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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024175868
(43)【公開日】2024-12-19
(54)【発明の名称】タイル貼り構造及び工法
(51)【国際特許分類】
   E04F 13/14 20060101AFI20241212BHJP
   E04F 13/08 20060101ALI20241212BHJP
【FI】
E04F13/14 103F
E04F13/08 101U
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023093933
(22)【出願日】2023-06-07
(71)【出願人】
【識別番号】524212534
【氏名又は名称】露木 裕良
(71)【出願人】
【識別番号】518026291
【氏名又は名称】一般社団法人不動産売却支援ネット
(71)【出願人】
【識別番号】523217167
【氏名又は名称】FPリーフ株式会社
(74)【上記2名の代理人】
【識別番号】100117514
【弁理士】
【氏名又は名称】佐々木 敦朗
(72)【発明者】
【氏名】露木 裕良
(72)【発明者】
【氏名】池野 浩二
【テーマコード(参考)】
2E110
【Fターム(参考)】
2E110AA27
2E110AA42
2E110AA43
2E110AA57
2E110AB04
2E110AB22
2E110BA13
2E110CA03
2E110CA04
2E110CA13
2E110CA17
2E110CA18
2E110CC02
2E110CC06
2E110CC12
2E110CC25
2E110DA12
2E110DB34
2E110DC21
2E110DC24
2E110DD03
2E110GA33X
2E110GA33Y
2E110GA34W
2E110GB01X
2E110GB23X
2E110GB23Z
2E110GB26W
2E110GB28W
2E110GB42X
2E110GB53Z
2E110GB54Z
(57)【要約】
【課題】壁面にしてタイルを貼り付ける施工に際し、下地材が劣化した場合にもタイルが剥落するのをより確実に防ぐ。
【解決手段】外壁4表面にタイル2を貼り付けるタイル貼り構造であって、壁面に固定され、壁面に平行な平面部分を有するサイティングパネル3と、サイティングパネル3の平面部分においてタイル2が貼り付けられる位置に応じて、表裏に通じる開口部31と、サイティングパネル3の表面側に形成されてタイルに係合されるフランジ32と、フランジ32に係合された状態のタイル裏面と、壁面との間の空間において、開口部を介してタイル裏面と壁面とを接着させるとともに、タイル裏面とサイティングパネル3の表面側とを接着させる接着部20とを備える。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
壁面にタイルを貼り付けるタイル貼り構造であって、
前記壁面に固定され、前記壁面に平行な平面部分を有する下地材と、
前記下地材の前記平面部分において、前記タイルが貼り付けられる位置に応じて、表裏に通じる開口部と、
前記下地材の表面側に形成されて前記タイルに係合される係合部と、
前記係合部に係合された状態のタイル裏面と、前記壁面との間の空間において、前記開口部を介して前記タイル裏面と前記壁面とを接着させるとともに、前記タイル裏面と前記下地材の表面側とを接着させる接着部と
を備えることを特徴とするタイル貼り構造。
【請求項2】
前記タイルは、前記下地材表面に水平方向に配列され、
前記係合部は、水平方向に配列されたタイルの上下部分を挟み込むように突出されたフランジを含む
ことを特徴とする請求項1に記載のタイル貼り構造。
【請求項3】
前記タイルは、前記係合部を挟んで隣接するタイル同士が、それぞれの端部が重ね合わされて、前記係合部を覆う重畳部を有することを特徴とする請求項1に記載のタイル貼り構造。
【請求項4】
壁面にタイルを貼り付けるタイル貼り工法であって、
前記壁面に平行な平面部分を有する下地材を、前記壁面に固定する下地材固定工程と、
前記下地材の前記平面部分において、前記タイルが貼り付けられる位置に応じて表裏に通じるように形成された開口部を介して前記壁面に到達するように接着剤を充填するとともに、前記下地材の表面側に形成された係合部に、前記タイルを係合させるタイル係合工程と、
を含み、
前記タイル係合工程では、前記係合部に係合された状態のタイル裏面と、前記壁面との間の空間において、前記開口部を介して前記タイル裏面と前記壁面とを接着させるとともに、前記タイル裏面と前記下地材の表面側とを接着させる
ことを特徴とするタイル貼り工法。
【請求項5】
前記タイル係合工程では、
前記タイルを前記下地材表面に水平方向に配列し、
水平方向に配列されたタイルの上下部分を挟み込むように突出された前記係合部のフランジによって、各タイルを前記下地材に係合させる
ことを特徴とする請求項4に記載のタイル貼り工法。
【請求項6】
前記タイル係合工程では、前記係合部を挟んで隣接されるタイル同士それぞれの端部を重ね合わせて重畳部を形成し、前記係合部を覆うことを特徴とする請求項4に記載のタイル貼り方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建物外壁にタイルを有機系接着剤による接着固定に機械的固定の要素を併用して貼り付ける半乾式接着タイル張り工法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、建物の外壁、内壁等に対するタイル張りとしては、湿式工法、乾式工法等が知られており、湿式工法ではモルタルでタイルを張るのに対し、乾式工法では、突起のついた下地材を予め壁面に固定しておき、タイル裏面をそこに嵌め込んで固定するものである。すなわち、タイルの壁面への固定は、下地材に対する機械的嵌合によっており、これにタイルの振動防止等の補助的な役割を果たす接着材を併用することも行われている。タイルを嵌め込む下地としては、金属チャンネル、金属パネル、押し出し成型セメント板、セラミック系サイディングなどがある(例えば、特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2001-271479号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述した湿式工法では、下地の壁面にモルタルを塗布し、タイルを直接下地に貼り付ける。この湿式工法では、タイル本来の質感と耐久性が得られる反面、モルタルの劣化等によりタイルの剥離が起こる可能性があるとともに、壁面に直接作用する重量が増加するという問題がある。
【0005】
一方、乾式工法では、例えば、ベースサイディングと呼ばれる下地材を壁面に固定した後、この下地材に対してタイルを支持させるようにして貼り付ける。この乾式工法では、多様なデザイン性や質感が得られるとともに、湿式タイルに比べ壁面重量が軽減され、施工不良や剥離のリスクが小さく施工効率がよいこと、特殊な技術を必要としない等の利点が挙げられる。その反面、この乾式工法では、下地材でのみタイルを支持する構造であるため、下地材が劣化した場合には、タイルが剥落する可能性が高まるという問題がある。
【0006】
そこで本発明は、壁面にしてタイルを貼り付ける施工に際し、下地材が劣化した場合にもタイルが剥落するのをより確実に防ぐことのできるタイル貼構造及び工法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明は、壁面にタイルを貼り付けるタイル貼構造であって、
前記壁面に固定され、前記壁面に平行な平面部分を有する下地材と、
前記下地材の前記平面部分において、前記タイルが貼り付けられる位置に応じて、表裏に通じる開口部と、
前記下地材の表面側に形成されて前記タイルに係合される係合部と、
前記係合部に係合された状態のタイル裏面と、前記壁面との間の空間において、前記開口部を介して前記タイル裏面と前記壁面とを接着させるとともに、前記タイル裏面と前記下地材の表面側とを接着させる接着部と
を備えることを特徴とする。
【0008】
また、本発明は、壁面にタイルを貼り付けるタイル貼工法であって、
前記壁面に平行な平面部分を有する下地材を、前記壁面に固定する下地材固定工程と、
前記下地材の前記平面部分において、前記タイルが貼り付けられる位置に応じて表裏に通じるように形成された開口部を介して前記壁面に到達するように接着剤を充填するとともに、前記下地材の表面側に形成された係合部に、前記タイルを係合させるタイル係合工程と、
を含み、
前記タイル係合工程では、前記係合部に係合された状態のタイル裏面と、前記壁面との間の空間において、前記開口部を介して前記タイル裏面と前記壁面とを接着させるとともに、前記タイル裏面と前記下地材の表面側とを接着させる
ことを特徴とする。
【0009】
また、上記発明において、
前記タイルは、前記下地材表面に水平方向に配列され、
前記係合部は、水平方向に配列されたタイルの上下部分を挟み込むように突出されたフランジを含む
ことが好ましく、
前記タイル係合工程では、
前記タイルを前記下地材表面に水平方向に配列し、
水平方向に配列されたタイルの上下部分を挟み込むように突出された前記係合部のフランジによって、各タイルを前記下地材に係合させる
ことが好ましい。
【0010】
さらに、上記発明において、前記タイルは、係合部を挟んで隣接するタイル同士が、それぞれの端部が重ね合わされて、係合部を覆う重畳部を有することが好ましく、
前記タイル係合工程では、係合部を挟んで隣接されるタイル同士それぞれの端部を重ね合わせて重畳部を形成し、前記係合部を覆うことが好ましい。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、以下のような作用・効果を期待することができる。
(1)タイルの安定した支持:
上記発明によれば、下地材の平面部分にタイルを係合させる工程を含むことで、タイルの位置は下地材により安定的に支持され、壁面全体の平坦性と美観が向上される。これにより、外壁・内壁の美観を損なうことなく、タイルが剥落するリスクを大幅に軽減することができる。
【0012】
(2)壁面及び支持材の両方向から接着:
上記発明によれば、開口部を介して壁面に到達するように接着剤を充填し、タイルの裏面と壁面、及びタイルの裏面と下地材の表面側を接着させる工程を含むことで、タイルは壁面と下地材の両方から固定される。これにより、下地材が劣化しても壁面からの支持が保たれ、タイルの剥落をより確実に防ぐことができる。
【0013】
(3)滞留湿気の対策:
上記発明によれば、接着剤を通じて壁面とタイルが直接接着されるため、下地材と壁面間に滞留する湿気を大幅に減少させ、下地材の劣化を抑制することが可能となる。
【0014】
(4)温度変化への対応:
上記発明によれば、下地材と壁面、タイルと下地材の両方を接着することで、空間内の温度変化による収縮・膨張に対する強度が向上し、タイルのひび割れや下地材の変形を防止することができる。
【0015】
以上のように、本発明によれば、壁面にしてタイルを貼り付ける施工に際し、下地材が劣化した場合にもタイルが剥落するのをより確実に防ぐことができ、タイル貼りの乾式工法における問題点を大幅に解消し、タイル施工の耐久性と安全性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】実施形態に係るタイル貼構造及び工法を示す分解斜視図である。
図2】実施形態に係るタイル貼構造及び工法を示す斜視図である。
図3】実施形態に係るタイル貼構造及び工法を示す斜視図である。
図4】実施形態に係るタイル貼構造の構成を示す断面図である。
図5】実施形態の変更例に係るタイル貼構造の構成を示す断面図である。
図6】実施形態に係るタイル貼工法の手順を示すフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下に添付図面を参照して、本発明に係るタイル貼構造及びタイル貼工法の実施形態を詳細に説明する。図1図3に本実施形態に係るタイル貼構造及び工法を示し、図4に本実施形態に係るタイル貼構造の構成を示す。なお、以下に示す実施の形態は、この発明の技術的思想を具体化するための装置等を例示するものであって、この発明の技術的思想は、各構成部品の材質、形状、構造、配置等を下記のものに特定するものでない。この発明の技術的思想は、特許請求の範囲において、種々の変更を加えることができる。
【0018】
(タイル貼り構造の構成)
本実施形態では、本発明のタイル貼り構造及びその工法を、建物の外壁におけるサイディング施工に適用した場合を例に説明する。サイディング施工とは、本実施形態では、建物の外壁に対するタイル施工において、図1に示すように、タイル2の下地材としてサイティングパネル3を外壁4の表面に貼り、サイティングパネル3がタイル2を支える役割を果たす。
【0019】
なお、本実施形態において、外壁4は、ALC(Autoclaved Lightweight aerated Concrete)と呼ばれる高温高圧蒸気養生された軽量気泡コンクリートで形成されている。下地材としてのサイティングパネル3は、このALCの外壁4上に貼り付けられ、このサイティングパネル3を介してタイル2を支持させる。
【0020】
このタイル2としては、矩形その他の形状をなし、所定の厚みを有する部材であり、例えば、クレイ(粘土)を高温で焼いたもので、ガラス質の釉薬が施されたセラミックタイル或いはポーセライトタイル、大理石、花崗岩、スレート、石灰岩、トラバーチンなど、自然石材から作られたストーンタイル、ガラス系の素材で成型されたガラスタイルなど、設置する場所、デザイン、予算などにより適した種々のものが採用可能である。
【0021】
一方、本実施形態に係るタイル貼り構造1において、サイティングパネル3は、外壁4の壁面に固定され、壁面に平行な平面部分を有する下地材であり、例えば、プラスチックやビニール等を用いた「樹脂系サイディング」、木材や木質材料等を用いた「木製サイディング」、セメント、砂、セルロース繊維等の材料を成形して固めた「窯業系サイディング」、アルミやスチールなどを用いた「金属系サイディング」がある。
【0022】
このようなサイティングパネル3の壁面への固定方法としては、例えば、ネイル(釘)を使用する方法があり、ネイルを直接壁のスタッド(骨組み)に打ち込むとともに、各ネイルは各サイディングパネルの上部に位置させ、次のパネルによって覆うことにより、完成した際には外方から見えないようにされる。また、他の固定方法としては、スクリュー(ネジ)を使用するものがあり、金属やビニールのサイディングに使用することができ、さらには、クリップやブラケットを使用することも可能であり、サイディングシステムによっては、クリップやブラケットを用いることにより、サイディングパネルを壁面から少し離れた位置に設置することができる。また、軽量なサイティングパネル3では、接着剤を使用して直接壁面に接着することもできる。これらの固定方法は、サイディングの材質、壁の構造、そして施工条件などによって適宜選択される。
【0023】
また、本実施形態に係るサイティングパネル3には、その表面側にタイル2に係合される係合部としてのフランジ32が形成されている。このフランジ32は、水平方向に延設されており、タイル2の高さ(縦幅)に適合させて多段に形成されている。すなわち、タイル2は、下地材であるサイティングパネル3の表面に水平方向に配列され、複数段のフランジ32は、水平方向に配列されたタイル2の上下部分を挟み込むように突出され、上下のフランジ32によって、各タイル2の上下部分を挟み込むことにより、各タイル2をサイティングパネル3に係合させる。
【0024】
さらに、サイティングパネル3の平面部分には、タイル2が貼り付けられる位置に応じて、表裏に通じる開口部31が形成されている。この開口部31は、サイティングパネル3の平面部分をくり抜いて形成されており、サイティングパネル3を壁面に設置した際には、開口部31を通じて壁面が露出するようになっている。
【0025】
そして、図4に示すように、開口部31を介して外壁4の壁面に到達するように接着剤(タイルボンド)を充填するとともに、サイティングパネル3の表面側に形成されたフランジ32に、タイル2を係合させることにより接着部20が形成される。この接着部20は、サイティングパネル3に係合された状態のタイル2の裏面と、外壁4の壁面との間の空間において、開口部31を介してタイル2の裏面と外壁4の壁面とを接着させるとともに、タイル2の裏面とサイティングパネル3の表面側とを接着させる。
【0026】
この接着部20に用いられる接着剤としては、主にタイルの材質、タイルが貼られる表面(下地)の状況、そして施工環境により選択され、例えば、セメントベースのタイル接着剤(Thinset)やモルタル、エポキシ接着剤などを採用することができる。
【0027】
また、サイティングパネル3にタイル2を固定した後、タイル2間の隙間に目地ボンド21が充填される。この目地ボンド21は、タイル2間の隙間(目地)を埋めるためのもので、タイル2間の微小な動きを吸収して割れや欠けを防いだり。水や汚れがタイル下に侵入するのを防ぎ、タイルの見た目を美しく仕上げる目的で用いられる材料であり、セメントベース系、エポキシ系、ウレタン系、シリコン系等があり、タイルの種類、施工環境、そして期待される性能により適宜選択することができる。
【0028】
(タイル貼り工法)
以上説明したタイル貼り構造は、本発明のタイル貼り工法により構築することができる。図6に本実施形態に係るタイル貼り工法の手順を示す。なお、以下で説明する処理手順は一例に過ぎず、各処理は可能な限り変更されてもよい。また、以下で説明する処理手順について、実施の形態に応じて、適宜、ステップの省略、置換及び追加が可能である。
【0029】
先ず、ALCで形成された外壁4の下地の仕上げを行う(S101)。これにより、建物の耐久性と安全性を確保し、サイティングパネル3の安定した取り付けを可能にする。具体的には、ALCの表面の不陸を研磨して除去し、専用のプライマーを塗布して下地処理を行い、必要に応じて耐候性や防汚性のある外壁用塗料を塗布したり、ALCパネル同士の接合部に防水シーリング材を施したりする。
【0030】
次に、下地材としてのサイティングパネル3を、外壁4に固定する下地材固定工程を行う(S102)。サイティングパネル3の種類は、樹脂系、木製、窯業系、金属系など、様々であり、その選択は建物のデザイン、保護が必要な特性、及び予算に基づいて行われる。このサイティングパネル3は、ネイルやスクリュー、クリップやブラケットを使って外壁4に固定され、或いは特定の軽量サイディングでは、接着剤を使用して直接壁面に接着してもよい。
【0031】
その後、タイルボンドを用いて、サイティングパネル3にタイル2を固定するタイル係合工程を行う(S103)。この過程では、タイル2をフランジ32に係合させつつ、開口部31を介してタイルボンドを、サイティングパネル3の裏面と外壁4の表面との間に注入して、両者を接着させる接着部20を形成する。タイル2の種類は、セラミックタイル、ポーセライトタイル、大理石、花崗岩、スレート、石灰岩、トラバーチンなどのストーンタイル、ガラスタイルなど様々であり、設置する場所、デザイン、予算などに応じて選択される。
【0032】
次いで、タイル2間の隙間を埋めるための目地ボンドの施工を行う(S104)。目地ボンドとしては、セメントベース、エポキシ、ウレタン、シリコン等があり、それぞれの特性により、タイルの種類、施工環境、及び期待される性能に応じて選択される。そして、仕上げ処理を行うことで施工を完了する(S105)。この仕上げ処理としては、タイルが正しく配置され、必要な全ての接着剤と目地ボンドが適切に適用され、乾燥した後の最終確認が含まれる。
【0033】
(作用・効果)
このような本実施形態によれば、サイティングパネル3の平面部分にタイル2を係合させる工程を含むことで、タイル2の位置はサイティングパネル3により安定的に支持され、壁面全体の平坦性と美観が向上される。これにより、外壁・内壁の美観を損なうことなく、タイル2が剥落するリスクを大幅に軽減することができる。
【0034】
また、本実施形態によれば、開口部31を介して外壁4の壁面に到達するように接着剤を充填し、タイル2の裏面と壁面、及びタイル2の裏面とサイティングパネル3の表面側を接着させることで、タイル2は壁面と下地材の両方から固定される。これにより、サイティングパネル3が劣化しても壁面からの支持が保たれ、タイル2の剥落をより確実に防ぐことができる。
【0035】
さらに、本実施形態によれば、接着剤を通じて外壁4の壁面とタイル2とが直接接着されるため、サイティングパネル3と外壁4との間に滞留する湿気を大幅に減少させ、下地材の劣化を抑制することが可能となる。
【0036】
また、本実施形態によれば、サイティングパネル3と外壁4表面、タイル2とサイティングパネル3の両方を接着することで、空間内の温度変化による収縮・膨張に対する強度が向上し、タイル2のひび割れやサイティングパネル3の変形を防止することができる。
【0037】
以上のように、本実施形態によれば、外壁4表面にしてタイル2を貼り付ける施工に際し、サイティングパネル3が劣化した場合にもタイル2が剥落するのをより確実に防ぐことができ、タイル貼りの乾式工法における問題点を大幅に解消し、タイル施工の耐久性と安全性を向上させることができる。
【0038】
(変更例)
なお、本発明は、上記した各実施の形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記実施の形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合せにより、種々の発明を形成できる。例えば、実施の形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。
【0039】
例えば、図5に示すように、係合部のフランジ32を挟んで隣接するタイル5,5同士それぞれの端部5a,5bを重ね合わせて、フランジ32を覆う重畳部50を形成してもよい。この場合、上述したタイル係合工程において、フランジ32を挟むようにして隣接されるタイル5,5同士それぞれの端部5a,5bを重ね合わせて重畳部50を形成し、この重畳部50により係合部のフランジ32を覆う。このとき、重畳部50に接着剤や目地剤を塗布又は注入するようにしてもよい。
【符号の説明】
【0040】
1…タイル貼り構造
2…タイル
3…サイティングパネル
4…外壁
20…接着部
21…目地ボンド
31…開口部
32…フランジ
図1
図2
図3
図4
図5
図6