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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024175833
(43)【公開日】2024-12-19
(54)【発明の名称】スイッチング電源装置
(51)【国際特許分類】
   H02M 3/155 20060101AFI20241212BHJP
【FI】
H02M3/155 H
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023093873
(22)【出願日】2023-06-07
(71)【出願人】
【識別番号】000116024
【氏名又は名称】ローム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001933
【氏名又は名称】弁理士法人 佐野特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】森山 洋平
(72)【発明者】
【氏名】柏木 淳一
(72)【発明者】
【氏名】山口 敦司
【テーマコード(参考)】
5H730
【Fターム(参考)】
5H730AA14
5H730AS05
5H730BB13
5H730BB57
5H730DD04
5H730EE59
5H730FD01
5H730FD31
5H730FF05
5H730FG07
(57)【要約】
【課題】駆動周波数の制御を容易化することができるスイッチング電源装置を提供する。
【解決手段】スイッチング電源装置(100)は、スイッチング素子(M1)を有し、前記スイッチング素子のスイッチングによって出力電圧(Vout)を生成するように構成される電源回路(1)と、前記出力電圧に基づく帰還電圧(Vfb)を重畳させた三角波信号(V-)を生成するように構成される三角波生成部(3)と、前記三角波信号とヒステリシス幅を有する基準電圧(V+)とを比較するように構成されるコンパレータ(2)と、を備え、前記コンパレータの比較結果に基づいて前記スイッチング素子はスイッチングされ、前記三角波生成部は、前記三角波信号の傾きを可変とする。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
スイッチング素子を有し、前記スイッチング素子のスイッチングによって出力電圧を生成するように構成される電源回路と、
前記出力電圧に基づく帰還電圧を重畳させた三角波信号を生成するように構成される三角波生成部と、
前記三角波信号とヒステリシス幅を有する基準電圧とを比較するように構成されるコンパレータと、
を備え、
前記コンパレータの比較結果に基づいて前記スイッチング素子はスイッチングされ、
前記三角波生成部は、前記三角波信号の傾きを可変とする、スイッチング電源装置。
【請求項2】
前記三角波生成部は、可変である制御電圧に基づいて前記三角波信号の傾きを可変とする、請求項1に記載のスイッチング電源装置。
【請求項3】
前記三角波生成部は、
前記制御電圧の印加端に接続される上側スイッチング素子と、
前記上側スイッチング素子に第1ノードにおいて接続される下側スイッチング素子と、
前記第1ノードに生じるスイッチ電圧を前記三角波信号に変換するように構成されるローパスフィルタと、
を有し、
前記上側スイッチング素子と前記下側スイッチング素子は、前記コンパレータの出力信号に基づいて相補的に駆動される、請求項2に記載のスイッチング電源装置。
【請求項4】
前記ローパスフィルタは、RC回路である、請求項3に記載のスイッチング電源装置。
【請求項5】
前記上側スイッチング素子と前記下側スイッチング素子ともにNチャネル型MOSFETで構成され、
前記上側スイッチング素子のゲートは、前記コンパレータの第1出力信号によって駆動され、
前記下側スイッチング素子のゲートは、前記第1出力信号を論理反転させた第2出力信号によって駆動される、請求項3に記載のスイッチング電源装置。
【請求項6】
前記上側スイッチング素子は、Pチャネル型MOSFETで構成され、
前記下側スイッチング素子は、Nチャネル型MOSFETで構成され、
前記上側スイッチング素子と前記下側スイッチング素子の両方のゲートは、前記コンパレータから出力される共通の前記出力信号によって駆動される、請求項3に記載のスイッチング電源装置。
【請求項7】
前記上側スイッチング素子と前記下側スイッチング素子を相補的に駆動するときに、同時オフ期間が設けられる、請求項3に記載のスイッチング電源装置。
【請求項8】
負荷に応じて前記制御電圧を生成するように構成される制御電圧生成部をさらに備える、請求項2に記載のスイッチング電源装置。
【請求項9】
前記制御電圧生成部は、
負過電流を検出するように構成される電流センサと、
前記電流センサから出力される電圧信号に基づく電圧が印加される第1端を有する第1抵抗と、
前記第1抵抗の第2端に接続されるベースを有する第1NPNトランジスタと、
前記第1NPNトランジスタのコレクタに接続される第1端と、電源電圧の印加端に接続される第2端と、を有する第2抵抗と、
前記第1NPNトランジスタのコレクタに接続されるベースと、前記第2抵抗の第2端に接続されるコレクタと、を有する第2NPNトランジスタと、
前記第2NPNトランジスタのエミッタに接続されるコンデンサと、
を有する、請求項8に記載のスイッチング電源装置。
【請求項10】
前記電源回路は、降圧型のDC/DCコンバータである、請求項1から請求項9のいずれか1項に記載のスイッチング電源装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、スイッチング電源装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、スイッチング電源装置における制御方式として、ヒステリシス制御方式が知られている(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2012-125107号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ここで、ヒステリシス制御方式を用いたスイッチング電源装置において、駆動周波数の制御について改善の余地があった。
【0005】
本開示は、駆動周波数の制御を容易化することができるスイッチング電源装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
例えば、本開示の一態様に係るスイッチング電源装置は、
スイッチング素子を有し、前記スイッチング素子のスイッチングによって出力電圧を生成するように構成される電源回路と、
前記出力電圧に基づく帰還電圧を重畳させた三角波信号を生成するように構成される三角波生成部と、
前記三角波信号とヒステリシス幅を有する基準電圧とを比較するように構成されるコンパレータと、
を備え、
前記コンパレータの比較結果に基づいて前記スイッチング素子はスイッチングされ、
前記三角波生成部は、前記三角波信号の傾きを可変とする構成としている。
【発明の効果】
【0007】
本開示の例示的なスイッチング電源装置によれば、駆動周波数の制御を容易化することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、比較例に係るスイッチング電源装置の構成を示す図である。
図2図2は、三角波信号V-と基準電圧V+の波形例を示す図である。
図3図3は、比較例に係るスイッチング電源装置の具体例を示す図である
図4図4は、基準電圧V+のヒステリシス幅を変化させることで駆動周波数を変化させる場合の波形例を示す図である。
図5図5は、本開示の例示的な実施形態に係るスイッチング電源装置の構成を示す図である。
図6図6は、本開示の実施形態に係るスイッチング電源装置によって駆動周波数を変化させる場合の波形例を示す図である。
図7図7は、制御電圧Vcを生成する制御電圧生成部の一例を示す図である。
図8図8は、三角波生成部の変形例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本開示の例示的な実施形態について、図面を参照して説明する。
【0010】
<1.比較例>
図1は、比較例に係るスイッチング電源装置10の構成を示す図である。スイッチング電源装置10は、ヒステリシス制御方式を用いる。スイッチング電源装置10は、DC/DCコンバータ1と、コンパレータ2と、を備える。
【0011】
DC/DCコンバータ1は、図示しないスイッチング素子を有し、スイッチング素子のスイッチングにより直流電圧である入力電圧を直流電圧である出力電圧に変換する。DC/DCコンバータ1からは、上記出力電圧に基づく帰還電圧が重畳された三角波信号V-が出力される。三角波信号V-は、コンパレータ2の反転入力端(-)に入力される。コンパレータ2の非反転入力端(+)には、基準電圧V+が入力される。コンパレータ2は、三角波信号V-と基準電圧V+を比較することで、比較結果として出力信号Soutを出力する。DC/DCコンバータ1においては、出力信号Soutに基づいて上記スイッチング素子のスイッチングが行われる。
【0012】
図2は、三角波信号V-と基準電圧V+の波形例を示す図である。基準電圧V+は、ヒステリシス幅Hを有する。三角波信号V-が上昇するとき基準電圧V+は第1レベルV1であり、出力信号Soutはハイレベルである。そして、三角波信号V-が第1レベルV1を上回ると(タイミングt1)、出力信号Soutはローレベルとなる。すると、出力信号Soutに基づいてスイッチング素子のオンオフ状態が切替えられ、基準電圧V+は、第1レベルV1から第2レベルV2に切り替えられる。V2は、V1よりも低い。
【0013】
そして、三角波信号V-が下降して第2レベルV2を下回ると(タイミングt2)、出力信号Soutはハイレベルとなる。すると、出力信号Soutに基づいてスイッチング素子のオンオフ状態が切替えられ、基準電圧V+は、第2レベルV2から第1レベルV1に切り替えられる。そして、三角波信号V-は、再び上昇する。
【0014】
このように、出力信号Soutはパルス信号となる。三角波信号V-の傾き(変化速度)およびヒステリシス幅Hによって、出力信号Soutの1周期、すなわちスイッチングの駆動周波数が決まる。
【0015】
図3は、比較例に係るスイッチング電源装置10の具体例を示す図である。図3に示す構成においては、DC/DCコンバータ1が非同期型の降圧型コンバータとして構成される。図3に示すDC/DCコンバータ1は、スイッチング素子M1と、ダイオードD1と、インダクタL1と、出力コンデンサCoと、分圧抵抗Rd1,Rd2と、ゲートドライバDrと、を有する。
【0016】
スイッチング素子M1は、Nチャネル型MOSFET(Metal-Oxide-Semiconductor Field Effect Transistor)により構成される。スイッチング素子M1のドレインは、入力電圧Vinの印加端に接続される。スイッチング素子M1のソースとダイオードD1のカソードとが接続されるノードNAは、インダクタL1の一端に接続される。インダクタL1の他端は、出力コンデンサCoの一端に接続される。ダイオードD1のアノードおよび出力コンデンサCoの他端は、グランド電位の印加端に接続される。
【0017】
ゲートドライバDrによりスイッチング素子M1のゲートが駆動され、スイッチング素子M1がスイッチングされる。スイッチング素子M1のスイッチングにより、入力電圧Vinが降圧されて出力電圧Voutが生成される。出力電圧Voutは、出力コンデンサCoの一端とインダクタL1の他端とが接続されるノードNBに生成される。出力電圧Voutは、負荷LDに印加される。分圧抵抗Rd1,Rd2は、ノードNBとグランド電位の印加端との間に直列接続される。これにより、出力電圧Voutは、分圧抵抗Rd1,Rd2により分圧される。
【0018】
抵抗R1とコンデンサC1によるRC回路がインダクタL1と並列に接続される。具体的には、抵抗R1の一端は、ノードNAに接続される。抵抗R1の他端は、ノードNCにおいてコンデンサC1の一端に接続される。コンデンサC1の他端は、ノードNBに接続される。
【0019】
ノードNAの電圧は、スイッチング素子M1のオンオフによって変化する。一方、ノードNBの電圧は、出力コンデンサCoによる平滑化のため、ほとんど変化しない。そのため、ノードNA,NB間に上記RC回路を接続することで、ノードNCにおいてリップルを生成することができる。出力電圧Voutが分圧抵抗Rd1,Rd2により分圧されて生成される帰還電圧が上記リップルに重畳され、三角波信号V-が生成される。ゲートドライバDrは、コンパレータ2から出力される出力信号Soutに基づいてスイッチング素子M1をスイッチングする。具体的には、出力信号Soutがハイレベルの場合、スイッチング素子M1をオン状態、出力信号Soutがローレベルの場合、スイッチング素子M1をオフ状態とする。
【0020】
ここで、駆動周波数を変化させるためには、三角波信号V-の傾きを変化させる方法が考えられる。しかしながら、図3に示す構成では、ノードNA,NBがDC/DCコンバータ1の回路上に配置されるため、外部から操作することができず、三角波信号V-の傾きを駆動中に変化させることができない。これにより、例えば、駆動条件によって駆動周波数を変化させることなどができない。
【0021】
一方、駆動周波数を変化させるためには、基準電圧V+のヒステリシス幅を変化させる方法も考えられる。図4は、基準電圧V+のヒステリシス幅を変化させることで駆動周波数を変化させる場合の波形例を示す図である。図4においては、一例として駆動周波数を1Mzと1.5Mzとした場合の例を示し、基準電圧V+と三角波信号V-の波形例、および出力信号Soutの波形例を示す。
【0022】
図4に示すように、駆動周波数を1Mzとするためにヒステリシス幅を0.1Vとし、駆動周波数を1.5Mzとするためにヒステリシス幅を0.07Vとしている。このように駆動周波数がMz級の場合、ヒステリシス幅を小さくする必要があり、駆動周波数を変化させるために図4の例では0.1Vと0.07Vの差である30mVでヒステリシス幅を変化させる必要があり、制御が困難となる。
【0023】
なお、図4においては、出力信号Soutを論理反転させた出力信号Sout_Bもあわせて図示している。図3の構成において、ダイオードD1を下側スイッチング素子に置き換えた、同期整流型のDC/DCコンバータ1の場合は、上記下側スイッチング素子を出力信号Sout_Bに基づいてスイッチングしてもよい。
【0024】
<2.本開示のスイッチング電源装置>
図5は、本開示の例示的な実施形態に係るスイッチング電源装置100の構成を示す図である。スイッチング電源装置100は、DC/DCコンバータ1と、コンパレータ2と、三角波生成部3と、を備える。
【0025】
図5におけるDC/DCコンバータ1の構成は、先述した図3の構成における抵抗R1とコンデンサC1によるRC回路を除いた構成と同様であるため、詳述を省く。
【0026】
三角波生成部3は、DC/DCコンバータ1の外部に設けられ、三角波信号V-を生成する回路である。コンパレータ2は、基準電圧V+と三角波信号V-とを比較し、出力信号Sout1を生成する。出力信号Sout1はパルス信号である。ゲートドライバDrは、出力信号Sout1に基づいてスイッチング素子M1を駆動する。具体的には、出力信号Sout1がハイレベルの場合、スイッチング素子M1をオン状態、出力信号Sout1がローレベルの場合、スイッチング素子M1をオフ状態とする。なお、コンパレータ2は、出力信号Sout1を論理反転させた出力信号Sout2も出力する。出力信号Sout2は、三角波生成部3における制御に用いられる。
【0027】
三角波生成部3は、上側スイッチング素子Q1と、下側スイッチング素子Q2と、抵抗R2と、コンデンサC2と、を有する。上側スイッチング素子Q1および下側スイッチング素子Q2は、いずれもNチャネル型MOSFETにより構成される。上側スイッチング素子Q1のドレインは、制御電圧Vcの印加端に接続される。上側スイッチング素子Q1のソースは、ノードN1において下側スイッチング素子Q2のドレインに接続される。下側スイッチング素子Q2のソースは、グランド電位の印加端に接続される。
【0028】
上側スイッチング素子Q1のゲートは、出力信号Sout1によって駆動される。下側スイッチング素子Q2のゲートは、出力信号Sout2によって駆動される。これにより、上側スイッチング素子Q1と下側スイッチング素子Q2は、相補的にスイッチングされる。
【0029】
ノードN1には、抵抗R2とコンデンサC2によるRC回路31が接続される。具体的には、抵抗R2の一端は、ノードN1に接続される。抵抗R2の他端は、ノードN2においてコンデンサC2の一端に接続される。コンデンサC2の他端は、グランド電位の印加端に接続される。
【0030】
上側スイッチング素子Q1と下側スイッチング素子Q2のスイッチングによってノードN1に生成されるパルス状のスイッチ電圧SWがRC回路31によって三角波信号V-に変換される。RC回路31は、ローパスフィルタの一例である。出力電圧Voutを分圧抵抗Rd1,Rd2により分圧して得られる帰還電圧Vfbは、三角波信号V-に重畳される。
【0031】
出力信号Sout1がハイレベルの場合、出力信号Sout2がローレベルとなり、上側スイッチング素子Q1がオン状態、下側スイッチング素子Q2がオフ状態とされる。このとき、スイッチ電圧SWはハイレベルとなり、三角波信号V-は上昇する。一方、出力信号Sout1がローレベルの場合、出力信号Sout2がハイレベルとなり、上側スイッチング素子Q1がオフ状態、下側スイッチング素子Q2がオン状態とされる。このとき、スイッチ電圧SWはローレベルとなり、三角波信号V-は下降する。
【0032】
なお、上側スイッチング素子Q1と下側スイッチング素子Q2の相補的なスイッチングにおいて、同時オフ期間(いわゆるデッドタイム)を設け、貫通電流を抑制してもよい。
【0033】
ここで、制御電圧Vcを変化させると、三角波信号V-の傾きが変化するため、駆動周波数を変化させることができる。なお、制御電圧Vcは、駆動中に自動的に変化するようにしてもよいし、スイッチング電源装置100の少なくとも一部の構成を有する半導体装置に外付けされる抵抗などにより設定してもよい。
【0034】
図6は、本開示の実施形態に係るスイッチング電源装置100によって駆動周波数を変化させる場合の波形例を示す図である。図6においては、一例として駆動周波数を1Mzと1.5Mzとした場合の例を示し、基準電圧V+と三角波信号V-の波形例、および出力信号Sout1,Sout2の波形例を示す。
【0035】
図6の例では、制御電圧Vc=5Vとすることで駆動周波数1MHzとし、制御電圧Vc=7.5Vとすることで駆動周波数1.5MHzとしている。図6に示すように、制御電圧Vcを変化させることで三角波信号V-の傾きが変化し、駆動周波数が変化している。具体的には、制御電圧Vcが高いほど三角波信号V-の傾きは大きくなり、駆動周波数は高くなる。このように、MHz級の駆動周波数を変化させるために、図6の例では7.5Vと5Vの差である2.5Vで制御電圧Vcを変化させればよく、先述した図4の場合に比べて制御は容易となる。
【0036】
<3.制御電圧生成部>
図7は、制御電圧Vcを生成する制御電圧生成部の一例を示す図である。図7に示す制御電圧生成部4は、電流センサ41と、抵抗42と、NPNトランジスタ43と、抵抗44と、NPNトランジスタ45と、コンデンサ46と、を有する。
【0037】
電流センサ41は、負荷LDに流れる負過電流を検出する。電流センサ41は、検出した負過電流を電圧信号として出力する。当該電圧信号は、抵抗42の一端に印加される。抵抗42の他端は、NPNトランジスタ43のベースに接続される。NPNトランジスタ43のエミッタは、グランド電位の印加端に接続される。NPNトランジスタ43のコレクタは、抵抗44の一端とともにNPNトランジスタ45のベースに接続される。抵抗44の他端とNPNトランジスタ45のコレクタは、電源電圧Vddの印加端に接続される。NPNトランジスタ45のエミッタとグランド電位の印加端との間には、コンデンサ46が接続される。NPNトランジスタ45のエミッタに制御電圧Vcが生成される。
【0038】
電流センサ41から出力される電圧信号は、負過電流が小さいほど低くなるため、NPNトランジスタ43のオン抵抗が高くなる。これにより、電源電圧Vddを抵抗44とNPNトランジスタ43のオン抵抗により分圧されて得られるNPNトランジスタ45のベース電圧は、高くなる。従って、制御電圧Vcが高くなる。なお、NPNトランジスタ45は、レギュレータとして機能する。このような制御電圧生成部4によれば、軽負荷の場合に制御電圧Vcを高くし、駆動周波数を高めることができる。すなわち、駆動中に負荷に応じて駆動周波数を自動的に変化させることができる。
【0039】
なお、電流センサ41と抵抗42の間にオペアンプを挿入してもよい。
【0040】
<4.変形例>
図8は、三角波生成部3の変形例を示す図である。図8に示す三角波生成部3においては、図5との相違点として、上側スイッチング素子Q1をPチャネル型MOSFETにより構成している。これにより、図8に示すように、出力信号Sout2によって上側スイッチング素子Q1と下側スイッチング素子Q2の両方のゲートを駆動すればよい。
【0041】
<5.その他>
なお、本明細書中に開示されている種々の技術的特徴は、上記実施形態のほか、その技術的創作の主旨を逸脱しない範囲で種々の変更を加えることが可能である。すなわち、上記実施形態は、全ての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきであり、本発明の技術的範囲は、上記実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内に属する全ての変更が含まれると理解されるべきである。
【0042】
例えば、本開示のスイッチング電源装置において、DC/DCコンバータは、例えば昇圧型のDC/DCコンバータとしてもよい。
【0043】
<6.付記>
以上のように、本開示の一態様に係るスイッチング電源装置(100)は、
スイッチング素子(M1)を有し、前記スイッチング素子のスイッチングによって出力電圧(Vout)を生成するように構成される電源回路(1)と、
前記出力電圧に基づく帰還電圧(Vfb)を重畳させた三角波信号(V-)を生成するように構成される三角波生成部(3)と、
前記三角波信号とヒステリシス幅を有する基準電圧(V+)とを比較するように構成されるコンパレータ(2)と、
を備え、
前記コンパレータの比較結果に基づいて前記スイッチング素子はスイッチングされ、
前記三角波生成部は、前記三角波信号の傾きを可変とする構成としている(第1の構成)。
【0044】
また、上記第1の構成において、前記三角波生成部(3)は、可変である制御電圧(Vc)に基づいて前記三角波信号の傾きを可変とする構成としてもよい(第2の構成)。
【0045】
また、上記第2の構成において、前記三角波生成部(3)は、
前記制御電圧(Vc)の印加端に接続される上側スイッチング素子(Q1)と、
前記上側スイッチング素子に第1ノード(N1)において接続される下側スイッチング素子(Q2)と、
前記第1ノードに生じるスイッチ電圧(SW)を前記三角波信号に変換するように構成されるローパスフィルタ(31)と、
を有し、
前記上側スイッチング素子と前記下側スイッチング素子は、前記コンパレータの出力信号(Sout1,Sout2)に基づいて相補的に駆動される構成としてもよい(第3の構成)。
【0046】
また、上記第3の構成において、前記ローパスフィルタは、RC回路(31)である構成としてもよい(第4の構成)。
【0047】
また、上記第3または第4の構成において、前記上側スイッチング素子(Q1)と前記下側スイッチング素子(Q2)ともにNチャネル型MOSFETで構成され、
前記上側スイッチング素子のゲートは、前記コンパレータの第1出力信号(Sout1)によって駆動され、
前記下側スイッチング素子のゲートは、前記第1出力信号を論理反転させた第2出力信号(Sout2)によって駆動される構成としてもよい(第5の構成)。
【0048】
また、上記第3または第4の構成において、前記上側スイッチング素子(Q1)は、Pチャネル型MOSFETで構成され、
前記下側スイッチング素子(Q2)は、Nチャネル型MOSFETで構成され、
前記上側スイッチング素子と前記下側スイッチング素子の両方のゲートは、前記コンパレータから出力される共通の前記出力信号(Sout2)によって駆動される構成としてもよい(第6の構成)。
【0049】
上記第3から第6のいずれかの構成において、前記上側スイッチング素子と前記下側スイッチング素子を相補的に駆動するときに、同時オフ期間が設けられる構成としてもよい(第7の構成)。
【0050】
また、上記第2から第7のいずれかの構成において、負荷に応じて前記制御電圧(Vc)を生成するように構成される制御電圧生成部(4)をさらに備える構成としてもよい(第8の構成)。
【0051】
また、上記第8の構成において、前記制御電圧生成部(4)は、
負過電流を検出するように構成される電流センサ(41)と、
前記電流センサから出力される電圧信号に基づく電圧が印加される第1端を有する第1抵抗(42)と、
前記第1抵抗の第2端に接続されるベースを有する第1NPNトランジスタ(43)と、
前記第1NPNトランジスタのコレクタに接続される第1端と、電源電圧(Vdd)の印加端に接続される第2端と、を有する第2抵抗(44)と、
前記第1NPNトランジスタのコレクタに接続されるベースと、前記第2抵抗の第2端に接続されるコレクタと、を有する第2NPNトランジスタ(45)と、
前記第2NPNトランジスタのエミッタに接続されるコンデンサ(46)と、
を有する構成としてもよい(第9の構成)。
【0052】
また、上記第1から第9のいずれかの構成において、前記電源回路は、降圧型のDC/DCコンバータ(1)である構成としてもよい(第10の構成)。
【産業上の利用可能性】
【0053】
本開示は、種々の用途のスイッチング電源装置に利用することが可能である。
【符号の説明】
【0054】
1 DC/DCコンバータ
2 コンパレータ
3 三角波生成部
4 制御電圧生成部
10 スイッチング電源装置
31 RC回路
41 電流センサ
42 抵抗
43 NPNトランジスタ
44 抵抗
45 NPNトランジスタ
46 コンデンサ
100 スイッチング電源装置
C1,C2 コンデンサ
Co 出力コンデンサ
D1 ダイオード
Dr ゲートドライバ
L1 インダクタ
LD 負荷
M1 スイッチング素子
Q1 上側スイッチング素子
Q2 下側スイッチング素子
R1,R2 抵抗
Rd1,Rd2 分圧抵抗
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8