IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社三機コンシスの特許一覧

特開2024-175855冷却装置及び冷却装置を取り付けた被服
<>
  • 特開-冷却装置及び冷却装置を取り付けた被服 図1
  • 特開-冷却装置及び冷却装置を取り付けた被服 図2
  • 特開-冷却装置及び冷却装置を取り付けた被服 図3
  • 特開-冷却装置及び冷却装置を取り付けた被服 図4
  • 特開-冷却装置及び冷却装置を取り付けた被服 図5
  • 特開-冷却装置及び冷却装置を取り付けた被服 図6
  • 特開-冷却装置及び冷却装置を取り付けた被服 図7
  • 特開-冷却装置及び冷却装置を取り付けた被服 図8
  • 特開-冷却装置及び冷却装置を取り付けた被服 図9
  • 特開-冷却装置及び冷却装置を取り付けた被服 図10
  • 特開-冷却装置及び冷却装置を取り付けた被服 図11
  • 特開-冷却装置及び冷却装置を取り付けた被服 図12
  • 特開-冷却装置及び冷却装置を取り付けた被服 図13
  • 特開-冷却装置及び冷却装置を取り付けた被服 図14
  • 特開-冷却装置及び冷却装置を取り付けた被服 図15
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024175855
(43)【公開日】2024-12-19
(54)【発明の名称】冷却装置及び冷却装置を取り付けた被服
(51)【国際特許分類】
   F25D 1/02 20060101AFI20241212BHJP
   A41D 1/00 20180101ALI20241212BHJP
   A41D 13/002 20060101ALI20241212BHJP
   A41D 13/005 20060101ALN20241212BHJP
【FI】
F25D1/02 Z
A41D1/00 E
A41D13/002 105
A41D13/005 106
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023093905
(22)【出願日】2023-06-07
(71)【出願人】
【識別番号】594180232
【氏名又は名称】株式会社三機コンシス
(74)【代理人】
【識別番号】110002114
【氏名又は名称】弁理士法人河野国際特許商標事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100128624
【弁理士】
【氏名又は名称】穂坂 道子
(74)【代理人】
【識別番号】100138483
【弁理士】
【氏名又は名称】村上 晃一
(72)【発明者】
【氏名】松本 正秀
(72)【発明者】
【氏名】白熊 明美
【テーマコード(参考)】
3B030
3B211
3L044
【Fターム(参考)】
3B030AA02
3B030AA03
3B030AB08
3B030AB12
3B211AA01
3B211AB01
3B211AC02
3B211AC03
3B211AC18
3B211AC21
3L044AA04
3L044BA09
3L044CA13
3L044CA18
3L044KA04
(57)【要約】
【課題】冷却対象を良好に冷却できる冷却装置を得ることを課題とする。また、被服等の布製品に加えて、パソコン等の電子機器を冷却の対象とできる冷却装置を得ることを課題とする。
【解決手段】通気性に優れた冷却層1を用いる。冷却層1に向けて流れた空気が冷却層1を通過して冷却対象10に当たり方向転換して冷却層1の方向に向けて流れる。この結果、冷却層1による冷却が繰り返し行われる。冷却対象10と他の冷却対象を、冷却層1を挟んで配置することにより、同時に二つの冷却対象を冷やすこともできる。冷却層1と冷却対象との間に高熱伝導素材で成る防水・高熱伝導層を配置することにより、冷却対象が濡れることを防ぐ。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
冷却装置であって、
水を保持した水分保持層と、
前記水分保持層の保持する水が冷却対象と直接接触しないよう隔離する隔離層と、
前記水分保持層に向けて空気流を発生させる送風ファンを備え、
前記水分保持層と前記隔離層はいずれも通気性に優れた素材で構成され重なり合って前記冷却対象に沿って前記冷却対象と近接して延び、
前記水分保持層の周辺において前記水分保持層の周辺の冷気が循環することにより前記冷却対象を冷やす冷却装置。
【請求項2】
前記水分保持層に保持された水の気化を補助する気化補助層であって
通気性に優れた素材で構成され、水分保持層と重なり合って前記冷却対象に沿って延びる気化補助層
を備えることを特徴とする請求項1に記載の冷却装置。
【請求項3】
前記水分保持層と前記隔離層はいずれもメッシュクロスで成ることを特徴とする請求項1に記載の冷却装置。
【請求項4】
前記水分保持層は、メッシュ数が1cm2あたり36個でありポリエステル100%のメッシュクロスで成ることを特徴とする請求項3に記載の冷却装置。
【請求項5】
前記隔離層は、メッシュ数が1cm2あたり5個であり厚さが0.4mm~10.0mmのメッシュクロスで成ることを特徴とする請求項3に記載の冷却装置。
【請求項6】
前記水分保持層が保持する水は、前記水分保持層の表面に沿って配置される管に穿った小孔から滲出し前記水分保持層に拡散したものであることを特徴とする請求項1に記載の冷却装置。
【請求項7】
前記水分保持層が保持する水は、スプレー機構の吐出孔より噴霧される水であることを特徴とする請求項1に記載の冷却装置。
【請求項8】
前記水分保持層と前記隔離層がいずれも通気性に優れた素材で構成される結果前記送風ファンにより発生した空気が前記水分保持層と前記隔離層を良好に通過し、前記水分保持層の周辺の冷気が循環することを特徴とする請求項1に記載の冷却装置。
【請求項9】
前記冷却対象との間に熱伝導性の高い層が配置されることを特徴とする請求項1に記載の冷却装置。
【請求項10】
前記冷却装置を挟んで二つの冷却対象が配置され、一つの冷却装置によって二つの冷却対象を冷却することを特徴とする請求項1に記載の冷却装置。
【請求項11】
請求項6に記載の冷却装置を取り付けた被服であって、
水分保持層の表面に沿って配置された管は、前記水分保持層の表面のうち着衣者が着衣した際、重力方向上方に位置する位置に配置された被服。
【請求項12】
被服の内側の空気を冷却することによって被服着衣者を冷却する被服であって、
布で構成され水を保持した水分保持層と、
前記水分保持層の保持する水が前記被服と直接接触しないよう隔離する隔離層と、
前記水分保持層に向けて空気流を発生させるための送風ファンを備え、
前記水分保持層と前記隔離層はいずれも通気性に優れた素材で構成され重なり合って前記被服に沿って前記被服と近接して延び、
前記水分保持層の周辺において前記水分保持層の周辺の冷気が循環することにより被服の内側の空気を冷却する被服。
【請求項13】
電子機器の周辺の空気を冷却することによって電子機器を冷却する冷却装置であって、
布で構成され水を保持した水分保持層と、
前記水分保持層の保持する水が前記電子機器と直接接触しないよう隔離する隔離層と、
前記水分保持層に向けて空気流を発生させるための送風ファンを備え、
前記水分保持層と前記隔離層はいずれも通気性に優れた素材で構成され重なり合って前記電子機器に沿って前記電子機器と近接して延び、前記水分保持層の周辺において前記水分保持層の周辺の冷気が循環することにより電子機器の周辺の空気が冷却され、
前記電子機器と前記水分保持層の間には、防水機能と高熱伝導機能を備えた層が配置された冷却装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
保水層(水分保持層)が保水する水の気化熱により布製品・電子機器等の冷却対象を冷却する冷却装置に関する。また、そのような冷却装置を備えた被服に関する。
【背景技術】
【0002】
夏の暑い日等に高温下で生活するにあたり、また、高温下で作業するにあたり、被服にファンを取り付けて被服内に空気を流通させることにより被服内の空気を冷やす空調被服と称する被服が市場に流通している。
【0003】
また、パソコン等、集積回路を使用しており積極的な放熱を必要とする機器において、そのような機器を、簡易かつ有効に冷却するための種々の手段が開発されている。
【0004】
特許文献1には、図15(a)に示す通り、ファン110を備えた保水シート100を装着し、外部からジャケット(図示せず)を着用した発明が記載されている。特許文献1に記載の発明では、ファンの風により保水シートとジャケットの間に送風路を形成し着衣者の身体を冷やす。保水シート100には、水分を含んだ保水シートが装着者に接触することによる不快感を改善するために、図11の(b)(c)(d)に示すバリエーションがある。(b)では保水部105よりも肌側に水分を通さない防水部103(例えば塩ビシート等)を配置し、それぞれの上端を縫製して構成する。(c)では保水部105の裏面に水分を通さない防水部103(例えば塩ビシート等)を重ねて一枚のシートとして構成する。(d)では保水部105よりも肌側に隔離層108(目の粗いメッシュシート等)を配置し、それぞれの上端を縫製して構成する。特許文献1に記載の発明では、保水シートは、水に浸した後、軽く絞るなどし、又は霧吹きするなどして水分を含ませる。
【0005】
特許文献1記載の発明においては、保水シートが蓄えた水が蒸発する際の気化熱により冷えた空気を送風路で流すことにより、被服内の温度が下がる。よって保水シートが蓄えた水が全て蒸発したあとは被服内の温度を下げることはできないところ、特許文献1には、着用者の使用中に保水シートへの水の供給を継続する思想は記載されていない。また、特許文献1に記載の発明においては、冷えた空気を送風路で流すため、多くの空気は被服の外に放出される。特許文献1には、水分保持層の周辺の空気を循環させることにより冷却対象を冷やす思想は記載されていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】実用新案登録第3213394号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
冷却対象を良好に冷却できる冷却装置を得ることを課題とする。
【0008】
被服等の布製品に加えて、パソコン等の電子機器を冷却の対象とできる冷却装置を得ることを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
(1)冷却装置であって、水を保持した水分保持層と、前記水分保持層の保持する水が冷却対象と直接接触しないよう隔離する隔離層と、前記水分保持層に向けて空気流を発生させる送風ファンを備え、前記水分保持層と前記隔離層はいずれも通気性に優れた素材で構成され重なり合って前記冷却対象に沿って前記冷却対象と近接して延び、前記水分保持層の周辺において前記水分保持層の周辺の冷気が循環することにより前記冷却対象を冷やす冷却装置によって課題を解決する。
(2)前記水分保持層に保持された水の気化を補助する気化補助層であって
通気性に優れた素材で構成され、水分保持層と重なり合って前記冷却対象に沿って延びる気化補助層を備えることを特徴とする(1)に記載の冷却装置によって課題を解決する。
(3)前記水分保持層と前記隔離層はいずれもメッシュクロスで成ることを特徴とする(1)に記載の冷却装置によって課題を解決する。
(4)前記水分保持層は、メッシュ数が1cm2あたり36個でありポリエステル100%のメッシュクロスで成ることを特徴とする(3)に記載の冷却装置によって課題を解決する。
(5)前記隔離層は、メッシュ数が1cm2あたり5個であり厚さが0.4mm~10.0mmのメッシュクロスで成ることを特徴とする(3)に記載の冷却装置によって課題を解決する。
(6)前記水分保持層が保持する水は、前記水分保持層の表面に沿って配置される管に穿った小孔から滲出し前記水分保持層に拡散したものであることを特徴とする(1)に記載の冷却装置によって課題を解決する。
(7)前記水分保持層が保持する水は、スプレー機構の吐出孔より噴霧される水であることを特徴とする(1)に記載の冷却装置によって課題を解決する。
(8)前記水分保持層と前記隔離層がいずれも通気性に優れた素材で構成される結果前記送風ファンにより発生した空気が前記水分保持層と前記隔離層を良好に通過し、前記水分保持層の周辺の冷気が循環することを特徴とする(1)に記載の冷却装置によって課題を解決する。
(9)前記冷却対象との間に熱伝導性の高い層が配置されることを特徴とする(1)に記載の冷却装置によって課題を解決する。
(10)前記冷却装置を挟んで二つの冷却対象が配置され、一つの冷却装置によって二つの冷却対象を冷却することを特徴とする(1)に記載の冷却装置。
(11)(6)に記載の冷却装置を取り付けた被服であって、水分保持層の表面に沿って配置された管は、前記水分保持層の表面のうち着衣者が着衣した際、重力方向上方に位置する位置に配置された被服によって課題を解決する。
(12)被服の内側の空気を冷却することによって被服着衣者を冷却する被服であって、布で構成され水を保持した水分保持層と、前記水分保持層の保持する水が前記被服と直接接触しないよう隔離する隔離層と、前記水分保持層に向けて空気流を発生させるための送風ファンを備え、前記水分保持層と前記隔離層はいずれも通気性に優れた素材で構成され重なり合って前記被服に沿って前記被服と近接して延び、前記水分保持層の周辺において前記水分保持層の周辺の冷気が循環することにより被服の内側の空気を冷却する被服によって課題を解決する。
(13)電子機器の周辺の空気を冷却することによって電子機器を冷却する冷却装置であって、布で構成され水を保持した水分保持層と、前記水分保持層の保持する水が前記電子機器と直接接触しないよう隔離する隔離層と、前記水分保持層に向けて空気流を発生させるための送風ファンを備え、前記水分保持層と前記隔離層はいずれも通気性に優れた素材で構成され重なり合って前記電子機器に沿って前記電子機器と近接して延び、前記水分保持層の周辺において前記水分保持層の周辺の冷気が循環することにより電子機器の周辺の空気が冷却され、前記電子機器と前記水分保持層の間には、防水機能と高熱伝導機能を備えた層が配置された冷却装置によって課題を解決する。
【0010】
解決手段(1)において、水分保持層と隔離層が通気性に優れた素材で構成されそれぞれの層が重なり合っていずれも冷却対象に沿って延びることにより、水分保持層の周辺の空気が、良好に循環する。水分保持層は布で構成されていてもよい。水分保持層は布状に薄く延びるスポンジで構成されていてもよい。各層に向けて流れる空気が各層に良好に流れ、水分保持層の気化を促進できる。解決手段(1)において、水分保持層の周辺において前記水分保持層の周辺の冷気が循環することにより、循環する空気が水分保持層を通過する度に空気が冷やされる。この結果、冷却対象を効果的に冷却できる。解決手段(1)において、前記水分保持層に向けて空気流を発生させるための送風ファンを備えることにより、空気流を生じさせると同時に、外部の新たな空気を供給することにより水分保持層の気化を維持させることができる。冷却対象として、被服、まくら、クッションといった布製品に加え、パソコン、サーバー、携帯電話、といった電子機器も対象にできる。液化炭酸ガスを気化させることにより、零度付近まで冷やすことができる。
【0011】
解決手段(2)において、気化補助層により、水分保持層に保持された水の気化が促進され、より有効に冷却が行われる。
【0012】
解決手段(3)において、水分保持層と隔離層がいずれもメッシュクロスで成ることにより、これらの層の優れた通気性を容易に得ることができる。
【0013】
解決手段(4)において、水分保持層は水分保持のためにオープニングが比較的小さなメッシュを用いる。
【0014】
解決手段(5)において、隔離層は、水分保持層と冷却対象を隔離するために比較的厚みがあるメッシュを用いる。
【0015】
解決手段(6)において、水分保持層の表面に沿って配置される管に穿った小孔から滲出し前記水分保持層に拡散する水を用いることによって、管を通じて水の供給を継続できる。また、小孔の大きさと小孔の数により、拡散する水の量を調整できる。
【0016】
解決手段(7)において、スプレー機構の吐出孔より噴霧される水を用いることによって、スプレー機構を通じて水の提供を継続できる。また、噴霧される水を用いることによって、噴霧の際にも水が気化し、周囲の空気を冷やす助けとできる。
【0017】
解決手段(8)において、水分保持層の周辺の冷気が循環することにより、冷気によって冷やされた冷却対象が循環して水分保持層の周辺の空気をさらに冷やす。この結果、冷却対象を効率よく冷却できる。
【0018】
解決手段(9)において、熱伝導性の高い層を配置することにより、冷却対象に対し、水分保持層の周辺の冷気を短時間で広い範囲に伝えることができる。
【0019】
解決手段(10)において、水分保持層の周辺の冷気を有効に利用して、二つ以上の対象物を冷却できる。例えば、冷却装置を被服に取り付けた場合に、被服の内部に存する被服着衣者の身体と、被服の外部の表面を冷却できる。この結果、被服着衣者は、夏の暑い日に、被服の外側に露出する手を冷やしたい場合に、被服の外側に手を触れることにより手を冷やすことができる。
【0020】
解決手段(11)において、重力によって上方から下方に向けて水が布を伝って浸透する。次に、下方に向けて流れた水は毛細管現象により布を上昇する。これにより、水分保持層の水分保持を有効に得ることができる。
【0021】
解決手段(12)において、被服着衣者の身体を有効に冷やすことができる。
【0022】
解決手段(13)において、パソコン等、集積回路を使用しており積極的な放熱を必要とする機器を、簡易かつ安価に冷却できる。冷却のための電力は送風ファンに用いる電力のみで足りる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】実施例1の冷却層を示す。
図2】実施例1の冷却層を示す。
図3】実施例1の冷却層を示す。
図4】実施例1の冷却層を示す。
図5】実施例1の冷却層を用いた被服を示す。
図6】実施例1の冷却層を用いた被服を示す。
図7】実施例1の冷却層を用いた被服を示す。
図8】実施例1の冷却層を用いた被服を示す。
図9】実施例1の冷却層を用いた被服の着衣状態を示す。
図10】実施例2の冷却層を用いた被服を示す。
図11】実施例2の冷却層を.用いた被服の着衣状態を示す。
図12】実施例3を示す。
図13】実施例4を示す。
図14】実施例5を示す。
図15】従来例を示す。
【発明を実施するための形態】
【実施例0024】
図1及び図2により、実施例1に係る冷却層1が冷却層1の周囲の温度を下げる機構を説明する。
【0025】
冷却層1は、水分保持層5と気化補助層8と隔離層7を備える。水分保持層5と気化補助層8と隔離層7は、通気性を得るために、いずれもメッシュクロスで成る。
【0026】
水分保持層は水を保持する。水分保持層5は、中を通る水が外に向けて滲出し水分保持層に水を供給する管6を備える。水分保持層(5a、5b)は管6を挟んだ二枚の層である。水分保持層(5a、5b)は上方で管6を包み、管6から滲出する液体を受けとめる。水は水分保持層全体に急速に拡散し、水分保持層に保持される。水分保持層(5a、5b)は、管6から滲出する液体をできる限り多く保持するべく、管6から二手に分かれて重力により垂れ下がる。水分保持層5は、重力により垂れ下がり、水分保持層5が蓄えた水は重力により水分保持層5の末端に溜まる。末端に溜まった水は、毛細管現象により水分保持層5を上昇し、水分保持層を再度濡らす。
【0027】
水分保持層(5a,5b)は、吸水性と速乾性の高い化学繊維でなる。例えポリエステル100%のメッシュクロスで成る。水分保持層は、生地としての面積が大きく水分を保持することができるよう、例えば、打ち込み本数ウェル45/インチ、コース60/インチ、糸番手50デニール×50デニール、目付103g/m2 のメッシュクロスを用いる。また通気性が良くなるよう、例えば1cm2あたりのメッシュの穴数36程度のものを用いる。
【0028】
気化補助層8は、水分保持層5と隣り合って配置されていれば足り、図1(a)に示す通り冷却対象10の反対側で冷却層の表面に露出していてもよい。また、図1(b)に示す通り水分保持層5と隔離層7の間に配置されてもよい。
【0029】
気化補助層は、水分保持層の水の気化を補助する。気化補助層は、水分保持層と同様の吸水速乾性の高い化学繊維で成る。例えばポリエステル100%のメッシュクロスで成る。気化補助層は、通気性を良くするために、水分保持層よりも比較的オープニングの大きなメッシュを用いる。例えば、打ち込み本数ウェル32/インチ、コース58/インチ、糸番手50デニール×50デニール、目付64g/m2 のメッシュクロスを用いる。また、さらに通気性が良くなるよう、例えば1cm2あたりのメッシュの穴数36程度のものを用いる。
【0030】
隔離層7は、冷却対象10が水分保持層5と触れないよう、水分保持層と冷却対象とを隔離する。このため隔離層7は冷却層1の冷却対象の側に配置する。隔離層はポリプロピレン、ポリエステル等で成る。冷却層1を被服に用いる場合、隔離層7を人体の肌側に向けることにより、着衣者が、水が肌に触れることによるベタベタした心地悪さを感じないようにすることができる。
【0031】
隔離層7のメッシュクロスは、水分保持層の水分が冷却対象10に触れないよう、厚みがあるものを用いる。例えば、厚さ0.4mm~10.0mm、1cm2あたりのメッシュの穴数5程度のものを用いる。
【0032】
図2に示す通り、実施例1に係る冷却層1にあっては、通気性に優れるため、冷却層に向けて流れた空気が冷却層1を通過して冷却対象10に当たり方向転換して冷却層1の方向に向けて流れる。この結果、冷却層1による冷却が繰り返し行われる。
【0033】
図3図4により、実施例1に係る被服で用いる冷却層1をさらに説明する。図3では冷却層1の気化補助層8を省略している。
【0034】
図3に示す通り、管6を二枚の水分保持層(5a,5b)で挟み、管6の上下を縫い留めて、管6と二枚の水分保持層(5a,5b)を一体化する。さらに、隔離層7を水分保持層5aと接するように配置し、水分保持層(5a,5b)を隔離層7に縫い留める。図3に示す通り、二枚の水分保持層(5a,5b)の、隔離層7が存する側の反対側に、気化補助層8を配置する。
【0035】
管6は側面に多数の小孔を備えており、例えば内径が1mm~2mm、外径が2mm~4mmの硬度45度から55度のシリコーンゴムで成る。小孔の直径は0.1mmから0.3mmであるところ、シリコーンゴムで成る場合には、管の中を通る水の圧力を調整することによりシリコーンゴムの備える弾力性により小孔が開きすぎないようにすることができ、これにより小孔から滲出する水の量を程よいものにできる。管の素材はシリコーンゴムに限らず、壁の小孔からほどよく水が滲出する管であればなんでもよい。例えば、ビニール、ポリウレタン、ポリエチレン、ナイロン、PTFE、PVDF、ETFE、ポリプロピレンが適している。管6として、濾過の用途で広く用いられている中空糸膜を用いてもよい。
【0036】
管6は、水の供給を受ける機構を備える。例えば水を蓄えたタンクと、タンクから管に向けて水を運ぶポンプによる機構である。
【0037】
図5から図7に、冷却層1を用いたベスト20を示す。図5図7に示す通り、着衣者の肌側には隔離層7aを配置する。着衣者の肌側以外に、ベストの外側の面の、ベストの肩に相当する位置にも隔離層7bを配置する。後述のとおりベストの上から上着30を着衣した際、ベストの外側の肩の位置は、上着30の内側と接することになるため、水分保持層(5a,5b)の水により上着30の内側が濡れることを避けるためである。
【0038】
ベストの外側の面は、上記の通りの上着30の内側を濡らさないよう隔離層を配置する箇所以外には、できる限り広い範囲で気化補助層8を配置する。隔離層(7a,7b)と気化補助層8が、水分保持層(5a,5b)を挟んでいる。
【0039】
図8及び図9に、ベスト20の上から上着30を着衣した状態を示す。上着30は、外の空気を上着30の中に流し込むためのファン35を備える。ファン35はバッテリーの電力によって回転する。バッテリーを、例えばバッテリー入れ36に収納し、着衣時に随時、電力を使用可能な状態にする。図8に示す通り、ファン35から発する風は、ベストの冷却層に向けて流れる。ベストの冷却層は良好に風を通し、冷却層から生じる気化熱は着衣者の身体を冷やす。
【0040】
実施例1は、ベストに冷却層を取り付け、ファンを備えた上着をベストの上から着衣することにより冷却層に風を当てる構成であるところ、これ以外に、ファンを備えた上着に、実施例1に示したベストと同様の構造で成るものを予め取り付けて一体型にしてもかまわない。
【実施例0041】
実施例2は、水分保持層への水の供給手段に関する実施例である。実施例2では、図10図11に示す通り、水分保持層への水の供給をスプレー様の機構により水を噴霧して行う。
【0042】
上着30に吐出孔38が備わる。水は吐出孔38からベスト30の水分保持層5又は気化補助層8に向けて噴霧される。吐出孔38はスプレー機構(図示せず)を備える。スプレー機構にはホース(図示せず)を介して水が供給される。スプレー機構に供給された水が吐出孔38から噴霧される。
【0043】
水分保持層への水の供給をスプレー様の機構により噴霧して行う場合、水は噴霧中にも気化するため、周囲の空気をいっそう冷やすことができる。
【実施例0044】
図12に実施例3を示す。実施例3では、冷却層1によって冷却対象10を冷やすと同時に冷却対象12を冷却する。冷却層1を挟んで冷却対象10と冷却対象11を配置する。冷却層1と冷却対象11との間には高熱伝導素材で成る防水・高熱伝導層15を配置する。高熱伝導素材で成る層(例えばアルミニウムやチタンを含んだ生地)を介在させることにより、冷却対象11への熱伝導が短時間で広域になされる。例えば、冷却衣服において、符号10で示す冷却対象を着衣者の身体とした場合に、符号11は被服の外側表面である。そのような被服着衣者は、身体を冷やすのと同時に、冷却衣服の外側から冷却衣服に触れた際にも、冷たく感じることができる。
【0045】
図12の(a)、(b)、(c)における、黒色の矢印は空気の流れを示す。冷却層1に向けて流れる空気は、冷却層1の優れた通気性により、冷却層1を通過し、冷却対象10に当たって方向転換し再度冷却層1に向けて流れる。冷却層1に向けた空気は冷却層を通過して高熱伝導層15に当たる。図のCで示す箇所は冷却層1によって冷えている。高熱伝導層15は、冷却層を通過して冷やされた空気と、図のCで示した箇所の冷えた空気と、高熱伝導層と冷却層が触れることによって温度が下がる。
【0046】
(b)では衣服内を循環する空気によって冷却層1が傾斜している。(c)では、衣服内を循環する空気によって冷却層1がはためき揺れている。冷却層1は、このように傾斜したりはためくことにより、部分的に高熱伝導層に接触したり、離れたりする。高熱伝導層のうち冷却層1が接触した所は、特に温度が下がる。また、高熱伝導層のうち冷却層1が接触した個所には、水が付着する。高熱伝導層に付着した水は気化し、高熱伝導層をさらに冷やす。
【実施例0047】
実施例4は、ファンに関する実施例である。冷却層1に空気を送ることにより、水分保持層5が保持する水の気化が進み周囲の空気を冷やすことができる。冷却層に空気を送るためにファンが用いられる。図13の(a)と(b)では、冷却層1及び図中にCで示す冷えた空気を、冷却対象10と防水・高熱伝導層15が挟んでいる。
【0048】
図13の(a)では、ファン33が、冷却対象10と防水・高熱伝導層15に一つずつ取り付けてある。図中黒い矢印で示す通り、ファン33により、冷却対象10の外部と、防水・高熱伝導層15の外部から、内方に空気が送られる。外方から内方に送られた空気は、冷却層1に向けて流れる。
【0049】
図13の(b)では、両面給気ファン34が冷却対象10と防水・高熱伝導層15にまたがって取り付けてある。図中黒い矢印で示す通り、両面給気ファン34は、10の外方と15の外方の双方から給気し、内方に向けて排気する。両面給気ファン34は、そのような特徴を備えたシロッコファンであり、(a)に示す二つのファンを用いる場合よりも強力に給気と排気ができる。両面給気ファンを用いる場合、ファンが一つで済むため、重量や費用を抑えることができる。
【実施例0050】
実施例5は、冷却対象12が、パソコン等、集積回路を使用しており積極的な放熱を必要とする機器である。本願に係る冷却層1によれば、簡易かつ有効にそのような機器を冷却することができる。ただし、そのような機器は、水に濡れることが厳格に禁じられる。そこで、防水・高熱伝導層15により、冷却層1から冷却対象12に向けて水や水蒸気が移動するのを完全に妨げる。
【0051】
図14に、実施例5を示す。図14に示す通り、冷却対象12と冷却層1の間には、防水・高熱伝導層15が備わる。防水・高熱伝導層15は、冷却対象に水や水蒸気が移動しないよう、袋状の形態とすることが望ましい。袋状の形態を成した防水・高熱伝導層15には、二か所の孔17が備わり、孔17は冷却層1の周囲の空気の出入り口となる。
【符号の説明】
【0052】
1 冷却層
5、5a、5b 水分保持層
6 管
7 隔離層
8 気化補助層
10 冷却対象
11 冷却対象
12 冷却対象
15 防水・高熱伝導層
17 孔
20 ベスト
30 上着
33 ファン
34 両面給気ファン
35 ファン
36 バッテリー入れ
38 吐出孔
100 保水シート
103 防水部
105 保水部
108 隔離層
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15