の位置情報を取得する。端末10による位置情報の取得は、常時(例えば定期的に)行われる。端末10が取得した自身の位置情報を端末位置情報と呼ぶ。
【0029】
<S102>
S102において、端末10は、基地局20から基地局固有情報を取得する。端末10による基地局固有情報の取得は、常時(例えば定期的に)行われる。基地局固有情報は、例えば、TAC(Tracking Area Code)とCell-IDの両方である。基地局固有情報がTACとCell-IDのうちのいずれかであってもよい。基地局固有情報は、TACとCell-IDのいずれとも異なる情報であってもよい。本実施の形態では、基地局固有情報により、基地局20の位置情報を取得可能であるとする。
【0030】
<S103>
S103において、端末10は、自身の端末情報を、例えば自身の記憶装置から取得する。取得する端末情報は、例えば、IMEI(International Mobile Equipment Identifier)と、「MCC(Mobile Country Code)+MNC(Mobile Network Code)」との2つ、又は、これら2つのうちのいずれか1つである。端末情報は、これら以外の情報であってもよい。例えば、端末情報が、端末10の利用者のIDあるいはパスワードであってもよい。
【0031】
<S104>
S104において、端末10は、S101~S103において取得した情報(端末位置情報、基地局固有情報、端末情報)を判定装置100に送信する。判定装置100における情報取得部110は、端末10から送信された情報(端末位置情報、基地局固有情報、端末情報)を受信(取得)し、取得した情報をデータ記憶部140に格納する。
【0032】
<S105>
S105において、判定装置100の情報取得部110は、S104で取得した基地局固有情報をデータ記憶部140から読み出し、当該基地局固有情報を情報管理装置200に送信することにより、基地局20についての位置情報(基地局位置情報)を要求する。情報管理装置200は、当該基地局固有情報を受信する。
【0033】
<S106>
S106において、情報管理装置200は、S105で受信した基地局固有情報に基づいて、基地局位置情報(例えば、緯度,経度)を生成(又は取得)し、生成した基地局位置情報を、S105の要求に対する応答として、判定装置100に返す。判定装置100の情報取得部110は、基地局位置情報を取得し、これをデータ記憶部140に格納する。
【0034】
<S107>
S107において、判定装置100の情報通知部130は、サービス装置300に対して、端末10の利用者(認証対象者)についての位置情報を用いた認証を行っていることを通知する。この通知には、端末情報等の端末10を識別することが可能な情報が含まれる。
【0035】
<S108>
サービス装置300は、例えば、クレジットカードの各利用者についての、「住所、登録した任意の場所の座標情報、ブラックリスト、ホワイトリスト」のうちのいずれか1つ又はいずれか複数又は全部を、自身の記憶装置に保持している。ここで、ブラックリストとは、例えば、クレジットカードの不正利用が疑われる位置(場所)のリストである。ホワイトリストとは、例えば、クレジットカードが正当に利用されることが想定される位置(場所)のリストである。
【0036】
S108において、サービス装置300は、端末10の利用者(認証対象者)についての、「住所、登録した任意の場所の座標情報、ブラックリスト、ホワイトリスト」のうちのいずれか1つ又はいずれか複数又は全部を記憶装置から取得し、取得した情報(これを指定位置情報と呼ぶことにする)を判定装置100へ送信する。
【0037】
判定装置100の情報取得部110は、当該指定位置情報を取得し、データ記憶部140に格納する。
【0038】
<S109>
S109において、判定部120は、S104で取得した端末位置情報と、S106で取得した基地局位置情報とを比較することにより、端末位置情報が正当なものか否か(端末位置情報が改ざんされていないかどうか)を判定する。判定方法の具体例は後述する。
【0039】
ここでは、判定部120は、S104で取得した端末位置情報が改ざんされていないと判断したものとする。
【0040】
判定部120は、端末位置情報と指定位置情報とを比較することで、端末10の位置がクレジットカードを利用する位置として妥当なものであるか否かを判断する。例えば、判定部120は、端末位置情報がブラックリストに含まれる位置に該当しないことを確認する。また、例えば、判定部120は、端末位置情報がホワイトリストに含まれる位置に該当することを確認する。
【0041】
例えば、判定部120は、端末10の位置がクレジットカードを利用する位置として妥当なものであると判断した場合、そのことを示す認証情報を生成する。また、例えば、判定部120は、端末10の位置がクレジットカードを利用する位置として妥当ではないもの(例:ブラックリストに該当)であると判断した場合、そのことを示す認証情報(例えばクレジットカード利用不可を示す情報)を生成する。
【0042】
なお、もしも判定部120が、端末位置情報が改ざんされていると判断した場合には、端末位置情報と指定位置情報との比較を行うことなく、クレジットカード利用不可を示す認証情報を生成することとしてもよい。
【0043】
<S110、S111>
判定装置100の情報通知部130は、S109で生成した認証情報を端末10へ通知する(S110)とともに、サービス装置300へ通知する(S111)。
【0044】
(端末位置情報の正当性を判断する処理の例)
判定部120による端末位置情報の正当性判定の処理例を説明する。ここでは、端末位置情報は、緯度・経度等の座標情報(点の位置)であるとする。
【0045】
<例1>
情報取得部110は、情報管理装置200から、基地局20の位置情報(基地局位置情報)として、緯度・経度等の座標情報(点の位置)を取得する。
【0046】
判定部120は、基地局位置情報で示される位置と、端末位置情報で示される位置との間の距離(ユークリッド距離)を算出し、算出した距離が閾値以下であれば、端末位置情報は正当である(改ざんがない)と判断し、算出した距離が閾値よりも大きければ、端末位置情報は正当ではない(改ざんがなされている)と判断する。
【0047】
上記の閾値は、複数の基地局に共通の、予め決められた値であってもよいし、基地局ごとに予め決められた値であってもよい。例1において、改ざんがなされていないと判断される場合のイメージを図4に示す。
【0048】
<例2>
情報管理装置200は、各基地局の位置情報に加えて、各基地局の通信エリアの最新の情報を保持しているとする。ある基地局の「通信エリア」とは、端末10から送信した情報が無線でその基地局に届く範囲のエリアであるものとする。
【0049】
情報取得部110は、情報管理装置200から、基地局20についての位置情報(基地局位置情報)として、基地局20の通信エリアの情報を取得する。
【0050】
判定部120は、基地局位置情報で示される通信エリア内に、端末位置情報で示される端末10の位置が存在するか否かを判断する。判定部120は、通信エリア内に、端末10の位置が存在する場合には、端末位置情報は正当である(改ざんがなされていない)と判断し、通信エリア内に、端末10の位置が存在しない場合には、端末位置情報は正当でない(改ざんがなされている)と判断する。
【0051】
例2において、改ざんがなされていないと判断される場合のイメージを図5に示す。
【0052】
<例3>
端末10が、キャリアアグリゲーションにより、複数のキャリア(つまり複数のセル)を同時に用いて通信を行う場合がある。この場合、端末10から判定装置100に対して複数の基地局固有情報(ここではセルIDとする)が送信される。
【0053】
例えば、判定装置100が、端末10からセルID_1とセルID_2を受信したとする。ここでは、セルID_1のキャリアの送信元の位置と、セルID_2のキャリアの送信元の位置が異なるものとする。
【0054】
判定装置100の情報取得部110は、セルID_1とセルID_2を情報管理装置200に送信することにより、セルID_1に対応する基地局位置情報(位置1とする)とセルID_2に対応する基地局位置情報(位置2とする)を取得する。なお、ここでの基地局位置情報は、電波の送信元であるアンテナの位置を示す。ここでは、当該アンテナを基地局と呼ぶことにする。
【0055】
判定部120は、位置1と、端末位置情報で示される位置との間の距離(距離1とする)を算出するとともに、位置2と、端末位置情報で示される位置との間の距離(距離2とする)を算出する。
【0056】
ここでは、セルID_1に対応する閾値を閾値1とし、セル_2に対応する閾値を閾値2とする。閾値1と閾値2は同じでもよいし、異なっていてもよい。
【0057】
判定部120は、「距離1≦閾値1、かつ、距離2≦閾値2」を満たす場合に、端末位置情報は正当である(改ざんがない)と判断し、「距離1≦閾値1、かつ、距離2≦閾値2」を満たさない場合に端末位置情報は正当ではない(改ざんがなされている)と判断する。例3において、改ざんがなされていないと判断される場合のイメージを図6に示す。
【0058】
(基地局固有情報の改ざん検知について)
基地局固有情報が、端末10において改ざんされている可能性があるが、判定装置100において改ざんを検知することが可能である。
【0059】
端末10は、基地局20から取得した基地局固有情報を、基地局20を介して判定装置100へ送信する。そこで、例えば、判定装置100の判定部120は、端末10から送信された基地局固有情報を取得した際に、当該基地局固有情報の送信元(ネットワーク400における送信元)の基地局20の情報と、取得した基地局固有情報とを比較して、これらが整合しない場合(例えばTACあるいはセルIDが異なる場合)に、基地局固有情報に改ざんがあったと判断できる。
【0060】
また、ネットワーク400(より具体的にはモバイル事業者のキャリア網)における情報伝送ルートに基づいて、基地局固有情報に改ざんがあるかどうかチェックすることも可能である。
【0061】
ここでは、判定装置100の情報取得部110は、端末10から送信された情報を取得する際に、その情報の伝送ルートの情報も得ることができるとする。その情報の伝送ルートとは、その情報そのものの伝送ルートであってもよいし、その情報の伝送のための制御プレーンの信号の伝送ルートであってもよい。
【0062】
例えば、判定装置100の情報取得部110は、端末10から送信された情報を取得する際に、その情報の伝送ルートとして、その情報又は制御プレーンの信号が「ノードAとノードB」を経由したことを示す情報を取得したとする。
【0063】
例えば、判定装置100の判定部120は、取得した情報の伝送のために、信号がノードA(例えば、基地局固有情報により示されるエリアから遠いエリアのAMF)を経由することはあり得ないと判断すると、取得した基地局固有情報は改ざんされていると判断できる。なお、基地局20等において、ブロックチェーン技術を活用し、加工できない形で基地局固有情報の提供を行うこととしてもよい。
【0064】
(端末位置情報と比較する対象について)
これまでに説明した例では、端末位置情報と比較する対象を、基地局位置情報としたが、端末位置情報と比較する対象は、基地局位置情報に限定されない。端末位置情報と比較する対象として、固定されている物(移動しない物)であればどのような物を使用してもよい。基地局位置情報以外の比較対象の一例を以下に説明する。
【0065】
基地局位置情報以外の比較対象として、0ABJ番号が付与されている固定電話機の位置情報を使用することができる。この固定電話機は、自宅や会社に設置されている固定電話機であってもよいし、公衆電話機であってもよい。
【0066】
この例では、端末10の近くに固定電話機があることを想定する。例えば、クレジットカードの不正利用防止のユースケースの場合、予め登録した場所でクレジットカードを利用することになっており、その登録した場所(例えば自宅)に固定電話機がある、といった状況を想定する。
【0067】
また、本例では、判定装置100の判定部120は、端末情報に対応付けられている0ABJ番号を取得可能である。0ABJ番号は、判定装置100のデータ記憶部140から取得してもよいし、サービス装置300から取得してもよい。また、判定部120は、当該0ABJ番号が付与された固定電話機の位置情報(電話位置情報と呼ぶ)を取得可能である。電話位置情報は、判定装置100のデータ記憶部140から取得してもよいし、サービス装置300から取得してもよい。
【0068】
まず、端末10から端末位置情報と端末情報が送信され、判定装置100の情報取得部110は、端末10から送信された端末位置情報と端末情報を取得する。
【0069】
その後、判定装置100の判定部120は、端末情報に対応する0ABJ番号(固定電話機の電話番号)を取得し、当該0ABJ番号を用いて固定電話機に接続する(つまり、固定電話機に電話をかける)。
【0070】
端末10の利用者が、固定電話機の受話器をとる(電話に出る)と、判定部120は、固定電話機に対して認証情報(認証コード等)を送信する。利用者は当該認証情報を確認し、当該認証情報を固定電話機に投入する(音声で発話してもよいし、ボタンなどで入力してもよい)。
【0071】
判定部120は、固定電話機から認証情報を受信し、送信した認証情報と一致するか否かを確認する。ここでは一致したものとし、判定部120は、端末10の利用者が、固定電話機が設置されている場所にいると判断する。
【0072】
続いて、判定部120は、固定電話機の位置情報(電話位置情報)を取得し、電話位置情報で示される位置と端末位置情報で示される位置との間の距離(ユークリッド距離)を算出する。例えば判定部120は、算出した距離が閾値以下であれば、端末位置情報は正当である(改ざんがない)と判断し、算出した距離が閾値よりも大きければ、端末位置情報は正当ではない(改ざんがなされている)と判断する。
【0073】
(装置のハードウェア構成例)
本実施の形態で説明したいずれの装置(端末10、基地局20、判定装置100、情報管理装置200、サービス装置300)も、例えば、コンピュータにプログラムを実行させることにより実現できる。
【0074】
すなわち、当該装置は、コンピュータに内蔵されるCPUやメモリ等のハードウェア資源を用いて、当該装置で実施される処理に対応するプログラムを実行することによって実現することが可能である。上記プログラムは、コンピュータが読み取り可能な記録媒体(可搬メモリ等)に記録して、保存したり、配布したりすることが可能である。また、上記プログラムをインターネットや電子メール等、ネットワークを通して提供することも可能である。
【0075】
図7は、上記コンピュータのハードウェア構成例を示す図である。図7のコンピュータは、それぞれバスBで相互に接続されているドライブ装置1000、補助記憶装置1002、メモリ装置1003、CPU1004、インタフェース装置1005、表示装置1006、入力装置1007、出力装置1008等を有する。
【0076】
当該コンピュータでの処理を実現するプログラムは、例えば、CD-ROM又はメモリカード等の記録媒体1001によって提供される。プログラムを記憶した記録媒体1001がドライブ装置1000にセットされると、プログラムが記録媒体1001からドライブ装置1000を介して補助記憶装置1002にインストールされる。但し、プログラムのインストールは必ずしも記録媒体1001より行う必要はなく、ネットワークを介して他のコンピュータよりダウンロードするようにしてもよい。補助記憶装置1002は、インストールされたプログラムを格納すると共に、必要なファイルやデータ等を格納する。
【0077】
メモリ装置1003は、プログラムの起動指示があった場合に、補助記憶装置1002からプログラムを読み出して格納する。CPU1004は、メモリ装置1003に格納されたプログラムに従って、当該装置に係る機能を実現する。インタフェース装置1005は、ネットワーク等に接続するためのインタフェースとして用いられる。表示装置1006はプログラムによるGUI(Graphical User Interface)等を表示する。入力装置1007はキーボード及びマウス、ボタン、又はタッチパネル等で構成され、様々な操作指示を入力させるために用いられる。出力装置1008は演算結果を出力する。
【0078】
(実施の形態の効果)
以上説明したとおり、本実施の形態に係る技術により、端末の位置情報の正当性を判定することが可能となる。
【0079】
端末の位置情報の正当性を確認できることで、例えば、前述の課題の例1で説明したゲームにおいて、不正なポイントの取得を防止できる。また、課題の例2で説明したクレジットカードの不正利用を防止できる。また、課題の例3に関連して、災害時の正確な位置情報の捕捉ができるようになり、迅速な救助につなげることができる。
【0080】
以上の実施形態に関し、更に以下の付記を開示する。
【0081】
<付記>
(付記項1)
端末の位置情報である端末位置情報の正当性を判定するための判定装置であって、
前記端末から前記端末位置情報を取得する情報取得部と、
前記端末位置情報と、比較対象物についての位置情報である比較対象位置情報とを比較することにより、前記端末位置情報が正当であるか否かを判定する判定部と
を備える判定装置。
(付記項2)
前記比較対象物は、前記端末と接続される基地局であり、前記比較対象位置情報は、前記基地局の位置情報、又は、前記基地局の通信エリアである
付記項1に記載の判定装置。
(付記項3)
前記端末位置情報により示される位置と前記比較対象位置情報により示される位置との距離が、閾値よりも小さい場合に、前記判定部は、前記端末位置情報を正当であると判定する
付記項2に記載の判定装置。
(付記項4)
前記端末位置情報により示される位置が前記通信エリア内に存在する場合に、前記判定部は、前記端末位置情報を正当であると判定する
付記項2に記載の判定装置。
(付記項5)
前記比較対象物は、固定電話機であり、前記比較対象位置情報は、前記固定電話機の位置情報である
付記項1に記載の判定装置。
(付記項6)
端末の位置情報である端末位置情報の正当性を判定するための判定装置が実行する判定方法であって、
前記端末から前記端末位置情報を取得する情報取得ステップと、
前記端末位置情報と、比較対象物についての位置情報である比較対象位置情報とを比較することにより、前記端末位置情報が正当であるか否かを判定する判定ステップと
を備える判定方法。
(付記項7)
コンピュータを、付記項1ないし5のうちいずれか1項に記載の判定装置における各部として機能させるためのプログラムを記憶した非一時的記憶媒体。
【0082】
以上、本実施の形態について説明したが、本発明はかかる特定の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形・変更が可能である。
【符号の説明】
【0083】
10 端末
20 基地局
100 判定装置
110 情報取得部
120 判定部
130 情報通知部
140 データ記憶部
200 情報管理装置
300 サービス装置
400 ネットワーク
1000 ドライブ装置
1001 記録媒体
1002 補助記憶装置
1003 メモリ装置
1004 CPU
1005 インタフェース装置
1006 表示装置
1007 入力装置
1008 出力装置
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
【手続補正書】
【提出日】2024-08-19
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
キャリアアグリゲーションにより複数の基地局と通信を行う端末の位置情報である端末位置情報の正当性を判定するための判定装置であって、
前記端末から前記端末位置情報を取得し、前記端末から取得した複数の基地局固有情報に対応する複数の基地局位置情報を、情報管理装置から取得する情報取得部と、
前記端末位置情報と、前記複数の基地局位置情報のそれぞれとを比較することにより、前記端末位置情報が正当であるか否かを判定する判定部と
を備える判定装置。
【請求項2】
前記複数の基地局位置情報のそれぞれについて、基地局位置情報により示される位置と前記端末位置情報により示される位置との距離が、閾値よりも小さい場合に、前記判定部は、前記端末位置情報を正当であると判定する
請求項に記載の判定装置。
【請求項3】
キャリアアグリゲーションにより複数の基地局と通信を行う端末の位置情報である端末位置情報の正当性を判定するための判定装置が実行する判定方法であって、
前記端末から前記端末位置情報を取得し、前記端末から取得した複数の基地局固有情報に対応する複数の基地局位置情報を、情報管理装置から取得する情報取得ステップと、
前記端末位置情報と、前記複数の基地局位置情報のそれぞれとを比較することにより、前記端末位置情報が正当であるか否かを判定する判定ステップと
を備える判定方法。
【請求項4】
コンピュータを、請求項1又は2に記載の判定装置における各部として機能させるためのプログラム。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0007
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0007】
開示の技術によれば、キャリアアグリゲーションにより複数の基地局と通信を行う端末の位置情報である端末位置情報の正当性を判定するための判定装置であって、
前記端末から前記端末位置情報を取得し、前記端末から取得した複数の基地局固有情報に対応する複数の基地局位置情報を、情報管理装置から取得する情報取得部と、
前記端末位置情報と、前記複数の基地局位置情報のそれぞれとを比較することにより、前記端末位置情報が正当であるか否かを判定する判定部と
を備える判定装置が提供される。